JP2007023419A - カツラ - Google Patents

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Abstract

【課題】 バックスタイルとしたカツラにおいて、前髪の生えぎわに違和感がなく、カツラの装着がわからないように改良を施したカツラを提供する。
【解決手段】 ベースを構成するネットシート本体の少なくとも周縁に沿って固着された非伸縮性の保形シート部を備え、ネットシート本体を含む保形シート部の周縁を生えぎわ部に位置して切欠した凹形部を形成し、該凹形部の縁により、生えぎわ部に臨む前縁部と、該前縁部の両側に位置する側縁部とを構成している。凹形部を被うように非伸縮ネットから成る生えぎわシートが配置され、該生えぎわシートを凹形部の前縁部と側縁部にオーバラップした状態で固着している。生えぎわシートの表面から起立するように疑似毛からなる前髪が植毛され、前髪を後向きに癖付けしている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、カツラに関するものであり、特に、オールバック等のバックスタイルとしたカツラにおいて、前髪の生えぎわに違和感がなく、カツラの装着がわからないように改良を施したものに関する。
従来、種々のカツラが提供されており、本出願人においても提案したところであるが、近年は、着用者の頭部に残存する生存中の頭髪(地毛)と、カツラに植毛された頭髪(疑似毛、但し天然毛又は人工毛を問わない)とを混然一体化させるため、オールバック等のバックスタイルとしたカツラが好評を博している。
このようなバックスタイルのカツラの着用者は、通常、額の眉間の上方部分から頭頂部に向けて高く禿げ上がっているが、その両側には地毛が残存しており、地毛の生えぎわが概ねM形を描いている。
そこで、カツラの疑似毛は、着用者の残存する地毛との境界部分では、疑似毛と地毛が混然一体化するので、外部から見てもカツラの着用を識別できない。しかしながら、前述のように禿げ上がった眉間の上方部位においては、地毛が存在しないため、カツラの疑似毛により構成された前髪が独立状態で視認され、そのため、カツラベースのうち、前髪を植毛した部分をどのようにして目立たないようにするかが大きな課題となる。
特開平9−228129公報 特開2004−197268公報 特開2004−228129公報
疑似毛からなる前髪の生えぎわ部分を目立たないように構成するためには、例えば、図6ないし図8に示すような比較例を考えることができる。
(第1比較例)
図6は、疑似毛からなる頭髪1を植毛したネットシート本体3からなるベース2の前縁部2aに前髪1aを植毛する際に、前髪1aの毛根近傍部を前縁部2aの内側(裏側)に植設した構成とされ、該前髪1aを前縁部2aに対して折返し、後向きに延びるように癖付けしている。従って、この比較例によれば、外部からベース2の前縁部2aを視認し得ないように隠蔽できる利点がある。しかしながら、この場合、図示の矢印X1で示すような前髪1aの折返し部が額に沿ってライン状に現われるので目立ち不自然なばかりか、前髪1aの毛根近傍部が前縁部2aの裏側に位置し、生えぎわが見えないため、自然の頭髪には到底見えないという問題がある。
(第2比較例)
そこで、図7は、ネットシート本体3からなるベース2の前縁部2aの外側(表側)に前髪1aを植毛し、植設部分から後向きに延びるよう癖付けしている。これにより前髪1aの生えぎわ部分が視認されるので、第1比較例で説明したような問題は解消される。しかしながら、前縁部2aは、ベース2のネットシート本体3を延設したものであるため、これを肌色に着色することで着用者の皮膚と色調をあわせても、完璧な錯視効果(看者の肉眼による目の錯覚により、その存在が気づかないようにすることの意味である。以下同じ。)を期待できない。一般的に、ネット状のシートは、網目の大きさを粗くすると線条の太さが増すため網目が目立ち易いので、網目の大きさを細かくすることにより線条を細くすれば目立たないと考える傾向があるが、本発明者の知見によれば、網目を細かくすると、肌色に着色していても、光の反射により白く見えてしまい、錯視効果を奏し得ないからである。
更に、ベース2のネットシート本体3は、着用者の頭部にフィットさせる関係上、平織その他の編織シートからなり、ある程度の伸縮性を有する。従って、ベース2のネットシート本体3から延設したり、あるいは、その他の伸縮性を有する別体の網目シートをネットシート本体3に固着することにより前縁部2aを形成した図7の比較例の場合には、カツラの着用によりベース2のネットシート本体3が伸長すると、前縁部2aも同様に、図7(B)のネット形状から図7(C)に示すように伸長し、収縮力を蓄積する。このため、図7(A)に矢印X2で示すように、額に沿って湾曲した前縁部2aの収縮力が反転すると、前縁部2aが着用者の額から捲れ上がり、額との間に隙間を生じるという致命的な問題を含んでいる。
(第3比較例)
ところで、上述のような問題点を解決するため、更に、図8に示すような比較例を想定することができる。この比較例において、前縁部2aは、ベース2を構成するネットシート本体3の前縁に沿って設けられた透明フィルム2bからなり、その外側(表側)に前髪1aを植毛し、植設部分から後向きに癖付けしている。しかしながら、着用者が汗をかくと、図示矢印X3のように透明フィルム2bが浮き上がり、着用者の額との間に隙間を生じるという重大な問題がある。
(その他の比較例)
上記の他、近年は、着用者の額上方の地毛を剃り落とし、特殊な組成液を塗布することにより透明膜を形成し、その透明膜に前髪を植毛する技術が提案されているが、透明膜は、着用者が汗をかいたり、洗髪すると、溶解してしまうという問題があるばかりか、剃り落とした地毛は、その後、次第に成長するので、透明膜を押上げ剥離させてしまうという問題がある。
本発明は、上記課題を解決したカツラを提供するものであり、その第1の手段として構成したところは、着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体から成るベースに疑似毛からなる頭髪を植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部に植毛された疑似毛からなる前髪を後向きに癖付けしたバックスタイルのカツラにおいて、前記ベースは、ネットシート本体の少なくとも周縁に沿って固着された非伸縮性の保形シート部を備えると共に、ネットシート本体を含む保形シート部の周縁を生えぎわ部に位置して切欠した凹形部を形成し、該凹形部の縁により、生えぎわ部に臨む前縁部と、該前縁部の両側に位置する側縁部とを構成しており、前記凹形部を被う非伸縮ネットから成る生えぎわシートを配置し、該生えぎわシートを凹形部の前縁部と側縁部にオーバラップした状態で固着し、該生えぎわシートの表面に起立するように前髪を植毛して成る点にある。
また、本発明が第2の手段として構成したところは、着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体から成るベースに疑似毛からなる頭髪を植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部に植毛された疑似毛からなる前髪を後向きに癖付けしたバックスタイルのカツラにおいて、前記ベースは、ネットシート本体の少なくとも周縁に沿って固着された非伸縮性の保形シート部を備えると共に、ネットシート本体を含む保形シート部の周縁を生えぎわ部に位置して切欠した凹形部を形成し、該凹形部の縁により、生えぎわ部に臨む前縁部と、該前縁部の両側に位置する側縁部とを構成し、更に、凹形部の両側に位置して、ネットシート本体を含む保形シート部の周縁を切欠した補助凹形部を形成することにより、凹形部の側縁部と補助凹形部の間に舌片を形成しており、前記凹形部を被う非伸縮ネットから成る生えぎわシートを配置し、該生えぎわシートを凹形部の前縁部と側縁部にオーバラップした状態で固着し、該生えぎわシートの表面に起立するように前髪を植毛して成る点にある。
本発明において、生えぎわシートは、非方形の網目を有する非伸縮ネットから構成するのが好ましい。更に、生えぎわシートを構成するネット素材は、ネット平面上で1つの網目の中心で直交する横軸と縦軸の上で網目を連設状態で列設しない、即ち、横軸と縦軸の両軸のうち少なくとも一方の軸上には網目が連なって列設させないように網目群を構成していることが好ましい。
本発明によれば、カツラ着用状態において、生えぎわシート11が凹形部7の前縁部7aと側縁部7b、7bにオーバラップした状態で固着された非伸縮ネットにより構成されているので、着用者の生えぎわ部4に好適に密着する。この際、生えぎわシート11は外部から前髪1bの間を透視して視認可能とされるが、密着状態で頭部の頭皮と一体化した外観を呈しているので、識別不能であり、あたかも生えぎわシート11が存在しておらず、生えぎわシート11から起立する前髪1bの毛根近傍部が本当の地毛の生えぎわを表しているような錯視効果がある。
特に、生えぎわシート11は、ネットシート本体3と別体のネットにより構成されているので、着用者の頭皮に適合するだけでなく、網目を大きく且つ線条を細く形成できるので、錯視効果に優れ、また、非伸縮性のため、反転して頭皮から捲れ上がることはなく、しかも、通気性に優れるので、汗をかいても浮き上がるようなこともない。
この際、生えぎわシート11のネット素材は、ネット平面上で1つの網目の中心で直交する横軸と縦軸の上で網目を連設状態で列設しない、即ち、横軸と縦軸の両軸のうち少なくとも一方の軸上には網目が連なって列設させないように網目群を構成しておけば、非伸縮性に優れると共に、網目の存在を視認し難く、錯視効果に優れたものとなる。
更に、着用時のカツラは、ネットシート本体3が伸縮等を介して着用者の頭部にフィットされ、保形シート部5が頭部に固着さ、殊に、ネットシート本体3の両側部3b、3bは、着用者の残存する地毛に混然一体化せしめるため下方に強く引っ張られた状態で固定される。従って、ベース2の全体に張力を受ける。ところが、本発明によれば、生えぎわシート11は、凹形部7の両側部に保護手段8、8を介して取付けられているので、ネットシート本体3の両側部3b、3bから作用する張力が保護手段8、8により遮られ、生えぎわシート11に伝達されないので、網目を大きく且つ線条を細く形成した破断し易い脆弱なネット素材で形成しつつ、破断せず常に良好な状態で着用者の頭皮に密着し、錯視効果を発揮できるという効果がある。
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
図1は、本発明に係るカツラの概略全体図を示し、カツラは、着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体3からなるベース2に疑似毛からなる頭髪1を植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部4に植毛された疑似毛からなる前髪1aを後向きに延びるように癖付けしたバックスタイルのカツラを構成しており、頭髪1は、その植毛密度を矢印Bで示すように、前髪1aから頂部の髪1bに向けて、次第に疎から密となるように植設されるのが好ましい。即ち、前髪1aは単位面積あたりの植毛本数が少なく、自然な生えぎわ状態を形成する。
この点に関し、本発明において「疑似毛」とは、着用者の頭部に残存する生存中の地毛に対する意味であり、天然毛又は人工毛を問わないことを諒解されたい。また、「生えぎわ部」とは、カツラの装着を必要としない通常の人体の頭部で地毛としての前髪が生えている部分のことであり、上述のようにカツラを必要とする着用者の額における地毛の生えぎわが概ねM形を描くように眉間の上方で禿げ上がった部分を意味しており、従って、その幅寸法wは、少なくとも眉間の上方部位を含むが、禿げ上がった部分が幅広いときは、その幅広の部分を包含する意味であることを諒解されたい。更に、図1は、オールバックスタイルのカツラを示しているが、「バックスタイル」とは、少なくとも前髪1aの生えぎわを外部から視認できるように、前髪1aを前下りでなく頭部の上部に向けて後向きに癖付けしたヘアースタイルを意味し、必ずしもオールバックに限定されないことを理解されたい。
図2及び図3は、カツラの内側(着用者の頭部に面する裏側)を示しており、ベース2を構成するネットシート本体3は、着用者の頭部の生えぎわ部4に臨む前部3aから、着用者の地毛が残存する頭部両側に臨む両側部3b、3bと、着用者の地毛が残存する後頭部に臨む後部3cを含んで底面視ほぼ楕円状で、着用者の頭部に沿うような球面状に形成されており、少なくとも、伸縮性と通気性を有している。この伸縮性は、顕著なものである必要はなく、僅かな伸縮性でも足りるが、要するに着用者の頭部にフィットできるものであれば良い。図1のように、ネットシート本体3には、外側に起立するように多数の髪1bが植設される。
ネットシート本体3の内側には、球面のほぼ中央部を残して、前部3a、両側部3b、3b、後部3cに沿う周縁部に固着された非伸縮性の保形シート部5が設けられている。この保形シート部5は、ネットシート本体3の内側面にウレタン樹脂又はシリコン樹脂等の合成樹脂液を塗布した後、硬化させることにより、適度の弾性を有するフィルム状又はシート状に形成されるが、予めシートを裁断したものをネットシート本体3の内側面に接着することにより形成しても良く、要するに、ネットシート本体3を球面状に保形すると共に、該保形シート部5の部分でネットシート本体3の伸縮性を阻害して非伸縮状態に保持するものであれば良い。尚、ベース2の球面状の頂部に位置するネットシート本体3の内側にも保形シート部5と同様の素材で同様の方法により形成されたシート片6が形成され、カツラを着用した際にベース2を頭部に固定するための接着テープ等の固定手段を設けることができるように構成されている。
ネットシート本体3の前部3aに位置して設けられた前記保形シート部5のフロント部5aには、生えぎわ部4に位置して該フロント部5aを切欠した凹形部7が形成され、該凹形部7の縁により、生えぎわ部4に臨む前縁部7aと、該前縁部7aの両側に位置する側縁部7b、7bとを構成している。一対の側縁部7b、7bは、後述する生えぎわシートに対してベース2及びネットシート本体3の張力を伝達させないように阻止する保護手段8、8を構成する。図例の場合、凹形部7の両側に隣接して更に保形シート部5のフロント部5aを切欠した補助凹形部9、9が形成され、凹形部7と補助凹形部9との間に位置して保形シート部5から延設された舌片10、10により保護手段8、8を構成している。尚、図2において、ネットシート本体3の周縁部は、保形シート部5に隠れて見えないが、保形シート部5の外側にはネットシート本体3が重ね合わせられていることを理解されたい。
そこで、前記凹形部7を被うように非伸縮ネットからなる生えぎわシート11が配置され、該生えぎわシート11を凹形部7の前縁部7aと側縁部7b、7bにオーバラップした状態で固着し、該生えぎわシート11の外側表面に起立するように前髪1aを植毛している。
生えぎわシート11は、非方形の網目を有する非伸縮ネットから構成され、前述したベース2の球面に沿うように生えぎわ部4の表面に湾曲状態でフィットせしめられる。好ましくは、生えぎわシート11のネット素材は、シート平面上で1つの網目の中心で直交する横軸と縦軸の上で網目を連設状態で列設していない、即ち、横軸と縦軸の両軸のうち少なくとも一方の軸上には網目が連なって列設させないように網目群が構成されている。例えば、横軸に沿って網目を連ねて整列している場合は縦軸に沿って網目が連ならず列設されていないか、反対に、縦軸に沿って網目を連ねて整列している場合は横軸に沿って網目が連ならず列設されていないような網目構成とされており、或いは、横軸にも縦軸にも沿って網目を連ねて列設しない網目構成のものであり、図7(B)(C)に示したような網目の変形による伸縮性を有するネットとは異なり、このような網目構成により伸縮性を欠如したものである。代表的には、図3に示すように六角形の網目構成とされており、従って、1つの六角形の網目の中心で交差する横軸と縦軸に対して、網目は横軸には連ねて列設されるが、縦軸には連ならず整列されていない。従って、網目は六角形に限らず、非方形であれば良い。
そして、生えぎわシート11は、比較的に粗く大きな網目を形成する反面、線条を細く構成しており、伸縮性を有しないことと相まって、張力を受けると容易に破断する脆弱なものとされている。尚、生えぎわシート11は、着用者の頭皮にあわせた肌色のものとされている。
前記補助凹形部9は、透明の補助フィルム12により被われ、該補助フィルム12の外側表面に起立するように補助前髪(図示省略)を植毛している。この補助フィルム12は、補助凹形部9の全体にわたりシリコン樹脂等の合成樹脂液を塗布した後、硬化させることにより、適度の弾性を有するフィルム状又はシート状に形成されるが、予めシートを裁断したものを接着することにより形成しても良い。
図4は、前記構成としたベース2の製造方法の1例を示しており、図4(A)に示すように、周縁に沿って保形シート部5を形成したネットシート本体3は、凹形部7と補助凹形部9を切欠形成され、この際、舌片10は、ベース2のほぼ楕円形となる周縁の仮想線Lからはみ出して長く突出するように形成されている。通常、補助フィルム12は、保形シート部5の全面に重ねて合成樹脂液を塗布し、同時に、補助凹形部9を被覆するように塗布することにより形成されるが、補助凹形部9部分においては、前記仮想線Lから張り出すように形成される。
この状態から、生えぎわシート11を凹形部7を被うように重ね合わせ、該生えぎわシート11を凹形部7の前縁部7aと側縁部7bにオーバラップさせて固着する。この際、生えぎわシート11は、前記仮想線Lから張り出すように大きめに形成されており、舌片10に重ね合わせられる。生えぎわシート11の固着方法は、前縁部7aと側縁部7bに対して保形シート部5と同材の合成樹脂液を塗布することにより、生えぎわシート11の縁部を前縁部7aと側縁部7bに接着するのが好ましいが、補助凹形部9の補助フィルム12を形成するための合成樹脂液を前縁部7aと側縁部7bに塗布することにより、生えぎわシート11の縁部を前縁部7aと側縁部7bに接着しても良く、その他、種々の方法を採用することができる。
生えぎわシート11の接着と、補助フィルム12の形成を終えた後、図4(B)に示すように、仮想線Lからはみ出した生えぎわシート11、舌片10、10、補助フィルム12、12の余剰部分13を切断分離し廃棄する。尚、余剰部分12の切断は、必ずしも仮想線Lに沿って行う必要はなく、着用者(ユーザ)の頭部の形状や、禿げ具合に応じて、調整しながら切断すれば良い。
このようにして形成された生えぎわシート11と補助フィルム12、12を備えたベース2は、頭髪1を植毛することによりカツラとして完成する。前述のように、生えぎわシート11には植毛密度を疎として前髪1aが植設され、補助フィルム12、12にも植毛密度を疎として補助前髪が植設され、ネットシート本体3には植毛密度を密として髪1bが植設される。前髪1a及び補助前髪は、前下りにならないように後向きに癖付けされることによりバックスタイルのヘアースタイルを表す。同様に、髪1bを含む頭髪1の全体を後向きに癖付けすればオールバックのヘアースタイルを表すことができる。
カツラを着用者の頭部に装着するに際しては、ベース2を頭部に被冠せしめると共に、保形シート部5を利用して頭部に固定する。例えば、両面接着テープにより保形シート部5の任意の個所を頭部の頭皮に接着したり、クリップその他の治具により保形シート部5の任意の個所を頭部に残存する地毛に固着すれば良い。
カツラ着用状態において、生えぎわシート11は、凹形部7の前縁部7aと側縁部7b、7bにオーバラップした状態で固着された非伸縮ネットにより構成されているので、着用者の生えぎわ部4に好適に密着する。この際、前髪1bは、密度を疎として植毛されているので、外部から前髪1bの間を透視して生えぎわシート11を視認することが可能であるが、密着状態で頭部の頭皮と一体化した外観を呈しているので、識別不能であり、あたかも生えぎわシート11が存在しておらず、生えぎわシート11から起立する前髪1bの毛根近傍部が本当の地毛の生えぎわを表しているような錯視効果がある。
特に、生えぎわシート11は、ネットシート本体3と別体のネットにより構成されているので、着用者の頭皮に適合するだけでなく、網目を大きく且つ線条を細く形成することができるので、錯視効果に優れたものとなり、また、非伸縮性のため、反転して頭皮から捲れ上がることはなく、しかも、通気性に優れるので、汗をかいても浮き上がるようなこともない。
この際、生えぎわシート11のネット素材について、ネット平面上で1つの網目の中心で直交する横軸と縦軸の上で網目を連設状態で列設しない、即ち、横軸と縦軸の両軸のうち少なくとも一方の軸上には網目が連なって列設させないように網目群を構成したものとすれば、非伸縮性に優れると共に、網目の存在を視認し難く、錯視効果に優れたものとなる。
ところで、着用時に、カツラは、ネットシート本体3が伸縮等を介して着用者の頭部にフィットされ、保形シート部5が頭部に固着される。殊に、ネットシート本体3の両側部3b、3bは、着用者の残存する地毛に混然一体化せしめるため下方に強く引っ張られた状態で固定される。従って、ベース2の全体が張力を受け、下向き皿状に形成されたベース2の周縁の周方向に関して、図3に矢印Pで示すような張力が作用する。この点について、生えぎわシート11は、凹形部7の両側部に保護手段8、8を介して取付けられているので、両側部3b、3bから作用する張力P、Pが生えぎわシート11に伝達されることはない。即ち、生えぎわシート11は、ベース2に生じる張力P、Pの作用を受けないので、前述のような網目を大きく且つ線条を細く形成した破断し易い脆弱なネット素材で形成されながらも、破断することなく常に良好な状態で着用者の頭皮に密着し、錯視効果を発揮できる。
本発明が上記実施形態に限定されないことは勿論であり、種々の別の実施形態を構成することが可能である。例えば、図5(A)に示す第2実施形態は、上記実施形態と同様の構成に基づいて、凹形部7が左右に分割された分割凹形部7A、7Aを構成し、一対の分割凹形部7A、7Aの間に付加舌片10aを設けている。また、図5(B)に示す第3実施形態は、凹形部7と生えぎわシート11に関して上記実施形態と同様の構成を有するが、上記実施形態で説明したようは補助凹形部9、9に相当するものを形成していない。このような第2実施形態及び第3実施形態においても、上述したような本発明の主たる目的及び効果を達することができる。
本発明の1実施形態を示す斜視図である。 本発明の1実施形態を内側から示す底面図である。 本発明の要部を拡大して示す底面図である。 本発明の1実施形態に関する製造方法の1例を示しており、(A)は生えぎわシートを取付ける前のベースを示す底面図、(B)は生えぎわシートを取付けた後、余剰部分を切断分離した状態を示す底面図である。 本発明の他の実施形態を示しており、(A)は第2実施形態を示す底面図、(B)は第3実施形態を示す底面図である。 本発明に対する第1比較例を示す説明図である。 本発明に対する第2比較例を示す説明図である。 本発明に対する第3比較例を示す説明図である。
符号の説明
1 頭髪
1a 前髪
2 ベース
3 ネットシート本体
3a 前部
3b 両側部
3c 後部
4 生えぎわ部
5 保形シート部
5a フロント部
7 凹形部
7a 前縁部
7b 側縁部
8 保護手段
9 補助凹形部
10 舌片
11 生えぎわシート
12 補助フィルム

Claims (3)

  1. 着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体から成るベースに疑似毛からなる頭髪を植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部に植毛された疑似毛からなる前髪を後向きに癖付けしたバックスタイルのカツラにおいて、
    前記ベース(2)は、ネットシート本体(3)の少なくとも周縁に沿って固着された非伸縮性の保形シート部(5)を備えると共に、ネットシート本体(3)を含む保形シート部(5)の周縁を生えぎわ部に位置して切欠した凹形部(7)を形成し、該凹形部(7)の縁により、生えぎわ部に臨む前縁部(7a)と、該前縁部の両側に位置する側縁部(7b)(7b)とを構成しており、
    前記凹形部(7)を被う非伸縮ネットから成る生えぎわシート(11)を配置し、該生えぎわシート(11)を凹形部(7)の前縁部(7a)と側縁部(7b)(7b)にオーバラップした状態で固着し、該生えぎわシート(11)の表面に起立するように前髪(1a)を植毛して成ることを特徴とするカツラ。
  2. 着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体から成るベースに疑似毛からなる頭髪を植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部に植毛された疑似毛からなる前髪を後向きに癖付けしたバックスタイルのカツラにおいて、
    前記ベース(2)は、ネットシート本体(3)の少なくとも周縁に沿って固着された非伸縮性の保形シート部(5)を備えると共に、ネットシート本体(3)を含む保形シート部(5)の周縁を生えぎわ部に位置して切欠した凹形部(7)を形成し、該凹形部(7)の縁により、生えぎわ部に臨む前縁部(7a)と、該前縁部の両側に位置する側縁部(7b)(7b)とを構成し、
    更に、凹形部(7)の両側に位置して、ネットシート本体(3)を含む保形シート部(5)の周縁を切欠した補助凹形部(9)(9)を形成することにより、凹形部(7)の側縁部(7b)(7b)と補助凹形部(9)(9)の間に舌片(10)(10)を形成しており、
    前記凹形部(7)を被う非伸縮ネットから成る生えぎわシート(11)を配置し、該生えぎわシート(11)を凹形部(7)の前縁部(7a)と側縁部(7b)(7b)にオーバラップした状態で固着し、該生えぎわシート(11)の表面に起立するように前髪(1a)を植毛して成ることを特徴とするカツラ。
  3. 生えぎわシート(11)を構成する非伸縮ネット素材は、非方形の網目を有すると共に、該ネット平面上で1つの網目の中心で直交する横軸と縦軸の両軸のうち少なくとも一方の軸上で網目が連なり列設されないように網目群を構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のカツラ。
JP2005206976A 2005-07-15 2005-07-15 カツラ Active JP4131552B2 (ja)

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