JPH09273016A

JPH09273016A - 多重かつら

Info

Publication number: JPH09273016A
Application number: JP7806096A
Authority: JP
Inventors: Makoto Sugiura; 誠杉浦
Original assignee: ART NEICHIYAA KK
Current assignee: ART NEICHIYAA KK
Priority date: 1996-04-01
Filing date: 1996-04-01
Publication date: 1997-10-21

Abstract

(57)【要約】【課題】毛髪の増減状態を自在に変化させることのでき
るかつらを提供する。【解決手段】多重かつら１８はある程度の植毛を施して
あるネット基布２０に適宜の植毛の施された増毛部品１
４を重着してなる。この形成は、ネット基布２０の裏面
に増毛部品１４の表を当接させ、全体を返し、適宜のブ
ラシ等でネット基布２０の表面から網目を通して増毛部
品１４の人工毛１２を充分に引き出す。これによって、
ネット基布２０の人工毛１２と増毛部品１４の人工毛１
２とが混在する多重かつら１８が出来上がる。増毛部品
１４の着脱及び交換は容易である。この多重かつら１８
を、ネット基布２０の周辺部に固着する不図示の止め具
を用いて頭部に装着しネット基布２０の網目を通して自
毛を引き出して整髪する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、毛髪量の増減状態
を自在に変化させることのできるかつらの構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、人の頭部に装着するかつらが
ある。かつらは着用する人の頭に残っている毛髪の状態
に応じて、かつらの基布に各種の方法で植毛して作成す
る。

【０００３】図８(a),(b) は、代表的なかつらの作成方
法を示しており、同図(a) は、ネット地１に人工毛２を
結びつけて植毛する形のものを示している。この植毛す
る人工毛の毛髪量を加減して、着用者にとって適切な毛
髪量のかつらを作成する。また、同図(b) は、布地３ａ
とシリコン樹脂層３ｂを貼着剤３ｃで張り合わせ、裏面
に固着用のゴム系の糊剤３ｄを塗布して作った基布３
に、人工毛２をいわゆるＶ植毛した形のものを示してい
る。この場合も植毛する人工毛の毛髪量を加減して、着
用者にとって適切な毛髪量のかつらを作成する。

【０００４】図９(a) は、このようにして植毛の完成し
たかつらを裏面から見た図である。このかつら４の裏地
（ネット地１又は基布３）の周辺に例えば同図(b) に示
すような櫛型反転クリップ５を適宜な個数（図では４
個）だけ取り付ける。そして、同図(c) に示すように、
かつら４の上下を返して、装着する人の頭部６に乗せ、
毛髪の有る部分と無い部分の境目の自毛（本人の頭部に
成育している自然の頭髪）７に、上記の櫛型反転クリッ
プ５でかつら４を止める。

【０００５】上述した図８(a) に示す製法によるかつら
は、どちらかといえば、増毛装具である。これは、多数
の人工毛２を植毛したネット地１を自毛の薄くなった頭
部に取り付け、薄い自毛と混合して毛髪を増毛する場合
に用いられることが多い。また、図８(b) に示す製法に
よるかつらは、地３ｂが主としてシリコン樹脂からな
り、色・艶ともに極めて自然の皮膚に似た風合にでき上
がるので、自然の髪型の場合でも地肌が出る部分となる
頭部中央のつむじや分け目部分に用いられることが多
い。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、かつらは、
紫色などの明らかに不自然な色の人工毛からなる頭飾品
としてのかつらや、舞台やテレビに出演するに際して着
用する変装用のかつらなどは、自毛との馴染み具合をと
やかく問題にされることは殆どないが、一般に、不足し
ている頭髪を復元するために用いる増毛装具としてのか
つらは、着用する人の頭に残っている毛髪の状態に応じ
て作成する。

【０００７】人の頭髪は、毛の量の薄い人や濃い人、前
頭部の薄い人や、中央部の薄い人など頭髪の状態は千差
万別である。したがって、展示見本用のかつらなどは別
として、実用に供されるかつらは、これを予め作成して
在庫して置くということができない。すなわち、かつら
は、特注品として作成する。このために、注文してから
出来上がるまでの制作時間が長期にわたり、顧客にとっ
て不満が多いという問題があった。

【０００８】また、かつらを新規に着用する際、今まで
頭部の広い範囲にわたって無毛又は薄毛であった人が、
一日で全頭部が有毛化してしまったのでは、当人のイメ
ージが急変し過ぎて周囲の人が馴染まず、また本人の気
分も落ち着かないということがある。逆に、いままでか
つらを着用してきた年配の人が、年相応に無毛又は薄毛
でもよいと思っても、一日で全頭部が無毛又は薄毛化し
てしまったのでは、この場合も当人のイメージが急変し
過ぎて周囲の人が馴染まず本人も落ち着かないというこ
とが想定される。そして、従来このような問題を解決す
るためには極めて多大な手数を掛けなければならなかっ
た。

【０００９】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
毛髪の増減状態を自在に変化させることのできるかつら
を提供することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】以下に、本発明に係わる
多重かつらの構成を述べる。本発明の多重かつらは、１
個のネット基布と１個又は複数の増毛部品との集合から
なり、上記１個のネット基布に、上記１個又は複数の増
毛部品が、重着及び分離自在に構成されている。

【００１１】上記増毛部品は、例えば請求項２記載のよ
うに、適宜の基布に植毛されてなりその基布は上記ネッ
ト基布と同等の大きさ又は上記ネット基布よりも小さな
形状に形成されるように構成される。

【００１２】また、上記ネット基布は、例えば請求項３
記載のように、基布のネット地に植毛されてなり単独で
着用可能な形状であり、上記増毛部品がネット基布の裏
面に重着し、その増毛部品の植毛がネット基布の表面に
引き出されてネット基布の植毛と混在して形成されるよ
うに構成される。また、例えば請求項４記載のように、
ネット地のみからなり単独で着用可能な形状であり、上
記増毛部品がネット基布の裏面に重着し、増毛部品の植
毛がネット基布の表面に引き出されて形成されるように
構成される。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図１(a) は、一実施の形態に
おける多重かつらのネット基布の平面図であり、同図
(b) は、その側面図である。尚、同図(a),(b) に示すネ
ット基布１０のネット地１１の網目は、格子状の網目で
あるが、網目はこれに限ることなく、例えば蜂巣状の編
み目によるネット地でもよい。網目の大きさは、ある程
度大きいほうがよく、例えば７ｍｍ（ミリメートル）四
方程度の大きさであると、後述する増毛部品の重着が容
易である。

【００１４】このネット基布１０の周辺部に、特には図
示しないが、縁等を縫い付け、その縫い付けた縁に複数
の止め具を取り付ける。それらの止め具によって、ネッ
ト基布１０を単独でも頭部に装着することができる。そ
して、自毛を網目から引き出して整髪すれば、ネット地
１１は、外部からは見えなくなる。尚、このネット基布
１０は、同図(a),(b) に示すように、ネット地１１に上
述した止め具を取り付けたものだけで構成してもよく、
また、予めある程度の植毛を施したものを用いてもよ
い。

【００１５】図２に、そのように、ある程度の植毛の予
め施してあるネット基布を示す。同図に示すネット基布
２０は、図１に示したネット地１１に、適宜の量の人工
毛（人造または自然の毛髪を加工したもの）１２を植毛
したものであり、ほぼ四方に平均して植毛がなされてい
る。先ず基礎的に頭部全体を平均して増毛する必要があ
る人には、このようなネット基布２０を用いる。

【００１６】図３は、予め施される植毛が平均していな
いネット基布の例を示している。同図に示すネット基布
３０は、図１に示したネット地１１に、一方向（図では
下方向）に集中して人工毛１２の植毛を施したものであ
る。怪我や病気などで頭側部に部分的に無毛な箇所が集
中しているような頭の人には、このようなネット基布３
０を用いる。

【００１７】図４(a) は、上述したネット基布１０、２
０又は３０に、着脱自在に重着される増毛部品の例を示
しており、同図(a) は平面図、同図(b) はその裏面図で
ある。この増毛部品１４は、例えば、図８(b) に示した
基布３とほぼ同様な基布１５に、人工毛１２を植毛した
ものである。この増毛部品１４の基布１５は、前述した
ネット地１１よりも小さく形成されている。また、植毛
する毛の量は、少量のものから多量のものまで各種のも
のを予め作成しておくようにする。この増毛部品１４
は、詳しくは後述するが、ネット基布１０、２０又は３
０の頭頂部に対応する部分に重着される。

【００１８】図５は、これも上述したネット基布１０、
２０又は３０に、着脱自在に重着される増毛部品の他の
例を示している。同図に示す増毛部品１６は、ネット状
の基布１７に、人工毛１２を植毛したものである。この
増毛部品１６の基布１７も、前述したネット地１１より
も小さく形成されている。また、この場合も植毛する毛
の量は、少量のものから多量のものまで各種のものを予
め作成しておくようにする。この増毛部品１４は、頭頂
部を除く他の部分に重着される。

【００１９】次に、上述のように構成されるネット基布
１０、２０、又は３０に増毛部品１４、又は１６を重着
する態様、及びこれにより形成される多重かつらについ
て説明する。

【００２０】図６は、多重かつらの例を示す図である。
同図に示す多重かつら１８は、出来上がったものを裏面
から見た図である。この多重かつら１８は、図２のネッ
ト基布２０に図４の増毛部品１４を重着したものであ
る。この多重かつら１８を形成するには、先ず、ネット
基布２０の裏面に増毛部品１４の表を当接させる。次に
表を返し、適宜のブラシ又は鉤針等で、ネット基布２０
の表面からネット基布２０の網目を通して増毛部品１４
の人工毛１２を充分に引き出す。これによって、ネット
基布２０の人工毛１２と増毛部品１４の人工毛１２とが
混在する多重かつら１８が出来上がる。この多重かつら
１８を、上述したように、止め具を用いて頭部に装着
し、ネット基布２０の網目を通して自毛を引き出して整
髪する。これにより、自毛とネット基布２０の人工毛
１２と増毛部品１４の人工毛１２とが混在した全体とし
て豊富な頭髪を形成することができる。尚、上記のネッ
ト地１１は、毛髪内に埋没すると外部からは全くといっ
てよいほど識別することができないようになる。そし
て、図４(a) の中央部に透けて見える増毛部品１４の基
布１５の表面は、人の頭部の地肌に酷似した風合を有し
ているから、本来のつむじ部分の地肌と見分けがつかな
いようになっている。

【００２１】この場合、自毛の濃い又は薄いことに対応
して、植毛量の少ない又は多い増毛部品１４を在庫品の
中から適宜に選択して、その選択した増毛部品１４をネ
ット基布２０に重着すれば、顧客の頭髪の状態に適応し
たかつら（多重かつら）が極めて短時間に出来上がる。

【００２２】尚、上記の増毛部品１４を、図１のネット
基布１０に重着した場合は、ネット基布１０は、増毛部
品１４を頭部に装着するための装着部材の機能及び後述
する複数の増毛部品を重着・連合させる機能のみを有す
ることになる。また、図３のネット基布３０に、増毛部
品１４を重着した場合は、頭頂部の増毛及び側頭部又は
後頭部の一部分の増毛を行う多重かつらとなる。

【００２３】図７は、多重かつらの他の例を示す図であ
る。同図に示す多重かつら１９も、出来上がったものを
裏面から見た図である。この多重かつら１９は、図２の
ネット基布２０に、図４の増毛部品１４を１個と、図５
の増毛部品１６を２個重着したものである。尚、同図に
示す増毛部品１６は、このように重着したとき、基布１
７の周辺部の隙間はネット基布２０及び他の増毛部品１
４などの人工毛１２によって黒くなり、図のように白く
透けて見えるわけではないが、多重構造を判りやすく示
すために、図５に示した単独の場合と同様に周辺を白く
透かして図示している。

【００２４】この多重かつら１９を形成するには、先
ず、ネット基布２０の裏面に、２個の増毛部品１６（勿
論１個でもよく、あるいは３個以上であってもよい）を
順次重着する。この重着の方法は、上述した図６の多重
かつら１８の場合と同様である。次に、同様に増毛部品
１４を、頭頂部にあたる箇所に重着する。最後に重着し
た増毛部品１４の人工毛１２は、増毛部品１６の一部の
網目及びネット基布２０の網目を通して表面（図の向こ
う側）に引き出される。

【００２５】これによって、頭頂部が適宜に増毛され、
頭側部又は後頭部が適宜に増毛された多重かつら１９が
出来上がる。この多重かつら１９も、上述した止め具に
より頭部に装着される。

【００２６】このように、ネット基布１０、２０又は３
０に、適宜の植毛量の増毛部品１４又は１６を１個又は
複数個選択して、これらを重着することにより、どのよ
うな形状、あるいは毛量のかつらでも、多重かつらとし
て短時間で容易に形成することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
予め多量に作成してある多種類のネット基布と増毛部品
とを適宜に選択してこれらを組合わせて重着することに
より毛量の増減とその方向性を決めるので、所望のかつ
らを短時間で安価に作成することができ、したがって、
顧客の要望に早期に対応でき受注から納入までの期間が
長いという顧客の不満を解消することができる。また、
同様に予め多量に作成してある多種類のネット基布と増
毛部品とを用いるので、作業の能率が向上し、したがっ
て、頭髪の状態によく適合した上質のかつらを安価に提
供することができるようになる。また、人工毛の交換が
容易であるので、長期の着用などで人工毛が痛んだかつ
らでも増毛部品のみの交換でよく、したがって、痛んだ
かつらの再生が簡単で早くできるので顧客に喜ばれるよ
うになる。また、毛の色や毛の長さの変更が容易である
ので、需要が多様化してファッション分野にも貢献でき
るようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】(a) は一実施の形態における多重かつらのネッ
ト基布の平面図であり、(b) はその側面図である。

【図２】一実施の形態における多重かつらの予めある程
度の植毛が平均して施されているネット基布を示す図で
ある。

【図３】多重かつらの予め施される植毛が平均していな
いネット基布の例を示す図である。

【図４】多重かつらのネット基布に着脱自在に重着され
る増毛部品の例を示す図であり、(a) は平面図、(b) は
その裏面図である。

【図５】多重かつらのネット基布に着脱自在に重着され
る増毛部品の他の例を示す図である。

【図６】出来上がった多重かつらの例を示す図である。

【図７】出来上がった多重かつらの他の例を示す図であ
る。

【図８】従来の代表的なかつらの作成方法を示す図であ
り、(a) はネット地に人工毛を植毛するものを示す図、
(b) は布地とシリコン樹脂層を張り合わせた基布に人工
毛を植毛したものを示す図である。

【図９】(a),(b),(c),(d) は従来のかつらの装着のしか
たを説明する図である。

【符号の説明】

１ネット地２人工毛３基布３ａ布地３ｂシリコン樹脂層３ｃ貼着剤３ｄ糊剤４かつら５櫛型反転クリップ６頭部７自毛１０、２０、３０ネット基布１１ネット地１２人工毛１４、１６増毛部品１５、１７基布１８、１９多重かつら

【手続補正書】

【提出日】平成８年６月１８日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図９

【補正方法】変更

【補正内容】

【図９】(a),(b),(c) は従来のかつらの装着のしかたを
説明する図である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】１個のネット基布と１個又は複数の増毛
部品との集合からなり、前記１個のネット基布に、前記
１個又は複数の増毛部品が、重着及び分離自在に構成さ
れたことを特徴とする多重かつら。
【請求項２】前記増毛部品は適宜の基布に植毛されて
なり、該基布は前記ネット基布と同等の大きさ又は前記
ネット基布よりも小さな形状に形成されることを特徴と
する請求項１記載の多重かつら。
【請求項３】前記ネット基布はネット地の網目に人工
毛を植毛されてなり単独で着用可能な形状であり、前記
増毛部品は前記ネット基布の裏面に重着し、前記増毛部
品の植毛は前記ネット基布の表面に引き出されて該ネッ
ト基布の植毛と混在してなることを特徴とする請求項１
又は２記載の多重かつら。
【請求項４】前記ネット基布はネット地のみからなり
単独で着用可能な形状であり、前記増毛部品は前記ネッ
ト基布の裏面に重着し、前記増毛部品の植毛は前記ネッ
ト基布の表面に引き出されてなることを特徴とする請求
項１又は２記載の多重かつら。