JP2007023100A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐水性の改善された脂肪族ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】従来より耐水性改良剤として知られているカルボキシ封止剤の代わりに、あるいはこれに加えて、OH基封止剤を配合し、この時、該OH基封止剤としてジケテン化合物、カルボキシ封止剤としてカルボジイミド化合物が好ましく選択され、脂肪族ポリエステル樹脂としてポリグリコール酸樹脂が好ましく選択され、更に熱安定剤として(亜)リン酸エステル化合物が配合される。
【選択図】なし
【解決手段】従来より耐水性改良剤として知られているカルボキシ封止剤の代わりに、あるいはこれに加えて、OH基封止剤を配合し、この時、該OH基封止剤としてジケテン化合物、カルボキシ封止剤としてカルボジイミド化合物が好ましく選択され、脂肪族ポリエステル樹脂としてポリグリコール酸樹脂が好ましく選択され、更に熱安定剤として(亜)リン酸エステル化合物が配合される。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステルを主成分とする樹脂組成物、特にその耐加水分解性(耐水性)を改善した組成物に関する。
ポリグリコール酸やポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルは、土壌や海中などの自然界に存在する微生物または酵素により分解されるため、環境に対する負荷が小さい生分解性高分子材料として注目されている。また、脂肪族ポリエステルは、生体内分解吸収性を有しているため、手術用縫合糸や人工皮膚などの医療用高分子材料としても利用されている。
脂肪族ポリエステルの中でも、ポリグリコール酸は、酸素ガスバリア性、炭酸ガスバリア性、水蒸気バリア性などのガスバリア性に優れ、耐熱性や機械的強度にも優れているので、包装材料などの分野において、単独で、あるいは他の樹脂材料などと複合化して用途展開が図られている。
しかしながら、ポリグリコール酸を含む脂肪族ポリエステルは一般に加水分解性であり、その加水分解に伴い、バリア性や強度が低下するという問題がある。
従来より、ポリグリコール酸樹脂を含む脂肪族ポリエステル樹脂に対し、加水分解に際して酸触媒として作用するカルボキシ末端の機能を抑制するためにカルボジイミド化合物をはじめとするカルボキシ基封止剤を配合して、耐水性を改善する試みが幾つかなされている(例えば、特許文献1〜2)。
特開平9−208649号公報
特開平11−80522号公報
特開2000−319630号公報
本発明の主要な目的は、従来のカルボキシ基封止剤の配合とは別の方法により、耐水性の改善された脂肪族ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らの研究によれば、非酸形成性のOH基封止剤を配合することが、脂肪族ポリエステル樹脂の耐水性の改善に有効であることが見出された。
すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂は、脂肪族ポリエステル樹脂に、非酸形成性のOH基封止剤を配合してなることを特徴とするものである。
本発明者らは、本発明に先立って、OH基封止剤の代表例である無水酢酸の配合を試みたことがあるが、この際には耐水性の改善は得られず、却って悪化した。これは、OH末端との反応により生成する酸基が却って悪影響を及ぼしたためであると推定される。これに対し、本発明によれば、非酸形成性のOH基封止剤の配合であれば、脂肪族ポリエステル樹脂の耐水性の改善に効果があり、特にカルボキシ基封止剤との併用により、一層、耐水性の改善された脂肪族ポリエステル樹脂組成物が得られることが見出されたのである。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を構成する脂肪族ポリエステル樹脂は、グリコール酸およびグリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリド(GL)を含むグリコール酸類、シュウ酸エチレン(即ち、1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ラクチド類、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、カーボネート類(例えばトリメチレンカーボネート等)、エーテル類(例えば1,3−ジオキサン等)、エーテルエステル類(例えばジオキサノン等)、アミド類(εカプロラクタム等)などの環状モノマー;乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類と、こはく酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類またはそのアルキルエステル類との実質的に等モルの混合物;等の脂肪族エステルモノマー類の単独または共重合体が含まれる。なかでも、耐熱性の観点でヒドロキシカルボン酸の単独または共重合体が好ましく、特に耐熱性、ガスバリア性、機械的強度に優れたグリコール酸の単独または共重合体を含むポリグリコール酸樹脂が好ましく用いられる。
より詳しくは、本発明で使用するポリグリコール酸樹脂は、式:−(−O−CH2−C(O)−)−で表わされる繰り返し単位(グリコール酸単位)を含有する単独重合体または共重合体である。ポリグリコール酸樹脂中の上記式で表わされる繰り返し単位の含有割合は、60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、その上限は、100重量%である。上記式で表わされる繰り返し単位の含有割合が少なすぎると、ガスバリア性や耐熱性が低下する。
ポリグリコール酸樹脂には、上記式で表わされるグリコール酸単位に加えて、グリコール酸と共重合可能なコモノマーの重合単位を含有させてグリコール酸共重合体とすることができる。
コモノマーとしては、上記した脂肪族ポリエステル樹脂を構成するモノマーのうちグリコール酸以外のもの、特にα−ヒドロキシカルボン酸、なかでも乳酸(あるいはそのラクチド)が好ましく用いられる。
本発明で使用するグリコール酸(共)重合体は、温度240℃及び剪断速度100sec−1の条件下で測定した溶融粘度が、100〜10,000Pa・s、より好ましくは300〜8,000Pa・s、特に好ましくは400〜5,000Pa・sの範囲内にあることが好ましい。
本発明に従い、上記脂肪族ポリエステル樹脂に、非酸形成性のOH基封止剤を配合する。
非酸形成性のOH基封止剤における「非酸形成性」とは、脂肪族ポリエステル中に残存するOH基と結合してこれを封止した際にカルボキシ基を生成しないという意味である。非酸形成性のOH基封止剤としては、ジケテン化合物、イソシアネート類などが用いられ、なかでも反応性の観点より、ジケテン化合物が好ましく、特に下記一般式(1)
で表されるものが好ましく用いられる。ここで、R1とR2は、同じでも異なってもよい水素またはアルキル基であり、好ましくは、共に、水素であるか、炭素数が30以下、より好ましくは20以下、のアルキル基であるものである。
これらジケテン化合物は、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部、更には0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。使用量が少なすぎると、添加による耐水性改善効果が乏しく、多すぎるとその滑剤効果で組成物の成形性が悪くなる傾向があり、またガスの発生により作業環境が損なわれるおそれが生ずる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物には、上記したジケテン化合物を含む非酸形成性のOH基封止剤に加えて、カルボキシ基封止剤を配合することが好ましい。
カルボキシ基封止剤としては、カルボキシ末端封止作用を有し、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルの耐水性向上剤として知られているものを一般に用いることができ、例えば、N,N−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどのモノカルボジイミドおよびポリカルボジイミド化合物を含むカルボジイミド化合物、2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2−フェニル−2−オキサゾリン、スチレン・イソプロペニル−2−オキサゾリンなどのオキサゾリン化合物;2−メトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジンなどのオキサジン化合物;N−グリシジルフタルイミド、シクロへキセンオキシドなどのエポキシ化合物などが挙げられる。
なかでもカルボジイミド化合物が好ましく、芳香族、脂環族および脂肪族のいずれも用いられるが、とりわけ芳香剤カルボジイミド化合物が好ましく、特に純度の高いものが耐水安定化効果を与える。
これらカルボキシル基封止剤は、必要に応じて2種以上を併用することが可能であり、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、更には0.05〜2.5重量部、特に0.1〜1.8重量部の割合で配合することが好ましい。配合量を、さらに増加しても、それに応じた更なる改善効果の向上が乏しいばかりか、組成物の着色が増す傾向にある。配合量が少なすぎると、耐水性の改善効果が乏しくなる。
本発明の脂肪族ポリエステル重量部組成物には耐水性の改善のために加えられる上記したカルボキシ基封止剤および非酸形成性のOH基封止剤に加えて、更に脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは3重量部以下、より好ましくは0.003〜1重量部の熱安定剤を配合することもできる。熱安定剤としては、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル及び/又はリン酸もしくは亜リン酸アルキルエステルが好ましく用いられる。これらカルボキシル基封止剤および熱安定剤の配合により、得られる脂肪族ポリエステルの着色を抑え、加水分解を抑制する上で、相乗的効果が得られる。
カルボキシ基封止剤、OH基封止剤(および必要に応じて加えられる熱安定剤)を、脂肪族ポリエステル樹脂に配合するに当っては、これらを押出機を用いて溶融・混練することが好ましい。これにより、均一に耐水性の改善された脂肪族ポリエステル樹脂の組成物が得られる。特に二軸押出機を用いて温度200〜300℃で溶融・混練することが好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物には、主として耐水性および耐熱性の改善のために添加される上記配合成分に加えて、その他の特性の改善のために、例えば脂肪族ポリエステル樹脂の100重量部当り0.001〜5重量部の触媒失活剤、可塑剤、熱線吸収剤、紫外線吸収剤、顔料等の、その他の添加剤を必要に応じて添加するができる。これら添加剤も、上記カルボキシ基封止剤およびOH基封止剤とともに、押出機を用いて、脂肪族ポリエステル樹脂と溶融混練することが好ましい。
このようにして得られた本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、単独で、または他の熱可塑性樹脂との混合物(脂肪族ポリエステル樹脂が90重量%以上含まれることが好ましい)あるいは積層物等の複合化物として、フィルム若しくはシート、フィラメント、ブロー成形容器、または蓋、袋状容器、筒状包材などの形態に成形される。フィルム若しくはシートは、通常、更に加工されて、カップ、トレイ、袋状容器などに成形される。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩素含有樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、脂肪族ポリエステル系樹脂などが挙げられ、成形物の所望の特性を阻害しない範囲で混合される。
積層体においては、層間剥離強度を高めるなどの目的で、各層間に接着性樹脂層を介在させることができる。接着性樹脂(単に、「接着剤」ともいう)としては、押出加工などの溶融加工が可能で、かつ、各樹脂層に良好な接着性を示すものであることが好ましい。
接着性樹脂としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三菱樹脂社製モディックS525)、カルボキシル変性ポリオレフィンを主成分とする該カルボキシル変性ポリオレフィンとエポキシ化ポリオレフィンとの組成物、例としてグリシジル基含有エチレンコポリマー(日本石油化学社製レクスパールRA3150、住友化学社製ボンドファースト2C、E、B)、熱可塑性ポリウレタン(クラレ社製クラミロン1195L)、ポリアミド・アイオノマー(三井デュポン社製AM7926)、ポリアクリルイミド樹脂(ローム・アンド・ハース社製XHTA)、三井化学社製アドマーNF550〔酸変性線状低密度ポリエチレン、MFR=6.2g/10分(温度190℃、荷重2160g荷重)〕、三菱化学社製モディックS525などを挙げることができる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、シートあるいはフィルムの成形加工において、1軸または同時もしくは逐次の2軸に延伸して配向度を高めることにより、ガスバリア性、機械特性等の特性を向上することができる。延伸にあたっては、条件の適切な設定が重要である。延伸温度は、100℃以下、特に80℃未満が好ましく、45〜65℃が更に好ましい。逐次2軸延伸の場合、両方向の延伸温度を異ならせてもよく、その場合、横方向の延伸温度を高くすることが好ましい。延伸倍率としては、1軸(縦)または2軸(縦・横)の各方向において、それぞれ1.1〜5.0倍が好ましく、2〜4倍がより好ましい。
上記の延伸処理後、延伸成形物を100〜200℃で10秒〜20分間保持し、熱処理を行うことが、成形物の寸法安定性、耐熱性、ガスバリア性の更なる向上等の観点で好ましい。
上記のようにして得られた延伸又は未延伸の脂肪族ポリエステル樹脂の単層または他の熱可塑性樹脂との積層状態の成形物は、更に他の熱可塑性樹脂層と必要に応じて接着剤を用いることにより、共押出加工、あるいはラミネート加工することもできる。
本発明で得られる耐水性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いてPETなどの芳香族ポリエステルと積層して得た有底の多層プリフォームを金型内で延伸ブロー成形すると、耐水性に優れ、且つ、ガスバリア性、機械特性などの特性の優れたボトルを成形することができる。有底の多層プリフォームは、通常1〜10mmの厚みを有する。延伸に当っては、条件の適切な設定が重要である。
熱源は、他の成形加工と同様に、IR(赤外線)、熱風、熱媒浴、電磁波など特に限定されないが、一般的にはIR(赤外線)加熱装置により予熱され、その後直ちに金型へ移され、金型内で開口部より圧縮空気により延伸を伴いつつブロー成形される。圧縮空気に加え、ロッドによる延伸を同時に行うこともある。加熱により、多層プリフォームの表面温度を80〜200℃まで、より好ましくは85〜150℃まで、特に90〜120℃まで高めることが好ましい。脂肪族ポリエステルがポリグリコール酸樹脂である場合には、多層プリフォームを加熱により結晶化させ、好ましくはヘイズ値を40%以上にした後に、延伸すると透明な成形体が得られやすい。
上記の延伸成形後、必要に応じて熱固定などの後処理あるいは追加の樹脂層を設けるためのラミネート加工、コーティングなどの後加工を行うこともできる。熱固定のための処理温度は、40〜210℃が好ましく、脂肪族ポリエステルがポリグリコール酸樹脂である場合は、ポリグリコール酸樹脂の融点以下、より好ましくは融点マイナス20℃から120℃の範囲の温度が好ましい。ラミネート加工には、ウェットラミネーション、ドライラミネーション、エクストルージョンラミネーション、ホットメルトラミネーション、ノンソルベントラミネーションなどが含まれる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明について具体的に説明する。以下の記載において「部」、「%」および「ppm」は特に断らない限り重量基準とする。
(比較例1)
ポリグリコール酸脱脂(PGA)(温度240℃および剪断速度100sec−1における溶融粘度1200Pa・sのもの;呉羽化学工業(株)製)100重量部に対し、市販のリン酸ステアリル混合エステル(モノステアリルエステル約50モル%とジステアリルエステル約50モル%の混合物;旭電化(株)製「AX−71」)0.03重量部を配合し、スクリュー部温度を220〜250℃とした二軸混練押出機(東洋精機(株)製「LT−20」)を用いて溶融混練押出を行い、ペレット状のポリグリコール酸樹脂(PGA)組成物を得た。
ポリグリコール酸脱脂(PGA)(温度240℃および剪断速度100sec−1における溶融粘度1200Pa・sのもの;呉羽化学工業(株)製)100重量部に対し、市販のリン酸ステアリル混合エステル(モノステアリルエステル約50モル%とジステアリルエステル約50モル%の混合物;旭電化(株)製「AX−71」)0.03重量部を配合し、スクリュー部温度を220〜250℃とした二軸混練押出機(東洋精機(株)製「LT−20」)を用いて溶融混練押出を行い、ペレット状のポリグリコール酸樹脂(PGA)組成物を得た。
(実施例1)
PGA100重量部に対し、リン酸ステアリル混合物に加えて、ジケテン化合物(前記式(1)においてR1=H,R2=Hのもの;東京化成(株)製「ケテンダイマー」)を1重量部を更に配合する以外は比較例1と同様にしてペレット状のPGA組成物を得た。
PGA100重量部に対し、リン酸ステアリル混合物に加えて、ジケテン化合物(前記式(1)においてR1=H,R2=Hのもの;東京化成(株)製「ケテンダイマー」)を1重量部を更に配合する以外は比較例1と同様にしてペレット状のPGA組成物を得た。
(実施例2)
PGA100重量部に対し、リン酸ステアリル混合物に加えて、実施例1で用いたジケテン化合物1重量部および市販のN,N−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(川口化学(株)製「DIPC」)1重量部を配合する以外は、比較例1と同様にして、ペレット状のPGA組成物を得た。
PGA100重量部に対し、リン酸ステアリル混合物に加えて、実施例1で用いたジケテン化合物1重量部および市販のN,N−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(川口化学(株)製「DIPC」)1重量部を配合する以外は、比較例1と同様にして、ペレット状のPGA組成物を得た。
≪耐水性評価≫
(評価用シートの作成)
上記比較例および実施例で得た3種のPGA組成物の各々について、窒素流通(0.5L/分)雰囲気下260℃で3分間の予熱を行い、予熱したペレットの約5gをアルミ板に挟み、255℃のプレス機中5MPaで約20秒間保持してプレスし、更に水循環冷却プレスに移し、2MPaで20秒間保持してプレスし、厚さ約150μmの未延伸非晶シート試料を作成した。
(評価用シートの作成)
上記比較例および実施例で得た3種のPGA組成物の各々について、窒素流通(0.5L/分)雰囲気下260℃で3分間の予熱を行い、予熱したペレットの約5gをアルミ板に挟み、255℃のプレス機中5MPaで約20秒間保持してプレスし、更に水循環冷却プレスに移し、2MPaで20秒間保持してプレスし、厚さ約150μmの未延伸非晶シート試料を作成した。
次いで、上記で得られたシートを約60℃のオーブン(ヤマト科学(株)製「DK63」に1分間入れた後、2軸に延伸後200℃のオーブン(タバイエスペック(株)製「STPS−212」)に入れ、1分間ヒートセット処理を行って、厚さ約20μmの延伸シートを得た。
(耐水性評価)
上記で得られた耐水性評価用延伸シート試料(0日)について分子量測定を行い、更にろ紙に挟み、50℃/90%RH雰囲気中に置き、所定時間(3日、5日、7日)経過後の分子量を測定した。更に経過時間に対して分子量の対数をプロットし、その傾きから加水分解速度定数を求めた。
上記で得られた耐水性評価用延伸シート試料(0日)について分子量測定を行い、更にろ紙に挟み、50℃/90%RH雰囲気中に置き、所定時間(3日、5日、7日)経過後の分子量を測定した。更に経過時間に対して分子量の対数をプロットし、その傾きから加水分解速度定数を求めた。
なお、分子量測定は、以下の方法により行った。
<分子量測定>
各シートからサンプル約10mgを切り出し、このサンプルを5mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液10mLに溶解させた。このサンプル溶液をポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターで濾過後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)装置に注入し、分子量を測定した。
各シートからサンプル約10mgを切り出し、このサンプルを5mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液10mLに溶解させた。このサンプル溶液をポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターで濾過後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)装置に注入し、分子量を測定した。
<GPC測定条件>
装置:昭和電工(株)製「Shodex−104」
カラム:HFIP−606M、2本(直列接続)およびプレカラム、
カラム温度:40℃、
溶離液:5mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたHFIP溶液、
流速:0.6mL/分、
検出器:RI(Refractive Index:示差屈折率)検出器、
分子量較正:分子量の異なる標準ポリメタクリル酸メチル5種を用いた。
装置:昭和電工(株)製「Shodex−104」
カラム:HFIP−606M、2本(直列接続)およびプレカラム、
カラム温度:40℃、
溶離液:5mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたHFIP溶液、
流速:0.6mL/分、
検出器:RI(Refractive Index:示差屈折率)検出器、
分子量較正:分子量の異なる標準ポリメタクリル酸メチル5種を用いた。
上記表1に示されるように、熱安定剤(リン酸アルキルエステル)のみを含む比較例1の組成物に較べて、OH基封止剤(比較例2)およびカルボキシ基封止剤(比較例3)をそれぞれ含む組成物は改良された耐水性を示すが、OH基封止剤とカルボキシ基封止剤を併用した組成物(実施例1)では一層改善された耐水性を得られることが分る。
上述したように、従来より耐水性改良剤として使用されているカルボキシ基封止剤の代わりに、あるいはこれに加えて、OH基封止剤を配合することにより、改善された耐水性を有する脂肪族ポリエステル組成物が得られる。
Claims (8)
- 脂肪族ポリエステル樹脂に、非酸形成性のOH基封止剤を配合してなる脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
- さらにカルボキシ基封止剤を配合してなる請求項1に記載の組成物。
- 非酸形成性のOH基封止剤がジケテン化合物である請求項1または2に記載の組成物。
- カルボキシ基封止剤がカルボジイミド化合物である請求項2または3に記載の組成物。
- 更に熱安定剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 熱安定剤が(亜)リン酸エステル化合物である請求項5に記載の組成物。
- 脂肪族ポリエステル樹脂がヒドロキシカルボン酸の単独または共重合体である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
- 脂肪族ポリエステル樹脂がポリグリコール酸樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
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JP2012001595A (ja) * | 2010-06-15 | 2012-01-05 | Teijin Ltd | 樹脂組成物の製造方法 |
JP2013032476A (ja) * | 2011-06-28 | 2013-02-14 | Sumika Styron Polycarbonate Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物 |
WO2013072310A1 (de) | 2011-11-17 | 2013-05-23 | Basf Se | Additive zur hydrolysestabilisierung von polykondensaten |
CN103797070A (zh) * | 2011-06-28 | 2014-05-14 | 住化斯泰隆Pc有限公司 | 聚碳酸酯树脂组合物 |
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2005
- 2005-07-13 JP JP2005204434A patent/JP2007023100A/ja active Pending
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