JP2010106195A - ポリエステル系樹脂を含む樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ポリエステル系樹脂を含む樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間に亘って優れた耐加水分解性を達成する。
【解決手段】ポリエステル系樹脂に対して有機系脱水剤を混合することによって、ポリエステル系樹脂に対する加水分解を抑制する。有機系脱水剤としては、オルトエステル化合物、アルキルシリケート化合物及びオルト珪酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1以上の化合物を挙げることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系樹脂を含む樹脂組成物及び当該樹脂組成物を用いた成形体に関する。
脂肪族ポリエステル樹脂は、酵素や微生物により分解される生分解性樹脂を構成する主成分として知られている。中でもポリ乳酸等は、とうもろこし、サトウキビ及びサツマイモ等の植物由来の原料から得られる。ポリ乳酸以外でも脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリカプロラクトン、及びグリコールとカルボン酸よりなるポリエステル等が知られている。
これら脂肪族ポリエステル樹脂は、加水分解性が高いといった特徴を有しており、これに起因して長期耐久製品に適用することが非常に困難であった。特に、長期耐久製品として、自動車等の10年以上の耐久性が求められる場合には、脂肪族ポリエステル樹脂の加水分解性を今まで以上に抑制する技術の開発が必須となる。
脂肪族ポリエステル樹脂の加水分解性を抑制する手法としては、例えば、特許文献1に記載されるように、脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の少なくとも一部をエポキシ化合物により封鎖する手法が開示されている。また、特許文献2には、脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基をオキサゾリン化合物又はオキサジン化合物で封鎖する手法が開示されている。さらに、特許文献3には、脂肪族ポリエステル樹脂にカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物或いはオキサゾリン化合物並びに水酸化マグネシウム等の加水分解抑制助剤を混合する手法が開示されている。
これらに代表される従来の技術においては、脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基を封止する点で共通し、樹脂製造工程を改変する必要がなく実際的には汎用性のある手法であると考えられる。しかしながら、特許文献1や特許文献2で開示された手法は効果を認められるものの、実用化するまでの効果を有していない。また、カルボジイミド化合物は一般にゲル化しやすく、カルボジイミド化合物等を末端カルボキシル基の封止に使用する場合、樹脂組成物の成形性を悪化させてしまうといった問題があった。また、カルボジイミド化合物は、一般にポリマーであり多官能性であるため、末端カルボキシル基を架橋することとなり、見かけ上切れ目のない高分子体を構築してしまう虞もある。この場合、樹脂組成物における所望の物性を維持できなくなる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基をメチル基等の他の官能基で修飾する方法もあるが、脂肪族ポリエステル樹脂の重合の段階から反応を制御しなければならず、汎用性に欠けるし、樹脂製造工程を大幅に見直す必要があり現実的には困難である。なお、樹脂組成物に脂肪族ポリエステル樹脂以外の樹脂を混合することによって、末端カルボキシル基濃度を相対的に低減させる方法もあるが、末端カルボキシル基自体を消失させることはできないこと、及び脂肪族ポリエステル樹脂の使用率が下がることとなり生分解性樹脂の基本コンセプトを逸脱するといった問題が残る。
特開2001−335626号公報 特開2001−323056号公報 特開2006−219567号公報
そこで、本発明は、上述したような実状に鑑み、長期間に亘って優れた耐加水分解性を有する樹脂組成物及びこれを用いた成形体を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため本発明者らが鋭意検討した結果、脂肪族ポリエステル樹脂に対して有機系脱水剤を混合することによって、脂肪族ポリエステル樹脂に対する加水分解を抑制することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂と有機系脱水剤とを含んでいる。上記有機系脱水剤としては、オルトエステル化合物、アルキルシリケート化合物及びオルト珪酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1以上の化合物を挙げることができる。特に、上記オルトエステル化合物としてはオルト酢酸エステルを挙げることができる。また、上記オルト珪酸エステル化合物としてはテトラブトキシシランを挙げることができる。
本発明に係る樹脂組成物は、上記ポリエステル系樹脂100重量部に対して、上記有機性脱水剤を1重量部以上含有することが好ましい。上記ポリエステル系樹脂としてはポリ乳酸を主成分とするものを挙げることができる。
また、本発明によれば、上述した樹脂組成物を所望の形状に成形することで、長期に亘って耐加水分解を有する成形体を作製することができる。
本発明に係る樹脂組成物では、長期間に亘って優れた耐加水分解性を維持することができる。本発明によれば、製品寿命が大幅に向上した成形品、特に自動車用成形品を提供することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂と、有機系脱水剤とを含有するものである。
先ず、ポリエステル系樹脂について説明する。本発明において用いられるポリエステル系樹脂は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ吉草酸)、ポリカプロラクトン等の開環重付加系脂肪族ポリエステル、並びに、ポリエステルカーボネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート等の重縮合反応系脂肪族ポリエステルが挙げられ、中でもポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリ(α−ヒドロキシ酸)が好ましく、ポリ乳酸が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は、80000〜300000であることが好ましく、100000〜200000であることがより好ましく、120000〜170000であることが最も好ましい。ポリエステルの重量平均分子量が80000未満である場合には、得られる成形体の強度、弾性率等の機械物性が不十分となる虞ある。
また、ポリエステル系樹脂がポリ乳酸を主とする場合、ポリ乳酸におけるL−乳酸単位及びD−乳酸単位の構成モル比L/Dは、100/0〜0/100のいずれであっても良いが、高い融点を得るためにはL−乳酸及びD−乳酸のいずれかの単位を96モル%以上、更に高い融点を得るためにはL−乳酸及びD−乳酸のいずれかの単位を98モル%以上含むことが特に好ましい。その場合の乳酸単位を有する重合体は、乳酸(単量体)又はラクチドと共重合可能な他の成分とが共重合された共重合体であっても良い。共重合可能な他の成分としては、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、及びこれら種々の構成成分よりなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
ジカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールの例としては、ビスフェノールにエチレンオキサイドを付加反応させたもの等の芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等の脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテルグリコール等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸の例としては、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、その他特開平6−184417号公報に記載されているもの等が挙げられる。ラクトンの例としては、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、ε−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。また、前記共重合体の配列様式は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリエステル系樹脂は、上述したポリエステルを単独で用いてもよいが、それらの2種以上のブレンド物若しくは共重合物であってもよい。このようなポリエステルの共重合物としては、乳酸と乳酸以外のヒドロキシ酸とのコポリマーや、ポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げられる。また、共重合体の配列様式は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
ポリエステルのブレンド物としては、例えばポリ乳酸をベースとするポリ乳酸系樹脂が好ましく、ポリ乳酸にブレンドされる他の樹脂としては、ポリ乳酸以外の前記ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド等が挙げられる。
次に、有機系脱水剤について説明する。本発明において有機系脱水剤とは、分子内に炭化水素を有し、水分子と化学反応しうる化合物である。このような有機系脱水剤としては、例えば、オルトエステル化合物、アルキルシリケート化合物及びオルト珪酸エステル化合物を挙げることができる。
オルトエステル化合物とは、下記一般式1で表される化合物である。
Figure 2010106195
上記一般式1においてR〜Rは炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜3の有機基を表している。なお、R〜Rは同一の有機基でも良いし、異なる有機基であっても良い。オルトエステル化合物としては、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル及びオルトイソ酪酸トリエチル等を挙げることができる。
また、アルキルシリケート化合物とは、下記一般式2で表される化合物である。
Figure 2010106195
上記一般式2において、R〜Rは炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を表している。なお、R〜Rは同一のアルキル基でも良いし、異なるアルキル基であっても良い。アルキルシリケート化合物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート及びブチルシリケート等を挙げることができる。また、上記一般式2においてnとしては、特に限定されないが、例えば1〜10とすることができ、1〜5とすることが好ましく、1〜2とすることがより好ましい。
さらに、オルト珪酸エステルとは、下記一般式3で表される化合物である。
Figure 2010106195
上記一般式3においてR〜Rは炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を表している。なお、R〜Rは同一のアルキル基でも良いし、異なるアルキル基であっても良い。オルト珪酸エステルとしては、例えば、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロキシシラン及びテトライソプロポキシシラン等を挙げることができる。
本発明において、上述した有機系脱水剤は、1種類のみを単独で使用してもよいが、複数種類を混合して使用しても良い。すなわち、本発明に係る樹脂組成物は、単独の有機系脱水剤を含有していても良いし、複数の有機系脱水剤を含有していても良い。いずれの場合であっても、上述した有機系脱水剤は、樹脂中の水分子と反応することで水によるポリエステル系樹脂の加水分解反応を抑制することができる。一方、脱水剤としては、シリカ粒子等の無機系脱水剤が知られているが、無機系脱水剤を使用すると、成形品となったときの機械的特性が劣化する虞がある。これに対して、上述した有機系脱水剤は、ポリエステル系樹脂との親和性が高いために、成形品における機械的特性を劣化させるといった問題がない。
以上のように、本発明に係る樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂及び有機系脱水剤を含有しているが、必要に応じてその他の成分を含有していても良い。例えば、他の成分としては、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤・抗カビ剤及び核形成剤等を挙げることができる。
<製法例>
本発明に係る樹脂組成物においては、上述したポリエステル系樹脂と有機系脱水剤とが任意の組成比(重量比)で配合されている。なお、樹脂組成物全体(100質量%)に対して、有機系脱水剤及びポリエステル系樹脂を合計で50質量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95質量%含有する。また、本発明に係る樹脂組成物において、有機系脱水剤は、上記熱ポリエステル系樹脂に対して0.1〜10重量%とすることができ、0.3〜8重量%とすることが好ましく、0.5〜5重量%とすることがより好ましく、0.8〜2重量%とすることが最も好ましい。
本発明に係る樹脂組成物は、上述したポリエステル系樹脂と有機系脱水剤の組成比が一旦決定すれば、その組成比に従って秤量し、従来公知の手法によって作製することができる。例えば、全ての組成を押出機(一軸スクリュー押出機及び二軸混練押出機等)や、ニーダー及びミキサー(高速流動式ミキサー、バドルミキサー、リボンミキサー等)等の混練装置に投入し、混練することで本発明に係る樹脂組成物を作製することができる。これらの装置は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、2種以上を用いる場合には連続的に運転してもよく、回分的に(バッチ式で)運転してもよい。このとき、混練条件は特に限定されず、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度や融点に応じて適宜の条件とすればよい。
また、本発明に係る樹脂組成物は、一般的に使用されている成形装置を用いてペレット等に成形したかたちで提供することもできる。成形装置としては、特に限定されないが、押出し成形、射出成形、熱成形(ストレート成形及びドレープ成形等の真空成形など)、圧縮成型若しくはカレンダー成形等を行う成形装置を使用することができる。
或いは、本発明に係る樹脂組成物は、上述した成形装置を用いて所望の形状を有する成形品の材料として使用することができる。樹脂組成物を用いた成形における成形条件は特に限定されず、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度や融点により適宜の条件とすればよい。
これらの混練及び成形は、個別の独立した工程で行ってもよく、連続した一連の工程で行ってもよい。すなわち、個別の独立した工程で行う例としては、混練機により有機系脱水剤とポリエステル系樹脂とを混練して混練物を得た後、得られた混練物を成形機に投入して成形を行うこと場合が挙げられる。一方、連続した一連の工程で行う例としては、混練と成形とを1つの装置内で行うことができる押し出し成形機のような装置を用いる場合が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物を用いた成形品の製造方法は、上述した混練及び成形以外にも他の工程を備えることができる。他の工程としては、混練を実施する前に原料であるポリエステル系樹脂と有機系脱水剤とを固形状体で混合する混合工程を挙げることができる。ここで、混合方法は特に限定されないが、例えば、高速流動式ミキサー、バドルミキサー、リボンミキサー及びコーンブレンダー等の混合装置を用いて混合を行うことができる。これらの装置は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、2種以上を用いる場合には回分的に運転してもよく、連続的に運転してもよい。更に、上記原料ペレット及び熱可塑性樹脂は一括して混合してもよく、いずれか一方を複数回に分けて添加投入して分割混合してもよい。
成形品としては、特に限定されず、例えば、各種電化製品や通信機器などの絶縁材料や筐体材料、自動車部品、医療用途(器具、容器、医薬包装)、日用品、住宅設備、コンテナ、パレット、洗剤容器・キャップ、飲料容器、ボトルキャップ、食品カップ、食品用フィルム、食品用シート、包装用フィルム、産業用フィルム、産業用シート、繊維、ヤーン、バンド及び発泡製品等を挙げることができる。特に、自動車部品としては、内装材、外装材及び構造材等が挙げられる。すなわち、自動車ドアトリム、各種インストルメントパネル、シート構造材、シートバックボード、コンソールボックス、自動車ダッシュボード、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本例では、重量平均分子量16万のポリ乳酸樹脂からなる樹脂組成物(1)を比較対照として準備した。また、重量平均分子量16万のポリ乳酸樹脂100重量部と、オルト酢酸トリエチル(東京化成工業株式会社製)1重量部とを配合した樹脂組成物(2)を調整した。さらに、重量平均分子量16万のポリ乳酸樹脂100重量部と、テトラブトキシシラン(東京化成工業株式会社製)1重量部とを配合した樹脂組成物(3)を調整した。
これら樹脂組成物(1)〜(3)を原料として1軸射出成形機を用いて“ISO A型試験片”を作製した。具体的には、金型温度50℃、樹脂温度210℃、冷却時間15秒にて成形した。
作製したISO A型試験片を耐候試験槽に静置し、80℃、95%RH雰囲気下で湿熱老化加速試験を実施した。様々な評価時間で試験片を取り出し、23℃、50%RH環境下で調湿した。調湿後の試験片を用いて曲げ強度を測定した。曲げ強度は三点曲げ試験方法に従い、スパン64mm、クロスヘッドスピード2mm/min、試験環境23℃、50%RHにて測定した。
測定した曲げ強度に基づいて、樹脂組成物(1)〜(3)で作製した各試験片について曲げ強度半減期を算出した。曲げ強度半減期の結果を図1に示した。図1に示すように、ポリ乳酸樹脂に対して有機系脱水剤を添加した樹脂組成物(2)及び(3)は、ポリ乳酸樹脂のみからなる樹脂組成物(1)と比較して耐加水分解特性に優れ、寿命が大幅に向上することが明らかとなった。
〔実施例2〕
上述した実施例1により有機系脱水剤を添加したポリエステル系樹脂において耐加水分解特性を大幅に向上できることが明らかとなったが、本例では機械的特性の劣化の有無を検討した。具体的には、実施例1で作製した樹脂組成物(1)〜(3)と、耐加水分解を向上させるためカルボジイミド化合物を添加した樹脂組成物(4)をについて機械的特性を評価した。
具体的に、重量平均分子量16万のポリ乳酸樹脂100重量部と、カルボジライトLA-1(日清紡株式会社製)1重量部とを混合して樹脂組成物(4)とし、実施例1と同様にしてISO A型試験片を作製した。次に、得られた各ISO A型試験片を、23℃、50%RH環境下で調湿した。調湿の後、試験片を用いて曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率は、実施例1と同様に三点曲げ試験法を行った。
上述した曲げ弾性率試験の結果、樹脂組成物(1)を用いて作製した試験片は3413MPaであり、樹脂組成物(2)を用いて作製した試験片は3406MPaであり、樹脂組成物(3)を用いて作製した試験片は3410MPaであり、樹脂組成物(4)を用いて作製した試験片は3281MPaであった。この結果より、カルボジイミド化合物により、末端のカルボキシル基を封鎖することで耐加水分解特性を向上させたとしても、機械的特性が劣化してしまうといった問題が生じた。これに対して、耐加水分解特性を有機系脱水剤によって向上させた場合には、機械的特性の劣化は殆ど見られず、ポリエステル系樹脂が本来有する機械的特性を維持できることが明らかとなった。
実施例1で作製した試験片について評価した曲げ強度半減期を示す特性図である。

Claims (7)

  1. ポリエステル系樹脂と有機系脱水剤とを含む、樹脂組成物。
  2. 上記有機系脱水剤は、オルトエステル化合物、アルキルシリケート化合物及びオルト珪酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1以上の化合物であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 上記オルトエステル化合物がオルト酢酸エステルであることを特徴とする請求項2記載の樹脂組成物。
  4. 上記オルト珪酸エステル化合物がテトラブトキシシランであることを特徴とする請求項2記載の樹脂組成物。
  5. 上記ポリエステル系樹脂100重量部に対して、上記有機性脱水剤を1重量部以上含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  6. 上記ポリエステル系樹脂はポリ乳酸を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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