JP2007021518A - レーザ加工方法,レーザ加工装置,およびレーザ加工方法にて製造された構造部材 - Google Patents

レーザ加工方法,レーザ加工装置,およびレーザ加工方法にて製造された構造部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 コンクリートや岩石等の無機材料もしくは有機材料,又はその両方からなる構造材を被加工材として切断または破砕加工する際し,加工のためのレーザビームのエネルギー利用効率を可及的に高く,且つ高速加工ができる構造材のレーザ加工方法及びレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 構造材を被加工材とするレーザ加工方法において,被加工材の溶融,高温軟化,熱分解,又は昇華を抑制した熱応力起因の破砕現象を利用して加工することにより,レーザビームのエネルギー損失を抑制し高エネルギー効率で高速にレーザ加工を実施することができ,さらに,充分な加工精度とエネルギー効率を持ち,比較的小容量のレーザ装置で実施可能な加工を実現できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は,被加工材の表面にレーザビームを照射し,該表面及びその直下部分の被加工部を切断または破砕するレーザ加工技術に関し,特に被加工部に熱応力起因の切断または破砕を生じさせるレーザ加工に用いて好適な技術である。
一般にコンクリート,岩石等の構造材を除去加工や解体する際には,ダイヤモンドソーによる切断や,物理的な衝撃を与える小さな破壊を繰り返すことにより進めて行くことが多い。その際,被加工物が屋外にあり,大型で,且つ加工寄りつき方向の自由度も少ない為,高加工精度で充分な加工効率をもつ加工方法がなかった。特に,近年重要となってきている既設建造物,構造物等の修繕工事に於いては,従来のダイヤモンドソーや物理衝撃による加工法では,振動・騒音問題等で対応不可能な状況も発生する。
これに対する新しい構造材加工方法として,屋外でも適用可能で,振動・騒音問題のほとんどないレーザビームによる加工技術が注目されている。例えば,特許文献1には,コンクリートにレーザビームを集光・照射することにより,レーザビームの持っているエネルギー密度を高め,これにより被加工材の加工部を溶融切断する技術が開示されている。また,特許文献2には,コンクリートや岩石等のセラミック構造体に穿孔する技術が開示されている。しかし,一般的にコンクリート等の構造材は奥行きが深く,かつレーザビームやガスが反対面に貫通していない加工状況が多いため,溶融した構造材であるドロスを被加工部近傍から排出しにくく,レーザビームのエネルギーが有効に利用されていないことが多い。
この場合,加工効率(単位時間当たりの加工除去量で定義)を高めるためには,レーザビームを吸収,反射してしまう溶融ドロス(以下ではドロスと記す)を効率良く除去して,レーザビームが常に被加工材の新しい表面に直接当たるようにする必要がある。このため,特許文献3では,ガス噴射によるドロス除去や,添加材によるドロスの粘性を低下させ除去改善を図る等,種々の技術が開示されている。しかし,完全にはドロスを除去し切れず,ダイヤモンドブレードや物理衝撃破壊等を使用した加工方法に比較してレーザ加工の加工能率が悪いという問題があった。これらに対し特許文献4に記載されているような,コンクリート内に比較的吸収率の高い液体(水)を吸収させ,加工に寄与するレーザエネルギーを増加させる試みもあったが,加工全域に液体をまんべんなく吸収させることは難しい上,コンクリートを溶融除去するという観点では大きな改善は得られなかった。 また,レーザ出力容量を増加させ加工速度を上げる考え方も,野外での施工を考えると現実的ではなかった。
特開平10−18612号公報 特開2000−170473号公報 特開2000−170475号公報 特開昭64−15296号公報
コンクリートや岩石等の無機材料もしくは有機材料,又はその両方からなる構造材を被加工材として切断または破砕加工する際の,従来のレーザビーム加工法の問題点に鑑みて,本発明は,加工のためのレーザビームのエネルギー利用効率を可及的に高く,且つ高速加工ができる構造材のレーザ加工方法及びレーザ加工装置を提供し,あわせて該レーザ加工方法にて製造された構造部材を提供することを目的とする。
本発明者は,レーザビームを用いたレーザ加工によるコンクリート等の構造材の破砕メカニズムを詳細に検討した結果,以下のような知見を得た。従来のレーザ加工方法は,言わば見かけの破砕力を大きくするためにレーザビーム強度を大きくして被加工部に照射するものであり,構造材の溶融,高温軟化,又は蒸発除去を主メカニズムとする加工であった。溶融,高温軟化,及び蒸発を発生するのに多量のレーザビームエネルギーを投入する必要があることに加えて,溶融又は高温軟化した構造材によるレーザビームの吸収,反射,及び散乱が生じることが判明した。そこで,レーザビームを被加工部に照射する際に,被加工材の溶融,高温軟化,又は昇華を抑制しながら,被加工部を急速加熱する,または加熱後に急冷することにより,レーザビーム照射部と近傍の低温部との間に大きな熱応力を発生させて,被加工部に熱応力起因の破砕現象をおこすことにより,従来法に比して高速かつ高エネルギー効率で切断又は破砕加工する方法を発明するに至った。なお,本発明において,「熱応力起因の破砕」とは,加工部にレーザビームを照射して昇温させたことにより,被加工材内部に発生する熱応力による破砕と,昇温後冷却させたことにより,被加工材内部に発生する熱応力による破砕の両方を含む。
本発明の要旨とするところは,以下に記載の如くである。
(1) 本発明のレーザ加工方法は,無機材料または有機材料からなる構造部材を被加工材とするレーザ加工方法において,被加工材にレーザビームを所定の加工部に照射して昇温し,該加工部で熱応力起因の破砕を発生させることを特徴とする。
(2) 本発明のレーザ加工方法は,(1)に記載の発明において,前記レーザビームの照射により,加工部の最高温度が,被加工材の融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点以下となるようにレーザビームのパワー,操作速度,又は加工部上のレーザビームスポット寸法形状を制御することを特徴とする。
(3) 本発明のレーザ加工方法は,(1)又は(2)に記載の発明において,前記レーザビームはパルス光であって,冷却ガス又は冷却液を加工部に付与しながらレーザビームを照射することを特徴とする。
(4) 本発明のレーザ加工方法は,(1)〜(3)のうちの一つに記載の発明において,前記被加工材が耐火材,コンクリート,岩石の構造材であることを特徴とする。
(5) 本発明のレーザ加工方法は,(1)に記載の発明において,前記被加工材は耐火材,コンクリート,又は岩石の構造材で,前記レーザビームはパルス光又は連続光であって,レーザビーム照射により,加工部の最高温度が被加工材の融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点以下で,且つ,融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点と,加工部の最高温度との温度差が300℃以内となるようにレーザビームのパワー,操作速度,又は加工部上のレーザビーム寸法形状を制御することを特徴とする。
(6) (1)〜(5)のうちの一つに記載のレーザ加工方法により加工された構造部材である。
(7) 本発明のレーザ加工装置は,無機材料または有機材料からなる構造部材を被加工材とするレーザ加工装置において,レーザ光源と,該レーザ光源から出射したレーザビームを被加工材の所定の加工部に集光照射するためのレーザ集光光学系と,前記レーザビームを被加工材上で走査する為のスキャニング装置とを具備し,前記被加工材の所定の加工部にレーザビームを集光照射して昇温し,該加工部で熱応力起因の破砕を発生させることを特徴とする。
(8) 本発明のレーザ加工装置は,無機材料または有機材料からなる構造部材を被加工材とするレーザ加工装置において,レーザ光源と,該レーザ光源から出射したパルス光のレーザビームを被加工材の所定の加工部に集光照射するためのレーザ集光光学系と,該加工部に冷却ガス又は冷却液を付与する為の冷却ノズルと,前記加工部で発生する加工屑を排出する為の吸引ノズルと,前記レーザビームを被加工材上で走査する為のスキャニング装置とを具備し,前記被加工材の所定の加工部にレーザビームを集光照射して昇温し,該加工部で熱応力起因の破砕を発生させることを特徴とする。
(9) 本発明のレーザ加工装置は,(7)又は(8)に記載のレーザ加工装置であって,さらに,前記加工部の表面の二次元温度分布を検知する放射温度計を具備し,該放射温度計の温度測定データに基づいて前記被加工材の融点,軟化温度,熱分解,又は昇華点以下の温度で破砕加工できるようにしたことを特徴とする。
(10) 本発明のレーザ加工装置は,(7)又は(8)に記載のレーザ加工装置であって,さらに,前記加工部の表面の二次元温度分布を検知する放射温度計と,該放射温度計の温度測定データに基づいて前記レーザビームのパワーを制御する最高温度制御部とを具備し,前記被加工材の融点,軟化温度,熱分解,又は昇華点以下の温度で破砕加工できるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば,構造材を被加工材とするレーザ加工方法において,被加工材の溶融,高温軟化,熱分解,又は昇華を抑制した熱応力起因の破砕現象を利用して加工することにより,レーザビームのエネルギー損失を抑制し高エネルギー効率で高速にレーザ加工を実施することができる。そのために,レーザ加工の特徴である充分な加工精度とエネルギー効率を持ち,比較的小容量のレーザ装置で実施可能な加工を実現でき,産業上有用な著しい効果を奏する。
以下,本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第一の実施の形態>
図1は,本発明におけるレーザ加工方法の実施の形態の一例を示す概略図である。図1は,レーザ加工線に沿って被加工材3の断面を図示したものである。加工点7近傍には,加熱用のレーザビーム1,ガス又は液体を噴射する噴射ノズル4,粉体を吸引する為の吸引ノズル6が設置されている。レーザビーム1を集光光学系である集光レンズ2により被加工物3に集光・照射し,被加工物3表面を昇温させて被加工物3表面近傍を部分的に膨張させ,発生させた熱応力により破砕する。破砕された被加工材破砕物5は自然落下するが,噴射ノズル4から噴射した粉体除去用の窒素ガス等のアシストガス,又は水等の液体で加工部より除去するとさらに加工性が改善する。また,被加工材破砕物5の一部又は全部を吸引ノズル6にて除去しても良い。上記は,加工部表層を加熱し,膨張させることにより発生させた熱応力で破砕する手法であるが,レーザビーム1により加熱を受けた被加工部を冷却して部分的に収縮させ,冷却の際に発生する熱応力によって被加工材5を破砕することもできる。その場合には,冷却用ガス,又は冷却用液体を噴出ノズル4より加工点7付近に噴射することにより破砕を行っても良い。
図2は,上記の破砕に際して,レーザビームが照射された加工点近傍の加工部における温度分布を略記したものである。加工点近傍は,レーザパワーP(W/cm)のレーザビーム1で加熱されて伝熱方程式(1)式で記述される温度θに昇温している。一方,熱応力誘起のみによる破砕発生の条件は,(A)被加工物3の温度が融点,軟化温度,又は昇華点を超えないこと,且つ(B)加工部の昇温時に発生する(2)式で表現される熱応力σが,被加工物3の物性値の引っ張り強度,又は圧縮強度σtを超えることである。これが,本発明において用いる破砕のメカニズムである。
θ−(1/κ)(dθ/dt)=− P/ρ・C (1)
但し,κは被加工材の熱拡散定数,ρは密度,Cは熱容量である。
σ=α・Δθ・E (2)
但し,αは被加工材の線膨張率,Δθは温度勾配 ,Eヤング率である。
本実施の形態のレーザ加工法において,コンクリートを例に実際のレーザビームによる破砕現象を実現するレーザ照射条件の一例を示す。図4に,レーザビームの移動速度を,v=50(m/min)とした際の,レーザビーム中心である加工点を原点とした際のコンクリート内の温度分布を差分法を用いたモデル計算により算出した,コンクリート内部の温度分布を示す。モデル計算に用いたコンクリートはモルタルと呼ばれ,その物性定数は,熱拡散定数κ=0.008(cm/s),密度ρ=21.8(g/cm),及び熱容量C=0.79(J/g℃)である。また,レーザビームの照射条件は,レーザ投入パワー(連続)P=500(W),レーザビーム寸法=3mm×3mmとした。この条件に於いて,各点は材料融点約1700℃,又は,軟化点1500℃に達することはない。
上記の昇温に伴う熱応力がコンクリート中に発生する。この熱応力は図5に示される簡単なモデルを用いて近似的に考えることができる。Disk1からDisknは,上記モデル計算において用いたモデルにおいて,ビーム移動方向に垂直な方向でDisk内が充分均一と考えられる厚さに深さ方向で分割したもので,各Disknの温度はTn℃とする。これらのDiskは温度上昇に対し,左右を強固に固定されている(ハッチング部)ので昇温に伴う膨張により圧縮応力が発生する。用いたモルタルの線膨張率を1×10−5(1/℃),ヤング率E=215×10(kg/cm)とすると圧縮強度σtが100(kg/cm)であるので,式2よりΔθが50℃で破砕が発生することがわかる。この結果,図4のモデルに於いては,約6mm幅で表面より深さ3.0mm点まで上記破砕が発生することとなる。
上記のコンクリートについてのモデル計算によって,レーザビームのコンクリート面上の移動速度を変化させて,破砕による除去加工量を評価した計算結果を図6に示す。図6で,横軸はレーザビーム移動速度,縦軸は移動速度に対する除去加工量または被加工物表面における最高温度を示す。この結果,ビーム移動速度を遅くし32(m/min)以下とすると,上表面の最高温度は軟化点とされる1500℃となり相変化が発生する為,加工効率が極端に悪くなることが解った。これに対しビーム移動速度を速くすると昇温深さが徐々に低下し効率が低下する。よって本加工法が有効である範囲として,表層の最高温度が融点以下で,融点マイナス300℃以上が効果的であることがわかった。
上記のように本発明のレーザ加工法によれば,従来のレーザ加工法のように被加工点を融点まで昇温しない為,加工効率は大きく向上する。この為,被加工材の加熱に必要なレーザ装置容量も小さく,電源等の付帯設備の容量が小さい為,トラック・貨車等で移動が可能な加工装置となりうる。図3に屋外で加工する際の,装置構成略図を示す。トラック,又は貨車11には,レーザビーム生成用の,レーザ発振器,冷却装置,電源と,アシストガス等の為のコンプレッサ等10が装備されている。この発振器より光ファイバ11を通じてレーザビームは導波され高所作業車12に搭載された,レーザ集光光学系,冷却ガス又は冷却液を付与する為のノズル,加工屑を排出する為のノズル,レーザビームを操作する為のスキャニング装置を具備されたレーザ用加工ヘッド14にて加工を行うものである。
<第二の実施の形態>
また,冷却媒体を用いて被加工物表面を急冷することによっても負の温度勾配Δθを作り出すことが可能であり,被加工材を熱変形等から守ることにも工業的には大きな効果がある。この為,レーザビームをパルス化し,パルス間に冷却ガス,又は冷却液をノズルより付与しこの効果を発揮させることができる。この際,微少領域を繰り返し破砕すれば,加工形状精度向上も容易となる。
<第三の実施の形態>
本発明のレーザ加工方法および加工装置においては,レーザビームによる加熱時に加工部の最高温度が,被加工材の融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点以下とすることを特徴としている。本実施の形態では図7に示したように,加工点7の温度を必要以上に上げないために加工点7近傍の二次元温度分布を放射温度計21を用いて測定し,レーザ加工時に被加工材3が融解,熱軟化,熱分解,又は昇華しないように加工点7の温度をモニタリングできるようにして,温度が高くなり過ぎたときにはレーザビーム1のパワーを下げて加工できるようにした。
さらに,上記の二次元温度分布の測定データの画像から加工点7の温度を連続的に抽出して,融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点以下に予め設定した温度になるように,レーザビーム1のパワーを制御する最高温度制御用パーソナルコンピュータ22を設けて,レーザ加工による粉砕作業を安定的かつ高速度に実行することが出来る。二次元測定用の放射温度計は市販品を利用することができる。市販の画像処理ソフトを用いて,測定データの二次元温度分布の輝度データ中の最高輝度の画素から最高温度を検出する。当該最高温度と予め設定した温度と基づいて,例えば比例制御やPI制御等でレーザビームのパワーを制御する。この計測及び制御のための信号処理やデータ処理はパーソナルコンピュータ22を用いて実行する。
<その他の実施の形態>
なお,レーザビームを被加工物粉が遮ると加工の昇温過程に阻害が出る為,吸引ノズルを用い被加工物粉を除去を促進させることが有効である。
本加工に用いるレーザビームとしては,焦点深度が大きく取れるビーム発散パラメータM2の小さいレーザ装置の方が,厚物加工時にレンズからの位置が変化する際にもレーザエネルギーの密度変化が小さいため望ましい。このような,レーザとしては現状,ファイバレーザ,DISKレーザ等があげられる。
また,被加工物が一度のビーム走査で加工できる厚さより厚い場合,ビームを進行方向に揺動させ繰り返しビームを加工点に照射することで加工可能厚さを改善させることが可能である。この揺動方法の概略を図8に示す。レーザビーム1が集光レンズ2を通して,加工点に集光される過程で,微小往復回転可能なガルバノモータに取りつけられた反射ミラー(ビームスキャニング装置8)により,加工点が揺動される。この揺動により図8に示されるように繰り返し加工を行うことが可能となる。ここで往復回転角を調整し,揺動量を図中の必要揺動量9とすることで上記厚物可能が可能となる。
本発明第一の実施例を記述する。用いた被加工材は,柱状のモルタル材である。サンプルサイズは幅1m,奥行き1mで100mm厚さのものである。このサンプルの厚さ方向の切断加工を行った。使用したレーザは出力パワー500W,波長1070nmの連続波ファイバレーザで,1200mmの焦点距離を持つレンズにて約5.2mm径のスポットに集光を行った。この時の焦点深度は約200mmであった。レーザは被加工材に対し30度傾けて設置されておりガルバノモータにて開先中のレーザビームがビーム揺動速度50m/minとなるように走査し加工を行った。アシストガスとして,乾燥空気を用い口径5mmのノズルより加工点付近に300L/minで吹き付けた。この際,吸引ノズルには集塵機を取り付け,粉体の除去を行った。レーザの移動速度は,50mm/minで実施したところ,破砕現象が起こり,カーフ幅約6mmで100mm厚のコンクリート切断が可能となった。
本発明第二の実施例を記述する。用いた被加工材は,柱状のモルタル材である。サンプルサイズは幅1m,奥行き1mで100mm厚さのものである。このサンプルの厚さ方向の切断加工を行った。使用したレーザは,出力パワー500W,波長1070nmのパルス化されたファイバレーザで,ピーク出力は1000W,繰り返し速度は300Hz,パルスデュティー50%であった。1200mmの焦点距離を持つレンズにて約5.2mm径のスポットに集光を行った。この時の焦点深度は約200mmであった。レーザは被加工材に対し30度傾けて設置されておりガルバノモータにて開先中のレーザビームがビーム揺動速度50m/min,となるように走査し加工を行った。粉砕物の除去用に,水を用い5mm径のノズルより加工点付近に20L/minでレーザビームが照射されていない間に間欠的に吹き付けた。この際,吸引ノズルには集塵機を取り付け,粉体の除去を行った。レーザの移動速度は,30mm/minで実施したところ,破砕現象が起こり,カーフ幅約6mmで100mm厚のコンクリート切断が可能となった。この際,切断後の母材には蓄熱はなく切断面の性状も良好であった。
本発明は,被加工材をレーザビームを用いて加工するレーザ加工技術に利用できる。
本発明のレーザ加工装置の一形態の概略をレーザ加工断面に沿って示した図である。 レーザビーム加工点近傍の温度分布の略図である。 本発明のレーザ加工野外で実施する際の構成略図である。 モデル計算を用いた加工点近傍の内部温度分布計算結果である。 レーザビーム加工法での昇温による破砕メカニズムを示すためのモデル略図である。 加工除去効率と最高表面温度の関係を示す図である。 本発明のレーザビーム加工装置の一形態例で,最高温度制御装置を含む加工装置の全体概略図である。 本発明のレーザビーム加工法の実施の一形態で,レーザビーム揺動による繰り返し加工法を説明する為の図である。
符号の説明
1…レーザビーム
2…集光レンズ
3…被加工物
4…噴射ノズル
5…破砕された被加工物
6…吸引ノズル
7…加工点
8…ビームスキャン装置
9…必要揺動量
10…レーザ発振器,冷却装置,コンプレッサ,電源
11…光ファイバ
12…高所作業車
13…被加工物
14…レーザ加工用ヘッド
15…トラック又は貨車
21…放射温度計
22…最高温度制御用パーソナルコンピュータ
23…レーザ発振器本体

Claims (10)

  1. 無機材料または有機材料からなる構造部材を被加工材とするレーザ加工方法において,
    レーザビームを被加工材の所定の加工部に照射して昇温し,該加工部で熱応力起因の破砕を発生させること特徴とする,レーザ加工方法。
  2. 前記レーザビームの照射により,加工部の最高温度が被加工材の融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点以下となるように,レーザビームのパワー,操作速度,又は加工部上のレーザビームスポット寸法形状を制御することを特徴とする,請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記レーザビームがパルス光であって,冷却ガス又は冷却液を加工部に付与しながらレーザビームを照射することを特徴とする,請求項1又は請求項2に記載のレーザ加工方法。
  4. 前記被加工材が耐火材,コンクリート,岩石の構造材であることを特徴とする,請求項1〜請求項3のうちの一項に記載のレーザ加工方法。
  5. 前記被加工材は耐火材,コンクリート,又は岩石の構造材で,前記レーザビームはパルス光又は連続光であって,
    レーザビーム照射により,加工部の最高温度が被加工材の融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点以下で,且つ,融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点と,加工部の最高温度との温度差が300℃以内となるようにレーザビームのパワー,操作速度,又は加工部上のレーザビーム寸法形状を制御することを特徴とする,請求項1に記載のレーザ加工方法。
  6. 請求項1〜請求項5のうちの一項に記載のレーザ加工方法により加工された,構造部材。
  7. 無機材料または有機材料からなる構造部材を被加工材とするレーザ加工装置において,
    レーザ光源と,該レーザ光源から出射したレーザビームを被加工材の所定の加工部に集光照射するためのレーザ集光光学系と,前記レーザビームを被加工材上で走査する為のスキャニング装置とを具備し,
    前記被加工材の所定の加工部にレーザビームを集光照射して昇温し,該加工部で熱応力起因の破砕を発生させることを特徴とする,レーザ加工装置。
  8. 無機材料または有機材料からなる構造部材を被加工材とするレーザ加工装置において,
    レーザ光源と,該レーザ光源から出射したパルス光のレーザビームを被加工材の所定の加工部に集光照射するためのレーザ集光光学系と,該加工部に冷却ガス又は冷却液を付与する為の冷却ノズルと,前記加工部で発生する加工屑を排出する為の吸引ノズルと,前記レーザビームを被加工材上で走査する為のスキャニング装置とを具備し,
    前記被加工材の所定の加工部にレーザビームを集光照射して昇温し,該加工部で熱応力起因の破砕を発生させることを特徴とする,レーザ加工装置。
  9. 請求項7又は請求項8に記載のレーザ加工装置であって,
    さらに,前記加工部の表面の二次元温度分布を検知する放射温度計を具備し,
    該放射温度計の温度測定データに基づいて前記被加工材の融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点以下の温度で破砕加工できるようにしたことを特徴とする,レーザ加工装置。
  10. 請求項7又は請求項8に記載のレーザ加工装置であって,
    さらに,前記加工部の表面の二次元温度分布を検知する放射温度計と,
    該放射温度計の温度測定データに基づいて前記レーザビームのパワーを制御する最高温度制御部とを具備し,
    前記被加工材の融点,軟化温度,熱分解温度,又は昇華点以下の温度で破砕加工できるようにしたことを特徴とする,レーザ加工装置。
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