JP2007020009A - パッチアンテナ及びパッチアンテナアレイ - Google Patents

パッチアンテナ及びパッチアンテナアレイ Download PDF

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Abstract

【課題】 より小型化が可能な構造を有するパッチアンテナ及びパッチアンテナアレイを提供する。
【解決手段】 誘電体基板2上に形成された外側スリット3装荷型パッチアンテナAにおいて、その表面に内側スリット4を設けてある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線通信に使用されるパッチアンテナに関するものである。
近年、移動体通信機器などに使用されているアンテナには小型・軽量化及び集積化が望まれている。このような動向を反映して、薄形で平面基板に形成が可能なパッチアンテナなどの平面アンテナが盛んに開発されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
図10は従来のパッチアンテナを示す概略図である。図に示すように、金属製パッチ1は誘電体基板2に所定の寸法で形成された構造になっている。図では省略しているが誘電体基板裏面にも金属膜が成膜されている。パッチアンテナはマイクロストリップ線路の巾を広げた金属製パッチ1を使って共振を起こして電波を放射する。
フィードポイント(給電部)を幅方向の中央(W/2)の位置に設定すれば、この点のインピーダンスがゼロなので、横方向のモードは励起できない。従って、長さ方向の寸法Lが共振周波数fo(L=λ/2で共振)を決定する。共振周波数foと、パッチのサイズの関係は次式で示される。
Figure 2007020009
ここで、Cは光速、εeffは実効誘電率、またΔLはパッチのフリンジング効果による長さである。ここで、実効誘電率は次式で求められる。
Figure 2007020009
ここで、hは誘電体基板の厚さである。例えば、εr=3.274、基板厚さ0.8mmの誘電体基板にW=10mmのマイクロストリップ線路の実効誘電率はεeff=2.984と求まる。また、フリンジング効果によるΔLと基板厚さの比は次式で表される。
Figure 2007020009
これらの式を使って、長方形パッチアンテナをかなり正確に設計することができる。例えば、高周波回路用基板であるFR4エポキシ基板(εr=4.4、基板厚さ0.8mm)を使用して共振周波数5(GHz)用パッチアンテナを設計すれば、幅Wを15mmと仮定して、まず式2より実効誘電率を求めるとεeff=4.0275と算出される。
次に、(式1)に実効誘電率及び共振周波数を代入して(L+ΔL)=14.979mm、(式3)からフリンジング効果によりΔL=0.368mm、従って、L=14.13mmが求まる。
パッチアンテナを小型化するためには、(式1)及び(式2)から判るように基板の誘電率を高くする方法が考えられる。しかし、基板の誘電率を高くすると帯域が狭くなる傾向があり、適用範囲が制限される。
他の方法としては、パッチアンテナにスリットを設ける方法が知られている。非特許文献1によれば、パッチアンテナの共振器に直交してスリットを設けることで、パッチ表面に流れる電流がスリットを迂回し、電流経路が長くなり、等価的に共振器長を長くできる。この構造は、パッチ中央部にスリットを装荷する内側装荷型と、外側より対称に2つのスリットを装荷した外側装荷型に大別される。
図11は外側スリット装荷型パッチアンテナを示す概略図である。
図中、Sはスリット、Pはパッチ、eはパッチ中心とスリット中心の距離、aはスリット長さ、Fは給電部を示す。図では、パッチに左右から凸型にスリットSが対称的に形成されている。
図11には共振時の電流の流れを模式図で示してある。
非特許文献1によれば、スリットは内側装荷型よりも外側装荷型の方が有効で、またスリットの装荷位置(e)よりも、その長さaに大きく依存していることが示されている。
図12はマイクロストリップ・パッチアンテナを示す概略図である。
このマイクロストリップ・パッチアンテナは特許文献1に開示されている「マイクロストリップ・パッチアンテナ」である。
このパッチアンテナでは、周縁部にスリットSを装荷することにより小型化した外側スリット装荷型パッチアンテナP2を、これと同一または、ほぼ同一の共振周波数を有する外部パッチアンテナP1の中央部に形成した構成とすることで、通常のパッチアンテナよりも小型化及び広帯域化を可能にしている。なお、図中、F1及びF2はそれぞれ給電部を示している。
特開平7−297628号公報 「最新平面アンテナ技術」(羽黒操 監修 総合技術センター)
しかしながら、従来の外側スリット装荷型では、スリットの長さをパッチアンテナ幅Wに制限されるので周波数可変範囲には限界があった。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、より小型化が可能な構造を有するパッチアンテナ及びパッチアンテナアレイを提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、誘電体基板上に形成された外側スリット装荷型パッチアンテナにおいて、表面に内側スリットを設けたパッチアンテナを特徴とする。
また請求項2に記載の発明は、前記内側スリットが直線型スリットである請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項3に記載の発明は、前記内側スリットが複数の直線型スリットである請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項4に記載の発明は、前記内側スリットが、前記外側スリットを囲むような凹型形状である請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項5に記載の発明は、前記内側スリットが、前記外側スリットを囲むような2つのL型スリットである請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項6に記載の発明は、前記内側スリットが、前記外側スリットを囲むような2つのL型スリット及び直線型スリットである請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項7に記載の発明は、前記外側スリットが湾曲形状であり、前記内側スリットも湾曲型スリットである請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項8に記載の発明は、前記外側スリットが湾曲形状であり、前記内側スリットは複数の湾曲型スリットである請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項9に記載の発明は、前記外側スリットが湾曲形状であり、前記内側スリットは直線型スリットである請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項10に記載の発明は、前記外側スリットが湾曲形状であり、前記内側スリットは複数の直線型スリットである請求項1記載のパッチアンテナを特徴とする。
また請求項11に記載の発明は、請求項1記載のパッチアンテナが同一基板上に複数形成されているパッチアンテナアレイであることを特徴とする。
本発明によれば、外側スリット装荷型パッチアンテナに、外側スリットを囲むように内側スリットを装荷することで、パッチ表面に電流経路を長くすることが可能になり、従来よりも小型化することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の原理は、従来の外側スリット装荷型パッチアンテナよりも小型化を可能にするために、パッチ内に発生する定在波電流の経路をより長くし、且つ集中させることで、その寄与率を高めることにある。
そのため、新たに内側スリットを装荷することを提案する。直線型の内側スリットを装荷することで、外側スリットとの間の狭い領域に電流が集中する効果が期待できる。さらに、内側スリットの端部を曲げた凹型構造とすることで、電流経路が長くなることが期待される。
図1は本発明によるパッチアンテナ構造を示す概略平面図である。図2は本発明のパッチアンテナにおける共振周波数での電流分布を示す模式図である。
図1のパッチアンテナAは、金属製パッチ1が誘電体基板2上に所定の寸法で形成された構造になっている。図1には、さらに外側スリット3、内側スリット4及び給電部5が示されている。
本発明の効果をシミュレーションにより確認した結果を次に述べる。
シミュレーションの条件は以下の通りである。
共振周波数fo=5(GHz)、基板:FR4エポキシ基板(εr=4.4、基板厚さ0.8mm)、アンテナ形状は方形で、一辺の長さは14.24mm(5GHzで共振)、そして給電はプローブ給電で、W/2でエッジから5mmの点で給電である。
シミュレーションは、従来のパッチアンテナ構造、パッチ中央に外側スリットを装荷したパッチアンテナと本発明の直線型及び凹型の内側スリットを装荷したパッチアンテナをそれぞれ計算した。計算では、給電点は固定としている。シミュレーション結果を表1に示す。
(表1)
Figure 2007020009
表1において、No1は従来の方形パッチアンテナ、No2は外側スリット装荷型パッチアンテナ、そしてNo3は直線型の内側スリットを装荷した本発明のパッチアンテナである。
また、No4は曲げ部を設けた凹型内側スリットを装荷した本発明のパッチアンテナ、そしてNo5はNo4よりも曲げ部を長くした凹型内側スリットを装荷した本発明のパッチアンテナの結果である。
表1において、項目a〜fは図1の記号に対応して各寸法が記載され、foはシミュレーションにより求めた共振周波数である。
この結果、本発明の凹型の内側スリット装荷型パッチアンテナ(No5)は、従来のパッチアンテナよりも共振周波数が83.2%に低減され、外側スリット装荷型に比べても約5%程度低減できることが明らかになった。なお、本計算は1例であり最適化された結果ではない。外側及び内側スリット寸法を最適化することで、より一層の小型化が可能であると考える。
このような、内側スリット4を装荷したことで共振周波数が低下するのは、先に延べたように定在波発生により流れるパッチ表面の電流経路が、内側スリット3を迂回することで、従来よりも長くなるためと予測される。
図2に示す電流分布図(表1のNo5のパッチアンテナにおける共振周波数)を見て判るように、発生した電流(図中矢印)は、外側及び内側スリット4、3を迂回して流れており、中央部を流れる電流よりも電流経路が長いため、低い共振周波数が得られる。また、本発明のパッチアンテナでは、中央部では高い周波数で共振し、周囲では低い周波数に共振するために広帯域アンテナを実現することができる。
図3は本発明によるパッチアンテナの第1の実施形態を示す概略図である。この第1の実施形態のパッチアンテナAは外側スリット3を装荷したパッチ1に、内側スリット4として長さ方向の寸法Lに平行な直線型スリット4cを装荷した構成となっている。以下の各実施の形態において、金属製パッチ1が誘電体基板2上に所定の寸法で形成された構造になっていることは共通である。
図3のパッチアンテナAは、裏面に金属膜が成膜されたFR4エポキシ基板(εr=4.4、基板厚さ0.8mm)を使用した。パッチアンテナAの一辺の長さは、共振周波数5(GHz)の条件から、14.24(GHz)とする。各部の寸法は表1のNo3に示したのと同じである。
シミュレーション結果から分るように、直線型の内側スリット4においても、外側スリット3を組み合わせることにより、外側及び内側スリット3、4間に電流が集中し、共振周波数の低下が起こる。
図4は本発明によるパッチアンテナAの第2の実施形態を示す概略図である。
図4に示すようにパッチアンテナAへの給電部5と内側スリット4が干渉する場合には、図に示すように給電部5付近にスリットは設けずに、複数の直線型スリット4cに分割して設けても同様の効果が得られる。
図5は本発明によるパッチアンテナの第3の実施形態を示す概略図である。図5に示すように、パッチアンテナAはより共振周波数を低下させる構造として、外側スリット3を取り囲むように先の直線型内側スリットの両端を折り曲げた凹型スリット4aを設けている。
第3の実施形態のような凹型の内側スリット4aを設けると、パッチに流れる電流はより制限され、迂回する電流経路が長くなる。従って、共振周波数を低減できる。
図6は本発明によるパッチアンテナの第4の実施形態を示す概略図である。図6に示すように、パッチアンテナAは外側スリット3のコーナー部近傍にL型の内側スリット4bを設けた構造となっている。
この構造においても、パッチに流れる電流は制限され、迂回する電流経路が長くなる。従って、共振周波数を低減できる。このように、L型スリットbとすることで、パッチ内部に給電部5を設けるさいに、内側スリット4と干渉するのを防ぐことができ、設計の自由度が高い。
図7は本発明によるパッチアンテナの第5の実施形態を示す概略図である。
図7に示す第5の実施形態のパッチアンテナAにおいて、外側スリット3のコーナー部近傍にL型の内側スリット4bを設け、さらに両L型スリットの間に直線型スリット4cを設けた構造となっている。
この構造においても、パッチに流れる電流は制限され、迂回する電流経路が長くなる。従って、共振周波数を低減できる。このように、L型スリット4bと直線型スリット4cに分割することで、パッチ内部に給電部5を設けるさいにこれのスリット4b、4cと干渉するのを防ぐことができ、設計の自由度が高い。
図8は本発明によるパッチアンテナの第6の実施形態を示す概略図である。
図8に示す第6の実施形態のパッチアンテナAにおいて、外側スリット3は湾曲した曲線とし、内部スリット4も同様に湾曲させた構造としている。
このように外側及び内側に湾曲したスリット3、4を設けても、パッチに流れる電流はこれらのスリット3、4で制限され、電流経路が長くなる。従って、共振周波数を低減できる。
また、内側スリット4は給電部5との干渉を避けるために、複数に分割しても同様な効果が得られる。また、図示しないが、内側スリットは単独の直線型でも、複数の直線型スリットで構成しても同様な効果が得られる。
図9は本発明によるパッチアンテナの第7の実施形態を示す概略図である。
図9に示すように、本発明のパッチアンテナAを複数配置したアレイアンテナでは、従来よりもアンテナ密度を高めることができるので、小型化することができる。なお、図では1次元配置のみを示したが、2次元に配置することも可能である。
図示してないが、パッチアンテナは、共振方向にも外側スリットを設けた構造となっている。このように共振方向にスリットを設けることで、中央部で共振する周波数は高周波側にシフトするために、より広帯域に共振特性を有する広帯域アンテナを実現することができる。
本発明によるパッチアンテナ構造を示す概略平面図である。 本発明のパッチアンテナにおける共振周波数での電流分布を示す模式図である。 本発明によるパッチアンテナの第1の実施形態を示す概略図である。 本発明によるパッチアンテナの第2の実施形態を示す概略図である。 本発明によるパッチアンテナの第3の実施形態を示す概略図である。 本発明によるパッチアンテナの第4の実施形態を示す概略図である。 本発明によるパッチアンテナの第5の実施形態を示す概略図である。 本発明によるパッチアンテナの第6の実施形態を示す概略図である。 本発明によるパッチアンテナの第7の実施形態を示す概略図である。 従来のパッチアンテナを示す概略図である。 外側スリット装荷型パッチアンテナを示す概略図である。 マイクロストリップ・パッチアンテナを示す概略図である。
符号の説明
A パッチアンテナ、1 金属製パッチ、2 誘電体基板、3 外側スリット、4 内側スリット、4a 凹型スリット、4b L型スリット、4c 直線型スリット、5 給電部

Claims (11)

  1. 誘電体基板上に形成された外側スリット装荷型パッチアンテナにおいて、表面に内側スリットを設けたことを特徴とするパッチアンテナ。
  2. 前記内側スリットは、直線型スリットであることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  3. 前記内側スリットは、複数の直線型スリットであることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  4. 前記内側スリットは、前記外側スリットを囲むような凹型形状であることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  5. 前記内側スリットは、前記外側スリットを囲むような2つのL型スリットであることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  6. 前記内側スリットは、前記外側スリットを囲むような2つのL型スリットと直線型スリットであることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  7. 前記外側スリットは湾曲形状であり、前記内側スリットも湾曲型スリットであることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  8. 前記外側スリットは湾曲形状であり、前記内側スリットは複数の湾曲型スリットであることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  9. 前記外側スリットは湾曲形状であり、前記内側スリットは直線型スリットであることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  10. 前記外側スリットは湾曲形状であり、前記内側スリットは複数の直線型スリットであることを特徴とする請求項1記載のパッチアンテナ。
  11. 請求項1記載のパッチアンテナが同一基板上に複数形成されていることを特徴とするパッチアンテナアレイ。
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