JP2007019381A - 半導体レーザ - Google Patents

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Abstract

【課題】大出力であっても、発光効率を低下させることなく、戻り光による影響を低減することの可能な半導体レーザを提供する。
【解決手段】リング形状の活性領域12Aをなすレーザ構造と、同じくリング形状の活性領域12Bをなすレーザ構造とを備え、これらのレーザ構造が光学的に結合されている。活性領域12A,12Bは、全体として1つの共振器を構成している。活性領域12A,12Bは、活性層12内に折り畳まれた状態となっており、活性領域12A,12B全体の共振器長は、通常のレーザ構造における単一帯状の活性領域のそれと対比すると、折り畳んだ分だけ長い。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ワット級の出力が要求される技術分野に好適に用いられる半導体レーザに関する。
半導体レーザは戻り光に非常に弱いことが一般に知られている。戻り光とは、半導体レーザから出射した光が、被照射面や、被照射面までの光路中に設けられたレンズや光ファイバなどの光学部品の表面などで反射して、半導体レーザに戻ってくる光のことである。これら外部素子の表面と半導体レーザの端面とが新たな共振器を構成し、これにより発生するノイズは半導体レーザの特性に大きな影響を及ぼす。このため、ワット級の出力を持つ高出力型半導体レーザを、固体レーザの励起用光源や、直接加工(レーザ溶着、レーザ溶接、マーキングなど)用の光源として利用する技術分野では、戻り光が特に問題となっている。
具体的には、固体レーザの励起用光源の分野では、レーザ媒質の吸収波長が決まっているため、半導体レーザの波長は常にレーザ媒質の吸収スペクトルに対応していることが必要である。しかし、戻り光がある場合は、戻り光によって半導体レーザの波長やスペクトラムの形状が乱れるため、固体レーザの出力光が不安定になる。一方、直接加工用の光源の分野では、光のエネルギーを熱エネルギーに変え、物質を溶かすなどして加工を行うものであるので、半導体レーザの出力は常に安定していることが必要である。しかし、戻り光がある場合には、その影響で半導体レーザがモードホップを起こして出力が不安定になり、近視野像が変化するため、加工むらが生じる。戻り光による影響を抑制する技術として、例えば、特許文献1では、テーパ型(フレア型)の半導体レーザが開示されている。
特許第3304140号
しかし、この半導体レーザは、構造上本質的に発光効率が低く、ワット級の大きな出力が要求される技術分野には向かないという問題がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、大出力であっても、発光効率を低下させることなく、戻り光による影響を低減することの可能な半導体レーザを提供することにある。
本発明の半導体レーザは、リング形状の活性領域をなすレーザ構造が光学的に複数結合されたものである。光学的に結合された全ての活性領域は、全体として1つの共振器を構成している。
本発明の半導体レーザでは、光学的に結合された全ての活性領域が全体として1つの共振器を構成しているので、活性領域から単一共振周波数のレーザ光が効率よく出射される。ここで、活性領域全体は、半導体レーザ内にいわば折り畳まれた状態となっている。そのため、活性領域全体の共振器長は、通常のレーザ構造における単一帯状の活性領域のそれと対比すると、折り畳んだ分だけ長くなる。
本発明の半導体レーザによれば、光学的に結合された全ての活性領域を全体として1つの共振器となるように構成したので、活性領域全体の実効的な共振器長を長くすることができる。これにより、発光効率を低下させることなく、戻り光による影響を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ1の概略構成を表すものである。図2(A)は図1の半導体レーザ1のA−A矢視方向の断面構成を、図2(B)は図1の半導体レーザ1のB−B矢視方向の断面構成を、図3は図1の半導体レーザ1のC−C矢視方向の断面構成をそれぞれ表すものである。この半導体レーザ1は、例えば、端面での光スポットの幅が10μm以上のブロードエリア型の素子であり、リング形状の活性領域をなすレーザ構造が光学的に複数結合されたものである。
半導体レーザ1は、基板10の一面側に、n型クラッド層11,活性層12およびp型クラッド層13をこの順に積層してなるレーザ構造を有する。ここで、p型クラッド層13の上部には、レーザ光の射出方向(軸方向)に細長いリング形状のリッジ部(突条部)14A,14Bが、横方向に並列に形成されている。ここで、横方向とは、軸方向およびレーザ構造を積層した方向(縦方向)に垂直な方向である。また、p型クラッド層13の上面のうちリッジ部14A,14Bの形成されていない領域に、絶縁層15が形成されている。
基板10、n型クラッド層11,活性層12およびp型クラッド層13は、例えばGaAs(ガリウム・ヒ素)系の化合物半導体によりそれぞれ構成されている。なお、GaAs系化合物半導体とは、短周期型周期表における3B族元素のうち少なくともガリウム(Ga)と、短周期型周期表における5B族元素のうち少なくともヒ素(As)とを含む化合物半導体のことをいう。
基板10は、例えばn型GaAsにより構成されている。n型不純物は、例えばケイ素(Si)またはセレン(Se)などである。n型クラッド層11は、例えばn型Ala Ga1-a-b Inb P(0<a<1,0<b<1)により構成されている。
活性層12は、例えば不純物が含まれていないGac In1-c P(0<c<1)により構成されている。この活性層12は、リッジ部14A,14Bに対向する領域に活性領域12A,12Bを、それ以外の領域に不活性領域12Cをそれぞれ有している。したがって、活性領域12A,12Bは、リッジ部14A,14Bと同様のリング形状となっており、横方向に並列に接続されると共に、互いに光学的に結合(例えば、エバネッセント波で結合)されている。このように、活性領域12A,12Bは、活性層12内に折り畳まれた状態となっている。また、活性領域12A,12Bは、全体で1つの共振器を構成している。なお、本実施の形態では、個々の活性領域12A,12Bは、軸方向に関して対称な形状となっており、かつ、互いに同じ形状となっているものとする。
ここで、活性領域12A,12Bは、リッジ部14A,14Bおよび絶縁層15で狭窄された電流が注入される電流注入領域に対応すると共に、その領域で電子と正孔の再結合による生じた発光光が誘導放出を繰り返し、一対の反射膜(後述)で反射されながら進んでいく光導波領域に対応している。そのため、活性領域12A,12Bの共振器長は、通常のレーザ構造における単一帯状の活性領域のそれと対比すると、折り畳んだ分だけ長くなる。さらに、例えば、図4および図5に示したように、活性領域12A,12B,12D,12E,12F,12Gを、活性領域全体が1つの共振器となるように1次元または2次元に多数折り畳んで、活性領域の共振器長をさらに長くしてもよい。なお、図3および図4では光出射口を端に設けているが、これは端面吸収によって発生する熱を放散しやすくするためであるが、端以外の部位、例えば図6に示したように、活性領域12Eに対応する領域に光出射口を設けてもよい。
上記したように、図3に示した活性領域12A,12Bや、図4および図5に示した活性領域12A,12B,12D,12E,12F,12Gは、全体で1つの共振器を構成している。このように、本実施の形態の半導体レーザ1では、活性領域全体が1つの共振器となるように構成することにより、単一の発振周波数のレーザ光が出射されるようになっている。仮に、個々の活性領域が固有の共振器特性を有するように構成すると、共振モードの競合が発生し、それにより複数の発振周波数を有するレーザ光が出射されたり、共振器特性が悪化する。例えば、図7に示した構成は、活性領域全体が1つの共振器となっておらず、しかも光L1が完全に内部に閉じ込められてしまうので、好ましくない。したがって、活性領域全体が1つの共振器となるように構成することが最低限必要である。なお、単一の発振周波数のレーザ光を最も効率良く出射するのに必要な条件については後述する。
p型クラッド層13は、例えばp型Ald Ga1-d-e Ine P(0<d<1,0<e<1)により構成されている。p型不純物は、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)などである。絶縁層15は、例えばSiO2 やSiNなどの絶縁材料により構成されている。リッジ部14A,14Bおよび絶縁層15は、活性層12の電流注入領域を制限すると共に、横方向の光モードを安定に制御し、軸方向に導波させるようになっている。
また、この半導体レーザ1は、リッジ部14A,14Bの上面および側面にp側電極16を、基板10の裏面にn側電極17をそれぞれ有している。p側電極16は、例えば、チタン(Ti)層,白金(Pt)層および金層をp型クラッド層13および絶縁層15上にこの順に積層したものであり、p型クラッド層13と電気的に接続されている。n側電極17は、例えば、チタン(Ti)層,白金(Pt)層および金(Au)層をこの順に積層したものであり、基板10と電気的に接続されている。
また、図1および図3に示したように、光出射側の端面(前端面)に前端面反射膜18A,18Bが、光反射側の端面(後端面)に後端面反射膜19がそれぞれ形成されている。前端面反射膜18Aは、活性領域12Aに対応する領域を含む領域に形成されており、光閉じ込め領域に対応している。前端面反射膜18Bは、活性領域12Bに対応する領域を含む領域に形成されており、光出射領域に対応している。このように、本実施の形態では、光出射口が1つ設けられており、後述するように、その光出射口から2つのレーザ光20A,20Bが出射されるようになっている。
前端面反射膜18Aおよび後端面膜反射膜19は、例えば、後端面上に屈折率n1、膜厚λ/(4n1)(λは発振波長)の反射膜および屈折率n2(>n1)、膜厚λ/(4n2)の反射膜を1組とする層を1または複数積層して構成された高反射率膜である。一方、前端面反射膜18Bは、例えば、前端面上に屈折率n3、膜厚λ/(4n3)の反射膜および屈折率n4(<n3)、膜厚λ/(4n4)の反射膜を1組とする層を1または複数積層して構成された低反射率膜である。
次に、単一の発振周波数のレーザ光を最も効率良く出射するのに必要な条件について説明する。なお、以下では、活性領域12Aが図3に示したような中抜きの多角形状となっている場合を例にして説明する。
図8は、活性領域12Aの平面構成を表すものである。活性領域12Aは、上記したように、中抜きの多角形状となっている。この活性領域12Aでは、長手方向(軸方向)の長さがL、長さLのうち軸方向と平行な辺の長さがLA 、長さLのうちテーパ状となっている辺の長さがLB 、そのテーパ状の辺と軸方向と平行な線分とのなす角がθB 、横方向の長さがW、長さWのうち横方向と平行な辺の長さをWA 、長さWのうちテーパ状となっている辺の長さがWB となっている。また、中抜き部分は菱形となっており、その一辺と軸方向と平行な線分とのなす角がθI 、菱形の長手方向(軸方向)の対角線の長さがLI 、菱形の横方向の対角線の長さがWI となっている。なお、リッジ導波路における実効屈折率差をΔn、リッジ部14(p型クラッド層13)の屈折率をnA とする。
側面22での内部全反射の臨界角θC は、
θC =arcsin(1−Δn/nA )…(1)
で与えられる。そこで、まず、nA と、Δnを設定してθC を決定する。
最低次のリング共振モードの前端面に対する入射角(または反射角)をψとすると、
ψ=arctan(W/L)…(2)
で与えられる。
このモードがカットオフにならないためには、
ψ≦(π/2)−θC …(3)
を満たすことが必要である。
式(3)へ式(1)、式(2)を代入すると、
W≦Ltan[(π/2)−arcsin(1−Δn/nA )]…(4)
が得られる。そこで、この式を満たすWおよびLを任意に設定する。
一方、最低次のリング共振モードの導波損失が最小となるためには、
θB =θI =ψ…(5)
を満たすことが必要である。したがって、最低次のリング共振モードの発光効率を最大にするためには、中抜き部分の一辺S1と、その一辺と対向するテーパ状の一辺S2とが互いに平行となるようにすることが必要である。
なお、WA ≧WI とすると、前端面と後端面との間で通常のストライプ型の半導体レーザと同様の直線共振モードが発振し、これにより、複数の共振周波数を有するレーザ光が出射されてしまうので、この直線共振モードをカットオフすることが必要となる。そこで、不活性領域12Bのうちリングの外側に位置する部分と、中抜き部分との横方向での重なりを表す指標としてKF を、
F =(WB /(W/4))−1…(6)
と定義すると、直線共振モードをカットオフするには、
0<KF …(7)
を満たすことが必要である。さらに、活性領域12Aの面積が前端面および後端面においてなくならないようにするには、
F <1…(8)
を満たすことが必要である。よって、KF は、
0<KF <1…(9)
を満たすことが必要である。
次に、このKF を用いて、WA 、WB 、WI 、LA 、LB 、LI を導出する。
式(6)を変形すると、
B =(1+KF )W/4…(10)
となる。
A =W−2WB より、
A =(1−KF )W/2…(11)
となる。
I =2WB とすると、
I =(1+KF )W/2…(12)
となる。
式(5)、式(10)および式(12)を式(2)へ代入し、WB とθB 、WI とθI の関係を考慮すると、
B =(1+KF )L/4…(13)
I =(1+KF )L/2…(14)
となる。
A =L−2LB より、
A =(1−KF )L/2…(15)
となる。したがって、KF を任意に設定して、WA 、WB 、WI 、LA 、LB 、LI を決定する。
例えば、p型クラッド層13をp型Ald Ga1-d-e Ine Pにより構成し、図9に示したように、p型クラッド層13のうちリッジ状になっている部分の高さH1を0.8μm、リッジ状になっていない平坦な部分の高さH2を0.1μmに設定すると、Δn=0.007が得られる。このとき、nA =3.2となるので、式(1)より、θC =86.2°が得られる。これを式(3)へ代入すると、ψ≦3.8°が得られる。次に、L=1000μmとして、上で得られたθC を式(4)へ代入すると、W≦66μmが得られる。そこで、W=60μm、KF =0.2に設定すると、WA =24μm、WB =18μm、WI =36μm、LA =400μm、LB =300μm、LI =600μmが得られる。このようにして、単一の発振周波数のレーザ光を最も効率良く出射するのに必要な条件が設定される。
このような構成の半導体レーザ1は、例えば次のようにして製造することができる。
上記の構成で例示したGaAs系の化合物半導体で半導体レーザ1を製造するためには、基板10上の化合物半導体層を、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition ;有機金属化学気相成長)法により形成する。この際、III−V族化合物半導体の原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMIn)、フォスフィン(PH3 )を用い、ドナー不純物の原料としては、例えば、H2 Seを用い、アクセプタ不純物の原料としては、例えば、ジメチルジンク(DMZ)を用いる。
具体的には、まず、基板10上に、n型クラッド層11,活性層12,p型クラッド層13をこの順に積層したのち、p型クラッド層13上にマスク層(図示せず)を形成し、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)法、またはウエットエッチング法により、p型クラッド層13の上部を選択的に除去する。これにより、p型クラッド層13の上部に、軸方向に延在するリング形状のリッジ部14A,14Bが、横方向に並列に形成される。その後、上記マスク層を除去する。
次に、p型クラッド層13の上面のうち絶縁層15を形成することとなる部分以外の領域にマスク層R(図示せず)を形成したのち、絶縁材料を堆積させて絶縁層15を形成する。その後、マスク層Rを除去する。さらに、例えば、基板10の裏面側をラッピングして基板10の厚さを適切な厚さに調節し、その裏面側にn側電極17を形成する。次に、リッジ部14および絶縁層15の上面に金属材料を成膜してp側電極16を形成する。その後、軸方向の一対の端面に高反射率膜を形成したのち、前端面に形成した高反射率膜のうち活性領域12Bに対応する領域を含む部分を選択的に除去する。その後、その部分に低反射率膜を形成する。これにより、前端面反射膜18A,18Bおよび後端面反射膜19が形成される。このようにして半導体レーザ1が形成される。
次に、本実施の形態の半導体レーザ1の作用について説明する。
半導体レーザ1では、n側電極17と、p側電極16との間に所定の電圧が印加されると、リッジ部14A,14Bおよび絶縁層15により電流狭窄され、活性層12の電流注入領域(活性領域12A)に電流が注入され、これにより電子と正孔の再結合による発光が生じる。この光は、前端面反射膜18A,18Bおよび後端面反射膜19により反射され、活性層12内に折り畳まれた光導波領域(活性領域12A)を一巡したときの位相の変化が2πの整数倍となる波長でレーザ発振を生じ、レーザビーム20A,20Bとして前端面反射膜18Bから外部に射出される。このとき、レーザビーム20A,20Bのそれぞれの出力は、活性領域12A,12Bが軸方向に関して対称な形状となっていることから、同じである。また、レーザビーム20A,20Bのそれぞれの出射角は、活性領域12A,12Bの形状によって異なるが、例えば上記した最適条件に設定した場合は、およそ12°である。
一般に、半導体レーザの出射光が被照射面で反射されて戻り光として戻ってくると、この戻り光による影響を受けて、半導体レーザの波長やスペクトラムの形状が乱れたり、出力光が不安定になる。一般に、戻り光による影響の大きさは、以下の指標で評価される。
((1−Rf )/τin)(Rex/Rf 0.5 …(16)
ここで、Rf は光出射口の強度反射率、Rexは、出射光の強度に対する戻り光の強度の割合、τinは、半導体レーザの共振器における1往復に要する時間である。
この指標から、光出射口の反射率Rf か、1往復に要する時間τinの少なくとも一方を大きくすればよいことがわかる。しかし、高出力型半導体レーザでは、光出射口の反射率Rf を大きくすると、半導体レーザ内部の光強度が大きくなりすぎて、端面破壊を引き起こしてしまう。そのため、高出力を維持したままで戻り光の影響を低減するには、τinを大きくする必要がある。ところが、単純に半導体レーザの軸方向の長さを長くすると、製造工程において、ペレタイズ等の工程で高度な技術が必要となり、歩留りの低下やコスト増大等の問題が発生してしまう。このように、従来の方策では、戻り光による影響を低減することが極めて困難であった。
一方、本実施の形態の半導体レーザ1では、活性領域12A,12Bが、リッジ部14A,14Bと同様のリング形状(中抜きの多角形状)となっており、横方向に並列に接続されると共に、互いに光学的に結合されている。これら活性領域12A,12Bは、活性層12内に折り畳まれた状態となっており、活性領域12A,12Bの共振器長は、通常のレーザ構造における単一帯状の活性領域のそれと対比すると、折り畳んだ分だけ長くなっている。これにより、実効的な共振器長を長くすることができるので、戻り光による影響を低減することができる。
例えば、図3に示した活性領域12A,12Bの共振器長は、通常のレーザ構造における単一帯状の活性領域のそれと対比すると、2倍以上の長さになる。また、図4および図5に示した、活性領域12A,12B,12C,12D,12E,12F,12Gの共振器長は、同様に、6倍以上の長さになる。したがって、前者のケースでは、戻り光による影響を1/2以上に、後者のケースでは、1/6以上に低減することができる。
また、これら活性領域12A,12Bは、全体で1つの共振器を構成しており、所定の条件を満たすように設定することにより、単一の発振周波数のレーザ光をより効率良く出射することができる。
これより、本実施の形態の半導体レーザ1では、発光効率を低下させることなく、戻り光による影響を低減することができる。
また、上記したように、活性領域12A,12Bは、活性層12内部に折り畳まれており、半導体レーザ1の軸方向の長さを長くする必要がないので、従来型の素子よりも素子サイズを小さくすることができる。また、これら活性領域12A,12Bの形状を司るリッジ部14は、通常の製造プロセスで形成することができる。これにより、本実施の形態の半導体レーザ1では、歩留りの低下やコストの増大等の問題が発生する虞はない。
また、光出射口の反射率Rf を大きくする必要がないので、端面破壊を引き起こす虞もない。
また、上記したように、これら活性領域12A,12Bは、活性層12内部に折り畳まれ、アレイ状に配置されているので、1つの素子に対するペレタイズに要する余白部分(図示せず)を減らすことができる。これにより、1枚のウェハから採れる素子数が増加し、コストを削減することができる。また、レーザの素子サイズを横方向に大きくすることができるので、製造時の取り扱いが容易になる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。
例えば、上記実施の形態では、リング形状の活性領域12A,Bをなすレーザ構造が互いに接続されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、リング形状の活性領域12A,Bをなすレーザ構造が光学的に結合されていれば、どのような構成となっていてもよい。
また、上記実施の形態では、光出射口を1つだけ設けていたが、図10ないし図16に示したように、光出射口を2つ以上設けてもよい。ここで、図10、図11、図14、図15および図16のように、光出射口を等間隔に並べると、それぞれの光出射口から出射したレーザ光は、互いにコヒーレントであるので、互いに干渉し合い、その結果、非常に狭い遠視野像を得ることが可能となる。したがって、このような構成の半導体レーザは、微細加工に適している。また、図12および図13のように、光出射口を前端面側および後端面側にそれぞれ設けることにより、出射方向が互いに180°異なるレーザ光を同時に出力することが可能となる。なお、これらの半導体レーザは、光スイッチや光分配器として応用することも可能である。
また、上記実施の形態では、活性領域12A,12Bは、互いに同じ形状を有していたが、互いに異なる形状を有していてもよい。例えば、図17に示したように、活性領域12A,12Bのうち光出射口に対応する方(活性領域12B)の形状を、非対称としてもよい。具体的には、一方の光導波路12B−1の幅を、他方の光導波路12B−2の幅より狭くして非対称にする。このように活性領域12Bを非対称とすると、幅の狭い光導波路12B−1から外部へ出射されるレーザ光20Aの光強度が弱まり、他方、幅の広い光導波路12B−2から外部へ出射されるレーザ光20Bの光強度が強まるようになる。このように、活性領域12Bを非対称とすることにより、光出射口から出射されるレーザ光20A,20Bのうち一方だけ主に出射されるようにすることが可能となる。なお、図16に示した活性領域12Bは、テーパ型半導体レーザの活性領域を折り畳んだ形となっていることから、テーパ型半導体レーザの特徴をも備えている。
また、上記実施の形態では、リッジ部14の平面形状をリング形状とすることにより活性領域12A,12Bがリング形状となるようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図18に示したように、活性層12そのものをリング形状に加工して、活性層12を活性領域とすると共に、活性層12の周辺をp型クラッド層23で埋めて不活性領域としてもよい。また、図19に示したように、p側電極26の平面形状をリング形状に加工すると共に、p側電極26の周辺領域を絶縁層25で埋めて、活性層12のうちp側電極16と対応する領域を活性領域とすると共に、絶縁層25と対応する領域を不活性領域としてもよい。
また、上記実施の形態では、AlGaInP系の化合物半導体レーザ素子を例にして本発明を説明したが、他の化合物半導体レーザ素子、例えばAlInP系などの赤色半導体レーザ素子、GaInN系およびAlGaInN系などの窒化ガリウム系の半導体レーザ素子、ZnCdMgSSeTeなどのII−VI族の半導体レーザ素子にも適用可能である。また、AlGaAs系、InGaAs系、InP系などの、発振波長が可視域とは限らないような半導体レーザ素子にも適用可能である。
また、上記実施の形態では、インデックスガイド構造の半導体レーザ素子を例に挙げて、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構造、例えば、ゲインガイド構造の半導体レーザ素子に対しても、側面22をRIE法等により形成し、反射面とすることにより適用可能である。
本発明の一実施の形態に係る半導体レーザの斜視図である。 図1の半導体レーザのA−A矢視方向およびB−B矢視方向の断面構成図である。 図1の半導体レーザのC−C矢視方向の断面構成図である。 一変形例に係る半導体レーザのC−C矢視方向の断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 比較例に係る半導体レーザの断面構成図である。 図3の活性領域の設計寸法を説明するための平面構成図である。 図2のリッジ部14Aを拡大して表す断面構成図である。 一変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの断面構成図である。 他の変形例に係る半導体レーザの上面構成図である。
符号の説明
1…半導体レーザ、10…基板、11…n型クラッド層、12…活性層、12A,12B,12D,12E,12F,12G,…活性領域、12C…不活性領域、13,23…p型クラッド層、14A,14B…リッジ部、15,25…絶縁層、16,26…p側電極、17…n側電極、18A,18B…前端面反射膜、19,19A,19B…後端面反射膜、20A,20B,21A,21B…出射光、22…側面。

Claims (4)

  1. リング形状の活性領域をなすレーザ構造が光学的に複数結合された半導体レーザであって、
    前記光学的に結合された全ての活性領域が全体として1つの共振器を構成する
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 前記レーザ構造は、1次元または2次元に配列されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
  3. 前記レーザ構造の個々の活性領域の形状は、共振器の長手方向に関して対称である
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
  4. 前記レーザ構造の個々の活性領域の形状は、共振器の長手方向に関して非対称である
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
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