JP2007019037A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気抵抗が小さく、密着力があり、且つ3相界面を多く取り得る電極構成の単セル、セル板及び単セルの製造方法、並びにこれらを備えた固体電解質型燃料電池を提供すること。
【解決手段】固体電解質層を空気極及び燃料極で挟持して成り、固体電解質層と空気極・燃料極との間に導電性接着層を配設し、この導電性接着層が、銀、ビスマス酸化物、又は低融点ガラスフリット、ニッケル、ニッケル−クロム合金及びニッケル−鉄合金などの金属、若しくはニッケル酸化物を含み、銀、白金、金、チタン、タングステン、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、マンガン及びクロムなどの金属、La0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3及びLSCなどのランタン複合酸化物を含んで成る、銀主成分材料やビスマス酸化物主成分材料を用いて成る燃料電池用単セルである。
【選択図】図1
【解決手段】固体電解質層を空気極及び燃料極で挟持して成り、固体電解質層と空気極・燃料極との間に導電性接着層を配設し、この導電性接着層が、銀、ビスマス酸化物、又は低融点ガラスフリット、ニッケル、ニッケル−クロム合金及びニッケル−鉄合金などの金属、若しくはニッケル酸化物を含み、銀、白金、金、チタン、タングステン、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、マンガン及びクロムなどの金属、La0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3及びLSCなどのランタン複合酸化物を含んで成る、銀主成分材料やビスマス酸化物主成分材料を用いて成る燃料電池用単セルである。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体電解質を用い、電気化学反応により電気エネルギーを得る固体電解質型燃料電池(SOFC)に係り、更に詳細には、固体電解質を電極で挟持して成る単セル、セル板及び単セルの製造方法、並びにこれらを備えた固体電解質型燃料電池に関する。
近年、高エネルギー変換が可能で、地球環境に優しいクリーンエネルギー源として燃料電池が注目されている。
固体酸化物燃料電池(以下、「SOFC」と略す)は、通常2つの電極、即ち空気極と燃料極で固体酸化物電解質を挟持して構成される。かかる2つの電極は、それぞれ異なる材料で構成され、形態的には以下のような構成が求められる。
(1)電極/電解質界面での電気化学的反応を促進させるため、電極材料、電解質及び反応ガスで形成される3相界面(三相帯)が多くなるように、電極を多孔質とする。
(2)反応ガスを電気化学的な反応場である電極/電解質界面に抵抗なく導くため、電極を多孔質にする。
(3)燃料電池のエネルギー変換効率を向上させるため、電極の電気抵抗を小さくする。
固体酸化物燃料電池(以下、「SOFC」と略す)は、通常2つの電極、即ち空気極と燃料極で固体酸化物電解質を挟持して構成される。かかる2つの電極は、それぞれ異なる材料で構成され、形態的には以下のような構成が求められる。
(1)電極/電解質界面での電気化学的反応を促進させるため、電極材料、電解質及び反応ガスで形成される3相界面(三相帯)が多くなるように、電極を多孔質とする。
(2)反応ガスを電気化学的な反応場である電極/電解質界面に抵抗なく導くため、電極を多孔質にする。
(3)燃料電池のエネルギー変換効率を向上させるため、電極の電気抵抗を小さくする。
上述のような構成とするため、従来は電極材料の微細粉をペースト化し、これを印刷法、浸漬法で電解質に塗布・焼成して燃料電池を作製していた(例えば非特許文献1参照。)。
しかしながら、このような燃料電池の構成や製法では、以下のような課題があった。
(1)電極と電解質との密着性を確保するために、電気化学的に関与しない又は阻害する接着剤、具体的には、ガラスを主成分とする無機接着剤を上記ペーストに混合していた。
(2)電極の電気抵抗を小さくするため、電気化学的な反応場の形成に不適切な厚さの電極を用いていた。
田川博章著,「固体酸化物型燃料電池と地球環境」,アグネ承風社,12章 固体酸化物燃料電池の構成と製造法,p.247〜278,p.174〜175
しかしながら、このような燃料電池の構成や製法では、以下のような課題があった。
(1)電極と電解質との密着性を確保するために、電気化学的に関与しない又は阻害する接着剤、具体的には、ガラスを主成分とする無機接着剤を上記ペーストに混合していた。
(2)電極の電気抵抗を小さくするため、電気化学的な反応場の形成に不適切な厚さの電極を用いていた。
田川博章著,「固体酸化物型燃料電池と地球環境」,アグネ承風社,12章 固体酸化物燃料電池の構成と製造法,p.247〜278,p.174〜175
一方、低温(800℃以下)作動用SOFCの電極材料としては、高性能のLSC(ランタン−ストロンチウム−コバルト複合酸化物)などが有力であるが、LSCは1000℃以上でYSZと反応し、反応生成物が電池性能を低下させるため、YSZを電解質として用いた場合には、LSCを電極として使用できないことがあった(上記非特許文献1参照。)。
従って、電極材料にLSC、電解質材料にYSZを用いた低温作動SOFCを製造するにはその製造プロセスを1000℃未満にする必要がある。
従って、電極材料にLSC、電解質材料にYSZを用いた低温作動SOFCを製造するにはその製造プロセスを1000℃未満にする必要がある。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電気抵抗が小さく、密着力があり、且つ3相界面を多く取り得る電極構成の単セル、セル板及び単セルの製造方法、並びにこれらを備えた固体電解質型燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電極(燃料極及び空気極)を積層構造とし、所定の導電性接着層を固体電解質層と電極との間に配設することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の燃料電池用単セルは、固体電解質層を空気極及び燃料極で挟持して成る固体電解質型燃料電池用の単セルであって、
上記固体電解質層と上記空気極及び/又は燃料極との間に導電性接着層を配設し、この導電性接着層が、電子導電性及びイオン導電性を有し、該空気極及び/又は燃料極と該固体電解質層とを電気的且つ機械的に接合して成り、
上記導電性接着層が、銀又は銀を主成分とする材料で、
上記銀を主成分とする材料が、低融点ガラスフリット、ニッケル、ニッケル−クロム合金及びニッケル−鉄合金から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はニッケル酸化物を含み、銀、白金、金、チタン、タングステン、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、マンガン及びクロムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はLa0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3及びランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)から成る群より選ばれた少なくとも1種のランタン複合酸化物を含んで成ることを特徴とする。
上記固体電解質層と上記空気極及び/又は燃料極との間に導電性接着層を配設し、この導電性接着層が、電子導電性及びイオン導電性を有し、該空気極及び/又は燃料極と該固体電解質層とを電気的且つ機械的に接合して成り、
上記導電性接着層が、銀又は銀を主成分とする材料で、
上記銀を主成分とする材料が、低融点ガラスフリット、ニッケル、ニッケル−クロム合金及びニッケル−鉄合金から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はニッケル酸化物を含み、銀、白金、金、チタン、タングステン、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、マンガン及びクロムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はLa0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3及びランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)から成る群より選ばれた少なくとも1種のランタン複合酸化物を含んで成ることを特徴とする。
また、本発明の他の燃料電池用単セルは、固体電解質層を空気極及び燃料極で挟持して成る固体電解質型燃料電池用の単セルであって、
上記固体電解質層と上記空気極及び/又は燃料極との間に導電性接着層を配設し、この導電性接着層が、電子導電性及びイオン導電性を有し、該空気極及び/又は燃料極と該固体電解質層とを電気的且つ機械的に接合して成り、
上記導電性接着層が、ビスマス酸化物又はビスマス酸化物を主成分とする材料で、
上記ビスマス酸化物を主成分とする材料が、低融点ガラスフリット、ニッケル、ニッケル−クロム合金及びニッケル−鉄合金から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はニッケル酸化物を含み、銀、白金、金、チタン、タングステン、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、マンガン及びクロムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はLa0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3及びランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)から成る群より選ばれた少なくとも1種のランタン複合酸化物を含んで成ることを特徴とする。
上記固体電解質層と上記空気極及び/又は燃料極との間に導電性接着層を配設し、この導電性接着層が、電子導電性及びイオン導電性を有し、該空気極及び/又は燃料極と該固体電解質層とを電気的且つ機械的に接合して成り、
上記導電性接着層が、ビスマス酸化物又はビスマス酸化物を主成分とする材料で、
上記ビスマス酸化物を主成分とする材料が、低融点ガラスフリット、ニッケル、ニッケル−クロム合金及びニッケル−鉄合金から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はニッケル酸化物を含み、銀、白金、金、チタン、タングステン、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、マンガン及びクロムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はLa0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3及びランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)から成る群より選ばれた少なくとも1種のランタン複合酸化物を含んで成ることを特徴とする。
更に、本発明の燃料電池用単セルの好適形態は、上記導電性接着層の膜厚tと、上記空気極及び/又は燃料極の構成粒子の平均粒径dとが、t≦dの関係を満たすことを特徴とする。
更にまた、本発明の燃料電池用単セルの他の好適形態は、上記導電性接着層の膜厚tが、0.1μm≦t≦5μmであることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用セル板は、上記燃料電池用単セルを、積層方向とほぼ垂直の方向へ2次元的に複数個連結し一体化して成ることを特徴とする。
更に、本発明の固体電解質型燃料電池は、上記燃料電池用単セル、又は上記燃料電池用セル板を用いて成ることを特徴とする。
更にまた、本発明の燃料電池用単セルの製造方法は、本発明の燃料電池用単セルの更に他の製造方法は、上記燃料電池用単セルを製造する方法であって、
上記固体電解質層上に導電性接着層を形成する工程(I)と、該導電性接着層上に電極材料粉を塗布する工程(II)と、熱処理により該固体電解質及び電極材料を焼成し、接合する工程(III)と、を行うことを特徴とする。
上記固体電解質層上に導電性接着層を形成する工程(I)と、該導電性接着層上に電極材料粉を塗布する工程(II)と、熱処理により該固体電解質及び電極材料を焼成し、接合する工程(III)と、を行うことを特徴とする。
本発明によれば、電極(燃料極及び空気極)を積層構造とし、所定の導電性接着層を固体電解質層と電極との間に配設することとしたため、電気抵抗が小さく、密着力があり、且つ3相界面を多く取り得る電極構成の単セル、セル板及び単セルの製造方法、並びにこれらを備えた固体電解質型燃料電池を提供できる
以下、本発明の固体電解質型燃料電池用の単セル及びセル板について詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、濃度、含有量、充填量などについての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
また、説明の便宜上、基板や電極層など各層の一方の面を「上面、表面」、他の面を「下面、裏面」などと記載するが、これらは等価な要素であり、相互に置換した構成も本発明の範囲に含まれるのは言うまでもない。更に、セル板は、単セルの集積化を促進して、得られる燃料電池の高出力化を図るのに実用的な製品形態である。
また、説明の便宜上、基板や電極層など各層の一方の面を「上面、表面」、他の面を「下面、裏面」などと記載するが、これらは等価な要素であり、相互に置換した構成も本発明の範囲に含まれるのは言うまでもない。更に、セル板は、単セルの集積化を促進して、得られる燃料電池の高出力化を図るのに実用的な製品形態である。
上述のように、本発明の単セル及びセル板は、固体電解質層を空気極(カソード)及び燃料極(アノード)で挟持して成る。
また、上記固体電解質層と、上記空気極、燃料極のいずれか一方又は双方との間に導電性接着層を配設し、該空気極、燃料極のいずれか一方又は双方と該固体電解質層とを電気的且つ機械的に接合させる。
このような構成により、電池性能を保持しつつ固体電解質層と各電極との密着性を高めることができるので、発電性能、耐久性に優れた単セルとなる。例えば、図6に示すように、固体電解質層(YSZ)と電極(LSC層)との間にAg膜を配設して成る単セルが挙げられる。
また、上記固体電解質層と、上記空気極、燃料極のいずれか一方又は双方との間に導電性接着層を配設し、該空気極、燃料極のいずれか一方又は双方と該固体電解質層とを電気的且つ機械的に接合させる。
このような構成により、電池性能を保持しつつ固体電解質層と各電極との密着性を高めることができるので、発電性能、耐久性に優れた単セルとなる。例えば、図6に示すように、固体電解質層(YSZ)と電極(LSC層)との間にAg膜を配設して成る単セルが挙げられる。
また、上記導電性接着層としては、電極性能の低下を防止する面から、電子導電性及びイオン導電性を有するイオン電子伝導膜などを使用することがよく、特に固体電解質層を薄膜化するとこの効果は大きくなる。
具体的には、電気抵抗の低い材料、言い換えれば電極活性及び導電性が高い材料である銀(Ag)又は銀を主成分とする材料や、ビスマス(Bi)酸化物又はビスマス酸化物を主成分とする材料を使用する。
具体的には、電気抵抗の低い材料、言い換えれば電極活性及び導電性が高い材料である銀(Ag)又は銀を主成分とする材料や、ビスマス(Bi)酸化物又はビスマス酸化物を主成分とする材料を使用する。
Agを主成分とする材料及びBi酸化物を主成分とする材料は、上述の電極材料、即ち低融点ガラスフリット、ニッケル(Ni)、ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金又はニッケル−鉄(Ni−Fe)合金、及びこれらの任意の組合せに係る金属、又はニッケル酸化物を含み、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)又はクロム(Cr)、及びこれらの任意の組合せに係る金属、又はLa0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3又はランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)、及びこれらの任意の組合せに係るランタン複合酸化物を含んで成るものを用いる。
これら材料を用いるときは、電極性能を低下させることなく、低温で固体電解質層と電極とが密着するので有効である。
なお、上記導電性接着層の抵抗は、単セルの全抵抗の10%以下であることが望ましい。
これら材料を用いるときは、電極性能を低下させることなく、低温で固体電解質層と電極とが密着するので有効である。
なお、上記導電性接着層の抵抗は、単セルの全抵抗の10%以下であることが望ましい。
また、上記導電性接着層の膜厚tと、上記空気極、燃料極のいずれか一方又は双方の構成粒子の平均粒径dとが、一定の関係を有するように単セルを構成することが好適である。
この場合は電池性能を低下させることなく固体電解質層と電極との密着性を向上させ得るので有効である。
例えば、上記膜厚tと上記電極構成粒子の平均粒径dとが、t≦dの関係を満たすような単セル構成とすることができる。なお、t>dでは電極内部のガス拡散性が悪化し、単セルの電気出力が低下することがある。
この場合は電池性能を低下させることなく固体電解質層と電極との密着性を向上させ得るので有効である。
例えば、上記膜厚tと上記電極構成粒子の平均粒径dとが、t≦dの関係を満たすような単セル構成とすることができる。なお、t>dでは電極内部のガス拡散性が悪化し、単セルの電気出力が低下することがある。
また、上記膜厚tと上記電極構成粒子の平均粒径dとが、0.01d≦t≦0.5dの関係を満たすような単セル構成とすることができる。なお、t>0.5dでは電極内部のガス拡散性が悪化し、単セルの電気出力が低下することがあり、t<0.01dでは密着効果が不十分となることがある。
更に、一般に上記電極構成粒子の平均粒径dは0.5〜50μm程度であることが、電極の性能や扱いやすさの面から望ましく、上記膜厚tは0.1μm≦t≦5μmとすることができる。なお、t>5μmでは電極内部のガス拡散性が悪化し、単セルの電気出力が低下することがあり、t<0.1μmでは密着効果が不十分となることがある。
一方、上記燃料極(アノード)としては、ニッケル(Ni)、ニッケル−クロム(Cr)合金又はニッケル−鉄(Fe)合金、及びこれらの任意の組合せに係る金属やニッケル酸化物(NiOやNi複合酸化物)を含むものを使用できる。
また、上記空気極(カソード)としては、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)又はクロム(Cr)、及びこれらの任意の組合せに係る金属や、La0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3又はランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)、及びこれらの任意の組合せに係るランタン複合酸化物を含むものを使用できる。
また、上記空気極(カソード)としては、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)又はクロム(Cr)、及びこれらの任意の組合せに係る金属や、La0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3又はランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)、及びこれらの任意の組合せに係るランタン複合酸化物を含むものを使用できる。
他方、上記固体電解質層は、発電機能を発現するのに必要であり、酸素イオン伝導性などを有する従来公知の材料、例えば、酸化ネオジウム(Nd2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、イットリア(Y2O3)及び酸化ガドリニウム(Gd2O3)などを固溶した安定化ジルコニアや、セリア(CeO2)系固溶体、酸化ビスマス及びLaGaO3などを使用することができるが、これに限定されるものではない。
なお、本発明の燃料電池用セル板は、上述の単セルを積層方向とほぼ垂直の方向へ2次元的に複数個連結し一体化して成る。
次に、本発明の固体電解質型燃料電池について説明する。
かかる固体電解質型燃料電池(SOFC)は、上述の燃料電池用単セル又はセル板を用いて成る。このとき、各単セル又は各セル板は、反応ガス通路(空気流路又は燃料流路)に対応する電極層(空気極又は燃料極)が接すればよく、燃料極(空気極)の被覆位置を変えたり、単セル又はセル板の上下を変えて連結することができる。また、上述の導電性接着層を配設した単セルを用いて成るSOFCは、発電性能及び耐久性が優れるので有効である。
かかる固体電解質型燃料電池(SOFC)は、上述の燃料電池用単セル又はセル板を用いて成る。このとき、各単セル又は各セル板は、反応ガス通路(空気流路又は燃料流路)に対応する電極層(空気極又は燃料極)が接すればよく、燃料極(空気極)の被覆位置を変えたり、単セル又はセル板の上下を変えて連結することができる。また、上述の導電性接着層を配設した単セルを用いて成るSOFCは、発電性能及び耐久性が優れるので有効である。
次に、本発明の燃料電池用単セルの製造方法について説明する。
かかる製造方法では、上記固体電解質層上に導電性接着層を形成する工程(I)と、該導電性接着層上に電極材料粉を塗布する工程(II)と、熱処理により該固体電解質及び電極材料を焼成し、接合する工程(III)と、を行い、上述の導電性接着層を配設した燃料電池用単セルを得る。
このような製造方法を採用することで、発電性能及び耐久性に優れた燃料電池用単セルを得ることができる。
かかる製造方法では、上記固体電解質層上に導電性接着層を形成する工程(I)と、該導電性接着層上に電極材料粉を塗布する工程(II)と、熱処理により該固体電解質及び電極材料を焼成し、接合する工程(III)と、を行い、上述の導電性接着層を配設した燃料電池用単セルを得る。
このような製造方法を採用することで、発電性能及び耐久性に優れた燃料電池用単セルを得ることができる。
ここで、上記工程(I)では、PVD法や湿式製膜法を採用することができる。PVD法としては、例えば、スパッタ法、EB蒸着法及びレーザービームアブレーション法などがあり、また、湿式製膜法としては、印刷法、スプレーコート法、ゾルゲル法及びメッキなどがある。
また、上記工程(III)では、焼成温度、言い換えれば、導電性接着層により固体電解質層と電極とが接着される熱処理温度を700℃以上1000℃未満とすることがよい。700℃未満では運転中に単セルが破損することがあり、1000℃以上では、材料によっては導電性接着層が軟化し過ぎて、電極が移動・凝集してしまうことがある。
更に、上記焼成は、上記空気極、燃料極及び固体電解質のそれぞれを形成する焼結温度の中で最も低い温度より200℃以上低い温度で行うことができるので有効である。なお、かかる温度を超えるときは、固体電解質層と電極の拡散反応が進行し、固体電解質層と電極との界面に反応生成物を形成し、単セルの電池出力が低下することがある。
具体的には、例えば、YSZ上にAgを2〜3μm程度のスパッタにより製膜し、このAg膜上にLSC粉末を被覆し、850℃で焼成して、図6に示すような、密着性及び電極性能がともに良好な単セルを製造できる。
具体的には、例えば、YSZ上にAgを2〜3μm程度のスパッタにより製膜し、このAg膜上にLSC粉末を被覆し、850℃で焼成して、図6に示すような、密着性及び電極性能がともに良好な単セルを製造できる。
次に、固体電解質型燃料電池の製造方法について説明する。
上述の燃料電池は、代表的には、上記単セル又はセル板を反応ガスの流通口が確保されるように基板などを用いて配置し、この基板などの少なくとも一部に無機接着剤を塗布して上記単セル又はセル板を積層方向に複数個連結させた後、加圧・加熱により接合して得られる。
上述の燃料電池は、代表的には、上記単セル又はセル板を反応ガスの流通口が確保されるように基板などを用いて配置し、この基板などの少なくとも一部に無機接着剤を塗布して上記単セル又はセル板を積層方向に複数個連結させた後、加圧・加熱により接合して得られる。
以下、本発明を図面を参照して実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に示す実施例及び比較例では導電性接着層を有する燃料電池用単セルを作製し、得られた単セルについて、以下に示す性能評価を行った。
[性能評価方法]
1.テープ剥離試験条件
ScotchTMテープを単セル表面に貼付け、テープ貼付け面に対して45°の角度に500gの力で引張り、単セル表面に剥離が発生しないときをOKとした。
1.テープ剥離試験条件
ScotchTMテープを単セル表面に貼付け、テープ貼付け面に対して45°の角度に500gの力で引張り、単セル表面に剥離が発生しないときをOKとした。
2.電池特性評価条件
単セルを用いて燃料電池構成し、その電池特性を、温度:700℃、燃料ガス:水素、酸化性ガス:空気、ガス圧:1気圧の条件下にて測定した。また、開放電圧:0.95V、最大出力:0.11W/cm2とした。
単セルを用いて燃料電池構成し、その電池特性を、温度:700℃、燃料ガス:水素、酸化性ガス:空気、ガス圧:1気圧の条件下にて測定した。また、開放電圧:0.95V、最大出力:0.11W/cm2とした。
3.抵抗評価条件
単セルを用いた燃料電池について、大気中、700℃で交流インピーダンス測定を実施した。
単セルを用いた燃料電池について、大気中、700℃で交流インピーダンス測定を実施した。
[燃料電池用単セルの作製]
(実施例1)
セラミックス法により、厚さ0.5mm、直径15mmの8YSZ焼結体板を電解質(A)として合成した。
セラミックス法により、ランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)を電極(C)として合成した。このとき焼成温度は1200℃とした。その後ボールミルにより粉砕し、平均粒径5μmとした。
上記8YSZ焼結体の片面にスパッタによりAgを1μmの厚さで製膜し、導電性接着層(B)とした。
なお、焼成時に用いたLSC粉はテレピン油(溶媒)に分散させスラリー化し、LSCスラリーを8YSZ焼結体板上のAg製膜面に塗布し、テレピン油を乾燥後、800度で焼成した。また、対極形式は8YSZ焼結体板の反対面にNiペーストを塗布し、600℃で焼成した。図6に本実施例の構成を示す。更に表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
(実施例1)
セラミックス法により、厚さ0.5mm、直径15mmの8YSZ焼結体板を電解質(A)として合成した。
セラミックス法により、ランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)を電極(C)として合成した。このとき焼成温度は1200℃とした。その後ボールミルにより粉砕し、平均粒径5μmとした。
上記8YSZ焼結体の片面にスパッタによりAgを1μmの厚さで製膜し、導電性接着層(B)とした。
なお、焼成時に用いたLSC粉はテレピン油(溶媒)に分散させスラリー化し、LSCスラリーを8YSZ焼結体板上のAg製膜面に塗布し、テレピン油を乾燥後、800度で焼成した。また、対極形式は8YSZ焼結体板の反対面にNiペーストを塗布し、600℃で焼成した。図6に本実施例の構成を示す。更に表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
(実施例2)
導電性接着層材料(B)をビスマス酸化物とし、導電性接着層の形成をEB蒸着法とした以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
導電性接着層材料(B)をビスマス酸化物とし、導電性接着層の形成をEB蒸着法とした以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
(実施例3)
導電性接着層材料(B)をAg及びLSCとし、導電性接着層の厚さを0.1μmとし、焼成温度を850℃とした以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
導電性接着層材料(B)をAg及びLSCとし、導電性接着層の厚さを0.1μmとし、焼成温度を850℃とした以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
(実施例4)
導電性接着層材料(B)をビスマス酸化物及びガラスフリットとし、導電性接着層の厚さを3μmとし、導電性接着層の形成を印刷法とし、焼成温度を900℃とした以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
導電性接着層材料(B)をビスマス酸化物及びガラスフリットとし、導電性接着層の厚さを3μmとし、導電性接着層の形成を印刷法とし、焼成温度を900℃とした以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
(比較例1)
導電性接着層(B)を設けず、焼成温度を1100℃とした以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
導電性接着層(B)を設けず、焼成温度を1100℃とした以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
(比較例2)
導電性接着層(B)を設けなかった以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
導電性接着層(B)を設けなかった以外は、実施例3とほぼ同様の操作を繰り返して、本例の単セル及び燃料電池を得た。表1にこれらの構成及び評価結果を示す。
表1より、実施例1〜4で得られた単セル及び燃料電池は密着性やセル抵抗が優れていることがわかる。一方、比較例1,2で得られた単セル及び燃料電池は、導電性接着層がなかったり焼成温度が本発明の好適範囲以外であるため、密着性が悪くなったりセル抵抗が高くなっていることがわかる。
以上、本発明を実施例により詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、本発明において、単セル及びセル板の形状等は任意に選択でき、目的の出力に応じた燃料電池を作製できる。
例えば、本発明において、単セル及びセル板の形状等は任意に選択でき、目的の出力に応じた燃料電池を作製できる。
Claims (12)
- 固体電解質層を空気極及び燃料極で挟持して成る固体電解質型燃料電池用の単セルであって、
上記固体電解質層と上記空気極及び/又は燃料極との間に導電性接着層を配設し、この導電性接着層が、電子導電性及びイオン導電性を有し、該空気極及び/又は燃料極と該固体電解質層とを電気的且つ機械的に接合して成り、
上記導電性接着層が、銀又は銀を主成分とする材料で、
上記銀を主成分とする材料が、低融点ガラスフリット、ニッケル、ニッケル−クロム合金及びニッケル−鉄合金から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はニッケル酸化物を含み、銀、白金、金、チタン、タングステン、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、マンガン及びクロムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はLa0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3及びランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)から成る群より選ばれた少なくとも1種のランタン複合酸化物を含んで成ることを特徴とする燃料電池用単セル。 - 固体電解質層を空気極及び燃料極で挟持して成る固体電解質型燃料電池用の単セルであって、
上記固体電解質層と上記空気極及び/又は燃料極との間に導電性接着層を配設し、この導電性接着層が、電子導電性及びイオン導電性を有し、該空気極及び/又は燃料極と該固体電解質層とを電気的且つ機械的に接合して成り、
上記導電性接着層が、ビスマス酸化物又はビスマス酸化物を主成分とする材料で、
上記ビスマス酸化物を主成分とする材料が、低融点ガラスフリット、ニッケル、ニッケル−クロム合金及びニッケル−鉄合金から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はニッケル酸化物を含み、銀、白金、金、チタン、タングステン、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、マンガン及びクロムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属、又はLa0.7Sr0.3CoO3、La0.7Sr0.3CrO3、La0.7Sr0.3FeO3、La0.7Sr0.3MnO3及びランタン‐ストロンチウム‐コバルト複合酸化物(LSC)から成る群より選ばれた少なくとも1種のランタン複合酸化物を含んで成ることを特徴とする燃料電池用単セル。 - 上記導電性接着層の膜厚tと、上記空気極及び/又は燃料極の構成粒子の平均粒径dとが、t≦dの関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池用単セル。
- 上記導電性接着層の膜厚tと、上記空気極及び/又は燃料極の構成粒子の平均粒径dとが、0.01d≦t≦0.5dの関係を満たすことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用単セル。
- 上記導電性接着層の膜厚tが、0.1μm≦t≦5μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セル。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セルを、積層方向とほぼ垂直の方向へ2次元的に複数個連結し一体化して成ることを特徴とする燃料電池用セル板。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セル、又は請求項6記載の燃料電池用セル板を用いて成ることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
- 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セルを製造する方法であって、
上記固体電解質層上に導電性接着層を形成する工程(I)と、該導電性接着層上に電極材料粉を塗布する工程(II)と、熱処理により該固体電解質及び電極材料を焼成し、接合する工程(III)と、を行うことを特徴とする燃料電池用単セルの製造方法。 - 上記工程(I)において、PVD法を採用することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池用単セルの製造方法。
- 上記工程(I)において、湿式製膜法を採用することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池用単セルの製造方法。
- 上記工程(III)において、焼成温度が700℃以上1000℃未満であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セルの製造方法。
- 上記工程(III)において、焼成温度が上記空気極、燃料極及び固体電解質のそれぞれを形成する焼結温度の中で最も低い温度より200℃以上低い温度であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1つの項に記載の燃料電池用単セルの製造方法。
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JP2006252346A JP2007019037A (ja) | 2001-01-17 | 2006-09-19 | 固体電解質型燃料電池 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009058388A2 (en) * | 2007-10-31 | 2009-05-07 | The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University | Layer-structured fuel cell catalysts and current collectors |
CN111587299A (zh) * | 2018-01-29 | 2020-08-25 | 三井金属矿业株式会社 | 氧透过元件和溅射靶材料 |
-
2006
- 2006-09-19 JP JP2006252346A patent/JP2007019037A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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WO2009058388A2 (en) * | 2007-10-31 | 2009-05-07 | The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University | Layer-structured fuel cell catalysts and current collectors |
WO2009058388A3 (en) * | 2007-10-31 | 2009-09-11 | The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University | Layer-structured fuel cell catalysts and current collectors |
CN111587299A (zh) * | 2018-01-29 | 2020-08-25 | 三井金属矿业株式会社 | 氧透过元件和溅射靶材料 |
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