JP2007016886A - 減速比推定方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 仕様変更があっても制御パラメータの修正が不要であり、減速比の微変動状態あるいは減速比不定状態であっても安定した減速比の値の出力が可能な減速比推定方法および装置を提供する。
【解決手段】 入力軸と出力軸との間の動力伝達経路の減速比を推定する装置であって、入力軸回転数NE(t)と出力軸回転数SPDF(t)との間の回転数比RATIO(t)を演算する回転数比演算部501と、該回転数比演算部501により演算された回転数比RATIO(t)と、それ以前に演算された回転数比RATIO(t-τ)との差が所定の第1の閾値範囲内にあるか否かを判定する安定検出部502と、安定検出部502により回転数比の差が第1の閾値範囲内にあると判定された場合に、該回転数比に関する値を動力伝達経路の減速比と推定し、メモリ504Mに記憶する一方、第1の閾値範囲内に無いと判定された場合には、メモリ504Mに記憶された過去の回転数比に関する値を減速比と推定する学習処理部504とを備える。
【選択図】 図2

Description

本願発明は、減速比推定方法に関し、特に、動力伝達経路中の特定の区間における減速比を推定する方法および装置に関する。
たとえば、車両などの乗り物の制御においては、減速比の値を利用する場合があり、このような減速比の値は、次のように求められるのが一般的である。たとえば、その方法の1つは「減速比埋め込み式」と呼ばれる手法であり、もう1つは「回転数比計算式」と呼ばれる手法である。
「減速比埋め込み式」は、制御プログラム中にあらかじめ複数の減速比の値(この場合は、いわゆるギヤ比あるいは変速比)を制御パラメータとして埋め込んでおき、ギヤポジションセンサの検出値に基づいていずれかの減速比の値を選択するものである。また、「回転数比計算式」は、駆動源の回転数(たとえば、内燃機関のクランク軸回転数)と車速(たとえば、車速センサ軸回転数)とから減速比の値を演算するものである(たとえば、特許文献1を参照)。
特開2002-201973号公報
しかしながら、「減速比埋め込み式」にあっては、仕様変更などにより減速比が変更になった場合、制御パラメータの修正が必要になる。また、「回転数比計算式」にあっては、ギヤのバックラッシ、ダンパ要素(たとえば、カップリングダンパ)などによる減速比の微変動に起因して、さらには、シフト・チェンジ時などの減速比不定状態に起因して不安定な値を出力する傾向にある。
本願発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、仕様変更があっても制御パラメータの修正が不要であり、減速比の微変動状態あるいは減速比不定状態であっても安定した減速比の値の出力が可能な減速比推定方法および装置を提供することを目的とする。
本願発明に係る減速比推定方法は、入力軸と出力軸との間の動力伝達経路の減速比を推定する方法であって、前記入力軸の回転数を検出し、前記出力軸の回転数を検出し、検出された前記入力軸の回転数と検出された前記出力軸の回転数との間の回転数比を演算し、演算された回転数比と、それ以前に演算された回転数比との差が所定の第1の閾値範囲内にあるか否かを判定し、回転数比の差が前記第1の閾値範囲内にあると判定された場合に、該回転数比に関する値を前記動力伝達経路の減速比と推定し、メモリに記憶する一方、前記第1の閾値範囲内に無いと判定された場合には、前記メモリに記憶された過去の回転数比に関する値を前記減速比と推定することを特徴とする。
また、本願発明に係る減速比推定装置は、入力軸と出力軸との間の動力伝達経路の減速比を推定する装置であって、前記入力軸の回転数を検出する入力軸センサと、前記出力軸の回転数を検出する出力軸センサと、前記入力軸センサにより検出された前記入力軸の回転数と前記出力軸センサにより検出された前記出力軸の回転数との間の回転数比を演算する回転数比演算手段と、該回転数比演算手段により演算された回転数比と、それ以前に前記回転数比演算手段により演算された回転数比との差が所定の第1の閾値範囲内にあるか否かを判定する安定検出手段と、前記安定検出手段により回転数比の差が前記第1の閾値範囲内にあると判定された場合に、該回転数比に関する値を前記動力伝達経路の減速比と推定し、メモリに記憶する一方、前記第1の閾値範囲内に無いと判定された場合には、前記メモリに記憶された過去の回転数比に関する値を前記減速比と推定する学習処理手段とを備えることを特徴とする。
前記回転数比に関する値は、前記回転数比演算手段により時系列的に演算される回転数比の移動平均値であることが可能である。
前記回転数比演算手段により演算された回転数比と、それ以前に前記学習処理手段により推定された減速比との差が第2の閾値範囲内にあるか否かを判定するシフト検出手段をさらに備えることが可能である。
前記シフト検出手段は、前記回転数比のほうが前記減速比よりも大きい場合に、シフトダウンが行われていると判定し、前記回転数比のほうが前記減速比よりも小さい場合に、シフトアップが行われていると判定することが可能である。
前記学習処理手段は、前記安定検出手段により回転数比の差が前記第1の閾値範囲内にあると判定され、且つ、前記シフト検出手段により回転数比と減速比との差が前記第2の閾値範囲内にあると判定された場合に、前記回転数比に関する値を前記動力伝達経路の減速比と推定し、メモリに記憶する一方、前記安定検出手段により回転数比の差が前記第1の閾値範囲内に無いと判定され、且つ、前記シフト検出手段により回転数比と減速比との差が前記第2の閾値範囲内に無いと判定された場合には、前記メモリに記憶された過去の回転数比に関する値を減速比と推定することが可能である。
上記発明によれば、仕様変更があっても制御パラメータの修正が不要であり、減速比の微変動状態あるいは減速比不定状態であっても安定した減速比の値の出力が可能である。
以下、本願発明に係る減速比制御方法および装置について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本願発明の実施の形態に係る減速比制御装置を適用した自動二輪車の構成の一例を示す模式的ブロック図である。図1に示すように、自動二輪車10は、その駆動源として内燃機関10bを備えている。本実施の形態においては、内燃機関10bは、単気筒のレシプロ式内燃機関として示されているが、その他の任意の種類の内燃機関であってもよく、また、駆動源として電動モータなどを採用してもよい。さらに、ここでは自動二輪車10に適用した例を示しているが、車両に限定されるものではなく、動力伝達経路を有する他の様々な種類の装置に適用可能である。
本実施の形態の減速比制御装置は、対象となる動力伝達経路区間の入力端の軸(入力軸)と出力端の軸(出力軸)との間の実質的に安定した値の減速比を求めるものであって、その動力伝達経路区間は機械的に連結されている必要はない。たとえば、電気的に接続されていてもよい。また、この動力伝達経路区間は変速機構を備えている必要はなく、入力軸と出力軸との間に実質的な回転数差が生じる構成であればよい。また、入力軸および出力軸では回転数の代わりに、これに相当する直線移動距離(たとえば、チェーンの作動距離)で検出または表現することも可能である。
内燃機関10bは、ピストン100を具備し、該ピストン100から下方にコンロッド101が延びている。コンロッド101の下端はクランクピン102に結合され、該クランクピン102に連続するクランク軸103aの一端(図1における右端)は、一次減速機201を介してクラッチ202に接続されている。クランク軸103aの他端(図1における左端)には、入力軸センサ404が設けられている。クラッチ202を挟んで、一次減速機201は、変速装置203Bの入力軸であるメインシャフト204に連結されている。
メインシャフト204と平行に、変速装置203B内には、変速装置203Bの出力軸であるドライブシャフト211が配設され、該ドライブシャフト211には、クラッチ202側から、ドライブスプロケット218、および出力軸センサ402が設けられている。
ドライブスプロケット218は、チェーン219を介してドリブンスプロケット220に接続され、これらドライブスプロケット218、チェーン219、およびドリブンスプロケット220で二次減速機201Bが構成されている。また、ドリブンスプロケット220は、車輪30の車軸303に連結されている。
自動二輪車10の定常運転状態においては、内燃機関10bの燃焼により発生したピストン100の直線運動が、コンロッド101、クランクピン102、およびクランク軸103aにより、クランク軸103aの回転運動に変換され、一次減速機201およびクラッチ202を通じてメインシャフト204に入力される。次いで、この回転運動は、メインシャフト204側のギヤと、ドライブシャフト211側のギヤとの間の変速比(つまり、シフトポジションである)に応じたいずれかの組み合わせを通じてドライブシャフト211に伝えられ、ドライブスプロケット218、チェーン219、およびドリブンスプロケット220を順に通じて車輪30を駆動する。
なお、ここでは、クランク軸103aとドライブシャフト211との間の減速比を求めることを目的としていることから、入力軸センサ404はクランク軸103a上に、そして、出力軸センサ402はドライブシャフト211上にそれぞれ設けられている。したがって、クランク軸103aと車軸303との間の減速比を求めたい場合には、図1において破線で示すように、出力軸センサ402を代わりに車軸303上に配設すればよい。
本実施の形態においては、入力軸センサ404は、入力軸であるメインシャフト204の回転数(入力軸回転数NE)を検出し、検出結果を減速比推定装置50Bに与える一方、出力軸センサ402は、出力軸であるドライブシャフト211(あるいは車軸303)の回転数(出力軸回転数SPDF)を検出し、検出結果を減速比推定装置50Bに与えるようになっている。
減速比推定装置50Bは、与えられた入力軸回転数NEと出力軸回転数SPDFとに基づいてこの動力伝達経路区間の減速比を推定し、出力する。減速比推定装置50Bは、自動二輪車10のギヤポジションセンサ、クラッチスイッチ、ニュートラルスイッチなどとして利用することも可能であり、出力値としての減速比推定値RATIO_LEARNは、自動二輪車10の様々な制御に利用可能である。
減速比推定装置50Bは、「回転数比計算式」のようにNE/SPDFの生データ(つまり、回転数比)をそのまま採用するのではなく、対象となる動力伝達経路区間における減速比の実質的に安定した値を出力することができるので、たとえば、レース用の車両などのように変速装置のギヤ比が頻繁に変更されるような用途にも適している。
次に、図2を参照しながら減速比推定装置50Bの詳細な構成について説明する。図2に示すように、減速比推定装置50Bは、回転数比演算部501と、安定検出部502と、推定処理部504と、シフト検出部503とを備えている。
回転数比演算部501は、各センサから与えられる入力軸回転数(クランク軸回転数)NEと出力軸回転数(車速センサ軸回転数)SPDFとに基づいて、次の(1)式によりこれらの軸間の回転数比RATIO(t)を演算する。
Figure 2007016886
安定検出部502は、回転数比演算部501により演算された回転数比RATIO(t)と、所定時間(判定時間τ)前に演算された回転数比RATIO(t-τ)とを比較することによって、ギヤのバックラッシ、ダンパ要素の遊び、車輪の磨耗、ベルト・プーリ機構のスリップなどによる運転中の回転数比の所定の微変動の有無を次の(2)式により検出する。ここでは、安定検出部502は、所定の微変動を検出しなかった場合には「安定」、また、検出した場合には「不安定」であると出力する((3)および(4)式)。
本実施の形態においては、安定検出部502は、回転数比RATIO(t)と回転数比RATIO(t-τ)との比較にRATIO(t) / RATIO(t-τ)の値を使用しているが、回転数比RATIO(t)と回転数比RATIO(t-τ)との差分値を使用しても同様の判定は可能である。
また、RATIO(t)の微分値を求めることが可能な構成を別途設けておき、安定検出部502が、この微分値を上記の判定に使用するような構成であってもよい。
Figure 2007016886
つまり、安定検出部502は、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値が所定のSTABLE_LOWの値以上であり、且つ、所定のSTABLE_HIGHの値以下である場合に、「安定」であると判断し、STABLE(t)の値として「1」を出力する。一方、安定検出部502は、これ以外の場合に、「不安定」であると判断し、STABLE(t)の値として「0」を出力する。
STABLE_LOWおよびSTABLE_HIGHの値は、動力伝達経路区間の構成および運転環境、ならびに検出対象とする回転数比の微変動などによって適宜に設定される。本実施の形態のような構成にあっては、STABLE_LOWは、たとえば0.90-0.99の範囲の値であり、STABLE_HIGHは、たとえば1.01-1.10の範囲の値である。
シフト検出部503は、回転数比演算部501により演算された回転数比RATIO(t)と、所定時間(制御周期Δt)前に推定処理部504により演算された減速比推定値RATIO_LEARN(t-Δt)とを比較することによって、シフト・チェンジ(変速)時などの所定の減速比不定状態の有無を次の(5)式により検出する。ここでは、シフト検出部503は、所定の減速比不定状態を検出しなかった場合には「変速無し」、また、検出した場合には「変速有り」であると出力する((6)および(7)式)。なお、ここで、制御周期Δtは、安定検出部502における判定周期τよりもずっと短い周期に設定される。
本実施の形態においては、シフト検出部503は、回転数比RATIO(t)と減速比推定値RATIO_LEARN(t-Δt)とを比較にRATIO(t) / RATIO_LEARN(t-Δt)の値を使用しているが、回転数比RATIO(t)と減速比推定値RATIO_LEARN(t-Δt)との差分値を使用しても同様の判定は可能である。
Figure 2007016886
つまり、シフト検出部503は、RATIO(t) / RATIO_LEARN(t-Δt)の値が所定のSHIFT_UPの値以上であり、且つ、所定のSHIFT_DOWNの値以下である場合に、「変速無し」であると判断し、SHIFT(t)の値として「0」を出力する。一方、シフト検出部503は、これ以外の場合に、「変速有り」であると判断し、SHIFT(t)の値として「1」を出力する。
SHIFT_UPおよびSHIFT_DOWNの値は、動力伝達経路区間の構成および運転環境、ならびに検出対象とするシフト・チェンジ(変速)の状態などによって適宜に設定される。本実施の形態のような構成にあっては、SHIFT_UPは、たとえば0.7-0.9の範囲の値であり、SHIFT_DOWNは、たとえば1.1-1.3の範囲の値である。
推定処理部504は、安定検出部502から出力されたSTABLE(t)の値と、シフト検出部503から出力されたSHIFT(t)の値とに応じて、回転数比演算部501により演算される回転数比RATIO(t)の採用可能性を判断し、採用可能性に応じた減速比推定値RATIO_LEARN(t)を演算する。なお、演算されたRATIO_LEARN(t)は、メモリ504Mに記憶される。
Figure 2007016886
たとえば、(8)式の条件を満足する場合には、減速比の微変動も無く、シフト・チェンジなどもされていないことから、回転数比演算部501により演算される回転数比RATIO(t)は採用されるべきと判断してこの値を採用するが、値の平滑化のために回転数比RATIO(t)の移動平均値を演算し、演算結果である減速比推定値RATIO_LEARN(t)を出力する((9)式)。
一方、(10)式の条件を満足する場合には、減速比の微変動があることから、回転数比演算部501により演算される回転数比RATIO(t)は採用するべきでないと判断し、メモリ504Mに記憶してあるΔt時間前のRATIO_LEARNの値、つまりRATIO_LEARN(t-Δt)を継続して減速比推定値RATIO_LEARN(t)として出力する((11)式)。つまり、このように減速比推定値が逸脱した値となる場合にはメモリ504Mへの書き込みはしないのである(更新禁止)。
また、(12)式の条件を満足する場合には、減速比の微変動は無いが、シフト・チェンジがなされていることから、減速比推定値RATIO_LEARN(t)を適当な値に初期化(リセット)する((13)式)。ここでは、RATIO(t)の値にリセットし、これを減速比推定値RATIO_LEARN(t)として出力している。
本実施の形態においては、メモリ504Mには、今回検出または演算されたデータと、所定時間(たとえば、判定時間τ、制御周期Δt)前に検出または演算されたデータのみを記憶するようになっているが、より多くの時系列データを保持させることによってより安定した出力値を得ることが可能である。
図3(a)−(d)は、入力軸の回転を減速から加速に転じたときの回転数比演算部501、および安定検出部502の各制御パラメータの変化を示すグラフである。図3(a)に示すように、入力軸回転数NE(t)が下げられると、これに追従して出力軸回転数SPDF(t)も低下していく。その後、入力軸回転数NE(t)が上げられたときには(t1時点)、出力軸回転数SPDF(t)はこの動力伝達経路区間における遊びのためにすぐには追従せず、遅れて追従を始める(t2時点)。そして、遊びが無くなったときに出力軸回転数SPDF(t)は上昇を始めるが、一方で入力軸回転数NE(t)は、一旦、出力軸回転数SPDF(t)に引っ張られて低下した後で再び上昇を始める(t3時点)。これが、いわゆる、変速装置内のギヤのバックラッシなどによって生じる加速ショックである。
t1時点からt3時点までの間は、入力軸回転数NE(t)のほうが出力軸回転数SPDF(t)よりも相対的に大きいため、図3(b)に示すように、RATIO(t)の値は、プラス側に大きくなる。図3(b)において破線で示すように、RATIO(t-τ)の値は、τ時間だけ遅れる(t1a,t2a,およびt3a)。
図3(c)に示すように、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値は、t1時点からt3時点までの間は、RATIO(t)のほうがRATIO(t-τ)よりも相対的に大きいため、プラス側に大きくなる。図3(c)においては、t2時点をピークとしてt4時点からt5時点の間、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値がSTABLE_HIGHを超える例を示している。一方、t1a時点からt3a時点までの間は、RATIO(t)のほうがRATIO(t-τ)よりも相対的に小さくなるため、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値はマイナス側に大きくなる。図3(c)においては、t2a時点をピークとしてt4a時点からt5a時点までの間、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値がSTABLE_LOWを超える例を示している。
図3(d)に示すように、STABLE(t)の値は、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値がSTABLE_HIGHを超えているt4時点からt5時点までの間、「1(安定)」から「0(不安定)」になる。同様に、STABLE(t)の値は、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値がSTABLE_LOWを超えているt4a時点からt5a時点までの間も、「1(安定)」から「0(不安定)」になるのである。
図4(a)−(d)は、入力軸の回転を加速から減速に転じたときの回転数比演算部501、および安定検出部502の各制御パラメータの変化を示すグラフであるが、各制御パラメータは図3(a)−(d)をほぼ逆転したような挙動を呈するため、その詳細な説明は省略する。
図5(a)−(g)は、シフト・ダウン時の回転数比演算部501、安定検出部502、およびシフト検出部503の各制御パラメータの変化を示すグラフである。図5(a)に示すように、入力軸回転数NE(t)が下げられると、これに追従して出力軸回転数SPDF(t)も低下していく。その後、シフト・ダウンしたときには(t1時点)、出力軸回転数SPDF(t)はこの動力伝達経路区間におけるクラッチの切断のためにそのまま低下を続ける。そして、クラッチが繋がれたときに出力軸回転数SPDF(t)は自動二輪車10の慣性によりさらに低下を続けるが、一方で入力軸回転数NE(t)は、シフト・ダウンされたことから大きな上昇をし(t2時点)、その後、出力軸回転数SPDF(t)に引っ張られて低下を始める(t3時点)。これが、いわゆる、エンジン・ブレーキである。入力軸回転数NE(t)は、その後、出力軸回転数SPDF(t)と同じ比率でエンジン・ブレーキが効いた状態で低下していく。
t2時点からt3時点の間は、入力軸回転数NE(t)が出力軸回転数SPDF(t)に対して大きくなるため、図5(b)に示すように、RATIO(t)の値は、プラス側に大きくなり、その後もこの状態が維持される。図5(b)において破線で示すように、RATIO(t-τ)の値は、τ時間だけ遅れる(t1a,t2a,およびt3a)。
図5(c)に示すように、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値は、τ時間の長さにもよるが、t2時点からt3a時点までの間は、ほぼプラス側に大きくなる。図5(c)においては、t4時点からt5時点までの間、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値がSTABLE_HIGHを超える例を示している。
図5(d)に示すように、STABLE(t)の値は、RATIO(t) / RATIO(t-τ)の値がSTABLE_HIGHを超えているt4時点からt5時点までの間、「1(安定)」から「0(不安定)」になるのである。
RATIO_LEARN(t)の値は、図5(e)に示すように変化し、さらに、RATIO(t) / RATIO_LEARN(t-Δt)の値は、図5(f)に示すように変化する。図5(f)においては、RATIO(t)の値が大きく上昇したt2時点からt3時点の間のt6時点からt5時点までの間、RATIO(t) / RATIO_LEARN(t-Δt)の値がSHIFT_DOWNを超える例を示している。
RATIO(t) / RATIO_LEARN(t-Δt)の値がSHIFT_DOWNを超えている間は、図5(g)に示すように、SHIFT(t)の値は「1(変速有り)」になる。これにより、図5(d)に示すように、t4時点までの間は、STABLE(t)の値が「1(安定)」であり、且つ、SHIFT(t)の値が「0(変速無し)」であることから、学習処理部504は、上記(9)式に従ったRATIO_LEARN(t)の値を演算し、この値でメモリ504に記憶してある値を更新する。
図5(d)および(g)の例では、STABLE(t)の値が「0(不安定)」である間は、SHIFT(t)の値は「1(変速有り)」であり、これにより、t4時点からt5時点までの間は、学習処理部504は、上記(11)式に従ったRATIO_LEARN(t)の値を演算する。つまり、メモリ504に記憶してある以前の値が保持される(更新禁止)。
そして、t5時点以後、STABLE(t)の値が「1(安定)」となり、且つ、SHIFT(t)の値が「0(変速無し)」となると、学習処理部504は、上記(13)式に従ったRATIO_LEARN(t)の値を演算する。つまり、メモリ504に記憶してある値をRATIO(t)で初期化する(推定値リセット)。
図6(a)−(d)は、シフト・ダウン時の回転数比演算部501、安定検出部502、およびシフト検出部503の各制御パラメータの変化を示すグラフであるが、各制御パラメータは図5(a)−(d)をほぼ逆転したような挙動を呈するため、その詳細な説明は省略する。
なお、時間的リミッタを設けて、減速比推定値の推定異常判定機能を追加することも可能である。たとえば、上記のようなシフト検出制御をしない場合、不安定状態が所定時間(たとえば、2〜5秒程度)以上継続したときに推定異常と判定することが可能である。また、上記のようなシフト検出制御をする場合、不安定状態、且つ、シフト未検出状態が所定時間(たとえば、1〜2秒程度)以上継続したときに推定異常と判定し、さらに、シフト検出状態が所定時間(たとえば、2〜5秒程度)以上継続したときに推定異常と判定することも可能である。
(第2の実施の形態)
上記した第1の実施の形態にかかる減速比推定装置は、次のような用途に使用することが可能である。たとえば、図7は車両90の一例を示し、この車両90は、駆動源10として強制点火式の内燃機関10aを装備している。内燃機関10aは、単気筒のレシプロ式内燃機関として示されているが、任意のその他の種類の内燃機関にも適用可能である。
内燃機関10aは、コンロッド101の下端をクランクピン102に結合され、該クランクピン102に連続するクランク軸103aの一端は、一次減速機201を介してクラッチ202に接続されている。上記の入力軸センサ404は、クランク軸103aの他端に設けられており、クランク軸103aの回転数、つまり機関回転数を検出している。
クラッチ202を挟んで、一次減速機201は、変速装置203の入力軸であるメインシャフト204に連結され、該メインシャフト204には、変速装置203の内部において、クラッチ202側から、1速〜6速ギヤ205-210が設けられている。メインシャフト204と平行に、変速装置203内には、変速装置203の出力軸であるドライブシャフト211が配設され、該ドライブシャフト211には、クラッチ202側から、1速〜6速ギヤ212-217、ドライブスプロケット218、および出力軸センサ405が設けられている。
ここで、メインシャフト204側の1速〜6速ギヤ205-210と、ドライブシャフト211側の1速〜6速ギヤ212-217とは、それぞれ、常時歯合した状態にある。
ドライブスプロケット218は、チェーン219を介してドリブンスプロケット220に接続され、これらドライブスプロケット218、チェーン219、およびドリブンスプロケット220で二次減速機201Bが構成されている。また、ドリブンスプロケット220は、車輪30のホイール内部に設けられたカップリングダンパ301を介してタイヤ302に連結されている。
図7においては、例示として、ドライブシャフト211側の2速および6速ギヤ213,217がドッグクラッチ221を介して連結している状態を示してあり、内燃機関10aの燃焼により発生したピストン100の直線運動は、コンロッド101、クランクピン102、およびクランク軸103aにより、クランク軸103aの回転運動に変換され、一次減速機201およびクラッチ202を通じてメインシャフト204に入力される。次いで、この回転運動は、メインシャフト204側の1速〜6速ギヤ205-210と、ドライブシャフト211側の1速〜6速ギヤ212-217との変速比に応じたいずれかの組み合わせを通じてドライブシャフト211に伝えられ、ドライブスプロケット218、チェーン219、およびドリブンスプロケット220を順に通じて車輪30(およびタイヤ302)を駆動する。また、内燃機関10aが動力を発生していない場合には、タイヤ302の回転力が上述とは逆方向に動力伝達経路を通じてクランク軸103aを回転させ、ピストン100を動作させる。
また、内燃機関10aの吸気通路104には、スロットル110a(スロットルバルブ又はスロットルボディ)が設けられており、排気通路は、参照符号105で示してある。
本実施の形態においては、クランク軸103aからドライブシャフト211までの間をこの動力伝達経路における制御対象区間としており、入力軸センサ404は、入力軸であるクランク軸103aの回転数を検出し、検出結果を演算装置50に与える一方、出力軸センサ405は、出力軸であるドライブシャフト211の回転数を検出し、検出結果を演算装置50に与えるようになっている。
演算装置50は、上記した第1の実施の形態にかかる減速比推定装置の機能を含んでいる。演算装置50は、内燃機関10aの点火プラグ603aに接続されており、入力軸センサ404および出力軸センサ405からそれぞれ与えられる検出結果に基づいて、後で詳述する加減速時制御を実行し、点火プラグ603aの点火制御による内燃機関10aの遅角/進角(減速/加速)を行なう。
また、演算装置50にギヤポジションセンサ406を接続することも可能である。たとえば、ギヤポジションセンサ406は、ギヤが何速に入っているか、そして、ニュートラルに入っているかを検出し、検出結果を演算装置50に与える。演算装置50は、ギヤポジションセンサ406からニュートラルに入っている旨の検出結果を与えられたときに、点火プラグ603aへの点火指令の出力を制限し、ギヤに入っている旨の検出結果を与えられたときに、点火プラグ603aへの点火指令の出力を許可する。
さらに、演算装置50にクラッチスイッチ407を接続することも可能である。たとえば、相対回転速度差が発生してもクラッチが切られているとき(つまり、クラッチスイッチ407がONのとき)には、点火プラグ603aへの点火指令の出力をフィルタリングすることが可能である。
本実施の形態においては、クランク軸103aからドライブシャフト211までの間をこの動力伝達経路における制御対象区間としているが、説明の簡略化のため、以下、変速装置203内のドッグクラッチ221の遊びに着目して説明する。ドッグクラッチ221は、ドッグ歯とドッグ穴とを係断するものであり、ドッグ歯とドッグ穴との間には、回転方向に遊びがある。ここで、ドッグクラッチ221が接続された状態で一方向に定常回転しているものとすれば、ドッグ歯は、ドッグ穴の回転方向の一端に接触した状態にある。定常状態が崩れ、この遊びを境界として動力伝達経路上流側と下流側に相対回転速度が生じた場合には、ドッグ歯は、ドッグ穴の回転方向の一端から離脱し、今度は反対側の端部に接触する。この再接触が大きい場合にいわゆる加速ショックあるいは減速ショックとして搭乗者が体感できるものである。演算装置50は、この再接触時の相対回転速度および/又は伝達トルクを可及的に小さくすることによって、加速および減速ショックを緩和するようになっている(加減速時制御)。
演算装置50は、入力軸センサ404により検出されたクランク軸103aの回転数(入力軸回転数)と、出力軸センサ405により検出されたドライブシャフト211の回転数(出力軸回転数)とから、クランク軸103aとドライブシャフト211との間のの回転速度差(すなわち、相対回転速度)を演算する。ただし、クランク軸103aとドライブシャフト211との間の動力伝達経路区間には、一次減速器201、変速装置203などが介在しているため、どちらか一方の回転数にこの区間の減速比を乗じて他方の回転数に合わせるように換算する必要がある。この換算に使用する減速比は、上記した減速比推定装置の機能により求める。
演算装置50は、このように演算した相対回転速度を積分することによって相対回転位置を推定する。遊びの大きさ(たとえば、ドッグ歯のドッグ穴内における回転方向の移動量)は既知であり、このような情報は、演算装置50内の図示しないメモリなどに記憶しておくことが可能である。演算装置50は、相対回転速度および相対回転位置から、たとえば、ドッグ歯とドッグ穴との再接触のタイミングおよびそのときの相対回転速度を演算する。
なお、ドッグ歯とドッグ穴との離脱から再接触までの間に相対回転速度が変化しない、又はそのように想定できる場合には、再接触時の相対回転速度は、検出時の相対回転速度と同じであるとすることができる。しかし、この間にさらに減速されているか又はスロットル110aが開かれている場合には、相対回転速度が変化するため、減速の大きさ、スロットル開度などを別途検出し、これによってより正確な再接触時の相対回転速度を算出するために、上述のように演算される再接触のタイミングおよびそのときの相対回転速度を補正することも可能である。
このように演算することができる再接触のタイミングおよびそのときの相対回転速度に応じて、演算装置50は、遅角/進角開始時期、遅角/進角量、および遅角/進角終了時期などを決定し、点火コイルの通電を制御するなどして点火プラグ603aの点火時期を制御し、減速ショックが予想されるときには、再接触時の入力軸回転数又は回転トルクを増加させて減速ショックを緩和する一方、加速ショックが予想されるときには、再接触時の入力軸回転数又は回転トルクを減少させて加速ショックを緩和する。
なお、検出される相対回転速度および相対回転位置に応じた減速/加速開始時期、減速/加速量、および減速/加速終了時期などは、予めマップ(図8参照)として用意しておくことも可能である。また、マップに依存することなく、演算式を利用しても同様の作用効果を得られることは言うまでもない。
上記においては、変速装置203内の遊び、特に、各変速ギヤのドッグクラッチの遊びに特化した加減速時制御をするように説明したが、歯合する変速ギヤ間のバックラッシ、変速ギヤとシャフトとの間のスプラインの遊びなども対象することができるばかりでなく、たとえば、一次変速機201、チェーン219とドライブスプロケット218およびドライブスプロケット220との間の遊び、チェーン219自体の遊び、カップリングダンパ301の遊びなど、動力伝達経路中の任意の遊びを対象とすることができ、入力軸/出力軸センサおよび加減速手段(本実施の形態においては点火プラグ603a)もその遊びに応じた位置に配置される。
図8に示すように、演算装置50は、差分器51aを備えており、該差分器51aが、入力軸回転数と出力軸回転数との回転数差(すなわち、相対回転速度)を演算する。演算された相対回転速度は、分岐部56を通じて制御部53aに与えられる一方、積分器52aに入力される。積分器52aは、相対回転速度を積分することによって相対回転位置を推定し、推定された相対回転位置は、制御部53aに与えられる。分岐部56は、積分器52aの積分値をリセットできるような機能を有している。
制御部53aは、その制御ロジックが利用するマップ53Bを備え、該マップ53Bには、相対回転速度および相対回転位置に応じた減速/加速指令値を記憶している。具体的には、マップ53Bは、相対回転位置に応じた遅角/進角開始時期を記憶している。また、マップ53Bは、入力軸および出力軸の相対回転位置、入力軸回転数および/又は出力軸回転数、入力軸回転数および/又は出力軸回転数の増減率(微分値),入力軸回転数および出力軸回転数の回転数差,入力軸回転数および出力軸回転数の回転数差の増減率(微分値),スロットル開度,スロットル開度の増減率(微分値)などに応じた減速/加速量、および/又は減速/加速終了時期を記憶している。制御部53aは、差分器51aから与えられた相対回転速度と、積分器52aから与えられる相対回転位置推定値とに基づいてマップ53Bを参照して減速/加速指令値を演算し、演算した減速/加速指令値を点火プラグ603aに出力する。
なお、前述したように、通常は対象となる遊びの量は不変であり、予め求めておくことができることから、このような遊び量に応じた値で積分器52aの積分値が制限されるように、積分器52aをリミット付きの積分器から構成して実際にはあり得ない指定値とならないようにすることが望ましい。また、積分器52aの入力部に不感帯を付加して微小な相対回転速度のときには積分をしないようにしてもよい。
また、ここでは、様々な相対回転速度および相対回転位置に対する減速/加速指令値を、予めオフラインで演算しておきマップ53Bに記憶するように構成してあるが、これに限らず、たとえば、制御部53a内に所定のシミュレーションモデルを持たせてこれによりリアルタイムで減速/加速指令値を演算するように構成してもよい。
図9(a)−(e)は、本実施の形態の加減速時制御の効果を説明するためのグラフであり、(a)はスロットル開度、(b)は特別な制御を実施しなかったときの入力軸および出力軸の回転数、(c)はスロットル開度の増減率に基づいた点火遅角制御を実施したときの入力軸および出力軸の回転数、(d)は本実施の形態の加減速時制御を実施したときの入力軸および出力軸の回転数、および(e)はドッグ相対回転位置の推定値をそれぞれ示し、横軸には共通した時間を取ってある。
ここでは、車両が減速している状態から、スロットル110aを開いて加速したときを想定し、このときの各制御による入力軸および出力軸の回転数の時系列的な変化を以下に説明する。
ここでは、T1時点まで一定の減速を行い、図9(a)にスロットル開度を示すように、T1時点からスロットル110aを開いて加速をした。また、図9(e)にドッグクラッチ相対回転位置推定値を示すように、T1時点から若干遅れてT1A時点でドッグクラッチ221が減速側端部から遊びの範囲を移動し始め、T2時点には加速側端部に再接触している。
まず、図9(b)に特に制御をしなかった場合の回転速度を示すように、入力軸および出力軸の回転数は共に減少しており、T1A時点からスロットル110aを開くのに伴って入力軸回転数(図9(b)において破線で示す)のみが上昇を始める(A点)。そして、T2時点での再接触によって、入力軸回転数は低下する一方、出力軸回転数は上昇し(B点)、その後、入力軸および出力軸の両方の回転数は、上昇していく。
次に、図9(c)にスロットル開度の増減率に基づいた点火遅角制御に従う回転数を示すように、当初は、上述した特に制御をしなかったときと同様にT1A時点まで入力軸および出力軸の回転数は共に減少しており、T1A時点よりも早いT1C時点から点火遅角制御が実行されているが(A1点)、制御開始のタイミングが早すぎて入力軸回転数(図9(c)において破線で示す)の上昇が遅く(A点)、T2時点よりも遅いT2C時点で再接触を始めるが、再接触完了までの時間が大きくなって入力軸および出力軸の両方の回転数が上昇するのが遅れてしまう(B2点)。しかも、T2C時点でのショックは残ったままである(B1点)。
そして、図9(d)に本実施の形態の加減速時制御に従う回転数を示すように、当初は、上述の点火遅角制御のときと同様にT1A時点まで入力軸および出力軸の回転数は共に減少しているが、T1A時点から制御は開始されず、特に制御をしなかったときと同様に、T1A時点からスロットルを開くのに伴って入力軸回転数(図9(d)において破線で示す)のみが上昇を始める(A点)。しかし、その後の時点でドッグ相対回転位置推定値に基づいた制御が開始され(C点)、入力軸回転数を減少させ、再接触完了時には入力軸および出力軸の相対回転速度がほとんど無い状態にすることができる(B点)。なお、制御に要する再接触までの時間をこれよりも短縮するためには、C点を可及的に遅くしてB点に近付け、その後、急激に入力軸回転数を減少させるように制動させればよい。
以上のように、本願発明に係る減速比推定方法および装置によれば、仕様変更があっても制御パラメータの修正が不要であり、減速比の微変動状態あるいは減速比不定状態であっても安定した減速比の値の出力が可能である等、本願発明は優れた効果を奏する。
本願発明の第1の実施の形態に係る自動二輪車の概略構成を示すブロック図である。 図1に示した自動二輪車の減速比推定装置の構成を示すブロック図である。 図2に示した減速比推定装置の「減速→加速時」の制御パラメータの変化を示すグラフであり、(a)はNE(t)およびSPDF(t)、(b)はRATIO(t)およびRATIO(t-τ)、(c)はRATIO(t)/RATIO(t-τ)、ならびに(d)はSTABLE(t)の値をそれぞれ示し、横軸には共通した時間を取ってある。 図2に示した減速比推定装置の「加速→減速時」の制御パラメータの変化を示すグラフであり、(a)はNE(t)およびSPDF(t)、(b)はRATIO(t)およびRATIO(t-τ)、(c)はRATIO(t)/RATIO(t-τ)、ならびに(d)はSTABLE(t)の値をそれぞれ示し、横軸には共通した時間を取ってある。 図2に示した減速比推定装置の「シフト・ダウン時」の制御パラメータの変化を示すグラフであり、(a)はNE(t)およびSPDF(t)、(b)はRATIO(t)およびRATIO(t-τ)、(c)はRATIO(t)/RATIO(t-τ)、(d)はSTABLE(t)、(e)はRATIO_LEARN(t)、(f)はRATIO(t)/RATIO_LEARN(t-Δt)、ならびに(g)はSHIFT(t)の値をそれぞれ示し、横軸には共通した時間を取ってある。 図2に示した減速比推定装置の「シフト・アップ時」の制御パラメータの変化を示すグラフであり、(a)はNE(t)およびSPDF(t)、(b)はRATIO(t)およびRATIO(t-τ)、(c)はRATIO(t)/RATIO(t-τ)、(d)はSTABLE(t)、(e)はRATIO_LEARN(t)、(f)はRATIO(t)/RATIO_LEARN(t-Δt)、ならびに(g)はSHIFT(t)の値をそれぞれ示し、横軸には共通した時間を取ってある。 本願発明の第2の実施の形態に係る自動二輪車の概略構成を示すブロック図である。 図7に示した自動二輪車の演算装置の構成を示す制御ブロック図である。 図7および図8に示した演算装置の機能を説明するためのグラフであり、(a)はスロットル開度、(b)は特に制御を実施しなかったときの入力軸および出力軸の回転数、(c)はスロットル開度の増減率に基づいた点火遅角制御を実施したときの入力軸および出力軸の回転数、(d)は第2の実施の形態に係る演算装置による加減速時制御を実施したときの入力軸および出力軸の回転数、および(e)はドッグ相対回転位置の推定値をそれぞれ示し、横軸には共通した時間を取ってある。
符号の説明
10 自動二輪車
30 車輪
50B 減速比推定装置
103a クランク軸
203B 変速装置
211 ドライブシャフト
303 車軸
404 入力軸センサ
402 出力軸センサ
501 回転数比演算部
502 安定検出部
503 シフト検出部
504 推定処理部
504M メモリ

Claims (6)

  1. 入力軸と出力軸との間の動力伝達経路の減速比を推定する方法であって、
    前記入力軸の回転数を検出し、
    前記出力軸の回転数を検出し、
    検出された前記入力軸の回転数と検出された前記出力軸の回転数との間の回転数比を演算し、
    演算された回転数比と、それ以前に演算された回転数比との差が所定の第1の閾値範囲内にあるか否かを判定し、
    回転数比の差が前記第1の閾値範囲内にあると判定された場合に、該回転数比に関する値を前記動力伝達経路の減速比と推定し、メモリに記憶する一方、前記第1の閾値範囲内に無いと判定された場合には、前記メモリに記憶された過去の回転数比に関する値を前記減速比と推定することを特徴とする減速比推定方法。
  2. 入力軸と出力軸との間の動力伝達経路の減速比を推定する装置であって、
    前記入力軸の回転数を検出する入力軸センサと、
    前記出力軸の回転数を検出する出力軸センサと、
    前記入力軸センサにより検出された前記入力軸の回転数と前記出力軸センサにより検出された前記出力軸の回転数との間の回転数比を演算する回転数比演算手段と、
    該回転数比演算手段により演算された回転数比と、それ以前に前記回転数比演算手段により演算された回転数比との差が所定の第1の閾値範囲内にあるか否かを判定する安定検出手段と、
    前記安定検出手段により回転数比の差が前記第1の閾値範囲内にあると判定された場合に、該回転数比に関する値を前記動力伝達経路の減速比と推定し、メモリに記憶する一方、前記第1の閾値範囲内に無いと判定された場合には、前記メモリに記憶された過去の回転数比に関する値を前記減速比と推定する学習処理手段と
    を備えることを特徴とする減速比推定装置。
  3. 前記回転数比に関する値は、前記回転数比演算手段により時系列的に演算される回転数比の移動平均値であることを特徴とする請求項2記載の減速比推定装置。
  4. 前記回転数比演算手段により演算された回転数比と、それ以前に前記学習処理手段により推定された減速比との差が第2の閾値範囲内にあるか否かを判定するシフト検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の減速比推定装置。
  5. 前記シフト検出手段は、前記回転数比のほうが前記減速比よりも大きい場合に、シフトダウンが行われていると判定し、前記回転数比のほうが前記減速比よりも小さい場合に、シフトアップが行われていると判定することを特徴とする請求項4記載の減速比推定装置。
  6. 前記学習処理手段は、前記安定検出手段により回転数比の差が前記第1の閾値範囲内にあると判定され、且つ、前記シフト検出手段により回転数比と減速比との差が前記第2の閾値範囲内にあると判定された場合に、前記回転数比に関する値を前記動力伝達経路の減速比と推定し、メモリに記憶する一方、前記安定検出手段により回転数比の差が前記第1の閾値範囲内に無いと判定され、且つ、前記シフト検出手段により回転数比と減速比との差が前記第2の閾値範囲内に無いと判定された場合には、前記メモリに記憶された過去の回転数比に関する値を前記減速比と推定することを特徴とする請求項4記載の減速比推定装置。
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