JP2007016080A - 活性エネルギー線硬化性組成物、該組成物からなるフィルム及び該フィルムを用いて形成された光ディスク - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物、該組成物からなるフィルム及び該フィルムを用いて形成された光ディスク Download PDF

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Abstract

【課題】 光特性に優れるのみならず、靱性、耐熱性、2次加工性にも優れ、容易に成形可能で、連続したロール状にフィルム化することが可能な活性エネルギー線硬化性組成物、該組成物からなるフィルム及び該フィルムを用いて形成された光ディスクを提供する。
【解決手段】
エポキシ(メタ)アクリレート化合物(成分I)とフェノキシ(メタ)アクリレート化合物(成分II)を含有する。
成分Iはビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート化合物類、成分IIは分子内に、パラクミル基縮合組成、エピクロロヒドリン縮合組成、及びエチレングリコール縮合組成からなる群から選択される少なくとも1種の組成を有することが好ましい。
また、フィルムは、上記の組成物を用いて形成され、光ディスクは、このフィルムを少なくとも一層積層して形成される。

Description

本発明は、光学用途に適した透明で光学的に歪みの小さいフィルムや光学機能調整された窓・ディスプレイ・光ディスク等の少なくとも一部の層を形成する際に用いて好適な活性エネルギー線硬化性組成物、及び該組成物を用いて形成されたフィルム、及び該フィルムを用いて形成された光ディスクに関する。
従来から液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の光学機能調整用フィルムのベース又はスペーサー、光ディスクの記録層直上のスペーサーとして光学的に歪みの小さいプラスチックフィルムが形成され、かつ応用されている。
しかし、これらのフィルムは、流延法やコーティング法等によるものであるため、該製造法に適した材料に限定される。
そのため、耐熱変形性、耐熱分解性、フィルム化加工性、コストなどが折り合わず、上記フィルムは、用途や使用条件等において、著しい制約を受けているのが実情である。
例えば、特開2003−231725公報(特許文献1)では、活性エネルギー線硬化性組成物の加工方法としてコーティング法、特にスピンコーター法の優位性が示されているが、厚さ50〜100μmの厚肉フィルムを得る場合、これらの方法では、厚さ精度が十分でなく、得られたフィルムの厚さ調整のために切削加工等が余儀なくされ、使用される活性エネルギー線硬化性組成物の飛散等によるロスが大きく、実用的とは言い難い。
また、光学的な歪みが小さく、耐熱変形性の高いフィルム材として変性ポリイミド、ポリエーテルスルフォン等各種エンジニアリングプラスチックが知られているが、高価であるばかりか、成形温度が高いため用途が限定される。
あるいは、流延法によるポリカーボネートは、製造に手間がかかり高価で使いにくく、熱硬化性のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂は、脆く製造に手間がかかり、適当でない。
さらに、UV硬化性のエポキシ樹脂、アクリル樹脂は、製造は容易であるが同様に脆く、靱性を改良したものは、軟質で耐熱変形性が劣り、しかも同樹脂で厚さ数μm以下のコーティングや注型といった成形・用途に用いられるものでは、肉厚数十μm〜数百μmのフィルムの例は、事実上知られていない。
例えば、特開平9−61601号公報(特許文献2)では、環状構造を有し、二つ以上のアクリレート基を有するエポキシアクリレート(a)と、環状構造を有する単官能アクリレート(b)とからなる組成物で、上記の環状構造を有し、二つ以上のアクリレート基を有するエポキシアクリレート(a)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等から選ばれ、上記の環状構造を有する単官能アクリレート(b)が、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート等及びこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上である組成物と、この組成物から得られるシートが示されている。
しかし、光学用途に適した透明で光学的に歪みの小さいのみならず、靱性、耐熱性、2次加工性にも優れ、容易に成形可能で、連続したロール状にフィルム化することが可能であり、結果フィルムや光学機能調整された窓・ディスプレイ・光ディスク等の少なくとも一部の層を形成する際に用いて好適な活性エネルギー線硬化性組成物についての具体的な例示がなく、靱性、耐熱性、2次加工性が十分とはいえず、総じて、これらの特性を要する用途への適性は十分でない。
以上のように従来技術においては、光特性には優れるものの、靱性、耐熱性、2次加工性等においては必ずしも優れたものではなく、成形が困難であり、連続したロール状にフィルム化することは不可能ないしは極めて困難であった。
特開2003−231725 特開平9−61601
本発明は、優れた光特性とともに、上記のような種々の特性をも併せ持ち、連続したロール状にフィルム化が容易に行える活性エネルギー線硬化性組成物を提供することを第1の目的とし、合わせて該組成物を用いて形成されたフィルムやシートのようなシート状物を提供することを第2の目的とし、更にこれらを用いて形成された光ディスクを提供することを第3の目的とする。
すなわち、〔1〕本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、エポキシ(メタ)アクリレート化合物とフェノキシ(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする。
このとき、(1)エポキシ(メタ)アクリレート化合物30〜95質量部、フェノキシ(メタ)アクリレート化合物5〜70質量部を含有すること、
(2)エポキシ(メタ)アクリレート化合物が、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート化合物類であること、
(3)フェノキシ(メタ)アクリレート化合物が、分子内に、パラクミル基縮合組成、エピクロロヒドリン縮合組成、及びエチレングリコール縮合組成からなる群から選択された少なくとも1種の組成を有すること、
が好ましい。
また、〔2〕本発明のフィルムは、上記〔1〕に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成されたことを特徴とし、さらに〔3〕本発明の光ディスクは、〔3〕このフィルムを少なくとも一層積層して形成されたことを特徴とする。
本発明の組成物は、上記したとおり、光特性に優れることはもとより、耐熱性、加工性等にも優れており、結果同組成物で成形されたフィルムは靱性、耐熱性、2次加工性に優れ、さらに同フィルムを積層して得られる光ディスクは積層の簡便性、厚さ精度、コスト等に優れ、その付加価値は工業的、商業的に極めて高いものである。
上記した本発明の組成物は、下記のような物性を有する:
粘度:1〜700Pas
ガラス転移点(Tan δ peak):80℃以上
また、上記組成物は、エポキシ(メタ)アクリレート化合物(I)、好ましくは30〜95質量部、及びフェノキシ(メタ)アクリレート化合物(II)、好ましくは5〜70質量部を常法に従い混合することによって得られる。混合法は、スターラー、ミキサー(プロペラ式やスクリュー式等)、超音波、振盪機などを用いて行うのが一般である。
上記本発明の組成物は、加工性に優れているので加工するに当たっては任意の加工方法、加工装置を用いることで行うことができる。例えば、押出成形機による押出成形法、スピンコーター等各種コーティング装置によるコーティング法、流延法、各種積層方法、注型法等が挙げられる。
本発明の組成物において、エポキシ(メタ)アクリレート化合物とフェノキシ(メタ)アクリレート化合物との組成比が、エポキシ(メタ)アクリレート化合物30〜95質量部、フェノキシ(メタ)アクリレート化合物5〜70質量部となるようにすることが、適度な粘度(フィルム化加工性)、靱性、耐熱変形性、耐熱分解性、2次加工性、コストの面等から好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレートが30質量部未満では、粘度が低くなり過ぎ、耐熱変形性、耐熱分解性共に劣化してしまい、95質量部を越えると、粘度が高くなり過ぎ、靱性、2次加工性、透明性の面で劣り好ましくない。
フェノキシ(メタ)アクリレートが5質量部未満では、エポキシ(メタ)アクリレートが相対的に多くなりすぎて、粘度の上昇を招き、靱性、2次加工性、透明性の面で劣ることとなり、70質量部を超えるとエポキシ(メタ)アクリレートが相対的に少なくなりすぎて、粘度の低化を招き、耐熱変形性、耐熱分解性が劣化することとなる。
以下本発明組成物の各成分につき詳細に説明する。
成分(I)、すなわち、
エポキシ(メタ)アクリレート化合物としては特に制約はないものの詳しくは、二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーで分子量や極性が高く、アクリロイル基の反応で容易に物性が向上しやすい構造が良い。例えば、1,4−ブタンジオ−ルジグリシジルエ−テル、ネオペンチルグリコ−ルジグリシジルエ−テル、エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、プロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、トリプロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリプロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、1,6−ヘキサンジオ−ルジグリシジルエ−テル、グリセリンジグリシジルエ−テル、トリメチロ−ルプロパントリグリシジルエ−テル、水添ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコ−ルジグリシジルエ−テル、トリメチロ−ルエタントリグリシジルエ−テル、脂肪族ポリオ−ルポリグリシジルエ−テル、ポリグリコ−ルジエポキサイド、ヒマシ油ポリグリシジルエ−テル、シクロヘキサンジメタノ−ルジグリシジルエ−テル、レゾルシノ−ルジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルFジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルSジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルAエチレンオキサイド付加ジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルAプロピレンオキサイド付加ジグリシジルエ−テル、フタル酸やジヒドロフタル酸等の二塩基酸とエピハロヒドリンとの反応によって得られるジグリシジルエステル化合物;アミノフェノ−ルやビス(4−アミノフェニル)メタン等の芳香族アミンとエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ化合物;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、フェノ−ルノボラック型エポキシ樹脂やクレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ化合物の(メタ)アクリル酸付加体が挙げられる。
これらエポキシ(メタ)アクリレート化合物は所望により1種もしくは2種以上を混合して使用することができる。特にビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルFジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルAエチレンオキサイド付加ジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルAプロピレンオキサイド付加ジグリシジルエ−テル等の多官能エポキシ化合物の(メタ)アクリル酸付加体であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート化合物類が耐熱変形性、耐熱分解性、加工性、コストの面で好ましい。
次に、成分(II)、すなわち、
フェノキシ(メタ)アクリレート化合物としては特に制約はないものの、二つ以下の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーであって比較的低分子量で粘度が低く単独の重合物の伸びが大きいものが好ましく、このような構造のものであれば、エポキシ(メタ)アクリレート化合物の粘度を下げ靱性を改良しやすく、本発明において好適である。具体例を挙げれば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノ−ルAエチレンオキサイド付加ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノ−ルAポリエチレンオキサイド付加ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノ−ルAプロピレンオキサイド付加ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノ−ルAポリプロピレンオキサイド付加ジ(メタ)アクリレート等である。
特にノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート(=エピクロロヒドリン変性フェノキシ(メタ)アクリレート)、ビスフェノ−ルAポリエチレンオキサイド付加ジ(メタ)アクリレート等の分子内に、パラクミル基縮合組成、エピクロロヒドリン縮合組成及びエチレングリコール縮合組成からなる群から選択される少なくとも1種を有するフェノキシ(メタ)アクリレート化合物が、成分(I)の粘度を下げ、靱性改良に良好に寄与し、成分(I)との併用において本発明の目的を好適に達成することができる。
本発明に係る組成物としてエポキシ(メタ)アクリレート化合物とフェノキシ(メタ)アクリレート化合物以外の配合成分としては、慣用される他の光硬化性のオリゴマーやモノマー、あるいは光開始剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂、染料、顔料等の着色剤等が硬化性や透明性、耐熱性等の物性の改善効果のあるものを支障とならない範囲で添加することができる。特に活性エネルギー線として紫外線照射を応用する場合は光開始剤は必須であり、例えばベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系、及びパーオキシド系等が制限なく使用でき、なかでもベンゾイン系、具体的には1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が透明性の面で好適である。光開始剤の量は、エポキシ(メタ)アクリレート化合物とフェノキシ(メタ)アクリレート化合物の硬化性等に応じて適宜調整されるが、典型的には同化合物各100質量部に対して、1〜10質量部とするのが好ましい。
本発明におけるフィルム化は既存のコーティング法の応用等特に制約はないが、以下の方法によるのが好ましい。すなわち、連続して定速駆動する工程用離型フィルムやベルトあるいはロール上に十分混合分散した該組成物を定量供給して表面張力や加熱、加圧効果によりフィルム状に賦形し、これら離型フィルム・ベルト・ロールを介して活性エネルギー線を照射して硬化させ、離型フィルム・ベルト・ロールを剥離してフィルムに成形する方法である。
工程用離型フィルムとしてはポリエチレンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリ4メチルペンテン−1フィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、フッ素樹脂フィルム等の離型性、寸法安定性、平滑性に優れたフィルムを利用することができ、好ましくは光学用の平滑性に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムで、より好ましくはさらにシリコーンコーティングで離型処理された光学用の平滑性に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが利用される。離型性の程度は組成物を硬化させた後の離型性の他、コーティングした時のフィルム形態のぬれ安定性、密着性とのバランスで調整される。また離型フィルムの厚さは主に組成物コーティング時の安定性、硬化後の硬化収縮による反りの抑制、硬化に関わる活性エネルギー線透過性、離型フィルムコストのバランス等で調整され、実用的には50〜250μmの範囲とするのが好ましい。
工程用離型ベルトはステンレスや表面メッキ加工鋼など平滑性、寸法安定性に優れたシート材をシームレスに継いで2本以上のロールに掛けてロールの駆動により連続定速加工に利用する。表面をさらにフッ素樹脂やセラミック等でコーティングして高離型化することもできる。工程用離型ロールは表面メッキ加工鋼にさらにフッ素樹脂やセラミック等でコーティングして離型化される。
これら離型フィルム・ベルト・ロール等の工程用離型材は、本発明に係る組成物のフィルム化にあたり、該フィルムの片面のみを工程用離型材に接触した状態で該組成物を賦形し、該フィルムの他の面は大気接触状態で加工することもできるし、種々の組み合わせで該フィルムの両面を工程用離型材に接触させて加工することもできる。
ただし、活性エネルギー線として紫外線を応用した場合には、その低透過性に制約され、片面は少なくとも大気もしくは紫外線透過媒体(例えば、紫外線透過ガラス《日本板硝子社製等》、紫外線透過(メタ)アクリル《カナセ工業社製、住化スミペックス》、ポリメチルペンテンポリマー《PMP》《三井化学社製商品名“TPX”》等の)フィルム、小径ロール、ベルトが必須であり、照射は、大気もしくは紫外線透過媒体のフィルム、小径ロール、ベルト側とすることに限定される。
本発明に係る組成物の定量供給にあたっては、グラビアコーティング、ロールコーティング、ロッドコーティング、ナイフコーティング、ブレードコーティング、スクリーンコーティング、ダイコーティング、カーテンフローコーティング等の知られた方式により組成物供給量の制御が容易であり、特に制限なく用いることができる。
また、該組成物をフィルム化する目的に応じて相当の肉厚に加工するのに適当な方式を選択すればよいが、その多くは肉厚5〜2000μm、さらに多くは10〜500μm、さらには20〜200μmである。これらの肉厚はいずれもコーティング加工としては厚い領域であり、このような厚い領域において厚さ精度、加工の手間、外観等を考慮すると、特にダイコーティング方式であって、該組成物を硬化成分が実質100%の無溶剤系とした組み合わせが好ましい。ここで、実質100%とは、組成物処方上溶剤や揮発成分を使用しないか、もしくは所定の条件で除去した内容で溶剤残留や光開始剤残さは実性能上への弊害の低さから無視できるものとする。
なお、本発明に係る組成物の無溶剤化による粘度の上昇に伴うコーティング加工性への影響に対しては、該組成物での材料選択や加熱により調整できる。
活性エネルギー線は特に制約なく工業的に利用できるものが応用でき、例えば、紫外線、電子線、γ線、X線等が挙げられるが、透過厚さ、エネルギー、設備コスト、光開始剤や増感剤等添加剤のコスト・品質への負荷等総合的に判断すると特に紫外線が利用しやすい。紫外線は各種発光特性のものが特に制限なく利用することができ、フィルム厚さや硬化状況等に応じて調整ができ、また、エネルギーに関しても首記同様に調整でき、照度として概ね0.1〜5J/cm2である。さらに照射効率を向上させるために照射雰囲気を窒素やアルゴンあるいは炭酸ガス等の不活性ガスとしたり、成形した組成物を加温しながら照射することも可能である。
工程用離型フィルムを用いない場合は単独のフィルムが得られるので、そのままロール状に巻き取ったり断裁して枚葉化する等の形態で光学機能調整用フィルム化等具体的な用途に供することになる。一方、工程用離型フィルムを用いる場合にはそれとの積層フィルムとして得られるので、硬化後に工程用離型フィルムを剥離して上記同様の対応ができるほか、剥離せずにそのまま積層された形態で具体的な用途に供し、工程用離型フィルムを保護フィルムないし具体的な用途での工程用離型フィルムとした内容も本発明の範囲内にある。
本発明に係るフィルムを光ディスクに応用する例としては、具体的には表面にピット、グルーブ等の凹凸パターンが形成されて信号記録面とされているディスク基板上に光透過層を設け、この光透過層側からレーザ光を照射して情報の記録、再生を行うようにした光ディスクであって、該光透過層に用いるものが挙げられる。フィルムのディスク基板上への積層形成については別途準備した接着剤や粘着剤あるいはそのフィルム材などを応用して加工される。接着剤や粘着剤の場合はフィルムもしくは光ディスク面に塗工・乾燥・軟化(接着剤の場合)・硬化(粘着剤の場合)したのち各々光ディスクもしくはフィルムを積層し硬化もしくは冷却固化(接着剤の場合)させる。同フィルム材ではフィルムもしくは光ディスク面に積層・軟化(接着剤の場合)したのち各々光ディスクもしくはフィルムを積層し硬化もしくは冷却固化(接着剤の場合)させる。接着剤や粘着剤あるいはそのフィルム材については特に制約はないが、耐熱性、透明性、コスト等の他接着性の観点からアクリル系が好適である。
以上説明した本発明に係る組成物は耐熱性、加工性に優れ、結果同組成物で成形されるフィルムは靱性、耐熱性、2次加工性に優れ、同フィルムを積層して得られる光ディスクは積層の簡便性、厚さ精度、コストに優れ、その付加価値は工業的に有用である。
(実施例1)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート70質量部とパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート30質量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3質量部をミキサーで室温にて20分撹拌混合し、ロール状体から巻き出された厚さ100μmの光学用の平滑性に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面に、40℃に加温した250mm幅のダイコーターにて70μmの厚さに塗布し、紫外線を高圧水銀ランプで1J/cm2の照度で照射して硬化させて巻き取り、2軸延伸ポリエチレンレフタレートフィルムが工程用離型フィルムとして積層されたフィルムを得た。
この過程で硬化以降のフィルムの硬化収縮に伴う積層されたフィルムのカールの具合、工程用離型フィルムを剥離除去して得られたフィルムの靱性、耐熱性、2次加工性、厚さ精度、透明性に関して以下に示す評価を行い、結果を表1に示す。
また、この過程で得られる組成物の物性(粘度と硬化性)および、この組成物から得られる硬化以降のフィルムのTgに関して以下に示す評価を行い、結果を表1に併せて示す。
<カールの具合>
巻き取りロールの張力で硬化以降巻き取りまでに走行している積層されたフィルムは、平面状に位置が保たれているが、硬化収縮によりフィルムが縮もうとし、その応力度合いや工程用離型フィルムの腰に応じて、積層されたフィルムの両端がフィルム側にカールする。その時のフィルムへの張力によって平面に戻そうとする作用により、フィルムへの亀裂・割れ、巻き取り位置での両端部の折り込みやシワ入り・蛇行の状況に応じて次の基準による評価を行った。
○:カールはあるものの、フィルムへの亀裂・割れや両端部の折り込みやシワ入り・蛇行等は見られなかった。
△:カールがあり一部にシワが入りもしくは蛇行が見られたが、フィルムへの亀裂・割れや両端部の折り込みは見られなかった。
×:カールによりシワ入りもしくは蛇行が見られ、またフィルムへの亀裂・割れや両端部の折り込みのいずれかが起こり、部分的にフィルムが得られなかった。
<靱性>
工程用離型フィルムを剥離除去して得られたフィルムの一部を一定の曲率半径まで曲げたときの状況に応じて次の基準による評価を行った。
○:曲率半径15mmまで特に変化は見られなかった。
△:曲率半径25mmまで特に変化は見られなかった。
×:曲率半径25mmまででフィルムへの亀裂・割れが発生した。
<耐熱性>
工程用離型フィルムを剥離除去して得られたフィルムを、80℃85%相対湿度下に500時間放置した後の反りと着色の状況に応じて次の基準による評価を行った。
○:初期の反り角と80℃85%相対湿度下で500時間放置後の反り角との差が0.3°未満で、かつJISK7105に準じた同黄色度の差(黄変度)が5未満。
△:初期反り角と80℃85%相対湿度下で500時間放置後の反り角の差が0.3°未満、或いはJISK7105に準じた同黄色度の差(黄変度)が5未満。
×:初期反り角と80℃85%相対湿度下で500時間放置後の反り角の差が0.3°以上で、JISK7105に準じた同黄色度の差(黄変度)が5以上。
<2次加工性>
工程用離型フィルムに積層されたフィルムのままフィルム面を移動刃側としてトムソン刃による断裁加工を20℃下で10枚行い、フィルムの切断面の状況に応じて次の基準による評価を行った。
○:全てきれいに問題なく切断された。
△:切断面に細かい亀裂が入るものが3枚未満見られた。
×:切断面に細かい亀裂が入るものが3枚以上見られた。
<厚さ精度>
工程用離型フィルムを剥離除去して得られたフィルムについて、250mm幅方向に均等幅でJISK7130A-1法に準じて20点マイクロメータより測定し、次の基準により評価を行った。
○:測定値の範囲が0.005mm未満かつ標準偏差が0.0020mm未満。
△:測定値の範囲が0.005mm未満もしくは標準偏差が0.0020mm未満。
×:測定値の範囲が0.005mm以上で標準偏差が0.0020mm以上。
<透明性>
工程用離型フィルムを剥離除去して得られたフィルムについて、分光光度計を用い、空気をリファレンスとして、波長400nmの光線透過率を測定し、次の基準で評価を行った。
○:88%以上。
△:85%以上。
×:85%未満。
<粘度>
組成物の粘度を測定し、次の基準で評価した。
○:1〜700Pasの範囲内のもの。
×:1Pas未満あるいは700Pasを超えるもの。
<硬化性>
上記のUV照射条件で硬化後のフィルムを観察し、次の基準で評価した。
○:タックが残っていないもの
△:タックが残っているもの
×:硬化しないもの
<Tg>
工程用離型フィルムを剥離除去して得られたフィルムについてガラス転移点(Tg)を測定し、次の基準で評価した。
○:>80℃
△:40〜60℃
×:<40℃
(実施例2)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレートをビスフェノ−ルAプロピレンオキサイド付加ジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレートに代えた以外は、実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例3)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレートをネオペンチルグリコ−ルジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレートに代える以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例4)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート70質量部とパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート30質量部を、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート90質量部と2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピルアクリレート10質量部に代えた以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例5)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート90質量部を40質量部に代え、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピルアクリレート10質量部を60質量部に代えた以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例6)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート70質量部と、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート30質量部に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3質量部と、さらに平均粒径9nmの表面疎水化コロイダルシリカ5質量部を加えた以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例7)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート70質量部と、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート30質量部に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3質量部と、さらにガラス転移温度82℃で平均分子量1万の熱可塑性アクリル樹脂5質量部を加えた以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例8)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート50質量部と、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート30質量部に、さらにトリシクロデカンジメチルジアクリレート20質量部と、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3質量部を配合した以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この積層フィルムと、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例9)
ダイコーターにて70μmの厚さに塗布した後、厚さ50μmの光学用の平滑性に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを塗布面にラミネートしてから紫外線を照射した以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例10)
厚さ0.8mmのステンレス製の実質シームレスのベルトを駆動制御された2本の金属ロールに掛け渡してなる工程用離型ベルト面に、塗布する以外は実施例9と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(実施例11)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート50質量部とパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート30質量部を混合・塗布し、加速電圧150kV、吸収線量50kGyで電子線照射した以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(比較例1)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート100質量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3質量部とした以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(比較例2)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート25質量部とパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート75質量部に、さらに2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3質量部を混合した以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(比較例3)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート25質量部と2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピルアクリレート75質量部に、さらに2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3質量部を混合した以外は実施例1と同様にして2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを工程用離型フィルムとし、該離型フィルムに積層されたフィルムを得た。
この組成物と、工程用離型フィルムを剥離除去したフィルムについて、実施例1と同様の基準による評価を行い、結果を表1に示す。
(比較例4)
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル型エポキシアクリレート25質量部とパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート75質量部に、さらに2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3質量部を混合し、スピンコーターで直径120mm、厚さ1.1mmのポリカーボネート板上に平均厚さ70μmで塗布し、紫外線を高圧水銀ランプで1J/cm2の照度で照射して硬化させて光ディスクの記録層直上のスペーサーに光学的に歪みの小さいプラスチックフィルムが形成されたことに相当するサンプルを得た。
得られたサンプルからポリカーボネート板を剥離除去し、フィルムを得た。
上記の組成物と、このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行い、結果を表 に示す。
Figure 2007016080
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイの光学機能調整されたディスプレイや窓、光ディスク等の積層フィルムの原料組成物としての利用に供することができる。

Claims (6)

  1. エポキシ(メタ)アクリレート化合物とフェノキシ(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. エポキシ(メタ)アクリレート化合物30〜95質量部、フェノキシ(メタ)アクリレート化合物5〜70質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. エポキシ(メタ)アクリレート化合物がビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート化合物類であることを特徴とする請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. フェノキシ(メタ)アクリレート化合物が分子内に、パラクミル基縮合組成、エピクロロヒドリン縮合組成、及びエチレングリコール縮合組成からなる群から選択される少なくとも1種の組成を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成されたことを特徴とするフィルム。
  6. 請求項5に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成されたフィルムを少なくとも一層積層して形成されたことを特徴とする光ディスク。
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