JP2011011122A - ハードコート積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】打ち抜き加工を施すにもかかわらずハードコート層のクラックの発生を防止できる上に表面硬度を高くできるハードコート積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のハードコート積層体1の製造方法は、未硬化塗膜をゲル分率が10質量%を超えかつ70質量%以下になるように予備硬化させて、半硬化状態のハードコート層を形成する予備硬化工程と、半硬化状態のハードコート層の基材11と反対側の面に保護フィルム20を貼合して半硬化積層体を得る半硬化積層体作製工程と、前記半硬化積層体を打ち抜き加工する打ち抜き工程と、打ち抜き加工した半硬化積層体の半硬化状態のハードコート層を、ゲル分率が75質量%を超えかつ100質量%以下になるように完全硬化させてハードコート層13を形成する本硬化工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードコート層を有する積層体を製造するハードコート積層体の製造方法に関する。
ディスプレイ用のガラス板や光ディスク用のプラスチック成形板等に、表面硬度を高めることを目的として、ハードコート層を有するハードコートフィルムを貼り合せることがある。
ハードコートフィルムは、貼り合わされるガラス板やプラスチック成形板の形状に合わせて刃型で打ち抜かれることがあるが、ハードコート層は硬いため、打ち抜き加工の際にクラック(ハードコート層にヒビが入る現象)が発生することがあった。このクラックは外観不良の原因となるため、大きな問題となった。
近年では、特にハードコート層の表面硬度の向上が求められ、具体的には鉛筆硬度3H以上が要求されている。しかし、経験上、ハードコート層の表面硬度と打ち抜き加工のクラック発生には二律背反の関係があることが分かっており、表面硬度を上げると打ち抜き加工時のクラックがより発生しやすくなった。
また、製造工程を簡素化するため、あるいは、意匠性を高めるために、多種多様の形状に打ち抜くことがあるが、特に曲率半径Rが3mm以下の形状を打ち抜く場合には、クラックが多く発生しやすかった。
そこで、特許文献1では、保護シートをハードコートフィルムに積層してから、打ち抜き加工する方法が記載されている。特許文献1では、重合性組成物を1段で硬化してハードコート層を得ている。
特許文献2には、未硬化状態(ゲル分率40〜98質量%)のハードコート層を成形体に転写し、その表面にエンボス加工を施した後、硬化処理を施して、クラックがなく、輪郭の鮮明な凹凸を有し、しかも高い表面硬度のハードコート層を形成するハードコート層付き成形体の製造方法が記載されている。
特開2007−299487号公報 特開2007−331129号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ハードコート層のクラック発生を充分に防止できなかった。例えば、曲率半径Rが3mm以下の形状を打ち抜く場合には、ハードコート層にヒビが打ち抜き部分から放射状に発生する現象を防ぐことができなかった。また、特許文献1に記載の方法では、鉛筆硬度を3H以上とすることが困難であった。近年、表面硬度3H以上が要求されることが多くなっており、加工限界の硬度と要求される硬度との差が開いている状態にある。
そこで、本発明者は、打ち抜き加工の際のハードコート層のクラック発生を防止しつつ表面硬度を高める方法として、特許文献2と同様に、未硬化状態で加工を施すことを検討した。ところが、本発明者が調べてみたところ、特許文献2と同様の未硬化状態では、必ずしも打ち抜き加工におけるハードコート層のクラック発生を防止しつつ表面硬度を高めることはできないことが判明した。
本発明は、打ち抜き加工を施すにもかかわらずハードコート層のクラックの発生を防止できる上にハードコート層の表面硬度を高くできるハードコート積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、特許文献2のエンボス加工における条件をそのまま打ち抜き加工に適用しても表面硬度とクラック抑制を両立できないのは、クラックの発生を抑えられる硬度は2Hクラスまでであり、それより硬い硬度ではクラック発生を抑制することが困難であると推測した。
また、本発明者は、特許文献2に記載のエンボス加工では、ハードコート層表面を変形させるに過ぎないため、未硬化時のゲル分率をある程度低くするだけで、問題なく凹凸を形成できるのに対し、打ち抜き加工ではハードコート層を打ち抜き刃によって切断するため、未硬化状態のゲル分率を低くし、完全硬化時との硬度差を大きくしただけでは、クラックの発生を防止できないと推測した。
そして、それらの推測に基づき、ハードコート層にクラックを発生させない製造方法について検討を重ねた結果、以下のハードコート積層体の製造方法を発明した。
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 基材の片面側に、硬化性成分を含有するハードコート層形成用塗工液を塗工し、乾燥させて未硬化塗膜を形成する塗工工程と、
前記未硬化塗膜をゲル分率が10質量%を超えかつ70質量%以下になるように予備硬化させて、半硬化状態のハードコート層を形成する予備硬化工程と、
半硬化状態のハードコート層の基材と反対側の面に保護フィルムを貼合して半硬化積層体を得る半硬化積層体作製工程と、
前記半硬化積層体を打ち抜き加工する打ち抜き工程と、
打ち抜き加工した半硬化積層体の半硬化状態のハードコート層を、ゲル分率が75質量%を超えかつ100質量%以下になるように完全硬化させてハードコート層を形成する本硬化工程とを有することを特徴とするハードコート積層体の製造方法。
[2] 前記塗工工程の前または半硬化積層体作製工程の後に、基材のハードコート層が積層される面とは反対側の面に粘着剤層を設ける粘着加工工程を有する[1]に記載のハードコート積層体の製造方法。
[3] 前記基材は、少なくともハードコート層を形成する側の面に、ハードコート層の密着性を向上させるための接着層が設けられている[1]または[2]に記載のハードコート積層体の製造方法。
本発明のハードコート積層体の製造方法によれば、打ち抜き加工を施すにもかかわらずハードコート層のクラックの発生を防止でき、しかもハードコート層の表面硬度を高くできる。
本発明のハードコート積層体の製造方法の一実施形態で得られるハードコート積層体を示す断面図である。 本発明のハードコート積層体の製造方法の一実施形態の一工程を示す図である。 本発明のハードコート積層体の製造方法の一実施形態の一工程を示す図である。 本発明のハードコート積層体の製造方法の一実施形態の一工程を示す図である。 本発明のハードコート積層体の製造方法の一実施形態の一工程を示す図である。 本発明のハードコート積層体の製造方法の一実施形態の一工程を示す図である。 本発明のハードコート積層体の製造方法の一実施形態の一工程を示す図である。 図1に示すハードコート積層体の使用例を示す断面図である。
本発明のハードコート積層体の製造方法の一実施形態について説明する。
<ハードコート積層体>
図1に、本実施形態の製造方法で得られるハードコート積層体を示す。本実施形態のハードコート積層体1は、ハードコートフィルム10と、ハードコートフィルム10の一方の面に積層された保護フィルム20と、ハードコートフィルム10の他方の面に積層された粘着フィルム30とを有する。
(ハードコートフィルム)
ハードコートフィルム10は、基材11と、基材11の保護フィルム20側の面に設けられた接着層12と、接着層12の基材11と反対側の面に設けられたハードコート層13とを有する。ハードコート層13の接着層12の反対側の面には保護フィルム20が積層され、基材11の接着層12と反対側の面には粘着フィルム30が積層されている。
[基材]
基材11としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム等が挙げられる。
特に、透明性、耐候性、耐溶剤性、剛度、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
基材11には、各種添加剤が含まれてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、カップリング剤等が挙げられる。
基材11の表面は、接着層12との密着性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理や溶剤処理等の凹凸化処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等の表面酸化処理などが挙げられる。
基材11の厚みは、10〜500μmであることが好ましく、20〜300μmであることがより好ましい。基材11の厚みが10μm以上であれば、破断しにくく、500μm以下であれば、透明性や取り扱い性に優れる。
[接着層]
接着層12は、基材11とハードコート層13との密着性を向上させるための層である。
接着層12を構成する接着剤としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
[ハードコート層]
ハードコート層13は、表面硬度を付与するための硬質成分を含有する。
硬質成分は、アクリル系重合体と、反応性無機酸化物粒子または反応性有機粒子とを有するものである。
アクリル系重合体は、重合性不飽和基を有するモノマーまたはオリゴマーの重合体である。
重合性不飽和基を有する有機化合物のモノマーまたはオリゴマーとしては、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましく、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量600)ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量400)ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの多官能アクリレートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
得られるハードコート層13の鉛筆硬度を3H以上にするためには、4官能以上の(メタ)アクリレートを選択することがより好ましい。
重合性不飽和基を有する有機化合物のモノマーまたはオリゴマーは、熱硬化性であってもよいし、活性エネルギー線硬化性であってもよい。
ハードコート層13には、柔軟性成分が含まれてもよい。柔軟性成分が含まれていると、ゲル分率が高い状態で打ち抜いた際のクラックの発生をより防止できる。
柔軟性成分としては、分子内に1個以上の重合性不飽和基を有する重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレート類である。該(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリシクロデカンメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、3官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートを選択することがより好ましい。
これらの(メタ)アクリレート類は、1種を単独で使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
反応性無機酸化物粒子は、カップリング剤により処理した無機酸化物粒子であり、反応性有機粒子は、カップリング剤により処理した有機粒子である。無機酸化物粒子または有機粒子をカップリング剤により処理することにより、アクリル系重合体との間の結合力を高めることができる。その結果、表面硬度や耐擦傷性を向上させることができ、さらに無機酸化物粒子および有機粒子の分散性を向上させることができる。
ここで、無機酸化物粒子としては、硬度が高いものが好ましく、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などを用いることができる。
有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミドなどの樹脂粒子などを用いることができる。
カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシアルミニウム等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤の処理量は、無機酸化物粒子または有機粒子100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
ハードコート層13の厚みは0.5〜20μmが好ましい。ハードコート層13の厚みが0.5μm以上であれば、ハードコートフィルム10の表面硬度を充分に確保でき、20μm以下であれば、加工性が高くなる上に、コストアップを抑えることができる。
(保護フィルム)
保護フィルム20は、打ち抜き工程でハードコート層13に傷が入ることを防止するための保護用のフィルムである。
保護フィルム20としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等からなるフィルムや、それらの樹脂を2種類以上、混合または積層したフィルムなどが使用される。
保護フィルム20には、ハードコート層13に対する接着性を得るために粘着加工が施されていてもよい。
保護フィルム20がハードコート層13の表面に積層された状態で打ち抜き加工を行う際には、保護フィルム20の剛度が高いほど、ハードコート層13のクラック等の欠陥発生を防止できる。また、基材11と同一素材であれば、ハードコート層13のクラック等の欠陥発生をより防止できる。このようなことから、剛性が高く、基材11としても使用されることから、ポリエチレンテレフタレート系の保護フィルムが好ましい。
(粘着フィルム)
粘着フィルム30は、基材11に接する粘着剤層31および剥離シート32を備えるフィルムである。
[粘着剤層]
粘着剤層31は、ハードコートフィルム10を被着体に貼着するための層である。
粘着剤層31を構成する粘着剤としては、例えば、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが使用される。また、溶剤系、エマルジョン系、水系のいずれであってもよい。なかでも光学系用途に使用する場合は透明度、耐候性、耐久性、コスト等の観点からアクリル溶剤系の粘着剤が特に好ましい。
粘着剤には、必要に応じて他の助剤が添加されてもよい。他の助剤としては、増粘剤、pH調整剤、タッキファイヤ、バインダ、架橋剤、粘着性微粒子、消泡剤、防腐防黴剤、顔料、無機充填剤、安定剤、濡れ剤、湿潤剤などが挙げられる。
[剥離シート]
剥離シート32としては、例えば、剥離シート用基材と、剥離シート用基材の粘着剤層31側に設けられた剥離剤層とを有するものが挙げられる。
剥離シート用基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙などの紙類、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルム類などが挙げられる。
剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニング社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO単位と(CHSiO1/2単位あるいはCH=CH(CH)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
<ハードコート積層体の製造方法>
上記ハードコート積層体1を製造する本実施形態の製造方法は、接着層形成工程と、塗工工程と、予備硬化工程と、半硬化積層体作製工程と、打ち抜き工程と、本硬化工程と、粘着加工工程とを有する。
[接着層形成工程]
接着層形成工程は、図2に示すように、基材11のハードコート層13を形成する側の面に接着層12を設ける工程である。具体的には、接着層形成工程は、基材11のハードコート層13を設ける側の面に、接着剤を含む接着層形成用塗工液を塗布し、乾燥させて接着層12を形成する工程である。
接着層形成用塗工液の塗工方法としては、例えば、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。
塗工後、加熱乾燥や真空乾燥等により溶媒を除去する。
[塗工工程]
塗工工程は、図3に示すように、接着層12の基材11と反対側の面に、硬質成分を含むハードコート層形成用塗工液を塗工して未硬化塗膜13aを形成する工程である。
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、n−ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンなどが使用される。これらは1種以上を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。塗工ムラを軽減するためには、蒸発速度の異なる溶剤を使用することが好ましい。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルを混合して使用することが好ましい。
また、ハードコート層形成用塗工液は、硬化を促進させるために、公知の光重合開始剤を含有することが好ましい。また、熱硬化性の硬質成分を用いる場合には、イソシアネート化合物やエポキシ化合物等の架橋剤を含有することが好ましい。
ハードコート層形成用塗工液の塗工方法としては、例えば、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。
[予備硬化工程]
予備硬化工程は、塗工工程によって形成した未硬化塗膜13aを予備硬化させて、図4に示すように、半硬化状態のハードコート層13b(以下、半硬化ハードコート層13bと略す。)を形成する工程である。
未硬化塗膜13aが、熱硬化性の成分を含有する場合には、加熱炉や赤外線ランプ等を用いた加熱より硬化させる。
未硬化塗膜13aが、活性エネルギー線硬化性の成分を含有する場合には、活性エネルギー線の照射によって硬化させる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が挙げられ、中でも、汎用性の点から、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
活性エネルギー線の照射による硬化は、窒素等の不活性ガス存在下で行うことが好ましい。
予備硬化では、ゲル分率が10質量%を超えかつ70質量%以下になるように未硬化塗膜13aを硬化させる。ゲル分率を前記範囲にすることで、半硬化ハードコート層13bになる。ここで、ゲル分率は、IR法により、非反応基の吸収波長(例えば−CHの1370〜1380cm−1等)のピークの強度に対する、反応基の吸収波長(例えば=CH−Hの1410〜1420cm−1、>C=C<の1620〜1650cm−1等)のピーク強度を、予備硬化前後で対比して求める。その際、塗膜が完全に硬化した段階における反応基のピーク強度が0にならない場合は、その値を考慮する必要がある。
すなわち、予備硬化前の未硬化塗膜の非反応基の吸収波長のピーク強度をA、予備硬化後の半硬化ハードコート層13bの非反応基の吸収波長のピーク強度をA、完全に硬化反応が終了した状態のハードコート層の非反応基の吸収波長のピーク強度をA、予備硬化前の未硬化塗膜の反応基の吸収波長のピーク強度をB、予備硬化後のハードコート層13の反応基の吸収波長のピーク強度B、完全に硬化反応が終了した状態のハードコート層の反応基の吸収波長のピーク強度をBとした際に、下記式によりゲル分率を求める。
ゲル分率=[{(B/A)−(B/A)}/{(B/A)−(B/A)}]×100(%)
予備硬化後のゲル分率が10質量%以下であると、ハードコート層13にタック感(べたつき)があるため加工機のロール汚染や異物付着等の不具合を生じる。また、本実施形態のように半硬化積層体1aが保護フィルム20を有すると、半硬化ハードコート層13bと保護フィルム20とが局所的あるいは全体的に接着して、保護フィルム20の剥離が困難になる。また、剥離が困難になった状態で保護フィルム20を無理に剥離させると、ハードコート層13の外観が損なわれ、ハードコート層13としての適性が低くなる。また、保護フィルム20の微細な凹凸等の形状がハードコート層に転移したり、巻取り保管時の巻き締まり等の圧力によるフィルムの変形がハードコート層13に影響を与えたりして、表面欠陥を生じる可能性がある。さらに、打ち抜き時にはタックのある未硬化物質が打ち抜き刃へ付着するため、それが他の部分への汚染原因となることがある。
予備硬化後のゲル分率は20質量%を超えることが好ましい。予備硬化後のゲル分率が20質量%を超えれば、打ち抜き時の応力によりハードコート層13に歪みが生じることもなく、打ち抜き後の断面周辺に凸部や凹部が発生しにくい。
予備硬化後のゲル分率が70質量%を超えると、打ち抜き工程にて、刃の進入による引き裂き応力に耐えられず、半硬化ハードコート層13bにクラックを発生させやすくなる。
予備硬化後のゲル分率は40質量%以下であることが好ましい。予備硬化後のゲル分率が40質量%以下であれば、ハードコート層13に柔軟性成分を含有しなくても、打ち抜き後のクラックが発生しないため、より高硬度なハードコート層13を得ることができる。
ゲル分率の調整方法については後述する。
予備硬化工程では、半硬化ハードコート層13b側の表面の鉛筆硬度が粘着剤層31、基材11が積層された状態でHB以上2H以下になるように硬化を行うことが好ましい。これは、鉛筆硬度は、粘着剤層31や基材11の硬さ、厚みに大きく影響を受けるためである。
半硬化積層体1aの鉛筆硬度をHB以上にすれば、打ち抜き加工時に打ち抜き刃の周囲にかかる歪み応力を緩和でき、鉛筆硬度を2H以下にすれば、打ち抜きによる半硬化ハードコート層13bのクラック発生をより防止できる。
上記範囲の鉛筆硬度にするためには、ハードコート層形成用塗工液に含まれる重合性不飽和基を有するモノマーまたはオリゴマーとして、完全硬化後の鉛筆硬度が3H以上6H以下になるものを使用した上で、上記ゲル分率になるように予備硬化させればよい。
[半硬化積層体作製工程]
半硬化積層体作製工程は、図5に示すように、半硬化ハードコート層13bの接着層12と反対側の面に保護フィルム20を積層して半硬化積層体1aを得る工程である。
本硬化工程において活性エネルギー線の照射により硬質成分を硬化させる場合には、硬化不足を防止するために、保護フィルム20として、本硬化工程で使用する活性エネルギー線の透過率が20%以上のものを用いることが好ましい。
[粘着加工工程]
粘着加工工程は、図6に示すように、基材11の接着層12と反対側の面に粘着フィルム30を、粘着剤層31が基材11に接するように積層する工程である。
基材11に粘着フィルム30を積層する方法としては、例えば、剥離シート32に、粘着剤を含む粘着剤層形成用塗工液を塗工し、乾燥させ、粘着剤層31を形成して粘着フィルム30を作製し、その粘着フィルム30を粘着剤層31により基材11に貼着する方法(転写法)、基材11の接着層12と反対側の面に粘着剤層形成用塗工液を塗工し、乾燥させて粘着剤層31を形成し、その粘着剤層31に剥離シート32を貼り合せる方法(直接塗工法)が挙げられる。上記のうち、簡便であることから、転写法が好ましい。
半硬化積層体作製工程にて得られた半硬化積層体1aは巻き取ってロール状にし、保管、輸送してもよい。ロール状にした場合、次の打ち抜き工程の前に、ロールから半硬化積層体1aを繰り出せばよい。
(打ち抜き工程)
打ち抜き工程は、半硬化積層体1aを打ち抜き加工する工程である。具体的には、打ち抜き工程では、図7に示すように、打ち抜き刃40を用いて半硬化積層体1aを打ち抜いて、打ち抜き加工した半硬化積層体1aを得る工程である。本実施形態の打ち抜きでは、打ち抜き刃40を保護フィルム20から粘着剤層31に向かって差し込み、剥離シート32を打ち抜かないように打ち抜き深さを調整する。また、打ち抜きの形状は、例えば、得られるハードコート積層体1を貼着する被着体の表面と同じ形状にされる。
打ち抜き刃40は、回転するものであってもよいし、半硬化積層体1aに対して当接・離間するように往復動するものであってもよい。
打ち抜き刃40により形成した打ち抜きの外側の部分1bは、剥離シート32から剥離されて除去される。
(本硬化工程)
本硬化工程は、打ち抜き加工した半硬化積層体1aの半硬化ハードコート層13bを完全硬化させる工程である。
本硬化工程では、ゲル分率が75質量%を超え100質量%以下になるように半硬化ハードコート層13bを完全硬化させる。本硬化後のゲル分率が75質量%以下であると、得られるハードコート層13の表面硬度が不充分になる。
また、本硬化工程では、ハードコートフィルム10のハードコート層13側の表面の鉛筆硬度を3H以上にすることが好ましい。ハードコートフィルム10の鉛筆硬度を3H以上にすれば、充分に高い表面硬度となる。
また、ハードコートフィルム10の鉛筆硬度を6H以下にすることが好ましい。ハードコートフィルム10の鉛筆硬度を6H以下にすれば、予備硬化工程にてゲル分率を10質量%超70質量%以下にすることで、鉛筆硬度がHB以上2H以下の半硬化ハードコート層13bを得ることができる。そのため、充分な打ち抜き加工性が得られる。
本硬化工程における硬化方法は、予備硬化工程における硬化方法と同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、予備硬化工程および本硬化工程の両方が加熱による硬化であってもよいし、予備硬化工程および本硬化工程の両方が活性エネルギー線照射による硬化であってもよいし、予備硬化工程および本硬化工程の一方が熱硬化で、他方が活性エネルギー線照射による硬化であってもよい。ただし、使用する硬質成分によって適宜選択される。すなわち、硬質成分として活性エネルギー線硬化性の成分を含有する場合には、活性エネルギー線照射による硬化が適用され、熱硬化性の成分を含有する場合には、加熱による硬化が適用される。
(ゲル分率の調整方法)
予備硬化工程および本硬化工程において上記範囲のゲル分率にするためには、硬化条件を適宜調整すればよい。ハードコート層形成用塗工液が活性エネルギー線硬化性の成分を含有する場合には、活性エネルギー線の照射量を多くする程、波長を短くする程、ゲル分率を高くできる。ハードコート層形成用塗工液が熱硬化性の成分を含有する場合には、加熱温度を高くする程、加熱時間を長くする程、ゲル分率を高くできる。
予備硬化工程および本硬化工程の両方が活性エネルギー線照射による硬化である場合に、予備硬化工程および本硬化工程のゲル分率を上記の範囲に調整するためには、予備硬化工程における活性エネルギー線照射量を5〜150mJ/cm、好ましくは10〜50mJ/cmにし、本硬化工程における活性エネルギー線照射量を20mJ/cm以上にすればよい。
予備硬化工程において、活性エネルギー線を照射して硬化させる場合の活性エネルギー線の照射量を5mJ/cm以上にすると、ゲル分率を容易に10質量%より高くできる。また、活性エネルギー線の照射量を150mJ/cm以下にすると、ゲル分率を容易に70質量%以下にできる。
また、予備硬化工程および本硬化工程の両方が活性エネルギー線照射による硬化である場合には、吸収波長の異なる2つの光重合開始剤を用い、予備硬化工程にて一方の光重合開始剤の吸収波長に応じた活性エネルギー線を照射して硬質成分を硬化させ、本硬化工程にて他方の光重合開始剤の吸収波長に応じた活性エネルギー線を照射して硬質成分を硬化させることができる。
吸収波長の異なる2つの光重合開始剤としては、例えば、260nm以下および310〜350nmに吸収波長を有するチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア184と、350〜410nmに吸収波長を有するビーエーエスエフジャパン社製TPOとの組み合わせが挙げられる。
2つの光重合開始剤を用いる場合でも、活性エネルギー線照射量を上記のようにする必要はあるが、2つの光重合開始剤を用い、異なる波長の活性エネルギー線を用いれば、照射量を容易に調整できる。
予備硬化工程および本硬化工程の両方が加熱による硬化である場合に、予備硬化工程および本硬化工程のゲル分率を上記の範囲に調整するためには、予備硬化工程にて熱硬化が途中になるように加熱温度、加熱時間等を調整し、本硬化工程にて熱硬化が終了するように加熱温度、加熱時間を調整すればよい。
その加熱温度、加熱時間は、使用する熱硬化性成分によって異なるが、例えば、予備硬化工程における加熱温度を50〜100℃、加熱時間を2〜5分にすることが好ましい。
予備硬化工程および本硬化工程の一方が熱硬化で、他方が活性エネルギー線照射による硬化である場合に、予備硬化工程および本硬化工程のゲル分率を上記の範囲に調整するためには、例えば、ハードコート層形成用塗工液に配合する架橋剤の配合量を調整すればよい。予備硬化工程が熱硬化で、本硬化工程が活性エネルギー線照射による硬化である場合には、架橋剤の配合量を、熱硬化性成分100質量部に対して0.1〜10質量部にすることが好ましい。架橋剤の配合量が0.1質量部以上であれば、予備硬化工程にて容易にゲル分率を10質量%より高くでき、10質量部以下であれば、容易にゲル分率を70質量%以下にできる。
また、本硬化工程における活性エネルギー線照射量は、短時間に完全硬化させるためには、100mJ/cm以上にすることが好ましい。
(使用方法)
以上のようにして、図1に示すハードコート積層体1が得られる。ハードコート積層体1は、例えば、剥離シート32が剥離された後、図8に示すように、露出した粘着剤層31によりガラス板やプラスチック成形板等の被着体50に貼着されて使用される。
(作用効果)
半硬化状態で硬度が低い半硬化ハードコート層13bに保護フィルム20を貼合した状態で打ち抜き加工する上記製造方法では、ハードコート層13のクラック発生を防止できる。
また、打ち抜き工程後の半硬化ハードコート層13bをさらに硬化させるため、得られるハードコート層13の表面硬度を高くできる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、本発明のハードコート積層体の製造方法では、接着層形成工程を有さず、基材11に接着層12を設けなくても構わない。
また、粘着加工工程は塗工工程の前であってもよい。
また、粘着フィルム30は、打ち抜き工程後に、基材11の半硬化ハードコート層13bと反対側の面または基材11のハードコート層13と反対側の面に設けてもよい。
また、粘着フィルム30の積層は省略しても構わない。上記実施形態の製造方法において、粘着フィルム30の積層を省略した場合に得られるものは、ハードコートフィルム10と保護フィルム20とを有するハードコート積層体である。ハードコート積層体が粘着剤層31を有していなくても、被着体50に粘着剤を塗工することで、ハードコートフィルム10を貼り合せることは可能である。
打ち抜き工程では、打ち抜き刃を、保護フィルム20から剥離シート32まで貫通させて打ち抜いても構わない。剥離シート32も打ち抜いた場合には、枚葉のハードコート積層体1を得ることができる。
本硬化工程においては、保護フィルム20が活性エネルギー線の透過率が低く、硬化を阻害する場合には、打ち抜き工程後に保護フィルム20を剥離してから本硬化工程を行ってもよい。この場合、本硬化工程後にハードコート層13の表面に保護フィルム20を再度積層して、ハードコート層13を保護することが好ましい。
また、本硬化工程は、剥離シート32を剥離し、露出した粘着剤層31によってハードコート積層体1をガラス基板等の被着体50に貼着した後に行ってもよい。
ハードコートフィルム10のハードコート層13の接着層12と反対側の面に加飾層を設けてもよい。加飾層の形成は、予備硬化を阻害させないために、予備硬化工程後が好ましい。
加飾層は、着色剤(顔料、染料)とバインダ(ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂)とを含む着色インキを印刷することによって形成できる。加飾層を金属発色させる場合には、アルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属の粒子、マイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料を用いることができる。
印刷方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などが適用され、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が好ましい。
(実施例1)
γ−アミノプロピルトリエトキシシランでカップリング処理した二酸化ケイ素粒子50質量部およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部を、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンで希釈してハードコート層形成用塗工液(完全硬化時の鉛筆硬度4H)を得た。
幅1,350mm、厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという。)の一方の面に、前記ハードコート層形成用塗工液をグラビアリバース法により、塗工速度10m/分にて塗工した。
次いで、PETフィルムに塗工したハードコート層形成用塗工液を熱風乾燥し、溶剤を揮発させて、乾燥膜厚10μmの未硬化塗膜を得た。
次いで、未硬化塗膜に、高圧水銀灯を有する紫外線照射装置により、照射量15mJ/cmの紫外線を照射して、ゲル分率が38質量%の半硬化ハードコート層を得た。
次いで、半硬化ハードコート層の基材と反対側の面に、38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製 ルミラーS10)に再剥離用溶剤系アクリル粘着剤(東洋インキ製 BPS−5978)を乾燥膜厚で15μmになるように塗布した保護フィルムを積層した。
また、溶剤系シリコーンBY24−843(東レ・ダウコーニング社製)が塗工された75μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムセパレータ(東レフィルム加工製 セラピールBX9)に、光学用溶剤系アクリル粘着剤(東洋インキ製造製 BPS−5977)を乾燥膜厚で10μmになるように塗工し、粘着フィルムを得た。
次いで、PETフィルムの、前記ハードコート層と反対側の面に、粘着フィルムを粘着剤層により貼合して、半硬化積層体を得た。
前記半硬化積層体を100mm幅に裁断した後、打ち抜き加工機に通した。
ここで、打ち抜き刃として、縦85mm×横45mmの長方形状で四隅がR=1.5mmにカーブした外枠打ち抜き用の刃と、縦3mm×横18mmの長方形状で四隅がR=0.7mmにカーブした内側貫通孔用の刃とを備えたピナクル刃を用いた。この打ち抜き刃は、半硬化積層体の進行方向に対して外枠打ち抜き用の刃の長辺が垂直になるように配置した。また、打ち抜き刃を、保護フィルムから粘着剤層に向かって押し込み、剥離シートが打ち抜かれないように打ち抜き深さを調整した。
また、打ち抜き加工機への半硬化積層体の送り幅を50mm/回、打ち抜き速度を180回/分とした。
打ち抜き工程後の半硬化積層体の半硬化ハードコート層に、打ち抜き加工機の打ち抜き部の下流側に設置した紫外線照射装置を用い、照射量100mJ/cmの紫外線を保護フィルム側から照射した。これにより、半硬化ハードコート層を完全硬化させ、ハードコート層を形成して、ハードコート積層体を得た。
(実施例2)
ハードコート層形成用塗工液に、柔軟性成分として、トリメチルプロパンのエチレンオキサイド変性トリアクリレートを10質量部添加し(完全硬化時の鉛筆硬度が3H)、予備硬化工程における紫外線照射量を15mJ/cmから100mJ/cmに変更して、予備硬化工程後のゲル分率を65質量%にした以外は実施例1と同様にして、ハードコート積層体を得た。
(実施例3)
予備硬化工程における紫外線照射量を15mJ/cmから12mJ/cmに変更して、予備硬化工程後のゲル分率を22質量%にした以外は実施例1と同様にして、ハードコート積層体を得た。
(実施例4)
予備硬化工程における紫外線照射量を15mJ/cmから9mJ/cmに変更して、予備硬化工程後のゲル分率を13質量%にした以外は実施例1と同様にして、ハードコート積層体を得た。
(実施例5)
ハードコート層形成用塗工液に含まれる硬質成分として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートに代えて、トリプロピレングリコールジアクリレートに変更した以外は実施例1と同様にして、ハードコート積層体を得た。
(比較例1)
予備硬化工程における紫外線照射量を15mJ/cmから150mJ/cmに変更して、予備硬化工程後のゲル分率を72質量%にした以外は実施例1と同様にして、ハードコート積層体を得た。
(比較例2)
予備硬化工程における紫外線照射量を15mJ/cmから300mJ/cmに変更して、予備硬化工程後のゲル分率を90質量%にした以外は実施例1と同様にして、ハードコート積層体を得た。
(比較例3)
予備硬化工程における紫外線照射量を15mJ/cmから5mJ/cmに変更して、予備硬化工程後のゲル分率を8質量%にした以外は実施例1と同様にして、ハードコート積層体を得た。
(比較例4)
完全硬化工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、ハードコート積層体を得た。
(評価)
ハードコート積層体について、以下の評価を行った。評価結果を表1,2に示す。
[ゲル分率]
予備硬化前、予備硬化後および完全硬化後のハードコート層のゲル分率を以下の方法により求めた。
すなわち、フーリエ変換赤外分光光度計(Nicolet社製、商品名:NEXUS640)を用いて、未硬化状態、半硬化状態または完全硬化状態のハードコート層の表面を、FT−IRのATR法によって測定した。
そして、予備硬化前の未硬化塗膜のメチル基の吸収波長のピーク強度をA、予備硬化後の半硬化ハードコート層13bのメチル基の吸収波長のピーク強度をA、完全に硬化反応が終了した状態のハードコート層のメチル基の吸収波長のピーク強度をA、予備硬化前の未硬化塗膜のビニル基の吸収波長のピーク強度をB、予備硬化後のハードコート層13のビニル基の吸収波長のピーク強度B、完全に硬化反応が終了した状態のハードコート層のビニル基の吸収波長のピーク強度をBとした際に、下記式により求めた。
ゲル分率=[{(B/A)−(B/A)}/{(B/A)−(B/A)}]×100(%)
[鉛筆硬度]
鉛筆硬度については、半硬化積層体またはハードコート積層体から剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層により、半硬化積層体またはハードコート積層体をガラス板に貼り付けた。次いで、保護フィルムを剥離し、露出した半硬化状態または完全硬化状態のハードコート層について、JIS K−5600−5−4に従って測定した。
[打ち抜き加工性]
ハードコート積層体から剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層により、ハードコート積層体をガラス板に貼り付けた。そして、内側貫通孔の打ち抜きの周辺をマイクロスコープにより観察し、ハードコート層のクラックの有無を調べた。
クラック・・・○:クラックなし、×:クラックあり
[保護フィルム剥離性]
得られたハードコート積層体から剥離シートを剥離し、ハードコートフィルムと同サイズのガラス板に貼合機を用いて貼り付けた後、保護フィルムを剥離した。そして、保護フィルム剥離時の剥離状態と、保護フィルム剥離後のハードコート層の外観を目視により評価した。
○:剥離時に重剥離化が生じず、ハードコート層に剥離痕が見られなかった。
×:剥離時の重剥離化が生じ、ハードコート層に剥離痕が見られた。
Figure 2011011122
Figure 2011011122
ゲル分率が10質量%を超え70質量%以下の未硬化状態のハードコート層を備える未硬化積層体を打ち抜き加工し、その後、さらにゲル分率が100質量%になるように硬化を行った実施例1〜4の製造方法では、ハードコート層にクラックの発生が見られなかった。特に、実施例1では、硬質成分として、完全硬化後の鉛筆硬度が4Hになるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いたため、得られたハードコート層の表面硬度がより高かった。
実施例5では、硬質成分として完全硬化時の鉛筆硬度がHのものを用いたため、得られたハードコート層の鉛筆硬度はHであった。実施例5のように、硬質成分として完全硬化時の鉛筆硬度がHのものを用いる場合には、硬化後に打ち抜いてもクラックが生じにくい。したがって、本発明のように予備硬化後に打ち抜き加工し、さらに硬化を行うのは手間やコストが多くなってしまう傾向にある。
ゲル分率が72質量%の未硬化状態のハードコート層を備える未硬化積層体を打ち抜き加工し、その後、ゲル分率が100質量%になるように硬化を行った比較例1の製造方法では、ハードコート層にクラックの発生が見られた。
ゲル分率が90質量の未硬化状態のハードコート層を備える未硬化積層体を打ち抜き加工し、その後、ゲル分率が100質量%になるように硬化を行った比較例2の製造方法では、ハードコート層にクラックの発生が見られた。
ゲル分率が8質量%の未硬化状態のハードコート層を備える未硬化積層体を打ち抜き加工し、その後、ゲル分率が100質量%になるように硬化を行った比較例3の製造方法では、ハードコート層のタック感により、加工機のロール汚染や異物付着等の不具合が生じ、保護フィルムの剥離が困難になった。
打ち抜き加工後に硬化を行わなかった比較例4の製造方法では、ハードコート層の表面硬度が高くならなかった。
1 ハードコート積層体
1a 半硬化積層体
10 ハードコートフィルム
11 基材
12 接着層
13 ハードコート層
13a 未硬化塗膜
13b 半硬化状態のハードコート層(半硬化ハードコート層)
20 保護フィルム
30 粘着フィルム
31 粘着剤層
32 剥離シート

Claims (3)

  1. 基材の片面側に、硬化性成分を含有するハードコート層形成用塗工液を塗工し、乾燥させて未硬化塗膜を形成する塗工工程と、
    前記未硬化塗膜をゲル分率が10質量%を超えかつ70質量%以下になるように予備硬化させて、半硬化状態のハードコート層を形成する予備硬化工程と、
    半硬化状態のハードコート層の基材と反対側の面に保護フィルムを貼合して半硬化積層体を得る半硬化積層体作製工程と、
    前記半硬化積層体を打ち抜き加工する打ち抜き工程と、
    打ち抜き加工した半硬化積層体の半硬化状態のハードコート層を、ゲル分率が75質量%を超えかつ100質量%以下になるように完全硬化させてハードコート層を形成する本硬化工程とを有することを特徴とするハードコート積層体の製造方法。
  2. 前記塗工工程の前または半硬化積層体作製工程の後に、基材のハードコート層が積層される面とは反対側の面に粘着剤層を設ける粘着加工工程を有する請求項1に記載のハードコート積層体の製造方法。
  3. 前記基材は、少なくともハードコート層を形成する側の面に、ハードコート層の密着性を向上させるための接着層が設けられている請求項1または2に記載のハードコート積層体の製造方法。
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