JP2007013692A - アンテナ装置、無線通信装置、その制御方法、コンピュータ処理可能なプログラム及びその記録媒体 - Google Patents

アンテナ装置、無線通信装置、その制御方法、コンピュータ処理可能なプログラム及びその記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 アンテナ素子の構造を工夫して、その大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御できるようにする。
【解決手段】 所定の長さを有して誘電性の基板19上に配置された、導電性の励振素子11と、半導電性のプラスチックから成る無給電素子11,13と、この無給電素子11,13に接続された制御電極15a,15bとを備え、この制御電極15a,15bに供給する直流バイアス電圧を制御して無給電素子11,13を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるものである。導電性に切り換えた2つの無給電素子11,13を組合せて、導波器や反射器等を含んだ指向性アンテナ体を構成すること、及び、この励振素子(給電器)を残して、導波器や反射器を絶縁性とすることで、無指向性アンテナ体を構成することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、誘電性の基板上に配置された半導電性の樹脂部材から構成されるアンテナ素子構成部の制御電極への直流バイアス電圧を制御して指向性アンテナや無指向性アンテナを構築して無線通信処理をするシステムに適用して好適なアンテナ装置、無線通信装置、その制御方法、コンピュータ処理可能なプログラム及びその記録媒体に関する。
詳しくは、固体電解質部材と半導電性の樹脂部材とを積層したアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換え、導電性に切り換えた複数のアンテナ素子構成部を組合せて、導波器や反射器等を含んだ指向性アンテナ体を構成できるようにすると共に、この指向性アンテナ体の給電器を残して、導波器及び反射器等を絶縁性とすることで、無指向性アンテナ体を構成できるようにしたものである。
近年、パーソナルコンピュータ等の情報処理機器あるいは携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)等の通信端末機器ばかりでなく、各種の民生用電子機器、例えば、オーディオ製品、ビデオ機器、カメラ機器、プリンタ、あるいは、エンタテイメントロボット等にも、無線通信機能が搭載されている。無線通信機能は、電子機器ばかりでなく、例えば、無線LAN用のアクセスポイント、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)仕様のカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、ミニPCI(Peripheral Component Interconnection)カード等のいわゆる小型のアクセサリカードにも搭載される場合が多くなってきた。これらのアクセサリカードは、ストレージ機能と無線通信機能とを備えた無線カードモジュールを構成している。
これらの無線通信機能の実使用環境においては、建物や物体による反射等が存在するため、電波が様々な方向から到来する。そこで、セクタアンテナ(指向性アンテナ)を使用して通信パフォーマンスを向上させる例が、非特許文献1のスロット型の八木アンテナに見られる。このスロット型の八木アンテナによれば、WLAN通信方式で通信テストを行って、電波の送受信の利得を上げるようになされる。このような通信テストを行うと、従来の無指向性アンテナよりも、スループットが向上できるというものである。
また、指向性アンテナの代表的なものとして、非特許文献2には、古くからある八木アンテナが開示されている。図17は、従来例に係るモノポール型の八木アンテナ10の構成例を示す斜視図である。
図17に示す八木アンテナ10は、接地用の基板を成す地板7と、アンテナ素子を有したプリント基板9とが組み合わされて構成される。地板7の所定の位置には、給電用の配線を通すための開口部6が設けられている。地板7と直交する位置には、プリント基板9が配置される。プリント基板9に配置されたアンテナ素子は、長さL1を有した導波器用の無給電素子1と、長さL2の給電器用の励振素子2と、長さL3の反射器用の無給電素子3とがプリント基板9に順にパターン配置されて構成される(L3>L2>L1)。
この八木アンテナ10で、取り扱う電波の波長をλとしたとき、励振素子(モノポール素子)2の長さL2は0.25λを有している。無給電素子1と励振素子2との間は、任意の距離だけ離れている。同様にして、励振素子2と無給電素子3との間も、任意の距離だけ離れている。励振素子2には開口部6を介して信号源8の一端に至る配線が接続され、送信信号を給電するようになされる。信号源8の他端は接地線GNDに接続される。このように、八木アンテナを構成すると、図中、矢印に示す放射の方向(図中;左側から右側)を有するようになる。
また、非特許文献3には、多指向性の八木アンテナが見られる。この八木アンテナによれば、図17に示した八木アンテナに類似する八木アンテナが円周上にいくつかの方向に向けて配置され、多方向に指向性を得る検討がなされている。
更に、セクタアンテナの発展型の技術として、フェーズドアレイ・アンテナ、アダプティブアレイ・アンテナがある。これらは、所望の放射パターンにアンテナの指向性を合成するもので、ビームフォーミングとも呼ばれている。これによれば、電波の到来状況に応じて指向性を可変させている。このように指向性を可変することで、通信パフォーマンスを向上させることが期待できる。通信パフォーマンスを向上させるという意味は、電波利得が大きいということだけでなく、不要波は送受信しないということも一要因とされている。
上述のビームフォーミング技術に関しては、特許文献1に、アレーアンテナ装置が記載されている。このアレーアンテナ装置は、電子制御導波器アレーアンテナ(ESPAR;Electronically Steerable Parasitic Array Radiator)を構成する。図18は、ビームフォーミング機能付きのアンテナ装置80の構成例を示す概念図である。
図18に示すアンテナ装置80は特許文献1に見られ、励振素子82の両側に、その励振素子81から適当な距離に無給電素子81,83を配置し、その無給電素子81,83に可変リアクタンス84,85を付加させたものである。リアクタンス84,85がインダクティブな場合は延長コイルとなり、無給電素子81,83の電気長が長くなって反射器として動作する。一方、リアクタンス84,85がキャパシティブな場合は、短縮コンデンサとなり、無給電素子81,83の電気長が短くなって導波器として動作する。このようにアンテナ装置80を構成し、各無給電素子81,83の可変リアクタンス84,85をコントロールすることにより、所望の方向に放射を向けられるというものである。
ところで、従来例に係るアンテナ装置10によれば、無線通信装置1対1での通信性能を考えた場合、非特許文献1等に示した指向性アンテナを用いることによって、スループットのパフォーマンス向上を見込むことができる。一般に、無線LANでは、通常、家庭やオフィス等の環境に、複数のアクセスポイントとユーザの無線通信装置とが存在し、それらによってネットワークが構築されている。これらのネットワークには、複数の無線通信装置が存在するが、使用できる帯域やチャンネルが定量的(容量的)に決まっている。従って、何らかの制御をしなければ、無線通信装置間での電波の衝突や干渉等が起き、満足な通信が実行できなくなるおそれがある。
この種の無線LANの規格である802.11では、この問題を回避するためにアクセス制御機能を規定している。この規定は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれる。これは、自分が相手方と通信をしようとしたときに、自分以外の無線通信装置が通信を行っていないかをセンシングし、他者を支障を来たさない(邪魔しない)状態で通信を行う、というものである(非特許文献4)。
特開2001−24431号公報(第2頁 図1) K.Mori, "Small Beam-Switched Antenna with RF Switch for Wireless LAN", 34th European Microwave Conference, p.837, 2004 Oct. 新井宏之著、「新アンテナ工学」、総合電子出版 (1996) 電子情報通信学会論文誌、VOL.J80-B、No5、p.424、丸山、上原、鹿子嶋 (1997) 高木映児著、「無線層の高速化と安定性を実現 最新アンテナ技術「MIMO」、WIRELESSプラス(Webマガジン)(2004)
しかしながら、従来例に係る複数の無線通信装置が存在する無線LAN環境下によれば、次のような問題がある。
i.キャリアセンスにおいて、指向性アンテナを用いた場合、アンテナが指向性を持つことから、ある方向の到来電波は強い感度で受信され、別のある方向の到来電波に対しては受信感度が弱くなる現象が生じる。従って、自分以外の無線通信装置が通信中にも関わらず、キャリアセンスがうまくできずに電波を発信してしまって、他の無線通信装置での通信を妨害してしまうおそれがある(いわゆる隠れ端末問題)。
ii.因みに、無線LANにおいては、指向性アンテナを用いずに、原理的にどの方向からの電波もキャッチできる無指向性アンテナを用いることが望ましい。そこで、無線LANにおいて、キャリアセンスをする際には無指向性アンテナを使用し、通信を行う際には指向性アンテナをそれぞれ使用する方法が考えられる。
しかしながら、これを実現するには、指向性と無指向性の2本のアンテナを無線通信装置内に実装して、それらを切り換えるか、又は、特許文献1のように、円周上に多数の無給電素子を配置して全方位に放射されるように負荷素子を調整するといった方法を採らなければならない。従って、いずれも機器の大型化・高コスト化を招き、小型・低コストといった民生機器商品の技術開発トレンドに全く反してしまうおそれがある。
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、アンテナ素子の構造を工夫して、アンテナの大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御できるようにしたアンテナ装置、無線通信装置、その制御方法、コンピュータ処理可能なプログラム及びその記録媒体を提供することを目的とする。
上述した課題は、所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部と、アンテナ素子構成部に接続された制御電極とを備え、この制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御してアンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えることを特徴とするアンテナ装置によって解決される。
本発明に係るアンテナ装置によれば、所定の長さを有した半導電性のアンテナ素子構成部が誘電性の基板上に配置されている。このアンテナ素子構成部には制御電極が接続され、直流バイアス電圧が供給される。この直流バイアス電圧を制御してアンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるようになされる。
例えば、長さの異なる線状の2つのアンテナ素子構成部を誘電性の基板上の両側に有して、その中央部に所定の間隔を保持して配置された導電性のアンテナ素子を備え、アンテナ素子へ給電する共に、アンテナ素子構成部の制御電極に順方向のバイアス電圧を供給し、又は、アンテナ素子構成部の制御電極に逆方向のバイアス電圧を供給する。このとき、アンテナ素子構成部を導電性にするときは、順方向バイアス電圧によって誘電性の基板から当該アンテナ素子構成部へイオンが注入され、このアンテナ素子構成部を絶縁性にするときは、逆方向バイアス電圧によって当該アンテナ素子構成部から誘電性の基板へイオンが引き抜かれる。
従って、導電性に切り換えた複数のアンテナ素子構成部を組合せて、導波器や反射器等を含んだ指向性アンテナ体を構成すること、及び、この指向性アンテナ体の給電器を残して、導波器や反射器を絶縁性とすることで、無指向性アンテナ体を構成することができる。
本発明に係る無線通信装置は、アンテナ装置と、このアンテナ装置に接続され、所定の無線通信方式により信号を送受信する送受信回路と、この送受信回路から得られる信号に基づいてアンテナ装置を制御する通信制御ユニットとを備え、アンテナ装置は、所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部と、このアンテナ素子構成部に接続された制御電極とを備え、通信制御ユニットは、アンテナ装置の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御してアンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えることを特徴とするものである。
本発明に係る無線通信装置によれば、本発明のアンテナ装置が応用される。これを前提にして、例えば、IEEE802.11a無線LAN規格のCSMA/CAに準拠する無線通信方式において、アンテナ装置の所定のアンテナ素子構成部の制御電極への直流バイアス電圧を設定することで、導電性に切り換えたアンテナ素子から構成される無指向性アンテナ体を利用して、キャリアセンスを行うことができる。
また、上述のアンテナ素子に対して、他のアンテナ素子構成部の制御電極への直流バイアス電圧を設定することで、導電性に切り換えた導波器や反射器等を組合せた指向性アンテナ体を構築し、これを利用して、相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして制御電極への直流バイアス電圧をフィードバック設定することができる。
従って、アンテナ装置の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御できるようになり、CSMA/CAに準拠する無線通信処理をできるようになる。
本発明に係る無線通信装置の制御方法は、所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるアンテナ装置を有した無線通信装置の制御方法であって、アンテナ装置の制御電極への直流バイアス電圧を設定するステップと、設定された制御電極への直流バイアス電圧によって構成される無指向性アンテナでキャリアセンスを行うステップと、キャリアセンス及び相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして制御電極への直流バイアス電圧をフィードバック設定するステップと、フィードバック設定された制御電極への直流バイアス電圧によって構成されるアンテナの指向性・無指向性・放射偏波・放射方向を適応的に切り換えるステップを有することを特徴とするものである。
本発明に係る無線通信装置の制御方法によれば、例えば、802.11無線LAN規格のCSMA/CAに準拠する無線通信方式において、アンテナ装置の所定のアンテナ素子構成部の制御電極への直流バイアス電圧を設定することで、導電性に切り換えたアンテナ素子から構成される無指向性アンテナ体を利用して、キャリアセンスを行うことができる。
また、上述のアンテナ素子に対して、他のアンテナ素子構成部の制御電極への直流バイアス電圧を設定することで、導電性に切り換えた導波器や反射器等を組合せた指向性アンテナ体を構築し、これを利用して、相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして制御電極への直流バイアス電圧をフィードバック設定することができる。
従って、アンテナ装置の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御することができ、相手方の無線通信装置との伝送パフォーマンスを最適な状態に維持できるようになる。これにより、CSMA/CA等に準拠する無線通信処理を効率的に実行できるようになる。
本発明に係るコンピュータ処理可能なプログラムは、所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるアンテナ装置を有した無線通信装置用のプログラムであって、アンテナ装置の制御電極への直流バイアス電圧を設定するステップと、設定された制御電極への直流バイアス電圧によって構成される無指向性アンテナでキャリアセンスを行うステップと、キャリアセンス及び相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして制御電極への直流バイアス電圧をフィードバック設定するステップと、フィードバック設定された制御電極への直流バイアス電圧によって構成されるアンテナの指向性・無指向性・放射偏波・放射方向を適応的に切り換えるステップを有することを特徴とするものである。
本発明に係るコンピュータ処理可能なプログラムの記録媒体は、所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるアンテナ装置を有した無線通信装置用の制御プログラムを記述した記録媒体であって、上述のプログラムを記述して構成されることを特徴とするものである。
本発明に係るコンピュータ処理可能なプログラム及びその記録媒体によれば、例えば、マイコン、CPU、信号処理LSI等で実行可能なプログラムであって、本発明に係るアンテナ装置の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を再現性良く所望の状態に制御することができ、相手方の無線通信装置との伝送パフォーマンスを最適な状態に維持できるようになる。これにより、CSMA/CA等に準拠する無線通信処理を効率的に実行できるようになる。
本発明に係るアンテナ装置によれば、誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるようにしたものである。
この構成によって、導電性に切り換えた複数のアンテナ素子構成部を組合せて、導波器や反射器等を含んだ指向性アンテナ体を構成すること、及び、この指向性アンテナ体の給電器を残して、導波器や反射器等を絶縁性とすることで、無指向性アンテナ体を構成することができる。従って、アンテナ装置の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御できるようになる。
本発明に係る無線通信装置及びその制御方法によれば、本発明に係るアンテナ装置が応用され、このアンテナ装置を制御する通信制御ユニットが備えられ、誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるようになされる。
この構成によって、導電性に切り換えた複数のアンテナ素子構成部を組合せて、導波器や反射器等を含んだ指向性アンテナ体を構成すること、及び、この指向性アンテナ体の給電器を残して、導波器や反射器等を絶縁性とすることで、無指向性アンテナ体を構成することができる。従って、アンテナ装置の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御できるようになる。
本発明に係るコンピュータ処理可能なプログラム及びその記録媒体によれば、本発明に係るアンテナ装置の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を再現性良く所望の状態に制御することができ、相手方の無線通信装置との伝送パフォーマンスを最適な状態に維持できるようになる。これにより、CSMA/CA等に準拠する無線通信処理を効率的に実行できるようになる。
続いて、この発明に係るアンテナ装置、無線通信装置、その制御方法、コンピュータ処理可能なプログラム及びその記録媒体の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。
図1は本発明に係る第1の実施例としてのモノポール型の八木アンテナ装置100の構成例を示す図である。
図1に示す八木アンテナ装置100は、接地用の基板を成す地板71と、アンテナ素子を有した誘電性の基板19とが組み合わされて構成される。地板71は、例えば、直径Dφの円形状を有したプリント基板から構成される。地板71の所定の位置には、制御用の配線を通すための開口部6,6b及び6cが設けられている。地板71と直交する位置には、誘電性の基板19が配置される。誘電性の基板19は、例えば、高さがHで、長さがLを有している。誘電性の基板19には、リチウムイオン電池等で使用されるシリコンゲルや、アクリロニトリルゲル、多糖類高分子ポリマー等から構成される固体電解質部材が使用される。この固体電解質部材は、マイナス(陰)のイオンを誘電し易い部材である。
アンテナ素子は、所定の長さL1を有した導波器用の無給電素子11と、長さL2を有した給電器用の主励振素子12と、長さL3を有した反射器用の無給電素子13とが誘電性の基板19に順にパターン配置されて構成される。無給電素子11,13や主励振素子12は、ミリ波帯、マイクロ波帯又はUHF帯のいずれかの周波数に対応した長さを有する。これらの長さの大小関係は、L1<L2<L3である。
例えば、取り扱う電波の波長をλとしたとき、主励振素子(モノポール素子)12の長さL2は0.25λを有している。主励振素子12は、銅箔や、青銅箔、金箔等の金属パターンで構成される。無給電素子11と主励振素子12との間は、0.25λだけ離れている。同様にして、主励振素子12と無給電素子13との間も、0.25λだけ離れている。
無給電素子11,13は、アンテナ素子構成部の一例を構成し、半導電性のプラスチックから構成される。半導電性のプラスチックは、絶縁性の樹脂に、ある種のイオンをドーピングすることによって金属並みの導電性を有するものである。この種のプラスチックには、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアズレン等が使用される。
この例では、半導電性のプラスチック層と固体電解質層との間に、所定の向きの直流バイアス電圧を供給すると、イオンのドーピング現象又は脱ドーピング現象が生じる。ドーピングがされたプラスチック層は導電性を有し、脱ドーピングされたポリマーは絶縁性になる。本発明は、この挙動を活用することを一つの特徴としている。
無給電素子11の一端であって、誘電性の基板19の一辺には制御電極15aが設けられ、同様にして無給電素子13の一端には制御電極15bが設けられる。この例では、当該制御電極15a,15bには直流バイアス電圧が供給され、この直流バイアス電圧を制御して無給電素子11,13を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるようになされる。
上述の主励振素子12には開口部6bを介して信号源8の一端に至る配線が接続され、送信信号を給電するようになされる。信号源8の他端は接地線GNDに接続される。上述の制御電極15a及び制御電極15bには開口部6a及び6cを介して、バイアス回路17の一端に至る配線が接続され、無給電素子11及び13に直流バイアス電圧を供給するようになされる。
この例で八木アンテナ装置100は、信号源8、バイアス回路17及びスイッチ回路18を組合せて使用される。バイアス回路17の他端、制御端子14a及び14bには、スイッチ回路18が接続される。スイッチ回路18はスイッチSW1及びSW2を有しており、スイッチ制御データD11に基づいてスイッチ切換制御がなされる。各々のスイッチSW1及びSW2は接点a,b及び中点cを有している。
スイッチSW1の中点cはバイアス回路17に接続される。スイッチSW1の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW1の接点bは接地線に接続される。スイッチSW1が接点aを選択すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路17の一端に駆動電圧VDCを供給するようになされる。スイッチSW1が接点bを選択すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路17の一端を接地レベルに維持するようになされる。
また、スイッチSW2の中点cは制御端子14a及び14bに各々接続される。スイッチSW2の接点aは接地線に接続される。スイッチSW2が接点aを選択すると、その接点aと中点cとが接続され、制御端子14a,14bを介して無給電素子11,13を接地レベルに維持するようになされる。スイッチSW2の接点bは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW2が接点bを選択すると、その接点bと中点cとが接続され、駆動電圧VDCを制御端子14a,14bを介して無給電素子11,13へ供給するようになされる。
図2は、半導電性のプラスチック及び固体電解質基板を用いた八木アンテナ装置100の断面の構成例を示す図である。
図2に示す八木アンテナ装置100の接合(積層)構造によれば、基板19を成す固体電解質層及び無給電素子11を成す半導電性のプラスチック層により二層構造を有している。この例で、地板71と直交する位置には誘電性の基板19が配置される。基板19は、開口部6a等の真上を跨ぐように配置される。基板19には、固体電解質部材が使用される。
誘電性の基板19には、半導電性のプラスチックをパターニングして形成された無給電素子11等のアンテナ素子構成部材が設けられる。このプラスチック層には、基板19を構成する固体電解質部材からのドーパント(電子e-;イオン)がドーピングされる。
無給電素子11の下端には制御電極15aが設けられる。制御電極15aは、開口部6aを介して、バイアス回路17の一端に至る配線が接続され、無給電素子11に直流バイアス電圧を供給するようになされる。基板19の上端には制御端子14aが設けられる。制御端子14aは、図1に示したスイッチ回路18に至る配線が接続され、基板19に直流バイアス電圧を供給するようになされる。
なお、八木アンテナ装置100は、二層構造に限られることはなく、アンテナの形状の一部分を半導電性のプラスチックを用いてパターニングする第1の層と、固体電解質材料から成る第2の層と、同じく固体電解質材料から成る第3の層と、第2と第3の層を分離する第4の層と、アンテナの形状の別の一部分を導電性プラスチックを用いてパターニングする第5の層から構成してもよい。
この例では、固体電解質層と半導電性のプラスチック層との接合構造において、上述の直流バイアス電圧の印加方向によって、ドーピング/脱ドーピングにより導電性又は絶縁性に変化する性質を指向性制御用の無給電素子11,13等に応用するようになされる。
図3A及びBは、導波器用の無給電素子11を導電性又は絶縁性にする制御例を示す断面図である。この例では、無給電素子11,13を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナを指向性又は無指向性に制御する。
図3Aに示す接合構造は、図2に示した誘電性の基板19上の無給電素子11の一部分を抽出したものである。図3Aに示す接合構造で、無給電素子11の制御電極15aと、基板19の制御端子14aとの間に順方向のバイアス電圧を供給する。このようなバイアス電圧を供給すると、固体電解質である誘電性の基板19から半導電性のプラスチックの無給電素子11へ陰イオン(電子)が注入(ドーピング)されるので、無給電素子11が導電性に変化し、金属のように電気を良く通す性質に変わる。
この結果、八木アンテナ装置100で導波器として機能する。図示せずも、無給電素子13においても、その制御電極15bと基板19の制御端子14bとの間に順方向のバイアス電圧を供給すると、無給電素子11が導電性に変化し、金属のように電気を良く通す性質に変わるので、八木アンテナ装置100で反射器として機能する。この結果、当該アンテナ装置100は指向性を有するようになる。
反対に、図3Bに示す接合構造で、無給電素子11の制御電極15aと、基板19の制御端子14aとの間に逆方向のバイアス電圧を供給すると、陰イオンが、半導電性のプラスチックの無給電素子11から誘電性の基板19へ引き抜かれる(脱ドーピング)されるので、無給電素子11は絶縁性に変化し、絶縁体のように電気を良し難くなる性質に変わる。この結果、八木アンテナ装置100で無給電素子11は導波器として機能を失う。図示せずも、無給電素子13においても、反射器としての機能を失うので、当該アンテナ装置100は無指向性を有するようになる。
図4は、八木アンテナ装置100の動作例(指向性)を示す図である。この例で、八木アンテナ装置100は、長さの異なる線状(L1,L3)の2つの無給電素子11,13を誘電性の基板19上の両側に有して、その中央部に所定の間隔を保持して配置された長さL2の導電性の主励振素子12を備えている。八木アンテナ装置100では、信号源8から主励振素子12へ送信信号を給電する共に、無給電素子11,13の制御電極15a,15bに順方向のバイアス電圧を供給するようになされる(L1<L2<L3)。
これらを制御条件にして、当該八木アンテナ装置100に指向性を持たせる場合は、上位の制御系からスイッチ回路18へ、当該アンテナ装置100を指向性とする内容のスイッチ制御データD11が供給される。スイッチ制御データD11の内容は、スイッチSW1及びSW2が共に接点aを選択するようになされるものである。
スイッチ回路18では、スイッチ制御データD11に基づいてスイッチSW1が接点aと中点cとを接続し、バイアス回路17の一端に駆動電圧VDCを供給するようになされる。また、スイッチSW2は、その接点aと中点cとを接続し、制御端子14a,14bを介して誘電性の基板19を接地レベルに維持するようになされる。
この結果、無給電素子11の制御電極15aと、基板19の制御端子14aとの間に順方向のバイアス電圧が供給される。これと共に、無給電素子13の制御電極15bと、基板19の制御端子14bとの間に順方向のバイアス電圧が供給される。このような順方向のバイアス電圧VDCをバイアス回路17を介して供給すると、図3に示したように、固体電解質である誘電性の基板19から半導電性のプラスチックの無給電素子11,13へ陰イオン(電子)が注入(ドーピング)されるので、無給電素子11,13が導電性に変化し、金属のように電気を良く通す性質に変わる。
従って、八木アンテナ装置100で無給電素子11が導波器として機能し、無給電素子13が反射器として機能する。これにより、当該アンテナ装置100は、図中、矢印に示す放射の方向に指向性を有するようになる。
図5は、八木アンテナ装置100の動作例(無指向性)を示す図である。この例で、八木アンテナ装置100は、信号源8から主励振素子12へ送信信号を給電する共に、無給電素子11,13の制御電極15a,15bに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。図3に示したように逆方向のバイアス電圧で脱ドーピングが行われれば絶縁性となり、放射には寄与しない状態となるから、このアンテナは真ん中のモノポール素子のみで無指向性となる。
これらを制御条件にして、当該八木アンテナ装置100を無指向性とする場合に、上位の制御系からスイッチ回路18へ、当該アンテナ装置100を無指向性とする内容のスイッチ制御データD11が供給される。スイッチ制御データD11の内容は、スイッチSW1及びSW2が共に接点bを選択するようになされるものである。
スイッチ回路18では、スイッチ制御データD11に基づいてスイッチSW1が接点bと中点cとを接続し、制御端子14a,14bを介してバイアス回路17の一端を接地レベルに維持するようになされる。また、スイッチSW2は、その接点bと中点cとを接続し、誘電性の基板19に駆動電圧VDCを供給するようになされる。
この結果、無給電素子11の制御電極15aと、基板19の制御端子14aとの間に逆方向のバイアス電圧が供給される。これと共に、無給電素子13の制御電極15bと、基板19の制御端子14bとの間に逆方向のバイアス電圧が供給される。このような逆方向のバイアス電圧VDCをバイアス回路17を介して供給すると、陰イオンが、半導電性のプラスチックの無給電素子11,13から誘電性の基板19へ引き抜かれる(脱ドーピング)されるので、無給電素子11,13は絶縁性に変化し、絶縁体のように電気を良し難くなる性質に変わる。従って、八木アンテナ装置100で無給電素子11は導波器として機能を失い、無給電素子13は反射器として機能を失う。これにより、当該アンテナ装置100で放射は無指向性を有するようになる。
このように第1の実施例としての八木アンテナ装置100によれば、誘電性の基板19上において、長さL2の導電性の主励振素子12をその中央部に配置され、その両側には、所定の間隔を保持して、長さL1,L3というように異なる線状の2つの無給電素子11,13が配置され、これらの無給電素子11,13には制御電極15a,15bが接続され、直流バイアス電圧が供給される。この直流バイアス電圧を制御して無給電素子11,13を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるようになされる。
上述した例では、無給電素子11,13を導電性にするときは、順方向バイアス電圧によって誘電性の基板19から当該無給電素子11,13へイオンが注入され、この無給電素子11,13を絶縁性にするときは、逆方向バイアス電圧によって当該無給電素子11,13から誘電性の基板19へイオンが引き抜かれる。
従って、導電性に切り換えた2つの無給電素子11,13を組合せて、導波器や反射器等を含んだ指向性アンテナ体を構成すること、及び、この指向性アンテナ体の主励振素子12を残して、導波器及び反射器を絶縁性とすることで、無指向性アンテナ体を構成することができる。これにより、アンテナ装置100の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ装置100で指向性/無指向性を所望の状態に制御できるようになる。しかも、無線LANにおいて、アンテナ設置個数を増やすことなく、キャリアセンスをする際には、無指向性アンテナ機能を利用し、通信を行う際には指向性アンテナ機能をそれぞれ利用するといったニーズに十分応えることが可能になる。
図6は、第2の実施例としてのスロット型の八木アンテナ装置200の構成例を示す図である。
この実施例では、誘電性の基板29に対して、2つの無給電素子を露出するように配置されたスロット状の開口部(以下無給電スロット21,23という)と、2つの無給電スロット21,23の間で所定の間隔を保持した位置に励振素子用のスロット状の開口部(以下主励振スロット22という)とを有した導電性のアンテナパターン(以下地板72という)を備えている。主励振スロット22の中央部へ給電する共に、無給電スロット21,23の制御電極25a,25bに順方向のバイアス電圧を供給し、又は、無給電スロット21,23の制御電極25a,25bに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
図6に示す八木アンテナ装置200は、アンテナパターンを成す金属製の地板72と、アンテナ素子を有した誘電性の基板29とが組み合わされて構成される。地板72は、基板29の全面を覆うような長方形状を有しており、例えば、その中央部に励振素子用のスロット状の開口部16bを有し、その両側に、無給電素子用のスロット状の開口部16a,16cを有している。地板72は、銅や、青銅、SUS等の金属パターンで構成される。
地板72の裏側には、誘電性の基板29が配置される。誘電性の基板29は、例えば、高さがHで、長さがLを有している。誘電性の基板29には、第1の実施例と同様にして、リチウムイオン電池等で使用されるシリコンゲルや、アクリロニトリルゲル、多糖類高分子ポリマー等から構成される固体電解質部材が使用される。この固体電解質部材は、マイナス(陰)のイオンを誘導し易い部材である。
誘電性の基板29には、アンテナ素子が設けられる。アンテナ素子は、所定の長さL1を有した導波器用の無給電スロット21と、長さL2を有した給電器用の主励振スロット22と、長さL3を有した反射器用の無給電スロット23とが誘電性の基板29上の地板72に順に配置されて構成される。無給電スロット21,23や主励振スロット22は、ミリ波帯、マイクロ波帯、UHF帯などの周波数に対応した長さを有する。これらの開口部の長さの大小関係は、L1<L2<L3である。例えば、取り扱う電波の波長をλとしたとき、主励振スロット22の長さL2は0.5λ(半波長)を有している。
無給電スロット21と主励振スロット22との間は、0.25λだけ離れている。同様にして、主励振スロット22と無給電スロット23との間も、0.25λだけ離れている。無給電スロット21,23は、アンテナ素子構成部の一例を構成し、半導電性のプラスチックから構成される。半導電性のプラスチックは、絶縁性の樹脂に、ある種のイオンをドーピングすることによって金属並みの導電性を有するものである。この種のプラスチックには、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアズレン等が使用される。
この例では、半導電性のプラスチック層と固体電解質層との間に、所定の向きの直流バイアス電圧を供給すると、イオンのドーピング現象又は脱ドーピング現象が生じる。ドーピングがされたプラスチック層は導電性を有し、脱ドーピングされたポリマーは絶縁性になる。本発明は、この挙動を活用することを一つの特徴としている。
無給電スロット21の一端であって、誘電性の基板29の一辺には制御電極25aが設けられ、同様にして無給電スロット23の一端には制御電極25bが設けられる。この例では、当該制御電極25a,25bには直流バイアス電圧が供給され、この直流バイアス電圧を制御して無給電スロット21,23を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるようになされる。
上述の主励振スロット22には、給電線路(マイクロストリップ線路)26を介して信号源8の一端に至る配線が接続される。給電線路26は、基板29裏面において、その表面の励振ロット22の長手方向に直交する方向に配置される。信号源8からの送信信号は、給電線路26を介して給電するようになされる。信号源8の他端は接地線GNDに接続される。上述の制御電極25a及び制御電極25bには開口部16a及び6cを介して、バイアス回路27の一端に至る配線が接続され、無給電スロット21及び23に直流バイアス電圧を供給するようになされる。
この例でも八木アンテナ装置200は、信号源8、バイアス回路27及びスイッチ回路28を組合せて使用される。バイアス回路27の他端及び地板72には、スイッチ回路28が接続される。スイッチ回路28はスイッチSW1及びSW2を有しており、スイッチ制御データD21に基づいてスイッチ切換制御がなされる。各々のスイッチSW1及びSW2は接点a,b及び中点cを有している。
スイッチSW1の中点cはバイアス回路27に接続される。スイッチSW1の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW1の接点bは接地線に接続される。スイッチSW1が接点aを選択すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路27の一端に駆動電圧VDCを供給するようになされる。スイッチSW1が接点bを選択すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路27の一端を接地レベルに維持するようになされる。
また、スイッチSW2の中点cは地板72に接続される。スイッチSW2の接点aは接地線に接続される。スイッチSW2が接点aを選択すると、その接点aと中点cとが接続され、地板72を介して無給電スロット21,23を接地レベルに維持するようになされる。スイッチSW2の接点bは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW2が接点bを選択すると、その接点bと中点cとが接続され、駆動電圧VDCを地板72を介して無給電スロット21,23へ供給するようになされる。
図7は、八木アンテナ装置200の動作例(指向性)を示す図である。この例で、八木アンテナ装置200は、長さの異なる線状(L1,L3)の2つの無給電スロット21,23を誘電性の基板29上の地板72でその両側に有して、その中央部に所定の間隔を保持して配置された長さL2の主励振スロット22を備えている。八木アンテナ装置200では、信号源8から主励振スロット22へ送信信号を給電する共に、無給電スロット21,23の制御電極25a,25bに順方向のバイアス電圧を供給するようになされる(L1<L2<L3)。
これらを制御条件にして、当該八木アンテナ装置200に指向性を持たせる場合は、上位の制御系からスイッチ回路28へ、当該アンテナ装置200を指向性とする内容のスイッチ制御データD21が供給される。スイッチ制御データD21の内容は、スイッチSW1及びSW2が共に接点bを選択するようになされるものである。
スイッチ回路28では、スイッチ制御データD21に基づいてスイッチSW1が接点bと中点cとを接続し、バイアス回路27の一端を接地レベルに維持するようになされる。また、スイッチSW2は、その接点bと中点cとを接続し、地板72を介して誘電性の基板29に、駆動電圧VDCを供給するようになされる。
この結果、無給電スロット21の制御電極25aと、基板29上の地板72との間に逆方向のバイアス電圧が供給される。これと共に、無給電素子23の制御電極25bと、基板29上の地板72との間に逆方向のバイアス電圧が供給される。このような逆方向のバイアス電圧VDCをバイアス回路27を介して供給すると、図3に示したように、陰イオンが、半導電性のプラスチックの無給電スロット21,23から誘電性の基板29へ引き抜かれる(脱ドーピング)されるので、無給電スロット21,23の半導電性のプラスチックの部分が絶縁性に変化する。これによって、開口部16aや開口部16c等に絶縁物が満たされた状態となり、見かけ上、スロットが形成された場合と等価になる。
従って、八木アンテナ装置200で無給電スロット21が導波器として機能し、無給電素子23が反射器として機能する。これにより、いずれも放射に寄与するようになり、当該アンテナ装置200は、図中、矢印に示す放射の方向に指向性を有するようになる。
図8は、スロット型の八木アンテナ装置200の動作例(無指向性)を示す図である。この例で、八木アンテナ装置200は、信号源8から主励振スロット22へ送信信号を給電する共に、無給電スロット21,23の制御電極25a,25bに順方向のバイアス電圧を供給するようになされる。図3Aに示したように順方向のバイアス電圧でドーピングが行われれば、無給電スロット21,23の半導電性のプラスチックは導電性となり、地板72の一部とみなすことができて、放射には寄与しない状態となるから、このアンテナは真ん中の主励振スロット22のみが機能し、当該アンテナ装置200は無指向性となる。
これらを制御条件にして、当該八木アンテナ装置200を無指向性とする場合に、上位の制御系からスイッチ回路28へ、当該アンテナ装置200を無指向性とする内容のスイッチ制御データD21が供給される。スイッチ制御データD21の内容は、スイッチSW1及びSW2が共に接点aを選択するようになされるものである。
スイッチ回路28では、スイッチ制御データD21に基づいてスイッチSW1が接点aと中点cとを接続し、バイアス回路27の一端に駆動電圧VDCを供給するようになされる。また、スイッチSW2は、その接点aと中点cとを接続し、地板72を介して誘電性の基板29を接地レベルに維持するようになされる。
この結果、無給電スロット21の制御電極25aと、基板29上の地板72との間に順方向のバイアス電圧が供給される。これと共に、無給電素子23の制御電極25bと、基板29の制御端子14bとの間に順方向のバイアス電圧が供給される。このような順方向のバイアス電圧VDCをバイアス回路27を介して供給すると、固体電解質である誘電性の基板29から無給電スロット21,23の半導電性のプラスチックへ陰イオン(電子)が注入(ドーピング)されるので、無給電スロット21,23が金属性(導電性)に変化する。これによって開口部16aや開口部16cに金属物が満たされた状態となり、見かけ上、スロットが無くなった場合と等価になる。
従って、八木アンテナ装置200で無給電スロット21は導波器として機能を失い、無給電素子23は反射器として機能を失う。これにより、当該アンテナ装置200は、これらのアンテナ素子が放射に寄与しなくなり、無指向性を有するようになる。
このように第2の実施例としての八木アンテナ装置200によれば、誘電性の基板29上に対して、2つの無給電スロット21,23と、この2つの無給電スロット21,23の間で所定の間隔を保持した位置に主励振スロット22とを有した導電性の地板72とを備えている。主励振スロット22の中央部へ給電する共に、無給電スロット21,23の制御電極25a,25bに順方向のバイアス電圧を供給し、又は、無給電スロット21,23の制御電極25a,25bに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
上述した例では、無給電スロット21,23を導電性にするときは、順方向バイアス電圧によって誘電性の基板29から当該無給電スロット21,23へイオンが注入され、この無給電スロット21,23を絶縁性にするときは、逆方向バイアス電圧によって当該無給電スロット21,23から誘電性の基板29へイオンが引き抜かれる。
従って、2つの無給電スロット21,23を絶縁性に切り換え、これにより形成されるアンテナ素子を組合せて、導波器や反射器等を含んだ指向性アンテナ体を構成すること、及び、この指向性アンテナ体の主励振スロット22を残して、導波器及び反射器用の無給電スロット21,23を導電性とすることで、無指向性アンテナ体を構成することができる。これにより、アンテナ装置200の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ装置200で指向性/無指向性を所望の状態に制御できるようになる。しかも、無線LANにおいて、アンテナ設置個数を増やすことなく、キャリアセンスをする際には、無指向性アンテナ機能を利用し、通信を行う際には指向性アンテナ機能をそれぞれ利用するといったニーズに十分応えることが可能になる。
図9は、第3の実施例としての偏波切り換え機能付きの八木アンテナ装置300の構成例を示す図である。
この実施例では、第1及び第2の実施例で説明したモノポール型の八木アンテナ装置100やスロット型の八木アンテナ装置200等の指向性/無指向性の切り換え機能に加えて、偏波切り換え機能を備えるものである。この例では、誘電性の基板39に対して、いずれも、半導電性のプラスチックで構成された、2つの無給電スロット31,33と、この無給電スロット31,33の間で所定の間隔を保持した位置に主励振素子32とを有した地板(アンテナパターン)73とを備えている。
この例でも、アンテナパターンの中央部の主励振素子32へ送信信号を給電する共に、無給電スロット31,33の制御電極35a,35c、主励振素子32の制御電極35b及び地板73の制御電極35d,35fに順方向のバイアス電圧を供給し、又は、これらの制御電極35a〜35dに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。これら4つに分離された半導電性のプラスチックから成る無給電スロット31,33、主励振素子32及び地板73を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの放射の指向性・無指向性・偏波を制御するようになされる。
図9に示す八木アンテナ装置300は、半導電性のプラスチックでパターニングされた地板73を有しており、アンテナパターンを構成するようになされる。地板73は、基板39の全面を覆うような長方形状を有しており、例えば、その中央部に主励振素子用の開口部輪郭パターン26aを有し、その両側に、無給電スロット用の開口部輪郭パターン26b,26cを有している。地板73には、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアズレン等が使用される。
地板73の裏側には、誘電性の基板39が配置される。誘電性の基板39は、例えば、高さがHで、長さがLを有している。誘電性の基板39には、第1及び第2の実施例と同様にして、リチウムイオン電池等で使用されるシリコンゲルや、アクリロニトリルゲル、多糖類高分子ポリマー等から構成される固体電解質部材が使用される。この固体電解質部材は、マイナス(陰)のイオンを誘導し易い部材である。
誘電性の基板39には、地板73の他に長さが異なる線状の無給電スロット31,33及び主励振素子32等のアンテナ素子が設けられる。アンテナ素子は、所定の長さL1を有した導波器用の無給電スロット31と、長さL2を有した給電器用の主励振素子32と、長さL3を有した反射器用の無給電スロット33とが誘電性の基板39上の地板73に順に配置されて構成される。例えば、開口部輪郭パターン26a内に主励振素子32が配置され、開口部輪郭パターン26b内に無給電スロット31が配置され、開口部輪郭パターン26c内に無給電スロット33が配置される。
無給電スロット31,33や主励振素子32は、ミリ波帯、マイクロ波帯、UHF帯などの周波数に対応した長さを有する。これらの無給電スロット31や主励振素子32、無給電スロット33等の長さの大小関係は、L1<L2<L3である。例えば、取り扱う電波の波長をλとしたとき、主励振素子32の長さL2は0.5λ(半波長)を有している。
無給電スロット31と主励振素子32との間は、0.25λだけ離れている。同様にして、主励振素子32と無給電スロット33との間も、0.25λだけ離れている。無給電スロット31,33、主励振素子32及び地板73は、アンテナ素子構成部の一例を構成し、半導電性のプラスチックから構成される。半導電性のプラスチックに関しては、第1の実施例で説明しているので、それを参照されたい。この例でも、半導電性のプラスチック層と固体電解質層との間に、所定の向きの直流バイアス電圧を供給すると、イオンのドーピング現象又は脱ドーピング現象が生じる。ドーピングがされたプラスチック層は導電性を有し、脱ドーピングされたポリマーは絶縁性になる。この実施例では、上述の挙動を活用して線状及びスロット状の複合型の無給電スロット31,33を切り換えるようになされる。
主励振素子32の一端には制御電極35aが設けられ、同様にして、無給電スロット31の一端であって、誘電性の基板39の一辺には制御電極35bが設けられ、無給電スロット33の一端にも制御電極35cが設けられる。この例では、地板73に制御電極35d及び35eが設けられる。当該制御電極35b〜35c及び制御電極35d,35eには直流バイアス電圧が供給され、この直流バイアス電圧を制御して無給電スロット31,33、主励振素子32及び地板73を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるようになされる。
上述の主励振素子32には、給電線路(マイクロストリップ線路)36を介して信号源8の一端に至る配線が接続される。給電線路36は、基板39裏面において、その表面の励振ロット32の長手方向に直交する方向に配置される。信号源8からの送信信号は、給電線路36を介して給電するようになされる。信号源8の他端は接地線GNDに接続される。
上述の制御電極35b〜制御電極35cにはバイアス回路37a〜37cの一端に至る配線が接続され、制御電極35d,35eにはバイアス回路37dの一端に至る配線が接続され、無給電スロット31,33、主励振素子32及び地板73に直流バイアス電圧を供給するようになされる。
この例で、八木アンテナ装置300は、信号源8、4個のバイアス回路37a〜37d及びスイッチ回路38を組合せて使用される。バイアス回路37a〜37dには、スイッチ回路38が接続される。スイッチ回路38は4個のスイッチSW1〜SW4を有しており、スイッチ制御データD31に基づいてスイッチ切換制御がなされる。各々のスイッチSW1〜SW4は接点a,b及び中点cを有している。
スイッチSW1の中点cはバイアス回路37aに接続される。スイッチSW1の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW1の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW1がon(接点a選択)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路37aの一端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路37aは順方向のバイアス電圧を主励振素子32の制御電極35aに供給するようになる。スイッチSW1がoff(接点b選択)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路37aの一端を接地レベルに維持する。バイアス回路37aは逆方向のバイアス電圧を制御電極35aに供給するようになる。
スイッチSW2の中点cはバイアス回路37bに接続される。スイッチSW2の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW2の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW2が接点aを選択(以下でonという)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路37bの一端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路37bは順方向のバイアス電圧を無給電スロット31の制御電極35bに供給するようになる。スイッチSW2が接点bを選択(以下でoffという)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路37bの一端を接地レベルに維持する。バイアス回路37bは逆方向のバイアス電圧を制御電極35bに供給するようになる。
スイッチSW3の中点cはバイアス回路37cに接続される。スイッチSW3の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW3の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW3がon(接点a選択)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路37cの一端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路37cは順方向のバイアス電圧を無給電スロット33の制御電極35cに供給するようになる。スイッチSW3がoff(接点b選択)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路37cの一端を接地レベルに維持するようになされる。バイアス回路37cは逆方向のバイアス電圧を制御電極35cに供給するようになる。
スイッチSW4の中点cはバイアス回路37dに接続される。スイッチSW4の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW4の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW4がon(接点a選択)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路37dの一端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路37dは地板73の制御電極35d,35eに順方向のバイアス電圧を供給するようになる。スイッチSW4がoff(接点b選択)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路37dの一端を接地レベルに維持する。バイアス回路37dは制御電極35d,35eに逆方向のバイアス電圧を供給するようになる。
続いて、偏波切り換え機能付きのアンテナ装置300の動作例について説明する。図9に示したアンテナ装置300の動作例によれば、半導電性のプラスチックにより構成された、無給電スロット31,33と、主励振素子32と、地板73の各々のパターンと、切り換え制御用のスイッチ回路38及び4個のバイアス回路37a〜37dを備え、表1のようにスイッチ切り換えの組合せを制御することにより、このアンテナ装置300で4つの放射状態を取り得るようになされる。
Figure 2007013692
表1の「組合せ1」の場合によれば、スイッチSW1がoff(接点b選択)で、スイッチSW2〜SW4が共にon(接点a選択)である。この場合、無給電スロット31,33及び地板73の各々のパターンが導電性(金属性)を有し、主励振素子32が絶縁性、すなわち、開口部輪郭パターン部26aにスロットが形成され状態と等価になる。この結果、アンテナの種類は、「スロットアンテナ」となり、アンテナ特性は無指向性となり、偏波の種類は、水平偏波(以下H偏波という)となる。
その「組合せ2」の場合によれば、スイッチSW1〜SW3が共にoff(接点b選択)で、スイッチSW4がon(接点a選択)である。この場合、地板73が導電性(金属性)を有し、無給電スロット31,33及び主励振素子32が絶縁性、すなわち、導波器用のスロット、給電器用のスロット及び反射器用のスロットが各々形成された状態と等価になる。この結果、アンテナの種類は、スロット型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。
その「組合せ3」の場合によれば、スイッチSW1がon(接点a選択)で、スイッチSW2〜SW4が共にoff(接点b選択)である。この場合、主励振素子32が導電性を有し、無給電スロット31,33及び地板73が絶縁性、すなわち、導波器及び反射器の機能を失う。この結果、アンテナの種類は、「ツエップアンテナ」となり、アンテナ特性は無指向性となり、偏波の種類は、垂直偏波(以下V偏波という)となる。
その「組合せ4」の場合によれば、スイッチSW1〜SW3が共にon(接点a選択)で、スイッチSW4がoff(接点b選択)である。この場合、地板73が絶縁性を有し、無給電スロット31,33及び主励振素子32が導電性(金属性)、すなわち、導波器、給電器及び反射器が各々形成される。この結果、アンテナの種類は、ツエップ型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、V偏波となる。
このように、第3の実施例としてのアンテナ装置300によれば、誘電性の基板39に対して、いずれも、半導電性のプラスチックで構成された、2つの無給電スロット31,33と、この無給電スロット31,33の間で所定の間隔を保持した位置に主励振素子32とを有した地板73とを備え、無給電スロット31,33の制御電極35b,35c、主励振素子32の制御電極35a及び地板73の制御電極35dに順方向のバイアス電圧を供給し、又は、これらの制御電極35b〜35dに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
従って、第1及び第2の実施例で説明した指向性又は無指向性の切り換え機能に加えて、当該アンテナ装置300でH偏波又はV偏波を所望の状態に制御できるので、通信ユーザの使用環境に応じ、しかも、アンテナ装置300の大型化及び高コスト化を招くことなく、適応的にこれらの状態を変化させて最適な通信状態を得ることが可能となる。しかも、無線LANにおいて、アンテナ設置個数を増やすことなく、キャリアセンスをする際には、無指向性アンテナ機能を利用し、通信を行う際には指向性アンテナ機能をそれぞれ利用するといったニーズに十分応えることが可能になる。
図10は、第4の実施例としての放射方向選択機能付きのアンテナ装置400の構成例を示す図である。
この実施例では、第3の実施例で説明した偏波切り換え機能に加えて、ビームの放射方向を選択する機能をアンテナ装置400に付加したものである。この例では、アンテナの種類、特性、偏波等の項目についてそれぞれ6つの状態を適宜選択できるようにすると共に、指向性アンテナが選択されたとき、そのビーム放射方向を選択できるようにした。
図10に示す八木アンテナ装置400は、半導電性のプラスチックでパターニングされた地板74を有しており、アンテナパターンを構成している。地板74は、基板49の全面を覆うような長方形状を有しており、例えば、その中央部に主励振素子用の開口部輪郭パターン26aを有し、その両側に、無給電スロット用の開口部輪郭パターン26b,26cを有している。
地板74の裏側には、誘電性の基板49が配置される。基板49は、例えば、高さがHで、長さがLを有している。基板49には、第1乃至第3の実施例と同様にして、リチウムイオン電池等で使用されるシリコンゲルや、アクリロニトリルゲル、多糖類高分子ポリマー等から構成される固体電解質部材が使用される。この固体電解質部材は、マイナス(陰)のイオンを誘電し易い部材である。
誘電性の基板49には、地板74の他に長さが異なる線状の無給電素子41,43及び主励振素子42等のアンテナ素子が設けられる。アンテナ素子は、所定の長さL1を有した無給電素子41,43と、長さL2を有した給電器用の主励振素子42と、長さL4を有した長さ調整部44aとが誘電性の基板49上の地板74の所定の位置に配置されて構成される。
例えば、開口部輪郭パターン26a内には主励振素子42が配置される。主励振素子42は、ミリ波帯、マイクロ波帯、UHF帯などの周波数に対応した長さを有する。開口部輪郭パターン26b内には、その長手方向に無給電素子41及び長さ調整部44aが並べて配置される。無給電素子41は長さL1を有しており、長さ調整部44aはL4を有している。無給電素子41を反射器として使用する場合は、長さ調整部44aを導電性にして、長さL3=L1+L4として使用される。無給電素子41を導波器として使用する場合は、長さ調整部44aを絶縁性にして、長さL1の無給電素子41がそのまま使用される。
開口部輪郭パターン26c内には、その長手方向に無給電素子43及び長さ調整部44bが並べて配置される。無給電素子43は長さL1を有しており、長さ調整部44bはL4を有している。無給電素子43を反射器として使用する場合は、長さ調整部44bを導電性にして、長さL3=L1+L4として使用される。無給電素子43を導波器として使用する場合は、長さ調整部44bを絶縁性にして、長さL1の無給電素子43がそのまま使用される。
これらの無給電素子41や主励振素子42、無給電素子43等の長さの大小関係は、L1<L2<L3である。例えば、取り扱う電波の波長をλとしたとき、主励振素子42の長さL2は0.5λ(半波長)を有している。無給電素子41と主励振素子42との間は、0.25λだけ離れている。同様にして、主励振素子42と無給電素子43との間も、0.25λだけ離れている。
無給電素子41,43、主励振素子42及び長さ調整部44a,44bは、アンテナ素子構成部の一例を構成し、地板74と同様にして半導電性のプラスチックから構成される。半導電性のプラスチックに関しては、第1の実施例で説明したように、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアズレン等が使用される。これら6つに分離された半導電性のプラスチックから成る無給電素子41,43、主励振素子42、長さ調整部44a,44b及び地板74を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの放射の指向性・無指向性・偏波を制御するようになされる。
この例でも、半導電性のプラスチック層と固体電解質層との間に、所定の向きの直流バイアス電圧を供給すると、イオンのドーピング現象又は脱ドーピング現象が生じる。ドーピングがされたプラスチック層は導電性を有し、脱ドーピングされたポリマーは絶縁性になる。この実施例では、上述の挙動を活用して線状又はスロット状のアンテナ機能を切り換えるようになされる。
主励振素子42の一端には制御電極45aが設けられる。無給電素子41の一端であって、誘電性の基板49の一辺には制御電極45bが設けられ、同様にして、無給電素子43の一端にも制御電極45cが設けられる。この例では、地板74に制御電極45d及び45eが設けられる。長さ調整部44aには制御電極45fが接続され、長さ調整部44bには制御電極45gが各々接続される。これらの制御電極45a〜45gには直流バイアス電圧が供給され、この直流バイアス電圧を制御して無給電素子41,43、主励振素子42,長さ調整部44a,44b及び地板74を、絶縁性又は/及び導電性に切り換えるようになされる。この切り換えによって、当該アンテナの放射の指向性・無指向性・偏波及び電波の放射方向を制御できるようになる。
上述の主励振素子42には、給電線路(マイクロストリップ線路)46を介して信号源8の一端に至る配線が接続される。給電線路46は、基板49裏面において、その表面の励振ロット42の長手方向に直交する方向に配置される。信号源8からの送信信号は、給電線路46を介して給電するようになされる。信号源8の他端は接地線GNDに接続される。
上述の制御電極45aにはバイアス回路47aの一端に至る配線が接続され、主励振素子42の半導電性のプラスチックに直流バイアス電圧を供給するようになされる。同様にして、制御電極45bにはバイアス回路47bの一端に至る配線が接続され、無給電素子41の半導電性のプラスチックに直流バイアス電圧を供給するようになされる。制御電極45cにはバイアス回路47cの一端に至る配線が接続され、無給電素子43の半導電性のプラスチックに直流バイアス電圧を供給するようになされる。
制御電極45d,45eにはバイアス回路47dの一端に至る配線が接続され、地板74の半導電性のプラスチックに直流バイアス電圧を供給するようになされる。制御電極45fにはバイアス回路47eの一端に至る配線が接続され、長さ調整部44aの半導電性のプラスチックに直流バイアス電圧を供給するようになされる。制御電極45gにはバイアス回路47fの一端に至る配線が接続され、長さ調整部44bの半導電性のプラスチックに直流バイアス電圧を供給するようになされる。
この例で、八木アンテナ装置400は、信号源8、6個のバイアス回路47a〜47f及びスイッチ回路48を組合せて使用される。バイアス回路47a〜47fには、スイッチ回路48が接続される。スイッチ回路48は6個のスイッチSW1〜SW6を有しており、スイッチ制御データD41に基づいてスイッチ切換制御がなされる。各々のスイッチSW1〜SW6は接点a,b及び中点cを有している。
スイッチSW1の中点cはバイアス回路47aに接続される。スイッチSW1の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW1の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW1がon(接点a選択)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路47aの他端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路47aは、主励振素子42に順方向のバイアス電圧を供給するようになされる。スイッチSW1がoff(接点b選択)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路47aの他端を接地レベルに維持する。バイアス回路47aは、主励振素子42に逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
スイッチSW2の中点cはバイアス回路47bに接続される。スイッチSW2の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW2の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW2が接点aを選択(以下でonという)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路47bの他端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路47bは、無給電素子41に順方向のバイアス電圧を供給するようになされる。スイッチSW2が接点bを選択(以下でoffという)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路47bの他端を接地レベルに維持する。バイアス回路47bは、無給電素子41に逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
スイッチSW3の中点cはバイアス回路47cに接続される。スイッチSW3の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW3の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW3がon(接点a選択)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路47cの他端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路47cは、無給電素子43に順方向のバイアス電圧を供給するようになされる。スイッチSW3がoff(接点b選択)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路47cの他端を接地レベルに維持する。バイアス回路47cは、無給電素子43に逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
スイッチSW4の中点cはバイアス回路47dに接続される。スイッチSW4の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW4の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW4がon(接点a選択)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路47dの他端に駆動電圧VDCを供給するようになされる。バイアス回路47dは、地板74に順方向のバイアス電圧を供給するようになされる。スイッチSW4がoff(接点b選択)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路47dの他端を接地レベルに維持するようになされる。バイアス回路47dは、地板74に逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
スイッチSW5の中点cはバイアス回路47eに接続される。スイッチSW5の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW5の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW5がon(接点a選択)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路47eの他端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路47eは、長さ調整部44aに順方向のバイアス電圧を供給するようになされる。スイッチSW5がoff(接点b選択)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路47eの他端を接地レベルに維持する。バイアス回路47eは、長さ調整部44aに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
スイッチSW6の中点cはバイアス回路47fに接続される。スイッチSW6の接点aは、図示しない駆動電源に接続される。スイッチSW6の接点bは接地線GNDに接続される。スイッチSW6がon(接点a選択)すると、接点aと中点cとが接続され、バイアス回路47fの他端に駆動電圧VDCを供給する。バイアス回路47fは、長さ調整部44bに順方向のバイアス電圧を供給するようになされる。スイッチSW6がoff(接点b選択)すると、その接点bと中点cとが接続され、バイアス回路47fの他端を接地レベルに維持する。バイアス回路47fは、長さ調整部44bに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
続いて、放射方向選択機能付きのアンテナ装置400の動作例について説明する。図10に示したアンテナ装置400の動作例によれば、半導電性のプラスチックにより構成された、無給電素子41,43と、主励振素子42と、地板74、長さ調整部44a,44bの各々のパターンと、切り換え制御用のスイッチ0回路48及び6個のバイアス回路47b〜47fを備え、表2のようにスイッチ切り換えの組合せを制御することにより、このアンテナ装置400で6つの放射状態を取り得るようになされる。
Figure 2007013692
表2の「組合せ1」の場合によれば、スイッチSW1がoff(接点b選択)で、スイッチSW2〜SW6が共にon(接点a選択)である。この場合、無給電素子41,43、長さ調整部44a,44b及び地板74の各々のパターンが導電性(金属性)を有し、主励振素子42が絶縁性、すなわち、地板74の中央部にスロットが形成された状態と等価になる。この結果、アンテナの種類は、「スロットアンテナ」となり、アンテナ特性は無指向性となり、偏波の種類は、水平偏波(以下H偏波という)となる。
その「組合せ2」の場合によれば、スイッチSW1〜SW3が共にoff(接点b選択)で、スイッチSW4,SW5がon(接点a選択)で、スイッチSW6がoffである。この場合、地板74が導電性(金属性)を有し、長さ調整部44aが導電性を有し、長さ調整部44bが絶縁性を有し、無給電素子41,43及び主励振素子42が絶縁性、すなわち、導波器用のスロット、給電器用のスロット及び反射器用のスロットが各々形成される。この結果、アンテナの種類は、スロット型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。放射の方向は向き#1となる。
その「組合せ3」の場合によれば、スイッチSW1〜SW3が共にoff(接点b選択)で、スイッチSW4がon(接点a選択)で、スイッチSW5がoff(接点b選択)で、スイッチSW6がon(接点a選択)である。この場合、地板74が導電性(金属性)を有し、長さ調整部44aが絶縁性を有し、長さ調整部44bが導電性を有し、無給電素子41,43及び主励振素子42が絶縁性、すなわち、導波器用のスロット、給電器用のスロット及び反射器用のスロットが各々形成される。この結果、アンテナの種類は、スロット型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。放射の方向は向き#2となる。
その「組合せ4」の場合によれば、スイッチSW1がon(接点a選択)で、スイッチSW2〜SW6が全てoff(接点b選択)である。この場合、主励振素子42が導電性(金属性)を有し、他の地板74、無給電素子41,43及び長さ調整部44a,44bが各々絶縁性を有し、主励振素子42のみが機能し、導波器、給電器及び反射器が各々形成されていない状態と等価になる。この結果、アンテナの種類は、「ツエップアンテナ」となり、アンテナ特性は無指向性となり、偏波の種類は、垂直偏波(以下V偏波という)となる。
その「組合せ5」の場合によれば、スイッチSW1〜SW3が共にon(接点a選択)で、スイッチSW4,SW5がoff(接点b選択)で、スイッチSW6がonである。この場合、地板74が絶縁性を有し、長さ調整部44aが絶縁性を有し、長さ調整部44bが導電性を有し、無給電素子41,43及び主励振素子42が導電性、すなわち、地板74内に導波器、給電器及び反射器が各々形成された状態と等価になる。この結果、アンテナの種類は、ツエップ型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、V偏波となる。放射の方向は向き#1となる。
その「組合せ6」の場合によれば、スイッチSW1〜SW3が共にon(接点a選択)で、スイッチSW4及びSW6がoff(接点b選択)で、スイッチSW5がon(接点a選択)である。この場合、地板74が絶縁性を有し、長さ調整部44aが導電性を有し、長さ調整部44bが絶縁性を有し、無給電素子41,43及び主励振素子42が導電性、すなわち、地板74内に導波器、給電器及び反射器が各々形成された状態と等価になる。この結果、アンテナの種類は、ツエップ型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、V偏波となる。放射の方向は向き#2となる。
このように、第4の実施例としてのアンテナ装置400によれば、誘電性の基板49に対して、いずれも、半導電性のプラスチックで構成された、2つの無給電素子41,43と、この無給電素子41,43の間で所定の間隔を保持した位置に主励振素子42、無給電素子41,43に各々併設された長さ調整部44a,44bとを有した地板74を備え、無給電素子41,43の制御電極45b,45c、主励振素子42の制御電極45a、地板74の制御電極45d,45e及び長さ調整部44a,44bの制御電極45f,45gに順方向のバイアス電圧を供給し、又は、これらの制御電極45a〜45dに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされる。
従って、第1及び第2の実施例で説明した指向性又は無指向性の切り換え機能及び第3の実施例で説明した偏波切り換え機能に加えて、当該アンテナ装置400でビームの放射方向を所望の状態に制御できるので、通信ユーザの使用環境に応じ、しかも、アンテナ装置400の大型化及び高コスト化を招くことなく、適応的にこれらの状態を変化させて最適な通信状態を得ることが可能となる。いずれのアンテナ装置100〜400も、素材がプラスチックなので軽量化が図られ、無線通信装置の軽量化に寄与する。また、無線LANにおいて、アンテナ設置個数を増やすことなく、キャリアセンスをする際には、無指向性アンテナ機能を利用し、通信を行う際には指向性アンテナ機能をそれぞれ利用するといったニーズに十分応えることが可能になる。
図11は、アンテナ装置400を応用した第5の実施例としての無線通信装置500の構成例を示すブロック図である。
この実施例では、第4の実施例で説明したアンテナ装置400が無線通信装置500に実装され、半導電性のプラスチックで構成された、2つの無給電素子41,43と、この無給電素子41,43の間で所定の間隔を保持した位置に主励振素子42と、無給電素子41,43に各々併設された長さ調整部44a,44bを有した地板74とを備え、無給電素子41,43の制御電極45b,45c、主励振素子42の制御電極45a、地板74の制御電極45d,45e及び長さ調整部44a,44bの制御電極45f,45gに順方向のバイアス電圧を供給し、又は、これらの制御電極45a〜45dに逆方向のバイアス電圧を供給するようになされ、使用環境に適した多機能ダイバシティ方式を実現するようになされる。
図11に示す無線通信装置500は、IEEE802.11無線LAN規格の搬送検出多元接続・衝突回避(CSMA/CA;Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)の無線通信方式に準拠するものである。例えば、5.2GHz帯のキャリア周波数を用いるIEEE802.11a方式や、2.4GHz帯のキャリア周波数を用いるIEEE802.11b/g方式等の家庭用の無線LANに適用して好適である。
無線通信装置500は、通信制御ユニット50、送受切換スイッチ51、高周波ユニット52、操作部53、表示部54、音声/画像表示部57、メモリ部58及び多機能型のアンテナ装置400を備えて、多機能ダイバシティ方式を実現するものである。高周波ユニット52は、送受信回路の一例を構成し、送受切換スイッチ51を介してアンテナ装置400に接続され、所定の無線通信方式により信号を送受信する。例えば、高周波ユニット52は、受信回路52a及び送信回路52bを有して構成される。多機能のアンテナ装置400には、第4の実施例で説明したアンテナ装置が使用される。
アンテナ装置400には、送受切換スイッチ51が接続され、高周波ユニット52内の受信回路52a又は送信回路52bのいずれか一方をアンテナ装置400の給電線路46に接続するようになされる。給電線路46は、主励振素子42に接続され、送信信号を給電し、又は、受信信号を受電する(引き込む)ようになされる。
受信回路52a及び送信回路52bは、アンテナ装置400を利用した多機能ダイバシティ方式により信号を送受信するための送受信回路を構成する。受信回路52aは、送受切換スイッチ51を介してアンテナ装置400に接続され、当該アンテナ装置400から送受切換スイッチ51を介して受信信号を取り込んで受信処理する。送信回路52bは、送受切換スイッチ51を介してアンテナ装置400に接続され、送信信号を処理し、送受切換スイッチ51を介して送信信号をアンテナ装置400に給電するようになされる。
上述の高周波ユニット52には、通信制御ユニット50が接続され、この高周波ユニット52から得られる受信信号に基づいてアンテナ装置400を制御する。例えば、通信制御ユニット50は、6個のバイアス回路47a〜47f、スイッチ回路48及び制御装置55を有して構成される。制御装置55は、受信回路52aにより受信された信号の品質に応じて、図10に示したようなスイッチ回路48のスイッチSW1〜SW6をオン・オフ制御する。
アンテナ装置400には、6個のバイアス回路47a〜47fを介してスイッチ回路48が接続される。スイッチ回路48は制御装置55に接続される。制御装置55には図示しないCPU(中央処理ユニット)やMPU(マイクロ処理ユニット)、A/D変換器、D/A変換器、変調/復調(BB)回路、媒体アクセス制御(MAC)回路等が内装される。
制御装置55には操作部52、表示部54、音声/画像処理部57及びメモリ部58が接続される。操作部52は、無線通信装置を動作させる情報を入力するように操作される。操作情報は制御装置55に出力される。操作部52にはキーボードや、ジョグダイヤルが使用される。表示部54は、表示データに基づいて音声情報や画像情報の処理に関する表示情報を表示する。表示部54には液晶表示パネルが使用される。音声/画像処理部57は、例えば、受信時、相手方からの受信信号を処理して音声情報や画像情報を得る。送信時、音声情報や画像情報を処理して相手方へ送るための送信信号を作成する。
制御装置55には、記録媒体の一例となるメモリ部58が接続される。メモリ部58には、読出し専用メモリ(ROM)、情報の随時書込み及び読出し可能なメモリ(RAM)、情報の電気的な消去及び書込み可能な読出しメモリ(EEPROM)又はハードディスク装置(HDD)が使用される。メモリ部58には、多機能ダイバシティ方式による信号を送受信する無線通信装置用の制御プログラムが記憶される。
この制御プログラムには、コンピュータ処理可能なプログラムであって、例えば、第4の実施例で説明したアンテナ装置400の制御電極45a〜45gへの直流バイアス電圧を設定するステップと、ここに設定された制御電極45a〜45gへの直流バイアス電圧によって構成される無指向性アンテナでキャリアセンスを行うステップと、このキャリアセンス及び相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして制御電極45a〜45gへの直流バイアス電圧をフィードバック設定するステップと、ここにフィードバック設定された制御電極45a〜45gへの直流バイアス電圧によって構成されるアンテナの指向性・無指向性・放射偏波・放射方向を適応的に切り換えるステップとが含まれるものである。
このメモリ部58に格納された制御プログラムを利用することで、主励振素子42、無給電素子51,53、長さ調整部44a,44bとの組合せによって構成される6種類のアンテナから選択され、しかも、最適な状態に設定されたアンテナを利用して、水平又は垂直偏波の信号を送受信できるようになる。
制御装置55は、バイアス回路47a〜47f及びスイッチ回路48を通してアンテナ装置400を制御する。例えば、送受切換スイッチ51にスイッチ切換信号S1を出力してアンテナ装置400の送受信機能を切り換えるようになされる。受信回路52aは受信感度(受信した電波の信号強度;Receive Signal Strength Indicator;以下RSSIという)を測定する。IEEE802.11a方式の場合、受信感度は、直交検波前のAGC(自動ゲインコントロール)信号をモニタ等することで得られる。もちろん、これに限られることはなく、受信感度は復号データ検出等により得てもよい。
上述のスイッチ回路48は、制御装置55からスイッチ制御データD41を入力し、スイッチ制御データD41に基づいて順方向又は逆方向のバイアス電圧を発生するようにバイアス回路47a〜47fを制御する。この例で、アンテナ装置400は、半導電性のプラスチックにより構成された、無給電素子41,43と、主励振素子42と、地板74、長さ調整部44a,44bの各々のパターンと、切り換え制御用のスイッチ回路48及び6個のバイアス回路47b〜47fを備え、その動作例によれば、表3のようにスイッチ切り換えの組合せを制御することにより、このアンテナ装置400でN=通りの放射状態を取り得るようになされる。
Figure 2007013692
表3に示すように、アンテナ装置400でスイッチSW1〜SW6に関して、スイッチの「組合せ1」を設定すると、アンテナの種類は、「スロットアンテナ」となり、アンテナ特性は無指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。スイッチの「組合せ2」を設定すると、アンテナの種類は、スロット型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。放射の方向は向き#1となる。スイッチの「組合せ3」を設定すると、アンテナの種類は、スロット型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。放射の方向は向き#2となる。
スイッチの「組合せ4」を設定すると、アンテナの種類は、「ツエップアンテナ」となり、アンテナ特性は無指向性となり、偏波の種類は、V偏波となる。スイッチの「組合せ5」を設定すると、アンテナの種類は、ツエップ型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、V偏波となる。放射の方向は向き#1となる。スイッチの「組合せ6」を設定すると、アンテナの種類は、ツエップ型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、V偏波となる。放射の方向は向き#2となる。
続いて、本発明に係る無線通信装置の制御方法について説明する。図12は、アンテナ装置400を応用した無線通信装置500の制御例を示すフローチャートである。
この実施例では、多機能ダイバシティ方式を採用して、キャリアセンスを実行し、他の無線通信装置(隠れ端末)が存在していないことを確認した後、通信OKの状態で、相手方の無線通信装置と通信を実行する際に、当該無線通信装置における通信パフォーマンスが最適となるようにアンテナ装置の状態を切り換える場合を例に挙げる。この例では、6個のスイッチSW1〜SW6のon/offの組合せをN(i=1〜N)通りに変化させて、伝送速度が最大となる設定を抽出(見出)して、相手方の無線通信装置と送受信処理を実行するようになされる。
このような動作設定条件を前提にして、図12に示すフローチャートのステップA1で6個のスイッチSW1〜SW6のon/offの組合せをI=1に設定する。このとき、制御装置55は、図11に示したバイアス回路47a〜47f及びスイッチ回路48を通してアンテナ装置400を制御する。例えば、制御装置55は送受切換スイッチ51にスイッチ切換信号S1を出力してアンテナ装置400の送受信機能を切り換える。更に、制御装置55は、スイッチ回路48に対してスイッチの組合せI=1を設定するためのスイッチ制御データD41を出力する。
その後、ステップA2でスイッチSW1〜SW6の組合せI=1により構成されるアンテナ装置400=[スロットアンテナ・無指向性・H偏波]を使用して、キャリアセンスを実行する。例えば、図10に示したスイッチSW1がoffで、スイッチSW2〜SW6が共にonする。これにより、無給電素子41,43、長さ調整部44a,44b及び地板74の各々のパターンが導電性を有し、主励振素子42が絶縁性、すなわち、地板74の中央部にスロットが形成された状態と等価になる。この結果、アンテナの種類は、スロットアンテナとなり、アンテナ特性は無指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。この無指向性アンテナ体を利用して、キャリアセンスを行うことができる。このキャリアセンスでは、フレーム送信したいノードが現在、通信中であるかを確認する。例えば、他の無線通信装置(隠れ端末)が存在していないことを確認するようになされる。
そして、ステップA3で通信可能か否かを判別する。通信が不可能な場合、つまり、他のノードが通信中の場合は、ステップA4に移行してそれが終了するまで待機する。他の通信が終了すると、フレームを送信したいそれぞれのノードが送信を開始する。このとき、どのノードも対等に送信する権利を持つ(多元接続)。従って、通信が可能な場合は、ステップA5に移行して、スイッチの組合せの設定I=1におけるアンテナ装置400により受信されるデータの伝送速度を測定する。例えば、受信回路52aは受信感度(受信した電波の信号強度;Receive Signal Strength Indicator;以下RSSIという)を測定する。
その後、ステップA6に移行して、伝送速度が最大となったか否かを判別(検出)する。このとき、伝送速度の最大値検出を実行し、伝送速度の最大値を検出した場合は、ステップA7に移行してスイッチSW1〜SW6の組合せの設定を記憶(登録)する。その後、ステップA6に戻って、伝送速度が最大となったか否かを判別(検出)する。伝送速度が最大とならない場合は、ステップA8に移行して、6個のスイッチSW1〜SW6のon/offの組合せを1つインクリメント(I=I+1)として、ステップA9に移行して、N(=6)通りのスイッチSW1〜SW6の組合せを終了したかを判別する。N通りのスイッチSW1〜SW6の組合せを実行していない、すなわち、I<Nの場合は、ステップA5に戻って、スイッチSW1〜SW6の組合せI=2により構成されるアンテナ装置400=[スロット型の八木アンテナ装置・指向性・H偏波・向き#1]を使用して、伝送速度を測定する。
スイッチの組合せI=2が設定されると、図10に示したスイッチSW1〜SW3が共にoffで、スイッチSW4,SW5がonで、スイッチSW6がoffである。この場合、地板74が導電性を有し、長さ調整部44aが導電性を有し、長さ調整部44bが絶縁性を有し、無給電素子41,43及び主励振素子42が絶縁性、すなわち、導波器用のスロット、給電器用のスロット及び反射器用のスロットが各々形成される。この結果、アンテナの種類は、スロット型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。放射の方向は向き#1となる。この指向性アンテナ体を利用して、相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして制御電極45b,45cへの直流バイアス電圧をフィードバック設定することができる。
その後、ステップA6〜A8の判別、記録及びインクリメントを繰り返すようになされる。この例では、スイッチSW1〜SW6の組合せI=3により構成されるアンテナ装置400=[スロット型の八木アンテナ装置・指向性・H偏波・向き#2]を使用して、伝送速度を測定する。更に、その組合せI=4により構成されるアンテナ装置400=[ツエップアンテナ・無指向性・V偏波]を使用して、伝送速度を測定する。その組合せI=5により構成されるアンテナ装置400=[ツエップ型の八木アンテナ装置・指向性・V偏波・向き#1]を使用して、伝送速度を測定する。その組合せI=6により構成されるアンテナ装置400=[ツエップ型の八木アンテナ装置・指向性・V偏波・向き#2]を使用して、伝送速度を測定するようになる。
そして、ステップA9でスイッチSW1〜SW6の組合せがI=N(=6)となった場合は、ステップA10に移行して設定を固定するようになされる。これにより、最適な通信品質が検出されたスイッチSW1〜SW6の組合せの設定によって通信を実行でき、その際の偏波方式を使用することにより、使用環境に適した多機能ダイバシティ方式よる無線通信処理を実現できるようになる。
このように、第5の実施例としての無線通信装置及びその制御方法によれば、本発明のアンテナ装置400が応用される。これを前提にして、例えば、IEEE802.11無線LAN規格のCSMA/CAに準拠する無線通信方式において、図11に示したスイッチ回路48で、スイッチの組合せI=1を設定すると、アンテナの種類は、スロット型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は無指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。この無指向性アンテナ体を利用して、キャリアセンスを行うことができる。
また、スイッチの組合せI=2を設定すると、アンテナの種類は、スロット型の八木アンテナ装置となり、アンテナ特性は指向性となり、偏波の種類は、H偏波となる。放射の方向は向き#1となる。この指向性アンテナ体を利用して、相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして制御電極45b,45cへの直流バイアス電圧をフィードバック設定することができる。
従って、アンテナ装置の大型化及び高コスト化を招くことなく、当該アンテナ体の指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御することができ、相手方の無線通信装置との伝送パフォーマンスを最適な状態に維持できるようになる。これにより、CSMA/CA方式に対応しつつ、ユーザが使用している電波環境に適応的に指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を切り換えることができるので、CSMA/CA等に準拠する無線通信処理を効率的に実行できるようになり、通信パフォーマンスを向上させることができる。
図13は、第6の実施例としてのモノポール型の八木アンテナ装置600の構成例を示す図である。
図13に示す八木アンテナ装置600は、第1の実施例の八木アンテナ装置100の変形例を構成するものである。八木アンテナ装置100と異なるところは、無給電素子11の上部に制御電極15dが設けられ、制御電極15aと共にバイアス回路17に接続される。また、無給電素子13の上部に制御電極15cが設けられ、制御電極15bと共にバイアス回路17に接続される。なお、第1の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ部材が用いられると共に、同じ機能を有するので、その説明を省略する。
このように、第6の実施例としての八木アンテナ装置600によれば、無給電素子11の上・下部に制御電極15a,15dが設けられ、無給電素子13の上・下部に制御電極15b,15cが設けられている。従って、バイアス回路17から無給電素子11,13を構成する半導電性のプラスチックへ制御電極15a〜15dを介して均一な直流バイアス電圧を印加できるようになる。これにより、アンテナ素子の導電性又は絶縁性を信頼性良く設定できるようになり、第1の実施例に比べて八木アンテナ装置600の信頼性を向上できるようになる。
図14は、第7の実施例としてのスロット型の八木アンテナ装置700の構成例を示す図である。
図14に示す八木アンテナ装置700は、第2の実施例の八木アンテナ装置200の変形例を構成するものである。八木アンテナ装置200と異なるところは、無給電スロット21の周囲に制御電極25dが設けられ、制御電極25aと共にバイアス回路27に接続される。また、無給電スロット23の周囲に制御電極25cが設けられ、制御電極25bと共にバイアス回路27に接続される。なお、第2の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ部材が用いられると共に、同じ機能を有するので、その説明を省略する。
このように、第7の実施例としての八木アンテナ装置700によれば、無給電スロット21の周囲に、制御電極25aに接続された制御電極25dが設けられ、無給電スロット23の周囲に、制御電極25bに接続された制御電極25cが設けられている。従って、バイアス回路27から無給電スロット21,23を構成する半導電性のプラスチックへ制御電極25a〜25dを介して均一な直流バイアス電圧を印加できるようになる。これにより、アンテナ素子の導電性又は絶縁性を信頼性良く設定できるようになり、第2の実施例に比べて八木アンテナ装置700の信頼性を向上できるようになる。
図15は、第8の実施例としての偏波切り換え機能付きの八木アンテナ装置800の構成例を示す図である。
図15に示す八木アンテナ装置800は、第3の実施例の八木アンテナ装置300の変形例を構成するものである。八木アンテナ装置300と異なるところは、八木アンテナ装置800には、給電切換え用のスイッチSW5’が備えられる。スイッチSW5’は、接点a’,b’及び中点c’を有している。接点a’は、給電線路36を介して主励振素子32に接続される。接点b’は、制御電極35a及びバイアス回路37aに接続される。中点c’には、信号源8の一端に至る配線が接続される。
この例で、スイッチSW5’を動作させて接点a’と中点c’を接続すると、第3の実施例と同じ機能により、信号源8からの送信信号が給電線路36を介して給電される。また、スイッチSW5’を動作させて接点b’と中点c’を接続すると、制御電極35aに直接、送信信号等を給電するようになされる。なお、第3の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ部材が用いられると共に、同じ機能を有するので、その説明を省略する。
このように、第8の実施例としての八木アンテナ装置800によれば、主励振素子32と信号源8及びバイアス回路37aとの間に、スイッチSW5’が接続され、主励振素子32に至る給電点を選択できるようになされる。
従って、給電線路36を介して給電(容量結合型)する方法に比べて、制御電極35aに直接、送信信号等を給電する方法により、インピーダンスマッチングを容易に取れるようになり、信号源8から送信信号等を高信頼度に給電できるようになる。これにより、第3の実施例に比べて八木アンテナ装置800の信頼性を向上できるようになる。
図16は、第9の実施例としての放射方向選択機能付きのアンテナ装置900の構成例を示す図である。
図16に示す八木アンテナ装置900は、第4の実施例の八木アンテナ装置400の変形例を構成するものである。八木アンテナ装置400と異なるところは、八木アンテナ装置900には、給電切換え用のスイッチSW7が備えられる。スイッチSW7は、接点a,b及び中点cを有している。接点aは、給電線路46を介して主励振素子42に接続される。接点bは、制御電極45a及びバイアス回路47aに接続される。中点cには、信号源8の一端に至る配線が接続される。
この例で、スイッチSW7を動作させて接点aと中点cを接続すると、第4の実施例と同じ機能により、信号源8からの送信信号が給電線路46を介して給電される。また、スイッチSW7を動作させて接点bと中点cを接続すると、制御電極45aに直接、送信信号等を給電するようになされる。なお、第4の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ部材が用いられると共に、同じ機能を有するので、その説明を省略する。
このように、第9の実施例としての八木アンテナ装置900によれば、主励振素子42と信号源8及びバイアス回路47aとの間に、スイッチSW7が接続され、主励振素子42に至る給電点を選択できるようになされる。
従って、給電線路46を介して給電(容量結合型)する方法に比べて、制御電極45aに直接、送信信号等を給電する方法により、インピーダンスマッチングを容易に取れるようになり、信号源8から送信信号等を高信頼度に給電できるようになる。これにより、第4の実施例に比べて八木アンテナ装置900の信頼性を向上できるようになる。
上述した各実施例で、通信パフォーマンスを表す指標に関しては、伝送速度の場合について説明したが、これに限られることはなく、スループット、エラーレート(BER,PER)、信号電力(RSSI,Eb/N0)等の無線通信条件を用いてもよい。なお、本発明に係る多機能ダイバシティ方式は、指向性ダイバーシチ、偏波ダイバーシチ、多入力多出力(Multi Input Multi Output:以下MIMOという)通信方式へ応用することができる。
また、多機能型のアンテナ装置に関して、第4の実施例で説明したアンテナ装置400を用いる場合について説明したが、これに限られることはなく、第1〜第3のアンテナ装置100,200,300及び第6〜第9のアンテナ装置600,700,800,900を使用し、これらの制御電極へ、順方向又は逆方向のバイアス電圧を供給するように、通信制御ユニット50で制御して、アンテナ素子を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの放射の指向性・無指向性・偏波を制御するようにしてもよい。
この発明は、誘電性の基板上に配置された半導電性の樹脂部材から構成されるアンテナ素子構成部の制御電極への直流バイアス電圧を制御して指向性アンテナや無指向性アンテナを構築して無線通信処理をするシステムに適用して極めて好適である。
本発明に係る第1の実施例としてのモノポール型の八木アンテナ装置100の構成例を示す図である。 半導電性のプラスチック及び固体電解質基板を用いた八木アンテナ装置100の断面の構成例を示す図である。 (A)及び(B)は、導波器用の無給電素子11を導電性又は絶縁性にする制御例を示す断面図である。 八木アンテナ装置100の動作例(指向性)を示す図である。 八木アンテナ装置100の動作例(無指向性)を示す図である。 第2の実施例としてのスロット型の八木アンテナ装置200の構成例を示す図である。 八木アンテナ装置200の動作例(指向性)を示す図である。 スロット型の八木アンテナ装置200の動作例(無指向性)を示す図である。 第3の実施例としての偏波切り換え機能付きの八木アンテナ装置300の構成例を示す図である。 第4の実施例としての放射方向選択機能付きのアンテナ装置400の構成例を示す図である。 アンテナ装置400を応用した第5の実施例としての無線通信装置500の構成例を示すブロック図である。 無線通信装置500の制御例を示すフローチャートである。 第6の実施例としてのモノポール型の八木アンテナ装置600の構成例を示す図である。 第7の実施例としてのスロット型の八木アンテナ装置700の構成例を示す図である。 第8の実施例としての偏波切り換え機能付きの八木アンテナ装置800の構成例を示す図である。 第9の実施例としての放射方向選択機能付きのアンテナ装置900の構成例を示す図である。 従来例に係るモノポール型の八木アンテナ10の構成例を示す斜視図である。 ビームフォーミング機能付きのアンテナ装置80の構成例を示す概念図である。
符号の説明
11,13・・・無給電素子(アンテナ素子構成部)、15a〜15d,25a〜25d,35a〜35d,45a〜45g・・・制御電極、17,27,37a〜37d,47a〜47f・・・バイアス回路、19、29,39,49・・・誘電性の基板(固体電解質基板)、18,28,38,48・・・スイッチ回路、55・・・制御装置、71,72,73,74・・・地板、21,23,31,33・・・無給電スロット(アンテナ素子構成部)、22,32・・・励振スロット(アンテナ素子構成部)、41、43・・・無給電素子(アンテナ素子構成部)、42・・・主励振素子(アンテナ素子構成部)、58・・・メモリ部(記録媒体)、100〜400・・・アンテナ装置、500・・・無線通信装置

Claims (30)

  1. 所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部と、
    前記アンテナ素子構成部に接続された制御電極とを備え、
    前記制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して前記アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記アンテナ素子構成部を導電性にするときは、順方向バイアス電圧によって前記誘電性の基板から当該アンテナ素子構成部へイオンが注入され、
    前記アンテナ素子構成部を絶縁性にするときは、逆方向バイアス電圧によって当該アンテナ素子構成部から前記誘電性の基板へイオンが引き抜かれることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  4. 前記アンテナ素子構成部が、ミリ波帯、マイクロ波帯又はUHF帯のいずれかの周波数に対応した長さを有することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  5. 長さの異なる線状の2つの前記アンテナ素子構成部を前記誘電性の基板上の両側に有して、その中央部に所定の間隔を保持して配置された導電性のアンテナ素子を備え、
    前記アンテナ素子へ給電する共に、前記アンテナ素子構成部の制御電極に順方向のバイアス電圧を供給し、又は、前記アンテナ素子構成部の制御電極に逆方向のバイアス電圧を供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  6. 前記誘電性の基板と直交する位置に接地用の基板が配置されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  7. 前記誘電性の基板に対して、2つの前記アンテナ素子構成部を露出するように配置されたスロット状の開口部と、2つの前記アンテナ素子構成部の間で所定の間隔を保持した位置に励振素子用のスロット状の開口部とを有した導電性のアンテナパターンを備え、
    前記アンテナパターンの中央部へ給電する共に、前記アンテナ素子構成部の制御電極に順方向のバイアス電圧を供給し、又は、前記アンテナ素子構成部の制御電極に逆方向のバイアス電圧を供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  8. 前記誘電性の基板上に、長さの異なる線状の3つの前記アンテナ素子構成部を有して、当該アンテナ素子構成部の各々を露出するように3つのスロット状の開口部を有した半導電性のアンテナパターンと、
    前記アンテナパターンに設けられた制御電極とを備え、
    前記アンテナパターンの中央部へ給電する共に、3つの前記アンテナ素子構成部の制御電極及び当該アンテナパターンの制御電極に順方向のバイアス電圧、又は/及び、逆方向のバイアス電圧を供給して、線状及びスロット状の複合型の前記アンテナ素子構成部を切り換えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  9. 3つの前記アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの放射の指向性・無指向性・偏波を制御することを特徴とする請求項8に記載のアンテナ装置。
  10. 前記誘電性の基板上において、中央部には、所定の長さの線状の前記アンテナ素子構成部を有し、その両側には2つの長さに設定可能な長さ調整部が設けられた線状の前記アンテナ素子構成部を有して、当該アンテナ素子構成部の各々を露出するように3つのスロット状の開口部を有した半導電性のアンテナパターンと、
    前記アンテナパターンに設けられた制御電極と、
    前記両側のアンテナ素子構成部の長さ調整部に設けられた制御電極とを備え、
    前記アンテナパターンの中央部へ給電する共に、2つの前記アンテナ素子構成部の制御電極、前記アンテナパターンの制御電極及び前記長さ調整部の制御電極に順方向のバイアス電圧、又は/及び、逆方向のバイアス電圧を供給して、線状及びスロット状の複合型の前記アンテナ素子構成部を切り換えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  11. 3つの前記アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの放射の指向性・無指向性・偏波及び電波の放射方向を制御することを特徴とする請求項10に記載のアンテナ装置。
  12. 前記半導電性のアンテナ素子構成部は、
    ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール又はポリアズレンのいずれかの樹脂部材から構成されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  13. 前記誘電性の基板には、
    シリコンゲル、アクリロニトリルゲル又は多糖類高分子ポリマーのいずれかの固体電解質部材が使用されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  14. アンテナ装置と、
    前記アンテナ装置に接続され、所定の無線通信方式により信号を送受信する送受信回路と、
    前記送受信回路から得られる信号に基づいて前記アンテナ装置を制御する通信制御ユニットとを備え、
    前記アンテナ装置は、
    所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部と、
    前記アンテナ素子構成部に接続された制御電極とを有し、
    前記通信制御ユニットは、
    前記アンテナ装置の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して前記アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えることを特徴とする無線通信装置。
  15. 前記無線通信方式は、IEEE802.11無線LAN規格のCSMA/CAに準拠することを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  16. 前記アンテナ素子構成部を導電性にするときは、順方向バイアス電圧によって前記誘電性の基板から当該アンテナ素子構成部へイオンが注入され、
    前記アンテナ素子構成部を絶縁性にするときは、逆方向バイアス電圧によって当該アンテナ素子構成部から前記誘電性の基板へイオンが引き抜かれることを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  17. 前記アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの指向性/無指向性・放射偏波・放射方向を所望の状態に制御することを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  18. 長さの異なる線状の2つの前記アンテナ素子構成部を前記誘電性の基板上の両側に有して、その中央部に所定の間隔を保持して配置された導電性のアンテナ素子を備え、
    前記アンテナ素子へ給電する共に、前記アンテナ素子構成部の制御電極に順方向のバイアス電圧を供給し、又は、前記アンテナ素子構成部の制御電極に逆方向のバイアス電圧を供給するようにしたことを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  19. 前記誘電性の基板と直交する位置に接地用の基板が配置されることを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  20. 前記誘電性の基板上に、長さの異なる線状の2つの前記アンテナ素子構成部を両側に有して、その中央部で所定の間隔を保持したスロット状の開口部を有し、かつ、当該アンテナ素子構成部を露出する他のスロット状の開口部を有した導電性のアンテナパターンを備え、
    前記アンテナパターンの中央部へ給電する共に、前記アンテナ素子構成部の制御電極に順方向のバイアス電圧を供給し、又は、前記アンテナ素子構成部の制御電極に逆方向のバイアス電圧を供給するようにしたことを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  21. 前記誘電性の基板上に、長さの異なる線状の3つの前記アンテナ素子構成部を有して、当該アンテナ素子構成部の各々を露出するように3つのスロット状の開口部を有した半導電性のアンテナパターンと、
    前記アンテナパターンに設けられた制御電極とを備え、
    前記アンテナパターンの中央部へ給電する共に、3つの前記アンテナ素子構成部の制御電極及び当該アンテナパターンの制御電極に順方向のバイアス電圧、又は/及び、逆方向のバイアス電圧を供給して、線状及びスロット状の複合型の前記アンテナ素子構成部を切り換えるようにしたことを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  22. 3つの前記アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの放射の指向性・無指向性・偏波を制御することを特徴とする請求項21に記載の無線通信装置。
  23. 前記誘電性の基板上において、中央部には、所定の長さの線状の前記アンテナ素子構成部を有し、その両側には2つの長さに設定可能な長さ調整部が設けられた線状の前記アンテナ素子構成部を有して、当該アンテナ素子構成部の各々を露出するように3つのスロット状の開口部を有した半導電性のアンテナパターンと、
    前記アンテナパターンに設けられた制御電極と、
    前記両側のアンテナ素子構成部の長さ調整部に設けられた制御電極とを備え、
    前記アンテナパターンの中央部へ給電する共に、2つの前記アンテナ素子構成部の制御電極、前記アンテナパターンの制御電極及び前記長さ調整部の制御電極に順方向のバイアス電圧、又は/及び、逆方向のバイアス電圧を供給して、線状及びスロット状の複合型の前記アンテナ素子構成部を切り換えるようにしたことを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  24. 3つの前記アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えて、当該アンテナの放射の指向性・無指向性・偏波及び電波の放射方向を制御することを特徴とする請求項23に記載の無線通信装置。
  25. 前記半導電性のアンテナ素子構成部は、
    ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール又はポリアズレンのいずれかの樹脂部材から構成されることを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  26. 前記誘電性の基板には、
    シリコンゲル、アクリロニトリルゲル又は多糖類高分子ポリマーのいずれかの固体電解質部材が使用されることを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。
  27. 所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるアンテナ装置を有した無線通信装置の制御方法であって、
    前記アンテナ装置の制御電極への直流バイアス電圧を設定するステップと、
    設定された前記制御電極への直流バイアス電圧によって構成される無指向性アンテナでキャリアセンスを行うステップと、
    前記キャリアセンス及び相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして前記制御電極への直流バイアス電圧をフィードバック設定するステップと、
    フィードバック設定された前記制御電極への直流バイアス電圧によって構成されるアンテナの指向性・無指向性・放射偏波・放射方向を適応的に切り換えるステップを有することを特徴とする無線通信装置の制御方法。
  28. 前記無線通信条件には、
    伝送速度、スループット、BER、PER、RSSI又は/及びEb/N0が含まれることを特徴とする請求項27に記載の無線通信装置の制御方法。
  29. 所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるアンテナ装置を有した無線通信装置用のプログラムであって、
    前記アンテナ装置の制御電極への直流バイアス電圧を設定するステップと、
    設定された前記制御電極への直流バイアス電圧によって構成される無指向性アンテナでキャリアセンスを行うステップと、
    前記キャリアセンス及び相手方の無線通信装置との無線通信条件を指標にして前記制御電極への直流バイアス電圧をフィードバック設定するステップと、
    フィードバック設定された前記制御電極への直流バイアス電圧によって構成されるアンテナの指向性・無指向性・放射偏波・放射方向を適応的に切り換えるステップを有することを特徴とするコンピュータ処理可能なプログラム。
  30. 所定の長さを有して誘電性の基板上に配置された半導電性のアンテナ素子構成部の制御電極に供給する直流バイアス電圧を制御して当該アンテナ素子構成部を絶縁性又は/及び導電性に切り換えるアンテナ装置を有した無線通信装置用の制御プログラムを記述した記録媒体であって、
    請求項29に記載のプログラムを記述して構成されることを特徴とするコンピュータ処理可能なプログラムの記録媒体。
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