JP3988722B2 - アンテナ装置、無線装置および電子機器 - Google Patents

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Description

この発明は、複数のアンテナを備えたアンテナ装置、無線装置および電子機器に関する。
近年、無線通信機能は、パーソナルコンピュータ等の情報処理機器や、携帯電話機およびPDA(Personal Digital Assistance)等の通信端末機器ばかりでなく、オーディオ機器、ビデオ機器、カメラ機器、プリンタおよびエンタテイメントロボット等の、各種の民生用電子機器にも搭載されている。更に、無線通信機能は、無線LAN(Local Area Network)用のアクセスポイント、小型のアクセサリカードなどにも搭載されるようになっている。アクセサリカードは、ストレージ機能と無線通信機能とを備えた無線カードモジュールであり、この無線カードモジュールとしては、例えば、PCMCIA仕様(Personal Computer Memory Card International Association)カード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、ミニPCI(Peripheral Component Interconnection)カード等が知られている。
このように無線通信機能が様々な機器に搭載されるのに伴って、電波を送受信するアンテナに関しても、様々な形態・特性を有するものが要求されるようになっている。この要求の一つとして、周波数の広帯域化・多周波化に対応する、ということが挙げられる。
例えば、無線LANで使用されている5GHz帯においては、現行の5.15〜5.35GHzといった帯域から4.9GHz帯、5.8GHz帯にも対応することが要求される。また、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/gに対応するには、2.4〜2.5GHzと5.15〜5.35GHzとの両帯域をカバーすることが要求される。さらに、最近注目を集めているウルトラワイドバンド(UWB)では、3.1GHz〜10.6GHzの広帯域に対応することが必要である。さらにまた、地上波デジタル放送のUHF帯(400〜800MHz)や、高速広帯域ミリ波通信システム(25GHz帯、60GHz帯等)が今後複合される可能性もある。
従来、複数の周波数に対応する方法としては、(1)主たる共振に加えて副共振を行わせるようにアンテナを設計する方法、(2)一共振で周波数帯域をブロードにする方法が提案されている。これらの方法のうちで(1)の方法は、市販されている多くのアンテナに採用されている。
しかしながら、これらの方法は、以下のような問題を有している。すなわち、(1)の方法では、複数の帯域のうちいずれかにおいて、"リターンロス特性が悪化する"、"周波数帯域が狭くなる"、といった特性の犠牲を招いてしまう、という問題がある。一方、(2)の方法では、適応帯域と利得の間には反比例の関係があるため、一つのアンテナでむやみに帯域を広げると、利得の犠牲を招いてしまう、という問題がある。
そこで、周波数の広帯域化に対応する理想的な方法として、必要とされる各々の周波数帯域に対応した複数のアンテナを機器に搭載することが検討されている(例えば、特許文献1)。
図17は、複数のアンテナパターンを備えたアンテナ基板の一例を示す。図17Aは、アンテナ基板101の一主面S3を示す平面図である。図17Bは、アンテナ基板101の他主面S4を示す平面図である。図17Aおよび17Bに示すように、プリント基板101の一主面S3には、第1のアンテナパターン102aが設けられ、プリント基板101の他主面S4には、第2のアンテナパターン102bが設けられている。第1のアンテナパターン102aは、例えば4.9〜5.35GHzの帯域に対応するアンテナパターン、2.4〜2.5GHzの帯域に対応するアンテナパターンまたは、400〜800MHzの帯域に対応するDTV(Digital Television)用アンテナパターンである。第2のアンテナパターン102bは、5.35GHz〜5.8GHzの帯域に対応するアンテナパターンまたは、ミリ波帯に対応するアンテナパターンである。
特開2002−92576号公報
しかしながら、複数のアンテナパターンを近接させて機器に搭載すると、それぞれのアンテナパターンが干渉して特性の劣化を招いてしまう、という問題が生じる。そこで、この問題を回避するために、十分なクリヤランスエリヤを設けて複数のアンテナパターンを設けると、機器の大型化を招いてしまう、という問題が生じる。
例えば、図17に示したアンテナ基板101では、アンテナ基板101を薄型化(例えば、1mm以下)すると、両主面に設けられた第1および第2のアンテナパターン102a,102bの干渉が大きく、特性が劣化してしまう。このため、図18に示すように、第1および第2のアンテナパターン102a,102bを十分なクリヤランスエリヤを設けてアンテナ基板101に設けなければならなくなる。
上述のように複数のアンテナを機器に搭載する方法は、機器の大型化を招いてしまうため、無線機能を様々なコンスーマ機器に搭載する今日の傾向には適せず、実際の機器にはほとんど採用されていないのが現状である。
したがって、この発明の目的は、複数のアンテナパターンを近接して設けることができ、且つ、アンテナパターンの干渉による特性の劣化を抑制することができるアンテナ装置、無線装置および電子機器を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明は、固体電解質からなる基材と、
基材上に設けられた、導電性プラスチックからなる複数のアンテナパターンと、
複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加するための複数の電極と
を備え
固体電解質は、導電性プラスチックにドーピングするイオンを含有し、
導電性プラスチックは、固体電解質からのイオンのドーピングにより導電性を示す樹脂となり、固体電解質へのイオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となることを特徴とするアンテナ装置である。
第4の発明は、固体電解質からなる基材と、
基材上に設けられた、導電性プラスチックからなる第1のアンテナパターンおよび第2のアンテナパターンと、
第1のアンテナパターンおよび第2のアンテナパターンとの間に直流電圧を印加するための第1の電極および第2の電極とを備え、
第1の電極は、第1のアンテナパターン上に形成され、第2の電極は、第2のアンテナパターン上に形成され
固体電解質は、導電性プラスチックにドーピングするイオンを含有し、
導電性プラスチックは、固体電解質からのイオンのドーピングにより導電性を示す樹脂となり、固体電解質へのイオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となることを特徴とするアンテナ装置である。
第1の発明では、基材がセパレータをさらに備え、セパレータの両面に固体電解質からなる固体電解質層を形成することが好ましい。複数のアンテナパターンが、典型的には、それぞれ異なる周波数帯域に対応する。複数のアンテナパターンが、典型的には、線状パターンである。
第1の発明では、基材が、典型的には、平板状の形状を有する基板である。複数のアンテナパターンが、典型的には、基板の一主面または両主面に設けられている。複数のアンテナパターンが基板の一主面に形成されている場合には、金属からなる地板を基板の他主面にさらに備えることが好ましい。金属からなる地板を基板の他主面にさらに備える場合には、複数のアンテナパターンは、典型的には、平面パターンである。
第1の発明によれば、固体電解質上に形成された複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加することにより、一方の電位の側にあるアンテナパターンに基材からイオンをドーピングし、他方の電位の側にあるアンテナパターンから基材にイオンを脱ドーピングすることができる。すなわち、アンテナパターン間の電位差を利用して、一方の電位の側にあるアンテナパターンを導電体にし、他方の電位の側にあるアンテナパターンを絶縁体にすることができる。
第2の発明は、機器本体に接続することにより、機器本体に無線機能を付加する無線装置において、
固体電解質からなる基材と、
基材上に設けられた、導電性プラスチックからなる複数のアンテナパターンと、
複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加するための複数の電極と、
複数の電極を介して複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加する際に、直流電圧の一方の電位となるアンテナパターンと、他方の電位となるアンテナパターンとを選択するスイッチと
を備え
固体電解質は、導電性プラスチックにドーピングするイオンを含有し、
導電性プラスチックは、固体電解質からのイオンのドーピングにより導電性を示す樹脂となり、固体電解質へのイオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となることを特徴とすることを特徴とする無線装置である。
第2の発明では、基材がセパレータをさらに備え、セパレータの両面に固体電解質からなる固体電解質層を形成することが好ましい。複数のアンテナパターンが、典型的には、それぞれ異なる周波数帯域に対応する。複数のアンテナパターンが、典型的には、線状パターンである。
第2の発明では、基材が、典型的には、平板状の形状を有する基板である。複数のアンテナパターンが、典型的には、基板の一主面または両主面に設けられている。複数のアンテナパターンが基板の一主面に形成されている場合には、金属からなる地板を基板の他主面にさらに備えることが好ましい。金属からなる地板を基板の他主面にさらに備える場合には、複数のアンテナパターンは、典型的には、平面パターンである。
第2の発明によれば、固体電解質上に形成された複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加することにより、一方の電位の側にあるアンテナパターンに基材からイオンをドーピングし、他方の電位の側にあるアンテナパターンから基材にイオンを脱ドーピングすることができる。すなわち、アンテナパターン間の電位差を利用して、一方の電位の側にあるアンテナパターンを導電体にし、他方の電位の側にあるアンテナパターンを絶縁体にすることができる。
第3の発明は、情報を送受信するための無線通信機能を有する電子機器において、
固体電解質からなる基材と、
基材上に設けられた、導電性プラスチックからなる複数のアンテナパターンと、
複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加するための電圧源と、
複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加する際に、直流電圧の一方の電位となるアンテナパターンと、他方の電位となるアンテナパターンとを選択するスイッチと
を備え、
固体電解質は、導電性プラスチックにドーピングするイオンを含有し、
導電性プラスチックは、固体電解質からのイオンのドーピングにより導電性を示す樹脂となり、固体電解質へのイオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となることを特徴とすることを特徴とする電子機器である。
第3の発明では、基材がセパレータをさらに備え、セパレータの両面に固体電解質からなる固体電解質層を形成することが好ましい。複数のアンテナパターンが、典型的には、それぞれ異なる周波数帯域に対応する。複数のアンテナパターンが、典型的には、線状パターンである。
第3の発明では、基材が、典型的には、平板状の形状を有する基板である。複数のアンテナパターンが、典型的には、基板の一主面または両主面に設けられている。複数のアンテナパターンが基板の一主面に形成されている場合には、金属からなる地板を基板の他主面にさらに備えることが好ましい。金属からなる地板を基板の他主面にさらに備える場合には、複数のアンテナパターンは、典型的には、平面パターンである。
第3の発明によれば、固体電解質上に形成された複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加することにより、一方の電位の側にあるアンテナパターンに基材からイオンをドーピングし、他方の電位の側にあるアンテナパターンから基材にイオンを脱ドーピングすることができる。すなわち、アンテナパターン間の電位差を利用して、一方の電位の側にあるアンテナパターンを導電体にし、他方の電位の側にあるアンテナパターンを絶縁体にすることができる。
以上説明したように、この発明によれば、固体電解質上に形成された複数のアンテナパターンに直流電圧を印加することにより、一方の電位の側にあるアンテナパターンに基材からイオンをドーピングし、他方の電位の側にあるアンテナパターンから基材にイオンを脱ドーピングすることができる。すなわち、アンテナパターン間の電位差を利用して、一方の電位の側にあるアンテナパターンを導電体にし、他方の電位の側にあるアンテナパターンを絶縁体にすることができる。これにより、複数のアンテナが近接して設置されている場合にも、アンテナの干渉による特性の劣化を抑制することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1は、この発明の第1の実施形態による無線装置1を装着する電子機器の一例を示す。無線装置1は、無線装置本体3と、この無線装置本体3の一端に備えられたアンテナ装置2とからなる。この無線装置1は、例えば、ストレージ機能と無線通信機能とを備えた無線カードモジュールである。この無線カードモジュールとして、例えば、PCMCIA仕様カード、コンパクトフラッシュカード、ミニPCIカードなどが挙げられる。
この無線装置1は、パーソナルコンピュータなどの電子機器11に設けられたスロット12に着脱自在の構成を有する。具体的には、図1に示すように、無線装置1は、アンテナ装置2を搭載した無線装置本体3の一端部を外部に突出させるようにしてスロット12に装填される。これにより、電子機器11に所定の拡張機能や無線通信機能が付加される。また、無線装置1はストレージ機能を有しており、電子機器11との間でデータ等の授受も行われる。
図2は、筐体内に備えられた無線装置1の一例を示す斜視図である。図2に示すように、無線装置本体3は、主として、面方向からみると矩形状を有する本体基板31と、この矩形の一方の短辺側に備えられた接続端子32と、中央部に備えられた回路部33とからなる。接続端子32は、例えば、PCMCIA規格準拠のコネクタ部である。この接続端子32を装着側として、無線装置1を電子機器11のスロット12に差し込むことにより、接続端子32と、スロット12の内部に設けた接続端子とが接続されて、電子機器11に無線機能が付加される。回路部33には、例えば、アンテナ制御回路、信号処理回路、ストレージ機能用メモリ素子などが備えられている。
アンテナ装置2は、主として、平板状のアンテナ基板21と、このアンテナ基板21の両主面に設けられた複数のアンテナパターン22とを備える。アンテナ装置2は、接続端子32とは反対側の短辺側に備えられている。このアンテナ装置2は、面方向からみると矩形状の形状を有し、この矩形の長辺は本体基板31の幅よりもやや短く、短辺は電子機器11のスロット12の開口形状よりもやや大きな寸法とされる。また、アンテナ装置2は、長辺側に本体基板31と接合するための接合部を有する。
図3Aは、この発明の第1の実施形態によるアンテナ装置2の一主面を示す平面図である。図3Bは、この発明の第1の実施形態によるアンテナ装置2の他主面を示す平面図である。図3Aに示すように、アンテナ基板21の一主面S1にはアンテナパターン22aが設けられ、アンテナ基板21の他主面S2にはアンテナパターン22bが設けられている。アンテナ基板21の接合部側のアンテナパターン22a上には、電極25a,25bが形成され、アンテナ基板21の接合部側のアンテナパターン22b上には、電極26a,26bが形成されている。この電極25a,25b,26a,26bは、例えば、銅などの金属からなる。電極25aおよび26aは、回路部33に備えられた信号処回路と接続され、電極25bおよび26bは、回路部33に備えられたグランドパターンと接続される。
アンテナパターン22a,22bはそれぞれ、異なる周波数帯域に対応している。この周波数帯域としては、例えば、5GHz帯、2.4GHz帯、ミリ波帯、マイクロ波帯およびUHF波帯などが挙げられる。
図4に、アンテナパターン22の一例を示す。アンテナパターン22としては、例えば線状パターンおよび平面パターンなどが挙げられる。線上パターンとしては、例えば、ツェップ型(図4A)、モノポール型(図4B)、ダイポール型(図4C)、逆F型、ミアンダ型などが挙げられる。平面パターンとしては、例えば、マイクロストリップ型アンテナ、PIFA(Planer Inverted F Antenna:平板逆Fアンテナ)などが挙げられる。なお、アンテナパターン22a,22bをモノポール型にする場合には、アンテナ装置2に地板を設けるようにする。また、アンテナパターン22a,22bをダイポール型にする場合には、平衡給電を行うようにする。
図5は、アンテナ基板21の一構成例を示す断面図である。図5に示すように、アンテナ基板21は、電解質層24b上に、セパレータ23、電解質層24aを順次積層して構成される。固体電解質24a,24b上にはそれぞれ、アンテナパターン22a,22bが設けられている。
アンテナパターン22a,22bは、導電性プラスチックから構成される。導電性プラスチックは、イオンのドーピングにより金属のような導電性を示す樹脂となり、イオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となるプラスチックである。この導電性プラスチックとしては、従来公知のものを用いることができ、例えば、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアズレンなどが挙げられる。
このアンテナパターン22a,22bの形成方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。溶解された導電性プラスチックを固体電解質層24a,24b上に所望のアンテナパターンとなるように塗布して硬化する方法、溶解された導電性プラスチックを所望のアンテナパターンに成形して硬化した後、固体電解質層24a,24b上に設ける方法、電解重合により薄膜状の導電性プラスチックを形成し、所望の形状に切り取る、または打ち抜いて固体電解質層24a,24b上に設ける方法などが挙げられる。
また、アンテナパターン22a,22bを固体電解質層24a,24b上に安定して固定することが好ましい。安定して固定する方法としては、アンテナパターン22a,22bを接着剤により固体電解質層24a,24b上に貼り合わせる方法、アンテナパターン22a,22bをシートで覆う方法、固体電解質24a,24b上に予めアンテナパターン22a,22bの形状に応じた凹部を形成し、この凹部にアンテナパターン22a,22bを嵌め合わせる方法、アンテナパターン22a,22bの数点を部材などにより固体電解質24a,24bに固定する方法、またはこれらを組み合わせた方法などが挙げられる。なお、アンテナパターン22a,22bを接着剤により固体電解質層24a,24b上に貼り合わせる場合には、イオンの透過が容易となるように接着剤の厚さを薄くして貼り合わせる、または、接着剤により固体電解質24a,24bとアンテナパターン22a,22bとの間におけるイオンの移動が妨げられないように、アンテナパターン22a,22bと固体電解質24a,24bとを数点で接着することが好ましい。また、部材などによりアンテナパターン22a,22bを固定する場合には、アンテナパターン22a,22bにおいて剥離し易い部分を固定することが好ましい。また、アンテナパターン22a,22bを覆うシートの材料としては、アンテナ22a,22bの電波特性の劣化を招くことなく、かつ、柔軟性を有する材料を用いることが好ましく、例えばポリカーボネート(PC)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリイミドなどが挙げられる。
固体電解質層24a,24bは、面方向からみると矩形状の形状を有する。固体電解質層24a,24bは、導電性プラスチックにドーピングするイオン(ドーパント)を含有している。このイオンは、陽イオンまたは陰イオンである。固体電解質層24a,24bを構成する固体電解質としては、例えば、リチウムイオン電池(リチウムポリマー電池)および燃料電池などの電池において用いられている固体電解質を用いることができる。
固体電解質層24a,24bを構成する固体電解質としては、例えば、無機電解質、高分子電解質又は高分子化合物に電解質を混合して溶解させたゲル状電解質を使用することができる。ゲル状電解質は、例えば、リチウム塩を含む可塑剤と2重量%以上〜30重量%以下のマトリクス高分子からなる。このとき、エステル類、エーテル類、炭酸エステル類などを単独または可塑剤の一成分として用いることができる。
固体電解質24a,24bに用いる高分子材料としては、例えば、シリコンゲル、アクリルゲル、多糖類高分子ポリマー、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変成ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変成ポリマーなどもしくはフッ素系ポリマーとして、たとえばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(ビニリデンフルオロライド-co-テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオロライド-co-トリフルオロエチレン)などおよびこれらの混合物が各種使用できる。
電解塩としては、例えば、リチウム塩およびナトリウム塩などが挙げられる。リチウム塩としては、例えば、通常の電池電解液に用いられるリチウム塩を使用することができ、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
たとえば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩素酸リチウム、過塩素酸リチウム、臭素酸リチウム、ヨウ素酸リチウム、硝酸リチウム、テトラフルオロほう酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、酢酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドリチウム、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC(SO2CF33、LiAlCl4、LiSiF6等を挙げることができる。また、これらリチウム化合物は単独で用いても2以上混合して用いてもよい。
セパレータ23はシート状の形状を有し、面方向から見ると矩形状を有する。このセパレータ23は、固体電解質層24a,24bを分離するためのものであり、例えば、電池において公知のものを用いることができる。このセパレータ23としては、例えばポリプロピレンあるいはポリエチレンなどのポリオレフィン系の材料からなる多孔質膜、セラミック製の材料の不織物などの無機材料よりなる多孔質膜、または、これら2種以上の多孔質膜を積層した膜が挙げられる。なお、アンテナ基板21の強度を考慮すると、セパレータ23を設けることが好ましいが、省略することも可能である。
図6は、この発明の第1の実施形態によるアンテナ装置2を制御するアンテナ装置制御回路の一構成例を示すブロック図である。図6に示すように、このアンテナ装置制御回路は、主として、バイアス回路45,46およびスイッチ42,43,44を備える。なお、スイッチ42が、高周波信号回路ブロック41に接続される。
平板状の形成を有するアンテナ基板21の一主面S1にはアンテナパターン22aが設けられ、他主面S2にはアンテナパターン22bが設けられている。一主面S1に設けられたアンテナ22aが、バイアス回路45を介してスイッチ素子43の端子43aに接続される。このスイッチ素子43の端子43bは、図示を省略した電圧源に接続され、端子43cは接地される。
アンテナ装置2の他主面S2に設けられたアンテナパターン22bが、バイアス回路46を介してスイッチ素子44の端子44aに接続される。このスイッチ素子44の端子44bが、図示を省略した電圧源に接続され、端子44cが接地される。
アンテナ装置2の一主面S1に設けられたアンテナパターン22aが、スイッチ素子42の端子42bに接続され、アンテナ装置2の他主面S2に設けられたアンテナパターン22bが、スイッチ素子42の端子42cに接続される。スイッチ素子42の端子42aが、高周波回路ブロック41に接続される。
例えば、端子43bと端子44cとの間に直流電圧VDCが印加され、端子44bと端子43cとの間に直流電圧VDCが印加される。具体的には、端子43bと端子44cとの間には、端子43b側(アンテナ22a側)が高電位となるように直流電圧VDCが印加され、端子44bと端子43cとの間には、端子44b側(アンテナ22b側)が高電位となるように直流電圧VDCが印加される。
バイアス回路45,46は、アンテナ装置2に安定して電圧を印加するためのものである。スイッチ素子42は、高周波回路ブロック41をアンテナパターン22aおよび22bのうちいずれか一方に接続するためのものである。スイッチ素子43,44は、アンテナパターン22aおよび22bのうちのどちらを高電位側として直流電圧VDCを印加するかを選択するためのものである。具体的には、端子43aと43bとを接続し、端子44aと44cとを接続することにより、アンテナパターン22aを高電位側として直流電圧VDCがアンテナパターン22a,22b間に印加される。また、端子44aと44bとを接続し、端子43aと43cとを接続することにより、アンテナパターン22bを高電位側として直流電圧VDCがアンテナパターン22a,22b間に印加される。これらのスイッチ素子43,44は、例えば電子機器11から供給される制御信号に基づき制御される。なお、スイッチ素子42,43,44を含めた装置全体を小型化することを考慮すると、スイッチ素子42,43,44としては、半導体スイッチ(スイッチIC(Integrated Circuit))、RF−MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スイッチを使用することが好ましい。
図7は、この発明の第1の実施形態による無線装置1に備えられた信号処理回路の一構成例を示すブロック図である。図7に示すように、この信号処理回路は、ホストインターフェイス(以下、ホストI/F)51と、ベースバンド回路(以下、BB回路)521,522と、高周波信号処回路(以下、RF回路)531,532と、スイッチ素子54,スイッチ素子55とからなる。
ホストI/F51は、電子機器11との通信を可能にするものである。BB回路521,522は、信号の変調・復調などの処理を行う制御回路である。RF回路531,532は、高周波信号を送受信する回路である。ここでは、RF回路531およびBB回路521がアンテナパターン22aに対応した回路であり、RF回路532およびBB回路522がアンテナパターン22bに対応した回路である。例えば、この無線装置1がIEEE802.11a/b/gに対応した装置である場合には、アンテナパターン22a、RF回路531およびBB回路521が、5GHz帯(IEEE802.11a)に対応したアンテナおよび回路であり、アンテナパターン22a、RF回路532およびBB回路522が、2.4GHz帯(IEEE802.11b/g)に対応したアンテナおよび回路である。
スイッチ素子54は、RF回路531および532のうちどちらの回路をスイッチ素子55と接続するかを選択するためのものである。スイッチ素子55は、アンテナ22aおよび22bのうちどちらのアンテナパターンをスイッチ素子54と接続するかを選択するためのものである。
次に、この発明の第1の実施形態による無線装置1の動作について説明する。
図8は、この第1の実施形態による無線装置1の動作の一例を説明するための断面図である。以下、図6および8を参照しながら、この第1の実施形態による無線装置1の動作の一例について説明する。なお、ここでは、アンテナパターン22a,22bにドーピングするイオンが陰イオンである場合を一例として示す。
まず、図6に示すスイッチ素子43の端子43aと端子43bとを接続し、スイッチ素子44の端子44aと端子44cとを接続する。これにより、一主面S1に設けられたアンテナパターン22aが高電位、他主面S2に設けられたアンテナパターン22bが低電位となるように、アンテナ装置2に直流電圧VDCが印加される。すなわち、図8に示すように、直流電流iDCが流れる。
この電圧印加により、図8に示すように、アンテナパターン22bのイオンが固体電解質層24bに移動し、固体電解質層24aのイオンがアンテナパターン22aに移動する。これにより、アンテナパターン22bが絶縁体になるのに対して、アンテナパターン22aが導電体となる。すなわち、イオンがドーピングされたアンテナパターン22aのみがアンテナとして機能することになる。その後、スイッチ素子42の端子42aと端子42bとを接続する。これにより、一主面S1に設けられたアンテナパターン22aに対して、高周波回路ブロック41から高周波信号が供給される。
この発明の第1の実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
アンテナ装置2は、セパレータ23および、このセパレータ23の両側に形成された固体電解質層24a,24bからなるアンテナ基板21と、固体電解質層24a上に形成されたアンテナパターン22aと、固体電解質層24b上に形成されたアンテナパターン22bとを備える。アンテナパターン22a,22bの間に直流電圧VDCを印加すると、アンテナパターン22a,22bのうち一方にイオンをドーピングし、他方からイオンを脱ドーピングすることができる。すなわち、アンテナパターン22a,22b間の電位差を利用して、アンテナパターン22a,22bのうち一方を導電体にし、他方を絶縁体にすることができる。これにより、2本のアンテナパターン22a,22bが近接して設置されているアンテナ装置2において、すなわち、電波シールド特性がなく極めて薄いアンテナ基板21の両側にアンテナパターン22a,22bが設けられたアンテナ装置2において、アンテナパターン22a,22bの干渉による特性の劣化を抑制することができる。よって、アンテナパターン22a,22bを設ける部分の面積を大幅に縮小することができ、且つ、設計の自由度を大幅に高めることができる。
また、固体電解質層24a,24b上に導電性プラスチックからなるアンテナパターン22a,22bを形成し、このアンテナパターン22a,22bを直流電流で能動的に切り替えるため、複数のアンテナパターンを金属で形成した場合と異なり、複数のアンテナパターン22a,22bを近接して形成した場合にも、アンテナパターン22a,22b間の干渉による特性劣化を回避することができる。
また、周波数帯域の異なる複数のアンテナパターン22a,22b、例えばミリ波帯、IEEE802.11a/b/g、DTV(Digital Television)チューナなどに対応した複数のアンテナパターン22a,22bを、特性劣化を招くことなく、かつ、近接して設けることができる。したがって、多周波数帯対応で小型のアンテナ装置2、無線装置1および電子機器を提供することができる。
また、ツェップ、モノポール、ダイポール、パッチなど、様々なタイプのアンテナパターンを、アンテナ基板21の片面または両面に自由に設計することができ、設計の自由度を向上させることができる。
また、アンテナパターン22a,22bは、ポリマーで形成されているので、硬い金属からなるアンテナパターンとは異なり、柔軟性を有する。したがって、アンテナパターン22a,22bをウェアラブル装置に設けることができ、設計の自由度を向上させることができる。
また、スイッチ素子43,44の切換により、アンテナパターン22aおよび22bのうちどちらを機能させるかを選択することができる。また、所望の周波数特性に応じて、アンテナ基板21上に設けられた複数のアンテナパターン22を自由にコントロールすることが可能である。
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
上述の第1の実施形態では、アンテナ基板21の各主面にそれぞれ1つのアンテナパターン22a,22bが設けられている場合を例として示したが、この第2の実施形態では、アンテナ基板21の一主面に2つのアンテナパターン22a,22bが設けられている場合について示す。なお、第2の実施形態では、上述の第1の実施形態と共通または対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、この発明の第2の実施形態によるアンテナ装置の一構成例を示す断面図である。図9に示すように、このアンテナ装置2は、アンテナ基板である固体電解質層24と、この固体電解質層24の一主面S1に設けられたアンテナパターン22a,22bとを備える。
図10は、この発明の第2の実施形態によるアンテナ装置2を制御するアンテナ装置制御回路の一構成例を示すブロック図である。一主面S1に設けられたアンテナパターン22aが、バイアス回路45を介してスイッチ素子43の端子43aに接続されるとともに、スイッチ素子42の端子42bに対して接続される。また、一主面S1に設けられたアンテナパターン22bが、バイアス回路46を介してスイッチ44の端子44aに接続されるとともに、スイッチ素子42の端子42cに対して接続される。
次に、この発明の第2の実施形態による無線装置1の動作について説明する。
図11は、この発明の第2の実施形態による無線装置1の動作の一例を説明するための断面図である。以下、図10および11を参照しながら、この第2の実施形態による無線装置1の動作の一例について説明する。
まず、図10に示すスイッチ素子43の端子43aと端子43bとを接続し、スイッチ素子44の端子44aと端子44cとを接続する。これにより、アンテナパターン22aが高電位、アンテナパターン22bが低電位となるように、アンテナ装置2に直流電圧VDCが印加される。すなわち、図8に示すように、直流電流iDCが流れる。
この電圧印加により、図11に示すように、アンテナパターン22bのイオンが固体電解質層24に移動し、固体電解質層24のイオンがアンテナパターン22aに移動する。これにより、アンテナパターン22bが絶縁体になるのに対して、アンテナパターン22aが導電体となる。すなわち、イオンがドーピングされたアンテナパターン22aのみがアンテナとして機能することになる。その後、スイッチ素子42の端子42aと端子42bとを接続する。これにより、アンテナパターン22aに対して、高周波回路ブロック41から高周波信号が供給される。これ以外のことは、上述の第1の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
この発明の第2の実施形態によれば第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
上述の第2の実施形態では、アンテナ基板21が固体電解質層24のみからなる場合を例として説明したが、この第3の実施形態では、アンテナ基板21が固体電解質層24とこの固体電解質の一主面に形成された地板とからなる場合について説明する。なお、第3の実施形態では、上述の第1の実施形態と共通または対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図12に、この発明の第3の実施形態によるアンテナ装置2の一構成例を示す。図13は、この発明の第3の実施形態によるアンテナ装置2を制御するアンテナ装置制御回路の一構成例を示すブロック図である。図12に示すように、第3の実施形態によるアンテナ装置2は、主として、固体電解質層24と、この固体電解質24の一主面S1に設けられたアンテナパターン22a,22bと、他主面に設けられた地板26とから構成される。アンテナパターン22a,22bとしては、例えば、線状パターンおよび平面パターンが挙げられる。線状パターンとしては、例えば、モノポール型が挙げられる。この平面パターンとしては、例えば、マイクロストリップ型アンテナ、PIFA(Planer Inverted F Antenna:平板逆Fアンテナ)などが挙げられる。アンテナ装置制御回路の構成は、図13に示すように、上述の第2実施形態と同様である。これ以外のことは上述の第2の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
この発明の第3の実施形態によれば第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。上述した第1,2および3の実施形態では、2つのアンテナパターン22a,22bがアンテナ基板21上に設けられている例について示したが、この発明の第4の実施形態では、3以上の複数のアンテナがアンテナ基板21上に設けられている例について説明する。なお、以下では、便宜上、アンテナ基板21の一主面S1、他主面S2にそれぞれ2つのアンテナパターンが設けられている場合を例として示す。なお、第4の実施形態では、上述の第1の実施形態と共通または対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図14は、この発明の第4の実施形態によるアンテナ装置2の一構成例を示す。アンテナパターン22a1,22a2は、アンテナ基板21の一主面S1に配置されている。アンテナパターン22b1,22b2は、アンテナ基板21の他主面S2に配置されている。
図15は、この発明の第4の実施形態によるアンテナ装置1を制御するアンテナ装置制御回路の一構成例を示すブロック図である。なお、図15では、便宜上、アンテナ基板21の図示を省略している。
アンテナパターン22a1,22a2は、アンテナ基板21の一主面S1に設けられている。アンテナパターン22b1,22b2は、アンテナ基板21の他主面S2に設けられている。一主面S1に設けられたアンテナパターン22a1,22a2はそれぞれ、端子61a1,61a2に対して接続される。端子61b1,61b2が接地される。端子61c1,61c2が、高周波回路ブロック41に対して接続される。
他主面S2に設けられたアンテナパターン22b1,22b2はそれぞれ、端子62a1,62a2に対して接続される。端子62b1,62b2が接地される。端子62c1、62c2が、高周波回路ブロック41に対して接続される。端子61c1,61c2,62c1,62c2がバイアス回路45を介して図示を省略した電圧源に接続される。
図16は、この発明の第4の実施形態による無線装置1に備えられた信号処理回路の一構成例を示す。スイッチ素子55は、アンテナパターン22a1,22a2,22b1,22b2のうちどれをスイッチ素子54と接続するかを選択するためのものである。スイッチ素子54は、RF回路531,532,533,534のうちどのブロックをスイッチ素子55と接続するかを選択するためのものである。
RF回路531,532,533,534は、高周波信号を送受信する回路である。BB回路521,522,523,524は、信号の変調・復調などの処理を行う制御回路である。ここでは、RF回路531およびBB回路521がアンテナ22a1に対応した回路、RF回路532およびBB回路522がアンテナ22b1に対応した回路、RF回路533およびBB回路523がアンテナ22a2に対応した回路、RF回路534およびBB回路524がアンテナ22b2に対応した回路である。例えば、アンテナ22a1、RF回路531およびBB回路521が、5GHz帯(IEEE802.11a)に対応したアンテナおよび回路であり、アンテナ22b1、RF回路532およびBB回路522が、2.4GHz帯(IEEE802.11b/g)に対応したアンテナおよび回路であり、アンテナ22a2、RF回路533およびBB回路523が、UHF帯(DTV)に対応したアンテナおよび回路であり、アンテナ22b2、RF回路534およびBB回路524が、MMW(Millimeter wave)帯に対応したアンテナおよび回路である。
次に、この発明の第4の実施形態による無線装置1の動作について説明する。ここでは、アンテナパターン22a1,22a2,22b1,22b2のうち、アンテナパターン22a1のみをアンテナとして機能させる場合を例として説明する。
まず、スイッチ素子611の端子61a1と61c1とを接続し、スイッチ素子612の端子61a2と61b2とを接続し、スイッチ素子621の端子62a1と62b1とを接続し、スイッチ素子622の端子62a2と62b2とを接続する。これにより、アンテナパターン22a1が高電位、アンテナパターン22a2,22b1,22b2が低電位となるように、端子61c1と、端子61b2,62b1および62b2との間に直流電圧VDCが印加される。
この電圧印加により、アンテナパターン22a2,22b1,22b2のイオンが固体電解質層24a,24bに移動し、固体電解質層24aのイオンがアンテナパターン22a1に移動する。これにより、アンテナパターン22a2,22b1,22b2が絶縁体になるのに対して、アンテナパターン22a1が導電体となる。すなわち、イオンがドーピングされたアンテナパターン22a1のみがアンテナとして機能することになる。そして、導電体となったアンテナパターン22a1に対して、高周波回路ブロック41から高周波が供給される。これ以外のことは上述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
この発明の第4の実施形態によれば第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、この発明の第1,2,3および4の実施形態について具体的に説明したが、この発明は上述の第1,2,3および4の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の第1,2,3および4の実施形態において挙げた数値および構成などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値および構成などを用いてもよい。
また、上述の第1,2,3および4の実施形態では、固体電解質が平板状の形状を有する場合を例として示したが、固体電解質の形状はこの形状に限定されるものではない。固体電解質の形状は、例えば、球形状、楕円体状、立方体状および直方体状などの多面体状でもよい。
また、上述の第1,2,3および4の実施形態では、複数のアンテナパターンのうち1つにイオンをドーピングして、1つのアンテナパターンのみをアンテナとして機能させる例について示したが、複数のアンテナパターンのうち2以上のアンテナパターンにイオンをドーピングして、2以上のアンテナパターンをアンテナとして機能させるようにしてもよい。この場合、例えば、複数のアンテナパターンでペアを構成し、それぞれのペアの間ではアンテナ間の干渉がないように距離を離して設けるようにする。
また、上述の第1,2,3および4の実施形態では、パーソナルコンピュータなどの電子機器11に着脱自在に構成された無線装置1に対してこの発明を適用した例について示したが、予め無線通信機能を有する電子機器に対してもこの発明は適用可能であることは言うまでもない。例えば、この発明を無線機能を有する携帯型情報機器に対して適用することができる。この場合、アンテナ装置2は場所を選ばずに設置することができるため、携帯情報機器などの電子機器をより小型化することができる。
また、上述の第1,2,3および4の実施形態におけるアンテナ装置2を、携帯情報端末などの電子機器の表面に貼り付けるようにしてもよい。この場合、従来、アンテナ装置2の設置に要していたスペースを省くことができ、携帯情報端末などの電子機器をより小型化することができる。
また、上述の第1,2,3および4の実施形態では、無線装置1に対してこの発明を適用した例について示したが、ウェアラブル装置に対してこの発明を適用してもよい。
また、上述の第1,2,3および4の実施形態において、アンテナ装置2上にアンテナパターン22を覆う保護層をさらに形成するようにしてもよい。この保護層を構成する材料としては、アンテナパターン22の電波特性の劣化を招くことがない材料が選ばれる。この構成にすることにより、アンテナ装置2の耐久性を向上させることができる。
また、上述の第1,2,3および4の実施形態では、周波数帯域の異なる複数のアンテナパターン22を近接して設ける場合を例として示したが、同じ周波数帯域で、中心周波数をズラした複数のアンテナパターン22を近接して設けて、アンテナ装置2を広帯域化させてもよい。
この発明の第1の実施形態による無線装置を装着する電子機器の一例を示す概略図である。 筐体内に備えられた無線装置1の一例を示す斜視図である。 この発明の第1の実施形態によるアンテナ装置の平面図である。 アンテナパターン22の一例を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態によるアンテナ装置の一構成例を示す断面図である。 この発明の第1の実施形態による無線装置に備えられたアンテナ装置制御回路の一構成例を示すブロック図である。 この発明の第1の実施形態による無線装置に備えられた信号処理回路の一構成例を示すブロック図である。 この発明の第1の実施形態による無線装置の動作の一例を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施形態によるアンテナ装置の一構成例を示す断面図である。 この発明の第2の実施形態による無線装置に備えられたアンテナ装置制御回路の一構成例を示すブロック図である。 この発明の第2の実施形態による無線装置の動作の一例を説明するための断面図である。 この発明の第3の実施形態による無線装置の一構成例を示す断面図である。 この発明の第3の実施形態による無線装置に備えられたアンテナ装置制御回路の一構成例を示すブロック図である。 この発明の第4の実施形態によるアンテナ装置の一構成例を示す電万図である。 この発明の第4の実施形態による無線装置に備えられたアンテナ装置制御回路の一構成例を示すブロック図である。 この発明の第4の実施形態による無線装置に備えられた信号処理回路の一構成例を示すブロック図である。 従来のアンテナ装置を示す略線図である。 従来のアンテナ装置を示す略線図である。
符号の説明
1・・・無線装置、2,101・・・アンテナ装置、3・・・無線装置本体、11・・・電子機器、12・・・スロット、21・・・アンテナ基板、22,102・・・アンテナパターン、23・・・セパレータ、24・・・固体電解質層、25,26・・・電極、31・・・本体基板、32・・・接続端子、33・・・回路部、41・・・高周波回路、42,43,44,54,55,61,62・・・スイッチ素子、45,46・・・バイアス回路、51・・・ホストインターフェイス、52・・・ベースバンド回路、53・・・高周波回路

Claims (28)

  1. 固体電解質からなる基材と、
    上記基材上に設けられた、導電性プラスチックからなる複数のアンテナパターンと、
    上記複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加するための複数の電極と
    を備え
    上記固体電解質は、上記導電性プラスチックにドーピングするイオンを含有し、
    上記導電性プラスチックは、上記固体電解質からのイオンのドーピングにより導電性を示す樹脂となり、上記固体電解質へのイオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 固体電解質からなる基材と、
    上記基材上に設けられた、導電性プラスチックからなる第1のアンテナパターンおよび第2のアンテナパターンと、
    上記第1のアンテナパターンおよび上記第2のアンテナパターンとの間に直流電圧を印加するための第1の電極および第2の電極とを備え、
    上記第1の電極は、上記第1のアンテナパターン上に形成され、上記第2の電極は、上記第2のアンテナパターン上に形成され
    上記固体電解質は、上記導電性プラスチックにドーピングするイオンを含有し、
    上記導電性プラスチックは、上記固体電解質からのイオンのドーピングにより導電性を示す樹脂となり、上記固体電解質へのイオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となることを特徴とするアンテナ装置。
  3. 上記基材がセパレータをさらに備え、
    上記セパレータの両面に、上記固体電解質からなる固体電解質層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  4. 上記複数のアンテナパターンがそれぞれ異なる周波数帯域に対応することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  5. 上記複数のアンテナパターンが線状パターンであることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  6. 上記基材が、平板状の形状を有する基板であることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  7. 上記複数のアンテナパターンが、上記基板の両主面に設けられていることを特徴とする請求項6記載のアンテナ装置。
  8. 上記複数のアンテナパターンが、上記基板の一主面に設けられていることを特徴とすることを特徴とする請求項6記載のアンテナ装置。
  9. 金属からなる地板が上記基板の他主面にさらに備えられていることを特徴とする請求項8記載のアンテナ装置。
  10. 上記複数のアンテナパターンが平面パターンであることを特徴とする請求項9記載のアンテナ装置。
  11. 機器本体に接続することにより、機器本体に無線機能を付加する無線装置において、
    固体電解質からなる基材と、
    上記基材上に設けられた、導電性プラスチックからなる複数のアンテナパターンと、
    上記複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加するための複数の電極と、
    上記複数の電極を介して上記複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加する際に、直流電圧の一方の電位となるアンテナパターンと、他方の電位となるアンテナパターンとを選択するスイッチと
    を備え
    上記固体電解質は、上記導電性プラスチックにドーピングするイオンを含有し、
    上記導電性プラスチックは、上記固体電解質からのイオンのドーピングにより導電性を示す樹脂となり、上記固体電解質へのイオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となることを特徴とすることを特徴とする無線装置。
  12. 上記基材がセパレータをさらに備え、
    上記セパレータの両面に、上記固体電解質からなる固体電解質層が形成されていることを特徴とする請求項11記載の無線装置。
  13. 上記複数のアンテナパターンがそれぞれ異なる周波数帯域に対応することを特徴とする請求項11記載の無線装置。
  14. 上記複数のアンテナパターンが線状パターンであることを特徴とする請求項11記載の無線装置。
  15. 上記基材が、平板状の形状を有する基板であることを特徴とする請求項11記載の無線装置。
  16. 上記複数のアンテナパターンが、上記基板の両主面に設けられていることを特徴とする請求項15記載の無線装置。
  17. 上記複数のアンテナパターンが、上記基板の一主面に設けられていることを特徴とすることを特徴とする請求項15記載の無線装置。
  18. 金属からなる地板が上記基板の他主面にさらに備えられていることを特徴とする請求項17記載の無線装置。
  19. 上記複数のアンテナパターンが平面パターンであることを特徴とする請求項18記載の無線装置。
  20. 情報を送受信するための無線通信機能を有する電子機器において、
    固体電解質からなる基材と、
    上記基材上に設けられた、導電性プラスチックからなる複数のアンテナパターンと、
    上記複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加するための電圧源と、
    上記複数のアンテナパターンの間に直流電圧を印加する際に、直流電圧の一方の電位となるアンテナパターンと、他方の電位となるアンテナパターンとを選択するスイッチと
    を備え、
    上記固体電解質は、上記導電性プラスチックにドーピングするイオンを含有し、
    上記導電性プラスチックは、上記固体電解質からのイオンのドーピングにより導電性を示す樹脂となり、上記固体電解質へのイオンの脱ドーピングにより絶縁性を示す樹脂となることを特徴とすることを特徴とする電子機器。
  21. 上記基材がセパレータをさらに備え、
    上記セパレータの両面に、上記固体電解質からなる固体電解質層が形成されていることを特徴とする請求項20記載の電子機器。
  22. 上記複数のアンテナパターンがそれぞれ異なる周波数帯域に対応することを特徴とする請求項20記載の電子機器。
  23. 上記複数のアンテナパターンが線状パターンであることを特徴とする請求項20記載の電子機器。
  24. 上記基材が、平板状の形状を有する基板であることを特徴とする請求項20記載の電子機器。
  25. 上記複数のアンテナパターンが、上記基板の両主面に設けられていることを特徴とする請求項24記載の電子機器。
  26. 上記複数のアンテナパターンが、上記基板の一主面に設けられていることを特徴とすることを特徴とする請求項24記載の電子機器。
  27. 金属からなる地板が上記基板の他主面にさらに備えられていることを特徴とする請求項26記載の電子機器。
  28. 上記複数のアンテナパターンが平面パターンであることを特徴とする請求項27記載の電子機器。
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