JP2007010435A - マイクロチップの使用方法、マイクロ流路及びマイクロチップ - Google Patents

マイクロチップの使用方法、マイクロ流路及びマイクロチップ Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロ流路の全表面にわたって、親水化などの適切な処理を行うことにより、試料の付着及び気泡の発生等を防止することができ、微量の試料で正確な分析を行うことができるマイクロチップの使用方法、マイクロ流路及びマイクロチップを提供することを目的とする。
【解決手段】試薬を保持する試薬保持部、混合槽、検出部及び前記混合槽と検出部とを連結するマイクロ流路を少なくとも備えるマイクロチップの使用方法であって、試料を前記検出部にて検出する前に、前記試薬又は試薬と試料との混合液によって前記検出部を濡らす工程を含むマイクロチップの使用方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マイクロチップの使用方法、マイクロ流路及びマイクロチップに関し、生体物質を分離、混合、検出するために利用されるマイクロ流路及びこれを備えたマイクロチップの使用方法、マイクロ流路及びマイクロチップに関する。
近年、医療等の分野で、血液などの生体物質を、数センチの大きさの基板上で分離、反応、混合、測定及び検出等するLab on Chipと呼ばれる技術が注目されている。このチップには数nmから数mmのマイクロ流路が設けられており、その流路内で、微量の試料の移動、反応及び測定などが実現される。よって、短時間で、簡便に、種々の測定、検出等を行うことができる。
しかし、通常、試料にはタンパク質、油脂などが含まれているためマイクロ流路の壁面にこれらが付着することがある。また、試料の操作中の温度変化に起因して気泡が発生することがあり、この気泡により試料自体の流れを阻害したり、検出系を妨害するなどして、正確な測定を行うことができないという問題がある。
これに対して、マイクロ流路の壁面を親水化処理する方法がある。例えば、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの表面処理、成形材料への親水性物質の練り込みがよく知られている。
しかし、表面処理では、親水化の程度が弱く、工程数の増加によってマイクロチップの生産性が低下する。また、親水性物質の練り込みでは、マイクロチップ自体が脆くなるなど物性が低下したり、マイクロチップから親水性物質が流失したり、部分的な親水化ができないなどの問題がある。
そこで、未硬化のエネルギー線硬化樹脂成形物の表面に親水性の重合性化合物をグラフト重合させ、表面を親水化させる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この方法では、マイクロ流路に親水性を付与するとともに、マイクロチップからの親水性物質の流失等を防止することを意図している。
特開平10−53658号公報
しかし、このような親水化方法では、親水性重合性樹脂の塗布、硬化のためのエネルギー照射、未硬化樹脂の除去という工程を経なければならず、製造工程が煩雑化する。また、光を照射して樹脂を硬化させるため、マイクロ流路の側壁など、光照射しにくい部分への適用は困難である。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、マイクロ流路の全表面にわたって、簡便な親水化などの適切な処理を行うことにより、試料の付着及び気泡の発生等を防止することができ、微量の試料で正確な分析を行うことができるマイクロチップの使用方法、マイクロ流路及びマイクロチップを提供することを目的とする。
本発明のマイクロチップの使用方法は、試薬を保持する試薬保持部、混合槽、検出部及び前記混合槽と検出部とを連結するマイクロ流路を少なくとも備えるマイクロチップの使用方法であって、試料を前記検出部にて検出する前に、前記試薬又は試薬と試料との混合液によって前記検出部を濡らす工程を含むことを特徴とする。
このような構成により、従来のように、マイクロチップの製造時に、それ自体に特別な親水化処理を行う必要がなく、マイクロチップの生産性の低下を防止することができるとともに、親水化処置に伴うマイクロチップの物性を損なうことなく、処理に用いられた添加剤や処理剤等のマイクロチップ内又は測定対象となる試料又は試薬等への混入を防止することができる。また、マイクロチップに導入された試料又は試薬を検出部に通すことにより、検出部における濡れた状態で、試薬及び試料の混合液の接触角が0〜10°程度と非常に小さい接触角を確保することができ、検出部の形状や寸法による制限がなくなり、検出部の上面、側面、底面のすべての内表面を、同時に、均一かつ確実に親水化することができる。さらに、検出部のみに液体を流すことで、特定の部分にのみ親水化処理を行うことができるため、任意の部分で、親水性及び疎水性の仕分けが可能になる。また、上述したように接触角を小さくすることで、検出部表面へのタンパク質及び油脂等の物質の吸着を有効に抑えることができる。しかも、同時に、検出部表面での微細な凹凸によるエアーポケットの発生を抑制することができ、その結果、エアーポケットを成長核とする気泡の発生を抑えることができ、微量の試料でのより正確な分析を実現することができる。
本発明のマイクロチップの使用方法では、(1)マイクロチップが、さらに計量部を備えており、さらに、(a)試料を計量する工程、(b)計量された試料を試薬と混合する工程、(c)試料を試薬との混合液を、検出部に通して検出部を濡らす工程、(d)混合液を、すでに濡れた検出部に導入して試料の検出を行う工程を含む。これにより、上述した効果をより確実に実現することができる。
また、マイクロチップが、さらに試料導入口及び分離部を備えており、さらに、(aa)導入された試料を遠心分離する工程を含む。これにより、導入した試料中の測定対象物質のみを簡便に取り出して、測定することができ、より正確な検出を可能にする。
さらに、(bb)試薬を、検出部に通して検出部を濡らす工程を含む。これにより、固形物等が含まれない試薬等で検出部を濡らすことができるために、試料中に固形物等が含有されている場合でも、より固形物等の検出部への付着等を防止するとともに、混合液の接触角をより低減することができる。
また、本発明のマイクロチップの使用方法では、少なくとも1つの工程を遠心力を利用して行う。これにより、上述したような検出部を濡らす工程を非常に簡便かつ迅速に、さらに確実に行うことができる。
特に、(b)混合を、所定方向の力を利用して行い、(a)計量、(c)検出部の濡らし及び(d)検出部への導入を、前記所定方向とは異なる方向の力を利用して行うか、あるいは、(b)混合、(c)検出部の濡らし及び(d)検出部への導入を、所定方向の力を利用して行い、(a)計量を、前記所定方向とは異なる方向の力を利用して行うか、あるいは、さらに(aa)遠心分離を所定方向の力を利用して行うことが好ましい。これにより、検出部を濡らす工程と、他の工程とを、適切な時点において適切に行うことができる。
さらに、(a)計量と、(bb)検出部の濡らしとを同時に行うか、あるいは、(b)混合と、(bb)検出部の濡らしとを同時に行う。これにより、検出部を濡らすために別途の工程を行う必要がなく、より簡便かつ迅速に検出部の濡らしを実行することができる。
所定方向と異なる方向との間の角度θが0<θ<180°である場合、あるいは、マイクロチップが、計量部、混合槽、マイクロ流路及び検出部をこの順で直列に連結して構成される場合には、使用するマイクロチップの設計が容易であり、一連工程をスムーズの行うことが可能となる。
また、マイクロチップが、混合槽の上流もしくは混合槽内又は検出部の下流に、少なくとも1つ試薬保持部を配置して構成される場合には、試薬と試料との混合を容易かつ確実に行いながら、適時に検出部の濡らし工程を実行することができ、有利である。
さらに、本発明のマイクロチップの使用方法においては、(1)マイクロチップが、所定方向の力によって、計量された試料及び/又は試薬が混合槽に移動し、所定方向とは異なる方向の力によって、試料及び/又は試薬が混合槽からマイクロ流路を通って検出部に移動するように、計量部、混合槽、マイクロ流路及び検出部が配置されて構成されるか、(2)マイクロチップが、さらに、第2混合槽を有しており、所定方向とは異なる方向の力により、計量された試料及び/又は試薬が混合槽に移動して混合液を構成し、所定方向の力により、混合液が第2混合槽に移動し、さらに所定方向とは異なる方向の力により、混合液が第2混合槽からマイクロ流路を通って検出部に移動するように、計量部、混合槽、第2混合槽、マイクロ流路及び検出部が配置されて構成されるか、(3)マイクロチップが、さらに、計量部と混合槽との双方に連結される分離部を有しており、所定方向とは異なる方向の力により、試料が前記分離部から計量部に移動するが、混合槽には移動しないように、分離部、計量部及び混合槽が配置されて構成されるか、(4)混合槽が、計量部に対して所定方向に配置されて構成されるか、(5)検出部が、混合槽に対して所定方向に配置されて構成される場合には、上述した効果をより確実に実現することができる。
特に、検出部が、混合槽に対して所定方向とは異なる方向に配置され、検出部に連結されたマイクロ流路が、混合槽と検出部とを連結し、マイクロ流路の混合槽から検出部に至る向きが、該マイクロ流路の全長において、第1方向に対して、−90°より大きく、+90°未満となるように配置されてなる場合には、マイクロチップに一方向の力を負荷するという簡便な方法により、検出部全体を確実に濡らすことができる。
また、本発明のマイクロ流路は、マイクロチップに形成され、混合槽と検出部とを連結するマイクロ流路であって、マイクロ流路の混合槽から検出部に至る向きが、該マイクロ流路の全長において、所定方向に対して、−90°より大きく、+90°未満となる形状に形成されてなることを特徴とする。
このようなマイクロ流路を備えることにより、このマイクロ流路に所定の一方向の力を負荷するという簡便な手法を利用することにより、液体状の物質を混合槽から検出部にスムーズに移動させることができ、乾いた状態の検出部を濡らすことができ、液体状の物質の検出部内面への接触角を小さくすることが可能となる。その結果、検出部で液体状の物質を検出する場合に、気泡が発生したり、固形成分が検出部内面に付着することによる検出の妨害を防止して、正確な測定を行うことができる。さらに、異なる方向の力を負荷することにより、試料及び/又は試薬の検出部における往復を簡便に行うことができることにより、より有利である。
本発明のマイクロチップは、基板に形成された混合槽、検出部及び前記混合槽と検出部とを連結するマイクロ流路を少なくとも備えるマイクロチップであって、前記検出部が混合槽に対して所定方向に配置され、かつ、前記マイクロ流路の混合槽から検出部に至る向きが、マイクロ流路の全長において、前記所定方向に対して、−90°より大きく、+90°未満となる形状に形成されてなることを特徴とする。
これにより、上述したように、マイクロチップに一方向の力を負荷するという簡便な方法により、検出部全体を確実に濡らすことができるとともに、さらに異なる方向の力を負荷することにより、試料及び/又は試薬の検出部における往復を簡便に行うことができることにより、より有利である。
特に、マイクロチップが、(1)さらに計量部を有しており、
所定方向の力を負荷した際に、計量された試料及び/又は試薬が混合槽に移動し、
所定方向とは異なる方向の力を負荷した際に、試料及び/又は試薬が混合槽からマイクロ流路を通って検出部に移動するように、前記計量部、混合槽、マイクロ流路及び検出部が配置されて構成されるか、(2)さらに、計量部及び第2混合槽を有しており、
所定方向の力を負荷した際、計量された試料及び/又は試薬が混合槽に移動し、
所定方向とは異なる方向の力を負荷した際、該移動した試料及び/又は試薬が第2混合槽に移動し、さらに
所定方向の力を負荷した際、試料及び/又は試薬が第2混合槽からマイクロ流路を通って検出部に移動するように、計量部、混合槽、第2混合槽、マイクロ流路及び検出部が配置されて構成されるか、(3)さらに、混合槽が計量部に対して、所定方向に配置され、かつ検出部が混合槽に対して所定方向とは異なる方向に配置されて構成されるか、(4)さらに、混合槽が計量部に対して所定方向に配置され、前記第2混合槽が混合槽に対して所定方向とは異なる方向に配置され、かつ検出部が第2混合槽に対して所定方向に配置されて構成されるか(5)マイクロチップが、混合槽の上流もしくは混合槽内又は検出部の下流に、少なくとも1つ試薬保持部が配置して構成されるか、(6)マイクロチップが、さらに、分離部を有しており、該分離部は、所定方向とは異なる方向へ力を負荷した際に、試料が前記分離部から計量部に移動するが、混合槽には移動しないように、計量部と混合槽との双方に連結されて構成される場合には、上述したマイクロチップの使用方法を確実に適用することができ、より正確かつ迅速な試料の検出を実現することができる。
本発明によれば、マイクロ流路の大きさにかかわらず、マイクロ流路の全表面にわたって、親水化などの適切な処理を行うことにより、微量のサンプル量であっても、試料の付着及び気泡の発生等を防止することができ、その結果、測定対象である試料の流れが乱されることなく、測定系に対して適切にサンプル導入することによって、正確な分析を行うことができるマイクロチップの使用方法、マイクロ流路及びマイクロチップを提供することを目的とする。
(1)マイクロ流路
本発明のマイクロ流路は、マイクロチップに形成された混合槽と検出部とを連結するものであって、試料及び/又は試薬(好ましくは液体)の通過が可能であるように、二次元及び/又は三次元的に所望の形状で、マイクロチップに形成されている。このマイクロ流路は、混合槽から検出部に至る向きが、マイクロ流路の全長において、所定方向(つまり、予め定められた一方向)に対して、−90°より大きく、+90°未満となる(±90°の範囲内、ただし、−90°及び+90°は除外される、以下同義)形状に形成されてなる。言い換えると、所定方向に向かう力、例えば一方向への遠心力が負荷された場合に、混合槽に収容されている液体状態の物質のほぼ全てが、マイクロ流路を通って確実に検出部に移動されるような形状に形成されてなる。
具体的には、図1(a)に示すようなマイクロチップ10において、混合槽2と検出部3とを連結するマイクロ流路4が、1本の直線形状で形成されている場合には、通常、その直線は、混合槽2と検出部3とを結ぶ最短距離で構成される。従って、所定方向が、図1(a)中、G1に示す方向であるとすると、上述の最短距離であって、かつ混合槽2から検出部3へ向かう方向が、G1に対して、±90°の範囲内であることを意味する。
また、2本以上の直線で形成されている場合には、例えば、図1(b)に示すように、マイクロ流路4の混合槽2から検出部3に至る向き(b1及びb2)が、マイクロ流路4の全長において、所定方向G1に対して、±90°の範囲内に形成されることを意味する。
さらに、図1(c)に示すように、混合槽2と検出部3とを連結するマイクロ流路4が、曲線によって形成されている場合には、混合槽2から検出部3に至るマイクロ流路4の向き(c1〜c4)、つまり、混合槽2から検出部3に至るマイクロ流路4の任意の点における接線が、マイクロ流路4の全長において、所定方向G1に対して、±90°の範囲内に形成されていることを意味する。
このような形状のマイクロ流路、好ましくはこのマイクロ流路を含むマイクロチップにおいて、液体状の物質(試料及び/又は試薬)に、所定の一方向のみへの力を負荷することにより、混合槽から検出部への液体状物質の移動をスムーズに行うことができる。
なお、所定方向に対する力とは異なる任意の方向への力を負荷することにより、検出部に移動した液体物質を混合槽へもどすことができる。これにより、所定の二方向を選択し、順次これらの方向への力を負荷することにより、混合槽−検出部間で液体物質を往復運動させることが可能となる。ここでの任意の方向は、検出部から混合槽に至る向きが、マイクロ流路の全長において、任意の方向に対して、±90°の範囲内となるような方向を含む。
このマイクロ流路の断面(流体の流れ方向に垂直に交わる断面)形状は、例えば、四角形、台形等の多角形及びこれらの角部分が丸みを帯びた形状、円形、だ円形、ドーム形状あるいは左右非対称の不均一形等どのような形状であってもよい。マイクロ流路は微量の液体試料を流すものであり、その目的を適切に果たすのであれば、その大きさ及び長さは特に限定されるものではなく、例えば、断面積が0.0001〜2mm2程度、長さが10〜100mm程度のものが挙げられる。特に、流路の断面積が小さくなるほど、マイクロ流路内での流体の流れ、さらに流体に発生する気泡の影響、固形物の付着等が大きくなるため、マイクロ流路の断面積として、0.0001〜1mm2程度のものに対して本発明は有利である。マイクロ流路は、全長にわたって同じ断面形状及び大きさであってもよいが、部分的に異なる形状及び大きさであってもよい。
マイクロ流路は、例えば、これらを製造する方法に応じて、PET(ポリエチレンテレフタレート、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネイト)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリシロキサン、アリルエステル樹脂、シクロオレフィンポリマー、Siゴムなどの有機化合物あるいは、Si、Si酸化膜、石英、ガラス、セラミック等の無機化合物等のいずれを用いて形成してもよい。また、これらの材料は、透明であってもよいし、カーボンブラック等の顔料等を混入させることにより、半透明、不透明又は遮光性としてもよい。
マイクロ流路は、当該分野で公知の方法を利用することにより、簡便に製造することができる。例えば、所望のマイクロチップ、マイクロ流路に対応する形状を有する金型を準備する。この金型は、機械的加工により形成することができる。次に、この金型に、PETをモールドしてマイクロ流路に対応するパターンが転写された基板を得る。最後に、この基板を、このパターン同士が対向するように、2枚張り合わせることにより、所望の位置にマイクロ流路を備えるマイクロチップを形成することができる。マイクロ流路に対応するパターンを有する基板を一方のみとし、他方を平板基板としてもよい。また、金型を用いたモールディングに代えて、射出成型法あるいはインプリント法等を利用してもよい。さらに、平板基板の一方又は双方に、フォトリソグラフィー工程、機械的加工等を直接施して、マイクロ流路に対応するパターンが転写された基板を得てもよい。
(2)マイクロチップの構成
マイクロチップは、例えば、主として、一方又は双方に凹部による種々の形状のパターンを有する第1基板と第2基板とが、例えば、熱圧着、接着剤等によって、貼り合わせられて構成される。なお、これら基板は、上述した製造方法に準じて形成することができる。
このようなマイクロチップは、医療、食品、創薬等の種々の分野において、DNA、酵素、タンパク質、ウィルス、細胞などの種々の生体物質(試料、主に液体の状態)を、分析、検出、反応、測定等するための基板として利用されるものであり、例えば、臨床分析チップ、環境分析チップ、遺伝子分析チップ(DNAチップ)、たんぱく質分析チップ(プロテオームチップ)、糖鎖チップ、クロマトグラフチップ、細胞解析チップ、製薬スクリーニングチップ等と種々の呼び名で提供されている全てのチップを包含する。
このようなマイクロチップは、少なくとも、混合槽、検出部、上述したような混合槽と検出部とを連結するマイクロ流路を備えており、任意に、その用途に応じて、例えば、試料導入口、排出口及び/又は廃液溜、遠心分離部、計量部、混合槽、試薬保持部、ミキサー等が、それぞれ1つずつ又は複数、それら自体又はそれらを連結させる種々の二次元及び/又は三次元形状の直線的なあるいは屈曲又は湾曲したパターンを有する流路とともに配置されて構成されている。
特に、計量部、混合槽、マイクロ流路及び検出部は、この順で直列に連結して構成されることが好ましい。
混合槽は、通常、試料と試薬とを混合するための空間であって、その大きさは、特に限定されるものではなく、この目的を実現するために十分な大きさを有していることが必要であるが、これらの物質の種類、量などに応じて適宜設定することができる。例えば、10-2〜103mm3程度が挙げられる。また、混合槽の形状は混合目的に適切なものであれば特に限定されるものではなく、平面及び断面形状ともに、例えば、四角形、台形等の多角形及びこれらの角部分が丸みを帯びた形状、円形、だ円形、ドーム形状あるいは左右非対称の不均一形等どのような形状であってもよい。
なお、混合槽は、混合のみならず、その内部に試薬を保持することにより、上述した試薬保持部としての機能を有していてもよく、複数の混合槽が形成されていてもよい。
検出部は、試料を検出するための空間であって、その大きさ及び形状は特に限定されず、例えば、検出方法(手法)、試料及び/又は試薬等の種類及び量等に応じて適宜設定することができる。具体的には、1〜103mm3程度が挙げられる。また、その形状は、混合槽と同様に、種々の形状に設定することができる。
特に、検出部は、光学的方法を用いて検出(分析、測定)することが好ましい。従って、検出部において、試料に光を照射し、その光の通過、反射及び散乱光等を検出し得るように、光の入出射が可能な所定長さの光路を確保することができる形状及び大きさであることが好ましい。検出部は、例えば、長さ1〜50mm程度で、断面積が0.1〜100mm2程度の一定形状を有しているものが利用される。
計量部は、測定(検出)に用いるための試料の量、通常、容量を測定し、所定の量のみを抽出することができる機能を有しているものであり、その容量は、計量部を構成する空間を狭めるか広げることによって調整することができる。計量部での計量は、マイクロチップ内で所定方向に向かう力(例えば、遠心力等)を発生させることにより実行できるような形状に形成されている。
試料導入口、排出口、廃液溜、分離部、試薬保持部、ミキサー等は、当該分野で公知の形状及び機能を確保し得るものから、試料の種類、量、分析手法等に応じて適宜選択又は変更して用いることができる。
本発明のマイクロチップでは、検出部は、混合槽に対して所定方向に配置されている。ここで、「混合槽に対して所定方向に配置される」とは、混合槽から任意の方向に向かう直線に対して、±90°以内の範囲に検出部(全部又は一部であってもよい)が配置されることを意味する。言い換えると、混合槽に対して任意の方向に向かう力、例えば、遠心力が負荷された場合、混合槽に収容されていた液体状の物質の全てが、上述したマイクロ流路を通って検出部に移動するように配置されていることを意味する。
例えば、図2(c)に示すように、任意の方向に向かう直線をg1の方向とする場合には、検出部3は、混合槽2に対してg1方向又はその±90°以内に配置され、図4(d)に示すように、任意の方向に向かう直線をg2の方向とする場合には、検出部3は、混合槽2aに対してg2方向又はその±90°以内に配置される。
計量部は、混合槽が計量部に対して所定方向に配置されるように設定されている。ここでの「所定方向に配置されている」とは、上述した意味と同様である。例えば、「所定方向」が図2(b)に示すように、g2の方向である場合には、混合槽2は計量部8のg2方向に配置される。ただし、この場合、上述した検出部3は、この場合の所定方向とは異なる方向(例えば、g1)に配置されていることが好ましい。いいかえると、第2方向(例えば、g2)への力を負荷した際に、計量された試料等が混合槽2に移動し、かつ、第1方向(例えば、g1)への力を負荷した際に、試料等が混合槽2からマイクロ流路4を通って検出部3に移動するように、計量部8、混合槽2、マイクロ流路4及び検出部3が配置されていることが好ましい。
また、例えば、図4(b)に示すように、混合槽2、2aが2つ配置されている場合には、計量部8は、第1の混合槽2が計量部8に対して所定方向(例えば、図4(b)に示すg2方向)に配置され、かつ第2の混合槽2aが、第1の混合槽2に対して、所定方向とは異なる方向(例えば、g1)に配置されていることが好ましい。いいかえると、第2方向(例えば、g2)への力を負荷した際、計量された試料及び/又は試薬が混合槽2に移動し、かつ、第1方向(例えば、g1)への力を負荷した際、移動した試料及び/又は試薬が第2混合槽2aに移動し、さらに、第2方向の力を負荷した際、試料及び/又は試薬が第2混合槽2aからマイクロ流路4を通って検出部3に移動するように、計量部8、混合槽2、第2混合槽2a、マイクロ流路4及び検出部3が配置されていることが好ましい。
分離部は、試料を分離、好ましくは遠心分離して、比重の差異によって2つ以上に分離することを意図する部位であり、計量部が分離部に対して、第1方向(例えば、g1)側に配置するように設定されている。言い換えると、第1方向へ力を負荷した際に、試料が分離部から計量部に移動するように配置されている。ただし、この際、分離部は、試料が分離部から直接混合槽に移動しないように、計量部と混合槽との双方に連結されて構成されていることが好ましい。
試薬保持部は、混合槽の上流もしくは混合槽内又は検出部の下流に、1つ又は2以上配置していることが好ましい。ここで、「上流」とは、マイクロチップに試料が導入され、試薬等と混合される等して、最終的に試料が検出(分析、測定)される一連の流れにおいて、より初期段階に近い方(つまり、より試料導入口に近い方)を意味する。
(3)マイクロチップの使用方法
通常、マイクロチップは、微量の試料を、より短時間で迅速かつ正確に分析するために、使い捨ての態様で、かつ最小限の工程を行うことにより使用されるものであるが、本発明では、検出部における試料内のタンパク及び油脂等の固形成分の内表面への付着、気泡の発生等を防止するために、マイクロチップ内に導入した試料、試薬又はこれらの混合液を、検出部にて検出する前(好ましくは直前)に、一旦検出部に通して検出部の内表面を濡らし、このように濡れた状態で(完全に乾燥する前に)、再度検出部に被検試料を導入し、検出するというマイクロチップの使用方法である。
本発明の使用方法に用いることができるマイクロチップは、上述したものを好適に使用することができる。
検出部に試料及び/又は試薬を予め通すための手段は、特に限定されず、例えば、ポンプによる吸引又は排出;遠心力;落下、振動又は動揺;等による少なくとも1方向への力等を利用することができる。なかでも、遠心力を用いることが好ましい。
なお、本発明においては、「・・・方向へ向かう力を負荷する」、「・・・方向の力を利用する」というフレーズは、マイクロチップ内に存在する液体を・・・方向へ移動させる力をこの液体に与えることを意味する。また、「遠心力を利用する」とは、「マイクロチップ内又は外に設定される所定の回転軸を中心にマイクロチップを回転させる」と言い換えることができる。
本発明においては、検出前に、液体状物質を検出部に通すものであるが、この液体状物質は、試料であってもよいし、試薬のみであってもよいし、試料と試薬との混合物であってもよい。また、検出部に通すことは、1回のみの往路又は復路としてもよいし、往復するように2回以上通してもよい。なお、液体状物質の検出部への1回の通過は、1回の工程でのみ行うことが適当である。つまり、1方向への力を負荷するという1つの工程により、液状物質の検出部全長にわたる濡れを実現することができる。また、同様に、1方向への力を負荷するという1つの工程により、試料の分離、計量、混合等をそれぞれ行うことができる。
マイクロチップの使用方法の具体例としては、任意に、(aa)導入された試料を遠心分離する工程及び/又は(bb)試薬を、検出部に通して検出部を濡らす工程を含み、さらに、少なくとも(a)試料を計量する工程、(b)計量された試料を試薬と混合する工程、(c)試料を試薬との混合液を、検出部に通して検出部を濡らす工程、(d)混合液を、すでに濡れた検出部に導入して試料の検出する工程を含むが、このうち、(b)混合を、所定方向の力を利用して行い、(a)計量、(c)検出部の濡らし及び(d)検出部への導入を、前記所定方向とは異なる方向の力を利用して行うことが好ましい。
あるいは、(b)混合、(c)検出部の濡らし及び(d)検出部への導入を、所定方向の力を利用して行い、(a)計量を、前記所定方向とは異なる方向の力を利用して行ってもよい。
これらのいずれの場合にも、遠心分離を行う場合には、(aa)遠心分離を、所定方向の力を利用して行うことが好ましい。
また、上述した各工程において、(a)計量は、(bb)検出部の濡らしと同時に行ってもよいし、あるいは、(b)混合を、(bb)検出部の濡らしと同時に行ってもよい。
なお、所定方向と異なる方向との間の角度θは、0<θ<180°とすることができ、60≦θ≦120°程度であることが好ましい。
実施形態1
この実施形態では、図1(a)に示すマイクロチップ10を用いた使用方法を説明する。
まず、マイクロチップ10を準備する。このマイクロチップ10は、試料導入口6、流路9、混合槽2、マイクロ流路4及び検出部3を一連で連結して構成されている。検出部3は、混合槽2に対して、例えば、G1で表す矢印方向側に配置されており、さらに、混合槽2と検出部3とを連結するマイクロ流路4は、マイクロ流路4における全長において、g1方向に対して±90°の範囲内で交差するように、つまり、混合槽2から検出部3へ向かう向き(矢印X)で、θ°の角度の方向(例えば、G1方向の+50°の方向)に向かうように配置されている。
次に、このマイクロチップ10に、被検物質を含む試料及び試薬を、順次、試料導入口6から導入し、流路9に通す。
その後、上述した所定方向とは異なる方向、例えば、所定方向に対して−90°の方向の遠心力(矢印G2)を負荷することにより、つまり、所定の回転軸(例えば、図1(a)中、点B)を中心に回転させることにより、試料及び試薬が流路9を通過して混合槽2に導入され、均一な混合液5aとなる。
次いで、G1方向の遠心力により、混合液5aがマイクロ流路4を通過し、検出部3に入り、検出部3の全内表面を混合液5bで濡らす。
続いて、再度G2の方向の遠心力により、混合液5bが混合槽2に戻る。
最後に、再度G1の方向の遠心力により、混合液5aが検出部に導入され、検出を行うことができる。
このようなマイクロチップの使用方法により、遠心力の負荷またはマイクロチップの回転という簡便な方法により試料をマイクロチップ内で自由に移動、往復させることができる。また、乾いた状態ではなく、予め検出部を試料及び試薬の混合液によって濡らすために、検出時の混合液の導入時に、被検物質(混合液)の濡れ性を大きく、接触角を小さくすることができる。これにより、最初の混合液5bでの検出部3の全内表面の濡らし時には、視認できる約30個の気泡が発生したが、2回目以降の混合液5bの検出部3への導入時には、エアーポケットの発生を防止することができ、検出中に気泡の発生が起こらず、さらに固形成分の付着も起こらずに正確な測定を行うことができた。
なお、上記方法において、G1方向の遠心力により検出部3の全内表面を混合液で濡らした後、G2及びG1方向の遠心力の負荷を2サイクル以上行ってもよい。これにより、試料と試薬との混合をより均一に行うことができる。
実施形態2
まず、図2(a)に示すマイクロチップ20を準備する。このマイクロチップ20は、試料導入口6、分離部7、計量部8、試薬保持部11、第2試薬保持部12、流路9、混合槽2、マイクロ流路4及び検出部3を連結して構成されている。
検出部3は、混合槽2に対して、例えば、遠心力を負荷することを意図した第1方向(例えば、g1で表す矢印方向)側に配置されており、さらに、混合槽2と検出部3とを連結するマイクロ流路4は、マイクロ流路4における全長において、g1方向に対して±90°の範囲内でg1方向と交差するように、つまり、混合槽2から検出部3への向きで、例えば、g1方向の約+60°の方向に向かうように配置されている。
混合槽2は、計量部8に対して、g2で表わす矢印方向(つまり、g1に対して−90°)側に配置されている。
計量部8は、分離部7に対して、g1で表わす矢印方向側に配置されている。計量部8の下流には廃液溜13が配置されている。
分離部7は、試料注入口6に対して、g2で表わす矢印方向側に配置されている。また、分離部7は、g1方向への遠心力によって、分離された試料が分離部7から計量部8に移動するが、混合槽2には移動しないように、計量部8と混合槽2との双方に連結されている。
なお、試薬保持部11及び第2試薬保持部12には、それぞれ異なる試薬16a、第2試薬16bが保持されており、計量部8と混合槽2との間の流路9(つまり、混合槽2の上流)にそれぞれ別々に連結されている。
次に、図2(a)及び図7のステップ1に示すように、このマイクロチップ20に、被検物質を含む試料として血液14を、試料導入口6から導入する。
続いて、図2(b)及び図7のステップ2に示すように、g2方向の遠心力により、分離部7において、血液を血球14aと血漿14bとに遠心分離する。
その後、図2(c)及び図7のステップ3に示すように、分離された血漿14bを、g1方向の遠心力により、計量部8に導入する。この際、計量部8では、血漿14bの所定量が計量部8内に保持され、余分な血漿14bは、廃液溜13に集められ、その結果、血漿14bの所定量が計量される。
次いで、図2(d)及び図7のステップ4に示すように、計量された所定量の血漿14bを、g2方向の遠心力により、混合槽2に導入する。また、これと同時に、試薬保持部11及び第2試薬保持部12に保持されていた試薬16a及び第2試薬16bもそれぞれ混合槽2に導入され、血漿14bと試薬16と第2試薬16bとの混合液15が与えられる。
その後、図2(e)及び図7のステップ5に示すように、g1方向の遠心力により、混合液15がマイクロ流路4を通過し、検出部3に入り、検出部3の全内表面を混合液15で濡らす。
続いて、図2(f)及び図7のステップ6に示すように、再度のg2の方向の遠心力により、混合液15を混合槽2に戻す。
最後に、図2(g)及び図7のステップ7に示すように、再度のg1の方向の遠心力により、混合液15が検出部に導入される。その後、被検物質に光Lを照射し、その透過光を、例えばフォトダイオードのような受光素子によって検出することにより、試料を検出する。
このようなマイクロチップの使用方法により、実施形態1と同様に、検出部の濡れ性を大きく、接触角を小さくすることができ、検出中の気泡の発生及び固形成分の付着を防止して、正確な測定を行うことができる。
なお、上記方法においても、実施形態1と同様に、図2(e)及び図7のステップ5のg1方向の遠心力による検出部の濡らし、図2(f)及び図7のステップ6の再度のg2の方向に遠心力による混合液15の戻しを、2サイクル以上行ってもよい。これにより、試料と試薬との混合をより均一に行うことができる。
実施形態3
まず、図3(a)に示すマイクロチップ30を準備する。このマイクロチップ1は、試薬保持部11及び第2試薬保持部12の形状、混合槽2の上流の連結位置が若干異なる以外、図2(a)のマイクロチップ20と実質的に同様の構成である。
次に、図3(a)及び(b)ならびに図8のステップ1及び2に示すように、マイクロチップ20に、血液14を導入し、g2方向に遠心力を負荷して、分離部7において血漿14bを分離する。この際、試薬保持部11及び第2試薬保持部12に保持されていた各試薬16a、16bがそれぞれ混合槽2に移動し、混合されて混合試薬16を与える。
その後、図3(c)及び図8のステップ3に示すように、血漿14bを、g1方向に遠心力を負荷して、計量部8に導入して計量する。また、これと同時に、混合槽2の混合試薬16がマイクロ流路4を通過し、検出部3に入り、検出部3の全内表面を混合試薬16で濡らす。
次いで、図3(d)及び図8のステップ4、5に示すように、計量された所定量の血漿14bを、g2方向に遠心力を負荷することにより、混合槽2に導入する。また、これと同時に、混合試薬16が混合槽2に戻され、血漿14bと混合試薬16との混合液15が与えられる。
その後、図3(e)から(g)及び図8のステップ6から8に示すように、実施形態2と同様に、検出部の濡らし及びもどしを行って、試料の検出を行う。
このようなマイクロチップの使用方法によっても、実施形態1と同様の効果が得られる。
実施形態4
まず、図4(a)に示すマイクロチップ40を準備する。このマイクロチップ40は、試料導入口6、分離部7、計量部8、試薬保持部11、流路9、混合槽2、第2混合槽2a、マイクロ流路4及び検出部3を連結して構成されている。
検出部3は、第2混合槽2aに対して、遠心力を負荷することを意図した所定方向、例えば、g2で表す矢印方向側に配置されており、さらに、第2混合槽2aと検出部3とを連結するマイクロ流路4は、マイクロ流路4における全長において、g2方向に対して±90°の範囲内で交差するように、つまり、第2混合槽2aから検出部3への向きで、例えば、g2方向の−40°の方向に向かうように配置されている。
第2混合槽2aは、混合槽2に対して、g1で表わす矢印方向(つまり、g2に対して+90°)側に配置されている。また、混合槽2は、計量部8に対して、g2で表わす矢印方向側に配置されている。
計量部8は、分離部7に対して、g1で表わす矢印方向側に配置されている。計量部8の下流には廃液溜13が配置されている。
分離部7は、試料注入口6に対して、g2で表わす矢印方向側に配置されている。また、分離部7は、g1方向への遠心力が負荷された場合、分離された試料が分離部7から計量部8に移動するが、混合槽2には移動しないように、計量部8と混合槽2との双方に連結されている。
試薬保持部11及び第2混合槽2aには、それぞれ異なる試薬16a、第2試薬16bが保持されており、試料保持部11は、計量部8と混合槽2との間の流路9(つまり、混合槽の上流)に連結されている。
次に、図4(a)及び図9のステップ1に示すように、このマイクロチップ40に、血液14を導入する。
続いて、図4(b)及び図9のステップ2に示すように、g2方向に遠心力を負荷して、分離部7において、血液を血球14aと血漿14bとに遠心分離する。これと同時に、第2混合槽2aに保持されていた第2試薬16bがマイクロ流路4を通過し、検出部3に入り、検出部3の全内表面を第2試薬16bで濡らす。
その後、図4(c)及び図9のステップ3に示すように、分離された血漿14bを、g1方向に遠心力を負荷して、計量部8に導入する。これと同時に、第2試薬16bが検出部3から第2混合槽2aに戻る。
次いで、図4(d)及び図9のステップ4に示すように、計量された所定量の血漿14bを、g2方向に遠心力を負荷することにより、混合槽2に導入するとともに、試薬保持部11に保持されていた試薬16も混合槽2に導入され、第1の混合が行われて血漿14bと試薬16aとの第1の混合液15aが与えられる。また、これと同時に、第2混合槽2aに移動した第2試薬16bが、再度マイクロ流路9を通って、検出部3に移動し、検出部3の内表面を濡らす。
その後、図4(e)ならびに図9のステップ5及び6に示すように、g1方向の遠心力を負荷することにより、第2試薬16bが検出部3から第2混合槽2aに戻り、これと同時に、第1の混合液15aが混合槽2から第2混合槽2aに移動して第2の混合が行われ、混合液15を与える。
その後、図4(f)及び図9のステップ7に示すように、g2方向の遠心力を負荷することにより、混合液15がマイクロ流路4を通過し、検出部3に入り、検出部3の全内表面を混合液15で濡らす。
続いて、図4(g)及び図9のステップ8に示すように、再度g1の方向に遠心力を負荷することにより、混合液15を第2混合槽2aに戻す。
最後に、図4(h)及び図9のステップ9に示すように、再度g2の方向に遠心力を負荷することにより、混合液15が検出部3に導入され、検出を行う。
このようなマイクロチップの使用方法により、実施形態1と同様に、検出部の濡れ性を大きく、接触角を小さくすることができ、検出中の気泡の発生及び固形成分の付着を防止して、正確な測定を行うことができる。
実施形態5
まず、図5(a)に示すマイクロチップ50を準備する。このマイクロチップ50は、試料導入口6、分離部7、計量部8、流路9、混合槽2、マイクロ流路4、検出部3及び試薬保持部11を連結して構成されており、試薬保持部11の位置が異なる以外、試料導入口6、分離部7、計量部8、流路9、混合槽2、マイクロ流路4及び検出部3の配置関係は、実質的に実施形態2と同様である。
試薬保持部11は、検出部3の下流であって、かつ、検出部3が試薬保持部11の、例えば、g2で表す矢印方向側に配置されている。
また、試薬保持部11と混合槽2には、それぞれ異なる試薬16a及び第2試薬16bが保持されている。
次に、図5(a)及び図10のステップ1に示すように、マイクロチップ20に、血液14を導入する。
続いて、図5(b)及び図10のステップ2に示すように、g2方向に遠心力を負荷して、分離部7において、血液を血球14aと血漿14bとに遠心分離する。これと同時に、試薬保持部11に保持されていた第2試薬16bが検出部3に導入され、検出部3を濡らし、さらにマイクロ流路4を通って、混合槽2に導入され、試薬16aとあわさって、混合試薬16を与える。
その後、図5(c)及び図10のステップ3に示すように、分離された血漿14bを、g1方向に遠心力を負荷して、計量部8に導入する。これと同時に、混合槽2に導入された試薬16が、マイクロ流路4を通って、検出部3に導入され、検出部3を濡らす。
次いで、図5(d)及び図10のステップ4に示すように、計量された所定量の血漿14bを、g2方向に遠心力を負荷することにより、混合槽2に導入するとともに、検出部3を濡らした混合試薬16を混合槽2に導入し、血漿14bと試薬16と第2試薬16bとの混合液15が与えられる。
その後、図5(e)から(g)及び図10のステップ5から7に示すように、実施形態2と同様に検出を行う。
このようなマイクロチップの使用方法により、実施形態2と同様に、検出部の濡れ性を大きく、接触角を小さくすることができ、検出中の気泡の発生及び固形成分の付着を防止して、正確な測定を行うことができる。
実施形態6
まず、図6(a)に示すマイクロチップ60を準備する。このマイクロチップ60は、試料導入口6、分離部7、試薬保持部11、第2試薬保持部12、計量部8、流路9、混合槽2、ミキサー17及び検出部3を連結して構成されており、試料導入口6、分離部7、計量部8、試薬保持部11、第2試薬保持部12、流路9、混合槽2の位置関係は、実施形態2と実質的に同様である。
検出部3は、混合槽2に対して、所定の方向、例えば、遠心力を負荷することを意図した第1方向、g1で表す矢印方向側に配置されているが、この位置関係でなくてもよい。混合槽2と検出部3とを連結する流路9は、その途中にH型のミキサー17が3つ直列に配置されている。
また、混合槽2の上流、検出部3の下流には、それぞれポンプを接続するためのポンプ孔18a、18bが形成されている。
次に、図6(a)及び図11のステップ1に示すように、マイクロチップ20に、血液14を導入する。
続いて、図6(b)及び図11のステップ2に示すように、g2方向に遠心力を負荷して、分離部7において、血液を血球14aと血漿14bとに遠心分離する。これと同時に、試薬保持部11、第2試薬保持部に保持されていた試薬16a及び第2試薬16bが、混合槽2に導入され、混合試薬16を与える。
その後、図6(c)及び図10のステップ3に示すように、分離された血漿14bを、g1方向に遠心力を負荷して、計量部8に導入する。この際、混合槽2に保持されている試薬16は、H型ミキサー17の存在により、g1方向の遠心力のみによっては検出部3に導入されない。
次いで、図6(d)及び図10のステップ4に示すように、計量された所定量の血漿14bを、g2方向に遠心力を負荷することにより、混合槽2に導入するとともに、混合試薬16と混合され、血漿14bと試薬16aと第2試薬16bとの混合液15が与えられる。
その後、図6(e)及び図10のステップ5に示すように、ポンプ孔18aから吸引することにより、混合液15がH型ミキサー17によって十分混合され、さらに流路9aを通過し、検出部3に入り、検出部3の全内表面を混合液15で濡らす。
続いて、図6(f)及び図10のステップ6に示すように、ポンプ孔18bから吸引することにより、混合液15を混合槽2に戻す。
最後に、図6(g)及び図10のステップ7に示すように、再度ポンプ孔18bから吸引することにより、混合液15が検出部に導入され、検出を行う。
このようなマイクロチップの使用方法により、実施形態2と同様に、検出部の濡れ性を大きく、接触角を小さくすることができ、検出中の気泡の発生及び固形成分の付着を防止して、正確な測定を行うことができる。
本発明は、医療、食品、創薬等の分野で使用される、臨床分析チップ、環境分析チップ、遺伝子分析チップ(DNAチップ)、たんぱく質分析チップ(プロテオームチップ)、糖鎖チップ、クロマトグラフチップ、細胞解析チップ、製薬スクリーニングチップなどと称される気体及び液体等に適用することができる種々の基板に利用することができる。
本発明のマイクロ流路の一実施形態を示す平面図。 本発明のマイクロチップの使用方法を説明するための一連動作を示す平面図である。 本発明の別のマイクロチップの使用方法を説明するための一連の動作を示す平面図である。 本発明のさらに別のマイクロチップの使用方法を説明するための一連の動作を示す平面図である。 本発明のさらに別のマイクロチップの使用方法を説明するための一連の動作を示す平面図である。 本発明のさらに別のマイクロチップの使用方法を説明するための一連の動作を示す平面図である。 図2の一連動作を示すフローチャートである。 図3の一連動作を示すフローチャートである。 図4の一連動作を示すフローチャートである。 図5の一連動作を示すフローチャートである。 図6の一連動作を示すフローチャートである。
符号の説明
10、20、30、40、50、60 マイクロチップ
2 混合槽
2a 第2混合槽
3 検出部
4 マイクロ流路
5a、5b 試料と試薬との混合液
6 試料導入口
7 遠心分離部
8 計量部
9、9a 流路
11 試料保持部
12 第2試料保持部
13 廃液溜
14 血液
14a 血球
14b 血漿
15 混合液
16 混合試薬
16a 試薬
16b 第2試薬
17 ミキサー
18a、18b ポンプ孔


Claims (27)

  1. 基板に形成された試薬を保持する試薬保持部、混合槽、検出部及び前記混合槽と検出部とを連結するマイクロ流路を少なくとも備えるマイクロチップの使用方法であって、試料を前記検出部にて検出する前に、前記試薬又は試薬と試料との混合液によって前記検出部を濡らす工程を含むことを特徴とするマイクロチップの使用方法。
  2. マイクロチップが、さらに計量部を備えており、
    さらに、(a)試料を計量する工程、
    (b)計量された試料を試薬と混合する工程、
    (c)試料を試薬との混合液を、検出部に通して検出部を濡らす工程、
    (d)混合液を、すでに濡れた検出部に導入して試料の検出を行う工程を含む請求項1に記載の方法。
  3. マイクロチップが、さらに試料導入口及び分離部を備えており、
    さらに、(aa)導入された試料を遠心分離する工程を含む請求項2に記載の方法。
  4. さらに、(bb)試薬を、検出部に通して検出部を濡らす工程を含む請求項2又は3に記載の方法。
  5. 少なくとも1つの工程を遠心力を利用して行う請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
  6. (b)混合を、所定方向の力を利用して行い、
    (a)計量、(c)検出部の濡らし及び(d)検出部への導入を、前記所定方向とは異なる方向の力を利用して行う請求項2〜5のいずれか1つに記載の方法。
  7. (b)混合、(c)検出部の濡らし及び(d)検出部への導入を、所定方向の力を利用して行い、
    (a)計量を、前記所定方向とは異なる方向の力を利用して行う請求項2〜5のいずれか1つに記載の方法。
  8. (aa)遠心分離を、所定方向の力を利用して行う請求項3〜7のいずれか1つに記載の方法。
  9. (a)計量と、(bb)検出部の濡らしとを同時に行う請求項4〜8のいずれか1つに記載の方法。
  10. (b)混合と、(bb)検出部の濡らしとを同時に行う請求項4〜8のいずれか1つに記載の方法。
  11. 所定方向と異なる方向との間の角度θが0<θ<180°である請求項6〜10のいずれか1つに記載の方法。
  12. マイクロチップが、計量部、混合槽、マイクロ流路及び検出部をこの順で直列に連結して構成される請求項2〜11のいずれか1つに記載の方法。
  13. マイクロチップが、混合槽の上流もしくは混合槽内又は検出部の下流に、少なくとも1つ試薬保持部を配置して構成される請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
  14. マイクロチップが、所定方向の力によって、計量された試料及び/又は試薬が混合槽に移動し、所定方向とは異なる方向の力によって、試料及び/又は試薬が混合槽からマイクロ流路を通って検出部に移動するように、計量部、混合槽、マイクロ流路及び検出部が配置されて構成される請求項12又は13に記載の方法。
  15. マイクロチップが、さらに、第2混合槽を有しており、所定方向の力により、計量された試料及び/又は試薬が混合槽に移動して混合液を構成し、所定方向とは異なる方向の力により、混合液が第2混合槽に移動し、さらに所定方向の力により、混合液が第2混合槽からマイクロ流路を通って検出部に移動するように、計量部、混合槽、第2混合槽、マイクロ流路及び検出部が配置されて構成される請求項12又は13に記載の方法。
  16. マイクロチップが、さらに、計量部と混合槽との双方に連結される分離部を有しており、所定方向とは異なる方向の力により、試料が前記分離部から計量部に移動するが、混合槽には移動しないように、分離部、計量部及び混合槽が配置されて構成される請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
  17. 混合槽が、計量部に対して所定方向に配置されてなる請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
  18. 検出部が、混合槽に対して所定方向とは異なる方向に配置され、検出部に連結されたマイクロ流路が、混合槽と検出部とを連結し、マイクロ流路の混合槽から検出部に至る向きが、該マイクロ流路の全長において、第1方向に対して、−90°より大きく、+90°未満となるように配置されてなる請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
  19. 検出部が、混合槽に対して所定方向に配置されてなる請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
  20. マイクロチップに形成され、混合槽と検出部とを連結するマイクロ流路であって、マイクロ流路の混合槽から検出部に至る向きが、該マイクロ流路の全長において、所定方向に対して、−90°より大きく、+90°未満となる形状に形成されてなることを特徴とするマイクロ流路。
  21. 基板に形成された混合槽、検出部及び前記混合槽と検出部とを連結するマイクロ流路を少なくとも備えるマイクロチップであって、
    前記検出部が混合槽に対して所定方向に配置され、かつ、
    前記マイクロ流路の混合槽から検出部に至る向きが、マイクロ流路の全長において、前記所定方向に対して、−90°より大きく、+90°未満となる形状に形成されてなることを特徴とするマイクロチップ。
  22. マイクロチップが、さらに計量部を有しており、
    所定方向の力を負荷した際に、計量された試料及び/又は試薬が混合槽に移動し、
    所定方向とは異なる方向の力を負荷した際に、試料及び/又は試薬が混合槽からマイクロ流路を通って検出部に移動するように、前記計量部、混合槽、マイクロ流路及び検出部が配置されて構成される請求項21に記載のマイクロチップ。
  23. マイクロチップが、さらに、計量部及び第2混合槽を有しており、
    所定方向の力を負荷した際、計量された試料及び/又は試薬が混合槽に移動し、
    所定方向とは異なる方向の力を負荷した際、該移動した試料及び/又は試薬が第2混合槽に移動し、さらに
    所定方向の力を負荷した際、試料及び/又は試薬が第2混合槽からマイクロ流路を通って検出部に移動するように、計量部、混合槽、第2混合槽、マイクロ流路及び検出部が配置されて構成される請求項21に記載のマイクロチップ。
  24. さらに、混合槽が計量部に対して、所定方向に配置され、かつ検出部が混合槽に対して所定方向とは異なる方向に配置されて構成される請求項22に記載のマイクロチップ。
  25. さらに、混合槽が計量部に対して所定方向に配置され、前記第2混合槽が混合槽に対して所定方向とは異なる方向に配置され、かつ検出部が第2混合槽に対して所定方向に配置されて構成される請求項23に記載のマイクロチップ。
  26. マイクロチップが、混合槽の上流もしくは混合槽内又は検出部の下流に、少なくとも1つ試薬保持部が配置して構成される請求項21〜25のいずれか1つに記載のマイクロチップ。
  27. マイクロチップが、さらに、分離部を有しており、該分離部は、所定方向とは異なる方向へ力を負荷した際に、試料が前記分離部から計量部に移動するが、混合槽には移動しないように、計量部と混合槽との双方に連結されて構成される請求項21〜26のいずれか1つに記載のマイクロチップ。

























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