JP5172461B2 - マイクロチップ - Google Patents

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Description

本発明は、血液等の生化学検査、化学合成ならびに、環境分析などに好適に使用されるμ−TAS(Micro Total Analysis System)などとして有用なマイクロチップに関する。
近年、医療や健康、食品、創薬などの分野で、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)や酵素、抗原、抗体、タンパク質、ウィルスおよび細胞などの生体物質、ならびに化学物質を検知、検出あるいは定量する重要性が増してきており、それらを簡便に測定できる様々なバイオチップおよびマイクロ化学チップ(以下、これらを総称してマイクロチップと称する。)が提案されている。
マイクロチップはその内部に流体回路を有しており、該流体回路は、たとえば、液体試薬を保持する液体試薬保持部、検査・分析の対象となる検体(血液など)あるいは検体中の特定成分や液体試薬を計量するための計量部、検体(あるいは検体中の特定成分)と液体試薬とを混合する混合部、混合液について検査・分析を行なうための検出部などの各部と、これら各部を適切に接続する微細な流路とから構成することができる。
このような流体回路を有するマイクロチップは、実験室で行なっている一連の実験・分析操作を、数cm角で厚さ数mm〜1cm程度のチップ内で行なえることから、検体および液体試薬が微量で済み、コストが安く、反応速度が速く、ハイスループットな検査ができ、検体を採取した現場で直ちに検査結果を得ることができるなど多くの利点を有し、たとえば血液検査などの生化学検査用として好適に用いられている。
ここで、たとえば血液検査用マイクロチップなどにおいては、血液中の血漿成分を用いて各種検査が行なわれることが多いことから、通常、マイクロチップの流体回路は、流体回路内に導入された血液から、遠心分離により血球成分を取り除き、血漿成分を分離、抽出するための血漿分離部(遠心分離部)を備える。たとえば、血液から血漿と血球とを分離させるには、血球分離フィルターや遠心分離後に抽出するなどの方法がある。
特許文献1には、流体回路内に導入された試料から対象成分を取り出すための遠心分離管を備えるマイクロチップが開示されている。図5〜10は、特許文献1に記載のマイクロチップの動作方法を示す概略工程図である。図5〜10に示されるマイクロチップの流体回路は、試料を流体回路内に導入するための取込口105、取込口105に接続された遠心分離管201、調整管接続部241aおよび溜部241bからなる調整管241、取り出された対象成分を計量するための第1秤量部205、試薬550が内蔵された試薬溜219a、219b、対象成分と試薬550との混合が行なわれる1次混合部217および2次混合部220、ならびに、得られた混合液について検査・分析を行なうための光検出路230から主に構成されており、遠心分離管201は、対象成分以外の成分(非対象成分)を主に収容するための第1保持部203を有している(図5参照)。以下、図5〜10を参照して、このマイクロチップの動作方法の概略を示す。
まず、取込口105から、遠心分離管201と調整管接続部241aとが満たされるように試料500を導入する(図5参照)。次に、第1回転軸310を中心としてマイクロチップを回転させることにより、境界B−B’より遠心分離管201側の試料500を遠心分離管201内で遠心分離する(図6参照)。この際、試料500中の対象成分510以外の非対象成分520は、第1保持部203内に収容される。境界B−B’より調整管241側の試料500は、溜部241bに導入される。また、この第1回転軸310を中心とする回転により、試薬溜219aおよび219bに収容されていた試薬550は、1次混合部217に導入される。
次に、第2回転軸311を中心としてマイクロチップを回転させることにより、遠心分離された対象成分510を遠心分離管201から第1秤量部205に導入する(図7参照)。第1秤量部205から溢れた対象成分510は、第1秤量部205に接続された廃液溜207に導入される。ついで、再度、第1回転軸310を中心としてマイクロチップを回転させることにより、第1秤量部205内の対象成分510を1次混合部217に導入し、試薬550と混合させる(図8参照)。
次に、さらに第1回転軸310を中心としてマイクロチップを回転させることにより、得られた混合物質560を2次混合部220に導入し、さらに混合する(図9参照)。最後に、第2回転軸311を中心としてマイクロチップを回転させることにより、混合物質560を光検出路230に導入する(図10参照)。光検出路230に導入された混合物質560は、光導入口233から光を導入し、光導出口235から取り出された透過光の透過量を測定するなどの光学測定に供されて、検査・分析が行なわれる。
以上のように、特許文献1に記載のマイクロチップによれば、第1回転軸310および第2回転軸311の2つの回転軸を用いてマイクロチップを回転させ、適切な方向の遠心力を印加することにより、試料中の対象成分の抽出、対象成分の計量、試薬との混合などの処理を行なうことが可能である。
しかし、特許文献1に記載のマイクロチップでは、対象成分510を計量するために第2回転軸311を中心としてマイクロチップを回転させた場合や、混合物質560を光検出路230に導入するために第2回転軸311を中心としてマイクロチップを回転させた場合に、第1保持部203内に保持されていた非対象成分520や対象成分510が流出する可能性があった。また、第1回転軸310を中心としてマイクロチップを回転させて、流体回路内に導入された試料500を第1保持部203に導入する際、第1保持部203内に気体(空気)が入り込み、該気体が排出されることなく、残存してしまう可能性があった。
そして、特許文献1に記載のマイクロチップでは、対象成分510よりも比重が高い非対象成分520に対して検査、分析を行なうことができなかった。具体的に、たとえば、マイクロチップを用いて全血を検査、分析を行なう際に、血球を計量し、検査、分析することは困難であった。
国際公開第05/033666号パンフレット
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、比重が異なる第1対象成分および該第1対象成分より比重が大きい第2対象成分が混合している検体、たとえば血漿と血球とが混合している血液において、第1対象成分および第2対象成分を分離し、第2対象成分を精密に計量し、検査、分析等することができるマイクロチップを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者は、検体中の第1対象成分と第2対象成分とを遠心分離により分離するための遠心分離部の形状と、マイクロチップに遠心力を印加する方向に着目し、鋭意研究を重ねた。そして、また、該遠心分離部を形成する壁の形状を調整することで、たとえば、第2対象成分のみを該マイクロチップにおける検査に必要な所定量取り出すことができることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明は、少なくとも、基板表面に設けられた溝を備える第1の基板と、第2の基板とを貼り合わせてなり、溝と第2の基板の第1の基板側表面とで形成される流体回路を内部に有するマイクロチップであって、マイクロチップは、その一表面から流体回路まで貫通する、検体を流体回路内に導入するための検体導入口を有し、流体回路は、マイクロチップに第1の方向に遠心力を印加することで検体を遠心分離により第1対象成分と第1対象成分より比重が大きい第2対象成分とに分離するための遠心分離部を備え、遠心分離部は、マイクロチップに第1の方向に遠心力を印加した後に、第2の方向に遠心力を印加することで、第1対象成分および一部の第2対象成分を除去し、第2対象成分の残部を保持し、マイクロチップに第2の方向に遠心力を印加した後に、第3の方向に遠心力を印加することで、第2対象成分の残部を遠心分離部から流出させる、マイクロチップに関する。
また、本発明のマイクロチップにおいて、遠心分離部は、すぼまった開口部を有するように略U字型の壁から形成された空間からなる第2対象成分のみ収容する収容部を備え、略U字型の壁の一方端には、収容部から離れる方向であって、第2の方向に対して0〜90度になるように延びる誘導壁が接続されていることが好ましい。
また、本発明のマイクロチップにおいて、第1の方向と第2の方向とが形成する内角は、45〜135度であり、第2の方向と第3の方向とが形成する内角は、135〜225度であることが好ましい。
また、本発明のマイクロチップにおいて、誘導壁近傍に、検体を一方向から遠心分離部に導入するための補助壁をさらに有することが好ましい。
また、本発明のマイクロチップにおいて、収容部の平均深さは、他の部分の平均深さより大きいことが好ましい。
また、本発明のマイクロチップにおいて、検体中の第1対象成分と第2対象成分との混合割合によって、検体を導入する量を調整して用いられることが好ましい。
本発明において、検体としては血液を挙げることができ、対象成分としては血漿成分を挙げることができる。この場合、本発明のマイクロチップは、血液検査用として好適に用いることができる。ただし、本発明に係るマイクロチップは、血液だけにとどまらず、比重が異なる物質が混合している検体についても、同様に検出・分析等できる。
本発明のマイクロチップによると、比重が異なる第1対象成分および第2対象成分が混合している検体、たとえば血漿と血球とが混合している血液において、該第1対象成分および第2対象成分を分離し、第2対象成分を精密に計量し、検出・分析等できる。
本発明のマイクロチップは、1つの好ましい態様において、基板表面に溝を備える第1の基板と、第2の基板とを貼り合わせてなる。かかるマイクロチップは、その内部に、第1の基板表面に設けられた溝と第2の基板における第1の基板側表面(第2の基板の貼り合わせ面)とから構成される空洞部からなる流体回路を備える。
また、本発明のマイクロチップは、別の好ましい態様において、第3の基板と、基板の両面に設けられた溝を備える第1の基板と、第2の基板とをこの順で貼り合わせてなる。かかる3枚の基板からなるマイクロチップは、第3の基板における第1の基板側表面(第3の基板の貼り合わせ面)および第1の基板における第3の基板側表面に設けられた溝から構成される第1の流体回路と、第2の基板における第1の基板側表面(第2の基板の貼り合わせ面)および第1の基板における第2の基板側表面に設けられた溝から構成される第2の流体回路と、の2層の流体回路を備えている。ここで、2層とは、マイクロチップの厚み方向に関して異なる2つの位置に流体回路が設けられていることを意味する。第1の流体回路と第2の流体回路とは、第1の基板に形成された厚み方向に貫通する1または2以上の貫通穴によって連結されていてもよい。
本発明のマイクロチップを構成する各基板の材質は、特に制限されず、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート樹脂(PAR)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリメチルペンテン樹脂(PMP)、ポリブタジエン樹脂(PBD)、生分解性ポリマー(BP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの有機材料;シリコン、ガラス、石英などの無機材料等を用いることができる。
第1の基板表面に、流体回路を構成する溝を形成する方法としては、特に制限されず、転写構造を有する金型を用いた射出成形法、インプリント法などを挙げることができる。無機材料を用いて基板を形成する場合には、エッチング法などを用いることができる。
本発明のマイクロチップにおいて、流体回路(2層の流体回路を備える場合には、第1の流体回路および第2の流体回路)は、流体回路内の流体(特には、液体)に対して適切な様々な処理を行なうことができるよう、流体回路内の適切な位置に配置された種々の部位を備えており、これらの部位は、微細な流路を介して適切に接続されている。
本発明のマイクロチップにおいて、流体回路は、上記部位の1つとして、マイクロチップ内に導入された検体を、遠心分離により第1対象成分と第2対象成分とに分離するための遠心分離部を備える。ここで、本明細書中において「検体」とは、流体回路内に導入される検査・分析の対象となる物質(たとえば血液)を意味する。第2対象成分は、マイクロチップ内で調製される、検査・分析に供される試料を構成する検体中の特定成分であり、典型的には、マイクロチップ内にあらかじめ保持されていた液体試薬と混合または反応される検体中の特定成分である。検体が血液である場合、第1対象成分としては、血漿成分を挙げることができ、第2対象成分としては、血球成分を挙げることができる。
本発明のマイクロチップは、検体導入口を有しており、当該検体導入口を通して流体回路内に検体が導入される。検体導入口は、マイクロチップ一表面から流体回路まで貫通する貫通口として構成することができる。具体的には、マイクロチップが上記基板表面に溝を備える第1の基板と第2の基板とから構成される場合、検体導入口は、当該第1の基板を厚み方向に貫通する貫通する貫通口とすることができる。また、マイクロチップが第3の基板と、基板の両面に設けられた溝を備える第1の基板と、第2の基板とをこの順で貼り合わせてなる場合、検体導入口は、当該第3の基板(または第1の基板)を厚み方向に貫通する貫通する貫通口とすることができる。上記遠心分離部は、当該検体導入口と流路を介して接続されており、検体導入口から注入された検体を遠心分離部に導入可能となっている。
本発明において流体回路は、遠心分離部以外の部位を備えていてもよく、かかる部位としては、たとえば液体試薬を保持するための液体試薬保持部、対象成分を計量するための対象成分計量部、液体試薬を計量するための液体試薬計量部、対象成分と液体試薬とを混合するための混合部、得られた混合液(上記した検査・分析に供される試料)についての検査・分析(たとえば、混合液中の特定成分の検出または定量)を行なうための検出部などを挙げることができる。本発明のマイクロチップは、これら例示された部位のすべてを有していてもよく、いずれか1以上を有していなくてもよい。また、これら例示された部位以外の部位を有していてもよい。
なお、「液体試薬」とは、上記対象成分と混合または反応させるための物質(試薬)であり、通常、マイクロチップ使用前にあらかじめ流体回路の液体試薬保持部に内蔵されている。対象成分と液体試薬とを混合させることによって最終的に得られた混合液は、特に限定されないが、たとえば、該混合液が収容された部位(たとえば検出部)に光を照射して透過する光の強度(透過率)を検出する方法等の光学測定などに供され、検査・分析が行なわれる。
検体からの対象成分の抽出(第1対象成分と第2対象成分との分離)、対象成分および/または液体試薬の計量、対象成分と液体試薬との混合、得られた混合液の検出部への導入などのような流体回路内における流体処理は、マイクロチップに対して、適切な方向の遠心力を順次印加することにより行なうことができる。マイクロチップへの遠心力の印加は、典型的には、マイクロチップを、これに遠心力を印加可能な装置(遠心装置)に載置して行なわれる。以下、本発明のマイクロチップを実施の形態を示してより詳細に説明する。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。また、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表してはいない。
図1は、本発明のマイクロチップの好ましい一例を示す概略上面図である。図2は、図1における一部を拡大し、各部を説明するための模式的な上面図である。図3は、図1における一部を拡大し、好ましい寸法を説明するための模式的な上面図である。
以下、図1、図2および図3に基づいて説明する。まず、本実施形態のマイクロチップ100の構造について説明する。本実施形態のマイクロチップ100は、表面上に流体回路を構成する溝および厚み方向に貫通する貫通穴を備えた第1の基板の溝形成側表面に第2の基板を貼り合わせて作製されている。図1は、かかるマイクロチップ100の第1の基板側表面を示す上面図となっている。実際には、流体回路を構成する溝は、第1の基板における図1に示される表面とは反対側表面(第2の基板との貼り合わせ面)に形成されているが、流体回路構造を明確に把握できるよう、溝のパターンを実線で示している。
そして、本実施形態のマイクロチップ100は、その一表面から流体回路まで貫通する、検体を流体回路内に導入するための検体導入口2を有する。そして、該流体回路は、検体を遠心分離により第1対象成分と第2対象成分とに分離するための遠心分離部1を備える。遠心分離部1は、マイクロチップ100に第1の方向に遠心力を印加することで検体を遠心分離により第1対象成分と第1対象成分より比重が大きい第2対象成分とに分離するための構造部分である。本実施形態において、第1の方向とは検体を、遠心分離部1に収容させるための方向であれば、特に限定されず、たとえば検体誘導壁21の平行方向に遠心力をかけることができる。
図2は、図1における遠心分離部1を拡大した上面図である。以下、遠心分離部1の各部について説明する。遠心分離部1は、マイクロチップ100に第1の方向に遠心力を印加した後に、第2の方向に遠心力を印加することで、第1対象成分および一部の第2対象成分を除去し、第2対象成分の残部を保持し、マイクロチップ100に第2の方向に遠心力を印加した後に、第3の方向に遠心力を印加することで、第2対象成分の残部を遠心分離部1から検体誘導壁21の方向に流出させることができる。
そして、本実施形態においては、該第1の方向と該第2の方向とが形成する内角は、45〜135度であり、該第2の方向と該第3の方向とが形成する内角は、135〜225度であることが好ましい。そして、特に、該第1の方向と該第2の方向とが形成する内角は、70〜110度であることが好ましく、該第2の方向と該第3の方向とが形成する内角は、160〜200度であることが好ましい。これは、本発明のマイクロチップの構成において、第1対象成分を収容部から完全に除却し、第2対象成分を液残りなく第3の方向に送ることを考慮する必要があるためである。
ここで、上述の動作を行なうことができるマイクロチップ100の構造について例示を行なう。遠心分離部1は、すぼまった開口部27を有するように略U字型の壁29から形成された空間からなる第2対象成分のみ収容する収容部28を備え、略U字型の壁29の一方端には、収容部28から離れる方向であって、第2の方向に対しての角度θaが0〜90度になるように延びる誘導壁25が接続されている。θaは、30〜60度であることが特に好ましい。また、上述の検体誘導壁21は、略U字型の壁29のもう一方端から直線状に延びていることが好ましい。なお、本明細書においては、略U字型の壁29はハッチングが入っている部分とする。
図2に示す遠心分離部1は、さらに、誘導壁25近傍に、検体を一方向から遠心分離部1に導入するための補助壁22をさらに有することが好ましい。これは、検体を検体誘導壁21のみを伝って収容部28に導入することを促進することができるため、検体を収容部28に導入する際に、空気を該収容部28の底部から押し出すことができるからである。
当該略U字型の壁29は、検体誘導壁21側の一端が直線状であって、誘導壁25側の一端は、ふくらみを有している形状であることが好ましい。そして、すぼまった開口部27は、適宜その形態を調整することができる。そして、該開口部27から誘導壁25と検体誘導壁21とで形成される空間26において第1対象成分と一部の第2対象成分が保持されるように設計することができる。
そして、図2においてL11は、マイクロチップ100の長手方向と平行であり、L11に沿って向かって左方向が図2における第2の方向となる。第2の方向に遠心力を印加することによって、L12のラインで第2対象成分が所定量計量できるように設定されている。本実施形態においては、該L12は、略U字型の壁29と誘導壁25との接点をとおり、L11と垂直方向の直線である。
そして、本実施形態のマイクロチップの内部に形成された流体回路は、遠心分離部1の検体導入部23に接続された、検体を計量するための収容部28、収容部28から溢れた検体を収容するための廃液溜め(図1中位置を示さず)、液体試薬A(図示せず)、および、第2対象成分について検査・分析を行なうための検出部(図1中位置を示さず)から主に構成される。検体導入口2は、第1の基板を厚み方向に貫通する貫通口となっている。
また、検体を導入するための検体導入口23とは別に、余分な第1対象成分と一部の第2対象成分とを流出させるための排出口24を設けることで、検体を遠心分離部1に導入する際、遠心分離部1内の気体(空気)を、排出口24の方向へ逃がすことが可能となる。そして、気体(空気)が遠心分離部1に残存するのを防止することができる。これにより、検体、第1対象成分および第2対象成分の流れがスムーズとなり、各流路における液切れがよくなる。
次に図3に基づいて、遠心分離部1における好ましい寸法について説明する。なお、以下の寸法を採用する際には、マイクロチップ100の寸法は長手方向45〜50mmで、短手方向35〜45mmであるものとする。図3中L1は、略U字型の壁における一番大きな幅の寸法である。L2は、検体誘導壁から誘導壁の末端までの直線距離を示す。L3は排出口の幅を示す。L4は開口部の長手方向の距離を示す。L5は開口部の幅を示す。L6は収容部の長手方向の距離を示す。L7は、検体導入部の幅を示す。そして、θ1は、マイクロチップ100の長手方向であって本実施形態の第2の方向と、検体導入壁とが形成する内角を示す。θ2は、マイクロチップ100の長手方向であって本実施形態の第2の方向と、略U字型の壁の撓み部分とが形成する内角を示す。
遠心分離部1は、たとえば、図3におけるL1は好ましくは、500〜2000μm、より好ましくは1000μm程度であることが好ましい。この寸法によって、略U字型の壁内部に第2対象成分を保持できる利点がある。
L2は好ましくは、2000〜6000μm、より好ましくは4000μm程度であることが好ましい。この寸法によって、マイクロチップ100に導入される検体(全血)を一時的に保持できる量をあらかじめ規定できる利点がある。
L3は好ましくは、1500〜2500μm、より好ましくは2000μm程度であることが好ましい。この寸法によって、補助壁から略U字型の壁内部へ検体を導入する際に、検体の拡散防止の利点がある。
L4は好ましくは、2000〜3000μm、より好ましくは2500μm程度であることが好ましい。この寸法によって、第2の方向に遠心力をかけたときに略U字型の壁内部の第2対象成分を保持できる利点がある。
L5は好ましくは、300〜600μm、より好ましくは500μm程度であることが好ましい。この寸法によって、略U字型の壁内部へ溶液を導入する際に溶液詰りを防止でき、かつ、第2の方向に遠心力を印加したときに第2対象成分の液量誤差を小さくできる利点がある。
L6は好ましくは、2000〜5000μm、より好ましくは3000〜4000μm程度であることが好ましい。L7は好ましくは、50〜2000μm、より好ましくは1000μm程度であることが好ましい。この寸法によって、補助壁から流れる検体が誘導壁を越えて廃液として流れ出ることを防止できる利点がある。
そして、θ1は好ましくは、30〜80度、より好ましくは60度であることが好ましい。この寸法によって、検体誘導壁に沿って検体を導入できる利点がある。そして、θ2は好ましくは、30〜80度、より好ましくは60度であることが好ましい。この寸法によって、略U字型の壁内部へ溶液を導入後、内部に空気(気泡)が残存しない利点がある。ただし、上記は例示であって、特にその形態について限定するものではない。
上記のように、本実施形態かかる構成によれば、遠心分離された収容部28内の第2対象成分を流出するための遠心力(図1における右向きの遠心力)を印加した際、精密に軽量された第2対象成分を得ることができる。
収容部28の形状は、特に制限されるものではないが、収容部28を構成する溝底面(したがって流体回路の深さ)に傾斜を設けて当該傾斜領域より底部側の領域における溝の深さをより深くすることが好ましい。つまり、収容部28の平均深さは、他の部分の平均深さより大きいことが好ましい。このような構成をとることによって、適宜開口部27に第2対象成分の液面がくるように調整することができ、小さい面積で多くの量の第2対象成分を収容することができる。
ここで、図4は、本実施形態におけるマイクロチップの遠心分離について示す模式的な工程図である。以下、図4を参照して該マイクロチップにおける検体の動作について説明する。
まず、図4(a)のように何も検体が導入されていない遠心分離部に対して、矢印31の方向に遠心力を印加することで、図4(a)のように検体(血液)を検体導入部23から導入する。このとき、遠心分離部1によって検査に不必要な量の検体は、排出口24から排出される。該第1の流路は、廃液溜め(図示せず)にも接続されている。そして、図4(a)のように、さらに矢印31の方向に遠心力を印加することで、検体を第1対象成分37と、第2対象成分36とに分離する。
ここで、検体を検体導入部23から開口部を通して収容部に導入する際、遠心分離部1内に存在していた気体(空気)は、排出口24から排出されるため、気体(空気)が遠心分離部1内に残存することはない。また、検体と気体の比重により、気体(空気)が遠心分離部へ残存することもない。
次に、図4(b)のように、矢印32の方向に遠心力を印加することで、本実施形態のマイクロチップによる測定においては不要である第1対象成分37および余分な一部の第2対象成分36のみが排出口24から取り出される。
そして、マイクロチップの動作の一環として図4(c)のように、矢印33の方向に遠心力を印加することで、第2対象成分36の液面を整える工程を備えてもよい。ただし、本工程は、任意に行なうことができる。
そして、最後に、図4(d)のように、本実施形態のマイクロチップに矢印34の方向に遠心力を印加することで、第2対象成分36のみを取り出すことができる。
また、本実施形態においては、検体中の第1対象成分と第2対象成分との混合割合によって、検体を導入する量を調整して用いることが、可能である。したがって、たとえば、略U字型の壁内部に保持できる溶液量が1.0μLであり、血球成分が1.0μL必要な場合、ヘマトクリット値40%の患者の血液は、2.5μLマイクロチップ100に導入されるのに対して、ヘマトクリット値が10%の患者の血液は10μLマイクロチップ100に導入されることを選択をすることができる。このように選択できることで、より少ない全血量で血液検査が可能になる利点を有する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のマイクロチップの好ましい一例を示す概略上面図である。 図1における一部を拡大し、各部を説明するための模式的な上面図である。 図1における一部を拡大し、好ましい寸法を説明するための模式的な上面図である。 本実施形態におけるマイクロチップの遠心分離について示す模式的な工程図である。 特許文献1に記載のマイクロチップの動作方法を示す概略工程図である。 特許文献1に記載のマイクロチップの動作方法を示す概略工程図である。 特許文献1に記載のマイクロチップの動作方法を示す概略工程図である。 特許文献1に記載のマイクロチップの動作方法を示す概略工程図である。 特許文献1に記載のマイクロチップの動作方法を示す概略工程図である。 特許文献1に記載のマイクロチップの動作方法を示す概略工程図である。
符号の説明
1 遠心分離部、2 検体導入口、21 検体誘導壁、22 補助壁、23 検体導入部、24 排出口、25 誘導壁、26 空間、27 開口部、28 収容部、29 略U字型の壁、31,32,33,34 矢印、36 第2対象成分、37 第1対象成分、100 マイクロチップ。

Claims (5)

  1. 少なくとも、基板表面に設けられた溝を備える第1の基板と、第2の基板とを貼り合わせてなり、前記溝と前記第2の基板の前記第1の基板側表面とで形成される流体回路を内部に有するマイクロチップであって、
    前記マイクロチップは、その一表面から前記流体回路まで貫通する、検体を前記流体回路内に導入するための検体導入口を有し、
    前記流体回路は、前記マイクロチップに遠心力を印加することで前記検体を遠心分離により第1対象成分と前記第1対象成分より比重が大きい第2対象成分とに分離し、第2対象成分のみを取り出すための遠心分離部を備え、
    前記遠心分離部は、
    開口を有するように略U字状に湾曲する第1壁と、
    前記第1壁の一端から直線状に延びる第2壁と、
    前記第1壁の他端から直線状に、かつ、前記第2壁が延びる方向に対して垂直な方向から前記第2壁側へ傾斜する方向に延びる第3壁と、
    によって囲まれる空間からなり、
    前記遠心分離部を構成する前記空間は、
    前記第1壁または前記第2壁と、前記第3壁とによって挟まれる空間である第1空間と、
    前記略U字状に湾曲する第1壁の対向する壁によって挟まれる空間であって、前記第1空間と連続する第2空間と、
    前記略U字状に湾曲する第1壁の対向する壁によって挟まれる空間であって、前記第2空間と連続する第3空間と、
    をこの順に有し、
    前記第2空間の幅は、前記第3空間の幅よりも小さい、マイクロチップ。
  2. 前記略U字状に湾曲する第1壁は、前記第2壁が接続される前記一端から、前記開口とは反対側である第1壁の底部まで延びる、前記第2壁と連続する直線状の壁部分を含む、請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記誘導壁近傍に、前記検体を一方向から遠心分離部に導入するための補助壁をさらに有する請求項1または2に記載のマイクロチップ。
  4. 前記第3空間の平均深さは、他の部分の平均深さより大きい請求項1〜のいずれかに記載のマイクロチップ。
  5. 前記検体中の第1対象成分と第2対象成分との混合割合によって、前記検体を導入する量を調整して用いられる請求項1〜のいずれかに記載のマイクロチップ。
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