JP2007009790A - 電動流体ポンプ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 モータ部のステータが流体に接する装置構成であったとしても、流体が外部に漏れ出すことを阻止可能な電動流体ポンプを提供する。
【解決手段】 電動流体ポンプであって、モータ部13は流体に接する位置に配置されるステータ16を有し、コネクタ部11は一端部がステータ16のコイル18と接続され、他端部がコネクタ部11の接続端子40を構成するターミナル部材12を有し、ステータ16及びターミナル部材12を保持するとともに、ターミナル部材12の一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所にターミナル部材12の外周を囲む凹部21a、21bを有するボビン部20と、ボビン部20の凹部21a、21b内に充填された充填材により構成されるシール部22a、22bと、少なくとも凹部21a、21bの開口部39a、39bを閉塞するように形成されるモータハウジング10とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コネクタ部を介して供給される電力により動作するモータ部の駆動力により流体を吐出する電動流体ポンプ及びその製造方法に関する。
自動車における自動変速機のクラッチに作動油を供給することや、ハイブリッド車の電気モータに冷却油を供給することなどを目的とする従来の電動流体ポンプとして、特許文献1に記載のような、モータ部53の駆動力によりポンプ作動部66を作動させるように構成されたものがある。
図5に示すのは、特許文献1に記載の電動流体ポンプに類似する従来例の電動流体ポンプの断面図である。この電動流体ポンプは、コネクタ部51を介して供給される電力により動作するモータ部53の駆動力により作動油や冷却油などの流体を吐出するように構成されている。
モータ部53は、回転軸54に対して同じ回転軸心で固定されるロータ55と、ロータ55の周囲に設定間隔を空けて環状に配置されるステータ56とを備える。ステータ56は、複数の鉄板が積層されたコア57と、コア57の表面を部分的に覆う絶縁性のボビン部60と、コア57との絶縁を確保しつつ、コア57を取り囲むような形態でボビン部60に巻回されたコイル58とを備えている。コネクタ部51が備えるターミナル部材52は、一端部がステータ56のコイル58と接続され、他端部がコネクタ部51の接続端子を構成する。ターミナル部材52は板状の金属である。
コネクタ部51は、コイル58と接続されるターミナル部材52を備え、コイル58にはターミナル部材52を介して外部端子から電力が供給される。
ポンプ作動部66は、トロコイド式のポンプであり、外歯のインナロータ67とこれに噛合う内歯のアウタロータ68とを備える。アウタロータ68の内歯に噛合う外歯を有するインナロータ67が、アウタロータ68内に配置される。インナロータ67は、ポンプボディ65の内部に形成された軸受孔72に挿入され、モータ部53によって回転駆動される回転軸54に固定されて共に回転する。これにより、インナロータ67及びアウタロータ68の間には、回転に伴い容積が増減する複数のポンプ作動室69が形成される。吸入室70に連通するポンプ作動室69の容積が増大しているときポンプ作動室69には負圧が生じ、流体が吸入ポート77及び吸入室70を経てポンプ作動室69に流入する。ポンプ作動部66に流入した流体は、吐出室71を経て吐出ポート78から吐出される。
従って、モータ部53の駆動力により回転軸54が回転駆動されると、吸入ポート77から吸入された流体が、吐出ポート78から吐出されることになる。
また、ポンプ作動部66の吐出室71を軸受孔72に連通する切欠き部73が設けられている。オイルシール79付近に存在する流体を、負圧によって吸入室70に引き込む戻り通路74も設けられている。
環状のオイルシール79は回転軸54の周囲と当接して、ポンプボディ65からモータハウジング50内へのオイルの浸入を阻止している。このとき、モータ部53へのオイルの浸入を確実に阻止したければ、オイルシール79が回転軸54の周囲を強く拘束するようにすればよい。また、オイルシール79と吸入室70とを連通する戻り通路74が形成されており、オイルシール79の周囲に存在するオイルが吸入室70の方へ負圧により引き込まれる。
モータハウジング50、ポンプボディ65及びポンプカバー76はボルト80によって連結されている。
特開2004−353536号公報
従来の電動流体ポンプでは、ポンプ作動部からモータ部へオイルが浸入しないように、回転軸の周囲と当接するオイルシールが設けられている。しかし、回転軸とオイルシールとの間の抵抗により、モータ部からポンプ作動部への動力伝達にエネルギ損失が発生することになる。そのため、電動流体ポンプに対して小型化及び高出力化の要求が大きくなるにつれて、モータ部からポンプ作動部への動力伝達におけるエネルギ損失をより小さくすることが必要になる。
但し、モータ部とポンプ作動部との間にオイルシールを設けない場合、流体がポンプ作動部からモータ部へと浸入することになる。そして、モータ部に浸入した流体とモータ部のステータとが接すると、ステータの積層コアの隙間、ステータコイルなどの各部の隙間を流体が伝って広がることになる。その結果、ターミナル部材を伝って外部に漏れ出す可能性もある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータ部のステータが流体に接する装置構成であったとしても、流体が外部に漏れ出すことを阻止可能な電動流体ポンプ及びその製造方法を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る電動流体ポンプの特徴構成は、コネクタ部を介して供給される電力により動作するモータ部の駆動力により流体を吐出する電動流体ポンプであって、前記モータ部は、前記流体に接する位置に配置されるステータを有し、前記コネクタ部は、一端部が前記ステータのコイルと接続され、他端部が前記コネクタ部の接続端子を構成するターミナル部材を有し、前記ステータ及び前記ターミナル部材を保持するとともに、前記ターミナル部材の一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所に、前記ターミナル部材の外周を囲む凹部を有するボビン部と、前記ボビン部の前記凹部内に充填された充填材により構成されるシール部と、少なくとも前記凹部の開口部を閉塞するように形成されるモータハウジングと、を備える点にある。
上記特徴構成によれば、ボビン部によって保持されるターミナル部材の一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所に、ターミナル部材の外周を囲む凹部が形成され、その凹部には充填材が充填されたシール部が形成される。従って、流体がターミナル部材の表面を伝うことのできる隙間が、少なくとも一箇所でシール部により遮断されて無くなる。また、凹部の開口部、つまり、凹部に充填されたシール部の表面はモータハウジングによって閉塞されるので、シール部の全ての表面はボビン部及びモータハウジングに接することになり、シール部の表面にも流体が伝う隙間は無くなる。
以上のように、ターミナル部材はシール部によって取り囲まれ、且つ、シール部は、ボビン部及びモータハウジングを形成する樹脂によって取り囲まれるため、ターミナル部材とシール部との間には流体が通ることのできる隙間を無くすことができ、且つ、シール部とボビン部及びモータハウジングを形成する樹脂との間にも流体が通ることのできる隙間を無くすことができる。従って、流体に接したステータから、ステータのコイルなどを介してターミナル部材の表面に流体が伝ってきたとしても、シール部によって流体の流れが阻止され、ターミナル部材の他端部、つまり、コネクタ部の接続端子には流体が漏れ出さないようにできる。また、シール部をボビン部に形成したので、充填材の充填後にモータハウジングを樹脂成形することで、シール部とモータハウジングとを簡単に形成できると共に、充填材の密着性を向上できる。
従って、モータ部のステータが流体に接する装置構成であったとしても、流体が外部に漏れ出すことを阻止可能な電動流体ポンプを提供できる。
本発明に係る電動流体ポンプの特徴構成は、前記凹部は、一対の仕切り板と前記ボビン部とで前記ターミナル部材を挟んで形成されると共に、前記一対の仕切り板と前記ターミナル部材とで形成される第1凹部と、前記ボビン部と前記ターミナル部材とで形成される第2凹部と、から構成される点にある。
上記特徴構成によれば、凹部は、ボビン部と一対の仕切り板とによりターミナル部材を挟んで形成されるので、ターミナル部材に対してボビン部の反対側に充填材が充填される第1凹部が形成され、十分な充填材の量を確保できる充填空間を構成することができる。その結果、シール性能を向上させることができる。
本発明に係る電動流体ポンプの特徴構成は、前記モータハウジングは、樹脂成形により前記ボビン部と一体成形される点にある。
上記特徴構成によれば、ボビン部の上記凹部内に充填された充填材により構成されるシール部には、モータハウジングを形成するための樹脂成形を行うときの成形圧(言い換えると、成形枠内に樹脂を注入したときの注入圧)が加えられることになる。その結果、その成形圧により、モータハウジングを形成する樹脂とシール部とが圧着され、それらの間に存在し得る隙間を無くすことができる。
本発明に係る電動流体ポンプの特徴構成は、前記ボビン部は、前記コネクタ部に接する端部近傍に前記凹部を有し、前記充填材の熱膨張率は前記ボビン部の熱膨張率以上である点にある。
上記特徴構成によれば、ボビン部はコネクタ部に接する端部近傍に上記凹部を有する、つまり、ボビン部とコネクタ部との間に上記凹部が存在し、ターミナル部材は、その凹部を貫通して(つまり、ターミナル部材の外周が凹部に取り囲まれて)ボビン部からコネクタ部へ延出している。従って、上記凹部に充填材が充填されて構成されたシール部は、ターミナル部材の表面を伝ってコネクタ部から外部に出ようとする流体、及び、ボビン部の表面を伝ってコネクタ部から外部に出ようとする流体の両方を阻止できる。
また、電動流体ポンプの動作時の発熱や、ターミナル部材で発生するジュール熱により充填材及びボビン部が加熱されて膨張したとしても、充填材の熱膨張率がボビン部の熱膨張率以上であるので、ボビン部と充填材との間に熱膨張率の差による隙間が発生しない。その結果、充填材及びボビン部が加熱されて膨張したとしても、流体が伝い得る隙間が発生せず、流体の移動を阻止することができる。
上記目的を達成するための本発明に係る電動流体ポンプの製造方法の特徴構成は、コネクタ部を介して供給される電力により動作するモータ部の駆動力により流体を吐出する電動流体ポンプの製造方法であって、前記モータ部のステータと、一端部が前記ステータのコイルと接続され、他端部が前記コネクタ部の接続端子を構成するターミナル部材とを、ボビン部に保持させる工程と、前記ボビン部に形成された、前記ターミナル部材の一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所において前記ターミナル部材の外周を囲む凹部に、充填材を充填する工程と、前記ステータ及び前記ターミナル部材を保持する前記ボビン部を成形枠内に配置し、前記充填材を成形樹脂の注入圧により加圧しながら樹脂成形を行い、モータハウジングを形成する工程と、を備える点にある。
上記特徴構成によれば、ボビン部によって保持されるターミナル部材の一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所に、ターミナル部材の外周を囲む凹部が形成され、その凹部には充填材が充填されたシール部が形成されることで、流体がターミナル部材の表面を伝うことのできる隙間が少なくとも一箇所でシール部により遮断されて無くなる。また、シール部の表面はモータハウジングによって閉塞されるので、シール部の全ての表面はボビン部及びモータハウジングに接することになる。更に、シール部には、モータハウジングを形成するための樹脂成形を行うときの注入圧が加えられるので、その注入圧により、モータハウジングを形成する樹脂とシール部との間に存在し得る隙間を確実に無くすことができる。
以上のように、ターミナル部材はシール部によって取り囲まれ、且つ、シール部は、ボビン部及びモータハウジングを形成する樹脂によって取り囲まれるため、ターミナル部材とシール部との間には流体が伝う隙間を無くすことができ、且つ、シール部とボビン部及びモータハウジングを形成する樹脂との間にも流体が伝う隙間を無くすことができる。従って、流体に接したステータから、ステータのコイルを介してターミナル部材の表面に流体が伝ってきたとしても、シール部によって流体が阻止され、ターミナル部材の他端部、つまり、コネクタ部の接続端子には流体が漏れ出さないようにできる。
以下に図1〜図4を参照して本発明に係る電動流体ポンプについて説明する。
図1に示すのは電動流体ポンプの全体構造を示す縦断面図であり、この電動流体ポンプは、コネクタ部11を介して供給される電力により動作するモータ部13の駆動力により油や水などの流体を吐出するように構成されている。
電動流体ポンプは、モータハウジング10とポンプボディ25とポンプカバー36とで構成され、それらの内部に各種部品が収容されている。そして、モータハウジング10とポンプボディ25との間にはシール部材24が設けられ、ポンプボディ25とポンプカバー36との間にはシール部材35が設けられ、これらモータハウジング10とポンプボディ25とポンプカバー36とが互いに組み付けられている。
モータハウジング10は、接続される外部端子から電力の供給を受けるコネクタ部11、及び、コネクタ部11からの電力を使用して回転軸14を駆動させるモータ部13を収容している。
モータ部13は、回転軸14に対して同じ回転軸心で固定されるロータ15と、ロータ15の周囲に設定間隔を空けて環状に配置されるステータ16とを備える。ステータ16は、複数の鉄板が積層されたコア17と、コア17の表面を部分的に覆う絶縁性の樹脂材料で形成されたボビン部20と、コア17との絶縁を確保しつつ、コア17を取り囲むような形態でボビン部20に巻回されたコイル18とを備えている。つまり、ボビン部20はインシュレータとして機能する。コネクタ部11が備えるターミナル部材12(12a、12b、12c)は、一端部がステータ16のコイル18と接続され、他端部がコネクタ部11の接続端子40を構成する。ターミナル部材12は板状の金属である。
本実施形態では、図2に示すように、コア17を取り囲んだ歯部は6個設けられている。3個のターミナル部材12a、12b、12cには、夫々位相の異なる交流電圧が印加されており、その結果、ターミナル部材12bと歯部19aと歯部19dとが同相となり、ターミナル部材12aと歯部19bと歯部19eとが同相となり、ターミナル部材12cと歯部19cと歯部19fとが同相となる。
コネクタ部11は、モータハウジング10の一部分に開口を有した筒状空間を形成し、その筒状空間内に接続端子40(ターミナル部材12の他端部)を突出させた形態で構成されている。そして、モータ部13に電力を供給する外部端子は、この接続端子40と接触するように筒状空間内に挿入される。
樹脂製のボビン部20は、ステータ16及びターミナル部材12a、12b、12cを保持するとともに、ターミナル部材12a、12b、12cの一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所に、ターミナル部材12a、12b、12cの外周を囲む凹部(本実施形態では、凹部21a、21bの二箇所)を有する。図示するように、凹部21a、21bは空間を構成するように形成されている。ターミナル部材12a、12b、12cの外周を囲む凹部21a、21bには、接着力のある充填材が充填されたシール部22a、22bが形成されている。そして、この凹部21a、21bの開口部39a、39b(シール部22a、22bの表面)は、モータハウジング10を形成する樹脂材料によって閉塞されている。
具体的には、図4(a)〜図4(c)に示すように、周囲に壁面部41を形成するように幅の広い浅溝部42が形成される。そして、その浅溝部42内に、3個のターミナル部材12a、12b、12cを互いに離間して配置できる互いに平行の3個の長溝部43が形成される。この長溝部43のコネクタ部11側の端部は周囲の壁面部41には接していないため、長溝部43内にターミナル部材12a、12b、12cを配置したとしても、ターミナル部材12a、12b、12cと壁面部41との間には凹部21aが存在する。また、3個の長溝部43と交差するようにして、長溝部43よりも更に深い深溝部44が形成されている。その結果、図4(c)に示すように、深溝部44が形成された部位では、長溝部43内に配置されたターミナル部材12a、12b、12cの外周を囲むような凹部21bが形成される。そして、樹脂製の仕切り板23aと仕切り板23bとを、深溝部44が3個の長溝部43を横切る方向に沿う方向であり且つ深溝部44に隣接する位置の浅溝部42上及び長溝部43内のターミナル部材12a、12b、12c上に配置する。このとき、仕切り板23a及び仕切り板23bは、壁面部41、浅溝部42及びターミナル部材12a、12b、12cに対して接着剤などを用いて隙間無く接着されることが好ましい。
以上のようにして、凹部21aが、鉛直方向に沿って延びるターミナル部材12a、12b、12cの周囲を囲むように形成され、凹部21bが、水平方向に沿って延びるターミナル部材12a、12b、12cの周囲を囲むように形成される。このように、仕切り板23a及び仕切り板23bは、ターミナル部材12をボビン部20に対して押さえつけているので、ターミナル部材12がボビン部20に対して位置ズレを起こさないようにできる。また、凹部21bは、一対の仕切り板23a、23bとボビン部20とでターミナル部材12を挟んで形成されると共に、一対の仕切り板23a、23bとターミナル部材12とで形成される上側の第1凹部21cと、ボビン部20とターミナル部材12とで形成される下側の第2凹部21dとから構成される。従って、凹部21bに充填材を充填して形成されるシール部22bも、一対の仕切り板23a、23bとボビン部20とでターミナル部材12を挟んで形成されると共に、一対の仕切り板23a、23bとターミナル部材12とで形成される第1シール部22cと、ボビン部20とターミナル部材12とで形成される第2シール部22dとから構成される。このように、ボビン部20の反対側にも充填材が充填される第1凹部21c(第1シール部22c)が形成され、十分な充填材の量を確保できる充填空間を構成することができるので、シール性能を向上できるように構成されている。
本実施形態では、ボビン部20に仕切り板23a及び仕切り板23bが設けられているとき、仕切り板23a及び仕切り板23bがボビン部20に設けられて出来た構造体をボビン部20と呼ぶ。
その後、凹部21a内及び凹部21b内に充填材を充填することで、シール部22a、22bが形成される。充填材は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができ、特に、ボビン部20を形成する樹脂材料及びターミナル部材12a、12b、12cを形成する金属材料に対して接着力を発揮するような材料が好ましい。また、充填材を凹部21a内及び凹部21bに充填するときには、充填材の粘度を低い状態にしておけば、凹部21a内及び凹部21b内に隙間が存在しないように隅々まで充填材が行き渡る。
ポンプボディ25は、モータ部13によって駆動された回転軸14の回転力を用いて流体を吐出させるポンプ作動部26を収容している。本実施形態では、ポンプ作動部26としてトロコイド式のポンプを用いている。ポンプカバー36は、ポンプ作動部26へ流体を吸入させる吸入ポート37と、ポンプ作動部26から流体を吐出させる吐出ポート38とを収容している。このポンプ作動部26では、アウタロータ28の内歯に噛合う外歯を有するインナロータ27が、アウタロータ28内に配置される。インナロータ27は、ポンプボディ25の内部に形成された軸受孔32に挿入され、モータ部13によって回転駆動される回転軸14に固定されて共に回転する。これにより、インナロータ27及びアウタロータ28の間には、回転に伴い容積が増減する複数のポンプ作動室29が形成される。吸入室30に連通するポンプ作動室29の容積が増大しているときポンプ作動室29には負圧が生じ、流体が吸入ポート37及び吸入室30を経てポンプ作動室29に流入する。ポンプ作動室29に流入した流体は、インナロータ27の回転に伴って吐出室31へと移送され、吐出ポート38から吐出される。
従って、モータ部13の駆動力により回転軸14が回転駆動されると、吸入ポート37から吸入された流体が、吐出ポート38から吐出されることになる。
モータ部13と吸入室30とを接続する戻り通路34が設けられ、吸入室30に負圧が発生すると、モータ室13内に存在する流体の一部が負圧によって吸入室30に引き込まれる。
本実施形態の電動流体ポンプには、吐出室31を軸受孔32に連通する切欠き部33が形成され、流体が回転軸14の表面に染み出すように構成されている一方で、ポンプ作動部26からモータ部13への回転軸14の表面を伝った流体の移動を阻止するための手段が設けられていない。そのため、ポンプ作動部26から回転軸14を伝って染み出した流体はモータ部13に到達し、ロータ15やステータ16などに付着することになる。上述したように、流体に接する位置に配置されるステータ16には、積層された鉄板で構成されるコア17やコイル18など、流体の浸入及び浸透を許容する隙間が存在している。また、コイル18はターミナル部材12a、12b、12cの一端部に接続され、そのターミナル部材12a、12b、12cの他端部は外部に突出するコネクタ部11の接続端子40を構成している。従って、ターミナル部材12a、12b、12cに関して、ターミナル部材12a、12b、12cの表面を流体が伝うことを阻止するための何らかの対策が講じられていなければ、コア17やコイル18などからターミナル部材12a、12b、12cを伝った流体が上記接続端子40を介してモータハウジング10の外部に染み出す可能性がある。
本発明に係る電動流体ポンプでは、図1に示すように、ターミナル部材12の一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所に、ターミナル部材12の外周を囲む凹部21a、21bが形成されている。そして、このターミナル部材12の外周を囲む凹部21a、21bには、接着力のある充填材が充填されたシール部22a、22bが形成されている。その結果、ターミナル部材12の表面は、接着力のあるシール部22a、22bによって流体が阻止され、流体を先に伝えないようになっている。
また、モータハウジング10は、樹脂成形によりボビン部20と一体成形されるので、凹部21a内及び凹部21b内に充填された充填材により構成されるシール部22a、22bには、モータハウジング10を形成するための樹脂成形を行うときの成形圧が加えられる。その結果、その成形圧により、ターミナル部材12とシール部22a、22bとの間に存在し得る隙間、及び、シール部22a、22bとボビン部20及びモータハウジング10を形成する樹脂との間に存在し得る隙間を確実に無くすことができる。
更に本実施形態では、ボビン部20はコネクタ部11に接する端部近傍に凹部21a(シール部22a)を有する、つまり、ボビン部20とコネクタ部11との間に上記凹部21a(シール部22a)が存在する。つまり、ターミナル部材12は、上記凹部21a(シール部22a)によって外周が取り囲まれた部位からボビン部20側とコネクタ部11側とに延出している。従って、シール部22aは、ターミナル部材12の表面を伝ってコネクタ部11から外部に出ようとする流体、及び、ボビン部20の表面(例えば、図1に示する界面A)を伝ってコネクタ部11から外部に出ようとする流体の両方を阻止できる。
次に、本発明の電動流体ポンプの製造方法について説明する。
まず、図2及び図3に例示するように、モータ部13のステータ16とターミナル部材12とをボビン部20に保持させる。このターミナル部材12は、一端部がステータ16のコイル18と接続され、他端部がコネクタ部11の接続端子40を構成する。そして、図4を参照して上述したように、ボビン部20には、ターミナル部材12a、12b、12cの一端部から他端部までの間において、ターミナル部材12a、12b、12cの外周を囲む凹部21a及び凹部21bを形成してある。本実施形態では、二箇所に凹部21a、21bを形成したが、少なくとも一箇所に凹部が形成されればよく、三箇所以上の凹部を形成してもよい。
次に、ボビン部20に形成された凹部21a及び凹部21bに、充填材を充填してシール部22a、22bを作製する。この状態では、凹部21aの上面の開口部39a、及び、凹部21bの上面の開口部39bにおいてシール部22a、22b(充填材)は外部に露出している。また、シール部22a、22b(充填材)は、凹部21a及び凹部21bを構成するボビン部20と密着し、及び、ターミナル部材12a、12b、12cの外周を密着して取り囲む。このように、凹部21a及び凹部21bに充填材を充填することで、ターミナル部材12a、12b、12cと充填材との間、及び、充填材とボビン部20との間には隙間が存在しなくなる。
次に、上述のように充填材が充填されることでシール部22a、22bが形成された後のボビン部20を成形枠内に配置し、その充填材を成形樹脂の注入圧により加圧しながら樹脂成形を行い、モータハウジング10を形成する。このモータハウジング10の形成時に、コネクタ部11も形成される。このように、シール部22a、22bはモータハウジング10の成形圧が加えられた状態で閉塞されているので、年月が経過しても、充填材が、ターミナル部材12及びボビン部20の凹部21a、21b内の壁面部41に対して押し付けられる力は維持される。その結果、長期間に渡って、ターミナル部材12やボビン部20の表面を伝って流体が外部に漏れ出さないようにできる。
充填材は、ボビン部20よりも熱膨張率が大きく、且つ、耐液性が優れ、融点がモータハウジング10の成形温度よりも高い材料である。従って、電動流体ポンプの動作時の発熱や、ターミナル部材12で発生するジュール熱により充填材及びボビン部20が加熱されて膨張したとしても、充填材がボビン部20以上に膨張して、ボビン部20と充填材との間に熱膨張率の差による隙間が発生しない。その結果、充填材及びボビン部20が加熱されて膨張したとしても、流体が伝い得る隙間が発生せず、流体の移動が阻止される。更に、充填材はモータハウジング10を構成する樹脂材料よりも熱膨張率が大きいことが好ましい。
以上の工程を経て、図1に例示するモータハウジング10が得られる。その後、モータハウジング10とポンプボディ25とポンプカバー36とをボルトなどの固定部材(図示せず)を用いて組み付けて、図1に例示する電動流体ポンプが完成する。
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、ターミナル部材12が板状の金属材料である場合を例示して説明したが、ターミナル部材12の構造は改変してもよい。例えば、ワイヤ状の金属材料を用いてターミナル部材12を作製してもよい。ターミナル部材12がワイヤ状の金属材料である場合、ターミナル部材12自身が小型化されるので、コネクタ部11やボビン部20も小型化することが可能である。
また、ターミナル部材12の折り曲げ形状も図示したものから改変してもよい。
更に、ターミナル部材12と充填材との接着性を良好にするため、或いは、ターミナル部材12とモータハウジング10を形成する樹脂材料又はボビン部20を形成する樹脂材料との接着性を良好にするため、ターミナル部材12に対して表面処理を行ってもよい。
<2>
上記実施形態では、図4を参照して説明したように、ターミナル部材12と仕切り板23a、23bとをボビン部20に対して後付けで組み付ける場合について説明したが、それらを樹脂成形により一体形成してもよい。
<3>
接続端子40が外部に突出したコネクタ部11の筒状空間の底部に、接続端子40及びコネクタ部11を形成する樹脂材料と接着性を有する樹脂材料を注入してもよい。これにより、シール部22a、22bによってモータハウジング10の内部でターミナル部材12の外周を囲むだけでなく、モータハウジング10の外部でもターミナル部材12の外周を樹脂材料で囲むことができる。これにより、モータハウジング10の外部への流体の漏洩阻止が更に確実なものとなる。
<4>
上記実施形態では、ボビン部20を単一の部材で形成したように図示したが、複数の部材を組み合わせてボビン部20を形成してもよい。例えば、ターミナル部材12を保持している部分を別体で(例えば、ターミナル部材保持部として)形成してもよい。
電動流体ポンプの全体構造を示す縦断面図 モータ部の上面図 モータ部の部分断面図を含む側面図 ボビン部へのターミナル部材の設置状態を示す図 従来の電動流体ポンプの全体構造を示す縦断面図
符号の説明
10 モータハウジング
11 コネクタ部
12 ターミナル部材
13 モータ部
16 ステータ
18 コイル
20 ボビン部
21a 凹部
21b 凹部
22a シール部
22b シール部
39a 開口部
39b 開口部
40 接続端子

Claims (5)

  1. コネクタ部を介して供給される電力により動作するモータ部の駆動力により流体を吐出する電動流体ポンプであって、
    前記モータ部は、前記流体に接する位置に配置されるステータを有し、
    前記コネクタ部は、一端部が前記ステータのコイルと接続され、他端部が前記コネクタ部の接続端子を構成するターミナル部材を有し、
    前記ステータ及び前記ターミナル部材を保持するとともに、前記ターミナル部材の一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所に、前記ターミナル部材の外周を囲む凹部を有するボビン部と、前記ボビン部の前記凹部内に充填された充填材により構成されるシール部と、少なくとも前記凹部の開口部を閉塞するように形成されるモータハウジングと、
    を備える電動流体ポンプ。
  2. 前記凹部は、一対の仕切り板と前記ボビン部とで前記ターミナル部材を挟んで形成されると共に、前記一対の仕切り板と前記ターミナル部材とで形成される第1凹部と、前記ボビン部と前記ターミナル部材とで形成される第2凹部と、から構成される請求項1記載の電動流体ポンプ。
  3. 前記モータハウジングは、樹脂成形により前記ボビン部と一体成形される請求項1又は2記載の電動流体ポンプ。
  4. 前記ボビン部は、前記コネクタ部に接する端部近傍に前記凹部を有し、
    前記充填材の熱膨張率は前記ボビン部の熱膨張率以上である請求項1〜3の何れか一項に記載の電動流体ポンプ。
  5. コネクタ部を介して供給される電力により動作するモータ部の駆動力により流体を吐出する電動流体ポンプの製造方法であって、
    前記モータ部のステータと、一端部が前記ステータのコイルと接続され、他端部が前記コネクタ部の接続端子を構成するターミナル部材とを、ボビン部に保持させる工程と、
    前記ボビン部に形成された、前記ターミナル部材の一端部から他端部までの間の少なくとも一箇所において前記ターミナル部材の外周を囲む凹部に、充填材を充填する工程と、
    前記ステータ及び前記ターミナル部材を保持する前記ボビン部を成形枠内に配置し、前記充填材を成形樹脂の注入圧により加圧しながら樹脂成形を行い、モータハウジングを形成する工程と、
    を備える電動流体ポンプの製造方法。
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