JP2007007230A - ベッド用手摺り装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 自ら起立することが困難な者が、ベッドの床部上を移動する際の身体的負担を軽減でき、且つ、立ち上がらずとも車椅子へ移乗できるベッド用手摺り装置を提供すること。
【解決手段】 ベッド床部101の上方には、一対の手摺り3,3がベッド100の横方向に所定の間隔幅だけ隔離され略平行に並設されている。一対の手摺り3,3間には、成人男性の平均的な肩幅と略等しい間隔があり、利用者が自らの身体正面をベッド100の縦方向へ向けた状態で入り込むことができる。よって、利用者は、一対の手摺り3,3を支えにすれば、自らの身体をベッド床部101上に起こすこともでき、立ち上がらずともベッド床部101上の移動路11を移動してベッド乗降口12へ向かうこともでき、ベッド乗降口12に横付けされる車椅子200へ立ち上がらずに移乗できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自ら起立することの困難な者がベッド床部上で移動する際の身体的負担、及び、車椅子への移乗に伴う身体的負担を軽減できるベッド用手摺り装置に関するものである。
例えば、身体障害者、病気療養者又は老齢者などの車椅子の利用者がベッドから車椅子へ移乗する場合、かかる利用者は、車椅子がベッドに横付けされると、自らの腕で身体を支えながら、車椅子の前面側に回り込んだ後、一旦自らの身体を車椅子の座部に対して背を向けてから、車椅子の座部に着座しなければならない。このため、特に、他人の介助者なしでは立ち上がることが困難な車椅子利用者にとっては、一人でベッドから車椅子に移乗することが困難な状況にある。
このため、特開平7−308345号公報、特開平8−71108号公報および特開2001−46440号公報には、車椅子の利用者が立ち上がることなくベッドから車椅子へ移乗することが可能な車椅子が提案されている。これらの公報に記載の車椅子は、いずれも背もたれ部が可動自在に形成されており、かかる背もたれ部を開閉するか又はベッド側へ傾倒させることで、利用者が立ち上がらずに車椅子の背面から座部へ移乗するように構成されている。
一方、身体障害者、病気療養者又は老齢者などの被介助者がベッドの床部から起床するための手助けとなる機器も多数提案されており、例えば、実願平5−51331号公報には掴まり棒部を有する門型部材を具備したベッドが開示されており、又、特公平8−17798号公報にはベッド等に回動倒伏及び回動隆起される介助バーが設けられた介助機構が開示されている。
特開平7−308345号公報 特開平8−71108号公報 特開2001−46440号公報 実願平5−51331号公報 特公平8−17798号公報
しかしながら、上記した背部から移乗可能な車椅子(以下「背面移乗式の車椅子」ともいう。)では、自力では立ち上がれない利用者が自らの身体を不安定なベッドの床部上で支えながら、車椅子のあるベッド床部上を臀部で擦り動かなければならず、車椅子の利用者に過度の身体的負担を強いてしまうという問題点がある。しかも、車椅子を利用するような者にあっては、そもそも下半身に力が入り悔いため、自らの上半身をベッドの床部から起こすことすら困難なこともあるという問題点がある。
かかる場合において、上記した門型部材を具備したベッドによれば、下半身の不自由な車椅子利用者であっても自らの力で容易にベッドの床部から起床することは可能である。しかしながら、当該門型部材では、仰臥姿勢にある身体をベッドの床部上に起き上がらせることを介助するに過ぎず、車椅子が横付けされるベッド縁端部まで車椅子利用者の移動を介助できず、車椅子利用者の身体的負担を軽減できないという問題点がある。
また、上記した介助バーが設けられたベッド等の介助機構によれば、介助バーを回動倒伏させて用いればベッドの床部上を移動する際に身体を支えて車椅子が横付けされるベッド縁端部まで比較的無理なく移動することは可能である。しかしながら、当該介助バーは、ベッドから立ち上がってそれに併設されるポータブルトイレへ移動する際に身体を支えるものに過ぎず、下半身の不自由な者が立ち上がらずに車椅子へ移乗することを介助できず、車椅子利用者の身体的負担を軽減できないという問題点がある。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、自ら起立することが困難な者が、ベッドの床部上を移動する際の身体的負担を軽減でき、且つ、立ち上がらずとも車椅子へ移乗できるベッド用手摺り装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載のベッド用手摺り装置は、縦方向を利用者の身長方向に向けて使用されるベッドに併設され、そのベッド床部上で利用者の動作を介助するためのものであり、ベッドの縦方向へ向けて延設される一対の手摺り部材と、その一対の手摺り部材を脱着可能に係止する係止部を有して、その係止部によって前記一対の手摺り部材をベッドの横方向中央部分で略平行に離隔させ且つベッド床部より上方位置で保持する保持部材と、その保持部材の前記係止部から前記一対の手摺り部材が脱着された場合に、その一方の手摺り部材を前記保持部材による保持位置とベッド床部の一側縁部との間で昇降可能に案内し、且つ、その他方の手摺り部材を前記保持部材による保持位置とベッド床部の他側縁部との間で昇降可能に案内する案内レール部材と、前記保持部材により前記一対の手摺り部材が保持される場合に、その一対の手摺り部材間に設けられベッド床部からベッドの縦方向一端側へと通じる移動路と、その移動路とベッドの外部との間を利用者が往来するためにベッドの縦方向一端部に設けられるベッド乗降口とを備えている。
この請求項1記載のベッド用手摺り装置によれば、一対の手摺り部材がベッド床部の両側縁部にある場合、ベッド床部に仰臥する利用者がベッド床部の両側縁部へ両腕を伸ばすことで、一対の手摺り部材は利用者の両手でそれぞれ把持される。そして、利用者が仰臥したまま両腕を胸部上方へ動かすと、一対の手摺り部材は、案内レール部材によって案内されて上昇されつつ、ベッドの両側縁部から横方向中央部分までそれぞれ移動される。そして、一対の手摺り部材が保持部材に到達すると、これらの手摺り部材が保持部材の係止部によって係止されて、ベッド床部より上方位置で支持される。なお、一対の手摺り部材をベッド床部の両側縁部へ戻す場合には、上記した動作とは逆の動作が行われる。
上記のようにして一対の手摺り部材が保持部材によって保持されると、その一対の手摺り部材は略平行に離隔された状態となる。従って、利用者の上半身が起こされた場合、その上半身は一対の手摺り部材間に挟み込まれる格好となる。また、この一対の手摺り部材間は移動路であるので、利用者は、この移動路を一対の手摺り部材を支えにしながら、ベッド床部からベッドの縦方向一端側へ移動できる。そして、ベッドの縦方向一端部まで到達した利用者はベッド乗降口を通って、ベッド床部の上からベッドの外部へと降りることができる。なお、ベッドの外部からベッド床部へ移乗して横たわる場合には、上記した動作とは逆の動作が行われる。
このとき、上記した背面移乗式の車椅子をベッド乗降口に横付けして、その背もたれ部側をベッド乗降口側に向けておけば、ベッドの利用者は、一対の手摺り部材によって身体を支えながら、ベッド乗降口から車椅子の座部へと立ち上がらずに移乗することができる。なお、利用者が車椅子の座部に着座した後、車椅子の背もたれ部を元に戻せば、利用者の車椅子への移乗が完了する。なお、車椅子からベッド床部へ移乗する場合には、上記とは逆の動作が行われる。
請求項2記載のベッド用手摺り装置は、請求項1記載のベッド用手摺り装置において、前記案内レール部材は、前記一対の手摺り部材がベッド床部の両側縁部にある場合に、その一対の手摺り部材をベッド床部の両側縁部に沿って、そのベッド床部より高い位置で支持するものである。
請求項3記載のベッド用手摺り装置は、請求項1又は2に記載のベッド用手摺り装置において、前記案内レール部材は、ベッドの縦方向から矢視した場合に外方に湾出する弧状の軌道を有しており、その軌道がベッド横方向両側に左右対称に一対設けられており、その一対の軌道に沿って前記一対の手摺り部材を前記保持部材による保持位置とベッド床部の側縁部との間でそれぞれ昇降させるものである。
ところで、上記した背面移乗式の車椅子であっても、それとは異なる車椅子であっても、多くの車椅子は後部車輪が背もたれ部よりも後方に突出する構造となっている。このため、背面移乗式の車椅子について、その背もたれ部側をベッド側に向けてベッドに横付けすると、ベッド縁端部に車椅子の後部車輪が当たって、ベッド乗降口におけるベッド床部の縁端部と車椅子の座部との間に隙間ができてしまう。ところが、このような隙間があってはベッド乗降口から背面移乗式の車椅子に利用者が立ち上がらずに移乗することが困難となる。このため、請求項4記載のベッド用手摺り装置は、以下のように構成される。
請求項4記載のベッド用手摺り装置は、請求項1から3のいずれかに記載のベッド用手摺り装置において、前記ベッド乗降口からベッド床部の外方へ延設され、そのベッド床部に対して略面一の座面を有する補助座具と、その補助座具の横方向両側の上方であって前記一対の手摺り部材の端部から、その一対の手摺り部材の略延長線上に延出される一対の補助手摺り部材とを備えている。
この請求項4記載のベッド用手摺り装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載のベッド用手摺り装置と同様に作用する上、ベッド床部と車椅子の座部との間に隙間が生じる場合には、補助座具をベッド乗降口と車椅子の座部との間に渡設して、この補助座具を渡って利用者をベッド床部から車椅子の座部へ移乗させる。しかも、補助座具を渡って車椅子の座部へ移乗する場合、一対の手摺り部材の略延長線上に延出される一対の補助手摺り部材によって利用者自身の身体が支えられる。
請求項5記載のベッド用手摺り装置は、請求項1から4のいずれかに記載のベッド用手摺り装置において、前記補助座具をベッドの縦方向一端部にて支持する支持部材を備えており、その支持部材には、前記補助座具がベッドの配設側へ向けて折り畳み可能に取着されている。
請求項6記載のベッド用手摺り装置は、請求項1から5のいずれかに記載のベッド用手摺り装置において、前記一対の補助手摺り部材をベッドの縦方向一端部にて支持する支持部材を備えており、その支持部材には、前記一対の補助手摺り部材がベッドの配設側へ向けて折り畳み可能に取着されている。
請求項1記載のベッド用手摺り装置によれば、ベッドの利用者は、一対の手摺り部材を手助けにすれば、自らの力でもベッド床部上で寝起きできるので、病気療養中の患者のリハビリテイションにも資するという効果がある。また、ベッド利用者は、自らの両脇側にそれぞれ一本ずつ確保される手摺り部材によって両手で自身の身体を支えられるので、もともとベッド床部であって移動し辛い移動路を比較的スムーズに移動することができるという効果がある。
更に、一対の手摺り部材は、案内レール部材によってベッド床部の両側縁部にそれぞれ待避させることができるので、一対の手摺り部材が不要な場合に介助者やベッド利用者の動きの妨げになることを防止できるという効果がある。しかも、背もたれ部側をベッド乗降口側へ向けた状態で背面移乗式の車椅子をベッドに横付けしておけば、かかる車椅子の座部に立ち上がることなく着座することができ、移乗に際する身体的負担を軽減できるという効果がある。
請求項2記載のベッド用手摺り装置によれば、請求項1記載のベッド用手摺り装置の奏する効果に加え、案内レール部材は、ベッド床部の両側縁部にある一対の手摺り部材を、ベッド床部の両側縁部に沿ってベッド床部より高い位置で支持するので、ベッド床部の側縁部から外方へはみ出ようとする利用者の身体を遮って、かかる利用者のベッド床部からの転落を防止できるという効果がある。すなわち、不使用状態にある一対の手摺り部材は、利用者がベッド床部から転落することを防止するための側部フェンスとして兼用できるという効果がある。
請求項3記載のベッド用手摺り装置によれば、請求項1又は2に記載のベッド用手摺り装置の奏する効果に加え、ベッドの縦方向から矢視した場合に、一対の手摺り部材は一対の弧状の軌道に沿ってそれぞれ昇降される。この一対の手摺り部材が昇降する際に通る軌道は、利用者がベッド床部に仰臥姿勢で横たわった状態で両腕をベッド横方向両側へ開き胸部上方へ向けて閉じるように持ち上げる動作をする場合における両手の軌道と略等しくなる。従って、利用者がベッド床部に横たわったままでも、一対の手摺り部材をスムーズに昇降させることができるという効果がある。
請求項4記載のベッド用手摺り装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載のベッド用手摺り装置の奏する効果に加え、例えば、背面移乗式の車椅子の背もたれ部側をベッド側へ向けてベッド乗降口に横付けした場合にベッド床部と車椅子の座部との間に隙間ができても、この隙間に補助座具を渡設できるので、利用者をベッドから車椅子へより安全に移乗させることができるという効果がある。また、補助座具を渡って車椅子の座部へ移乗する場合、利用者は自らの身体を一対の補助手摺り部材によって両手で支えられるので、補助座具上を車椅子へ移動に際に伴う利用者の身体的負担も軽減できるという効果がある。
請求項5記載のベッド用手摺り装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載のベッド用手摺り装置の奏する効果に加え、補助座具を使用しない場合には、補助座具をベッドの配設側へ向けて折り畳めるので、ベッドの周囲を歩行する者の邪魔になることもないという効果がある。
請求項6記載のベッド用手摺り装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載のベッド用手摺り装置の奏する効果に加え、一対の補助手摺り部材を使用しない場合には、これらの補助手摺り部材をベッドの配設側へ向けて折り畳めるので、ベッドの周囲を歩行する者の邪魔になることもないという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である手摺りユニット1及びそれが取り付けられるベッド100の側面図であって、後述する図2の左側面図でもある。なお、図1中では、支柱2,2による保持位置に配置される手摺り3,3を実線で、ベッド床部101の横方向両側縁部にあたる待避位置に配置される手摺り3,3を2点鎖線で、それぞれ図示している。また、以下の本実施例の説明ではベッド100(又はベッド床部101)を平面視した場合の長辺方向を「縦方向」とし、短辺方向を「横方向」として説明している。
図1に示すように、手摺りユニット1は、ベッド100に併設されて使用されるものであり、ベッド100の縦方向(図1左右方向)両端部に取着される支柱2,2を備えている。各支柱2,2は、ベッド100縦方向両端部からそれぞれ上方へ垂設されており、これらの上端部はベッド床部101の上面より高い位置まで延ばされている。また、支柱2,2間であってベッド床部101の上面より上方位置には手摺り3が架設されている。この手摺り3は、ベッド100の縦方向へ略水平に延設され中間部に持ち手3aを有する中空丸パイプで形成されており、その軸方向両端部に補強部材4,4が取着されている。
これらの補強部材4,4は、手摺り3を支柱2,2間で保持する際に手摺り3の強度を補強するための部材である。また、この手摺り3は、支柱2,2間に架設された状態の高さ位置(実線で示す保持位置)より低くて、且つ、ベッド床部101の上面より若干高い位置(2点鎖線で示す待避位置)に待避可能に構成されている。このため、ベッド100の縦方向両端部には、支柱2,2の上端部からベッド床部101側へと延設される案内レール5,5が配設されている。
この各案内レール5,5は、手摺り3が保持位置と待避位置との間で昇降するのを案内するためのガイドレールであって、手摺り3の軸方向両端部に設けられるランナ14,14(図4参照)を介して、その手摺り3の軸方向両端部と係合されている。また、図1中の2点鎖線で図示するように、手摺り3が待避位置にある場合、かかる手摺り3は、案内レール5,5によって、ベッド床部101の上面より若干高い位置に隙間を空けて支持されている。このため、不使用状態にある手摺り3は、利用者がベッド床部101から転落することを防止するための側部フェンスとして兼用できる。
なお、手摺り3の待避位置の高さは必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、ベッド100が側部フェンスを装備したものである場合には、手摺り3の待避位置をベッド床部101の上面より低い位置となるようにしても良い。
また、ベッド100の縦方向一端側(図1右側)に取着される支柱2には、ベッド床部101から車椅子200へ移乗する際に使用される補助座具6が取着されている。この補助座具6は、ベッド床部101と車椅子200との間に渡設される介助用の座具であって、ベッド床部101から外方(図1右側)へ略水平に延設される略板状体である。なお、車椅子200には、背景技術の欄でも説明した背面移乗式の車椅子が使用されることが好ましい。
補助座具6は、その基端部(図1左側)が支柱2に回動自在に軸着されており、その基端部を中心にして回動することで倒立姿勢となってベッド100の配設側(図1左側)へ折り畳まれるように形成されている。また、補助座具6は、その上面にベッド床部101に対して略面一となる座面6aが形成されており、更に、その先端部(図1右側)に釣止リンク7の一端部が回動可能に連結されている。
釣止リンク7は、補助座具6を略水平姿勢で釣止するためのものであり、その他端部が補助座具6より上方位置で支柱2に回動可能に連結されている。また、この釣止リンク7は、その中間部で折畳み可能なヒンジ状に形成されており、補助座具6が水平姿勢から倒立姿勢に折り畳まれると、釣止リンク7の中間部も肘張した状態から折り畳まれるように形成されている。更に、この釣止リンク7より更に上方には補助手摺り8が配設されている。
補助手摺り8は、補助座具6から車椅子200へ移乗する際に利用者が身体を支えるための手摺りであって、補助座具6及び釣止リンク7が取着されている支柱2に連結具9を介して取着されている。なお、この連結具9の内部には補助手摺り8に加わる衝撃を緩衝させるためにコイルばねを利用した緩衝装置(図示せず)が収容されている。
また、補助手摺り8は、上記したベッド床部101上にある手摺り3の端部からベッド100の反配設側(図1右側)へ向けて、手摺り3の略延長線上に沿って略水平に延出される中空丸パイプで形成されており、この補助手摺り8の下方には、補助手摺り8に加わる荷重を支えるため、この補助手摺り8と連結具9との間に補強用の方杖10が渡設されている。
図2は、図1に示す手摺りユニット1及びベッド100の平面図である。なお、図2では、保持位置にある手摺り3,3を実線で、待避位置にある手摺り3,3を2点鎖線で、それぞれ図示している。
図2に示すように、ベッド100は、平面視縦長矩形状に形成されており、その縦方向(図2上下方向)が利用者の身長方向に向けて使用される。このベッド100の縦方向両側の各端部にはそれぞれ2本ずつ上記した支柱2が配設されており、ベッド100全体で合計4本の支柱2が取着されている。また、ベッド100の四隅には一対の手摺り3,3をベッド床部101の横方向両側部へ向けて案内するため、上記した案内レール5がそれぞれ配設されている。
4本の支柱2,2,2,2は、ベッド100の横方向(図2左右方向)中央部分に所定幅隔離して配設されており、ベッド100の縦方向一端側(図2下側)にある2本の支柱2,2は、ベッド100の縦方向他端側(図2上側)にある2本の支柱2,2と対向する位置に配設されている。また、ベッド100の縦方向に対向する一組の支柱2,2間には上記した手摺り3が1本架設され、別の一組の支柱2,2間にも上記した手摺り3が1本架設されている。これら一対の手摺り3,3は、ベッド100の横方向(図2左右方向)に所定の間隔幅だけ隔離され、ベッド100の横方向中央部分で略平行に並設されている。そして、これら一対の手摺り3,3のそれぞれには、それらの軸方向両端部に上記した補強部材4,4が取着されている。
この一対の手摺り3,3間に設けられる間隔幅は、成人男性の平均的な肩幅と略等しくされており、利用者が自らの身体正面をベッド100の縦方向へ向けた状態で、この一対の手摺り3,3間の間隙に入り込むことができるように形成されている。そして、利用者がベッド床部101上を移動する場合には、この一対の手摺り3,3間が利用者の移動路11として利用される。この移動路11は、ベッド床部101の縦方向に延びる移動用の通路であって、ベッド床部101の一端側(図2下側)に設けられるベッド乗降口12へと通じている。
ベッド乗降口12は、移動路11とベッド100外部との間を利用者が往来するための出入り口であって、ベッド床部101の縦方向一端側(図2下側)にある支柱2,2間に設けられている。なお、ベッド100の利用者は予め足元をベッド乗降口12側へ向けて横たわっておけば、移動路11を移動してベッド乗降口12から車椅子200へ移乗する場合に無理なく身体を移動させることができ、身体的負担を軽減できる。
また、ベッド乗降口12からは上記した補助座具6がベッド101の外方へ延出されており、この補助座具6は、ベッド乗降口12の横方向両側にある支柱2,2間に回動可能に軸架されている。更に、補助座具6の横方向両側には、一対の補助手摺り8,8が1本ずつ配設されており、これら一対の補助手摺り8,8は、それぞれ水平面内で回動自在となるように連結具9を介して支柱2,2に軸着されている。よって、一対の補助手摺り8,8は、それぞれが矢印A,A’方向へ回動されることによって、その先端部の向きが図中の矢印A,A’方向へ方向転換されるので、不使用時にベッド100の配設側(図2上側)へ折り畳むことができる。
図3は、図2のIII−III線における断面図であって、ベッド100の縦方向から案内レール5,5を矢視した図に相当する。また、図3では、合計4本ある案内レール5うちのベッド100の縦方向一端側に配設される2本のみ図示しているが、ベッド100の縦方向他端部に配設される残りの2本の案内レール5,5についても、図3に示すものと同様に構成されている。
なお、図3中では、支柱2,2による保持位置にある手摺り3,3を実線で、ベッド床部101の横方向両側縁部における待避位置にある手摺り3,3を2点鎖線で、それぞれ図示している。
図3に示すように、案内レール5,5はそれぞれ中空丸パイプで左右対称に形成されており、ベッド100の横方向(図3左右方向)両側に配設されている。各案内レール5は、各支柱2の上端部からベッド床部101の横方向各端部にかけて設けられ、外方(図3の左右斜め上方)へ向けて湾出される略円弧状の軌道となるように湾曲形成されている。そして、各案内レール5の上端部は支柱2の側面に取着され、各案内レール5の下端部はベッド100の脚部に取着されている。また、各案内レール5には、その外周面から内部と連通するガイド溝5aが開設されており、このガイド溝5aは各案内レール5の軌道に沿って案内レール5の全長方向に連続形成されている。
このように構成された4本の案内レール5,5,5,5及び一対の手摺り3,3によれば、その一対の手摺り3,3がベッド床部101の横方向両側縁部に待避させられている場合、ベッド床部101上で仰臥した利用者が両腕を伸ばすことで、その両手で一対の手摺り3,3が掴まれ把持される。
かかる状態で、利用者が仰臥したまま両腕を胸部上方へ動かせば、一対の手摺り3,3は、案内レール5,5,5,5により案内されて、ベッド100の両側縁部から横方向中央部分までそれぞれ移動されてから、支柱2,2,2,2によりベッド床部101の上方位置で保持される。一対の手摺り3,3をベッド床部101の両側縁部へ戻す場合には、上記した動作とは逆の動作が行われる。
図4は、手摺り3の側面図であり、その軸方向中間部分の図示を一部省略している。図4に示すように、手摺り3は、その軸方向両側端部が左右対称に形成されている。具体的には、手摺り3の軸方向両端面中心から外方へガイド軸13が1本ずつ突出されており、各ガイド軸13の先端部に略球形のランナ14が1個ずつ取着されている。ここで、ガイド軸13は上記した案内レール5のガイド溝5aに貫通可能に形成され、一方、手摺り3のランナ14はその直径が案内レール5の内径より小さくて案内レール5の内部を移動可能に形成されている。
また、手摺り3に取着される補強部材4,4は左右対称形状に形成されており、いずれの補強部材4,4にも、手摺り3の外径方向に手摺り3と間隔を隔てつつガイド軸13と同方向へ突出される平板状の支持板15が設けられている。この支持板15は、手摺り3に鉛直下方の荷重が作用する場合に、その荷重による手摺り3の過剰な撓みを防止するように手摺り3を補強するものである。
図5(a)は、図3に示す支柱2及び案内レール5の部分的拡大図であって、手摺り3及び補強部材4の図示を省略したものであり、図5(b)は、図5(a)のB−B線における縦断面図であって、手摺り3及び補強部材4などを2点鎖線で図示したものである。図5(a)に示すように、支柱2の上端部における側面(図5(a)左側)には案内レール5の一端部が取着されている。この支柱2の内部は、ランナ14の移動通路である案内レール5の内周部と連通されており、ランナ14が収容可能に形成されている。
また、支柱2の前面には支柱2の内部にまで貫通するガイド溝2aが開設されており、このガイド溝2aは案内レール5のガイド溝5aとも連通されている。支柱2のガイド溝2aは、ガイド溝5aから略水平に支柱2の幅方向中央まで延設されており、その先が更に鉛直下方へ曲折されて、手摺り係止部16の受け面16aの手前まで延設されている。
手摺り係止部16は、手摺り3を支柱2の上端部に着脱可能に係止させるため部位であって、その底部に幅方向中央が下側に凹んだ略半円状の円弧面である受け面16aを有している。この受け面16aは手摺り3の軸方向端部の外周面に合致する形状を有しており、この受け面16aに手摺り3の軸方向端部が嵌り込むことで、手摺り3は手摺り係止部16に係止されて、支柱2の上端部に保持される。更に、手摺り係止部16の下方には補強部材4が係合される補強係合部17が設けられている。
図5(b)に示すように、上記した手摺り係止部16及び補強係合部17のいずれも、支柱2の壁面に略コ字形に凹設された凹部であって、手摺り係止部16には、支柱2の内部と連通するガイド溝2aが開設されている。また、支柱2における案内レール5の取着面にはランナ14が通過可能な開口2bが開設されており、この開口2bを通じて案内レール5の内周と支柱2の内部とが連通されている。
上記のように構成された手摺り3、支柱2の手摺り係止部16及び補強係合部17並びに、案内レール5によれば、手摺り3は、ランナ14及びガイド軸13が案内レール5内及びガイド溝5a内を移動することで案内レール5の軌道に沿って昇降移動される。そして、手摺り3を支柱2,2間で保持させる場合には、手摺り3を手で把持して、手摺り3の端部を案内レール5側から手摺り係止部16内へと進入させると、ガイド軸13がガイド溝5aからガイド溝2aへ、ランナ14が開口2bを通過して支柱2の内部へ、補強部材4の支持板15が補助係合部17内へ、それぞれ挿入される。
それから、ガイド軸13をガイド溝2aに沿って移動させるように手摺り3を動かせば、手摺り3がガイド軸13及びガイド溝2aにより案内されて、図5(b)中の2点鎖線で示すように、手摺り3の軸方向端部が手摺り係止部16の受け面16aに嵌め込まれ、支持板15が補助係止部17の底面17aに載置される。これによって、手摺り3はベッド100の縦方向に対向する一組の支柱2,2間に保持される。なお、手摺り3を支柱2の手摺り係止部16から脱着させる場合には、上記とは逆の操作を行えばよい。
ここで、利用者が手摺り3に掴まって手摺り3に鉛直下方へ向けた荷重が作用すると、手摺り3の軸方向端部に荷重やモーメントが作用して、手摺り3が鉛直下方へ撓んで、手摺り3の軸方向端部が手摺り係止部16から外れようとするが、このとき、補強部材4の支持板15が補強係合部17の底面17aや垂直面17bで衝止されることによって、手摺り3の過剰な撓みが防止されて、手摺り3が手摺り係止部16から外れることが防止される。
以上のように構成された手摺りユニット1によれば、一対の手摺り3,3が4本の支柱2,2,2,2によってベッド床部101の上方で保持されると、ベッド床部101に横たわる利用者は、自らの身体を一対の手摺り3,3で支えながらベッド床部101上に起こすことができる。また、利用者は、一対の手摺り3,3を支えにすれば、立ち上がらずともベッド床部101上の移動路11を移動してベッド乗降口12へ向かうことができ、ベッド乗降口12に横付けされる車椅子200へ立ち上がらずに移乗できる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
本発明の一実施例である手摺りユニット及びそれが取り付けられるベッドの側面図である。 図1に示す手摺りユニット及びベッドの平面図である。 図2のIII−III線における断面図である。 手摺りの側面図である。 (a)は、図3に示す支柱及び案内レールの部分的拡大図であり、(b)は、(a)のB−B線における縦断面図である。
符号の説明
1 手摺りユニット(ベッド用手摺り装置)
2,2,2,2 支柱(保持部材、支持部材)
3,3 手摺り(一対の手摺り部材)
5,5,5,5 案内レール(案内レール部材)
6 補助座具
6a 座面
8,8 補助手摺り(一対の補助手摺り部材)
100 ベッド
101 ベッド床部
11 移動路
12 ベッド乗降口
16 手摺り係止部(保持部材の係止部)

Claims (6)

  1. 縦方向を利用者の身長方向に向けて使用されるベッドに併設され、そのベッド床部上で利用者の動作を介助するためのベッド用手摺り装置において、
    ベッドの縦方向へ向けて延設される一対の手摺り部材と、
    その一対の手摺り部材を脱着可能に係止する係止部を有して、その係止部によって前記一対の手摺り部材をベッドの横方向中央部分で略平行に離隔させ且つベッド床部より上方位置で保持する保持部材と、
    その保持部材の前記係止部から前記一対の手摺り部材が脱着された場合に、その一方の手摺り部材を前記保持部材による保持位置とベッド床部の一側縁部との間で昇降可能に案内し、且つ、その他方の手摺り部材を前記保持部材による保持位置とベッド床部の他側縁部との間で昇降可能に案内する案内レール部材と、
    前記保持部材により前記一対の手摺り部材が保持される場合に、その一対の手摺り部材間に設けられベッド床部からベッドの縦方向一端側へと通じる移動路と、
    その移動路とベッドの外部との間を利用者が往来するためにベッドの縦方向一端部に設けられるベッド乗降口とを備えていることを特徴とするベッド用手摺装置。
  2. 前記案内レール部材は、前記一対の手摺り部材がベッド床部の両側縁部にある場合に、その一対の手摺り部材をベッド床部の両側縁部に沿って、そのベッド床部より高い位置で支持するものであることを特徴とする請求項1記載のベッド用手摺装置。
  3. 前記案内レール部材は、ベッドの縦方向から矢視した場合に外方に湾出する弧状の軌道を有しており、その軌道がベッド横方向両側に左右対称に一対設けられており、その一対の軌道に沿って前記一対の手摺り部材を前記保持部材による保持位置とベッド床部の側縁部との間でそれぞれ昇降させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のベッド用手摺装置。
  4. 前記ベッド乗降口からベッド床部の外方へ延設され、そのベッド床部に対して略面一の座面を有する補助座具と、
    その補助座具の横方向両側の上方であって前記一対の手摺り部材の端部から、その一対の手摺り部材の略延長線上に延出される一対の補助手摺り部材とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のベッド用手摺装置。
  5. 前記補助座具をベッドの縦方向一端部にて支持する支持部材を備えており、
    その支持部材には、前記補助座具がベッドの配設側へ向けて折り畳み可能に取着されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のベッド用手摺装置。
  6. 前記一対の補助手摺り部材をベッドの縦方向一端部にて支持する支持部材を備えており、
    その支持部材には、前記一対の補助手摺り部材がベッドの配設側へ向けて折り畳み可能に取着されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のベッド用手摺装置。
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