JP2007005649A - 重ね合わせ測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ウエハのプロセス条件が変化しても、重ね合わせ測定値を高い信頼性で求めることができる重ね合わせ測定装置を提供する。
【解決手段】 基板11の異なる層に形成された第1マークと第2マークの像を形成する結像光学系19〜25と、基板と結像光学系との相対位置を調整し、第1マークと第2マークの焦点合わせを行う手段12,27,28と、焦点合わせの後、相対位置のオフセットおよび/または結像光学系の像面に入射する光の波長域を変化させて光学条件を順に設定する手段12,3B,27と、各光学条件で第1マークと第2マークの画像を取り込み、該画像から重ね合わせずれ量を求める手段27と、オフセットが同じで波長域が異なる複数の光学条件での重ね合わせずれ量のばらつきを、各オフセットごとに求め、該ばらつきが最も小さいオフセットをレシピに登録すべき情報として決定する手段27とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体素子や液晶表示素子などの製造工程において基板の各層の重ね合わせ検査を行う重ね合わせ測定装置に関する。
半導体の製造において、ウエハ上の各プロセスレイヤー間の重ね合わせずれがチップの歩留まりや性能に大きな影響を与えている。この重ね合わせずれ量を測定する重ね合わせ測定装置は良く知られている。この重ね合わせ測定装置の性能を測る指標として、測定値の再現性や、TIS(測定値の正反差)というものがある(例えば非特許文献1を参照)。特に、このTIS値は、フォーカス依存性があることが記載されている(非特許文献1の図5)
SPIE vol.1673 Integrated Circuit Metrology,Inspection,and Process Control VI(1992),Pages148-156
従来の重ね合わせ測定装置では、性能を測る指標としてTISを用いているが、ウエハの処理プロセスが変更されると、これらの指標も変化してしまい、高精度の測定が困難である。
本発明の目的は、ウエハのプロセス条件が変化しても、重ね合わせ測定値を高い信頼性で求めることができる重ね合わせ測定装置を提供することにある。
本発明の重ね合わせ測定装置は、基板の異なる層に形成された互いに所定の位置関係を有する第1マークと第2マークとの像を結像する結像光学系と、前記基板と前記結像光学系との相対位置を調整し、前記第1マークと前記第2マークとに焦点合わせを行う調整手段と、前記焦点合わせの後、前記相対位置のオフセット位置および/または前記結像光学系の像面に入射する光の波長を変化させ、前記オフセット位置と前記波長との複数の異なる組み合わせからなる光学条件を設定する設定手段と、前記設定手段によって設定される各々の前記光学条件で、前記結像光学系を介して前記第1マークと前記第2マークとの画像を取り込み、該画像から前記第1マークと前記第2マークとの重ね合わせずれ量を求める計測手段と、前記オフセット位置が同じで前記波長が異なる複数の前記光学条件で前記計測手段が求めた前記重ね合わせずれ量のばらつきを、各々の前記オフセット位置ごとに求め、該ばらつきが最も小さい前記オフセット位置をレシピに登録すべき情報として決定する決定手段とを備えたものである。
また、本発明の重ね合わせ測定装置は、基板の異なる層に形成された互いに所定の位置関係を有する第1マークと第2マークとの像を結像する結像光学系と、前記基板と前記結像光学系との相対位置を調整し、前記第1マークと前記第2マークとに焦点合わせを行う調整手段と、前記焦点合わせの後、前記相対位置のオフセット位置および/または前記結像光学系の像面に入射する光の波長を変化させ、前記オフセット位置と前記波長との複数の異なる組み合わせからなる光学条件を設定する設定手段と、前記設定手段によって設定される各々の前記光学条件で、前記結像光学系を介して前記第1マークと前記第2マークとの画像を取り込み、該画像から前記第1マークと前記第2マークとの重ね合わせずれ量を求める計測手段と、前記波長が同じで前記オフセット位置が異なる複数の前記光学条件で前記計測手段が求めた前記重ね合わせずれ量のばらつきを、各々の前記波長ごとに求め、該ばらつきが最も小さい前記波長をレシピに登録すべき情報として決定する決定手段とを備えたものである。
さらに、前記決定手段は、前記オフセットが同じで前記波長域が異なる複数の前記光学条件で前記計測手段が求めた前記重ね合わせずれ量のばらつきを、各々の前記オフセットごとに求め、該ばらつきが最も小さい前記オフセットをレシピに登録すべき情報として決定することが好ましい。
また、前記結像光学系の像面に入射する光の波長は、照明系の波長選択フィルタによって選択される波長であることが好ましい。
本発明の重ね合わせ測定装置によれば、ウエハのプロセス条件が変化しても、重ね合わせ測定値を高い信頼性で求めることができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の重ね合わせ測定装置10(図1)は、半導体素子や液晶表示素子などの製造工程において、基板11のレジストパターンの重ね合わせ検査を行う装置である。基板11は、半導体ウエハや液晶基板などであり、レジスト層に対する露光・現像後で、所定の材料膜に対する加工(エッチング処理)前の状態にある。基板11には重ね合わせ検査のために多数の測定点が用意され、各測定点には図2に示す重ね合わせマーク11Aが形成されている。図2(a)は平面図、図2(b)は断面図である。
重ね合わせマーク11Aは、Bar in Bar タイプの二重マークであり、レジストパターンの基準位置を示す正方形状のレジストマーク31と、下地パターンの基準位置を示す正方形状の下地マーク32とで構成される。レジストマーク31と下地マーク32とは、基板11の異なる層に形成され、互いに大きさが異なる。重ね合わせ検査では、各マークの位置検出や、下地マーク32とレジストマーク31との重ね合わせずれ量の測定が行われる。
本実施形態の重ね合わせ測定装置10には、図1に示す通り、基板11を支持するステージ12と、照明光学系(13〜19)と、結像光学系(19〜25)と、CCDカメラ26と、制御部27と、瞳分割方式の焦点検出部28とが設けられる。
ステージ12は、重ね合わせ検査用のレシピに基づいて、基板11を水平方向に移動させ、基板11の各測定点の重ね合わせマーク11A(図2)を順に視野領域内に位置決めする。また、ステージ12は、同様のレシピや焦点検出部28からのフォーカス信号に基づいて、基板11を鉛直方向に移動させ、視野領域内に位置決めされた重ね合わせマーク11AをCCDカメラ26の撮像面に対して合焦させる。
照明光学系(13〜19)は、光源部13と、開口絞り14と、コンデンサーレンズ15と、視野絞り16と、照明リレーレンズ17と、ビームスプリッタ18と、第1対物レンズ19とで構成される。また、光源部13は、波長帯域の広い光(例えば白色光)を射出する光源3Aと、波長切替機構3Bと、レンズ3Cと、ライトガイドファイバ3Dとで構成される。
波長切替機構3Bには、透過特性の異なる複数の光学フィルタが設けられる。光学フィルタの透過波長域は、例えば、(1)530nm〜800nm、(2)530nm〜610nm、(3)530nm〜700nm、(4)700nm〜800nm、(5)470nm〜700nm、(6)470nm〜610nm、(7)470nm〜540nm、(8)610nm〜700nm の8種類である。
波長切替機構3Bの光学フィルタを切り替えて照明光路に挿入することで、光源3Aから射出された広帯域波長の光のうち、光学フィルタの透過特性に応じた所定の波長域の光を選択することができる。波長切替機構3Bの光学フィルタを透過した後の光(所定の波長域の光)は、レンズ3Cとライトガイドファイバ3Dとを介して、開口絞り14に導かれる。
開口絞り14は、光源部13から射出された光の径を特定の径に制限する。コンデンサーレンズ15は、開口絞り14からの光を集光する。視野絞り16は、重ね合わせ測定装置10の視野領域を制限する光学素子である。照明リレーレンズ17は、視野絞り16からの光をコリメートする。ビームスプリッタ18は、照明リレーレンズ17からの光を下向きに(第1対物レンズ19に向けて)反射する。
上記の構成において、光源部13からの光(所定の波長域の光)は、開口絞り14とコンデンサーレンズ15を介して、視野絞り16を均一に照明する。そして、視野絞り16を通過した光は、照明リレーレンズ17を介してビームスプリッタ18に導かれ、その反射透過面で反射した後、第1対物レンズ19に導かれる。第1対物レンズ19は、ビームスプリッタ18からの反射光を入射して、ステージ12上の基板11に集光する。
これにより、ステージ12上の基板11のうち、視野領域内に位置決めされた重ね合わせマーク11A(図2)は、第1対物レンズ19を透過した所定の波長域の光によって垂直に照明される(落射照明)。そして、基板11の照明領域から回折光が発生する。回折光には、0次回折光(つまり反射光)や、±1次回折光などが含まれる。基板11からの回折光は、後述の結像光学系(19〜25)に導かれる。
結像光学系(19〜25)は、第1対物レンズ19と、第2対物レンズ20と、ビームスプリッタ21と、視野絞り22と、第1結像リレーレンズ23と、開口絞り24と、第2結像リレーレンズ25とで構成されている。なお、第1対物レンズ19と第2対物レンズ20との間には、照明光学系(13〜19)のビームスプリッタ18が配置されている。ビームスプリッタ18,21は、光の振幅分離を行うハーフプリズムである。
基板11から発生した回折光は、第1対物レンズ19でコリメートされ、上記のビームスプリッタ18を透過して第2対物レンズ20に入射する。第2対物レンズ20は、ビームスプリッタ18からの回折光を集光する。ビームスプリッタ21は、第2対物レンズ20からの回折光の一部を透過すると共に、残りの一部を反射する。ビームスプリッタ21を透過した光は、焦点検出部28に導かれる。
焦点検出部28は、ステージ12上の基板11のうち視野領域内に位置決めされた重ね合わせマーク11AがCCDカメラ26の撮像面に対して合焦状態にあるか否かを検出するものである。焦点検出部28は、第1リレーレンズ8Aと瞳分割プリズム8Bと第2リレーレンズ8CとAFセンサ8Dとで構成されている。AFセンサ8Dはラインセンサであり、その撮像面には複数の画素が1次元配列されている。
焦点検出部28において、ビームスプリッタ21からの透過光(以下「AF光」)は、第1リレーレンズ8Aによってコリメートされ、瞳分割プリズム8Bに入射する。瞳分割プリズム8B上には、照明光学系(13〜19)の照明開口絞り14の像が形成される。瞳分割プリズム8Bに入射したAF光は、そこで2方向の光に振幅分離された後、第2リレーレンズ8Cを介してAFセンサ8Dの撮像面近傍に集光される。
このとき、AFセンサ8Dの撮像面には、その画素の配列方向(計測方向に相当)に沿って離れた位置に、視野絞り16の2つの像が形成される。そして、AFセンサ8Dは、撮像面に形成された2つの像の結像中心に関する受光信号に基づいて2つの像の結像中心の距離を算出し、予め記憶している合焦状態での距離との差を求めて、フォーカス信号を制御部27に出力する。このような瞳分割方式のAF動作の詳細は、例えば特開2002-40322号公報に記載されている。
焦点検出部28からのフォーカス信号が制御部27に出力されると、制御部27では、フォーカス信号に基づいてステージ12を制御する。そして、基板11を鉛直方向に移動させて、基板11と結像光学系(19〜25)との相対位置を調整する。これにより、視野領域内の重ね合わせマーク11Aの焦点合わせが行われ、重ね合わせマーク11AをCCDカメラ26の撮像面に対して合焦させることができる。
ただし、上記の焦点合わせによって調整された基板11の鉛直方向の位置(AF原点)が重ね合わせ検査に最適とは限らない。したがって、AF原点と重ね合わせ検査に最適な位置とのオフセット(つまりフォーカスオフセット)が予め計測され、重ね合わせ検査用のレシピに登録されている。そして、制御部17は、焦点検出部28からのフォーカス信号に基づく焦点合わせの後にレシピを参照し、フォーカスオフセット分だけステージ12を移動させて、重ね合わせ検査に最適な状態とする。
一方、ビームスプリッタ21で反射した光は、結像光学系(19〜25)の視野絞り22に集光され、第1結像リレーレンズ23に導かれる。第1結像リレーレンズ23は、視野絞り22からの光をコリメートする。開口絞り24は、第1対物レンズ19の仮想瞳面と共役な面に配置され、第1結像リレーレンズ23からの光の径を特定の径に制限する。第2結像リレーレンズ25は、開口絞り24からの光をCCDカメラ26の撮像面に再結像する。
上記の結像光学系(19〜25)では、視野領域内に基板11の重ね合わせマーク11A(図2)が位置決めされているとき、そのマークの光学像をCCDカメラ26の撮像面に形成する。
CCDカメラ26は、その撮像面が結像光学系(19〜25)の像面と一致するように配置される。CCDカメラ26は、複数の画素が2次元配列されたエリアセンサであり、基板11上の重ね合わせマーク11Aの光学像を撮像して、画像信号を制御部27に出力する。画像信号は、CCDカメラ26の撮像面における光学像の各画素ごとの輝度値に関する分布(輝度分布)を表している。
制御部27は、重ね合わせ検査の際に、照明光学系(13〜19)の光源部13の波長切替機構3Bを制御して、基板11への落斜照明光の波長域を設定した後で、CCDカメラ26からの画像信号に基づいて、基板11上の重ね合わせマーク11Aの画像を取り込み、その画像に対して重ね合わせ検査用の画像処理を施す。制御部27による落斜照明光の波長域の設定は、例えばレシピに基づいて行われる。
制御部27による重ね合わせ検査用の画像処理では、重ね合わせマーク11Aを構成するレジストマーク31および下地マーク32の各々の位置検出が行われ、レジストマーク31と下地マーク32との重ね合わせずれ量が算出される。この重ね合わせずれ量は、各マークの重心位置の相対的なずれ量であり、基板11上の下地パターンに対するレジストパターンの重ね合わせずれ量を表している。この重ね合わせずれ量は「重ね合わせ測定値」とも呼ばれる。重ね合わせずれ量の算出時には、WIS(Wafer Induced Shift)と呼ばれる基板起因の測定誤差の補正を行い、エッチング処理後の実際の重ね合わせずれ量に近い値を得ることが好ましい。
また、各マークの重心位置を検出する際には、まず、重ね合わせマーク11Aの画像における信号強度を計測方向に垂直な方向に積分して、図2(c)に示すような信号強度のプロファイルを抽出する。そして、レジストマーク31に対応するエッジ波形31L,31Rとその自己反転波形との重ね合わせ相関を求め、相関値が最大になる位置をレジストマーク31の重心位置とする。下地マーク32に対応するエッジ波形32L,32Rについても同様の演算処理が行われる。
次に、上記のような重ね合わせ検査の際に用いられるレシピの説明を行う。このレシピには様々な情報(測定アルゴリズムなど)が登録され、光学的パラメータとしてはフォーカスオフセットと照明波長が登録されている。制御部17は、レシピのフォーカスオフセットに基づいてステージ12を制御し、基板11の鉛直方向の位置を最適化する。また、制御部17は、レシピの照明波長に基づいて照明光学系(13〜19)の光源部13の波長切替機構3Bを制御し、基板11への落斜照明光の波長域を最適化する。
レシピに登録すべき最適な光学的パラメータ(フォーカスオフセットや照明波長)の決定は、重ね合わせ測定装置10に基板11をロードして、グローバルアライメントマークの登録や測定点の相対位置座標の指定を行った後、図3のフローチャートの手順にしたがって行われる。
重ね合わせ測定装置10の制御部17は、まず(ステップS1)、ステージ12を制御して、視野領域内に基板11の1つの重ね合わせマーク11Aを位置決めする。次に(ステップS2)、焦点検出部28からのフォーカス信号に基づいてステージ12を制御し、重ね合わせマーク11Aの焦点合わせを行い、AF原点に位置決めする。また、重ね合わせマーク11Aの測定枠の指示を行う。
次に(ステップS3)、制御部17は波長切替機構3Bを制御し、上記の光学フィルタ(1)〜(8)のうち任意の1つを照明光路に挿入して、基板11への落斜照明光の波長域を“λ1”に設定する。このとき、結像光学系(19〜25)の像面(CCDカメラ26の撮像面)に入射する光の波長域も同じ“λ1”に設定される。波長域λ1は、例えば上記の光学フィルタ(3)を照明光路に挿入した場合、その透過波長域に対応して530nm〜700nmとなる。
次に(ステップS4)、制御部17はステージ12を制御して、基板11の鉛直方向の位置をAF原点からオフセットさせ、このときのフォーカスオフセットF1と上記の照明波長λ1との組み合わせからなる光学条件の設定を行う。なお、ステップS4における基板11のオフセット動作には「フォーカスオフセット=0」の場合も含まれる。
そして次に(ステップS5)、上記の光学条件(フォーカスオフセットF1と照明波長λ1)とで重ね合わせマーク11Aの画像を取り込み、この画像における信号強度のプロファイルを用いて、上記した重ね合わせ相関の演算を行い、レジストマーク31と下地マーク32との重ね合わせずれ量Δ11を求める。
さらに、上記のステップS4に戻って基板11のオフセットを変化させ、フォーカスオフセットF2とした後、この光学条件(フォーカスオフセットF2と照明波長λ1)で重ね合わせマーク11Aの画像を取り込み、レジストマーク31と下地マーク32との重ね合わせずれ量Δ21を求める。このステップS4,S5の処理は、予め定めた複数のフォーカスオフセットF1〜Fnについて順に行われる。
その後、照明波長λ1とフォーカスオフセットF1〜Fnとの組み合わせからなるn通りの光学条件の各々で重ね合わせずれ量Δ11〜Δ1nの計測を終えると(ステップS6がYes)、制御部17は、上記のステップS3に戻って落斜照明光の波長域を変化させ、照明波長λ2とした後、再びステップS4,S5の処理を繰り返す。このステップS3〜S5の処理は、予め定めた複数の照明波長λ1〜λmについて順に行われる。
このとき、照明波長λ2とフォーカスオフセットF1〜Fnとの組み合わせからなるn通りの光学条件の各々で重ね合わせずれ量Δ21〜Δ2nの計測が行われる。そして、照明波長λ2での計測を終えると、再びステップS3に戻って落斜照明光の波長域を変化させ、ステップS4,S5の処理を繰り返す。
このようにして、照明波長λ1〜λmとフォーカスオフセットF1〜Fnとの組み合わせからなるm×n通りの光学条件の各々で重ね合わせずれ量Δ11〜Δmnの計測を終えると(ステップS7がYes)、制御部17は、次のステップS8の処理に進む。この時点で、制御部17のメモリには、図4(a)に示す通り、照明波長λ1〜λmとフォーカスオフセットF1〜Fnとの組み合わせからなる光学条件に関連づけて、重ね合わせずれ量Δ11〜Δmnが記憶されている。
ステップS8では、図4(a)の点線枠41のように、照明波長が同じでフォーカスオフセットが異なる複数の光学条件で計測された重ね合わせずれ量(例えば照明波長λ2に対応する重ね合わせずれ量Δ2122,…,Δ2n)を選択して、各々の照明波長λ1〜λnごとに、重ね合わせずれ量のばらつきDλ1〜Dλm(図4(b))を求める。ばらつきDλ1〜Dλmとしては、重ね合わせずれ量の変動に関わる指標(例えば最大値と最小値との差や標準偏差など)を求めればよい。そして次のステップS9において、ばらつきDλ1〜Dλmのうち最も小さいもの(例えばDλ2)を選択し、これに対応する照明波長(例えばλ2)を、レシピに登録すべき最適な波長情報として決定する。
さらに、ステップS10では、図4(a)の点線枠42のように、フォーカスオフセットが同じで照明波長が異なる複数の光学条件で計測された重ね合わせずれ量(例えばフォーカスオフセットF2に対応する重ね合わせずれ量Δ1222,…,Δm2)を選択して、各々のフォーカスオフセットF1〜Fnごとに、重ね合わせずれ量のばらつきDF1〜DFn(図4(c))を求める。そして次のステップS11で、ばらつきDF1〜DFnのうち最も小さいもの(例えばDF2)を選択し、これに対応するフォーカスオフセット(例えばF2)を、レシピに登録すべき最適なオフセット情報として決定する。
ここで、フォーカスオフセットF1〜Fnの変化に対して重ね合わせずれ量の変化が小さい照明波長(例えばλ2)ほど信頼性の高い(最も確からしい)重ね合わせずれ量を求めることができ、照明波長λ1〜λnの変化に対して重ね合わせずれ量の変化が小さいフォーカスオフセット(例えばF2)ほど信頼性の高い重ね合わせずれ量を求めることができ、レシピに登録すべき最適な情報となる理由を、以下に説明する。
重ね合わせずれ量を求めるために各マークの重心位置を検出する際には、上記の通り、図2(c)のような信号強度のプロファイルから各マークのエッジ波形(例えばエッジ波形31L,31R)を抽出し、自己反転波形との重ね合わせ相関の演算が行われる。このため、プロファイルのエッジ波形としては、図2(c)のように左右対称な形状が好ましい。これは、図2(b)の下地マーク32のように理想的な断面形状のときである。
しかし、下地マーク32の実際の断面形状は、製造工程の変動に起因して、図5(a)のようにエッジの高さ(段差)が左右で不均一となったり、図6(a)のようにエッジの傾きが左右で不均一となったりすることがある。このような場合には、下地マーク32のエッジ形状の左右不均一の影響を受け、例えば図5(b),図6(b)に示す通り、エッジ波形32L,32Rが歪み、左右非対称になってしまう。また、この歪みも、重ね合わせマーク11Aの基板11上での位置座標や基板11のロットごとに一定せず、様々に変化する。
一方、エッジ波形32L,32Rのコントラストは、照明波長で規格化して議論できる。エッジの高さが空気媒質中換算で照明波長の1/4倍,3/4倍,5/4倍,…のときには、エッジの上側での反射光L1と下側での反射光L2(図7)が反対位相となるため、両者が混じり合うエッジ近傍において最も大きい消光比を得ることができ、エッジ波形32L,32Rにはコントラストの大きなピーク構造が現れる。
エッジの高さが空気媒質中換算で照明波長の1/2倍,1倍,3/2倍,…のときには、エッジの上側での反射光L1と下側での反射光L2(図7)が同位相となるため、両者が混じり合うエッジ近傍における消光比は最も小さくなり、エッジ波形32L,32Rにはコントラストの小さなピーク構造が現れる。
このように、エッジ波形32L,32Rに現れるピーク構造のコントラストは、下地マーク32のエッジの高さと照明波長との関係に依存して変化する。したがって、図5(a)のように下地マーク32のエッジの高さが左右で不均一となっている場合には、左右のエッジごとに、ピーク構造のコントラストの照明波長による変化が異なり、エッジ波形32L,32Rの対称性が照明波長に依存して変化することになる。
また、下地マーク32の観察は複数の透明膜(図2(b)の被加工膜)を介して行われ、エッジの上側での反射光L1と透明膜界面での反射光L3(図6)とが干渉し、エッジの下側での反射光L2と上記の反射光L3とが干渉する。このため、反射光L3との干渉を考慮した反射率は、エッジの上側と下側とで異なると考えられる。そして、この反射率の相違も照明波長に依存して変化する。
コントラストの小さい波形ほど外乱に弱くなるという推測に基づけば、エッジの上側での反射光L1と下側での反射光L2とが反対位相のとき、反射光L1,L2の強度比が1対1に近づくほど干渉の効果は強くなり、エッジ波形32L,32Rの対称性が照明波長に依存して変化する程度(歪みの程度)は小さくなると推測される。また、反射光L1,L2が同位相のときには、反射光L1,L2の強度比が1対1に近づくほど干渉の効果は弱くなり、エッジ波形32L,32Rの対称性が照明波長に依存して変化する程度(歪みの程度)は大きくなると推測される。
さらに、重ね合わせマーク11Aのプロファイルは、基板11と結像光学系(19〜25)との相対位置(つまりフォーカスオフセット)にも依存して変化する。これは、結像光学系(19〜25)の焦点位置にある物体の結像がコントラスト最大になるためである。重ね合わせマーク11Aの中でも部位によって結像光学系(19〜25)の焦点との位置関係が異なり、結像光学系(19〜25)が強調する部分が異なる。したがって、マークが非理想的であるほど、フォーカスオフセットによる重ね合わせずれ量のばらつきは大きくなると推測される。
以上のことから、信頼性の高い(最も確からしい)重ね合わせずれ量を求めるためには、フォーカスオフセットF1〜Fnの変化に対して重ね合わせずれ量の変化が小さい照明波長(例えばλ2)を選択し、また、照明波長λ1〜λnの変化に対して重ね合わせずれ量の変化が小さいフォーカスオフセット(例えばF2)を選択すればよいことが分かる。
したがって、本実施形態の重ね合わせ測定装置10では、図3のステップS9においてばらつきDλ1〜Dλm(図4(b))のうち最も小さいもの(例えばDλ2)を選択し、これに対応する照明波長(例えばλ2)を、レシピに登録すべき最適な波長情報として決定する。また、ステップS11では、ばらつきDF1〜DFn(図4(c))のうち最も小さいもの(例えばDF2)を選択し、これに対応するフォーカスオフセット(例えばF2)を、レシピに登録すべき最適なオフセット情報として決定する。そして図3の処理を終了する。
このように、本実施形態の重ね合わせ測定装置10によれば、視野領域内に1つの重ね合わせマーク11Aを位置決めした状態で、フォーカスオフセットおよび/または照明波長を変化させ、1つの重ね合わせマーク11Aに対してm×n通りの光学条件の各々で重ね合わせずれ量Δ11〜Δmn(図4(a))を計測するため、従来の多点計測を繰り返す方法と比較して遙かに短い時間で簡単に、レシピに登録すべき最適な光学的パラメータ(フォーカスオフセットや照明波長)を決定することができる。
そして、決定した光学パラメータ(フォーカスオフセットや照明波長)をレシピに登録することにより、短時間でレシピの最適化を行うことができる。このため、多品種の製品が流れるラインにおいて、各製品のプロセスごとに最適な光学的パラメータを決定することも可能となる。
プロセスごとに決定された最適な光学パラメータをレシピに登録し、重ね合わせ検査の際に参照することで、常に、信頼性の高い(最も確からしい)重ね合わせずれ量を得ることができる。すなわち、本実施形態の重ね合わせ測定装置10によれば、ウエハのプロセス条件が変化しても、重ね合わせ測定値を高い信頼性で求めることができる。
また、重ね合わせ検査の際に基板11の多数の測定点で求めた重ね合わせずれ量から、露光装置の補正用データ(オフセット成分,スケーリング成分など)として信頼線の高いデータを生成することができ、これを露光装置にフィードバックすることにより製造工程における歩留まり向上に寄与する。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、照明波長λ1〜λmとフォーカスオフセットF1〜Fnとの組み合わせからなるm×n通りの光学条件を順に設定する際、1つの照明波長に対してフォーカスオフセットF1〜Fnを変化させた後、照明波長を変えて再びフォーカスオフセットF1〜Fnを変化させ、同様の処理を繰り返すようにした(図3のステップS3〜7)が、本発明はこれに限定されない。1つのフォーカスオフセットに対して照明波長λ1〜λmを変化させた後、フォーカスオフセットを変えて再び照明波長λ1〜λmを変化させ、同様の処理を繰り返すようにしてもよい。この場合でも、図4(a)と同様、照明波長λ1〜λmとフォーカスオフセットF1〜Fnとの組み合わせからなる光学条件に関連づけて、重ね合わせずれ量Δ11〜Δmnを得ることができる。
さらに、上記した実施形態では、図4(a)に示す重ね合わせずれ量Δ11〜Δmnから、最適な照明波長と最適なフォーカスオフセットとを相互に決定する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。同様の重ね合わせずれ量Δ11〜Δmnから、最適な照明波長のみを決定する場合にも、最適なフォーカスオフセットのみを決定する場合にも、本発明を適用できる。
また、上記した実施形態では、照明光学系(13〜19)の光源部13に波長切替機構3Bを設けたが、本発明はこれに限定されない。同様の波長切替機構を開口絞り14とビームスプリッタ18との間に配置してもよい。さらに、落斜照明光を白色光とし、結像側に波長選択フィルタを配置することも考えられる。この場合でも上記と同様の手順で重ね合わせずれ量の測定を繰り返せばよい。
本実施形態の重ね合わせ測定装置10の全体構成を示す図である。 重ね合わせマーク11Aの構成(a),(b)と、エッジ波形31L,31R,32L,32Rの形状(c)とを説明する図である。 重ね合わせ測定装置10における最適な光学パラメータの決定手順を示すフローチャートである。 最適な光学パラメータを決定する際に、m×n通りの光学条件で計測された重ね合わせずれ量Δ11〜Δmnを説明する図である。 下地マーク32のエッジが左右不均一となった場合の構成(b)と、エッジ波形31L,31R,32L,32Rの形状(c)とを説明する図である。 下地マーク32のエッジが左右不均一となった場合の構成(b)と、エッジ波形31L,31R,32L,32Rの形状(c)とを説明する図である。 下地マーク32のエッジの上側や下側での反射光L1,L2などを説明する図である。
符号の説明
10 重ね合わせ測定装置
11 基板
12 ステージ
13〜19 照明光学系
3B 波長切替機構
19〜25 結像光学系
26 CCDカメラ
27 制御部
28 焦点検出部
31 レジストマーク
32 下地マーク

Claims (4)

  1. 基板の異なる層に形成された互いに所定の位置関係を有する第1マークと第2マークとの像を結像する結像光学系と、
    前記基板と前記結像光学系との相対位置を調整し、前記第1マークと前記第2マークとに焦点合わせを行う調整手段と、
    前記焦点合わせの後、前記相対位置のオフセット位置および/または前記結像光学系の像面に入射する光の波長を変化させ、前記オフセット位置と前記波長との複数の異なる組み合わせからなる光学条件を設定する設定手段と、
    前記設定手段によって設定される各々の前記光学条件で、前記結像光学系を介して前記第1マークと前記第2マークとの画像を取り込み、該画像から前記第1マークと前記第2マークとの重ね合わせずれ量を求める計測手段と、
    前記オフセット位置が同じで前記波長が異なる複数の前記光学条件で前記計測手段が求めた前記重ね合わせずれ量のばらつきを、各々の前記オフセット位置ごとに求め、該ばらつきが最も小さい前記オフセット位置をレシピに登録すべき情報として決定する決定手段とを備えた
    ことを特徴とする重ね合わせ測定装置。
  2. 基板の異なる層に形成された互いに所定の位置関係を有する第1マークと第2マークとの像を結像する結像光学系と、
    前記基板と前記結像光学系との相対位置を調整し、前記第1マークと前記第2マークとに焦点合わせを行う調整手段と、
    前記焦点合わせの後、前記相対位置のオフセット位置および/または前記結像光学系の像面に入射する光の波長を変化させ、前記オフセット位置と前記波長との複数の異なる組み合わせからなる光学条件を設定する設定手段と、
    前記設定手段によって設定される各々の前記光学条件で、前記結像光学系を介して前記第1マークと前記第2マークとの画像を取り込み、該画像から前記第1マークと前記第2マークとの重ね合わせずれ量を求める計測手段と、
    前記波長が同じで前記オフセット位置が異なる複数の前記光学条件で前記計測手段が求めた前記重ね合わせずれ量のばらつきを、各々の前記波長ごとに求め、該ばらつきが最も小さい前記波長をレシピに登録すべき情報として決定する決定手段とを備えた
    ことを特徴とする重ね合わせ測定装置。
  3. 請求項2に記載の重ね合わせ測定装置において、
    前記決定手段は、前記オフセットが同じで前記波長域が異なる複数の前記光学条件で前記計測手段が求めた前記重ね合わせずれ量のばらつきを、各々の前記オフセットごとに求め、該ばらつきが最も小さい前記オフセットをレシピに登録すべき情報として決定する
    ことを特徴とする重ね合わせ測定装置。
  4. 請求項1に記載の重ね合わせ測定装置において、
    前記結像光学系の像面に入射する光の波長は、照明系の波長選択フィルタによって選択される波長である
    ことを特徴とする重ね合わせ測定装置。
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