JP2007004984A - 記録方法及び光ディスク装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の書き換え可能な記録層を有する光ディスクに安定した記録品質で記録を行う。
【解決手段】先ずレイヤL0についてOPC処理を行い、レイヤL0のPCAに最適な記録パワーでダミーデータを記録し(ステップ411〜415)、次にレイヤL1についてOPC処理を行い、レイヤL1のPCAに最適な記録パワーでダミーデータを記録した(ステップ423〜427)後、対象記録層についてOPC処理を行い、最適な記録パワーを求め(ステップ433〜437)、該最適な記録パワーでユーザーデータを対象記録層に記録する(ステップ441)。これにより、対象記録層がいずれの記録層であっても、高い変調度と良好なジッタとを実現することができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、記録方法及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、情報の書き換えが可能な複数の記録層を有する光ディスクに情報を記録する記録方法、及び情報の書き換えが可能な複数の記録層を有する光ディスクに対する情報の記録が可能な光ディスク装置に関する。
近年、デジタル技術の進歩及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽、映画、写真及びコンピュータソフトなどの情報(以下「コンテンツ」ともいう)を記録するための媒体として、DVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクを情報記録の対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
光ディスク装置では、光ディスクのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光の微小スポットを形成することにより情報の記録を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。この光ディスク装置には、光ディスクの記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するために、光ピックアップ装置が設けられている。
通常、光ピックアップ装置は、対物レンズを含み、光源から出射される光束を光ディスクの記録面に導くとともに、記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、前記受光位置に配置された光検出器、及び対物レンズをその光軸方向(以下「フォーカス方向」ともいう)や、トラックの接線方向に直交する方向(以下「トラッキング方向」ともいう)に駆動するためのレンズ駆動装置などを備えている。光検出器からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、対物レンズの位置制御に必要な情報(サーボ情報)を含む信号が出力される。
光ディスクでは、互いに反射率の異なるマーク及びスペースのそれぞれの長さとそれらの組み合わせとによって情報が記録される。
例えば、記録層に特殊合金を含むDVD−RW(DVD−rewritable)及びDVD+RW(DVD+rewritable)などの書き換え可能な光ディスクでは、マークを形成する時には、特殊合金を第1の温度に加熱したのち急冷し、アモルファス(非晶質)状態にしている。一方、スペースを形成する時には、特殊合金を第2の温度(<第1の温度)に加熱したのち徐冷し、結晶状態にしている。これにより、マークではスペースよりも反射率が低くなる。このような特殊合金の温度制御はレーザ光の発光パワーを制御することによって行なわれる。特に、マークを形成するときには、前後のマーク及びスペースによる熱分布の変化を低減させるために、記録ストラテジと呼ばれる発光パワーのパルス形状等に関する規則(方式)に基づいて、発光パワーのパルス形状等を設定している。
そして、光ディスク装置では、記録に際して、光ディスクの目標位置に目標長さのマーク及びスペースがそれぞれ形成されるように、情報の記録に先立って、予め設定されているPCA(Power Calibration Area)と呼ばれる試し書き領域に試し書きを行って、最適な記録パワーを取得している(例えば、非特許文献1参照)。この処理は、OPC(Optimum Power Control)処理と呼ばれている。
ところで、コンテンツの情報量は、年々増加する傾向にあり、光ディスクの記録容量の更なる増加が期待されている。そこで、光ディスクの記録容量を増加させる手段の一つとして、記録層の多層化が考えられ、複数の記録層を有する光ディスク(以下「多層ディスク」ともいう)及び該多層ディスクをアクセス対象とする光ディスク装置の開発が盛んに行われている。そして、多層ディスクにおいても適切な記録パワーを取得することは重要であり、OPC処理について各種提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、現在まだ市販されてはいないが、書き換え可能な多層ディスクでは、例えば記録速度を高速にすると、OPC処理で得られた最適な記録パワーで記録しても、記録品質がばらつくことがあった。
特開2004−310995号公報 ECMA−337「Data Interchange on 120mm and 80mm Optical Disk using +RW Format Capacity: 4.7 and 1.46 Gbytes per Side」12月 2003年
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その目的は、複数の書き換え可能な記録層を有する光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことができる記録方法及び光ディスク装置を提供することにある。
本発明は、第1の観点からすると、第1の記録層と該第1の記録層に隣接する第2の記録層とを含む複数の記録層を有する多層光ディスクにレーザを用いて情報を記録する記録方法であって、前記第1の記録層は記録パワーの校正に用いられる第1の試し書き領域を有し、前記第2の記録層は記録パワーの校正に用いられる第2の試し書き領域を有し、前記第1の試し書き領域及び前記第2の試し書き領域は、前記レーザの照射方向からみて互いに重なり、前記第1の試し書き領域への試し書きに先立って、前記第1の試し書き領域が既記録の場合に、前記第1の試し書き領域を未記録状態とする消去処理を行う工程と;前記第1の試し書き領域への試し書きに先立って、前記第2の試し書き領域が未記録の場合に、前記第2の試し書き領域にデータを記録して前記第2の試し書き領域を既記録状態とする工程と;前記第1の試し書き領域に試し書きを行う工程と;を含む記録方法である。
これによれば、多層光ディスクにおける複数の記録層のうち一の記録層の試し書き領域に試し書きを行うのに先立って、該試し書き領域が既記録の場合には、該試し書き領域に対して消去処理が行われるとともに、該試し書き領域に隣接する試し書き領域が既記録状態とされる。そこで、実際にユーザーデータが記録されるときの状況に合致した最適な記録パワーを求めることができ、その結果、安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
本発明は、第2の観点からすると、複数の記録層を有する多層光ディスクにレーザを用いて情報記録可能な光ディスク装置であって、前記複数の記録層は互いに隣接する第1の記録層と第2の記録層とを含み、前記第1の記録層は記録パワーの校正に用いられる第1の試し書き領域を有し、前記第2の記録層は記録パワーの校正に用いられる第2の試し書き領域を有し、前記第1の試し書き領域及び前記第2の試し書き領域は、前記レーザの照射方向からみて互いに重なり、前記第1の試し書き領域が既記録の場合に、該第1の試し書き領域に対して消去処理を行う消去手段と;前記第2の試し書き領域が未記録の場合に、前記第2の試し書き領域にデータを記録して前記第2の試し書き領域を既記録状態とする既記録化手段と;前記第1の試し書き領域が前記消去手段により消去され、前記第2の試し書き領域が前記既記録化手段により既記録状態とされた後に、前記第1の試し書き領域に試し書きを行う試し書き手段と;備える光ディスク装置である。
これによれば、第1の試し書き領域が既記録の場合には、消去手段によって、第1の試し書き領域に消去処理が行われる。また、既記録化手段によって、第2の試し書き領域が既記録状態とされる。そして、その後、試し書き手段によって、第1の試し書き領域への試し書きが行われる。すなわち、多層光ディスクにおける複数の記録層のうち一の記録層の試し書き領域に試し書きを行うのに先立って、該試し書き領域が既記録の場合には、該試し書き領域に対して消去処理が行われるとともに、該試し書き領域に隣接する試し書き領域が既記録状態とされる。そこで、実際にユーザーデータが記録されるときの状況に合致した最適な記録パワーを求めることができ、その結果、安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
この図1に示される光ディスク装置20は、本発明の一実施形態に係る光ディスク15を回転駆動するスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、該光ピックアップ装置23をスレッジ方向に駆動するシークモータ21、レーザ制御回路24、エンコーダ25、駆動制御回路26、再生信号処理回路28、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、光ディスク装置20は多層ディスクに対応しているものとする。
《光ディスク15の構造》
前記光ディスク15は、片側の面から光束が入射され、一例として、書き換え可能な2つの記録層を有している。すなわち、光ディスク15は、書き換え可能な片面2層ディスクであり、一例として図2に示されるように、光束の入射面に近いほうから順に、基板1a、レイヤL0、接着層7、レイヤL1、基板1bを有している。入射された光束は、基板1a、レイヤL0、及び接着層7を介してレイヤL1に到達するため、基板1a、レイヤL0、及び接着層7は、入射された光束の波長領域で所定の透過性を有する必要がある。
レイヤL0は、光束の入射面に近いほうから順に、下部保護層2a、記録層3a、上部保護層4a、半透過層5、及び中間層6を有している。また、レイヤL1は、光束の入射面に近いほうから順に、下部保護層2b、記録層3b、上部保護層4b、及び反射層8を有している。なお、一例として、光ディスク15は、直径120mmのディスクであるものとする。さらに、一例として、光ディスク15は、DVD系に属する情報記録媒体であるものとする。
前記基板1aの厚さは0.565mmである。この基板1aの材料には、一例としてポリカーボネートが用いられている。
前記下部保護層2aの膜厚は200nmである。この下部保護層2aの材料には、一例としてZnSとSiOとの混合物が用いられている。なお、ここでは、一例としてZnSとSiOとの混合比を80:20(モル比)としている。
前記記録層3aの膜厚は8nmである。この記録層3aの材料には、一例としてIn−Sb−Ge合金が用いられている。
前記上部保護層4aの膜厚は20nmである。この上部保護層4aの材料には、一例としてSiOが用いられている。
下部保護層2a及び上部保護層4aは、記録層3aの熱変形や拡散を抑制するために設けられている。
前記半透過層5の膜厚は8nmである。この半透過層5の材料には、一例としてCuが用いられている。
前記中間層6の膜厚は150nmである。この中間層6の材料には、一例としてITOが用いられている。この中間層6は、記録層近傍の熱を効率的に拡散させるとともに、光の吸収率を補正する機能を有している。
すなわち、レイヤL0の厚さは386nmである。
前記接着層7の厚さは50μmである。この接着層7の材料には、一例としてアクリル系の紫外線硬化型接着剤が用いられている。
前記下部保護層2bの膜厚は100nmである。この下部保護層2bの材料には、一例として上記下部保護層2aと同じZnSとSiOとの混合物が用いられている。
前記記録層3bの膜厚は12nmである。すなわち、記録層3bは、前記記録層3aよりも厚い。この記録層3bの材料には、一例としてGe−In−Sb−Te合金が用いられている。
前記上部保護層4bの膜厚は20nmである。この上部保護層4bの材料には、一例としてSiOが用いられている。
前記反射層8の膜厚は140nmである。この反射層8の材料には、一例としてAgが用いられている。
すなわち、レイヤL1の厚さは272nmである。
前記基板1bの厚さは0.6mmである。この基板1aの材料には、一例としてポリカーボネートが用いられている。
そこで、光ディスク15に入射した光束の一部はレイヤL0で反射され、残りはレイヤL0を透過する。そして、レイヤL0を透過した光束はレイヤL1で反射される。また、各レイヤにはスパイラル状の案内用の溝(グルーブ)が、それぞれ形成されている。
《光ディスク15の製造方法》
(1)基板1aとしての厚さ0.565mmの第1のポリカーボネート板上に、トラックピッチ0.74μmのスパイラル状のグルーブを形成する。このグルーブは、基準走査速度である3.83m/sのときに、ウォブル信号の周期が1.22μsとなるように、4.7μm周期で蛇行(ウォブリング)している。また、蛇行形状は、部分的に位相変調されており、その位相変調部には、アドレス情報、レイヤL0に記録するときの記録パワーを校正するのに用いられる校正情報及びレイヤL0に記録するときに推奨される記録パワー情報などが格納されている。
(2)第1のポリカーボネート板上に形成されたグルーブ上に、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、下部保護層2aとしてのZnSとSiOの混合物膜を形成する。その膜厚は200nmである。なお、膜厚の測定は、エリプソメトリ法と蛍光X線法とを併用して行う。
(3)同様にして、混合物膜上に、記録層3aとしてのIn−Sb−Ge合金膜を形成する。その膜厚は8nmである。
(4)同様にして、In−Sb−Ge合金膜上に、上部保護層4aとしてのSiO膜を形成する。その膜厚は20nmである。
(5)同様にして、SiO膜上に、半透過層5としてのCu膜を形成する。その膜厚は8nmである。
(6)同様にして、Cu膜上に、中間層6としてのITO膜を形成する。その膜厚は150nmである。
このようにして、第1のポリカーボネート板上に、ZnSとSiOの混合物膜、In−Sb−Ge合金膜、SiO膜、Cu膜、及びITO膜が積層されたものを便宜上、L0基板という。
(7)基板1bとしての厚さ0.6mmの第2のポリカーボネート板上に、上記(1)と同様のグルーブを形成する。但し、ここでは、前記位相変調部には、アドレス情報、レイヤL1に記録するときの記録パワーを校正するのに用いられる校正情報及びレイヤL1に記録するときに推奨される記録パワー情報などが格納されている。
(8)第2のポリカーボネート板上に形成されたグルーブ上に、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、反射層8としてのAg膜を形成する。その膜厚は140nmである。
(9)同様にして、Ag膜上に、上部保護層4bとしてのSiO膜を形成する。その膜厚は20nmである。
(10)同様にして、SiO膜上に、記録層3bとしてのGe−In−Sb−Te合金膜を形成する。その膜厚は12nmである。
(11)同様にして、Ge−In−Sb−Te合金膜上に、下部保護層2bとしてのZnSとSiOの混合物膜を形成する。その厚は100nmである。
このようにして、第2のポリカーボネート板上に、Ag膜、SiO膜、Ge−In−Sb−Te合金膜、及びZnSとSiOの混合物膜が積層されたものを便宜上、L1基板という。
(12)L0基板の中間層6と、L1基板の下部保護層2bとに、市販のDVD用接着剤を塗布し、L0基板とL1基板とを貼り合わせる。
(13)L0基板側から紫外線を照射し、接着剤を硬化させる。その接着剤層の厚さは約50μmである。なお、接着剤層の厚さの測定は、分光光度計を用いたいわゆる干渉法で行った。すなわち、ここでは、いわゆるインバーテッドスタック法で光ディスク15を製造している。
《記録層の初期化》
波長が810nmのレーザ光を各記録層に照射し、走査して各記録層を初期化した。ここでは、一例として、照射パワーは、記録層3aに対して700mWとし、記録層3bに対して1600mWとした。また、記録層における光スポットの形状は1(μm)×75(μm)の楕円状とし、走査速度は、3.5m/sとした。なお、光スポットの短軸方向とトラックの接線方向とが一致するようにした。そして、初期化前の各記録層は、アモルファス状態で、透過率が大きいので、初期化に要する時間を短縮するため、先ず記録層3bを初期化し、その後に記録層3aを初期化した。初期化後の反射率は、レイヤL0で8.5%、レイヤL1で7.5%であった。
《校正情報》
記録パワーを校正するのに用いられる校正情報には、Pind、ρ、及びγtargetなどがある(例えば、ECMA−337参照)。ここでは、一例として、レイヤL0では、Pind=33.6mW、ρ=1.25、γtarget=1.4であり、レイヤL1では、Pind=40mW、ρ=1.25、γtarget=1.5である。
《記録ストラテジ情報》
記録ストラテジ情報は、マークの長さnT(n=3〜11、Tは記録チャネルクロックの周期)に応じた発光波形を規定する各種パラメータを含んで構成されている。ここでは、一例として図3(A)〜図6に示されるように、いわゆる2T記録ストラテジが採用されている。なお、図3(A)には3Tマークが形成されるときの発光波形が示され、図3(B)には4Tマークが形成されるときの発光波形が示されている。また、図4(A)には5Tマークが形成されるときの発光波形が示され、図4(B)には6Tマークが形成されるときの発光波形が示されている。6Tマークを超えるTの偶数倍のマークでは、6Tマークと同じパラメータが用いられ、パルス幅Tmpのパルス(いわゆる中間加熱パルス)の数が異なるだけである。図5には7Tマークが形成されるときの発光波形が示されている。7Tマークを超えるTの奇数倍のマークでは、7Tマークと同じパラメータが用いられ、パルス幅Tmpのパルス(いわゆる中間加熱パルス)の数が異なるだけである。図6に各パラメータの値が一例として示されている。
《光ディスク15のディスクレイアウト》
光ディスク15は、一例として図7に示されるように、いわゆるオポジットトラックパス(Opposite track path、以下「OTP」という)方式に対応しているものとする。
すなわち、レイヤL0では、ディスクの内周側から外周側に向かって、リードインゾーン、データゾーン、ミドルゾーンが設けられ、レイヤL1では、ディスクの外周側から内周側に向かって、ミドルゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンが設けられている。そして、レイヤL0では、リードインゾーンからミドルゾーンへ向かって連続して増加する物理アドレスが割り振られ、レイヤL1では、ミドルゾーンからリードアウトゾーンへ向かって連続して増加する物理アドレスが割り振られている。ここでは、レイヤL0におけるデータゾーンの開始アドレスは030000h、終了アドレスは22D7FFhであり、レイヤL1におけるデータゾーンの開始アドレスはDD2800h、終了アドレスはFCFFFFhである。
各レイヤにおけるデータゾーンは、半径位置が24.0mm〜58.0mmの間に設けられている。そして、一例として図8に示されるように、リードインゾーン内にレイヤL0の試し書き領域であるドライブテストゾーンが設けられ、リードアウトゾーン内にレイヤL1の試し書き領域であるドライブテストゾーンが設けられている。各ドライブテストゾーンは、いずれも半径位置が23.4mm〜23.75mmの間に設けられており、光束の入射方向からみると、互いに重なっている。
さらに、一例として図9に示されるように、レイヤL0のミドルゾーン内にレイヤL0の試し書き領域であるドライブテストゾーンが設けられ、レイヤL1のミドルゾーン内にレイヤL1の試し書き領域であるドライブテストゾーンが設けられている。各ドライブテストゾーンは、いずれも半径位置が58.1mm〜58.25mmの間に設けられており、光束の入射方向からみると、互いに重なっている。
すなわち、ここでは、試し書き領域は、各記録層の内周部と外周部とに設けられている。なお、以下では便宜上、ドライブテストゾーンを「PCA(Power Calibration Area)」ともいう。
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15の2つの記録層のうちアクセス対象の記録層(以下「対象記録層」と略述する)にレーザ光を集光するとともに、光ディスク15からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23は、一例として図10に示されるように、光源ユニット51、カップリングレンズ52、偏光ビームスプリッタ54、1/4波長板55、対物レンズ60、集光レンズ58、光検出器としての受光器PD、及び対物レンズ60を駆動するための駆動系ACなどを備えている。
上記光源ユニット51は、光ディスク15に対応する波長(ここでは約660nm)のレーザ光を発光する光源としての半導体レーザLDを含んで構成されている。なお、本実施形態では、光源ユニット51から出射されるレーザ光の最大強度出射方向を+X方向とする。また、一例として光源ユニット51からは偏光ビームスプリッタ54の入射面に平行な偏光(P偏光)の光束が出射されるものとする。
この光源ユニット51の+X側には、前記カップリングレンズ52が配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
前記偏光ビームスプリッタ54は、カップリングレンズ52の+X側に配置されている。この偏光ビームスプリッタ54は、入射する光束の偏光状態に応じてその反射率が異なっている。ここでは、偏光ビームスプリッタ54は、一例としてP偏光に対する反射率が小さく、S偏光に対する反射率が大きくなるように設定されている。すなわち、光源ユニット51から出射された光束の大部分は、偏光ビームスプリッタ54を透過することができる。この偏光ビームスプリッタ54の+X側には、前記1/4波長板55が配置されている。
この1/4波長板55は、入射した光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。1/4波長板55の+X側には、前記対物レンズ60が配置され、1/4波長板55を介した光束を対象記録層に集光する。ここでは、NA(開口数)は0.60である。
前記検出レンズ58は、偏光ビームスプリッタ54の−Z側に配置され、偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐した戻り光束を前記受光器59の受光面に集光する。この受光器59は、再生信号処理回路28にてRF信号、ウォブル信号及びサーボ信号などを検出するのに最適な信号(光電変換信号)を生成するための複数の受光素子(又は受光領域)を含んで構成されている。
前記駆動系ACは、対物レンズ60の光軸方向であるフォーカス方向に対物レンズ60を微少駆動するためのフォーカシングアクチュエータ、及びトラッキング方向に対物レンズ60を微少駆動するためのトラッキングアクチュエータを有している。ここでは、便宜上、対象記録層が記録層2aのときのフォーカス方向に関する対物レンズ60の最適位置を「第1レンズ位置」といい、対象記録層が記録層2bのときのフォーカス方向に関する対物レンズ60の最適位置を「第2レンズ位置」ということとする。
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
光源ユニット51から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、カップリングレンズ52で略平行光となり、偏光ビームスプリッタ54に入射する。この光束の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、1/4波長板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の対象記録層に微小スポットとして集光される。光ディスク15からの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光束として対物レンズ60で再び略平行光とされ、1/4波長板55で往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光束は偏光ビームスプリッタ54に入射する。偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光束は、検出レンズ58を介して受光器PDで受光される。受光器PDでは受光素子(又は受光領域)毎に光電変換され、各光電変換信号はそれぞれ再生信号処理回路28に出力される。
図1に戻り、前記再生信号処理回路28は、前記受光器PDの出力信号(複数の光電変換信号)に基づいて、サーボ信号(フォーカスエラー信号やトラックエラー信号など)、アドレス情報、同期情報及びRF信号などを取得する。ここで得られたサーボ信号は前記駆動制御回路26に出力され、アドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25や駆動制御回路26などに出力される。さらに、再生信号処理回路28は、RF信号に対して復号処理及び誤り検出処理などを行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとして前記バッファマネージャ37を介して前記バッファRAM34に格納する。また、再生データに含まれるアドレス情報はCPU40に出力される。
前記駆動制御回路26は、再生信号処理回路28からのトラックエラー信号に基づいて、トラッキング方向に関する対物レンズ60の位置ずれを補正するための前記トラッキングアクチュエータの駆動信号を生成する。また、駆動制御回路26は、再生信号処理回路28からのフォーカスエラー信号に基づいて、対物レンズ60のフォーカスずれを補正するための前記フォーカシングアクチュエータACの駆動信号を生成する。ここで生成された各アクチュエータの駆動信号は光ピックアップ装置23に出力される。これにより、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。さらに、駆動制御回路26は、CPU40の指示に基づいて、シークモータ21を駆動するための駆動信号、及びスピンドルモータ22を駆動するための駆動信号を生成する。各モータの駆動信号は、それぞれシークモータ21及びスピンドルモータ22に出力される。
前記バッファRAM34には、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納される。このバッファRAM34へのデータの入出力は、前記バッファマネージャ37によって管理されている。
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号はレーザ制御回路24に出力される。
前記レーザ制御回路24は、前記半導体レーザLDの発光パワーを制御する。例えば記録の際には、前記書き込み信号、記録条件、及び半導体レーザLDの発光特性などに基づいて、半導体レーザLDの駆動信号がレーザ制御回路24にて生成される。
前記インターフェース38は、上位装置90(例えば、パソコン)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)、SCSI(Small Computer System Interface)及びUSB(Universal Serial Bus)などの標準インターフェースに準拠している。
前記フラッシュメモリ39には、CPU40にて解読可能なコードで記述された本発明の一実施形態に係るプログラムを含む各種プログラム、及び半導体レーザLDの発光特性などの各種データが格納されている。
前記CPU40は、フラッシュメモリ39に格納されている上記プログラムに従って前記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをRAM41及びバッファRAM34に保存する。
《記録処理》
次に、上位装置90から記録要求があったときの、光ディスク装置20における処理について図11を用いて説明する。図11のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。上位装置90から記録要求コマンドを受信すると、フラッシュメモリ39に格納されている図11のフローチャートに対応するプログラム(以下、「記録処理プログラム」という)の先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
最初のステップ401では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するように駆動制御回路26に指示するとともに、上位装置90から記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。なお、一例として、記録走査速度は9.19m/s(DVDにおける2.4倍速に相当)とする。
次のステップ403では、再生信号処理回路28を介して、光ディスク15に記録されている校正条件及び記録ストラテジ情報を取得する。ここでは、再生信号処理回路28は、レイヤ毎に検出されたウォブル信号を位相復調し、レイヤ毎に校正条件及び記録ストラテジ情報を抽出する。
次のステップ405では、各レイヤにおけるPCAの記録状態を取得する。ここでは、レイヤL0のPCAが未記録であるか既記録であるか、及びレイヤL1のPCAが未記録であるか既記録であるか、が例えば各PCAからの反射光強度などに基づいて検出される。
次のステップ407では、レイヤL0のPCAが既記録であるか否かを判断する。レイヤL0のPCAが未記録であれば、ここでの判断は否定され、ステップ411に移行する。
このステップ411では、前記ステップ403で取得されたレイヤL0における記録ストラテジ情報に基づいて、記録条件を設定する。なお、半導体レーザLDの発光波形を規定する各種パラメータは、前記レーザ制御回路24の不図示のレジスタにセットされる。
次のステップ413では、前記ステップ403で取得されたレイヤL0における校正情報に基づいて、OPC処理を行い、最適な記録パワー(Pwとする)を求める。ここでは、一例として、Pw=42(mW)が得られたものとする。
次のステップ415では、前記ステップ413で求められた最適な記録パワーPwで、レイヤL0のPCAにダミーデータを記録する。
次のステップ421では、レイヤL1のPCAが既記録であるか否かを判断する。レイヤL1のPCAが未記録であれば、ここでの判断は否定され、ステップ423に移行する。
このステップ423では、前記ステップ403で取得されたレイヤL1における記録ストラテジ情報に基づいて、記録条件を設定する。
次のステップ425では、前記ステップ403で取得されたレイヤL1における校正情報に基づいて、OPC処理を行い、最適な記録パワーPwを求める。ここでは、一例として、Pw=50(mW)が得られたものとする。
次のステップ427では、前記ステップ425で求められた最適な記録パワーPwで、レイヤL1のPCAにダミーデータを記録する。
次のステップ431では、記録要求コマンドに含まれている指定アドレスから対象記録層を特定する。
次のステップ433では、対象記録層のPCAを未記録状態とする。具体的には、半導体レーザLDからイレーズパワーのレーザ光を出射し、対象記録層のPCAに照射する。すなわち、いわゆるDC消去を行う。
次のステップ435では、前記ステップ403で取得された対象記録層における記録ストラテジ情報に基づいて、記録条件を設定する。
次のステップ437では、前記ステップ403で取得された対象記録層における校正情報に基づいて、OPC処理を行い、最適な記録パワーPwを求める。
次のステップ439では、前記ステップ437で求められた最適な記録パワーPwで、対象記録層のPCAにダミーデータを記録する。
次のステップ441では、前記ステップ437で求められた最適な記録パワーPwで、対象記録層の要求アドレスにユーザーデータを記録する。そして、ユーザーデータの記録が完了すると、上位装置90に通知し、記録処理を終了する。
なお、前記ステップ407において、レイヤL0のPCAが既記録であれば、ここでの判断は肯定され、前記ステップ421に移行する。
また、前記ステップ421において、レイヤL1のPCAが既記録であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ431に移行する。
なお、図6に示される記録条件で記録したとき、オーバーライト10回(DOW10)では、レイヤL0でのジッタは8.6%、変調度は0.60であり、レイヤL1でのジッタは8.2%、変調度は0.68であった。また、オーバーライト100回(DOW100)では、レイヤL0でのジッタは9.6%であり、レイヤL1でのジッタは8.5%であった。いずれも10%以下であり、再生には問題ないレベルである。なお、ここでは、再生パワーを1.4(mW)、再生走査速度を3.83(m/s)とし、パルステック社製のDVD評価装置ODU1000を用いて評価した。また、変調度及びジッタの詳細については、ECMA−337に記載されている。
ところで、一例として図12に示されるように、レイヤL1において、所定の変調度を得るための記録パワーは、レイヤL0の記録状態によって異なっている。レイヤL0が未記録の場合には、既記録の場合よりも高い記録パワーが必要となる。これは、レイヤL0が未記録の場合の透過率をT、既記録の場合の透過率をT´とすると、T<T´の関係にあることに起因している。なお、レイヤL0が既記録であっても、オーバーライト回数によって、記録パワーが異なっているが、その違いは小さい。
また、一例として図13に示されるように、レイヤL1において、良好なジッタを維持するための記録パワーも、レイヤL0の記録状態によって異なっている。レイヤL0が未記録の場合には、既記録の場合よりも高い記録パワーが必要となる。そして、ジッタの最小値は、レイヤL0が未記録の場合よりも既記録の場合のほうが小さい。
これらのことから、レイヤL0が未記録の場合のレイヤL1における最適な記録パワーをP、レイヤL0が既記録の場合のレイヤL1における最適な記録パワーをP´、とすると、P>P´の関係にある。
また、レイヤL0が未記録の場合のレイヤL1からの反射光強度をR、レイヤL0が既記録の場合のレイヤL1からの反射光強度をR´、とすると、R<R´の関係にある。
さらに、一例として図14に示されるように、レイヤL0での記録パワーによっても、レイヤL1における変調度は変化する。これは、レイヤL0におけるアモルファス状態の領域の大きさが記録パワーによって異なることに起因している。なお、図14では、種々の記録パワーでレイヤL0に記録した後、一定の記録パワーでレイヤL1に記録している。すなわち、高い記録パワーでレイヤL0に記録しておくと、レイヤL1において高い変調度を維持することができる。
本実施形態では、先ずレイヤL0についてOPC処理を行い、レイヤL0のPCAに最適な記録パワーでダミーデータを記録し、次にレイヤL1についてOPC処理を行い、レイヤL1のPCAに最適な記録パワーでダミーデータを記録した後、対象記録層についてOPC処理を行い、最適な記録パワーを求めているため、実際にユーザーデータが記録されるときの状況に合致した最適な記録パワーを求めることができる。
ところで、比較例として、レイヤL0のPCAが未記録のままで、上記と同様にしてレイヤL1でOPC処理を行うと、得られた最適な記録パワーは55(mW)であった。そして、レイヤL0に42(mW)の記録パワーで記録し、さらにレイヤL1に55(mW)の記録パワーで100回のオーバーライトを行ったところ、ジッタ値は11%であった。これは、いわゆるPIエラーが100を超えるレベルに対応し、再生エラーを引き起こすおそれがある。
以上の説明から明らかなように、上記記録処理において、本発明に係る記録方法が実施されている。
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスク装置20によると、書き換え可能な片面2層ディスクであって、試し書き領域が、各記録層に設けられ、隣接する記録層の各試し書き領域が光束の入射方向からみて互いに重なっている光ディスク15にユーザーデータを記録する際に、先ずレイヤL0についてOPC処理を行い、レイヤL0のPCAに最適な記録パワーでダミーデータを記録し、次にレイヤL1についてOPC処理を行い、レイヤL1のPCAに最適な記録パワーでダミーデータを記録した後、対象記録層についてOPC処理を行い、最適な記録パワーを求めている。これにより、光ディスク15の2つの記録層のうちいずれの記録層にユーザーデータが記録される場合であっても、最適な記録パワーを求めることができる。従って、その結果として安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る光ディスク15によると、隣接する記録層の各試し書き領域が光束の入射方向からみて互いに重なっているため、光ディスク15がセットされた光ディスク装置は、実際にユーザーデータが記録されるときの状況に合致した最適な記録パワーを容易に求めることができる。従って、その結果として安定した記録が可能となる。
また、本実施形態に係る光ディスク15によると、校正情報及び記録ストラテジ情報が、いわゆるプリフォーマットされているため、光ディスク15がセットされた光ディスク装置は、迅速に最適な記録パワーを取得することが可能となる。
なお、上記実施形態では、光ディスク15をインバーテッドスタック法で製造する場合について説明したが、これに限らず、いわゆる2P法で製造しても良い。
また、上記実施形態では、光ディスク15の記録層が2層の場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、記録層が3層以上であっても良い。この場合に、例えば、光束の入射面に近いほうからN番目の記録層に情報を記録するときには、(N−1)番目の記録層のPCA及び(N+1)番目の記録層のPCAの少なくとも一方を既記録にしてから、N番目の記録層でOPC処理を行うこととなる。
また、上記実施形態では、光ディスク15の直径が120mmの場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば直径が80mmや30mmであっても良い。
また、上記実施形態では、記録層毎に、各記録層に対応する校正情報及び記録ストラテジ情報が個別に記録されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、いずれかの記録層のみに、各記録層に対応する校正情報及び記録ストラテジ情報が全て記録されていても良い。
また、上記実施形態では、校正情報及び記録ストラテジ情報が記録層毎にそれぞれ設定されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、記録層による違いが小さいときには、例えば平均的な校正情報及び記録ストラテジ情報が設定され、いずれかの記録層に記録されていても良い。
また、上記実施形態において、例えば対応可能な記録速度の範囲が広いときには、記録速度毎に校正情報が設定されていても良い。
また、上記実施形態において、例えば対応可能な記録速度の範囲が広いときには、記録速度毎に記録ストラテジ情報が設定されていても良い。
また、上記実施形態では、隣接する記録層の各試し書き領域が光束の入射方向からみて互いに重なっている場合について説明したが、一部が重なっていても良い。この場合に、全領域の少なくとも50%が重なっているのが好ましく、70%以上が重なっていれば、より好ましい。そして、一部が重なっているときには、その重なっている領域でOPC処理を行うのが好ましい。
また、上記実施形態では、ディスクの内周部と外周部とに試し書き領域をそれぞれ設ける場合について説明したが、これに限らず、内周部及び外周部のいずれかに試し書き領域を設けても良い。
また、上記実施形態では、半径位置が23.4mm〜23.75mmの間にディスク内周部の試し書き領域が設けられている場合について説明したが、上記半径位置に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、半径位置が58.1mm〜58.25mmの間にディスク外周部の試し書き領域が設けられている場合について説明したが、上記半径位置に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、2T記録ストラテジを採用する場合について説明したが、これに限らず、例えば、いわゆる1T記録ストラテジを採用しても良い。
また、上記実施形態では、ディスクレイアウトがOPTに対応する場合について説明したが、これに限らず、PTP(パラレル・トラック・パス)に対応しても良い。
また、上記実施形態における光ディスク15の各層の材料及び厚さは一例であり、これらに限定されるものではない。
(1)前記基板の材料は、ポリオレフィン及びアクリル系樹脂などの他の樹脂やガラスを用いても良い。要するに、光ピックアップ装置23から照射される光束に対して高い透過率を有していれば良い。但し、加工性や製造コストの点から樹脂を用いるのが好ましい。
(2)前記各保護層の材料には無機材料が好ましく、金属や合金の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物の単体あるいは混合物を用いることができる。また、各保護層を多層構造としても良い。なお、各保護層の材料の融点は、記録層3aの材料の融点よりも高いことが必要であり、同時に適切な靭性も必要とされる。さらに、各保護層の材料には入射された光束の波長領域で透過性を有する必要がある。これらの条件を満たす材料としては、ZnS、及びSiO以外に、MgO、Al、SiO、ZnO、InO、SnO、TiO、ZrO、Y、AlN、Si、GaN、GeN、SiC、TiC、TaCなどが挙げられる。
(3)前記下部保護層2aの最適な膜厚は、反射率や記録感度によって決定され、40〜300nmの範囲であることが好ましい。
(4)前記記録層3aは、所定の透過率を確保する必要があるため、記録層が1つの単層ディスクのときよりも膜厚を薄くしなければならない。ところが、相変化材料は、一般的に薄くすると結晶化の速度が遅くなる傾向がある。そこで、高速対応の光ディスク、例えば8倍速(走査速度:27.9m/s)対応の単層のDVD+RWなどで用いられている相変化材料が好ましい。具体的には、In−Sb合金、Ga−Sb合金、Ge−Sb合金に第3の金属を添加したものが挙げられる。
(5)前記上部保護層4aの最適な膜厚は、熱設計によって決定され、4〜50nmの範囲であることが好ましい。
(6)前記半透過層5の材料は、Au、Ag、Al、Cuを主成分とする合金であっても良い。さらに、Au、Ag、Al単体であっても良い。
(7)前記半透過層5の最適な膜厚は、透過率と反射率とから決定され、2nm〜50nmの範囲であることが好ましい。特に、透過率を確保するには、5nm〜15nmの範囲であることがさらに好ましい。15nmを超えるとレイヤL1での反射率の確保が困難となり、5nm未満では、熱の拡散が不十分となり、記録層3aの急冷が阻害され、記録感度の低下、ジッタの悪化を引き起こす確率が高くなる。
(8)前記中間層6の材料は、入射された光束の波長領域で透過性を有するとともに、熱伝導率が高いものであれば良い。例えば、In、SnO、ZnO、Gaの単体又は混合物にドーパントを加えたものが通常用いられる。ドーパントには、Al、Ga、B、In、Y、Sc、F、V、Si、Ge、Ti、Zr、Hf、Sb、Moなどが挙げられる。
(9)前記中間層6の最適な膜厚は熱設計及び光学設計によって決定され、10nm〜300nmの範囲であることが好ましく、50nm〜200nmの範囲がさらに好ましい。
(10)前記反射層8の材料は、Ag、Au、Cu、Alを主成分とする合金であっても良い。また、Au、Cu、Al単体であっても良い。
(11)前記接着層7の材料は、隣接する層を腐食せず、入射された光束の波長領域で透過性を有する材料であれば良い。
(12)前記接着層7の最適な厚さは、層間クロストークや波面収差が所定のレベル以下となるように決定され、40nm〜70nmの範囲であることが好ましい。
また、上記実施形態では、本発明に係るプログラムは、フラッシュメモリ39に記録されているが、他の記録媒体(CD、光磁気ディスク、DVD、メモリカード、USBメモリ、フレキシブルディスク等)に記録されていても良い。この場合には、各記録媒体に対応する再生装置(又は専用インターフェース)を介して本発明に係るプログラムをフラッシュメモリ39にロードすることとなる。また、ネットワーク(LAN、イントラネット、インターネットなど)を介して本発明に係るプログラムをフラッシュメモリ39に転送しても良い。要するに、本発明に係るプログラムがフラッシュメモリ39に格納されていれば良い。
また、上記実施形態では、光ディスク15がDVD系の情報記録媒体の場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、例えば、CD系の書き換え可能な片面多層ディスクや、波長が405nmの光束に対応する書き換え可能な片面多層ディスクであっても良い。この場合に、例えばNA=0.5、λ(波長)=780nmのCDでは、トラックピッチは1.6μmであり、NA=0.65、λ=405nmのHD DVDでは、トラックピッチは0.4μmである。
また、上記実施形態では、光ピックアップ装置が1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。このときには、複数種類の光ディスクのうち少なくとも1種類の光ディスクが書き換え可能な片面多層ディスクであれば良い。
以上説明したように、本発明の記録方法及び光ディスク装置によれば、複数の書き換え可能な記録層を有する光ディスクに安定した記録品質で記録を行うのに適している。
光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 光ディスクの構造を説明するための図である。 図3(A)及び図3(B)は、それぞれ記録ストラテジを説明するための図(その1)である。 図4(A)及び図4(B)は、それぞれ記録ストラテジを説明するための図(その2)である。 記録ストラテジを説明するための図(その3)である。 記録ストラテジを説明するための図(その4)である。 図2の光ディスクのディスクレイアウトを説明するための図である。 図2の光ディスクにおけるPCAを説明するための図(その1)である。 図2の光ディスクにおけるPCAを説明するための図(その2)である。 図1における光ピックアップ装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る記録処理を説明するためのフローチャートである。 レイヤL1の変調度に及ぼすレイヤL0の記録状態の影響を説明するための図である。 レイヤL1のジッタに及ぼすレイヤL0の記録状態の影響を説明するための図である。 レイヤL1の変調度に及ぼすレイヤL0の記録パワーの影響を説明するための図である。
符号の説明
3a…記録層(複数の記録層の1つ)、3b…記録層(複数の記録層の1つ)、15…光ディスク、20…光ディスク装置。

Claims (10)

  1. 第1の記録層と該第1の記録層に隣接する第2の記録層とを含む複数の記録層を有する多層光ディスクにレーザを用いて情報を記録する記録方法であって、
    前記第1の記録層は記録パワーの校正に用いられる第1の試し書き領域を有し、前記第2の記録層は記録パワーの校正に用いられる第2の試し書き領域を有し、前記第1の試し書き領域及び前記第2の試し書き領域は、前記レーザの照射方向からみて互いに重なり、
    前記第1の試し書き領域への試し書きに先立って、前記第1の試し書き領域が既記録の場合に、前記第1の試し書き領域を未記録状態とする消去処理を行う工程と;
    前記第1の試し書き領域への試し書きに先立って、前記第2の試し書き領域が未記録の場合に、前記第2の試し書き領域にデータを記録して前記第2の試し書き領域を既記録状態とする工程と;
    前記第1の試し書き領域に試し書きを行う工程と;を含む記録方法。
  2. 前記第1の試し書き領域に試し書きが行われた後に、前記第1の試し書き領域にデータを記録する工程を、更に含むことを特徴とする請求項1に記載の記録方法。
  3. 前記第2の記録層は、前記レーザの照射方向からみて前記第1の記録層の奥側にある記録層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録方法。
  4. 前記複数の記録層を有する多層光ディスクは、前記レーザの照射方向からみて前記第1の記録層の手前側にあり、前記第1の記録層と隣接する第3の記録層を更に有し、
    前記第3の記録層は記録パワーの校正に用いられる第3の試し書き領域を有し、前記第1の試し書き領域及び前記第3の試し書き領域は、前記レーザの照射方向からみて互いに重なり、
    前記第3の試し書き領域が未記録の場合に、前記第1の試し書き領域に試し書きを行う工程に先立って、前記第3の試し書き領域にデータを記録して前記第3の試し書き領域を既記録状態とする工程を、更に含むことを特徴とする請求項3に記載の記録方法。
  5. 前記データはダミーデータであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録方法。
  6. 複数の記録層を有する多層光ディスクにレーザを用いて情報記録可能な光ディスク装置であって、
    前記複数の記録層は互いに隣接する第1の記録層と第2の記録層とを含み、
    前記第1の記録層は記録パワーの校正に用いられる第1の試し書き領域を有し、前記第2の記録層は記録パワーの校正に用いられる第2の試し書き領域を有し、前記第1の試し書き領域及び前記第2の試し書き領域は、前記レーザの照射方向からみて互いに重なり、
    前記第1の試し書き領域が既記録の場合に、該第1の試し書き領域に対して消去処理を行う消去手段と;
    前記第2の試し書き領域が未記録の場合に、前記第2の試し書き領域にデータを記録して前記第2の試し書き領域を既記録状態とする既記録化手段と;
    前記第1の試し書き領域が前記消去手段により消去され、前記第2の試し書き領域が前記既記録化手段により既記録状態とされた後に、前記第1の試し書き領域に試し書きを行う試し書き手段と;備える光ディスク装置。
  7. 前記試し書き手段により試し書きが行われた後に、前記第1の試し書き領域にデータを記録するデータ記録手段を、更に備えることを特徴とする請求項6に記載の光ディスク装置。
  8. 前記第2の記録層は、前記レーザの照射方向からみて前記第1の記録層の奥側にある記録層であることを特徴とする請求項6又は7に記載の光ディスク装置。
  9. 前記複数の記録層は、前記レーザの照射方向からみて前記第1の記録層の手前側にあり、前記第1の記録層と隣接する第3の記録層を更に有し、
    前記第3の記録層は記録パワーの校正に用いられる第3の試し書き領域を有し、前記第1の試し書き領域及び前記第3の試し書き領域は、前記レーザの照射方向からみて互いに重なり、
    前記試し書き手段は、更に前記第3の試し書き領域が未記録の場合に、前記第1の試し書き領域に試し書きを行うのに先立って、前記第3の試し書き領域にデータを記録して前記第3の試し書き領域を既記録状態とすることを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
  10. 前記データはダミーデータであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の光ディスク装置。
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