JP2007001034A - 複合成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 環境負荷が少なく、かつ熱可塑性エラストマー組成物とポリウレタンとが接着剤なしで強固に接着している複合成形体を提供すること。
【解決手段】 分子中にビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAを有し、かつ、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを有するブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体(イ)もしくはオレフィン系エラストマー(ロ)を主体とした熱可塑性エラストマー100重量部に対し、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーのブロックとが交互に結合した構造を有するブロックポリマー (ハ)を3〜100重量部含有し、(イ)もしくは(ロ)、および(ハ)の割合を、JIS K6253のタイプAデュロメータ硬さで90以下に調整した熱可塑性エラストマー組成物とポリウレタンとの複合成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、環境負荷が少なく、加工が容易で、熱可塑性エラストマー組成物とポリウレタンとが接着剤なしで強固に接着している複合成形体に関する。
ポリオレフィン系やスチレン系エラストマーは、柔軟で、加工性が優れているため、家電製品の部品、玩具、スポーツ用品、日用品などの広い分野において利用されている。また、ポリウレタンは、シート、フィルム、繊維、発泡体などに成形され、防振材、靴底、機械部品、自動車部品、スポーツ用品などの広範な分野において、フィルム、布帛、発泡体等の部材と複合化した形で使用されている。ポリオレフィン系やスチレン系エラストマーとポリウレタン複合体は、塩ビの軟質と硬質の複合体に比べて環境負荷が少なく、それぞれの特徴を活かして自動車、車両材料、建築材料、電気製品、日用品、その他の幅広い用途に利用できる。ポリオレフィン系やスチレン系エラストマーからなる部材とポリウレタンを複合化するに際しては、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーは、極性基を有していないため、一般的な接着剤や両面テープで接着させることが困難である(非特許文献1)。これらのエラストマーにポリオレフィンブロックと親水性ポリマーのブロックとが交互に結合した構造を有するブロックポリマーを配合した組成物を接着剤を使用して各種樹脂と積層して複合体を得る方法がある(特許文献1)。しかし、接着の際に接着剤を塗布しなければならなかった。また、接着剤を塗布する工程を省くため、ポリウレタンとオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーを熱融着する方法も考えられるが、一般的には接着しない。そこで、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーに粘着付与樹脂、アルクリ酸樹脂、無水マレイン酸変性のポリオレフィンやポリウレタンなどを添加して接着する方法がある(特許文献2〜10)。しかし、これらの樹脂の添加では、ポリウレタンとの接着力が不足していたり、製造工程が複雑化する。
「接着ハンドブック」 日本接着学会編 1996年6月28日発行(P922〜P923) 特許2004−161917(特許請求の範囲) 特開2002−340194(特許請求の範囲) 特開2002−178455(特許請求の範囲) 特開2001−139761(特許請求の範囲) 特開2000−129075(特許請求の範囲) 特開平11−198288(特許請求の範囲) 特開平10−273586(特許請求の範囲) 特開平08−3394(特許請求の範囲) 特開平07−126474(特許請求の範囲) 特開平03−234745(特許請求の範囲)
本発明の目的は、従来技術のかかる状況に鑑み、環境負荷が少なく、かつ熱可塑性エラストマー組成物とポリウレタンとが接着剤なしで強固に接着している複合成形体を提供することにある。
上記目的は、分子中にビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAを有し、かつ、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを有するブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体(イ)もしくはオレフィン系エラストマー(ロ)を主体とした熱可塑性エラストマー100重量部に対し、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーのブロックとが交互に結合した構造を有するブロックポリマー (ハ)を3〜100重量部含有し、(イ)もしくは(ロ)、と(ハ)の割合を、JIS K6253のタイプAデュロメータ硬さが90以下である熱可塑性エラストマー組成物とポリウレタンとの複合成形体、とくに両者を熱融着した複合成形体を提供することによって達成される。
環境負荷が少なく、かつ熱可塑性エラストマー組成物とポリウレタンとが接着剤なしで強固に接着している複合成形体を提供することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する水素添加ブロック共重合体(イ)とは、分子中にビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAを2個以上有し、かつ、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体であり、例えば(A−B)(mは2〜10の整数を表す)、(A−B)−A(nは1〜10の整数を表す)、(A−B)−X(Xはカップリング剤残基を表し、mは2〜10の整数を表す)等の構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体などが挙げられる。水素添加ブロック共重合体においては、ビニル芳香族化合物の含有率が5〜75重量%であることが好ましく、10〜65重量%であることがより好ましい。
水素添加前のブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o,mまたはp−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。ビニル芳香族化合物は、単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
また、水素添加前のブロック共重合体を構成する共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルー1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、イソプレン、1,3−ブタジエンまたはこれらの混合物が好ましい。共役ジエン化合物は、単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
水素添加前のブロック共重合体における重合体ブロックBのミクロ構造は特に限定されない。例えば、重合体ブロックBがポリイソプレンからなるブロックである場合には、その1,4結合量が80%以上であることが望ましい。また、重合体ブロックBがポリブタジエンからなるブロックである場合には、その1,4結合量が40%〜80%であることが望ましい。
該水素添加ブロック共重合体における重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合様式は、線状あるいは分岐状、あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。
水素添加ブロック共重合体を製造する際、耐熱性、耐候性の観点から、水素添加前のブロック共重合体における共役ジエン化合物に由来する不飽和二重結合の70%以上を水素添加することが好ましい。水素添加ブロック共重合体における重合体ブロックB中の不飽和二重結合量は、ヨウ素化測定、赤外分光光度計、核磁気共鳴装置等により求められる。
さらに、該水素添加ブロック共重合体は、本発明の趣旨を損なわない限り、分子鎖中に、または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物、アミノ基、エポキシ基などの官能基を含有してもよい。
本発明の水素添加ブロック共重合体には、硬度調整などを目的として、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン樹脂、非芳香族系の鉱物油または非芳香族系の液体もしくは低分子量の合成軟化剤であるゴム用軟化剤のパラフィン系、ナフテン系プロセスオイルが好適に用いられる。このようなスチレン系エラストマー組成物としては、クラレプラスチックス社製「セプトンコンパウンド」、リケンテクノス社製「レオストマー」、三菱化学社製「ラバロン」(いずれも商品名)などが挙げられる。
本発明において使用するオレフィン系エラストマー(ロ)とは、オレフィン系ゴム(a)とプロピレン系重合体(b)とが主成分の組成物が好適である。このようなオレフィン系エラストマーとしては、例えば、三菱化学社製「サーモラン」、三井石油化学社製「ミラストマー」、住友化学社製「住友TPE」、AESジャパン社製「サントプレーン」(いずれも商品名)等の市販品がある。
上記のオレフィン系エラストマー(ロ)の主成分であるオレフィン系ゴム(a)としては、エチレン−プロピレン系共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。これらの中ではEPDMが好ましい。
上記の非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられるが、特にエチリデンノルボルネンが好ましい。オレフィン系ゴム(a)より好ましい具体例としては、エチレン含量が55〜75重量%、非共役ジエン含有量が1〜10重量%のEPDMである。エチレン含量が55重量%未満の場合は押出成形性が低下し、75重量%より多い場合は柔軟性が失われる傾向がある。
一方、オレフィン系エラストマー(ロ)の他の成分であるプロピレン系共重合体(b)としては、特に制限されないが、ポリプロピレン又はプロピレンと炭素数が2以上のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。炭素数が2以上のα−オレフィンの具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルー1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
オレフィン系エラストマー(ロ)において、上記のオレフィン系ゴム(a)とプロピレン系重合体(b)の含有割合は次の通りである。すなわち、両者の合計量に対し、オレフィン系ゴム(a)は、通常20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、プロピレン系重合体(b)は80〜20重量%、好ましくは70〜30重量%である。
オレフィン系エラストマー(ロ)としては、上記割合のオレフィン系ゴム(a)とプロピレン系重合体(b)の混合物を加硫剤の存在下で動的に熱処理したものが好ましい。上記の加硫剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄などが挙げられる。これらの中では、有機過酸化物が好ましい。
本発明のオレフィン系エラストマーには、硬度調整などを目的として、非芳香族系の鉱物油または非芳香族系の液体もしくは低分子量の合成軟化剤であるゴム用軟化剤のパラフィン系、ナフテン系プロセスオイルが可塑剤として好適に用いられる。
これらの熱可塑性エラストマーを使用することにより、柔軟で、かつ環境負荷の少ない熱可塑性エラストマーが得られる。
本発明は、上記熱可塑性エラストマーにポリオレフィンブロックと親水性ポリマーのブロックとが交互に結合した構造を有するブロックポリマー(ハ)を添加することで、ポリウレタンに接着でき、且つ柔軟な熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出した。
ブロックポリマー(ハ)としては、特開2001−278985号公報に記載されているポリマーが挙げられる。例えば、ブロックポリマー(ハ)とは、オレフィンブロックと親水性ポリマーのブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものが挙げられる。ブロックポリマー(ハ)を構成するポリオレフィンのブロックとしては、カルボニル基(好ましくは、カルボキシル基、以下同じ。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン、アミノ基をポリマー両末端に有するポリオレフィンが使用できる。さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン、アミノ基をポリマー片末端に有するポリオレフィンが使用できる。このうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィンが好ましい。
また、ブロックポリマー(ハ)を構成する親水性ポリマーとしては、ポリエーテル、ポリエーテル含有親水性ポリマー、カチオン性ポリマー、およびアニオン性ポリマーが使用できる。より詳細には、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、およびこれらの変性物、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、同セグメントを有するポリエーテルアミドイミド、同セグメントを有するポリエーテルエステル、同セグメントを有するポリエーテルアミド、および同セグメントを有するポリエーテルウレタン、非イオン性分子鎖で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基を分子内に有するカチオン性ポリマー、スルホニル基を有するジカルボン酸と、ジオールまたはポリエーテルとを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個、好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーなどが挙げられる。
具体的には、ポリプロピレンと無水マレイン酸とを反応させて得られる変性ポリプロピレンとポリエチレングリコールとを触媒存在下でエステル化することによって得られるブロックポリマーが好適なものとして挙げられる。このようなブロックポリマー(ハ)としては、三洋化成工業から上市されている商品名「ペレスタット300」などが挙げられる。
ブロックポリマー(ハ)の添加量は、水素添加ブロック共重合体(イ)あるいはオレフィン系エラストマー(ロ)を主体とした熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し、3〜100重量部であることが重要である。3重量部未満では、接着力が不足する。100重量部を超えると可塑剤のオイルがブリードして表面がべとつく。5〜50重量部添加するのが好適である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、耐候性の向上あるいは増量などを目的として、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の無機充填剤を混合することができる。更には、ガラス繊維、カーボン繊維のような無機あるいは有機繊維状物の混合も目的に応じ可能である。この他熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、粘着付与剤、帯電防止剤、発泡剤等の添加も可能である。
本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物としては、硬さが90以下(JIS K6253 タイプAデュロメータ)であることが重要である。90を超える場合はポリウレタンとの接着性に欠ける。特に10〜70の範囲が好適である。このような硬さは、(イ)と(ハ)、または(ロ)と(ハ)の配合割合を適宜選択することにより得られる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法としては、従来公知の方法が特に制限なく用いられる。例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ヘンシェルミキサー、オープンロール、ニーダー等の混練機あるいは混合機を用いて、水素添加ブロック共重合体(イ)あるいはオレフィン系エラストマー(ロ)やブロックポリマー(ハ)等の原料を加熱溶融状態で混練することにより得られる。得られた混合物を従来公知の方法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形で容易に成形体に加工することができる。
本発明によれば、環境負荷の少ない上記熱可塑性エラストマーをポリウレタンと接着する際に、接着剤なしで、熱融着で、容易に複合成形体を得ることができる。
本発明に使用するポリウレタンは、特に制限はなく、ウレタン系熱可塑性エラストマーや発泡硬質ウレタン、発泡軟質ウレタン、ウレタン系塗料など、市販されているものを適宜使用することができる。また、形状についても特に制限はなく、シート状、フィルム状、板状、管状や機能性、意匠性などを高めるための塗装など任意の形状をとり得る。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物とポリウレタンの複合成形体は、用途によって異なるが、従来公知の方法、例えば、共押出、インサート成形、カレンダー成形、発泡成形、塗装等の成形方法で各種用途に有用な複合成形体とすることができる。
実施例1〜2
本発明をより具体的かつ詳細に説明するために以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、本発明により得られる熱可塑性エラストマー組成物の性能評価は以下に示す方法によって、硬さ、手触り、ポリウレタンとの接着性の評価を行った。結果を表1に示した。
二軸押出機(口径46mm、L/D=40)を使用して、表1に示す配合に従って、各構成成分を200℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物(I)を得た。
また、表1の実施例1〜2および比較例1〜6では、水素添加ブロック共重合体(イ)、オレフィン系エラストマー(ロ)、ブロックポリマー(ハ)、鉱物油系軟化剤、オレフィン系樹脂、粘着付与樹脂、ポリウレタンとしてそれぞれ以下のものを使用した。
水素添加ブロック共重合体(イ)
水素添加ブロック共重合体
スチレン含有量30重量%、数平均分子量20万、水添率97%のスチレン−エチレン・プロピレン−スチレントリブロック共重合体
オレフィン系熱エラストマー(ロ)
1.「サントプレン101−55」(商品名、AESジャパン社製)硬さ55(タイプAデェロメータ)
2.「サントプレン103−40」(商品名、AESジャパン社製)硬さ96(タイプAデェロメータ)
鉱物油系軟化剤
「ダイアナプロセスオイルPW−90」(商品名、出光興産社製)
パラフィン系プロセスオイル
オレフィン系樹脂
「ノバッテック ポリプロピレン EA9」 (商品名、日本ポリケム社製)
MFR:0.5g/10分
ブロックポリマー(ハ)
「ペレスタット300」 (商品名、三洋化成工業社製) ポリプロピレンを主体としたポリオレフィンと無水マレイン酸とを反応させて得られる変性ポリオレフィンとポリエチレングリコールを主体としたポリアルキレングリコールとを触媒存在下でエステル化することによって得られるブロックポリマー。
粘着付与樹脂
「アルコンP−100」(商品名、荒川化学工業社製)
ポリウレタン
「クラミロン3190」(商品名、クラレ社製)
発泡ウレタン
「モデラー30」(商品名、ソーラー社製)A液(主材)、B液(硬化剤:MDI系)、C液(触媒)の3成分を混合して使用
a)硬さ
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、単軸押出機(200℃)で、25mm幅×2mm厚みの押出テープを作製し、JIS K6253準拠の方法によるタイプAデェロメータ硬度を測定した。なお、押出機は40φ、L/D=32を用いた。
b)手触り
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を硬さの評価と同様の方法で押出テープを作製し、そのテープを手で触り表面のべとつきを確認した。
○・・・べとつきなし。×・・・べとつきあり。
c)ポリウレタンとの接着性
1.表1に示す熱可塑性エラストマー組成物とポリウレタンをそれぞれ単軸押出機(口径40φ)で溶融させ、共押出により幅20mm、厚み各2mm積層シート(それぞれの厚み1mm)を作製した。その界面を手で剥がし、引張試験機により、それぞれ180度の反対方向に引張り、その剥離強度(N/mm)を測定した。剥離強度を接着性の指標とした。
2.「モデラー30」(商品名、ソーラー社製)A液(主材)、B液(硬化剤:MDI系)、C液(触媒)の3成分を混合して振り混ぜ、発泡ウレタンを作製する。表1に示す熱可塑性エラストマー組成物のペレットを硬さの評価と同様の方法で作製した押出テープ上に発泡ウレタンを注ぎ、1日放置後、発泡ウレタンを剥がしその界面を観察した。
○・・・界面に発泡ウレタンの材破物が残る。
×・・・界面からきれいに発泡ウレタンが剥がれる。
Figure 2007001034
表1に示す配合で熱可塑性エラストマー組成物のペレットを作製した。得られたペレットを用い、上記評価方法a)、b)、c)1、c)2に準じて試験片を作製し、評価を行った。外観はべとつかず、ポリウレタン樹脂、発泡ポリウレタンとの接着性も良好であった。
比較例1および4
表1に示す配合で、実施例1と同様にして、各種物性評価を行った。ポリウレタン樹脂、発泡ポリウレタンとの接着は、剥離強度が不足しており、簡単に剥がれてしまった。ブロックポリマー(ハ)の添加量は、水素添加ブロック共重合体(イ)あるいはオレフィン系エラストマー(ロ)を主体とした熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し、3重量部未満では、接着力が不足する。
比較例2および5
表1に示す配合で、実施例1と同様にして、各種物性評価を行った。外観は良好であったが、ポリウレタン樹脂、発泡ポリウレタンとの接着性が不足していた。硬さが90を超える場合はポリウレタンとの接着性に欠ける。
比較例3
表1に示す配合で、実施例1と同様にして、各種物性評価を行った。スチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマーに粘着付与剤を添加したが、ポリウレタン樹脂、発泡ポリウレタンとの接着は、剥離強度が不足し、簡単に剥がれて効果がなかった。
比較例6
表1に示す配合で、実施例1と同様にして、各種物性評価を行った。ポリウレタンとの接着性は良好であったが、表面がべとついた。ブロックポリマー(ハ)の添加量が、水素添加ブロック共重合体(イ)あるいはオレフィン系エラストマー(ロ)を主体とした熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し、100重量部を超えると可塑剤のオイルがブリードして表面がべとつく。
本発明の複合成形体は、容易に成形できることから、パッキンやコーナー保護材、風呂蓋の他に、自動車、車両材料、建築材料、電気製品、日用品、その他の幅広い用途に用いることができる。

Claims (2)

  1. 分子中にビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAを有し、かつ、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを有するブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体(イ)を主体とした熱可塑性エラストマー100重量部に対し、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーのブロックとが交互に結合した構造を有するブロックポリマー (ハ)を3〜100重量部含有し、かつJISK6253のタイプAデュロメータ硬さが90以下である熱可塑性エラストマー組成物(I)とポリウレタンとの複合成形体。
  2. オレフィン系エラストマー(ロ)を主体とした熱可塑性エラストマー100重量部に対し、ポリオレフィンブロックと親水基ポリマーのブロックとが交互に結合した構造を有するブロックポリマー (ハ)を3〜100重量部含有し、かつJIS K6253のタイプAデュロメータ硬さが90以下である熱可塑性エラストマー組成物(II)とポリウレタンとの複合成形体。
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