JP2007000119A - フェロモン産生植物及びその利用 - Google Patents

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正吾 松本
Kenichi Moto
賢一 本
Yuji Nakano
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Abstract

【課題】 性フェロモンを用いる害虫駆除には、(1)合成品の大量入手の困難性:費用を要し、(2)フェロモン発生剤を害虫の予想される行動範囲をすべて、カバーするようにトラップ又は放散剤(交信かく乱剤)を設置する必要があり、そのためのフェロモン製剤の量及び取り付け労力を要し、(3)フェロモンを標的とする害虫が交配可能な期間、放散を続ける必要があるという問題がある。
【解決手段】 遺伝子組み換え法により性フェロモンを産生できる形質転換植物を作出することに成功し、当該性フェロモン産生植物を用いて、害虫を防除することができた。
【選択図】なし

Description

本願発明は、昆虫、特に鱗翅目(りんしもく)に属する害虫の防除方法に関する。具体的には、鱗翅目に属する害虫を、性フェロモンを用いて、防除する方法に関する。より具体的には、本願発明は、鱗翅目に属する害虫の性フェロモンを植物体により産生させることにより、鱗翅目に属する害虫を大量誘殺又は交信撹乱することにより防除する技術に関する。
1.フェロモン
昆虫の配偶行動に匂いが関与しているらしいことは従来より知られており、古くはファーブルも、オオクジャクヤママユ(ガ)のメスが発する信号によりオスが引きつけられていることを報告している。その信号の正体が具体的に明らかにされたのは、カイコガの研究からである。カイコガの雌が雄を興奮させる匂いを出すことも古くより知られていたが、ブテナント等は1959年にこの匂いの本体の単離に成功し、これをボンビコールと名付けた。その後、ボンビコールの化学構造が(E,Z)-10,12-ヘキサデカジエノール(E10Z12-16:OH)であることは合成的に証明され、このブテナント等の研究を契機として、カールソンとルシャーはカイコガの雌の匂いのように、生物が体の外に分泌放出し、同じ種類に属する別の仲間に独特の行動や生理作用を引き起こす物質をフェロモンと呼ぶことを提唱した。今日、特に性行動を引き起こすフェロモンは性フェロモンと呼ばれている(非特許文献1:玉木佳男著、社団法人日本植物防疫協会 平成7年7月21日発行「虫たちと不思議な匂いの世界」)。現在までに、すでに500種以上の鱗翅目の性フェロモンが同定されている。また、性フェロモンは単一成分で作用するものは少数で、主成分と副成分からなるものが多く、その量比も重要であることがわかってきている。現在、鱗翅目(りんしもく)昆虫の性フェロモンは、その化学構造からタイプ1とタイプ2に大別され、75%を占めるタイプ1はC10〜18の不飽和非環式脂肪族化合物で末端に酸素含有官能基(水酸基、アルデヒド基、またはアセテート基)を有する(非特許文献2:日本農薬学会誌26巻300-304頁)。
2.フェロモンを利用した害虫駆除方法
性フェロモンを利用した実用化技術としては、大量誘殺法(大量誘引法)、発生予察法、交信攪乱法を挙げることができる(非特許文献1、非特許文献3:http://hakusai.co.jp/kimura.htm)。
2−1. 大量誘引法
性フェロモンでオスを誘引し、これをトラップするもので、トラップされたオスは、界面活性剤を添加した水盤や鳥もちなどの粘着板で捕囚され殺される。オスがメスよりも早く発生する種で特に有効である。しかしながら、大量誘殺を成功させるためには、トラップがメスの誘引性と同じ程度であれば、トラップを非常に大量に必要とするといわれている。大量誘殺のためには、具体的には、(1)トラップの誘引性が雌の誘引性よりも著しく高く、(2)雄が雌よりも先に羽化し、この雌雄の羽化日のずれが比較的多く、(3)雄の交尾回数が少ないか、複数回の交尾をしても2回目以降の交尾での受精能力が著しく低く、(4)雌の受精能力が羽化後の経過日数を経るに従って著しく低下し、(5)雌雄の成虫の移動距離を大幅に上回る適用面積を確保できることが必要であるといわれている。
2−2. 交信かく乱法
性フェロモンによるトラップ法は上述したように困難である。そこで、合成した性フェロモンを畑の中に発散させて、あたり一面を充満させることにより、オスに本物のメスのいる場所を見つけなくさせる方法が開発された。現在フェロモンによる防除方法としては一番有効である。すでに実用化されたフェロモン製剤約20種の大多数が、交信攪乱法を利用しているものである。
2−3.発生予察法
性フェロモンでオスを誘引し、害虫が成虫となる時期と発生規模をあらかじめ知ることができる。これにより、より効率的に殺虫剤を散布できるようになるので、殺虫剤の使用量を下げ、間接的に環境保全に貢献できる。
玉木佳男著、社団法人日本植物防疫協会 平成7年7月21日発行「虫たちと不思議な匂いの世界」 日本農薬学会誌26巻300-304頁 http://hakusai.co.jp/kimura.htm
性フェロモンを利用した害虫防除方法の課題
従来からの殺虫剤による害虫駆除は、安全性の面、さらに虫に耐性が生じやすいなどの問題から、性フェロモンを利用した害虫駆除に期待が集まっている。しかしながら、性フェロモンを用いる害虫駆除には次のような問題がある。
(1)合成品の大量入手の困難性:費用を要する。
性フェロモンは、ごく微量で作用するために、害虫から精製することはきわめて困難である。また化学合成も、立体選択的に合成する必要があり、十分な量の合成に費用がかかるという問題がある。
(2)労力:大量使用の必要性:
さらに、現在用いられている交信攪乱法、大量誘殺法とも、フェロモン発生剤を害虫の予想される行動範囲をすべて、カバーするようにトラップ又は放散剤(交信かく乱剤)を設置する必要があり、そのためのフェロモン製剤の量及び取り付け労力が相当なものである。例えば、茶畑でのハマキガの交信かく乱には、2mごとに交信攪乱用製剤を取り付けるという、多数にわたるものであった。ねぎでもヘクタールあたり990本もの製剤を取り付けたことが報告されている。
(3)労力:継続性:
また、フェロモンを標的とする害虫が交配可能な期間、放散を続ける必要がある。このため長期的に放散可能な製剤の開発が要求されるが、元来、揮発性であるフェロモン成分を製剤化することに限界があり、合成性フェロモン製剤では定期的な取替えを行わなくてはならないという労力の問題がある。
本願発明者等は、従来より性フェロモンの生合成に関与する遺伝子を同定し、性フェロモンの生合成酵素を世界に先駆けて明らかにしてきた。
この性フェロモンを遺伝子組み換えにより、労力をかけることなく,安定して大量に産生できないかを検討し、遺伝子組み換え法により性フェロモンを産生できる形質転換植物を作出することに成功した。そして、当該性フェロモン産生植物を用いて、害虫を防除することができることを見出して、本発明を完成させた。
本発明により、(1)性フェロモンを、従来法に比較し、きわめて簡便に,安定して大量に産生でき、(2)しかも、本発明の性フェロモン産生植物を用いて、労力をかけずに、広範囲に、害虫を防除することができるという、極めてすぐれた効果を奏する。
1.性フェロモンの合成経路
タイプIのフェロモン成分は、脂肪酸中間体が段階的に不飽和化及び炭素鎖短縮された後、脂肪酸アシル基の還元的修飾により生合成される。この生合成系では、種々の炭素鎖短縮と部位特異的な不飽和化及び立体特異的不飽和化が、多様な種特異的フェロモンの産生に非常に貢献しているといわれている。具体的には、1)飽和脂肪酸の合成、2)二重結合の導入およびβ−酸化による炭素鎖の短縮、3)アシル基の還元とそれに伴う官能基の形成という順序で合成される。(M.Komoda,S. Inomata, A.Ono, H,Watanabe & T.Ando: Biosci. Biotechnol. Biochem.64,2145−2151)
2.性フェロモンと合成に関与する酵素
飽和脂肪酸を出発物質とした場合、タイプIの性フェロモン合成では、(1)二重結合を導入する不飽和化酵素(デサチュラーゼ)、及び(2)炭素鎖短縮酵素、並びに(3)脂肪酸アシル基還元酵素(4)水酸基の変換酵素が関与する。
例えば、カイコガやクワの害虫であるクワコの性フェロモンであるボンビコールでは、(2)のβ酸化による炭素鎖の短縮工程と(4)の水酸基の変換工程がなく、不飽和化酵素Desat1が上記(1)不飽和化反応に関与し、(3)の脂肪酸還元反応にはpgFAR(pheromone gland fatty-acyl reductase)が関与していることを発明者等がすでに明らかにしてきた(PNAS Vol.100,No.16,pp.9156-9161)。ここで、ボンビコールの生合成経路には不飽和化の工程が2段階あるが、この2つの不飽和化の課程が単一の酵素(Desat1)により担われていることを、本発明者等がすでに明らかにしている(PNAS Vol.101,No.23,pp.8631-8636)。なお、第1番目のZ11不飽和化は種々のガに共通した反応であり、種固有のフェロモン成分に応じたZ11不飽和化に関わる不飽和化酵素は、数種類のガで単離されており、たとえば、Helicoverpa zea (GenBank accession no. AF272342)、Trichoplusia ni (GenBank accession no. AF035375)、などが存在する。また、共役ジエンを生ずる2番目のΔ10,12不飽和化はかなり特異な反応であり、数種のガ類で類似の反応が知られるが、この反応に関与する酵素遺伝子はカイコガでのみ明らかにされている
3.植物体における性フェロモン合成のための手法概要 形質転換植物の育種
植物体は自らの脂肪酸合成系を介して種々の飽和脂肪酸を生合成しており、この飽和脂肪酸を基質として、標的とするガ類害虫の性フェロモン生合成酵素をコードする遺伝子を植物体内に導入して、植物体で、性フェロモンを合成させることができる。
基質としては、植物中の飽和脂肪酸量としては比較的多い、パルミチン酸およびステアリン酸を基質として選択できる。次に、不飽和化酵素としては、性フェロモンによく見られるZ11不飽和化があることから、例えば、Z11不飽和化酵素を選ぶことができる。また脂肪酸還元酵素は、例えば、カイコガ由来のpgFARを用いることができる。
次に、具体的には、カイコガの性フェロモンであるボンビコールを例として説明する。
植物体が自ら合成したパルミチン酸(より正確には、そのチオエステル体、以下同様)にカイコガ由来のDesat1を作用させてパルミチン酸の10,12位に二重結合を導入し、次にpgFARを作用させてアシル基を還元することでボンビコールを産生するように遺伝子導入することで形質転換植物を設計することができる。(図1)
同様に、他の昆虫の性フェロモンの合成についても、パルミチン酸あるいはステアリン酸を基質とし、目的の性フェロモンに変換するように、性フェロモン合成用の不飽和化酵素遺伝子及び脂肪酸還元酵素遺伝子、さらに必要に応じ、末端の水酸基をさらにアセチル化又は酸化してアルデヒド基を生成する酵素遺伝子を植物体内に導入することで、目的性フェロモンを合成する形質転換植物体を設計することができる。なお、以下、長鎖脂肪族誘導体についてE10Z12-16:OHのような略記を行うことがある。これは、ハイフンの前の数字が不飽和結合の位置を示し、数字の前の記号が2重結合のE,Z命名法による立体配置を示し、ハイフンの後の数字が炭素鎖の炭素数を示し、:の後ろは1位の炭素に結合する官能基の種類を示す。したがって、前に例示したE10Z12-16:OHは、(E,Z)-10,12-hexadecadien-1-olとなり、ボンビコールを示す。同様に、Z9-18:OHは、(Z)-9-octadecen-1-olを、Z9-16:OHは(Z)-9-hexadecen-1-olを、Z11-18:OHは(Z)-11-octadecen-1-olを、 Z11-16:OHは(Z)-11-hexecadecen-1-olを示す。
具体的には、第1には、ボンビコール(E10Z12-16:OH)を性フェロモンとして利用している害虫用に、上記と同様にボンビコールを産生する形質転換植物を育種することができる。
第2には、パルミチン酸あるいはステアリン酸にカイコガ由来のZ11不飽和化酵素であるDesat5を作用させZ11-16:AcylあるいはZ11-18:Acylとし、さらにZ11-16:AcylあるいはZ11-18:Acylに対してpgFARを作用させて、Z11-16:OHあるいはZ11-18:OHを産生する形質転換植物を育種することができる。(図2)
第3には、パルミチン酸又はステアリン酸にカイコガ由来のZ9不飽和化酵素であるDesat4を作用させZ9-16:Acyl又はZ9-18:Acylとし、さらにZ9-16:Acyl又はZ9-18:Acylに対してpgFARを作用させて、Z9-16:OH又はZ9-18:OHを産生する形質転換植物を育種することができる。
より具体的には、Z11-16:OH を産生する形質転換植物はInfurcitinea finalis(和名なし)、Chilo infuscatellus(ナイトウツトガ)、Eupsilia quadrilinea(ヨスジノコメキリガ)、Eupsilia transversa(エゾミツボシキリガ)、Xylomyges curialis(和名なし)、Protoschinia scutosa(ヨモギガ)の防除用に使用できる。ボンビコールを産生する形質転換植物は、Bombyx mandarina(クワコガ)の防除用に使用できる。
なお、害虫ごとに、性フェロモン名及び該性フェロモンの植物における産生のために用いることができる酵素名を、それぞれ表1〜3にまとめて以下に示す。
Figure 2007000119
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4.害虫を防除するための性フェロモンを産生する形質転換植物の調製方法
4−1.対象とする害虫:
本発明が対象とする害虫は、フェロモンを分泌する害虫である。具体的には、タイプ1性フェロモンを分泌する鱗翅目に属する害虫で、その成分に、Z9-18:OH、Z9-16:OH、Z11-18:OH、Z11-16:OH又はボンビコールのいずれかが含まれる害虫を上げることができる。
より具体的には、ヒロズコガ科(Tineidae):Infurcitinea albicomella(和名未同定)、Infurcitineafinalis(和名未同定)、
ナガ科(Plutellidae):Plutella xylostella(コナガ)、
アトヒゲコガ科(Acrolepiidae):Acrolepia alliella(ネギコガ)、Acrolepiopsis sapporensis(ネギコガ)、Acrolepiopsis sp(和名未同定)、
メイガ科(Pyralidae),ツトガ亜科(Crambinae):Chilo infuscatellus(ナイトウツトガ)、Chilo partellus(和名未同定)、Chilo zacconius(和名未同定)、
メイガ科(Pyralidae),オオメイガ亜科(Schoenobiinae):Scirpophaga incertulas(イッテンオオメイガ)、
メイガ科(Pyralidae),ノメイガ亜科(Pyraustinae):Diaphania nitidalis(和名未同定)
メイガ科(Pyralidae),マダラメイガ亜科(Phycitinae):Elasmopalpus lignosellus(和名未同定)、
ヤガ科(Noctuidae),カラスヨトウ亜科(Amphipyrinae):Apamea indela(和名未同定)、
Apamea oblonga(イシカリヨトウ)、Apamea sordens(シロミミハイイロヨトウ)、Atypha pulmonaris(和名未同定)、Crymodes devastator(和名未同定)、Gortyna xanthenes(和名未同定)、Helotropa reniformis(和名未同定)、Ipimorpha pleonectusa(和名未同定)、Ipimorpha retusa(ヤナギキリガ)、Macronoctua onusta(和名未同定)、Mesapamea secalis(和名未同定)、Oligia bridghami(和名未同定)、Oligia mactata(和名未同定)、Sesamia calamistis(和名未同定)、Sesamia grisescens(和名未同定)、Sesamia inferens(イネヨトウ)、Sesamia nonagrioides (和名未同定)、Trachea atriplicis(シロスジアオヨトウ)、
ヤガ科(Noctuidae),セダカモクメ亜科(Cuculliinae):Eupsilia quadrilinea(ヨスジノコメキリガ)、Eupsilia transversa(エゾミツボシキリガ)、
ヤガ科(Noctuidae),ヨトウガ亜科(Hadeninae):Anhimella contrahens(和名未同定)、Discestra trifolii(和名未同定)、Hypocoena rufostrigata(和名未同定)、Lacanobia subjuncta(和名未同定)、Leucania commoides(和名未同定)、Leucania multilinea(和名未同定)、Leucania separata(アワヨトウ)(=Pseudaletia separata)、Mamestra blenna(和名未同定)、Mamestra contigua(和名未同定)、Mamestra oleracea(和名未同定)、Mamestra suasa(和名未同定)、
Mamestra thalassina(和名未同定)、Mythimna albipuncta(和名未同定)、Pseudaletia separata(アワヨトウ)、Mythimna unipuncta(和名未同定)、Orthosia munda(スモモキリガ)、Xylomyges curialis(和名未同定)、
ヤガ科(Noctuidae) タバコガ亜科(Heliothinae):Heliothis maritima(ツメクサガ)、Heliothis peltigera(和名未同定)、Protoschinia scutosa(ヨモギガ)、Heliothis phloxiphaga(和名未同定)、Bombyx mandarina(クワコガ)、Coloradia velda(和名未同定)があげられる。
4−2.形質転換をする対象植物
任意の植物を対象とできるが、好適には、食用でない植物、及び/又は駆除の容易な植物が望ましい。また、必要に応じ、ハイブリッドにより2種類の外来遺伝子が揃った場合において植物体が不稔性になる系を利用可能な植物を用いることができる。
具体的には、植物ホルモンの内、ブラシノステロイド、アブシジン酸、ジベレリン、サイトカイニンの生合成および受容体および転写因子の関連遺伝子のアラビドプシスにおける突然変異株、などを選択することもできる。
4−3.植物に導入する性フェロモン産生に関与する遺伝子
植物に導入する遺伝子としては、不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子と脂肪酸還元酵素遺伝子が挙げられる。具体的には、不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子としては、(i)Z11−不飽和化活性及びΔ10,12−不飽和化活性の両者を有するDesat1をコードするカイコ由来のdesat1、(ii)Z9-不飽和化活性を有するDesat4をコードするカイコ由来のdesat4、及び(iii)Z11-不飽和化活性を有するDesat5をコードするカイコ由来のdesat5を挙げることができるが、これ以外にも、蛾由来の性フェロモン合成に関与する不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子であれば使用することができる。また、脂肪酸還元酵素遺伝子としては、具体的には、カイコ由来のpgFAR遺伝子を用いることができる。例えば、上記[表1]記載の害虫のうち、ボンビコール(E10Z12-16:OH)、Z9-16:OH、又はZ11-16:OH若しくはZ11-18:OHを性フェロモンとするものについては、それぞれ、desat1(配列番号3)及びpgFAR遺伝子(配列番号6)、desat4(配列番号4)およびpgFAR遺伝子(配列番号6)、又はdesat5(配列番号5)およびpgFAR遺伝子(配列番号6)を用いることができる。なお、語頭が大文字であるDesat1、Desat4およびDesat5はそれぞれ酵素を表し、語頭が小文字のdesat1 、desat4、及び desat5はそれぞれの遺伝子を表し、Desat1遺伝子、Desat4遺伝子およびDesat5遺伝子と表記されることもある。また、pgFARは酵素を、pgFAR遺伝子はその遺伝子を表す。
ここで、desat1、desat4、 desat5は、PNAS | June 8, 2004 | vol. 101 | no. 23 | 8631-8636の方法で調製することができる。さらに、pgFAR遺伝子は、特開2004−290148に記載の方法で調製することができる。
また、上記、不飽和化酵素をコードする遺伝子、脂肪酸還元酵素をコードする遺伝子、具体的には、desat1、desat4及びdesat5、ならびにpgFAR遺伝子は、それぞれの活性を有する限り変異体を用いることもできる。
さらに、必要に応じ、植物に導入する遺伝子配列中、各コドンを植物でよく使用されるコドンに変更した変異体遺伝子を用いることもできる。
たとえば、不飽和化酵素遺伝子については、desat1、desat4及びdesat5のそれぞれについて:
(1)配列番号3,4、又は5で表される塩基配列からなる不飽和化酵素遺伝子、
(2)配列番号57,58又は59で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列からなり、不飽和化酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる不飽和化酵素変異体遺伝子;
(3)配列番号3,4、又は5で表される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイスする塩基配列を有し、不飽和化酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる不飽和化酵素変異体遺伝子;又は
(4)配列番号3,4、又は5で表される塩基配列に対して、同一性が90%以上、好適には95%以上、更に好適には98%以上である塩基配列を有し、不飽和化酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる不飽和化酵素変異体遺伝子;
が含まれる。
脂肪族アシル還元酵素遺伝子については、
(1)配列番号6で表されるpgFAR遺伝子の塩基配列からなる脂肪族アシル還元酵素遺伝子、
(2)配列番号60で表されるpgFARのアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる脂肪族アシル還元酵素変異体遺伝子;
(3)配列番号6で表されるpgFAR遺伝子の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイスする塩基配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる脂肪族アシル還元酵素変異体遺伝子;又は
(4)配列番号6で表されるpgFAR遺伝子の塩基配列に対して、同一性が90%以上、好適には95%以上、更に好適には98%以上である塩基配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる脂肪族アシル還元酵素変異体遺伝子;が含まれる。
ここで、「数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から40個、好ましくは1から30個、より好ましくは1から20個、より好ましくは1から10個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、DNAをプローブとして使用し、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAの塩基配列を意味し、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNA又は該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2×SSC溶液(1×SSC溶液は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNA等を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989(以下、モレキュラークローニング第2版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987−1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
4−4.性フェロモン産生に関与する遺伝子の発現ベクターの構築
上記性フェロモン産生に関与する遺伝子は、対象植物で機能する発現ベクターに組み込まれる。単一の発現ベクターに、不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子及び脂肪酸還元酵素(具体的にはpgFAR)遺伝子の両者を組み込むこともできるが、好ましくは、不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子と脂肪酸還元酵素遺伝子のそれぞれを別のベクターに組み込むこともできる。
ベクターとしては、植物で遺伝子を発現させることができるベクターであれば、いずれも使用可能であるが、具体的には、例えば、Tiベクター、例えば、pBI101(Clonetch)、バイナリーベクター、例えば、pCAMBIAなど、種々のベクターが使用可能である。
植物で機能するプロモーターとしては、当該対象植物由来のプロモーターであっても、異種由来のものであっても、当該対象植物において機能する限り使用することができる。また、必要に応じ、外部誘導性のプロモーター、組織特異的プロモーターを用いることもできる。プロモーターとしては、上記性フェロモン産生に関与する遺伝子の場合、酵素の基質であるパルミチン酸を大量に含有する未熟種子での高発現を誘導するナタネ未熟種子特異的発現プロモーターNapA promoter( Brassica napus napin gene, promoter and 5' UTR、Josefssonら(1987)J. Biol. Chem. 262, 12196-12201)が有効である。組織非特異性ながら強い発現誘導性を示すプロモーターである、CaMV35、NOS promoter、およびオクトピンシンターゼプロモーター(Frommら(1989)Plant Cell 1: 977)を用いることも出来る。また、緑葉での強い発現を誘導するrbcS promoterやcab promoterを用いることも出来る(Choryら(1991)、Plant Cell,3, 445-459)。 Estradiol inducible promoter(Plant Cell 2000;12:65-80)、pUAS-Gal4 glucocorticoid-inducible promoter(Plant J. 11, 605-612))等を使用することもできる。
不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子及び脂肪酸還元酵素遺伝子は、好適には、マーカー遺伝子、場合により、レポーター遺伝子とともにベクターに組み込まれる。
選抜用マーカーとしては、カナマイシン耐性遺伝子(nptII)、ヒエグロマイシン耐性遺伝子(hptI)、ブレオマイシン耐性遺伝子等を挙げることができる。植物体での発現位置を確認するためのレポーター遺伝子としてルシフェラーゼ、GUS(βグルクロニダーゼ)遺伝子などを挙げることができる。
なお、不飽和化酵素については、好適には、対象植物に由来する小胞体又はマイクロソームへ輸送するシグナル(局在化シグナル)との融合蛋白質をコードするよう構成することが好ましい。具体的には、Cyp51のN末側配列で表されるシグナルペプチドとしては、例えば、N末から40アミノ酸以上を含む配列で表されるシグナルペプチド、又は、Cyp51のN末側配列から40アミノ酸以上を含む配列に対して、95%以上、好適には98%以上の同一性を有し、マイクロソームへの輸送シグナル(又は局在化シグナル)として機能するシグナルペプチドが挙げられる。より具体的にはCyp51のN末側配列40アミノ酸のシグナルペプチドを不飽和化酵素のN末側に融合させた融合タンパク質があげられる。
更に、アデノウイルスE19タンパク質のC末端部分で見つかった小胞体残留シグナルKKXXモチーフ(Teasdale, R. D. & Jackson, M. R. :Annu. Rev. Cell Dev. Biol., 12: 27-54, 1996)を不飽和化酵素のC末側に融合させることもできる。
また、3‘末端側にはターミネーター配列、例えば、nos (nopaline synthase) 3'UTR (polyA signal)"を用いることができる。
4−5.性フェロモン産生に関与する遺伝子の発現ベクターの植物体への導入
前記調製された発現ベクターは、周知の手段、例えば、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法等により、カルス又は胚に導入される。
4-5-1 パーティクルガン法
まず、金粒子(好適には直径1−2μm)に調製された発現ベクターでコーティングし、マイクロキャリアーに接着させる。カルス又は胚をプレートに並べ、パーティクルガン装置で、2回打ち込む。
なお、不飽和化酵素(デサチュラーゼ)と脂肪酸還元酵素のそれぞれを別の発現ベクターに組み込む場合は、それぞれのベクターを同じ個体に導入することもできるが、好ましくは、異なる個体に導入する。
4-5-2 アグロバクテリウム法
性フェロモン産生に関与する遺伝子を導入されたTiプラスミド又はバイナリーベクターを、アグロバクテリウムツメファシエンスに導入する。形質転換されたアグロバクテリウムを、標的遺伝子をカルスに導入することができる。場合によっては、形質転換されたアグロバクテリウムを植物体又は種子に感染させ、得られた植物体で生産される種子集団から回収できる。
4-5-3 エレクトロポレーション法
植物緑葉およびカルスにセルラーゼ処理することにより、プロトプラストを調製する。調製したプロトプラストを標的遺伝子組み換えベクターの共存下、キュベット中のマニトール/MES溶液中で、500V/cm程度の高圧電場を掛け、標的遺伝子をプロトプラストに導入する。
4-5-4 減圧浸潤法
花を付け始めた植物固体に、形質転換アグロバクテリウムのけんだく液に、植物体を浸潤し、減圧する。懸濁液が花内部に浸透し、花で感染し、種子中に形質転換植物種子が得られる。
4−6.植物体の再生
カルスを用いて植物を形質転換させた場合は、遺伝子導入されたカルス又はプロトプラストは、培地中で増殖させ、増殖させたカルスから、再分化培地及び発根誘導培地を用いて、光を照射し植物を再生させる。
4−7.形質転換植物の交配
不飽和化酵素(デサチュラーゼ)と脂肪酸還元酵素のそれぞれを別のベクターに組み込み、それぞれのベクターを異なる個体に導入した場合は、植物体を再生させた後、開花させ、異なるベクターを導入した個体同士で交配する。具体的には、(1)植物の花芽を、抗生物質耐性マーカーを有するデサチュラーゼ遺伝子発現ベクターを含有する液に浸漬し、得られた種子を発芽させ、マーカー遺伝子によりデサチュラーゼ遺伝子が導入された個体を選抜し、成長させて開花させ、(2)同様に、植物の花芽を、抗生物質耐性マーカーを有するpgFAR遺伝子発現ベクターを含有する液に浸漬し、得られた種子を発芽させ、マーカー遺伝子によりpgFAR遺伝子導入された個体を選抜し、成長させて開花させ、(3)デサチュラーゼ遺伝子が導入された個体とpgFAR遺伝子とを人工交配することができる。
そして、得られた、種子から、デサチュラーゼ遺伝子及びpgFAR遺伝子の両者を導入された個体を、再度マーカーにより選抜することができる。
5.性フェロモン産生形質転換植物
5−1.本願発明は、標的害虫に対する性フェロモンを産生する植物を包含する。具体的には、本願発明には、性フェロモン産生に関与する遺伝子を導入した形質転換植物及びその育種方法、性フェロモンを植物が合成できるように必要な遺伝子発現ベクターを導入した形質転換植物及びその育種方法、さらに具体的には、植物に内在する飽和脂肪酸を基質とする性フェロモン合成系を植物体で機能できるように、必要な遺伝子発現ベクターを導入した形質転換植物及びその育種方法が包含される。
5−2.本願発明には、(イ)飽和脂肪酸に二重結合を導入する不飽和化酵素(デサチュラーゼ)、及び(ハ)脂肪酸還元酵素(脂肪族アシル還元酵素)をコードする遺伝子を発現することができる遺伝子発現ベクターを植物体に導入して育種した、標的害虫の性フェロモンを産生する形質転換植物並びにその育種方法が含まれる。具体的には、本発明には、(イ)二重結合を導入する不飽和化酵素(デサチュラーゼ)及び(ハ)脂肪酸還元酵素をコードする遺伝子を発現させる発現ベクターを植物体に導入して育種した、性フェロモンを産生する形質転換植物が含まれる。より具体的には、少なくともdesat1、desat4又はdesat5並びにpgFAR遺伝子を植物に遺伝子導入した育種した形質転換植物及びその育種方法が含まれる。
5−3.本願発明には、植物体内に豊富に存在するパルミチン酸又はステアリン酸(より正確には、それらのチオエステル体)を基質とする性フェロモン合成系遺伝子を植物に導入して育種した標的害虫の性フェロモン産生性植物及びその育種方法が包含される。さらに具体的には、パルミチン酸又はステアリン酸を基質とする不飽和化酵素遺伝子発現ベクター及び脂肪族アシル還元酵素遺伝子発現ベクターを植物に導入して育種した性フェロモン産生性形質転換植物及びその育種方法が包含される。
5−4.さらに具体的には、本願発明には、
(1)不飽和化酵素発現ベクター及びpgFAR遺伝子発現ベクターで形質転換した植物並びにその育種方法が包含される。
(2)CYP51のN末側のシグナル配列を上流側に融合された不飽和化酵素を発現するベクター及びpgFAR遺伝子発現ベクターで形質転換した植物並びにその育種方法が包含される。
(3)より具体的には、(イ)Desat1の上流にCYP51のN末側のシグナル配列を融合した融合タンパク質としてDesat1を発現するDesat1遺伝子発現ベクター及びpgFAR遺伝子発現ベクターで形質転換した植物、(ロ)Desat4の上流にCYP51のN末側のシグナル配列を融合した融合タンパク質としてDesat4を発現するベクター及びpgFAR遺伝子発現ベクターで形質転換した植物、並びに(ハ)Desat5の上流にCYP51のN末側のシグナル配列を融合した融合タンパク質としてDesat5を発現するベクター及びpgFAR遺伝子発現ベクターで形質転換した植物が包含される。
(4)より具体的には、
(ア)Desat1遺伝子又はその変異体遺伝子発現ベクターであって、
CYP51のN末側のシグナル配列をコードする塩基配列からなるシグナル遺伝子及びその下流に、
(i)配列番号3で示される塩基配列からなるDesat1遺伝子、
(ii)配列番号57で示されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列からなり、Desat1酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDesat1変異体遺伝子;
(iii)配列番号3で示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイスする塩基配列を有し、Desat1酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるdesat1変異体遺伝子;又は
(iv)配列番号3で表される塩基配列に対して、同一性が90%以上、好適には95%以上、更に好適には98%以上である塩基配列を有し、不飽和化酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDesat1変異体遺伝子
を含むdesat1又はその変異体発現ベクター、並びに
(イ)pgFAR遺伝子又はその変異体発現ベクターであって、
(i)配列番号6で示される塩基配列からなるpgFAR遺伝子;
(ii)配列番号60で示されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列からなり、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるpgFAR変異体遺伝子;
(iii)配列番号6で示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイスする塩基配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるpgFAR変異体遺伝子;又は
(iv)配列番号6で表される塩基配列に対して、同一性が90%以上、好適には95%以上、更に好適には98%以上である塩基配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる脂肪族アシル還元酵素変異体遺伝子;が含まれるpgFAR遺伝子又はその変異体遺伝子発現ベクターを、
植物に導入してなる性フェロモン産生形質転換植物が含まれる。
また本願発明には、
(ウ)Desat4遺伝子又はその変異体遺伝子発現ベクターであって、
CYP51のN末側のシグナル配列をコードする遺伝子及びその下流に、
(i)配列番号4で示される塩基配列からなるDesat4遺伝子、
(ii)配列番号58で示されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列からなり、Desat4酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるdesat4変異体;
(iii)配列番号4で示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイスする塩基配列を有し、Desat4酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるdesat4変異体;又は
(iv)配列番号4で表される塩基配列に対して、同一性が90%以上、好適には95%以上、更に好適には98%以上である塩基配列を有し、不飽和化酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDesat4変異体遺伝子
を含むdesat4又はその変異体発現ベクター、並びに
(エ)pgFAR遺伝子又はその変異体発現ベクターであって、
(i)配列番号6で示される塩基配列からなるpgFAR遺伝子;
(ii)配列番号60で示されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列からなり、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるpgFAR変異体遺伝子;
(iii)配列番号6で示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイスする塩基配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるpgFAR変異体遺伝子;又は
(iv) 配列番号6で表される塩基配列に対して、同一性が90%以上、好適には95%以上、更に好適には98%以上である塩基配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる脂肪族アシル還元酵素変異体遺伝子; を含むpgFAR遺伝子又はその変異体遺伝子発現ベクターを、
植物に導入してなる性フェロモン産生形質転換植物が含まれる。
また本願発明には、
(オ)Desat5遺伝子又はその変異体発現ベクターであって、
CYP51のN末側のシグナル配列をコードする塩基配列および
(i)配列番号5で示される塩基配列からなるDesat5遺伝子、
(ii)配列番号59で示されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列からなり、Desat5活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDesat5変異体遺伝子;
(iii)配列番号5で示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイスする塩基配列を有し、Desat5活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDesat5変異体遺伝子;又は
(iv)配列番号5で表される塩基配列に対して、同一性が90%以上、好適には95%以上、更に好適には98%以上である塩基配列を有し、不飽和化酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるDesat5変異体遺伝子
を含むdesat5又はその変異体発現ベクター、並びに
(カ)pgFAR又はその変異体遺伝子発現ベクターであって、
(i)配列番号6で示される塩基配列;
(ii)配列番号60で示されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列からなり、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;
(iii)配列番号6で示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイスする塩基配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;又は
(iv)配列番号6で表される塩基配列に対して、同一性が90%以上、好適には95%以上、更に好適には98%以上である塩基配列を有し、脂肪族アシル還元酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる脂肪族アシル還元酵素変異体遺伝子; を含むpgFAR遺伝子又はその変異体遺伝子発現ベクターを、
植物に導入してなる性フェロモン産生形質転換植物が含まれる。
6.性フェロモン産生形質転換植物を用いた害虫防除
標的害虫の性フェロモンを産生する上記5.性フェロモン産生形質転換植物を用いて、当該害虫を(1)大量誘殺法、又は(2)交信攪乱法により駆除することができる。
複数の化合物をブレンドしこれを性フェロモンとする害虫の場合は、形質転換植物が単独のフェロモン成分のみを産生することにより、その周辺の性フェロモン成分のブレンド比を本来とは異なるものにすることによって交信攪乱を引き起こすことができる。また、メスがフェロモンを放出する前にそのうちの単独成分のみをオスに作用させることにより、オスのフェロモン受容能を低下させることができる。
具体的には、標的害虫の性フェロモンを産生する性フェロモン産生植物を、適宜な間隔で、栽培しておくだけで標的害虫を駆除することができる。
より具体的には、害虫の被害が予想されるは田畑に、例えば、1センチメートル〜20メートル、好適には、1センチメートルから5メートル、さらに好適には1センチメートル-3メートル間隔で、性フェロモン産生植物を移植・又は栽培することができる。
また、例えば、芝草のような植物に導入し、時々芝刈り機により芝刈りすることにより、効率的に性フェロモンを大気中に分散させることができる。
シロイヌナズナで、desat1及びpgFAR遺伝子を発現させるための発現ベクターの調製 (なお、本実施例で使用するオリゴヌクレオチドの一覧表を表4として下に掲げる。)
(1)シロイヌナズナ発現用コドン改変desat1 DNA断片(以後、Ds1At)の作製
Ds1Atの部分断片(napA/14DMN/Ds1KKAA/NOSter の1284-1632に相当する部分、以後Ds1At-1)を得るために、4本のオリゴヌクレオチド(Ds1F1、Ds1R1、Ds1F2、Ds1R2)を鋳型とし、1対のプライマー(PstI-Ds1(At)f1、Ds1-347r2)を用いてPCRを行った。PCRはKOD-Plus(Toyobo, Osaka)を使用して行い、その条件はまず94℃にて2分間インキュベート後、さらに3ステップからなる反応(94℃15秒間、45℃で30秒間、68℃1分間)を30サイクル行った。得られたPCR産物をアガロース電気泳動で分離し、目的とする355bpのDNA断片をQuantum prep freeze 'N squeeze DNA gel extraction spin columns(BIO RAD)によりアガロースゲルから精製した。
Ds1Atの部分断片(napA/14DMN/Ds1KKAA/NOSter の1614-1956に相当する部分、以後Ds1At-2)を得るために、4本のオリゴヌクレオチド(Ds1F3、Ds1R3、Ds1F4、Ds1R4)を鋳型とし、1対のプライマー(Ds1-318f2、Ds1-676r2)を用いてPCRを行った。PCR、および目的とする343bpのPCR産物の精製はDs1At-1と同様に行った。
Ds1Atの部分断片(napA/14DMN/Ds1KKAA/NOSter の1937-2297に相当する部分、以後Ds1At-3)を得るために、4本のオリゴヌクレオチド(Ds1F5、Ds1R5、Ds1F6、Ds1R6)を鋳型とし、1対のプライマー(Ds1-647f2、SpeI-Ds1(At)KKAAr1)を用いてPCRを行った。PCR、および目的とする363bpのPCR産物の精製はDs1At-1と同様に行った。
DNA断片Ds1Atを得るために、上記3種類のPCR産物(Ds1At-1、Ds1At-2、Ds1At-3)を鋳型とし、1対のプライマー(PstI-Ds1(At)f1、SpeI-Ds1(At)KKAAr1)を用いてPCRを行った。PCRはサイクル数を20とした以外はDs1At-1と同様に行った。PCR産物はUltra clean PCR purification kit (Mobio)により精製後、Zero blunt(R) TOPO(R) cloning kit for sequencing manual(Invitrogen)に従い、pCR(R)4Blunt-TOPO(R)にクローニングした。Ds1Atの塩基配列に間違いがないことを確認した後、制限酵素PstIおよびSpeIで二重消化し、さらにアガロース電気泳動で分離後、Wizard(R) SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)によりアガロースゲルから Ds1At DNA断片を精製した。
(2)シロイヌナズナ発現用コドン改変pgFAR 遺伝子DNA断片(以後、pgFARAt)の作製
pgFARAtの部分断片(napA-pgFAR-NOSter の1200-1557に相当する部分、以後pgFARAt-1)を得るために、4本のオリゴヌクレオチド(pgFAR-F1、pgFAR-R1、pgFAR-F2、pgFAR-R2)を鋳型とし、1対のプライマー(PstI-pgFAR(At)f2、pgFAR348r2)を用いてPCRを行った。PCR、および目的とする360bpのPCR産物の精製はDs1At-1と同様に行った。
pgFARAtの部分断片(napA-pgFAR-NOSter の1526-1881に相当する部分、以後pgFARAt-2)を得るために、4本のオリゴヌクレオチド(pgFAR-F3、pgFAR-R3、pgFAR-F4、pgFAR-R4)を鋳型とし、1対のプライマー(pgFAR314f2、pgFAR670r2)を用いてPCRを行った。PCR、および目的とする357bpのPCR産物の精製はDs1At-1と同様に行った。
pgFARAtの部分断片(napA-pgFAR-NOSter の1842-2277に相当する部分、以後pgFARAt-3)を得るために、5本のオリゴヌクレオチド(pgFAR-F5、pgFAR-R5、pgFAR-F6、pgFAR-R6、pgFAR-F7)を鋳型とし、1対のプライマー(pgFAR632f2、pgFAR1069r2)を用いてPCRを行った。PCR、および目的とする436bpのPCR産物の精製はDs1At-1と同様に行った。
pgFARAtの部分断片(napA-pgFAR-NOSter の2244-2598に相当する部分、以後pgFARAt-4)を得るために、4本のオリゴヌクレオチド(pgFAR-R7、pgFAR-F8、pgFAR-R8、pgFAR-F9)を鋳型とし、1対のプライマー(pgFAR1034f2、SpeI-pgFAR(At)r2)を用いてPCRを行った。PCR、および目的とする357bpのPCR産物の精製はDs1At-1と同様に行った。
DNA断片pgFARAtを得るために、上記4種類のPCR産物(pgFARAt-1、pgFARAt-2、pgFARAt-3、pgFARAt-4)を鋳型とし、1対のプライマー(PstI-pgFAR(At)f2、SpeI-pgFAR(At)r2)を用いてPCRを行った。PCRはKOD-Plusを使用して行い、その条件はまず94℃にて2分間インキュベート後、さらに3ステップからなる反応(94℃15秒間、45℃で30秒間、68℃84秒間)を20サイクル行った。PCR産物はUltra clean PCR purification kit により精製後、Zero blunt(R) TOPO(R) cloning kit for sequencing manualに従い、pCR(R)4Blunt-TOPO(R)にクローニングした。pgFARAtの塩基配列に間違いがないことを確認した後、制限酵素PstIおよびSpeIで二重消化し、さらにアガロース電気泳動で分離後、Wizard(R) SV Gel and PCR Clean-Up SystemによりアガロースゲルからpgFARAt DNA断片を精製した。
(3)napA プロモーターを有する発現ベクター(pnapA-NOSter)の作製
NOS terminatorを含む植物形質転換遺伝子ベクターpBI121(Clontech)を鋳型とし、1対(NotI-NOSf1、SacI-NOSr1)のプライマーを用いてPCRを行った。PCRはKOD-Plusを使用して行い、その条件はまず94℃にて2分間インキュベート後、さらに3ステップからなる反応(94℃15秒間、45℃で30秒間、68℃1分間)を20サイクル行った。PCR産物をUltra clean PCR purification kit により精製後、制限酵素NotIおよびSpeIにより二重消化し、さらにアガロース電気泳動で分離後、Wizard(R) SV Gel and PCR Clean-Up Systemによりアガロースゲルから精製した。これを前もってNotIおよびSpeIにより二重消化したpBluescriptIISK(+)(Stratagene)にクローニングした。これを以後、pNOSterとする。
Brassica napus(セイヨウアブラナ)のnapA プロモーターを有するベクター(Iwabuchi et al., JBC(2000)Vol.278, No.7, 4603-4610)を鋳型とし、1対(KpnI-napAf1、ApaI-napAr1)のプライマーを用いてPCRを行った。PCRはKOD-Plusを使用して行い、その条件はまず94℃にて2分間インキュベート後、さらに3ステップからなる反応(94℃15秒間、45℃で30秒間、68℃1分間)を20サイクル行った。PCR産物をUltra clean PCR purification kit により精製後、制限酵素KpnIおよびApaIにより二重消化し、さらにアガロース電気泳動で分離後、Wizard(R) SV Gel and PCR Clean-Up System によりアガロースゲルから精製した。これを前もってKpnIおよびApaIにより二重消化したpNOSterにクローニングした。これを以後、pnapA-NOSterとする。
(4)pnapA-DM14N-Ds1KKAA-NOSterの作製
Arabidopsis thaliana(シロイヌナズナ)種子から調製したcDNAを鋳型とし、1対(ApaI-14DMf1、PstI-14DMr1)のプライマーを用いてPCRを行った。PCRはKOD-Plusを使用して行い、その条件はまず94℃にて2分間インキュベート後、さらに3ステップからなる反応(94℃15秒間、45℃で30秒間、68℃1分間)を20サイクル行った。PCR産物をUltra clean PCR purification kitにより精製後、制限酵素ApaIおよびPstIにより二重消化し、さらにアガロース電気泳動で分離後、Wizard(R) SV Gel and PCR Clean-Up Systemによりアガロースゲルから精製した。これを前もってApaIおよびPstIにより二重消化したpnapA-NOSterにクローニングした。さらにこのプラスミドDNAをPstIおよびSpeIで二重消化し、前もってPstIおよびSpeIで二重消化したDs1At DNA断片を挿入した。
(5)pnapA-pgFAR-NOSterの作製
PstIおよびSpeIで二重消化したpgFARAt DNA断片を、前もってPstIおよびSpeIで二重消化したpnapA-NOSterにクローニングした。
(6)GATEWAY用バイナリーベクター 「pGWB1-napA-14DM-Ds1KKAA-NOSter」および「pGWB1-napA-pgFAR-NOSter」の作製
「pnapA-DM14N-Ds1KKAA-NOSter」および「pnapA-pgFAR-NOSter」をそれぞれ鋳型とし、1対(ENTRCCACBskf2、SacI-NOSr1)のプライマーを用いてPCRを行った。PCRはKOD-Plusを使用して行い、その条件はまず94℃にて2分間インキュベート後、さらに3ステップからなる反応(94℃15秒間、45℃で30秒間、68℃150秒間)を15サイクル行った。PCR産物をUltra clean PCR purification kitにより精製後、pENTR Directional TOPO(R) Cloning Kits Manual(Invitrogen)に従い、Gateway用エントリーベクターpENTR/D-TOPO(R)にクローニングした。得られたエントリーベクターはGateway(R)Technology Manual(Invitrogen)に従い、試験管内においてGateway用植物形質転換遺伝子ベクターpGWB1(島根大学遺伝子実験施設・中川強先生から譲渡して頂いたもの)とLR反応を起こさせた後、大腸菌DH5にトランスフォーメーションした。得られた形質転換大腸菌をカナマイシン(最終濃度50μg/ml)およびハイグロマイシン(最終濃度50μg/ml)を含む50mlのLB液体培地で培養後、プラスミドDNAをDNA自動分離装置(PI50、Kurabo)により精製し、200μlのMilliQ水に溶解した。
(7)「pGWB1-napA-pgFAR-NOSter」及び「pnapA-DM14N-Ds1KKAA-NOSter」のアグロバクテリウムへの導入
pGWB1-napA-pgFAR-NOSter溶液 2μlについて、Agrobacterium tumefacience C58 strain コンピテントセル 200μlと混合し、氷上で30min静置した。この混合液の入ったチューブを液体窒素中で1min凍結し、その後、37℃で融解した。続いて、YEP液体培地を1ml添加し、28℃で2時間静置した。これらについて、50μg/mlカナマイシン、50μg/mlハイグロマイシン、100μg/mlリファンピシンを含むYEP寒天プレートに展開塗布し、28℃で3日間静置培養した。出現するコロニーがpGWB1-napA-pgFAR-NOSterが形質転換されたアグロバクテリウムである。
同様にして「pnapA-DM14N-Ds1KKAA-NOSter」もアグロバクテリウムに導入した。
(8)「pGWB1-napA-pgFAR-NOSter」を持つアグロバクテリウムの植物への感染による形質転換植物の作成
pGWB1-napA-pgFAR-NOSterを形質転換したAgrobacterium tumefacienceについて、シングルコロニーから50μg/mlカナマイシン、50μg/mlハイグロマイシン、100μg/mlリファンピシンを含む2ml YEP液体培地中で、28℃で1昼夜培養した後、この培地を50μg/mlカナマイシン、50μg/mlハイグロマイシン、100μg/mlリファンピシンを含む500ml YEP液体培地中で、28℃で1昼夜大量培養した。得られたpGWB1-napA-pgFAR-NOSterを形質転換したAgrobacterium tumefacienceについて、1/2MS植物培養培地、5% Sucrose、0.044μM ベンジルアミノプリンを含む500ml溶液に懸濁する。このアグロバクテリウム液に対して、アラビドプシスコロンビア種の開花初期のつぼみを天地逆にして、浸透させる。15min静置する。この後、登熟する種子にアグロバクテリウムが感染している。
(9)「pnapA-DM14N-Ds1KKAA-NOSter」を持つアグロバクテリウムの植物への感染による形質転換植物の作成
上記(8)と同様にして、「pnapA-DM14N-Ds1KKAA-NOSter」を持つアグロバクテリウムを植物に感染させ、形質転換植物を調製した。
(10)「pGWB1-napA-pgFAR-NOSter」を持つアグロバクテリウムにより形質転換された植物の選抜
pGWB1-napA-pgFAR-NOSterを持つアグロバクテリウムを感染されたアラビドプシス種子について、エタノール滅菌後、50μg/mlカナマイシン、50μg/mlハイグロマイシンを含む1/2MS植物培養用培地(1/2MS、1%アガロース、1.5%シュークロース)に播種する。この種子を22℃で2週間光条件下(100μE)で育種する。白化枯死せず、薬剤耐性を示す個体がpGWB1-napA-pgFAR-NOSter形質転換アラビドプシスであり、土への移植後、オスカイコガへの影響試験に用いる。
(11)「pnapA-DM14N-Ds1KKAA-NOSter」を持つアグロバクテリウムにより形質転換された植物の選抜
上記(10)と同様にして、「pnapA-DM14N-Ds1KKAA-NOSter」を持つアグロバクテリウムにより形質転換された植物を選抜した。
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形質転換植物を用いたオスカイコガへの影響確認試験
pGWB1-napA-14DM-Ds1KKAA-NOSter形質転換アラビドプシスおよびpGWB1-napA-pgFAR-NOSter形質転換アラビドプシスを掛け合わせることにより、14DM-Ds1KKAAおよびpgFARを共発現する形質転換アラビドプシスを得た。この形質転換アラビドプシスの鞘に対し、オスカイコガが独特の配偶行動を解発することを確認した。
ボンビコールの生成経路 Z11-16:OHの生成経路 Z9-16:OHの生成経路

Claims (9)

  1. (イ)不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子を発現可能な発現ベクター及び(ロ)脂肪族アシル還元酵素(脂肪酸還元酵素)遺伝子を発現可能な発現ベクターを植物に導入することを含む、害虫の性フェロモンを産生する形質転換植物の育種方法。
  2. (イ)2重結合を導入する不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子が、desat1若しくその変異体、desat4若しくはその変異体、又はdesat5若しくはその変異体であって、(ロ)脂肪族アシル還元酵素(脂肪酸還元酵素)遺伝子がpgFAR遺伝子又はその変異体である請求項1記載の形質転換植物の育種方法。
  3. 不飽和化酵素遺伝子がマイクロソームへ輸送するシグナル遺伝子に連接され融合蛋白質として発現可能な発現ベクターを用いる請求項1又は2記載の形質転換植物の育種方法。
  4. マイクロソームへ輸送するシグナル遺伝子がCyp51のN末から40アミノ酸以上を含むシグナルをコードする遺伝子である請求項3記載の形質転換植物の育種方法。
  5. (イ)不飽和化酵素(デサチュラーゼ)遺伝子を発現可能な発現ベクターを導入した植物及び(ロ)脂肪族アシル還元酵素(脂肪酸還元酵素)遺伝子を発現可能な発現ベクターを植物に導入した植物を交配することによる、請求項1〜4いずれか1項記載の形質転換植物の育種方法。
  6. 植物がシロイヌナズナである請求項1から5いずれか1項記載の形質転換植物の育種方法。
  7. 性フェロモンが、Z9-18:OH、Z9-16:OH、Z11-18:OH、 Z11-16:OH又はボンビコールである請求項1から6いずれか1項記載の形質転換植物の育種方法。
  8. 請求項1から7いずれか1項記載の方法で育種された形質転換植物。
  9. 請求項8項記載の性フェロモンを産生する形質転換植物を用いる害虫駆除方法。
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