JP4953050B2 - 植物の節特異的遺伝子発現プロモーター、およびその利用 - Google Patents

植物の節特異的遺伝子発現プロモーター、およびその利用 Download PDF

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Description

本発明は、植物の節においてプロモーター活性を有するDNA、および該DNAを利用し、植物の節において外来遺伝子を発現させる方法に関する。
イネ等の作物に半矮性形質を導入すると、倒伏しにくくなり、耐肥性が増す。また、半矮性形質の導入は茎葉に対する子実の割合が高くなるために、より多収性となる。実際、緑の革命で知られるように、イネや小麦における半矮性品種の導入は単位面積あたりの収量を画期的に向上させた。
ジベレリンは草丈の制御にかかわる植物ホルモンの一種であり、緑の革命に利用された半矮性遺伝子がジベレリンのシグナリングや生合成に関わる遺伝子をコードすることが明らかとされている(非特許文献1、2)。このことは人為的に内生ジベレリン量をコントロールしてやれば、半矮性作物を作出することが可能であることを示しており、イネにGA2酸化酵素遺伝子(OsGA2ox1)を遺伝子導入することにより、矮性植物の作出が可能であることが示された(非特許文献3、4)。GA2酸化酵素は活性型ジベレリン及びその前駆体を不活性型に代謝する酵素であり、GA2酸化酵素の遺伝子はイネでもクローニングされている(非特許文献3)。一方、ジベレリンは茎葉伸長を制御するのみならず、発芽や花芽形成など多くの生理現象の制御に関わるため、アクチンプロモーターにより構成的にOsGA2ox1を発現させたイネは種子をつけることができなくなる(非特許文献3)。坂本らは、イネ(品種:日本晴)にGA3酸化酵素遺伝子OsGA3ox2のプロモーター(D18プロモーター)の制御下でOsGA2ox1を発現させることにより、種子形成が異常になることを回避しつつ、半矮性形質を導入することを可能にした(非特許文献4)。D18プロモーターが使用されたのは、OsGA3ox2のnull突然変異体であるd18突然変異体が強い矮性を示すのに対し種子形成は正常なため、OsGA3ox2は茎葉の伸長には関わるが、生殖器官の発達には必要ではないと考えられたためである。また、OsGA3ox2の発現はジベレリンによるフィードバック制御を受けるが、D18プロモーターの利用によりジベレリンの合成と代謝に関わる酵素量のバランスをとることが可能になると考えられた。
D18プロモーターの利用により、種子形成が正常なまま半矮性形質を導入することが可能となったが、イネ(品種:どんとこい)にD18プロモーターの制御下に置いたOsGA2ox1を遺伝子導入した場合、半矮性形質の導入に伴い、種子数の減少が観察されることも報告されている(非特許文献5)。これはD18プロモーターに制御されたOsGA2ox1が穂でも作用することに起因すると考えられる。実際にOsGA3ox2は穂や花器官の発達時に発現していることが明らかとなっている(非特許文献6、7)。
Peng J, Richards DE, Hartley NM, Murphy GP, Devos KM, et al (1999) 'Green revolution' genes encode mutant gibberellin response modulators. Nature 400: 256-261 Sasaki A, Ashikari M, Ueguchi-Tanaka M, Itoh H, Nishimura A, et al (2002) A mutant gibberellin-synthesis gene in rice. Nature 416: 701-702 Sakamoto T, Kobayashi M, Itoh H, Tagiri A, Kayano T, et al (2001) Expression of a gibberellin 2-oxidase gene around the shoot apex is related to phase transition in rice. Plant Physiol. 125: 1508-1516 Sakamoto T, Morinaka Y, Ishiyama K, Kobayashi M, Itoh H, et al (2003) Genetic manipulation of gibberellin metabolism in transgenic rice. Natue Biotech. 21: 909-913 森中洋一、坂本知昭、古賀保徳、蒲池伸一郎、萱野暁明ら(2002)ジベレリン2酸化酵素遺伝子導入によるイネ矮性育種素材の開発。育種学研究 第4巻、別冊2号: 216 Kaneko M, Itoh H, Inukai Y, Sakamoto T, Ueguchi-Tanaka M, et al (2003) Where do gibberellin biosynthesis and gibberellin signaling occur in rice plants? Plant J 35: 104-115 Sakamoto T, Miura K, Itoh H, Tatsumi T, Ueguchi-Tanaka M, et al (2004) An overview of gibberellin metabolism enzyme genes and their related mutants in rice. Plant Physiol. 134: 1642-1653
本発明は、植物の節特異的に遺伝子発現を制御するプロモーター、該プロモーターを含有する発現ベクター、該発現ベクターを含む形質転換植物もしくは植物体、およびその製造方法、並びに、該プロモーターを用いて所望の遺伝子を節にて発現させる方法の提供を課題とする。
本発明者らは、イネの節および節間にて強く発現する遺伝子のライブラリーを作製し、節および節間特異的に発現する遺伝子を同定した。そして、該遺伝子のプロモーター領域のDNAを単離することに成功した。該DNAにイネのGA2酸化酵素遺伝子(OsGA2ox1)をつないだ構造体を作製しイネに導入したところ、該イネは半矮性形質を呈し、かつ、収量性が増加することが判明した。本発明のプロモーターDNAは、特に、半矮性形質の導入に適したプロモーターであることが分った。
また、GUS遺伝子を用いたプロモーター解析により、本発明のDNAの制御下においてGUS遺伝子が節にて非常に強く発現することが明らかとなった。即ち、本発明のプロモーターDNAは、植物の節において所望の遺伝子を発現させるために利用することが可能であることが確認された。
上述の如く本発明者らは、植物の節特異的に発現する遺伝子プロモーターを見出すことに成功し、本発明を完成させた。
本発明は、植物の節特異的に遺伝子発現を制御するプロモーター、該プロモーターを含有する発現ベクター、該発現ベクターを含む形質転換植物もしくは植物体、およびその製造方法、並びに、該プロモーターを用いて所望の遺伝子を節にて発現させる方法に関し、より具体的には、
〔1〕 下記の(a)〜(c)のいずれかに記載のプロモーター活性を有するDNA、
(a)配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNA
(c)配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下にてハイブリダイズするDNA
〔2〕 植物の節においてプロモーター活性を有することを特徴とする、〔1〕に記載のDNA、
〔3〕 前記植物がイネ科植物である、〔1〕または〔2〕に記載のDNA、
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のDNAの制御下に、外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNA、
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のDNAを含むベクター、
〔6〕 植物の節において外来遺伝子を発現させるためのプロモーターとして利用されるDNA薬剤であって、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のDNA、または該DNAを含むベクターを有効成分とする、遺伝子発現誘導剤、
〔7〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のDNA、または〔5〕に記載のベクターを含む、形質転換細胞、
〔8〕 微生物である、〔7〕に記載の形質転換細胞、
〔9〕 植物細胞である、〔7〕に記載の形質転換細胞、
〔10〕 〔9〕に記載の細胞を含む、形質転換植物体、
〔11〕 〔10〕に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体、
〔12〕 〔10〕または〔11〕に記載の形質転換植物体の繁殖材料、
〔13〕 〔10〕または〔11〕に記載の形質転換植物体の作製方法であって、〔4〕に記載のDNA、または〔5〕に記載のベクターを植物細胞へ導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法、
〔14〕 植物の節において外来遺伝子を発現させる方法であって、〔4〕に記載のDNA、または〔5〕に記載のベクターを該植物の細胞へ導入する工程を含む方法、
〔15〕 外来タンパク質が節に含まれる植物の製造方法であって、〔4〕に記載のDNA、または〔5〕に記載のベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法、
〔16〕 植物の節において外来遺伝子を発現させることを特徴とする半矮性植物の製造方法であって、〔4〕に記載のDNA、または〔5〕に記載のベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法、
〔17〕 植物の節において外来遺伝子を発現させることを特徴とする収量性が向上した植物の製造方法であって、〔4〕に記載のDNA、または〔5〕に記載のベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法、
〔18〕 前記外来遺伝子がジベレリン代謝酵素遺伝子(ジベレリンの代謝に関わる酵素をコードする遺伝子)、またはジベレリン生合成酵素遺伝子の発現を抑制する遺伝子である、〔16〕または〔17〕に記載の方法、
〔19〕 植物の節において外来遺伝子を発現させることを特徴とする耐病性植物の製造方法であって、〔4〕に記載のDNA、または〔5〕に記載のベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法、
〔20〕 前記外来遺伝子が、ディフェンシン遺伝子、キチナーゼ遺伝子、グルカナーゼ遺伝子、またはBt遺伝子である、〔19〕に記載の方法、
〔21〕 下記の工程(a)〜(c)を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のDNAのプロモーター活性を調節する化合物のスクリーニング方法、
(a)〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被験化合物を接触させる工程、
(b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程、
(c)該レポーター遺伝子の発現レベルを変化させる化合物を選択する工程
を、提供するものである。
本発明によって得られた植物の節特異的に発現する遺伝子のプロモーターを利用することで、収量性を維持したまま半矮性形質を付与することが可能となった。また、半矮性形質導入により、耐肥性が増し多収性となり、収量性の向上が期待される。また、当該プロモーターを利用して耐病性の付与が可能な遺伝子を節にて発現させることにより、植物に耐病性を付与することが可能である。
以下本発明を詳細に説明する。本発明者らは、イネの節および節間で強く発現する遺伝子のcDNAライブラリーを作製し、ディファレンシャルスクリーニングにより節および節間特異的に発現する遺伝子の選抜を行った。選抜された遺伝子から、3種類のクローンSC1-34、SC1-84、SC2-34を選択した。そしてイネゲノムデータベースより、SC1-34、SC1-84、SC2-34のコーディング領域上流約2 kbpのプロモーター領域の塩基配列を調べ、プロモーター増幅用プライマーを作製し、イネ(品種:日本晴)のゲノムDNAを鋳型として、プロモーター増幅用プライマーを用いたPCRにより、各プロモーター配列の遺伝子配列を増幅し、該プロモーターDNAをクローニングすることに成功した。
発明者らによって単離されたプロモーターの名称、およびその配列番号を以下に示す。
SC1-34P(配列番号:1)
SC1-84P(配列番号:2)
SC2-34P(配列番号:3)
本発明は、植物の節において発現プロモーター活性を有するDNAを提供する。本発明のDNAの好ましい態様としては、下記の(a)〜(c)のいずれかに記載のプロモーター活性を有するDNAである。
(a)配列番号:1〜3のいずれかに記載のプロモーター活性を有するDNA
(b)配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNA
(c)配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下にてハイブリダイズするDNA
本発明の「プロモーター活性を有するDNA(プロモーターDNA)」とは、DNAを鋳型としたmRNAの合成(転写)の開始に必要な特定塩基配列を含むDNAを意味し、自然界に存在するDNAの他、組換えなどの人工的な改変操作により作成されたDNAを含む。
プロモーター活性は、当業者においては公知の方法(例えば、後述のレポーター遺伝子を用いて該遺伝子の発現を指標に測定する方法)によって適宜、評価することができる。
本発明のプロモーターDNAは、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAだけでなく、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなり、かつ植物プロモーターとして作用する能力を有するDNA、または、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列において、その3'末端に翻訳効率を上げる塩基配列などを付加したものや、プロモーター活性を失うことなく、その5'末端を欠失したものを含む。
上記DNAを調製するために、当業者によりよく知られた方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Southern, EM., J Mol Biol, 1975, 98, 503.)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki, RK. et al., Science, 1985, 230, 1350.、Saiki, RK. et al., Science, 1988, 239, 487.)の他に、例えば、該DNAに対し、site-directed mutagenesis法(Kramer, W. & Fritz, HJ., Methods Enzymol, 1987, 154, 350.)により変異を導入する方法が挙げられる。
本発明において欠失、置換等の変異が導入される塩基の数は、変異を導入されたDNAがプロモーター活性を有する限り、特に制限されないが、通常、20塩基対以内、好ましくは10塩基対以内、より好ましくは5塩基対以内、最も好ましくは3塩基対以内である。
さらに、本発明のプロモーターDNAは、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含む。ここで、ストリンジェントな条件とは、特に制限されるものではないが、例えば42℃、2×SSC(300mM NaCl、30mMクエン酸)、0.1%SDSの条件であり、好ましくは50℃、2×SSC 、0.1%SDSの条件であり、さらに好ましくは、65℃、0.1×SSCおよび0.1%SDSの条件である。これらの条件において、温度を上げる程に高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
本発明のプロモーターDNAは、通常、節においてプロモーター活性を有するDNAであるが、より好ましくは、節もしくは節間におけるプロモーター活性が穂における場合より強いことを特徴とするプロモーターDNAであり、節もしくは節間において実質的に有意に高い活性を示すプロモーターDNA(節特異的プロモーターDNA)である。
さらに本発明は、本発明のプロモーター活性を有するDNAの制御下に、外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを提供する。本発明において外来遺伝子とは、特に制限されず、所望の遺伝子を用いることができる。
上記外来遺伝子としては、例えば、ジベレリンの代謝に関わる酵素をコードする遺伝子を挙げることができる。該遺伝子としては、「ジベレリン2酸化酵素遺伝子」を例示することができる。ジベレリンは、イネの節間を伸長させる植物ホルモンであることから、本発明のプロモーターDNAを利用して上記ジベレリン代謝酵素遺伝子を節において発現させることにより、ジベレリン含量を低下させ植物を矮化させることが可能である。
また、節においてジベレリン生合成酵素遺伝子の発現を抑制することによっても、植物を矮化させることが可能である。
即ち、ジベレリン生合成遺伝子の発現を抑制する遺伝子(アンチセンス法、コサプレッション法、RNAi法等)の導入により矮化および収量性の向上が起こることが期待される。ジベレリン生合成酵素遺伝子としては、例えば、「ジベレリン3酸化酵素遺伝子」、「ジベレリン20酸化酵素遺伝子」、「カウレン酸酸化酵素遺伝子」、「カウレン酸化酵素遺伝子」、「カウレン合成酵素遺伝子」、「コパリルピロリン酸合成酵素遺伝子」等が挙げられる。ほかに、ブラシノステロイド生合成にかかわる酵素遺伝子の発現を抑制する遺伝子(アンチセンス法、コサプレッション法、RNAi法等)や、ブラシノステロイド受容体の発現や機能を抑制する遺伝子(アンチセンス法、コサプレッション法、RNAi法、ドミナントネガティブ)などの導入によっても矮化が可能と考えられる。ブラシノステロイドも、イネの節間を伸長させる植物ホルモンであることから、本発明のプロモーターDNAを利用して上記ブラシノステロイドの作用を抑制させる遺伝子を節において発現させることにより、植物を矮化させることが可能である。
また、上記外来遺伝子として、例えば、後述のディフェンシン遺伝子、キチナーゼ遺伝子、グルカナーゼ遺伝子、またはBt(Bacillus thuringiensis)遺伝子等も好適に示すことができる。
本発明における「抑制」には、標的となる遺伝子(例えば、ジベレリン生合成遺伝子等)の発現が完全に抑制されている場合、および、該遺伝子の発現量が有意に低下している場合等が含まれる。
また、本発明の上記DNAは、外来遺伝子に加えてさらにターミネーターが連結した構造であってもよい。該ターミネーターは、通常、植物由来ターミネーター(植物ターミネーター)を指し、本発明のプロモーターの近傍に配置されるDNA配列であり、例えば、カリフラワーモザイクウイルス由来のターミネーター、あるいはノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーター等を例示することができるが、ターミネーターとしての機能を有するものであれば、これらに特に制限されない。
本発明において「機能的に連結」とは、本発明のプロモーターDNAの制御下にある外来遺伝子が、本発明のプロモーターDNAからの転写を受けるように、該プロモーターDNAと結合している状態を指す。プロモーター活性を有するDNAおよび外来遺伝子を「機能的に連結」させることは、当業者においては一般的な遺伝子工学技術を用いて、簡便に行い得ることである。
また本発明は、本発明のプロモーターDNAを含むベクター、本発明のDNAの制御下に外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含むベクター、および、本発明のプロモーターの下流に遺伝子挿入部位を有する構造のDNAを含むベクター、並びに、上記ベクターにさらにターミネーターを担持するベクターを提供する。
本発明のベクターは、通常、本発明のプロモーターDNAを各種細胞内で複製可能なベクターに挿入したものである。この複製可能なベクターとしては、公知の種々のベクターを用いることができる。例えば、pUC誘導体などの大腸菌で増幅可能なベクター、pPZP2H-lacなどの大腸菌とアグロバクテリウムの双方で増幅可能なシャトルベクターなどが挙げられる。また、植物ウイルス、例えば、カリフラワーモザイクウイルスを利用することもできる。当業者においては、植物細胞内で複製可能なベクターを、各々の宿主細胞に応じて適宜選択することができる。なお、本発明のプロモーターDNAをベクターに挿入する方法は、通常の遺伝子をベクターに挿入する常法に従う。
本発明のプロモーターDNAが適用可能な植物としては、特に制限されないが、例えば、イネ科植物を挙げることができる。イネ化植物の例としては、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシやシバ等が挙げられる。
イネの茎は節と節間の区別が明瞭でとくに稈と呼ばれ、節間伸長により稈が伸びる。このような茎の構造・発生様式はイネ科に特徴的である。本発明のプロモーターはイネの節での遺伝子発現を制御するものであるが、イネの茎と同様の構造・発生様式を示すイネ科植物でも本発明のプロモーターが節発現プロモーターとして機能するものと考えられる。
また本発明は、本発明のプロモーターDNA、または該DNAを有するベクターを含む、形質転換細胞を提供する。
本発明の細胞は特に制限されるものではないが、好ましくは微生物細胞あるいは植物細胞である。
本発明の形質転換植物細胞は、本発明のDNAもしくはベクターを宿主細胞に導入し、形質転換させた植物細胞である。宿主細胞としては、例えば葉、根、茎、花および種子中の胚盤等の植物細胞、カルス、懸濁培養細胞等が挙げられる。細胞の由来する植物種としては、特に制限されるものではないが、例えば、イネ科の植物が好ましい。イネ科の植物としては、例えば、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、シバ等が挙げられる。尚、本発明における最も好ましい例として、イネを挙げることができる。
また本発明は、本発明のDNAまたはベクターを植物細胞へ導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法を提供する。
本発明のDNAもしくはベクターを宿主植物細胞中に導入するために、さまざまな手法を用いることができる。これらの手法には、形質転換因子としてアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)または、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を用いたT-DNAによる植物細胞の形質転換、プロトプラストへの直接導入(インジェクション法、エレクトロポレーション法など)、パーティクルガン法などや、その他の公知の方法が含まれる。
また、本発明のDNAまたはベクターを導入する植物細胞は、外植片の細胞であってもよく、これらの植物細胞から培養細胞を調製し、得られた培養細胞に導入してもよい。例えば葉、根、茎、花および種子中の胚盤等の植物細胞、プロトプラスト、カルス、懸濁培養細胞等が挙げられる。
プロトプラストへの直接導入では、通常、特別に必要とされるベクターはない。例えば、pUC誘導体のような単純なプラスミドを用いることができる。目的の遺伝子を植物細胞に導入する方法によっては、他のDNA配列が必要になることもある。例えばTiまたはRiプラスミドを植物細胞の形質転換に用いる場合には、TiおよびRiプラスミドのT-DNA領域の少なくとも右端の配列、大抵は両側の端の配列を、導入されるべき遺伝子の隣接領域となるように接続しなければならない。
アグロバクテリウム属菌を形質転換に用いる場合には、導入すべき遺伝子を、特別のプラスミド、すなわち中間ベクターまたはバイナリーベクターの中にクローニングする必要がある。中間ベクターはアグロバクテリウム属菌の中では複製されない。中間ベクターは、ヘルパープラスミドあるいはエレクトロポレーションによってアグロバクテリウム属菌の中に移行される。中間ベクターは、T-DNAの配列と相同な領域をもつため、相同的組換えによって、アグロバクテリウム属菌のTiまたはRiプラスミド中に取り込まれる。宿主として使われるアグロバクテリウム属菌には、vir領域が含まれている必要がある。通常TiまたはRiプラスミドにvir領域が含まれており、その働きにより、T-DNAを植物細胞に移行させることができる。
一方、バイナリーベクターはアグロバクテリウム属菌の中で複製、維持され得るので、ヘルパープラスミドあるいはエレクトロポレーション法あるいは凍結溶解法によってアグロバクテリウム属菌中に取り込まれると、宿主のvir領域の働きによって、バイナリーベクター上のT-DNAを植物細胞に移行させることができる。
なお、このようにして得られた中間ベクターまたはバイナリーベクター、およびこれを含む大腸菌やアグロバクテリウム属菌等の微生物も本発明の対象である。
また、本発明のDNAもしくはベクターの導入によって形質転換された植物細胞を効率的に選択するために、上記ベクターは、適当な選抜マーカー遺伝子を含む、もしくは選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドベクターとともに植物細胞へ導入することが好ましい。この目的に使用される選抜マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質ハイグロマイシン耐性であるハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、カナマイシンまたはゲンタマイシン耐性であるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、および除草剤ホスフィノスリシン耐性であるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等を挙げることができる。
上記ベクターを導入した植物細胞は、導入した選抜マーカーに応じた選抜用薬剤を含む選抜用培地に置床し培養する。これにより、形質転換された植物細胞を得ることができる。
本発明の形質転換植物体とは、本発明の形質転換植物細胞から再生された形質転換植物体である。形質転換された植物細胞から個体を再生する方法は植物細胞の種類により異なるが、例えばイネではFujimuraら(Fujimuraら(1995), PlantTissue Culture Lett., vol.2:p74-)の方法、トウモロコシでは、Shillitoら(Shillitoら(1989), Bio/Technology, vol.7:p581-)の方法、ジャガイモでは、Visserら(Visserら(1989), Theor. Appl. Genet., vol.78:p589-)の方法、シロイヌナズナではAkamaらの方法(Akamaら(1992), Plant Cell Rep., vol.12:p7-)が挙げられる。これらの方法により作出された形質転換植物体またはその繁殖材料(例えば種子、果実、塊茎、切穂、塊根、株、カルス、プロトプラストなど)から得た形質転換植物体も本発明の対象である。一旦、染色体内に本発明のプロモーター(DNA)が導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。
本発明の植物体を作製する方法の好ましい態様においては、本発明のDNAまたはベクターを宿主細胞に導入して形質転換植物細胞を得て、該形質転換植物細胞から形質転換植物体を再生し、得られた形質転換植物体から植物種子を得て、該植物種子から植物体を生産する工程を含む。
植物体の再生は植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki. et al., Plant Physiol, 1995, 100, 1503-1507.)。例えばイネにおいては、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(インド型イネ品種が適している)を再生させる方法(Datta, S K. et al., In Gene Transfer To Plants (Potrykus I and Spangenberg Eds.), 1995, 66-74.)、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(日本型イネ品種が適している)を再生させる方法(Toki. et al., Plant Physiol, 1992, 100, 1503-1507.)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法(Christou, et al., Bio/technology, 1991, 9, 957-962.)およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法(Hiei. et al., Plant J, 1994, 6, 271-282.)等、いくつかの技術が既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。形質転換細胞から再生させた植物体は、次いで順化用培地で培養する。その後、順化した再生植物体を、通常の栽培条件で栽培すると、植物体が得られ、成熟して結実して種子を得ることができる。
形質転換植物体から植物種子を得る工程とは、例えば、形質転換植物体を発根培地から採取し、水を含んだ土を入れたポットに移植し、一定温度下で生育させて、花を形成させ、最終的に種子を形成させる工程をいう。また、種子から植物体を生産する工程とは、例えば、形質転換植物体上で形成された種子が成熟したところで、単離して、水を含んだ土に播種し、一定温度、照度下で生育させることにより、植物体を生産する工程をいう。
なお、このように再生され、かつ栽培した形質転換植物体中の導入された外来DNAまたは核酸の存在は、公知のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、または植物体中の核酸の塩基配列を解析することによって確認することができる。この場合、形質転換植物体からのDNAまたは核酸の抽出は、公知のJ.Sambrookらの方法(Molecular Cloning, 第2版, Cold SpringHarbor laboratory Press, 1989)に準じて実施することができる。
本発明のDNAには、天然あるいは単離・精製されたゲノムDNA、および化学合成DNAが含まれる。ゲノムDNAの調製は、当業者にとって常套手段を利用して行うことが可能である。
本発明のDNAは、目的とする植物、例えば、イネの組織よりゲノムDNAを抽出し精製し、得られたDNAを鋳型としてPCRによって単離することができる。
本発明における、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA、およびこれとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプロモーター活性を有するDNAを単離するためには、例えば、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA上の配列であって、本発明のプロモーターDNAを増幅するためのプライマーセットを用いることができる。このプライマーセットを用いて、植物のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、その後、得られた増幅DNA断片をプローブとして用いて、同じ植物のゲノムライブラリーをスクリーニングすることができる。
PCRは、市販のキットおよび装置の製造者の指針に基づいて行うか、当業者に周知の手法で行い得る。遺伝子ライブラリーの作製法、および遺伝子のクローニング法なども当業者に周知である。例えば、「クローニングとシークエンス」(渡辺格監修、杉浦昌弘編集、農村文化社(1989年))や、「Molecular Cloning(Sambrookら(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press)」などの実験書を参照のこと。得られた遺伝子の塩基配列は、当該分野で公知のヌクレオチド配列解析法または市販されている自動シーケンサーを利用して決定し得る。PCR技術やハイブリダイゼーション技術によって単離し得る、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズするDNAもまた、本発明のDNAに含まれる。
上記のようなスクリーニングによって単離および同定されたプロモーターDNA(すなわち、配列番号:1〜3のいずれかに示されるプロモーター活性を有するDNA、またはそのホモログ)が節特異的遺伝子発現誘導性を示すことは、以下のようにして解析することが可能である。
上記の配列を、例えば、βグルクロニダーゼ(GUS)などのレポーター遺伝子の上流に連結する。レポーター遺伝子としては、GUS遺伝子の他にクロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子や、ルシフェラーゼ(LUC)遺伝子、GFP遺伝子なども利用が可能である。
上記のようにして作成されたキメラ遺伝子構築物は、例えば、アグロバクテリウムを介してイネなどの植物に導入してその機能を解析することが可能である。pBI-Hmをベクターとして用いた場合は、キメラ遺伝子を含む組換えプラスミドを、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのEHA105株に凍結溶解法を用いて導入し、得られた形質転換菌を、例えば、超迅速形質転換法によりイネなどの植物体に感染させる。感染処理した植物より得られた種子を、ハイグロマイシンなど用いたベクターに適した薬剤を含む培地に播種し、得られた薬剤耐性個体を用いてGUS活性について解析する。顕微鏡で観察することにより、GUS活性が節で特異的に検出されることが期待される。
本発明のプロモーターDNAまたはそれを含む発現ベクターは、以下のようにして利用することが可能である。本発明のプロモーターDNAの下流に目的の遺伝子、例えば、OsGA2ox1遺伝子を連結したキメラ遺伝子を、例えば、pBI-Hmに挿入し発現ベクターを構築する。このベクターをアグロバクテリウムを介してイネなどの植物体に導入する。得られた形質転換植物においては、本発明のプロモーターDNAの働きにより、節においてOsGA2ox1遺伝子が特異的に発現し、収量性を維持したまま半矮性化形質が導入されることが期待される。この場合、35Sプロモーター等のように不要な組織においても発現することがないため、他の好ましくない形質が現れないことが期待される。
本発明のプロモーターDNAで制御可能な遺伝子(外来遺伝子)としては、上記のOsGA2ox1遺伝子に限定されない。節において特異的に発現させたい所望の遺伝子を利用することが可能である。
また、本発明のプロモーターDNAに他の発現制御配列を連結して本発明のプロモーターDNAの機能を改変することが可能である。このような発現制御配列としては、エンハンサー配列やリプレッサー配列などが挙げられる。例えば薬剤に応答して抑制が解除されるリプレッサー配列を本発明のプロモーターDNAと連結したキメラプロモーターを作成し、その下流に目的の遺伝子を連結した構築物を植物に導入すると、得られた形質転換体では、薬剤が存在しない条件下では目的遺伝子の発現が抑制されているが、薬剤を投与することによって抑制が解除され、目的遺伝子が節で発現するようになることが期待される。
なお、本発明における植物細胞の形質転換方法としては、上記のアグロバクテリウムを介した方法の他に、プロトプラストに電気パルス処理してプラスミドを植物細胞へ導入するエレクトロポレーション法や、小細胞、細胞、リソソームなどとプロトプラストとの融合法、マイクロインジェクション法、ポリエチレングリコール法、あるいは、パーティクルガン法などの方法が挙げられる。
また、植物ウイルスをベクターとして利用することによって、目的遺伝子を植物体に導入することができる。利用可能な植物ウイルスとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスが挙げられる。すなわち、まず、ウイルスゲノムを大腸菌由来のベクターなどに挿入して組換え体を調製した後、ウイルスのゲノム中に、これらの目的遺伝子を挿入する。このようにして修飾されたウイルスゲノムを制限酵素によって該組換え体から切り出し、植物体に接種することによって、これらの目的遺伝子を植物体に導入することができる。
また本発明は、植物の節において外来遺伝子を発現させる方法を提供する。本発明の好ましい態様においては、本発明のプロモーターDNAの制御下に外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNA、または本発明のプロモーターDNAを含むベクターを該植物の細胞へ導入する工程を含む方法である。本方法においては、該DNAを、植物細胞へ導入し、該細胞を植物へ再生させることによっても行うことができる。該DNAの植物もしくは植物細胞への導入は、上述の方法によって実施することができる。
また本発明は、外来タンパク質が節に含まれる植物の製造方法を提供する。本発明の好ましい態様においては、本発明のプロモーター活性を有するDNAの制御下に外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNA、または本発明のプロモーターDNAを含むベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法である。
また本発明は、植物の節において外来遺伝子を発現させることを特徴とする半矮性植物、収量性が向上した植物、あるいは耐病性植物の製造方法を提供する。本発明の好ましい態様においては、本発明のプロモーターDNAの制御下に外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを植物細胞へ導入する工程を含む方法である。
上記外来遺伝子としては、例えば、OsGA2ox1遺伝子を好適に挙げることができる。
また、耐病性植物を製造する場合には、上記外来遺伝子として、例えば、ディフェンシン遺伝子、キチナーゼ遺伝子、グルカナーゼ遺伝子、またはBt(Bacillus thuringiensis)遺伝子を挙げることができる。ディフェンシン遺伝子の発現はイネにいもち病菌や白葉枯病菌に対する複合病害抵抗性を付与することが報告されている。その他キチナーゼやグルカナーゼのような抗菌性タンパク質を本プロモーターで発現させた場合、茎での病害抵抗性が向上すると考えられ、葉で発現するプロモーター等と組み合わせることにより、更なる抵抗性を付与できると考えられる。また、Bt遺伝子を発現させることにより、茎を食害するニカメイチュウ等の害虫に対する抵抗性を付与できると考えられる。
さらに本発明は、下記の工程(a)〜(c)を含む、本発明のプロモーターDNAのプロモーター活性を調節する化合物のスクリーニング方法を提供する。
(a)本発明のDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被験化合物を接触させる工程
(b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程
(c)該レポーター遺伝子の発現レベルを変化させる化合物を選択する工程
本発明のスクリーニング方法に用いられる被験化合物としては、特に制限はなく、例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、ペプチド等の単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、原核細胞抽出物、真核単細胞抽出物もしくは動物細胞抽出物等を挙げることができる。
本スクリーニング方法においては、まず、本発明のプロモーターDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被験化合物を接触させる。
本発明において、「機能的に結合した」とは、本発明のプロモーターDNAに転写因子が結合することにより、レポーター遺伝子の発現が誘導されるように、本発明のプロモーターDNAとレポーター遺伝子とが結合していることをいう。本スクリーニング方法における「本発明のプロモーターDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞」として、例えば、上記DNAを含むベクターを導入した細胞を挙げることができる。該ベクターは、当業者に周知の方法により作製することができる。ベクターの細胞への導入は、一般的な方法、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法、リポフェクタミン法、マイクロインジェクション法等によって実施することができる。
また、「本発明のプロモーターDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞」には、染色体に該DNAが挿入された細胞も含まれる。染色体へのDNAの挿入は、当業者に一般的に用いられる方法、例えば、相同組み換えを利用した遺伝子導入法により行うことができる。
本方法における「本発明のプロモーターDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞抽出液」とは、例えば、市販の試験管内転写翻訳キットに含まれる細胞抽出液に、本発明のプロモーターDNAとレポーター遺伝子とが機能的に結合した構造を有するDNAを添加したものを挙げることができる。
本スクリーニング方法における「接触」は、本発明のプロモーターDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞の培養液に被験化合物を添加する、または該DNAを含む上記の市販された細胞抽出液に被験化合物を添加することにより行うことができる。被験化合物がタンパク質の場合には、例えば、該タンパク質をコードするDNAを含むベクターを、該細胞へ導入する、または該ベクターを該細胞抽出液に添加することで行うことも可能である。
本スクリーニング方法においては、次いで、該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する。レポーター遺伝子の発現レベルは、当業者においては、該レポーター遺伝子の種類を考慮して、測定することができる。
本スクリーニング方法においては、被験化合物の非存在下において測定した場合(対照)と比較して、被験化合物がレポーター遺伝子の発現レベルを変化させた場合に、被験化合物が本発明のDNAのプロモーター活性を調節する化合物であると判定される。
さらに、本発明においては、上記スクリーニング方法を利用して、複数の被験化合物について、本発明のDNAのプロモーター活性を調節するか否かを評価し、プロモーター活性を調節する化合物を選択することにより、効率的にプロモーター活性を調節する化合物をスクリーニングすることができる。該スクリーニング方法によって取得される化合物は、遺伝子の節特異的な発現を制御することが可能であり、非常に有用である。
また、本発明のDNAもしくはベクターを、所望の植物体へ導入することにより、節において外来遺伝子の発現を誘導させることが可能である。
従って本発明は、植物の節において外来遺伝子を発現させるためのプロモーターとして利用されるDNA薬剤であって、本発明のプロモーターDNA、または該DNAを含むベクターを有効成分とする、遺伝子発現誘導剤を提供する。
本発明における「遺伝子発現誘導剤」は、所望の外来遺伝子を植物の節において発現させることを用途とする、本発明のDNAもしくはベクターを有効成分とする物質、または組成物(混合物)を指す。
本発明の薬剤においては、有効成分であるDNAまたはベクター以外に、例えば、滅菌水、生理食塩水、植物油、界面活性剤、脂質、溶解補助剤、緩衝剤、保存剤等が必要に応じて混合されていてもよい。
本発明の上記スクリーニング方法によって取得される化合物は、例えば、気象条件や肥料等の栽培条件により、徒長もしくは矮化しすぎた場合に、本発明のプロモーターの活性を制御可能な化合物として有用である。該化合物を植物に添加することによって、栽培現場において草丈の調節が可能になると考えられる。また、シバ等の長さの調節にも利用可能である。
以下本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実験材料および方法〕
(1)植物材料
D18プロモーター::OsGA2ox1を導入した形質転換イネ(品種:どんとこい)の自殖後代種子(T4種子)は田中宥司博士より供与していただいた。野生型イネ(品種:日本晴及びどんとこい)と形質転換イネは28℃の閉鎖系温室で栽培した。
(2)RNA抽出およびDNA抽出
total RNAはISOGEN(ニッポンジーン)により抽出した。Poly(A)+ RNAはPolyATtract(R) mRNA Isolation System III(Promega)によりtotal RNAより精製した。ゲノムDNAはISOPLANT II(ニッポンジーン)により抽出した。
(3)節及び節間特異的に発現する遺伝子のクローニング
イネ(品種:日本晴)の伸長中の第2から第4節間(節を含む)より単離したpoly(A)+ RNAをdriver、全長2 cmから15 cmの発達途中の穂のpoly(A)+ RNA をtesterとして、PCR-select cDNA Subtraction kit(Clontech)により、穂に比べ節および節間で強く発現する遺伝子のcDNAライブラリーを作製した。得られたcDNAはTOPO-TA Cloning Kit(Invitrogen)によりクローニングした。各クローンのインサートcDNA領域をPCRにより増幅し、GeneScreen Plus membrane(NEN Life Science Products)へブロッティングし、各クローンより、節及び節間特異的に発現する遺伝子のcDNAを含むクローンを、PCR-Select Differential Screening kit(Clontech)により選抜した。プローブはtesterとdriverのcDNAそれぞれにアダプターを付加した後、PCRで増幅し、32Pで標識した。ハイブリダイゼーション及び洗浄の条件はPCR-Select Differential Screening kitのマニュアルに従った。
(4)RNA gel blot分析
total RNAは0.66 Mフォルムアルデヒドを含む1.2 %アガロースゲルを用いた電気泳動で分離した後、GeneScreen Plus membrane(NEN Life Science Products)へブロッティングした。各cDNAプローブはEcoRIで切断したプラスミドの電気泳動ゲルより精製し、Multiprime DNA Labeling System (Amersham)により[α-32P]dCTPを用いて標識した。ハイブリダイゼーションはマニュアルの条件に従い、洗浄は2 x SSC、室温で5分間を2回、2 x SSC、1% SDS、65℃、30分を2回行った。
(5)プロモーターのクローニング
イネゲノムのデータベースを基に、プロモーター配列を増幅するためのSC1-34プロモーター増幅用プライマー[5'-gaagctttgtgtggtcggtgcagtagtagt-3'(配列番号:4)及び5'-agtcgaccattggtgagacgcggccaagat-3'(配列番号:5)]、SC1-84プロモーター増幅用プライマー[5'-ataagcttgcagtgctgaacaaggcccttca-3'(配列番号:6)及び5'-tggtcgacggttgctttgctgttcttgttct-3'(配列番号:7)]、SC2-34プロモーター増幅用プライマー[5'-ataagcttttccatctcgcagtggcctgtggta-3'(配列番号:8)及び5'-aatctagatggctgcaaatgaagaagtgtctct-3'(配列番号:9)]を作製した。各プロモーターはイネ(品種:日本晴)のゲノムDNAを鋳型としてPCRにより増幅した。PCRはKOD-Plus DNA polymerase (TOYOBO)を用いて行った。PCR産物はTOPO-TA Cloning Kit(Invitrogen)によりクローニングし、塩基配列決定を行い、PCRエラーが無いことを確認した。
(6)形質転換用コンストラクトの作製およびイネの形質転換
レポーター遺伝子を用いた遺伝子発現解析を行うために、各プロモーター配列をそれぞれ適当な制限酵素で切り出し、pBI-HmのGUSレポーター遺伝子の前に挿入した形質転換用コンストラクト(プロモーター::GUS)を作製した。さらに、プロモーター::OsGA2ox1を作製するために、プロモーター::GUSのGUS遺伝子をOsGA2ox1に置き換えたコンストラクトを作製した。各コンストラクトをAgrobacterium tumefacience strain EHA105に導入し、超迅速形質転換法によりイネ(品種:どんとこい)に遺伝子導入を行った。再分化体はハイグロマイシンを含む培地で選抜し、選抜した個体が導入遺伝子を持つことをPCR法により確認した。形質転換体は閉鎖系温室でポット栽培し、自家受粉によりT種子を採取した。
(7)GUS染色
閉鎖系温室で栽培したプロモーター::GUS形質転換イネの苗条を100 mMリン酸バッファー(pH 7.0)で洗浄した。苗条をGUS染色液(0.5 mg/ml X-gluc、0.5 mM フェリシアン化カリウム、0.5 mM フェロシアン化カリウム、0.3 % Triton X-100、20 % メタノール、100 mM リン酸バッファー (pH 7.0) )に浸し、脱気した後、37℃、一晩インキュベートした。苗条を70 % エタノールに浸し、室温で一晩脱色を行い、実態顕微鏡で観察した。
〔実施例1〕 イネの節及び節間特異的に発現する遺伝子のプロモーターのクローニング
穂に比べ、節および節間で強く発現する遺伝子のライブラリーを作製するために、約2 cmから15 cmまでの様々な長さの穂より抽出したpoly(A)+ RNAをtester、第2から第4までの節および伸長中の節間より抽出したpoly(A)+ RNAをdriverとして、suppression subtractive hybridizationを行った。得られたcDNAをクローニングし、differential screeningにより節および節間特異的に発現する遺伝子の選抜を行った。選抜された遺伝子の発現をRNA gel blot分析により調べ、穂に比べ顕著に節及び節間で発現する3種類のクローンSC1-34、SC1-84、SC2-34を選択した(図1)。
イネゲノムのデータベースより、SC1-34、SC1-84、SC2-34のコーディング領域上流約2 kbpのプロモーター領域の塩基配列を調べ、プロモーター増幅用プライマーを作製した。イネ(品種:日本晴)のゲノムDNAを鋳型として、プロモーター増幅用プライマーを用いたPCRにより、各プロモーター配列を遺伝子増幅し、クローニングした。クローニングしたプロモーターの配列を以下に示す。
SC1-34P(配列番号:1、全長2099 bp、カッコ内はクローニング時に付加した制限酵素サイト)
SC1-84P(配列番号:2、全長2023 bp)
SC2-34P(配列番号:3、全長2155 bp)
〔実施例2〕 プロモーターの発現解析
各プロモーターの発現制御特性を明らかにするために、各プロモーターをGUS遺伝子の上流につないだコンストラクトを作製し、イネ(品種:どんとこい)に形質転換を行った。形質転換体当代(T0)および自殖後代(T1)の稈と穂におけるGUS活性を組織化学的に調べた(図2)。稈における発現を調べた結果、SC1-34プロモーターでは、節近傍の冠根の発根部位で発現していた。SC1-84プロモーターでは節部隔壁で発現しており、SC2-34プロモーターでは節部隔壁と葉鞘枕で発現していた。一方、穂における発現はSC2-34プロモーターではまったく認められなかったが、SC1-84プロモーターでは外頴と内頴で発現しており、SC1-34プロモーターでは外頴、内頴で発現するとともに、枝梗でも発現していた。また、雌ずい及び雄ずいでは、いずれのプロモーターでも発現は認められなかった。
〔実施例3〕 GA2酸化酵素遺伝子を導入した形質転換イネの作出
SC1-34プロモーター及びSC1-84プロモーター、SC2-34プロモーターにイネのGA2酸化酵素遺伝子(OsGA2ox1)をつないだコンストラクトを作製し、イネ(品種:どんとこい)に導入した。再分化個体は導入遺伝子の存在を確認した後、成熟するまで閉鎖系温室で栽培した。SC1-34、SC1-84、SC2-34の3種類のプロモーターを用いた形質転換体の全てで、半矮性を含むさまざまなサイズの個体が得られたため、半矮性個体を選抜し、その自殖後代の種子を得た。T1植物の中で導入遺伝子の存在が確認されたものを、閉鎖系温室で栽培し、形態や収量性について調査した(表1)。また、コントロールとして、非形質転換体(品種:どんとこい)とD18プロモーターの制御下でOsGA2ox1を発現させた形質転換イネ2系統(矮性系統と半矮性系統)を同時に栽培し、系統間での比較を行った。その結果、いずれのプロモーターを用いても、OsGA2ox1を導入した半矮性形質転換イネの後代は安定した半矮性形質を示し、草丈、稈長ともに野生型に比べ短くなった(表1:野生型と形質転換イネの形態的特長)。一方、1個体当たりの総頴花数・総種子数は系統間で異なり、SC1-84プロモーターやSC2-34プロモーターの制御下でOsGA2ox1を発現させた場合、野生型に比べ、総頴花数・総種子数ともに増加するのにたいし、D18プロモーターやSC1-34プロモーターを用いた場合には、野生型と変わらない、もしくは、減少する結果となった(表1)。以上の結果は、SC1-84プロモーターやSC2-34プロモーターが、矮性形質を導入し、且つ、収量性を増加させるのに適したプロモーターであることを示している。一方、D18プロモーターやSC1-34プロモーターはともに枝梗で発現するプロモーターであり、枝梗でのOsGA2ox1の発現が頴花数および種子数の減少の一因である可能性が示唆された。
全てのデータは6個体の平均値±s.e.で表示している。稈長と穂長の測定は各個体あたり5つの稈で行った。野生型との間にそれぞれ5%(*)及び1%(**)水準で有意差あり(Dunnettの両側検定)。
また、各プロモーターの配列をPLACE(A Database of Plant Cis-acting Regulatory DNA Elements [http://www.dna.affrc.go.jp/PLACE/])のPLACE Web Signal Scanにかけた。
〔実施例4〕 プロモーターの有効性について
RNA gel blot分析及びレポーター遺伝子(GUS遺伝子)を用いたプロモーター解析により、SC1-84プロモーター及びSC2-34プロモーターは節特異的発現を制御するプロモーターであることが明らかとなった。さらに、これらのプロモーターの制御下でGA2酸化酵素を発現させた形質転換イネは半矮性形質の導入とともに収量の増加が認められた。これらの結果より、SC1-84及びSC2-34プロモーターは、従来のプロモーターと比較して、矮性形質の導入に適したプロモーターであることが明らかとなった。
一方、GUS遺伝子を用いたプロモーター解析により、SC1-34プロモーターの制御下では穂(枝梗及び頴)でも発現が誘導されたが、RNA gel blot分析の結果、この穂での発現に比べ節で非常に強く発現することが明らかとなっている。よって、SC1-34プロモーターも含め本研究で得られたプロモーターは節での遺伝子発現に利用でき、例えば、抗菌性タンパク質などの耐病性に関わる遺伝子等を発現させることなどに利用されることが期待される。
選抜したクローンとOsGA3ox2のRNA gel blot分析結果を示す写真である。 各器官におけるSC1-34、SC1-84、SC2-34プロモーターの制御下でのGUS活性の局在を示す写真である。

Claims (21)

  1. 下記の(a)〜(c)のいずれかに記載のプロモーター活性を有するDNA。
    (a)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号:3に記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNA
    (c)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下にてハイブリダイズするDNAであって、該ストリンジェントな条件が65℃、0.1×SSCおよび0.1%SDSの条件である、DNA
  2. 植物の節においてプロモーター活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のDNA。
  3. 前記植物がイネ科植物である、請求項1または2に記載のDNA。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のDNAの制御下に、外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNA。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のDNAを含むベクター。
  6. 植物の節において外来遺伝子を発現させるためのプロモーターとして利用されるDNA薬剤であって、請求項1〜3のいずれかに記載のDNA、または該DNAを含むベクターを有効成分とする、遺伝子発現誘導剤。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のDNA、または請求項5に記載のベクターを含む、形質転換細胞。
  8. 微生物である、請求項7に記載の形質転換細胞。
  9. 植物細胞である、請求項7に記載の形質転換細胞。
  10. 請求項9に記載の細胞を含む、形質転換植物体。
  11. 請求項10に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体であって、請求項4に記載のDNAもしくは請求項5に記載のベクターを保持する形質転換植物体。
  12. 請求項10または11に記載の形質転換植物体の繁殖材料であって、請求項4に記載のDNAもしくは請求項5に記載のベクターを保持する繁殖材料
  13. 請求項10または11に記載の形質転換植物体の作製方法であって、請求項4に記載のDNA、または請求項5に記載のベクターを植物細胞へ導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法。
  14. 植物の節において外来遺伝子を発現させる方法であって、請求項4に記載のDNA、または請求項5に記載のベクターを該植物の細胞へ導入する工程を含む方法。
  15. 外来タンパク質が節に含まれる植物の製造方法であって、請求項4に記載のDNA、または請求項5に記載のベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法。
  16. 植物の節において外来遺伝子を発現させることを特徴とする半矮性植物の製造方法であって、請求項4に記載のDNA、または請求項4に記載のDNAを含むベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法であって、ここで、前記外来遺伝子がジベレリン代謝酵素遺伝子、またはジベレリン生合成酵素遺伝子の発現を抑制する遺伝子である、方法。
  17. 植物の節において外来遺伝子を発現させることを特徴とする収量性が向上した植物の製造方法であって、請求項4に記載のDNA、または請求項4に記載のDNAを含むベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法であって、ここで、前記外来遺伝子がジベレリン代謝酵素遺伝子、またはジベレリン生合成酵素遺伝子の発現を抑制する遺伝子である、方法。
  18. 植物の節において外来遺伝子を発現させることを特徴とする耐病性植物の製造方法であって、請求項4に記載のDNA、または請求項4に記載のDNAを含むベクターを植物の細胞へ導入する工程を含む方法であって、ここで、前記外来遺伝子が、ディフェンシン遺伝子、キチナーゼ遺伝子、グルカナーゼ遺伝子、またはBt遺伝子である、方法。
  19. 下記の工程(a)〜(c)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のDNAのプロモーター活性を調節する化合物のスクリーニング方法。
    (a)請求項1〜3のいずれかに記載のDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被験化合物を接触させる工程、
    (b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程、
    (c)該レポーター遺伝子の発現レベルを変化させる化合物を選択する工程
  20. 下記の(a)〜(c)のいずれかに記載のプロモーター活性を有するDNA、または該DNAを含むベクターを有効成分とする、植物の節特異的遺伝子発現誘導剤。
    (a)配列番号:1または2に記載の塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号:1または2に記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNA
    (c)配列番号:1または2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下にてハイブリダイズするDNAであって、該ストリンジェントな条件が65℃、0.1×SSCおよび0.1%SDSの条件である、DNA
  21. 下記の(a)〜(c)のいずれかに記載のプロモーター活性を有するDNAの制御下に、外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNA、または、該DNAを含むベクターを該植物の細胞へ導入する工程を含む、植物の節において外来遺伝子を発現させる方法。
    (a)配列番号:1または2に記載の塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号:1または2に記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNA
    (c)配列番号:1または2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下にてハイブリダイズするDNAであって、該ストリンジェントな条件が65℃、0.1×SSCおよび0.1%SDSの条件である、DNA
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