JP2004242510A - 生産性を改良した植物、及びその作出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性が改良された組換え植物を作出する。
【解決手段】本発明は、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を安定に保持する生産性ないし形質が改良された植物及びその子孫;該植物の作出方法;該植物のカルスの作出方法に関する。
【選択図】図3A

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良された生産性ないし形質を有する植物、詳細には改良された茎、塊茎、葉、根、塊根、蕾、花、花弁、子房、果実、さや、さく果、種子、繊維及び胚珠などを有する植物に関する。
また、本発明は該植物の作出方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、該植物から有用物質(例えばデンプン)或いはその誘導体(例えば生分解性プラスチック)を得ることを目的とする。
【0003】
【従来の技術】
地球規模で食料危機が問題となっており、植物の生産性ないし形質(生産ポテンシャル、以下、従来技術の欄において単に「生産性」ということがある)を向上させることは重要な課題となっている。
【0004】
植物の生産性を改良するために交雑育種、最近の遺伝子工学技術を利用した育種、植物ホルモンや植物調節剤の作用を利用した方法等が行われている。特に、イネを中心に交雑育種で生産性の改良が試みられており、これまでに生産性が飛躍的に向上した多収性品種も数多く開発されている。遺伝子工学技術による育種では光合成や炭水化物代謝などに関するキー酵素の遺伝子を用いた生産性の改良が行われている。
【0005】
例えば、ラン藻由来のフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ/セドヘプツロース−1,7−ビスフォスファターゼ遺伝子をタバコの葉緑体中で発現させることで、光合成能が強化されて光合成代謝中間体(ヘキソース、シュクロース、デンプン)の含量が増加し、生育が促進され生産性が向上した(特許第3357909号)。さらに、炭水化物代謝のショ糖リン酸合成酵素(SPS)が炭素分配だけでなくて生産能力の向上にも影響すると考えられ、SPS遺伝子がトマト、ジャガイモ、タバコに導入された。トマトではSPS遺伝子を導入することで、栄養生長期の地上部の乾物重が多くなる傾向が確認された(Plant Physiol., 101,535, 1993、Planta, 196, 327, 1995)。ジャガイモでは地上部(葉と茎)および塊茎の乾物重が増大していることが確認された(Jpn. J. Crop Sci., 65, 102, 1996、Jpn. J. Crop Sci, 65, 143, 1996)。しかしながら、これらの遺伝子により形質転換された植物の多くは、実際には産業上利用可能な程度に十分な効果は得られておらず、実用化に至っていないのが現状である。
【0006】
ポリアミンとは第1級アミノ基を2つ以上もつ脂肪族炭化水素の総称で生体内に普遍的に存在する天然物であり、20種類以上のポリアミンが見いだされている。代表的なポリアミンとしてはプトレシン、スペルミジン、スペルミンがある。ポリアミンの主な生理作用としては▲1▼核酸との相互作用による核酸の安定化と構造変化、▲2▼種々の核酸合成系への促進作用、▲3▼タンパク質合成系の活性化、▲4▼細胞膜の安定化や物質の膜透過性の強化などが知られている。
植物におけるポリアミンの役割としては細胞増殖や分裂時に核酸、タンパク質生合成の促進効果や細胞保護が報告されているが、最近ではポリアミンと環境ストレス耐性との関わりも注目されている。生産性の改良とポリアミンとの関与に関する報告はこれまで見つかっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、実用的な植物の生産性ないし形質を高める技術を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意努力した結果、ポリアミン生合成に関わるポリアミン代謝関連酵素遺伝子を単離して、該遺伝子を植物に導入して過剰発現することによって、ポリアミン代謝を操作してポリアミン濃度を変化させることによって、栽培環境と無関係に、換言すれば環境ストレスがあってもなくても生産性ないし形質のパラメーターが改良されることを見出した。
ポリアミンは分子中にアミンを多く含む塩基性物質であり、代表的なポリアミンとしては二分子のアミンを含むプトレシン、三分子のアミンを含むスペルミジン、四分子のアミンを含むスペルミン等がある。植物において、これらのポリアミン生合成に関わるポリアミン代謝関連酵素としてはプトレシンについてはADC、ODC、スペルミジンについてはSAMDC、SPDS、スペルミンについてはSAMDC、SPMS等が見つかっている。これらのポリアミン代謝関連酵素をコードしているポリアミン代謝関連酵素遺伝子についても既に幾つかの植物で単離されている。例えば、植物のポリアミン生合成に関わるポリアミン代謝関連酵素としてはアルギニン脱炭酸酵素(ADC)、オルニチン脱炭酸酵素(ODC)、S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)、スペルミジン合成酵素(SPDS)、スペルミン合成酵素(SPMS)等が知られている。これらのポリアミン代謝関連酵素をコードするポリアミン代謝関連遺伝子については植物から既に幾つか単離されている。ADC遺伝子はエンバク(Mol. Gen. Genet., 224, 431−436, 1990)、トマト(Plant Physiol., 103, 829−834, 1993)、シロイヌナズナ(Plant Physiol., 111, 1077−1083, 1996)、エンドウ(Plant Mol.Biol., 28, 997−1009, 1995)、ODC遺伝子はチョウセンアサガオ(Datura)(Biocem. J., 314, 241−248, 1996)、SAMDC遺伝子はジャガイモ(Plant Mol. Biol., 26, 327−338, 1994)、ホウレンソウ(Plant Physiol., 107, 1461−1462, 1995)、タバコ、SPDS遺伝子はシロイヌナズナ(Plant cell Physiol., 39(1), 73−79, 1998)等から単離されている。さらに、幾つかのポリアミン代謝関連酵素遺伝子については植物への導入が試みられているが、得られた形質転換植物で生産性ないし形質の改良については報告されていない。
【0009】
このような状況下に、本発明者らは植物の生産性ないし形質を改良するために鋭意検討した結果、生産性ないし形質の改良において、特にポリアミンであるスペルミジンやスペルミン含量が重要であることを見いだし、実際に植物組織からスペルミジンやスペルミン生合成に関わるポリアミン代謝関連遺伝子(SPDS、SAMDC、ADC)を単離、同定した。さらに、該遺伝子を植物に導入して過剰発現させることで、ポリアミン代謝を操作してポリアミン濃度を変化させることによって、生産性ないし形質のパラメーターが改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、以下の発明を提供するものである。
1. 植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を安定に保持し、且つ該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に生産性ないし形質が改良されたトランスジェニック植物及びその子孫。
17. 植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を安定に保持し、且つ該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換する工程を含む、該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に生産性ないし形質が改良された植物を作出する方法。
19. 植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を含む発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換する工程を含む、該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に生産性ないし形質が改良された植物を作出する方法。
31. 以下の工程:
(1)植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を含む発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換し、
(2)該形質転換細胞から、該核酸配列を有していない植物に比べて改良された生産性ないし形質を有する植物体を再生し、
(3)該植物体から受粉により種子を採取し、および
(4)該種子を栽培して得られる植物体から受粉により得られる種子における該核酸配列を検定して該核酸配列のホモ接合体を選抜すること
を含む、該核酸配列についてホモ接合体である、該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に改良された生産性ないし形質を有する形質が固定された植物の作出方法。
32. 以下の工程:
(1)植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列の抑制因子を含む発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換し、
(2)該形質転換細胞からカルスを誘導する
を含む、該核酸配列についてホモ接合体である、該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に改良された生産性ないし形質を有する形質が固定されたカルスの作出方法。
33. 改良された生産性ないし形質を有する植物が、サツマイモ植物である、項19から32のいずれかに記載の方法。
34. 項33に記載の方法により得られたサツマイモ植物を栽培し、サツマイモを収穫することを特徴とする比較対照サツマイモに比べて環境ストレスの有無ないし程度にかかわらず生産性ないし形質が改良されたサツマイモの製造方法。
35. 項33に記載の方法により得られたサツマイモ植物を栽培し、サツマイモを収穫する工程、
得られたサツマイモからサツマイモデンプンを分離する工程
を包含するサツマイモデンプンの製造方法。
36. 項33に記載の方法により得られたサツマイモ植物を栽培し、サツマイモを収穫する工程、
得られたサツマイモからサツマイモデンプンを分離する工程
該サツマイモデンプンを生分解性プラスチックに変換する工程
を包含する生分解性プラスチックの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において「生産性ないし形質が改良される」とは、植物のあらゆる器官(組織)、例えば、茎、塊茎、葉、根、塊根、蕾、花、花弁、子房、果実、さや、さく果、種子、繊維、胚珠などのサイズ、総重量、数量などが増大することや生育期間が短縮すること(生産性の改良)、該器官(組織)に関わる形質(例えば、トマト、キュウリ、バナナなどは着果した果実の数や大きさの増大、ジャガイモやキャッサバなどは塊茎の数や大きさの増大、サツマイモなどは塊根の数や大きさの増大、トウモロコシ、イネ、ダイズなどは種子(胚乳)の数や大きさの増大、ワタなどはコットンボール、胚珠の数や大きさが増大することで繊維量の増大、ペチュニア、トレニアなどでは花の数や大きさの増大、その他、形の変化、着色(例えば色素間のバランスの変化や色素産生量の増大)など)が改良されることをいう。
【0012】
本発明で得られる植物は、栽培環境(例えば環境ストレス)に左右されずポリアミンの発現量が増大し、生産性を改良することができる。
ポリアミン量を調節する核酸配列としては、外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子または内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子が挙げられる。外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子は植物体中のポリアミン量を増大させることができ、内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子は植物体中のポリアミン量を減少と増大させることができる。
本発明において「該ポリアミン量を調節する核酸配列を有していない比較対照植物」、とは該核酸配列(例えば外因性のポリアミン代謝関連酵素遺伝子又は内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子)を導入する前のあらゆる植物を意味する。従って、いわゆる野生種のほか、通常の交配によって樹立された栽培品種、それらの自然または人工変異体、並びにポリアミン代謝関連酵素遺伝子以外の外因性遺伝子を導入されたトランスジェニック植物などをすべて包含する。
【0013】
本発明で言うところの「ポリアミン」は生物体内に普遍的に存在する一般的な天然物であり、第一級アミノ基を2つ以上もつ脂肪族炭化水素化合物である。例えば、1,3−ジアミノプロパン、プトレシン、カダベリン、カルジン、スペルミジン、ホモスペルミジン、アミノプロピルカダベリン、テルミン、スペルミン、テルモスペルミン、カナバルミン、アミノペンチルノルスペルミジン、N,N−ビス(アミノプロピル)カダベリン、ホモスペルミン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、カルドヘキサミン、ホモカルドヘキサミンなどが挙げられる。
ポリアミン代謝関連酵素遺伝子
本発明において「ポリアミン代謝関連酵素遺伝子」とは、植物におけるポリアミンの生合成に関与する酵素のアミノ酸をコードする遺伝子であり、例えば代表的なポリアミンであるプトレシンについてはアルギニン脱炭酸酵素(ADC)遺伝子とオルニチン脱炭酸酵素(ODC)遺伝子、スペルミジンについてはS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)遺伝子とスペルミジン合成酵素(SPDS)遺伝子、スペルミンについてはS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)遺伝子とスペルミン合成酵素(SPMS)遺伝子が関与し、律速になっていると考えられている。
【0014】
アルギニン脱炭酸酵素(ADC:arginine decarboxylase EC4.1.1.19.)はL−アルギニンからアグマチンと二酸化炭素を生成する反応を触媒する酵素である。オルニチン脱炭酸酵素(ODC:ornithine decarboxylase EC4.1.1.17.)はL−オルニチンからプトレシンと二酸化炭素を生成する反応を触媒する酵素である。S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC:S−adenosylmethioninedecarboxylase EC4.1.1.50.)はS−アデノシルメチオニンからアデノシルメチルチオプロピルアミンと二酸化炭素を生成する反応を触媒する酵素である。スペルミジン合成酵素(SPDS:spermidine synthase EC2.5.1.16.)はプトレシンとアデノシルメチルチオプロピルアミンからスペルミジンとメチルチオアデノシンを生成する反応を触媒する酵素である。
【0015】
これらの遺伝子は、いずれの由来であってもいいが、例えば、種々の植物から単離することができる。具体的には、双子葉植物、例えばウリ科;ナス科;シロイヌナズナ等のアブラナ科;アルファルファ、カウピー(Vigna unguiculata)等のマメ科;アオイ科;キク科;アカザ科;ヒルガオ科からなる群から選ばれたもの、又は単子葉植物、例えばイネ、小麦、大麦、トウモロコシ等のイネ科などが含まれる。好ましくは、ウリ科植物、より好ましくはクロダネカボチャがよい。
【0016】
本発明の植物由来のポリアミン代謝関連酵素遺伝子を単離する植物組織としては種子形態、または生育過程にあるものである。生育中の植物は全体、あるいは部分的な組織から単離することができる。単離することができる部位としては、特に限定はされないが、好ましくは植物の全樹、蕾、花、子房、果実、葉、茎、根などである。
本発明において使用されるポリアミン代謝関連酵素遺伝子の好ましい例として、スペルミジン合成酵素遺伝子、S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子、アルギニン脱炭酸酵素遺伝子を挙げることができる。具体的には、
・配列番号1に示される塩基配列中塩基番号77〜1060で示される塩基配列を有するDNA
・配列番号3に示される塩基配列中塩基番号456〜1547で示される塩基配列を有するDNA
・配列番号5に示される塩基配列中塩基番号541〜2661で示される塩基配列を有するDNA、
が挙げられる。さらに、
・該上記いずれかの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列を有し、且つ該配列と同等のポリアミン代謝関連酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。更に、
・該上記いずれかの配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり且つ該配列と同等のポリアミン代謝関連酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。
ここでいう「ストリンジェント条件」とは、特定ポリアミン代謝関連酵素遺伝子配列にコードされるポリアミン代謝関連酵素と同等のポリアミン代謝関連酵素活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列のみが該特定配列とハイブリット(いわゆる特異的ハイブリット)を形成し、同等の活性を有しないポリペプチドをコードする塩基配列は該特定配列とハイブリット(いわゆる非特異的ハイブリット)を形成しない条件を意味する。当業者は、ハイブリダイゼーション反応および洗浄時の温度や、ハイブリダイゼーション反応液および洗浄液の塩濃度等を変化させることによって、このような条件を容易に選択することができる。具体的には、6×SSC(0.9M NaCl,0.09M クエン酸三ナトリウム)または6×SSPE(3M NaCl,0,2M NaHPO,20mM EDTA・2Na,pH7.4)中42℃でハイブリダイズさせ、さらに42℃で0.5×SSCにより洗浄する条件が、本発明のストリンジェントな条件の1例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
ここでいう「1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列」とは、一般的に生理活性を有するタンパク質のアミノ酸配列において1個もしくは複数のアミノ酸が置換、削除、挿入または付加された場合であっても、その生理活性が維持される場合があることは当業者において広く認識されている。本発明にはこのような修飾が加えられ、かつポリアミン代謝関連酵素をコードする遺伝子も本発明の範囲に含まれる。例えば、polyAテールや5’、3’末端の非翻訳領域が「欠失」されてもよいし、アミノ酸を欠失するような範囲で塩基が「欠失」されてもよい。また、フレームシフトが起こらない範囲で塩基が「置換」されてもよい。また、アミノ酸が付加されるような範囲で塩基が「付加」されてもよい。但し、そのような修飾があっても、ポリアミン代謝関連酵素活性を有することが必要である。好ましくは、「1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された遺伝子」がよい。
このような改変されたDNAは例えば、部位特異的変異法(Nucleic Acid Research, Vol.10, No. 20, 6487−6500, 1982)等によって、特定の部位のアミノ酸が置換、削除、挿入、付加されるように本発明のDNAの塩基配列を改変することによって得られる。
本発明における「アンチセンス遺伝子」とはポリアミン代謝関連酵素遺伝子の塩基配列に相補的な配列を有する遺伝子を意味する。アンチセンスDNAは、例えば配列番号1、3、5の塩基配列に相補的なものであり、アンチセンスRNAはそれらから産生されるものである。
内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子
該抑制因子は、該遺伝子の発現を抑制するものであれば特に制限されず、例えば該遺伝子及びその上流又は下流から選ばれる配列のアンチセンスDNAまたは二本鎖RNA(dsRNA)が例示される。該アンチセンスDNAは、該遺伝子のイントロンまたはエクソン、該遺伝子のプロモーターを含む5’上流側の調節領域または終止コドンの下流側であって、遺伝子発現に影響する領域のいずれかに相補的であればよい。アンチセンスDNAの長さは、少なくとも20塩基、好ましくは少なくとも100塩基、より好ましくは少なくとも300塩基、特に少なくとも500塩基を有する。該アンチセンスDNAの転写産物は、内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子のmRNAとハイブリダイズするか、内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子或いはその上流又は下流の配列の非コーディング領域(例えばプロモーター、イントロン、転写終結因子)にハイブリダイズする。
生産性が改良された植物及びその子孫
本発明において、「生産性」としては、上述のごとく、植物のあらゆる器官(組織)、例えば、茎、塊茎、葉、根、塊根、蕾、花、花弁、子房、果実、さや、さく果、種子、繊維、胚珠などを包含し、該器官(組織)の形質として数量、生育期間、形、着色、性質、特性が例示される。
本発明において、「生産性が改良された植物」および「改良された生産性を有する植物」とは、外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子または内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子を導入することによって、導入前に比して生産性に関わる形質である、数量、生育期間、形、着色、性質、特性が付与若しくは向上若しくは抑制した植物をいう。例えば、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子または該抑制因子を植物に導入することにより、茎、葉、根、花、子房、種子に関わる形質が、該外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子または該抑制因子を有していない植物に比べて向上した植物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
これによって植物(器官・組織など)の生産性、収量、収穫量、品質の向上、商品性の向上などが期待できる。また、野菜、果物等の可食性植物では、食用部分(葉、果実、塊茎、根茎など)のポリアミン量を減らすことで品質などの特性に好影響を与える可能性がある。従って、これらの食用部分では抑制因子を発現させ、その他の部分ではポリアミン関連酵素遺伝子を発現させて品質を向上しつつ収量の向上を図ることも可能である。
さらに、本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、植物は栄養生長期における外観上の相違は小さいが(葉が濃緑色になる)、生殖生長期において葉、花、茎、根等の生産性の改良がより著しく認められ、これは植物の潜在能力(ポテンシャル)を向上させたものと理解される。
【0018】
本発明の植物には、植物体全体(全樹)に限らず、そのカルス、種子、あらゆる植物組織、葉、茎、塊茎、根、塊根、蕾、花、花弁、子房、果実、さや、胚珠、繊維などが含まれる。更にその子孫も本発明の植物に含まれる。
【0019】
本発明において「植物及びその子孫から得られる有用物質」とは、外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を導入することによって、導入前に比して生産性が向上した植物およびその子孫で生産された有用物質をさし、有用物質としては例えば、アミノ酸、油脂、デンプン、タンパク質、フェノール、炭化水素、セルロース、天然ゴム、色素、酵素、抗体、ワクチン、医薬品、生分解性プラスチックなどが含まれる。
【0020】
本発明の植物は、該外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を有していない植物に、遺伝子工学的手法により外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が導入され、且つ安定に保持されたものである。ここで「安定に保持される」とは、少なくともポリアミン代謝関連酵素遺伝子が導入された当代の植物体で該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が発現し、それによって器官形成が改良するのに十分な期間、該植物細胞内に保持されることをいう。従って、現実的には、該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子は宿主植物の染色体上に組み込まれるのが好ましい。該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子は次世代に安定に遺伝することがより好ましい。
【0021】
また、ここで「外因性」とは、植物が生来有しておらず、外部より導入されたものを意味する。従って、本発明の「外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子」は、遺伝子操作により外部より導入される、宿主植物と同種の(すなわち、該宿主植物由来の)ポリアミン代謝関連酵素遺伝子であってもよい。コドン使用(codon usage)の同一性を考慮すれば、宿主由来のポリアミン代謝関連酵素遺伝子の使用もまた好ましい。
【0022】
外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子はいかなる遺伝子工学的手法によって植物に導入されてもよく、例えば、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を有する異種植物細胞とのプロトプラスト融合、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を発現するように遺伝子操作されたウイルスゲノムを有する植物ウイルスによる感染、あるいはポリアミン代謝関連酵素遺伝子を含有する発現ベクターによる宿主植物細胞の形質転換が挙げられる。
【0023】
好ましくは、本発明の植物は、植物中で機能し得るプロモーターの制御下にある外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を含む発現ベクターで、該外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を有していない植物の細胞を形質転換することにより得られる、トランスジェニック植物である。
【0024】
植物中で機能し得るプロモーターとしては、例えば、植物細胞で構成的に発現するカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子(NOS)プロモーター、オクトピン合成酵素遺伝子(OCS)プロモーター、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)遺伝子プロモーター、カルコンシンターゼ(CHS)遺伝子プロモーター等を挙げることができる。さらにこれらに限定されない公知の植物プロモーターも挙げられる。
【0025】
35Sプロモーターのような器官全体に恒常的に発現させるプロモーターだけでなく、器官または組織特異的プロモーターを用いれば、特定の器官、又は組織だけに目的遺伝子を発現させることができ、特定の器官又は組織だけ生産性を改良することができる。例えば、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子と花器に特異的に働くプロモーター(例えば、WO99/43818、特開平11−178572、特開2000−316582)を用いることによって、花の器官のみで花の数や花の大きさを改良することができる。さらに、果実、子房に特異的に働くプロモーター(例えば、Plant Mol. Biol., 11, 651−662, 1988)を用いることによって、子房、果実の数や大きさを改良することができる。
【0026】
時期特異的なプロモーターを用いれば、特定の時期だけに目的遺伝子を発現させることができ、特定の時期だけに生産性を改良することができる。例えば、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子と栄養生長期に働くプロモーターを用いることによって、栄養生長期のみで生産性を改良することができる。
【0027】
本発明の発現ベクターにおいて、外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子は、植物中で機能し得るプロモーターによりその転写が制御されるように、該プロモーターの下流に配置される。該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の下流には、植物で機能し得る転写終結シグナル(ターミネーター領域)がさらに付加されていることが好ましい。例えば、ターミネーターNOS(ノパリン合成酵素)遺伝子等が挙げられる。
【0028】
本発明の発現ベクターは、エンハンサー配列等のシス調節エレメントをさらに含んでもよい。また、該発現ベクターは、薬剤耐性遺伝子マーカーなどの形質転換体選抜のためのマーカー遺伝子、例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NPTII)遺伝子、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)遺伝子、グリフォセート耐性遺伝子等をさらに含んでもよい。選択圧をかけない条件では、組み込まれた遺伝子が脱落する現象が起こる場合があるので、除草剤耐性遺伝子をベクター上で共存させておけば、栽培中該除草剤を使用することにより、常に選択圧がかかった条件を実現できるという利点もある。
【0029】
さらに、大量調製および精製を容易にするために、該発現ベクターは、大腸菌での自律複製を可能にする複製起点および大腸菌での選択マーカー遺伝子(例えばアンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子等)を含むことが望ましい。本発明の発現ベクターは、簡便には、pUC系またはpBR系の大腸菌ベクターのクローニング部位に上記ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の発現カセットと必要に応じて選択マーカー遺伝子を挿入することにより構築することができる。
【0030】
アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)やアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacteriumu rhizogenes)による感染を利用して外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を導入する場合には、該細菌が保持するTiまたはRiプラスミド上のT−DNA領域(植物染色体に転移する領域)内に該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子発現カセットを挿入して用いることができる。現在、アグロバクテリウム法による形質転換の標準的な方法ではバイナリーベクター系が使用される。T−DNA転移に必要な機能は、T−DNA自身とTi(またはRi)プラスミドの両者から独立に供給され、それぞれの構成要素は別々のベクター上に分割できる。バイナリープラスミドはT−DNAの切り出しと組込みに必要な両端の25bpボーダー配列を有し、クラウンゴール(または毛状根)を引き起こす植物ホルモン遺伝子が除去されており、同時に外来遺伝子の挿入余地を与えている。このようなバイナリーベクターとして、例えばpBI101やpBI121(Clontech社製)などが市販されている。なお、T−DNAの組込みに作用するVir領域は、ヘルパープラスミドと呼ばれる別のTi(またはRi)プラスミド上にあってトランスに作用する。
【0031】
植物の形質転換には、従来公知の種々の方法を使用することができる。例えば、セルラーゼやヘミセルラーゼなどの細胞壁分解酵素処理により、植物の細胞からプロトプラストを単離し、該プロトプラストと上記ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の発現カセットを含む発現ベクターとの懸濁液にポリエチレングリコールを加えてエンドサイトーシス様の課程で該発現ベクターをプロトプラスト内に取り込ませる方法(PEG法)、ホスファチジルコリン等の脂質膜小胞内に超音波処理等により発現ベクターを入れ、該小胞とプロトプラストをPEG存在下に融合させる方法(リポソーム法)、ミニセルを用いて同様の課程で融合させる方法、プロトプラストと発現ベクターの懸濁液に電気パルスを印加して外液中のベクターをプロトプラスト内に取り込ませる方法(エレクトロポレーション法)が挙げられる。しかしながら、これらの方法は、プロトプラストから植物体へ再分化させる培養技術を必要とする点で煩雑である。細胞壁を有するインタクトな細胞への遺伝子導入手段としては、マイクロピペットを細胞に刺し込み、油圧やガス圧でピペット内のベクターDNAを細胞内に注入するマイクロインジェクション法、およびDNAをコーティングした微小金粒子を火薬の爆発やガス圧を利用して加速し、細胞内に導入するパーティクルガン法等の直接導入法と、アグロバクテリウムによる感染を利用した方法とがある。マイクロインジェクションは操作に熟練を要し、また、扱える細胞数が少ないという欠点がある。従って、操作の簡便性を考慮すれば、アグロバクテリウム法および、パーティクルガン法により植物を形質転換することが好ましい。パーティクルガン法は、栽培中の植物の頂端分裂組織に直接遺伝子を導入することが可能である点さらに有用である。また、アグロバクテリウム法において、バイナリーベクターに植物ウイルス、例えばトマトゴールデンモザイクウイルス(TGMV)等のジェミニウイルスのゲノムDNAをボーダー配列の間に同時に挿入することにより、栽培中の植物の任意の部位の細胞に注射筒などを用いて菌懸濁液を接種するだけで、植物体全体にウイルス感染が拡がり、同時に目的遺伝子も植物体全体に導入される。これらの方法は、当該分野に置いて周知であり、形質転換する植物に適した方法が、当該者により適宜選択され得る。
【0032】
上記に示した方法で作製された形質転換植物は、サザン解析やノーザン解析でポリアミン代謝関連酵素遺伝子の遺伝子発現解析、ポリアミン量の分析、生産性の評価を行うことができる。
【0033】
例えば、ポリアミンの定量は、0.05〜1gの試料をサンプリングして、5%過塩素酸水溶液を加えて、ポリアミンを抽出する。抽出したポリアミンの定量はダンシル化またはベンゾイル化等で標識した後、蛍光又はUV検出器を接続した高速液体クロンマトグラフィー(HPLC)を用いて内部標準法で分析することができる。
【0034】
例えば、生産性の評価として茎については、トランスジェニック植物、またはトランスジェニック植物の自家受粉で得られたT2種子又はT3種子を適当な生育培地又は生育土壌に定植あるいは播種し、長日条件下(昼/夜:16時間/8時間日長)、20〜30℃で生育させて茎(例えば主花茎、側花茎、枝、蔓、塊茎など)の数、大きさ、形等を調べることにより評価することができる。葉については、トランスジェニック植物、またはトランスジェニック植物の自家受粉で得られたT2種子又はT3種子を適当な生育培地又は生育土壌に定植あるいは播種し、長日条件下(昼/夜:16時間/8時間日長)、20〜30℃で生育させて葉(例えばロゼット葉、本葉など)の数、大きさ、形等を調べることにより評価することができる。花については、トランスジェニック植物、またはトランスジェニック植物の自家受粉で得られたT2種子又はT3種子を適当な生育培地又は生育土壌に定植あるいは播種し、長日条件下(昼/夜:16時間/8時間日長)、20〜30℃で生育させて花の数、大きさ、形、色等を調べることにより評価することができる。子房については、トランスジェニック植物、またはトランスジェニック植物の自家受粉で得られたT2種子又はT3種子を適当な生育培地又は生育土壌に定植あるいは播種し、長日条件下(昼/夜:16時間/8時間日長)、20〜30℃で生育させて子房(例えばさや、果実など)の数、大きさ、形、色等を調べることにより評価することができる。種子については、トランスジェニック植物、またはトランスジェニック植物の自家受粉で得られたT2種子又はT3種子を適当な生育培地又は生育土壌に定植あるいは播種し、長日条件下(昼/夜:16時間/8時間日長)、20〜30℃で生育させて種子の数、大きさ、形等を調べることにより評価することができる。根については、トランスジェニック植物、またはトランスジェニック植物の自家受粉で得られたT2種子又はT3種子を適当な生育培地又は生育土壌に定植あるいは播種し、長日条件下(昼/夜:16時間/8時間日長)、20〜30℃で生育させて根(塊根、肥大根、細根など)の数、大きさ、形等を調べることにより評価することができる。
本発明において、生産性の向上(改良)方法とは、植物を植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を安定に保持することで比較対照植物に比して果実(例えばトマト、キュウリ、バナナ)、塊茎(例えばジャガイモ、キャッサバ)、塊根(例えばサツマイモ)、種子(例えばイネ、トウモロコシ、ダイズ、コムギ)、繊維(例えばワタ)などの収量ないし有用物質(例えばデンプン、油脂、タンパク質、セルロース等)の量(含有率)が増大する方法をいう。好ましくは、該方法により果実、野菜等の食用物質の味覚は劣化せず、比較対照植物と同等以上である。
本発明の形質転換される植物は、特に限定されるものではないが、双子葉植物、単子葉植物、草本性植物、木本性植物などが挙げられる。例えば、サツマイモ、トマト、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ、タバコ、シロイヌナズナ、ピーマン、ナス、マメ、サトイモ、ホウレンソウ、ニンジン、イチゴ、ジャガイモ、イネ、トウモロコシ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、ダイズ、ナタネ、ソルガム、ユーカリ、ポプラ、ケナフ、杜仲、サトウキビ、アカザ、ユリ、ラン、カーネーション、バラ、ペチュニア、トレニア、キンギョソウ、シクラメン、カスミソウ、ゼラニウム、ヒマワリ、シバ、ワタ、 キャッサバ、サゴヤシ、マツタケ、シイタケ、キノコ、チョウセンニンジン、柑橘類、バナナ、キウイ等が挙げられる。好ましくは、サツマイモ、トマト、キュウリ、イネ、トウモロコシ、ダイズ、コムギ、ペチュニア、トレニア、ユーカリ、ワタ、キャッサバである。
本発明は、例えばサツマイモについて好適に実施できる。
サツマイモからはサツマイモデンプン等の糖質が多量に得られ、該糖質は生分解性プラスチックの製造原料とすることができる。生分解性プラスチックとしては、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ(D,L,DL)乳酸(ポリラクチド)、ポリグリコール酸(ポリグリコリド)、酢酸セルロース、キトサン/セルロース/デンプン、変性デンプンなど、或いはこれらの2元共重合体、3元共重合体が例示される。これらの生分解性プラスチックは公知であり、公知の発酵法、化学合成法などを用いて製造することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、植物の生産性を改良することができ、植物の器官や組織の品質、価値、生産性、収量の向上などが期待できる。具体的には、茎(塊茎を含む)、葉、根(根茎を含む)、花、子房、果実、さや、種子の数や大きさが増加することによって、該器官が農作物として生産される場合、品質、生産性、収量の増加が期待される。例えば、イネは1株当たりの種子数が増加することで収穫できる米の収量が増大することが期待できる。果樹は着果した果実(子房)の数が増加して、発達期間が長くなることで生産性の向上が期待される。観賞植物は花、茎、葉、特に花の数や大きさが増加することで見栄えが良くなり、商品価値が高まることが期待される。さらに、植物の形や形態が変化することで様々な環境適応性が向上し、栽培の安定化、生産性の向上、栽培地域の拡大なども期待できる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施例1:植物由来のポリアミン代謝関連酵素遺伝子のクローニング
(1)ポリ(A)RNAの調製
クロダネカボチャ(Cucurbita ficifolia Bouche)をバーミキュライトに播種し、子葉展開時に市販の床土(サンサン床土;タキイ種苗社製)を詰めた鉢に移植した。鉢上げしたクロダネカボチャを植物栽培用のインキュベーター(気温 昼26℃/夜22℃、13時間日長)内に置いた。第2本葉展開時にインキュベーター内の温度を昼18℃/夜14℃まで下げ低温処理を開始した。低温処理3日後に、根、茎、葉に分けてサンプリングした。RNA抽出まで−80℃のフリーザーに保存した。
【0037】
約4gのクロダネカボチャの根組織を直ちに液体窒素中で凍結し、液体窒素存在下乳鉢で細かく粉砕した。その後、10 mlの抽出用0.2Mトリス酢酸緩衝液〔5M guanidine thiocyanate、0.7%β−mercaptoethanol、1%polyvinylpyrrolidone(M.W.360,000)、0.62%N−Lauroylsarcosine Sodium Salt、pH8.5)を加えポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用い氷冷下2分間粉砕した。ただし、β−メルカプトエタノールとポリビニルピロリドンは使用する直前に添加した。その後、粉砕液を17,000×gで20分間遠心分離し、上清を回収した。
【0038】
この上清をミラクロスで濾渦し、その濾液を超遠心分離管に入れた5.7M塩化セシウム溶液1.5 mlに静かに重層し、155,000×g、20℃で20時間遠心した後、上清を捨てRNAの沈殿を回収した。この沈殿を3mlの10mM Tris−HCl、1mM EDTA・2Na、pH8.0(TE緩衝液と呼ぶ)に溶解し、さらに等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(容積比、25:24:1)を加え良く混合した後、遠心分離を行って上層の水層を回収した。得られた水層に、1/10倍量の3M 酢酸ナトリウム(氷酢酸でpH6.2に調製)と、2.5倍量のエタノールを添加して良く混合し、−20℃で一晩静置した。その後、17,000×gで20分間遠心分離し、得られた沈殿を70%エタノールで洗浄して減圧乾燥した。
【0039】
この乾燥標品を500μlの前述のTE緩衝液に溶解し、全RNA溶液を得た。このRNA溶液を65℃で5分間インキュベートした後、氷上で急冷した。これに2×結合緩衝液(10mM Tris−HCl、5mM EDTA・2Na、1M NaCl、0.5% SDS、pH7.5)を等量になるようにRNA溶液に加え、平衡化緩衝液(10mM Tris−HCl、5mM EDTA・2Na、0.5M NaCl、0.5% SDS、pH7.5)で予め平衡化したオリゴdTセルロースカラム(Clontech社製)に重層した。次いで、カラムを約10倍量の前述の平衡化緩衝液で洗浄した後、溶出緩衝液(10mM Tris−HCl、5mM EDTA・2Na、pH7.5)でpoly(A)RNAを溶出した。
【0040】
得られた溶出液に1/10倍量の前述の3M 酢酸ナトリウム水溶液と、2.5倍量のエタノールを加え混合し、−70℃で静置した。その後、10,000×gで遠心分離を行ない、得られた沈殿を70%エタノールで洗浄して減圧乾燥した。この乾燥標品を再度500μlのTE緩衝液に溶解し、オリゴdTセルロースカラム精製を繰り返し行った。得られた低温処理したクロダネカボチャの根由来のpoly(A)RNAはPCR用のcDNAライブラリーと完全長遺伝子単離用のcDNAライブラリーの作製に用いた。
(2)PCR用cDNAライブラリーの作製
cDNAライブラリーの作製はMarathon cDNA Amplification Kit(Clontech社製)を使用した。(1)で得られたクロダネカボチャの根由来のpoly(A)RNAを鋳型として3’末端に2つのdegenerate nucleotide position を持つ修飾lock−docking オリゴ(dT)プライマーと逆転写酵素を用い、GublerとHoffmanらの方法(Gene, 25, 263−269, 1983)に従い2本鎖cDNAを合成した。
【0041】
得られたcDNAの両末端にMarathon cDNAアダプター(T4 DNA ligaseによりds cDNAの両末端へ結合しやすくなるように5’末端をリン酸化したもの)を連結した。得られたアダプター結合のcDNAをクロダネカボチャ根由来のPCR用cDNAライブラリーとした。
(3)PCR用プライマーの設計
既に植物や哺乳類から単離されているアルギンニン脱炭酸酵素遺伝子、S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子、スペルミジン合成酵素遺伝子の決定されている塩基配列を比較した。そして、非常に相同性が高く保存されている領域を選び出し、DNAオリゴマーを合成した(配列プライマーI〜VI)。
SPDSプライマーI(配列番号7):5’−GTTTTGGATGGAGTGATTCA−3’
SPDSプライマーII(配列番号8):5’−GTGAATCTCAGCGTTGTA−3’
SAMDCプライマーIII(配列番号9):5’−TATGTGCTGTCTGAGTCGAGC−3’
SAMDCプライマーIV(配列番号10):5’−GCTAAACCCATCTTCAGGGGT−3’
ADCプライマーV(配列番号11):5’−GGGCT(T/G)GGA(G/A)T(G/C)GACTA(C/T)−3’
ADCプライマーVI(配列番号12):5’−(T/C)CC(A/G)TC(A/G)CTGTC(G/A)CA(G/C)GT−3’
(4)PCRによる増幅
(2)で得られたPCR用cDNAライブラリーをテンプレートとして、(3)で設計した配列プライマーを用いてPCRを行った。PCRのステップは最初、94℃、30秒、45℃、1分間、72℃、2分間で5サイクル、続いて94℃、30秒、55℃、1分間、72℃、2分間で30サイクル行った。
(5)アガロースゲル電気泳動
PCR増幅産物を1.5%アガロースで電気泳動し、泳動後のゲルをエチジウムブロマイド染色し、UVトランスイルミネーター上で増幅バンドを検出した。
(6)PCR産物の確認と回収
検出された増幅バンドを確認し、カミソリの刃を用いてアガロースゲルから切り出した。切り出したゲルを1.5mlのマイクロチューブに移し、QIAEXII Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いてゲルからDNA断片を単離精製した。回収したDNA断片をpGEMTクローニングベクター(Promega社製)にサブクローニングし、大腸菌に形質転換後、常法に従ってプラスミドDNAを調製した。
(7)塩基配列決定
得られたプラスミドの挿入配列の塩基配列決定をダイデオキシ法(Messing, Methods in Enzymol., 101, 20−78, 1983)により行った。SPDS遺伝子については3種類の遺伝子、SAMDC遺伝子については1種類の遺伝子、ADC遺伝子については2種類の遺伝子が単離された。
(8)ホモロジー検索
これらの遺伝子の塩基配列を既知遺伝子塩基配列のデータベースとホモロジーサーチを行うとSPDS遺伝子は既知の植物由来のSPDS遺伝子と70%の相同性を示した。SAMDC遺伝子については既知の植物由来のSAMDC遺伝子と70%以上の相同性を示した。ADC遺伝子については既知の植物由来のADC遺伝子と67%以上の相同性を示した。
(9)完全長遺伝子の取得
完全長遺伝子はプラークハイブリダイゼーション法で取得した。cDNAライブラリーの作製はZAP−cDNA Synthesis Kit(Stratagene社製)を使用した。(1)で得られたクロダネカボチャ根由来のpoly(A)RNAを鋳型としてオリゴ(dT)プライマーと逆転写酵素を用い、GublerとHoffmanらの方法(Gene, 25, 263−269 ,1983)に従い2本鎖cDNAを合成した。
【0042】
得られたcDNAの両末端にEcoRIアダプター(内部にXho IとSpe Iサイトを持つ)を連結し、Xho Iで消化した後、それをλファージベクター、λZAP IIアームのEcoRIとXho I部位に連結後、インビトロパッケージングキット(Stratagene社製、GIGAPACK Gold)を用い、パッケージングを行ない、大腸菌SURE株(OD660=0.5)に感染させることにより多数の組換えλファージを得た。これをクロダネカボチャ根由来のcDNAライブラリーとした。このライブラリーのサイズは8.0×10であった。
【0043】
プローブの作製は(6)で調製したSPDS、SAMDC、ADC遺伝子のプラスミドDNAからインサートcDNAを単離・調製し、得られたcDNAを鋳型として、Random Primed DNA Labeling Kit(USB社製)を用いて、32P標識プローブを作製した。得られた32P標識cDNAをプローブに用いた。
【0044】
前記、クロダネカボチャ根由来のcDNAライブラリーを構成するファージを大腸菌に感染させてLB寒天培地上で増殖させ、約50,000個のファージDNAをナイロンメンブレン(ハイボンド−N、アマシャム社製)に写し取った。
【0045】
ファージDNAを写し取ったナイロンメンブレンをアルカリ変性液(0.5M NaOH、1.5M NaCl)を含んだ濾紙上に移し、4分間放置し、次に中和液(0.5M Tris−HCl、1.5M NaCl、pH8.0)を含んだ濾紙上に移し5分間放置した。2×SSC(0.3M NaCl、0.03M クエン酸三ナトリウム)で洗浄した後、メンブレンをストラタリンカー(Stratagene社製)を用いDNAの固定を行った。固定処理を行ったナイロンメンブレンをハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド、0.5%SDS、6×SSPE(3M NaCl、0.2M NaHPO、20mMEDTA・2Na、pH7.4)、5×デンハルト溶液(0.1% Ficoll、0.1% Polyvinylpyrrolidone、0.1% bovine serum albumin)、50μg/ml変性サケ精子DNAを含有中において、42℃で3時間プレハイブリさせ、作製したcDNAプローブを加え42℃で18時間ハイブリダイズさせた。その後、メンブレンを取り出し、2×SSC、1×SSC、0.5×SSCおよび0.1×SSCを含有する溶液を用いて、42℃で1時間〜2時間洗浄した。このメンブレンを乾燥した後、X線フィルムを密着させて一晩感光させた。
【0046】
その結果、SPDS、SAMDC、ADC遺伝子断片から得たプローブでハイブリダイズした陽性クローンを選抜することができた。
【0047】
陽性クローンのファージDNAそれぞれから、インビボ・エクシジョン法によりcDNAインサートを持つプラスミドクローンを調製した。インビボ・エクシジョン法は、ZAP−cDNA Synthesis Kit(Stratagene社製)の方法に従った。
【0048】
SPDS遺伝子、SAMDC遺伝子、ADC遺伝子を含む各ファージ液200μl、大腸菌XL1−Blue懸濁液200μl、ヘルパーファージR408懸濁液1μlを混ぜ37℃で15分間インキュベートした後、3mlの2×YT培地(1.6% Bacto Tripton, 1% Yeast Extract, 0.5% NaCl)を加え37℃で2時間振蘯培養し、70℃で20分間処理し、遠心分離(4,000×g、10分間)して上清を回収した。得られた上清30μlと大腸菌SURE懸濁液30μlを混ぜ、37℃で15分間インキュベートした後、アンピシリンを50ppm含むLB(1% Bacto Tripton, 0.5% Yeast Extract, 1% NaCl)寒天培地に数μl植菌し、37℃で一晩培養した。コロニーを形成した大腸菌は、cDNAインサートを持つプラスミドクローンを含んでいた。これらのプラスミドの挿入配列の塩基配列決定を、ダイデオキシ法(Messing, Methods in Enzymol., 101, 20−78, 1983)により行った。その結果、開始コドンを含むプラスミドであることが明らかとなった。
【0049】
得られた完全長のクロダネカボチャ由来のスペルミジン合成酵素遺伝子をFSPD1(配列番号1,2)、S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子をFSAM24(配列番号3,4)、アルギニン脱炭酸酵素遺伝子をFADC76(配列番号5,6)と命名した。
【0050】
得られたFSPD1と既知の植物由来のスペルミジン合成酵素遺伝子とアミノ酸比較を行った(表1)。表1の結果からクロダネカボチャ根由来のFSPD1は他の植物由来のSPDS遺伝子とアミノ酸レベルで高い相同性を示した。
【0051】
【表1】
Figure 2004242510
【0052】
得られたFSAM24と既知の植物由来のS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子とアミノ酸比較を行った(表2)。表2の結果からクロダネカボチャ根由来のFSAM24は他の植物由来のSAMDC遺伝子とアミノ酸レベルで高い相同性を示した。
【0053】
【表2】
Figure 2004242510
【0054】
得られたFADC76と既知の植物由来のアルギニン脱炭酸酵素遺伝子とアミノ酸比較を行った(表3)。表3の結果からクロダネカボチャ根由来のFADC76は他の植物由来のADC遺伝子とアミノ酸レベルで高い相同性を示した。
【0055】
【表3】
Figure 2004242510
【0056】
実施例2:トランスジェニックサツマイモの作製
(1)発現コンストラクトの作製
配列番号1に示したポリアミン代謝関連遺伝子FSPD1の塩基配列よりオープンリーディングフレームをすべて含むように、XhoIで切断し、グラスミルク法で精製した。次にpGEM−7Zf(Promega社製)をXhoI切断して、FSPD1断片をセンスとアンチセンス方向にそれぞれサブクローニングした。pGEM−7Zfのマルチクローニングサイトの制限酵素XbaIとKpnIで再度FSPD1断片を切り出して、35Sプロモーターが連結しているバイナリーベクターpBI101−Hm2にサブクローニングした。これらのプラスミドをpBI35S−FSPD1+/−と命名した。その発現コンストラクトの構造を図1に示した。なお、形質転換された大腸菌JM109を、Escherichia coli JM109/pBI35S−FSPD1+/−と命名した。
配列番号3に示したポリアミン代謝関連遺伝子FSAM24の塩基配列よりオープンリーディングフレームをすべて含むように、NotIで切断し、それぞれ平滑末端化した。これらの断片を平滑末端化した35Sプロモーターが連結しているバイナリーベクターpBI101−Hm2にセンス方向とアンチセンス方向にサブクローニングした。これらのプラスミドをpBI35S−FSAM24+/−と命名した。その発現コンストラクト(センス方向のみ)の構造を図1に示した。なお、形質転換された大腸菌JM109を、Escherichia coli JM109/pBI35S−FSAM24+/−と命名した。
配列番号5に示したポリアミン代謝関連遺伝子FADC76の塩基配列よりオープンリーディングフレームをすべて含むように、NotIで切断し、それぞれ平滑末端化した。これらの断片を平滑末端化した35Sプロモーターが連結しているバイナリーベクターpBI101−Hm2にセンス方向とアンチセンス方向にサブクローニングした。これらのプラスミドをpBI35S−FADC76+/−と命名した。その発現コンストラクト(センス方向のみ)の構造を図1に示した。なお、形質転換された大腸菌JM109を、Escherichia coli JM109/pBI35S−FADC76+/−と命名した。
(2)プラスミドのアグロバクテリウムへの導入
(1)で得られた大腸菌pBI35S−FSPD1+/−、大腸菌pBI35S−FSAM24+/−、大腸菌pBI35S−FADC76+/−とヘルパープラスミドpRK2013を持つ大腸菌HB101株を、それぞれ50mg/lのカナマイシンを含むLB培地で37℃で1晩、アグロバクテリウムEHA101株を50mg/lのカナマイシンを含むLB培地で37℃で2晩培養した。各培養液1.5mlをエッペンドルフチューブに取り集菌したのち、LB培地で洗浄した。これらの菌体を1mlのLB培地に懸濁後、3種の菌を100μlずつ混合し、LB培地寒天培地にまき、28℃で培養してプラスミドをアグロバクテリウムに接合伝達(三者接合法)させた。1から2日後に一部を白金耳でかきとり、50mg/lカナマイシン、20mg/lハイグロマイシン、25mg/lクロラムフェニコールを含むLB寒天培地上に塗布した。28℃で2日間培養した後、単一コロニーを選択した。得られた形質転換体をEHA101/pBI35S−FSPD1+/−、EHA101/pBI35S−FSAM24+/−、EHA101/pBI35S−FADC76+/−と命名した。
(3)形質転換用サツマイモカルスの作製
サツマイモ高系14号(石川県立農業短期大学農業資源研究所より提供、以下「高系14号」又は「野生株」という)を鉢植えにて通常の栽培管理により栽培し、茎頂を含む5cm程度の茎先端部数十本を採取した。これを滅菌した300mlビーカーに入れた70%エタノール150mlに2分浸漬の後、同様に滅菌したビーカーに入れた滅菌液(5%次亜塩素酸ナトリウム、0.02%Triton X−100)150mlに2分浸漬して滅菌を行った。滅菌した茎先端部は、滅菌ビーカーに入れた滅菌水で3回洗浄を行った。洗浄後、実体顕微鏡下で無菌的に茎頂分裂組織を含む0.5mm程度の組織を摘出した。これを胚性(Embryogenic)カルス誘導培地〔4F1プレート:LS培地(1.9g/l KNO、1.65g/l NHNO、0.32g/l MgSO・7HO、0.44g/l CaCl・2HO、0.17g/l KHPO、22.3mg/l MnSO・4HO、8.6mg/l ZnSO・7HO、0.025mg/l CuSO・5HO、0.025mg/l CoCl・6HO、0.83mg KI、6.2mg HBO、27.8mg FeSO・7HO、37.3mg/l Na・EDTA、100mg/l myo−イノシトール、0.4mg/l 塩酸チアミン)、1mg/l 4−fluorophenoxyacetic acid(4FA)、30g/l ショ糖、3.2g/l ゲランガム、pH5.8〕上に置床し、植物インキュベーター(サンヨー社製、MLR−350HT)中で26℃、暗黒条件下にて培養した。約1ヶ月後、増殖した組織より植物体への再分化能を持つ胚性カルスを選抜した。選抜した胚性カルスは以後、1ヶ月毎に新しい4F1プレートに移植し、増殖させた。
(4)アグロバクテリウムの感染
形質転換アグロバクテリウム株EHA101/pBI35S−FSPD1+/−、EHA101/pBI35S−FSAM24+/−、EHA101/pBI35S−FADC76+/−を50mg/lカナマイシン及び50mg/lハイグロマイシンを含むLB寒天培地にて27℃、2晩培養後、菌体を飯粒2粒程度掻き取り、感染培地(LS培地、20mg/l アセトシリンゴン、1mg/l 4FA、30g/l ショ糖、pH5.8)50mlに懸濁し、100rpm、26℃、暗黒条件下にて1時間振とうした。この菌体懸濁液を、滅菌したステンレスネット製バスケットを入れた300ml滅菌ビーカーに移した。前記(3)で移植後2週間〜3週間培養した胚性カルスをこのビーカーのバスケットに入れて2分間浸したのち、2枚重ねた滅菌濾紙上にバスケットごと乗せて余分な水分を除き、共存培養培地(4F1A20プレート:LS培地、1mg/l 4FA、20mg/l アセトシリンゴン、30g/l ショ糖、3.2g/l ゲランガム、pH5.8)に移して、22℃、暗黒条件下にて3日間共存培養した。
(5)除菌
前記(4)にて3日間共存培養した胚性カルスを、除菌液(滅菌水にカルベニシリンを終濃度500mg/lとなるように加えたもの)50mlを入れた滅菌したステンレスバスケット入り300mlビーカーのバスケットに移し、ピンセットでバスケットをつまみ、数分間良く洗浄した。次に胚性カルスを、バスケットごと除菌液を入れた300ml滅菌ビーカーに移し、再び洗浄を行った。同じ操作を再度繰り返した後、滅菌濾紙上で余分な水分を除き、選抜培地(4F1HmCarプレート:LS培地、1mg/l 4FA、25mg/l ハイグロマイシン、500mg/l カルベニシリン、30g/l ショ糖、3.2g/l ゲランガム、pH5.8)に並べて26℃、暗黒条件下にて培養した。
(6)形質転換カルスの選択
前記(5)で2週間培養した胚性カルスは、以後2週間毎に新しい4F1HmCarプレートに移植し、培養した。非形質転換カルスは褐変したが、一部の形質転換された細胞は淡黄色の胚性カルスを形成した。
(7)形質転換植物の再生
形質転換された胚性カルスは、選抜培地置床後60日で、体細胞胚形成培地(A4G1HmCarプレート:LS培地、4mg/l ABA、1mg/l GA3、25mg/l ハイグロマイシン、500mg/l カルベニシリン、30g/l ショ糖、3.2g/l ゲランガム、pH5.8)に移植し26℃、弱光(30〜40μmol/m/s)、全日長条件下にて2週間培養の後、植物体形成培地(A0.05HmCarプレート:LS培地、0.05mg/l ABA、25mg/l ハイグロマイシン、500mg/l カルベニシリン、30g/lショ糖、3.2g/l ゲランガム、pH5.8)に移植し、同条件で培養した。以後2週間毎に新しいA0.05HmCarプレートに移植した。形質転換された細胞は緑色を呈する胚性カルス由来体細胞胚を形成するので、これを植物生育培地(0Gプレート:LS培地、30g/l ショ糖、3.2g/l ゲランガム、pH5.8)に移植し、シュートを形成させた。
(8)DNA抽出とサザンハイブリダイゼーション
前記で得られた形質転換体から葉を切り取り、直ちに液体窒素で凍結した。これを液体窒素存在下乳鉢で細かく粉砕し、1g当たり、3mlのDNA抽出用緩衝液〔200mM Tris−HCl(pH8.0)、100mM EDTA−2Na、1% N−ラウロイルサルコシンナトリウム、100μg/ml ProteinaseK〕を加え十分撹拌した。60℃で1時間インキュベート後、遠心(10,000×g、10分間)して、その上清をミラクロスで濾渦し新しいチューブに移した。フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)抽出を3回行った後、エタノール沈殿を行った。沈殿をTE緩衝液に溶解した。それぞれ植物体約2.0gから、20μgずつのゲノムDNAが得られた。このうち1μgのDNAを用いて、それぞれを制限酵素EcoRI、HindIIIで切断し、1%アガロース電気泳動及びサザンハイブリダイゼーションに供した。
【0057】
また、形質転換されていない野生株についても同様な条件下で栽培し、同様にDNAを抽出し、制限酵素EcoRI、HindIIIによる消化を行ない、1%アガロースゲル電気泳動及びサザンハイブリダイゼーションに供した。ハイブリダイゼーション用プローブは各FSPD1、FSAM24、FADC76遺伝子断片を用いた。
【0058】
サザンハイブリダイゼーションは、モレキュラー クローニング,ア ラボラトリー マニュアル(Molecular Cloning,a Laboratory Manual)、第9章、第31〜58頁〔コールド スプリング ハーバー(Cold Spring Harber)社、1989年刊〕に記載の方法に従って行った。すなわち、それぞれのDNA試料について1%アガロースゲル電気泳動を行ない、泳動後、アルカリ変性を行ないナイロンメンブレン(ハイボンド−N、アマシャム社製)に一晩サザンブロットした。紫外線トランスイルミネーター(254nm)に3分間照射させ、DNAを固定した。このメンブレンをプレハイブリダイゼーション緩衝液(5×デンハルト液、6×SSC、0.1%SDS、10μg/mlサケ精子DNA)5ml中で50℃、2時間プレハイブリダイゼーションを行った。プローブを加え、50℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションの後、メンブレンを2×SSC、0.1%SDSを含む洗浄液で室温10分間2回洗浄し、続いて同じ洗浄液で50℃、30分間で2回洗浄した。メンブレンは乾燥させた後、X線フィルム(コダック社製)を入れたカセット内で−80℃一晩感光させ、オートラジオグラフィーをとった。形質転換を行っていない株(1)、FSPD1、FSAM24、FADC76を導入した形質転換体(2)、ベクターのみを導入した形質転換体(3)について、サザンハイブリダイゼーションにより検出されたシグナルのパターンを比較した。
(2)には、(1)、(2)、(3)共通の内在性シグナルのほかに、EcoRIで切断したサンプルと、HindIIIで切断したサンプルでは特異的なシグナルが観察され、目的遺伝子が(2)に組み込まれていることが観察された。
実施例3:ノーザンブロット解析
実施例2で得られた形質転換体で目的の遺伝子が実際に遺伝子発現しているかを確かめるために、ノーザンブロッティングを下記に示す様に行った。
【0059】
形質転換を行っていない野生株(WT)と形質転換体(TSP)の若葉から全RNAを抽出した。RNA抽出は定法に従って行った。得られた全RNA10μgを1.5%ホルムアルデヒドアガロースゲルで電気泳動した後、ハイボンドNナイロンメンブランに一晩ブロッティングした。UVクロスリンカーでRNAを固定した後、プレハイブリダイゼーションバッファー(50% Formamide、5X SSPE、5X Denhardt’s、0.1% SDS、80μg/ml Salmon sperm DNA、pH7.0)で、42℃、2時間プレハイブリダイゼーションを行った。形質転換を行ったクロダネカボチャSPDS遺伝子断片、SAMDC遺伝子断片、ADC遺伝子断片のcDNAを32P−dCTPとランダムラベルキット(アマシャム社製)を用いて、プローブを作製した。このプローブをプレハイブリダイゼーションに加え、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後、メンブレンを2×SSC、0.1% SDSを含む洗浄液からスタートし、最終的には0.1× SSC、0.1% SDSを含む洗浄液で55℃・30分2回まで洗浄した。メンブレンをX線フィルム(Kodak社製)を用いて、オートラジオグラフィーを行った。その結果、野生株(WT)では外因性クロダネカボチャSPDS遺伝子、SAMDC遺伝子、ADC遺伝子の発現は検出されなかったが、形質転換を行った全ての形質転換体では非常に高いレベルでクロダネカボチャSPDS遺伝子(FSPD1)、SAMDC遺伝子(FSAM24)、ADC遺伝子(FADC76)が発現していることが確認された。
実施例4:ポリアミン含量の評価
(1)系統(セルライン)の選抜
実施例2で作製した形質転換体について、PCR(またはサザン解析)とノーザン解析による目的遺伝子の導入確認でセルラインの選抜を行った。その結果、確実にポリアミン代謝関連酵素遺伝子が導入され、且つ該遺伝子を安定的に発現している系統についてポリアミン分析を行った。FSPD1がセンス方向(+)で導入されているセルライン、TSP−SS−1、TSP−SS−2、TSP−SS−3、TSP−CS−1、TSP−CS−3、TSP−CS−4を選抜し、TSP−SS−1、TSP−SS−2、TSP−SS−3はプロモーターとしてCaMV 35Sプロモーターが導入されている系統、TSP−CS−1、TSP−CS―3、TSP−CS−4は西洋わさび由来のペルオキシダーゼプロモーター(C2プロモーター)が導入されている系統である。FSPD1がアンチセンス方向(−)で導入されているセルライン、TSP−SA−1、TSP−SA−2を選抜し、いずれもCaMV 35Sプロモーターが導入されている系統である。FSAM24がセンス方向(+)で導入されているセルライン、TSP−SM−1、TSP−SM−2、TSP−SM−5を選抜し、TSP−SM−1、TSP−SM−2、TSP−SM−5はプロモーターとしてCaMV 35Sプロモーターが導入されている系統である。
(2)ポリアミン含量の分析
同時に栽培を行った野生株(WT)と形質転換体(TSP)から約0.3〜0.9gの若葉をサンプリングして凍結保存した。サンプリングした試料に希釈内部標準液(1,6−hexanediamine、内部標準量=7.5nmol)と5%過塩素酸水溶液(試料生体重1.0g当たり5〜10ml)を加え、オムニミキサーを用いて室温下で十分に磨砕抽出した。磨砕液を、4℃・35,000×gで20分間遠心分離して上清液を採取し本液を遊離型ポリアミン溶液とした。スクリューキャップ付きのマイクロチューブに400μlの遊離型ポリアミン溶液、200μlの飽和炭酸ナトリウム水溶液、200μlのダンシルクロライド/アセトン溶液(10mg/ml)を加えて軽く混和した。チューブの栓をしっかりと閉めたのちアルミ箔で多い、60℃のウォーターバスで1時間加温してダンシル化を行った。チューブを放冷した後、プロリン水溶液(100mg/ml)を200μl加えて混和した。アルミ箔で覆ってウォーターバスで30分間再加温した。放冷後、窒素ガスを吹き付けてアセトンを除いた後に、600μlのトルエンを加えて激しく混和した。チューブを静置して2相に分かれた後に、上層のトルエン層を300μlマイクロチューブに分取した。分取したトルエンに窒素ガスを吹き付けてトルエンを完全除去した。チューブに200μlのメタノールを加えてダンシル化遊離型ポリアミンを溶解させた。プトレシン、スペルミジン、スペルミンの遊離型ポリアミン量の定量は蛍光検出器を接続した高速液体クロマトグラフィーを用いて内部標準法で分析した。HPLCカラムはμBondapak C18(Waters社製:027324、3.9×300mm、粒子径10μm)を使用した。試料中のポリアミン含量は標準液と試料のHPLCチャートから、それぞれ各ポリアミンと内部標準のピーク面積を求めて算出した。その結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
Figure 2004242510
【0061】
表4より、明らかなようにポリアミン代謝関連酵素遺伝子をセンス方向に導入したセルラインは、プトレシン含量、スペルミジン含量、スペルミン含量が野生株(WT)より有意に増大し、総ポリアミン含量も野生株(WT)より有意に増大していることが明らかとなった。特にスペルミジンとスペルミン含量の増加が顕著であった。さらに、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子をアンチセンス方向に導入したセルラインは、特にスペルミジン含量とスペルミン含量が野生株(WT)より有意に減少し、総ポリアミン含量も野生株(WT)より有意に減少していることが明らかとなった。
【0062】
以上の結果から、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を植物にセンス方向又はアンチセンス方向で遺伝子導入することで、植物内のポリアミン含量を増加又は減少させることが可能であることが明らかとなった。これらのことから、ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を植物に遺伝子導入することで、ポリアミン代謝を操作してポリアミン含量を制御できることが示された。
実施例5:生産性の評価
(1)茎(蔓)・葉・根(塊根)の評価
実施例2で得られた形質転換体(TSP)と野生株(WT:高系14号)の幼苗を培養土(サンサン床土:タキイ種苗社製)を詰めたプランターに定植して7日間、23℃、長日条件(16時間日長・8時間暗黒)、多湿条件下で活着させた。その後、23℃、弱光長日条件下で約1ヶ月間順化育成した後に自然光型グロースチャンバー(コイトトロンSBH−3030、小糸工業社製)に移して、温度(昼/夜:26℃/24℃)、湿度(50〜60%)、光(なりゆき)条件下で通常栽培を開始した。通常栽培から1ヶ月後に蔓(茎)と葉について調査を行った。その結果を図2に示した。図2の結果から、形質転換体(TSP)は野生株(WT)に比べて、茎(蔓)が長く、葉数が増大していることが明らかとなった。さらに、蔓を詳細に調べたところ、形質転換体(TSP)は野生株(WT)比べて節間が短く、野生株(WT)の葉柄(葉)数が5個(5枚)であるのに対して、形質転換体(TSP)の葉柄(葉)数は17個(17枚)であり顕著に増加していた。さらに、通常栽培から3ヶ月後に塊根(イモ)の調査を行った。その結果を図3A及び図3Bに示した。形質転換体(TSP)と野生株(WT)の一株当たりの塊根数を比較したところ、形質転換体(TSP)の方がイモの数が多かった。さらに、イモの収量を調べたところ、形質転換体(TSP)は一株当たりのイモの新鮮重が325.99gと200.18gであるのに対して、野生株(WT)の新鮮重は79.08gと101.36gであり、形質転換体(TSP)の方がイモの収量が顕著に増大していることが明らかとなった。
(2)根(塊根)の評価
実施例2で得られた形質転換体(TSP−SS−1,TSP−CS−3)と野生株(WT:高系14号)の苗から挿し穂(一節挿し木法)を培養土(サンサン床土:タキイ種苗社製)を詰めたプランターに挿し込んで7日間、23℃、長日条件(16時間日長・8時間暗黒)、多湿条件下で発根させた。その後、23℃、弱光長日条件下で約1ヶ月間順化育成した後に自然光型グロースチャンバー(コイトトロンSBH−3030、小糸工業社製)に移して、温度(昼/夜:26℃/24℃)、湿度(50〜60%)、光(なりゆき)条件下で通常栽培を開始した。通常栽培から2ヶ月後に塊根(イモ)の肥大形成について調査を行った。その結果を図4に示した。図4の結果から、野生株(WT)は全株において塊根の肥大形成が見られなかったが、形質転換体(TSP−SS−1,TSP−CS−3)は全株で塊根の肥大形成が観察された。
以上の結果から、サツマイモにポリアミン代謝関連酵素遺伝子を導入することで、葉、茎(蔓)、根(塊根)等の生産性が増加し、植物の生産性が改良できることが立証された。
【0063】
【配列表】
Figure 2004242510
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【図面の簡単な説明】
【図1】ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を含む発現コンストラクトの構造を示す図である。
【図2】ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を導入したサツマイモと野生株との茎・葉・蔓の比較を示す写真である。
【図3A】ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を導入したサツマイモと野生株との根(塊根、イモ)の比較を示す写真である。
【図3B】ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を導入したサツマイモと野生株との根(塊根、イモ)の比較を示す写真である。
【図4】ポリアミン代謝関連酵素遺伝子を導入したサツマイモと野生株との根(塊根、イモ)の肥大形成の比較を示す写真である。

Claims (37)

  1. 植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を安定に保持し、且つ該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に生産性ないし形質が改良されたトランスジェニック植物及びその子孫。
  2. ポリアミン量を調節する核酸配列が外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子または内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子である請求項1記載の植物及びその子孫。
  3. 該生産性ないし形質が改良された植物が、植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を含む発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物を形質転換して得られる形質転換植物である、請求項1記載の植物及びその子孫。
  4. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、アルギニン脱炭酸酵素(ADC)をコードする遺伝子、オルニチン脱炭酸酵素(ODC)をコードする遺伝子、S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)をコードする遺伝子、スペルミジン合成酵素(SPDS)をコードする遺伝子、スペルミン合成酵素(SPMS)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種である請求項2に記載の植物及びその子孫。
  5. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、スペルミジン合成酵素をコードする遺伝子である請求項4記載の植物及びその子孫。
  6. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、以下の(a)または(b)または(c)の塩基配列を有するスペルミジン合成酵素遺伝子である、請求項2記載の植物及びその子孫。
    (a)配列番号1(SPDS、1328)に示される塩基配列中塩基番号77〜1060で示される塩基配列、
    (b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つスペルミジン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
    (c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つスペルミジン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  7. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、以下の(a)または(b)または(c)の塩基配列を有するS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子である、請求項2記載の植物及びその子孫。
    (a)配列番号3(SAMDC、1814)に示される塩基配列中塩基番号456〜1547で示される塩基配列、
    (b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
    (c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  8. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、以下の(a)または(b)または(c)の塩基配列を有するアルギニン脱炭酸酵素遺伝子である、請求項2記載の植物及びその子孫。
    (a)配列番号5(ADC、3037)に示される塩基配列中塩基番号541〜2661で示される塩基配列、
    (b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つアルギニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
    (c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つアルギニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  9. 内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子が、該遺伝子のイントロンまたはエクソン、該遺伝子のプロモーターを含む5’上流側の調節領域または終止コドンの下流側であって、遺伝子発現に影響する領域のいずれかのアンチセンスDNAである請求項2に記載の植物及びその子孫。
  10. 内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子が、該遺伝子のイントロンまたはエクソン、該遺伝子のプロモーターを含む5’上流側の調節領域または終止コドンの下流側であって、遺伝子発現に影響する領域で2本鎖RNAを形成するセンスまたはアンチセンスDNAである請求項2に記載の植物及びその子孫。
  11. 生産性ないし形質が改良される器官が、茎、塊茎、葉、根、塊根、蕾、花、花弁、子房、果実、さや、さく果、種子、繊維及び胚珠からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の植物及びその子孫。
  12. 生産性ないし形質が栄養生長期よりも生殖生長期において顕著に改良される請求項1に記載の植物及びその子孫。
  13. 改良された生産性ないし形質を有する植物が、双子葉植物である、請求項1に記載の植物及びその子孫。
  14. 葉、茎、根、花、子房、果実、種子、繊維又はカルスの形態である請求項1に記載の植物及びその子孫。
  15. 請求項1〜10のいずれかに記載の植物及びその子孫から得られる葉、茎、根、花、子房、果実、種子、繊維又はカルス。
  16. 請求項1〜10のいずれかに記載の植物及びその子孫から得られる有用物質。
  17. 植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を安定に保持し、且つ該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換する工程を含む、該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に生産性ないし形質が改良された植物を作出する方法。
  18. ポリアミン量を調節する核酸配列が外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子または内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子である請求項17記載の方法。
  19. 植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を含む発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換する工程を含む、該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に生産性ないし形質が改良された植物を作出する方法。
  20. ポリアミン量を調節する核酸配列が外因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子または内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子である請求項19記載の方法。
  21. 該形質転換細胞から植物体を再生する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
  22. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、アルギニン脱炭酸酵素(ADC)をコードする遺伝子、オルニチン脱炭酸酵素(ODC)をコードする遺伝子、S−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)をコードする遺伝子、スペルミジン合成酵素(SPDS)をコードする遺伝子、スペルミン合成酵素(SPMS)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種である請求項20に記載の方法。
  23. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、以下の(a)または(b)または(c)の塩基を有するスペルミジン合成酵素遺伝子である、請求項20記載の方法。
    (a)配列番号1に示される塩基配列中塩基番号77〜1060で示される塩基配列、
    (b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つスペルミジン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
    (c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つスペルミジン合成酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  24. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、以下の(a)または(b)または(c)の塩基を有するS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素遺伝子である、請求項20記載の方法。
    (a)配列番号3に示される塩基配列中塩基番号456〜1547で示される塩基配列、
    (b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
    (c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つS−アデノシルメチオニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  25. 該ポリアミン代謝関連酵素遺伝子が、以下の(a)または(b)または(c)の塩基を有するアルギニン脱炭酸酵素遺伝子である、請求項20記載の方法。
    (a)配列番号5に示される塩基配列中塩基番号541〜2661で示される塩基配列、
    (b)上記(a)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つアルギニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
    (c)(a)または(b)の塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、且つアルギニン脱炭酸酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  26. 内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子が、該遺伝子のイントロンまたはエクソン、該遺伝子のプロモーターを含む5’上流側の調節領域または終止コドンの下流側であって、遺伝子発現に影響する領域のいずれかである請求項20に記載の方法。
  27. 内因性ポリアミン代謝関連酵素遺伝子の抑制因子が、該遺伝子のイントロンまたはエクソン、該遺伝子のプロモーターを含む5’上流側の調節領域または終止コドンの下流側であって、遺伝子発現に影響する領域で2本鎖RNAを形成するセンスDNAまたはアンチセンスDNAである請求項20に記載の植物及びその子孫。
  28. 器官が、茎、塊茎、葉、根、塊根、蕾、花、花弁、子房、果実、さや、さく果、種子、繊維及び胚珠からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項19に記載の方法。
  29. 生産性ないし形質が栄養生長期よりも生殖生長期において顕著に改良される請求項19に記載の方法。
  30. 改良された生産性ないし形質を有する植物が、双子葉植物である、請求項19に記載の方法。
  31. 以下の工程:
    (1)植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列を含む発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換し、
    (2)該形質転換細胞から、該核酸配列を有していない植物に比べて改良された生産性ないし形質を有する植物体を再生し、
    (3)該植物体から受粉により種子を採取し、および
    (4)該種子を栽培して得られる植物体から受粉により得られる種子における該核酸配列を検定して該核酸配列のホモ接合体を選抜すること
    を含む、該核酸配列についてホモ接合体である、該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に改良された生産性ないし形質を有する形質が固定された植物の作出方法。
  32. 以下の工程:
    (1)植物中で機能し得るプロモーターの制御下にあるポリアミン量を調節する核酸配列の抑制因子を含む発現ベクターで、該核酸配列を有していない植物の細胞を形質転換し、
    (2)該形質転換細胞からカルスを誘導する
    を含む、該核酸配列についてホモ接合体である、該核酸配列を有していない比較対照植物に比べて栽培環境と無関係に改良された生産性ないし形質を有する形質が固定されたカルスの作出方法。
  33. 改良された生産性ないし形質を有する植物が、サツマイモ植物である、請求項19から32のいずれかに記載の方法。
  34. 請求項33に記載の方法により得られたサツマイモ植物を栽培し、サツマイモを収穫することを特徴とする比較対照サツマイモに比べて環境ストレスの有無ないし程度にかかわらず生産性ないし形質が改良されたサツマイモの製造方法。
  35. 請求項33に記載の方法により得られたサツマイモ植物を栽培し、サツマイモを収穫する工程、
    得られたサツマイモからサツマイモデンプンを分離する工程
    を包含するサツマイモデンプンの製造方法。
  36. 請求項33に記載の方法により得られたサツマイモ植物を栽培し、サツマイモを収穫する工程、
    得られたサツマイモからサツマイモデンプンを分離する工程
    該サツマイモデンプンを生分解性プラスチックに変換する工程
    を包含する生分解性プラスチックの製造方法。
  37. 生分解性プラスチックがポリ乳酸である請求項36に記載の方法。
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