JP2006528954A - Ngr分子を標的とする腫瘍用薬物送達システム及びそれらの使用 - Google Patents

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ザ ゴベルノルス オブ ザ ユニバーシティ オブ アルベルタ
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Abstract

【課題】本発明は、治療薬を腫瘍へ送達するための標的化された送達システムに関する。本発明は、更に腫瘍細胞及び腫瘍関連した内皮細胞を死滅することによる、癌の予防及び治療のために、治療薬を腫瘍へ送達する方法に関する。特に本発明は、治療薬、好ましくは細胞傷害性物質又は化学療法薬などの薬物を封入している送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含む、腫瘍-標的化した薬物送達システムを提供する。
【解決手段】具体的には、本発明の送達システムは、他の送達システムと比べて増加した量の治療薬を腫瘍へ送達することが可能である。特に本発明の送達システムは、他の送達システムと比べて、腫瘍内、又は腫瘍細胞もしくは腫瘍-支持細胞の近傍においてより高量の治療薬を蓄積することが可能であり、これは腫瘍細胞及び腫瘍関連した内皮細胞の治療的レベルの物質への長期間の曝露を生じる。本発明は、本発明の送達システムを含有する医薬組成物も説明する。本発明は更に、他の送達システムと比べて本発明のシステムにより送達された増加した量の治療薬を含む、腫瘍治療に関する。この送達システム及び医薬組成物は、対象、好ましくはヒトへ、単独で又は、他の予防的もしくは治療薬及び/又は抗-癌治療と逐次もしくは同時に組合せて、投与することができる。
【選択図】なし

Description

本出願は、2003年5月29日に出願された英国特許出願第0312309.8号の優先権を請求するものであり、この出願はその全体が本願明細書に参照として組入れられている。
(1.発明の技術分野)
本発明は、治療薬を腫瘍、特に腫瘍細胞及び腫瘍-関連内皮細胞へ送達する標的化した送達システムに関する。本発明は更に、腫瘍細胞及び腫瘍-関連内皮細胞を死滅することによる癌の予防及び治療のために、治療薬を、腫瘍細胞及び腫瘍-関連内皮細胞に送達する方法に関する。特に本発明は、治療薬、好ましくは細胞傷害性物質又は化学療法薬などの薬物を封入している送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含む、腫瘍-標的化した薬物送達システムを提供する。詳細には、本発明の送達システムは、他の送達システムと比べ、増加した量の治療薬を、腫瘍細胞及び腫瘍-関連内皮細胞へ送達することが可能である。特に本発明の送達システムは、より多量の治療薬を、腫瘍細胞、又は腫瘍細胞生存に寄与する細胞(例えば、血管内皮細胞)内に蓄積し、並びに他の送達システムと比べより長期間にわたるこれらの細胞の治療的レベルのこの物質への曝露をもたらすことが可能である。本発明は、本発明の送達システムを含む医薬組成物及び腫瘍細胞も開示する。本発明は更に、他の送達システムと比べ、本発明のシステムにより送達される増加した量の治療薬を含有する、腫瘍細胞又は腫瘍細胞生存に寄与する細胞に関する。これらの送達システム及び医薬組成物は、対象、好ましくはヒトに、単独で、又は他の予防的もしくは治療薬及び/又は抗-癌治療と逐次的もしくは同時に組合せて投与することができる。
(2.発明の背景)
ほとんどの化学療法薬は、癌性組織に加え正常組織の両方に作用する。従って、化学療法により癌性腫瘍を治療するという挑戦のひとつは、癌細胞の死滅を最大化しつつ、健康な組織の損傷を最小化することである。投与経路(例えば静脈内)及び薬物の性質(例えばその物理的特性及び薬物動態特性)に応じて、投与量の一部のみが、標的細胞に到達し;薬物の残りの量は、他の組織に作用するか又は迅速に排泄されることが多い。
送達効率を改善しかつ非-標的細胞への毒性を低下するために、人体内の特定部位へ薬物を送達するための様々な戦略が使用されている。例えば、毒素に複合されたモノクローナル抗体の使用が、癌治療において報告されている。この抗体は、標的に対する選択性を提供するが、依然意図された作用部位へと通過する際の非-標的細胞との相互作用の問題が残っている。
リポソーム内に毒素を封入する別法も、積極的に研究されている。リポソームは本質的に、リン脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、セラミド又はコレステロールなどの生物学的起源又は合成起源の脂質で構成された二重層膜からなる構造である。リポソームは、大量の薬物分子をそれらの水性の内部内に封入するか、又はそれらの二重層の炭化水素領域に溶解することができる。リポソームは、それらの内容物を、腎臓による迅速な濾過及び代謝による分解から保護することもでき、その結果薬物の体内滞留時間が延長される。リポソームは、標的細胞により(例えばリガンドが媒介したエンドサイトーシスにより)一旦取込まれると、エンドソーム膜(endosomal membrane)との融合により、封入された薬物分子の細胞質送達を促進することもできる。しかし薬物送達の標的化におけるリポソームの臨床利用は、(1)網状内皮細胞システム(RES)の食細胞による迅速なクリアランス、(2)特異的腫瘍-標的化の欠如、及び(3)薬物の早期又は不適切な放出により、厳しく制限されている。
従って、増加した量の治療薬を腫瘍細胞及び腫瘍細胞生存を支持する細胞へ送達することが可能であり並びにこれらの細胞が治療的レベルの物質に長期間曝露されるような薬物送達システムが必要とされている。In vivoにおいて治療薬を所望の細胞へ効果的に送達するのに十分な生存時間を有する送達ビヒクルも必要とされている。更に広範な癌に対する一般的適用性を有する薬物送達システムも必要とされている。新生物形成性組織に対するその効果を維持しつつ、正常組織における薬物の細胞傷害性を最小化する薬物送達システムの追加的な必要性がある。本発明は、これら及び他の必要性を満足するものである。
(3.発明の概要)
本発明は、NGR-含有分子に機能的に連結されたリポソームは、他の送達システムと比べて延長された期間腫瘍を治療的レベルの治療薬に曝露することにより、癌治療を改善することができるという本発明者らによる知見を、一部基本にしている。いかなる理論とも結びつけるものではないが、本発明者らは、リガンド-媒介した標的化及び受動的標的化の二重機構によりこれが達成されると考えている。一方で、受動的標的化作用の機構は、腫瘍血管構造の増加した透過性、すなわちいわゆるEPR(促進された透過性及び滞留)作用に起因した、腫瘍間質腔へのリポソーム型抗癌剤(リガンド-依存的様式での)の増加した局在化、それに続く薬物の持続放出並びに放出された薬物の腫瘍細胞への取込み及び直接的腫瘍細胞の死滅が原因である。他方で、腫瘍細胞の間接的死滅機構は、腫瘍生存を支持する細胞(例えば、腫瘍血管内皮細胞)への、リガンド-標的化したリポソーム型抗癌剤の結合の結果である。標的化されたリポソーム型薬物は、これらの腫瘍-支持細胞にインターナリゼーションされ、そこで腫瘍-支持細胞の死滅を生じる細胞傷害性の内容物を放出する。間接的腫瘍細胞の死滅は、腫瘍細胞からそれらの生存及び成長に必須の物質(例えば、酸素及び栄養素)を枯渇することにより実現される。一緒にされたリガンド-媒介した作用及び受動的標的化作用は、化学療法薬の非-癌性細胞に対する副作用を軽減し、並びに改善された治療効率又は固形腫瘍に対する従来の療法により認められるものよりもより効果的である効率のいずれかを生じることも推測される。結果的に本発明のリポソーム送達システムは、増加した量の治療薬を、腫瘍へ送達すること、及び治療的レベルのこの物質への腫瘍の曝露を延長することが可能である。
ある態様において、本発明は、薬物、好ましくは細胞毒性物質、化学療法薬、抗-血管新生薬、又は抗-炎症薬を含む封入式送達ビヒクルに連結された複数のNGR-含有ペプチドを含む、腫瘍-標的化した薬物送達システムに関する。この腫瘍-標的化した薬物送達システムは、NGR受容体を発現している標的細胞、好ましくは腫瘍血管内皮細胞を直接標的化し、及びNGR受容体を発現するか又は欠損するかのいずれかである隣接する腫瘍細胞を受動的に標的化することができる。
本発明は、増加した量の治療薬を腫瘍へ送達する方法を提供する。具体的態様において、治療薬への腫瘍の曝露レベルの増加は、他の送達システムを使用する場合と比べ、ある期間にわたり、0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍より高い。具体的態様において、腫瘍は、他の送達システムを使用する場合と比べ、少なくとも2〜5時間、5〜10時間、10〜12時間、12〜24時間、24〜36時間、36〜48時間、3〜5日間、5〜7日間、又は1〜3週間の期間にわたり、2〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、又は90〜99%上回る増加したレベルの治療薬に曝露される。
本発明は、他の送達システムと比べて増加した量の治療薬が腫瘍へ送達されるような、本発明の送達システムを対象へ投与することを含む、癌の予防及び治療の方法を提供する。具体的態様において、腫瘍の治療薬への曝露時の増加は、他の送達システムの場合と比べて、0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍より高い。具体的態様において、腫瘍は、他の送達システムと比べ、少なくとも2〜5時間、5〜10時間、10〜12時間、12〜24時間、24〜36時間、36〜48時間、3〜5日間、5〜7日間、又は1〜3週間の期間にわたり、2〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、又は90〜99%上回る増加したレベルの治療薬に曝露される。別の具体的態様において、本発明の方法は更に、他の療法又は治療薬を同時又は逐次投与することを含む。
ひとつの態様において、封入式送達ビヒクルは、リポソーム、ミセル、脂質ミセル、ミクロスフェア、ナノスフェア、多室マイクロデバイス、エマルション、脂質ディスク、ポリマー、細胞、ウイルス粒子又はウイルスである。好ましくはこの送達ビヒクルはリポソームである。
具体的態様において、複数のNGR-含有ペプチドは、封入式送達ビヒクルへ連結剤を介して機能的に連結されている。
本発明は同じく、1種又は複数の本発明の送達システムを含有する医薬組成物にも関する。このような医薬組成物は更に、追加の担体及び生物学的物質を含有することができる。
送達システム、医薬組成物、及び疾患標的を作製及び使用する方法も説明されている。
ひとつの態様において、本発明は、有効量の1種又は複数の送達システム又は医薬組成物を対象へ投与することにより、あらゆる種類の癌を有すると診断された対象もしくは有することが疑わしい対象を予防又は治療する方法に関する。好ましい態様において、腫瘍に送達される治療薬の量は、他の送達システムを使用する場合と比べて、ある期間にわたり、少なくとも0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍より高い。別の態様において、腫瘍へ送達される治療薬の量は、所望の治療的活性に必要な最小の治療的範囲を上回る。具体的態様において、腫瘍は、他の送達システムと比べて、少なくとも2〜5時間、5〜10時間、10〜12時間、12〜24時間、24〜36時間、36〜48時間、3〜5日間、5〜7日間、又は1〜3週間の期間にわたり、2〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、又は90〜99%上回る治療薬に曝露される。好ましい態様において、癌患者の生存は延長される。別の好ましい態様において、癌患者の腫瘍の成長は軽減される。ある態様において、腫瘍細胞の増殖は、他の送達システムと比べて、少なくとも2〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜100%低下される。
本発明は更に、対象に治療的又は予防的有効量の1種又は複数の送達システム及び/又は医薬組成物を、癌の治療又は予防のための手術、標準的及び実験的化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、免疫療法、放射線療法、塞栓形成術、及び/又は化学的塞栓形成療法と、逐次的に又は同時に投与することによる、該対象における癌を治療するための併用療法に関する。
別の態様において、送達システムは、NGR受容体を発現している損傷された細胞又は欠損細胞に関係した疾患又は状態の予防又は治療にも有用である。
(3.1定義)
本願明細書において使用される用語「NGR-含有分子」は、少なくとも3個の近接アミノ酸残基、少なくとも10個の近接アミノ酸残基、少なくとも15個の近接アミノ酸残基、少なくとも20個の近接アミノ酸残基、少なくとも25個の近接アミノ酸残基、少なくとも40個の近接アミノ酸残基、少なくとも50個の近接アミノ酸残基、少なくとも60個の近接アミノ酸残基、少なくとも70個の近接アミノ酸残基、少なくとも近接80個のアミノ酸残基、少なくとも近接90個のアミノ酸残基、少なくとも近接100個のアミノ酸残基、少なくとも近接125個のアミノ酸残基、少なくとも近接150個のアミノ酸残基、少なくとも近接175個のアミノ酸残基、少なくとも近接200個のアミノ酸残基、少なくとも近接350個のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質で修飾されたペプチドポリペプチド、タンパク質又はそれらの誘導体を含む。別の好ましい態様において、NGR-含有分子は、サイズが最大で300ダルトン、300〜500ダルトン、500〜1,000ダルトン、1,000〜5,000ダルトン、5,000〜20O,OOOダルトン、20O,000〜50O,OOOダルトンであることができる。
本願明細書において使用される単数又は複数の用語「腫瘍」は、腫瘍細胞及び腫瘍ストロマ細胞を含む。腫瘍ストロマ細胞は、腫瘍-支持細胞、例えば腫瘍血管内皮細胞、血管周囲細胞、腫瘍-関連マクロファージ及び他の腫瘍-関連した腫瘍炎症細胞を含む。
本願明細書において使用される用語「非経口薬物送達」、「非経口治療薬送達」又は「非経口送達」は、経腸的以外の経路による治療薬の送達を意味し、ここで経腸的とは、経口的及び経直腸的(胃腸管への)のみを含む。用語非経口は、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内、脳内、脳内、及び吸入を含む。
本願明細書において使用される用語「併用」は、1種よりも多い予防的及び/又は治療薬の使用を意味する。
本願明細書において使用される用語「管理する」、「管理している」及び「管理」は、治癒は生じないが、その疾患又は障害の更なる進行又は増悪の防止を生じる、予防的又は治療薬の投与から対象が誘導する有益な作用を意味する。
本願明細書において使用される用語「防止する」、「防止している」及び「防止」は、予防的又は治療薬の投与により生じる対象における疾患又は障害の発症の抑止を意味する。
本願明細書において使用される単数又は複数の用語「予防的物質」は、疾患又は障害の防止に使用することができるいずれかの物質(複数)を意味する。
本願明細書において使用される用語「予防的有効量」とは、疾患又は障害の発症を防止するのに十分な予防的物質の量を意味する。
本願明細書において使用される用語「副作用」は、予防的又は治療薬の望ましくない作用及び有害作用を包含している。有害作用は常に望ましくないが、望ましくない作用は必ずしも有害ではない。予防的又は治療薬からの有害作用は、悪影響があるか又は不快であるか又は危険であることがある。副作用は、胃腸毒性、早発性及び後発性下痢及び鼓腸、悪心、吐気、食欲不振、白血球減少症、貧血、好中球減少症、無力症、異常な痙攣、発熱、疼痛、体重減少、脱水、脱毛、呼吸困難、不眠、眩暈、粘膜炎、口内乾燥、及び腎不全、便秘、神経及び筋肉の作用、心臓、腎臓及び膀胱の一時的又は永続的損傷、流行性感冒様症状、体液うっ滞、不妊症、疲労、ドライマウス、食欲喪失、頭髪喪失、投与部位の発疹又は腫脹、発熱、悪寒及び疲労のような流行性感冒様症状、消化管の問題、アレルギー反応、鬱病、食欲喪失、眼の問題、頭痛、並びに体重変動を含むが、これらに限定されるものではない。典型的に患者により経験される追加の望ましくない作用は多く、当該技術分野において公知である(例えば「医家向け医薬品便覧(PDR)」(56版、2002)参照)。
本願明細書において使用される用語「対象」及び「患者」は、互換的に使用される。本願明細書において使用される対象は、好ましくは非-霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)及び霊長類(例えば、サル及びヒト)などの哺乳類であり、最も好ましくはヒトである。
本願明細書において使用される用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、治療薬の投与の結果、対象において症状が緩和もしくは消失するか又は疾患もしくは障害から回復することを意味する。
本願明細書において使用される単数又は複数の用語「治療薬」は、疾患又は障害の治療に使用することができるいずれかの物質(複数)を意味する。
本願明細書において使用される用語「治療的有効量」は、疾患又は障害の症状を軽減又は最小化に十分な、好ましくは腫瘍もしくは癌の成長を低下し及び/又は対象が生存するのに十分な治療薬の量を意味する。
本願明細書において使用される単数又は複数の用語「療法」は、疾患又は障害の予防、治療又は管理において使用することができる、いずれかのプロトコール(複数)、方法(複数)及び/又は物質(複数)を意味する。ある態様において、単数又は複数の用語「療法」は、癌の化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、並びに/又は当該技術分野の医師に公知である癌、感染疾患、自己免疫疾患及び炎症疾患の治療に有用である、他の療法を意味する。
本願明細書において使用される用語「アナログ」は、抗原性/免疫原性及び抗-血管新生活性を含む、一般的な生物学的活性及び/又は構造ドメインを有し、並びに本願明細書に定義された十分なアミノ酸同一性を有する、一連のペプチドのいくつかを意味する。
本願明細書において使用される用語「変種」は、所定のペプチドの天然に生じる対立遺伝子変種又は1個又は複数のアミノ酸残基がアミノ酸置換(好ましくは保存的)、付加、もしくは欠失により修飾されているような、所定のペプチドもしくはタンパク質の組換えにより調製された変種のいずれかを意味する。
本願明細書において使用される用語「誘導体」は、別のやり方で修飾されている、すなわちアミノ酸、ペプチド又はタンパク質に、好ましくは生体活性を有するいずれかの型の分子が共有結合することにより修飾されている、所定のアミノ酸、ペプチド又はタンパク質の変種、天然に生じないアミノ酸を含むアミノ酸の誘導体を意味する。
本願明細書において使用される用語「断片」は、少なくとも3個の近接アミノ酸残基、少なくとも10個の近接アミノ酸残基、少なくとも15個の近接アミノ酸残基、少なくとも20個の近接アミノ酸残基、少なくとも25個の近接アミノ酸残基、少なくとも40個の近接アミノ酸残基、少なくとも50個の近接アミノ酸残基、少なくとも60個の近接アミノ酸残基、少なくとも70個の近接アミノ酸残基、少なくとも近接80個のアミノ酸残基、少なくとも近接90個のアミノ酸残基、少なくとも近接100個のアミノ酸残基、少なくとも近接125個のアミノ酸残基、少なくとも150個の近接アミノ酸残基、少なくとも近接175個のアミノ酸残基、少なくとも近接200個のアミノ酸残基、少なくとも近接350個のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質で修飾されたペプチドポリペプチド、タンパク質又はそれらの誘導体を意味する。
本発明の治療薬又はシステムの投与に関して、用語「同時に」又は「同時」は、2種又はそれよりも多い療法又は治療薬の同じ24時間以内の投与を意味するのに対し、「逐次的」及び「引き続きに」は、特定の治療薬の作用に応じて、治療薬が、24時間以上の時間により隔てられている、例えば数日、数週、数月、又は数年により隔てられていることを意味することが意図されている。ひとつの好ましい態様において「逐次」又は「引き続き」は、1日から6週間により隔てられた用量を意味する。
(5.発明の詳細な説明)
本発明は、癌の治療及び予防の新規方法に関する。詳細に述べると、本発明は、治療薬を腫瘍細胞又は腫瘍-支持細胞へ送達する腫瘍-標的化した薬物送達システムに関する。標的化した薬物送達システムは、腫瘍血管構造の内皮細胞を選択的に阻害又は破壊し(各々、血管退化薬、抗-血管新生薬又は抗-血管性薬物の使用)、その結果、腫瘍成長の阻害、縮退及び/又は休眠状態を引き起こす。腫瘍-支持細胞(例えば、腫瘍血管構造細胞)及び腫瘍細胞それら自身の両方を標的化する戦略は、腫瘍血管構造細胞のみを標的化する戦略よりもより効果的であり、その理由は、この後の戦略は、引き続き再生しかつ動物を死滅し得る腫瘍周辺の影響を受けなかった腫瘍細胞のカフ(cuff)を除去することができるからである(Huangらの論文、Science、275, 547-50 (1997))。
従って本発明者らは、他の送達システムと比べ、増加した量の治療薬を腫瘍細胞及び腫瘍-支持細胞へ送達する薬物送達システムをデザインした。本発明の送達システムは、in vivoにおいて安定しており、能動的に標的化した内皮細胞へ及び受動的に標的化した腫瘍細胞へ治療薬を効果的に送達し、一般に広範な癌及び疾患に適用可能であり、かつ新生物形成性の(又は標的化した)組織に対するそれらの有効性を維持しつつ、正常な(又は標的化していない)組織において低い細胞傷害性を有する。同じく本発明の送達システムは増強された効能を有し、他のリガンド-標的化するリポソームと比べ、特に他の非経口送達システムと比べ、増強された効能を有する。
最も予想外の本発明の知見のひとつは、NGR-リポソームは、静脈内投与後、リガンドを欠いているか、異なるリガンドを持つか(例えばRGD)、又は無関係のリガンドを持つかのいずれかである対応するリポソームよりもはるかに多い程度で、腫瘍部位に蓄積することであった。本発明は、標的化していないリポソームと比べ、NGR-リポソーム投与後24時間以内の、神経芽細胞腫腫瘍におけるリポソーム蓄積の10-倍の増加を明らかにしている。
対照的に、NGRモチーフの代わりにRGDモチーフを(両方とも腫瘍内皮細胞マーカーを認識する)有するリポソームは、注射後24時間で、リガンドを欠いているか、又は無関係のペプチドを生じる(RAD含有対照ペプチド)対応するリポソームよりも、固形結腸癌腫腫瘍において有意に蓄積しない。
従ってある態様において、この送達システムは、治療薬を含み、並びに他の標的化されない薬物送達システムに加え標的化した薬物送達システムと比べた場合、ある期間にわたり薬物を疾患細胞又は疾患-支持細胞へ少なくとも0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍の増加で送達することが可能であるリポソームのような封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含む。疾患細胞(複数)又は疾患-支持細胞(複数)へ送達される薬物の量は、治療的作用に必要な最低有効濃度を上回る治療薬の濃度を生じるのに十分である。具体的態様において、腫瘍細胞又は腫瘍-支持細胞は、他の薬物送達システムと比べ、少なくとも2〜5時間、5〜10時間、10〜12時間、12〜24時間、24〜36時間、36〜48時間、3〜5日間、5〜7日間、又は1〜3週間の期間にわたり、治療薬の2〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、又は90〜99%に曝される。
具体的態様において、本発明のシステム及び方法を用い腫瘍に蓄積することができる治療薬の量は、腫瘍1 gにつき少なくとも5〜7 mg、7〜10 mg、10〜50 mg、50〜70 mg、70〜100 mg、100〜150 mg、又は150〜200 mgである。具体的態様において、腫瘍に蓄積される治療薬は、ドキソルビシン(「DXR」)である。
本発明の標的化した薬物送達システムは、標的化した細胞における薬物の治療的作用を増加し、及び標的化していない細胞に対する薬物の毒性を減少し、これにより薬物の治療指数を増大するが、ここで治療指数は、有効性/毒性として定義される。
ひとつの態様において、NGR-含有分子は、腫瘍支持細胞、好ましくは腫瘍血管内皮細胞に結合する。具体的態様において、NGR-含有分子は、NGR受容体を発現している細胞に結合する。好ましい態様において、NGR-含有分子は、環状又は線状のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、又はそれらの誘導体であり、NGRAHA (配列番号:1)、GNGRG (配列番号:2)、CNGRC (配列番号:3)、CNGRCVSGCAGRC (配列番号:4)、CVLNGRMEC (配列番号:5)、GNGRGGVRSSSRTPSDKYC (配列番号:6)、又は配列番号:1-6の1種又は複数のアミノ酸配列を含む。
ひとつの態様において、封入式送達ビヒクルは、リポソーム、ミセル、脂質ミセル、ミクロスフェア、ナノスフェア、多室マイクロデバイス、エマルション、脂質ディスク、ポリマー、細胞、ウイルス粒子又はウイルスであることができる。この送達ビヒクルはリポソームが好ましい。リポソームは、1種又は複数のメトキシ-ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン、マレイミド-ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン、N-メチルパルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジフィタノイルホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルグリセロール、コレステロール(「CHOL」)又はそれらの組合せなどこれらに限定されるものではないのであるが、脂質又はリポ-ポリマーを含む。当業者にとっては、リポソームは、他の二重層-形成脂質又はリポ-ポリマー及びコレステロールで構成されてもよい。好ましくは、この送達ビヒクルは、リン脂質及びコレステロールなどの二重層-形成脂質で構成され、かつこれはその二重層内にポリエチレングリコール(「PEG」)-由来の脂質を含む。より好ましくは、この送達ビヒクルは、二重層にグラフトされたPEG-由来のジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(「PEG-DSPE」)を伴う、二重層ベシクルである(すなわち、「立体的に安定した」リポソーム)。
ひとつの態様において、薬物は、細胞傷害性物質、抗癌剤、抗-炎症薬、及び抗-血管新生薬又は血管退化薬である。別の態様において、薬物は、コア内に封入されるか、捕獲されるか、挿入される(intercalated)か、又は送達ビヒクルに会合している。
具体的態様において、複数のNGR-含有分子は、封入式送達ビヒクルに、連結剤を介して、機能的に連結される。
この送達システムを作製する方法が、下記セクション5.1に説明されている。本発明の送達システムを使用する方法は、下記セクション5.2に説明されている。
(5.1 腫瘍-標的化した薬物送達システムの構造)
本発明の腫瘍細胞-標的化した薬物送達システムは、予防的又は治療薬(セクション5.1.3)を含む、封入式送達ビヒクル(セクション5.1.2)に連結された、1種又は複数のNGR-含有分子(セクション5.1.1)を含む。
(5.1.1 NGR-含有分子)
ある態様において、NGR-含有分子は、腫瘍血管において発現されるが、正常内皮細胞においては発現されない受容体に結合している。好ましい態様において、NGR-含有ペプチドは、様々な種で高度に保存されている150kDaの膜貫通糖タンパク質であるアミノペプチダーゼN(CD13)に結合する。CD13は、正常細胞に加え、骨髄系腫瘍株、血管新生性内皮細胞組織及び一部の上皮組織において発現される。CD13受容体は通常「NGR」受容体として同定される。
CD13受容体のリガンドとして、NGR-含有分子は、同じく、CD13-結合する抗体、又はFab、Fv、単鎖Fvなどのそれらの断片、ペプチド又はペプチド擬態、すなわちCD13受容体に結合することが可能であるペプチド-様分子、任意に修飾された、NGR-ペプチドを含む天然に生じないアミノ酸であることができる。
NGR-含有分子は、天然又は合成であってよい。好ましい態様において、この分子は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又はそれらの誘導体である。この分子は、修飾されたペプチド、ポリペプチド、タンパク質、又はそれらの誘導体であってもよい。ある態様において、この分子は、化学的に修飾されている。NGR-含有分子の1個又は複数の結合ドメインは、例えば、CD13受容体の天然のリガンド、CD13受容体への結合親和性を維持している天然のリガンドの断片からなってよい。合成リガンドは、デザイナー(designer)リガンドを含む。本願明細書において使用される「デザイナーリガンド」とは、受容体の形状と比較したそれらの3次元形状を基にこの受容体に結合する可能性のある物質を意味する。
CD13受容体への多くのリガンドが、国際公開公報WO98/10795において開示されており、これはその全体が本願明細書に参照として組入れられている。CD13受容体のリガンドを同定する方法は、国際公開公報WO99/13329に開示されており、これはその全体が本願明細書に参照として組入れられている。
CD13受容体のリガンドとして、NGR-含有分子は、好ましくはNGRモチーフを含む直線状(線状)又は環状ペプチドである。ひとつの態様において、NGR-含有分子は、NGRAHA (配列番号:1)、GNGRG (配列番号:2)、CNGRC (配列番号:3)、CNGRCVSGCAGRC (配列番号:4)、CVLNGHMEC (配列番号:5)、又はGNGRGGVRSSSRTPSDKYC (配列番号:6)を含む。別の態様において、NGR-含有分子は、配列番号:1-6の1種又は複数のアミノ酸配列を含む。
別のある態様において、NGR-含有分子は、GNGRGモチーフを含む。具体的態様において、NGR-含有分子は、GNGRGモチーフ及びTNF N-末端配列を含む。好ましくは、TNF N-末端配列は、アミノ酸配列VRSSSRTPSD (配列番号:7)を含む。別の具体的態様において、NGR-含有分子は、GNGRGモチーフ、それに続くTNF N-末端配列を含み、N-末端システインで終結している。ひとつの態様において、NGR-含有分子は、GNGRGGVRSSSRTPSDKYC (配列番号:6)である。
別の態様において、NGR-含有分子は、αVインテグリン又は血管新生増殖因子の受容体に結合する。
別の態様において、NGR-含有分子は、TNF受容体に結合する。具体的態様において、NGR-含有分子は、TNF受容体スーパーファミリー(TNFSF)の一員に結合する。TNFRSFの分子は全て、それらの細胞外ドメインに、1〜6個のリガンド結合するモチーフ、40個のアミノ酸残基システイン-リッチなモチーフを含む、I型(N-末端が細胞外)膜貫通糖タンパク質である。加えて、機能的TNFRSFの一員は通常、システイン内ジスルフィド結合により安定化されている三量体又は多量体複合体である。TNFSFの一員のほとんどとは異なり、TNFRSFの一員は、膜結合型及び可溶型の両方で存在する。最後に、このスーパーファミリーの一員の細胞質ドメイン内のアミノ酸配列相同性は25%を超えないが、多くの受容体は、様々な細胞においてアポトーシスシグナルを伝達することができ、このことは共通の機能を示唆している。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、B細胞の増殖及び分化に最も頻繁に関連している、50kDaのアミノ酸残基277個の膜貫通糖タンパク質であるCD40に結合する。様々な細胞型上で発現されたヒトCD40 cDNAは、20個のアミノ酸残基のシグナル配列、173個のアミノ酸残基の細胞外領域、22個のアミノ酸残基の膜貫通セグメント、及び62個のアミノ酸残基の細胞質ドメインをコードしている。セリン及びトレオニンがリッチな膜近傍配列が随伴している細胞外領域には、4個のシステイン-リッチなモチーフが存在する。CD40を発現することが知られている細胞は、内皮細胞を含む。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、TNFRI/p55/CD120aに結合する。TNFRIは、事実上全ての有核哺乳類細胞において明らかに発現される、55kDaのアミノ酸残基455個の膜貫通糖タンパク質である。この分子は、190個のアミノ酸残基の細胞外領域、25個のアミノ酸残基の膜貫通セグメント、及び220個のアミノ酸残基の細胞質ドメインを有する。TNF-α又はTNF-βは両方とも、TNFRLに結合する。gNFRIを発現することがわかっている多くの細胞の中には内皮細胞がある。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、TNFII/p75/CD120bに結合する。ヒトTNFRIIは、当初ヒト肺線維芽細胞ライブラリーから単離された、75kDaのアミノ酸残基461個の膜貫通糖タンパク質である。この受容体は、240個のアミノ酸残基の細胞外領域、27個の残基としての膜貫通セグメント、及び173個のアミノ酸残基の細胞質ドメインからなる。可溶型TNPFIIが同定されており、明らかにTRRE(TNF-受容体放出酵素)と称されるメタロプロテイナーゼによるタンパク質分解性の切断から生じる。流出(shedding)プロセスは、可溶性TNFRIのそれとは無関係であるように見える。TNFRIIを発現することがわかっている多くの細胞の中には内皮細胞がある。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、CD134/OX40Lに結合する。OX40、OX40Lの受容体は、炎症部位でCD4+ T細胞の生存を促進する(及び恐らく免疫応答を延長する)ように見える、発現が制限されたT細胞活性化マーカーである。OX40Lは、制限された発現も示す。現在活性化されたCD4+、CA8+ T細胞、B細胞、及び血管内皮細胞のみが、この因子を発現することが報告されている。このヒトリガンドは、32kDaのアミノ酸残基183個のグリコシル化されたポリペプチドであり、これは21個のアミノ酸残基の細胞質ドメイン、23個のアミノ酸残基の膜貫通セグメント、及び139個のアミノ酸残基の細胞外領域からなる。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、VEGF受容体に結合する。VEGF受容体ファミリーには3種の受容体が存在する。これらは、複数のIgG-様細胞外ドメイン及びチロシンキナーゼ活性という共通の特性を有する。VEGF受容体1(VEGF R1、同じくFlt-1として公知);VEGF R2(同じくKDR又はFlk-1として公知)、及びVEGF R3(同じくFlt-4として公知)の酵素ドメインは、挿入配列により分断されている。内皮細胞は同じく、追加のVEGF受容体であるニューロピリア(Neuropilia)-1及びニューロピリン-2を発現する。VEGF-Aは、VEGF R1及びVEGF R2、並びにニューロピリツ(Neuropilitu)-1及びニューロピリン-2に結合する。PIGF及びVBGF-Bは、VEGF R1及びニューロピリン-1に結合する。VEGF-C及び-Dは、VEGF R3及びVEGF R2に結合する。HIV-tat及びそれに由来するペプチドも、VEGFRを標的化することがわかっている。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、PDGF受容体に結合する。PDGF受容体は、最も一般的には固形腫瘍のストロマ区画において発現される。ラットの結腸癌モデルにおいてストロマで発現されたPDGF受容体の阻害は、腫瘍間質液圧を低下し、かつ腫瘍の経毛細血管性の輸送を増大する。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合し、これは最も一般的な固形腫瘍のストロマ区画内で発現される。ラット結腸癌腫モデルにおいてストロマで発現されたPDGF受容体の阻害は、腫瘍間質液圧を低下し、かつ腫瘍の経毛細血管性の輸送を増大する。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、細胞接着分子(CAMs)に結合し、これは細胞、通常白血球の、互いの内皮細胞への又は細胞外マトリックスへの、結合に関連した細胞表面タンパク質である。創傷及び感染に反応して生じた特異的シグナルは、ある種のこれらの接着分子の発現及び活性化を制御する。その後、これらのCAMsのそれらの受容体/リガンドへの結合により開始された相互作用及び反応は、これらの損傷に対し体の防御の一端を構成している炎症の媒介及び免疫反応において重要な役割を果たす。これまで特徴付けられたCAMsのほとんどは、以下の3種の一般的タンパク質ファミリーに収まる:免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリー、インテグリンファミリー、又はセレクチンファミリー。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、以下に列記した下記の分子に結合する:
細胞表面分子の多くのセレクチンファミリー、L-セレクチンは、NH2-末端レクチンC型ドメイン、EGF-様ドメイン、2個の相補的制御ドメイン、15個のアミノ酸残基のスペーサー、膜貫通配列及び短い細胞質ドメインからなる。
内皮細胞上のL-セレクチンの3種のリガンドが同定されており、これらは全て、O-グリコシル化されたムチンドメイン又はムチン-様ドメインを有する。第一のリガンドGlyCAM-1は、末梢及び腸間膜リンパ節の高内皮細胞細静脈において専ら発現される。第二のL-セレクチンリガンドは、当初sgp90と称されていたが、これは現在CD34であることが示されている。このシアロムチン-様糖タンパク質は、多能性幹細胞の精製の表面マーカーとして使用されることが多いが、これは多種多様な非リンパ系組織に加え、末梢リンパ節の毛細血管において、血管発現を示す。L-セレクチンの第三のリガンドは、MadCAM 1であり、これは粘膜リンパ節の高内皮細胞細静脈において認められるムチン-様糖タンパク質である。
P-セレクチンは、多くの細胞表面分子のセレクチンファミリーの一員であり、これはNH2-末端のレクチンC型ドメイン、EGF-様ドメイン、9個の相補的制御ドメイン、膜貫通ドメイン、及び短い細胞質ドメインからなる。
四糖シアリルLewisx(sLex)は、P-及びE-セレクチンの両方のリガンドとして同定されているが、P-、E-及びL-セレクチンは全て、sLex及びsLeaに適当な条件下で結合する。P-セレクチンは、マウスの骨髄系細胞上に存在する160kDaの糖タンパク質へ並びにP-セレクチン糖タンパク質リガンド-1(PSGL-1)と称される骨髄系細胞、血液好中球、単球及び白血球上の糖タンパク質へ、E-セレクチンに結合することもできるリガンドへ、選択的に結合することも報告されている。白血球のP-セレクチン-媒介したローリングは、PSLG-1に特異的なモノクローナル抗体により完全に阻害され、このことは、例えP-セレクチンがin vitro条件下で様々な糖タンパク質に結合することができるとしても、恐らく生理的に重要な結合はより制限されることを示唆している。P-セレクチンは、骨髄系細胞、更にはB細胞及びT細胞サブセットの、活性化した内皮細胞への接着に関与していることを示す様々な証拠がある。
IgスーパーファミリーCAMSは、カルシウム-依存型の膜貫通糖タンパク質である。Igスーパーファミリーの一員は、細胞間接着分子(ICAMs)、血管-細胞接着分子(VCAM-1)、血小板-内皮細胞接着分子(PECAM-1)、及び神経-細胞接着分子(NCAM)を含む。各IgスーパーファミリーCAMは、細胞外ドメインを有し、これは保存されたシステイン残基を伴ういくつかのIg-様鎖内ジスルフィド結合したループ、膜貫通ドメイン、及び細胞骨格と相互作用する細胞内ドメインを有する。典型的にはこれらは、インテグリン又は他のIgスーパーファミリーCAMsと結合する。神経CAMsは、神経パターニングに関与している。内皮細胞CAMsは、免疫反応及び炎症において重要な役割を果たしている。
より詳細に述べると、血管細胞接着分子(VCAM-1、CD106、又はINCAM-110)、血小板内皮細胞接着分子(PECAM-ICD31)及び細胞間接着分子1、2及び3(ICAM-1、2及び3)は、白血球-結合組織/内皮細胞相互作用に決定的に関与した5種の機能的に関連したCAM/IgSF分子である。内皮細胞上に主に発現されたこれらの分子は、一般に血管壁を超えた白血球遊走を調節し、血管新生時の内皮細胞の発達のための付着点を提供し、全て本発明の標的化に適している。
ヒトCD31は、細胞接着分子(CAM)又はIgSF1のC2-様亜群に属する、130kDaのI型(細胞外N-末端)膜貫通糖タンパク質である。成熟分子は、長さ711個のアミノ酸残基であり、574個のアミノ酸残基の細胞外領域、19個のアミノ酸残基の膜貫通セグメント、及び多くのペプチドモチーフを含む118個のアミノ酸の糖タンパク質を含む。FGF-3を発現することが報告された細胞は、発達している細胞及び腫瘍に制限される。FGF-3を発現することがわかっている腫瘍は、乳癌及び結腸癌細胞株を含む。
ヒトFGF-4は、22kDaのアミノ酸176個の糖タンパク質であり、これは発達上調節された遺伝子の産物である。この分子は、巨大な明確に定義されない30個のアミノ酸シグナル配列に加え2個のヘパリン-結合モチーフ(アミノ酸において、アミノ酸51-55及び140-143)を含む、206個のアミノ酸前駆体として合成される。ヘパリン結合部位は、FGF-4活性に直接関連しており;ヘパリン/ヘパランは、FGF-4のFGFR1及びFGFR2を活性化する能力を調節する。FGF-4を発現することがわかっている細胞は、腫瘍細胞及び胚細胞の両方を含む。ヒト胃癌におけるその同定は、ひとつの交互の表示(/hst-1/hst)を生じるが、カポシ肉腫におけるその単離は、別の見地を提供する(K-FGF)。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、IL-1Rに結合する。ふたつの個別のIL-1受容体結合タンパク質に加え、非結合シグナル伝達アクセサリータンパク質が同定されている。各々、3個の細胞外免疫グロブリン-様(Ig-様)ドメインを有し、それらはN型サイトカイン受容体ファミリーの一員に適している。これらのふたつの受容体結合タンパク質は、各々、I型IL-1受容体(IL1 RI)及びII型IL-1受容体(IL-1 RII)と称される。ヒトIL-1 RIは、内皮細胞から単離された、552個のアミノ酸残基の80kDaの膜貫通糖タンパク質である。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に結合する。受容体チロシンキナーゼ(RTK)の新規ファミリーであるEph受容体及びそれらのリガンドエフリン(ephrins)は、血管集成、血管新生、腫瘍形成及び転移に関連していることがわかっている。クラスA Eph受容体及びそれらのリガンドは、腫瘍及び関連した血管構造において上昇していることもわかっている。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、腫瘍成長、血管新生、浸潤、及び転移に関連しているマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)に結合する。これらは、腫瘍マーカーとしての使用も示唆されている。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、未熟な神経OF-11Sにより発現された細胞表面分子として最初に同定された、巨大な内在性膜コンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるNG2に結合する。引き続きNG2が、多種多様な未熟な細胞に加え、いくつかの種類の悪性度の高い腫瘍により発現されることがわかった。NG2は、腫瘍血管構造における標的分子として示唆されている。特に、エオラゲナーゼ(eollagenase)-1(Cl)は、新たに形成された微小血管内に存在し、かつ新生血管形成のマーカーとして役立つ、支配的なマトリックスメタロプロテアーゼである。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、腫瘍胎児性フィブロネクチンに結合する。フィブロネクチンの腫瘍胎児性断片(Fn-f)の発現は、血管新生時に増加することがわかっており、並びに腫瘍血管新生のマーカーとして示唆されている。ひとつの態様において、NGR-含有分子は、フィブロネクチンの腫瘍胎児性ED-Bドメインに対する抗体又はそれらの断片である。このような抗体及びそのIL-12との複合体の調製は、Halinらの論文((2002) Nature Biotechnology 20:264-269)に説明されており、その全体は本願明細書に参照として組入れられている。
別の具体的態様において、NGR-含有分子は、テナスシンに結合する。テナスシンは、脳腫瘍及び乳癌及びメラノーマを含む悪性腫瘍において認められる、マトリックス糖タンパク質である。悪性であるが良く分化された腫瘍においてこれは発現し、並びに腫瘍の血管との関連は、これを悪性腫瘍及び血管新生の両方の生物学を理解する上での重要な標的とするが、更には治療的癌の標的及びマーカーでもある。
表面分子に結合する分子を同定するために、通常のタンパク質結合アッセイを適用することができることは理解されるであろう。表面分子に結合する配列を開発するために構造を基にした薬物デザインを適用することができることも理解されるであろう。合成化合物について先に説明されたような高処理量スクリーニングを、標的化分子の同定において使用することができる。本発明は、標的に結合することが可能な中和抗体は、標的への結合に関して、被験化合物と特異的に競合する、競合的薬物スクリーニングアッセイの使用も企図している。
ある態様において、NGR-含有分子は、1種又は複数の前述の受容体、又はそれらの断片、アナログ、誘導体もしくは変種と結合する。
ある態様において、NGR-含有分子は、リンカー基を介して送達ビヒクルに共有結合される。ひとつの態様において、NGR-含有分子は、親水性ポリマーを介して送達ビヒクルへ結合される。親水性ポリマーを標的化ドメインに結合させる多種多様な技術が存在し、特に親水性ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)が広範に使用されている。PEG鎖は、例えば多くの標的化ドメインに存在するスルフヒドリル、アミノ基、並びにアルデヒド及びケトンとのカップリングに適した反応基を含むように官能基化されてもよい。そのようなPEG末端反応基の例は、マレイミド、ヒドラジド、M-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又はNHS-カーボネートエステル、ヒドラジド又はジドラジン、インドアセチル及びジチオピリジンを含む。
セクション6の実施例において説明したように、ひとつの態様において、送達ビヒクルに結合した場合のNGR-含有分子の易接近性を増強し、かつ送達ビヒクル上のマレイミド部分へのチオールを介したカップリングを可能にするために、追加の残基をこのペプチドのアミノ末端に付加し、ペプチドGNGRGGVRSSSRTPSIDKYC (配列番号:6)を提供することができる。
(5.1.2 リポソーム)
リポソームは、球状の二重層に配列された脂質で構成された小型のベシクルである。リポソームは通常、小型の単層ベシクル(SUV)、巨大な単層ベシクル(LUV)、又は多層ベシクル(MLV)として分類される。SVV及びLVVは、定義により、ただひとつの二重層を有するのに対し、MLVは、多くの同心の二重層を有する(例えば、Stryerの論文参照、Biochemistry、2版、W.H. Freeman & Co.、213(1981))。
リポソームは、様々な技術により調製することができる(例えば、Szoka, F., Jr.らの論文参照、Ann. Rev. Biophys. Bioerg.、9:467 (1980);米国特許第5,631,018号)。リポソームは一般に、リン脂質から調製され、及び一般にコレステロールを含む。ひとつの態様において、リポソームは、重合されない又は最小に重合されたリン脂質を含有する。別の態様において、リポソームは、二重結合及び三重結合を含むモノマーリン脂質の重合により調製される。好ましい態様において、重合可能な官能基の例は、オレフィン、アセチレン、アクリレート及びチオールを含むが、これらに限定されるものではない。本発明のリポソームは、当業者に公知の様々な技術により重合することができ、これはフリーラジカルによる開始並びに紫外線及びγ線照射を含むが、これらに限定されるものではない。適当なリン脂質が当業者に公知であり、これはホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、DODPC(1,2-ジ(2,4-オクタデカジエノイル)-3-ホスファチジルコリン)、2,4-ジエンリン脂質、ジインリン脂質を含むが、これらに限定されるものではなく、例えば本願明細書にそれらの全体が参照として組入れられている米国特許第4,485,045号及び第4,861,521号を参照のこと。
本発明の組成物における使用に適したリポソームは、主にベシクル-形成脂質により構成されるものを含む。ベシクル-形成脂質は、リン脂質により例証されるように、水中で自然発生的に二重層ベシクルを形成する。リポソームは、二重層膜の内部疎水性領域と接触している疎水性部分、並びに二重層膜の外側の極性表面に向かっている頭部基と共に、例えばコレステロールのような、脂質二重層に組込まれた他の脂質も含むことができる。
ベシクル-形成脂質は、炭化水素鎖、典型的にはアシル鎖、及び極性又は無極性のいずれかの頭部基を有するものが好ましい。様々な合成のベシクル-形成脂質及び天然のベシクル-形成脂質が存在し、これはリン脂質、例えばホスファチジルコリン(phosphalidylcholin)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、及びスフィンゴミエリンを含み、ここで2個の炭化水素鎖は、典型的には長さが約14〜22個の炭素原子であり、かつ変動する不飽和度を有する。アシル鎖の飽和度が変動する前述の脂質及びリン脂質は、商業的に入手するか、もしくは公表された方法に従い調製することができる。他の適当な脂質は、糖脂質及びステロール、例えばコレステロールを含む。
ひとつの態様において、ベシクル-形成脂質は、特定された程度の流動性又は剛性を実現し、血清中のリポソームの安定性を制御し、及びリポソーム内に捕獲された物質の放出速度を制御するように選択される。
より剛性の脂質二重層、又は液晶二重層を有するリポソームは、比較的剛性の脂質の混入、例えば室温を上回るような、より好ましくは体温を上回り及び最高80℃のような、比較的高い相転移温度を有する脂質の混入により実現される。剛性、すなわち飽和した脂質は、脂質二重層におけるより大きい膜の剛性に貢献する。コレステロールなどの他の脂質成分も、脂質二重層構造において膜の剛性に貢献することがわかっている。
他方で、脂質流動性は、比較的流動性の脂質、典型的には比較的低い液体対液晶相転移温度、例えば室温又はそれ以下、より好ましくは体温又はそれ以下を持つような脂質相を有するものの混入により実現される。
主な相転移温度約2〜80℃を有するベシクル-形成脂質は、本組成物の主要なリポソーム成分としての使用に適している。本発明の好ましい態様において、約37℃を上回る主相転移温度を有するベシクル-形成脂質は、主要なリポソーム成分として使用することができる。別の好ましい態様において、相転移温度約37〜70℃を有する脂質が使用される。例として、脂質ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)は、主相転移温度55.1℃を有し、並びに脂質水素化されたダイズホスファチジルコリン(HSPC)は、相転移温度58℃を有する。多くの脂質の相転移温度は、Avanti Polar Lipidsのカタログ及びLipid Thermotropic Phase Transition Database (LIPIDAT、NLST Standard Reference Database 34)などの、様々な情報源において、一覧とされている。
リポソームは、親水性ポリマーにより誘導されたベシクル-形成脂質も含む。例えば全体が本願明細書に参照として組入れられている米国特許第5,013,556号及び国際公開公報WO 98/07409に開示されているように、そのような親水性ポリマーは、リポソーム脂質二重層膜の内面及び外面の両方の上が親水性ポリマー鎖でコーティングされた表面を提供する。親水性ポリマー鎖の最も外側の表面のコーティングは、in vivoにおける長期血液循環寿命を伴うリポソームを提供するのに有効である。親水性ポリマー鎖の内部コーティングは、リポソーム中の、すなわち脂質二重層間の水性成分へと、並びに中心コア成分へと広がり、かつ化合物がリモート装填により装填された後に、捕獲された化合物と接触する。
親水性ポリマーによる誘導体化に適しているベシクル-形成脂質は、先に列記されたそのような脂質、特にジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(「DSPE」)などのリン脂質を含む。好ましい態様において、リポソームは、完全に水素化されたダイズホスファチジルコリン(「HSPC」)又はジステアロイルホスファチジルコリン(「DSPC」)及び/又はコレステロール(「CHOL」)を含むことができる。特に好ましい態様において、リポソームは、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-snグリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミンナトリウム塩(「mPEG DSPE」)で構成される。
ベシクル-形成脂質による誘導体化に適している親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリダクトビル(polyduuctbyl)アクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、及びポリアスパルタミド(polyaspartamide)を含む。これらのポリマーは、ホモポリマー又はブロックもしくはランダムコポリマーとして使用することができる。
好ましい親水性ポリマー鎖は、ポリエチレングリコール(PEG)、好ましくは分子量500〜10,000ダルトン、より好ましくは500〜5,000ダルトン、最も好ましくは1,000〜2,000ダルトンを有するPEG鎖である。PEGのメトキシ-又はエトキシ-キャップ構造アナログも、好ましい親水性ポリマーであり、これは様々なポリマーサイズ、例えば120〜20,000ダルトンのものが市販されている。
親水性ポリマーで誘導体化されたベシクル-形成脂質の調製は、例えば、米国特許第5,395,619号に開示されている。典型的には、このような誘導体化された脂質1〜20モル%をリポソーム配合中に含む、このような誘導体化された脂質を含むリポソームの調製が説明されている。親水性ポリマーは、脂質と安定してカップリングするか、又は不安定な連結を介してカップリングすることができ、このことは被覆されたリポソームが血流を循環している又は刺激に反応するにつれて、それらはポリマー鎖の被覆を脱落することができることは理解されるであろう。
カチオン性脂質も、本発明のリポソームにおける使用に適しており、この場合カチオン性脂質は、脂質組成物の小さい成分として又は主要なもしくは単独の成分として含むことができる。このようなカチオン性脂質は、典型的には、親油性部分、例えばステロール、アシル又はジアシル鎖を含み、ここで脂質は全体的に正味の正電荷を有する。好ましくは脂質の頭部基は、正電荷を有する。カチオン性脂質の例は、1,2-ジオレイルオキシ-3-(トリメチルアミノ)プロパン(DOTAP);N-[1-(2,3-ジテトラデシルM)プロピル]-NN-ジメチルN-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(AMRIE);N[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N1N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORTE);N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリエチルアンモニウム(trunethylanunonium)クロリド(DOTMA);3-(N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)カルバモイルコレステロール(DC-Chol);アライドジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)を含む。
カチオン性ベシクル-形成脂質は同じく、中性脂質、例えばジオレオキシルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)など、又は両親媒性脂質、例えばリン脂質など、カチオン性脂質により誘導体化されたもの、例えばポリリシン又は他のポリアミン脂質などを含む。例えば、中性脂質(DOPE)は、ポリリシンにより誘導体化され、カチオン性脂質を形成することができる。
加えて、リポソームは、リン脂質から、負帯電した基により調製することができる。
別の態様において、ヒアルロナン-脂質誘導体がリポソームに組込まれる。好ましくは、リポソーム脂質組成物中の脂質誘導体のモル比は、約0.02%よりも大きく及び約50%未満である。ヒアルロナンが結合できる脂質の例は、ホスファチジルエタノールアミン誘導体、例えばパルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジアステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン、N-メチルホスファチジルエタノールアミン誘導体又はホスファチジルセリン誘導体などである。これらの例証的脂質は更に、アミノ-ポリエチレングリコールを含む。現在これらの脂質が好ましいが、他の脂質及びリポソームシステムも使用することができる。
本発明において有用な他の送達ビヒクルは、脂質性ミセル、例えば疎水性薬物と共に使用するためのPEG-DSPEで構成されたミセルである(例えば、光力学的療法のためのベンゾホルフィリンについて米国特許出願第20020192275号を参照し、これはその全体が本願明細書に参照として組入れられている。)。
(5.1.3 治療/予防薬)
本発明において使用することができる細胞傷害性物質の例は、以下を含む:アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、イホスファミド(ifospfamide)、エーロランブシル(ehlorambucil)、メルファラン、ブスルファン、ロムスチン、カルムスチン、クロロメチビン(ムスチン)、エストラムスチン、トレオスルファン、チオテパ、ミトブロニトールなど;細胞傷害性抗生物質、例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン(ミトザントロン)、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、及びミトマイシンなど;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセート、カペシタビン;シタラビン、フルダラビン、クラドリビン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、ラルチトレキセド(トムデックス)、メルカプトプリン、テガファー及びチオグアニン(tioguaninc)など;ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びエトポシドなど;その他の新生物形成性疾患治療薬、例えば、アムサクリン、アルテタルミン(altetarmine)、クリサンタスパーゼ(crisantaspase)、デカバジン及びテモゾロミド、ヒドロキシカルバミド(ヒドロキシ尿素)、ペントスタチン;カルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチンを含む白金化合物、ポルフィマーナトリウム、プロカルバジン、ラゾキサン;ドセタキセル及びパクリタキセルを含むタキサン;イノテカン及びトポテカンを含むトポイソメラーゼIインヒビター、トラツズマブ及びトレチノイン。
好ましい態様において、細胞傷害性物質は、ドキソルビシン(DXR)、ビンクリスチン、シスプラチン又はメルファランである。特に好ましい態様において、薬物はドキソルビシンであり、特にドキソルビシン塩酸塩である。好ましい態様において、薬物は、カリケアミシン、イレッサ又はグリベックである。
事実上、従来の細胞傷害性の抗癌剤は各々、様々なin vitro及びin vivoモデルにおいて、抗-血管新生作用又は血管退化作用を有することが偶然発見された(Bocci, G.らの論文、Cancer Res、62, 6938-43 (2002);Millerの論文、前掲)。「メトロノーム方式の(metronomic)投薬」又は「抗-血管新生化学療法」と称される様々な化学療法薬の低用量の頻回投与は、限定された宿主毒性を伴い、腫瘍血管構造に損傷を与えることができることを示す報告により、抗-血管新生又は血管退化としての化学療法研究の関心が高められている(Browder, T.らの論文、Cancer Res、60, 1878-86 (2000);Klement, G.らの論文、J Clin Invest 105, R15-24 (2000))。従って本発明の送達システムは、癌治療での使用において、このような抗-血管新生化合物又は血管退化化合物を送達するために使用することができる。
癌治療での使用について、抗-炎症化合物の使用も提唱されている。ひとつの態様において、抗-炎症剤は、非-ステロイド系抗-炎症剤(NSAID)である。NSAIDの限定的でない例は、イブプロフェン、アセクロフェナック(aceclofenac)、アザプロパゾン、セレコキシブ、デックスケトプロフェン、ジクロフェナックナトリウム、ジフルニサール、コトドラッック(ctodolac)、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルビプロフェン、インドメタシン、アセトアミノシン、ピロキシカム、ロフェコキシブ、スリンダック、テノキシカム、チアプロフェン酸、アスピリン及びベノリレートがある。
この送達システムを用い、炎症に関連した状態を治療することができる。この送達システムは、血管新生に関連した状態を治療するために使用することもできる。
治療薬として使用することができる血管新生インヒビターの例は、アンギオスタチン(プラスミノーゲン断片)、抗-血管新生アンチトロンビンIII(aaATIII)、カンスタチン、軟骨-由来のインヒビター(CDI)、CD59補体断片、エンドスタチン(コラーゲンXVIII断片)、フィブロネクチン断片、グロ-ベータ(gro-beta)、ヘパリナーゼ、ヘパリン、六糖断片、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(hCG)、インターフェロンα/β/γ、インターフェロン誘導タンパク質(IP-10)、IL-12、クリングル5(プラスミノーゲン断片)、メタロプロテアーゼンヒビター、2-メトキシエストラジオール、PEDF、胎盤リボヌクレアーゼインヒビター、血小板因子-4、プロラクチン16kD断片、プロリフェリン-関連タンパク質、レチノイド、テトラヒドロコルチゾール-S、トロンボスポンジン、トランスフォーミング増殖因子-β、ツミスタチン、バスキュロスタチン(vasculostatin)及びバソスタチン(カルレチクリン断片)を含む。
本発明の物質は、単独で投与することができるが、一般には医薬組成物として投与されるであろう。本発明の方法において使用することができる他の有用な治療薬は、例えば、セクション5.2.3において明らかにされたものである。
(5.1.4リポソームへの薬物の封入)
以下に、リポソームの形成時に、生物学的活性物質が溶液中に存在するようなリポソーム調製の一般的方法を示す。リン脂質及び任意にコレステロール及びそれらのアジュバント又はカップリング脂質が溶解され、次にこの溶液が乾燥され、脂質薄膜を形成する。捕獲されるべき物質を含有する溶液が添加される。この段階で不活性大気を確立することが好ましい。その後脂質が、混合液を温度約20〜50℃で、通常ほぼ25℃で、5分〜2時間、好ましくは約5分間、穏やかに振盪することにより水和される。一旦脂質膜が水和されると、リポソームの捕獲比は、リポソーム溶液の1回又は複数回の凍結-解凍サイクルを行うことにより、増大することができる。これは、混入される物質が事実上親水性である場合に特に有用である。
封入されなかった生物学的活性物質は、繰返しの遠心、デカント、ゲル濾過、及び透析を含む、いくつかの手段により除去することができる。次にリポソームは、緩衝液中に懸濁される。この緩衝液は、好ましくはpH4.5〜pH9のpH、より好ましくは生理的pHを有する。
別のリポソーム中への物質の封入法は、封入されるべき材料の添加前の、望ましいならばコレステロール又は他のアジュバントの存在下での、リポソームの形成である。この形成が完了した後、リポソームは、この材料の水性溶液へ添加される。この溶液は水性でなければならないが、これは少量の有機溶媒を含有することができる。この溶液は音波処理され、音波処理は、リポソーム内部への物質の封入をもたらす。
リポソーム中に生物学的活性物質を捕獲する別法は、部分的に形成されたリポソーム又は部分的に形成されたリポソームの混合物を、望ましいならば、コレステロール又は他のアジュバントと共に、テトラヒドロフラン、アセトン、エーテル、クロロホルム塩化メチレン、及び酢酸エチルなどの適当な有機溶媒中に溶解し、この溶媒を蒸発させ、部分的に形成されたリポソームの薄膜を形成することである。疎水性材料は好ましくは、リポソーム形成前に、リン脂質と共に有機溶媒中に材料を溶解することにより、リポソーム中に封入される。親水性材料はより好ましくは、物質の水溶液の存在下でのリポソーム薄膜の水和により、混入される。
材料は、リポソーム内に加え、又はそれの代わりに1種又は複数のリン脂質二重層の脂質層中に、捕獲され得る。これは典型的には、調製法に加え取込まれるべき材料の疎水性/親水性により決定される。
薬物が疎水性でありかつリン脂質二重層内に取込まれ得る場合は、リポソームは、送達されるべき薬物を最大100%を装填することができる。材料が親水性である場合は、一般に約5〜40%の薬物が封入される。ひとつの態様において、リポソームの形成時に薬物は封入される。別の態様において、リポソームが最初に調製され、後に薬物が封入される。
ある別の態様において、選択された予防的又は治療薬は、リポソーム二重層をはさんだ内部/外部イオン勾配により、イオン化可能な薬物をリポソームへ移動(drive)することにより、リポソームへ取込まれ、これはリモート装填(remote loading)と称される。リモート装填手法において、薬物は、リポソームの中心のコンパートメントに、他の装填法により実現されるものよりもはるかに大きい濃度レベルで、蓄積される。
リモート装填に使用するためにリポソーム二重層をはさんだイオン勾配を有するリポソームは、様々な技術により調製することができる。典型的手法は先に説明されたものであり、ここではリポソームを形成する脂質の混合物が、適当な有機溶媒に溶解され、容器内で蒸発され薄膜を形成する。次にこの膜は、リポソーム内部空間内に水相を形成することになる溶質種を含有する水性媒質で覆われる。溶質種はその後、標準の技術により、リポソームの外部から取り除かれ、かつ薬物が、リモート装填のためにリポソームの外側に添加される。
リポソーム形成後、これらのベシクルは、公知の方法に従い、選択された範囲内のリポソームのサイズ分布を実現するために、分級される。リポソームは、選択されたサイズ範囲0.04〜0.25μmに均一に分粒されることが好ましい。
典型的には0.04〜0.08μmの範囲であるSUVは、リポソームの延長された音波処理又はホモジナイゼーションにより調製することができる。約0.08〜0.4μmの選択された範囲のサイズを有する、均一に分級されたリポソームは、例えば、0.03〜0.5μmの範囲、典型的には0.05、0.08、0.1、又は0.2μmの選択された均一な孔径を有するポリカーボネートメンブレン又は他の限定された孔径のメンブレンを通る押出により作製することができる。メンブレンの孔径は、特に調製が同じメンブレンを通り2回又はそれよりも多い回数押出される場合、そのメンブレンを通る押出により作製されたリポソームの最大サイズに対応している。この分級は、リポソーム内部空間が最初のリポソーム処理工程を通じてこの媒質を維持するように、当初の脂質水和用緩衝液中で行われることが好ましい。
分級後、リポソームの外側媒質は、リポソーム膜をはさんで、典型的には内側が高く外側が低い濃度勾配であるイオン勾配を生じるように処理される。これは、例えば(1)外部媒質の希釈、(ii)望ましい最終媒質に対する透析、(iii)所望の媒質に対する、例えばSephadex G-50を使用する、分子篩クロマトグラフィー、又は(iv)高速遠心、及びペレット化したリポソームの所望の最終媒質中への再懸濁などの様々な方法で行うことができる。選択された外部媒質は、当然のことながら、勾配形成の機構及び望ましい外部pHに応じて決まるであろう。リポソームの大規模製造について、フレンチプレス又はマイクロフルイダイザーが使用される。
イオン勾配形成の最も簡単な方法において、水和され分級されたリポソームは、選択された内部-媒質pHを有する。リポソーム懸濁液は、望ましい最終pHに達するまで滴定されるか、又は先のように外相緩衝液が望ましい外部pHを有するものと交換するように処理される。例えば、当初の媒質は、例えばクエン酸緩衝液又は硫酸アンモニウム緩衝液などの選択された緩衝液中で、pH5.5を有し、最終外部媒質は、同じ又は異なる緩衝液においてpH8.5を有することができる。例えば、緩衝液、塩又はショ糖のような低分子量溶質の濃度を適宜調節することにより、内部媒質及び外部媒質は、ほぼ同じ浸透圧を有するように選択されることが好ましい。
別の一般的方法において、この勾配は、リポソーム中に、選択されたイオノホアを含むことにより作成される。例証するために、リポソーム二重層内にバリノマイシンを含有するように調製されたリポソームが、カリウム緩衝液中に調製され、分級され、その後ナトリウム緩衝液と交換され、内側カリウム/外側ナトリウム勾配を作成する。内側から外側への向きのカリウムイオンの移動は、次に、内側が低く外側が高いpH勾配を形成し、これは恐らくリポソーム膜をはさんだ正味の負電荷帯電に反応したリポソーム内へのプロトンの移動によるものであろう(Deamerらの論文、1972)。
別のより好ましい方法において、薬物装填のために使用されたプロトン勾配は、例えば米国特許第5,192,349号に開示されたような、リポソーム膜をはさんだアンモニウムイオン勾配の形成により作成することができる。ここでリポソームは、適当なpH、例えば5.5〜7.5で、アンモニウム塩を、典型的には硫酸アンモニウムなどの0.1〜0.3Mアンモニウム塩を含有する水性緩衝液中で調製される。この勾配は、デキストラン硫酸アンモニウム又は硫酸ヘパリンなどの、硫酸化されたポリマーを用い作成することもできる。リポソーム形成及び分級後、外部媒質は、アンモニウムイオンを含まないもの、例えばリポソームの内側と外側に同じ浸透圧を提供するアンモニウム硫酸塩がNaCl又は糖と交換された同じ緩衝液と交換される。
リポソーム形成後、リポソーム内側のアンモニウムイオンは、アンモニア及びプロトンにより平衡化される。アンモニアは、リポソーム二重層を浸透し、及びリポソーム内部から脱出する(escape)ことができる。アンモニアの脱出は、リポソーム内の平衡を右向きに連続的にシフトし、プロトンを生成する。
薬物のイオン勾配リポソームへの添加により、治療薬がリポソームへ装填され、この懸濁液は、外部媒質からリポソームへこの化合物を通過させるのに有効な条件下で処理される。薬物装填に適したインキュベーション条件は、(i)非帯電型での、誘導体化された化合物のリポソームへの拡散を可能にし、並びに(ii)好ましくは、高い薬物装填効率例えば75〜100%の封入された薬物などにつながるものである。ひとつの態様において、5〜500 mM、より好ましくは20〜200 mM、最も好ましくは50〜300 mMのドキソルビシンが封入される。
この充填は、リポソーム脂質の相転移温度よりも高い温度で実行されることが好ましい。従って主に飽和リン脂質で形成されたリポソームに関して、装填温度は、60℃と高いかまたはそれ以上である。装填期間は典型的には、15〜120分間であり、これは薬物のリポソーム二重層膜への浸透性、温度、及びリポソーム脂質と薬物の相対濃度によって決まる。
リポソーム濃度、添加された化合物の外部濃度、及びイオン勾配の適切な選択により、本質的に全ての化合物を、リポソームへ装填することができる。例えば、3単位のpH勾配(又はアンモニウムイオン勾配を使用するそのような勾配のポテンシャル)により、薬物の最終の内部:外部濃度は、約1000:1であろう。計算されたリポソーム内部体積、及び装填された薬物(chug)の最高濃度はわかっているので、次にリポソームへの実質的に完全な装填につながる外部媒質中の薬物量を選択することができる。
あるいは、薬物の装填が遊離薬物の外部媒質を実質的に使い果たす(deplete)のに有効でない場合、リポソーム懸濁液は薬物装填後に処理され、封入されていない薬物を除去することができる。遊離薬物は、例えば、分子篩クロマトグラフィー、透析又は遠心により除去することができる。
別の本発明の態様において、リポソーム内部に、治療薬と複合するのに有効な捕獲剤を含み、かつこの化合物の保持につながるような、予め形成されたリポソームに治療薬は、装填される。好ましい態様において、捕獲剤は、ポリアニオン性ポリマー、例えば好ましくは類似した化学構造の反復単位からなり、かつイオン化可能な基、すなわち電離しイオン電荷、及び好ましくはアニオン電荷の形成を生じることが可能である化学官能基を有する分子である。広範な分子量範囲400〜2,000,000ダルトンを有するポリマーが適している。
ポリアニオン性ポリマーは、脂質ベシクル形成の間に、リポソーム内に封入される。薬物の予め形成されたリポソームへの装填時に、このポリマーは、薬物をリポソーム内に捕獲又は保持するために利用される。本願明細書において説明された試験において、硫酸デキストランがポリアニオン性ポリマーの例として使用された。硫酸デキストランは、1個のグルコシル残基毎に約2.3個の硫酸基を有する、アンヒドログルコースのポリマーである。これは、デキストランの分枝を説明する、およそ95%のα-D-1-6)連結及び残りの(1-3)連結により構成される。分子量5000〜500,000ダルトンの範囲のポリマーは、容易に入手可能である。しかし硫酸化された、スルホン化された、カルボキシル化された又はリン酸化された親水性ポリマーなどの、他のポリマーが適している。例としては、硫酸化ヘパリンのような、硫酸化されたプロテオグリカン、硫酸化されたセルロース又はセルロース誘導体、カラゲナン、ムエイン(muein)のような、硫酸化された多糖、硫酸化されたアミン基を伴うポリリシンのような、硫酸化されたポリペプチド、スルホネート-誘導体化された糖又はペプチドサブユニットのような、糖ペプチド、並びにヒアルロン酸である。硫酸コンドロイチンA、B及びC、硫酸ケラチン、硫酸デルマタンも企図されている。このポリマーは、アニオン性官能基を含むように改質された中性ポリマーであることもできる。アニオン性サブユニットに含むために、例えば、アミロース、ペクチン、アミロペクチン、セルロース、及びデキストランを改質することができる。ポリ硫酸ビニル、ポリスルホン酸ビニル、ポリスルホン酸スチレン及び硫酸化されたロジンガムなどのイオウ基を生じるポリマーも適している。
ひとつの態様において、本発明のリポソーム組成物は追加的に、安定化剤を含む。好ましい態様において、安定化剤は、リポソームの水性内部空間内に、水溶性の生物学的活性材料と共に含まれる。本願明細書において使用される用語「安定剤」又は「安定化剤」は、例えば脂質酸化を防止するα-トコフェノールなどの、生物学的活性材料のコンホメーション構造を保護、保存又は安定化するいずれかの物質を意味する。特に安定化剤は、トレハロース、マンニトール、ソルビトールなどの複数のヒドロキシル基を伴うポリオール、ショ糖並びにプルロニックF-68及びポリエチレン-ポリプロピレンブロックポリマーなどの界面活性剤を含むが、これらに限定されるものではない。他の安定化剤は、α-トコフェノール、ゼラチン、グリシン、EDTA、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びZnCl2を含む。
逆蒸発相リポソーム調製などの、他の方法も適している。
(5.1.5腫瘍への治療薬の送達)
本発明のシステムは、従来の薬物送達法を使用することに比べ、治療薬の増加した量を、腫瘍細胞又は腫瘍-支持細胞へ送達することが可能である。ある態様において、この送達システムは、治療薬を含む、リポソームのような、封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含み、かつこれは、他の標的化していない薬物送達システムに加え標的化した薬物送達システムと比べ、ある期間にわたり、少なくとも0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、15〜20倍、20〜30倍、30〜40倍、40〜50倍、50〜100倍より多い治療薬の、標的化した細胞への送達が可能である。具体的態様において、腫瘍は、他の送達システム、具体的には他の非経口送達システムと比べ、少なくとも2〜5時間、5〜10時間、10〜12時間、12〜24時間、24〜36時間、36〜48時間、3〜5日間、5〜7日間、又は1〜3週間の期間にわたり、2〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、又は90〜99%の治療薬に曝される。腫瘍細胞又は腫瘍-支持細胞内に存在する治療薬の量は、当業者により又は下記セクション6において使用された方法により決定することができる。
(5.2 治療的/予防的/診断的使用)
本発明の方法は、対象にとって有益であることができる治療的、予防的又は診断的用途を含む。ある態様において、本発明は、有効量の1種又は複数の疾患-標的化した薬物送達システムを対象に投与することにより、癌、血管新生、炎症、心臓の状態、又は内皮細胞増殖に関連した他の疾患もしくは障害を予防、管理、治療又は改善する方法に関する。別のある態様において、本発明は、例えばNGR受容体を発現している血管内皮細胞の存在又は量を診断又はモニタリングする方法に関する。この送達システムを含む医薬組成物及びキットも包含される。
(5.2.1 癌)
本発明の方法及び組成物により治療、予防又は診断することができる癌及び関連した障害は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:急性白血病、急性リンパ性白血病、骨芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性を含む急性骨髄性白血病、単球性白血病、赤白血病及び脊髄異形成症候群などであるが、これらに限定されるものではない白血病、並びに慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、毛様細胞性白血病などであるが、これらに限定されるものではない、慢性白血病;赤血球増加症;ホジキン病、非ホジキン病などであるが、これらに限定されるものではないリンパ腫;くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌型骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立型形質細胞腫及び髄外形質細胞腫などであるが、これらに限定されるものではない多発性骨髄腫;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;重大性が決定されていない単クローン性高ガンマグロブリン血症;良性単クローン性高ガンマグロブリン血症;重鎖疾患;骨の肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫瘍、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜性骨肉腫、軟-組織肉腫、血管腫(血管肉腫)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経線維鞘腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫などであるが、これらに限定されるものではない、骨及び結合組織の肉腫;神経膠腫、星細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣細胞腫、稀突起膠細胞腫、非グリア系腫瘍、聴神経腫、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、松果体腫、松果体芽細胞腫、原発性脳リンパ腫などであるが、これらに限定されるものではない、脳腫瘍;腺癌、小葉(小細胞)癌、線管内癌、乳腺髄様癌、粘液性乳癌、管状乳癌、乳頭乳癌、パジェット病、及び炎症性乳癌を含むが、これらに限定されるものではない、乳癌;褐色細胞腫及び副腎皮質癌などであるが、これらに限定されるものではない、副腎癌;乳頭状又は濾胞状甲状腺癌、髄様甲状腺癌及び未分化甲状腺癌などであるが、これらに限定されるものではない、甲状腺癌;インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン-分泌腫瘍、及び類癌腫又は島細胞腫瘍などであるが、これらに限定されるものではない、膵癌;クッシング病、プロラクチン-分泌腫瘍、末端肥大症、及び尿崩症などであるが、これらに限定されるものではない、下垂体癌;虹彩メラノーマ、脈絡膜メラノーマ、及び線毛体メラノーマなどの眼球のメラノーマ、並びに網膜芽腫などであるが、これらに限定されるものではない、眼の癌;扁平上皮癌、腺癌、及びメラノーマなどであるが、これらに限定されるものではない、膣癌;扁平上皮癌、メラノーマ、腺癌、基底細胞癌、肉腫、及びパジェット病などであるが、これらに限定されるものではない、外陰部の癌;扁平上皮癌、及び腺癌などであるが、これらに限定されるものではない、子宮頚癌;子宮内膜癌及び子宮肉腫などであるが、これらに限定されるものではない、子宮癌;卵巣上皮癌、境界悪性卵巣腫瘍、生殖細胞腫瘍、及びストロマ腫瘍などであるが、これらに限定されるものではない、卵巣癌;扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘液性類表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、メラノーマ、形質細胞腫、疣贅癌、及び燕麦細胞(小細胞)癌などであるが、これらに限定されるものではない、食道癌;腺癌、菌状(ポリープ状)、潰瘍性、表在拡散型、散在性拡散型、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、及び癌肉腫などであるが、これらに限定されるものではない、胃癌;結腸癌;直腸癌;肝細胞癌及び肝芽腫などであるが、これらに限定されるものではない、肝臓癌;腺癌などの胆嚢癌;乳頭状、結節性、及び拡散性などであるが、これらに限定されるものではない、胆管癌;非-小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、巨細胞癌及び小細胞肺癌などの肺癌;生殖細胞腫瘍、精上皮腫、退形成性、古典的(典型的)、精母細胞性、非精上皮腫、胎生期癌、奇形腫、絨毛癌(卵黄嚢腫)などであるが、これらに限定されるものではない、精巣癌;腺癌、平滑筋肉腫、及び横紋筋肉腫などであるが、これらに限定されるものではない、前立腺癌;陰茎癌;扁平上皮癌などであるが、これらに限定されるものではない、口腔癌;基底細胞癌;腺癌、粘膜表皮癌、及び腺様嚢胞癌などであるが、これらに限定されるものではない、唾液腺癌;扁平上皮癌、及び疣贅癌などであるが、これらに限定されるものではない、咽頭癌;基底細胞癌、扁平上皮癌、及びメラノーマ、表在性拡散型メラノーマ、結節性メラノーマ、悪性黒子メラノーマ、末端部黒子メラノーマなどであるが、これらに限定されるものではない、皮膚癌;腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮癌(腎盂及び/又は子宮)などであるが、これらに限定されるものではない、腎臓癌;ウイルムス腫;移行上皮癌、扁平上皮癌、腺癌、癌肉腫などであるが、これらに限定されるものではない膀胱癌である。
本発明の方法及び組成物は、白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B-細胞リンパ腫;T-細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫を含む、リンパ系統の造血系腫瘍;急性及び慢性の骨髄性白血病及び前骨髄細胞性白血病を含む、骨髄系統の造血系腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む、間葉細胞起源の腫瘍;メラノーマ、精上皮腫、奇形癌、神経芽細胞腫及び神経膠腫を含む、他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、及び神経鞘腫を含む、中枢及び末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む、間葉細胞起源の腫瘍;並びに、メラノーマ、異皮膚色素腫(xenoderma pegmentosum)、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞状癌及び奇形癌を含む、他の腫瘍の治療、予防又は診断においても使用することができる。アポトーシス異常により引き起こされた癌が、本発明の方法及び組成物により治療されることも、企図されている。このような癌は、濾胞状リンパ腫、p53突然変異を伴う癌、乳房、前立腺及び卵巣のホルモン依存型の腫瘍、並びに家族性腺腫状ポリープなどの前癌病巣、並びに骨髄異形成症候群を含むが、これらに限定されるものではない。
追加の癌型は、新生芽細胞腫、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮腫、リンパ管内皮腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽細胞腫、上皮細胞癌、嚢胞腺癌、気管支原性癌、汗腺癌、脂腺腺腫、乳頭状癌腫及び乳頭状腺癌である(このような障害の総説については、Fishmanらの論文、1985, Medicine, 2版、J.B. Lippincott Co., フィラデルフィア、及びMurphyらの論文、1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, Penguin Books U.S.A., Inc., 米国を参照のこと)。これらの腫瘍は、固形腫瘍又は非-固形腫瘍であることができ、かつ原発性腫瘍又は播種性転移性(続発性)腫瘍であることができる。
具体的態様において、卵巣、膀胱、乳房、結腸、肺、皮膚、膵臓又は子宮における悪性又は非増殖性の変化(化生及び異形成など)、又は増殖過多障害が、治療又は予防される。
好ましい態様において、癌は、乳癌、メラノーマ、神経芽細胞腫、腎臓癌、又はカポジ肉腫である。
(5.2.2 治療的/予防的投与)
本発明は、ヒト又は非-ヒト動物に、有効量の腫瘍-標的化した薬物送達システムを投与することにより、癌を予防、管理、治療及び改善する方法を提供する。本発明の標的化した薬物送達システムは、それ自身又は医薬組成物の形で対象へ投与することができる。
対象は、好ましくは哺乳類である。哺乳類は、非-霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)であり、最も好ましくはヒトである。ヒトは、成人、青年、乳児、又は胎児であってよい。
ある態様において、この送達システムは、癌、血管新生、炎症、心臓の状態、又は内皮細胞の損傷もしくは欠損に関連した疾患もしくは障害の治療に有用である1種又は複数の治療的又は予防的組成物と同時に、対象へ投与される。用語「同時に」は、正確な同時の投与に限定されず、むしろ送達システム(複数)を含む1種又は複数の治療的又は予防的組成物が、それらが別のように投与される場合よりも増大した恩恵を提供するように、一緒に作用することができるような、ある時間内の順次の投与である。例えば各予防的又は治療的組成物は、同時に、又は異なる時点でいずれかの順番で逐次投与することができるが;しかし同時に投与されない場合は、これらは、望ましい治療的又は予防的作用を提供するために十分近い時点で投与されなければならない。各組成物は、いずれか適当な形及び適当な経路で、個別に投与することができる。別の態様において、本組成物は、手術前、術中又は術後に投与される。手術は、局所的な腫瘍を完全に取り除くか、又は巨大な腫瘍のサイズを低下することが好ましい。手術は、予防的手段として又は疼痛緩和のために行ってもよい。様々な態様において、予防的又は治療的組成物は、1時間未満間をあけて、約1時間間をあけて、約1時間〜約2時間間をあけて、約2時間〜約3時間間をあけて、約3時間〜約4時間間をあけて、約4時間〜約5時間間をあけて、約5時間〜約6時間間をあけて、約6時間〜約7時間間をあけて、約7時間〜約8時間間をあけて、約8時間〜約9時間間をあけて、約9時間〜約10時間間をあけて、約10時間〜約11時間間をあけて、約11時間〜約12時間間をあけて、24時間を超えずに間をあけて又は48時間を超えずに間をあけて、投与される。好ましい態様において、2種又はそれよりも多い組成物が、同じ患者の来院時に投与される。
別の態様において、この予防的又は治療的組成物は、約2〜4日間間をあけて、約4〜6日間間をあけて、約1週間間をあけて、約1〜2週間間をあけて、又は2週間よりも長く間をあけて投与される。好ましい態様において、予防的又は治療的組成物は、両方の組成物が依然活性がある時間枠内で投与される。当業者は、投与された組成物の半減期を決定することにより、このような時間秤を決定することができるであろう。
ある態様において、本発明の予防的又は治療的組成物は、対象へサイクルで投与される。サイクル療法(cycling therapy)は、ある期間第一の組成物を投与し、それに続けてある期間第二の組成物及び/又は第三の組成物を投与することに関連し、並びにこの逐次投与が繰り返される。サイクル療法は、1種又は複数の療法に対する抵抗性の発生を低下し、ひとつの療法の副作用を避けるか又は軽減し、及び/又は治療効能を改善する。
ある態様において、予防的又は治療的組成物は、約3週間未満のサイクルで、2週間毎に約1回、10日間毎に約1回、又は毎週約1回投与される。1サイクルは、各サイクルで約90分間、各サイクルで約1時間、各サイクルで約45分間にわたる注入による治療的又は予防的組成物の投与を含むことができる。各サイクルは、少なくとも1週間の休止期間、少なくとも2週間の休止期間、少なくとも3週間の休止期間を含むことができる。投与されるサイクル数は、約1〜約12サイクルであり、より典型的には約2〜約10サイクル、より典型的には約2〜約8サイクルである。
更に別の態様において、本発明の治療的及び予防的組成物は、長い休止期間を伴わない治療薬の連続注入又は頻繁な投与を模倣することにより、メトロノーム方式の投薬様式として機能する。このようなメトロノーム方式の投与は、休止期間を伴わない一定の間隔での治療薬の投薬に関連している。この投薬様式は、長期間にわたる比較的低用量の長期にわたる毎日の投与を包含している。好ましい態様において、比較的低用量の使用は、毒性のある副作用を最小化し、休止期間を排除する。ある態様において、1週間又はそれよりも長い間隔での治療的及び予防的組成物の投与は、約24時間から約2日間まで、約1週間まで、約2週間まで、約3週間まで、約1ヶ月まで、約2ヶ月まで、約3ヶ月まで、約4ヶ月まで、約5ヶ月まで、約6ヶ月までの長期にわたる低用量又は連続注入につながる。このような投薬様式のスケジュールは、熟練した医師により最適化することができる。
本願明細書において提供された用量及び投与頻度は、治療的有効量及び予防的有効量に関して包含される。用量及び頻度は更に、典型的には投与される具体的治療的又は予防的組成物、疾患又は障害の重症度及び種類、投与経路、更には患者の年齢、体重、反応、及び既往歴に応じ、各患者にとって特異的な因子に従い変動するであろう。適した様式は、担体中の治療薬の封入に付随した治療薬の薬物動態及び生体分布における変化としてこのような因子を考慮し、かつ例えば、文献に報告され「医家向け医薬品便覧(PDR)」(56版、2002)に推奨された用量に従い当業者により選択、担体内の薬物封入に付随した薬物動態及び生体分布が変化できるように修飾することができる。
具体的態様において、本発明の送達システムを含む治療的又は予防的組成物は、適当な抗癌剤又は癌を治療もしくは予防するのに有用な療法と組合せて投与される。
例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセル内の封入(例えばWu及びWuの論文、J. Biol. Chem.、262:4429 4432 (1987))、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての核酸の構築などの、様々な送達システムが公知であり、かつ本発明の治療的又は予防的組成物を投与するために使用することができる。本発明の予防的又は治療的組成物の投与法は、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内及び皮下)、硬膜外、髄腔内、脳内及び粘膜内(例えば鼻腔内)を含むが、これらに限定されるものではない。具体的態様において、本発明の予防的又は治療的組成物は、筋肉内、静脈内、又は皮下に投与される。この予防的又は治療的組成物は、いずれか都合の良い経路、例えば注入又はボーラス注射により投与することができ、及び他の生物学的活性物質と共に投与することができる。投与は全身又は局所的であることができる。
具体的態様において、本発明の予防的又は治療的組成物を、治療の必要な領域に局所的に投与することが望ましいことがあり;これは、例えば局所的注入、注射、又はインプラントにより実現することができるが、これらに限定されるものではなく、このインプラントは、シラスティック(sialastic)膜のような膜、又は線維を含む、多孔質、非孔質、又はゼラチン状物質である。
(5.2.3 他の治療/予防物質)
本発明に従い、この送達システムの投与による療法は、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、及び/又は生物学的療法/免疫療法などであるが、これらに限定されるものではない、1種又は複数の療法の投与と組合せてもよい。
具体的態様において、本発明の方法は、以下を含むが、これらに限定されるものではない、1種又は複数の血管新生インヒビター又は血管退化剤の投与を包含している:アンギオスタチン(プラスミノーゲン断片)、抗-血管新生アンチトロンビンIII;アンギオザイム;ABT-627;Bay 12-9566;ベネフィン;ベバシツマブ;BMS-275291;軟骨-由来のインヒビター(CDI);CAI;CD59補体断片;CEP-7055;Col 3;コンブレタスタチンA-4;エンドスタチン(コラーゲンXVIII断片);フィブロネクチン断片;グロ-ベータ;ハロフギノン;ヘパリナーゼ;ヘパリン六糖断片;HMV833;ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(hCG);IM-862;インターフェロンα/β/γ;インターフェロン誘導タンパク質(IP-10);インターロイキン-12;クリングル5(プラスミノーゲン断片);マリマスタット;メタロプロテアーゼンヒビター(TIMPs);2-メトキシエストラジオール;MMI 270 (CGS 27023A);MoAb IMC-1C11;ネオバスタット;NM-3;パンゼム;PI-88;胎盤リボヌクレアーゼインヒビター;プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター;血小板因子-4(PF4);プリノマスタット;プロラクチン16kD断片;プロリフェリン-関連タンパク質(PRP);PTK 787/ZK 222594;レチノイド;ソリマスタット(Solimastat);スクアラミン;SS 3304;SU 5416;SU6668;SU11248;テトラヒドロコルチゾール-S;テトラチオモリブデート;サリドマイド;トロンボスポンジン-1(TSP-1);TNP-470;トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-b);バスキュロスタチン;バソスタチン(カルレチクリン断片);ZD6126;ZD6474;ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター(FTI);及び、ビスホスホネート。
本発明の医薬組成物及び剤形及びキットを含む、本発明の様々な態様において使用することができる抗癌剤の追加例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン;アミノグルタチアミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン(anthramycin);1-β-D-アラビノフラノシルシトシン(AraC);アスパラギナーゼ;アスペリン;アザシチジン;アゼテパ(azetepa);アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチメール(carbetimer);カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;
ジアジキノン(diaziquone);ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン(duazomycin);エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン(elsamitrucin);エンロプラチン;インプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール(erbulozole);塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン(etoprine);塩酸ファドロゾール;ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド;フロキシウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;フォスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン(ilmofosine);インターロイキンII(組換えインターロイキンII又はrIL2を含む)、インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンγ-Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲステロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトグリリン(mitogillin);ミトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;ミトスペル(mitosper);ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン(peliomycin);
ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;N-ホスホノアセチル-L-アスパルテート(PALA);ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;ピリカマイシン;プロメスタン;ポルフィメールナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル(sulofenur);タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフル(tegafur);塩酸テロキサントロン;テモプロフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トポテカン;クエン酸トロミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテプロフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン。他の抗癌剤は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:20-epi-1,25-ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン(acylfulvene);アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルテタルミン;アンバムスチン;アミドックス(amidox);アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストゾール;アンドログラホリド;血管新生インヒビター;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス(antarelix);抗-背側形態形成タンパク質-1;
前立腺癌用抗-アンドロゲン;抗-エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節因子;アプリン酸;アラ-CDP-DL-PTBA;アルギニン脱アミド酵素;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン;アチムスチン;アキシナスタチン(axinastatin)1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール(balanol);バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン;β-ベタクラマイシンB;ベトゥリニック酸;bFGFインヒビター;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート(breflate);ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンホテシン誘導体;カナリポックスIL-2;カペシタビン;カルボキサミドアミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨誘導インヒビター;カルゼレシン;カゼインキナーゼインヒビター(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;コルルン(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis-プロルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシン(collismycin)A;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クラムベスシジン(crambescidin)816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクフォスフェート;細胞傷害性因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン;デヒドロジデミン(dehydrodidemnin)B;
デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デキシラゾキサン(dexrazoxane);デキシベラパミル(dexverapamil);ジアジキオン(diaziquone);ジデミン(didemnin)B;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール;9-ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン(edelfosine);エドレコロマブ;エフォロミチン(eflomithine);エレメン(elemene);エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロジェンアゴニスト;エストロジェンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチン;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;フォルフェニメクス(forfenimex);フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼインヒビター;ゲムシタビン;グルタチオンインヒビター;ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ハイペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン(ilmofosine);イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン-様成長因子-1受容体インヒビター;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール(ipomeanol);4-イロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリド(kahalalide)F;
ラメラリン-N三酢酸塩;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン(leptolstatin);レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロジェン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミゾール;リアロゾール;線状ポリアミンアナログ;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン;ロムブリシン(lombricine);ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルトテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マスプロコール(masoprocol);マスピン;マトリリシンインヒビター;マトリックスメタロプロテアーゼインヒビター;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIFインヒビター;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミスマッチの二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナフィド(mitonafide);マイトトキシン線維芽細胞増殖因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミコバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子インヒビター;多発性腫瘍抑制因子1-療法;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシド(mycaperoxide)B;ミコバクテリウム細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N-アセチリジナリン(acetyldinaline);N-置換されたベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;
ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸;神経エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン(nisamycin);一酸化窒素モジュレーター;ニトロオキシド抗酸化物質;ニトルリン;O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダセトロン;オンダセトロン;オラシン(oracin);経口サイトカインインデューサー;オルマプラチン;オサテロン;オキサルプラチン;オキサウノマイシン(oxaunomycin);パクリタキセル;パクリタキセルアナログ;パクリタキセル誘導体;パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン;パルミドン酸;パナキシリトール;パノミフェン;パラバクチン(parabactin);パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);ペルフルボロン(perflubron);ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;ホスファターゼインヒビター;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター;白金錯体;白金化合物;白金トリアミン錯体;ポルフィメル(porfimer)ナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニソン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソームインヒビター;プロテインA-ベースの免疫賦活剤;プロテインキナーゼCインヒビター;プロテインキナーゼCインヒビターミクロアルガル(microalgal);タンパク質チロシンリン酸化酵素インヒビター;プリンヌクレオシドリン酸化酵素インヒビター;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化されたヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;raf-アンタゴニスト;ラルチトレキシド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質転移酵素インヒビター;rasインヒビター;ras-GAPインヒビター;脱メチル化されたレテリプチン;エチドン酸レニウムRe186;
リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン(rohitakine);ロムルチド;ロキニメックス(roquinimex);ルビギノン(rubiginone)B1;ルボキシル;サフィンゴル(safingol);サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1擬態;セムスチン;セネスセンス(senescence)誘導されたインヒビター1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達インヒビター;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗体結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテート(borocaptate)ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォス酸(sparfosic acid);スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞インヒビター;幹細胞分化インヒビター;スチピアミド(stipiamide);ストロメリシンインヒビター;スルフィノシン(sulfinosine);超活性血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(suradista);スラルニン(surarnin);スワイノソニン(swainsonine);合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガブール(tegabur);テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼインヒビター;テモプロルフィン(temoporfin);テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカノキシド;テトラゾミン;サリバルスチン(thaliblastine);チオコラリン(thiocoraline);トロンボポイエチン;トロンボポイエチン擬態;チマルファシン;
チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチプルプリンスズ(tin ethyl etiopurpurin);チラパザミン;チタノセンジクロリド;トプセンチン(topsentin);トレミフェン;トチポテント(totipotent)幹細胞因子;翻訳インヒビター;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼインヒビター;チルホスチン;UBCインヒビター;ウベニメックス;尿生殖洞-由来の増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクターシステム、赤血球遺伝子治療;ベラレゾル(velaresol);ベラミン;ベルジン;ベルテプロフィン;ビノレルビン;ビンクリスチン;ビンキサルチン;ビタキシン(vitaxin);ボロゾール;ザノテロン(zanoterone);ゼニプラチン;ジラスコルブ;及び、ジノスタチンスチマラメル(zinostatin stimalamer)。好ましい追加の抗癌剤は、5-フルオロウラシル及びロイコボリンである。これら2種の薬物は、サリドマイド及びトポイソメラーゼインヒビターを使用する場合に、特に有用である。
(5.2.4 治療/予防組成物)
本発明の腫瘍-標的化した薬物送達システムは、投与に適した医薬組成物へ混入することができる。ひとつの態様において、この組成物は、少なくとも2種の異なる送達システムであり、ここで送達システムの少なくともひとつは、他方の送達システムとは異なる治療薬を含む。
この医薬組成物は、通常の混合、溶解、造粒、微粉化、乳化、封入、捕獲又は凍結乾燥プロセスにより製造してもよい。このような組成物は典型的には、1種又は複数の送達システム、及び任意に医薬として許容できる担体を含有する。
具体的態様において、用語「医薬として許容できる」とは、連邦もしくは州政府の規制機関により承認された、又は動物、より具体的にはヒトにおいて使用するために、米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に列記されていることを意味する。用語「担体」は、治療薬と共に投与される希釈剤、アジュバント(例えばフロイントのアジュバント(完全及び不完全))、賦形剤、又はビヒクルを意味する。このような医薬として許容できる担体は、水、塩溶液、アルコール、シリコーン、ワックス、ワセリン、植物油、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、ゼラチン;乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油;脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、石油エーテル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどがある。適当な賦形剤は、デンプン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、ゼラチン、モルト、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等を含む。
補充的活性化合物を、この組成物へ混入することもできる。ひとつの態様において、この組成物は更に、少量の湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムを含有する。
この組成物は、意図された投与経路に応じて、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出型製剤などの形をとることができる。投与経路の例は、非経口、例えば動脈内、門脈内、筋肉内、静脈内、髄腔内、皮内、皮下、経皮的(外用)、経粘膜的、関節内、腹腔内、及び胸腔内に加え、髄腔内、脳内、吸入及び経肺投与を含む。別の局面において、送達システム及び医薬組成物は、例えば、障害又は疾患に罹患した特定の腫瘍、臓器、組織又は細胞へ血液を供給する局所的血管への注射により、局所的に対象へ投与される。
非経口投与について、この組成物は、1種又は複数の下記の成分を含有する:無菌希釈液、例えば注射用水、生理食塩水;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化物質、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジア四酢酸;緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩、並びに等張化剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。非経口調製物は、ガラス又はプラスチック製であるアンプル、使い捨て注射器又は反復投与用バイアル中に密封することができる。
注射について、この送達システムは、水溶液中に、好ましくはハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩緩衝液などの、生理的に適合可能な緩衝液中に配合される。この溶液は、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの、製剤用物質を含有してもよい。好ましい態様において、この送達システムは、無菌水溶液中で製剤される。
静脈内投与に適した担体は、生理食塩水、静菌水、又はリン酸緩衝した生理食塩水(PBS)である。全て場合において、この組成物は無菌でなければならず、かつ注射器により容易な注射可能性がある程度に流動性がなければならない。これは、製造及び貯蔵の条件下では安定していなければならず、かつ細菌及び真菌などの微生物の混入作用に対して保存されなければならない。担体は、溶媒又は分散媒であることができ、これは例えば、水、及びそれらの適当な混合物を含む。微生物の作用の防止は、様々な抗-細菌剤及び抗-真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより実現することができる。多くの場合に、組成物中に、等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウムを含有することは好ましいであろう。
吸入投与のために、この送達システムは、適当な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適当なガスと共に使用する、加圧したパック又はネブライザーからのエアゾールスプレーとして製剤することができる。加圧されたエアゾールの場合、単位用量は、測定された量を送達するバルブをつけることにより決定することができる。吸入又は吸入器における使用のためのゼラチンのカプセル及びカートリッジは、送達システム及び乳糖又はデンプンなどの適当な粉末基剤の粉末混合物を含有するように製剤することができる。
本発明の送達システムは帯電した側鎖又は末端を含み得るので、これらは前述の製剤のいずれかに、遊離酸もしくは塩基として又は医薬として許容できる塩として含むことができる。医薬として許容できる塩は、遊離塩基の生物学的活性を実質的に保持しかつ無機酸との反応により調製されるような、それらの塩である。医薬用の塩は、水性溶媒及び他のプロトン性溶媒に、対応する遊離塩基型よりも、より可溶性である傾向がある。ある態様において、これらの組成物は、中性形又は塩の形として製剤することができる。医薬として許容できる塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来したもののようなアニオンにより形成されたもの、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来したもののようなカチオンにより形成されたものを含む。
本発明の組成物は一般に、意図された目的を実現するのに有効な量で使用されるであろう。癌の治療又は予防のための使用については、組成物の量は、癌に関連した症状を改善又は予防し、腫瘍細胞もしくは腫瘍-支持細胞の成長を阻害又は軽減し、又は治療される患者の生存を延長するように投与され得る。具体的態様において、腫瘍細胞の成長は、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%低下される。治療的有効量の決定は、特に本願明細書に提供された詳細な説明を参照し、当業者の能力内である。
投与される組成物の量は変動することができる。当業者は、ある因子が、対象の有効な治療に必要な用量に影響を及ぼし得、これは疾患又は障害の重症度、先行する治療、全身の健康状態及び/又は対象の年齢、他の疾患が存在するかどうか、投与様式及び処方医の判断を含むが、これらに限定されるものではないことを理解するであろう。治療は、単回治療又は連続治療であることができる。療法は、症状が検出可能であるか又はこれらが検出不可能であっても、断続的に繰り返すことができる。治療に使用される核酸分子の有効量は、具体的な治療経過に沿って増減することができることも理解されるであろう。用量変更は、本願明細書に開示されたような、診断及び経過観察時のアッセイ結果から生じ、明らかとなる。
全身投与に関して、治療的に有効な投与量は、最初にin vitroアッセイから概算することができる。例えば投与量は、細胞培養物において決定されたIC50を含む循環血濃度範囲を実現するように、動物モデルにおいて処方される。このような情報を使用し、ヒト投与量を概算するために、動物モデルにおいて認められた薬物動態及び生体分布の変化を外挿することにより、ヒトの有用な投与量をより正確に決定することができる。
初回量も、当該技術分野において周知の技術を用い、例えば動物モデルのin vivoデータから概算することができる。このような組成物の用量は、好ましくはほとんどまたは全く毒性のないED50を含む循環血濃度の範囲内にある。当業者は、担体中に封入する薬物は、封入された薬物の薬物動態及び生体分布において有意な変化を生じる得ることに留意しつつ、動物データを基にヒトへの投与を容易に最適化することができる。
治療的作用を維持するのに十分であるような罹患部位での薬物のレベルを提供するために、用量及び間隔は個別に調節することができる。血漿レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
注射による投与のための通常の患者用量は、約0.01〜30 mg/kg/日、好ましくは約0.1〜10 mg/kg/日、より好ましくは0.1〜1 mg/kg体重の範囲である。好ましい態様において、投与のための用量は、約0.005〜O.01 mg/kg、0.01〜0.05 mg/kg、0.054〜0.1 mg/kg、0.1〜0.5 mg/kg、0.5〜1 mg/kg、1〜1.5 mg/kg、1.5〜2 mg/kg、2〜4 mg/kg、又は4〜10 mg/kgの範囲である。好ましい態様において、投与頻度は、毎週、2〜4週間毎、4〜6週間毎、又は6〜8週間毎に1回である。治療に有効な血清レベルは、毎日、毎週、2〜4週間毎、4〜6週間毎、又は6〜8週間毎に反復投与量を投与することにより達成することができる。有効な投与量は、in vitro又は動物モデル試験システムから得た用量-反応曲線から外挿することができる。
好ましい態様において、ドキソルビシンを含有する本発明のシステムを投与するための用量は、0.1〜1 mg/kgを週2回、又は1〜12 mg/kgを週1回、最大6週間である。好ましい態様において、ビンクリスチンを含有する本発明のシステムを投与するための用量は、0.1〜1 mg/kgを週2回、又は1〜6 mg/kgを週1回、最大6週間である。
当業者は特定の患者及び状態について最適な投与経路及び用量を容易に決定することができるので、説明された投与経路及び用量は、単なる指針であることが意図されている。
(5.2.5 併用療法)
本発明の送達システム及び/又は医薬組成物は、癌の治療又は予防のための手術、標準及び実験的化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、免疫療法、放射線療法、塞栓形成術、及び/又は化学塞栓形成療法と、逐次に又は同時に、対象へ投与することができる。
本発明の送達システム及び/又は医薬組成物は、この送達システムに含まれた治療薬と同じ又は異なることができる更なる治療薬と、逐次又は同時に、対象へ投与することもできる。好ましい態様において、他の治療薬は、前述の抗癌剤、抗-血管新生剤、プロ-血管新生剤、血管退化剤又は抗-炎症剤であってよい。具体的態様において、治療薬は、ウイルスベクター及び非ウイルスベクターを用い、人体のゲノムに挿入されることが意図された、有用な分子をコードしているDNA又はRNAを含む核酸分子などの、遺伝的材料であることができ、他の核酸分子は、DNA、RNA及びRNAiなどの、アンチセンス核酸分子であってよい。
(5.2.6治療的/予防的使用の実証)
本発明の組成物は、好ましくは望ましい治療的又は予防的活性について、ヒトで使用する前に、in vitroにおいて試験され、次にin vivoで試験される。例えば、組成物の治療的又は予防的利用性を明らかにするためのin vitroアッセイは、細胞株に対する、特に特異型の癌を特徴とするもの又は患者組織試料に対する組成物の作用を含む。細胞株及び/又は組織試料に対する組成物の作用は、ロゼットコロニー形成アッセイ及び細胞溶解アッセイを含むが、これらに限定されるものではない当業者に公知の技術を利用することにより決定することができる。具体的には、MDA-MB-231などの乳癌細胞株、U937などのリンパ腫細胞株、及びRKOなどの結腸癌細胞株を使用し、本発明の標的化した治療的分子の治療作用を評価することができる。当業者に公知の技術は、細胞活性を測定するために使用することができる。例えば、細胞増殖は、3H-チミジン取込みアッセイ又はMolecular Probe社のLive/Dead Cytotoxicity Kitによりアッセイすることができる。
被験組成物は、癌に罹患した患者(すなわち動物)における腫瘍形成を低下するそれらの能力について試験することができる。被験組成物は、感染症に罹患した患者においてウイルス量又は細菌数を低下するそれらの能力について試験することもできる。被験組成物は、癌もしくは血管新生、炎症、心臓の状態、又は損傷もしくは欠損された内皮細胞に関連した疾患もしくは障害に関連した1種又はそれよりも多い症状を緩和するそれらの能力について試験することもできる。被験組成物は、癌性細胞又は損傷もしくは欠損された内皮細胞を修復又は除去するそれらの能力について試験することもできる。更に、被験組成物は、癌もしくは血管新生、炎症、心臓の状態、又は損傷もしくは欠損された内皮細胞に関連した疾患もしくは障害に罹患した患者の生存期間を延長するそれらの能力について試験することもできる。当業者に公知の技術を使用し、患者における被験組成物の機能の試験を解析することができる。
本発明内の様々な態様において、具体的組成物の投与が適応であるかどうかを決定するために使用することができるin vitroアッセイは、患者組織試料を培養物中で増殖し、組成物に曝露するか又はさもなければこれを投与し、そのような組成物の組織試料に対する作用を観察するような、in vitro細胞培養アッセイを含む。具体的には、発現されたタンパク質の細胞傷害性作用が、Promega社のCellTiter 96Aqueous Cell Proliferation Assay及びMolecular Probe社のLive/Dead Cytotoxicity Kitにより評価される。
療法において使用するための組成物は、ヒトにおいて試験する前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどを含むが、これらに限定されるものではない、適当な動物モデルシステムにおいて試験することができる。In vivo試験について、ヒトへ投与する前に、当業者に公知の動物モデルシステムが使用される。
(5.2.6.1 毒性)
好ましくは、本願明細書において説明された送達システム又は医薬組成物の治療的有効用量は、実質的毒性を引き起こすことなく、治療的恩恵を提供するであろう。
本願明細書に説明されたタンパク質の毒性は、細胞培養物又は実験動物において、標準の薬学的手法により、例えば、動物集団における特定の副作用の有意でないレベルを生じる最大耐量を決定することにより、決定することができる。毒性作用と治療的作用の間の投与量比は、治療指数である。高い治療指数を示す治療薬が好ましい。これらの細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒトにおける使用に関して無毒である用量範囲の処方において使用することができる。本願明細書において説明された治療薬の用量は、ほとんど又は全く毒性がない有効投与量を含む循環血中濃度の範囲内であることが好ましい。この用量は、この範囲内で、使用される剤形及び利用された投与経路に応じて変動することができる。的確な製剤、投与経路及び用量は、個々の医師が、患者の状態を考慮し選択することができる(例えば、Finglらの論文、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第1章1ページ参照)。
(5.2.7 キット)
本発明は、1種又は複数の本発明の送達システムが充填された1個又は複数の容器を備える、医薬パック又はキットも提供する。医薬品もしくは生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により指示された形であることに注意し、このような容器(複数)と任意に関連することができ、この注意は、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の機関による承認を反映している。
本発明は、前述の方法において使用することができるキットも提供する。ひとつの態様において、キットは、1個又は複数の容器内に送達システム又は医薬組成物を含んでいる。
ある態様において、本発明のキットは、癌、炎症疾患、ウイルス感染症、細菌感染症又は循環器疾患の治療、予防又は診断のための本発明のシステムの使用に関する説明書を含む。
本発明を説明するにあたり、下記実施例が例証のために提供されるが、限定するものではない。
(6. 実施例)
腫瘍血管新生及び抗-血管新生又は血管退化療法に関するほとんどの前臨床試験は、通常皮下空間において固形の局在化された腫瘍として成長する、迅速に成長する移植可能なマウス腫瘍、又はヒト腫瘍異種移植片を利用している。いくつかの理由で、この方法ははぼ確実に抗-腫瘍反応を誇張する。第一に、臨床とは異なり、このような実験状況においては、遠隔転移は通常この治療の中心ではないが、これはまさにこのような最終的には癌による死亡の原因となる続発的腫瘍である。これらの理由のため及び宿主の微小環境の可能性のある影響を解明するために、同所性位置における腫瘍の血管新生-特異的試験は、ヒト疾患をより密接に模倣することができる。例えば同所性に移植された神経芽細胞腫(NB)腫瘍の使用は、転移の発生を誘導又は増強するためのみではなく、異所性の腫瘍塊の成長反応は生理的に関連のある部位での同じ腫瘍の成長と比較して異常であるので、ヒト神経芽細胞腫の動物モデルにおいて、好ましいことがある(Fidler, I. J.の論文、J Natl Cancer Inst、87, 1588-92 (1995))。その全体が本願明細書に参照として組入れられているPastorinoらの論文、(2003, Cancer Research、63, 7400-7409)に示されたように、NGR-標的化した立体的に安定化されたリポソームドキソルビシン(DXR)製剤(NGR-SL[DXR])の効能は、マウスにおいて確立した同所性NB腫瘍を制御しかつ効果的に縮退するその能力により明らかにされた。NGR-SL[DXR]は主に血管退化機構を介して腫瘍成長に影響するという考えは、NGR-SL[DXR]で治療された同所性腫瘍における、対照腫瘍と比較してより少ない第VIII因子陽性血管を示すデータにより裏付けられている。これは更に、確立された腫瘍に対する非定型の用量-反応作用の知見により裏付けられている。この知見は、典型的には他の報告された抗-血管新生治療プロトコールで認められる腫瘍に対する低用量の遅延型作用と一致しており(Browderの論文、前掲;Klementの論文、前掲)、これはNGR-SL[DXR]は、不便である頻回投薬を必要としない、従来のメトロノーム方式の投薬に類似している持続放出システムとして作用することを示唆している。低用量抗-血管新生療法は、抗-腫瘍実験的療法として現在研究されている(Millerの論文、前掲)。同所性NB-モデルにおいて、化学療法薬DXRの腫瘍血管への標的化は、血管破壊の、通常の薬物の抗-腫瘍作用との組合せを可能にすることが示されている。これらの知見は、ヒト癌の異種移植片を持つマウスにおいて、抗-血管新生手法は、従来の療法よりもより効果的であり毒性が低いことを証明していることを示す先の結果と一致している(Arap, W.らの論文、Science、279, 377-80 (1998)、Curnis, F.らの論文、Nat Biotechnol、18, 1185-90 (2000);Ellerby, H.M.らの論文、Nat Med、5, 1032-8 (1999);Zhang, L.らの論文、Cancer Res、62, 2034-42 (2002))。しかしNGR-SL[DXR]は、血管構造から逃れかつ腫瘍間質腔に直接送達されることが明らかであるので、この標的化したリポソームの手法は別の利点を有する。NGR-SL[DXR]の受動的標的化による薬物の腫瘍細胞への送達は(NGR標的化したリポソームは、腫瘍細胞へ直接結合するとは予想されないので)、うまく成功している臨床リポソーム性の薬物Doxil(登録商標)/Caelyx(登録商標)の作用の機構である(Muggia, F.らの論文、Eur J Cancer、37 Suppl 9, S15-8 (2001))。このNGR-標的化したリポソームの二重作用の可能性は、厳密な抗-血管新生手法よりも、より高くかつより多い永続的な抗-癌作用を生じるであろう。
(6.1 方法)
(6.1.1 リポソーム調製)
標的化していない立体的に安定したリポソーム(SL)及びペプチド-標的化したリポソーム(NGR-SL)、更には対照の偽-標的化したペプチド製剤(ARA-SL)を、各々、HSPC:CHOL:DSPE-PEG2000のモル比2:1:0.1、及びHSPC:CHOL:DSPE-PEG2000:マレイミド-DSPE-PEG2000のモル比2:1:0.08:0.02から調製した(Pastorino, F.らの論文を参照、Cancer Res、63, 86-92 (2003))。一部の調製において、コレステリル-[1,2-[3H](N)]-ヘキサデシルエーテル("[3H]CHE")を、交換不能で代謝不能な脂質トレーサーとして添加した。窒素下で蒸発後、乾燥した脂質膜を、25mMの(4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸("HEPES")、140mM NaCl緩衝液(pH7.4)中で水和した。水和したリポソームを、孔径が0.2μmから0.08μmまでの範囲の一連のポリカーボネートフィルターを通して、順次押出し(Lipex Biomembranes Extruder、バンクーバー、BC)、最初に単層ベシクルを作成した。リポソームサイズは、Brookhaven BI90サブミクロン粒度分析装置(Brookhaven Instruments Corp.、Holtsville、NY)を用い、動的光散乱により特徴付けた。
DXRを、先に報告されたように、硫酸アンモニウム勾配によりリポソームに装填した(Pastorinoの論文参照、前掲)。DXRの装填効率は、95%よりも大きく、リポソームは慣習的にDXRを、濃度150〜180μg DXR/μmolリン脂質(PL)で含んだ。
リポソームに結合した場合のNGRペプチドの易接近性を増強し、かつリポソーム上のマレイミド部分へのチオールを介したカップリングを可能にするために、追加の残基を、ペプチドアミノ末端に追加し、C-末端Cysを伴うNGR-含有ペプチドGNGRGGVRSSSRTPSDKYC (配列番号:6)を作成した(Colombo, G.らの論文、J Biol Chem、277, 47891-7 (2002))。対照としてARA-含有ペプチドGARAGGVRSSSRTPSDKYCを使用した。ペプチドは、リポソームの外部表面に、マレイミドポリエチレングリコールジアステロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG2000-DSPE-MAL)リポソーム成分の末端へのカップリングにより、複合した。これは、新たに調製されたリポソームの等モル(マレイミドカップリング基に関して)量のペプチドとの、4℃で16時間のアルゴン下での混合、それに続く残存するマレイミド基の誘導体化のための10-倍過剰な2-メルカプトエタノールとの1時間の混合により実行された。カップリングしなかったペプチドは、カップリング混合物をHEPES緩衝液(pH 7.4)中のSepharose CL-4Bカラムを通過させることにより、リポソームから分離した。カップリング効率は、CBQCA Protein Quantification Kit(Molecular Probes Europe、ライデン、オランダ)を使用し、リポソーム-会合したペプチド量を概算することにより決定した。
(6.1.2 細胞株及び細胞会合試験)
In vitroにおいて神経芽細胞腫細胞により示された表現型を広範に対象とするために、5種のヒトNB細胞株GI-ME-N、GI-LI-N、HTLA-230、IMP-32、及びSH-SY5Yを用いた(Ponzoni, M.らの論文、Cancer Res、55, 853-61 (1995))。細胞株KS1767(ヒトカポジ肉腫)及びTHP-1(ヒト急性単球性白血病)を、一部の実験における対照として使用した。全ての細胞株は、先に説明されたように、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI 1640培地において増殖した(Ponzoniの論文参照、前掲)。
NGRペプチドにより標的化したリポソームの細胞会合は、蛍光標示式細胞分取法のためのFACScan装置(Becton-Dickinson Immunocytometry Systems)を使用する、フローサイトメトリー(FACS)により分析した。細胞アリコート(1x106/チューブ)を、様々な処方の遊離(封入されていない)のDXR又はリポソーム-封入されたDXR(SL[DXR]、NGR-SL[DXR]又はARA-SL[DXR])と共に、4℃で1時間インキュベーションした。これらの細胞は引き続きリン酸-緩衝生理食塩水(PBS)により洗浄し、かつFACSにより計測した。
培養したSH-SY5Y、THP-1及びKS1767細胞によるCD13-結合部位の発現も、先に報告されたような、1μg/ml WM15抗体(PharMingen、サンディエゴ、CA)を使用するFACSにより計測した(Curnis, F.らの論文、Cancer Res、62, 867-74 (2002))。
(6.1.3 同所性神経芽細胞腫動物モデル)
5-週齢の雌のSCIDマウスを、Harlan Laboratories (Harlan Italy-S.Pietro al Natisone, UD)から購入した。マウス(6〜8匹マウス/群)に、麻酔をかけ、開腹術後、左副腎被膜内に、異なるNB細胞株を注射した(HEPES緩衝液20μl中2.5x106細胞)。この方法の致死率は0%であった。マウスは、腫瘍発生の証拠について、毎週少なくとも2回モニタリングし、腫瘍サイズを定量し、腫瘍-関連した罹患率の証拠を記録した。全ての動物に関連した実験は、国立癌研究所(NCRI)及びイタリア厚生省(IMH)が検証しかつ承認されている。
(6.1.4 生体分布及び薬物動態試験)
同所性に移植されたNB腫瘍(平均容積約100 mm3)を有するSCIDマウスに、リポソーム表面にカップリングしたNGRペプチドを伴う又は伴わない、リポソームの単回用量(0.5μmol PL/マウス)を、尾静脈を介して注射した。このリポソームは、脂質トレーサー[3H]CHEを約3x105cpm含んでいた。注射後選択された時点(2、12、24時間)で、マウス(3匹マウス/群)に麻酔をかけ、頸部脱臼により屠殺した。血液試料(100μl)を、心臓穿刺により採取し、かつPackardβ線-カウンターにおいて3H標識物をカウントした。血液の補正因子を、全ての試料に適用した(Pastorinoの論文参照、前掲)。生体分布を、先に説明されたように決定した(Moreira, J.N.らの論文、Biochim、Biaphys Acta、1514, 303-17 (2001))。データは、注射された投与量/g組織の百分率として表した。
(6.1.5 組織学的分析)
パラフィン-包埋した組織切片(5μm)を、Mayerのヘマトキシリン・エオシン染色(Sigma Chemical Co.、セントルイス、MO)による可視化後、試験した。内皮細胞マーカー、第VIII因子(M616、Dako、Glostrup、デンマーク)及び抗-ヒトN33(NB84a, Dako)に対するモノクローナル抗体を使用した。簡単に述べると、切片を、3-アミノ-プロピルトリエトキシシランで被覆されたスライド上に収集し、キシレン-エタノールの順でパラフィン除去し、TRIS-緩衝した生理食塩水(TBS、pH7.6)を溶媒とする段階的なエタノール中で再水和し、事前にFicin(Sigma)による酵素消化により回収(retrieval)した後、M616(TBS中1:25)又はNB84a(1:40)と共に、4℃で一晩インキュベーションした。この免疫反応は、色素団としてファストレッドを用い、ストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ複合体(LSAB2, Dako)により行った。
TUNEL(すなわち、ターミナルデオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ仲介末端標識)染色は、市販のアポトーシス検出キット(In situ Cell Death Detection、POD;Roche Molecular Biochemicals、マンハイム、独国)を製造業者の指示に従い用いて行った。
(6.1.6 微小血管面積の決定)
ふたりの研究者が、コンピュータによる画像解析システム(Leica Quantimet
5000、Wetzlar、独国)を用い、微小血管面積を同時に評価した。1試料につき各々3切片(9個の連続切片において3番目毎の切片)のほぼ全体をおおう、4〜6種の250xの倍率視野を、接眼レンズに挿入された484-交差点正方形細網(intersection-point square reticulum)(12.5x102/mm2)により試験した。第VIII因子で染まった血管全てからの、微小血管、すなわち毛細血管及び小さい細静脈の選択は慎重に行った。これらは、管腔(直径3〜10μmの範囲)を伴う又は伴わない、単層の内皮細胞を伴う、横方向に切断された管として同定した。微小血管は、細網点(reticulum point)を占拠している横方向に切断された微小血管のみをカウントする、平面点カウント法をわずかに改変し、計測した。微小血管直径は、隣接点間の距離よりも小さいので、ただ1個の横方向に切片化された微小血管が所定の点を占拠することができる。これらの点の外側の横方向に切断された微小血管並びに縦方向及び接線方向に切断されたものは、除外した。従って所定の微小血管は、例えその切片平面で複数存在したとしても、1回だけカウントされることは、十分に確かである。1試料につき3個の隣接しない切片の各々のほぼ全体の切片が分析され、並びに横方向に切断された微小血管は無作為に交差点をヒットするので、この方法は客観的カウントをもたらす。
(6.1.7 In vivo治療薬試験)
マウスの左副腎に、2.5x106個のSH-SY5Y細胞を、同所性に注射した。腫瘍を、21日間成長させ、その後静脈内DXR治療(遊離の又は標的化したもしくは標的化していないリポソーム内に封入された)を、異なるDXR投与量で、3週間にわたり毎週開始した(「説明文」及び「結果」の項参照)。異なる時点で、マウスを屠殺し、腫瘍をキャリパーにより測定した。腫瘍容積を、式π/6 [w1 x (w2)2]により算出した(式中、w1は最大腫瘍直径を表し、及びw2は最小腫瘍直径を表す。)。動物の体重及び全身の生理的状態は毎日記録し、マウスは、腫瘍が1000〜1200 mm3に達した場合には、屠殺した。全ての組織について、顕微鏡による転移の組織学的評価を行った。臓器は、中性に緩衝した10%ホルマリン中で固定し、標準的方法で処理し、パラフィンに包埋し、5μm切片とし、免疫組織化学(IHC)のために染色しかつヘマトキシリン・エオシンで対比染色した。腫瘍負荷に起因した質量を、各腫瘍を有する臓器から正常な臓器の湿量を減算することにより、算出した。一部の実験において、マウスは体重減少について日常的にモニタリングし、かつ治療効能を決定するために、生存期間を主要な判定基準として使用した。全てのin vivo実験は、少なくとも3回行い、同様の結果を得た。
(6.1.8 統計学的方法)
実験群と対照の間の異なる知見の統計学的有意性は、スチューデントt-検定により決定し、両側P値が<0.05である場合に有意であるとみなした。Petoのログランク検定は、StatsDirect統計ソフトウェア(CamCode, アッシュウェル, UK)を使用することにより、生存実験における実験群間の差異の有意性を決定した。
(6.2 結果)
(6.2.1 NCR-標的化したリポソームの特徴決定及びin vitroにおける内皮細胞への結合)
リポソームは、典型的には直径90〜115 nmであり、リポソームのDXR封入効率はおよそ95%である。全てのリポソーム製剤は、PBS中で最低の漏出を示し、24時間インキュベーションした後、封入したDXRの>90%を保持していた。本発明者らの先のデータから予想されるように(Lopez D.M.らの論文、J Liposome Res、9 199-228 (1999);Pastorino, F.らの論文、前掲)、漏出実験を25%ヒト血漿中で行った場合は、リポソームは、24時間で、緩徐なDXR漏出(12%)を示した。標的化ドメインに関して、本発明者らは、腫瘍-関連した血管により選択的に発現されたCD13アイソフォームに結合するNG31モチーフを使用し(Curnis, F.らの論文、Cancer Res、62, 867-74 (2002);Colombo, G.らの論文、J Biol Chem、277, 47891-7 (2002))、CD13アイソフォームについてはインターナリゼーションが証明されている(Arapの論文、前掲;Ellerby, H.M.らの論文、Nat Med、5, 1032-8 (1999))。NGRペプチドへの平均カップリング効率55%(95%C.I.=50〜60%)を得、これはペプチド密度7〜8μgペプチド/μmリン脂質を生じた。
NGR-標的化したリポソームDXR(NGR-SL[DXR])の特異性を評価するために、本発明者らは、それらが内皮細胞のようにNGR標的化ペプチドに結合する(Arapの論文、前掲;Ellerby, H.M.らの論文、Nat Med、5, 1032-8 (1999))という理由で、カポジ肉腫由来のKS1767細胞を使用した。対照として、THP-1(急性単球性白血病)細胞株を使用したが、その理由はこれは、NGRペプチドに結合しないからである(Curnis, F.らの論文、Cancer Res、62, 867-74 (2002))。FACS分析は、WM15(CD13に特異的なモノクローナル抗体)は、THP-1及びKS1767細胞の両方に結合したことを示した(各々、図1a及び1d)。対照的に、NGR-SL[DXR]は、KS1767細胞へ結合することができた(図1e及び差込図)が、THP-1細胞はできず(図1b及び差込図)、従ってCD13分子内の異なるアイソフォームの存在を示す先の結果を確認した(Curnis, F.らの論文、Cancer Res、62, 867-74 (2002))。注目点として、WM-15もNGR-SL[DXR]も、SH-SY5Y NB細胞には結合しなかった(図1g及び1h)。更に本発明者らのリポソーム製剤の結合の選択性を確認するために、本発明者らは、標的化部分としてミスマッチのペプチドARAを使用した。この場合ARA-SL[DXR]は、いずれの細胞株にも結合しなかった(図1c、1f及び1i)。
(6.2.2 生物学的に関連した同所性神経芽細胞腫異種移植片モデル)
神経芽細胞腫の治療におけるNGR-標的化したリポソームの臨床の可能性のより現実的な検証は、小児における進行したNBの増殖をより良く反映した腫瘍モデル(すなわち、巨大な副腎腫瘍及び多発性の小さい転移病巣)が入手できる場合に得られる。全ての現在のデータは、この概念を裏付けており、レシピエント動物における腫瘍細胞の同所性移植は、腫瘍の進行、血管新生、浸潤及び転移の試験にとって義務的であることを推奨している(Chambers, A.F.らの論文、Nat Rev Cancer、2, 563-72 (2002))。
NBのよく特徴付けられた、関連した高度に再現性のある血管新生、及び転移性の同所性モデルを提供するために、先に説明されたヒトNB細胞株(Ponzoniの論文、前掲)並びに報告された動物モデル(Engler, S.らの論文、Cancer Res、 61, 2968-73 (2001);Kharna, C.らの論文、In Vivo、16, 77-85 (2002))を基に5種の副腎NB異種移植片モデルを定義する試験を開始した。これらのデータ(示さず)から、注射後2〜3週間に、副腎腫瘍が常に全ての動物において認められたので、更なる研究のためにマウスにおけるSH-SY5Y細胞の副腎内注射を使用することを決定した(図2a)。SH-SY5Y細胞の同所性注射は、高度に血管化している固形副腎腫瘍、周囲組織への局所的浸潤、及び遠位部への転移を生じたので、このモデルは、ヒトNBの定型的増殖パターンを最も良く反映していた。実際、注射後3〜4週間で、巨視的転移が常に対側の副腎(図2b及び2c)並びに肝臓(図2d)において生じる一方で、微視的転移は、卵巣(図20)、右腎臓(図2g)、肝臓(図2h)、及び肺(図2i)において頻繁に出現した。
(6.2.3 NGR-標的化したリポソームの薬物動態及び生体分布のプロフィール)
先に示されたように(Gabizon, A.らの論文、Cancer Res、54, 987-92 (1994))、小型のリポソームが固形腫瘍部位への接近を得るには、長い循環時間が必要である。従って、[3H]-CHE-標識したSL及びNGR-SLの薬物動態(PK)及び生体分布(BD)を、SCIDマウスの同所NBの異種移植モデルにおいて評価した。PK試験の結果は、血液中に残存する脂質の投与された用量の百分率として表している。これらの知見は、NGRペプチドにカップリングしたリポソームは、血液中での長期循環プロフィールを有し、これは標的化していないSLで得られたものとほぼ同じであることを明確に指摘している(図3a)。リポソームのBDは、注射後2、12及び24時間で評価した。全ての時点で、標的化したリポソームの脾臓の取込みは、SLのそれよりも、約10〜20倍高かった。肝臓を除き、他の組織において生じたSL対NGR-SLの取込みの間に差異はなく、他の臓器への取込みは非常に低かった(下記表1)。標的化した及び標的化していないリポソームの腫瘍蓄積も評価した。NGR-SLによる腫瘍への取込みは、時間依存型であり、24時間後にSLのものよりも少なくとも10〜20倍高かった(図3b)。ARA-SLで処置したマウスの腫瘍への取込みは認められなかった(図3b及び3f)。
Figure 2006528954
(6.2 4 腫瘍血管構造のホーミング)
NGR-標的化したリポソームがDXRを血管新生腫瘍-関連した血管へ送達するかどうかを決定するために、NGR-SL[DXR]を、確立された副腎腫瘍を有するマウスの尾静脈に注射した。ひとつの実験セットにおいて、リポソームは、2〜24時間循環することが可能であり、それに続き灌流及び迅速な組織回収を行った。腫瘍血管構造中のDXRの明確な時間依存型の取込みが存在した(図3c、3d及び3e)。24時間後の染色パターンは、DXRは、血管の外側及び腫瘍の内部に拡散したことを示した。この拡散は、完全なリポソームに対する腫瘍血管の増大した透過性(Jain, R.K.の論文、Science、271, 1079-80 (1996))、又はファージの取込みについて説明されている(Arapの論文、前掲)ような、血管新生内皮細胞による標的化されたリポソームの取込み及びそれに続く腫瘍細胞への移動が原因であろう。これは恐らく両方の機構が、同時に作用しているであろう。第二の実験セットにおいて、組織は、NGR-SL[DXR]又はARA-SL[DXR]の注射後16時間で試験した。腫瘍血管構造内の強力なDXR染色が、NGRリポソームで処置した動物においてのみ認められた(図3g対図3f)。この時点で、最低のDXR染色が、脾臓及び肝臓において観察され、心臓、肺、腎臓及び脳においては発現が検出されなかった(データは示さず)。マウスに50-倍モル過剰な可溶性NGRペプチドと同時注射した場合には、腫瘍-特異性DXR取込みは完全にブロックされた(図3h)。
(6.2.5 In vivo治療薬試験)
リポソームの腫瘍血管構造へのホーミングを使用し、化学療法薬DXRの治療指数を改善することができるかどうかを決定するために、SH-SY5Y細胞を、SCIDマウスの左副腎に注射し、21日間成長させ、その時点でこれらは約200 mm3のサイズに達した。ヒト腫瘍異種移植片を伴うSCIDマウスにおいて通常使用されるDXR投与量は、3〜4週間にわたり1〜3 mg/kg/週であった(Moase, E.H.らの論文、Biochim Biophys Acta、1510, 43-55 (2001);Zhangらの論文、前掲)。リポソームのDXRは遊離薬物よりもより効果的でありかつより毒性が低いと予想されるので、本発明者らは最初に、確立された腫瘍を持つマウスを3週間にわたり週1回異なる用量のDXRで処置し、その後長期間観察する、用量-漸増試験を行った。2 mg/kg/週で処置した腫瘍を持つマウスは、対照マウスよりもより長く生存し、その全ては広範囲に広がった疾患により死亡した(図4a、ログランク検定、P<0.001、並びに図4b、4c及び4d)。しかし1日3回4及び8 mg/kg/週で処置したマウスは全て、各々、第3回目と第2回目の薬物投与の間の48時間以内に死亡したので、より高い用量は毒性があった。従ってこの投薬スケジュールに関して、SCIDマウスにおける標的化したリポソームのDXRの最大耐量(MTD)は、6〜12 mgであった。
NGR-SL[DXR]の腫瘍細胞生存に対する影響を評価するために、3回目の処置の24時間後に腫瘍から採取した凍結切片を染色し、低倍率及び中倍率で試験し、血管及び周辺腫瘍実質の両方を評価した。36日目に摘出した腫瘍の組織学的分析は、マウスのNGR-SL[DXR]の2 mg/kg/週x3回の処置後に、著しく減少した血管密度を伴う、腫瘍血管構造の突出した破壊を明らかにした(図4g)。TUNEL及び抗-第VIII因子抗体又は抗-ヒトNBによる腫瘍の二重染色は、各々、血管構造における内皮細胞アポトーシス(図4i)に加え、増加した腫瘍細胞アポトーシス(図4o)を明らかにした。興味深いことに、NGR-SL[DXR]により誘導されたアポトーシスは、腫瘍組織においてのみ顕著であり;同様の処置は、心臓、肺、腎臓、肝臓及び脾臓などの正常組織において観察可能なアポトーシスを生じなかった(データは示さず)。
更にこの治療の治療効能を試験するために、本発明者らは、確立された200 mm3のSH-SY5Y副腎腫瘍を持つマウスを3群へ無作為に分類し、各群を、HEPES緩衝液(未処置対照)、又はNGR-SLもしくはARA-SL内に封入されたDXRの3 mg/kgの、連続3週間にわたる毎週の尾静脈への注射により処置した。HEPES緩衝液又はARA-SL[DXR]を注射したマウスは、巨大な腫瘍(1100〜1200 mm3)を形成し、その結果42日目に安楽死させた(図5a)。対照的に、NGR-SL[DXR]を注射したマウスは、急激な腫瘍縮退を示した(図5a)。3回目の処置の1日後、6匹のマウス中4匹は、腫瘍の証拠を示さず、残りの2匹は、腫瘍塊の>80%の縮退及び血管密度の>90%の抑制を示した(図5a差込図、P<0.01)。これらの知見は、血管へのDXRのアミノペプチダーゼN-標的化した送達は、血管新生内皮細胞のアポトーシスを促進するその能力のために、腫瘍縮退を引き起こしたことを明らかにしている。
本療法の確立された転移に対する作用も試験した。HEPES緩衝液又はARA-SL[DXR]により処置された対照マウスは、肝臓及び右腎臓において過度の腫瘍負荷を示した(図5b及び5c)。対照的に、NGR-SL[DXR]で処置したマウスは、肝臓又は腎臓の湿質量の有意な減少により明らかにされるような、可視できる腫瘍転移をほとんど又は全く示さなかった(図5b及び5c;P<0.01)。
最後に、NGR-SL[DXR]は、化学療法薬の連続低用量投与(化学療法の抗-血管新生スケジュール)を模倣する持続放出システムとして機能するかどうかを試験するために(Browderの論文、前掲;Klementの論文、前掲)、遊離又はNGR-標的化したリポソームへ封入された(1 mg/kg/2日おきx9回)のいずれかのより頻繁な低用量のDXR投与を3 mg/kg/週x3回の標準の投薬スケジュールと比較した。いずれかのスケジュールで与えられたリポソームDXRで処置した全ての動物において検出不可能なレベルに腫瘍が退縮し、及び観察された腫瘍成長の阻害が、低用量のより頻繁なスケジュールにより処置された8匹のマウス中4匹において、又は高用量の頻繁でないスケジュールにより処置された8匹のマウス中3匹において、各々4ヶ月よりも長く維持された。持続放出製剤について予想されたように、いずれのリポソーム薬物のスケジュール間でも、有意差は生じなかった。しかし、標準又はメトロノーム方式のスケジュールのいずれかによる、NGR-SL[DXR]リポソームは、対照動物又は遊離DXRで処置したマウスと比べて、長期生存(LTS)の有意な改善を示した(各々、P<0.0001、及びP=0.0002)(図5d)。実際に、遊離DXRの標準又はメトロノーム方式の投薬の治療作用の欠如及び標的化していないSL[DXR]の非常に軽度の作用を考慮し、NGR-SL[DXR]治療により処置した動物の治療的改善は、劇的かつ予想外の両方であった。
(6.3 考察)
NGR-標的化したリポソームは、腫瘍細胞(これはCD13受容体を欠いている)に結合するとは予想されないが、これらは受動的に、腫瘍間質腔に標的化された。これは恐らく、NGR-SL[DXR]は腫瘍の血管構造内皮細胞を死滅し始め、このことは腫瘍の血管透過性の増大につながるので、NGR-SL[DXR]について増加した受動的標的化が生じるのであろう。本発明者らは、このNGRリポソームの受動的標的化は、腫瘍周辺に存在しかつ腫瘍血管構造とは無関係の細胞に対する細胞傷害性を含む、直接の腫瘍細胞死を生じると考えている。これらの血管構造と無関係の細胞は、抗-血管新生療法後の疾患再発の原因となり得る(Huangの論文、前掲)。
前述の結果は、NGR-標的化したリポソームのDXRは、腫瘍血管構造と選択的に相互作用することを示している。様々なCD13アイソフォームが存在し、かつNGRドメインは、腫瘍血管と関連したCD13アイソフォームを選択的に認識する(Curnis, F.らの論文、J Clin Invest、110, 475-82 (2002))。NGR-標的化したリポソームは、高-アビディティの多価結合のために、CD13-陽性内皮細胞と迅速に相互作用すること、並びにこれらは、低-アビディティのために、正常血管のCD13-陰性内皮細胞とはほとんど又は全く相互作用しないことが考えられ、このことは構築体NGR-腫瘍壊死因子で得られた先の知見を確認している(Curnis, F.らの論文、J Clin Invest、110, 475-82 (2002))。本発明は、DXRのNGR-標的化したリポソーム製剤による治療は、血管形成を阻害し、その結果腫瘍容積及び質量を低下したことを示している。同所性神経芽細胞腫の腫瘍のIHC分析は、腫瘍細胞及び腫瘍関連内皮細胞のアポトーシスの関連した増加を伴う、微小血管密度の有意な減少を明らかにした。実際、内皮細胞の第VIII因子及びTUNELに対する抗体による二重染色は、微小血管密度の低下は、内皮細胞の突出したアポトーシスの増加が原因であることを示唆した。腫瘍細胞に加え腫瘍内皮細胞に関連したDXRの有意な量の出現は、腫瘍内皮細胞の破壊が、血管透過性を増加し、これは次により多くのNGR-SL[DXR]が腫瘍間質腔に滲出する(すなわち、受動的標的化)ことを可能にし、直接の腫瘍細胞死滅につながることを示唆している。
試験はマウスモデルにおいて行ったが、NGRモチーフは更にヒト血管構造を標的化することも予想され、その理由は、NGRファージはヒト腫瘍の血管に結合することが示されているからである(Arapの論文、前掲)。従ってこのペプチドは、患者における腫瘍-標的化に適している可能性がある。本発明は、血管構造を標的化する他の標的化ドメインと共に使用されてもよい。
結論として、罹患した臓器の血管構造の標的化は、悪性疾患の治療のための新規薬学的手法の基本であることができる。この治療は、疾患部位に特異的に局在化された血管及び腫瘍細胞それら自身の両方へと、メトロノーム方式で、細胞傷害性物質を送達するという製剤の利点がある。これは、効能を向上しかつ副作用を低下するはずである。この方法は、炎症状態を含む、血管新生剤、血管退化剤及び抗-血管新生剤の送達が必要な状態の治療においても使用することができる。
(7. 均等物)
当業者は、本願明細書において説明された本発明の具体的態様との多くの均等物を認めるか、又はただの慣習的実験を用い確かめることができるであろう。このような均等物は、添付された「特許請求の範囲」に包含されることが意図されている。更に本発明の原理は、本発明の具体的態様である、添付された独立クレーム又は従属クレームに制限されない。
本願明細書において言及された全ての刊行物、特許及び特許出願は、個別の刊行物、特許及び特許出願が各々具体的かつ個別に本願明細書に参照として組入れられていることが指摘されるのと同等に、本願明細書に参照として組入れられている。
本願明細書の参考文献の引用又は考察は、それらが本発明の先行技術であることを承認するものとしては構築されてはいない。
(4.図面)
図1a-1iは、THP-1細胞(図1a-1c)、KS1767細胞(図1d-1f)、及びSH-SY5Y細胞(図1g-1i)における、NGR標的化したリポソームの細胞会合を、フローサイトメトリーにより分析した。細胞は、WM15モノクローナル抗体(図1a、1d、1g)、NGR-SL[DXR](図1b、1e、1h)、又はARA-SL[DXR](図1c、1f、1i)と共にインキュベーションした。洗浄後、WM15で処理した細胞を、ヤギ抗-マウスFITC二次抗体と共にインキュベーションし、その後FACSにより分析した(図1a、1d、1g:細い線、WM15;太い線、なし)。リポソームDXRで処理した細胞は洗浄し、FACSにより直接数えた(図1b、1c、1e、1f、1h、1i:細い線、標的化したリポソーム;太い線、標的化していないリポソーム)。図1b、1e、及び1hの差込図において、細胞は、蛍光顕微鏡によりDXR蛍光を評価した。
図2a-2hは、SCIDマウスにおける同所神経芽細胞腫異種移植片モデルである。屠殺前に、14(図2a)及び21(図 2b)日間SH-SY5Y細胞を同所性に注射されたマウスの副腎腫瘍(矢印)。NB細胞の注射後、各々、3及び4週間での、代表的右副腎(図2c)及び肝臓(図2d)試料。代表的卵巣(図2e)、腎臓(図2f)、肝臓(図2g)、及び肺(図2h)試料の組織学的(H&E)分析。細胞注射の40日後、動物は屠殺し、臓器を摘出し、固定し、パラフィンに包埋し、5μm切片とし、H&Eで調べた(mined)。矢印は、肺の転移性腫瘍浸潤を示している。矢頭は、腫瘍NB細胞により取り囲まれた正常な卵巣濾胞構造を示している。倍率x10(差込図、x63)。
図3a-3h。図3aは、SCIDマウスにおける標的化していない及びNGR-標的化したリポソームの血液クリアランス動態を示す。リポソームは、脂質トレーサー[3H]-CHEで標識し、単回ボーラス投与量(0.5μm PL/マウス)をi.v.投与した。処置群は、NGR-SL(●)及びSL(○)からなる。注射後様々な時点で、血液を採取し、3H標識物を計測した。各点は、3匹のマウスの平均±S.D.を表している。図3bは、同所性にNB細胞[3H]-標識したリポソームを注射したSCIDマウスにおける、NGR-標的化したリポソームの腫瘍蓄積を示し、標的化していない(斜線付きバー)、ARA-標的化した(白色バー)又はNGR-標的化した(斜交平行線付きバー)のいずれかを、単回ボーラス投与量として尾静脈から注射した。2、12及び24時間後、腫瘍を収集し、3H標識物を計測した。結果は、cpm/mg組織として表した。各点は、3匹のマウスの平均(±S.D.)を表している。NGR-標的化したリポソームDXRのマウスの腫瘍蓄積は、図3bのように、NGR-SL[DXR]により処理した。2時間(図3c)、12時間(図3d)、及び24時間(図3e)後、腫瘍を収集し、固定し、パラフィン包埋した組織切片の蛍光顕微鏡によりDXRを目視した。あるいは、マウスには、対照ARA-SL[DXR](図3f)、NGR-SL[DXR](図3g)をいずれか単独で注射するか、又は50-倍過剰の可溶性NGRペプチド(図3h)と共に注射した。倍率x40。
図4a-4mは、in vivoにおけるNGR-標的化したリポソームDXRの抗-腫瘍作用を示す。図4aは、NGR-SL[DXR]の腫瘍を持つマウスの生存に対する用量-依存式の作用を示す。処置群(n=8/群)は、HEPES緩衝液(対照、□)、NGR-SL[DXR]8mg/kg(○)、4mg/kg(△)、2mg/kg(x)、及び1mg/kg(+)からなる。マウスは、0日目に副腎へのSH-SY5X細胞の注射を受け取り、並びに接種後21、28及び35日間様々な治療を受け取った。マウスは接種し、パネルaにあるように処置し、その後36日目に写真撮影した:図4b、対照;図4c、1mg/kg/週で処置;図4d、2mg/kg/週で処置。図4e-4m、IHC分析。腫瘍はパネルaにあるように36日目に、対照マウス(図4e、4h、4k)、及び1mg/kg/週で処置したマウス(図4f、4i、4l)又は2mg/kg/週で処置したマウス(図4g、4l、4m)から摘出した。組織切片を、第VIII因子の発現(血管を示すため、図4e、4f、4g;倍率x10)、又は第VIII因子の二重標識(内皮細胞)、及びTUNEL(アポトーシス)について(図4h、4i、4j)、又はNB84a及びTUNELの二重標識について(NB細胞)(図4k、4l、4m)について免疫標識した。赤色、第VIII因子+内皮細胞又はNB84a+神経芽細胞腫細胞;緑色、TUNEL+細胞;黄色、TUNEL+-第VIII因子+又は-NB84a+細胞の同時局在。図4h-4m、倍率x40。
図5a-5dは、DXRの腫瘍血管への送達が、血管新生を阻害し、確立されたNB腫瘍の縮退を引き起こす事を示している。図5aは、左副腎にNB細胞が同所性に移植されたSCIDマウスは、サイズ〜200mm3の腫瘍の形成が可能であり、その後図4のように3mg DXR/kg/週が静脈内注射された。Txは処置開始時。(●)HEPES緩衝液対照;(○)ARA-SL[DXR];(▼)NGRSL[DXR]。各点は、6回の繰返しの平均±S.D.を表している。(差し込み図)対照群及びDXR-処置群からの36日目の同所性腫瘍を、切片とし、第VIII因子に対する抗体で染色し、血管を計測した。各バーは、5回の繰返しの平均±S.D.を表している。マウスは前述のように処置し、36日目に、臓器(肝臓、図1b;腎臓、図1c)を摘出し、秤量した。各バーは、6匹のマウスの平均±S.D.を表している。(アスタリスク、P<0.01)。NGR-SL[DXR]の処置の様々なスケジュールの寿命に対する作用。処置群(n=8/群)は以下からなる: HEPES緩衝液(対照、□);21、28及び35日目に3mg/kgで処置した、遊離DXR(△)、又はNGR-SL[DXR](+); 21日目に開始し、更に2日おきに、1mg/kgで処置し、合計9回注射した遊離DXR(○)又はNGR-SL[DXR](x)。

Claims (33)

  1. 封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含む、腫瘍-標的化した薬物送達システムであって、該封入式送達ビヒクルは治療薬を含み、ここで該送達システムは、他の非経口薬物送達システムと比べ、腫瘍へ治療薬を少なくとも0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍の増加した量で送達することが可能である、前記腫瘍-標的化した薬物送達システム。
  2. 治療薬を腫瘍へ送達する腫瘍-標的化した薬物送達システムであって、該システムは封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含み、該封入式送達ビヒクルは該治療薬を含み、ここで該腫瘍は、他の非経口薬物送達システムと比べ、少なくとも2〜5時間、5〜10時間、10〜12時間、12〜24時間、24〜36時間、36〜48時間、3〜5日間、5〜7日間、又は1〜3週間の期間にわたり、少なくとも2〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、又は90〜99%増加した量の治療薬に曝される、前記腫瘍-標的化した送達システム。
  3. 前記NGR-含有分子が、NGRAHA、GNGRG、CNGRC、CNGRCVSGCAGRC、CVLNGRMEC、又はGNGRGGVRSSSRTPSDKYCである、請求項1又は2記載の送達システム。
  4. 前記腫瘍が、乳房腫瘍、肺腫瘍、結腸癌、メラノーマ、神経芽細胞腫、カポジ肉腫、腎臓腫瘍、又は卵巣腫瘍である、請求項1又は2記載の送達システム。
  5. 前記送達ビヒクルが、リポソーム、ミセル、脂質ミセル、ミクロスフェア、ナノスフェア、多室マイクロデバイス、エマルション、脂質ディスク、ポリマー、細胞、ウイルス粒子又はウイルスである、請求項1又は2記載の送達システム。
  6. 前記リポソームが、アミノ-ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン、メトキシ-ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン、マレイミド-ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン、N-メチルパルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、水素化されたダイズホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジフィタノイルホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、コレステロール、それらの誘導体、又はそれらの組合せを含む、請求項5記載の送達システム。
  7. 前記NGR-含有分子が、連結剤を介して封入式送達ビヒクルに連結されている、請求項1又は2記載の送達システム。
  8. 前記治療薬が、抗-炎症薬、抗-血管新生薬、プロ-血管新生薬、又は血管退化薬である、請求項1又は2記載の送達システム。
  9. 前記治療薬が、細胞傷害性物質である、請求項1又は2記載の送達システム。
  10. 前記治療薬が、癌化学療法薬である、請求項1又は2記載の送達システム。
  11. 前記治療薬が、遺伝的物質である、請求項1又は2記載の送達システム。
  12. 前記癌化学療法薬が、微小管インヒビターである、請求項10記載の送達システム。
  13. 前記癌化学療法薬が、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ミトキサトロン、カリケアミシン、イレッサ又はグリベックである、請求項10記載の送達システム。
  14. 請求項1又は2記載の送達システム、及び任意に医薬として許容できる賦形剤を含有する、医薬組成物。
  15. 対象へ有効量の請求項1又は2記載の送達システムを投与する事を含む、癌の治療又は予防の方法。
  16. 前記有効量が、最大で1週間、2〜4週間、4〜6週間、又は6〜8週間毎に1回の頻度で、最大で0.005〜0.01 mg/kg、0.01〜0.05 mg/kg、0.05〜O.1 mg/kg、0.1〜0.2 mg/kg、0.2〜0.5 mg/kg、0.5〜1 mg/kg、1〜1.5 mg/kg、1.5〜2 mg/kgである、請求項15記載の方法。
  17. 前記癌が、乳癌、肺癌、結腸癌、メラノーマ、神経芽細胞腫、カポジ肉腫、腎臓癌、又は卵巣癌である、請求項15記載の方法。
  18. 腫瘍へ治療薬を送達する方法であって、ここで該方法は、封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含む腫瘍-標的化した薬物送達システムを対象へ投与することを含み、該封入式送達ビヒクルは治療薬を含み、ここで該送達システムは、他の非経口薬物送達システムと比べ、治療薬を少なくとも0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍の増加した量で腫瘍へ送達することが可能である、前記方法。
  19. 治療薬を腫瘍へ送達する方法であって、ここで該方法は、対象へ封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含む腫瘍-標的化した薬物の送達システムを投与することを含み、該封入式送達ビヒクルは、該治療薬を含み、ここで該腫瘍は、他の非経口薬物送達システムと比べ、少なくとも2〜5時間、5〜10時間、10〜12時間、12〜24時間、24〜36時間、36〜48時間、3〜5日間、5〜7日間、又は1〜3週間の期間にわたり、少なくとも2〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、又は90〜99%増加した量の治療薬に曝される、前記方法。
  20. 前記NGR-含有分子が、NGRAHA、GNGRG、CNGRC、CNGRCVSGCAGRC、CVLNGRMEC、又はGNGRGGVRSSSRTPSDKYCである、請求項18又は19記載の方法。
  21. 前記腫瘍が、乳房腫瘍、肺腫瘍、結腸癌、メラノーマ、神経芽細胞腫、腎臓腫瘍、又はカポジ肉腫である、請求項18又は19記載の方法。
  22. 前記送達ビヒクルが、リポソーム、ミセル、脂質ミセル、ミクロスフェア、ナノスフェア、多室マイクロデバイス、エマルション、脂質ディスク、ポリマー、細胞、ウイルス粒子又はウイルスである、請求項18又は19記載の方法。
  23. 前記リポソームが、アミノ-ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン、メトキシ-ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン、マレイミド-ポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン、N-メチルパルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、水素化されたダイズホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジフィタノイルホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、コレステロール、それらの誘導体、又はそれらの組合せを含む、請求項22記載の方法。
  24. 前記NGR-含有分子が、連結剤を介して封入式送達ビヒクルに連結されている、請求項18又は19記載の方法。
  25. 前記治療薬が、細胞傷害性物質である、請求項18又は19記載の方法。
  26. 前記治療薬が、癌化学療法薬である、請求項18又は19記載の方法。
  27. 前記癌化学療法薬が、微小管インヒビター、抗-炎症薬、抗-血管新生薬、プロ-血管新生薬、又は血管退化薬である、請求項26記載の方法。
  28. 前記治療薬が、遺伝的物質である、請求項18又は19記載の方法。
  29. 前記癌化学療法薬が、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ミトキサトロン、カリケアミシン、イレッサ又はグリベックである、請求項26記載の方法。
  30. 前記NGR-含有分子が、リポソーム上のマレイミド部分へチオールを介してリポソームに連結された配列GNGRGGVRSSSRTPSDKYCを含み、該治療薬はドキソルビシンを含む、請求項1記載の腫瘍-標的化した薬物送達システム。
  31. 対象へ、封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含むシステムを有効量投与することを含む、該対象の炎症状態を治療する方法であって、該封入式送達ビヒクルは、治療薬を含み、ここで該送達システムは、他の非経口薬物送達システムと比べ、標的細胞へ治療薬を少なくとも0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍の増加した量で送達することが可能である、前記方法。
  32. 対象へ封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含むシステムを有効量投与することを含む、該対象の血管新生状態を治療する方法であって、該封入式送達ビヒクルは、治療薬を含み、該封入式送達システムは、他の非経口薬物送達システムと比べ、標的細胞へ治療薬を少なくとも0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍の増加した量で送達することが可能である、前記方法。
  33. 対象へ封入式送達ビヒクルに連結されたNGR-含有分子を含むシステムを有効量投与することを含む、該対象の心臓状態を治療する方法であって、該封入式送達ビヒクルは、治療薬を含み、ここで該送達システムは、他の非経口薬物送達システムと比べ、標的細胞へ治療薬を少なくとも0.5〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜15倍、15〜20倍、20〜30倍、又は30〜40倍の増加した量で送達することが可能である、前記方法。
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