JP2006527469A - シート状のターゲット材を用いたプラズマによるx線発生 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマによるX線発生を改善する。
【解決手段】減圧チャンバ(20)内でターゲット材(50)を自由な流動構造体(51)の形状で提供する工程と、プラズマ状態を生成して、そのプラズマ(状態)からX線が放射されるようにするためにターゲット材(50)に照射する工程を用いた、プラズマによるX線発生方法を開示する。この流動構造体(51)は、ターゲット材が少なくとも照射の位置において局所的に曲率の最小値を持った表面(52)を有するように形成される。また本方法を実施するための装置、具体的にはプラズマによるX線発生のためのX線源も開示される。

Description

本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有するプラズマによるX線発生方法と、請求項22の前提部分の特徴を有するプラズマによるX線発生のためのX線源と、液状のターゲット材を減圧チャンバ内に投入する方法に関する。
X線源を用いたX線発生は公知であり、このX線発生ではターゲット材が高エネルギーの照射(例えばレーザ照射)によってプラズマ状態に変換される。また試料を特定すると、蛍光X線が放射される。初期の開発は固体のシート形状をなすターゲット材を用いて行われた。しかしながら、固体のターゲット材は、比較的高い質量密度を有しており、そのため、プラズマ励起中に比較的多量の試料も放出され、このことは実用上不都合であった。一方で、液体で液滴形状をなすターゲット材を用いた改良がなされている。例えば、欧州特許第186491号(特許文献1)によれば、圧電式の液滴供給器を有する真空化したチャンバ内で、一連の液滴が生成され、液滴のそれぞれがレーザ照射によってプラズマ状態に変換される。プラズマ状態から得られる軟X線は、チャンバの窓を通じて放出され、あるいは光学系で集光される。このような液状のターゲット材を用いることで研究開発の成果が得られた。しかしながら、これらのX線源は今日まで、個々の用途に応じて利用可否が決定されるとか、特別な予防措置で補償する必要があるといった一連の欠点を有してきた。
欧州特許第186401号(特許文献2)によるX線源は、液状のターゲット材として水銀を使用することに限定される。したがって、発生可能なX線は特定のスペクトル線に制限される。水銀に関する他の欠点は、その比較的高い蒸気圧であり、これが水銀を回収する時に問題を引き起こす。またチャンバ内で不純物を発生させることにもなる。さらに液体金属は、デリケートで極端にコスト集約的なX線光学系とは一般に相性が悪い。例えばフレネルゾーン式のX線顕微鏡法で標準となっている金を使う光学系に対して、この方法では水銀・アマルガム化合物が原因で損傷が発生することがある。一方、不純物を回避するために、ターゲット材として凍結水の結晶を利用することが米国特許第5459771号(特許文献3)において提案されている。しかしながらこの技術は、結晶の発生及びターゲット材の回収に要する装置技術面の出費が大きいという欠点がある。
さらに、特にX線リソグラフィに応用するために、液状のターゲット材が提案されてきた。液体の試料としてエタノールを使用することは、L.ライメル(L. Rymell)他、レビュー・オブ・サイエンティフィック・インスツルメンツ、第66巻、1995年、4916〜4920頁(L. Rymell et al., "Rev. Sci. Instrum" Volume 66, 1995, pages 4916-4920:非特許文献1)において説明されている。しかしながら、エタノールやその他のモノマーの液体が、プラズマ励起のせいでターゲットの分子が気相に近づき、デリケートな部品の表面に堆積してしまうという問題がある。堆積した分子は、発生されたX線によって分解されるが、アルコールの場合にはタール型の分解性生成物が発生し、この分解性生成物がX線源に対して、特に光学系の構造部品に好ましくない不純物として沈殿する。このような放射で誘導される分解物を低減するために、ガス噴霧を用いたシールド材が提供されている。しかしながら、これによって構造が複雑となるので好ましくない。一方、国際公開第97/40650号(特許文献4)によれば、ターゲット材として、エタノールに加えてアンモニア、水またはフッ素含有液体も使用される。国際公開第97/40650号は、従来の液状のターゲット材が有する他の一般的な欠点、すなわち低粘性ゆえに液滴の形成が難しいことに対処するために、薄いジェット(噴射体)の形態をなすターゲット材をX線源のチャンバ内に導入することを提案している。しかしながら、モノマーのターゲット材がこの技術でも使われており、放射により誘導される凝結物の分解物から上記と同様の問題が生じる。ターゲット材として水を利用することは、米国特許第6377651号(特許文献5)でも知られている。一方、窒素、二酸化炭素、クリプトンあるいはキセノンの利用が、米国特許第6324255号(特許文献6)で提案されている。
フッ化した炭化水素化合物(C)の利用は、L.マルムクビスト(L. Malmqvist)他、アプライド・フィジックス・レターズ、第68巻、1996年、2627〜2629頁(L. Malmqvist et al., "Appl. Phys. Lett.", Volume 68, 1996, pages 2627-2629:非特許文献2)において提案されている。これらはフッ素線(λ≒1〜2nm)の発生には良く適合しているものの、いくつかの欠点も有している。まず始めに、いわゆるパーフルオロ炭化水素は高い蒸気圧を有しており、この高い蒸気圧が液状のジェットの形成、並びにプラズマ励起に続くターゲット材の回収を困難にしている。例えば、0℃におけるパーフルオロペンタンの蒸気圧は既に0.3bar(バール)に達している。さらに、特にX線分光の範囲で応用する場合には、例えば炭素放出物の発生といった、より長波の発生が求められるところである。しかしながら、この目的のためには今日までターゲット材としてアルコール類が利用されてきた(ライメルら、上記を参照)。
従来のプラズマによるX線発生についての一般的な問題点は、プラズマ状態発生のためにターゲット材に照射する際の転換の実効性が低いことである。ターゲット材の原子質量が大きくなると、転換の実効性も大きくなるが、同時に、原子質量が大きくなると、ターゲット材を液状にすることがさらに困難となる。特に液状のターゲット材をプラズマ状態に変換する効率、すなわちプラズマ状態に励起されたターゲット材の原子または分子の、入射レーザ光のエネルギーに対する比率は、結果的に、比較的低いものである。例えば、B.A.M.ハンソンらは効率について極紫外光の発生が僅か0.75%であると述べている(プロシーディングズ・オブ・SPIE、第4688巻、2002年、102〜109頁(B.A.M. Hansson et al., "Proceedings of SPIE", Volume 4688, 2002, pages 102 to 109:非特許文献3))。
欧州特許第186491号公報 欧州特許第186401号公報 米国特許第5459771号公報 国際公開第97/40650号公報 米国特許第6377651号公報 米国特許第6324255号公報 L.ライメル他、レビュー・オブ・サイエンティフィック・インスツルメンツ、第66巻、1995年、4916〜4920頁 L.マルムクビスト他、アプライド・フィジックス・レターズ、第68巻、1996年、2627〜2629頁 B.A.M.ハンソン他、プロシーディングズ・オブ・SPIE、第4688巻、2002年、102〜109頁 G.テイラー、プロシーディングズ・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティ・A、第259巻、1〜17頁 レイリー、プロシーディングズ・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティ、第29巻、1879年、71〜97頁 K.R.ウィルソン、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・B、第105巻、2001年、3346〜3349頁
これまで、この効率を改善する目的で、入射レーザ光の集束を改良する努力がなされてきた。しかしながら、実用的な条件下では、今のところターゲット材がジェットの形態、又は液滴の形態(例えば10μm〜40μmの典型的な直径を有する)で得られるため、上記の集束は大きな問題であった。集束を促進するようジェットの直径を大きくすることは、減圧チャンバ内の真空状態にさらに大きな負荷を掛けることになる。これまで行われてきた減圧チャンバ内への試料の投入をできるだけ少なくしようとする努力、すなわちジェットあるいは液滴をできるだけ小さくしようとする努力は、プラズマ発生のためレーザ光を集束することをさらに困難にしている。
本発明の目的は、特にプラズマによるX線発生の改良された方法を提供することにある。これによって従来の技術の問題点が克服される。またこの方法は、特にプラズマ発生中すなわちX線発生中の効率を増大させること、及び減圧チャンバ内への定量又は低減された試料の投入によりプラズマ状態を発生させる外部照射の集束能力を簡素化した構成により発揮することを特徴とする。また、本発明の他の目的は、プラズマによるX線(特に軟X線又は極紫外線)の発生のために、改良された試料を提供することにある。この試料によって従来のターゲット材の欠点が克服でき、またこの試料は本発明による方法の実施に適している。これらのターゲット材は、特にターゲット材の回収に関する従来の問題を解決し、また不純物の生成を防止する。さらに、本発明の他の目的は、プラズマによるX線発生の改良された方法に適した、改良されたX線源を提供することでもある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
これらの目的は、請求項1及び22に係る特徴を有する方法並びにX線源によって達成される。本発明の好適な実施の形態及び応用例は、従属請求項によって達成される。
方法に関して説明すれば、本発明はプラズマによるX線発生の方法をさらに発展させる技術に関する一般的な教示に基づく。この方法においては、プラズマ状態の発生のために減圧チャンバ内で、ターゲット材が自由な流動構造体の状態で高エネルギーで照射される。この減圧チャンバ内でX線が放射され、種々の曲率半径を持つ表面を有する流動構造体が形成される。少なくとも照射の位置において、ターゲット材が局所的に曲率の最小値(曲率半径の局所的な最大値)を有する1つの表面を有する。こうしてターゲット材は、流動構造体が周囲の表面沿いに比較して緩やかな曲率を有しているか、あるいは表面の他の部分に対して均一に反対方向(負の方向)に湾曲した位置で照射される。このことは、流動構造体の断面形状が、従来実現されていた円形から偏向して、少なくとも一面で、延伸された形状、あるいは必要に応じて凹状の形状に変形されることを意味している。
自由な流動構造体は、例えばジェットの状態、又は分流する液状シートの状態等、所定の表面状態を形成しつつ流れる、拡大する液体であると一般に理解されている。この液体は自由に流れ、したがって全面で自由面を形成し、またキャリアに拘束されることなく、減圧チャンバ内へ流れる。流動構造体は所定の空間形状を有しており、この空間形状は時間軸に対して、ほぼ不変である。
本発明により形成される流動構造体の利点は、本発明者らの以下の知見によるものである。本発明者らは、ターゲット材に従来形成されていたジェットの直径を拡大することにより、結果的にプラズマ発生中の効率の大きな改善が得られることを突き止めた。この改善は、外部照射の集束において物質の体積が大きくなったことのみが原因でなく、寧ろ、以下の効果によるものであると判断された。すなわち、直径を拡大したターゲット材のジェットは、表面の湾曲が小さくなるので、外部からの放射エネルギーの投入に対して好適である。余り湾曲していない表面では、深い入射角によって集束される照射量の大部分がターゲット材に衝突できるので、反射損失を低減できる。
ただ、ターゲット材のジェットの直径を拡大することは、これに減圧チャンバ内への試料投入が増えることが絡むので、望ましいことではない。本発明はこの矛盾を解決するよう、流動構造体を完全に、あるいは少なくとも照射の位置で、非円形の円筒状とした。この方法により、及び一定量の試料投入により、ターゲット表面の曲率半径を少なくとも局所的に最大にすることができる。本発明者らは、減圧状態では驚くほど自由な液状の形成体を構成することができ、円筒状あるいは球状に形成して表面を最小にしようとする表面張力に関する作用とは逆に、液状形成体が所望の流動構造体またはパターンを形成するよう、十分に安定していることを突き止めた。
表面の局所的な曲率の最小値で流動構造体に照射することで、種々の利点が得られる。まず、照射の入射角を最適化することができる。また反射損失が少なくなる。さらにプラズマ発生の効率を著しく向上できる。さらにまた、定量の試料投入で照射するため、ターゲット材がより広くて自由な表面を提供できる。これにより、ターゲット材へのレーザ光の集束が容易となり、X線源の構造を簡素化することが可能となる。他方でこれらに加えて、プラズマ発生の効率を上げることにより、X線の強度を大幅に低減することなく、ジェットの寸法が小さく蒸気圧が比較的高いターゲット材を導入することができる。
さらに他の具体的な利点は、X線が等方性の分布状態で発せられる従来の円筒状や球状のターゲット材とは対照的に、本発明に係る方法によって、X線の異方性放出が起こることである。これにより、X線発生に関して更なる効率の改善が実現できる。さらに、放出されたX線の異方性は、ターゲットの表面を基準として測定でき、またターゲットの表面を所定の方向に転換することによって調整することもできる。
本発明の好ましい実施の形態によれば、減圧チャンバ内で自律して形成される流動構造体は、延伸された断面形状を有する。流動構造体の主たる流動方向に対して直角な断面は、主軸方向において(例えば主軸方向に対して90°をなす)偏向した第2の軸方向におけるよりも大きな広がりを有している。これにより、流動構造体の少なくとも一方に局所的な曲率の最小値が与えられる。この最小値は、断面の最小限の横方向の広がりに対応している。本発明に係るこの実施の形態は、ターゲット材が第2の軸方向に対応して、外部照射のために特に広い面を提供するという格別な利点を備える。該断面は長円形状、例えば楕円形状や面取りした矩形の形状とすることが好ましい。これらの変形例は、1又は複数のノズルを用いて流動構造体を形成すること、及び減圧チャンバ内でターゲット材を取り扱うことに関して、好適となる。
流動構造体が少なくとも外部照射の位置で、自律した液状シートまたは液状ラメラを形成することは、特に好ましい。液状シートの表面を、平面あるいは無限小の曲面とすることができるので、この面から内部に、すなわち外面から入射されるレーザ光は特に効果的に投入可能となる。
特にレーザ光を用いるターゲット材への外部照射が、曲率が局所的に最小値を有する面、例えば自由な液状シートの表面で起こると、照射中の反射損失を好適に最も低減できる。これによって、プラズマの発生効率を向上させることができる。
本発明者らは、表面を所望の平坦面とした流動構造体が形成可能な種々の方法を開発した。第1の変形例によれば、流動構造体は、非円形の断面を持つノズルを有するターゲット源を用いて生成される。意外なことに、例えば平坦にしたノズルを用いて流動構造体に特徴的に賦与される流動形状が、十分に大きな流動長にわたって減圧チャンバ内で保持されたままであることが判明した。長孔形状の断面形状を有するノズルを使用すれば、液状シートの発生について特に好適とできる。
本発明の一変形例による流動構造体が少なくとも一面に、好ましくは両面に凹状の表面、すなわち負の曲率半径を持つ表面を形成することで、流動構造体の厚みを特に照射位置において低減できるので、好ましい。この方法により、照射中に減圧チャンバ内に放出される試料を少なくできる。
本発明の他の実施の形態によれば、非円形の断面形状を有する回動可能なノズルを使用することで、ノズルと、これに続くターゲット材の照射方向に関するターゲット材の所定の位置合わせに関して、設定の調節が可能となる。ノズルは、流動構造体の表面に対してほぼ直角にターゲット材が照射されるように、流動構造体の主たる流動方向に対応する軸線の周りで調整できる。
第2の変形例では、ターゲット材を2つの一次ジェットとし、これらを所定の角度で衝突させて流動構造体を生成するように構成している。これらの一次ジェットが合流する位置で、互いに衝突し合う間に、発散する流動が全ての面で発生し、ほぼシート状の流動構造をなす形成体が生成される。この変形例は、使用する一次ジェットの流動特性の変化によって、流動構造体を設定する際の自由度の面で有利となる。
合流する液体同士の衝突面の発生は、G.テイラーのプロシーディングズ・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティ・A、第259巻、1〜17頁(G. Taylor, "Proceedings of the Royal Society A", Volume 259, 1960, pages 1 to 17:非特許文献4)で説明されている。しかしながら、先行するG.テイラーの知見は、常圧で目視可能な系(ノズル直径が数センチメートル)で得られたものである。本発明者らは、意外なことに所望の流動構造体が大気圧よりも低い気圧で、また顕微鏡を使わなければならない程に微細な液状ジェット(マイクロジェット)で実現可能であることを見出した。
一次ジェットを180°の角度で向流するように衝突させると、軸対照の流動構造体を好適に生成できる。それよりも小さな角度で一次ジェットが衝突すると、X線源の構造上有利となる。一次ジェットの交差角度は180°以下(例えば120°)、特に90°以下であることが好ましい。
本発明の他の特筆すべきメリットは、例えば水、グリセリン、アルコール、液化ガス、特に(例えばキセノンや液体金属のような)液化した不活性ガスなどの、X線発生用として既知のターゲット材を用いて、平坦にした流動構造体を実現可能なことである。ただ、好ましいターゲット材としては、室温で液体であるポリマーを少なくとも一含む、少なくとも一の炭化水素よりなる試料が挙げられる。液体ポリマー炭化水素化合物を使用することで、ターゲット材をX線源に提供すること、不純物を回避すること、及び後述するようにX線源の構造に関して、一連のメリットが得られる。
第1に、液体ポリマーのターゲット材は難揮発性である。難揮発性物質は、放射線発生のためにプラズマが励起される減圧チャンバからの除去が特に容易である。これらの物質は液体としてトラップ(捕集器)に直接回収することができ、さらにその位置で、各々の蒸気圧に応じて分離することができる。これにより捕集器を減圧するための個別の減圧系が必須でなくなるので、X線源の構造を大きく簡素化できる。
第2に、所望する流動構造体の空間的な形状を、特に高い空間的安定性を備える液体ポリマーで生成できる。このことは、ターゲット源のノズルから比較的大きな距離(例えば100mmまで)でも、各流動構造体に平坦にした表面を形成できることを意味しており、これによって外部照射の集束が極めて容易となる。
第3に、本発明で利用するポリマーによって、減圧チャンバ内の腐食による損傷を低減できる。本発明者らは、液状のターゲット材の蒸気圧によって常に形成されるガス雰囲気と、発生されたX線との相互作用によって、腐食による損傷が生じることを発見した。ガス雰囲気中に存在するターゲット材の分子が、放射によってイオン化されるのである。減圧チャンバ内の表面、例えばターゲット材を投入するためのノズルに、イオンが堆積することで、個々の素材が腐食されるプラズマエッチングが起きる。一方本発明によるポリマーのターゲット材は難揮発性であるため、ガス雰囲気中の粒子濃度が少なくなり、これにより生じる腐食による損傷も低減される。
第4に、ポリマーであるターゲット材の減圧チャンバ内での凝結は、臨界状態にあるわけではない。放射により誘導される分解の際に、ポリマーから易揮発性の生成物が発生する。これらは、減圧チャンバから外へポンプで難なく排出できる。本発明によれば、ターゲット材の凝結は減圧チャンバの構成部品の保護膜として作用し、これにより高エネルギーであるポリマーの断片が構成部品に直接接触するのを防ぐことができ、また必要に応じて洗浄工程中に簡単に取り除くこともできる。
本発明の好ましい実施の形態によれば、液体ポリマーは炭素原子同士を結合する少なくとも一のエーテルを有している。少なくとも一のエーテル結合(すなわち酸素架橋)を有する炭化水素を用いると、同様にプラズマによるX線発生についての全相に良好な効果をもたらすという利点が得られる。炭素原子同士の酸素架橋化合物により、分子的に高い柔軟性がもたらされる。このことにより、ポリマーであるターゲット材に分子的に高い柔軟性(すなわち低粘性)がもたらされる。低粘度であることは、平坦にした流動構造体の形成に加えて、プラズマ励起に続いて分子的に低い組成物への分解にも有利に影響する。さらに、ターゲット材の組成を、特にフッ素、炭素、酸素で構成することで、ターゲット材の幅広い適用範囲が実現される。汎用性のあるターゲット材を種々の用途に提供できる。
室温(約20℃)で液体であるポリマーをターゲット材として使用することは、特に好ましい。ポリマーは、少なくとも1の部分的にフッ化した又は完全にフッ化したポリマーの炭化水素エーテルを含む。ポリマーの部分的又は完全なフッ化は、X線照射中に易揮発性である分解性生成物の形成を促進する。
ターゲット材として、パーフルオロポリエーテル(PFPE)又はいくつかのパーフルオロポリエーテルの混合物を使用することが好ましい。PFPE化合物は高分子状であり、これによって流動構造体の形成にさらに好適となる。加えて、エネルギー投入の際に酸素架橋部を切り離すことにより、これらの架橋部は分解されて易揮発性の化合物となり、これらの化合物はポンプで容易に排出することが可能となる。このようにして、特にX線源内の光学部品に対する、堆積物や不純物を解消することができる。これにより本発明では、高価でデリケートなX線光学系が保護されるので、好ましい。また、ターゲット材の分解されなかった残留物も、これを凝縮するために何ら特別な予防措置を取ることなく、減圧チャンバ内で容易に回収することができる。
本発明の好ましい実施の形態によれば、ポリマーであるターゲット材は、蒸気圧が室温で10mbar未満、好ましくは1mbar未満(例えば10−6mbar)であり、また100g/molより大きい分子量、好ましくは300g/molより大きい分子量(例えば400〜8000g/molの範囲内の分子量)を有し、及び/又は粘度が室温で1〜1800cSの範囲内に設定される。ターゲット材の質量密度は、1.5〜2.5g/mol(例えば1.8〜1.9g/mol)の範囲内とすることが好ましい。これらのパラメータを、必要に応じて組み合わせることで、ターゲット材の形成及びプラズマ励起に続く試料の残留物の回収を改善できる。
ターゲット材の照射、特に液体ポリマーであるターゲット材の照射は、本発明の好ましい実施の形態に従って、照射中に放出された試料のガス圧よりも高い圧力下の環境で行われる。減圧チャンバ内でターゲット材の蒸気圧を上昇させることで、プラズマ発生中に局所的に過飽和状態となる事態が回避され、これに続く減圧チャンバ内での液滴の形成も回避される。この場合、放出されたガスは大部分が気相のままである。減圧チャンバからの排出は、ポンプによる排出で実行できる。この場合に有利なことは、X線源のチャンバ内の減圧条件について、要件を緩和できることであり、これにより、この方法を装置的、技術的に少ない出費で実施することができる。
装置に関して説明すると、上記の目的は、プラズマによるX線発生のためのX線源を提供することによって解決される。このX線源は、ターゲット材を減圧チャンバ内に自由な流動構造体の形状にて供給するためのターゲット源と、ターゲット材を高エネルギーで照射するための照射装置とを有する。またこのX線源は、本発明により、ターゲット源がターゲット材に特徴的な流動形状を賦与する目的に適合するよう開発されたものであり、これにより流動構造体が、少なくとも1つの表面領域において曲率が局所的に最小となるように形成される。
本発明の好ましい実施の形態によれば、ターゲット源は非円形の断面を持ったノズルを有する。このノズルを用いて所望の流動パターンが特徴的にターゲット材に賦与される。ノズルは、長孔形状の取り出し口を有すると特に好ましい。その理由は、これを用いると、ほぼシート形状の流動構造体を形成できるからである。
本発明の特に好ましい実施の形態によれば、ノズルは特にその出口開孔部で、少なくとも一面で内方へテーパ状になった断面を有している。上述したように凹状の流動構造体は、この構成に形成することが好ましい。またノズルが減圧チャンバ内で回動可能に配設されると、最適な外部照射がなされるように流動構造体の位置合わせをすることができ好ましい。
本発明の他の実施の形態によれば、ターゲット源には2つのノズルが備えられる。これらのノズルは、減圧チャンバ内で所定の角度で互いに衝突する一次ジェットを発生させるように設計される。これらのノズルを互いに180°の角度で位置合わせすることで、流動構造体を均一に形成できるというメリットが得られる。またノズルを互いに90°以下の角度に位置合わせすることで、X線源の構造及び流動構造体を形成する際の自由度の面でメリットが得られる。
本発明のさらに他の実施の形態によれば、X線源は少なくとも1つの加熱装置を有しており、この加熱装置を用いて、減圧チャンバの少なくとも構成部材を温度調整することができる。この少なくとも1つの加熱装置を備えることで、特に上記のポリマーであるターゲット材を使用している間に有利となる。その理由として、この加熱装置を用いると、ターゲット材の照射中に放出されるガスの圧力よりもターゲット材の蒸気圧を高く設定できるからである。温度上昇に伴って蒸気圧を上げることができるので、これによって減圧装置の構造及び凝結物を低減することに関して有利となる。
ターゲット材の照射のために減圧チャンバ内に配置された照射用光学系がX線源に備えられておれば、加熱装置を照射用光学系に接続することで、ターゲット材の凝結物が光学系に付着する事態を回避できるので好ましい。
照射とプラズマ発生の実効性が向上すると、X線源の効率も向上する。照射用光学系を減圧チャンバの外部に配置することで、照射用光学系における個別の加熱装置を省略できるので、好ましい。これにより、X線源の構造を簡略化できる。
本発明のさらに別の実施の形態によれば、X線源には、ターゲット材の残留物を冷媒を使用することなく回収可能な回収装置が備えられる。本発明に係るX線源は、構造を簡略化できるという特徴を有する。ターゲット材の流動構造体が安定する結果、プラズマ状態に励起する照射装置の調整を簡略化できる。このX線源は、高度な冷却装置を排除し、複雑でない減圧系を採用することによって、研究所内や工場内での幅広い用途に利用可能な可搬ユニットとして好適に利用できる。
本発明の好ましい他の実施の形態によれば、X線源は、例えば半導体の表面を製作するX線リソグラフィ装置と組み合わせて利用できる。この場合には、X線リソグラフィ装置は、減圧チャンバ内で、X線が発生する位置のすぐ近傍に配置することができる。このことは、従来のシステムとは対照的に、本発明では液滴の形成が少なく、また本発明で使用するターゲット材の凝結が少ないことにより、初めて可能となった。逆に言えば、X線源をX線リソグラフィ装置に直接組み込むことができる。好ましくは、X線リソグラフィ装置は必要に応じて、発生する残留性凝結物を容易に気相に変換してポンプで排出するように、それ自体に加熱装置を備える。
本発明の改良された実施の形態によれば、X線源の減圧チャンバは追加の減圧チャンバと組み合わせることもできる。この追加の減圧チャンバは、X線リソグラフィ装置を含んでいる。本発明に係るX線源では簡略化された構造によって、狭い空間内に両方の減圧チャンバを配置できる。
本発明に係るX線源は、X線(又は遠紫外線範囲の対応する放射線)を連続運転中に発生できるという特長を備える。工場を(例えば数日にわたって)中断することなく実用的に操業できるので、このことはX線源の産業的用途にとって特に重要である。
以下に説明する実施の形態と同様に実現できる本発明の他の技術的特徴としては、X線発生とは独立にであるが、液状のターゲット材を減圧チャンバ内に投入するために長孔形状の出口開孔部を形成したノズルを備える減圧チャンバ、及び液状のターゲット材を自由な流動構造体の形状で減圧チャンバ内に投入するための方法が挙げられる。この方法によって、ターゲット材は曲率が局所的に最小となる表面を有するように、また好ましくは自由なラメラ形状のシートを形成するように、この流動構造体が形成される。
以下、本発明の詳細及び利点を、添付の図面を参照しながら説明する。各図面は図面の簡単な説明に記す内容を示すものである。
図1は、減圧条件下で空間内に自律して配置される液状のターゲット材50に対する、本発明に係るX線の発生及び照射を示している。この液状のターゲット材50は、少なくとも一面で緩く湾曲した表面を有する。ターゲット材50は流動構造体として形成されており、流動方向に垂直な断面が例示されている。ターゲット材50は照射装置30(以下を参照)により照射される。照射方向は流動構造体51の表面52に向けられており、この部分では曲率半径が局所的に最大値となり、湾曲は最小値となる。このように、集束する断面全体に対する外部照射は、表面52にほぼ垂直な方向に作用する。
ここで図示した実施例では、流動構造体51は延伸された形状であり、特に楕円形の断面形状を有する。y方向は主軸方向を構成し、この方向に、流動構造体は長手方向の広がり△yを有する。これよりも小さな幅方向の広がり△xを有するx方向は、副次的な軸方向を形成し、この方向でも照射が行われる。ターゲット材50は、例えば以下のような幾何学的パラメータを有する。すなわち、長手方向の広がり△yが100μmから20mm、照射位置における幅方向の広がり△xが2μmから2mm、ターゲット源のノズルについて図示された断面の縦方向のクリアランスが0.1mmから10cmである。
図2及び図3は、長孔形状の出口開孔部を形成したノズルを用いて、非円筒形の液体形状を発生する様子を示している。図2は、長孔形状の出口開孔部14を形成し、減圧チャンバ(以下を参照)に突出するノズル13の端部を示している。長孔型ノズルを採用したノズルの幾何学的な構造は、流動構造体51として得たい所望の形状(図5及び6も参照)に応じて設定される。ただ、本発明に係るマイクロジェットを生成する出口開孔部14は、相応の小さな寸法に設定される。長孔は、例えば0.1mmの幅及び3mmの長さとする。
ターゲット材は、ノズル13から長孔形状の出口開孔部14を通って、X線源の減圧チャンバの中に投入される。出口での速度は、ターゲット材が減圧チャンバ内で凍結しないように設定され、例えば約20〜100m/sとする。
非円筒形のジェットは、放出する液体の粘度、表面張力及び速度に依存しノズル13からの距離に応じて変化するジェット形状となる。この非円筒形の流動形状は、最初はほんの数ミリメートルの有限の範囲にわたって維持された状態となる。先ずは液状のターゲット材に、面積を最小にするようにほぼ円形の断面の縮流部53(図2)が形成される。次にジェットで動く液体の慣性によって、液状のターゲット材50に拡流部54が新たに形成される。
縮流部と拡流部が交互に現れるサイクルは振動を構成する。このことは、既にレイリーによってプロシーディングズ・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティ、第29巻、1879年、71〜97頁(Rayleigh, "Proceedings of the Royal Society", Volume 29, 1879, pages 71 to 97:非特許文献5)で数学上理論的に説明されており、この様子を図3に示す。縮流部53及び拡流部54は交互に形成され、拡流部54は図3の紙面に対して交互に垂直、平行となっている。好都合なことに、ノズルからの距離が比較的長くなるように振動の数周期後にある拡流部54の位置でターゲット材を照射することができる。ターゲット材内で生成されるプラズマとノズル13との距離をできるだけ大きく設定することで、放出された放射線、プラズマから飛来する帯電粒子、あるいはプラズマにより誘導された放射線に起因する腐食から、ノズルの出口開孔部を保護できるという特長が得られる。
振動構造の形状、具体的には、形成される拡流部54の数及びこれらとノズルとの距離は、特に液状のターゲット材の粘度を適切に選定することによって設定できる。よってターゲット材は、外部照射の最適な集束が得られるよう好適に選定することができる。ターゲット材が高粘度の液体であれば、図示した振動は形成されない。この場合、楕円形の断面形状を有する流動構造体は、出口開孔部14から放出された直後は比較的幅広い状態であり、何ら再振動することなく円筒状となっていく。この場合の照射は、流動構造体の長孔状の特性に従って、主たる拡流部の部分で発生する。
概略拡大図である図4は、内方に弓形となる両側部を有する凹状の流動構造体51の断面形状を示している。表面52は、流動構造体51の中間部に対して、負の曲率半径、すなわち中央部へ向かう厚み△xが小さくなるような曲率半径のパターンを有する。この厚みは、周辺部から中間部まで、例えば99%まで低減でき、500nm〜500μmの範囲内で設定できる。また図4の例示とは異なり、一方のみが凹状となった弓形の形状とすることもできる。
流動構造体51の照射は、幅方向の広がり△xが最小限の位置で表面52に対し、好ましくは垂直方向に行われる。一方で他の例として、試料や照射の形状寸法に応じて、幅方向の広がりが最小となる位置の外側で表面52に照射することも好ましい。
流動構造体の断面形状は、特にターゲット源のノズルの形状によって決まる。意外なことに、特に図4に係る凹状またはダンベル形状の流動形状は、適切なノズル形状とすることで流動構造体に特徴的に賦与でき、また大気圧よりも低い圧力(特に真空)の領域に投入された際に、十分長い距離にわたって安定した状態を維持できることが判明した。
ノズル13は概ねターゲット材(図2)の線の端部で長孔形状に形成された開孔部14として構成できる。安定した非円筒形のジェットを使用するメリットは、図5及び6に示すようなノズル構成を利用することで得られる。図5は、流れの方向(図5の左図は内側から見た図)、及び流れと反対の方向(右図は外側から見た図)における、ノズル13の取り出し口又は出口開孔部を示している。内側では、出口開孔部14の幅全体に延伸されたノズル用長孔14aが構成されており、その長孔の幅は流れの方向に沿って減少している(図6の右図を参照)。流れの方向に沿って、かつノズル用長孔14aに接して、円錐状の取り出し口14bが形成され、この取り出し口を通ってターゲット材50は減圧チャンバ内に投入される(図6を参照)。流動するターゲット材は、先ずノズル用長孔14aに押し出され、この状態ではターゲット材が一緒に流れる。次にターゲット材は、円錐状の開孔14bの縁部で分流し、その結果流動構造体は所望のラメラ形状となる。流動構造体の最初の振動(図3を参照)は、円錐状の開孔14bに影響される。
図5に示すノズル13で得られるメリットは、ノズル用長孔14aと円錐状の開孔14bとの相互作用によって、図4に示すように流動構造体が凹状に形成されることである。流動構造体51の厚みは、縁部の方向に大きくなる(図6の破線を参照)。
本発明の好ましい実施の形態によれば、平坦にした流動構造体を生成するためのノズルは、回動可能に構成される。ここで回動とは、ノズルを通過するターゲット材の出口方向又は投入方向又は流動方向の軸線に対する回動を意味する。回動性は、例えばノズルホルダを回動式とし、ターゲット源の液送管をフレキシブルな部材とすることで実現できる。あるいは、固定式の液送管を回動式カップリングでノズルに繋ぐこともできる。ノズルの特定の(特に照射装置に対する)位置合わせを設定するために、ノズルはアクチュエータを備えている。このアクチュエータは、例えばステップモータや圧電式の駆動装置を有する。
図7及び図8は、ターゲット材の2つの一次ジェット55、56同士の衝突面で、流動構造体51が形成される様子を示している。これらのジェットは、減圧チャンバ内に別個に設けられた2つのノズル15、16同士が対向する方向に向けられている。図7A〜7Cは、上述したG.テイラーの刊行物(非特許文献4)に掲載された既知の図解に基づくものである。本発明によれば、また図7A及び8Aによれば、ある角度(例えば60°)で、ある直径(例えば30μm)を有する2つの一次ジェットが衝突し、これにより30μm未満(例えば3μm)の厚みと一定の広がり(例えば1〜2mm)をもった流動構造体51が形成される。なお図7Bに示すように、交差角度を大きくして(例えば90°)一次ジェット55、56同士を衝突させると、流動構造体51は衝突面より上方にも形成されて、その結果流動構造体51のシート状の広がりが大きくなる。また図8B又は8Cに示すように、ノズル15、16が180°で対向する方向に配置されると、図7Cに示すような流動構造体51が形成される。この構造体は、水平方向から側面に照射することが可能で(図8B)、または偏向ミラーを介して垂直方向から照射することも可能である(図8C)。
一般に、一次ジェットが衝突する位置は、一次ジェットが未だ液滴に分解されない(ノズルからの距離が液滴分解の距離以下である)ように設定される。ノズル15、16は、円形又は長孔形状の断面形状、特に楕円形又は矩形の断面形状に形成できる。
2つのジェット(一次ジェット)を合わせることで、平坦な流動構造体の形成が空間内で可変であるという特長が得られる。この場合にも、流動構造体はノズル13からの距離を大きくできる。
本発明によりプラズマX線源内で使われる好ましいターゲット材は、室温で液体である(特に少なくともエーテル結合を有する)炭化水素化合物系のポリマーである。このような炭化水素化合物の一成分を一例として図9に示す。ここで本発明の実施に際しては、例示したものに限定されないことを強調しておく。フッ化したポリエーテルの代わりに、非フッ化ポリマー、フッ化したポリマーと非フッ化ポリマーとの混合物、あるいは溶剤分を少なくした(20体積%未満)ポリマーも、一般に本発明で利用できる。さらに、フッ化は少なくとも部分的にハロゲン化、特に塩素化で代替することもできる。
図9に一例として示すターゲット材は、このような多種多様な化合物、又はC、F、O並びに必要に応じてHを含む化合物で構成され、難揮発性のポリマーが形成される。難揮発性のポリマーを使用すれば、X線源の減圧系に関する要求が緩和されるので好ましい。
ターゲット材は、特に、部分的にフッ化又は完全にフッ化したポリエーテル(PFPE)、あるいは幾つかの成分を部分的にフッ化又は完全にフッ化したポリエーテルの混合物を形成している。図10に一例としてパーフルオロポリエーテルを示す。このクラスの物質には、PFPE化合物であるフォンブリン(FOMBLIN:登録商標)やガルデン(GALDEN:登録商標)も含む。
図11は、本発明に係るX線源の一例を概略的に示している。このX線源は、温度調整された減圧チャンバ20に接続されたターゲット源10、照射装置30及び回収装置40を備える。ターゲット源10は、ターゲット材用の貯液部11、供給管12及びノズル13を備える。例えばポンプ又は圧電式の搬送装置を具備する始動装置(図示せず)を用いて、ターゲット材がノズル13へ案内され、ノズルから液状のジェット50の形状で排出されて、減圧チャンバ20内に投入される。
液状のジェット50は、例えば図示するように、減圧チャンバ20内へ垂直に投入される。本発明の実施に際しては、上記に代わって、水平方向の投入や水平方向に対して所定の角度で傾斜された投入など、異なる方向としたジェット流も利用できる。
照射装置30は、放射装置31及び放射用光学系32を備える。この光学系を用いて放射装置31からの放射線がターゲット材50に集束される。放射装置31は例えばレーザであり、その光線は必要に応じて偏向ミラー(図示せず)を利用してターゲット材に向けられる。あるいはこれに代わって、チャンバ20内にイオン源や電子源を照射装置として配置することもできる。
回収装置40は、例えば漏斗又は毛管の形状に構成された空洞部41を具備する。この空洞部が、照射の作用で気化しなかったターゲット材を減圧チャンバから除去し、これを回収容器42内へ案内する。ターゲット材として液体ポリマーを使用すれば、付加的な手段を講じることなく、回収された液体は好適に回収容器42に回収できる。回収されたターゲット材が減圧チャンバ20内に逆流する事態が生じた場合に備え、これを回避するために、冷却装置(図示せず)及び/又は減圧ポンプ(図示せず)で回収容器42を冷却することもできる。
減圧チャンバ20は、少なくとも一の第1の窓22と、少なくとも一の第2の窓23を有するハウジング21を備える。ターゲット材は第1の窓22を通じて照射され、発生したX線は第2の窓23を通じて放出される。この第2の窓23は、発生したX線を特定の用途向けに減圧チャンバ20から出力するためのオプションとして提供される。これが不要の場合は、第2の窓23を排除してもよい(下記を参照)。さらに減圧チャンバ20は、減圧装置24に接続されており、この減圧装置によって大気圧よりも低い圧力に調整される。この大気圧よりも低い圧力は、10−4mbarよりも低いことが好ましい。なお照射用光学系32は、減圧チャンバ20内に配置することもできる。
減圧チャンバ20には加熱装置60が備えられる。この加熱装置は、一以上の温度調節器61〜63を有する。ハウジング21、空洞部41及び/又は照射用光学系32は、これらの温度調節器により温度調整される。必要に応じて、ターゲット源10も温度調整することができる。温度調節器は、例えば既存の抵抗式加熱ユニットを備える。
加熱装置60で設定される温度は、特にポリマーであるターゲット材の蒸気圧が、照射装置30を用いたターゲット材の照射によって生成されるガス圧よりも高くなるように設定される。これによって、本発明では減圧チャンバ内における気相の過飽和状態が回避される。放出されたポリマーはガス状のままであり、減圧装置24を用いてほぼ計量可能な状態でポンプで排出できる。
第2の窓23は、軟X線用に(例えばベリリウムの)透明な窓素材で構成される。この第2の窓23を備えることで、排気可能な加工用チャンバ26を連結することができる。このチャンバは他の減圧装置27と接続される。加工用チャンバ26内では、試料加工用の対象物にX線を結像することができる。例えば、X線リソグラフィ装置70を配置して、このリソグラフィ装置を用いて半導体基板の表面を照射する。減圧チャンバ20内のX線源と、加工用チャンバ内のX線リソグラフィ装置70とを空間的に隔離することで、加工すべき対象物が気化したターゲット材の堆積物に晒されないというメリットが得られる。
X線リソグラフィ装置70は、例えば所望のX線波長を選択するフィルタ71、マスク72、及び照射対象の基板73を備える。加えて、X線を装置70に案内するための結像用光学系(例えばミラー)を付加してもよい。
図12に示す本発明の改良された実施の形態では、X線リソグラフィ装置70は減圧チャンバ20内に配置されている。またこの装置70は、凝結物を回避するための温度調節器64にも接続される。さらに図12は、図7に示す流動構造体を発生させるために2頭式のノズル15、16(図8を参照)を採用する構成を図示している。
図13に示すように、照射用光学系32を減圧チャンバ20の外側に配置すると、個別の温度調整機構を省略できるので好ましい。ただこの場合は、放射源31の少なくとも部分的に集束された放射線、及び場合によっては高反復性の放射線に対して、窓22を十分に安定したものとしなければならない。さらに、本実施の形態ではターゲット材50は、窓22に比較的近接して(例えば数cmの距離で)通過するように構成されている。また本実施の形態においても、図示したノズル13に代えて2頭式のノズルを用いることができる。
蒸気圧が高くハウジング21の温度調整を必要としない液体ポリマーをターゲット材として用いる場合でも、減圧チャンバ20のデリケートな部品、例えば結像用光学系32あるいは装置70を加熱する必要がある。本発明に係るこの実施の形態を図14に示す。局所的に加熱することによって、照射中に放出されたターゲット材が好ましくはハウジング21の冷たい壁面に堆積するというメリットが得られる。これによって、個々の用途に重要なデリケートな部品群が処理中に保護される。
本発明によるX線発生のために、ターゲット源10を用いて、ターゲット材50のジェットあるいは液滴が本発明による流動構造体の形状に生成される。流動構造体50は、照射装置30を用いて、既知の態様で照射される。照射は、ターゲット材がプラズマ状態に変換されるようなエネルギー強度で集束されるように行われる。例えば、単位放射パルス当たり(例えば1レーザショット当たり)100mJのエネルギーが投入される。この場合には、10kHzのパルス数で、50Wまでの出力が達成される。このプラズマ状態で軟X線が放出され、また必要に応じて個々の用途のために第2の窓23を介して出力される。
X線には約15nmを上限とする波長範囲が含まれる。好ましくは、特にKα線がλ=3.37nmで放出され、F線がλ=0.7nmから1.7nm又は12.6nmで放出され、O線がλ=13nmで放出される。特に好ましくは、パーフルオロポリエーテルを用いて、障害となるグラファイトの堆積を回避しながら、炭素Kα線を発生できる。X線顕微鏡法においては、Kα線はいわゆる「水の窓」領域に属するため、関心が高い。この「水の窓」領域においては、水のせいでX線吸収が生じることはない。本発明に係るX線源は、腐食や堆積を恒久的に回避し、X線顕微鏡やリソグラフィの用途に極めて優れて適している。また構造を最小にすることで、更なる利点が得られる。装置70(図12を参照)は、照射装置30が集束する直ぐ近傍に配置できる。
本発明で用いる試料の揮発性が低いため、冷媒や冷却装置を使用することなく回収装置40を作動できるという利点も得られる。特に、残留物を凝縮するための、いわゆる低温捕集器(Cryotrap)や分離器を用意する必要がない。取込部41と回収容器42は、互いに直接接続される。
回収装置40で回収されなかった残留物は、都合の良いことに易揮発性成分であるので、これらの残留物は減圧装置24を用いてチャンバ20から除去できる。減圧装置24、27は、例えば回転羽根式のオイルポンプを備える。
本発明に係るX線源の好ましい用途としては、分析化学、X線顕微鏡法、X線リソグラフィや、さらに(X線吸収)微細構造分光法のような分光測定法を組み合わせることが挙げられる。
本発明の他の用途は、減圧条件下での自由液体の検査や自由液体の利用に関する用途であれば、何にでも適用できる。例えば、本発明に係る技術に対応して、光電子又は光吸収分光法による検査、これに相応する散乱実験のための液体試料を、それぞれの検査用チャンバに投入できる。高エネルギーの照射や粒子発射も利用できる。
本発明に係るシート状ターゲット材の他の用途としては、必要に応じてシンクロトロン放射を用いる時間分解X線吸収実験がある(K.R.ウィルソンらによるジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・B、第105巻、2001年、3346〜3349頁(非特許文献6)を参照)。これらの用途においても、シート状流動構造体の長手方向への広がりが大きくなることで、ターゲットへの放射線の集束が容易になるため、好適である。
最後に、本発明により形成される液状シートは、液滴又は巨大クラスタ(噴霧)の生成源として使用することもできる。ノズルから有限の距離に達した後、流動構造体が分解して個々の液滴となる。これらの液滴に対して、X線発生のため照射が行われる。
以上の発明の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲において開示した本発明の特徴は、個々に、又はこれらの組み合わせで、本発明及びその種々の実施の形態並びに変形例を実施する際に、重要となり得る。
非円筒状の流動構造体の照射を示す概略図である。 長孔形状のノズルを用いたジェット形成を示す図である。 長孔形状のノズルを用いたジェット形成を示す図である。 凹状の流動構造体の断面を示す模式図である。 長孔形状のノズルを示す図である。 長孔形状のノズルを示す図である。 2つの一次ジェットから面状のターゲットが発生することを示す図である。 2つの一次ジェットから面状のターゲットが発生することを示す図である。 本発明により用いるターゲット材の特徴を記した構造式である。 本発明により用いるターゲット材の特徴を記した構造式である。 本発明によるX線源の実施例を示す模式図である。 本発明によるX線源の実施例を示す模式図である。 本発明によるX線源の実施例を示す模式図である。 本発明によるX線源の実施例を示す模式図である。
符号の説明
10…ターゲット源
11…貯液部
12…供給管
13…ノズル
14…(出口)開孔部
14a…ノズル用長孔
14b…開孔(取出口)
15、16…ノズル
20…減圧チャンバ
21…ハウジング
22…第1の窓
23…第2の窓
24…減圧装置
26…加工用チャンバ
27…減圧装置
30…照射装置
31…放射装置
32…光学系
40…回収装置
41…空洞部(取込部)
42…回収容器
50…ターゲット材(液状ジェット)
51…流動構造体
52…表面
53…縮流部
54…拡流部
55、56…一次ジェット
60…加熱装置
61〜64…温度調節器
70…X線リソグラフィ装置
71…フィルタ
72…マスク
73…基板

Claims (43)

  1. ターゲット材(50)を自由な流動構造体(51)の形状で減圧チャンバ(20)内に用意する工程と、
    プラズマ状態を生成し、そのプラズマ状態でプラズマからX線を放射するために、前記ターゲット材(50)に照射する工程と、
    を備えるプラズマによるX線発生方法であって、
    前記流動構造体(51)は、前記ターゲット材が少なくとも照射位置において、曲率が局所的に最小値となる表面(52)を有するように形成されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記流動構造体(51)が、少なくとも前記照射位置において、主軸方向(y)においてこの主軸方向(y)から偏向した副軸方向(x)における幅方向の広がり△xよりも大きい長手方向の広がり△yを有する断面形状であることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、
    前記流動構造体(51)が、少なくとも前記照射位置において、長円形の断面又は面取りした矩形の断面形状であることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  4. 請求項2又は3に記載の方法であって、
    前記流動構造体(51)が、少なくとも前記照射位置において、自由なラメラ型シート形状であることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  5. 請求項3又は4に記載の方法であって、
    前記流動構造体(51)が、少なくとも前記照射位置において、少なくとも一方に凹状の面を有することを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  6. 前記請求項のいずれか一に記載の方法であって、
    前記ターゲット材の前記流動構造体(51)が、非円形の出口開孔部(14)を形成するノズルを備えるターゲット源を用いて生成されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、
    前記ターゲット材の前記流動構造体(51)が、長孔形の出口開孔部(14)を形成するノズルを備える供給器を用いて生成されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  8. 請求項6又は7に記載の方法であって、
    前記ターゲット材(50)の照射方向に対して所定の位置合わせを設定するために、前記ノズルが回動されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  9. 請求項1から4のいずれか一に記載の方法であって、
    前記ターゲット材の前記流動構造体(51)が、所定の角度で自由な自律した液状シートを形成するために衝突される2つの一次ジェットを用いて生成されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、
    前記一次ジェットが180°以下の角度で衝突されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  11. 請求項9に記載の方法であって、
    前記一次ジェットが90°以下の角度で衝突されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  12. 前記請求項のいずれか一に記載の方法であって、
    前記ターゲット材の前記流動構造体(51)が、曲率が局所的に最小値となる表面(52)に対してほぼ直角に照射されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  13. 前記請求項のいずれか一に記載の方法であって、
    ターゲット材として、室温で液体である少なくとも一のポリマーを含む少なくとも一の炭化水素化合物、水、グリセリン、アルコール、液化ガス又は液体金属のいずれかが用いられることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、
    ターゲット材として用いられる前記炭化水素化合物が、炭素原子同士を結合する少なくとも一のエーテルを有することを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  15. 請求項14に記載の方法であって、
    ターゲット材として用いられる前記炭化水素化合物が、部分的にフッ化又は完全にフッ化しているポリマーである炭化水素エーテルを少なくとも一有することを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、
    ターゲット材として用いられる前記炭化水素化合物が、パーフルオロポリエーテル又はパーフルオロポリエーテルの混合物であることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  17. 請求項13から16のいずれか一に記載の方法であって、
    ターゲット材として用いられる前記炭化水素化合物が、室温で10mbar未満の蒸気圧、100g/molより大きい分子量、及び/又は1cS〜1800cSの範囲内の粘度を有することを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  18. 請求項13から17のいずれか一に記載の方法であって、
    前記ターゲット材(50)の照射が、このターゲット材(50)の照射によって放出されるガスの圧力よりも前記ターゲット材(50)の蒸気圧が高くなるように、少なくとも局所的に加熱される減圧チャンバ内で発生することを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  19. 請求項13から18のいずれか一に記載の方法であって、
    ターゲット材(50)が、照射後に、室温で回収装置(40)内に回収されることを特徴とするプラズマによるX線発生方法。
  20. 少なくとも軟X線発生の照射位置において、曲率が局所的に最小となる表面を有するターゲット材を、流動構造体(51)の形状とするために、室温で液体であるポリマー炭化水素化合物の利用。
  21. 少なくとも軟X線発生の照射位置において、曲率が局所的に最小となる表面を有するターゲット材を、流動構造体(51)の形状とするために、部分的にフッ化又は完全にフッ化しているポリマーである炭化水素エーテルの利用。
  22. 自由な流動構造体(51)の形状としたターゲット材(50)への高エネルギー照射による、プラズマによるX線発生のためのX線源であって、
    前記ターゲット材(50)を減圧チャンバ(20)内に提供するターゲット源(10)と、
    前記減圧チャンバ内の前記ターゲット材(50)への照射のための照射装置(30)と、
    を備えており、
    前記ターゲット源は、前記流動構造体(51)である前記ターゲット材が少なくとも照射の位置で、曲率が局所的に最小値となる表面を有するように、前記ターゲット材を形成するようになされていることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  23. 請求項22に記載のX線源であって、
    前記ターゲット源が、非円形の出口開孔部(14)を形成したノズル(13)を備えることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  24. 請求項23に記載のX線源であって、
    前記ターゲット源が、長孔形の出口開孔部(14)を形成したノズル(13)を備えることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  25. 請求項24に記載のX線源であって、
    前記ターゲット源が、楕円形、矩形、又は内方へテーパ状になった凸状の出口開孔部(14)を形成したノズル(13)を備えることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  26. 請求項24に記載のX線源であって、
    前記ノズル(13)が、ノズル用長孔(14a)及び円錐形の開孔(14b)を有する出口開孔部(14)を形成することを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  27. 請求項23から26のいずれか一に記載のX線源であって、
    前記減圧チャンバ(20)内の前記ノズル(13)が、回動する態様に配置されていることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  28. 請求項22に記載のX線源であって、
    前記ターゲット源が、一次ジェットの生成のために2つのノズル(15, 16)を有しており、これらの一次ジェットが、自律した自由な液状のシート状を形成するために、所定の角度で衝突されることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  29. 請求項28に記載のX線源であって、
    前記ノズル(15, 16)が、前記一次ジェットが180°の角度で衝突するように位置合わせされてなることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  30. 請求項28に記載のX線源であって、
    前記ノズル(15, 16)が、前記一次ジェットが90°以下の角度で衝突するように位置合わせされてなることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  31. 請求項22から30のいずれか一に記載のX線源であって、
    前記減圧チャンバ(20)の少なくとも構成部位を温度調整するための少なくとも一の加熱装置(60)を備えてなることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  32. 請求項31に記載のX線源であって、
    前記加熱装置(60)が、減圧チャンバ(20)の位置で及び/又は内部で、構成部材と接続される複数の温度調節器(61-64)を備えてなることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  33. 請求項32に記載のX線源であって、
    前記照射装置が、減圧チャンバ(20)内に配置されており、かつ温度調節器(63)に接続されている照射用光学系を備えることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  34. 請求項22から32のいずれか一に記載のX線源であって、
    前記照射装置が、減圧チャンバ(20)の外側に配置された照射用光学系を備えることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  35. 請求項22から34のいずれか一に記載のX線源であって、
    照射後に前記ターゲット材(50)を回収するための回収装置(40)を備えており、
    さらに無冷媒で作動するように設計されてなることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  36. 請求項22から35のいずれか一に記載のX線源であって、
    X線リソグラフィ装置(70)が前記減圧チャンバ(20)内に配置されてなることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  37. 請求項36に記載のX線源であって、
    前記X線リソグラフィ装置(70)が温度調節器(64)に接続されてなることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  38. 請求項22から37のいずれか一に記載のX線源であって、
    前記減圧チャンバ(20)が加工用チャンバ(26)に連結されており、前記加工用チャンバ(26)内にX線リソグラフィ装置(70)が配置されてなることを特徴とするプラズマによるX線発生用X線源。
  39. 液状のターゲット材を減圧チャンバ内に投入するために、長孔形の出口開孔部(14)を形成したことを特徴とするノズル(13)を備える減圧チャンバ。
  40. 請求項39に記載の減圧チャンバであって、
    前記ノズル(13)が、前記液状のターゲット材の投入方向と平行な軸線の周りにて回動する態様に配置されてなることを特徴とする減圧チャンバ。
  41. 自由な流動構造体(51)の形状をした液状のターゲット材(50)を減圧チャンバ(20)内に投入する方法であって、
    曲率が局所的に最小となる表面(52)を前記ターゲット材が有するように、前記流動構造体(51)が形成されてなることを特徴とする方法。
  42. 請求項41に記載の方法であって、
    前記流動構造体(51)が、自由なラメラ形のシート状に形成されてなることを特徴とするターゲット材投入方法。
  43. 請求項41又は42に記載の方法であって、
    前記流動構造体(51)が、少なくとも一方に凹状の表面(52)を有することを特徴とするターゲット材投入方法。
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