JP2023538660A - レチクル-ペリクルアセンブリを処理するための装置及び方法 - Google Patents

レチクル-ペリクルアセンブリを処理するための装置及び方法 Download PDF

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Abstract

部分的に酸化されたレチクル-ペリクルアセンブリを還元するための装置が、サポートと、水素供給と、電子源とを備える。サポートはレチクル-ペリクルアセンブリを支持するためのものである。水素供給は、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの近くに水素を供給するように動作可能である。電子源は、電子をサポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように誘導するように動作可能である。【選択図】 図2

Description

関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2020年8月24日出願の欧州出願20192426.3及び2020年9月29日出願の欧州出願20199008.2の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[0002] 本発明は、極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置内で使用されるレチクル-ペリクルアセンブリを処理するための装置及び関連方法に関する。本発明はまた、レチクル-ペリクルアセンブリを処理するための装置及び方法での使用に特に適し得るレチクル-ペリクルアセンブリにも関する。
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)からのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
[0004] 基板にパターンを投影するためリソグラフィ装置が用いる放射の波長は、その基板上に形成することができるフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nm内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を用いたリソグラフィ装置を使用すると、従来のリソグラフィ装置(例えば193nmの波長の電磁放射を使用できる)よりも小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
[0005] リソグラフィ装置において放射ビームにパターンを付与するのに使用されるパターニングデバイス(例えばマスク)がマスクアセンブリの一部を構成することがある。マスクアセンブリは、パターニングデバイスを粒子汚染から保護するペリクルを備えることがある。ペリクルはペリクルフレームによって支持されることがある。
[0006] 従来技術に関連する1つ以上の問題を未然に防ぐ又は緩和する装置を提供することが望ましい場合がある。
[0007] 本発明の第1の態様によれば、レチクル-ペリクルアセンブリを支持するためのサポートと、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの近くに水素を供給するように動作可能な水素供給と、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように電子を誘導するように動作可能な電子源とを備えた装置が提供される。
[0008] 本発明の第1の態様に係る装置は、これより考察するように有利である。
[0009] レチクルは空気にさらされると部分的に酸化するものである。この部分酸化はレチクルの反射率に影響を及ぼし、望ましいものではない。具体的には、一般に反射率への影響はレチクルの全体で異なるものである。EUVリソグラフィ装置内で、レチクルステージの近くに水素が提供されることがある。ペリクルのないレチクルの場合、EUV放射の存在下でこの水素ガスは、部分的に酸化された表面を還元し、反射率を一貫した公称レベルに戻すことになるプラズマを形成するものである。通常、ペリクルのないレチクルの反射率は、以前に空気にさらされたレチクルが最初にEUVにさらされた後に定常状態に達する場合にいくつかのダイで変動する。かかる反射率変動の生産性損失は許容できるものである。
[00010] しかしながら、ペリクル付きレチクルの場合、水素プラズマからの活性種のフラックスが大幅に減少する。これは、ペリクルフィルムがEUVビームで生成される種に対するバリアをペリクル前面に隣接して形成するためである。更に、レチクルとペリクルの間の体積内に生成される活性種は、レチクルとペリクルの表面で部分的に急冷(再結合、会合)されるものであり、この効果は酸素引き抜きに使用可能な活性種のフラックスを更に減少させる。
[00011] また、レチクルの前面及びペリクルの背面から放出される水及び/又は酸素は、ペリクルとレチクルの間の体積から容易に出ることができない(通常はペリクルフレームとレチクルの前面との間には非常に狭いスリットのみが設けられる)。更に、ペリクルフィルムとレチクルの前面との間に閉じ込められた酸素及び水が、取り戻される(レチクル及びペリクルを再酸化させるか又は吸着される)可能性があり、透過率回復時間が延びる可能性がある。ペリクル(の前面及び背面)とレチクル(の前面)の両方に表面酸化物があるため、システム全体の透過率は、ペリクルのないシステムより2~3倍大きく変化する。ペリクル付きレチクルが定常状態に達するのにかかる時間は、ペリクルのないレチクルの場合より約10~100倍長い。結果として透過率は、定常状態に達するまでに約2~20個のウェーハで変動することがある。これは大きな生産性損失である。
[00012] 第1の態様に係る装置の電子源は、電子をサポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように誘導するように動作可能である。かかる入射電子の少なくとも一部分は、ペリクルを通ってレチクルに伝搬することになる。電子は水素源からの水素と相互作用して、レチクルの前面などの(部分的に)酸化された表面を還元し得る、及び/又は吸着された酸素の脱着を促進し得るH、H、H 、H などの活性種を生成することができる。
[00013] 水素供給は、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルとペリクルの間に水素を誘導するように動作可能である場合がある。
[00014] つまり水素供給は、水素の流れをペリクルとレチクルの間に提供するように動作可能である場合がある。かかる流れは、実質的に一方向である場合があり、例えば交差流と呼ばれることがある。有利にはこれは、レチクルとペリクルの間の体積内のガスをリフレッシュし、ひいては水分除去を加速させ、重要表面上及び重要表面間の(還元中に活性種により生成される)水分子の滞留時間を短縮することができる。ペリクルは通常、最大100Paの過圧に耐えることができるため、ペリクルにかかる圧力差が約10~50Pa(安全のために2倍の余裕を持たせた)の大きな流れが提供される可能性がある。一部の実施形態では、レチクルとペリクルの間に約10~100Paの圧力で水素が提供されることもある。
[00015] 水素供給は、水素を50~100Pa範囲内の圧力で供給するように動作可能である場合がある。
[00016] 具体的には水素供給は、水素をサポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルとペリクルの間に50~100Pa範囲内の圧力で誘導するように動作可能である場合がある。
[00017] かかる構成によって、ペリクルとレチクルの間(及び、任意選択的にペリクルの前面より上)の水素圧力は、EUVリソグラフィ装置内の典型的な値である5~10Paから引き上げられることがある。有利には、これは電子源からの照射及び/又は制動放射として放出され得るDUV又はVUV放射の下で活性種の生成を増やすことができる。
[00018] 装置は、サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を制御するように動作可能な熱調節ユニットを更に備えることがある。
[00019] 熱調節ユニットは、サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を上げるように動作可能なヒータを備えることがある。
[00020] 電子源によってレチクル-ペリクルアセンブリにいくらかの熱が提供されることになる。かかるヒータにより提供される追加の熱は、水のガス放出を促進して関連表面上に水が滞留する時間を短縮することがある。滞留時間が、レチクル-ペリクルアセンブリの温度が10℃上昇するごとに2分の1~10分の1に短縮され得ることが予想される。
[00021] ヒータは、例えばペリクル及び/又はレチクルを照射するように動作可能な放射源を備えることがある。
[00022] 熱調節ユニットは、サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を下げるように動作可能な冷却システムを備えることがある。
[00023] かかる冷却がない場合、本発明の第1の態様の装置を使用してレチクル-ペリクルアセンブリを洗浄するプロセスが、レチクル-ペリクルアセンブリの温度を上昇させ得ることが理解されるであろう。例えば使用時に、電子源はアセンブリに約10~100Wの熱負荷を与えることがある。ただし、レチクル-ペリクルアセンブリが、レチクルステージにクランプされリソグラフィプロセスの一部として使用され得る前に、レチクルステージと実質的に同じ温度であることが重要である場合がある。冷却システムを設けることは、レチクル-ペリクルアセンブリがレチクルステージに安全にクランプされ得るまでの洗浄プロセス後にかかる時間を短縮することがある。
[00024] サポートは、使用時にレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに接触するように構成されることがある。
[00025] 使用時にレチクル-ペリクルアセンブリに接触するサポートの一部は電子シンクを含むことがある。
[00026] 例えば、使用時にレチクル-ペリクルアセンブリに接触するサポートの一部は接地されている場合がある。使用時にレチクル-ペリクルアセンブリに接触するサポートの一部は、ペリクルの一部及び/又はレチクルの一部を含むことがある。かかる電子シンクは、ペリクルがレチクル及び/又はペリクルに発生する静電圧又はスパーク損傷に起因して破裂するほどの電荷を蓄積するのを防ぐことがある。
[00027] 一部の実施形態では、少なくともペリクルの一部上に導電性コーティングが設けられる。例えば導電性コーティングが、ペリクルのボーダー上に、任意選択的にペリクルの膜に延びているがレチクルの品質エリアのEUV照射を妨げないように設けられることがある。導電性コーティングはペリクルボーダーの前面に設けられることがある。
[00028] サポートによってレチクル-膜アセンブリが支持されるとき、サポートはレチクルの前面とペリクル膜との電気的接続を提供することがある。
[00029] 有利には、これは、レチクル及びペリクルにかかる(ペリクルに静電圧をかける可能性がある)バイアス電圧を減らすことができる。
[00030] 電子源は、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、ペリクルを通って伝搬する電子の一部分が500eV未満のエネルギーを有するように電子を誘導するように構成されることがある。
[00031] 一部の実施形態では、電子源は、ペリクルを通って伝搬する電子の一部分が100eV未満のエネルギーを有するように構成されることがある。これによって、ペリクルがレチクルへの静電引力によって破裂しないことが保証されることがある(ペリクルは、レチクルに約200Vの電圧降下がある場合に破損することが知られている)。
[00032] 装置は、電磁放射をペリクルに誘導するように動作可能な電磁放射源を更に備えることがある。
[00033] 例えば、かかる電磁放射源は、レーザ、例えば紫外線(UV)又は深紫外線(DUV)レーザを含むことがある。かかる電磁放射源は、(例えば、光電効果を介して電子を放出することによって)電子源による帯電を補償するために光電流をペリクルに提供するように動作可能である。
[00034] 電子源は、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、ペリクルを通って伝搬する電子の一部分が1より大きい二次電子収率を達成するように電子を誘導するように構成されることがある。
[00035] これは、ペリクルにより一旦減衰された電子源からの電子ビームが約100~300eVのエネルギーを有する場合に達成されることがある。有利には、かかる構成によって、レチクル及びペリクルにかかるバイアス電圧が、ペリクルのみが接地されている間に最小限に抑えられることがある。
[00036] 装置はエンクロージャを更に備えることがある。サポートはエンクロージャ内に配設されることがあり、水素供給は水素をエンクロージャに供給するように動作可能である場合がある。
[00037] エンクロージャに1つ以上のポンプが設けられることがある。水素供給及びポンプは、エンクロージャ内の圧力を制御するのに使用されることがある。水素供給及びポンプは、圧力制御システムの一部を構成すると見なされることがある。
[00038] 電子源は電子銃を備えることがある。
[00039] 電子銃は高圧電子銃である場合がある。電子銃は、約1~100Paの圧力を有する動作環境で動作するように動作可能である場合がある。
[00040] 装置は、電子源により放出された電子が、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの様々な部分の範囲に誘導され得るように、電子源及びサポートの少なくとも一方を移動させるように動作可能なスキャン機構を更に備えることがある。
[00041] 例えば、電子銃により出力される電子ビームを、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの表面に走査するためにサポートに対して移動可能な電子銃が提供されることがある。これは、市販の電子源が実質的にペリクルの全エリアを処理することを可能にする場合がある。
[00042] 装置は、電子源から電子ビームを受け取り、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの表面に電子ビームを分配するように構成された電子光学系を更に備えることがある。
[00043] 電子光学系は静電集束光学系を含むことがある。電子光学系は、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの表面に電子ビームを実質的に均一に分配するように動作可能である場合がある。つまり、電子光学系は、レチクル-ペリクルアセンブリの全エリアの均一な照射を提供するように構成されることがある。
[00044] 本発明の第2の態様によれば、先行する請求項のいずれかの装置を備えたリソグラフィ装置が提供される。
[00045] リソグラフィ装置は、放射源とともにリソグラフィシステムの一部を構成することがある。放射源は、極端紫外線(EUV)放射ビームを発生させるように構成されることがある。リソグラフィ装置は、照明システムと、レチクル-ペリクルアセンブリを支持するように構成されたサポート構造と、投影システムと、基板を支持するように構成された基板テーブルとを備えることがある。照明システムは、(放射源から受け取られた)放射ビームをレチクルに入射する前に調節するように構成されることがある。投影システムは、(いまやレチクルによりパターン付与された)放射ビームを基板に投影するように構成されることがある。
[00046] 本発明の第2の態様に係るリソグラフィ装置は、リソグラフィ装置の制御環境にある間に、レチクル-ペリクルアセンブリが第1の態様に係る装置を使用して処理されることを可能にするため特に有利である。これは、レチクル-ペリクルアセンブリをリソグラフィ装置から取り外し、部分酸化を還元するためにこれを処理した後に、レチクル-ペリクルアセンブリをリソグラフィ装置内の元の位置に戻す必要がない。レチクル-ペリクルアセンブリが空気又はかなりの量の酸素及び/もしくは水を含有する環境にさらされるたびに、反射率変動を避けるために部分酸化を還元することが望ましい場合がある。
[00047] 装置は、リソグラフィ装置のレチクルライブラリ内又はリソグラフィ装置のレチクル交換デバイスアーム上に提供されることがある。
[00048] 本発明の第3の態様によれば、レチクルと、ペリクルボーダーで囲まれた中央ペリクル膜を含むペリクルと、ペリクルを支持するように構成され、ペリクルがレチクルに隣接して配設されるようにレチクルと係合するように構成されたペリクルフレームとを備え、ペリクルフレームが、概ね矩形の開口を取り囲む概ね矩形の本体を提供するように構成された壁部を含み、壁部に、壁部の外面から概ね矩形の開口に隣接した壁部の内面に及ぶ少なくとも1つの非線形流路が設けられたアセンブリが提供される。
[00049] 本発明の第3の態様に係るアセンブリは、これより考察するように有利である。
[00050] ペリクルフレームは、(例えばプリテンション予張力下で)支持するペリクルのボーダーに接着されるかあるいは機械的に取り付けられることがある。ペリクルフレームがレチクルと係合されるとき、ペリクルフレームの壁部はレチクルの非像形成部に隣接する。ペリクルを支持することに加えて、ペリクルフレームは、レチクルとペリクルの間に画定される体積を概ね取り囲む。これは、レチクルとペリクルの間に画定される体積に進入し得る微粒子デブリの量を制限し、(基板上に形成されるレチクルの像に誤差を生じ得る)デブリのレチクルへの衝突を防ぐことができるため有利である。しかしながら、アセンブリが、レチクル及びペリクルの表面上の酸化を還元するために(例えば、本発明の第1の態様に係る装置を使用して)処理されているとき、フレームの存在は、レチクルの前面及びペリクルの背面から放出される水及び/又は酸素がペリクルとレチクルの間の体積から容易に出ることができない(通常はペリクルフレームとレチクルの前面との間には非常に狭いスリットのみが設けられる)ことを意味する。更に、ペリクル膜とレチクルの前面との間に閉じ込められた酸素及び水が、取り戻される(レチクル及びペリクルを再酸化させるか又は吸着される)可能性があり、透過率回復時間が延びる可能性がある。ペリクル(の前面及び背面)とレチクル(の前面)の両方に表面酸化物があるため、システム全体の透過率は、ペリクルのないシステムより2~3倍大きく変化する。ペリクル付きレチクルが定常状態に達するのにかかる時間は、ペリクルのないレチクルの場合より約10~100倍長い。結果として透過率は、定常状態に達するまでに約2~20個のウェーハで変動することがある。これは大きな生産性損失である。
[00051] しかしながら、壁部の外面から概ね矩形の開口に隣接する壁部の内面に及ぶ少なくとも1つの非線形流路を設けることによって、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間により良好な流体連通を提供することが可能になる。例えば、少なくとも1つの流路は、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間の水蒸気の分子流の流体コンダクタンスを増加させることができる。少なくとも1つの流路は非線形であるため、(例えば、アセンブリのポンプダウン及びベント中の)少なくとも1つの流路による粒子の弾道輸送を妨げることができる。
[00052] 少なくとも1つの流路は、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間のガス交換を加速させることによって、本発明の第1の態様に係る装置を使用した処理における又はリソグラフィ露光プロセス内のEUV露光中の使用時のアニールされたペリクル付きレチクルからの水分除去を促進することがある。
[00053] 少なくとも1つの流路は、壁部の外面から概ね矩形の開口に隣接する壁部の内面に及ぶ複雑な流路又はラビリンス流路を画定することがある。
[00054] 少なくとも1つの流路は、2つの対向した壁部のそれぞれに壁部の外面から壁部の内面にかけて設けられることがある。
[00055] 有利には、かかる構成はペリクルとレチクルの間に水素の流れを提供する適切な構成を提供する。一方の壁部にある少なくとも1つの流路は、かかる流れの入口を形成することがあり、対向した壁部はかかる流れの出口を形成することがある。これは、流れが実質的に一方向であることを可能にし、例えば交差流と呼ばれることがある。有利にはこれは、レチクルとペリクルの間の体積内のガスをリフレッシュし、ひいては水分除去を加速させ、重要表面上及び重要表面間の(還元中に活性種により生成される)水分子の滞留時間を短縮することができる。ペリクルは通常、最大100Paの過圧に耐えることができるため、ペリクル全体にかかる圧力差が約10~50Pa(安全のため2倍の余裕を持たせた)の大きな流れが提供される可能性がある。一部の実施形態では、レチクルとペリクルの間に約10~100Paの圧力で水素が提供されることもある。
[00056] 少なくとも1つの流路は、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間の流体コンダクタンスを少なくとも10倍増加させることがある。
[00057] この文脈で使用されるとき、2つの体積間の流体コンダクタンスがそれらの2つの体積間におけるガスの流れやすさの測度であることが理解されるであろう。例えば、流体コンダクタンスは、2つの体積間のガスの総通過量の2つの体積間の圧力差に対する比に比例することがある。
[00058] 少なくとも1つの流路は、レチクルとペリクルの間のガスを約10秒以内に置換できるように、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間の十分に高い流体コンダクタンスを提供することがある。レチクルとペリクルの間の体積は、約2mm×15cm×15cmの寸法を有することがある。つまり、体積は約0.045リットルである場合がある。したがって、もしこのガスが10秒で置換されるならば、これは0.27l/分の実際流量に相当することになる。ガスが10Paの圧力である場合、これは0.027正常ml/分の正常流量に相当する。1mm×1mmの寸法を有する流路の場合、これは4.5m/sの流速に相当する。好ましくは、少なくとも1つの流路は、少なくとも0.01正常ml/分の流れを可能にするために、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間の十分に高い流体コンダクタンスを提供することがある。より好ましくは、少なくとも1つの流路は、少なくとも0.03正常ml/分、より好ましくは、より高速な水蒸気除去を行うべく少なくとも0.3正常ml/分の流れを可能にするために、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間の十分に高い流体コンダクタンスを提供することがある。好ましくは、使用時にレチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間の正常流量は、ペリクル上の過圧及びペリクル破裂のリスクを回避するために5正常ml/分未満である。
[00059] 上述のように、レチクルとペリクルの間に画定される約0.045リットルの体積を約10秒以内に置換するために、1mm×1mmの寸法を有する流路の場合、流速は約4.5m/sである。これはレチクルとペリクルの間のガスに良好な混合/渦度をもたらすはずである。好ましくは流体ジェット速度は、100m/s未満、より好ましくは10m/s未満である。好ましくは流体ジェット速度は、3m/s以上など、少なくとも1m/sである。かかるジェットは、レチクルとペリクルの間のガスに良好な混合/渦度をもたらすことになる。ただし所望の速度値は、流路の数及び流路の寸法によって異なることがある。より高い流量を達成するために、流速を所望の範囲内に維持しながら、より多くの流路を提供し得る、又は流路の寸法を大きくし得ることが理解されるであろう。
[00060] ペリクルの少なくとも一部上に導電性コーティングが設けられることがある。
[00061] 例えば導電性コーティングが、ペリクルのボーダー上に、任意選択的にペリクルの膜に延びているがレチクルの品質エリアのEUV照射を妨げないように設けられることがある。導電性コーティングはペリクルボーダーの前面に設けられることがある。
[00062] 本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様に係る装置と、本発明の第3の態様に係る少なくとも1つのアセンブリとを備えたシステムが提供される。
[00063] 本発明の第5の態様によれば、リソグラフィ装置用のレチクル-ペリクルアセンブリを処理する方法であって、レチクル-ペリクルアセンブリを提供すること、レチクル-ペリクルアセンブリを支持すること、レチクル-ペリクルアセンブリの近くに水素を供給すること、及び電子をレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、入射電子の少なくとも一部分がペリクルを通ってレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルに向かって伝搬するように誘導することを含む方法が提供される。
[00064] 本発明の第5の態様に係る方法は、ペリクルを通ってレチクルに伝搬する入射電子の少なくとも一部分が、レチクル-ペリクルアセンブリの近くに供給される水素と相互作用してH、H、H 、H などの活性種を生成するため、レチクル-ペリクルアセンブリが還元されることを可能にする。これらの活性種は、レチクルの前面などの(部分的に)酸化された表面を還元する、及び/又は吸着された酸素の脱着を促進することができる。
[00065] 方法は、本発明の第1の態様に係る装置を使用して実行されることがある。
[00066] レチクル-ペリクルアセンブリは、本発明の第3の態様に係るアセンブリである場合がある。
[00067] 水素は、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルとペリクルの間に誘導されることがある。
[00068] つまり水素は、ペリクルとレチクルの間の水素の流れとして提供される。かかる流れは、実質的に一方向である場合があり、例えば交差流と呼ばれることがある。有利には、これは、レチクルとペリクルの間の体積内のガスをリフレッシュし、ひいては水分除去を加速させ、重要表面上及び重要表面間の(還元中に活性種により生成される)水分子の滞留時間を短縮することができる。ペリクルは通常、最大100Paの過圧に耐えることができるため、ペリクルにかかる圧力差が約10~50Pa(安全のために2倍の余裕を持たせた)の大きな流れが提供される可能性がある。一部の実施形態では、レチクルとペリクルの間に約10~100Paの圧力で水素が提供されることもある。
[00069] 水素は50~100Pa範囲内の圧力で供給されることがある。
[00070] かかる構成によって、ペリクルとレチクルの間(及び、任意選択的にペリクルの前面より上)の水素圧力は、EUVリソグラフィ装置内の典型的な値である5~10Paから引き上げられることがある。有利には、これは電子源からの照射及び/又は制動放射として放出され得るDUV又はVUV放射の下で活性種の生成を増やすことができる。
[00071] 方法は、レチクル-ペリクルアセンブリの温度を制御することを更に含むことがある。これがレチクル-ペリクルアセンブリの加熱又は冷却を伴い得ることが理解されるであろう。
[00072] 方法は、レチクル-ペリクルアセンブリに電子シンクを設けることを更に含むことがある。
[00073] 方法は、レチクルの前面とペリクル膜との間に電気的接続を提供することを更に含むことがある。
[00074] 有利には、これは、レチクル及びペリクルにかかる(ペリクルに静電圧をかける可能性がある)バイアス電圧を減らすことができる。
[00075] 入射電子のペリクルを通って伝搬する部分は500eV未満のエネルギーを有することがある。
[00076] 一部の実施形態では、入射電子のペリクルを通って伝搬する部分は100eV未満のエネルギーを有する。これによって、ペリクルがレチクルへの静電引力によって破裂しないことが保証されることがある(ペリクルは、レチクルに約200Vの電圧降下がある場合に破損することが知られている)。
[00077] 方法は、電子源による帯電を少なくとも部分的に補償するために、電磁放射をペリクルに誘導して光電流をペリクルに提供することを更に含むことがある。
[00078] ペリクルを通って伝搬する入射電子の一部分は、ペリクルにおいて1より大きい二次電子収率を達成するのに十分なエネルギーを有することがある。
[00079] これは、ペリクルにより一旦減衰された電子が約100~300eVのエネルギーを有する場合に達成されることがある。有利には、かかる構成によって、レチクル及びペリクルにかかるバイアス電圧が、ペリクルのみが接地されている間に最小限に抑えられることがある。
[00080] 方法は、内部にレチクル-ペリクルアセンブリを支持し水素が供給されるエンクロージャを提供することを含むことがある。
[00081] 電子をレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、入射電子の少なくとも一部分がペリクルを通ってレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルに向かって伝搬するように誘導することは、レチクル-ペリクルアセンブリの表面に電子ビームを走査することを含むことがある。
[00082] 電子をレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、入射電子の少なくとも一部分がペリクルを通ってレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルに向かって伝搬するように誘導することは、レチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの表面に電子ビームを分配することを含むことがある。
[00083] これは電子光学系を使用して達成されることがある。電子光学系は静電集束光学系を含むことがある。電子光学系は、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの表面に電子ビームを実質的に均一に分配するように動作可能である場合がある。つまり、電子光学系は、レチクル-ペリクルアセンブリの全エリアの均一な照射を提供するように構成されることがある。
[00084] 本発明の第6の態様によれば、オブジェクトを支持するためのサポートと、サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに水素を供給するように動作可能な水素供給と、サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに磁場を発生させるように動作可能な磁場発生器とを備えた装置が提供される。
[00085] 本発明の第6の態様に係る装置は、これより考察するように有利である。装置は、EUVリソグラフィ装置内に提供されることがある。サポートはレチクルステージである場合がある。オブジェクトはレチクル-ペリクルアセンブリである場合がある。
[00086] オブジェクトは、サポートに背向する表面を有することがある。水素供給は、サポートにより支持されているときのオブジェクトのこの表面の近くに水素を供給するように動作可能である場合がある。磁場発生器は、サポートにより支持されているときのオブジェクトのこの表面の近くに磁場を発生させるように動作可能である場合がある。
[00087] 水素供給は、オブジェクト(例えばレチクル-ペリクルアセンブリ)の表面に洗浄効果をもたらすことができる。水素の流れは、オブジェクトの表面に入射するデブリの量を減らすことがある。装置は、EUVリソグラフィ装置内で利用されることがあり、EUV放射の存在下において、水素供給からの水素ガスはオブジェクトの近くにプラズマを形成することがある。このプラズマは、オブジェクトの表面に洗浄効果をもたらすことになり、(表面を還元するために)オブジェクトの表面上の酸素と反応し、かかるデブリの除去を助けるために表面上のデブリと反応する。
[00088] EUVリソグラフィ装置で使用されるペリクルは通常、シリコンと炭素の化合物から形成される。これらの材料は、水素誘起ガス放出(HIO)に悩まされる。いくつかの反応段階を経て、水素はかかるペリクルの(自然)酸化物シェルを除去し、次いでシリコン又は炭素コアを除去する。シリコンベースのペリクルの場合、この水素プラズマによるシリコンコアのエッチングはシランSiHを形成するのに対して、炭素ベースのペリクルの場合、この水素プラズマによる炭素コアのエッチングはメタン化合物を形成する。このプラズマエッチングを防ぐ又は減らすために、ペリクルを保護し得るエッチ耐性のあるキャッピング材料を開発することが望ましい場合がある。ただし、水素不透過性が十分なかかるキャッピング材料を見つけることは簡単ではない。
[00089] ペリクルをエッチングするプラズマは水素イオン及び電子を含む。有利には、第6の態様に係る装置の磁場源は、ローレンツ力を介してこれらの荷電粒子に作用するように動作可能であり、そうする際にこれらの荷電粒子(具体的には水素イオン)をペリクルの表面から離れる方に誘導することができる。有利には、これはプラズマエッチング速度を減少させることによって、ペリクルの寿命を延長することができる。
[00090] 磁場発生器は、サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに磁場を発生させるように動作可能である場合があり、磁場の強度は、サポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下する。
[00091] 例えば磁場発生器は、双極子軸又は双極子磁石の平面がサポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に垂直になるように配置された1つ以上の双極子磁石を備えることがある。1つ以上の双極子磁石は、サポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に又は表面の後に配設されることがある。かかる構成によって、磁力線は、サポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に平行な成分を有することになる。
[00092] 有利には、サポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下する磁場を作り出すことによって、粒子がオブジェクトの表面に向かって移動するときに、磁場の増加を経験することになる。次いで、粒子の磁場に垂直な速度は上昇し、粒子の磁場に平行な速度は低下する。荷電粒子の少なくともある部分について、粒子の磁場に平行な速度はゼロまで減少することになり、粒子は方向が逆になる。かかる構成は磁気ミラーとして知られている。
[00093] 磁場発生器は、コイルと、コイルに電流を発生させるように動作可能な電源とを備えることがある。コイルの平面は、サポート及びサポートにより支持されるオブジェクトの平面に概ね平行である場合がある。
[00094] コイルは、サポート及び/又はサポートにより支持されたオブジェクトを概ね取り囲むことがある。かかる構成によって、磁場は、コイルの中心に概ね垂直でこれを通過するライン又は軸に関して対称となり、磁場強度はサポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下することになる。
[00095] 磁場発生器は、サポートの平面に分布させた複数の磁石を備えることがある。複数の磁石のそれぞれは、サポート及びサポートにより支持されたオブジェクトの平面に概ね垂直に配向された双極子を有することがある。
[00096] 各磁石は、その双極子モーメントに垂直な方向に細長い場合がある。
[00097] かかる構成によって、各磁石は、その磁石の双極子モーメントに概ね平行である平面に関して局所的に対称となり、サポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下することになる磁場強度を有する磁場を生成することになる。
[00098] サポートの平面に分布させた複数の磁石のうちの隣接する磁石の各対の双極子モーメントは逆平行である場合がある。
[00099] かかる構成によって、各磁石からの磁力線は、(反対の極性の)隣接する磁石間に延び、磁場強度は、サポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下することになる。磁石のそれぞれに隣接した磁場カスプが存在することになる。
[000100] 磁場発生器は、サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに磁場を発生させるように動作可能である場合があり、磁場はサポートにより支持されているときのオブジェクトの平面に概ね平行である。
[000101] この構成によって、荷電粒子が磁場を通ってオブジェクトの表面に向かって伝搬するときに、磁場内の螺旋路に向かって進むことになる。有利には、かかる粒子の少なくとも一部分は磁場内のこの螺旋路に閉じ込められることになり、オブジェクトの表面に入射することはない。
[000102] (サポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に概ね平行である)磁場の磁場強度は概ね均一である場合がある。
[000103] 磁場発生器は、一対の対向したコイルを備えることがあり、各コイルの平面は、サポートにより支持されているときのオブジェクトの平面に概ね垂直である。
[000104] 磁場発生器は、一対の対向したコイルのそれぞれに電流を発生させるように構成された1つ以上の電源を更に備えることがある。
[000105] 一対のコイルは概ね円形又は正方形である場合がある。一対の対向したコイルは、一般にヘルムホルツコイルの形態をしている場合がある。
[000106] 磁場発生器は、水素供給により供給された水素から形成されたプラズマ中に電流を発生させるように構成されている電源を備えることがある。
[000107] プラズマは、例えば水素ガスを通過するEUV放射によってオブジェクトの近くに形成されることがある。電源がプラズマに電流を流すとき、プラズマは電流密度ベクトルに垂直に寸法が収縮することになる。これはZピンチ閉じ込めとして知られている。
[000108] 磁場発生器は、プラズマ中に配設された2つの電極を備えることがあり、電源は、2つの電極間に電圧を印加するように動作可能である場合がある。つまり、電源とプラズマとが直接接触することがある。代替的に、電源はプラズマに誘導結合されることがあり、プラズマ中に電流を誘導するように構成されることがある。
[000109] 磁場発生器は、サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに、0.2T以上の磁場強度を有する磁場を発生させるように動作可能である場合がある。
[000110] 本発明の第7の態様によれば、サポートがレチクル-ペリクルアセンブリを支持するためのものである、本発明の第6の態様に係る装置を備えたリソグラフィ装置が提供される。
[000111] 磁場発生器が一対の対向したコイルを備え、各コイルの平面がサポートにより支持されているときのオブジェクトの平面に概ね垂直である実施形態において、一対の対向したコイルは、リソグラフィ装置のレチクルマスキングブレード上に配設されることがある。
[000112] 本発明の第8の態様によれば、オブジェクトを支持すること、オブジェクトの表面の近くに水素プラズマを発生させること、及びオブジェクトの表面の近くに、オブジェクトの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるように構成された磁場を発生させることを含む方法が提供される。
[000113] 本発明の第8の態様に係る方法は、これより考察するように有利である。方法は、EUVリソグラフィ装置内で利用されることがある。オブジェクトはレチクル-ペリクルアセンブリである場合がある。水素プラズマは、オブジェクト(例えば、レチクル-ペリクルアセンブリ)の表面に洗浄効果をもたらすことができる。ただし、シリコンと炭素の化合物から形成されるオブジェクト(EUVリソグラフィ装置で使用されるペリクルなど)は水素誘起ガス放出(HIO)に悩まされる。いくつかの反応段階を経て、水素プラズマはかかるオブジェクトの(自然)酸化物シェルを除去し、次いでシリコン又は炭素コアを除去する可能性がある。シリコンベースのペリクルの場合、この水素プラズマによるシリコンコアのエッチングはシランSiHを形成するのに対して、炭素ベースのペリクルの場合、この水素プラズマによる炭素コアのエッチングはメタン化合物を形成する。
[000114] 有利には、オブジェクトの表面の近くに、オブジェクトの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるように構成されている磁場を発生させることによって、プラズマエッチング速度を減少させ、これによってオブジェクトの寿命が延長される。磁場がローレンツ力を介してプラズマ中の荷電粒子に作用し、そうする際にこれらの荷電粒子(具体的には水素イオン)をペリクルの表面から離れる方に誘導することができることが理解されるであろう。
[000115] オブジェクトの表面の近くに水素プラズマを発生させることは、オブジェクトの表面の近くに水素を供給すること、及びプラズマを形成するために水素をEUV放射で照射することを含むことがある。
[000116] 発生させた磁場の強度は、オブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下することがある。
[000117] 有利には、オブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下する磁場を作り出すことによって、粒子がオブジェクトの表面に向かって移動するときに、磁場の増加を経験することになる。次いで、粒子の磁場に垂直な速度は上昇し、粒子の磁場に平行な速度は低下する。荷電粒子の少なくともある部分について、粒子の磁場に平行な速度はゼロまで減少することになり、粒子は方向が逆になる。かかる構成は磁気ミラーとして知られている。
[000118] 磁場は、コイルと、コイルに電流を発生させるように動作可能な電源とによって発生されることがあり、コイルの平面は、オブジェクトの表面の平面に概ね平行である場合がある。
[000119] コイルは、オブジェクト及び/又はオブジェクトを支持するためのサポートを概ね取り囲むことがある。かかる構成によって、磁場は、コイルの中心に概ね垂直でこれを通過するライン又は軸に関して対称になり、磁場強度はオブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下することになる。
[000120] 磁場は、オブジェクトの表面と反対の側に配設され、オブジェクトの表面に平行な平面に分布させた複数の磁石によって発生されることがある。各磁石は、オブジェクトの表面の平面に概ね垂直に配向された双極子を有することがある。
[000121] 各磁石は、その双極子モーメントに垂直な方向に細長い場合がある。かかる構成によって、各磁石は、その磁石の双極子モーメントに概ね平行である平面に関して局所的に対称になり、オブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下することになる磁場強度を有する磁場を生成することになる。
[000122] 複数の磁石のうちの隣接する磁石の各対の双極子モーメントは逆平行である場合がある。
[000123] かかる構成によって、各磁石からの磁力線は(反対の極性の)隣接する磁石間に延び、磁場強度は、オブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下することになる。磁石のそれぞれに隣接した磁場カスプが存在することになる。
[000124] 発生させた磁場は、オブジェクトの表面に概ね平行である場合がある。
[000125] この構成によって、荷電粒子が磁場を通ってオブジェクトの表面に向かって伝搬するときに、磁場内の螺旋路に向かって進むことになる。有利には、かかる粒子の少なくとも一部分は磁場内のこの螺旋路に閉じ込められることになり、オブジェクトの表面に入射することはない。
[000126] (オブジェクトの表面に概ね平行である)磁場の磁場強度は概ね均一である場合がある。
[000127] 磁場は一対の対向したコイルによって発生されることがあり、各コイルが延在する平面はオブジェクトの表面に概ね垂直である。
[000128] 一対のコイルは概ね円形又は正方形である場合がある。一対の対向したコイルは、一般にヘルムホルツコイルの形態をしている場合がある。
[000129] 磁場は、オブジェクトの表面の近くでプラズマ中に電流を発生させることによって発生されることがある。
[000130] 電流がプラズマ中を流れるとき、プラズマは電流密度ベクトルに垂直に寸法が収縮することになる。これはZピンチ閉じ込めとして知られている。
[000131] 発生させた磁場は0.2T以上の磁場強度を有することがある。
[000132] 上述されているか又は以下の説明で言及される1つ以上の態様又は特徴が、1つ以上の他の態様又は特徴と組み合わせられ得ることが理解されるであろう。
[000133] 本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として以下に説明する。
リソグラフィ装置及び放射源を備えたリソグラフィシステムの概略図である。 レチクル-ペリクルアセンブリを処理するための装置の第1の実施形態を示す。 レチクル-ペリクルアセンブリを処理するための装置の第2の実施形態を示す。 既知のレチクル-ペリクルアセンブリの互いに直交する2つの断面図を示す。 既知のレチクル-ペリクルアセンブリの互いに直交する2つの断面図を示す。 新規のレチクル-ペリクルアセンブリの互いに直交する2つの断面図を示す。 新規のレチクル-ペリクルアセンブリの互いに直交する2つの断面図を示す。 オブジェクトの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるために磁場を用いる本発明のある実施形態に係る装置の概略図である。 オブジェクトの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるために磁場を用いる本発明のある実施形態に係る別の装置の概略図である。 複数の磁石のレチクルの平面に対する位置を示す図7Aに示す装置の一部の概略平面図である。 オブジェクトの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるために磁場を用いる本発明のある実施形態に係る別の装置の概略図である。
[000134] 図1はリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備える。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを発生するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、レチクル又はマスク)を含むレチクルアセンブリ15を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。照明システムILは、パターニングデバイスMAに入射する前に放射ビームBを調整するように構成されている。投影システムは、放射ビームB(今やマスクMAによってパターニングされている)を基板W上に投影するように構成されている。基板Wは先に形成されたパターンを含んでいてもよい。その場合、リソグラフィ装置は、パターニングされた放射ビームBを先に基板W上に形成されたパターンと位置合わせする。
[000135] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSは全て外部環境から隔離できるように構築及び配置されることがある。放射源SO内に、大気圧よりも低い圧力のガス(例えば水素)が提供されることがある。照明システムIL及び/又は投影システムPS内に真空が提供されることがある。照明システムIL及び/又は投影システムPS内に、大気圧よりも十分に低い圧力の少量のガス(例えば水素)が提供されることがある。
[000136] 図1に示されている放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれ得るタイプである。例えばCO2レーザであり得るレーザ1は、レーザビーム2を介して、燃料放出器3から与えられるスズ(Sn)などの燃料にエネルギーを付与するように配置されている。以下の記載ではスズに言及するが、任意の適切な燃料が使用されることがある。燃料は、例えば液体の形態である場合や、例えば金属又は合金である場合がある。燃料放出器3は、例えば小滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って誘導するように構成されたノズルを備えることがある。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4でスズに入射する。レーザエネルギーのスズへの付与は、プラズマ形成領域4においてプラズマ7を生成する。プラズマイオンの脱励起及び再結合の間に、プラズマ7からEUV放射を含む放射が放出される。
[000137] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ5(より一般的に法線入射放射コレクタと呼ばれることがある)によって収集及び集束される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置されている多層構造を有することがある。コレクタ5は、2つの楕円焦点を有する楕円構成を有することがある。以下で考察するように、第1の焦点はプラズマ形成領域4にある場合があり、第2の焦点は中間焦点6にある場合がある。
[000138] レーザ生成プラズマ(LPP)源の他の実施形態では、コレクタ5は、EUV放射を斜入射角で受け取ってこのEUV放射を中間焦点に集束するように構成されている、いわゆる斜入射型コレクタである場合がある。斜入射型コレクタは、例えば複数の斜入射リフレクタを含む入れ子型コレクタである場合がある。斜入射リフレクタは、光軸を中心として軸対称に配置されることがある。
[000139] 放射源SOは、1つ以上の汚染トラップ(図示せず)を備えることがある。例えば汚染トラップは、プラズマ形成領域4と放射コレクタ5との間に位置することがある。汚染トラップは、例えば回転フォイルトラップであるか、又は他の任意の適切な形態の汚染トラップである場合がある。
[000140] レーザ1は放射源SOから分離していてもよい。その場合、レーザビーム2は、例えば適当な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えたビーム送出システム(図示しない)及び/又は他の光学部品の助けを借りて、レーザ1から放射源SOへと渡されてもよい。レーザ1及び放射源SOは、併せて放射システムと見なされ得る。
[000141] コレクタ5によって反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBは点6で集束されてプラズマ形成領域4の画像を形成し、これは照明システムILのための仮想放射源として作用する。放射ビームBが集束される点6は、中間焦点と称され得る。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの内包構造体9の開口8に又はその付近に位置するように配置される。
[000142] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームを調節するように構成されている照明システムIL内に進む。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を備えることがある。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、放射ビームBに所望の断面形状と所望の角度分布を与える。放射ビームBは、照明システムILから出射し、支持構造MTにより保持されたレチクルアセンブリ15に入射する。レチクルアセンブリ15は、パターニングデバイスMA及びペリクル19を含む。ペリクルは、ペリクルフレーム17を介してパターニングデバイスMAに取り付けられる。レチクルアセンブリ15は、レチクル及びペリクルアセンブリ15と呼ぶことができる。パターニングデバイスMAは、放射ビームBを反射しこれにパターンを付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを備えることもある。
[000143] パターニングデバイスMAからの反射に続き、パターニングされた放射ビームBは、投影システムPSに進入する。投影システムは、基板テーブルWTによって保持される基板Wに放射ビームBを投影するように構成された複数のミラー13,14を備える。投影システムPSはある縮小係数を放射ビームに適用してもよく、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さなフィーチャを有する画像を形成する。例えば、4という縮小係数が適用され得る。図1では投影システムPSは2つのミラー13,14を有しているが、投影システムPSは任意の数のミラー(例えば6つのミラー)を含んでいてもよい。
[000144] リソグラフィ装置は、例えばスキャンモードで使用されることがある。スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンしながら、放射ビームに付与されたパターンを基板Wに投影する(すなわち動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの縮小及び像反転特性によって決定されることがある。基板Wに入射するパターン付与された放射ビームは、ある放射帯を含むことがある。この放射帯は露光スリットと呼ばれることがある。スキャン露光中、露光スリットが基板Wの露光フィールド上を進んでいくように基板テーブルWT及び支持構造MTが移動することがある。
[000145] 図1に示されている放射源SO及び/又はリソグラフィ装置は、図示されていないコンポーネントを備えることがある。例えば、放射源SO内にスペクトルフィルタが提供されることがある。スペクトルフィルタは、EUV放射に対して実質的に透過性であるが、赤外線放射のような他の波長の放射を実質的に阻止することがある。
[000146] リソグラフィシステムの他の実施形態では、放射源SOは他の形態をとることもある。例えば代替的な実施形態では、放射源SOは1つ以上の自由電子レーザを含むことがある。1つ以上の自由電子レーザは、1つ以上のリソグラフィ装置に提供され得るEUV放射を放出するように構成されることがある。
[000147] 以上で簡単に述べたように、レチクルアセンブリ15は、パターニングデバイスMAに隣接して設けられているペリクル19を備える。ペリクル19は放射ビームBの経路内に設けられているので、放射ビームBは、照明システムILからパターニングデバイスMAに近付く時、及びパターニングデバイスMAによって反射されて投影システムPSに向かう時の両方でペリクル19を通過する。ペリクル19は、EUV放射に対して実質的に透過性である(が、少量のEUV放射を吸収することになる)薄膜又は膜を含む。本明細書において、EUV透過ペリクル又はEUV放射に対して実質的に透過性である膜とは、ペリクル19がEUV放射の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくはEUV放射の少なくとも90%に対して透過性であることを意味する。ペリクル19は、パターニングデバイスMAを粒子汚染から保護する役割を果たす。
[000148] リソグラフィ装置LA内部でクリーンな環境を維持するように努力しても、リソグラフィ装置LA内部に依然として粒子が存在する場合がある。ペリクル19がなければ、粒子がパターニングデバイスMA上に付着されることがある。パターニングデバイスMA上の粒子は、放射ビームBに付与されるパターン、ひいては基板Wに転写されるパターンに悪影響を及ぼす恐れがある。ペリクル19は、有利なことにパターニングデバイスMA上に粒子が付着されるのを防止するために、パターニングデバイスMAとリソグラフィ装置LA内の環境との間にバリアを与える。
[000149] ペリクル19は、ペリクル19の表面に入射する粒子がリソグラフィ装置LAのフィールド面内に存在しないように十分な距離だけパターニングデバイスMAから離して位置決めされている。ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間のこの間隔は、ペリクル19の表面上の粒子が基板W上に結像される放射ビームBにパターンを付与する程度を抑える役割を果たす。粒子が放射ビームB内に存在しても、その位置が放射ビームBのフィールド面内でない(すなわちパターニングデバイスMAの表面でない)場合、この粒子の像は基板Wの表面で焦点外になることが理解されるであろう。他に考慮すべき事項が存在しないならば、ペリクル19をパターニングデバイスMAからかなり離れた距離に位置決めすることが望ましい場合がある。しかしながら実際は、リソグラフィ装置LA内に他のコンポーネントが存在するので、ペリクルを収容するために利用可能な空間は限られている。一部の実施形態では、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の間隔は、例えば約1mm~10mm、例えば1mm~5mm、例えば2mm~2.5mmである場合がある。
[000150] ペリクルはボーダー部及び膜を含むことがある。ペリクルのボーダー部は中空で概ね矩形である場合があり、膜はボーダー部によって囲まれていることがある。当技術分野で知られているように、ペリクルは1つ以上の薄い材料層を概ね矩形のシリコン基板上に堆積させることによって形成されることがある。シリコン基板は、ペリクルの構築のこの段階の間1つ以上の薄層を支持する。層の所望の又は目標厚さ及び組成が一旦適用されると、シリコン基板の中央部がエッチングによって除去される(これはバックエッチングと呼ばれることがある)。矩形のシリコン基板の周辺部はエッチングされない(代替的には中央部よりエッチングの程度が少ない)。この周辺部は最終ペリクルのボーダー部を形成する一方、1つ以上の薄層はペリクルの(ボーダー部により囲まれている)膜を形成する。ペリクルのボーダー部はシリコンから形成されていることがある。
[000151] かかるペリクルは、より剛性の高いペリクルフレームからのある程度のサポートを必要とすることがある。ペリクルフレームは2つの機能を提供することがある。第1に、ペリクルフレームはペリクルを支持することがあり、またペリクル膜をぴんと張ることがある。第2に、ペリクルフレームは、ペリクルのパターニングデバイス(レチクル)との接続を促進することがある。1つの既知の構成では、ペリクルフレームは、ペリクルのボーダー部に糊付けされている概ね矩形の本体部及びこの本体の側部に糊付けされているチタン取付機構を備えることがある。パターニングデバイス(レチクル)には中間固定部材(スタッドとして知られている)が固定されている。パターニングデバイス(レチクル)上の中間固定部材(スタッド)は、ペリクルフレームの取付部材と係合する(例えば解放可能に係合する)ことがある。
[000152] レチクルアセンブリが、ペリクルをペリクルフレームに取り付けることによって、またペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けることによって、リソグラフィ装置での使用のために用意されることがある。パターニングデバイスMAと、ペリクルフレームによりパターニングデバイスに隣接して支持されるペリクルとを備えたレチクルアセンブリが、リソグラフィ装置LAから遠隔で用意されることがあり、レチクルアセンブリは、リソグラフィ装置LAでの使用のためにリソグラフィ装置LAに輸送されることがある。例えば、ペリクルを支持するペリクルフレームが、レチクルアセンブリを形成するために、パターンがパターニングデバイス上に付与される場所においてパターニングデバイスに取り付けられることがある。次いでレチクルアセンブリは、リソグラフィ装置LAが位置する別の場所に輸送されることがあり、レチクルアセンブリはリソグラフィ装置LAでの使用のためにリソグラフィ装置LAに提供されることがある。
[000153] レチクルアセンブリ15が空気にさらされると、アセンブリの表面は部分的に酸化するものである。この部分酸化はレチクルMAの反射率及びペリクル19の透過率に影響を及ぼし、望ましいものではない。更に、反射率への影響は一般にレチクルMAの全体で異なるものとなり、透過率への影響は一般にペリクル19の全体で異なるものとなる。EUVリソグラフィ装置内において、基板テーブルWT(レチクルステージとも呼ばれる)の近くに水素が提供されることがある。ペリクルのないレチクルの場合、EUV放射の存在下でこの水素ガスは、レチクルの部分的に酸化された表面を還元し、反射率を一貫した公称レベルに戻すことになるプラズマを形成するものである。通常、ペリクルのないレチクルの反射率は、以前に空気にさらされたレチクルが最初にEUVにさらされた後に定常状態に達する場合にいくつかのダイで変動する。かかる反射率変動の生産性損失は、約数10分である場合があり、したがって許容できる場合がある。
[000154] しかしながら、以下で考察するように、レチクル-ペリクルアセンブリ15の部分的に酸化された表面の還元はより困難である。本発明の実施形態は、具体的にはかかるレチクル-ペリクルアセンブリ15を還元し、そこから酸化を取り除くために、極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置内で使用されるレチクル-ペリクルアセンブリ15を処理するための装置及び関連方法に関する。本発明の実施形態はまた、レチクル-ペリクルアセンブリ15を処理するためのかかる装置及び方法での使用に特に適し得るレチクル-ペリクルアセンブリ15に関する。
[000155] レチクル-ペリクルアセンブリ15(ペリクル付きレチクルとしても知られている)の場合、レチクルMAの前面及びペリクル19の対向面に入射する水素プラズマからの活性種のフラックスは大幅に減少する。これは、ペリクル19の膜がEUVビームで生成される種に対するバリアをペリクル19の前面に隣接して形成するためである。更に、レチクルMAとペリクル19の間の体積内に生成される活性種は、レチクルMAとペリクル19の表面で部分的に急冷(再結合、会合)されるものであり、この効果は酸素引き抜きに使用可能な活性種のフラックスを更に減少させる。
[000156] また、レチクルMAの前面及びペリクル19の背面から放出される水及び/又は酸素は、ペリクル19とレチクルMAの間の体積から容易に出ることができない(通常はペリクルフレームとレチクルMAの前面との間には非常に狭いスリットのみが設けられる)。更に、ペリクル膜とレチクルMAの前面との間に閉じ込められた酸素及び水が、取り戻される(レチクルMA及びペリクル19を再酸化させるか又は吸着される)可能性があり、透過率回復時間が延びる可能性がある。ペリクル19(の前面及び背面)とレチクルMA(の前面)の両方に表面酸化物があるため、システム全体の透過率は、ペリクルのないシステムより2~3倍大きく変化する。ペリクル付きレチクルが定常状態に達するのにかかる時間は、ペリクルのないレチクルの場合より約10~100倍長い。結果として透過率は、定常状態に達するまでに約2~20個のウェーハで変動することがある。これは大きな生産性損失である。
[000157] 図2は、レチクル-ペリクルアセンブリを処理するための装置200の第1の実施形態を示している。図2には、装置200において処理されるレチクル-ペリクルアセンブリも示されている。
[000158] 装置は、サポート220と、水素供給250と、電子源210とを備える。
[000159] サポート220は、レチクル-ペリクルアセンブリを支持するためのものである。図2では、レチクル-ペリクルアセンブリがサポート220によって支持されている様子が示されている。
[000160] レチクル-ペリクルアセンブリはレチクル及びペリクルを含む。
[000161] レチクルは、前面及び後面231を有するレチクル基板230を含む。前面には中央品質エリア233(像形成部とも呼ばれる)が設けられ、周辺非結像エリア234によって囲まれている。中央品質エリア233及び周辺非結像エリア234は、それぞれレチクル基板上に配設された多層ミラーを備えることがある。多層ミラーはEUV放射を反射するように構成されることがある。中央品質エリア233には、(使用時に中央品質エリア233から反射されたEUV放射ビームに付与されたパターンを形成するために)多層ミラー上にパターン化された吸収層が設けられることも理解されるであろう。中央品質エリア233及び周辺非結像エリア234は、(通常は非反射材料を含む)黒枠232によって分離されている。
[000162] ペリクルは、ペリクルボーダー241により囲まれたペリクル膜240を含む。ペリクルはペリクルフレーム245によって支持されている。例えば、ペリクルボーダー241は、例えばペリクル膜240をピンと張った状態でペリクルフレーム245に接着されていることがある。
[000163] ペリクルフレーム245は、ペリクルのレチクルとの接続を容易にするためにレチクルの非結像エリア234に接続されている。この接続は、接続244としてかなり概略的に示されている。ペリクルフレーム245が取付機構を備え得ること、及び中間固定部材(スタッドとして知られている)がレチクルの非結像エリア234に固定され得ることが理解されるであろう。レチクル上の中間固定部材(スタッド)は、接続244を提供するためにペリクルフレーム245の取付部材と係合する(例えば解放可能に係合する)ことがある。
[000164] 図2に示すレチクル-ペリクルアセンブリは、使用時に、例えば装置200で処理された後に、図1に示したサポート構造MT上に取り付けられることがある。
[000165] サポート220は複数のシェルフ部222を備え、シェルフ部222は、レチクル-ペリクルアセンブリがペリクルをペリクルボーダー245の近くでシェルフ部と接触した状態で支持され得るように構成されている。サポート220は、ペリクルの反対側の縁部を支持するように構成されたかかる2つのシェルフ部222を備えることがある。代替的にサポート220は、ペリクルの4つの全ての縁部を支持するように構成されたかかる4つのシェルフ部222を備えることがある。
[000166] 水素供給250は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの近くに水素252を供給するように動作可能である。任意選択的に、装置200は、サポート220が配設されているエンクロージャ260を更に備えることがある。水素供給250は、水素252をエンクロージャに供給するように動作可能である場合がある。エンクロージャには1つ以上のポンプ262(例えば真空ポンプ)が設けられ得ることが理解されるであろう。水素供給250及びポンプ262は、エンクロージャ260内の圧力を制御するのに使用されることがある。水素供給250及びポンプ262は、装置200の圧力制御システムの一部を構成するものと見なされることがある。
[000167] 代替的に装置200は、エンクロージャを有するのではなくむしろ、別の装置内の制御環境内に設けられることがある。例えば装置200は、図1に示すタイプのリソグラフィ装置の一部内に設けられることがある。
[000168] 電子源210は電子銃を備えることがある。電子銃は高圧電子銃である場合がある。電子銃は、約1~100Paの圧力を有する動作環境で動作するように動作可能である場合がある。
[000169] 電子源210は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように電子212を誘導するように動作可能である。具体的には電子源210は、電子212をペリクル膜240の一部243に誘導するように動作可能である。
[000170] 装置200は、電子源210及びサポート220の少なくとも一方を移動させるように動作可能なスキャン機構を更に備える。電子源210は、矢印211で概略的に示されるように、サポート200により支持されたペリクル膜240に概ね平行な平面内で移動可能である場合がある。図2の一重矢印211で示されているが、一般に電子源210がペリクル膜240に概ね平行な平面内で2次元で移動可能であり得ることが理解されるであろう。付加的に又は代替的に、サポート220は、矢印221で概略的に示されるように、サポート220により支持されたペリクル膜240に概ね平行な平面内で移動可能である場合がある。図2の一重矢印221で示されているが、一般にサポート220がペリクル膜240に概ね平行な平面内で2次元で移動可能であり得ることが理解されるであろう。かかるスキャン機構によって、電子源210により放出された電子212は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの異なる部分のある範囲243に誘導される可能性がある。
[000171] 一実施形態では、電子源210により出力された電子ビーム212を、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの表面に走査するためにサポート220に対して移動可能な電子銃210が提供されることがある。これによって、市販の電子源がペリクル膜240の実質的に全エリアを処理することが可能になることがある。
[000172] 図2に示す装置200の電子源210は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように電子212を誘導するように動作可能である。かかる入射電子の少なくとも一部分はペリクルを通ってレチクルに伝搬することになる。電子は水素源250からの水素252と相互作用して、レチクルの前面などの(部分的に)酸化された表面を還元し得る、及び/又は吸着された酸素の脱着を促進し得るH、H、H 、H などの活性種を生成することができる。
[000173] 装置200には、これより考察する電子シンクが更に設けられる。具体的には、使用時にレチクル-ペリクルアセンブリに接触するサポート220の一部が電子シンクを備える。例えば、使用時にレチクル-ペリクルアセンブリに接触するサポート220の一部(例えばシェルフ部222)は接地されていることがある。この例では、使用時にレチクル-ペリクルアセンブリに接触するサポート220の一部は、ペリクルの一部に接触するシェルフ部222を含む。ただし一般には、使用時にレチクル-ペリクルアセンブリに接触するサポートの一部は、ペリクルの一部及び/又はレチクルの一部に接触することがある。かかる電子シンクは、ペリクルがレチクル及び/又はペリクルに発生する静電圧又はスパーク損傷によって破裂するほどの電荷を蓄積するのを防ぐことがある。また、ペリクルが電子源210から放出される以降の電子212に影響を及ぼすほどの電荷を蓄積するのを防ぐこともある。
[000174] この実施形態では、ペリクルの一部上に導電性コーティング242が設けられる。例えば導電性コーティング242が、ペリクルのペリクルボーダー241の一部分を含む一部分上に設けられる。導電性コーティング242はまた、ペリクル膜240上に部分的に延びる。ただし導電性コーティング242は、レチクルの品質エリア233を遮るほど遠くに延びることはない(リソグラフィ露光中の品質エリア233のEUV照射を遮らない)。導電性コーティング233はペリクルの前面に設けられ、サポート220に接触する。
[000175] 図3は、レチクル-ペリクルアセンブリを処理するための装置300の第2の実施形態を示している。図3には、装置300において処理されるレチクル-ペリクルアセンブリも示されている。図3に示す装置300は、図2に示した装置200と共通の多くの特徴を共有する。図2に示した装置200と図3に示す装置300の両方に共通のかかる特徴はいずれも共通の参照番号を共有し、以下で詳細に考察されることはない。以下では、図3に示す装置300と図2に示した装置200との相違点が説明されることになる。
[000176] 装置はサポート220と、水素供給250と、電子源310とを備える。
[000177] レチクル-ペリクルアセンブリはレチクル及びペリクルを含み、ペリクルが変更されたペリクルフレーム345を介してレチクルに接続されていることを除いて、図2を参照して以上で説明したのと実質的に同じである。
[000178] 水素供給250は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの近くに水素252を供給するように動作可能である。具体的にこの実施形態では、水素供給250は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルとペリクルの間に水素を誘導するように構成された1つ以上のノズル360を備える。これを容易にするために、変更されたペリクルフレーム345に1つ以上の流路362が設けられる。1つ以上の流路362は、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間により良好な流体連通を提供する。1つ以上のノズル360のそれぞれは、これらの流路362のうちの隣接する1つの流路であり、水素を流路362を通ってサポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルとペリクルの間に誘導するように構成されている。ノズル360と隣接する流路362とのかかる構成は、レチクルとペリクルの間に画定される体積への入口を構成するものと見なされることがある。かかる入口に加えて、1つ以上の流路362には関連するノズルが設けられないことがあり、これらの流路362は、レチクルとペリクルの間に画定される体積からの出口を構成するものと見なされることがある。入口はレチクル-ペリクルアセンブリの一方の側に配置されることがあり、出口はレチクル-ペリクルアセンブリの反対側に配置されることがある。
[000179] 一実施形態では、変更されたレチクルフレーム345は、概ね図5A及び図5Bを参照して以下で説明されるレチクルフレームの形態をしている場合がある。
[000180] この実施形態では、水素供給250は、水素361の流れをペリクルとレチクルの間(上記の入口と出口の間)に提供するように動作可能である。かかる流れは、実質的に一方向である場合があり、例えば交差流と呼ばれることがある。有利にはこれは、レチクルとペリクルの間の体積内のガスをリフレッシュし、ひいては水分除去を加速させ、重要表面上及び重要表面間の(還元中に活性種により生成される)水分子の滞留時間を短縮することができる。ペリクルは通常、最大100Paの過圧に耐えることができるため、ペリクルにかかる圧力差が約10~50Pa(安全のために2倍の余裕を持たせた)の大きな流れが提供される可能性がある。一部の実施形態では、レチクルとペリクルの間に約10~100Paの圧力で水素が提供されることもある。
[000181] 図2に示した装置200と同様に、図3の装置300は、図2を参照して実質的に以上で説明したように、エンクロージャ260及び関連するポンプ262を更に備えることがある。1つ以上のノズルで水素を供給することに加えて、水素供給250が水素の流れをかかるエンクロージャ260の主要部に提供するように動作可能であり得ることが理解されるであろう。代替的に、装置300はエンクロージャを有するのではなくむしろ、別の装置内の制御環境内に設けられることがある。例えば装置300は、図1に示すタイプのリソグラフィ装置の一部内に設けられることがある。
[000182] 電子源310は電子銃を備えることがある。電子銃は高圧電子銃である場合がある。電子銃は、約1~100Paの圧力を有する動作環境で動作するように動作可能である場合がある。電子源310は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように電子311を誘導するように動作可能である。
[000183] この実施形態では、装置300は、電子源から電子ビーム311を受け取り、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクル膜240の表面に電子ビームを分配するように構成された電子光学系312を更に備える。電子光学系312は電子源から電子ビーム311を受け取り、空間的に拡大した電子ビーム313を出力する。
[000184] 電子光学系312は、静電集束光学系を含むことがある。電子光学系312は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクル膜240の表面に電子ビームを実質的に均一に分配するように動作可能である場合がある。つまり、電子光学系312は、レチクル-ペリクルアセンブリの全エリアの均一な照射を提供するように構成されることがある。
[000185] 図3に示す装置300の電子源310は、サポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように電子313を誘導するように動作可能である。かかる入射電子の少なくとも一部分はペリクルを通ってレチクルに伝搬することになる。電子は水素源250からの水素361の流れと相互作用して、レチクルの前面などの(部分的に)酸化された表面を還元し得る、及び/又は吸着された酸素の脱着を促進し得るH、H、H 、H などの活性種を生成することができる。
[000186] 装置300には、これより考察する電子シンクが更に設けられる。
[000187] 装置300は、電磁放射をペリクルに誘導するように動作可能な電磁放射源370を更に備える。例えば、かかる電磁放射源は、レーザ、例えば紫外線(UV)又は深紫外線(DUV)レーザを含むことがある。かかる電磁放射源は、(例えば、光電効果を介して電子を放出することによって)電子源による帯電を補償するために光電流をペリクルに提供するように動作可能である。
[000188] 付加的に又は代替的に、電子シンクが(図2を参照して以上で説明したように)接地されたサポートとの電気的接触を介して設けられることがある。
[000189] 図2に示した装置200又は図3に示した装置300に適用され得る一部の特徴及びパラメータは考察しない。
[000190] 電子源210、310により生成される電子が、洗浄効果をもたらし酸化物層を除去するために単一エネルギーである必要はないことに留意されたい。更に、電子源210、310からの一次電子は、物質中を伝搬するときに電磁シャワーを生じさせ、二次電子及び制動放射を生じさせることがある。かかる二次電子及び制動放射はまた、一般に洗浄効果をもたらし酸化物層を除去することになる。
[000191] 一部の実施形態では、水素供給250は、水素を50~100Pa範囲内の圧力で供給するように動作可能である。具体的に図3に示す装置300では、水素供給250は、50~100Pa範囲内の圧力でサポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルとペリクルの間に水素を誘導するように動作可能である場合がある。
[000192] かかる構成によって、ペリクルとレチクルの間(及び、任意選択的にペリクルの前面より上)の水素圧力は、EUVリソグラフィ装置内の典型的な値である5~10Paから引き上げられることがある。有利には、これは電子源からの照射及び/又は制動放射として放出され得るDUV又はVUV放射の下で活性種の生成を増やすことができる。
[000193] 一部の実施形態では、装置200、300は、サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を制御するように動作可能な熱調節ユニットを更に備えることがある。
[000194] 例えば、かかる熱調節ユニットは、サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を上げるように動作可能なヒータを備えることがある。電子源によってレチクル-ペリクルアセンブリにいくらかの熱が提供されることになる。ヒータにより提供される追加の熱は、水のガス放出を促進して関連表面上に水が滞留する時間を短縮することがある。滞留時間が、レチクル-ペリクルアセンブリの温度が10℃上昇するごとに2分の1~10分の1に短縮され得ることが予想される。
[000195] ヒータは、例えばペリクル及び/又はレチクルを照射するように動作可能な放射源を備えることがある。例えば図3に示す実施形態の放射源370は、かかるヒータを提供するものと見なされることがある。付加的に又は代替的に、熱は任意の他の方法で(例えば、レチクル基板230の後面231との熱的接触を介して)提供されることがある。
[000196] 一部の実施形態では、熱調節ユニットは、サポート220により支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を下げるように動作可能な冷却システムを備えることがある。かかる冷却がない場合、上記の装置200、300を使用してレチクル-ペリクルアセンブリを洗浄するプロセスが、レチクル-ペリクルアセンブリの温度を上昇させ得ることが理解されるであろう。例えば使用時に、電子源210、310はアセンブリに約10~100Wの熱負荷を与えることがある。ただし、レチクル-ペリクルアセンブリが、レチクルステージにクランプされリソグラフィプロセスの一部として使用され得る前に、レチクルステージMTと実質的に同じ温度であることが重要である場合がある。冷却システムを設けることは、レチクル-ペリクルアセンブリがレチクルステージMTに安全にクランプされ得るまでの洗浄プロセス後にかかる時間を短縮することがある。
[000197] 一部の実施形態では、サポート220によりレチクル-膜アセンブリが支持されているとき、サポート220はレチクルの前面とペリクル膜との電気的接続を提供することがある。有利には、これは、レチクル及びペリクルにかかる(ペリクルに静電圧をかける可能性がある)バイアス電圧を減らすことができる。
[000198] 一部の実施形態では、電子源は210、310は、電子をサポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように誘導して、ペリクルを通って伝搬する電子の一部分が500eV未満のエネルギーを有するように構成されている。一部の実施形態では、電子源210、310は、ペリクルを通って伝搬する電子の一部分が100eV未満のエネルギーを有するように構成されることがある。これによって、ペリクル膜240がレチクルへの静電引力によって破裂しないことが保証されることがある(ペリクルは、レチクルに約200Vの電圧降下がある場合に破損することが知られている)。
[000199] 一部の実施形態では、電子源は210、310は、電子をサポート220により支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように誘導して、ペリクル膜240を通って伝搬する電子の一部分がレチクルにおいて1より大きい二次電子収率を達成するように構成されている。これは、ペリクルにより一旦減衰された電子源からの電子ビームが約100~300eVのエネルギーを有する場合に達成されることがある。有利には、かかる構成によって、レチクル及びペリクルにかかるバイアス電圧が、ペリクルのみが接地されている間に最小限に抑えられることがある。
[000200] 一部の実施形態では、レチクルに衝突する電子のエネルギーは、電子がレチクル上の多層ミラー構造の最初の数層に吸収されるように選択されることがある。電子が(超低膨張材料から形成され得る)レチクル基板230内に伝搬することは望ましくない場合がある。
[000201] 一部の実施形態では、レチクル-ペリクルアセンブリに衝突する電子は、約10mAの電流を有することがある。
[000202] 以上で既に考察したように、一部の実施形態では、装置200、300は、図1に示したタイプのリソグラフィ装置LA内に設けられることがある。
[000203] かかるリソグラフィ装置は、レチクル-ペリクルアセンブリがリソグラフィ装置LAの制御環境にある間に上記の装置200、300を使用して処理されることを可能にするため特に有利である。これは、レチクル-ペリクルアセンブリをリソグラフィ装置LAから取り外し、これを部分酸化を還元するために処理した後、レチクル-ペリクルアセンブリをリソグラフィ装置LA内の元の位置に戻す必要がない。レチクル-ペリクルアセンブリが空気又はかなりの量の酸素及び/もしくは水を含有する環境にさらされるたびに、反射率変動を避けるために部分酸化を還元することが望ましい場合がある。
[000204] 一般に、リソグラフィ装置には複数のレチクル-ペリクルアセンブリが設けられる。これらはリソグラフィ露光の一部として使用されていないときはレチクルライブラリに保管される。所望される又は必要とされるときに、レチクル-ペリクルアセンブリが、レチクル交換デバイスアームを使用してレチクルライブラリから取り出され、レチクルライブラリからサポート構造MTに移動される可能性がある。
[000205] 一部の実施形態では、上記の装置200、300の一方(又はそれらの変形例)が、リソグラフィ装置のレチクルライブラリ内又はリソグラフィ装置のレチクル交換デバイスアーム上に提供されることがある。
[000206] 本発明の一部の実施形態は、図4A、図4B、図5A及び図5Bを参照してこれより考察される新規のレチクル-ペリクルアセンブリに関する。
[000207] 図4A及び図4Bは、既知のレチクル-ペリクルアセンブリ400の互いに直交する2つの断面図を示している。図4Aに示すように、既知のレチクル-ペリクルアセンブリ400は、概ね図2に示したレチクル-ペリクルアセンブリの形態をしている。レチクル-ペリクルアセンブリ400は、ペリクル膜401及びペリクルボーダー402を含むペリクルを備える。ペリクルボーダーは、ペリクルアセンブリを形成するために(例えば接着剤を使用して)ペリクルフレーム403に取り付けられている。
[000208] レチクル-ペリクルアセンブリ400は、レチクル基板408及びレチクル前面構造410を含むレチクルを更に備える。
[000209] ペリクルフレーム403は、ペリクルのレチクルとの接続を容易にするためにレチクルのレチクル前面構造410に接続されている。ただし、この接続は図4Aの断面には示されていない。ペリクルフレーム403が取付機構を備え得ること、及び中間固定部材(スタッドとして知られている)がレチクルのレチクル前面構造410に固定され得ることが理解されるであろう。レチクル上の中間固定部材(スタッド)は、接続を提供するためにペリクルフレーム403の取付部材と係合する(例えば解放可能に係合する)ことがある。
[000210] 図4Bは、平面A-A(図4A参照)におけるペリクルフレーム403の断面を示している。
[000211] 接続はペリクルフレーム403とレチクルのレチクル前面構造410との間に約0.1mmのギャップhが設けられる。図4Aの平面におけるペリクルフレームの厚さHは通常、ギャップhより大幅に大きい(すなわち、通常はh<<H)。例えば、図4Aの平面におけるペリクルフレームの厚さHは約1~5mmである場合がある。
[000212] かかる構成によって、ペリクルとレチクルの間の体積と周辺環境との間の(還元生成物である水蒸気又は脱着生成物である酸素に関連した)分子領域におけるガスコンダクタンスは、ペリクルフレームとレチクルとの間の狭いスリットによって制限される。このスリット又は流路は、高さ約h、(図4Bの平面における)フレームの厚さに対応する長さ、すなわち長さ約(WF、UF)、及びペリクルフレーム403の外周の幅、すなわち長さ約(L_フレーム+W_フレーム)*2を有する。通常、図4Bの平面におけるフレームの幅は約5~10mmである。したがって、ペリクルとレチクルの間の体積と周辺環境との間の分子領域における流体コンダクタンスは、C?h*L/Wとしてスケーリングされる。
[000213] 図5A及び図5Bは、本発明のある実施形態に係る新規のレチクル-ペリクルアセンブリ500の互いに直交する2つの断面図を示している。レチクル-ペリクルアセンブリ500は、変更されたペリクルフレーム503を有することを除いて、概ね図4A及び図4Bに示したレチクル-ペリクルアセンブリの形態をしている。
[000214] 図5Bから分かるように、ペリクルフレーム503は、(その上にペリクル膜401が延在する)概ね矩形の開口506を取り囲む概ね矩形の本体を提供するように配置された4つの壁部505を備える。2つの対向した壁部505には、壁部505の外面507から概ね矩形の開口506に隣接する壁部505の内面509に及ぶ3つの流路504が設けられる。
[000215] 流路504は非線形である。具体的には各流路は、壁部505の外面507から壁部505内に延びる第1の部分と、壁部505の外面507から壁部505内に延びる第2の部分とを有する。第1及び第2の部分は、第1及び第2の部分に概ね垂直である第3の中央部分(すなわち、第3の部分は壁部505に概ね平行である)によって接続されている。
[000216] 新規のレチクル-ペリクルアセンブリ500は、これより考察するように有利である。
[000217] ペリクルフレーム503がレチクルと係合されるとき、ペリクルフレーム503の壁部505はレチクルの非像形成部に隣接している。ペリクルを支持することに加えて、ペリクルフレームはレチクルとペリクルの間に画定される体積を概ね取り囲む(図5A参照)。これは、レチクルとペリクルの間に画定される体積に進入し得る微粒子デブリの量を制限し、(基板上に形成されるレチクルの像に誤差を生じさせ得る)デブリのレチクルへの衝突を防ぐことができるために有利である。しかしながら、レチクル-ペリクルアセンブリ500が、レチクル及びペリクルの表面上の酸化を還元するために(例えば、図2及び図3を参照して以上で説明した装置200、300を使用して)処理される場合、図4A及び図4Bに示したタイプのペリクルフレーム403の存在は、レチクルの前面及びペリクルの背面から放出される水及び/又は酸素がペリクルとレチクルの間の体積から容易に出ることができないことを意味する。更に、ペリクル膜とレチクルの前面との間に閉じ込められた酸素及び水は、取り戻される(レチクル及びペリクルを再酸化させるか又は吸着される)可能性があり、透過率回復時間が延びる可能性がある。
[000218] しかしながら、壁部505の外面507から概ね矩形の開口506に隣接する壁部505の内面509に及ぶ非線形流路504を設けることによって、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間により良好な流体連通を提供することが可能になる。例えば、流路504は、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間の水蒸気の分子流の流体コンダクタンスを増加させることができる。流路504は非線形であるため、(例えば、レチクル-ペリクルアセンブリ500のポンプダウン及びベント中の)流路504を経由した粒子の弾道輸送を妨げることができる。
[000219] 流路504は、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間のガス交換を加速させることによって、図2及び図3を参照して以上で説明した装置200、300を使用した処理における又はリソグラフィ露光プロセス中のEUV露光における使用時のアニールされたペリクル付きレチクルからの水分除去を促進することがある。
[000220] 一般に流路504は任意の適切な形状を有することがあり、一般に壁部505の外面507から概ね矩形の開口506に隣接する壁部505の内面509に及ぶ複雑な流路又はラビリンス流路を画定する。
[000221] この実施形態では、3つの流路504は、2つの対向した壁部505のそれぞれに壁部505の外面507から壁部505の内面509にかけて設けられる。有利には、かかる構成はペリクルとレチクルの間に水素の流れを提供する適切な構成を提供する。一方の壁部にある流路504は、かかる流れの入口を形成することがあり、対向した壁部にある流路504はかかる流れの出口を形成することがある。これは、流れが実質的に一方向であることを可能にし、例えば交差流と呼ばれることがある。有利には、これは、レチクルとペリクルの間の体積内のガスをリフレッシュし、ひいては水分除去を加速させ、重要表面上及び重要表面間の(還元中に活性種により生成される)水分子の滞留時間を短縮することができる。ペリクルは通常、最大100Paの過圧に耐えることができるため、ペリクルにかかる圧力差が約10~50Pa(安全のため2倍の余裕を持たせた)の大きな流れが提供される可能性がある。一部の実施形態では、レチクルとペリクルの間に約10~100Paの圧力で水素が提供されることもある。
[000222] 図5A及び図5Bに示すレチクル-ペリクルアセンブリ500は、図3に示した装置300での使用に特に適している場合がある。
[000223] 図4A及び図4Bに示した既知のレチクル-ペリクルアセンブリ400と同様に、ペリクルフレーム503とレチクル前面構造410との間のギャップhは約0.1mmであるのに対して、図5Aの平面におけるペリクルフレーム503の厚さHは通常、ギャップhより大幅に大きい(すなわち、通常はh<<H)。例えば図5Aの平面におけるペリクルフレーム503の厚さHは約1~5mmである場合がある。
[000224] 図4A及び図4Bに示した既知のレチクル-ペリクルアセンブリ400と同様に、レチクルとペリクルの間の体積と周辺環境との間にはギャップhを介した流体コンダクタンスが存在する。ただし、2つの対向した壁部505のそれぞれに設けられた流路504は、これより考察されるように追加の流体コンダクタンスを提供する。
[000225] (還元生成物である水蒸気又は脱着生成物である酸素に関連した)分子領域における追加のガスコンダクタンスは、Cextra?N*(Q*P/Z)としてスケーリングされ、ここでNは流路504の数であり、Pは(壁部505に概ね平行である)流路504の中央部分である第3の部分の幅であり、Zは(壁部505に概ね平行である)流路504の中央部分である第3の部分の長さであり、Qは(壁部505に概ね平行である)流路504の中央部分である第3の部分の高さである。これは、入力及び出力(R_in、R_out)開口(すなわち、流路504の第1及び第2の部分)のコンダクタンスが中央の第3の部分のコンダクタンスより大幅に大きいためプロセス限定しないと仮定する。流路504のパラメータの適切な選択によって、Cextraが約100*C、すなわち流路により提供される追加のコンダクタンスがギャップhにより提供されるコンダクタンスより100倍大きく構成することが可能である。
[000226] ペリクルフレーム503の剛性を保つことが望ましい。したがって、好ましくは流路504の中央部分である第3の部分の高さは、ペリクルフレーム503の高さの約0.2~0.8倍(すなわち、Qは約0.2~0.8*H)である。
[000227] 新規のペリクルフレーム503のジオメトリは、既存のペリクルフレームより洗浄が困難である場合がある。したがって、新規のペリクルフレーム503が鋭い縁を取り除くために製造後に電解研磨されることが望ましい場合がある。
[000228] 一部の実施形態では、少なくとも1つの流路は、レチクルとペリクルの間に画定される体積と周辺環境との間の流体コンダクタンスを少なくとも10倍増加させる。
[000229] 一部の実施形態では、ペリクルの少なくとも一部上に導電性コーティングが設けられる。この導電性コーティングは、図2に示したペリクル上に設けられた導電性コーティング242と同様である場合がある。
[000230] 本発明の一部の実施形態は、リソグラフィ装置用のレチクル-ペリクルアセンブリを処理する方法に関する。概して、かかる方法は、レチクル-ペリクルアセンブリを提供すること、レチクル-ペリクルアセンブリを支持すること、レチクル-ペリクルアセンブリの近くに水素を供給すること、及び電子をレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、入射電子の少なくとも一部分がペリクルを通ってレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルに向かって伝搬するように誘導することを含むことがある。
[000231] かかる方法は、レチクル-ペリクルアセンブリが還元されることを可能にする。なぜなら、ペリクルを通ってレチクルに伝搬する入射電子の少なくとも一部分は、H、H、H 、H などの活性種を生成するためにレチクル-ペリクルアセンブリの近くに供給される水素と相互作用することができるためである。これらの活性種は、レチクルの前面などの(部分的に)酸化された表面を還元する、及び/又は吸着された酸素の脱着を促進することができる。
[000232] これらの方法が以上で説明した装置200、300を使用して実行され得ることが理解されるであろう。したがってこれらの方法は、以上で説明した装置200、300の上記の機能のいずれかを含むことがある。
[000233] これらの方法が以上で説明したレチクル-ペリクルアセンブリ500を使用して実行され得ることが理解されるであろう。したがってこれらの方法は、以上で説明したレチクル-ペリクルアセンブリ500の上記の機能のいずれかを含むことがある。
[000234] 以上で考察したように、リソグラフィ装置内で水素ガスの供給がレチクル-ペリクルアセンブリの近くで行われることがある。この水素ガスはレチクル-ペリクルアセンブリの表面に洗浄効果をもたらすことができる。例えば水素の流れは、オブジェクトの表面に入射するデブリの量を減らすことがある。更に、リソグラフィ装置内での基板の露光中、EUV放射の存在下において、水素供給からの水素ガスはレチクル-ペリクルアセンブリの近くにプラズマを形成することがある。このプラズマは、オブジェクトの表面に洗浄効果をもたらすことになり、(表面を還元するために)オブジェクトの表面上の酸素と反応し、かかるデブリの除去を助けるために表面上のデブリと反応する。
[000235] EUVリソグラフィ装置で使用されるペリクルは通常、シリコンと炭素の化合物から形成される。これらの材料は水素誘起ガス放出(HIO)に悩まされる。いくつかの反応段階を経て、水素はかかるペリクルの(自然)酸化物シェルを除去し、次いでシリコン又は炭素コアを除去する。シリコンベースのペリクルの場合、この水素プラズマによるシリコンコアのエッチングはシランSiHを形成するのに対して、炭素ベースのペリクルの場合、この水素プラズマによる炭素コアのエッチングはメタン化合物を形成する。このプラズマエッチングを防ぐ又は減らすために、ペリクルを保護し得るエッチ耐性のあるキャッピング材料を開発することが望ましい場合がある。ただし、水素不透過性が十分なかかるキャッピング材料を見つけることは簡単ではない。
[000236] 本発明の一部の実施形態は、磁場を用いてペリクルアセンブリの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるための装置及び関連方法に関する。ペリクルを水素プラズマエッチングから保護することに関連した説明が行われているが、本発明のこれらの実施形態が、かかるプラズマ環境から任意のオブジェクトの表面を保護するのに代替的に使用され得ることが理解されるであろう。具体的にはリソグラフィ装置内で、本発明のこれらの実施形態は、センサ、ミラー、壁又はその他のコンポーネントなどの他のオブジェクトの表面を保護するのに使用されることがある。
[000237] これより考察するように、EUVリソグラフィ装置内の典型的な条件で、水素プラズマが、例えば約0.2Tの磁場強度を有する適度な強度の磁場の影響を受ける可能性があると推測される。
[000238] まず我々はペリクルの近くの粒子の典型的な密度を推定する。典型的な水素ガス密度を約5P、温度を273Kと仮定すると、単位体積当たりの分子数は理想気体の法則を用いて次式のように推定される可能性がある。
ここでnは分子数であり、Vは体積であり、Pは圧力であり、kはボルツマン定数であり、Tは温度である。
[000239] プラズマ密度は、10個の粒子中の1個だけがイオン化されているために約1015イオン/m-3である。イオンの数が中性分子と比較してごくわずかであるため、我々はイオンの中性種との衝突を考える。
[000240] 次に我々は水素イオン及び電子の平均自由行程(mfp)を推定する。我々は水素イオンの平均自由行程を気体運動論を用い、衝突がほとんど中性水素分子とのものであると仮定して推定する。我々は原子分子衝突のための次のmfpを与える、H分子の分子径dを0.3nmとする。
ここでRは一般気体定数であり、Nはアボガドロ定数である。
[000241] 電子と水素分子との衝突について、我々は10-20の衝突断面積σを仮定する。これによって、我々は電子の平均自由行程を次式のように推定することが可能である。
[000242] 最後に、水素イオンと電子の両方について、我々はラーモア半径を計算し、これを平均自由行程と比較する。磁場において、荷電粒子のラーモア半径Rは次式によって与えられる。
ここでmは荷電粒子の質量であり、vは粒子の速度であり、qは粒子の電荷であり、Bは磁場強度(テスラ)である。粒子の速度は気体運動論から次式のように推定される可能性がある
ここで温度Tは、イオン及び電子のそれぞれについて300K及び11600K(1eV)である。
[000243] これらから、0.2Tの磁場強度について、水素イオンのラーモア半径はRH3+=2.0*10-4mと推定され、電子のラーモア半径はRe-=1.7*10-5mと推定される。
[000244] イオンについて、ラーモア半径は平均自由行程より1桁小さい。電子について、ラーモア半径は平均自由行程より4桁小さい。これは、0.2Tの磁場においてイオンが通常、中性ガス種と衝突する前に磁力線の周りにいくつかの円形のラーモア軌道を回るものであることを意味する。更に、電子は通常、中性ガス種と衝突する前に何千もの軌道を回るものであり、これは電子が磁場の影響をかなり受けること(及びたとえ磁場強度が1~2桁低いとしてもそうであること)を意味する。更に、イオン移動の主な駆動力は両極性拡散によるものである。体積内の電荷の中性を保つために、遅い(正の電荷を帯びた)イオンは、たとえその間により速い負の電荷を帯びた電子が中性種から散乱したとしてもその動きを常に追っている。これは、電子の効果的な制御がイオンをも制御することを意味する。
[000245] したがって、我々は0.2Tの磁場強度では水素プラズマが磁化され、水素プラズマが磁場の影響をかなり受けると結論することがある。しかしながら、解決策が効果的なものとなるように、追加の閉じ込めによるリソグラフィ装置における過剰なプラズマ蓄積を防止しながら、磁場がイオンフラックスのかなりの割合がペリクルに到達するのを妨げるように構成されることが望ましい。
[000246] ペリクルアセンブリの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるために磁場を用いる本発明の実施形態の例を、図6~図8を参照してこれより考察する。
[000247] 図6は、本発明のある実施形態に係る装置600の概略図である。図6に示す装置600は、オブジェクトを支持するためのサポート610を備える。この例ではサポート610はレチクルステージであり、例えば図1に示したサポート構造MTである場合がある。オブジェクトはレチクル-ペリクルアセンブリであり、例えば図1に示したレチクルアセンブリ15である場合がある。具体的にはオブジェクトは、レチクル又はパターニングデバイス620とペリクルとを備え、そしてペリクルはペリクルフレーム622及びペリクル膜624を備える。
[000248] 図6に示す装置600は、水素632をペリクル膜624の近くに供給するように動作可能な水素供給630を更に備える。水素ガスは、例えば約5Paの圧力で供給されることがある。
[000249] 図6に示す装置600は、コイル640と、コイル640に電流を発生させるように動作可能な電源642とを更に備える。コイルの平面は、サポート610、レチクル620及びペリクル膜624の平面に概ね平行である。コイル640はペリクル膜624を概ね取り囲む。
[000250] かかる構成によって、電源642がコイル640に電流を供給するとき、(矢印付きの実線で示された)磁場644を、サポート610により支持されているときのペリクル膜624の近くに発生させる。コイル640に電流を供給する電源642は、サポート610により支持されているときのペリクル膜624の近くに磁場を発生させるように動作可能な磁場発生器と見なされることがある。
[000251] 磁場644は、コイル640の中心に概ね垂直でこれを通過するライン又は軸646に関して対称である。磁場644の磁場強度は、サポート610により支持されているときのペリクル膜624の表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に(すなわち、矢印648で示された方向に)低下する。
[000252] 電源642及びコイル640は、その双極子軸646がサポート610により支持されているときのペリクル膜624の表面に垂直となるように配置された双極子磁石と見なされることがある。かかる構成によって、磁力線644は、サポート610により支持されているときのペリクル膜624の表面に平行な成分を有する。
[000253] 有利には、サポート610により支持されているときのペリクル膜624の表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向648に低下する磁場644を作り出すことによって、粒子がペリクル膜624の表面に向かって移動するときに、磁場の増加を経験することになる。次いで、粒子の磁場644に垂直な速度は上昇し、粒子の磁場644に平行な速度は低下する。荷電粒子の磁場644における例示的な軌道650も図6に示されている(矢印付きの破線)。荷電粒子の少なくともある割合について、粒子の磁場644に平行な速度はゼロまで減少することになり、粒子は方向が逆になる。かかる構成は磁気ミラーとして知られており、以下で更に考察される。
[000254] 荷電粒子(イオン又は電子)は、磁力線644に対してある角度をなして移動するとき、回転し始めることになる。これはラーモア歳差運動として知られている。荷電粒子が、より高い磁場644によってコイル640に更に近づくとき、より多くのエネルギーが前進推進力から回転に変換される。これは、減速し最終的には粒子の方向を(コイル640の軸646に平行な方向に)逆転させるコイル640から遠ざかる有効力を構成する。これは、一部のプラズマ溶融炉におけるプラズマ閉じ込めに使用される磁気ミラーマシン(磁気瓶としても知られている)の半分に類似している。かかる磁気瓶では、それぞれが磁気ミラーとして機能する2つのコイルが使用され、プラズマはこれらの2つの磁気ミラーの間に閉じ込められる。これに対して、レチクル又はペリクル表面を遮蔽するために、かかる磁気ミラーを1つだけ使用することが提案される。
[000255] コイル640により形成される磁気ミラーについて、我々は開口角θを有するいわゆる損失コーンを定義することができる。損失コーン内の粒子はコイル640を通過することになるのに対して、損失コーンの外部の粒子は以上で説明したように磁場644によって反射されることになる。反射粒子は次の基準を満たす。
ここでvperpは粒子の初期速度の磁場に垂直な成分であり、vtotは粒子の全速度であり、Bmaxはコイル640における磁場強度であり、Bminは最初に磁場を経験した位置における磁場強度である。ミラー比Rを次式で定義することが有用である。
[000256] 磁場内にあるプラズマからの荷電粒子の速度の初期ランダム性を所与として、できるだけ多くの粒子を反射するためにミラー比ができるだけ高いことが望ましい。
[000257] 単一のコイル640が使用されるため、イオンがEUV放射ビームによって生成される場所における磁場は、Bminに最も有用なメトリックであり、一方Bmaxはコイル640における磁場によって与えられる。通常、イオンは、ペリクル膜624及びコイル640から約1~10cmの範囲でEUV放射によって生成されることがある。
[000258] 半径aを有するコイルの場合、中心から軸方向に離れた距離zにある磁場は、以下としてとしてスケーリングされる。
[000259] ペリクル膜624からの距離a=10cmに生成される粒子について、Bminは、以下よりも3倍小さい
これが停止させる粒子の割合は、1マイナス損失コーン内にある粒子の割合である。損失コーン内にある粒子の割合は、π/2で割ったθによって与えられる。したがって、反射される粒子の割合は次式によって与えられる。
[000260] ペリクル膜624からの距離a=10cmに生成される粒子について、Bminは、Bmaxより1.05倍小さいため、粒子フラックスの14%しか反射されない。
[000261] 図6に示す装置600は、コイル640及び電源642が発生させる磁場644がローレンツ力を介してプラズマ内の荷電粒子に作用するように動作可能であるために有利である。そうする際に磁場644は、これらの荷電粒子(具体的には水素イオン)をペリクル膜624の表面から離れる方に誘導することができる。有利には、これはプラズマエッチング速度を減少させることによって、ペリクルの寿命を延長することができる。
[000262] 図7Aは、本発明のある実施形態に係る装置700の概略図である。図7に示す装置700は、オブジェクトを支持するためのサポート710を備える。この例ではサポート710はレチクルステージであり、例えば図1に示したサポート構造MTである場合がある。オブジェクトはレチクル-ペリクルアセンブリであり、例えば図1に示したレチクルアセンブリ15である場合がある。具体的にはオブジェクトは、レチクル又はパターニングデバイス720とペリクルとを備える。そしてペリクルはペリクルフレーム722及びペリクル膜724を備える。
[000263] 図7に示す装置700は、水素732をペリクル膜724の近くに供給するように動作可能な水素供給730を更に備える。水素ガスは、例えば約5Paの圧力で供給されることがある。
[000264] 図7に示す装置700は、サポート720の平面に分布させた複数の磁石740、742を更に備える。磁石740、742は、例えばサポート720の本体内に埋め込まれていることがある。磁石740、742のそれぞれは、サポート720の平面、レチクル722の平面及びペリクル膜724の平面に概ね垂直に配向された双極子を有する。
[000265] 複数の磁石740、742は、磁場744(点線で示される)をサポート710により支持されているときのペリクル膜724の近くに発生させるように動作可能な磁場発生器と見なされることがある。磁場744の磁場強度は、サポート710により支持されているときのペリクル膜724の表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に(すなわち、矢印748で示された方向に)低下する。
[000266] 磁石740、742は電磁石の永久磁石を含むことがある。
[000267] 磁石740、742は、サポート720の平面に分布させた複数の磁石740、742のうちの隣接する磁石740、742の各対の双極子モーメントが逆平行になるように構成されている。これを達成するために、複数の磁石740、742は、第1の極性を有する第1の磁石セット740と、第2の反対の極性を有する第2の磁石セット742とを含む。第1及び第2の磁石セット740、742は、第1及び第2のセット740、742のいずれか一方の各磁石が他方のセットの磁石のみに隣接するように交互に配置されている。
[000268] かかる構成によって、各磁石740、742からの磁力線は(反対の極性の)隣接する磁石740、742間に延びることになる。更に、磁場強度は、サポート720により支持されているときのペリクル膜724の表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に(すなわち、矢印648で示された方向に)低下することになる。かかる構成によって、磁力線744は、サポート710により支持されているときのペリクル膜724の表面に平行な成分を有する。
[000269] 有利には、サポート710により支持されているときのペリクル膜724の表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向748に低下する磁場744を作り出すことによって、粒子が膜724の表面に向かって移動するときに、磁場の増加を経験することになる。次いで、粒子の磁場744に垂直な速度は上昇し、粒子の磁場744に平行な速度は低下する。荷電粒子の磁場744における例示的な軌道750も図7に示されている(矢印付きの破線)。荷電粒子の少なくとも一部の割合について、粒子の磁場744に平行な速度はゼロまで減少することになり、粒子は方向が逆になる。
[000270] 複数の磁石740、742のアンサンブル磁場744は、ペリクル膜に近い高磁場と非常に小さい磁場への急激な移行部(カスプ)の交互領域を含む。具体的には、磁石740、742のそれぞれに隣接した磁場744に磁場カスプが存在する。かかる構成は磁気ピケットフェンスとして知られている場合がある。このタイプの構成は、材料改質のためにプラズマチャンバで、また衛星用のイオンスラスタとして使用される。この概念の成功した適用は概して磁気ミラーよりも効率的であり得ると考えられる。
[000271] 図7Aは、ペリクル膜724の平面に垂直な平面における断面図である。図7Bは、磁石740、742のレチクル720の平面に対する位置を示す平面図である。図7A及び図7Bは、一貫して一組の右手系のデカルト軸が付されている。この実施形態では、磁石740、742のそれぞれは、その双極子モーメントに垂直な方向(図7A及び図7Bのy方向)に細長い。
[000272] かかる構成によって、各磁石740、742は、その磁石740、742の双極子モーメントに概ね平行である平面に関して局所的に対称な磁場を生成する(これらの対称面は図7A及び図7Bのz-y平面に平行である)。複数の磁石740、742のそれぞれに隣接した線カスプが存在する。磁場強度は、サポート710により支持されているときのペリクル膜724の表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向748に低下する。
[000273] この実施形態では、磁石740、742が複数の線カスプを生成するために細長いが、代替的な実施形態では、磁石は、ペリクル膜724の表面に垂直な双極子モーメントと整列した様々な異なる形状で配置されることがある。例えば磁石の2次元配列に(例えば正方又は六角形配列で)反対の極性を有する隣接する磁石対が設けられることがある。かかる構成は、卵パックの底部にある程度類似した形状を有する磁場を発生させることがある。
[000274] かかる構成では、損失幅wは通常、最低磁場のポイントでペリクルに移るイオンフラックスのガウスビームの幅と同じである場合がある。この幅wはより高い磁場で狭くなり、以下のハイブリッドジャイロ半径に対応すべきである。
[000275] この損失幅は、典型的な極間距離(例えば、少なくとも1cmであり得る)よりも大幅に(数%)小さい。したがって、図7に示す装置700を用いれば、粒子の比較的小さい割合がペリクル膜724に入射することになることが予想される。
[000276] 図7に示す装置700は、磁石740、742が発生させる磁場744がローレンツ力を介してプラズマ内の荷電粒子に作用するように動作可能であるために有利である。そうする際に磁場744は、これらの荷電粒子(具体的には水素イオン)をペリクル膜724の表面から離れる方に誘導することができる。有利には、これはプラズマエッチング速度を減少させることによって、ペリクルの寿命を延長することができる。
[000277] 図8は、本発明のある実施形態に係る装置800の概略図である。図7に示す装置800は、オブジェクトを支持するためのサポート810を備える。この例ではサポート810はレチクルステージであり、例えば図1に示したサポート構造MTである場合がある。オブジェクトはレチクル-ペリクルアセンブリであり、例えば図1に示したレチクルアセンブリ15である場合がある。具体的には、オブジェクトはレチクル又はパターニングデバイス820とペリクルとを備える。そしてペリクルはペリクルフレーム822及びペリクル膜824を備える。
[000278] 図8に示す装置800は、水素832をペリクル膜824の近くに供給するように動作可能な水素供給830を更に備える。水素ガスは、例えば約5Paの圧力で供給されることがある。
[000279] 図8に示す装置800は、一対の対向したコイル840、842と、一対の関連した電源844、846とを更に備える。一対のコイル840、842のそれぞれの平面は、サポートにより支持されているときのペリクル膜824の表面に概ね垂直である。図8では、ペリクル膜824の平面はx-y平面に平行であるのに対して、コイル840、842のそれぞれの平面はx-z平面に平行である。
[000280] 第1の電源844は、コイル840の1つに電流を発生させるように動作可能であり、第2の電源846は、コイル842の他の1つに電流を発生させるように動作可能である。この実施形態ではコイル840、842のそれぞれに別々の電源が設けられているが、他の実施形態では、2つのコイル849、842は共通の電源を共有することがある。
[000281] 2つのコイル840、842が発生させる双極子磁場の極性が一般的に反対となるように電源844、846が構成されることが理解されるであろう。したがって、2つの対向したコイル840、842は一般にヘルムホルツコイルの形態をしている場合があり、2つのコイル840、842間に概ね一様な磁場を発生させる。一対のコイル840、842は一般に円形、正方形又は長方形である場合がある。
[000282] 一対のコイル840、842(及び関連した電源844、846)は、磁場844(矢印付きの実線で示される)をサポート810により支持されているときのペリクル膜824の近くに発生させるように動作可能な磁場発生器と見なされることがある。磁場844は、サポート810により支持されているときのペリクル膜824の平面に概ね平行である。
[000283] この構成によって、荷電粒子が磁場844を通ってペリクル膜824の表面に向かって伝搬するときに、磁場844内の螺旋路に向かって進むことになる。荷電粒子の磁場844における例示的な軌道850も図8に示されている。有利には、かかる粒子の少なくとも一部分が磁場844内のこの螺旋路に閉じ込められることになり、ペリクル膜824の表面に入射することはない。
[000284] 図8に示す装置800はペリクル膜824の平面に平行な磁場を発生させる。上記のように、これは電子の動きに強く影響を及ぼし、電子を捕獲してペリクル膜824の表面に平行な移動に限定することになる。両極性拡散によって、イオンも捕獲されることになる。
[000285] 以上で説明したように、図8に示す装置800は、図1に示したリソグラフィ装置LA内に設けられることがある。
[000286] リソグラフィ装置LAには、照明されるパターニングデバイスMA上の磁場の範囲を決める4つのレチクルマスキングブレードが設けられる。照明システムILは、サポート構造MT上に配設されたときのパターニングデバイスMAのある領域を照明するように動作可能である。この領域は照明システムILのスリットと呼ばれることがあり、放射を受け取り得るパターニングデバイスの概ね矩形の領域を規定する4つのレチクルマスキングブレードによって少なくとも部分的に規定される。概ね矩形の領域の、x方向と呼ばれ得る第1の方向の範囲は、一対のxマスキングブレードによって決められる。概ね矩形の領域の、y方向と呼ばれ得る第2の方向の範囲は、一対のyマスキングブレードによって決められる。
[000287] マスキングブレードのそれぞれは、サポート構造MT上のパターニングデバイスの平面の近くであるが、その平面からわずかにずれて配設されている。xマスキングブレードは第1の平面内に配設され、yマスキングブレードは第2の平面内に配設されている。
[000288] マスキングブレードのそれぞれは、放射を受け取り得るパターニングデバイスMAの平面内に矩形の磁場領域の1つの縁部を規定する。各ブレードは、放射ビームの経路に配設されていない後退位置と、照明システムILによりパターニングデバイスMAに投影された放射ビームを少なくとも部分的に遮断する挿入位置との間を独立に移動可能である場合がある。マスキングブレードを放射ビームの経路内に移動させることによって、放射ビームBを(x及び/又はy方向に)切り捨て、放射ビームBを受け取る磁場領域の範囲を制限することができる。
[000289] x方向はリソグラフィ装置LAの非スキャン方向に対応し、y方向はリソグラフィ装置LAのスキャン方向に対応する。パターニングデバイスMAは、パターニングデバイスMAのより大きい領域を単一の動的スキャン露光において露光するために、y方向に磁場領域内を移動可能である。
[000290] 本発明の一実施形態では、図8に示す装置800は、一対のコイル840、842をyマスキングブレードのそれぞれの上に長方形コイルとして設けることによって、リソグラフィ装置LA内に設けられる。
[000291] 装置800のこの実施形態の潜在的な欠点の1つは、(yマスキングブレード上にあり得る)コイル840、842とペリクル膜824との間の体積内に発生される全てのイオンが影響を受けるわけでなく、依然としてペリクル膜824に移動することになる磁場の配置である。
[000292] 図8に示す装置800の効率は、(ペリクル膜824に平行な)磁場の方向と、(ペリクル膜824に入射する)磁場に垂直な方向の拡散係数の比をとることによって推定される可能性がある。磁場の垂直及び平行拡散の比は、次式によって与えられる。
ここでwはラーモア周波数であり、tは衝突間の時間である。(上記の)リソグラフィ装置におけるプラズマ条件では、電子についての磁場の垂直及び平行拡散の比D/D||=4*10-10であると認められる。つまり、実質的に全ての電子が磁場に沿って拡散する。
[000293] 図6、図7A及び図8にそれぞれ示された装置600、700、800のそれぞれにおいて、磁場をサポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに発生させるように動作可能な磁場発生器が提供される。代替的な実施形態では、磁場は、これより考察されるように水素プラズマに電流を流すことによって発生されることがある。
[000294] 具体的には磁場発生器は、水素供給によりオブジェクトの近くに供給される水素から形成されるプラズマに電流を発生させるように構成されている電源を備えることがある。電源がプラズマに電流を流すとき、プラズマは、電流密度ベクトルに垂直に寸法が収縮することになる。これはZピンチ閉じ込めとして知られている。このシステムはZピンチ閉じ込めと呼ばれており、核融合のために広く研究されている。
[000295] 磁場発生器は、プラズマ中に配設された2つの電極を備えることがあり、電源は、2つの電極間に電圧を印加するように動作可能である場合がある。つまり、電源とプラズマとが直接接触することがある。代替的に、電源はプラズマに誘導結合されることがあり、プラズマ中に電流を誘導するように構成されることがある。
[000296] 電源が2つの電極間に電圧を印加するように動作可能であり得る実施形態では、2つの電極はリソグラフィ装置内の任意の適切な位置に配設されることがある。例えば電極は、マスキングブレード上、水素供給の一部を構成するノズル又はペリクル及び/又はレチクルからの特別に設計された延長部の上に設けられることがある。
[000297] 電源が2つの電極間に電圧を印加するように動作可能であり得る実施形態では、非イオン化ガス中の放電を回避するために電極にかかる電圧を少なくとも50~100V未満、好ましくは10V未満に維持することが望ましい場合がある。
[000298] 小さい電流がプラズマ(又はガス)を流れるとき、電流密度ベクトル周りに回転磁力線が生成される。この磁場は、荷電粒子を磁場周りの円形軌道に閉じ込めることによってプラズマを閉じ込めることができる。電流の長さに沿ったプラズマの本質的に完全な閉じ込めによって、プラズマ密度は上昇し、不安定及び急速に起こる閉じ込めの破損も引き起こすことがある。ただしこれは、リソグラフィ装置内の低イオン化水素プラズマでは核融合デバイスよりも問題にならなくなる。更にイオン損失の大部分が、電流を発生させるソース・ドレイン電極に向けられる可能性がある場合、ペリクル膜は依然として保護されることがある。
[000299] 図6、図7A及び図8にそれぞれ示された装置600、700、800のそれぞれにおいて、以上で考察したように、磁場発生器がサポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに、0.2T以上の磁場強度を有する磁場を発生させるように動作可能であることが望ましい場合がある。
[000300] 図6、図7A及び図8にそれぞれ示された装置600、700、800のそれぞれにおいて、以上で考察したように、磁場は荷電粒子(具体的には水素イオン)をペリクル膜の表面から離れる方に誘導することができる。有利には、これはプラズマエッチング速度を減少させることによって、ペリクルの寿命を延長することができる。ペリクル膜の寿命の少なくとも一桁の改善が達成され得ることが推定される。
[000301] 本発明の一部の実施形態は、リソグラフィ装置のレチクル-ペリクルアセンブリ上の荷電粒子のフラックスを減少させるための方法に関する。一般に、かかる方法は、オブジェクトを支持すること、オブジェクトの表面の近くに水素プラズマを発生させること、及びオブジェクトの表面の近くに、オブジェクトの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるように構成された磁場を発生させることを含む。
[000302] かかる方法は、これより考察されるように有利である。方法は、EUVリソグラフィ装置内で利用されることがある。オブジェクトはレチクル-ペリクルアセンブリである場合がある。水素プラズマは、オブジェクト(例えば、レチクル-ペリクルアセンブリ)の表面に洗浄効果をもたらすことができる。ただし、シリコンと炭素の化合物から形成されるオブジェクト(EUVリソグラフィ装置で使用されるペリクルなど)は水素誘起ガス放出(HIO)に悩まされる。いくつかの反応段階を経て、水素プラズマはかかるオブジェクトの(自然)酸化物シェルを除去し、次いでシリコン又は炭素コアを除去することができる。シリコンベースのペリクルの場合、この水素プラズマによるシリコンコアのエッチングはシランSiHを形成するのに対して、炭素ベースのペリクルの場合、この水素プラズマによる炭素コアのエッチングはメタン化合物を形成する。
有利には、オブジェクトの表面の近くに、オブジェクトの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるように構成されている磁場を発生させることによって、プラズマエッチング速度を減少させ、これによってオブジェクトの寿命が延長される。磁場がローレンツ力を介してプラズマ中の荷電粒子に作用し、そうする際にこれらの荷電粒子(具体的には水素イオン)をペリクルの表面から離れるように誘導することができることが理解されるであろう。
[000303] 本明細書におけるマスク又はレチクルへの言及は、パターニングデバイスへの言及と解釈されることがあり(マスク又はレチクルはパターニングデバイスの例である)、これらの用語は交換可能に使用されることがある。具体的には、マスクアセンブリという用語は、レチクルアセンブリ及びパターニングデバイスアセンブリと同義である。
[000304] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置において用いられることもある。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を構成することがある。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。かかるリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することがある。
[000305] 「EUV放射」という用語は、波長が4~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内である電磁放射を包含すると考えられることがある。EUV放射は、10nm未満、例えば6.7nm又は6.8nmなど4~10nmの範囲内の波長を有することがある。
[000306] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
[000307] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲及び条項から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
1.レチクル-ペリクルアセンブリを支持するためのサポートと、
サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの近くに水素を供給するように動作可能な水素供給と、
サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように電子を誘導するように動作可能な電子源と、を備えた装置。
2.水素供給が、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルとペリクルの間に水素を誘導するように動作可能である、条項1の装置。
3.水素供給が、水素を50から100Pa範囲内の圧力で供給するように動作可能である、条項1又は条項2の装置。
4.サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を制御するように動作可能な熱調節ユニットを更に備えた、条項1から3のいずれかの装置。
5.熱調節ユニットが、サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を上げるように動作可能なヒータを備える、条項4の装置。
6.熱調節ユニットが、サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を下げるように動作可能な冷却システムを備える、条項4又は条項5の装置。
7.サポートが、使用時にレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに接触する、条項1から6のいずれかの装置。
8.使用時にレチクル-ペリクルアセンブリに接触するサポートの一部が電子シンクを含む、条項1から7のいずれかの装置。
9.サポートによりレチクル-膜アセンブリが支持されるとき、サポートがレチクルの前面とペリクル膜との電気的接続を提供する、条項1から8のいずれかの装置。
10.電子源が、電子をサポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、ペリクルを通って伝搬する電子の一部分が500eV未満のエネルギーを有するように誘導する、条項1から9のいずれかの装置。
11.電磁放射をペリクルに誘導するように動作可能な電磁放射源を更に備えた、条項1から10のいずれかの装置。
12.電子源が、電子をサポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、ペリクルを通って伝搬する電子の一部分が1より大きい二次電子収率を達成するように誘導する、条項1から11のいずれかの装置。
13.エンクロージャを更に備え、サポートがエンクロージャ内に配設されており、水素供給が水素をエンクロージャに供給するように動作可能である、条項1から12のいずれかの装置。
14.電子源が電子銃を備える、条項1から13のいずれかの装置。
15.電子源により放出された電子が、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの様々な部分の範囲に誘導され得るように、電子源及びサポートの少なくとも一方を移動させるように動作可能なスキャン機構を更に備えた、条項1から14のいずれかの装置。
16.電子源から電子ビームを受け取り、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの表面に電子ビームを分配する電子光学系を更に備えた、条項1から15のいずれかの装置。
17.条項1から16のいずれかの装置を備えたリソグラフィ装置。
18.装置が、リソグラフィ装置のレチクルライブラリ内又はリソグラフィ装置のレチクル交換デバイスアーム上に提供される、条項17のリソグラフィ装置。
19.レチクルと、
ペリクルボーダーで囲まれた中央ペリクル膜を含むペリクルと、
ペリクルを支持し、ペリクルがレチクルに隣接して配設されるようにレチクルと係合するペリクルフレームとを備え、
ペリクルフレームが、概ね矩形の開口を取り囲む概ね矩形の本体を提供する壁部を含み、壁部に、壁部の外面から概ね矩形の開口に隣接した壁部の内面に及ぶ少なくとも1つの非線形流路が設けられたアセンブリ。
20.少なくとも1つの流路が、壁部の外面から概ね矩形の開口に隣接する壁部の内面に及ぶ複雑な流路又はラビリンス流路を画定する、条項19のアセンブリ。
21.少なくとも1つの流路が、2つの対向した壁部のそれぞれに壁部の外面から壁部の内面にかけて設けられる、条項19又は条項20のアセンブリ。
22.少なくとも1つの流路が、レチクルとペリクルの間に画定された体積と周辺環境との間の流体コンダクタンスを少なくとも10倍増加させる、条項19から21のいずれか一項のアセンブリ。
23.少なくとも1つの流路が、レチクルとペリクルの間に画定された体積及び周辺環境との間の十分に高い流体コンダクタンスを提供し、レチクルとペリクルの間に画定された体積及び周辺環境からの少なくとも0.01正常ml/分の正常流量を可能にする、条項19から22のいずれか一項のアセンブリ。
24.ペリクルの少なくとも一部上に導電性コーティングが設けられる、条項19から23のいずれか一項のアセンブリ。
25.条項1から16のいずれか一項に記載の装置と、
条項19から24のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアセンブリと、を備えたシステム。
26.リソグラフィ装置用のレチクル-ペリクルアセンブリを処理する方法であって、
レチクル-ペリクルアセンブリを提供すること、
レチクル-ペリクルアセンブリを支持すること、
レチクル-ペリクルアセンブリの近くに水素を供給すること、及び
電子をレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、入射電子の少なくとも一部分がペリクルを通ってレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルに向かって伝搬するように誘導することを含む方法。
27.方法が条項1から16のいずれか一項に記載の装置を使用して実行される、条項26の方法。
28.レチクル-ペリクルアセンブリが条項19から24のいずれか一項に記載のアセンブリである、条項26又は条項27の方法。
29.水素が、サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルとペリクルの間に誘導される、条項26から28のいずれか一項の方法。
30.水素が50から100Pa範囲内の圧力で供給される、条項26から29のいずれか一項の方法。
31.レチクル-ペリクルアセンブリの温度を制御することを更に含む、条項26から30のいずれか一項の方法。
32.レチクル-ペリクルアセンブリに電子シンクを設けることを更に含む、条項26から31のいずれか一項の方法。
33.レチクルの前面とペリクル膜との間に電気的接続を提供することを更に含む、条項26から32のいずれか一項の方法。
34.ペリクルを通って伝搬する入射電子の一部分が500eV未満のエネルギーを有する、条項26から33のいずれか一項の方法。
35.電子源による帯電を少なくとも部分的に補償するために、電磁放射をペリクルに誘導して光電流をペリクルに提供することを更に含む、条項26から34のいずれか一項の方法。
36.ペリクルを通って伝搬する入射電子の一部分が、ペリクルにおいて1より大きい二次電子収率を達成するのに十分なエネルギーを有する、条項26から35のいずれか一項の方法。
37.電子をレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、入射電子の少なくとも一部分がペリクルを通ってレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルに向かって伝搬するように誘導することが、レチクル-ペリクルアセンブリの表面に電子ビームを走査することを含む、条項26から36のいずれか一項の方法。
38.電子をレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、入射電子の少なくとも一部分がペリクルを通ってレチクル-ペリクルアセンブリのレチクルに向かって伝搬するように誘導することが、レチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの表面に電子ビームを分配することを含む、条項26から37のいずれか一項の方法。
39.オブジェクトを支持するためのサポートと、
サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに水素を供給するように動作可能な水素供給と、
サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに磁場を発生させるように動作可能な磁場発生器と、を備えた装置。
40.磁場発生器が、サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに磁場を発生させるように動作可能であり、磁場の強度が、サポートにより支持されているときのオブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下する、条項39の装置。
41.磁場発生器が、コイルと、コイルに電流を発生させるように動作可能な電源とを備え、コイルの平面が、サポート及びサポートにより支持されたオブジェクトの平面に概ね平行である、条項39又は条項40の装置。
42.磁場発生器が、サポートの平面に分布させた複数の磁石を備え、各磁石が、サポート及びサポートにより支持されたオブジェクトの平面に概ね垂直に配向された双極子を有する、条項39又は条項40の装置。
43.サポートの平面に分布させた複数の磁石のうちの隣接する磁石の各対の双極子モーメントが逆平行である、条項42の装置。
44.磁場発生器が、サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに磁場を発生させるように動作可能であり、磁場がサポートにより支持されているときのオブジェクトの平面に概ね平行である、条項39の装置。
45.磁場発生器が一対の対向したコイルを備え、各コイルの平面が、サポートにより支持されているときのオブジェクトの平面に概ね垂直である、条項44の装置。
46.磁場発生器が、水素供給により供給された水素から形成されたプラズマ中に電流を発生させるように構成されている電源を備える、条項39の装置。
47.磁場発生器が、サポートにより支持されているときのオブジェクトの近くに、0.2T以上の磁場強度を有する磁場を発生させるように動作可能である、条項39から46のいずれか一項の装置。
48.サポートがレチクル-ペリクルアセンブリを支持するためのものである、条項39から47のいずれか一項の装置を備えたリソグラフィ装置。
49.一対の対向したコイルがリソグラフィ装置のレチクルマスキングブレード上に配設されている、条項45に従属する場合の条項48のリソグラフィ装置。
50.オブジェクトを支持すること、
オブジェクトの表面の近くに水素プラズマを発生させること、及び
オブジェクトの表面の近くに、オブジェクトの表面に入射するプラズマからの荷電粒子のフラックスを減少させるように構成された磁場を発生させることを含む方法。
51.オブジェクトの表面の近くに水素プラズマを発生させることが、オブジェクトの表面の近くに水素を供給すること、及びプラズマを形成するために水素をEUV放射で照射することを含む、条項50の方法。
52.発生させた磁場の強度が、オブジェクトの表面に概ね垂直でこの表面から離れる方向に低下する、条項50又は51の方法。
53.磁場が、コイルと、コイルに電流を発生させるように動作可能な電源とによって発生され、コイルの平面がオブジェクトの表面の平面に概ね平行である、条項50から52のいずれか一項の方法。
54.磁場が、オブジェクトのオブジェクトの表面と反対の側に配設され、オブジェクトの表面に平行な平面に分布させた複数の磁石によって発生され、各磁石がオブジェクトの表面の平面に概ね垂直に配向された双極子を有する、条項50から52のいずれか一項の方法。
55.複数の磁石のうちの隣接する磁石の各対の双極子モーメントが逆平行である、条項54の方法。
56.発生させた磁場がオブジェクトの表面に概ね平行である、条項50又は条項51の方法。
57.磁場が一対の対向したコイルによって発生され、各コイルが延在する平面がオブジェクトの表面に概ね垂直である、条項56の方法。
58.磁場が、オブジェクトの表面の近くでプラズマ中に電流を発生させることによって発生される、条項50又は条項51の方法。
59.発生させた磁場が0.2T以上の磁場強度を有する、条項50から58のいずれか一項の方法。

Claims (38)

  1. レチクル-ペリクルアセンブリを支持するためのサポートと、
    前記サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの近くに水素を供給するように動作可能な水素供給と、
    前記サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射するように電子を誘導するように動作可能な電子源と、を備えた装置。
  2. 前記水素供給が、前記サポートにより支持されているときの前記レチクル-ペリクルアセンブリの前記レチクルと前記ペリクルの間に水素を誘導するように動作可能である、請求項1の装置。
  3. 前記水素供給が、水素を50から100Pa範囲内の圧力で供給するように動作可能である、請求項1又は請求項2の装置。
  4. 前記サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を制御するように動作可能な熱調節ユニットを更に備えた、請求項1から3のいずれかの装置。
  5. 前記熱調節ユニットが、前記サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を上げるように動作可能なヒータを備える、請求項4の装置。
  6. 前記熱調節ユニットが、前記サポートにより支持されたレチクル-ペリクルアセンブリの温度を下げるように動作可能な冷却システムを備える、請求項4又は請求項5の装置。
  7. 前記サポートが、使用時に前記レチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに接触する、請求項1から6のいずれかの装置。
  8. 使用時に前記レチクル-ペリクルアセンブリに接触する前記サポートの一部が電子シンクを含む、請求項1から7のいずれかの装置。
  9. 前記サポートによりレチクル-膜アセンブリが支持されるとき、前記サポートが前記レチクルの前面と前記ペリクル膜との電気的接続を提供する、請求項1から8のいずれかの装置。
  10. 前記電子源が、電子を前記サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、前記ペリクルを通って伝搬する前記電子の一部分が500eV未満のエネルギーを有するように誘導する、請求項1から9のいずれかの装置。
  11. 電磁放射を前記ペリクルに誘導するように動作可能な電磁放射源を更に備えた、請求項1から10のいずれかの装置。
  12. 前記電子源が、電子を前記サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、前記ペリクルを通って伝搬する前記電子の一部分が1より大きい二次電子収率を達成するように誘導する、請求項1から11のいずれかの装置。
  13. エンクロージャを更に備え、前記サポートが前記エンクロージャ内に配設されており、前記水素供給が水素を前記エンクロージャに供給するように動作可能である、請求項1から12のいずれかの装置。
  14. 前記電子源が電子銃を備える、請求項1から13のいずれかの装置。
  15. 前記電子源により放出された電子が、前記サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリのペリクルの様々な部分の範囲に誘導され得るように、前記電子源及び前記サポートの少なくとも一方を移動させるように動作可能なスキャン機構を更に備えた、請求項1から14のいずれかの装置。
  16. 前記電子源から電子ビームを受け取り、前記サポートにより支持されているときのレチクル-ペリクルアセンブリの前記ペリクルの表面に前記電子ビームを分配する電子光学系を更に備えた、請求項1から15のいずれかの装置。
  17. 請求項1から16のいずれかの装置を備えたリソグラフィ装置。
  18. 前記装置が、前記リソグラフィ装置のレチクルライブラリ内又は前記リソグラフィ装置のレチクル交換デバイスアーム上に提供される、請求項17のリソグラフィ装置。
  19. レチクルと、
    ペリクルボーダーで囲まれた中央ペリクル膜を含むペリクルと、
    前記ペリクルを支持し、前記ペリクルが前記レチクルに隣接して配設されるように前記レチクルと係合するペリクルフレームとを備え、
    前記ペリクルフレームが、概ね矩形の開口を取り囲む概ね矩形の本体を提供する壁部を含み、前記壁部に、前記壁部の外面から前記概ね矩形の開口に隣接した前記壁部の内面に及ぶ少なくとも1つの非線形流路が設けられたアセンブリ。
  20. 前記少なくとも1つの流路が、前記壁部の前記外面から前記概ね矩形の開口に隣接する前記壁部の前記内面に及ぶ複雑な流路又はラビリンス流路を画定する、請求項19のアセンブリ。
  21. 前記少なくとも1つの流路が、2つの対向した壁部のそれぞれに前記壁部の外面から前記壁部の内面にかけて設けられる、請求項19又は請求項20のアセンブリ。
  22. 前記少なくとも1つの流路が、前記レチクルと前記ペリクルの間に画定された体積と周辺環境との間の流体コンダクタンスを少なくとも10倍増加させる、請求項19から21のいずれか一項のアセンブリ。
  23. 前記少なくとも1つの流路が、前記レチクルと前記ペリクルの間に画定された体積及び周辺環境との間の十分に高い流体コンダクタンスを提供し、前記レチクルと前記ペリクルの間に画定された前記体積及び前記周辺環境からの少なくとも0.01正常ml/分の正常流量を可能にする、請求項19から22のいずれか一項のアセンブリ。
  24. 前記ペリクルの少なくとも一部上に導電性コーティングが設けられる、請求項19から23のいずれか一項のアセンブリ。
  25. 請求項1から16のいずれか一項に記載の装置と、
    請求項19から24のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアセンブリと、を備えたシステム。
  26. リソグラフィ装置用のレチクル-ペリクルアセンブリを処理する方法であって、
    レチクル-ペリクルアセンブリを提供すること、
    前記レチクル-ペリクルアセンブリを支持すること、
    前記レチクル-ペリクルアセンブリの近くに水素を供給すること、及び
    電子を前記レチクル-ペリクルアセンブリのペリクルに入射し、入射電子の少なくとも一部分が前記ペリクルを通って前記レチクル-ペリクルアセンブリのレチクルに向かって伝搬するように誘導することを含む方法。
  27. 前記方法が請求項1から16のいずれか一項に記載の装置を使用して実行される、請求項26の方法。
  28. 前記レチクル-ペリクルアセンブリが請求項19から24のいずれか一項に記載のアセンブリである、請求項26又は請求項27の方法。
  29. 前記水素が、前記サポートにより支持されているときの前記レチクル-ペリクルアセンブリの前記レチクルと前記ペリクルの間に誘導される、請求項26から28のいずれか一項の方法。
  30. 前記水素が50から100Pa範囲内の圧力で供給される、請求項26から29のいずれか一項の方法。
  31. 前記レチクル-ペリクルアセンブリの温度を制御することを更に含む、請求項26から30のいずれか一項の方法。
  32. 前記レチクル-ペリクルアセンブリに電子シンクを設けることを更に含む、請求項26から31のいずれか一項の方法。
  33. 前記レチクルの前面と前記ペリクル膜との間に電気的接続を提供することを更に含む、請求項26から32のいずれか一項の方法。
  34. 前記ペリクルを通って伝搬する前記入射電子の一部分が500eV未満のエネルギーを有する、請求項26から33のいずれか一項の方法。
  35. 前記電子源による帯電を少なくとも部分的に補償するために、電磁放射を前記ペリクルに誘導して光電流を前記ペリクルに提供することを更に含む、請求項26から34のいずれか一項の方法。
  36. 前記ペリクルを通って伝搬する前記入射電子の一部分が、前記ペリクルにおいて1より大きい二次電子収率を達成するのに十分なエネルギーを有する、請求項26から35のいずれか一項の方法。
  37. 電子を前記レチクル-ペリクルアセンブリの前記ペリクルに入射し、前記入射電子の少なくとも一部分が前記ペリクルを通って前記レチクル-ペリクルアセンブリの前記レチクルに向かって伝搬するように誘導することが、前記レチクル-ペリクルアセンブリの表面に電子ビームを走査することを含む、請求項26から36のいずれか一項の方法。
  38. 電子を前記レチクル-ペリクルアセンブリの前記ペリクルに入射し、前記入射電子の少なくとも一部分が前記ペリクルを通って前記レチクル-ペリクルアセンブリの前記レチクルに向かって伝搬するように誘導することが、レチクル-ペリクルアセンブリの前記ペリクルの表面に電子ビームを分配することを含む、請求項26から37のいずれか一項の方法。
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