JP2006525351A - ガンを診断および治療するための方法 - Google Patents

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Abstract

ガン細胞内で1種またはそれ以上のクローディンの発現を誘導する物質の治療上有効な量を投与することを含む、哺乳動物のガンを治療する方法である。好ましくは、クローディンは、クローディン−3、クローディン−4、または、クローディン−9である。好ましい方法において、クローディンをコードする核酸は、ガン細胞にそれらがトランスフェクトされ、クローディンがガン細胞で生産される条件下で哺乳動物に投与される。また、通常はクローディン−3、4または9を発現する細胞においてこれらタンパク質の存在を決定することを含む、ガンの診断方法も開示される。細胞が上記クローディンを発現しない場合、その細胞はガン性である。

Description

発明の背景
ガンは、コントロール不能な細胞の増殖によって発達する。ガンはいずれも生命を脅かすものである。死に至るガンではないとしても、ガンは、患者だけでなく、家族、友人および仕事仲間も衰弱させる。その上、ガンは致死性であることがかなりの頻度で証明されている。この一群の病気は、全ての早死のうちかなりの割合の原因となっており、それによる個人的および公共的な損失は計り知れない。
いくつかのケースで効果的な治療法が開発されているが、多くのガンは、未だに現在利用可能な治療では効果がない。転移ガンは特に治療が難しい。これらのガンは、患者にとって最高レベルの危険となり、最適な予後のために、積極的な方法で治療しなければならないことが多いが、それにより有害な副作用の危険が高まる。それゆえに、転移する可能性の高い腫瘍と、転移する可能性の低い腫瘍とを正確に区別する方法が大いに必要である。その上、転移ガンを治療する方法は不適当なことが多く、また、転移ガンを治療するための改善された抗転移薬と方法の明確な必要性もある。
転移ガンは、原発腫瘍から生じる。原発腫瘍の転移により続発性腫瘍が生じ、ガンが広がる。原発腫瘍および続発性腫瘍はいずれも、膨大な数の細胞を放出することはよく知られている。放出された細胞は、体内に広がることができる。例えば、原発腫瘍は、周囲のリンパ管または循環器系の管にダメージを与える可能性があり、放出された細胞のリンパ系または循環器系への進入を許し、それらの体内での蔓延を促進する。その上、ガン性の腫瘍による細胞の放出は、外科手術と放射線治療の間に増加する。
放出された細胞のほとんどは、新しい腫瘍を形成しない。新しい腫瘍を形成するためには、このような細胞は、一連の物理的および生理学的なバリアを超えなければならない。実際に、転移が起こるには、一連の別々の事象が起こらなければならない。物理的に、原発腫瘍は、原発組織の間質腔に侵入しなければならない。特に、原発腫瘍は、組織の基底膜を貫通しなければならない。ほとんどの転移の場合、放出された細胞への通路を提供するために、腫瘍は、リンパ管または血管の内皮細胞壁にダメージを与えなければならない。リンパまたは血液に侵入した細胞は、循環中の血流力学的なストレスと宿主側防衛から生き残らなければならなず、その上、これら細胞は、循環器系における新しい部位に留まらなければならず、これは、血小板の凝集に関与すると思われるプロセスである。次に、細胞は、上記管から間質腔に溢血しなければならない。最終的に、細胞は、第二の臓器の間質腔に侵入し、新しい場所で増殖しなければならない。転移プロセスは生理学的に複雑であるが、総合的な転移パターンは、多種のガンにとって普遍的である。
転移のプロセスはまた、ガン細胞、および、それらと周囲の細胞や組織との相互作用を変化させる複雑な細胞内メカニズムを含むことは明白である。例えば、ガン細胞は、例を挙げると、接着タンパク質、マトリックス成分を崩壊させる酵素、オートクラインファクター、リガンドと反応性を有する受容体、血管新生の要素およびプロスタグランジンの異常な発現を特徴とする。最も解明が進んでいない浸潤と転移の特徴としては、特に、腫瘍細胞の移動を開始させるシグナル伝達経路が挙げられる。現在のところ、多くのガン細胞の増殖は、特異的なリガンド−受容体相互作用に依存すると考えられている。しかしながら、これまで、このパラダイム、またはその他の根本的な転移メカニズムの概念を用いて、転移ガンの転移を予防するか、または効果的に阻害する治療を開発することことは不可能であった。
転移に関与するプロセスが複雑なことと、根本的な分子メカニズムが解明されていないことにより、いくつかの症例において、転移する可能性の高い腫瘍と、転移する可能性の低い腫瘍とを区別することは特に困難である。腫瘍が転移する可能性を見極めることができないために、正確な予測が不可能であり、必然的に、治療的介入が、過剰か、または不十分のいずれかになる。臨床的には、化学療法を施すかどうか、または、治療を腫瘍の外科的除去に限定するかどうかを決定する際に、腫瘍が転移性かどうかを決定することも重要である。その上、全てのタイプのガンにとって、転移性の腫瘍の蔓延を阻害または予防する治療を開発することは、これまで困難または不可能であった。腫瘍が転移する可能性を正確に決定する方法、および、効果的な抗転移性の組成物および方法が大いに必要であることは明確である。
発明の開示
本発明は、腫瘍細胞の転移を阻害する方法を提供することによって、上記の必要性を満たすものであり、本方法は、1種またはそれ以上の以下のクローディンタンパク質、すなわちクローディン−3(配列番号1および2)、クローディン−4(配列番号3および4)、および、クローディン−9(配列番号5および6)の発現を促進することを含む。本発明は、正常な細胞系と形質転換された細胞系において、クローディンの発現を試験する研究によって得られた驚くべき発見による。その結果によれば、正常な細胞系由来の組織と、形質転換された細胞系由来の組織との間のクローディン−3、クローディン−4およびクローディン−9の発現が、はっきりと明確に異なっていることが示される。クローディン−3、4および9は正常な組織で発現されたが、形質転換されたガン細胞では発現されなかった。
それゆえに、一形態において、本発明は、腫瘍の診断方法を提供するものであり、本方法は、クローディン−3、クローディン−4およびクローディン−9の発現を解析することを含む。これらの遺伝子の発現量が低い場合、形質転換されたガン細胞が転移性の細胞であることを示す。本方法は、RT−PCR法やキットなどの、クローディンの存在を検出するための核酸ハイブリダイゼーション技術を含む。また、前記クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAを増幅するPCRプライマーを含む第一の容器;および、核酸マーカーを含む第二の容器を含むインビトロでのPCR分析キットのような診断キットも特許請求される。
また、転移ガンの存在を検出するための抗体法およびキットも特許請求される。本キットは、哺乳動物のクローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9ポリペプチドに特異的に結合するポリペプチド、タンパク質、抗体または抗体フラグメントで構成される。酵素結合免疫吸着検査法、ラジオイムノアッセイ、および、蛍光イムノアッセイなどが挙げられる。
腫瘍の診断とは、腫瘍組織の最初の検出を意味するか、または、転移性の腫瘍と非転移性の腫瘍とを区別する工程であり得る。従って、用語「診断」を用いる場合は、本発明で用いられるように理解されるものとする。
本方法は特に、充実性腫瘍、特に悪性腫瘍、例えば癌腫の診断に適用可能である。分析が行われるサンプルは、好ましくは、体組織または体液由来であり、インビトロで培養された細胞由来ではない。このようなサンプルとしては、組織小片、または、充実性腫瘍由来の細胞の穿刺吸引細胞診(FNA)が可能である。あるいは、血液もしくは尿またはその他の体液のサンプル、子宮頚部を削り取って得たサンプル、または、痰、尿または便のような非侵襲的に得られたサンプルが可能である。
cDNAは、1種またはそれ以上の標識された特異的なオリゴヌクレオチドプローブの使用によって検出してもよく、このようなプローブは、増幅されたcDNA配列の一部にアニールできるように選択される。あるいは、標識されたオリゴヌクレオチドプライマー、および/または、標識されたモノヌクレオチドを用いることができる。多数の適切な検出可能な標識があり、それらを用いることができ、例えば放射標識である。
クローディン−3、クローディン−4およびクローディン−9の遺伝子発現レベルは、RT−PCRで決定してもよいし、または、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9に結合する標識抗体を用いることによって決定してもよい。例えば、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9に結合する標識抗体を用いて、上記タンパク質を発現する組織を染色することができる。通常、このような組織はクローディンを発現するが、クローディンに対する抗体はその組織の表面に結合しない(これは、望ましい着色剤またはその他の標識の生産がないことによって示される)場合、これは、その組織でクローディンが発現されておらず、その組織はガン性および転移性であることを示す。
本発明はさらに、転移ガンを治療するための方法を目的とし、本方法は、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の発現を誘導することを含む。好ましい実施形態は、ガン細胞を、クローディン−3(配列番号5および6)、クローディン−4(配列番号7および8)、または、クローディン−9(配列番号17および18)をコードする核酸でトランスフェクトすることで構成される。好ましくは、上記核酸は、適切なベクター内に包含されたDNAであり、このようなベクターとしては、例えば、アデノウイルスベクター(米国特許第5,547,932号を参照)、アデノ随伴ウイルスベクター(米国特許第6,541,258号;米国特許第5,658,776号、および、米国特許第6,346,415号を参照)、または、適切なレトロウイルスベクター(米国特許第5,736,387号を参照)が挙げられる。
ガンとは、様々なタイプの悪性新生物(そのほとんどは周囲の組織に侵入する)のいずれかを示すのに用いられる一般用語であり、数種の部位に転移する可能性があり、除去を試みた後に再発する可能性が高く、適切に治療されない限り患者に死をもたらす。ガンは、肉腫と癌腫の両方を含む。
転移ガンとは、体の他の部分に蔓延する可能性のあるガンである。
ヒトクローディン−3はポリペプチドであり、以下の220個のアミノ酸残基:MSMGLEITGTALAVLGWLGTIVCCALPMWRVSAFIGSNIITSQNIWEGLWMNCVVQSTGQMQCKVYDSLLALPQDLQAARALIVVAILLAAFGLLVALVGAQCTNCVQDDTAKAKITIVAGVLFLLAALLTLVPVSWSANTIIRDFYNPVVPEAQKREMGAGLYVGWAAAALQLLGGALLCCSCPPREKKYTATKVVYSAPRSTGPGASLGTGYDRKDYV(配列番号2)を有し、そのうち下線で示した部分は細胞外ドメインである。
ヒトクローディン−4は、209個のアミノ酸からなるポリペプチドである。MASMGLQVMGIALAVLGWLAVMLCCALPMWRVTAFIGSNIVTSQTIWEGLWMNCVVQSTGQMQCKVYDSLLALPQDLQAARALVIISIIVAALGVLLSVVGGKCTNCLEDESAKAKTMIVAGVVFLLAGLMVIVPVSWTAHNIIQDFYNPLVASGQKREMGASLYVGWAASGLLLLGGGLLCCNCPPRTDKPYSAKYSAARSAAASNYV(配列番号4)。上記アミノ酸配列の細胞外ドメインは、下線で示される。
ヒトクローディン−9は、217個のアミノ酸からなるポリペプチドである。MASTGLELLGMTLAVLGWLGTLVSCALPLWKVTAFIGNSIVVAQVVWEGLWMSCVVQSTGQMQCKVYDSLLALPQDLQAARALCVIALLLALLGLLVAITGAQCTTCVEDEGAKARIVLTAGVILLLAGILVLIPVCWTAHAIIQDFYNPLVAEALKRELGASLYLGWAAAALLMLGGGLLCCTCPPPQVERPRGPRLGYSIPSRSGASGLDKRDYV(配列番号6)。上記アミノ酸配列の細胞外ドメインは、下線で示される。
上皮細胞および内皮細胞のタイトジャンクション(TJ)は、特に重要な細胞間ジャンクションであり、これは、傍細胞経路の透過性を調節し、さらに細胞表面をアピカル区画とバソラテラル区画に分割する。タイトジャンクションは、連続した周囲を取り巻く上皮細胞間の細胞間接触を形成し、水、溶質および免疫細胞の傍細胞輸送に対する調節されたバリアを作り出す。それらはまた、第二のタイプのバリアも提供し、これは、アピカル膜ドメインとバソラテラル膜ドメイン間の膜脂質の交換を制限することにより細胞の極性に寄与する。
タイトジャンクションは、細胞間の密封を作り、傍細胞経路を介する溶質の拡散に対する一次的なバリアを生成することによって、および、アピカル細胞質膜ドメインとバソラテラル細胞質膜ドメイン間の境界として作用し、細胞極性を作り出し、維持することによって、それぞれ上皮細胞のバリアおよびフェンス機能に直接的に関与すると考えられている。タイトジャンクションはまた、白血球が炎症部位に到達するための遊出に関与する。化学誘引物質に応答して、白血球は、内皮を横断することによって血液から移動し、粘膜での感染の場合、炎症を起こした上皮を横断する。遊出は、主として傍細胞経路に沿って起こり、極めて協調的で可逆的な様式でタイトジャンクションを開いたり閉じたりして調節されるようである。超薄切片の電子顕微鏡写真では、TJは、隣接する細胞の細胞質膜の外葉を含む、見かけ上融合した別個の部位群のように見える。ほとんどの上皮細胞のフリーズフラクチャー法による電子顕微鏡写真では、TJは、原形質面(P面)中で、連続した、吻合した膜内の線状のストランド(TJストランド)群であり、細胞外(E)面中に相補的な溝を含むように見える。
TJに関連する多数のタンパク質が同定されており、完全性および末梢性の細胞質膜タンパク質の両方が挙げられる。現在の、これらのタンパク質の複雑な構造と相互作用機能の解明は限られている。上皮のジャンクションに関与する多くのタンパク質のなかでも、上皮のジャンクションの生理学的な調節で機能すると考えられる膜を貫通するタンパク質が数種同定されている。これらの例としては、多数の「ジャンクション接着分子分子」(JAM)と、それに加えて、オクルディン、クローディンおよびゾヌリンと呼ばれるTJ関連分子が挙げられる。
JAM、オクルディンおよびクローディンは、傍細胞の空間に伸びており、これらのタンパク質は、特に、隣接する上皮細胞と、上皮細胞層を通過する調節可能なチャンネル間の上皮バリアを作るための候補と考えられてきた。あるモデルにおいて、オクルディン、クローディンおよびJAMは、同種親和性の結合パートナーとして相互作用し、上皮細胞間の水、溶質および免疫細胞の傍細胞輸送に対する調節されたバリアを作り出す、と言われている。本発明のメカニズムは、転移ガン細胞は、他の細胞との間のタイトジャンクションを形成する能力を失っているため、このような細胞は体中を自由に転移するという発見に基づく。
本発明の方法の過程で用いることができるクローディンをコードするDNAは、少なくとも、ヒトクローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の細胞外ドメイン、および、細胞膜または膜貫通ドメイン、特にクローディン−3、クローディン−4およびクローディン−9の細胞膜または膜貫通ドメインに結合できるドメインをコードするべきである。これらのクローディンによって発現されたタンパク質は、ガン細胞の転移を阻害すると考えられる。続いて、クローディン−3、クローディン−4およびクローディン−9の発現が誘導される場合、ガン細胞を、正常細胞、または、少なくとも再びタイトジャンクションを形成し得る細胞に分化するように誘導させることが可能であり、このようにして、それらの転移する能力を失わせる。
本発明は、ガン細胞のガンの表現系を元に戻す方法を提供し、本方法は、クローディン遺伝子を発現させるような条件下で、ガン細胞にクローディン遺伝子を含む核酸を導入することを含み、そうすることによって、細胞のガンの表現系が元に戻すことができる。
本発明はまた、被検体におけるガン細胞のガンの表現系を元に戻す方法を提供し、本方法は、被検体の細胞中でクローディン遺伝子を発現させるような条件下で、被検体のガン細胞にクローディン遺伝子を含む核酸分子を導入することを含み、そうすることによって、細胞のガンの表現系を元に戻すことができる。
細胞に核酸分子を導入する方法は、当業界で周知である。裸の核酸分子を、直接的な形質転換によって細胞に導入してもよい。あるいは、核酸分子をリポソームに埋め込んでもよい。従って、本発明は、上記の方法において、裸のDNAを用いた技術、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、エプスタイン−バーウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、弱毒化HIVベクター、レトロウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、リポソーム、抗体被覆リポソーム、機械的または電気的な手段によって、前記核酸を細胞に導入する前記方法を提供する。上述した方法は、単に、細胞へ核酸を導入する実行可能な手段の例として示されたに過ぎない。本発明においては、その他の既知の方法を用いてもよい。
上記の方法の一態様において、上記クローディン遺伝子は、その発現が調節因子の制御下になるように調節因子に連結している。さらなる一態様において、調節因子は、誘導性でもよいし、構成性でもよい。誘導性プロモーターのような誘導性調節因子は、当業界で既知である。構成的な発現を始動させることができる調節因子も当業界で既知である。別の一態様において、調節因子は、組織特異的な調節因子である。従って、上記クローディン遺伝子の発現は、組織特異的となる。本発明はまた、ガン細胞のガンの表現系を元に戻すのに有効な量のクローディン遺伝子を含む核酸、および、製薬上許容できるキャリアーを含む医薬組成物を提供する。
従って、本発明のさらなる一態様において、本発明のクローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9をコードする核酸をベクターに挿入し、遺伝子治療ベクターとして用いるすることができる。一実施形態において、このような遺伝子治療ベクターは、ウイルスベクターであり、例えば複製欠損型レトロウイルス、アデノウイルス、および、アデノ随伴ウイルスが挙げられ、これらにおいて、感光性タンパク質をコードする前記核酸分子がウイルスのゲノムにライゲートされている。レンチウイルス、レトロウイルス、および、アデノ随伴ウイルスベクターなどのウイルスベクターは、一般的に、外来の遺伝子を、インビボで、特にヒトに移行させるために選択された遺伝子治療ベクターであると考えられている。レンチウイルスベクターの例としては、これらに限定されないが、HIV、FIV、BIV、EIAV、および、SIVが挙げられる。ウイルスベクターは、細胞への効率的な遺伝子の運搬を提供し、トランスファーされた核酸は、安定して宿主の染色体DNAに統合される。対象の細胞に特有な受容体と相互作用するウイルス粒子の表面で細胞特異的なタンパク質を発現させることによって、ウイルスベクターの感染性を細胞特異的にすることができる。この方法において、ウイルスベクターは、網膜神経節細胞を標的にすることができる。遺伝子の発現を制御する組織または細胞特異的な転写調節配列の使用によって、発現をさらに増強することができる。Anderson等,米国特許第5,399,346号;Mann等,Cell,33:153(1983年);Temin等,米国特許第4,650,764号;Temin等,米国特許第4,980,289号;Markowitz等,J.Virol.,62:1120(1988年);Temin等,米国特許第5,124,263号;国際特許公報番号WO95/07358,1995年3月16日にDougherty等により公開;および、Blood,82:845(1993年)を参照。
あるいは、インビボで、リポソームを用いてリポフェクションすることによってベクターを導入することができる。合成のカチオン性脂質を用いて、インビボでのマーカーをコードする遺伝子をトランスフェクションのためのリポソームを製造することができる[Felgner等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:7413〜7417(1987年);Mackey等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:8027〜8031(1988年)を参照]。インビボで特定の臓器に外来の遺伝子を導入するためのリポフェクションの使用は、一定の実質的な利点がある。有益な点の一つとして、リポソームの特定の細胞への分子ターゲティングが挙げられる。トランスフェクションを特定の細胞に向かわせることは、有益な点の一つであることは明らかである。トランスフェクションを特定の細胞型に向かわせることは、膵臓、肝臓、腎臓および脳のような、細胞が不均質な組織において特に有利となり得ることは明らかである。ターゲティングの目的で、脂質を他の分子に化学的に結合させてもよい。ターゲティングされたペプチド、例えばホルモンまたは神経伝達物質、および、タンパク質、例えば抗体、または非ペプチド分子は、リポソームに化学的に結合させることができる。
細胞中での感染性ウイルス粒子の生産を容易にする工程は、標準的な細胞培養成長技術のような従来の技術を用いて行ってもよい。感染性ウイルス粒子を回収する工程はまた、従来の技術を用いて行うこともできる。例えば、感染性粒子は、細胞溶解または細胞培養物の上清の回収によって回収でき、これらは当業界で既知である。場合により、回収されたウイルス粒子は、必要に応じて精製することもできる。適切な精製技術は当業者周知である。あるいは、本発明のウイルスベクターは、当業界で周知の標準的なトランスフェクション技術を用いて、エクスビボまたはインビトロで細胞または組織に投与することができる。
遺伝子治療におけるウイルスベクターの使用に関するその他の方法は、以下を参照することができる;例えば、Kay,M.A.,Chest 111(6 Supp.):138S−142S(1997年);Ferry,N.およびHeard,J.M.,Hum.Gene Ther.9:1975〜81(1998年);Shiratory,Y.等,Liver 19:265〜74(1999年);Oka,K.等,Curr.Opin.Lipidol.11:179〜86(2000年);Thule,P.M.およびLiu,J.M.,Gene Ther.7:1744〜52(2000年);Yang,N.S.,Crit.Rev.Biotechnol.12:335〜56(1992年);Alt,M.,J.Hepatol.23:746〜58(1995年);Brody,S.L.およびCrystal,R.G.,Ann.N.Y.Acad.Sci.716:90〜101(1994年);Strayer,D.S.,Expert Opin.Investig.Drugs 8:2159〜2172(1999年);Smith−Arica,J.R.およびBartlett,J.S.,Curr.Cardiol.Rep.3:43〜49(2001年);Lee,H.C.等,Nature 408:483〜8(2000年)、米国特許第6,365,150号、米国特許第6,596,270号、米国特許第6,573,092号、米国特許第6,475,757号、米国特許第6,465,253号、米国特許第5,965,541号、米国特許第6,635,476号、米国特許第6,348,352号、米国特許第6,312,681号、米国特許第5,994,134号、米国特許第5,932,210号、米国特許第5,837,520号、米国特許第6,689,600号、米国特許第6,531,456号、米国特許第6,416,992号、米国特許第6,211,163号、および、米国特許第6,207年,457号。
遺伝子治療ベクターは、例えば静脈注射、局所投与によって(米国特許第5,328,470号を参照)、または、定位の注射[例えば、Chen等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054〜3057(1994年)を参照]によって、被検体、哺乳動物、好ましくはヒトに運搬することができる。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容できる希釈剤中で遺伝子治療ベクターを含んでもよいし、または、遺伝子運搬媒体が埋め込まれた徐放性のマトリックスを含んでもよい。あるいは、完全な遺伝子運搬ベクターが、組換え細胞から完全な状態で生産できる場合(例えばレトロウイルスベクター)、医薬製剤は、遺伝子運搬システムを生産する1種またはそれ以上の細胞を含んでもよい。
本発明はまた、ガン細胞のガンの表現系を元に戻すのに有効なの量のクローディン遺伝子関連遺伝子の遺伝子産物、および、製薬上許容できるキャリアーを含む医薬組成物を提供する。
上述の方法の他の態様において、ガン細胞としては、これらに限定されないが、胸部、子宮頚部、結腸、前立腺、上咽頭、肺の結合組織および神経系細胞が挙げられる。ガン細胞としてはさらに、多形性膠芽腫、リンパ腫および白血病由来の細胞が挙げられる。
クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9をコードする核酸を含む核酸またはベクターは、一般的に、生理学的に許容できる緩衝溶液に含ませて投与され、このような緩衝溶液は、無菌性、安定性および/または活性を促進する1またはそれ以上の成分で構成することができる。核酸/ベクター製剤を体内の望ましい位置に導入するのに便利なあらゆる手段を用いることができ、例えば、静脈内または局所注射、カテーテルからの注入、鼻腔内での運搬またはエアロゾルでの運搬が挙げられる。
クローディン3、クローディン−4またはクローディン−9をコードする核酸を含む核酸またはベクターは、腫瘍細胞中でクローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の発現を促進するのに十分な治療上有効な量で投与され、それにより細胞はタイトジャンクションを形成し、腫瘍の転移を阻害することができる。治療上有効な量は、望ましい治療効果が達成されるのに必要な投与量と期間に基づく効果的な量を意味する。治療上有効な量は、個体の様々なガンの形態、年齢、性別または体重に応じて変更してもよい。
転移ガンの存在の診断
本発明によれば、転移性の新生物は、通常クローディン-3、クローディン-4またはクローディン-9を発現する組織型において、これらタンパク質が発現されているかどうかを決定することによって診断可能である。これを決定するための方法が多数あり、例えば、タンパク質の細胞外の部分の存在を検出するための抗体の使用、または、細胞の細胞質中のクローディン-3、クローディン-4またはクローディン-9をコードするmRNAの存在と量を決定することが挙げられる。
本発明のガン組織の診断方法は、好ましくは、ガン患者(ヒト)の腫瘍サンプル、最も好ましくは、例えばパラフィン中で保存され、組織学的および免疫組織化学的解析のために調製されたサンプルを用いて行われる。
本発明の目的において、用語「腫瘍サンプル」は、切除された充実性腫瘍、生検材料、病理組織標本、骨髄穿刺液、および、造血系の起源の腫瘍細胞を含む血液サンプル、同様に、良性腫瘍、特に、脳や中枢神経系のような特定の組織の腫瘍を含むこととする。当業者であれば理解していると思われるが、充実性腫瘍から得られたサンプルは、間質細胞由来の腫瘍細胞と、浸潤している造血細胞とを分けるために、物理的な分離と化学的/酵素的な分離とを併用することが必要であり、一方で、白血病やリンパ腫などの造血系の腫瘍サンプルは、血液、血清または血漿中の混成の細胞群として得られ、それらの腫瘍性ではない成分、特に低張溶液を用いた治療によって溶解する可能性のある赤血球や、その他の有核細胞から分離することが必要であり、そうすることによって、分画遠心分離や、当業界で既知のその他の方法による分離が達成される。
クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の発現を検出するための免疫学的な試薬の使用
本発明の目的において、用語「免疫学的な試薬」は、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9に結合する抗血清および抗体、特にモノクローナル抗体、同様にそれらのフラグメント(F(ab)、F(ab)、F(ab)’、および、Fフラグメントなど)を包含することとする。また、キメラ抗体、ヒト化抗体、および、組換えにより生産された抗体およびそれらのフラグメント、同様にアプタマー(すなわち、ペプチドのような標的分子と相互作用することができるオリゴヌクレオチド)も免疫学的な試薬の定義に含まれる。本発明の試薬と併せて用いられる免疫学的な方法としては、直接的および間接的な(例えばサンドイッチ型の)標識技術、免疫親和性カラム、免疫磁性ビーズ、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、および、放射免疫分析法(RIA)が挙げられ、最も好ましくはFACSである。これらの分析で用いるために、腫瘍の免疫学に基づく試薬は、蛍光、抗原、放射線同位体またはビオチン標識を用いて標識でき、なかでも、標識された二次的または三次的な免疫学的検出試薬を用いて、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の存在の決定で用いられる(すなわち、二次抗体(サンドイッチ)分析において)腫瘍の免疫学に基づく試薬の結合を検出することができる。本発明の実施において有用な免疫学的な試薬の例としては、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9を認識する抗体、最も好ましくはモノクローナル抗体が挙げられる。
本発明の免疫学的な試薬は、好ましくは、検出できるように標識されたものであり、最も好ましくは、市販の計器(最も好ましくは蛍光活性化セルソーターなど)を用いた検出に適した励起波長と放出波長を有する蛍光標識を用いて検出できるように標識されたものである。本発明の実施において有用な蛍光標識の例としては、フィコエリトリン(PE)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン(RH)、テキサスレッド(TX)、Cy3、ヘキスト(Hoechst)33258、および、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)が挙げられる。このような標識は、標準的な技術を用いて、免疫学的な試薬(例えば抗体、最も好ましくはモノクローナル抗体)に結合させることができる[Maino等,Cytometry 20:127〜133(1995年)]。
核酸ハイブリダイゼーション技術を用いたクローディン−3、クローディン−4およびクローディン−9の検出
クローディン−3、クローディン−4およびクローディン−9の発現は、核酸と、関連するハイブリダイゼーション方法を用いて測定し、対象の細胞におけるmRNAの存在を検出することができる。例えば、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の一部のmRNAに相補的で、ストリンジェントな条件下でそれらにハイブリダイズする核酸を、検出できるように標識することができる。このような検出できるように標識された核酸分子と、細胞または細胞抽出物とを接触させ、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9をコードするmRNAの存在と量を検出することができる。クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9をコードする核酸の量は、細胞中での上記クローディンの発現とよく相関している。プローブとして使用するのに適した核酸分子の選択は、配列番号1、3および5の核酸配列を研究し、適切な長さを決定することによってなされる。ストリンジェントな条件下で、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9のmRNAに選択的にハイブリダイズする特有の配列が決定されると予想される。
本発明で用いられる用語「ストリンジェントな条件」とは、当業界周知のパラメーターのことである。核酸ハイブリダイゼーションのパラメーターは、このような方法を集めた参考文献を参考にしてもよく、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook等編,第二版,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),コールドスプリングハーバー,ニューヨーク,1989年、または、Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel等編,ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiley&Sons,Inc.),ニューヨークである。より特定には、本発明で用いられるストリンジェントな条件は、例えば、65℃で、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%フィコール、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、2.5mMのNaHPO(pH7)、0.5%SDS、2mMのEDTA)中でのハイブリダイゼーションを意味する。SSCは、0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム(pH7)であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり;および、EDTAは、エチレンジアミン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後に、その上にDNAがトランスファーしたメンブレンを、例えば2×SSC中、室温で洗浄し、次に、0.1〜0.5×SSC/0.1×SDSで、68℃以下の温度で洗浄する。
同様の程度のストリンジェンシーが達成されるその他の条件、試薬なども用いることができる。熟練した技術者であれば、このような条件について熟知していると思われるためここでは記載しない。しかし当然ながら、熟練した技術者であれば、本発明のガンに関連する抗原性の核酸の相同体および対立遺伝子が明確に同定されるように条件を操作できると思われる(例えば、より低いストリンジェンシー条件を用いて)。熟練した技術者はまた、細胞やライブラリーをこのような分子の発現に関してスクリーニングして、ルーチン的に単離し、続いて関連する核酸分子を単離し、配列決定する方法論についても熟知している。
細胞から得られた遺伝学的材料中でクローディン転写物を検出する好ましい方法では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術が用いられる。PCR技術は、当業者によってルーチン的に実施され、その診断における使用は周知であり、認可されている。PCR技術を実施する方法は、“PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications”,Innis,M.A.等編,アカデミックプレス社(Academic Press,Inc.),サンディエゴ,カリフォルニア州(1990年)に開示されている。PCR技術の用途は、“Polymerase Chain Reaction” Erlich,H.A.等編,コールドスプリングハーバープレス,コールドスプリングハーバー,ニューヨーク(1989年)に開示されている。PCRを行う方法は、米国特許第4,683,202年号、米国特許第4,683,195年号、米国特許第4,965,188号、および、米国特許第5,075,216号で説明されている。PCRは、パーキン・エルマー・シータス(Perkin Elmer Cetus)のGENE AMP RNA PCRキット(パート番号N808−0017)を用いてルーチン的に実施してもよい。
PCR技術は、RNAまたはDNA分子に含まれる配列にハイブリダイズする5’および3’プライマーを提供し、さらに、遊離のヌクレオチドと酵素を提供し、プライマー間のヌクレオチド配列に、遊離のヌクレオチドで相補的な塩基を補いDNAの相補鎖を生産するすることによってDNA配列の多数のコピーの迅速な生成を可能にする。このような酵素は、プライマーの隣から相補配列を充填していく。同一の小さい核酸フラグメントのヌクレオチド配列に5’プライマーと3’プライマーの両方がハイブリダイズする場合、特定の二本鎖サイズの産物が指数的に増幅される。一つのプライマーのみが核酸フラグメントにハイブリダイズする場合、直線状の増幅により様々な長さの一本鎖の産物が生産される。
当業者であれば、配列情報を用いてPCRプライマーをルーチン的に設計することができる。クローディン−3、クローディン−4およびクローディン−9転写物のヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号1、3および5に記載されている。この方法を実行するために、サンプル中の細胞からRNAを抽出し、そのRNAを周知の方法と簡単に利用できる出発原料を用いて試験するか、または、そのRNAを用いてcDNAを作成することができる。当業者であれば、容易にPCRプライマーを製造することができる。一組のプライマーは通常、2種のプライマーを含む。抽出されたmRNAまたはそれらから生成されたcDNAでPCRを行う際、クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAが存在する場合、mRNAまたはcDNAの多数のコピーが作製されると予想される。それらが存在しない場合、PCRにより独立した検出可能な産物が生成されないと予想される。プライマーは、一般的に、8〜50個のヌクレオチド、好ましくは約15〜35個のヌクレオチド、より好ましくは18〜28個のヌクレオチドであり、これらは、クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAと同一か、またはそれらに相補的であり、従って、それらにハイブリダイズする。好ましい一態様において、プライマーは、いずれも配列番号1、3または9の15〜35個のヌクレオチド、より好ましくは18〜28個のヌクレオチドフラグメントである。プライマーは、増幅しようとする配列にハイブリダイズしなければならない。典型的なプライマーの長さは、18〜28個のヌクレオチドであり、一般的には、500〜60%のG+C組成を有する。好ましくは、プライマー全体が、ハイブリダイズすべき配列に相補的である。好ましくは、プライマーは、100塩基対〜2000塩基対のPCR産物を生成する。しかしながら、50〜10kbおよびそれ以上の産物を生成することも可能である。mRNAがテンプレートとして用いられる場合、プライマーは、mRNA配列にハイブリダイズしなければならない。cDNAがテンプレートとして用いられる場合、プライマーは、cDNA配列にハイブリダイズしなければならない。
mRNAまたはcDNAは、標準的なPCRプロトコールに従って、プライマー、遊離のヌクレオチドおよび酵素と混合される。混合物は、一連の温度変化を経る。クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAが存在する場合、すなわち、同一の分子において両方のプライマーが配列にハイブリダイズする場合、プライマーとその間の相補配列を含む分子が、指数的に増幅すると予想される。増幅されたDNAは、多種多様な周知の手段によって容易に検出することができる。クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAが存在しない場合、PCR産物は、指数的に増幅されないと予想される。それゆえに、PCR技術は、極めて容易で、複雑でなく、かつ信頼できる、サンプル中でクローディン転写物を検出する方法を提供する。
PCR産物は、数種の周知の手段によって検出できる。増幅されたDNAの存在を検出するのに好ましい方法は、ゲル電気泳動でPCR反応材料を分離し、増幅されたDNAが存在する場合、それらを可視化するためにゲルをエチジウムブロマイドで染色することである。好ましくは、増幅されたDNAの予想サイズの大きさの標準を、コントロールとしてゲルに泳動する。
いくつかの例において、例えば、通常ではない少量のRNAしか回収できなかった場合や、それらからほんの少量のcDNAしか生成しなかったの場合、第一のPCR反応産物でPCR反応を行うことが望ましい、もしくはその必要がある。すなわち、第一の反応で生産された増幅されたDNAを大量に検出するのが難しい場合、第二のPCRを行い、第一の増幅されたDNAのDNA配列の多数のコピーを作製することができる。第二のPCR反応には、入れ子になったプライマーの組が用いられる。入れ子になったプライマーの組は、第一の反応で用いられた5’プライマー下流と、3’プライマー上流の配列にハイブリダイズする。
本発明は、クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAを増幅するためのPCR法を行うためのプライマーとして有用なオリゴヌクレオチドを含む。
本発明によれば、結腸直腸ではないサンプル中で、クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAの存在を検出する方法を実施するのに有用な診断キットを構築することができる。このような診断キットは、PCR法を行うためのプライマーとして有用なオリゴヌクレオチドで構成される。好ましくは、本発明に係る診断キットは、増幅されたDNAの存在を検出するのに用いられる、標準的としてゲルに泳動されるサイズマーカーを含む容器で構成される。サイズマーカーは、クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAの存在下でプライマーによって生成したDNAと同じサイズである。同キットに含まれるさらなる構成要素としては、分析を行うための説明書が挙げられる。加えて、本キットは、場合により、陽性および陰性の結果の様子を示す説明または写真を含んでもよい。
PCR分析は、ホモジナイズした組織サンプル、および、体液サンプル中の細胞でクローディン転写物を検出するのに有用である。クローディン転写物を検出するために、流動性のサンプルの血漿部分に対するPCRを用いることができると考えられる。
サンプルが、クローディンを発現する細胞を含むかどうかを決定するためのその他の方法は、サンプルから抽出されたmRNAの分枝オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション解析によるものである。分枝オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションは、米国特許第5,597,909号、米国特許第5,437,977号、および、米国特許第5,430,138号で説明されたように行ってもよく、これらはいずれも、参照により本発明に含まれる。試薬は、これらの特許やそのクローディン転写物配列の教示に従って設計してもよい。
サンプルがクローディンを発現する細胞を含むかどうかを決定するためのその他の方法は、結腸直腸ではないサンプルから抽出されたmRNAのノーザンブロット解析によるものである。ノーザンブロット解析を行うための技術は当業者周知であり、Sambrook,J.等,(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス,コールドスプリングハーバー,N.Yで説明されている。mRNA抽出物、電気泳動によるmRNA分離、ブロッティング、プローブの製造およびハイブリダイゼーションはいずれも、周知の技術であり、簡単に利用できる出発原料を用いてルーチン的に実行可能である。
mRNAは、ポリdTカラムを用いて抽出され、その材料は、電気泳動で分離され、例えばニトロセルロースペーパーにトランスファーされる。単離された特異的なフラグメントから作製された標識されたプローブを用いて、ペーパーに固定された相補フラグメントの存在を可視化することができる。ノーザンブロットでmRNAを同定するのに有用なプローブは、クローディン転写物に相補的なヌクレオチド配列を有するものである。当業者であれば、配列番号1、3または5に記載の配列情報を用いて、このようなプローブを設計することができ、または、プローブとして用いられるクローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAを単離し、クローニングすることができる。このようなプローブは、少なくとも15個のヌクレオチド、好ましくは30〜200、より好ましくは40〜100個のヌクレオチドフラグメントであり、クローディン転写物全体であってもよい。
本発明によれば、ノーザンブロット解析によって、結腸直腸ではないサンプル中で、クローディン転写物の存在を検出する方法を実施するのに有用な診断キットを構築することができる。このような診断キットは、mRNAにハイブリダイズするためのプローブとして有用なオリゴヌクレオチドを含む。このようなプローブは、放射標識さてていてもよい。好ましくは、本発明に係る診断キットは、標準的としてゲルに泳動されるサイズマーカーを含む容器で構成される。好ましくは、本発明に係る診断キットは、プローブにハイブリダイズすると予想される陽性コントロールを含む容器で構成される。数種のキットにおけるさらなる構成要素としては、分析を行うための説明書が挙げられる。加えて、本キットは、場合により、陽性および陰性の結果の様子を示す説明または写真を含んでもよい。
ノーザンブロット解析は、ホモジナイズした組織サンプル、および、体液サンプル中の細胞でクローディン転写物を検出するのに有用である。クローディン転写物を検出するために、流動性のサンプルの血漿部分に対するPCRを用いることができると考えられる。
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術による、クローディン転写物の存在を検出する他の方法
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術は当業者周知である。簡単に言えば、検出可能なプローブには、クローディン転写物のヌクレオチド配列にハイブリダイズすると予想される特異的なヌクレオチド配列が含まれる。サンプルからのRNAまたはRNAから製造されたcDNAは、通常ろ紙などに固定される。プローブが固定された遺伝学的材料に十分に相補的な場合にのみハイブリダイゼーションが可能になるような条件下で、プローブが添加され、維持される。上記条件は十分にストリンジェントであるため、プローブを洗浄して取り除くことができ、この場合、固定された材料にプローブ部分のみがハイブリダイズする。洗浄したフィルターでプローブが検出されれば、相補配列であることを示す。
オリゴヌクレオチド分析において有用なプローブは、相補DNAの少なくとも18個のヌクレオチドであり、クローディン転写物に完全に相補的な配列の大きさでもよい。いくつかの好ましい実施形態において、本発明プローブは、30〜200個のヌクレオチド、好ましくは40〜100個のヌクレオチドである。
当業者であれば、配列番号1、3または5で開示された配列情報を用いて、クローディン転写物に十分に相補的なプローブを設計できる。ハイブリダイゼーション条件をルーチン的に最適化し、十分に相補的ではないハイブリダイゼーションによるバックグラウンドシグナルを最小化することができる。いくつかの好ましい実施形態において、プローブは完全長のクローンである。プローブは、少なくとも15個のヌクレオチド、好ましくは30〜200、より好ましくは40〜100個のヌクレオチドフラグメントであり、クローディン転写物全体であってもよい。
本発明は、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを行うためのプローブとして有用な標識されたオリゴヌクレオチドを含む。すなわち、それらは、クローディン転写物と十分に相補的である。例えば、mRNA配列は、異なるエキソンによってコードされた部分を含む。本発明の標識されたプローブは、放射標識されたヌクレオチドで標識されるか、または、それ以外にも、簡単に利用できる非放射性の検出システムで検出可能である。
本発明によれば、本発明のオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション方法を実施するのに有用な診断キットを構築することができる。このような診断キットは、クローディン転写物の一部をコードする標識されたオリゴヌクレオチドで構成される。好ましくは、本発明に係るオリゴヌクレオチド診断キットの標識されたプローブは、放射性ヌクレオチドで標識される。本発明に係るオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションに基づく診断キットは、好ましくは、陽性および陰性コントロールに相当するDNAサンプルを含む。陽性コントロールのDNAサンプルは、本キットのプローブに十分に相補的なヌクレオチド配列を有し、分析条件下で、上記プローブが上記核酸分子にハイブリダイズできるような核酸分子を含むものである。陰性コントロールのDNAサンプルは、本キットのプローブの配列との相補性が不十分なヌクレオチド配列を有する核酸分子の少なくとも1種を含むものである。分析条件下で、プローブは、このような陰性コントロールのDNAサンプルにはハイブリダイズしないと予想される。数種のキットにおけるさらなる構成要素としては、分析を行うための説明書が挙げられる。加えて、本キットは、場合により、陽性および陰性の結果の様子を示す説明または写真を含んでもよい。
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術は、ホモジナイズした組織サンプル、および、体液サンプル中の細胞でクローディン転写物を検出するのに有用である。クローディン転写物を検出するために、流動性のサンプルの血漿部分に対するPCRを用いることができると考えられる。
本発明は、組織サンプルを評価し転移のレベルを決定するためのインビトロのキット、および、それを実施するのに有用な試薬および組成物に関する。
このような、ポリペプチドのmRNAの存在を決定するための技術により、様々なマイクロアレイ、バイオアレイ、バイオチップおよびバイオチップアレイが生産されている。本発明で用いられる用語「マイクロアレイ」、「バイオアレイ」、「バイオチップ」、および、「バイオチップアレイ」は、固形の支持基板上に並べられて固定された生体分子プローブの、規則的な空間配列を意味する。好ましくは、生体分子プローブは、高分子ビーズに連結した第二のリンカー成分に固定され、その高分子ビーズは、固形の支持基板に連結された第一のリンカー成分に固定される。当業界で用いられるようなバイオチップは、生物学的な結合対の片方を包む生体分子のアレイまたはマイクロアレイ、好ましくは規則的に並べられたアレイ、最も好ましくは規則的に並べられたアドレス可能なアレイを含む基板で構成される。典型的には、このようなアレイは、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9をコードする核酸配列の少なくとも1種に相補的なヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドアレイである。あるいは、および、好ましくは、このようなバイオチップに、タンパク質、ペプチドまたはその他の低分子物質を並べて、特に免疫学的分析を行ってもよいし(この場合、並べられた分子は抗原である)、または、生物学的な受容体を分析してもよい(この場合、前記受容体の並べられた分子はリガンド、アゴニストまたはアンタゴニストである)。差異的な遺伝子発現を検出するのに有用なマイクロアレイは、特に、Lockhart等の米国特許第6,040,138号(アフィメトリックス社(Affymetrix,Inc,サンタクララ,カリフォルニア州)から市販されている)、および、Wangの米国特許第6,004,755号(インサイト社(Incyte Inc.,パロアルト,カリフォルニア州)から市販されている)で説明されおり、また、特にリサーチ・ジェネティクス(Research Genetics,ハンツビル,アラバマ州)から市販もされている。
クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9が発現されているかどうかを決定するために、遺伝子発現解析を行って腫瘍性の転移性の細胞群と正常細胞との遺伝子発現の差を検出することができる。遺伝子発現マイクロアレイのハイブリダイゼーションにより、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の遺伝子発現パターンが得られる。これらの細胞における遺伝子の同定と、発現量が異なる遺伝子のパターンは、腫瘍細胞由来のcDNAでマイクロアレイハイブリダイゼーション解析を行うことにより得られた遺伝子の発現パターンと、正常な組織の遺伝子の発現パターンとを比較することによって確立される。
本発明は、以下に記載の実験の詳細によってより詳細に理解が可能と思われる。しかしながら、当業者であれば当然であるが、記載された特定の方法および結果は、単に、本発明の説明のためであり、その後に記載される請求項でより詳細に説明される。
気道上皮におけるタイトジャンクションの遺伝子発現:クローディン、オクルディン、ゾヌリンおよびJAMのディファレンシャルmRNA発現
クローディン、ジャンクション接着分子分子(JAM)、および、ゾヌリンは、多重遺伝子スーパーファミリータンパク質であり、タイトジャンクション(TJ)の構成要素である。それらは全ての上皮で発現され、細胞の極性化においてTJを補助し、バリア機能に役立つ。組成物中でこれらのタンパク質が果たす役割と、呼吸器系の上皮組織のTJの機能の発見は、治療剤の組織透過性に関してTJを利用するために重要である。本発明において、我々は、正常な気道上皮と不死化した気道上皮におけるTJ遺伝子発現をRT−PCRで解析した我々の結果を報告する。数種のクローディン(CLDN1〜12および14〜20)のそれぞれに特異的なプライマーを、プライマー3プログラムを用いて設計した。分化した上皮細胞および未分化の初期の上皮細胞(EpiAirway,MatTek Inc.)からmRNAを抽出し、半定量的RT−PCRを行った。クローディン−3をコードするcDNAを増幅するために、プライマーとして配列番号7および8が用いられた。クローディン−4をコードするcDNAを増幅するために、プライマーとして配列番号9および10が用いられた。クローディン−9をコードするcDNAを増幅するために、プライマーとして配列番号11および12が用いられた。これらの反応産物を、EtBrで染色したアガロースゲルでの電気泳動および濃度測定によって解析した。正常な上皮では、CLDN1、3、4、9、12および20は、高いレベルのRNA発現を示したが、一方、CLDN5、7、10、11、14および16は、それよりかなり低いレベルであった。その他のクローディンのmRNAレベルは検出できなかった。高いレベルのクローディン発現群のなかでも、CLDN1、12および20が、分化した組織と未分化の組織の両方で見出された。しかしながら、分化した組織で発現されたのは、CLDN3、4および9だけであった。その他のTJ転写物(JAM−1、オクルディン、ZO−1、ZO−2およびZO−3)のレベルは、差異的な発現を示さなかった。我々はまた、初期の呼吸器系の細胞(16HBE14o−)、および、RPMI2650、TJを提示しない細胞系における発現の特徴も報告する。これらの結果は、気道上皮におけるTJタンパク質の差異的な発現パターンを示しており、労力を傍細胞の薬物運搬を促進するための医薬的な標的としてTJ調節因子を創造することに照準を合わせる補助となる。
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Claims (30)

  1. 哺乳動物におけるガンを治療する医薬品を製造するための、ガン細胞内でクローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の発現を誘導する物質の使用。
  2. 前記物質がクローディンをコードする核酸であり、前記核酸がガン細胞にトランスフェクトされて前記クローディンがガン細胞で生産される条件下で、前記核酸が哺乳動物に投与され得る、請求項1に記載の使用。
  3. 前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれる、請求項2に記載の使用。
  4. 前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、および、アデノ随伴ウイルスベクターからなる群より選択される、請求項3に記載の使用。
  5. 前記哺乳動物が、ヒトである、請求項1に記載の使用。
  6. ガン組織中でクローディン−3、クローディン−4、または、クローディン−9の発現を誘導する物質の治療上有効な量を投与する工程を含む、ガン組織の転移を阻害するための使用。
  7. クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9をコードする1種以上の核酸が、前記核酸がガン細胞にトランスフェクトされて前記クローディンがガン細胞で生産される条件下で哺乳動物に投与される、請求項6に記載の使用。
  8. 前記核酸が、ウイルスベクター中に含まれる、請求項7に記載の使用。
  9. 前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルス、および、アデノ随伴ウイルスベクターからなる群より選択される、請求項6に記載の使用。
  10. 前記哺乳動物が、ヒトである、請求項6に記載の方法。
  11. 哺乳動物における腫瘍の診断方法であって、組織内でのクローディン3、4および9の発現の表出を解析することを含み、ここで、1種以上のクローディンの発現量が低い場合、前記組織は転移ガンである、前記方法。
  12. クローディン−3、クローディン−4、および、クローディン−9の表出が、核酸ハイブリダイゼーション技術によって行われる、請求項11に記載の方法。
  13. 個体が転移したガン細胞を有するかどうかを決定するためのインビトロの方法であって、個体からの組織および/または体液サンプルを試験し、前記サンプル中で、細胞がクローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9転写物を発現しているかどうかを決定する工程を含み、ここで、前記クローディン転写物の発現量が低い場合、前記サンプル中に、転移した結腸直腸ガンの細胞が存在することを示す、前記方法。
  14. 前記サンプルと、クローディンのmRNA転写物またはそれらから生成されたcDNAを選択的に増幅するプライマーとを接触させるポリメラーゼ連鎖反応によって、前記細胞による前記クローディン転写物の発現が決定される、請求項13に記載の方法。
  15. 個体が、転移したガンを有するかどうかを決定するためのインビトロの方法であって、個体からの組織サンプルを試験し、前記サンプル中で、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9のmRNA転写物が発現されているかどうかを決定する工程を含み、ここで、前記サンプル中における前記クローディンのmRNA転写物の発現量が低い場合、前記個体が転移したガンを有することを示す、前記方法。
  16. 前記クローディンのmRNA転写物が、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9転写物の配列を増幅するプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応分析によって検出される、請求項15に記載の方法。
  17. 個体が転移ガンを有するかどうかを決定するためのインビトロでのPCR分析キットであって;
    前記クローディン転写物またはそれらから生成されたcDNAを増幅するPCRプライマーを含む第一の容器;および、
    核酸マーカーを含む第二の容器(前記マーカーは、標識されており、前記cDNAの転写物にハイブリダイズ可能である)、
    を含み、前記決定は、個体からの組織および/または体液サンプル中でのクローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9のmRNA転写物の発現を検出することによってなされ、ここで、前記サンプル中における前記クローディン転写物の発現量が低い場合、前記個体が転移ガンを有することを示す、前記キット。
  18. 哺乳動物のクローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9ポリペプチドに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む、哺乳動物を転移の存在に関して試験するためのキット。
  19. 前記キットが、前記抗体または抗体フラグメントの、前記クローディンポリペプチドへの結合を検出するための手段をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  20. 前記哺乳動物が、ヒトである、請求項18に記載のキット。
  21. 前記抗体が、齧歯類の抗体である、請求項18に記載のキット、。
  22. 前記抗体が、ポリクローナル抗体である、請求項18に記載のキット。
  23. 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項18に記載のキット。
  24. 前記は、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の存在を決定するための酵素結合免疫吸着検査法である、請求項18に記載のキット。
  25. 前記キットが、ラジオイムノ分析である、請求項18に記載のキット。
  26. 前記キットが、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9に結合する蛍光抗体または抗体フラグメントを用いた蛍光イムノ分析である、請求項18に記載のキット。
  27. 細胞が転移ガン細胞であるかどうかを決定するための方法であって、細胞と、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9に結合する抗体もしくは抗体フラグメント、または、その他のタンパク質もしくはポリペプチドとを接触させること;および、前記抗体または抗体フラグメントが細胞に結合するかどうかを検出することを含み、ここで、前記抗体または抗体フラグメントが細胞に結合しない場合、その細胞は、転移ガン細胞である、前記方法。
  28. 前記方法が、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9の存在を決定するための酵素結合免疫吸着検査法である、請求項29に記載の方法。
  29. 前記方法が、ラジオイムノ分析である、請求項29に記載の方法。
  30. 前記方法が、クローディン−3、クローディン−4またはクローディン−9に結合する蛍光抗体または抗体フラグメントを用いた蛍光イムノ分析である、請求項29に記載の方法。
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