JP2006520862A - 製紙業者用の地合構成織物 - Google Patents
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Abstract
1組のトップ側CMDヤーンともっぱら織り合わされてトップ側織物層の少なくとも一部を形成する1組のトップ側MDヤーンと、1組のボトム側CMDヤーンともっぱら織り合わされてボトム側織物層の少なくとも一部を形成する1組のボトム側MDヤーンとを有する製紙業者用の三層地合構成織物が提供されている。これら織物は更に、1組の縫合MDヤーン対を含んでいる。かかる対から構成される縫合MDヤーンは、該対における第1のヤーンが前記トップ側織物層で織り合わせられる箇所において、該対における第2のヤーンが下がって前記ボトム側織物層に入るように、前記トップ側織物層及び前記ボトム側織物層の双方で織り合わせられている。本発明の実施形態において、各縫合MDヤーンは、ボトム側MDヤーンと共に前記ボトム側織物層のボトム側表面上に横に並んだマシン方向節部を形成するように、織り合わせられることも可能である。本発明の他の実施形態において、前記縫合MDヤーン対の前記縫合MDヤーンが下がって前記ボトム側織物層に入る直前に通り過ぎるトップ側CMDヤーンのうちの少なくとも幾本かは、該トップ側CMDヤーンの残りのものよりも大きな直径及び/又は高い弾性率を有している。
Description
本出願は、西暦2003年3月19日に出願された米国特許出願第10/391,827号の部分継続出願であり、その開示内容全体はここに組み込まれている。
本発明は、総括的には製紙に関し、特に、製紙の際に用いられる地合構成織物に関するものである。
通常の長網式製紙工程において、(紙「原料」として知られる)セルロース繊維の水スラリーもしくは懸濁液は、2つ以上のローラ間を走行する織った金網及び/又は合成材料製エンドレスベルトの上側走行部の表面上に送り込まれる。「地合構成織物」としばしば呼ばれるこのベルトは、その上側走行部の上面にある製紙表面を提供しており、この製紙表面は、紙原料のセルロース繊維を水性媒体から分離して湿った紙ウェブを形成するフィルタとして作用する。この水性媒体は、もっぱら重力により、或いは、地合構成織物の上側走行部の下面(即ち、「マシン側」)に接触配置される真空吸引装置により、水切り穴として知られる地合構成織物の網目から排水される。
この地合構成部を去った後、紙ウェブは、抄紙機のプレス部に搬送され、同プレス部において、「圧搾フェルト」と通常呼ばれる別の織物で覆われた1対以上のプレスローラのニップを通って絞られる。該プレスローラからの圧力によって紙ウェブから更に水分が除去され、この水分除去は、圧搾フェルトにある「芯もしくはバット(butt)」層の存在によりしばしば促進される。その後、紙は更なる水分除去のために乾燥部に運ばれる。乾燥後の紙は、二次処理及び包装の準備がなされている。
この明細書で使用しているように、「マシン方向(MD=machine direction)」及び「マシン横断方向(CMD=cross machine direction)」という用語は、それぞれ、抄紙機上での製紙業者用織物の走行方向と整列した方向、並びに織物表面に平行であり且つ走行方向を横切る方向を指している。同様に、織物における糸もしくはヤーンの上下関係についての方向上の呼称(例えば、上方、下方、トップ側、ボトム側、直下等)は、織物の製紙表面が織物のトップ側であり、また、織物のマシン側表面が織物のボトム側であることを前提としている。
通常、製紙業者用の織物は、2種ある基本的な製織技術の1つによりエンドレスベルトとして製造されている。これら製織技術のうち第1の技術では、平坦に織る製織法により織物を平らに織って、それらの端部を接続してエンドレスベルトに形成するが、接続は、多数の既知接続方法のうちの任意の1つにより、例えば、端部をバラして再び互いに織り合わせる(通常、切継ぎとして知られている)ことにより、或いは、各端部に又は特別の折返し部にピン縫合可能なフラップを縫い付け、その後、これらをピン縫合可能のループに再び織り込むことにより行われている。多数の自動接続機が現在商業的に利用可能であり、それらは、ある種の織物については、接続工程の少なくとも一部を自動化するのに使用することができる。平らに織られた製紙業者用の織物において、経糸はマシン方向に延び、緯糸はマシン横断方向に延びている。
第2の基本的製織技術において、織物は、無端製織法により連続ベルトの形に直接に織られる。無端製織法では、経糸はマシン横断方向に延び、緯糸はマシン方向に延びる。上述した製織方法は双方とも当該技術分野でよく知られており、ここで使用されている「エンドレスベルト」という用語は、いずれの方法により製作されたベルトをも指している。
効果的にシート及び繊維を支持することは、特に、湿ったウェブが先ず形成される抄紙機の地合構成部にとって、製紙を行う際の重要問題である。その上、地合構成織物は、抄紙機上を高速で走行するときに良好な安定性を示さなければならず、また、ウェブが抄紙機のプレス部に搬送されるときにそのウェブに保持された水の量を減じるために非常に透水性であることが好ましい。ティッシュペーパー及び上質紙(即ち、上質印刷,カーボン付着(carbonizing),タバコ,電気コンデンサー等に使用される紙)の双方に適用の場合、製紙表面は、非常に細かく織った構造、或いは非常に細かい金網構造から構成されている。
通常、ティッシュペーパー及び上質紙への適用の際に使用されるような細かく織った地合構成織物は、少なくともある程度相対的に小径のマシン方向ヤーン又はマシン横断方向ヤーンを含んでいる。しかし、残念ながら、このようなヤーンは損傷を受け易く、地合構成織物としての表面寿命が短くなる。更に、小径のヤーンを使用することにより地合構成織物の機械的安定性にも悪影響が与えられ(特に、斜め方向の抵抗,括れ(narrowing)傾向及び剛性)、これは地合構成織物の供用寿命及び特性の双方に負の影響を与える可能性がある。
細かく織る地合構成織物に関連したこれらの問題に取り組むため、紙の形成を容易にすべく紙形成表面上に細かい目のヤーンを有すると共に、強度及び耐性を与えるべくマシン接触側に粗い目のヤーンを有する多層の地合構成織物が開発されてきた。例えば、1組のマシン方向ヤーンを用いてこれを2組のマシン横断方向ヤーンと織り合わせて、細かい紙形成表面とより耐性のあるマシン側表面とを有する地合構成織物を形成するような、様々な地合構成織物が製作されてきた。これらの地合構成織物は、「二層織物」と一般的に呼ばれる種類の地合構成織物の一部である。同様に、2組のマシン方向ヤーン及び2組のマシン横断方向ヤーンを含み、これらにより細かい目の紙側織物層と別個の粗いマシン側織物層とを形成するような、様々な地合構成織物が製作されてきた。「三層織物」と一般的に呼ばれる種類の地合構成織物の一部であるこれらの地合構成織物において、2つの織物層が別々の縫合ヤーンにより一緒に結合されるのが典型的である。しかしながら、これらは、1組以上のボトム側、トップ側マシン横断方向ヤーン及びマシン方向ヤーンからのヤーンを使用して互いに結合されていてもよい。二層及び三層織物は単層織物と比較して追加のヤーン組を含んでいるので、これらの地合構成織物は、比較し得る単層織物よりも大きな「厚さ(caliper)」を有している(即ち、それらは単層織物よりも厚い)。二層織物の例はトンプソン(Thompson)に対する米国特許第4,423,755号明細書に示されており、三層織物の例は、オスターベルク(Osterberg)に対する米国特許第4,501,303号明細書、フォーリンガー(Vohringer)に対する米国特許第5,152,326号明細書、ワード(Ward)に対する米国特許第5,437,315号及び第5,967,195号各明細書に示されている。
本発明は、比較的に優れた脱水性、透水性及びマシン方向ヤーンスタッキング特性を示すことができるマシン方向ヤーンで縫合した製紙業者用地合構成織物に関し、また、ある場合には、斜め方向のマーキング(diagonal marking)を減少せしめることができる。
本発明の一実施形態において、製紙業者用の三層地合構成織物は、1組のトップ側CMDヤーンと、該トップ側CMDヤーンともっぱら織り合わせられて製紙表面を有するトップ側織物層の少なくとも一部を形成する1組のトップ側MDヤーンと、1組のボトム側CMDヤーンと、該ボトム側CMDヤーンともっぱら織り合わせられてマシン側表面を有するボトム側織物層の少なくとも一部を形成する1組のボトム側MDヤーンであって、該ボトム側MDヤーンがボトム側CMDヤーンの下を通るときに、ボトム側MD節部を形成する1組のボトム側MDヤーンと、各トップ側MDヤーンのどちらかの側に配置される1対の追加のMDヤーンとを備えており、各対の追加のMDヤーンのうちの第1のヤーンは、前記トップ側織物層でもっぱら織り合わせられ、各対の追加のMDヤーンのうちの第2のヤーンは、前記製紙表面上で各対の追加のMDヤーンのうちの第1のヤーンの織成を完了すると共に、ボトム側CMDヤーンの下で前記ボトム側織物層と織り合わせられてボトム側MD縫合ヤーン節部を形成し、前記トップ側織物層及び前記ボトム側織物層を互いに結び付けるようになっている。各ボトム側縫合ヤーン節部はボトム側CMDヤーンの下方に形成され、その下に隣接のボトム側MDヤーンがボトム側MD節部を形成している。
本発明の別の実施形態において、製紙業者用の三層地合構成織物は、1組のトップ側CMDヤーンと、該トップ側CMDヤーンともっぱら織り合わせられて製紙表面を有するトップ側織物層の少なくとも一部を形成する1組のトップ側MDヤーンと、1組のボトム側CMDヤーンと、該ボトム側CMDヤーンともっぱら織り合わせられてマシン側表面を有するボトム側織物層の少なくとも一部を形成する1組のボトム側MDヤーンであって、該ボトム側MDヤーンがボトム側CMDヤーンの下を通るときに、ボトム側MD節部を形成する1組のボトム側MDヤーンと、各トップ側MDヤーンのどちらかの側に配置される1対の追加のMDヤーンとを備えており、各対の追加のMDヤーンのうちの第1のヤーンは、前記トップ側織物層でもっぱら織り合わせられ、各対の追加のMDヤーンのうちの第2のヤーンは、前記製紙表面上で各対の追加のMDヤーンのうちの第1のヤーンの織成を完了すると共に、ボトム側CMDヤーンの下で前記ボトム側織物層と織り合わせられてボトム側MD縫合ヤーン節部を形成し、前記トップ側織物層及び前記ボトム側織物層を互いに結び付けるようになっている。この実施形態において、追加のMDヤーンの各々はトップ側CMDヤーンの上を通ることにより節部を形成し、各対の追加のMDヤーンのうちの第1のヤーンにより形成される節部の数は、各対の第2のヤーンにより形成される節部の数とは異なっている。
本発明の別の形態は、製紙のために上述したような製紙業者用の三層地合構成織物を使用する方法を含んでいる。
次に、本発明の実施形態が示されている添付図面に関連して特に本発明について説明する。しかし、本発明は、種々の形態で実施可能であるから、例示した実施形態又はこの明細書に記載したその他の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、これらの実施形態は、開示が徹底的且つ完全であって、本発明の範囲が当業者に十分に伝えられるように準備されている。図面において、諸要素の寸法は明瞭にするため誇張して示すことがある。
本発明の一形態は、トップ側織物層とボトム側織物層の双方を含むマシン方向ヤーンで縫合した製紙業者用の三層地合構成織物に向けられている。これらの地合構成織物は、それらがトップ側織物層においてのみ織り合わせられる複数組のマシン方向ヤーン及びマシン横断方向ヤーンのほかに、ボトム側織物層においてのみ織り合わせられる複数組のマシン方向ヤーン及びマシン横断方向ヤーンを含む点で、「真の」三層地合構成織物である。該織物はまた、製紙表面上の織成パターンにおいて単一マシン方向ヤーンに相当するものに一緒に取って代わる複数対の隣接マシン方向ヤーンも含んでいる。これらのヤーンは、各対における1本のヤーンが製紙表面上の織成パターンを完成するようにトップ側織物層で織られているときに、各対の別のヤーンが製紙表面の下で織られるように、織り合わせられる。織物全体において、これらのヤーンがそれらの位置を交換しあう。各対における少なくとも1本のヤーンはまた、トップ側及びボトム側織物層を互いに結び付けるように1つ以上の箇所でボトム側織物層の方へ下がる。ここで、これらのヤーン対は、「縫合MDヤーン対」(各対の1本のヤーンのみがボトム側織物層を実際に縫い合わせる実施形態であっても)と呼称する。これらのヤーン対からの個々のヤーンは、「縫合MDヤーン」と通常呼称されている。
本発明のマシン方向ヤーンで縫合した三層地合構成織物の実施形態は、図1〜図3に例示されており、総括的に符号100で表わされている。図1は、三層地合構成織物100のトップ側織物層102の上面図(即ち、製紙表面の図)を示しているのに対し、図2は地合構成織物100のボトム側織物層104の上面図(即ち、取り除いたトップ側織物層102ともっぱら織り合わせられるヤーンを有する地合構成織物100の図)を示している。図3A〜図3Pは、地合構成織物100の1繰返しユニットにおける諸マシン方向ヤーンの各々の経路を示している。図1〜図3の地合構成織物100は、16綜絖で織られており、従って、地合構成織物の単一繰返しは16本のマシン方向ヤーンを含んでいる。図1及び図2は、地合構成織物の単一繰返しユニットを示しているだけであるが、技術に習熟した者は、商業的適用例において図1及び図2の繰返しユニットがマシン方向及びマシン横断方向に何回も繰り返されて、抄紙機で使用するのに適する広い地合構成織物を形成することが分かるであろう。
図1に見られるように、トップ側織物層102の繰返しユニットは、互いに織り合わせられる1組のトップ側MDヤーン110〜113及び1組のトップ側CMDヤーン130〜145を含んでいる。トップ側織物層は更に、同様にトップ側CMDヤーン130〜145と織り合わせられる1組4対の縫合MDヤーン対120,124;121,125;122,126;123,127を含んでいる。図1に示すように、例えば縫合MDヤーン対120,124のような縫合MDヤーン対は、ヤーン110〜111のような隣接トップ側MDヤーンの各対の間に設けられている。各縫合MDヤーン対(例えば、対120,124)は、対のヤーンのうちの1本(例えば、ヤーン120)がトップ側織物層102において織り合わせられてトップ側織物層102における織成パターンを完成しながら、縫合MDヤーンの他方(例えば、ヤーン124)が下がってボトム側織物層104の中に入りトップ側織物層102及びボトム側織物層104を互いに結び付けるように、織り合せられている。このようにして、縫合MDヤーン対120,124;121,125;122,126;123,127は、トップ側織物層102の織りを完成すると共に、トップ側及びボトム側織物層102,104を互いに結び付ける働きをしている。
図1に示すように、1組のトップ側CMDヤーン130〜145から構成されるヤーンは、1組のトップ側MDヤーン110〜113及び縫合MDヤーン対120,124;121,125;122,126;123,127と1×1パターン即ち「平織」パターンになって織り合わせられており、これは、トップ側CMDヤーン130〜145の各々が、製紙表面においてその時織り合わせられているマシン方向ヤーンの1本の下を、その後次の1本の上を交互に通ることを意味している。例えば、トップ側CMDヤーン130は、トップ側MDヤーン110の下、縫合MDヤーン120の上、トップ側MDヤーン111の下、縫合MDヤーン120の上、トップ側MDヤーン111の下、縫合MDヤーン121の上、トップ側MDヤーン112の下、縫合MDヤーン122の上、トップ側MDヤーン113の下及び縫合MDヤーン127の上を通る。他のトップ側CMDヤーン131〜145は、同一の「上1本/下1本」のパターンに従うが、このパターンは、隣接するトップ側CMDヤーン130〜145について1本のマシン方向ヤーン分だけオフセット、即ちずれている。
次に図2を参照すると、地合構成織物100のボトム側織物層104のトップ側表面の1回の繰返しユニットが示されている。この繰返しユニットは、1組のボトム側CMDヤーン160〜167と織り合わせられる1組のボトム側MDヤーン150〜153を含んでいる。この繰返しユニットは更に、上述した縫合MDヤーン対120,124;121,125;122,126;123,127を含んでいる。
図2に最も良く示すように、ボトム側CMDヤーン160〜167は、地合構成織物100のマシン側表面と地合構成織物100を使用中の抄紙機との間の摩擦により生ずる摩耗に耐えるのに適切な比較的に大径のヤーンを使用して構成されている。図2から分かるように、地合構成織物100の織成パターンは、マシン側表面上に比較的に長いマシン横断方向「浮糸(float)」を提供するが、これは、ボトム側織物層104のマシン側表面(即ち、ボトム側表面)を見たときに、CMDヤーンが多くの隣接マシン方向ヤーンの上を通る、即ち「浮いている」ことを意味している。これは、大径のより丈夫なボトム側CMDヤーン160〜167が抄紙機に主として接触するのを可能にする点で有利であろう。
上述したように、図1及び図2に記載の地合構成織物において、トップ側織物層102(図1に記載)及びボトム側織物層104(図2に記載)は、縫合MDヤーン対120,124;121,125;122,126;123,127により互いに結び付けられている。図1においては、トップ側織物層102と織り合わせられる縫合MDヤーン対120〜127のこれら部分のみが記載されている。図2においては、縫合MDヤーン対120〜127の全部が示されているが、トップ側織物層において織り合わせられる縫合経糸のこれら部分は点線を用いて示されている。
図3A〜図3Pは、地合構成織物100の1回の繰返しにおける16本のMDヤーンの各々の個々のマシン方向ヤーン経路を示している。図3A,図3E,図3I及び図3Mに示すように、トップ側MDヤーン110〜113は、トップ側CMDヤーン130〜145と同一の上1本/下1本のパターンで織り合わせられている。これらのトップ側MDヤーン110〜113は、ボトム側織物層104とは織り合わせられてはいない。図3B,図3F,図3J及び図3Kに示すように、ボトム側MDヤーン150〜153は上4本/下1本/上2本/下1本のパターンでボトム側CMDヤーン160〜167と織り合わせられており、これは、各ボトム側MDヤーンが地合構成織物の各繰返しユニットにおいて1組のボトム側CMDヤーン160〜167のうちの4本のヤーンの上、次の1本のボトム側CMDヤーンの下、次の2本のボトム側CMDヤーンの上、及び次の1本のボトム側CMDヤーンの下を通ることを示している。例えば、図3Fに示すように、ボトム側MDヤーン151は、ボトム側CMDヤーン165〜167及び160の上、ボトム側CMDヤーン161の下、ボトム側CMDヤーン162〜163の上、及びボトム側CMDヤーン164の下を通っている。他のボトム側CMDヤーン150,152〜153は、同様の「上4本/下1本/上2本/下1本」の織成パターンに従うが、このパターンは、各隣接するボトム側MDヤーン151〜153について2本のボトム側CMDヤーン160〜167分だけずれている。
図3C,図3G,図3K及び図3Oは、縫合MDヤーン120,121,122及び123のそれぞれについての個々のマシン方向ヤーン経路を記載している。図示のように、ヤーン120〜123は、各縫合MDヤーン120〜123をそれに隣接する縫合MDヤーン120〜123に関して2本のボトム側CMDヤーン(及び延いては4本のトップ側CMDヤーン)分だけずらした状態で、トップ側CMDヤーン130〜145及びボトム側CMDヤーン160〜167と同一パターンで織り合わせられている。図示のように、例えば図3Cにおいて、縫合MDヤーン120〜123は、下1本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本/下6本/のパターンでトップ側CMDヤーン130〜145と織り合わせられている。縫合MDヤーンはまた、ボトム側CMDヤーン160〜167とは上7本/下1本のパターンで織り合わせられている。
図3D,図3H,図3L及び図3Pは、縫合MDヤーン124,125,126及び127についての個々のマシン方向ヤーン経路を記載している。図示のように、ヤーン124〜127は、各縫合MDヤーン124〜127をそれに隣接する縫合MDヤーン124〜127に関して2本のボトム側CMDヤーン(及び、従って4本のトップ側CMDヤーン)分だけずらした状態で、トップ側CMDヤーン130〜145及びボトム側CMDヤーン160〜167と同一パターンで織り合わせられている。図示のように、例えば、図3Dにおいて、縫合MDヤーン120〜123は、下11本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本のパターンでトップ側CMDヤーン130〜145と織り合わせられている。縫合MDヤーン124〜127はまた、ボトム側CMDヤーン160〜167とは上7本/下1本のパターンで織り合わせられている。
図1〜図3から分かるように、地合構成織物100におけるマシン方向ヤーンの50%のみがトップ側織物層102及びボトム側織物層104の双方で織り合わせられている。このような構成の結果として、マシン方向に延びるヤーンの改善された「積重ねもしくはスタッキング」が得られる。特に、トップ側MDヤーン110〜113は、それらがボトム側MDヤーン150〜153の実質的に直上にあるように配置されている。このような配置は、トップ側織物層102のトップ側表面に達する水がボトム側織物層104の底部まで真直ぐになるヤーン間の比較的に大きな水切り穴に遭遇するように、望ましい真直ぐな脱水を行なうことができる。かかる配置は、脱水の改善及び清浄の容易化をもたらすことができ、これは多くの製紙適用例において望ましい織物特性である。その上、トップ側及びボトム側織物層102,104の双方において織り合わせられるマシン方向ヤーンを100%にも満たなくすることにより、米国特許第6,202,705号明細書又は独国特許WO02/00996−02A1に保護を請求されているような織物のように、縫合ヤーンとして構成されたマシン方向ヤーンの67%又は100%で形成された等価の織物と比較して、透水性及び均一性を概して向上させることが可能である。これらの特徴は多くの製紙適用例においてもまた望ましい。
また図2から分かるように、各ボトム側MDヤーン150〜153は、交互に、各側でそれに隣接している縫合MDヤーン120〜127と一緒に集まるか又は「カップル」になる。従って、例えば、ボトム側MDヤーン151は、ボトム側CMDヤーン164の近くで縫合MDヤーン121とカップルになりながら、ボトム側CMDヤーン161の近くで縫合MDヤーン124とカップルになっている。このような対形成は、ボトム側MDヤーン150〜153がボトム側CMDヤーン160〜167の下を通っている箇所の近くで起こるので、それらは抄紙機に接触するのを阻止される位置にある。しばしば、2本の隣接するヤーンがこのような方法で「カップルになる」ときに、技術的に習熟した当業者は、ヤーンが織物で一緒に集まる箇所において2本のヤーンが「対になる」と言う。しかしながら、本出願における「縫合MDヤーン対」という言及によりもたらされる混乱を避けるために、用語「カップル」は、2本のヤーンが織物内で一緒に集まる状況を説明するのに使用されるであろう。
ボトム側MDヤーン150〜153及び縫合MDヤーン120〜127の間に起こるこのカップリング配置は、一定の適用例において幾つかの有利な効果を有することができる。先ず、これらの箇所でのカップリングにより、各個々のヤーンは、ヤーン同士が互いに保護すべく作用する傾向があるため、抄紙機と接触するのが少なくなり得る。これは、織物について起こり得る破壊点が抄紙機と接触するMDヤーンの摩耗であるので、織物の寿命を延ばす利点がある。更に、MDヤーンがCMDヤーンの下で浮いている箇所で2本のMDヤーンをカップルにすることは、この箇所でボトム側CMDヤーンにかかる上向きの力を増す作用が潜在的にある。この増大した上向きの力は、マシン側MDヤーンの浮糸がボトム側織物層104の中に埋まり込むのを助け、これは更に、ボトム側MDヤーン150〜153及び縫合MDヤーン120〜127に対し抄紙機により招来される摩耗を減少させるのを助ける可能性がある。第3に、図2に最も良く示すように、カップリングが起こる各箇所の近くに比較的に大きな水切り穴が設けられている。これらの大きな水切り穴は、織物100からの脱水を容易にすると言える。
図1〜図3の実施形態において、縫合MDヤーン120〜127の全てはトップ側及びボトム側織物層102,104で織り合わせられて、該織物層同士を互いに縫合している。以下の織物の記載において明らかにされるように、縫合MDヤーンの全てがかかる縫合機能を行なうのに必要ではないことが分かるであろう。
本発明の教示に基づいて構成された別の地合構成織物200が図4〜図6に示されている。図4が三層地合構成織物200のトップ側織物層202の上面図(即ち、製紙表面の図)を示しているのに対し、図5は地合構成織物200のボトム側織物層204の上面図(即ち、取り除いたトップ側織物層202でもっぱら織り合わせられるヤーンを有する地合構成織物200の図)を示している。図6A〜図6Dは、トップ側MDヤーン210、ボトム側MDヤーン250、及び縫合MDヤーン224,220の織成パターンをそれぞれ示している。技術に習熟した当業者は、商業的適用例において織物の図示した部分がマシン方向及びマシン横断方向に何回も繰り返されていることが分かるであろう。
図4に見られるように、トップ側織物層202は、互いに織り合わせられる1組のトップ側MDヤーン210〜213及び1組のトップ側CMDヤーン230〜245を含んでいる。トップ側織物層は更に、同様にトップ側CMDヤーン230〜245と織り合わせられる1組4対の縫合MDヤーン対220,224;221,225;222,226;223,127を含んでいる。図4に示すように、例えば縫合MDヤーン対220,224のような縫合MDヤーン対は、隣接トップ側MDヤーンの各対(例えば、ヤーン210〜211)の間に設けられている。各縫合MDヤーン対は、対のヤーンのうちの1本(例えば、ヤーン220)がトップ側織物層202において織り合わせられてトップ側織物層202における織成パターンを完成しながら、対の他方のヤーン(例えば、ヤーン224)が製紙表面の下に下がるように、織り合わせられている。図6C及び図6Dに最も良く示すように、地合構成織物200の実施形態においては、各縫合MDヤーン対における2本のヤーンのうちの1本(例えば、縫合MDヤーン対220,224におけるヤーン224)が下がってボトム側織物層204の中に入り、トップ側織物層202及びボトム側織物層204を互いに結び付けている。縫合MDヤーン対における他方のヤーン(例えば、ヤーン220)は、製紙表面の下方に下がり、縫合MDヤーン対における別のヤーン(例えば、ヤーン224)が製紙表面まで移行してトップ側織物層202の織成を完成する織物における諸位置でトップ側織物層202及びボトム側織物層204の間を移行するようになっている。
図5を参照すると、ボトム側織物層204のマシン側表面が示されている。ボトム側織物層204は、1組のボトム側CMDヤーン260〜267と織り合わせられる1組のボトム側MDヤーン250〜253を含んでいる。繰返しユニットは更に縫合MDヤーン224〜227を含んでおり、これらは上述したように、トップ側織物層202及びボトム側織物層204の双方で織り合わせられて該織物層同士を互いに結び付けている。
図5に示すように、地合構成織物200のボトム側CMDヤーン260〜267は、地合構成織物200の使用中に抄紙機により生ぜしめられる摩耗に耐えるのに適切な比較的に大径のヤーンを使用して構成されている。また、図5から分かるように、地合構成織物200の織成パターンは、マシン側表面上に比較的に長いマシン横断方向「浮糸(float)」を提供している。
図6A〜図6Dは、地合構成織物200の代表的なマシン方向ヤーンの個々のマシン方向ヤーン経路を示している。図6Aは、トップ側MDヤーン210についてのマシン方向ヤーン経路を示している。トップ側MDヤーン211〜213は同一織成パターンで織り合わせられている。図6Aに示すように、これらトップ側MDヤーン211〜213の各々は、トップ側CMDヤーン230〜245とは上1本/下1本のパターンで織り合わせられていて、ボトム側織物層204におけるどのヤーンとも織り合わせられていない。
図6Bは、ボトム側MDヤーン250のマシン方向ヤーン経路を示している。図6Bに示すように、ボトム側MDヤーン250は上3本/下1本/上3本/下1本のパターンでボトム側CMDヤーン260〜267と織り合わせられており、即ち、それは、地合構成織物の各繰返しにおいてボトム側CMDヤーン267,260〜261の上、ボトム側CMDヤーン262の下、ボトム側CMDヤーン263〜265の上、ボトム側CMDヤーン266の下を通っている。他のボトム側MDヤーン251〜253は同様の「上3本/下1本/上3本/下1本」の織成パターンに従うが、パターンの出発点は各隣接するボトム側MDヤーン250〜253について2本のボトム側CMDヤーン260〜267分だけずれている。
図6Cは、縫合MDヤーン224のマシン方向ヤーン経路を示している。図6Cに示すように、縫合MDヤーン224は、ボトム側CMDヤーン260〜267に関して上3本/下1本/上3本/下1本のパターンで織り合わせられていると共に、トップ側CMDヤーン230〜245に関して上7本/下1本/上7本/下1本のパターンで織り合わせられている。縫合MDヤーン225〜227は、パターンの出発点が各隣接する縫合MDヤーン224〜227について2本のボトム側CMDヤーン260〜267(従って、4本のトップ側CMDヤーン230〜245)分だけずれている点を除いて、ボトム側CMDヤーン260〜267及びトップ側CMDヤーン230〜245に関して縫合MDヤーン224と同じパターンに従っている。
図6Dは、縫合MDヤーン220のマシン方向ヤーン経路を示している。図6Dに示すように、縫合MDヤーン220は、トップ側CMDヤーン230〜245に関して下1本/上1本/下3本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本/下3本/上1本/下1本/上1本のパターンで織り合わせられている。縫合MDヤーン220はボトム側CMDヤーン260〜267とは織り合わせられていない。縫合MDヤーン221〜223は、パターンの出発点が各隣接する縫合MDヤーン220〜223について4本のトップ側CMDヤーン230〜245分だけずれている点を除いて、トップ側CMDヤーン230〜245に関して縫合MDヤーン220と同じパターンに従っている。
図6C及び図6Dに示すように、縫合MDヤーン対220,224;221,225;222.226;223.227は、「ドロップト節部(dropped knuckle)パターン」で織り合わせられて製紙表面における織成を完成している。「ドロップト節部パターン」とは、各対におけるヤーン(ヤーン220〜223)のうちの一方が製紙表面において織成を実質的に完成するが、しばしばこのヤーンが、上1本/下1本のパターンでトップ側CMDヤーンを越えている節部の1つを飛びこして、対の他方のヤーン(ヤーン224〜227)がトップ側織物層と織り合わせられるのを許容するようになっていることを意味している。ドロップト節部パターンは、上質紙、新聞紙及び包装紙のような種々の適用例において有利であると言える。
本発明の別の形態によって、地合構成織物における縫合MDヤーンの位置は地合構成織物の特性に著しい影響を与えることが実現されるであろう。例えば、図1〜図3の地合構成織物100において、縫合MDヤーン124〜127はボトム側MDヤーン150〜153と同じ整経ビームから離れて織り合わせられ、また、縫合MDヤーン120〜123はトップ側MDヤーン110〜113と同じ整経ビームから離れて織り合わせられている。図1から最も良く分かるように、この織成形態では、各縫合MDヤーン対において、製紙表面上で繰返し毎に5つの節部を形成する縫合MDヤーン(ヤーン124〜127)は、製紙表面上で繰返し毎に3つの節部を形成する縫合ヤーン(ヤーン120〜123)の左(図1の視点から見て)に若干入っている。従って、例えば、図1において、縫合MDヤーン120は縫合MDヤーン124の若干左に入っている。
図7は、縫合MDヤーンに関し逆織成を有する三層地合構成織物300のトップ側織物層302の上面図を示している。図7に記載のように、トップ側織物層302の繰返しユニットは、互いに織り合わせられる1組のトップ側MDヤーン310〜313及び1組のトップ側CMDヤーン330〜345を含んでいる。トップ側織物層は更に、同様にトップ側CMDヤーン330〜345と織り合わせられると共に、隣接するトップ側MDヤーンの各対間に設けられる1組4対の縫合MDヤーン対320,324;321,325;322,326;323,327を含んでいる。縫合MDヤーン対は、対のヤーンのうちの1本(例えば、ヤーン320)がトップ側織物層302において織り合わせられてトップ側織物層302における織成パターンを完成しながら、対の他方のヤーン(例えば、ヤーン324)が製紙表面の下に下がるように織られている。
図8は、地合構成織物300のボトム側織物層304のマシン側表面の繰返しユニットを示している。この繰返しユニットは、1組のボトム側CMDヤーン360〜367と織り合わせられる1組のボトム側MDヤーン350〜353を含んでいる。この繰返しユニットは更に、縫合MDヤーン320〜327を含んでおり、これらは上述したようにトップ側織物層302及びボトム側織物層304の双方で織り合わせられ、織物層同士を結び付けている。
図9A〜図9Dは、地合構成織物300における代表的なマシン方向ヤーンの個々のマシン方向ヤーン経路を示している。図9Aに示すように、トップ側MDヤーン310、そしてもちろんトップ側MDヤーン311〜313も、トップ側CMDヤーン330〜345と上1本/下1本のパターンで織り合わせられているが、ボトム側織物層304におけるどのヤーンとも織り合わせられてはいない。
図9Bは、ボトム側MDヤーン350のマシン方向ヤーン経路を示している。図9Bに示すように、ボトム側MDヤーン350は上4本/下1本/上2本/下1本のパターンでボトム側CMDヤーン360〜367と織り合わせられており、即ち、それは、地合構成織物の各繰返しにおいてボトム側CMDヤーン367,360〜362の上、ボトム側CMDヤーン363の下、ボトム側CMDヤーン364〜365の上、及びボトム側CMDヤーン366の下を通っている。他方のボトム側MDヤーン351〜353は、同様の上4本/下1本/上2本/下1本のパターンに従うが、パターンの出発点は各隣接するボトム側MDヤーン350〜353について2本のボトム側CMDヤーン360〜367分だけずれている。
図9Cは、縫合MDヤーン320のマシン方向ヤーン経路を記載している。図9Cに示すように、縫合MDヤーン320は、ボトム側CMDヤーン360〜367に関して上7本/下1本のパターンで織り合せられていると共に、トップ側CMDヤーン330〜345に関して下11本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本のパターンで織り合わせられている。縫合MDヤーン321〜323は、ボトム側CMDヤーン360〜367及びトップ側CMDヤーン330〜345に関して縫合MDヤーン320と同じパターンに従うが、異なるのは、パターンの出発点が各隣接する縫合MDヤーン324〜327について2本のボトム側CMDヤーン360〜367(従って、4本のトップ側CMDヤーン330〜345)分だけずれている点である。
図9Dは、縫合MDヤーン324のマシン方向ヤーン経路を示している。図9Dに示すように、縫合MDヤーン324は、トップ側CMDヤーン330〜345に関して下1本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本/下1本/上1本/下6本のパターンで織り合わせられている。縫合MDヤーン324は、ボトム側CMDヤーン360〜367と上7本/下1本のパターンで織り合せられている。縫合MDヤーン325〜327は、トップ側CMDヤーン330〜345に関して縫合MDヤーン324と同じパターンに従うが、異なるのは、パターンの出発点が各隣接する縫合MDヤーン324〜327について4本のトップ側CMDヤーン330〜345分だけずれている点である。
図7〜図9に記載した地合構成織物300は、図1〜図3に記載した地合構成織物100に非常に類似しており、唯一の相違は、縫合MDヤーン対の位置が双方の地合構成織物で逆になっている点である。従って、地合構成織物100においては、製紙表面上に繰返し毎に5つの節部を形成する縫合MDヤーン120〜123が製紙表面上に繰返し毎に3つの節部を形成する縫合MDヤーン124〜127の左(図1の視点から見て)にあるのに対して、地合構成織物300においては、製紙表面上に繰返し毎に5つの節部を形成する縫合MDヤーン324〜327が製紙表面上に繰返し毎に3つの節部を形成する縫合MDヤーン320〜323の右(図7の視点から見て)にある。
図8に最も良く示すように、縫合MDヤーンの位置を逆にすることは、ボトム側織物層304におけるヤーンの位置決めに大きな変化を生じさせることができる。特に、ボトム側織物層304におけるマシン方向ヤーンの織成がよりジグザグのパターンとなり(図2に記載のボトム側織物層104と比較して)、これは地合構成織物300における真直ぐな脱水を向上させることができる。このジグザグのパターンは、各縫合MDヤーンが特定のボトム側MDヤーン、即ち、縫合MDヤーンが通るのと同じボトム側CMDヤーンの直下を通るボトム側MDヤーンとカップルになりがちであるため、もたらされる。地合構成織物300において、各ボトム側MDヤーンと、それと対になる縫合MDヤーンとは、別の1本の縫合MDヤーンにより隔てられている。その結果、各ボトム側MDヤーンと、それと交互にカップルになる縫合MDヤーンとは、地合構成織物を更に横断移行して、交互するカップリングを行なわねばならず、そのためよりジグザグのパターンを提供することになる。一例として、ボトム側MDヤーン351は縫合MDヤーン320とカップルとなり、そこでこれら2本のヤーンはボトム側CMDヤーン361の下を通っている。図8に示すように、縫合MDヤーン324は、ボトム側MDヤーン351と縫合MDヤーン320との間(及び上)にある。その結果、ボトム側MDヤーン351は左に大きく曲がり易く、また、縫合MDヤーン320は右に大きく曲がり易いので、2本のヤーンはそれらが共にボトム側CMDヤーン361の直下を通る箇所で互いにカップルになる。同様に、縫合MDヤーン321は、ボトム側MDヤーン351と縫合MDヤーン325との間(及び上)にある。従って、ボトム側MDヤーン351は右に大きく曲がり易く、また、縫合MDヤーン325は左に大きく曲がり易いので、2本のヤーンはそれらが共にボトム側CMDヤーン364の直下を通る箇所で互いにカップルになりうる。ボトム側MDヤーン及び縫合MDヤーンが(それらがボトム側織物層で織り合わせられる箇所で)最初に左寄りになり、次に右寄りになるこの傾向は、ジグザグのパターンを結果として生じさせる。
地合構成織物300において、各縫合MDヤーン対における縫合MDヤーンは、これらのヤーンをボトム側MDヤーンとカップルにさせようとする力によって、互いに引き付けられることに注目されたい。その結果、縫合MDヤーンはボトム側MDヤーン間のほぼ中間で(それらがボトム側MDヤーンとカップルになる箇所を除く)、それら自身で整列する傾向があり、これは、地合構成織物における改善された真直ぐな脱水をもたらすことになる。対照的に、図1〜図3の地合構成織物100において、各縫合MDヤーン対における縫合MDヤーンは、それらが隣接するボトム側MDヤーンに向かい互いに引き離されている。
本発明の原理は、異なる繰返しパターンで織り合わせられた地合構成織物にも広げることが可能である。例えば、20綜絖で織られた本発明による三層地合構成織物400が図10〜図12に記載されている。図10は、三層地合構成織物400のトップ側織物層402の上面図(即ち、製紙表面の図)を示しているのに対し、図11は地合構成織物400のボトム側織物層404の上面図(即ち、取り除いたトップ側織物層402でもっぱら織り合わせられるヤーンを有する地合構成織物400の図)を示している。図12A〜図12Dは、トップ側MDヤーン410、ボトム側MDヤーン450、及び縫合MDヤーン420,425の織成パターンをそれぞれ示している。図10〜図12の三層地合構成織物は20綜絖で織成されており、従って、地合構成織物の1回の繰返しは12本のマシン方向ヤーンを含んでいる。図10及び図11は地合構成織物の単一繰返しユニットを示すのみであるが、技術に習熟した当業者は、商業的適用例において図示した部分はマシン方向及びマシン横断方向の双方に何回も繰り返されることが分かるであろう。
図10に見られるように、トップ側織物層402の繰返しユニットは、互いに織り合わせられる1組のトップ側MDヤーン410〜414及び1組のトップ側CMDヤーン430〜439を含んでいる。トップ側織物層は更に、同様にトップ側CMDヤーン430〜439と織り合わせられる1組5対の縫合MDヤーン対420,425;421,426;422,427;423,428;424,429を含んでいる。図10に示すように、例えば縫合MDヤーン対420,425のような縫合MDヤーン対は、隣接するトップ側MDヤーンの各対(例えば、ヤーン410〜411)の間に設けられている。各縫合MDヤーン対(例えば、対420,425)は、対のヤーンのうちの1本(例えば、ヤーン420)がトップ側織物層402において織り合わせられ、トップ側織物層402における織成パターンを完成しながら、対の他方のヤーン(例えば、ヤーン425)が下がりボトム側織物層404に入ってトップ側織物層402及びボトム側織物層404を互いに結び付けるように、織り合わせられている。このようにして、縫合MDヤーン対420,425;421,426;422,427;423,428;424,429は、トップ側織物層402の織成を完成すると共に、トップ側織物層402及びボトム側織物層404を互いに結び付けるよう作用している。図10に更に示すように、1組のトップ側CMDヤーン430〜439から構成されるヤーンは、平織パターンでトップ側MDヤーン410〜414及び縫合MDヤーン対420,425;421,426;422,427;423,428;424,429と織り合わせられており、これは、トップ側CMDヤーン430〜439の各々が、製紙表面においてその時織り合わせられているマシン方向ヤーンの1本の下、その後、次の1本の上を交互に通ることを意味している。
次に図11を参照すると、地合構成織物400のボトム側織物層404のマシン側表面の繰返しユニットが示されている。この繰返しユニットは、1組のボトム側CMDヤーン460〜464と織り合わせられる1組のボトム側MDヤーン450〜454を含んでいる。この繰返しユニットは更に、上述した縫合MDヤーン対420,425;421,426;422,427;423,428;424,429を含んでいる。
図11に示すように、地合構成織物400のボトム側CMDヤーン460〜464は、地合構成織物400の使用中に抄紙機により生ずる摩耗に耐えるのに適切な比較的に大径のヤーンを使用して構成されている。また図11から分かるように、地合構成織物400の織成パターンは、マシン側表面上に比較的に長いマシン横断方向「浮糸(float)」を提供している。
図12A〜図12Dは、地合構成織物400における代表的なマシン方向ヤーンの個々のマシン方向ヤーン経路を示している。図12Aは、トップ側MDヤーン410についてのマシン方向ヤーン経路を示している。トップ側MDヤーン411〜414は、同一織成パターンで織り合わせられている。図12Aに示すように、これらトップ側MDヤーン410〜414の各々は、トップ側CMDヤーン430〜439とは上1本/下1本のパターンで織り合わせられていて(各トップ側MDヤーン410〜414は正確に同じトップ側CMDヤーン430,432,434,436,438の上を通る)、ボトム側織物層404におけるどのヤーンとも織り合わせられていない。
図12Bは、ボトム側MDヤーン450のマシン方向ヤーン経路を示している。図12Bに示すように、ボトム側MDヤーン450は上2本/下1本/上1本/下1本のパターンでボトム側CMDヤーン460〜464と織り合わせられており、即ち、それは、地合構成織物の各繰返しにおいて、ボトム側CMDヤーン460〜461の上、ボトム側CMDヤーン462の下、ボトム側CMDヤーン463の上、ボトム側CMDヤーン464の下を通っている。他のボトム側MDヤーン451〜454は、同様の「上2本/下1本/上1本/下1本」の織成パターンに従うが、パターンの出発点は各隣接するボトム側MDヤーン450〜454について2本のボトム側CMDヤーン460〜464分だけずれている。
図12Cは、縫合MDヤーン420のマシン方向ヤーン経路を示している。図12Cに示すように、縫合MDヤーン420は、ボトム側CMDヤーン460〜464に関して下1本/上4本のパターンで織り合わせられていると共に、トップ側CMDヤーン430〜439に関して下7本/上1本/下1本/上1本のパターンで織り合わせられている。縫合MDヤーン421〜424は、ボトム側CMDヤーン460〜464及びトップ側CMDヤーン430〜439に関して縫合MDヤーン420と同じパターンに従うが、異なるのは、パターンの出発点が各隣接する縫合MDヤーン420〜424について1本のボトム側CMDヤーン460〜464(従って、2本のトップ側CMDヤーン430〜439)分だけずれている点である。
図12Dは、縫合MDヤーン425のマシン方向ヤーン経路を示している。図12Dに示すように、縫合MDヤーン425は、ボトム側CMDヤーン460〜464に関して上4本/下1本のパターンで織り合わせられていると共に、トップ側CMDヤーン430〜439に関して下1本/上1本/下5本/上1本/下1本/上1本のパターンで織り合わせられている。縫合MDヤーン426〜429は、トップ側CMDヤーン430〜439に関して縫合MDヤーン425と同じパターンに従うが、異なるのは、パターンの出発点が各隣接する縫合MDヤーン425〜429について、1本のボトム側CMDヤーン460〜464(従って、2本のトップ側CMDヤーン430〜439)分だけずれている点である。
本発明の別の16綜絖の三層地合構成織物の実施形態は、図13〜図15Dに例示されていると共に、符号500で総括的に表わされている。地合構成織物500(その1回の繰返しユニットは図13及び図14に例示されている)は、4本のトップ側MDヤーン501〜504、16本のトップ側CMDヤーン511〜526、4本のボトム側MDヤーン541〜544、8本のボトム側CMDヤーン551〜558、及び4対の縫合MDヤーン531a〜534bを含んでいる。これらのヤーンは後述するように織り合わせられている。
地合構成織物500のトップ側層は、トップ側MDヤーン501〜504、トップ側CMDヤーン511〜526及び縫合ヤーン531a〜534bの縫合部分により織り合わせられた平織表面である。図15Aに示すように、各トップ側MDヤーン501〜504は、トップ側CMDヤーン511〜526と織り合わせられる際に「上1本/下1本」の順番に従っている。例えば、トップ側MDヤーン501は、トップ側CMDヤーン511の上、トップ側CMDヤーン512の下、トップ側CMDヤーン513の上を通り、以下同様にして、その後にトップ側CMDヤーン526の下を通っている。他のトップ側MDヤーンの各々は、同じ諸トップ側CMDヤーンの上及び下を通っている。
図7に例示した地合構成織物300と同様に、諸縫合ヤーン対は、地合構成織物500のトップ側表面で平織パターンを完成する際に、単一ヤーンとして作用するよう協力している。符号「a」を付けて表わされた縫合ヤーンの各々は、繰返しユニットの一部として3本のトップ側CMDヤーンの上を通り、符号「b」を付けて表わされた縫合ヤーンの各々は、繰返しユニットの一部として5本のトップ側CMDヤーンの上を通っている。例えば、縫合ヤーン532bはトップ側CMDヤーン512,514,516,518及び520の上を通り、またそれが対になる縫合ヤーン532aはトップ側CMDヤーン522,524及び526の上を通っている。
トップ側MDヤーン501〜504の各々は、1つの縫合ヤーン対により互いに隔てられている。例えば、縫合ヤーン対532a,532bはトップ側MDヤーン501,502の間に配置されている。従って、トップ側MDヤーン501,502の双方がトップ側CMDヤーン511の上を通るときに、縫合ヤーン対532bはトップ側CMDヤーン511の下を通り、トップ側MDヤーン501,502bの双方がトップ側CMDヤーン512の下を通るときに、縫合ヤーン対532bはトップ側CMDヤーン512の上を通り、以下同様に通って地合構成織物500の平織のトップ側表面を形成している。
縫合ヤーンの各対は、その近隣の縫合ヤーン対から4本のトップ側CMDヤーン分だけずれて、即ち、オフセットしている。このことは、縫合ヤーン531a,531bの双方が地合構成織物500のトップ側及びボトム側層の間を移行するときにトップ側CMDヤーン525の下を通る図13を調べることにより分かる。図13を上に移動して縫合ヤーン532a,532bに至ると、これらのヤーンは、トップ側及びボトム側層の間を移行するときに、双方共にトップ側CMDヤーン521(これは4本のトップ側CMDヤーン分だけトップ側CMDヤーン525からずれている)の下を通ることになる。
地合構成織物500のボトム側層は図14及び図15A〜図15Dに例示されている。ボトム側MDヤーンの各々はトップ側MDヤーンの直下に位置しており、また、ボトム側CMDヤーンの各々はトップ側CMDヤーンの直下に位置している。8本のボトム側CMDヤーン及び16本のトップ側CMDヤーンが存在するので、他のどのトップ側CMDヤーン(例えば、トップ側CMDヤーン511)もその直下にボトム側CMDヤーンを有していない。これらの関係は図15A〜図15Dから分かる。
更に図14を参照すると、ボトム側MDヤーン541〜544の各々は、繰返しユニット内で「上2本/下1本/上1本/下1本/上2本/下1本」の順序でボトム側CMDヤーン551〜558と織り合わせられている。例えば、ボトム側MDヤーン544は、ボトム側CMDヤーン551,552の上、ボトム側CMDヤーン553の下、ボトム側CMDヤーン554の上、ボトム側CMDヤーン555の下、ボトム側CMDヤーン556,557の上、及びボトム側CMDヤーン558の下を通っている。各ボトム側MDヤーンは、その隣接するボトム側MDヤーンからは2本のボトム側CMDヤーン分だけずれている。例えば、ボトム側MDヤーン542は、ボトム側CMDヤーン558の上にその「上1本」のセグメントを形成するのに対し、隣接するボトム側MDヤーン543は、ボトム側CMDヤーン556の上にその「上1本」のセグメントを形成している。
図14、図15B及び図15Dを参照すると、上述したように、対のうちの縫合ヤーンがトップ側CMDヤーンと織り合わせられていないときに、それはトップ側CMDヤーンの下を通っている。この実施形態においては、図4〜図6Dの実施形態と同様に、各縫合ヤーン対のうちの縫合ヤーンの1本は、ボトム側CMDヤーンとは織り合わされておらず、その代わりにその上に浮いている。更に具体的に言うと、「a」の付いた縫合ヤーンの各々はボトム側CMDヤーンと織り合わせられるのに対し、「b」の付いた縫合ヤーンの各々はそうではない。例えば、図14、図15B及び図15Dに示すように、縫合ヤーン531aはボトム側CMDヤーン556の下を縫っているが、それが対になっている縫合ヤーン531bはどのボトム側CMDヤーンとも縫い付けられていない。「a」の付いた縫合ヤーンについての縫合箇所は2本のボトム側CMDヤーン分だけ互いにずれている。例えば、縫合ヤーン531aはボトム側CMDヤーン556の下を縫い、縫合ヤーン532aはボトム側CMDヤーン554の下を縫っている。
例示した実施形態において、「a」の付いた縫合ヤーンにより形成された縫い目は、隣接するMDヤーンにより形成されたボトム側節部の近くに位置している。一例として、縫合ヤーン531aは、ボトム側CMDヤーン556の下を縫っている。隣接するボトム側MDヤーン541もまた、ボトム側CMDヤーン556の下にボトム側節部を形成している。この構成において、ボトム側MDヤーンの節部は、使用中の抄紙機との接触により生ずる摩耗から縫合節部を保護するのを助けることが可能となっている。また、どのボトム側CMDヤーンについても、ボトム側MDヤーンがその下に形成する節部は、互いに隣接していることも分かる。例えば、隣接するボトム側MDヤーン541,542はボトム側CMDヤーン551の下に節部を形成し、隣接するボトム側MDヤーン544,541はボトム側CMDヤーン553の下に節部を形成し、以下、ボトム側CMDヤーン555及び557について同様である。
この16綜絖の実施形態では、他の地合構成織物よりも、特に他のMD縫合地合構成織物よりも斜めマーキング(diagonal marking)に対して影響され易くないと考えられている。この斜めマーキングの改善可能性は、「b」の付いた縫合ヤーン及びボトム側CMDヤーン間の織り合わせの不存在及び「a」の付いたヤーンのクリンプ減少を含む、多くの要因のためであると言える。
図16及び図17は、本発明の実施形態を表わす12綜絖の地合構成織物600を例示している。この地合構成織物600の繰返しユニットは、3本のトップ側MDヤーン601〜603、12本のトップ側CMDヤーン611〜622、3本のボトム側MDヤーン631〜633、3本のボトム側CMDヤーン641〜643、及び3つの縫合ヤーン対651a,651b〜653a,653bを含んでいる。これらのヤーンの織成パターンは以下に記載する。
次に図16及び図18A〜図18Dに変わると、トップ側MDヤーン601〜603の各々は、各トップ側MDヤーン601〜603が同じトップ側CMDヤーンの上を通る状態で、交互するトップ側CMDヤーン611〜622と「上1本/下1本」の順序で織り合わせられている。従って、トップ側MDヤーン601は、パターン全体を通じて、トップ側CMDヤーン611の上、トップ側CMDヤーン612の下、トップ側CMDヤーン613の上を、以下パターン全体に同様に通っている。
縫合ヤーン対651a,651b〜653a,653bの各々は、3本のトップ側CMDヤーンの下を通る1つのセグメントを例外として、「上1本/下1本」の順序でトップ側CMDヤーン611〜622と織り合わせられる「a」の付いた縫合ヤーンを含んでいる。例えば、縫合ヤーン651aは、トップ側CMDヤーン611の下、トップ側CMDヤーン612の上、トップ側CMDヤーン613の下、トップ側CMDヤーン614の上、トップ側CMDヤーン615〜617の下、トップ側CMDヤーン618の上、トップ側CMDヤーン619の下、トップ側CMDヤーン620の上、トップ側CMDヤーン621の下、及びトップ側CMDヤーン622の上を通っている。各対の「b」の付いた縫合ヤーンは、対になった「a」の付いた縫合ヤーンの3つのヤーンセグメントの中央を規定するCMDヤーンを除いて、トップ側CMDヤーンの全ての下を通っている。一例として、縫合ヤーン651bは、トップ側CMDヤーン615〜617の下を通る縫合ヤーン651aの3つのヤーンセグメントの中央にあるトップ側CMDヤーン616の上のみを通っている。このようにして、縫合ヤーン651a,651bは協力して「上1本/下1本」の順序を有するトップ側CMDヤーンを効果的に形成している。縫合ヤーン対のトップ側表面節部は1本のトップ側CMDヤーン分だけトップ側MDヤーンのトップ側節部からずれているので、トップ側MDヤーン及び縫合ヤーン対は、地合構成織物600のトップ側表面上に平織表面を形成することになる。「b」の付いたヤーンにより形成されたトップ側表面節部は、4本のトップ側CMDヤーン分だけ隣接の「b」の付いたヤーンのトップ側表面節部からずれていることに留意すべきである。
次に、地合構成織物600のボトム側表面を例示する図17と、図18A〜図18Dとに変わるが、ボトム側MDヤーン631〜636の各々は「上1本/下5本」の順序でボトム側CMDヤーン641〜646と織り合わせられる(ここで使用される「上」及び「下」とは、図17に例示したボトム側表面が下向きになっている地合構成織物について言及していることを理解すべきである)。一例として、ボトム側MDヤーン632はボトム側CMDヤーン641〜645の上を通り、次にボトム側CMDヤーン646の下を通っている。隣接するボトム側MDヤーンは2本のボトム側CMDヤーン分だけ互いにずれている。従って、ボトム側MDヤーン632は、2本のボトム側CMDヤーン分だけボトム側CMDヤーン636(この下をボトム側MDヤーン631が通る)からずれているボトム側CMDヤーン644の下を通っている(従って、下にボトム側節部を形成することになる)。
「b」の付いた縫合ヤーンはまた1本のボトム側CMDヤーンの下を通っている。更に具体的に言うと、「b」の付いた縫合ヤーンは、上を「b」の付いたヤーンが5本のトップ側CMDヤーンを通り過ぎているトップ側CMDヤーンからずれているトップ側CMDヤーンの直下に位置付けられたボトム側CMDヤーンの下を通っている。一例として、縫合ヤーン651bは、トップ側CMDヤーン616の上と、トップ側CMDヤーン612の直下にあるボトム側CMDヤーン641の下とを通っている。隣接する「b」の付いた縫合ヤーンは2本のボトム側CMDヤーン分だけ互いにずれている。また、「b」の付いた縫合ヤーンにより形成されるボトム側節部は、一方の隣接するボトム側MDヤーンから1本のボトム側CMDヤーン分だけずれていると共に、他方の隣接するボトム側CMDヤーンから3本のボトム側MDヤーン分だけずれている。
本発明の地合構成織物の12綜絖例の実施形態では、他の類似の地合構成織物よりも薄い厚さと改善された寿命とを有することができる。
図19、図20及び図21A〜図21Dは、本発明の24綜絖の実施形態を符号700で総括的に示している。この地合構成織物700の繰返しユニットは、6本のトップ側MDヤーン701〜706、12本のトップ側CMDヤーン711〜722、6本のボトム側MDヤーン731〜736、6本のボトム側CMDヤーン741〜746、及び6つの縫合ヤーン対751a,751b〜756a,756bを含んでいる。これらは以下に述べるように織り合わされている。
先ず図19及び図21A〜図21Dに説明を向けると、トップ側MDヤーン701〜706の各々は、各トップ側MDヤーン701〜706が同じトップ側CMDヤーンの上を通る状態で、交互するトップ側CMDヤーン711〜722と「上1本/下1本」の順序で織り合わせられている。従って、トップ側MDヤーン701は、パターン全体を通じて、トップ側CMDヤーン701の上、トップ側CMDヤーン702の下、トップ側CMDヤーン703の下を通り、以下同様に通ることになる。
縫合ヤーン対751a,751b〜756a,756bは、地合構成織物700のトップ側表面で平織パターンを完成する際に、単一ヤーンとして作用するように協力している。縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上を通る際に3つのトップ側表面節部を形成している。それらは協力して、トップ側MDヤーン701〜706が下を通るトップ側CMDヤーン上に形成される6つのトップ側表面節部を形成している。例えば、縫合ヤーン751aはトップ側CMDヤーン702,704,706の上を通り、縫合ヤーン751bはトップ側CMDヤーン708,710,712の上を通って、全体に「有効な」トップ側MDヤーンを形成している。(「a」を付けて表わされたこれらの縫合ヤーンはトップ側MDヤーンの直ぐ近くでそれらの左(図19の視点から見て)に織り合わせられ、「b」を付けて表わされたこれらの縫合ヤーンは、対の他方の縫合ヤーンがそれと図19において直ぐ左に隣接するトップ側MDヤーンとの間に位置付けられるように、織り合わせられている。トップ側MDヤーン701〜706、トップ側CMDヤーン711〜722、及び縫合ヤーン751a〜756bのこれら上部分は、協力して地合構成織物700のトップ側表面上に平織を形成している。
次に、地合構成織物700のボトム側表面を例示する図20と、図21A〜図21Dとに変わるが、ボトム側MDヤーン731〜736の各々は、「上2本/下1本」の順序でボトム側CMDヤーン741〜746と織り合わせられている(ここで使用される「上」及び「下」とは、図20に例示したボトム側表面が下向きになっている地合構成織物について言及していることを理解すべきである)。一例として、ボトム側MDヤーン732は、ボトム側CMDヤーン741〜742の上、ボトム側CMDヤーン743の下、ボトム側CMDヤーン744及び745の上、並びにボトム側CMDヤーン746の下と織り合わせられている。隣接するボトム側MDヤーンは、1本のボトム側CMDヤーン分だけ互いにずれている。
図20及び図21A〜図21Dを更に参照すると、各縫合ヤーン751a〜756bの下方部は、縫合ヤーン対における縫合ヤーンの縫合箇所が3本のボトム側CMDヤーン分だけずれた状態で、1本のボトム側CMDヤーンの下で縫い合わせられている。これは、縫合ヤーンの下方部が「有効な」ボトム側MDヤーンを形成する結果になる。例えば、縫合ヤーン751a,751bは、それぞれボトム側CMDヤーン745及び742の下で縫い合わせられている。これらの縫合箇所の各々は、隣接するボトム側MDヤーンの1本により形成されたボトム側表面節部の直ぐ近くにある。その結果、ボトム側節部対は、1本のボトム側MDヤーン及び1本の縫合ヤーンにより形成されることになる。例えば、ボトム側MDヤーン741及び縫合ヤーン752aは、ボトム側CMDヤーン746の下にボトム側表面節部を形成している。
同じトップ側CMDヤーンの上にトップ側表面節部を形成する縫合ヤーン対の節部位置が「a」の付いたヤーン及び「b」の付いたヤーンの間で逆にされている点で、縫合ヤーン751a〜756bは、例示した実施形態においては「逆」MDヤーンとして織り合わせられている。例えば、縫合ヤーン751bはトップ側CMDヤーン708,710,712の上に節部を形成し、縫合ヤーン751aはトップ側CMDヤーン702,704,706の上に節部を形成している。トップ側CMDヤーンのこれら同じ部分グループ、即ち、縫合ヤーン754a,754bの上に節部を形成する縫合ヤーンの次の対は逆にされている。即ち、トップ側CMDヤーン702,704,706の上に節部を形成するのは「b」の付いたヤーン(754b)であり、トップ側CMDヤーン708,710,712の上に節部を形成するのは「a」の付いたヤーン(754a)である。この構成は、選択的にではあるが(それを採用しないことにより地合構成織物の繰返しユニットの大きさは3本のトップ側MDヤーン、3本のボトム側MDヤーン及び3つの縫合ヤーン対に減少されるであろう)、地合構成織物のある実施形態におけるマーキング特性を改善するために示されている。
図22、図23、及び図24A〜図24Bは、地合構成織物が上述した地合構成織物よりも繰返しユニットに表われることが少ない縫合対でMD縫合できることを示す地合構成織物800を例示している。この地合構成織物800の繰返しユニットは、3本のトップ側MDヤーン801〜803、12本のトップ側CMDヤーン811〜822、3本のボトム側MDヤーン831〜833、8本のボトム側CMDヤーン841〜848、及び1つの縫合ヤーン対851a,851bを含んでいる。これらのヤーンは以下のように織り合わせられている。
先ず図22及び図21A〜図21Bに目を向けると、トップ側MDヤーン801〜803の各々は、「上1本/下1本」のパターンでトップ側CMDヤーン811〜822と織り合わせられている。トップ側MDヤーン803は、平織パターンを形成すべく1本のトップ側CMDヤーン分だけトップ側MDヤーン801及び802からずれている。このパターンは縫合ヤーン対851a,851bにより完成されている。縫合ヤーン851aは、繰返しユニットにおいて2回繰り返される「上1本/下1本/上1本/下3本」の順序に従っている。更に具体的に言うと、縫合ヤーン851aは、トップ側CMDヤーン813及び815の上を通り、次に、手順を再開するためトップ側CMDヤーン819の上を通る前に、トップ側CMDヤーン816〜818の下を通っている。縫合ヤーン851bは、1本のトップ側CMDヤーン(CMDヤーン817)の上を通り、平織トップ側表面を完成している。
次に図23及び図24A〜図24Bに変わると、各ボトム側MDヤーン831〜833は、対応するトップ側MDヤーンの下に位置付けられていると共に、ボトム側CMDヤーン841〜848と「上3本/下1本」の順序で織り合わせられている。縫合ヤーン851bもまた、「上3本/下1本」の順序で縫い合わせられているが、上述したように、その「上3本」のセグメントにおいて、縫合ヤーン851bもトップ側CMDヤーンの上を通っている。ボトム側MDヤーン831〜833及び縫合ヤーン851bは、地合構成織物800にある節部が破れ、斜文パターンを形成するように互いにずれている。
地合構成織物800は、類似の地合構成織物に優る寿命の延長を示す可能性がある。加えて、地合構成織物800は、類似の地合構成織物よりも、縁反りが少ないと共に、低い気孔率を有することが立証されている。地合構成織物は、3:1の割合のトップ側MDヤーン及び縫合ヤーン対を有しているが、その他の割合(例えば、2:1又は3:2)もまた採用してよい。
図25、図26及び図27A〜図27Dにおいて符号900で総括的に表わされた更なる地合構成織物の実施形態は、MD縫合の概念が平織表面を有していない三層地合構成織物でも採用し得ることを実際に示している。地合構成織物900の繰返しユニットは、4本のトップ側MDヤーン901〜904、8本のトップ側CMDヤーン911〜918、2本のボトム側MDヤーン921,922、4本のボトム側CMDヤーン931〜934、及び2つの縫合ヤーン対941,942を含んでいる。これらのヤーンは以下のように織り合わせられている。
地合構成織物900のトップ側表面を例示する図25に目を向けると、トップ側MDヤーンは2つのサブグループに分けることができ、その一方は、トップ側CMDヤーン911〜918に関して「下3本/上1本」の順序で織り合わせられる2本のトップ側MDヤーン901,903を含み、他方は、トップ側CMDヤーン911〜918に関して「下7本/上1本」の順序で織り合わせられる2本のトップ側MDヤーン902,904を含んでいる。地合構成織物900のトップ側表面の残りは、縫合ヤーン941,942により形成されており、この各縫合ヤーンは、トップ側CMDヤーン911〜918と「上1本/下7本」の順序で織り合わせられている。
第1サブグループのトップ側MDヤーン901,903は、2本のトップ側CMDヤーン分だけ互いにずれている。第2サブグループのMDヤーン902,904により形成された節部の各々は、トップ側MDヤーン901,903の節部と節部との間に規定された対角線A上に配置されている。縫合ヤーン941,942により形成された節部は、トップ側MDヤーン903の同一節部とトップ側MDヤーン901の次の隣接節部との間に形成された反対方向の対角線Bに沿って配置されている。この結果は、地合構成織物900のトップ側表面上のほぼ杉綾織りパターンになる。
地合構成織物900のボトム側表面(図26及び図27A〜図27D参照)は、「上3本/下1本」のパターンでボトム側MDヤーン921,922をボトム側CMDヤーン931〜934と織り合わせることにより、また、縫合ヤーン941,942を同様の「上3本/下1本」のパターンで縫い合わせることにより、形成されている。ボトム側MDヤーン921,922及び縫合ヤーン941,942により形成されたボトム側表面節部は、ボトム側MD節部が地合構成織物900のボトム側表面上に比較的に明確な対角線を形成するように1本のボトム側CMDヤーン分だけ互いにずらされている。
トップ側表面上に杉綾織りパターンのある地合構成織物900は、特に、ティッシュペーパーの形成に適すると言える。この地合構成織物はまた、上述した他の地合構成織物の平織トップ側表面以外のパターンを本発明で使用するのに適することを明らかにするのにも役立っている。
本発明は、「真の」三層地合構成織物、即ち、(1)もっぱらトップ側織物層で織り合わせられる1組のCMDヤーン及び1組のMDヤーンと、(2)もっぱらボトム側織物層で織り合わせられる1組のCMDヤーン及び1組のMDヤーンとを含み、それらがマシン方向ヤーンにより互いに縫い合わせられている、三層地合構成織物に向けられている。このようなマシン方向ヤーン縫合の真の三層地合構成織物は、従来の二層地合構成織物と比較して、改善された繊維支持(平織トップ側表面での)を行ないながら、最も高性能のマシン横断方向ヤーンの三層地合構成織物よりも安上がりに製造し得ると一般的に言える。本発明の教示に従うと、マシン方向ヤーン縫合の真の三層地合構成織物は、二層地合構成織物と比較して、改善されたマシン方向ヤーンのスタッキング、増大した透水性及び高い気孔率を有することが分かるであろう。その上、縫合ヤーンとして製紙表面において織成を完成するヤーン対を使用することにより、地合構成織物を数多の箇所で結び付けることが可能となり、それにより、中間層摩耗の影響を受け難い非常に安定した地合構成織物を提供するものである。
図面に示した地合構成織物100,200,300,400,500,600,700,800,900の各々は、MD縫合ヤーン対を含んでおり、それらの中で、対を構成するヤーンは地合構成織物の各繰返しにおいて不等回数のトップ側織物層との織り合わせを行なっている。例えば、図3B及び図3Cに最も良く示すように、地合構成織物100の各縫合MDヤーン対120,124;121,125;122,126;123,127は、繰返し毎に5回のトップ側織物層102との織り合わせを行なう縫合MDヤーン(例えばヤーン120)と、繰返し毎に3回のトップ側織物層102との織り合わせを行なう縫合MDヤーン(例えばヤーン124)とを含んでいる。この「不等回数の織り合わせ」という構成は、特にトップ側表面に、地合構成織物の均一性の向上をもたらすと言える。技術的に習熟した当業者により分かるように、地合構成織物が2つの整経ビームから離れて織られてゆく場合、各ビームから離れ織られる経糸のクリンプは異なっているであろう。従って、トップ側織物層において多数回の織り合わせを行なう縫合MDヤーンと同じ経糸を離れるトップ側MDヤーンを織り合わせることにより、より均一な製紙表面を提供することが可能であると言える。
当業者は、上述した地合構成織物に対して種々の変更をなしうることが分かるであろう。一例として、縫合MDヤーン対は、トップ側織物層の織成を完成する広範囲の織成パターンを有することができる。従って、各縫合MDヤーンが通り過ぎて製紙表面上に平織パターンを完成するトップ側MDヤーンの数は、ヤーンがトップ側織物層に出入りするよう通る頻度のように、変わる可能性がある。更に、特に1×2綾織、2×2綾織、1×3綾織、1×4綾織の製紙表面を含め、種々の異なる織成パターンはもちろんのこと、優れた製紙表面を提供するものとして技術的に知られている、4又は5綜絖の朱子織単層地合構成織物において実施されているような破れ斜文織りパターンを特に含む、上述した織成パターンの種々の派生形態も、トップ側織物層で採用され得る。同様に、縫合箇所の頻度、及び/又はトップ側対ボトム側マシン方向ヤーン及び/又はマシン横断方向ヤーンの割合も変更し得る。従って、本発明の範囲は、当業者が特許請求の範囲に記載の本発明を実施するのを十分可能とするように、ここに提供された特許請求の範囲に記載の地合構成織物の例示的な実施形態とは異なって、特許請求の範囲に基づいて解釈されるべきである。
別の典型的な変形例は、各隣接縫合MDヤーンについて、該縫合MDヤーンを織り合わせる整経ビームを交替することであろう。例えば、図1〜図3の地合構成織物は、縫合MDヤーン120,125,122,127がトップ側MDヤーン110〜113と同じ経糸ビームから離れて織り合わされ、そして縫合MDヤーン124,121,126,123がボトム側MDヤーン150〜153と同じ整経ビームから離れて織り合わされるように変えることができ、こうして変更が行なえる。縫合ヤーン位置のこの反転は、地合構成織物における斜めパターンを減少させ、従って、織物特性を改善すると言える。
同様に、当業者は、縫合MDヤーン対がトップ側MDヤーンの隣接する対毎に含まれることを必要としないことが分かるであろう。代わりに、縫合MDヤーン対は第2,第3、第4又は第5のトップ側MDヤーンの後毎に設けることができる。当業者は、織り合わせの頻度をここに描いた地合構成織物に示されたものとは変え得ることが分かるであろう。しかしながら、縫合MDヤーンは、織物層同士の間の過剰の動きが厄介な層間摩耗の問題を結果的に招くので、この過剰の動きを防止するため上側及び下側織物層を互いに十分に結び付けねばならない。
更に別の典型的な変形例は、図示の実施形態(又はその他の実施形態)のトップ側織物層及びボトム側織物層の位置を互いにシフトすることであろう。例えば、図1〜図3の地合構成織物100において、ボトム側織物層104に関するトップ側織物層102の位置は1本のトップ側CMDヤーン分だけシフトしてもよい。
本発明の別の形態によると、トップ側CMDヤーンの選択された繊度又は剛性は、織物特性を向上させるために変更し得る。図1に最も良く示すように、本発明に基づいて製作された特定の地合構成織物の製紙表面は、縫合MDヤーン対における縫合MDヤーンのうちの一方が製紙表面上でその通行を完了すると共に、地合構成織物の中央に下がって入り込みながら、縫合MDヤーン対のうちの他方の縫合MDヤーンが地合構成織物の中央から出て製紙表面上での通行を開始する「変換点」を含んでいる。このような変換点の一例は、図1において縫合MDヤーン120及び124がトップ側CMDヤーン140の下を通る箇所もしくは位置である。これらの変換点において、縫合MDヤーン対のヤーンは、該ヤーンがボトム側織物層104と織り合わせられるそれらの通行の一部分に落ちる又は一部分から出るときに、急勾配の角度で地合構成織物に入り又は地合構成織物から出る。この急勾配の角度は、縫合MDヤーンがトップ側CMDヤーンに対して十分な力を作用して該トップ側CMDヤーンをこの点において地合構成織物の若干もっと中央の中へ引っ張るので、縫合MDヤーンが変換点に隣接するすぐ前のトップ側CMDヤーンの上を通る位置、即ち、縫合MDヤーン120がトップ側CMDヤーン139の上を通り且つ縫合MDヤーン124がトップ側CMDヤーン141の上を通る位置にある縫合MDヤーンのクリンプを減少させることになる。本発明の教示によると、変換点に隣接する縫合MDヤーン対節部のクリンプのこの減少は、各変換点を挟むトップ側CMDヤーンについて若干大径のトップ側CMDヤーンを使用することにより低減もしくは解消し得ることが分かるであろう。図1の地合構成織物において、これは、トップ側CMDヤーン131,133,135,137,139,141,143,145をトップ側CMDヤーン130,132,134,136,138,140,142,144よりも若干太くすることを意味しているであろう。例えば、トップ側CMDヤーン130,132,134,136,138,140,142,144が直径0.5mmであれば、トップ側CMDヤーン131,133,135,137,139,141,143,145は直径0.17mmにし得る。トップ側CMDヤーン131,133,135,137,139,141,143,145の直径を変更する代わりに、変換点の近くで地合構成織物内に引っ張り込まれる傾向にもっと効果的に抗するであろうより剛性の高いヤーン(即ち、例えば50%高い弾性率のようなもっと高い弾性率を有するヤーン)を交互に使用してもよい。
また、大径及び/又は高弾性率のトップ側CMDヤーンの使用は、それら自身で変換点での製紙表面の均一性を改善すると考えられる。このようなヤーンが使用されなければ、その箇所での縫合MDヤーンが急勾配の角度でもぐり込むと共に、トップ側CMDヤーンに対して少ない支持をもたらすので、変換点の直上にあるトップ側CMDヤーンにより形成される製紙表面節部はトップ側CMDヤーンにより形成される残りの節部よりも低くなるであろう。トップ側CMDヤーン位置に関して大径又は高弾性率のヤーンを使用することにより、変換点箇所で変換点の上を通るトップ側CMDヤーンの高さを持ち上げることが可能になる。
明らかなように、地合構成織物100,200,300,400,500のそれぞれボトム側織物層104,204,304,404,504において、1組のボトム側MDヤーン及び1組のボトム側CMDヤーンは、「単一浮糸(single float)」のマシン方向節部のみを有するマシン側表面を形成している。「単一浮糸」のマシン側マシン方向節部とは、ボトム側織物層をトップ側から見たときに、マシン方向ヤーンが、ボトム側織物層のトップ側表面に戻るよう通る前に1本よりも多くの連続したマシン横断方向ヤーン(MDヤーンはマシン側表面にある)の下を通らないことを意味している。本発明の三層地合構成織物の好適な実施形態において、ボトム側織物層は、もっぱらマシン側「単一浮糸」マシン方向節部から構成されるマシン側表面を有するように、織り合わせられている。
ここに描いた、また別の仕方で説明した、かつ特許請求の範囲に記載した地合構成織物は、上質紙、ティッシュペーパー、包装紙及び新聞紙を含め、多くの適用例において採用し得るが、特に上質紙、新聞紙及び包装紙への適用が有利である。
本発明の地合構成織物において用いられる個々のヤーンの構成は、製紙業者の最終地合構成織物の所望特性に応じて変更可能である。例えば、ヤーンは、マルチフィラメント糸,モノフィラメント糸,撚りマルチフィラメント又はモノフィラメント糸,紡出糸,或いはそれらの任意の組合せでよい。また、本発明の地合構成織物において使用されるヤーンを構成する材料は、製紙業者の地合構成織物において普通に用いられているものでよい。例えば、ヤーンは、ポリプロピレン,ポリエステル,ナイロン等で形成されてもよい。熟練した技術者は、最終地合構成織物の特定用途に従ってヤーン材料を選択すべきである。
ヤーン寸法に関し、ヤーンの特定繊度は製紙表面の網目組織により決定される。ここに開示した三層地合構成織物の典型的な実施形態において、トップ側CMDヤーン及び全てのMDヤーンの直径は約0.10〜0.20mmであることが好ましく、また、ボトム側CMDヤーンの直径は約0.22〜0.50mmであることが好ましい。当業者は、上述した範囲外の直径を有するヤーンが特定適用例において使用されうることが分かるであろう。本発明の一実施形態において、トップ側CMDヤーン及び全てのMDヤーンは、約0.15〜0.17mmの直径を有することができ、ボトム側CMDヤーンの直径は約0.25〜0.40mmであって、インチ当り75×75本ヤーンのトップ側目標網目組織をもつ地合構成織物を提供している。これらのヤーン繊度を採用した地合構成織物は、ポリエステルヤーンで、又はポリエステル及びナイロンヤーンを組み合わせて提供することができる。
本発明の別の形態によると、紙を製造する方法が提供されている。これらの方法に従って、ここに記載した代表的な製紙業者用地合構成織物の1つが提供されており、紙は、この地合構成織物に紙原料を供給すると共に、次にこの紙原料から水分を除去することにより製造される。地合構成織物に紙原料をどのようにして供給するか、そしてこの紙原料から水分をどのようにして除去するについての詳細は当業者の良く理解するところであるから、本発明のこの点に関する更なる記載はここでは行なわないこととする。
上述した実施形態は、本発明を例証するものであって、本発明を限定する意味にとられるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されており、同特許請求の範囲と同等のことはその特許請求の範囲に含まれる。
Claims (35)
- 1組のトップ側CMDヤーンと、
該トップ側CMDヤーンともっぱら織り合わせられて製紙表面を有するトップ側織物層の少なくとも一部を形成する1組のトップ側MDヤーンと、
1組のボトム側CMDヤーンと、
該ボトム側CMDヤーンともっぱら織り合わせられてマシン側表面を有するボトム側織物層の少なくとも一部を形成する1組のボトム側MDヤーンと、
1組の縫合MDヤーン対とを備えており、各縫合MDヤーン対における縫合MDヤーンのうちの少なくとも1本は、前記トップ側織物層及び前記ボトム側織物層の双方で織り合わせられており、各縫合MDヤーン対における前記縫合MDヤーンは、各縫合MDヤーン対における2本の縫合MDヤーンのうちの第1のものが前記トップ側織物層で織り合わせられる箇所で、各縫合MDヤーン対における2本の縫合MDヤーンのうちの第2のものが前記トップ側織物層の下に下がるように織り合わされていて、各縫合MDヤーン対における前記2本の縫合MDヤーンが協力して前記トップ側織物層での織成を完成するようになっており、また、前記1組の縫合MDヤーン対における前記縫合MDヤーンのうちの少なくとも幾本かは前記トップ側織物層及び前記ボトム側織物層を互いに結び付けている、製紙業者用の三層地合構成織物。 - 縫合MDヤーン対は、各トップ側MDヤーンに隣接して設けられている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 縫合MDヤーン対は、各トップ側MDヤーンの各側に設けられている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記トップ側MDヤーン、前記トップ側CMDヤーン及び前記縫合MDヤーン対は、平織パターンを有するトップ側織物層を形成している、請求項3に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記地合構成織物の各繰返しにおいて、各縫合MDヤーンは、その直ぐ近傍にある前記ボトム側MDヤーンが通るのと同じボトム側CMDヤーンの下を通っている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各縫合MDヤーン対は、隣り合ってマシン側マシン方向節部を形成するように、前記縫合MDヤーンが前記ボトム側CMDヤーンの下を通る箇所で前記ボトム側MDヤーンのうちの1本とカップルになっている、請求項5に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各ボトム側MDヤーンは、前記地合構成織物の各繰返しにおいて、2本の非隣接ボトム側CMDヤーンの下を通っている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記地合構成織物の単一繰返しにおいて、どのボトム側CMDヤーンの上にもただ2つのマシン側マシン方向節部が形成されている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記地合構成織物の単一繰返しにおいて、どのボトム側CMDヤーンの上にも2つの直接に隣接するマシン側マシン方向節部が形成されている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記縫合MDヤーン対の前記縫合MDヤーンが下がって前記ボトム側織物層に入る直前に通り過ぎる前記トップ側CMDヤーンのうちの少なくとも幾本かは、該トップ側CMDヤーンの残りのものよりも大きな直径を有している、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記縫合MDヤーン対の前記縫合MDヤーンが下がって前記ボトム側織物層に入る直前に通り過ぎる前記トップ側CMDヤーンのうちの少なくとも幾本かは、該トップ側CMDヤーンの残りのものよりも大きな弾性率を有している、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記1組のトップ側MDヤーンにおけるヤーンの全ては、同じトップ側CMDヤーンの上に織り合わせられている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記トップ側MDヤーンが上を通る前記トップ側CMDヤーンは、前記トップ側CMDヤーンの残りのものよりも小さな直径を有している、請求項12に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記トップ側MDヤーンが上を通る前記トップ側CMDヤーンは、前記トップ側CMDヤーンの残りのものよりも低い弾性率を有している、請求項12に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各縫合MDヤーン対における前記2本の縫合MDヤーンは、前記地合構成織物の各繰返しにおいて、異なる数のトップ側CMDヤーンの上で織り合わされている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各ボトム側MDヤーンは、該ボトム側MDヤーンがボトム側CMDヤーンの下を通る箇所で前記縫合MDヤーン対からの前記縫合MDヤーンのうちの1本とカップルになっている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記地合構成織物の各繰返しにおいて、各縫合MDヤーン対における前記第1の縫合MDヤーンは、各縫合MDヤーン対における前記第2の縫合MDヤーンの直ぐ近傍にある前記ボトム側MDヤーンが通るのと同じボトム側CMDヤーンの下を通り、各縫合MDヤーン対における前記第2の縫合MDヤーンは、各縫合MDヤーン対における前記第1の縫合MDヤーンの直ぐ近くにある前記ボトム側MDヤーンが通るのと同じボトム側CMDヤーンの下を通っている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各縫合MDヤーンは、各縫合MDヤーンが前記ボトム側CMDヤーンのうちの1本の下を通る箇所で非隣接ボトム側MDヤーンとカップルになっている、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各縫合MDヤーン対における前記縫合MDヤーンは、前記ボトム側織物層において織り合わされるときに互いに引き合う傾向がある、請求項1に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 1組のトップ側CMDヤーンともっぱら織り合わされる1組のトップ側MDヤーンから構成されるトップ側織物層と、
1組のボトム側CMDヤーンともっぱら織り合わされる1組のボトム側MDヤーンから構成されるボトム側織物層と、
前記1組のトップ側CMDヤーンと織り合わされて前記トップ側織物層の織成を完成する1組の縫合MDヤーン対とを備えており、各縫合MDヤーン対におけるヤーンのうちの少なくとも1本もまた前記1組のボトム側CMDヤーンと織り合わされて前記トップ側織物層及び前記ボトム側織物層を互いに結び付けており、
前記縫合MDヤーン及び前記ボトム側MDヤーンが横に並んでいるマシン側マシン方向節部を形成している、製紙業者用の三層地合構成織物。 - 縫合MDヤーン対は、各トップ側MDヤーンの各側に設けられている、請求項20に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記地合構成織物の各繰返しにおいて、各縫合MDヤーンは、その直ぐ近くにある前記ボトム側MDヤーンが通るのと同じボトム側CMDヤーンの下を通っている、請求項20に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各ボトム側MDヤーンは、前記地合構成織物の各繰返しにおいて、2本の非隣接ボトム側CMDヤーンの下を通っている、請求項20に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記縫合MDヤーン対の前記縫合MDヤーンが下がって前記ボトム側織物層に入る直前に通り過ぎる前記トップ側CMDヤーンのうちの少なくとも幾本かは、該トップ側CMDヤーンの残りのものよりも大きな直径を有している、請求項20に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記縫合MDヤーン対の前記縫合MDヤーンが下がって前記ボトム側織物層に入る直前に通り過ぎる前記トップ側CMDヤーンのうちの少なくとも幾本かは、該トップ側CMDヤーンの残りのものよりも大きな弾性率を有している、請求項20に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各縫合MDヤーン対における前記2本の縫合MDヤーンは、前記地合構成織物の各繰返しにおいて、異なる数のトップ側CMDヤーンを越えている、請求項20に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記地合構成織物の各繰返しにおいて、各縫合MDヤーン対における前記第1の縫合MDヤーンは、各縫合MDヤーン対における前記第2の縫合MDヤーンの直ぐ近くにある前記ボトム側MDヤーンが通るのと同じボトム側CMDヤーンの下を通っている、請求項20に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 1組のトップ側CMDヤーンと、
該トップ側CMDヤーンともっぱら織り合わせられて製紙表面を有するトップ側織物層の少なくとも一部を形成する1組のトップ側MDヤーンと、
1組のボトム側CMDヤーンと、
該ボトム側CMDヤーンともっぱら織り合わせられてマシン側表面を有するボトム側織物層の少なくとも一部を形成する1組のボトム側MDヤーンであって、該ボトム側MDヤーンがそれぞれのボトム側CMDヤーンの下を通るときにマシン側MD節部を形成するような、前記ボトム側MDヤーンと、
1組の縫合MDヤーン対とを備えており、各縫合MDヤーン対における縫合MDヤーンのうちの少なくとも1本は、前記トップ側織物層及び前記ボトム側織物層の双方で織り合わせられており、各縫合MDヤーン対における前記縫合MDヤーンは、各縫合MDヤーン対における2本の縫合MDヤーンのうちの第1のものが前記トップ側織物層で織り合わせられる箇所で、各縫合MDヤーン対における2本の縫合MDヤーンのうちの第2のものが前記トップ側織物層の下に下がるように織り合わされていて、各縫合MDヤーン対における前記2本の縫合MDヤーンが協力して前記トップ側織物層での織成を完成するようになっており、また、前記1組の縫合MDヤーン対における前記縫合MDヤーンのうちの少なくとも幾本かは前記トップ側織物層及び前記ボトム側織物層を互いに結び付けている、製紙業者用の三層地合構成織物。 - 前記地合構成織物は12綜絖で織成されており、前記ボトム側MD節部は破れ斜文織りパターンを形成している、請求項28に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 各対の1本の縫合ヤーンは、それがボトム側CMDヤーンの下を通るときにボトム側MD縫合節部を形成しており、各ボトム側MD節部は、ボトム側CMDヤーンの下に形成されるボトム側MD縫合節部に隣接する同ボトム側CMDヤーンの下方に形成されている、請求項29に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記地合構成織物は12綜絖で織成されている、請求項30に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- トップ側MDヤーン対縫合ヤーン対の割合は1:1である、請求項28に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- トップ側MDヤーン対縫合ヤーン対の割合は3:1である、請求項28に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、及び縫合ヤーンは、前記製紙表面が杉綾パターンを有するように織り合わせられている、請求項28に記載の製紙業者用の地合構成織物。
- 前記地合構成織物は8綜絖で織成されている、請求項34に記載の製紙業者用の地合構成織物。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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