JP2006516563A - 血小板血症治療用製剤および治療方法 - Google Patents

血小板血症治療用製剤および治療方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、患者に有効量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を投与することを含み、ある程度それにより最初に肝臓を通過する代謝を避けることができる、前記患者の血小板血症の治療または予防方法を提供する。

Description

本発明は血小板血症の治療方法に関する。本発明はまた、血小板数を減少するために有用な製剤に関する。
血小板血症は、血液中の血小板産生が増加する、または血小板産生が異常になることに伴う慢性疾患である。血小板は血液凝固に関係するので、その産生異常は、消化管出血、心臓麻痺および心臓発作の患者の危険の増加を伴う、血栓の不適切な形成または出血をもたらす。
キナゾリン誘導体ホスホジエステラーゼ阻害剤であるアナグレライドは、血小板抗凝固剤、血圧降下剤、および気管支拡張剤として、1976年1月13日発行の米国特許第3,932,407号および1984年7月26日発行の再発行特許第31,617号に最初に記載された。
アナグレライドは現在、本態性血小板血症および他の各種骨髄増殖症候群の治療に用いられている。アナグレライドは、米国およびカナダにおいて、本態性血小板血症治療のために、1976年に認可、販売された。1998年12月、米国食品医薬品局(FDA)はアナグレライドの拡大表示、具体的には血小板血症に次ぐ骨髄増殖症候群(例えば、真性多血症(PV)および骨髄性白血病(CML))の患者の治療の拡大表示を認可した。
アナグレライドは、経口投与用の0.5mgおよび1.0mgのカプセルとして入手できる。アナグレライドで観察される最も一般的な有害事象は、血管拡張作用および陽性変力作用である。これらとしては、頭痛、下痢、動悸および頻脈をあげることができる。
それゆえ、血小板血症の治療または予防に用いることができる他の製剤の開発が望まれていた。
1976年1月13日発行の米国特許第3,932,407号および1984年7月26日発行の再発行特許第31,617号に記載のとおり、アナグレライドを含むキナゾリン誘導体は、血小板抗凝固剤および/または血圧降下剤および/または気管支拡張剤としての経口および/または非経口用途の固形で調製される。しかし、該特許は、経口投与の際のいくつかのアナグレライドの副作用を減少するために、最初に肝臓を通過する代謝を避けるのが望ましいことを示唆していない。該特許はまた、経皮製剤を調製すること、または血小板血症の治療または予防のための剤形を用いることが可能である、または望ましいことを示唆していない。
いかなる説にとらわれることなく(機構の理解は本発明を実施するためには必要なく、本発明はいかなる特定の機構に限定されない)、出願人は、心臓血管または筋収縮関連副作用は最初に肝臓を通過することによる代謝物に関連すると信ずる。本発明によれば、発明者は、驚くべきことに、これらの副作用のあるものが最初に肝臓を通過する代謝を避けることにより減少することを見出した。
出願人は、本発明の経皮製剤および埋め込み製剤が驚くべき薬効を提供することを見出した。
出願人は、アナグレライドを効果的に経皮投与できることを決定した。
一実施態様では、本発明の製剤は活性成分の一定した投与を提供する。
一実施態様では、本発明の製剤は薬学的に活性な剤の血漿濃度の持続を達成する。
一実施態様では、本発明の製剤は患者のコンプライアンスを改善する。
一形態において、本発明は、活性成分として有効量のアナグレライドを含有する製剤を投与することを含む、宿主の血小板血症を治療または予防する方法を提供し、ここで前記製剤は最初に肝臓を通過する代謝を避けて投与される。
一形態において、本発明は、宿主の血小板血症を治療または予防する方法のための、活性成分として有効量のアナグレライドを含有する製剤の用途を提供し、ここで前記製剤は最初に肝臓を通過する代謝を避けて投与される。
一形態において、本発明は、活性成分として有効量のアナグレライドを含有する経皮製剤または埋め込み製剤を投与することを含む、宿主の血小板血症を治療または予防する方法を提供する。
別の形態において、血小板減少剤として、本発明に従った製剤の用途が提供される。
また別の形態において、血小板血症を治療または予防するための、本発明に従った製剤の用途が提供される。
さらなる実施態様では、血小板血症の治療のための医薬を製造するための、本発明に従った製剤の用途が提供される。
また別の形態において、本発明に従った医薬製剤および少なくとも一つのさらなる治療剤が提供される。
一実施態様では、本発明の製剤は、以下の実施態様が独立に、または組み合わされて存在する製剤を含有する。
アナグレライドはヒト検体にカプセル製剤として投与される。そのようなアナグレライドの錠剤は検体群に投与すると、好ましくない作用と関連する。驚くべきことに、ここで記述した経皮製剤または埋め込み製剤はそのような作用を最小にするか、消失させ、その一方で、薬理的活性剤を一貫して、望ましい血漿濃度に維持する。
一形態において、患者に有効量のアナグレライド、塩基形態(base form)のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を投与することを含み、ある程度それにより最初に肝臓を通過する代謝を避けることができる、前記患者の血小板血症の治療または予防方法が提供される。
一形態において、患者に有効量のアナグレライドを投与することを含み、ここでアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、埋め込み、舌下投与、前胃吸収、腟坐薬、座薬、経皮法、鼻噴霧、吸入吸収、または局所法から選択される手段により投与される、前記患者の血小板血症の治療または予防方法が提供される。
一形態において、患者に有効量のアナグレライドを投与することを含み、ここでアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、ある範囲の皮膚が皮膚透過性のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩と接触することにより投与される、前記患者の血小板血症の治療または予防方法が提供される。
一形態において、患者に有効量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が非経口様式で投与することを含み、それにより、心臓血管および/または筋収縮副作用を示す代謝物の最初の4ないし8時間の得られる全体の血漿濃度が、等量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の経口投与から得られる前記代謝物の最初の4ないし8時間の得られる全体の血漿濃度よりも低いような、前記患者の血小板血症の治療または予防方法が提供される。
一形態において、患者に有効量のアナグレライドを投与することを含み、ここでアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、前記患者に経皮投与または皮下投与される、前記患者の血小板血症の治療または予防方法が提供される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、経皮投与される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、リザーバー製剤の形態をとる。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの接着剤を含有する単層製剤の形態をとる。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は多層製剤の形態をとり、ここで前記多層製剤の少なくとも一つの層は、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの接着剤を含有する。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、マトリックス製剤の形態をとる。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は皮下投与される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、マトリックス埋め込み製剤の形態で投与される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、0.01ないし20mg/kg/日の量を投与される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、一日用量0.5ないし10mgの量を投与される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、一日用量0.5ないし3mgの量を投与される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、一日用量1ないし2mgの量を投与される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、表皮に、軟膏、乳剤またはローション(lotion)の形態で局所投与される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩は、さらに、少なくとも一つの皮膚透過促進剤を含有する組成物の形態をとる。
一形態において、投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、任意の賦形剤、および単一の裏打ちフィルムと結合する少なくとも一つの皮膚接触接着剤を含む組成物を含有する単層薬剤入り接着剤システム(single−layer drug−in−adhesive system)を有する経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、投与が、(a)アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩および少なくとも一つの接着剤、および少なくとも二つの層の間に膜を含有する少なくとも二つの異なる層を含有する多層薬剤入り接着剤システム、または(b)アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩および少なくとも一つの接着剤、および単一の裏打ちフィルムを含有する少なくとも二つの異なる層を含有する多層薬剤入り接着剤システムを有する経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の溶液または懸濁液を含む液体区画、リリース・ライナー、および前記リリース・ライナーおよび前記液体区画の間に半透膜、および少なくとも一つの接着剤を含有するリザーバー経皮システムを有する経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、投与が、リリース・ライナーと直接接触する、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の溶液または懸濁液を含む半固体マトリックス、および前記半固体マトリックス周辺で集中的な配置(concentric configuration)を形成する重層(overlay)に取り込まれる皮膚接着組成物を含有するマトリックス・システムを有する経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、投与が、密接にマトリックス状に分布するアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含む経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、投与が、パッチあたり1mgないし100mgのアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含む経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、投与が、一日用量0.5ないし3mgを提供するのに十分な量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含む経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、およびアクリル系接着剤を含有する組成物を含む経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、投与が5cm2ないし100cm2の範囲を有する経皮パッチを介する、本発明による方法が提供される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が1ないし7日間の期間にわたって投与される、本発明による方法が提供される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が3ないし4日間の期間にわたって投与される、本発明による方法が提供される。
一形態において、塩基形態のアナグレライドが投与される、本発明による方法が提供される。
一形態において、(a)前記範囲の皮膚を皮膚透過性の形態のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩のソース(source)に接触させること;および
(b)前記範囲の皮膚への物質移送関係中に、少なくとも12時間の間、前記ソースを維持すること、
を含有する、本発明による方法が提供される。
一形態において、(b)前記範囲の皮膚を皮膚透過性の形態のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩のソースに接触させること;および
(b)前記範囲の皮膚への物質移送関係中に、少なくとも24時間の間、前記ソースを維持すること、
を含有する、本発明による方法が提供される。
一形態において、患者に有効量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を投与し、ある程度それにより最初に肝臓を通過する代謝が避けられることを含有する、前記患者の血小板数を減少する方法が提供される。
一形態において、患者に必要に応じてそのアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を投与し、ある程度それにより最初に肝臓を通過する代謝が避けられることを含有する、アナグレライドの経口投与に関連する副作用を減少する方法が提供される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの皮膚透過促進剤を含有する非経口医薬組成物が提供される。
一形態において、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの接着剤を含有する非経口医薬組成物が提供される。
一形態において、少なくとも一つの接着剤がアクリル系接着剤である、本発明による方法が提供される。
一形態において、デバイスが、
(a)皮膚透過性の形態のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含むリザーバー手段;
(b)患者の皮膚への物質移送関係(material transmitting relationship)中に、前記リザーバーを維持する手段、
を含有する、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を患者に経皮投与するための医用デバイスが提供される。
一形態において、前記のリザーバー手段がさらに少なくとも一つの皮膚透過性促進剤を含む、本発明によるデバイスが提供される。
一形態において、前記デバイスが5−100cm2の範囲の皮膚に適用される、本発明によるデバイスが提供される。
一形態において、
(a)皮膚透過性の形態のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含むリザーバー、および5−100cm2の皮膚に近接した物質を放出する表面範囲を含む前記リザーバー;および
(b)皮膚への物質移送関係中に、前記リザーバーを維持する手段、
の組合せを含有する、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を患者に経皮投与するための医用デバイスが提供される。
一形態において、前記の皮膚への物質移送関係の、前記リザーバーを維持する手段が、リザーバーから皮膚への物質の流路に設けられるアミン耐性接着剤である、本発明によるデバイスが提供される。
一形態において、デバイスからのアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の流れを限定する、前記のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の流路に設けられる放出速度調節手段をさらに含有する、本発明によるデバイスが提供される。
一形態において、裏打ち層、リリース・ライナー、および前記裏打ち層と前記リリース・ライナーの間に位置する少なくとも一つのアナグレライド組成物層を含有し、前記の少なくとも一つのアナグレライド組成物層がアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの接着剤を含有する、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を患者に経皮投与するための医用デバイスが提供される。
本発明は、アナグレライドを経皮投与するまたは皮下(埋め込み)投与することを含有する好ましくない作用を最小にした血小板血症を治療または予防する方法を提供する。
さらなる実施態様によれば、埋め込み製剤はマトリックス製剤である。
一実施態様では、血小板血症は骨髄増殖性の血液疾患に関連する。
一実施態様では、血小板血症は本態性血小板血症(ET)、慢性骨髄性白血病(CML)、真性多血症(PV)、原因不明の骨髄化生(AMM)または鎌状赤血球貧血(SCA)に関連する。
さらなる実施態様では、
血小板血症はETに起因する。
血小板血症はCMLに起因する。
血小板血症はPVに起因する。
血小板血症はAMMに起因する。
血小板血症はSCAに起因する。
更なる実施態様では、製剤を宿主の血小板を減少させるために用いることができる。
本発明の薬学的に許容されうる塩がまた提供される。用語「アナグレライドの薬学的に許容されうる塩またはイオン対」は、薬学的に許容されうる無機および有機の酸および塩基に由来するものを意味する。適当な酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエンーp−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレンー2−スルホン酸およびベンゼンスルホン酸をあげることができる。シュウ酸のような薬学的に許容されえない他の酸は、本発明の化合物およびその薬学的に許容されうる酸付加塩を得るための中間体として有用である。
本願にクレームされる化合物を当技術分野において周知の方法で調製することができる。例えば、米国特許第3,932,407号、第5,801,245号および第6,388,073号を参照する。
化合物はまた、シグマのような化学薬品供給会社から入手できる。
特に定義しない限り、本明細書中で用いる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野において通常理解されているのと同義である。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許および他の引例は、その全体が参考文献として取り込まれる。コンフリクトの場合、定義を含む本明細書はコントロールされるであろう。さらに、材料、方法および実施例は単なる例示であり、限定するものではない。
本発明の化合物の治療に用いるために必要な量は、治療が必要とされる症状の性質だけでなく、患者の年齢および状態により変化し、最終的には担当の医師または獣医の裁量に委ねられることは十分に理解されるであろう。一般に、しかしながら、適当な用量は、1日あたり約0.01から約20mg/kg体重の範囲であり、好ましくは0.01から10mg/kg体重/日の範囲、最も好ましくは.04から5mg/kg体重/日の範囲である。さらなる実施態様では、一日の用量は0.5ないし5mgである。さらなる実施態様では、一日の用量は1ないし4mgである。さらなる実施態様では、一日の用量は0.5ないし3mgである。さらなる実施態様では、一日の用量は1ないし3mgである。さらなる実施態様では、一日の用量は1ないし2mgである。
本発明の一形態によれば、最初に肝臓を通過することは、アナグレライドを埋め込み、舌下投与、前胃吸収、腟坐薬、座薬、経皮法、鼻噴霧、吸入吸収、または局所法から選択される一つまたはそれ以上の手段を用いることにより投与することで避けることが可能である。
軟膏およびクリームは、例えば、水性基剤または油性基剤に適当な増粘剤および/またはゲル化剤を添加することにより製剤化できる。ローションは水性基剤または油性基剤を用いて製剤化でき、一般に、一つまたはそれ以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤をも含む。経皮パッチは以下を含むが、これに限定されない:
1.単層薬剤入り接着剤システムは、皮膚接触接着剤の内部に直接薬剤を包含することに特徴がある。この経皮システムデザインでは、接着剤は皮膚にシステムを貼る役目を果たすだけでなく、単一裏打ちフィルムのもとで薬剤および全ての賦形剤を含む製剤の基礎として機能する。
2.多層薬剤入り接着剤システムは、薬剤が接着剤に直接取り込まれる点で、単層薬剤入り接着剤システムに類似している。しかし多層は、二つの異なる薬剤入り接着剤層の間に膜を添加すること、単一裏打ちフィルムのもとで複数の薬剤入り接着剤層を添加することのいずれをも包含する。
3.リザーバー経皮システムデザインは、半透膜と接着剤によりリリース・ライナーから独立した、薬剤溶液または懸濁液を含む液体区画を含むことにより特徴付けられる。皮膚接着に関与する産物の接着成分を、膜とリリース・ライナーの間の連続層として、または膜周囲の集中的な配置として取り込むことができる。
4.マトリックスシステムデザインは、直接リリース・ライナーに接触する薬剤溶液または懸濁液を含む半固体マトリックスを含むことを特徴とする。皮膚接着に関与する成分は、重層で取り込まれ、半固体マトリックスの周囲に集中的な配置を形成する。
本発明のパッチはマトリックスまたはモノリス型薄板状構造である。そのような経皮パッチは当業者に周知である。パッチは、感圧性接着剤および裏打ち層と混和した薬剤のマトリックス層を含有する。マトリックスは、薬剤リザーバーとパッチを皮膚に貼るための手段、両方の機能を果たしている。使用前に、パッチはまた不浸透性リリース・ライナー層を包含する。
裏打ち層は薬剤およびマトリックスの他の組成物に不浸透性で、パッチの上面表面を特徴付けるものである。これは単一層またはポリマーのフィルムからできているか、一つまたはそれ以上のポリマー層および金属ホイルの積層板である。裏打ちフィルム製造に使用するのに適したポリマーの例としては、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、、エチレン−ビニルアセテートのコポリマー、ポリエチレンおよびポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルをあげることができる。
マトリックスの感圧性接着剤は通常、溶液ポリアクリレート、シリコンまたはポリイソブチレン(PIB)である。そのような接着剤は経皮技術分野では周知である。例えば、「感圧接着剤ハンドブック」(the Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)第2版(1989)、ヴァン・ノストランド(Van Nostrand)、ラインホールド(Reinhold)を参照する。
感圧性溶液ポリアクリレート接着剤は、一つまたはそれ以上のアクリレートモノマー(「アクリレート」はアクリレートとメタクリレートの両者を含むものとする)、一つまたはそれ以上の修飾モノマーおよび、一つまたはそれ以上の官能基を含むモノマーを有機溶媒中で共重合することにより作製される。これらのポリマーを作製するために用いられるアクリレートモノマーは、通常、炭素原子4−17個のアルキルアクリレートであり、好ましくは2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、およびイソオクチルアクリレートである。修飾モノマーは典型的には、ポリマーのTgを改変することを含む。そのようなモノマーとして、ビニルアセテート、エチルアクリレート、およびメタクリレートがあげられ、メチルメタクリレートが本目的に有用である。官能基を含むモノマーは架橋部位を提供する。これらのモノマーの官能基は好ましくは、カルボキシル、ヒドロキシ、またはその組み合わせである。そのような基を提供するモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、およびヒドロキシを含むモノマー、例えばヒドロキシエチルアクリレートをあげることができる。ポリアクリレート接着剤は好ましくは、架橋剤を用いて、その物理的性質(例えば、ずれおよびせん断抵抗)を改良するために架橋される。架橋密度は低くあるべきである。なぜなら、高度の架橋は逆に、共重合体の接着特性に影響をおよぼすからである。架橋剤の例は、米国特許第5,393,529号に開示されている。溶液ポリアクリレート感圧性接着剤は、GELVA.(商標).およびDURO−TAK.(商標).のような商標のもと、3Mから市販されている。
ポリイソブチレン接着剤は、高分子(HMW)PIBと低分子(LMW)PIBの混合物である。そのような混合物は技術的に、例えばPCT/US91/02516に記載されている。HMW PIBの分子量は通常約700,000ないし2,000,000Daの範囲であり、一方、LMW PIBの分子量は典型的には35,000ないし60,000の間の範囲である。HMW PIBとLMW PIBの接着剤における重量比は通常、1:1ないし1:10の間の範囲である。PIB接着剤はまた、通常、ポリブテンオイルおよび高Tgのような粘着剤、エクソンケミカルから入手できるESCOREZ(商標)樹脂のような低分子脂肪族樹脂を含む。ポリイソブチレンポリマーは、VISTANEX(商標)の商品名のもと、エクソンケミカルから市販されている。
マトリックスを形成するために用いるシリコン接着剤は典型的には、高分子量のポリジメチルシロキサンまたはポリジメチルジフェニルシロキサンである。経皮パッチに有用なシリコン接着剤の製剤は、米国特許第5,232,702号、第4,906,169号、および第4,951,622号に記載されている。
感圧性接着剤およびアナグレライドに加え、マトリックスは典型的には、皮膚を通したアナグレライドの透過性を増加するために、十分量の透過促進剤を含む。マトリックスに含むことのできる皮膚透過促進剤の例は上述されている。マトリックスに含まれる透過促進剤の量は用いられる個々の促進剤に依存する。ほとんどの場合、促進剤はマトリックスの重量の1ないし20%の範囲で構成される。
マトリックスは用いられる個々の接着剤により、他の添加剤を含む。例えば、薬剤の結晶化を阻害するポリビニルピロリドン(PVP)、ウェア(wear)の持続時間を改善する吸湿剤、またはマトリックスの物理的特性(例えば、低温フロー)または接着特性(例えば、粘着、付着強さ)を改善する添加剤ような物質を含むことができる。
本発明のパッチは、経皮パッチ技術において既知の手順を用いて加工することができる。手順は一般的に、マトリックスを製剤すること(すなわち、接着剤、薬剤、透過促進剤、および、あるとしたら添加剤を混合すること)、マトリックスを裏打ち層またはリリース・ライナー層に成形すること、マトリックスから溶媒を除去すること、および場合によっては裏打ち/リリース・ライナー層を適用することを含む。当業者に明らかなように、その中に分散する効果的な量の薬剤を有するマトリックス組成を各種の経皮構築物に取り込むことができ、それゆえ出願は以下に例示される実施態様に限定されない。
さらなる実施態様では、アナグレライドを定量経皮スプレーを用いて経皮投与できる。そのようなシステムでは、患者は単に皮膚に対して活性剤を含有する単位を置き、適当な制御を行い、決められた範囲の皮膚に活性剤を含有する少量の正確な容量の液体を噴霧するだけである。薬剤が体内に吸収されたところから液体が蒸発し、目に見えない耐水沈殿物が残る。例えば、Acrux(商標)技術として既知の技術を用いることができる。
適用した体表への薬剤の透過性を増加する伝達手段により、薬理学的活性剤の経皮送達が最近、概ね実行可能となった。そのような本発明の経皮製剤の調製に有用な剤には、必ずしもこれに限定されないが、ジメチルスルホキシド(米国特許第3,551,554号);各種1−置換アザシクロアルカン−2−オン、例えばアズオン(米国特許第4,562,075号、第4,405,616号、第4,326,893号および第3,989,816号);スルホキシドまたはホスフィンオキシドと組み合わせた糖エステル(米国特許第4,130,667号、第4,130,643号、第4,046,886号、第3,952,099号および第3,896,238号);低級アルキルアミド(米国特許第3,472,931号);ある種の脂肪族スルホキシド(米国特許第3,903,256号);グリセロールモノオレアート、エタノールおよびイソプロピルミリステートを含む組成物(米国特許第4,335,115号);1−ドデシルアザシクロヘプタンー2−オンおよび、ジオールまたは第二N−置換アザシクロアルキルー2−オンから選択される化合物の二元混合物(米国特許第4,557,934号);およびポリエチレングリコールモノラウレート(米国特許第4,568,343号)。米国特許第3,551,554号、第4,562,075号、第4,405,616号、第4,326,893号、第3,989,816号、第4,130,667号、第4,130,643号、第4,046,886号、第3,952,099号、第3,896,238号、第3,472,931号、第3,903,256号、第4,335,115号、第4,557,934号、および第4,568,343号。
本発明の経皮製剤または埋め込み製剤はヒトと動物の両方において有用性を見出す、すなわち、薬学的活性剤の経皮吸収を増加させる医学および獣医用途の両方を有すると思われる。本明細書で用いられる用語「経皮の」は、そのような剤が皮膚を(典型的には完全に)通過することを意味する。
本発明の経皮製剤を技術的に記述される各種デバイスを用いて投与できる。例えば、そのようなデバイスには、これに限定されないが、米国特許第3,598,122号、第3,598,123号、第3,710,795号、第3,731,683号、第3,742,951号、第3,814,097号、第3,921,636号、第3,972,995号、第3,993,072号、第3,993,073号、第3,996,934号、第4,031,894号、第4,060,084号、第4,069,307号、第4,077,407号、第4,201,211号、第4,230,105号、第4,292,299号、および第4,292,303号に記載されるものが含まれる。本発明の剤形は技術的に従来からのある種の薬学的に許容されうる賦形剤を取り込むことができる。これらには、限定はされないが、ゲル化剤、クリームおよび軟膏基剤、等が含まれる。
化合物はクレームされた剤形中に効果的な量で存在するべきである。用語「効果的な量」は、望みの有益な効果、または治療効果を望みの時間にわたってもたらす血液レベルを達成し、維持するように計算された量を意味する。これらの量は、望みの有益な効果、または治療効果を達成するために必要な薬理学的活性剤の量、一つまたはそれ以上のパッチが同時に、パッチの特定の製剤を投与できるか、治療される患者の年齢および症状、等に依存して変化する。当業者によく知られている、そのような従来からの用量判定法を、任意の特定の状況での最終医薬剤形中に存在するアナグレライドの量を測定するために用いることができる。典型的には、効果的な量はパッチあたり化合物約1mgないし約100mgの間である。より好ましくは、効果的な量は化合物約1mgないし約50mgの間である。さらなる実施態様では、パッチあたりのアナグレライドの量は一日用量約0.5ないし2mgを提供するように調整され、好ましくは一日約1ないし2mgである。効果的な量は、経皮パッチ製剤の化合物約1mgおよび約300mgの間である。パッチに含まれる実際の量は、パッチあたり提供される治療日数同様、記載された因子に依存する。
薬理学的活性化合物は、既知の技術、例えば前記剤および経皮製剤を体表上に置き、そこへ相関を伝える剤および組成物中の前記ソースを前記体表に維持することにより、投与される。
本発明の経皮製剤の一つは、エタノール、水、アズオン、および任意にプロピレングリコールを用い、薬理学的にアナグレライドの透過性を促進する。上記のように、アズオンは経皮透過促進に有用であることが知られ、化学的には1−ドデシルアザシクロヘプタンー2−オンである。アズオンは米国特許第4,316,893号に記載されるように調製できる。製剤はまたオレイン酸を含むことができる。
クレームされた組成物の製剤は、従来法、すなわち全ての組成物を一貫して単純に混合することにより達成できる。当業者は、プロピレングリコール以外のジオールおよびエタノール以外のアルコール(すなわち、2−プロパノール)を含む組成物が、製剤の組成物として経皮アナグレライド組成物中で有用であることを見出すことができることを十分に理解できるであろう。ある程度まで、そのような製剤が本発明の組成物、例えばそのような製剤の特性を示すことは本発明の範囲に収まると考えられる。
本発明は、製剤の化合物の効果的な量のアナグレライド、0.1ないし10重量部のアズオン、30ないし69,8部のエタノール、29ないし50重量部の水、0ないし30重量部のプロピレングリコール、および1ないし5重量部のクルセル(Klucel)HFを含有する経皮パッチ製剤を提供する。製剤の好ましい範囲としては、2から4重量部のアズオン、30から55重量部のエタノール、0から20重量部のプロピレングリコール、35から45部の水、および2.5から3.5部のクルセル(Klucel)HFが含まれる。さらなる一実施態様は、製剤からプロピレングリコールを除くことである。
効果的な量のアナグレライドがマトリックス中に密に分布する経皮製剤パッチが提供される。そのような好ましいマトリックスの一つは、感圧性接着剤である。
さらに、効果的な量のアナグレライドおよび約70から99.8%のアクリレート接着剤を含有する経皮パッチ製剤が提供される。好ましい範囲のアクリル系接着剤は、約66から約99.8重量%のアクリル系接着剤を含有する。さらに好ましい範囲のアクリル系接着剤は、約70から約98重量%のアクリル系接着剤を含有する。アクリレート接着剤の別の好ましい範囲は約80から98重量部である。アクリレート接着剤は市販されており、例えばナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・コーポレーション、ニュージャージー州ブリッジウォーター(郵便番号08807)から、カタログ番号80−1054として入手可能である。アクリレート接着剤は典型的には、重量で33%エチルアセテート/28%ヘプタン/34%イソプロパノール/5%トルエン中に48%固体を含む。アクリレート接着剤の好ましい範囲は約80から98重量部である。
加えて、効果的な量のアナグレライド、85から97重量部のエタノールおよび2から14.9部のクルセルHFを含有する経皮パッチ製剤が提供される。クルセルHFは市販のゲル化剤である。例えば、クルセルHFはアクアロン(Aqualon)から入手できる。他の適当なゲル化剤は当業者により選択される。製剤の好ましい範囲は92ないし96重量部のエタノールおよび2.5ないし3.5部のクルセルHFまたは他の適当なゲル化剤である。そのような製剤の別の好ましい範囲は、約93から約95重量部のエタノールおよび約3から約3.5部のゲル化剤を含有する。
好ましい経皮パッチ製剤は、これに限定されないが、本明細書中に記載される、効果的な量のアナグレライド、アズオン、エタノール、水、任意にプロピレングリコール、およびクルセルHF;マトリックス中に密に分布するアナグレライド;アナグレライドおよびアクリル系接着剤;アナグレライド、エタノールおよびクルセルHFを含む。
一つの実施態様では、経皮パッチまたは送達システムを介した皮膚への適用のサイズは約10cm2から約100cm2である。さらなる実施態様では、経皮パッチまたは送達システムを介した皮膚への適用のサイズは約30cm2から約75cm2である。さらなる実施態様では、経皮パッチまたは送達システムを介した皮膚への適用のサイズは約40cm2から約60cm2である。さらなる実施態様では、経皮パッチまたは送達システムを介した皮膚への適用のサイズは約45cm2から約55cm2である。さらなる実施態様では、経皮パッチまたは送達システムを介した皮膚への適用のサイズは約15cm2から約55cm2である。さらなる実施態様では、経皮パッチまたは送達システムを介した皮膚への適用のサイズは約20cm2から約40cm2である。
血漿レベルを当業者にはよく知られているガスクロマトグラフィー法または液体クロマトグラフィー(LCMS−MS)法を用いて測定できる。当業者はガスクロマトグラフィー分析の適当な条件を確立することができる。
薬剤物質の皮膚フローのためになる他の適当な促進剤および物質が好ましくは本発明の製剤に含まれることは理解されるべきである。そのような浸透促進剤は、例えばリナロオール、カルバクロール、チモール、シトラール、メントールまたはt−アネトールである。浸透促進剤のさらなる例としては、これに限定されないが、グリセリンの脂肪酸エステル、例えばカプリン酸、カプリルドデシル酸、オレイン酸;イソソルビド、ショ糖、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;カプロイルラクチル酸;ラウレス(laureth)−2;ラウレス−2 アセテート;ラウレス−2 ベンゾエート;ラウレス−3 カルボン酸;ラウレス−4;ラウレス−5 カルボン酸;オレース(oleth)−2;グリセリルピログルタメートオレアート;グリセリルオレアート;N−ラウリルサルコシン;N−ミリスチロイルサルコシン;N−オクチル−2ピロリドン;ラウルアミノプロピオン酸;ポリプロピレングリコール−4−ラウレス−2;ポリプロピレングリコール−4−ラウレス−5 ジメチルラウルアミド;ラウルアミドジエタノールアミン(DEA)をあげることができる。好ましい促進剤としては、これに限定されないが、ラウリルピログルタメート(LP)、グリセリルモノラウレート(GML)、グリセリルモノカプリレート、グリセリルモノカプレート、グリセリルモノオレアート(GMO)およびソルビタンモノラウレートがあげられる。
さらなる実施態様では、アナグレライドは典型的には皮膚に、その開示全体が参考文献として本明細書に取り込まれる、米国第第6,299,900号に記載されるような定量スプレーにより投与される。それゆえ、この実施態様では、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくともひとつの皮膚浸透促進剤を含有する経皮薬剤送達システムが提供され、ここで皮膚浸透促進剤は、安全な、皮膚寛容性エステルの日焼け止め剤および、任意に少なくとも一つの揮発性液体である。
この実施態様の別の形態によれば、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくともひとつの皮膚浸透促進剤を含有する経皮薬剤送達システムを患者の皮膚表面に適用することを含む、必要に応じた患者への効果的な量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の投与方法が提供され、ここで皮膚浸透促進剤は、安全な、皮膚寛容性エステルの日焼け止め剤および、任意に少なくとも一つの揮発性液体である。
この実施態様の別の形態によれば、
(i)効果的な量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩;
(ii)少なくとも一つの不揮発性皮膚浸透促進剤;および
(iii)少なくとも一つの揮発性液体;
を含有する、閉塞性経皮薬剤送達システムが提供され、
ここで、皮膚浸透促進剤は、揮発性液体が蒸発した場合に皮膚表面にアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を移送し、表面に浸透促進剤とアナグレライドを含有する混合物のリザーバーまたはデポーを形成するように適応する。
またこの実施形態のさらなる形態は、
(i)効果的な量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩;
(ii)少なくとも一つの不揮発性皮膚浸透促進剤;および
(iii)少なくとも一つの揮発性液体;
を含有する経皮薬剤送達システムを患者の皮膚表面に適用することを含む、必要に応じた患者への効果的な量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の投与方法を提供し、
ここで、皮膚浸透促進剤は、揮発性液体が蒸発した場合に皮膚表面にアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を移送し、表面に浸透促進剤とアナグレライドを含有する混合物のリザーバーまたはデポーを形成するように適応する。
一形態において、5cm2ないし100cm2の範囲での経皮薬剤送達システムを介した投与である、本発明に従った方法が提供される。
米国第6,299,900号に記載されているように、非閉塞性薬剤送達システムは好ましくは、活性成分、この場合はアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩に関して、過飽和状態ではない。揮発性液体が蒸発するので、得られる不揮発性組成物は急速に皮膚表面に向かう。揮発性液体が蒸発するので、不揮発性皮膚浸透促進剤はアナグレライドに関して過飽和状態となることができるが、表皮全域での得られる不揮発性組成物の輸送が起きる前に、過飽和状態を生じないことが好ましい。
好ましくは、非閉塞性経皮薬剤送達システムに続いて、揮発性成分が蒸発し、関連する皮膚の範囲が、好ましくは10分以内に、より好ましくは3分以内に、最も好ましくは1分以内に、手で触れるくらいまで乾くようになる。
先と同様に、米国第6,299,900号に記載されているように、好ましい皮膚透過促進剤として、化学式(I)のエステルをあげることができる:
ここで、
1は水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン原子、ヒドロキシまたはNR34
2は長鎖アルキル;
3およびR4はそれぞれ独立に水素または低級アルキル、または
3およびR4は共に5−または6−員の複素環につく窒素原子;
nは0または1;および
qは1または2である。
好ましい化学式(I)のエステルとして、長鎖アルキル・パラ−アミノベンゾエート、長鎖アルキルジメチル−パラ−アミノベンゾエート、長鎖アルキル桂皮酸、長鎖アルキルメトキシ桂皮酸、または長鎖アルキルサリチレート、例えばオクチルジメチル−パラ−アミノベンゾエート、オクチル・パラ−メトキシ桂皮酸、オクチルサリチレート、またはイソアミルサリチレートをあげることができる。
化学式(I)の皮膚透過促進剤に加えて、既知の皮膚透過促進剤を本発明の非閉塞性経皮薬剤送達システムに用いることができる。
本発明の好ましい揮発性液体としては、安全で、皮膚にも許容性の溶媒、例えばエタノールおよびイソプロパノールをあげることができる。エアゾール噴射剤、例えばジメチルエーテルは、本発明の目的のための揮発性液体を構成しうる。
さらなる実施態様では、本発明の経皮製剤がさらにアナグレライドおよび、ヒドロキシウレア、P32、ブスルファン、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、チクロピジンおよびα−インターフェロンから選択される少なくとも一つのさらなる治療剤を含有する、血小板血症の治療または予防に有用な併用を提供する。
上述の併用は、好都合にも、医薬製剤の形態での使用が提示されており、それゆえ薬学的に許容されうる担体とともに上記定義した併用を含有する医薬製剤は、さらなる発明の形態を含有する。
そのような併用の個々の組成物を、連続的に、あるいは同時に、個々の、または併用医薬製剤として投与できる。
化合物を第二の治療剤と併用して用いる場合、それぞれの化合物の用量は、化合物のみを用いた場合の用量と同一であっても異なってもよい。適当な用量は当業者に容易に理解されるであろう。
本発明の化合物と第二の治療剤との比率は、当業者に容易に理解されるであろう。例えば、本発明の化合物:第二の治療剤約1:1から約1:50までを用いることができる。さらなる実施態様では、本発明の化合物:第二の治療剤約1:1から約1:30までを用いることができる。さらなる実施態様では、本発明の化合物:第二の治療剤約1:1から約1:20までを用いることができる。さらなる実施態様では、本発明の化合物:第二の治療剤約1:1から約1:15までを用いることができる。さらなる実施態様では、本発明の化合物:第二の治療剤約1:1から約1:10までを用いることができる。さらなる実施態様では、本発明の化合物:第二の治療剤約1:1から約1:5までを用いることができる。さらなる実施態様では、本発明の化合物:第二の治療剤約1:1から約1:3までを用いることができる。さらなる治療剤が添加される場合、比率はそれに従って調整される。
以下の実施例は本発明の各種実施態様を説明するために提供され、範囲を限定するわけではない。
実施例1
遊離塩基型経皮製剤
アナグレライド試料0.5gを適当量のエタノール(200度数)に溶解する。アズオン(azone)試料0.75gおよびプロピレングリコールのアリコート(aliquot)5.0gをエタノール混合液に撹拌しながら添加する。水試料10gを混合液に添加する。最後に、0.75gのKlucelを混合液に添加し、Klucelが分散するまで撹拌する。混合液を24時間静置する。ここに記述したように調製した製剤試料2.0gをリザーバー型経皮接着システムへシリンジで投与する。
実施例2
ポリエチレングリコールなしの経皮製剤
アナグレライド試料0.5gを適当量のエタノール(200度数)に溶解する。アズオン試料0.79gをエタノール混合液に撹拌しながら添加する。水試料11.29gを混合液に添加する。最後に、0.79gのKlucelを混合液に添加し、Klucelが分散するまで撹拌する。混合液を24時間静置する。ここに記述したように調製した製剤試料2.0gをリザーバー型経皮接着システムへシリンジで投与する。
実施例3
アクリル系接着剤の経皮アナグレライド
アナグレライド試料600mgを感圧性アクリル系接着剤(カタログ番号80−1054、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・コーポレーション、ニュージャージー州ブリッジウォーター(郵便番号08807))41.6gに溶解する。混合物を2時間スリー・ローラーミルで撹拌する。混合物を、3ミリ厚のリリース・ライナー(release liner)の長辺に沿ってナイフコーターを用いてコーティングし、20ミリのギャップをつくる。20ミリのギャップにより、リリース・ライナーに有効な20ミリ厚のコーティング製剤をつくることができる。試料を24時間空気乾燥する。試料をポリエステルの裏打ちでラミネート加工する。
実施例4
ゲル状経皮アナグレライド
アナグレライド試料1.0gを適当量のエタノール(200度数)に溶解する。その後、Klucelゲル化剤試料1.5gを溶液に添加し、分散するまで撹拌する。ゲルを24時間静置する。このように調製した製剤試料2.0gをリザーバー型経皮接着システムへシリンジで投与する。
実施例5
デュロータック(Duro−Tak)87−2287は、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・コーポレーションから入手できる溶液ポリアクリレート接着剤である。このモノマー組成は、ビニルアセテート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートである。架橋剤を含まない。エチルアセテートの50%固溶体として入手できる。
デュロータック87−2287、0.26%アルミニウム・アセチルアセトン架橋剤、6%アナグレライドおよび各種透過促進剤の混合物を調製し、それぞれのシステムは、ラウリルピログルタメート(9重量%)、グリセロールモノカプリレート(10重量%)またはグリセロールモノカプレート(5重量%)の一つを含有する。これらの混合物を硬化し、3M 1022ポリエステルの裏打ち上に100ミクロン厚(湿状態)の層として成形し、乾燥する。
実施例6
シリコン4202は、ダウ・コーニングのポリジメチルシロキサン接着剤である。これ
をアナグレライド、7% PVP(BASFのK30、n−プロパノールに溶解)および各種促進剤と混合し、それぞれのシステムは、ラウリルピログルタメート(9重量%)、グリセロールモノカプリレート(10重量%)またはグリセロールモノカプレート(5重量%)の一つを含有する。これらの混合物を3M 1022ポリエステルの裏打ち上に100ミクロン厚(湿状態)の層として成形し、乾燥する。
実施例7
PIB溶液を、ヘキサンにビスタネックス(VISTANEX)L100、ビスタネックスLM−MS−LCおよびポリブテン(インドポール(Indopol)H1900)を溶解することで調製する。PVP−CLM、アナグレライドおよび各種促進剤のエタノール/エチルアセテート懸濁液を調製する。促進剤は以下の一つまたはそれ以上を含有する;チオグリセロール(2−4重量%)、オレイン酸(4重量%)、メチルラウレート(10−15重量%)およびプロピレングリコールモノラウレート(10重量%)。PIB溶液を薬剤懸濁液に添加し、得られた混合物を完全に混和した。混合物をリリース・ライナー上の10ミリ厚(湿状態)の層として成形し、70℃で乾燥した。サラネックス(Saranex)2015の裏打ちをサブアセンブリーにラミネート加工する。
実施例8 ミニブタへのアナグレライド投与における経口、静脈注射および経皮の様式の比較
アナグレライドを経口投与、静脈注射および経皮投与し、ミニブタの実験でアナグレライドおよび代謝物Aの血漿レベルを測定した。
アナグレライドおよび代謝物Aの化学構造を以下に示す:
アナグレライド:
代謝物A:
背中の〜45cm2の表面領域への1mgの経口投与または飽和溶液の経皮投与後のアナグレライドの比較生物学的利用能を3匹のミニブタで評価した。標準的なアグリリン(Agrylin)Rカプセル(2×0.5mg)を絶食させた動物に経口投与し、その一方、経皮製剤はプロピレングリコール中5%オレイン酸の薬剤飽和溶液であった。
アナグレライドおよびその代謝物の血漿濃度を有効LC−MS/MSアッセイで測定した。薬物動態パラメーターをウィン・ノンリン(WinNonlin)を用いた非区画法(non−compartmental method)で算出した。
それぞれの経路で投与した薬剤は、濃度ー時間プロファイルが著しく異なっていたが、アナグレライドに比較的曝露されている結果を得た。吸収速度はゆっくりで、経皮投与後の最大血漿濃度は低く(50%)、さらに経口経路と比較して、24時間での残余投与量の洗浄前のピークの後ろで濃度(50%)に限定的な落ち込みがあった。洗浄後の急速な濃度の落ち込みから、局所的な吸収は投与期間を通して継続しているという結論が確認された。
平均経皮変化は197ng/cm2/hであると見積もられた。
この表は実験およびその結果を要約するものである。
ミニブタでの実験(n=3)
結果をまた図1に示す。
実施例9 代謝物AのPDEIII活性
心筋に存在するPDEIIIの阻害により、心筋収縮能の力と速度の両者が増加する。これらは血小板減少剤にとって好ましくない副作用である。
アナグレライドおよび代謝物A両者のPDE III活性を標準的な方法で評価した。代謝物Aはアナグレライドの40倍効能が高い。
実施例10 アナグレライドの薬物動態実験
前の限定的な臨床PK実験は、アナグレライドの経口投与後、心作用性の可能性のある代謝物Aにかなり曝露される可能性があることを示している。この化合物が明らかにアナグレライドの血小板減少治療作用に寄与しているが、等しい効力で、心血管作動薬の約40倍高い効力を有する。合計38名の健常男性志願者の実験から、下の表に示したような、この代謝物へのかなりの曝露の証拠が得られる:
薬剤の一回投与後の志願者におけるアナグレライドの平均薬物動態パラメーターについての要約
さらに、骨髄増殖性疾患の患者におけるデータは、定常状態で、ソースの薬剤に比較しても相対的に高い、この代謝物への曝露でさえ、薬物AUCに対する代謝物の比率を3:1に近くすることを示している。この結果を下の表に示す:
薬剤投与後の患者におけるBCH24426の平均薬物動態パラメーターについての要約
実施例11 代謝物Aの心臓血管に対する実験
初期のインビトロ(in vitro)実験ですでに、PDEIIIの阻害剤としてはアナグレライドと比較して、代謝物Aの比較的大きな可能性(40倍)が示されている。代謝物Aを標準的な対照である強心薬のミルリノンと比較した実験が多数のイヌで行われた。合計12匹が、代謝物Aが質的にミルリノンと同様であり、心臓血管システムに効果をもたらすが、さらにより強力であることを示す実験に用いられた。この実験の必須の結論は以下のとおりである:
・代謝物Aおよびミルリノンは、心拍数に用量依存性の増加をもたらす;代謝物A投与群の平均最大増加は〜66b.p.m.であり、ミルリノンの場合は〜76b.p.m.であった。
・代謝物Aおよびミルリノンは、代謝物Aがミルリノンよりも10倍強力ではあるが、最大約30mmHgの減少を伴う、平均血圧の用量依存性の減少を引き起こす。
・代謝物Aは、十分に持続し、概して用量依存性の(+)dP/dt max(収縮性の程度)を増加し;ミルリノンは、即効性で用量依存性の(+)dP/dt maxの増加を示すが、十分な持続性はなかった。(+)dP/dt40の状態は、概して類似していた。
・どちらの化合物も大腿部、頚動脈または腎臓の血流に計り知れない影響を与えなかった:すなわち、これらの血管床への血流は、血圧の降下にもかかわらず、概して持続的であり、これらの血管床における血管伝導性の増加を暗示する。
これらの心臓血管作用は、PDEIII阻害剤の期待される作用であり、アナグレライド治療を行った患者に見られると一致し、この代謝物が実際に観察される副作用に関与するという考えをサポートする。それゆえ、経皮投与によるこの代謝物の比率の減少により、薬剤の副作用の著しい減少が期待される。
実施例11 継続的な低レベルでのアナグレライドの曝露の効果を評価するためのさらなる非臨床実験
ミニブタを用いた初期実験は、アナグレライドの経皮投与が低レベルではあるが、持続的な薬剤への曝露および、経口投与に比較して代謝物のより大きな減少をもたらし、これは潜在的に、薬剤それ自身のCVS効果を最小にするために役立つことを示している。しかし、治療応答、すなわち血小板の減少が逆に作用しないことを確認する必要がある。
経口投与に関連する正規の血漿の高い山と谷に比較して、より低い継続的なレベルの曝露が血小板を減少するのにやはり有効であることを確かめるために、ヒト皮膚を介した最尤流速が〜3−4ng/mlのCavを生じさせることが算出された。それゆえ、このレベルでの巨核球形成の適当な減少が達成できることを示すことが重要であった。
培養においてアナグレライドの経皮送達を模倣するために、40ng/mlトロンボポエチン存在下で4日間ひろげたCD34+細胞を、4ng/ml濃度のアナグレライド(〜13nM)への継続的な曝露によりさらに8日間処理した。細胞を分析のために、薬剤処理開始4または8日後に回収した(それぞれ8日および12日の培養)。図2に示すように、8日の培養では、アナグレライドの効果を検出できなかった。対照的に、12日の培養では、アナグレライド処理により、統計学的に有意な減少が多くの巨核球に生じた(対コントロールで77±5%、p=0.038、n=3)。同様に、平行培養の場合、40ng/mlのアナグレライド(〜130nM)の一回投与では、8日の培養で効果を示さなかったが、12日の培養で、有意な阻害を生じた(対コントロールで68±4%、p=0.015、n=3)。
これらの結果は、巨核球産生およびそれによる血小板数の減少におけるヒトでの継続的な低レベルでの曝露の同様の効果を支持するものである。
実施例12 ヒト表皮を通した異なる製剤の飽和溶液からのアナグレライドの透過実験
方法
処方:
アナグレライドの飽和溶液を以下の物質で調製した:
1.イソプロピルミリステート中5%ラウリルアルコール(LA in IPM)
2.プロピレングリコール中2%オレイン酸(OA in PG)
3.プロピレングリコール中0.5%オレイン酸
4.イソプロピルミリステート中5%グリセリルモノオレアート(GMO in IPM)
5.イソプロピルミリステート中5%グリセリルラウレート(GLA in IPM)
6.処方I:
*ラブラゾール(Labrasol) 53.5%
*プルロール・オレイック(Plurol Oleique) 13.4%
*ラブラファック・リポファイル(Labrafac Lipophile) 15%
*プロピレングリコール 18%
7.処方II:
*ラブラフィル(Labrafil) M 1994CS 13.2%
*ラブラファック・リポファイル 31.8%
*ラブラゾール 32.5%
*プルロール・オレイック 13.5%
*水 9.0
8.トランスクトール
9.イソプロピルミリステート(IPM)
10.トリアセチン
11.プロピレングリコール(PG)中5%オレイン酸(OA)
12.70:30(v/v) ジメチルスルホキシド:プロピレングリコール
分析方法の検証
UV検出によるHPLCを用いた分析方法がアナグレライドで確立された。0.2−2μg/mlの範囲に対して作製された6点較正曲線をそれぞれの分析実験ごとに作製し、その精度をそれぞれの場合で、少なくとも7回最高標準品を注入することにより確認した。
HPLC装置
カラム:アペックス(Apex)逆相ODS 5μm充填カラム(250×4.6mm)
ポンプ:サーモ・セパレーション・プロダクツ スペクトラシリーズ P100
オートサンプラー:サーモ・セパレーション・プロダクツ スペクトラシリーズ AS100
検出器:サーモ・セパレーション・プロダクツ スペクトラシリーズ UV100
インテグレーター:サーモ・セパレーション・プロダクツ クロモジェット(ChromJet)
クロマト条件
移動相:アセトニトリル−0.025M リン酸塩(KH2PO4)(50:50)
使用前に、移動相をミリポアフィルターに通して脱気した。
カラム温度:周囲温度
流速:1分あたり0.5mL
注入量:20μL
波長:255nm
保持時間:〜6.8分

pHメーター:エレクトロニクス・インストルメンツ社(ケント) モデル番号7065
較正のための標準溶液の調製
500mlのアセトニトリル:水(60:40)に10mgのアナグレライドを含むストック溶液を較正標準品の作製のために用いた。完全に溶解するために、温度を約50℃に上げた。0.2−2μg/mLの範囲の濃度になるように、ストック溶液から希釈を行った。標準品を上記のHPLC手順を用いて分析した。相関係数0.9991を得た。
HPLCシステムの信頼性を、それぞれの実験前に、同一濃度の薬剤を7回分析することにより確立した。典型的には、変動係数約0.7%を得た。
ヒト表皮の調製
ヒト表皮を熱分離法(A.M.クリグマン(Kligman)およびE クリストファーズ(Christophers)、ヒト角質層の分離シートの調製(Preparation of isolated sheets of human stratum corneum.)、アーカイブス・オブ・ダーマトロジー(Arch Dermatol.)、第88巻、70−73ページ(1963))により調製した。水をホットプレート上で60℃まで熱し、皮膚をこの温度で1分間水に浸漬した。皮膚を水から取り出し、表皮を先端の平たいピンセットを用いて注意深く引き剥がした。この工程で穴を開けないように気をつけた。表皮組織を濾紙の上に角質層を上にして置いた。試料は冷凍庫で保存した。
拡散セル
フランツ型水平ガラス拡散セルを用いた。レセプター液を37℃(体温を表す)に自動温度調節した。膜に温度勾配をかけ、溶液を充填した。しかし、これは「使用中」の条件を模倣するものである。これらの条件下では、皮膚の表面温度は32℃であった。
皮膚試料を使用前に一晩融解した。表皮膜を適当な大きさに切り、セルの半分に置いた。高真空グリースを二つの区分をシールするために用いた。セルを金属ホルダーで固定した。蒸発しないように、レセプターアームをガラス栓で閉じた。ドナー液の蒸発を防ぐために、ドナー区画をふさいだ。
レセプター液を最初に導入し、1時間平衡化した。過剰薬剤を含む飽和溶液1mLをドナー区画へ充填した。過剰の薬剤は、実験の過程で薬剤が枯渇しないようにするために用いた。開始時間は、溶液が充填された時間とした。
サンプリングの時間点(12、24、36および48時間)で、それぞれの拡散セルから200μLのレセプター相をアナグレライドの分析のために取り出し、予め37℃に温度調節した等量の新鮮なレセプター相液と交換した。
それぞれの溶液について、6回試験した。コントロール(ドナー区画へ充填する製剤なし)もまた試験した。
結果
アナグレライドが限られた範囲で全ての溶液から透過することを見出した。24時間における透過は、エタノール中のアナグレライドが最も高く(0.9μg/cm2)、次いで、プロピレングリコール中(0.5μg/cm2)およびグリセロール中(0.04μg/cm2)であった。
アナグレライドが限られた範囲で全ての溶液から透過することを見出した。24時間における透過は、2%OA in PG中のアナグレライドが最も高く(8.9μg/cm2)、5% GMO in IPM(5.7μg/cm2)および5% GLA in IPM(5.2μg/cm2)であることが見出された。提案された「標準」の70:30 DNSO:PG中のアナグレライドの透過は、得られた中で最も高い透過率に類似していた(8.4μg/cm2)。結果を下の表に示す:
アナグレライドが限られた範囲で全ての溶液から透過することを見出した。24時間における透過は、5%OA in PG中のアナグレライドが最も高く(4.4μg/cm2)、次いでIPM中(1.5μg/cm2)であった。結果を下の表に示す:
1mgを経口投与した場合、および飽和溶液を経皮投与した場合の、24時間のアナグレライドおよび代謝物Aの平均血漿濃度と時間の関係を示す。 持続的に低濃度のアナグレライドに曝露した効果を示す。

Claims (52)

  1. 患者に有効量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を投与することを含み、ある程度それにより最初に肝臓を通過する代謝を避けることができる、前記患者の血小板血症の治療または予防方法。
  2. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、埋め込み、舌下投与、前胃吸収、腟坐薬、座薬、経皮法、鼻噴霧、吸入吸収、または局所法から選択される手段により投与される、請求項1記載の方法。
  3. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、ある範囲の皮膚が皮膚透過性のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩と接触することにより投与される、請求項1記載の方法。
  4. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が患者に経皮投与または皮下投与される、請求項1記載の方法。
  5. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が経皮投与される、請求項4記載の方法。
  6. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩がリザーバー製剤の形態をとる、請求項5記載の方法。
  7. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの接着剤を含有する単層製剤の形態をとる、請求項5記載の方法。
  8. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、多層製剤の少なくとも一つの層にアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの接着剤を含有する多層製剤の形態をとる、請求項5記載の方法。
  9. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩がマトリックス製剤の形態をとる、請求項5記載の方法。
  10. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が皮下投与される、請求項4記載の方法。
  11. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩がマトリックス埋め込み製剤の形態で投与される、請求項10記載の方法。
  12. 前記血小板血症が本態性血小板血症(ET)、慢性骨髄性白血病(CML)、真性多血症(PV)、原因不明の骨髄化生(AMM)または鎌状赤血球貧血(SCA)である、請求項1記載の方法。
  13. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が0.1ないし20mg/kg/日の量を投与される、請求項1記載の方法。
  14. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、一日用量0.5ないし3mgの量を投与される、請求項1記載の方法。
  15. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、一日用量1ないし2mgの量を投与される、請求項1記載の方法。
  16. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、表皮に、軟膏、乳剤またはローションの形態で局所投与される、請求項2記載の方法。
  17. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、さらに、少なくとも一つの皮膚透過促進剤を含有する組成物の形態をとる、請求項5記載の方法。
  18. 前記の少なくとも一つの皮膚透過促進剤がリナロオール、カルバクロール、チモール、シトラール、メントールまたはt−アネトールである、請求項17記載の方法。
  19. 投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、任意の賦形剤、および単一の裏打ちフィルムと結合する少なくとも一つの皮膚接触接着剤を含む組成物を含有する単層薬剤入り接着剤システムを有する経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  20. 投与が、
    (a)アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩および少なくとも一つの接着剤、および少なくとも二つの層の間に膜を含有する少なくとも二つの異なる層を含有する多層薬剤入り接着剤システム、または
    (b)アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩および少なくとも一つの接着剤、および単一の裏打ちフィルムを含有する少なくとも二つの異なる層を含有する多層薬剤入り接着剤システム、
    を有する経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  21. 投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の溶液または懸濁液を含む液体区画、リリース・ライナー、および前記リリース・ライナーおよび前記液体区画の間に半透膜、および少なくとも一つの接着剤を含有するリザーバー経皮システムを有する経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  22. 投与が、リリース・ライナーと直接接触する、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の溶液または懸濁液を含む半固体マトリックス、および前記半固体マトリックス周辺で集中的な配置を形成する重層に取り込まれる皮膚接着組成物を含有するマトリックス・システムを有する経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  23. 投与が、密接にマトリックス状に分布するアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含む経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  24. 投与が、パッチあたり1mgないし100mgのアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含む経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  25. 投与が、一日用量0.5ないし3mgを提供するのに十分な量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含む経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  26. 投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、およびアクリル系接着剤を含有する組成物を含む経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  27. 前記組成物が66ないし99.8重量%のアクリル系接着剤を含む、請求項26記載の方法。
  28. 投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、アズオン、エタノール、水、およびクルセルHFを含む経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  29. 投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、0.1ないし10重量部のアズオン、30から69.8重量部のエタノール、29ないし50重量部の水、0から30重量部のプロピレングリコール、および1ないし5重量部のクルセルHFを含む経皮パッチを介する、請求項28記載の方法。
  30. 投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、エタノール、およびクルセルHFを含む経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  31. 投与が、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、85ないし97重量部のエタノール、および2ないし14.9部のクルセルHFを含む経皮パッチを介する、請求項30記載の方法。
  32. 投与が5cm2ないし100cm2の範囲を有する経皮パッチを介する、請求項5記載の方法。
  33. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、1ないし7日間の期間にわたって投与される、請求項1記載の方法。
  34. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩が、3ないし4日間の期間にわたって投与される、請求項1記載の方法。
  35. 塩基形態のアナグレライドが投与される、請求項1記載の方法。
  36. (a)前記範囲の皮膚を皮膚透過性の形態のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩のソースに接触させること;および
    (b)前記範囲の皮膚への物質移送関係中に、少なくとも12時間の間、前記ソースを維持すること、
    を含有する、請求項3記載の方法。
  37. 患者に有効量のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を投与し、それにより最初に肝臓を通過する代謝が避けられることを含む、前記患者の血小板数を減少する方法。
  38. それを必要とする患者にアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を、それにより最初に肝臓を通過する代謝が避けられるように投与することを含む、アナグレライドの経口投与に関連する副作用を減少する方法。
  39. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの皮膚透過促進剤を含有する非経口医薬組成物。
  40. 前記の少なくとも一つの透過促進剤がリナロオール、カルバクロール、チモール、シトラール、メントールまたはt−アネトールである、請求項39記載の組成物。
  41. アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの接着剤を含有する非経口医薬組成物。
  42. 前記の少なくとも一つの接着剤がアクリル系接着剤である、請求項41記載の組成物。
  43. (a)皮膚透過性の形態のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含むリザーバー手段;
    (b)患者の皮膚への物質移送関係中に、前記リザーバーを維持する手段、
    を含有する、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を患者に経皮投与するための医用デバイス。
  44. 前記リザーバー手段がさらに少なくとも一つの皮膚透過性促進剤を含む、請求項43記載のデバイス。
  45. 前記デバイスが5−100cm2の範囲の皮膚に適用される、請求項43記載のデバイス。
  46. (a)皮膚透過性の形態のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を含むリザーバー、および5−100cm2の皮膚に近接した物質を放出する表面範囲を含む前記リザーバー;および
    (b)皮膚への物質移送関係中に、前記リザーバーを維持する手段、
    の組合せを含有する、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を患者に経皮投与するための医用デバイス。
  47. 前記の皮膚への物質移送関係中に、前記リザーバーを維持する手段が、リザーバーから皮膚への物質の流路に設けられるアミン耐性接着剤である、請求項46記載のデバイス。
  48. デバイスからのアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の流れを限定する、前記のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の流路に設けられる放出速度調節手段をさらに含有する、請求項46記載のデバイス。
  49. 裏打ち層、リリース・ライナー、および前記裏打ち層と前記リリース・ライナーの間に位置する少なくとも一つのアナグレライド組成物層を含有し、前記の少なくとも一つのアナグレライド組成物層がアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩、および少なくとも一つの接着剤を含有する、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩を患者に経皮投与するための医用デバイス。
  50. 患者の血小板血症の治療または予防のための医薬であって、ある程度それにより最初に肝臓を通過する代謝が避けられる医薬の製造のための、アナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩の使用。
  51. 前記医薬が、埋め込み、舌下投与、前胃吸収、腟坐薬、座薬、経皮法、鼻噴霧、吸入吸収、または局所法から選択される手段により投与されるのに適している、請求項50記載の使用。
  52. 前記医薬が、ある範囲の皮膚が皮膚透過性の形態のアナグレライド、塩基形態のアナグレライド、またはアナグレライドの薬学的に許容されうる塩と接触することにより投与されるのに適している、請求項50記載の使用。
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