JP2006512081A - Rnaのローリングサークル増幅 - Google Patents

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Abstract

開示されるのは、RNA分子増幅のための方法および組成物である。開示の方法は、RNA分子から第1鎖cDNAを合成すること、第1鎖cDNA分子を環状化すること、および、環状化第1鎖cDNA分子をローリングサークル複製によって複製することを含む。本法は、cDNA合成用の特別プライマー、および、第1鎖cDNA分子環状化用の特別プローブの使用によって支援される。本法は、複数RNA分子、例えば、サンプル中の全RNA分子、または、サンプル中の全mRNA分子を複製および増幅するために、あるいは、特定のRNA分子を複製および増幅するために使用することが可能である。環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製は、cDNA配列のタンデム反復を含む、長いDNA鎖をもたらす。このタンデム配列DNAは、直接使用すること(例えば、配列の検出のために)、さらに増幅すること、他の任意の目的のために使用することが可能である。2本鎖タンデム配列DNAはまた、転写されて、RNA分子の配列に対して相補的な、または、一致する配列を持つ転写物を生成することも可能である。

Description

本発明は核酸増幅の分野に属し、特に、RNA分子のローリングサークル増幅の領域に属する。
これまでに数多くの核酸増幅技術が開発されている。その中には、例えば、鎖変位(strand displacement)カスケード増幅(SDCA)(本明細書では指数関数型ローリングサークル増幅(ERCA)と呼ぶ)およびローリングサークル増幅(RCA)(特許文献1,2および非特許文献1)、複数変位増幅(MDA)(特許文献3)、鎖変位増幅(SDA)(非特許文献2,3)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および、加熱サイクルを含むその他の指数関数型増幅技術、自己持続型配列複製(3SR)、核酸配列型増幅(NASBA)、および、Qβレプリカーゼによる増幅(非特許文献4,5)、および、サイクル配列決定法のような加熱サイクルを含む各種直線増幅技術(非特許文献6)が含まれる。
DNAポリメラーゼによって駆動されるローリングサークル増幅(RCA)は、等熱条件下で、環状オリゴヌクレオチドプローブを、線形的または幾何級数的速度で複製することが可能である(非特許文献1、特許文献1、4、2)。単一のプライマーを使用した場合、RCAは、数分の内に、標的に対して共有的に結合した、タンデム状に連結した、数百または数千の標的DNAコピーから成る直鎖を生成する。線形的増幅産物の生成は、標的の空間的解像と正確な定量の両方を可能にする。RCAによって生成されるDNAは、タンデムDNA配列に複数部位でハイブリダイズする蛍光オリゴヌクレオチドタグによって標識することが可能である。RCAは、複数変数カラーコード方式を実現するように蛍光色素を組み合わせて用いることによって、同時に分析可能な標的の数を飛躍的に増大させることが可能である(特許文献2)。RCA技法は、溶液において、生体内で、またマイクロアレイにおいて使用することが可能である。固相方式では、検出および定量を単一分子のレベルで実現することが可能である(非特許文献1)。ライゲーション介在によるローリングサークル増幅(LM-RCA)は、標的配列にハイブリダイズしたプローブ分子の環状化、および、その後の、環状プローブのローリングサークル増幅を含む(特許文献1,4,2)。指数関数型(またはカスケード)ローリングサークル増幅(特許文献1,4,2)、および複数プライマーローリングサークル増幅(非特許文献7)では、極めて高収率の増幅産物を獲得することが可能である。
細胞機能の変化は、各種タンパク質の発現パターンの変化に関連する。従って、細胞機能に関する貴重な情報は、特定のタンパク質の発現を、細胞成長の、または機能の二つの段階の間で比較することによって得られることが多い(非特許文献8,9,10)。この追求法は発現プロファイリングと呼ばれる。タンパク質発現プロファイリング研究は、その多くがタンパク質特異的抗体の利用可能性に依存しており、従って、遺伝子発現プロファイリング研究の多くは、mRNA発現のレベルで行われる(非特許文献11,12)。従って、疾病過程または治療スケジュールに関する重要情報は、二つの異なる細胞環境における遺伝子の相対的発現度を評価することによって得られる(例えば、ガン組織対正常組織、または、薬剤治療状態対非治療状態)。近年の高処理発現プロファイリング研究は多くの場合DNAマイクロアレイ上で実施される。遺伝子特異的DNAプローブはガラススライドに固定され、蛍光cDNAまたは増幅cDNA(RNAサンプルから得たもの)が、これらの固定プローブに対してハイブリダイズされ検出される。DNAマイクロアレイの利用は、二つのサンプルの間で異なって発現される、数千の個別の遺伝子をスクリーニングする能力が獲得されたことによって、ヒトの疾患の遺伝的プロファイルの特定において進歩をもたらすことが期待される(非特許文献12,11,13)。
米国特許第5,854,033号 PCT出願WO97/19193 PCT出願WO99/18241 米国特許第6,143,495号 Lizardi et al., Nature Genetics 19(3):225-232 (1998) Walker et al., Nucleic Acids Research 20:1691-1696 (1992) Walker et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:392-396(1992) Birkenmeyer and Mushahwar, J. Virological Methods 35:117-126(1991) Landgren, Trends Genetics 9:199-202(1993) Craxton et al., Methods Companion Methods in Enzymology 3:20-26(1991) Dean et al., Genome Research 11:1095-1099(2001) Zhu et al.,「プロテオームチップによるタンパク質活動の大規模分析("Global analysis of protein activities using proteome chips")」、Science 293(5537):2101-5(2001) Schweitzer and Kingsmore, 「マイクロアレイ上でタンパク質を測定する("Measuring proteins on microarrays")」、Curr. Opin. Biotechnol. 13(1):14-9(2002) Schweitzer et al., 「ローリングサークル増幅によるマイクロアレイ用多重化タンパク質プロファイリング」、Nat. Biotechnol. 20(4):359-65(2002) Colantuoni et al., 「レット症候群死後脳における遺伝子発現プロファイリング:差動遺伝子発現と患者分類("Gene expression profiling in postmortem Rett Syndrome brain: differential gene expression and patient classification")」、Neurobiol. Dis. 8(5):847-65(2001) Colantuoni, et al., 「ヒト脳における遺伝子発現の高処理分析("High throughput analysis of gene expression in the human brain")」、J. Neurosci. Res. 59(1):1-10(2000) Nallur et al., 「DNAマイクロアレイにおけるローリングサークル増幅によるシグナル増幅("Signal amplification by rolling circle amplification on DNA microarrays")」、Nucleic Acids Res. 29(23):E118(2001)
通常、これらのアッセイは、1回の分析に5-100 μgの全RNAを必要とする。従って、未増幅のRNAサンプルで発現プロファイリング実験をする場合、十分なRNAサンプルを得るには、数百万の細胞が必要とされる。しかしながら、発現プロファイリング実験で利用できるものは、多くの場合、吸引ニードルバイオプシーで、細胞ソートで単離された極小の集団サブセット、レーザーキャプチャーマイクロディセクション、または、マイクロマニプレーションがなされた単細胞によって得られた数個の細胞のみである。このような場合、発現プロファイリング実験で利用できるのはごく少量のRNAに過ぎない。従って、多くの高処理発現プロファイリング研究は、増幅cDNAサンプルを用いて実行する必要がある。一方、近年の多くのcDNA増幅技術は、増幅偏倚をもたらす欠点を有する。従って、信頼度の高い、万能の、偏倚の無い転写増幅法に対しては需要がある。
開示されるのは、RNA分子の増幅用組成物および方法である。開示される方法は、RNA分子から第1鎖cDNA分子を合成すること、第1鎖cDNA分子を環状化すること、および、この環状第1鎖cDNA分子を、ローリングサークル複製を用いて複製することを含む。この方法は、cDNA合成用の特別プライマー、および、第1鎖cDNA分子の環状化用の特別プローブの使用によって補佐することが可能である。本法は、複数のRNA分子、例えば、サンプル中の全RNA分子、サンプル中の全mRNA分子を複製、増幅するのに使用することが可能であるし、あるいは、特定のRNA分子を複製・増幅するのに使用することも可能である。環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製は、cDNA配列のタンデム状反復を含む、長いDNA鎖をもたらす。ローリングサークル複製によって生成されるこのタンデム配列DNAは、対応するRNAが複製されたDNAの+(プラス)鎖に相当する。
このタンデム配列DNAは、直接使用することも可能であるし(例えば、配列の検出のために)、さらに増幅しても、または、他の任意の目的のために使用することも可能である。タンデム配列DNAはまた2本鎖とすることも可能である。2本鎖タンデム配列DNAは、例えば、タンデム配列DNAを構成する、単位長cDNA配列を生成するのに使用することが可能である。単位長cDNA分子の形成は、cDNAプライマーおよび/または環状化プローブの中に、切断部位、例えば、制限酵素の認識部位を含めることによって補佐することが可能である。この2本鎖タンデム配列DNA、特に、単位長cDNA配列は、組み換えDNA技術および材料を用いてクローニングすることが可能である。単位長cDNA分子を含む、タンデム配列DNAおよびタンデム配列DNA断片は、cDNAライブラリーを構成することが可能である。
タンデム配列DNAはまた、転写して、RNA分子の配列に対して相補的な、または、一致する配列を持つ転写物を生成させることも可能である。タンデム配列DNAは、RNA配列(またはその相補体)のタンデム反復から構成される、タンデム反復転写物と呼ばれる、長いRNA分子を生成するよう直接転写されることも可能である。単位長cDNAもまた、単一RNA配列(またはその相補体)を含む、タンデム反復転写物と呼ばれる、RNA分子を作成するように転写されることも可能である。
cDNA配列のさらにそれ以上の増幅は、任意の好適な複製または増幅技術によって実現することが可能である。有用な増幅技術としては、ローリングサークル増幅技術、例えば、複数プライマーローリングサークル増幅法および指数関数型ローリングサークル増幅法が挙げられる。環状第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製およびローリングサークル増幅はまた、特別の増幅産物を生産する、および/または、増幅収率をさらに向上させるために、複数鎖変位増幅およびその他の増幅技術と組み合わせることが可能である。
開示される方法の別の形では、第1鎖cDNA分子は共に連結して、コンカテマーを形成することが可能である。これらの第1鎖cDNAコンカテマーは、複数鎖変位増幅によって増幅することが可能である。環状化した第1鎖cDNAコンカテマーは、ローリングサークル複製によって増幅することが可能である。環状第1鎖cDNA分子および/または第1鎖cDNAコンカテマーのローリングサークル複製は、非環状化第1鎖cDNA分子および/または非環状化第1鎖cDNAコンカテマーの複数鎖変位増幅と同時に実施することが可能である。
開示されるRNA分子の増幅は、RNAサンプルにおけるRNA分子に対応する核酸分子を生成するのに有用である。開示の方法は、RNA配列を増幅するための汎用技術であり、生成された核酸分子は、任意の目的のために使用が可能である。有用な目的としては、例えば、特定のRNA分子および/または配列を検出すること、RNA分子および/または配列の集団またはセットを検出すること、特定のRNA分子および/または配列を分析または配列決定すること、ある集団またはセットのRNA分子および/または配列の分析または配列決定すること、ある集団またはセットのRNA分子および/または配列を分類編集すること、特定のRNA分子および/または配列をクローニングすること、および、ある集団またはセットのRNA分子および/または配列をクローニングすることが挙げられる。従って、例えば、開示の方法は、各種細胞、組織、および/または、サンプル中のRNA分子および/または配列を特定または分析し、かつ、各種細胞、組織、および/またはサンプルにおいて発現されるRNA分子および/または配列を互いに比較するために使用することが可能である。
RNA分子を増幅する方法を提供するのが本発明の目的である。
第1鎖cDNA合成用のプライマーとcDNA鎖を環状化するためのプローブを提供するのが本発明のもう一つの目的である。
RNA分子を増幅するためのキットを提供するのが本発明のもう一つの目的である。
増幅されたRNA配列を検出し、分類し、分析するための方法を提供するのが本発明のもう一つの目的である。
開示されるのは、RNA分子を増幅するための組成物および方法である。開示される方法は、RNA分子から第1鎖cDNA分子を合成すること、第1鎖cDNA分子を環状化すること、および、この環状第1鎖cDNA分子を、ローリングサークル複製を用いて複製することを含む。この方法は、cDNA合成用の特別プライマー、および、第1鎖cDNA分子の環状化用の特別プローブ−環状化プローブと呼ばれる−の使用によって補佐することが可能である。本法は、複数のRNA分子、例えば、サンプル中の全RNA分子、サンプル中の全mRNA分子を複製・増幅するのに使用することが可能であるし、あるいは、特定のRNA分子を複製・増幅するのにも使用することが可能である。環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製は、cDNA配列のタンデム状反復を含む、長いDNA鎖をもたらす。ローリングサークル複製では、環状第1鎖cDNA分子上の単一位置にプライマー設置することも可能であるし、あるいは、複数の部位にプライマーを設置することも可能である。プライミングがどこで起こるかによらず、得られたタンデム配列DNAは、完全cDNA配列のタンデム状反復を含む。なぜなら、合成は、環の周囲において複数回連続して行われるからである。開示の方法は、鋳型を反復的に変性することを要しない等熱的DNA増幅過程であるが、鋳型の変性と対立遺伝子損失を極小に留める。ある形では、開示の方法は、大規模な転写産物を極小の配列アーチファクトと共に増幅するために、高い再現性と加工性を備えたDNAポリメラーゼ、例えば、Φ29DNAを利用することが可能である。
このタンデム配列DNAは、直接使用することも可能であるし(例えば、配列の検出のために)、さらに増幅しても、または、他の任意の目的のために使用することも可能である。開示の方法においてRNAサンプルから生成されるタンデム配列DNA分子は、サンプル中に存在するRNA配列の全部または一部を代表する配列を含むことが可能である。例えば、開示の方法は、RNAサンプルにおける全てのRNA分子から、RNAサンプルにおける全てのmRNA分子から、または、RNAサンプルにおける選択されたRNA分子から、環状第1鎖cDNA分子(従って、タンデム配列DNA)を生成するのに使用することが可能である。
開示の方法のある形では、第1cDNA鎖の合成をプライミングするために、cDNAプライマーが用いられる。このcDNAプライマーは、RNA相補体部分とプローブ相補体部分とを含む。RNA相補体部分は、RNAサンプル中のRNA分子にハイブリダイズし、逆転写をプライミングする。得られた第1鎖cDNA分子は、前記cDNAプライマーを5′末端に含む。この第1鎖cDNA分子は、環状化プローブによって環状化される。環状化プローブは、プライマー相補体部分とcDNA相補体部分とを含む。プライマー相補体部分は、cDNAプライマーのプローブ相補体部分に対して相補的である。cDNA相補体部分は、第1鎖cDNA分子の配列に対してハイブリダイズする。特に、cDNA相補体部分は、第1鎖cDNA分子の3′末端配列にハイブリダイズする。このようにして、第1鎖cDNA分子の末端同士は接近させられ、互いに連結することが可能となる。
次に、この環状化された第1鎖cDNA分子は、ローリングサークル複製によって増幅される。ローリングサークル複製は、ローリングサークルプライマーによってプライミングされる。ローリングサークル複製は、第1鎖cDNA分子に対して相補的な相補部分を持つことが可能である。この相補部分は、cDNAプライマーの配列に対して相補的であってもよいし、環状化プローブ配列に一致してもよいし、その両方であってもよい。この場合、ローリングサークル複製プライマーは、一つ、またはいくつかの第1鎖cDNA分子に対して特異的であってもよいし、あるいは、第1鎖cDNA分子を広範に増幅するのに(cDNAプライマーおよび/または環状化プローブ中のプライマー相補体/プライマー一致配列が、異なる第1鎖cDNA分子に対しては異なる(特異的な)のか、異なる第1鎖cDNA分子に対して同じな(特異的ではない)のかに応じて)使用されてもよい。別に、相補体部分は、cDNA配列に対して相補的であってもよい。この場合、ローリングサークル複製プライマーは、1個または数個の第1鎖cDNA分子に対して特異的であってもよい。ランダム配列を持つローリングサークル複製プライマーは、環状第1鎖cDNAの多くの配列に対して相補的となり、第1鎖cDNA分子を広範に増幅するために使用することが可能となる。
単一cDNAプライマーおよび単一環状化プローブを用いて、サンプル中の全てのRNA分子を増幅することが可能である。例えば、cDNAプライマーは、ポリ(dT)から成るRNA相補体部分、またはランダムな配列、部分的にランダムな配列、および/または、1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチドを含んでもよい。cDNAプライマーのRNA相補体は、それが相補的である全てのRNA配列、例えば、全てのmRNA(もしポリ(dT)が使用されている場合には)に、または一般に全てのRNA分子(一般的配列が用いられている場合は)にハイブリダイズする。このようにして、サンプル中の全てのRNA分子を逆転写することが可能である。環状化プローブは、例えば、ランダムな配列、部分的にランダムな配列、および/または、1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチドから成るcDNA相補部分を含むことが可能である。cDNA相補部分の一般的性質によって、この相補部分は、第1鎖cDNA分子の3′末端配列から選ばれる任意の配列、または、多くの配列にハイブリダイズすることが可能である。このようにして、環状化プローブは、RNAサンプルのRNA分子の増幅に関して全体的となることが可能となる。
単一ローリングサークル複製プライマーを用いて、サンプル中の全てのRNA分子を増幅することが可能である。例えば、ローリングサークルプライマーは、第1鎖cDNA分子中の多くの配列に対して相補的となるように、ランダム配列を持つことが可能である。そのために、別に、ローリングサークル複製プライマーは、環状化プローブの配列に一致する(すなわち、環状化プローブのプライマー一致部分)cDNAプライマーの配列に対して相補的な部分(すなわち、cDNAプライマーのプライマー相補部分)を有することが可能である。さらに別態様として、環状化プローブを、ローリングサークル複製プライマーとして用いることも可能である。このようにして、環状第1鎖cDNA分子を形成し、複数のサークルを複製するためには、単一cDNAプライマーと単一環状化プローブのみが必要とされるにすぎない。cDNAプライマーはまた、二次的DNA鎖変位プライマーとして使用することも可能である。この場合、僅かにこの二つのオリゴヌクレオチドだけで指数関数型ローリングサークル増幅が可能となる。
タンデム配列DNAはまた2本鎖として形成することも可能である。2本鎖タンデム配列DNAは、例えば、タンデム配列DNAを構成する単位長のcDNA配列を生成することが可能である。単位長cDNA分子の生産は、cDNAプライマーおよび/または環状化プローブの中に、切断部位、例えば、制限酵素の認識部位を含めることによって補佐することが可能である。2本鎖タンデム配列DNA、特に、単位長cDNA配列は、組み換えDNA技術および材料を用いてクローニングすることが可能である。単位長cDNA分子を含むタンデム配列DNAおよびタンデム配列DNA断片は、cDNAライブラリーを構成することが可能である。各単位長のcDNA配列(すなわち、環状第1鎖cDNA分子から生産されるタンデム反復配列の一つ)は、RNA分子のcDNA配列を表す。単位長のcDNA配列(または、単一タンデム反復配列)は、タンデム反復単位と呼ぶことも可能である。
ローリングサークル複製によって生産されるタンデム反復DNA鎖は、対応するRNAが複製されたDNAの+鎖に相当する。タンデム配列DNAの複製によって得られる二次タンデム配列DNAは、対応するRNAが複製されたDNAの−鎖に相当する。タンデム配列DNA鎖のその後の世代(例えば、三次タンデム配列DNAおよび四次タンデム配列DNA)も+鎖か−鎖かのどちらかを表す。+鎖(例えば、タンデム配列DNA鎖)または−鎖(例えば、二次タンデム配列DNA)は、開示の方法で別々に生産することが可能である。これは、例えば、タンデム配列DNA鎖のみを合成することによって、または、このタイプの鎖の内のどちらか一方を選択的に変性させることによって実行が可能である。
タンデム配列DNAはまた転写して、RNA分子の配列に相補的な、または一致する配列を持つ転写物を生産することが可能である。タンデム配列DNAは直接転写して、RNA配列(またはその相補体)のタンデム状反復から構成される長いRNA分子−タンデム配列転写物と呼ばれる−を生産することも可能である。単位長cDNA分子(すなわち、タンデム反復単位)もまた直接転写して、単一RNA配列(またはその相補体)を含むRNA分子−タンデム配列転写物と呼ばれる−を生産することが可能である。
cDNAのさらにそれ以上の増幅は、任意の適切な複製または増幅技術を用いて実行が可能である。有用な増幅技術としては、ローリングサークル増幅技術、例えば、複数プライマーローリングサークル増幅法および指数関数型ローリングサークル増幅法が挙げられる。環状第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製およびローリングサークル増幅はまた、特別の増幅産物を生産するために、および/または、増幅収率をさらに向上させるために、複数鎖変位増幅およびその他の増幅技術と組み合わせることが可能である。
開示される方法の別の形では、第1鎖cDNA分子は共に連結して、コンカテマーを形成することが可能である。これらの第1鎖cDNAコンカテマーは、複数鎖変位増幅(および/または、他の任意の適切な増幅技術)によって増幅することが可能である。環状化した第1鎖cDNAコンカテマーは、ローリングサークル複製によって増幅することが可能である。環状第1鎖cDNA分子および/または第1鎖cDNAコンカテマーのローリングサークル複製は、非環状化第1鎖cDNA分子および/または非環状化第1鎖cDNAコンカテマーの複数鎖変位増幅と同時に実施することが可能である。開示される方法の環状化操作は、使用される条件に応じて、4種の第1鎖cDNA産物、すなわち、環状第1鎖cDNA分子、環状第1鎖cDNAコンカテマー、非環状化第1鎖cDNA分子、および、非環状化第1鎖cDNAコンカテマーの内の1種、またはそれらの混合をもたらすことが可能である。
開示されるRNA分子の増幅は、RNAサンプルにおけるRNA分子に対応する核酸分子を生成するのに有用である。開示の方法は、RNA配列を増幅するための汎用技術であり、生成された核酸分子は、任意の目的のために使用が可能である。有用な目的としては、例えば、特定のRNA分子および/または配列を検出すること、RNA分子および/または配列の集団またはセットを検出すること、特定のRNA分子および/または配列を分析または配列決定すること、ある集団またはセットのRNA分子および/または配列を分析または配列決定すること、ある集団またはセットのRNA分子および/または配列を分類編集すること、特定のRNA分子および/または配列をクローニングすること、ある集団またはセットのRNA分子および/または配列をクローニングすること、およびcDNAライブラリーを作成することが挙げられる。従って、例えば、開示の方法は、各種細胞、組織、および/または、サンプル中のRNA分子および/または配列を特定または分析し、かつ、各種細胞、組織、および/またはサンプルにおいて発現されるRNA分子および/または配列を互いに比較するために使用することが可能である。
ローリングサークル増幅反応(およびその他の増幅反応も)は、増幅中、検出プローブ増幅時のプライマーを検出することによって、リアルタイムでの(すなわち、反応中)監視が可能である。検出プライマーは、増幅時、プライマー中の、または、近傍の消光成分が、プライマーの蛍光ラベルから分離されるにつれて信号を発する。消光成分が、蛍光分子またはラベルに近接している場合は、蛍光は、消光成分へ向けてのエネルギー転送によって消光される。一旦消光成分が、蛍光ラベルに近接しない状態が訪れると、蛍光は検出可能となる。開示の増幅反応では、組み込まれたプライマーは、組み込まれた核酸鎖が複製されている間鋳型鎖として働き続ける。消光成分は、例えば、消光成分が付着される核酸配列が、蛍光ラベルに隣接するプライマーの配列にハイブリダイズすることによって、プライマーの蛍光ラベルの近傍に設置することが可能である。組み込まれたプライマーが複製されると、ハイブリッドは壊され、消光成分は蛍光ラベルから分離され、これが次に蛍光信号を生み出す。従って、増幅反応が進行するにつれて、次第に多くの組み込み検出プライマーが複製されて、漸増蛍光信号を生成し、この信号は、反応が進行する間監視することが可能である。
ローリングサークル増幅は、環状鋳型(ここでは、環状化された第1鎖cDNA分子)のローリングサークル複製を含む。ローリングサークル複製は、環状鋳型の任意の場所にハイブリダイズする、ローリングサークル複製プライマーと呼ばれるプライマーによって仲介される。環状鋳型の異なる配列(すなわち、異なる部位)にハイブリダイズする、2種以上の複製プライマーを用いることによって複数鎖を同時に生産することが可能である。従って、開示の方法は、環状鋳型の異なる配列を標的とする、2種以上のローリングサークル複製プライマーを用いて実行することが可能である。別に、一つのランダム配列を持つ一つのローリングサークル複製プライマーを用いることによっても、複数鎖を同時に生産することが可能である。ランダム配列は、環状鋳型の異なる配列(すなわち、異なる部位)にハイブリダイズする。
ローリングサークル複製プライマー(環状化第1鎖cDNA分子の複製をプライミングする)と二次的DNA鎖変位プライマー(環状第1鎖cDNA分子の複製産物の複製をプライミングする)の両方の使用によって、増幅産物の複数生産が同時に行われることを可能にする。これは、増幅の収率を倍増させる。環状化プローブとcDNAプライマーとは、ローリングサークル複製プライマーとして、二次的DNA鎖変位プライマーとして、それぞれ機能する。
環状鋳型のローリングサークル複製は、その環状鋳型の配列に対して相補的な配列のタンデム反復を含む、長い鎖のDNAを生産する。これらの鎖は、タンデム配列DNAと呼ばれる。ローリングサークル増幅の速度と収率は、ローリングサークル増幅時タンデム配列DNAを複製することによって大きく増加させることが可能である。これは、タンデム配列DNAの配列に相補的な1種以上のプライマーを用いることによって実現が可能である。このようなプライマーは、二次的DNA鎖変位プライマーと呼ばれるが、第1鎖cDNA分子の配列と一致する配列を持つ(従って、タンデム配列DNAに対して相補的である)。タンデム配列DNAの複製は、二次的タンデム配列DNAと呼ばれるより多くの核酸を生産し、ローリングサークル複製プライマー(二次的タンデム配列DNAの配列に対して相補的である)による複製のために、さらなる複製用鋳型を提供する。上記、およびそれに続く複製産物が同様に複製され、指数関数型ローリングサークル増幅と呼ばれる全体カスケート型の複製を形成し、これは、短時間に膨大な増幅を実現する。
開示の方法は、多くの領域、すなわち、サンプル中に存在するRNAの分析、病気の検出、突然変異検出、タンパク質発現プロファイリング、RNA発現プロファイリング、遺伝子発見、遺伝子マッピング(分子ハプロタイプ決定)、農業研究、およびウィルス検出を含む−ただしそれらに限定されない−を含む領域に応用が可能である。注目すべき用法としては、体内の細胞における、マイクロアレイにおける、DNA線維上で、および、ゲノムDNAアレイにおける核酸検出;細胞におけるRNAの検出;RNA発現プロファイリング;分子ハロタイプ決定;突然変異検出;異常RNAの検出(例えば、発ガン遺伝子の過剰発現、または、腫瘍抑制遺伝子の発現欠如);ガン細胞における発現;細胞におけるウィルスゲノムの検出;ウィルスRNA発現;遺伝病、例えば、嚢胞性線維症、筋ジストロフィー、糖尿病、血友病、鎌状赤血球貧血の検出;ガン、例えば、前立腺ガン、乳ガン、肺ガン、結腸ガン、卵巣ガン、睾丸ガン、膵臓ガンに対する疾病素質の評価が挙げられる。
開示の方法のある形は、cDNAプライマーとRNA分子を含むRNAサンプルとを、そのRNA分子から第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下でインキュベートすること、環状化プローブと第1鎖cDNA分子とを、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件下でインキュベートすること、および、環状化第1鎖cDNA分子を、その環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製を促進する条件下でインキュベートし、それによってRNA配列を増幅することを含む。
ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、その際、タンデム配列DNAは複製されて二次的タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAと二次的タンデム配列DNAが2本鎖タンデム配列DNAを形成する。cDNAプライマーは、RNA相補体部分を含み、このRNA相補体部分は、RNA分子の1箇所以上にハイブリダイズし、cDNAプライマーは、第1鎖cDNA分子の合成時、第1鎖cDNA分子の中に取り込まれる。
cDNAプライマーは、第1鎖cDNA分子の合成時、第1鎖cDNA分子の中に取り込まれ、その際、環状化プローブは、cDNA相補体部分とプライマー相補体部分とを含み、cDNA相補体部分は、第1鎖cDNA分子の1箇所以上にハイブリダイズし、プライマー相補体部分は、第1鎖cDNA分子に取り込まれたcDNAプライマーにハイブリダイズし、cDNA相補体部分の第1鎖cDNA分子に対するハイブリダイゼーションおよび、プライマー相補体部分のcDNAプライマーに対するハイブリダイゼーションは、第1鎖cDNA分子の両端を近接することになり、このようにして第1鎖cDNAの環状化を仲介する。
ローリングサークル複製は、ローリングサークル複製プライマーによってプライミングすることが可能であり、その際、ローリングサークル複製プライマーはランダム配列を持ち、ローリングサークル複製は、環状化第1鎖cDNA分子の複数箇所においてプライミングされる。ローリングサークル複製は、複数のローリングサークルプライマーによって促進することが可能であり、その際、ローリングサークル複製は、環状化第1鎖cDNA分子の複数箇所で促進される。ローリングサークル複製は、1種以上のローリングサークルプライマーによってプライミングすることが可能であり、その際、ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、このタンデム配列DNAは複製されず、タンデム配列DNAは、RNA分子の配列に合致する配列を含む。
ローリングサークル複製は、環状化プローブによってプライミングすることが可能であり、その際、ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されず、タンデム配列DNAは、RNA分子の配列に合致する配列を含む。
ローリングサークル複製は、1種以上のローリングサークル複製プライマーによってプライミングすることが可能であり、その際、ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次的タンデム配列DNAを形成し、このタンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次的DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる。ローリングサークル複製プライマーは5′リン酸基を有し、二次的DNA鎖変位プライマーは5′ヒドロキシル基を有することが可能であり、その結果、タンデム配列DNAは5′リン酸基を持ち、二次的タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を持つ。次に、この方法は、タンデム配列DNAと二次的タンデム配列DNAを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートし、それによってタンデム配列DNAを破壊し、二次タンデム配列DNAを残すことを含む。
ローリングサークル複製プライマーは5′ヒドロキシル基を有し、二次的DNA鎖変位プライマーは5′リン酸基を有することが可能であり、その結果、タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を持ち、二次的タンデム配列DNAは5′リン酸基を持つ。次に、この方法は、タンデム配列DNAと二次的タンデム配列DNAを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートし、それによって二次タンデム配列DNAを破壊し、タンデム配列DNAを残すことを含む。
ローリングサークル複製は、環状化プローブによってプライミングすることが可能であり、その際、ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次的タンデム配列DNAを形成し、このタンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次的DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる。環状化プローブは5′リン酸基を有し、二次的DNA鎖変位プライマーは5′ヒドロキシル基を有することが可能であり、その結果、タンデム配列DNAは5′リン酸基を持ち、二次的タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を持つ。次に、この方法は、タンデム配列DNAと二次的タンデム配列DNAを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートし、それによってタンデム配列DNAを破壊し、二次タンデム配列DNAを残すことを含む。
環状化プローブは5′ヒドロキシル基を有し、二次的DNA鎖変位プライマーは5′リン酸基を有することが可能であり、その結果、タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を持ち、二次的タンデム配列DNAは5′リン酸基を持つ。次に、この方法は、タンデム配列DNAと二次的タンデム配列DNAを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートし、それによって二次タンデム配列DNAを破壊し、タンデム配列DNAを残すことを含む。
ローリングサークル複製は、ローリングサークル複製プライマーによってプライミングすることが可能であり、その際、ローリングサークル複製プライマーはさらにプロモーター部分を含み、ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらす。cDNAプライマーはさらにプロモーター部分を含み、ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらす。ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、方法はさらに、タンデム配列DNAの中に1種以上の標的配列を検出することを含む。
ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらすことが可能であり、その際、複数の第1鎖cDNA分子が複数のRNA分子から合成され、複数のタンデム配列DNAが形成され、この複数のタンデム配列DNAは、複数のRNA分子に対応し、この複数のタンデム配列DNAは、RNAサンプルから得られる配列のカタログを構成する。
ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらすことが可能であり、方法はさらに、ロークリングサークル複製後、タンデム配列DNAを、タンデム配列DNAの複製を促進する条件下でインキュベートし、タンデム配列DNAの複製中、複製された鎖の内の少なくとも1本が、別の複製鎖の鎖変位性複製のためにタンデム配列DNAから外されることを含む。
ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらすことが可能であり、その際、タンデム配列は、ローリングサークル複製時、二次タンデム配列DNAを形成し、
方法はさらに、ロークリングサークル複製後、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAの複製を促進する条件下でインキュベートし、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAの複製中、複製された鎖の内の少なくとも1本が、別の複製鎖の鎖変位性複製のためにタンデム配列DNAまたは二次タンデム配列DNAから外されることを含む。
第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件は、cDNAプライマーとRNAサンプルを、逆転写酵素の存在下にインキュベートすることを含み、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件は、環状化プローブと第1鎖cDNA分子とをリガーゼの存在下にインキュベートすることを含み、環状化第1cDNA分子のローリングサークル複製を促進する条件は、環状化第1鎖cDNA分子をDNAポリメラーゼの存在下にインキュベートすることを含む。
方法のある形は、(1)cDNAプライマーとRNA分子を含むRNAサンプルとを、そのRNA分子から第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下、すなわち、cDNAプライマーとRNAサンプルとを逆転写酵素の存在下でインキュベートすること;(2)第1鎖cDNA分子をRNAse H活性の存在下にインキュベートすること;(3)第1鎖cDNA分子をアルカリ条件下にインキュベートすること;(4)第1鎖cDNA分子を中和すること;(4)第1鎖cDNA分子を精製すること;(5)環状化プローブと第1鎖cDNAを、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件下、すなわち、環状化プローブと第1鎖cDNAをリガーゼの存在下にインキュベートする条件下でインキュベートすること;および、(6)環状化第1鎖cDNA分子を、環状化第1鎖cDNAのローリングサークル複製を促進する条件下、すなわち、環状化第1鎖cDNA分子をDNAポリメラーゼの存在下でインキュベートして、RNA配列を増幅することを含む。
方法のある形は、(1)cDNAプライマーとRNA分子を含むRNAサンプルとを、そのRNA分子から第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下でインキュベートすること;(2)環状化プローブと第1鎖cDNAプローブとを、第1鎖cDNA分子相互の連結を促進する条件下にインキュベートして、第1鎖cDNAコンカテマーを形成すること;および、(3)第1鎖cDNAコンカテマーを第1鎖cDNAコンカテマーの鎖変位複製を促進する条件下でインキュベートし、RNA配列を増幅することを含む。開示された方法のある形では、第1鎖cDNA分子は、少なくとも1本の他の第1鎖cDNA分子と連結されて、1種以上の第1鎖cDNAコンカテマーを形成する。
複数プライムRCAを、単一ローリングサークル複製プライマー(環状第1鎖cDNA分子に複数箇所でハイブリダイズする)、または、複数ローリングサークル複製プライマー(それぞれが、第1鎖cDNA分子上の単一部位にハイブダイズするか、または、第1鎖cDNA分子上の複数の部位にハイブリダイズする)を用いて実施することができる。複数プライマー設置(MPRCAで見られるように)は、RCAによる増幅産物の収率を増加させることができる。プライマーは、環状第1鎖cDNA分子に複数箇所でアニールし、ポリメラーゼによる伸長産物は各部位から起動される。このようにして、複数伸長反応が、単一の第1鎖cDNA分子から同時に実現される。
開示の方法のある形では、複数プライミングは、いくつかの異なるやり方で実現することが可能である。例えば、環状第1鎖cDNA分子の異なる配列にアニールする2種以上の特異的ローリングサークル複製プライマーの使用が可能であり、環状第1鎖cDNA分子の2箇所以上の別々の場所で繰り返される配列にそれぞれアニールする1種以上の特異的ローリングサークル複製プライマーの使用が可能であり、環状第1鎖cDNA分子の異なる配列に、または、環状第1鎖cDNA分子の2箇所以上の別々の場所で繰り返される配列にそれぞれアニールするローリングサークル複製プライマーの組み合わせの使用が可能であり、環状第1鎖cDNA分子の多くの部位にアニールすることが可能な1種以上のランダムまたは縮重プライマーの使用が可能であり、または、そのようなプライマーの組み合わせも使用が可能である。
本開示の方法で使用されるプローブ、プライマー、およびその他のオリゴヌクレオチドの全て、またはそれらから任意に選ばれるものは、反応で存在するかも知れないエキソヌクレアーゼ活性による品質低下に対して抵抗性を持つことが可能である。これは、エキソヌクレアーゼ活性を含み、長いインキュベーション期間を通じて実行される反応においてもプローブおよびプライマーを維持可能とする利点を有する。プライマーの持続性によって、反応の全体インキュベーション時間において新たなプライミング事象が起こることが可能となるが、これが、指数関数型RCA(ERCA)の特長の一つであり、増幅DNAの収率を増すとい利点を有する。このようなヌクレアーゼ耐性プローブおよびプライマーはまた、余分な、環状化されない第1鎖cDNA分子−これはそのまま放置すれば検出プローブおよびアドレスプローブの増幅核酸に対するハイブリダイゼーションを妨げる筈であるが−の選択的破壊を可能とする。
増幅のリアルタイム検出を実行するのに有用な、蛍光変化プローブおよびプライマーとは、検出、アッセイ、または複製すべきプローブまたは核酸の形状または立体配置の変化に基づく蛍光強度または波長の変化に関わる全てのプローブおよびプライマーを指す。蛍光変化プローブおよびプライマーの例としては、分子ビーコン、Amplifluor、FRETプローブ、切断可能なFRETプローブ、TaqManプローブ、スコルピオンプライマー、三重分子ビーコンまたは三重FRETプローブを含む蛍光三重オリゴ−ただしこれらに限定されない−、蛍光水溶性接合体ポリマー、PNAプローブ、および、QPNAプローブが挙げられる。蛍光変化プローブおよびプライマーの蛍光波長または強度の変化は、一般に、エネルギー転移および/または消光を含む。蛍光変化プローブおよびプライマーは、その構造および/または機能に従って分類することが可能である。蛍光変化プローブとしては、例えば、ヘアピン消光プローブ、切断消光プローブ、切断活性化プローブ、および、蛍光活性化プローブが挙げられる。
開示の方法では、ランダムおよび/または縮重プローブおよびプライマーの使用が可能である。本明細書で用いる場合、縮重とは、1個以上の塩基位置が1個以上の塩基によって占拠されているオリゴヌクレオチド、すなわち、定義された長さを持つ複数のオリゴヌクレオチドの混合物であって、混合物の個別のメンバーの1箇所以上の位置が、その位置に入る可能性を持つ1種以上の塩基の中からランダムに選択された塩基によって占拠される混合物を指す。このようなオリゴヌクレオチドの集合体は、標準的オリゴヌクレオチド合成装置およびソフトウェアを用いることによって簡単に合成が可能である。本明細書で用いるランダムとは、塩基位置のそれぞれが、可能性の完全セットの中から、普通は、例えば、4種の塩基アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、およびチミン(T)(またはウラシル(U))に限定されるが、それらの中からランダムに選択された塩基によって占拠されるオリゴヌクレオチドを指す。例えば、ランダムオリゴヌクレオチドとは、4種のヌクレオチド、デオキシリボアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシリボシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシリボグアノシン一リン酸(dGMP)、または、デオキシリボチミジン一リン酸(dTMP)から構成される。必ずしもそれぞれの塩基位置が、可能性の完全セットからランダムに選択されていない縮重オリゴヌクレオチドは、部分的にランダムなオリゴヌクレオチドと呼ばれる。ある実施態様では、プライマーは、そのプライマーを酵素による変質に抵抗性を持たせる、その他の作用を発揮させる、または、そのプライマーに有用な性質を与えるように修飾された任意のタイプのヌクレオチド、またはヌクレオチド類縁体を含むヌクレオチドを含んでもよい。
開示の方法および組成物は、別様に指定しない限り、特定の合成法、特定の分析技術、または、特定の試薬に限定されず、その本来の姿を維持する限り変動が可能であることを理解しなければならない。また、本明細書に用いられる用語は、特定の実施態様を記載するためのみのものであって、限定的であることを意図するものではないことを理解しなければならない。
材料
開示されるものは、開示の方法および組成物のために使用される、共に使用される、その調製のために試用される、または、それらの産物である材料、組成物、および成分である。上記、およびその他の材料は本明細書に記載されるが、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示されながら、それらの化合物の各個別の、および、集合的な混合・組み合わせについて特異的な言及がはっきりと開示されていなくとも、それぞれが特異的に考察され、本明細書に記述されていることが理解される。例えば、ローリングサークルプライマーが開示され、論じられ、ローリングサークルプライマーを含めたいくつかの分子について実行可能ないくつかの修正が論じられた場合、別様に指示されない限り、ローリングサークルプライマーおよび可能な修正の各混合・組み合わせが全て特異的に考察される。従って、もしも分子A、BおよびCから成るクラスが、分子D、EおよびFから成るクラスと共に開示された場合、各組み合わせについて個別に言及していなくとも、それぞれの組み合わせは、個別に、集合的に考察されている。従って、この例では、A、BおよびC、および、D、EおよびF、および実施例の組み合わせA-Dの開示からは、各組み合わせA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-EおよびC-Fが特異的に想定され、開示されていると考えなければならない。同様に、これらのサブセットまたは組み合わせも特異的に想定され、開示されている。従って、例えば、A、BおよびC、D、EおよびFと、実施例組み合わせA-Dの開示からは、A-E、B-FおよびC-Eから成るサブグループが特異的に想定され、開示されていると考えなければならない。この考えは、開示の組成物を製造法および使用法における工程を含めた−ただしそれに限定されない−本明細書の開示の全ての局面に適用される。従って、実行可能な、さらに別の、様々の工程がある場合、それら追加の各工程は、開示の方法の実施態様から任意に選ばれる実施態様またはそれらの組み合わせによって実行可能であること、また、そのような組み合わせはそれぞれ特異的に考察され、開示されたものと考えられていることが理解される。
A. cDNAプライマー
第1鎖cDNA分子の合成のために使用されるプライマーを、本明細書ではcDNAプライマーと呼ぶ。cDNAプライマーは、RNA分子の配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。cDNAプライマーのこの部分を、cDNAプライマーのRNA相補部分と呼ぶ。cDNAプライマーはまた、プローブ相補部分を含む。一般に、cDNAプライマーは、RNA相補部分とプローブ相補部分を持たなければならない。cDNAプライマーはまた、プライマー相補部分、プライマー一致部分、切断部位、およびプロモーター部分を含んでもよい。これらの部分はそれぞれ分離していてcDNAプライマーの中で重複していなくともよいし、あるいは、互いに部分的、または完全に重複してもよい。
cDNAプライマーはセットで使用することも可能である。これは、例えば、cDNAプライマーが、特定の複数のRNA分子に対して、または数グループのRNA分子に対して特異的である場合に便利である。そのような場合、セットの中の異なるcDNAプライマーは、異なるRNA分子、および/または、異なるグループのRNA分子に対して特異的であってもよい。セットのcDNAプライマーは、増幅されるRNA分子の範囲を広げるためを含めた、任意の目的のために使用が可能である。このやり方は標的狙撃を含み、従って、より多くのRNA分子を増幅し、RNA分子の様々な部分または多数部分を標的することを含む。このやり方は、例えば、長いRNA分子を増幅するのに有用である。セットで使用される場合、セットのcDNAプライマーは、同じRNA相補配列、異なるRNA相補配列、および/または、1セットのRNA相補配列の内から選ばれる一つを持つことが可能である。従って、例えば、12個のcDNAプライマーから成る1セットは、同じRNA相補配列を有する6個のcDNAプライマー、同じ第2の、別のRNA相補配列を有する2個のcDNAプライマー、および、それぞれが、セットの中の任意の他のプライマーの、どのRNA相補配列とも異なるRNA相補配列を有する4個のcDNA配列を持つことが可能である。別の例として、12個のcDNAプライマーから成る1セットは、cDNAのそれぞれに対して別々のRNA相補配列を持つことも可能である。
セットで使用される場合、セットの中のcDNAプライマーは、同じプローブ相補配列、異なるプローブ相補配列、および/または、セットのプローブ相補配列の内の一つを持つことが可能である。従って、例えば、12個のcDNAプライマーから成るセットは、同じRNA相補配列を有する6個のcDNAプライマー、同じ第2の、別のRNA相補配列を有する2個のcDNAプライマー、および、それぞれが、セットの中の任意の他のプライマーの、どのRNA相補配列とも異なるRNA相補配列を有する4個のcDNA配列を持つことが可能である。別の例として、12個のcDNAプライマーから成る1セットは、cDNAのそれぞれに対して別々のRNA相補配列を持つことも可能である。cDNAプライマーのプローブ相補部分は、環状プローブのプライマー相補部分に対して相補的であるので、異なるプローブ相補配列を有するcDNAプライマーを持つ複数組のcDNAプライマーは、異なる環状化プローブに対して特異的となる。このようにして、セットのcDNAプライマーと一緒にどの環状化プローブが使用されるのかに応じて、様々な第1鎖cDNA分子が環状化される(または、環状化されない)。
1. RNA相補部分
cDNAプライマーのRNA相補部分は、RNA分子の配列に対して相補的である。これによって、cDNAプライマーは、RNA分子の逆転写をプライミングすることが可能になる。cDNAプライマーのRNA相補部分に対して相補的なRNA分子部分は、プライマー相補部分と呼ばれる。cDNAプライマーは、特異的RNA分子に対して特異的であってもよい(すなわち、cDNAプライマーは、主に、特定のRNA分子のみの逆転写をプライミングしてもよい)。このことは、例えば、対象となるRNA分子の特定配列に対して相補的なRNA相補部分を設計することによって実現することが可能である。別に、cDNAプライマーは、RNA分子の逆転写を広くプライミングしてもよい。このことは、例えば、ポリ(dT)、または、ランダム配列、部分的ランダム配列、および/または、1種以上のヌクレオチドと塩基ペアを形成することが可能なヌクレオチドから成るRNA相補部分を含めることによって実現が可能である。cDNAプライマーのRNA相補体は、相補的である任意のRNA分子に、例えば、(ポリ(dT)を用いた場合)全てのmRNAに、あるいは、(類型配列を用いた場合)一般に全てのmRNAにハイブリダイズする。このようにして、サンプル中の全てのRNA分子を逆転写することが可能である。mRNA増幅用RNA相補部分の有用な形態は、ポリ(dT)に続く1個、2個、または数個のランダム、または部分的ランダムヌクレオチドである。これによって、cDNAプライマーは、RNA分子の転写配列とポリ(A)配列の接合部に、またはその近傍にハイブリダイズすることが可能となる。RNA分子のある特定の配列を標的する場合、その標的配列は、RNA分子の任意の場所にあってよい。ただし、RNA分子の3′末端、またはその近傍の配列の狙撃は、RNA分子に対するより完全なcDNAをもたらす。RNA相補部分はまた、第1鎖cDNAプライマー(その多くは既知である)の設計関連原理に基づいて、そのcDNAプライマーのその他の特性・機能および開示の方法に抵触しない限りにおいて、設計することが可能である。
ある形のcDNAプライマーでは、cDNAプライマーのRNA相補部分は、ランダム配列を持ってもよいし、あるいは、1種以上のヌクレオチド(例えば、普遍的ヌクレオチドまたはイノシン)と塩基対を形成することが可能なヌクレオチドから構成されてもよい。この場合、cDNAプライマーは、任意のRNA分子または配列にハイブリダイズし、逆転写をプライミングすることが可能である。このようなcDNAプライマーを、類型cDNAプライマーと呼んでもよい。ランダム配列である、1種を越えるヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチド、またはその組み合わせから構成される配列は類型配列と呼んでもよい。部分的にランダムな、または、縮重した配列も、cDNAプライマーのRNA相補部分に使用される。これによって、一般に、複数のRNA分子の転写をプライミングするが、必ずしも全てのRNA分子の転写をプライミングするわけではないcDNAプライマーが得られる。
ある形のcDNAプライマーでは、cDNAプライマーのRNA相補部分はポリ(dT)を含んでもよい。この場合、cDNAプライマーは、ポリアデニル化RNA分子、例えば、mRNAに対してハイブリダイズし、その逆転写をプライミングすることが可能である。このようなcDNAプライマーは、ポリ(A)cDNAプライマーと呼んでもよい。RNAサンプルにおけるポリアデニル化RNA分子のみから第1鎖cDNA分子を生産することは有用である。なぜならこのようなRNA分子は遺伝子発現と発現プロファイリングに関連するからである。特異的配列は、RNA相補部分にポリ(dT)を含むcDNAプライマー(すなわち、ポリ(A)cDNAプライマー)の3′末端に使用することが可能である。こうすることによって、あるポリアデニル化RNA分子に対して特異的で、RNA分子の末端から転写をプライミングするcDNAプライマーが得られる(RNA分子の、完全長cDNA配列を得ることが可能になる)。特異配列と、ポリ(dT)配列の組み合わせによって、特異的配列とポリ(A)尾部の接合部での転写のプライミングが確保される。さらに特異的配列は、ポリ(A)接合部の配列を有するRNA分子のみのプラミングを指定する。
RNA相補部分にポリ(dT)を含むcDNAプライマーの3′末端にランダムな配列(または、1種を越えるヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチド)を用いることによって、ポリアデニル化RNA分子一般の転写に類似の効果を実現することが可能となる。cDNAプライマーは、任意のRNA分子の末端からの転写をプライミングする(そのRNA分子の完全長cDNA配列を得ることができる)。類型配列とポリ(dT)とを組み合わせることによって、特異的RNA配列とポリ(A)尾部間での転写の促進が確保される。類型配列によって、プライマーがどのポリ(A)接合配列にもハイブリダイズすることが可能となるので、このcDNAを用いて、全体としてポリ(A)接合部から(従って完全長と予想される)ポリアデニル化RNAの第1鎖cDNA分子を生産することが可能である。このようなcDNAプライマーは、接合部特異的ポリ(A)cDNAプライマーと呼ばれる。
cDNAプライマーのRNA相補部分が特異的配列を持っている場合、そのcDNAプライマーは、特異的RNA分子および配列に対してハイブリダイズし、その逆転写をプライミングすることが可能である。このようなcDNAプライマーは特異的cDNAプライマーと呼ばれる。特異的cDNAプライマーは、特異的RNA分子から第1鎖cDNA分子を生産するのに有用である。対象となる特定セットのRNA分子から第1鎖cDNA分子を生産するには、複数セットの特異的cDNAプライマーを一緒に用いるのも有用である。
接合部特異的ポリ(A)cDNAプライマーは、ポリ(dT)配列と、3′末端において、任意の配列または各種配列に対して相補的な類型配列を含む。ある形態では、類型配列は、任意の配列にハイブリダイズすることが可能なランダム、またはその他の配列である。接合部特異的ポリ(A)cDNAプライマーの有用な形態は、ポリ(dT)配列直近にチミジンヌクレオチドを排除する部分的にランダムな配列を含む。これによって、cDNAは依然として接合部特異的であり続けることができる。例えば、完全にランダムな類型配列NNは、配列TT(TA、TCおよびTGと同様に)を含む。その結果、配列(TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTNN(配列番号3のヌクレオチド11-32)を有するRNA相補部分は、TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT(配列番号6)なるRNA相補部分を含むことも可能である。従って、このRNA相補体を含む混合体内のcDNAプライマーはポリ(A)cDNAプライマーとなり、接合部特異的ではなくなる。このために、接合部特異的ポリ(A)cDNAプライマー用の、特に有用な形の類型配列は、ポリ(dT)配列に直近のチミジンヌクレオチドを排除する。RNA相補部分におけるこのような部分的にランダムな類型配列としては、例えば、V, VN, VNN, VNNN, VNNNN, VNNNNN, VNNNNNN等;VV, VVN, VVNN, VVNNN, VVNNNN, VVNNNNN等;VVV, VVVN, VVVNN, VVVNNN, VVVNNNN等;VVVV, VVVVN, VVVVNN, VVVVNNN等;VVVVV, VVVVVN, VVVVVNN等であってもよい。Vは、A、CまたはGヌクレオチド(すなわちTではない)を指す。この原理に従う他の類型配列も可能である。しかしながら、多くの場合、混合体にいくつかの接合部非特異的cDNAプライマー含むことによる作用は、第1鎖cDNA分子の生産にとって有害ではない。従って、完全ランダム類型配列も、接合部特異的ポリ(A)cDNAプライマーのRNA相補部分の中に使用が可能である。
cDNAプライマーのRNA相補部分は、使用条件の下においてプライマーとRNA分子の間の特異的で、安定なハイブリダイゼーションを支持する限り、任意の長さのものであってよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は10から20ヌクレオチド長である。
2. プローブ相補部分
cDNAプライマーのプローブ相補部分は、環状化プローブの配列にたいして相補的である。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、このプローブ相補部分は、第1鎖cDNA分子に取り込まれる。プローブ相補部分は、環状化プローブが、第1鎖cDNAにハイブリダイズするのを可能とし、その環状化を仲介する。このために、プローブ相補部分は、cDNAプライマーの5′末端にいなければならない。cDNAプライマーのプローブ相補部分に対して相補的な環状化プローブ部分を、環状化プローブのプライマー相補部分と呼ぶ。プローブ相補部分は、環状化プローブのプライマー相補部分にハイブリダイズさえすればよいのであるから、特定の配列要求というものは無い。従って、プローブ相補部分と、その認識プライマー相補部分とは、両者が互いに相補的である限り、任意の配列を持つことが可能である。プローブ相補部分の配列を、プローブ相補配列と呼ぶ。さらに具体的に言うと、cDNAプライマーのプローブ相補部分の配列は、cDNAプライマーのプローブ相補配列と呼ぶことが可能である。
cDNAプライマーのプローブ相補部分は、使用条件の下においてプライマーとその認識環状化プローブの間の特異的で、安定なハイブリダイゼーションを支持する限り、任意の長さのものであってよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は10から20ヌクレオチド長である。
3. プライマー相補部分
cDNAプライマーのプライマー相補部分は、ローリングサークル複製プライマーの配列(または、+鎖合成に用いられる他のプライマー)に対して相補的である。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、プライマー相補部分は、第1鎖cDNA分子に取り込まれる。プライマー相補部分は、ローリングサークル複製プライマーが、第1鎖cDNA分子にハイブリダイズすることを可能とし、第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製をプライミングする。cDNAプライマーのローリングサークルプライマーに対して相補体を設置することによって、単一ローリングサークル複製プライマーが、そのcDNAプライマーを取り込んだ全ての環状第1鎖cDNA分子(単一cDNAプライマーを用いた場合は、環状第1鎖cDNAの全てである可能性がある)のローリングサークル複製を仲介することが可能になる。このような複製は、第1鎖cDNAのcDNA配列の配列と独立する(従って、起源のRNA分子とも独立する)。プライマー相補部分は、cDNAのどこにあってもよく、また、cDNAプライマーの他のどの成分または配列と重複してもよいが、プライマー相補部分は、プライマー一致部分とは全く重複しないのが有利である。これは、ローリングサークル複製プライマーと、二次的DNA鎖変位プライマーとの間の相互作用の機会を低減させるからである。cDNAプライマーのプライマー相補部分に対して相補的な、ローリングサークル複製プライマー(または、他のプライマー)の部分は、ローリングサークル複製プライマー(または、他のプライマー)の相補性プライマーと呼ばれる。プライマー相補性部分は、ローリングサークル複製プライマーの相補部分に対してハイブリダイズさえすればよいのであるから、特別な配列上の要求は無い。従って、cDNAプライマーのプライマー相補部分、およびその認識相補部分(ローリングサークル複製プライマーにおける)は、互いに相補的である限り、どのような所望の配列を有することも可能である。プライマー相補部分の配列はプライマー相補配列と呼ぶことが可能である。さらに具体的に言うと、cDNAプライマーのプライマー相補部分の配列は、cDNAプライマーのプライマー相補配列と呼ぶことが可能である。
cDNAプライマーのプライマー相補部分は、使用条件の下においてプライマーとその認識ローリングサークル複製プライマーの相補部分との間の特異的で、安定なハイブリダイゼーションを支持する限り、任意の長さのものであってよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は10から20ヌクレオチド長である。
4. プライマー一致部分
cDNAプライマーのプライマー一致部分は、二次DNA鎖変位プライマー(または、−鎖合成に用いられる他のプライマー)の配列に一致する。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、プライマー一致部分も第1鎖cDNA分子に取り込まれる。第1鎖cDNAが複製される場合、プライマー一致部分の相補体がタンデム配列DNA(または、その他の増幅産物)に取り込まれる。このプライマー相補配列は、二次的DNA鎖変位プライマーがタンデム配列DNAにハイブリダイズし、かつ、その複製をプライミングすることを可能とする。プライマー一致部分はcDNAのどこにあってもよく、また、cDNAプライマーの、他のどの成分または配列と重複してもよいが、プライマー一致部分がどのプライマー相補部分とも重複しないのが有利である。これは、ローリングサークル複製プライマーと、二次的DNA鎖変位プライマーとの間の相互作用の機会を低減させるからである。
cDNAプライマーのプライマー一致部分にマッチする二次DNA鎖変位プライマー(または他のプライマー)は、二次DNA変位プライマー(または他のプライマー)の一致部分と呼ばれる。プライマー一致部分は、二次DNA鎖プライマーのプライマー相補部分に対してハイブリダイズさえすればよいのであるから、特別な配列上の要求は無い。従って、cDNAプライマーのプライマー一致部分、およびその認識一致部分(二次DNA鎖変位プライマーにおける)は、互いに相補的である限り、どのような所望の配列を有することも可能である。プライマー一致部分の配列はプライマー一致配列と呼ばれる。さらに具体的に言うと、cDNAプライマーのプライマー一致部分の配列は、cDNAプライマーのプライマー一致配列と呼ぶことが可能である。
cDNAプライマーのプライマー一致部分は、使用条件の下においてプライマー一致部分とその認識二次DNA鎖変位プライマーの相補部分との間の特異的で、安定なハイブリダイゼーションを支持する限り、任意の長さのものであってよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は10から20ヌクレオチド長である。
5. 切断部位
切断部位は、cDNAプライマーに含めることが可能である。第1鎖cDNA分子におけるcDNAプライマーの取り込みは、cDNAプライマーにおける切断部位をも第1鎖cDNA分子に取り込ませる。次に、切断部位は、第1鎖cDNA分子から生産されるタンデム配列DNA(および、その他の増幅産物)に出現する。従って、切断部位は、タンデム配列DNAを切断するのに有用であり、これを用いてタンデム配列DNAを単位長に切断することが可能である。
切断部位は、切断可能な配列である。切断部位は、例えば、制限エンドヌクレアーゼが核酸分子を切断することが可能な配列であってもよい。切断部位は配列特異的である。これは、あるヌクレオチド配列のみが認識され切断されることを意味する。切断を指定する配列は認識部位と呼ばれる。核酸分子が切断される実際の点は、認識部位と重複する、またはしない場合がある。本明細書で用いる「切断部位」という用語は、切断が実際に起こる場所と、認識部位の両方を含む。異なる制限エンドヌクレアーゼは、一般に、異なる認識部位を有する。
cDNAプライマーおよび、本開示の方法で使用されるその他の組成物および成分はいくつかの切断部位であって、その多くは、本開示の方法において何ら機能的意義を持たない切断部位を含んでもよい。すなわち、任意の核酸が、その配列のために切断部位を含んでもよく、その切断部位は開示の方法において使用されなくともよい。一般に、本明細書におけるある切断部位、または複数の切断部位への言及は、開示の方法にとって重要な特定の切断部位を指定することが意図される。従って、「単一切断部位」を有するとされるcDNAプライマーは、言及された切断部位を持つが、また同時に、他の、機能的に重要でない、言及されない切断部位(すなわち、方法で使用されない切断部位)を持っていてもよい。本開示の方法で使用されるcDNAプライマー、またはその他の組成物または成分に存在するかも知れない切断部位と、機能的な意味を持つ切断部位との区別は、機能的意味を持つ切断部位を、対象となる切断部位と言及することによって強調される。従って、「対象となる単一切断部位」を有するとされるcDNAプライマーは、言及された切断部位を持つが、さらにまた、機能的に重要でない、別の言及されない切断部位を持つ可能性がある。
第1鎖cDNA分子の増幅産物を完全長タンデム反復単位に切断するのは好都合である。このためには、核酸配列においてごく稀に(平均して)しか起こらない認識配列を持つ切断部位を使用するのが好都合である。これによって、認識配列が、第1鎖cDNA分子のcDNAに出現する確率は減るから、cDNAプライマー配列ではなく、cDNA配列が切断される確率も減る。一般に、より長い認識配列は、より稀にしか出現しない。例えば、8個ヌクレオチド認識配列は、平均して65,536個のヌクレオチド毎に僅かに1回しか出現しない。7個のヌクレオチド認識配列は、平均して16,384個のヌクレオチド毎に僅かに1回しか出現しない。この間隔は、典型的な(またはさらに長い)転写物の長さよりもはるかに長い。8個のヌクレオチド認識配列を有する制限エンドヌクレアーゼとしては、Not I, Asc I, AsiS I, Fse I, Pac I, Pme I, Sbf I, Sfi I, およびSwa Iが挙げられる。
6. プロモーター部分
プロモーター部分は、RNAポリメラーゼプロモーターの配列に一致する。プロモーター部分は、転写物が、第1鎖cDNA分子、またはTS-DNA(または、その他の増幅産物)から生成されるように、cDNAプライマーに含めることが可能である。任意のプロモーターの配列の使用が可能であるが、複雑な要求のないRNAポリメラーゼ用の簡単なプロモーターが好ましい。さらに、プロモーターは、標的核酸配列を含むサンプルに存在する可能性のある全てのRNAポリメラーゼによって認識されないことが好ましい。有用なプロモーターとしては、例えば、ファージプロモーター、細菌プロモーター、ファージRNAポリメラーゼ用プロモーター、および、細菌RNAポリメラーゼ用プロモーターが挙げられる。例えば、プロモーター部分は、T3 RNAポリメラーゼプロモーター、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、または、SP6 RNAポリメラーゼプロモーターの配列と一致してもよい。T3、T7およびSP6 RNAポリメラーゼは、特定のプロモーター配列に対して極めて特異的である。このような特質を持つ、RNAポリメラーゼに対して特異的なものであれば、他のプロモーター配列でも有用である。プロモーター配列は、一般に、特異的RNAポリメラーゼによって認識されるものであるから、cDNAプライマーのプロモーター部分に対する認識ポリメラーゼを転写増幅に使用すべきである。数多くのプロモーター配列が既知であり、適当なRNAポリメラーゼに対して特異的なプロモーターであればどれでも使用が可能である。プロモーター部分は、cDNAプライマーのどこに配置されてもよく、かつ、どの方向に置かれてもよい。
cDNAプライマーはまた、検出タグ部分および/またはアドレスタグ部分を持つことも可能である。検出タグ部分は、検出プローブの相補部分の配列に一致する配列を有し、検出プローブをタンデム配列DNAに関連付けるのに使用が可能である。検出タグ部分は、ローリングサークル複製時に増幅されると、検出プローブの相補部分に対して相補的な検出タグ配列を有するTS-DNAを生成する。しかしながら、cDNA配列に対して特異的な検出プローブを使用する方が、特定のRNA配列を検出するためにはより有用である。アドレスタグ部分は、アドレスプローブの相補部分の配列に一致する配列を持ち、タンデム配列DNAを、アドレスプローブを持つ固相基質と関連付けるために使用することが可能である。アドレスタグ部分は、ローリングサークル複製時に増幅されると、アドレスプローブの相補部分に対して相補的なアドレスタグ配列を有するTS-DNAを生成する。
設計上は、相補配列同士は一般に完全に相補的であるが(すなわち、全てのヌクレオチドが塩基対を形成することが可能である)、必要な機能を実現するためには完全相補性は要求されない。例えば、プローブ相補部分は、環状化プローブに環状化を仲介させるためには、環状化プローブに機能的にハイブリダイズしさえすればよい。このような機能的ハイブリダイゼーションは、完全で、正確な相補性または塩基対合を要求しない。従って、文脈から明瞭に逆と指示されない限り、本明細書で相補的と言われる配列は、ただ機能的に相補的であればよい(すなわち、関連オリゴヌクレオチドおよび/または核酸分子が、開示の方法で要求されるやり方で機能するのに十分なほどの塩基対合を実現する)。
同様に、一致配列同士は一般には完全に一致するけれども(すなわち、全てのヌクレオチドが同じか等価である)、要求される機能を実現するのに完全な一致は要求されない。例えば、プライマー一致部分は、プライマーに複製をプライミングさせるためには、関連プライマーに機能的にハイブリダイズしさえすればよい。このような機能的ハイブリダイゼーションは、完全で、正確な相補性または塩基対合を要求しない。従って、文脈から明瞭に逆と指示されない限り、本明細書で一致的と言われる配列は、他の配列に対して機能的に相補的な相補体を持っていさえすればよい。
cDNAプライマーは、エキソヌクレアーゼ消化に対する耐性を付与する修飾型ヌクレオチドを含んでもよい。例えば、プライマーは、プライマーの5′末端のヌクレオチド間において3から4個のフォスフォロチオエート架橋結合を有することも可能である。cDNAプライマーの特定部分に一致しない、cDNAプライマーのこれらのセグメントは、任意に選択した配列であることも可能である。このことは必要ではないが、もしもcDNAプライマーが自己相補的な配列を全く含まない場合があると好都合である。ミスマッチまたはギャップ無しとして、6ヌクレオチド長を越える相補性領域が無い場合、この条件は満たされると考えられる。タンデム反復転写物を生産するためには(ただ1種類のタンデム反復単位から成る転写物)、第1鎖cDNA分子に転写停止配列を含めると、必要ではないが、好都合である。もしも含める場合は、転写停止配列は、cDNAプライマーの任意のプロモーター部分の5′末端になければならない。タンデム反復転写物を生産するためには(複数種類のタンデム反復ユニットの転写物)、プロモーター部分を含むcDNAプライマーが転写ターミネーターに類似の配列、例えば、連続8個以上のチミジンヌクレオチドを含まないと好都合である。
cDNAプライマーは、cDNAプライマーのプローブ相補部分が環状化プローブのプライマー相補部分に対して相補的である場合、環状化プローブに対して特異的である、または一致する。cDNAプライマーは、cDNAプライマーのプローブ相補部分が環状化プローブに対して実質的に相補的でない場合、環状化プローブに対して特異的でない、または一致しない。プローブ相補部分は、cDNAプライマーのプローブ相補部分に対して完全に相補的な配列について同じ条件下で得られた融解点よりも10oC以上低い融解点を持つ場合、そのプローブ相補部分は、別の配列に対して実質的に相補的ではない。
cDNAプライマーは、環状化プローブセットに対し、そのcDNAプライマーのプローブ相補部分が、セットの環状化プローブのプライマー相補部分に対して相補的である場合、そのセットに対して特異的である、または、一致する。cDNAプライマーは、環状化プローブセットに対し、そのcDNAプライマーのプローブ相補部分が、セットの環状化プローブのプライマー相補部分に対して実質的に相補的でない場合、そのセットに対して特異的ではない、または、一致しない。
cDNAプライマーの例を、図2A、2B、2C、2Dおよび2Eに示す。cDNAプライマー(20)は、RNA相補部分(1)およびプローブ相補部分(3)を持つ。要すれば随意に、cDNAプライマーは、プライマー相補部分(2)、プライマー一致部分(4)、切断部位(5)、および、プロモーター部分(12)を持つことが可能である。cDNAプライマーのRNA相補部分(1)は、RNA分子の配列に対して相補的である。cDNAプライマーのプローブ相補部分(3)は、環状化プローブの配列に対して相補的である。具体的に言うと、cDNAプライマーのプローブ相補部分(3)は、環状化プローブのプライマー相補部分(6)に対して相補的である。この相補性は、図2では、cDNAプライマー(20)と環状化プローブ(30)との間の点々で示される。cDNAプライマーのプローブ相補部分(3)は、一般に、cDNAプライマーの5′末端に向かって延びていなければならない。cDNAプライマーのRNA相補部分(1)は、一般に、cDNAプライマーの3′末端になければならない。
B. 環状化プローブ
環状化プローブは、第1鎖cDNA分子を環状化するための特別のプローブである。環状化プローブは、cDNAプライマーの配列に対して相補的な配列を持つオリゴヌクレオチドである。環状化プローブのこの部分は、環状化プローブのプライマー相補部分と呼ばれる。環状化プローブはまた、第1鎖cDNA分子のcDNA配列の配列に対して相補的なcDNA相補部分も持つ。一般に、環状化プローブは、プライマー相補部分と、cDNA相補部分とを持たなければならない。環状化プローブはまた、プライマー一致部分、第2プライマー相補部分、切断部位、および、プロモーター部分を含むことも可能である。これらの部分は、cDNAプライマーにおいて離れ離れで、重複しなくともよい、あるいは、部分的に重複しても、または完全に重複してもよい。これに対する例外は、プライマー相補部分とcDNA相補部分であって、これらは一般に重複してはならない。
環状化プローブのプライマー相補部分によって、環状化プローブは、第1鎖cDNA分子に取り込まれたcDNAプライマーにハイブリダイズすることが可能になる。環状化プローブのプライマー相補部分に対して相補的な、cDNAプライマーの部分を、プローブ相補部分と呼ぶ。環状化プローブは、第1鎖cDNA分子を広く環状化するように設計することが可能である。このことは、例えば、ランダムな配列、部分的にランダムな配列、および/または、1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチドから成るcDNA相補部分を含めることによって実現が可能である。環状化プローブのcDNA相補体は、それが相補的である任意のcDNA、例えば、第1鎖cDNA分子の3′末端配列にハイブリダイズする。このようにして、第1鎖cDNA分子の全てを環状化することが可能である。
環状化プローブはセットで使用することも可能である。これは、例えば、環状化プローブが、特定のcDNAプライマー、または特定グループのcDNAプライマーに対して特異的である場合に有用である。そのような場合、セットの中の異なる環状化プローブは、異なるcDNAプライマー、および/または、異なるグループのcDNAプライマーに対して特異的であってもよい。環状化プローブのセットは、任意の目的のために、例えば、環状化のために異なる第1鎖cDNA分子を標的するために使用されてもよい。例えば、環状化プローブのプライマー相補部分に対して相補的なプローブ相補部分を有する第1鎖cDNA分子のみが環状化される。同様に、環状化プローブのcDNA相補部分に対して相補的な3′末端配列を持つ第1鎖cDNAのみが環状化される。これは、例えば、対象となるRNA分子の既知の5′末端配列に一致するcDNA相補配列を有する環状化プローブを用いることによって、特定の完全長cDNA分子を標的するのに使用することが可能である。cDNA相補配列一致性内部RNA配列の使用も、同様に、部分的に特異的なcDNA分子を標的するのに使用が可能である。
セットで用いる場合、セットの中の環状化プローブは、同じcDNA相補配列、異なるcDNA相補配列、および/または、セットのcDNA相補配列の中から任意に選ばれる一つを持つことが可能である。従って、例えば、12個の環状化プローブから成る1セットは、同じcDNA相補配列を持つ6個の環状化プローブ、同じ第2の、異なるcDNA相補配列を持つ2個の環状化プローブ、および、それぞれが、セットの、他の、どの環状化プローブのcDNA相補配列のいずれとも異なるcDNA相補配列を持つ4個の環状化プローブを有することが可能である。また別の例として、12個の環状化プローブから成る1セットは、環状化プローブのそれぞれに対して異なるcDNA相補配列を持つことが可能である。
セットで用いる場合、セットの環状化プローブは、同じプライマー相補配列、異なるプライマー相補配列、および/または、セットのcDNA相補配列の中から任意に選ばれる一つを持つことが可能である。従って、例えば、12個の環状化プローブから成る1セットは、同じcDNA相補配列を持つ6個の環状化プローブ、同じ第2の、異なるcDNA相補配列を持つ2個の環状化プローブ、および、それぞれが、セットの、他の、どの環状化プローブのプライマー相補配列のいずれとも異なるプライマー相補配列を持つ4個の環状化プローブを有することが可能である。また別の例として、12個の環状化プローブから成る1セットは、環状化プローブのそれぞれに対して異なるプライマー相補配列を持つことが可能である。環状化プローブのプライマー相補部分は、cDNAプライマーのプローブ相補部分に対して相補的であるから、異なるプライマー相補配列を持つ複数の環状化プローブから成るセットの環状化プローブは、異なるcDNAプライマーに対して特異的であることが可能である。このようにして、セットの環状化プローブと共にどのcDNAプライマーが用いられるかに応じて、異なる第1鎖cDNA分子を環状化させる(または、させない)ことが可能である。
1. プライマー相補部分
環状化プローブのプライマー相補部分は、cDNAプライマーの配列に対して相補的である。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、cDNAプライマーのプローブ相補部分も第1鎖cDNA分子に取り込まれる。このプライマー相補部分によって、環状化プローブは、第1鎖cDNA分子にハイブリダイズすることが可能となり、その環状化を仲介することが可能になる。このためには、プライマー相補部分は環状化プローブのcDNA相補部分に隣接していなければならない。環状化プローブのプライマー相補部分に対して相補的な、cDNAプライマーの部分は、cDNAプライマーのプローブ相補部分と呼ばれる。プライマー相補部分は、cDNAプライマーのプローブ相補部分に対してハイブリダイズさえすればよいのであるから、特定の配列要求はない。従って、プライマー相補部分とその認識プローブ相補部分とは、互いに相補的である限り、任意の配列を持つことが可能である。プライマー相補部分の配列は、プライマー相補配列と呼ぶことが可能である。さらに具体的に言うと、環状化プローブのプライマー相補部分の配列は、環状化プローブのプライマー相補配列と呼ぶことが可能である。
環状化プローブのプライマー相補部分は、使用される条件下で、プローブと、その認識cDNAプライマーのプローブ相補部分の間の、特異的で、安定なハイブダイゼーションを支持する限り、どの長さを持っていてもよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は10から20ヌクレオチド長である。
2. cDNA相補部分
環状化プローブのcDNA相補部分は、第1鎖cDNA分子の配列に対して相補的である。このcDNA相補部分によって環状化プローブは、第1鎖cDNA分子にハイブリダイズし、その環状化を仲介することが可能になる。このためには、cDNA相補部分は、環状化プローブのプライマー相補部分に隣接していなければならない。環状化が起こるように、環状化プローブは、第1鎖cDNA分子の両端を接近させる。このために、環状化プローブのcDNA相補部分に対する、第1鎖cDNA分子のcDNA配列のハイブリダイゼーションは3′末端でなければならない。一般に第1鎖cDNA分子を環状化するため(すなわち、その起源や配列によらず、任意の第1鎖cDNA分子を環状化することができるため)、cDNA相補部分は、ランダム配列、部分的ランダム配列、および/または、1個以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチドを有することが可能である。このようなcDNA相補部分の類型的な性質によって、その部分は、第1鎖cDNA分子の3′末端配列の多く、または任意のものにハイブリダイズすることが可能となる。このようにして、環状化プローブは、RNAサンプルのRNA分子の増幅に対して一般的であることが可能である。cDNA相補部分の配列は、cDNA相補配列と呼ぶことが可能である。さらに具体的に言うと、環状化プローブのcDNA相補部分の配列は、環状化プローブのcDNA相補配列と呼ぶことも可能である。
環状化プローブのcDNA相補部分は、どの第1鎖cDNA鎖を環状化するかを決める。ある形の環状化プローブでは、cDNA相補部分は、ランダム配列を持ってもよいし、あるいは、1種以上のヌクレオチド(例えば、普遍的ヌクレオチドまたはイノシン)と塩基対を形成することが可能なヌクレオチドから構成されてもよい。この場合、環状化プローブは、任意の第1鎖cDNA分子にハイブリダイズし、環状化を仲介することが可能である。このような環状化プローブは、類型的環状化プローブと呼んでもよい。部分的にランダムな、または、縮重した配列も、環状化プローブのcDNA相補部分に使用することが可能である。これによって、一般に、複数の第1鎖cDNA分子の環状化は仲介するが、必ずしも全ての第1鎖cDNA分子の環状化を仲介するわけではない環状化プローブが得られる。この作用を用いて、環状化プローブが環状化を仲介可能とする第1鎖cDNA分子を限定することも可能である。
ある形の環状化プローブでは、cDNA相補部分は、特異的配列を持つことも可能である。この場合、環状化プローブは、特定の、第1鎖cDNA分子に対してハイブリダイズし、その環状化を仲介することが可能である。このような環状化プローブは、特異的環状化プローブと呼ぶことが可能である。特異的環状化プローブは、特定の第1鎖cDNA分子、または、特定の形の第1鎖cDNA分子を環状化するのに有用である。これは、例えば、特定のRNA分子の、完全長第1鎖cDNA分子の、または、特定の3′末端配列を持つ第1鎖cDNA分子の環状化を優先的に行うのに有利である。対象となる、ある特定セットの直線的第1鎖cDNA分子から環状第1鎖cDNA分子を生産するためには、特定の環状化プローブセットを用いるのが有利である。
環状化プローブのcDNA相補部分は、使用される条件下で、プローブと、そのcDNA配列の間の、特異的で、安定なハイブダイゼーションを支持する限り、どの長さを持っていてもよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は10から20ヌクレオチド長である。
3. 第2プライマー相補部分
環状化プローブの第2プライマー相補部分は、二次DNA鎖変位プライマー(または、陰性鎖合成)の配列に対して相補的である。環状化プローブの第2プライマー相補部分は、環状化プローブのプライマー相補部分の一部である(すなわち、重複する)。このようにして、第2プライマー相補部分は、cDNAプライマーのプライマー一致部分に対して相補的となる。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、プライマー一致部分も第1鎖cDNA分子に取り込まれる。第1鎖cDNAが複製されると、cDNAプライマーのプライマー一致部分に対する相補体が複製鎖に現れる。この相補体そのものは、二次DNA鎖変位プライマーに対して相補的である。このプライマー相補配列によって、二次DNA鎖変位プライマーは、タンデム配列DNAにハイブリダイズし、その複製をプライミングすることが可能になる。二次DNA鎖変位プライマーに対する相補体が、タンデム反復DNAの各反復体に現れる。第2プライマー相補部位は、環状化プローブの任意の場所にあってもよく、また、環状化プローブの、任意の、他の成分または配列と重複することが可能であるが、このプライマー相補部分は、プライマー一致部分とは全く重複しないのが有利である。環状化プローブの第2プライマー相補部分に対して相補的な、二次DNA鎖変位プライマー(または、他のプライマー)の部分は、二次DNA鎖変位プライマー(または、他のプライマー)のプライマー相補部分と呼ばれる。このプライマー相補部分は、二次DNA鎖変位プライマーのプライマー相補部分にハイブリダイズさえすればよいのであるから、特定の配列要求はない。従って、環状化プローブの第2プライマー相補部分とその認識プローブ相補部分(二次DNA鎖変位プライマーにおける)とは、互いに相補的である限り、任意の配列を持つことが可能である。第2プライマー相補部分の配列は、第2プライマー相補配列と呼ぶことが可能である。さらに具体的に言うと、環状化プローブの第2プライマー相補部分の配列は、環状化プローブの第2プライマー相補配列と呼ぶことが可能である。
環状化プローブの第2プライマー相補部分は、使用される条件下で、プローブと、その認識二次DNA鎖変位プライマーの間の、特異的で、安定なハイブダイゼーションを支持する限り、どの長さを持っていてもよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は10から20ヌクレオチド長である。
4. プライマー一致部分
環状化プローブのプライマー一致部分は、ローリングサークル複製プライマー(または、陽性鎖の合成に使用される他のプライマー)の配列に一致する。環状化プローブのプライマー一致部位は、環状化プローブのプライマー相補部分の一部(すなわち、重複部)である。このようにして、プライマー一致部分は、cDNAプライマーのプライマー相補部分に対して相補的である。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、プライマー相補部分も第1鎖cDNA分子に取り込まれる。このプライマー相補配列によって、ローリングサークル複製プライマーは、第1鎖cDNA分子にハイブリダイズし、その複製をプライミングすることが可能となる。このプライマー一致部分は、環状化プローブの任意の場所にあってもよく、また、環状化プローブの、任意の、他の成分または配列と重複することが可能である。ローリングサークル複製プライマー(または、他のプライマー)の部分であって、環状化プローブのプライマー一致部分に対して相補的な部分は、環状化プライマー(または、その他のプライマー)の相補部分と呼ばれる。このプライマー一致部分は、ローリングサークル複製プライマーの相補部分対して相補的でありさえすればよいのであるから、特定の配列要求はない。従って、環状化プローブのプライマー一致部分とその認識一致部分(ローリングサークル複製プライマーにおける)とは、互いに一致的である限り、任意の配列を持つことが可能である。プライマー一致部分の配列は、プライマー一致配列と呼ぶことが可能である。さらに具体的に言うと、環状化プローブのプライマー一致部分の配列は、環状化プローブのプライマー一致配列と呼ぶことが可能である。
環状化プローブのプライマー一致部分は、使用される条件下で、プローブと、その認識ローリングサークル複製プライマーの間の、特異的で、安定なハイブダイゼーションを支持する限り、どの長さを持っていてもよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は10から20ヌクレオチド長である。
5. 切断部位
環状化プローブには切断部位を含めることが可能である。環状プローブにおける切断部位は、一般に、環状プローブのプライマー相補部分の一部(すなわち、重複部分)である。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、cDNAプライマーの切断部位も(および、環状化プローブの対応切断部位も)第1鎖cDNA分子に取り込まれる。切断部位は、第1鎖cDNA分子から生成されるタンデム配列DNA(および、その他の増幅産物)に現れる。従って、切断部位は、タンデム配列DNAを切断するのに有用であり、タンデム配列DNAを、単位長に切断するのに使用される。
6. プロモーター部分
プロモーター部分は、RNAポリメラーゼプロモーターの配列に一致する。環状化プローブのプロモーター部分は一般に、環状化プローブのプライマー相補部分の一部(すなわち、重複部分)である。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、cDNAプライマーのプロモーター部分も(および、環状化プローブの対応プロモーター部分も)第1鎖cDNA分子に取り込まれる。プロモーターは、第1鎖cDNA分子から生成されるタンデム配列DNA(および、その他の増幅産物)に現れる。
プロモーター部分は、転写物が、得られた第1鎖cDNA分子、またはTS-DNA(または、その他の増幅産物)から生成されるように、環状化プローブの中に含まれる。任意のプロモーター配列の使用が可能であるが、複雑な要求の無いRNAポリメラーゼ用の単純なプロモーターが好ましい。また、プロモーターは、標的核酸配列を含むサンプル中に存在する可能性のあるRNAポリメラーゼによっては全く認識されないものであることが好ましい。好適なプロモーターとしては、例えば、ファージプロモーター、細菌プロモーター、ファージRNAポリメラーゼ用プロモーター、および、細菌RNAポリメラーゼ用プロモーターが挙げられる。例えば、プロモーター部分は、T3 RNAポリメラーゼプロモーター、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、または、SP6 RNAポリメラーゼプロモーターの配列と一致してもよい。T3、T7およびSP6 RNAポリメラーゼは、特定のプロモーター配列に対して極めて特異的である。このような特質を持つ、RNAポリメラーゼに対して特異的なものであれば、他のプロモーター配列でも有用である。プロモーター配列は、一般に、特異的RNAポリメラーゼによって認識されるものであるから、cDNAプライマーのプロモーター部分に対する認識ポリメラーゼを転写増幅に使用すべきである。数多くのプロモーター配列が既知であり、適当なRNAポリメラーゼに対して特異的なプロモーターであればどれでも使用が可能である。プロモーター部分は、環状化プローブのどこに配置されてもよく、かつ、どの方向に置かれてもよい。
環状化プローブはまた、検出タグ部分および/またはアドレスタグ部分を持つことも可能である。環状化プローブの検出タグ部分およびアドレスタグ部分は、一般に、環状化プローブのプライマー相補部分の一部(すなわち、重複部分)である。cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれると、cDNAプライマーのアドレスタグ部分も(および、環状化プローブの対応する検出タグ部分とアドレスタグ部分も)第1鎖cDNA分子に取り込まれる。検出タグ部分およびアドレスタグ部分は、第1鎖cDNA分子から生成される二次タンデム配列DNA(および、その他の増幅産物)に現れる。検出タグ部分は、検出プローブの相補部分の配列に一致する配列を持ち、検出プローブをタンデム配列DNAに関連付けるのに使用することが可能である。検出タグ部分は、ローリングサークル複製時に増幅されると、検出プローブの相補部分に対して相補的な検出タグ配列を有するTS-DNAを生成する。しかしながら、cDNA配列に対して特異的な検出プローブを用いる方が、特異的なRNA配列の検出にはもっと有用であろう。アドレスタグ部分は、アドレスプローブの相補部分の配列に一致する配列を持ち、タンデム配列DNAを、アドレスプローブを有する固相基板に関連付けるのに使用することが可能である。アドレスタグ部分は、ローリングサークル複製時に増幅されると、アドレスプローブの相補部分に対して相補的なアドレスタグ配列を有するTS-DNAを生成する。
環状化プローブはまた、エキソヌクレアーゼ消化に対する耐性を付与する修飾型ヌクレオチドを含んでもよい。例えば、環状化プローブは、プローブの5′末端のヌクレオチド同士の間において3から4個のフォスフォロチオエート架橋結合を有することも可能である。環状化プローブの特定部分に一致しない、環状化プローブのこれらのセグメントは、任意に選択した配列であることも可能である。このことは必要ではないが、もしも環状化プローブが自己相補的な配列を全く含まない場合があると好都合である。ミスマッチまたはギャップ無しとして、6ヌクレオチド長を越える相補性領域が無い場合、この条件は満たされると考えられる。タンデム反復転写物を生産するためには(ただ1種類のタンデム反復ユニットから成る転写物)、第1鎖cDNA分子に転写停止配列を含めると、必要ではないが、好都合である。もしも含める場合は、転写停止配列は、環状化プローブの任意のプロモーター部分の5′末端になければならない。タンデム反復転写物を生産するためには(複数種類のタンデム反復ユニットの転写物)、プロモーター部分を含む環状化プライマーが転写ターミネーターに類似の配列、例えば、連続8個以上のチミジンヌクレオチドを全く含まないと好都合である。
環状化プローブのプライマー相補部分が、cDNAプライマーのプローブ相補部分に対して相補的である場合、環状化プローブは、cDNAプライマーに対して特異的である、または、一致する。環状化プローブのプライマー相補部分が、cDNAプライマーに対して実質的に相補的でない場合、環状化プローブは、cDNAプライマーに対して特異的ではない、または、一致しない。cDNAプライマーは、cDNAプライマーのプローブ相補部分が環状化プローブに対して実質的に相補的でない場合、環状化プローブに対して特異的でない、または一致しない。プライマー相補部分は、環状化プローブのプライマー相補部分に対し完全に相補的な配列について同じ条件下で得られた融解点よりも10oC以上低い融解点を持つ場合、そのプローブ相補部分は、別の配列に対して実質的に相補的ではない。
環状化プローブは、その環状化プローブのプライマー相補部分が、セットのcDNAプライマーのプローブ相補部分に対して相補的である場合、そのcDNAプライマーのセットに対して特異的である、または、一致する。環状化プローブは、その環状化プローブのプライマー相補部分が、セットのcDNAプライマーに対して実質的に相補的でない場合、そのcDNAプライマーのセットに対して特異的ではない、または、一致しない。
環状化プローブの例を、図2A、2B、2C、2Dおよび2Eに示す。環状化プローブ(30)は、プライマー相補部分(6)およびcDNA相補部分(7)を持つ。要すれば随意に、環状化プローブは、プライマー一致部分(8)、第2プライマー相補部分(9)、切断部位(10)、RNA一致部位(11)、および、プロモーター部分(13)を持つことが可能である。環状化プローブのcDNA相補部分(7)は、第1鎖cDNA分子の配列に対して相補的である。環状化プローブのプライマー相補部分(6)は、cDNAプライマーに対して相補的である。具体的に言うと、環状化プライマーのcDNA相補部分(6)は、cDNAプライマーのプローブ相補部分(3)に対して相補的である。この相補性は、図2では、cDNAプライマー(20)と環状化プローブ(30)との間の点々で示される。環状化プローブでは、プライマー相補部分(6)とcDNA相補部分(7)は一般に隣接していなければならないが、環状化プローブの末端にいる必要はない。環状化プローブは、5′末端、3′末端、またはその両端にに非相補配列を持ってもよい。環状化プローブのプライマー相補部分(6)は、一般に、環状化プローブのcDNA相補部分(7)の5′側になければならない。
C. 第1鎖cDNA分子
第1鎖cDNA分子は、cDNAプライマーによってプライミングされるRNA分子の逆転写によって生成されるcDNA鎖である。第1鎖cDNA分子は、単一RNA分子およびcDNAプライマー配列から逆転写された配列を含む。RNAから逆転写された、第1鎖cDNA分子の配列は、第1鎖cDNA分子のcDNA配列と呼ばれる。取り込まれたcDNAプライマーの配列は、第1鎖cDNA分子のプライマー配列と呼ばれる。第1鎖cDNA分子は、合成されたままの状態では、直線的1本鎖DNA分子である。この直線的分子は、環状化することも可能であるし、コンカテマーとすることも、または、その両方とすることも可能である。環状化された、第1鎖cDNA分子は、環状第1鎖cDNA分子、環状化第1鎖cDNA分子、または、第1鎖cDNA環と呼ばれる。第1鎖cDNA環は、単一第1鎖cDNA分子から構成される。コンカテマー化第1鎖cDNA分子は、第1鎖cDNAコンカテマーと呼ばれる。環状化第1鎖cDNAコンカテマーは、環状第1鎖cDNAコンカテマー、環状化第1鎖cDNAコンカテマー、または、第1鎖cDNAコンカテマー環と呼ばれる。第1鎖cDNAコンカテマーは、複数の第1鎖cDNA分子から構成される。直線的および環状第1鎖cDNA分子は、まとめて第1鎖cDNA分子と呼ぶことが可能である。同様に、直線的および環状第1鎖cDNAコンカテマーは、まとめて、第1鎖cDNAコンカテマーと呼ぶことが可能である。
第1鎖cDNA分子は、cDNAプライマーを取り込むので、第1鎖cDNA分子は、組み込まれたcDNAプライマーの部分、成分および特質の全てを含む。本明細書の別の所で記述したように、cDNAプライマーは、RNA相補部分、プローブ相補部分、プライマー相補部分、プライマー一致部分、切断部位、プロモーター部分、検出タグ部分、および、アドレスタグ部分を含むことが可能である。従って、第1鎖cDNA分子は、RNA相補部分、プローブ相補部分、プライマー相補部分、プライマー一致部分、切断部位、プロモーター部分、検出タグ部分、および、アドレスタグ部分を含むことが可能である。
本開示の方法で生成される第1鎖cDNA分子は、ローリングサークル増幅(RCA)、および/または、複数鎖変位増幅(複数変位増幅(MDA)とも呼ばれる)によって増幅されるように設計される。ローリングサークル増幅は一般に、第1鎖cDNA分子(または、第1鎖cDNAコンカテマー)が環状化されることを要求する。一般に、開示の第1鎖cDNA分子の複数鎖変位増幅は、必要とはされていないが、第1鎖cDNA分子のコンカテマー形成を含む。開示の方法は、効率的に、広くRNA配列を増幅するのに使用が可能であるが、第1鎖cDNA分子の形は、この結果を実現できるよう好適に変形される。
第1鎖cDNA分子のある特質は、それらを合成するために使用したcDNAの、および/または、それらを環状化するために使用した環状化プローブの特質の結果である。広範なRNA分子の増幅、または特定のRNA分子の増幅は、一般的には、cDNAプライマーと環状化プローブの働きである(一般に、本明細書の別箇所に記載された原理に基づく)。第1鎖cDNA分子の増幅とは、適当なプライマーと増幅条件を使用するという問題であるに過ぎない。第1鎖cDNA分子は一般に、少なくとも1個のプライマー相補部分を持つ。プライマー相補部分は、ローリングサークル複製プライマー(または、増幅に用いられる他のプライマー)の配列に対して相補的である。プライマー相補部分は、第1鎖cDNA分子における任意の配列であってよいが、好ましくは、cDNAプライマーの中に取り込まれたcDNAプライマーのプライマー相補部分に合致する。複数箇所プライミングRCAでは、複数のプライマー相補部分が必要とされる。ランダムまたは縮重ローリングサークル複製プライマーが用いられている場合には、プライマー相補部分の配列は、既知である必要はなく、指定の配列である必要もない。
第1鎖cDNA分子は、プライマー一致部分を含んでもよい。プライマー一致部分は、二次DNA鎖変位プライマー(または、増幅に使用される他のプライマー)の配列に対して相補的である。プライマー一致部分が、二次DNA鎖変位プライマーと配列一致した場合、プライマーの一致部分も、二次DNA鎖変位プライマー一致部分と呼ぶことが可能である。プライマー一致部分は、第1鎖cDNA分子中の任意の配列であってよいが、cDNAプライマーに取り込まれたcDNAプライマーのプライマー一致部分に一致することが好ましい。ランダムまたは縮重ローリングサークルプライマーを用いる場合は、ローリングサークル複製プライマーは、二次DNA鎖変位プライマーとして働く。この場合、プライマー一致部分の配列は、既知である必要はなく、指定の配列である必要もない。
第1鎖cDNA分子は、検出タグ部分を含むことも可能である。検出タグ部分は、第1鎖cDNAにおける任意の配列であってよい。ある形態の方法では、第1鎖cDNA分子のcDNA配列部の配列を、検出タグ部分として使用するのが好適である。なぜなら、その場合、検出は、第1鎖cDNA分子が得られたRNA分子の内容(および配列)に依存するからである。複数の第1鎖cDNA分子、またはその全部に関する広範な検出のためには、第1鎖cDNA分子のプライマー配列(cDNAプライマーから得られたものである)の検出タグ部分の使用が有用である。蛍光変化プローブ(またはその他の検出プローブ)を検出に用いる場合には、第1鎖cDNA分子は、少なくとも1個の検出タグ部分を含んでもよい。
環状第1鎖cDNA分子は、複製されると、第1鎖cDNA分子に対して相補的な配列からなる複数反復を含む長いDNA分子を生成する。この長い分子は、本明細書では、タンデム配列DNA(TS-DNA)と呼ばれる。TS-DNAは、プライマー相補部分、RNA相補部分、および、プローブ相補部分に対して相補的な配列を含む。TS-DNAにおけるこれらの配列は、プライマー配列(ローリングサークル複製プライマーの配列と一致する)、RNA配列(元のRNA分子の配列に一致する)、および、プローブ配列(環状化プローブの配列と一致する)と呼ばれる。第1鎖cDNA分子に存在する場合には、TS-DNAもまた、切断部位、プロモーター部位、検出タグ部位、および、アドレスタグ部位に対して相補的な配列を含む。TS-DNAにおけるこれらの配列は、それぞれ、切断部位、プロモーター配列、検出タグ、および、アドレスタグと呼ばれる。TS-DNAはまた、二次DNA鎖変位プライマーの一致部分に対して相補的な配列を持つ。TS-DNAにおけるこの配列は、二次DNA鎖変位プライマー相補体、またはプライマー相補体と呼ばれる。
ランダムまたは縮重ローリングサークル複製プライマーを用いる場合は、これらは、二次DNA鎖変位プライマーとして働くことが可能である。この場合、第1鎖cDNA分子は、一般に特定されない、また、する必要も無い、複数の二次DNA鎖変位プライマー一致部分を有する。ランダム、または、縮重ローリングサークル複製プライマーを使用する場合は、プライマー、および、二次DNA鎖変位プライマー一致部分は、好ましくは4から10ヌクレオチド長、もっとも好ましくは6、7または8ヌクレオチド長である。
D. ローリングサークル複製プライマー
ローリングサークル複製プライマー(RCRP)は、第1鎖cDNA分子の1個以上のプライマー相補部分に対して相補的な配列を持つ。この配列は、RCRPの相補部分と呼ばれる。RCRPの相補部分、および認識プライマー相補部分は、互いに相補的である限り任意の配列を持つことが可能である。一般に、RCRPの配列は、第1鎖cDNA分子の他の部分に対しては際立って相補的とならないように選ばれる。すなわち、RCRPは、プライマー相補部分に対してのみ相補的である。ランダムまたは縮重ローリングサークル複製プライマーを用いる場合には、プライマーはまとめて、第1鎖cDNA分子の多くの配列に対して相補的である。ローリングサークル複製プライマーの相補部分は、プライマーと、プライマー相補部分の間の、特異的で、安定なハイブダイゼーションを支持する限り、どの長さを持っていてもよい。一般に、これは、10から35ヌクレオチド長であるが、通常は16から20ヌクレオチド長である。ランダム、または縮重ローリングサークル複製プライマーは、好ましくは4から10ヌクレオチド長、もっとも好ましくは6、7または8ヌクレオチド長である。有用なローリングサークル複製プライマーは、蛍光変化プライマーである。
ローリングサークル複製プライマーはまた、RCRPの5′末端に、第1鎖cDNA分子のいずれの部分にも相補的でない、さらに別の配列を含むことがあれば、それは好適である。この配列は、RCRPの非相補的部分と呼ばれる。RCRPの非相補的部分は、もしあれば、DNA複製時、鎖変位を促進するのに役立つ。RCRPの非相補部分は任意の長さを持っていてよいが、一般に1から100ヌクレオチド長であり、好ましくは4から8ヌクレオチド長である。非相補部分は、特別な効果を与える相互作用に含めることが可能である。例えば、非相補部分は、ペプチド核酸消光子、または、ペプチド核酸フルオルにハイブリダイズすることが可能な、または、分子内構造を形成することが可能な消光子相補体を含むことが可能である。ランダム、または縮重ローリングサークル複製プライマーは、非相補部分を含まないのが好ましい。ローリングサークル複製プライマーはまた、蛍光成分またはラベル、および消光成分を含むことも可能である。ローリングサークル複製プライマーは、RCRPの末端の内の片方、または両方を含む、分子内ステム構造を形成することも可能である。このようなローリングサークル複製プライマーは、本明細書では、ヘアピンローリングサークル複製プライマーと呼ばれる。分子内ステム構造を形成するプライマー、および、ローリングサークル増幅におけるそれらの用法は、米国特許出願第09/803,713号に記載されている。
ローリングサークル複製プライマーはまた、エキソヌクレアーゼ消化に対する耐性を付与されるよう修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。例えば、プライマー、そのプライマーの5′末端のヌクレオチド間に3から4個のフォスフォロチオエート連結を持つことが可能である。このヌクレアーゼ耐性プライマーによって、もしそれがなければ検出プローブおよびアドレスプローブの増幅核酸に対するハイブリダイゼーションを妨害しかねない過剰な、未環状化第1鎖cDNA分子の選択的変性が可能となる。ローリングサークル複製プライマーは、鎖変位カスケード増幅における三次DNA鎖変位プライマーとして使用することが可能である。ランダム、または縮重ローリングサークル複製プライマーは、二次および三次DNA鎖変位プライマーとして働くことが可能である。
ローリングサークル複製プライマーの相補部分が第1鎖cDNA分子のプライマー相補部分に対して相補的である場合、ローリングサークル複製プライマーは、第1鎖cDNA分子に対して特異的である、または、一致する。ローリングサークル複製プライマーの相補部分が、第1鎖cDNA分子のプライマー相補部分に対して相補的でない場合、ローリングサークル複製プライマーは、第1鎖cDNA分子に対して特異的ではない、または、一致しない。相補部分は、ローリングサークル複製プライマーの相補部分に対し完全に相補的な配列について同じ条件下で得られた融解点よりも10oC以上低い融解点を持つ場合、その相補部分は、別の配列に対して実質的に相補的ではない。
ローリングサークル複製プライマーの相補部分が、セットの第1鎖cDNA分子のプライマー相補部分に対して相補的である場合、ローリングサークル複製プライマーは、第1鎖cDNA分子のセットに対して特異的である、または、一致する。ローリングサークル複製プライマーの相補部分が、セットの第1鎖cDNA分子に対して相補的でない場合、ローリングサークル複製プライマーは、第1鎖cDNA分子のセットに対して特異的ではない、または、一致しない。
E. DNA鎖変位プライマー
二次DNA鎖変位に用いられるプライマーは、本明細書では、DNA鎖変位プライマーと呼ぶ。本明細書で二次DNA鎖変位プライマーと呼ぶ、DNA鎖変位プライマーの一つの形は、第1鎖cDNA分子の配列の、配列一致部分を有するオリゴヌクレオチドである。二次DNA鎖変位プライマーにおけるこの配列は、二次DNA鎖変位プライマーの一致部分と呼ばれる。二次DNA鎖変位プライマーの一致部分に一致する、第1鎖cDNA分子の配列は、二次DNA鎖変位プライマー一致部分(または、プライマー一致部分)と呼ばれる。二次DNA鎖変位プライマーの一致部分は、TS-DNAの配列に対して相補的である。二次DNA鎖変位プライマーの一致部分は、TS-DNAの任意の配列に対して相補的であってよい。しかしながら、一致部分は、使用されるのであれば、ローリングサークル複製プライマーにおいて、または、三次DNA鎖変位プライマーにおいて、TS-DNA配列相補性一致を持たないことが好ましい。これは、プライマー同士のハイブリダイゼーションを阻止する。二次DNA鎖変位プライマーの一致部分は、プライマーと、その相補部分の間の、特異的で、安定なハイブダイゼーションを支持する限り、どの長さを持っていてもよい。一般に、これは、6から35ヌクレオチド長であるが、通常は12から25ヌクレオチド長である。
二次DNA鎖変位プライマーは、増幅反応において、または、増幅反応におけるセットの第1鎖cDNA分子において、第1鎖cDNAの全てに対して特異的である、または、一致することが可能である。二次DNA鎖変位プライマーは、二次DNA鎖変位プライマーが第1鎖cDNA分子のプライマー一致部分に一致する場合、第1鎖cDNA分子に対して特異的であり、または一致する。二次DNA鎖変位プライマーは、二次DNA鎖変位プライマーの一致部分が第1鎖cDNA分子の配列に実質的に一致しない場合、第1鎖cDNA分子に対して特異的ではないし、または一致もしない。一致部分は、二次DNA鎖変位プライマーの一致部分に対し完全に相補的な配列について同じ条件下で得られた融解点よりも10oC以上低い融解点を持つ場合、その相補部分は、別の配列に対して実質的に一致しない。
二次DNA鎖変位プライマーは、二次DNA鎖変位プライマーの一致部分がセットの第1鎖cDNA分子のプライマー一致部分に一致する場合、セットの第1鎖cDNA分子に対して特異的である、または、一致する。二次DNA鎖変位プライマーは、二次DNA鎖変位プライマーの一致部分が、セットの第1鎖cDNA分子に実質的に一致しない場合、第1鎖cDNA分子セットに対して特異的でなく、または一致しない。二次DNA鎖変位プライマーは、好ましくはないが、蛍光変化プライマーであってもよい。
二次DNA鎖変位プライマーはまた、第1鎖cDNAのどの部分にも一致しないプライマーの5′末端にさらに別の配列を含むことがあれば、それは好適である。この配列は、二次DNA鎖変位プライマーの非相補的部分と呼ばれる。二次DNA鎖変位プライマーの非相補的部分は、もしあれば、DNA複製時、鎖変位を促進するのに役立つ。二次DNA鎖変位プライマーの非相補部分は任意の長さを持っていてよいが、一般に1から100ヌクレオチド長であり、好ましくは4から8ヌクレオチド長である。非相補部分は、特別な効果を与える相互作用に含めることが可能である。例えば、非相補部分は、ペプチド核酸消光子、または、ペプチド核酸フルオルにハイブリダイズすることが可能な、または、分子ない構造を形成することが可能な消光子相補体を含むことが可能である。二次DNA鎖変位プライマーも、蛍光成分またはラベル、および消光成分を含むことが可能である。
本開示の方法で使用される、好適な二次DNA鎖変位プライマーは、二次DNA鎖変位プライマーの末端の内の一方、または両方を含む、分子内ステム構造を形成することが可能である。このような二次DNA鎖変位プライマーは、本明細書では、ヘアピン二次DNA鎖変位プライマーと呼ばれる。分子内ステム構造を形成するプライマー、および、ローリングサークル増幅におけるそれらの用法は、米国特許出願第09/803,713号に記載されている。
本明細書では三次DNA鎖変位プライマーと呼ばれる、さらに別の形のDNA鎖変位プライマーは、第1鎖cDNA分子の配列の一部に対して相補的な配列を持つオリゴヌクレオチドである。この配列は、三次DNA鎖変位プライマーの相補部分と呼ばれる。三次DNA変位プライマーのこの相補部分は、TS-DNAの配列に一致する。三次DNA鎖変位プライマーの相補部分は、第1鎖cDNA分子の任意の配列に対して相補的であってよい。しかしながら、二次DNA鎖変位プライマーに一致する第1鎖cDNA分子配列に対して相補的でないことが好ましい。これは、プライマー同士のハイブリダイゼーションを阻止する。三次DNA鎖変位プライマーの相補部分は、プライマーと相補体の間の特異的で、安定なハイブリダイゼーションを支持する限り任意の長さを持っていてよい。一般にそれは6から35ヌクレオチド長であり、好ましくは12から25ヌクレオチド長である。三次DNA鎖変位プライマーは、好ましくはないが、蛍光変化プライマーであってもよい。
本開示の方法に使用される好適な三次DNA鎖変位プライマーは、三次DNA鎖変位プライマーの末端の内の一方、または両方を含む、分子内ステム構造を形成することが可能である。このような三次DNA鎖変位プライマーは、本明細書では、ヘアピン三次DNA鎖変位プライマーと呼ばれる。
三次DNA鎖変位プライマーはまた、第1鎖cDNAのどの部分にも相補的でないその5′末端にさらに別の配列を含むことがあれば、それは好適である。この配列は、三次DNA鎖変位プライマーの非相補的部分と呼ばれる。三次DNA鎖変位プライマーの非相補的部分は、もしあれば、DNA複製時、鎖変位を促進するのに役立つ。三次DNA鎖変位プライマーの非相補部分は任意の長さを持っていてよいが、一般に1から100ヌクレオチド長であり、好ましくは4から8ヌクレオチド長である。ローリングサークル複製プライマーが、三次DNA鎖変位プライマーの好ましい形である。三次DNA鎖変位プライマーも、蛍光成分またはラベル、および消光成分を含むことが可能である。
DNA鎖変位プライマーはまた、エキソヌクレアーゼ消化に対する耐性を付与されるよう修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。例えば、プライマーは、そのプライマーの5′末端のヌクレオチド間に3から4個のフォスフォロチオエート連結を持つことが可能である。このヌクレアーゼ耐性プライマーによって、もしそれがなければ検出プローブおよびアドレスプローブの増幅核酸に対するハイブリダイゼーションを妨害しかねない過剰な、未環状化第1鎖cDNA分子の選択的変性が可能となる。DNA鎖変位プライマーは、二次DNA鎖変位、および、鎖変位カスケード増幅のために使用することが可能である。いずれも後述、および、米国特許第6,143,495号に記載される。
F. RNA分子
開示の方法は、RNA分子およびRNA配列の使用を含むことが可能である。RNA分子は、逆転写の鋳型となり第1鎖cDNAを生産する。本明細書で用いる場合、文脈から別様に受け取られない限り、RNA分子という用語は、、実際の分子、および、より大きなRNA分子の一部であるRNA配列の両方を指す。RNA分子と配列は、対象とする任意の核酸サンプル、または、任意のRNAサンプルから得られたものであってよい。多くのこのような核酸またはRNAサンプルの、供給源、内容、および調製法が既知である。増幅または検出法において既知である、または、使用が特定されている核酸またはRNAサンプルが、本明細書に記載される方法で使用されるならば、それは好適である。核酸またはRNAサンプルは、例えば、1個以上の細胞、組織、または体液、例えば、血液、尿、精液、リンパ液、脳脊髄液、または羊水、または、その他の生物サンプル、例えば、組織培養細胞、頬粘膜綿棒採取標本、含漱標本、大便、組織切片、吸引バイオプシー、および、考古学的標本、例えば、骨、またはミイラ化組織から得られた核酸サンプルであってもよい。有用な核酸、またはRNAサンプルの種類としては、血液サンプル、尿サンプル、精液サンプル、リンパ液サンプル、脳脊髄液サンプル、羊水サンプル、バイオプシーサンプル、針吸引バイオプシーサンプル、ガンサンプル、腫瘍サンプル、組織サンプル、細胞サンプル、細胞溶解物サンプル、未精製細胞溶解物サンプル、法医学サンプル、考古学サンプル、感染サンプル、院内感染サンプル、製造サンプル、調剤サンプル、生物分子生産サンプル、タンパク質調製サンプル、脂質調製サンプル、および/または、炭水化物調製サンプルが挙げられる。
本開示の方法ではいずれのRNA分子でも使用が可能である。例としては、mRNA分子、ポリアデニル化RNA分子、rRNA分子、tRNA分子、snRNA分子、RNA分子前駆物質、ミトコンドリアRNA分子、クロロプラストRNA分子、細菌RNA分子、ファージRNA分子、ウィルスRNA分子、真正細菌RNA分子、古細菌RNA分子、真菌RNA分子、微生物RNA分子、真核細胞RNA分子、植物RNA分子、動物RNA分子、脊椎動物RNA分子、無脊椎動物RNA分子、昆虫RNA分子、哺乳類RNA分子、ヒトRNA分子、または、これらの任意の組み合わせが挙げられる。
G. RNAサンプル
RNAサンプルは、RNA分子を持つ、または持つと予想される任意の供給源から得ることが可能である。RNAサンプルは、RNA分子と、RNA配列との供給源である。RNAサンプルは、例えば、特異的mRNA、mRNA分子のプールを含むことが可能である。RNAサンプルは、RNAのみ、または、RNAとその他の任意の物質を含むことが可能である。すなわち、RNAサンプルは、RNA分子を持つ、または持つと予想される任意の供給源から得られた任意の種類のサンプルであってもよい。ある実施態様では、RNAサンプルはさらに、化学的に合成されたRNA分子を含むことも可能である。RNAサンプルは、任意のヌクレオチド、ヌクレオチド類縁体、ヌクレオチド置換体、またはヌクレオチド接合体を含むことが可能である。
RNAサンプルは、例えば、1個以上の細胞、組織、または体液、例えば、血液、尿、精液、リンパ液、脳脊髄液、または羊水、または、その他の生物サンプル、例えば、組織培養細胞、頬粘膜綿棒採取標本、含漱標本、大便、組織切片、吸引バイオプシー、および、考古学的標本、例えば、骨、またはミイラ化組織から得られたRNAサンプルであってもよい。有用なRNAサンプルの種類としては、血液サンプル、尿サンプル、精液サンプル、リンパ液サンプル、脳脊髄液サンプル、羊水サンプル、バイオプシーサンプル、針吸引バイオプシーサンプル、ガンサンプル、腫瘍サンプル、組織サンプル、細胞サンプル、細胞溶解物サンプル、未精製細胞溶解物サンプル、法医学サンプル、考古学サンプル、感染サンプル、院内感染サンプル、製造サンプル、調剤サンプル、生物分子生産サンプル、タンパク質調製サンプル、脂質調製サンプル、および/または、炭水化物調製サンプルが挙げられる。
H. 蛍光変化プローブおよびプライマー
蛍光変化プローブおよび蛍光変化プライマーは、プローブまたはプライマーの、および、検出、アッセイ、または複製すべき核酸の形または立体配置の変化に基づいて生じる蛍光の強度または波長の変化に関わる全てのプローブおよびプライマーを指す。蛍光変化プローブおよびプライマーの例としては、分子ビーコン、アンプリフルオル、FRETプローブ、切断可能FRETプローブ、TaqManプローブ、スコルピオンプライマー、三重分子ビーコン、または三重FRETプローブを含むがそれらに限定されない蛍光三重オリゴ、蛍光水溶性接合体ポリマー、RNAプローブ、および、QPNAプローブが挙げられる。
蛍光変化プローブおよびプライマーは、その構造および/または機能に従って分類することが可能である。蛍光変化プローブとしては、ヘアピン消光プローブ、切断消光プローブ、切断活性化プローブ、および、蛍光活性化プローブが挙げられる。蛍光変化プローブとしては、ステム消光プライマー、およびヘアピン消光プライマーが挙げられる。いくつかの種類の蛍光変化プローブとプライマーの用法が、Schweitzer and Kingmore, Curr. Opin. Biotech. 12:21-27(2001)に総覧されている。Hall et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:8272-8277(2000)は、Invaderアッセイにおける蛍光変化プローブの使用を記載している。
ヘアピン消光プローブは、標的配列に結合していない時には、ヘアピン構造を(および、通常はループ)形成するプローブであって、この構造では、蛍光ラベルと消光成分とは接近して、ラベルからの蛍光が消光されるようになっている。プローブが標的配列に結合すると、ステムが破壊され、消光成分はもはや蛍光ラベルの近傍には無くなり、蛍光が増す。ヘアピン消光プローブの例としては、分子ビーコン、蛍光三重オリゴ、三重分子ビーコン、三重FRETプローブ、および、QPNAプローブが挙げられる。
切断活性化プローブは、プローブの切断によって蛍光が増すプローブである。切断活性化プローブは、蛍光ラベルと消光成分を、ラベルからの蛍光が消光されるような近傍に含むことが可能である。プローブが切断または消化されると(通常は、増幅時、ポリメラーゼの5'-3′エキソヌクレアーゼ活性によって)、消光成分は、蛍光ラベルの近傍にはもはやいなくなり、蛍光が増す。TaqManプローブ(Holland et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7276-7280(1991))は、切断活性化プローブの一例である。
切断消光プローブは、プローブの切断によって蛍光が減少または変化するプローブである。切断消光プローブは、アクセプター蛍光ラベルとドナー成分とを、アクセプターとドナーが接近している時には、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー転移が、アクセプターの蛍光発光を起こすようなやり方で含む。従って、このプローブは、例えば、標的配列にハイブリダイズすると蛍光を発する。プローブが切断または消化されると(通常は、増幅時、ポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって)、ドナー成分はアクセプター蛍光ラベルの近傍にはいなくなり、アクセプターからの蛍光は減ずる。ドナー成分自体が蛍光ラベルである場合、アクセプターに近接していない時エネルギーを蛍光として発することが可能である(通常、アクセプターの蛍光とは異なる波長で)。全体効果としては、アクセプター蛍光の減少と、ドナー蛍光の増加である。切断消光プローブの場合、ドナー蛍光は、アクセプターが消光成分でドナーが蛍光ラベルとなる切断活性化プローブによって生成される蛍光と等価である。切断可能FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)プローブは、切断消光プローブの一例である。
蛍光活性化プローブは、蛍光が、プローブが標的配列にハイブリダイズすることによって増加する、または変化するプローブ、またはプローブペアである。蛍光活性化プローブは、アクセプター蛍光ラベルとドナー成分とを、アクセプターとドナーが接近している時には(プローブが標的配列にハイブリダイズする時)、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー転移が、アクセプターの蛍光発光を起こすようなやり方で含む。蛍光活性化プローブは、典型的には、アクセプターとドナーが接近させられるように隣接配列にハイブリダイズするように設計されたプローブペアである。蛍光活性化プローブはまた、ドナーとアクセプターの両方を含む単一プローブであってもよい。この場合、プローブが標的配列にハイブリダイズしていない場合は、ドナーとアクセプターは隣接しないが、プローブが標的配列にハイブリダイズすると、ドナーとアクセプターは接近する。これは、例えば、ドナーとアクセプターをプローブの両端に設置し、標的相補配列をプローブの一端に設置し、標的相補配列を、標的配列の隣接配列に相補的にすることよって実現が可能である。蛍光活性化プローブのドナー成分自体が蛍光ラベルである場合、ドナーは、アクセプターに近接していない場合(すなわち、プローブが標的配列にハイブリダイズしていない場合)、エネルギーを蛍光として放出することが可能である(通常、アクセプターの蛍光とは異なる波長で)。プローブが標的配列にハイブリダイズした場合、全体効果としては、ドナー蛍光の減少と、アクセプター蛍光の増加である。切断消光プローブの場合、ドナー蛍光は、アクセプターが消光成分でドナーが蛍光ラベルとなる切断活性化プローブによって生成される蛍光と等価である。FRETプローブは、蛍光活性化プローブの一例である。
ステム消光プライマーは、相補配列にハイブリダイズしていない場合には、ステム構造(分子内ステム構造、または分子間ステム構造のどちらか)を形成するプライマーである。ステム構造では、蛍光ラベルと消光成分が、ラベルからの蛍光が消光されるまでに接近させられる。プライマーが相補配列に結合すると、ステムは破壊され、消光成分はもはや蛍光ラベルの近傍には無くなり、蛍光が増す。開示の方法では、ステム消光プライマーが、核酸合成のプライマーとして用いられ、合成または増幅核酸の中に取り込まれる。ステム消光プライマーの例としては、ペプチド核酸消光プライマーおよびヘアピン消光プライマーがある。
ペプチド核酸消光プライマーは、ペプチド核酸消光子またはペプチド核酸フルオルと会合してステム構造を形成する。プライマーは、蛍光ラベルまたは消光成分を含み、それぞれ、ペプチド核酸消光子またはペプチド核酸フルオルと会合する。このために、蛍光ラベルは消光成分に接近させられる。プライマーが複製されると、ペプチド核酸は移動させられ、そのために蛍光ラベルが蛍光信号を発することが可能になる。
ヘアピン消光プライマーは、標的配列にハイブリダイズしていない時には、ヘアピン構造を(および、通常はループ)形成するプライマーであって、この構造では、蛍光ラベルと消光成分とは接近して、ラベルからの蛍光が消光されるようになっている。プライマーが標的配列に結合すると、ステムが破壊され、消光成分はもはや蛍光ラベルの近傍には無くなり、蛍光が増す。ヘアピン消光プライマーは、典型的には、核酸合成のプライマーとして使用され、従って、合成または増幅核酸の中に取り込まれる。ヘアピン消光プライマーの例としては、アンプリフルオルプライマー(Nazerenko et al., Nucleic Acids Res. 25:2516-2521(1997))およびスコルピオンプライマー(Thelwell et al., Nucleic Acids Res. 28(19):3752-3761(2000))が挙げられる。
切断活性化プライマーは、複製鎖に取り込まれて後に切断されるプライマーであることを除いては、切断活性化プローブと似ている。Little et al., Clin. Chem. 45:777-784(1999)は、切断活性化プライマーの用法を記載している。
I. 検出ラベル
開示の方法によって増幅される核酸の検出および定量を支援するために、検出ラベルを直接増幅された核酸の中に取り込ませること、または、検出分子に結合させることが可能である。本明細書で用いる検出ラベルとは、増幅核酸と直接または間接に関連し、直接または間接に、測定可能な、検出可能な信号をもたらす全ての分子である。核酸に取り込まれる、または核酸プローブに結合する、数多くのこのようなラベルが当業者には既知である。本開示の方法で使用するのに好適な検出ラベルの例は、放射性同位元素、蛍光分子、燐光分子、酵素、抗体、およびリガンドである。蛍光ラベルは、特に蛍光変化プローブおよびプライマーの背景で見ると、増幅のリアルタイム検出には好適である。
好適な蛍光ラベルの例としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、5,6-カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル(NBD)、クマリン、塩化ダンシル、ローダミン、アミノメチルクマリン(AMCA)、エオジン、エリスロシン、BODIPYR、カスケードブルーR、オレゴングリーンR、パイレン、リサミン、キサンチン、アクリジン、オキサジン、フィコエリスリン、ランタニドイオンの大環状キレート剤例えばクオンタムダイTM、蛍光エネルギー転移染料例えばチアゾールオレンジ−エチジウムヘテロダイマー、および、シアニン染料、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7が挙げられる。その他の特定の蛍光ラベルとしては、3-ヒドロキシピレン5,8,10-トリスルフォン酸、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)、酸フクシン、アリザリンコンプレキソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン、アミノクマリン、ステアリン酸アントロイル、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイェロー7 GLL、アタブリン、アウラミン、アウロフォスフィン、アウロフォスフィンG、BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンザミド、ブランコフォールFFG液、ブランコフォールSV、ボディピF1、ブリリアントスルフォフラビンFF、カルシエンブルー、カルシウムグリーン、カルコフルオルRW液、カルコフルオルホワイト、カルコフォルホワイトABT液、カルコフォルヒワイト標準液、カルスチリル、カスケードイェロー、カテコーラミン、キナクリン、コリフォスフィンO、クマリン-ファロイジン、CY3.18、CY5.18、CY7、Dans(1-ジメチルアミノナファリン5スルフォン酸)、Dansa(ジアミノナフチルスルフォン酸)、Dansyl NH-CH3、ジアミノフェニルオキサジアゾール(DAO)、ジメチルアミノ-5-スルフォン酸、ジピロメテンボロンジフロリド、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF、ドーパミン、エリスロシン、ITC、ユークリシン、FIF(フォルムアルデヒド誘発蛍光)、フラゾオレンジ、フルオ3、フルオレスカミン、フラ-2、ゲナクリルブリリアントレッドB、ゲナクリルブリリアントイェロー10GF、ゲナクリルピンク3G、ゲナクリルイェロー5GF、グロキサル酸、グラニュラーブルー、ヘマトポルフィリン、インド-1、イントラホワイトCfリキド、ロイコフォルPAF、ロイコフォルSF、ロイコフォルWS、リサミンローダミンB200(RD200)、ルシフェルイェローCH、ルシフェルイェローVS、マグダラレッド、マリナブルー、マキシロンブリリアントフラビン10GFF、マキシロンブリリアントフラビン8GFF、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、ミトラマイシン、NBDアミン、ニトロベンゾキサジドール、ノルアドレナリン、ニュークリアファーストレッド、ニュークリアイェロー、ニロサンブリリアントフラビンE8G、オキサジアゾール、パシフィックブルー、パラロザニリン(フォイルゲン)、フォールワイトAR液、フォールワイトRev、フォールワイトRPA、フォールワイト3R、フタロシアニン、フィコエリスリンR、ポリアザインダセンポントクロームブルーブラック、ポルフィリン、プリムリン、プロシオンイェロー、ピロニン、ピロニンB、ピロザールブリリアントフラビン7GF、キナクリンマスタード、ローダミン123、ローダミン5GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB200、ローダミンBエキストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミンWT、セロトニン、セブロンブリリアントレッド2B、セブロンブリリアントレッド4G、セブロンブリリアントレッドB、セブロンオレンジ、セブロンイェローL、SITS(プリムライン)、SITS(スチルベンイソチオスルフォン酸)、スチルベン、Snarf1、スルフォローダミンB Can C、スルフォローダミンGエキストラ、テトラサイクリン、チアジンレッドR、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオフラビン5、チオライト、チオゾールオレンジ、チノポルCBS、トルーブルー、ウルトラライト、ウラニンB、ユビテックスSFC、キシレンオレンジ、およびXRITCが挙げられる。
好ましい蛍光ラベルは、フルオレセイン(5-カルボキシフルオレセイン-N-ヒドロキシスクシニミドエステル)、ローダミン(5,6-テトラメチルローダミン)、および、シアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7である。これらのフルオルに対する、吸収および発光最大値は、それぞれ、FITC(490 nm; 520 nm)、Cy3(554 nm; 568 nm)、Cy3.5(581 nm; 588 nm)、Cy5(652 nm; 672 nm)、Cy5.5(682 nm; 703 nm)、およびCy7(755 nm; 778 nm)であり、同時検出が可能である。フルオレセイン染料の他の例としては、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、2',4',1,4-テトラクロロフルオレセイン(TET)、2',4',5',7',1,4-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2',7'-ジメトキシ-4',5'-ジクロロ-6-カルボキシローダミン(JOE)、2'-クロロ-5'-フルオロ-7',8'-フューズドフェニル-1,4-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(NED)、および、2'-クロロ-7'-フェニル-1,4-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(VIC)が挙げられる。蛍光ラベルは、様々な販売供給源、すなわち、Amersham Pharmacia Biotech、ピスカタウェイ、ニュージャージー州;Molecular Probes、ユージン、オレゴン州;Research Organics、クリーブランド、オハイオ州を含めた供給源から入手が可能である。
さらに別の対象となるラベルとしては、会合するプローブが標的分子に特異的に結合した時にのみ信号を供給するものが挙げられる。そのようなラベルとしては、Tyagi & Kramer, Nature Biotechnology (1996) 14:303および欧州特許0070685BIに記載される「分子ビーコン」が挙げられる。他の、対象となるラベルとしては、米国特許第5,563,037号、WO97/17471、および、WO97/1706に記載されるものが挙げられる。
標識されたヌクレオチドは、好ましい形の検出ラベルである。なぜなら、それらは、合成時、増幅産物の中に直接取り込まれるからである。増幅核酸の中に取り込まれる検出ラベルの例としては、ヌクレオチド類縁体、例えば、BrdUrd(5-ブロモデオキシウリジン、Hoy and Schimke, Mutation Research 290:217-230(1993))、アミノアリルデオキシウリジン、(Henegariu et al., Nature Biotechnology 18:345-348(2000))、5-メチルシトシン(Sano et al., Biochim. Biophys. Acta 951:157-165(1988))、ブロモウリジン(Wansick et al., J. Cell Biology 122:283-293(1993))、および、ビオチンで修飾されたヌクレオチド(Langer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:6633(1981))、または、適当なハプテン、例えば、ジゴキシゲニンによって修飾されたもの(Kerkhof, Anal. Biochem. 205:359-364(1992))が挙げられる。適当な蛍光標識ヌクレオチドは、フルオレセイン-イソチオシアネート-dUTP、シアニン-3-dUTP、およびシアニン-5-dUTP(Yu et al., Nucleic Acids Res., 22:3226-3232(1994))である。DNAの好ましいヌクレオチド類縁体検出ラベルは、BrdUrd(ブロモデオキシウリジン、BrdUrd、BrdU、BUdR、Sigma-Aldrich Co.)である。DNAに検出ラベルを取り込むための、その他の好適なヌクレオチド類縁体としては、AA-dUTP(アミノアリル-デオキシウリジン三リン酸、Sigma-Aldrich Co.)、および、5-メチル-dCTP(Roche Molecular Biochemicals)がある。DNAに検出ラベルを取り込むための好適なヌクレオチド類縁体は、ビオチン-16-UTP(ビオチン-16-ウリジン-5'-三リン酸、Roche Molecular Biochemicals)である。フルオレセイン、Cy3、およびCy5を、直接標識のために、dUTPに結合させることが可能である。Cy3.5およびCy7は、ビオチン-またはジゴキシン標識プローブの二次検出のために、アビジン、または、抗ジゴキシン接合体として市販されている。
増幅核酸に取り込まれる検出ラベル、例えば、ビオチンは、その後、従来技術でよく知られる高感度法を用いて検出することが可能である。例えば、ビオチンは、ストレプトアビジン-アルカリフォスファターゼ接合体(Tropix, Inc.)を用いて検出することが可能である。すなわち、この接合体は、ビオチンに結合し、その後、適当な基質(例えば、化学発光基質CSPD:二ナトリウム,3-(4-メトキシスピロ-[1,2-ジオキセタン-3,2'-(5'-クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]-4-イル)フェニルフォスフェート、Tropix, Inc.)の化学発光によって検出される。ラベルは、酵素、例えば、アルカリフォスファターゼ、大豆ペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、およびポリメラーゼのような酵素であってもよい。これらは、例えば、化学信号増幅によって、または、光を発する(例えば、化学発光1,2-ジオキセタン基質)、または、蛍光信号を発する、酵素に対する基質を用いることによって検出することが可能である。
2種以上の上記検出ラベルを併用する分子もまた検出ラベルと見なされる。既知の検出ラベルのいずれのものも、開示のプローブ、タグ、および、開示の方法によって増幅される核酸を標識、検出するための方法と共に使用することが可能である。検出ラベルによって発せられる信号を検出し、測定する方法も既知である。例えば、放射性同位元素は、シンチレーションカウント法または、直接目視によって検出することが可能であり;蛍光分子は、蛍光分光光度計によって検出が可能であり;燐光分子は、分光光度計、または、カメラによる直接の視覚化によって検出が可能であり;酵素は、酵素によって触媒される反応の産物を検出または可視化することによって検出が可能であり;抗体は、抗体に結合した二次検出ラベルを検出することによって検出が可能である。本明細書で用いる検出分子とは、増幅産物と相互作用を持ち、1種以上の検出ラベルが結合する分子である。
J. 検出プローブ
検出プローブは、TS-DNAまたはTS-DNAの転写物(タンデム反復転写物およびタンデム配列転写物を含む)の検出タグに対して相補的な配列を持つ標識オリゴヌクレオチドである。検出プローブの相補部分は、検出プローブと検出タグの間の特異的で、安定なハイブリダイゼーションを支持する限り任意の長さを持っていてよい。このために、6から35ヌクレオチド長が好ましく、検出プローブの相補部分は12から20ヌクレオチド長であることが特に好ましい。検出プローブは、本明細書に記述される検出ラベルから任意に選ばれるものを含んでよい。有用なラベルはビオチンと蛍光分子である。有用な検出プローブは、蛍光変化プローブである。特に有用な検出プローブは分子ビーコンである(これは1種の蛍光変化プローブである)。分子ビーコンは、検出プローブにハイブダイズされた時にのみ蛍光を発する蛍光成分によって標識された検出プローブである(Tyagi and Kramer, Nature Biotechnology 14:303-308(1996))。このプローブの使用により、標識検出前に、ハイブリダイズしないプローブの除去の必要が無くなった。なぜなら、ハイブリダイズしない検出プローブは信号を発しないからである。これは、多重アッセイでは特に有用である。
本明細書では潰れ型検出プローブと呼ばれる一つの形の検出プローブがあるが、これは、二つの、別々の相補部分を含む。これによって、核検出プローブは、TS-DNAの二つの検出タグにハイブリダイズすることが可能となる。このようにして、この検出プローブは、TS-DNAの異なる部分同士の間に架橋を形成する。TS-DNAにハイブリダイズする、多数の潰れ型検出プローブの活動を合わせると、架橋結合TS-DNAから成る潰れ型ネットワークを形成することが可能である。潰れ型TS-DNAは、自由な、延びたTS-DNAよりもはるかに小さな容量しか占めない。このために、各TS-DNAについて、まとまった、不連続な検出信号が得られる。潰れ型TS-DNAは、インサイチュハイブリダイゼーション用途にも、多重検出にも有用である。なぜなら、検出信号が、緊密に集まっている場合でも、空間的に分離されるからである。潰れ型TS-DNAは米国特許第6,413,495号に記載される。
K. アドレスプローブ
アドレスプローブは、TS-DNA、またはTS-DNAの転写物(タンデム反復転写物およびタンデム配列転写物を含む)におけるアドレスタグに対して相補的な配列を持つオリゴヌクレオチドである。アドレスプローブの相補部分は、アドレスプローブとアドレスタグの間の特異的で、安定なハイブリダイゼーションを支持する限り任意の長さを持っていてよい。このために、6から35ヌクレオチド長が好ましく、アドレスプローブの相補部分は12から18ヌクレオチド長であることが特に好ましい。アドレスプローブは、単一相補部分、または複数相補部分を含むことが可能である。アドレスプローブは、直接に、または、スペーサー分子を介して、固相支持体に結合することが可能である。アドレスプローブと固相支持体のこのような結合は、固相検出器の有用な形態である。アドレスプローブは、好ましくはないが、蛍光変化プローブであってもよい。
L. 固相支持体
固相支持体は、開示の方法の増幅産物(または、開示の方法で使用される、または、開示の方法で生産される他の成分)が会合される、固相基板または支持体である。増幅産物は、直接または間接に、固相支持体に会合される。例えば、増幅産物は、固相支持体の表面に結合する、または、固相支持体の上に不動化されるアドレスプローブ、または検出プローブと会合することが可能である。アレイ検出器は、複数の異なるアドレスプローブおよび/または検出プローブがアレイ状に、グリッド状に、またはその他の組織的パターン状に結合される固相支持体である。RNA分子およびRNA配列も、固相支持体に付着させることが可能である。
固相支持体に使用される固相基板は、成分が直接間接に会合可能である限り、どの材料のものであってもよい。これは、例えば、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、金、ポリスチレン、ポリエチレンビニールアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、ポリアクチン酸、ポリオルトエステル、機能基化シラン、ポロプロピルフメレート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、およびポリアミノ酸のような材料が挙げられる。固相基板は、有用であれば、例えば、薄層フィルム、膜、びん、皿、線維、織線維、成形ポリマー、粒子、ビーズ、微粒子、または、それらの併用を含む任意の形のものであってよい。固相基板および固相支持体は、多孔性であっても、非多孔性であってもよい。チップは、長方形、または小型正方形の材料である。固相基板の好ましい形は、薄層フィルム、ビーズ、またはチップである。固相基板の有用な形態は、微量定量皿である。ある実施態様では、多数ウェルガラススライドが使用される。
別々のアドレスプローブおよび/または検出プローブをセットとして一緒に使用することが可能である。セットは、別々の反応で別々に使用される、または、固相支持体に不動化されるアドレスプローブおよび/または検出プローブ全ての、またはそのサブセットの混合物として使用することも可能である。別々に、または混合物として使用されるアドレスプローブおよび/または検出プローブは、例えば、固相支持体における会合または不動化によって物理的に分離することが可能である。アレイは、固相支持体の特定または指定位置に不動化された、複数のアドレスプローブおよび/または検出プローブを含むことが可能である。固相支持体上の各指定位置は、一般に、一つのタイプの成分(すなわち、その位置にある全ての成分は同じである)を持つ。あるいは、複数種類の成分を、固相支持体の同じ指定位置に不動化することも可能である。各位置は、任意の成分の複数コピーを持つ。固相支持体における異なる成分の空間的分離によって、増幅産物の別々の検出と特定が可能になる。
有用ではあるが、固相支持体は、単一ユニットまたは構造である必要はない。アドレスプローブおよび/または検出プローブのセットは、任意の数の固相支持体にまたがって分布されてよい。例えば、一つの極端な例として、各プローブは、別の反応管または容器、または別のビーズまたは微粒子に不動化されてもよい。
オリゴヌクレオチドを、固相基板に固定するための方法は十分確立されている。アドレスプローブと検出プローブを含めたオリゴヌクレオチドは、標準的結合法を用いて基板に結合することが可能である。例えば、適当な付着法が、Pease et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(11):5022-5026(1994)およびKhrapko et al., Mol. Biol. (Mosk) (USSR) 25:718-730(1991)に記載されている。カゼイン被覆スライドに対する3′-アミンオリゴヌクレオチドの不動化法がStimpson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6379-6383(1995)に記載されている。オリゴヌクレオチドを固相基板に付着させるための有用な方法が、Guo et al., Nucleic Acids Res. 22:5456-5465(1994)に記載されている。
固相支持体の上に不動化される各成分(例えば、アドレスプローブおよび/または検出プローブ)は、固相支持体の異なる指定領域に配置することが可能である。異なる位置は、異なる反応チェンバーであってもよい。異なる指定領域はそれぞれ、他の異なる領域とは物理的に分離される。固相支持体の、異なる指定領域の間の距離は、固定でも、変動でもよい。例えば、アレイでは、各成分は、互いに固定距離だけ離して配置することが可能であるが、一方、ビーズに会合する成分は、固定空間関係にはない。特に、複数の固相支持体ユニットの使用(例えば、複数のビーズ)は変動距離をもたらす。
成分は、固相支持体に、任意の密度で会合または不動化される。成分は、立方センチメートル当たり400種を越える成分という密度で固相支持体に不動化することが可能である。成分を持つアレイは、任意の数の成分を有することが可能である。例えば、アレイは、固相支持体の上に少なくとも1,000種の異なる成分、固相支持体の上に少なくとも10,000種の異なる成分、固相支持体の上に少なくとも100,000種の異なる成分、固相支持体の上に少なくとも1,000,000種の異なる成分を有することが可能である。
開示の方法で生産される核酸は、固相基板または固相支持体に会合、またはその上に不動化される。例えば、タンデム反復ユニット、またはタンデム反復転写物は、支持体に付着させ、ハイブリダイゼーションアッセイにおいてプローブとして使用することが可能である。タンデム反復ユニットまたはタンデム反復転写物は、増幅用の供給源となった、RNAサンプル中のRNA配列を表すプローブライブラリーとして利用することも可能である。
M. 固相検出器
固相検出器は、アドレスプローブまたは検出プローブが結合される固相支持体である。固相検出器の好ましい形態は、アレイ検出器である。アレイ検出器は、複数の異なるアドレスプローブおよび/または検出分子が、アレイ、グリッド、またはその他の組織的パターン状に結合される固相検出器である。
固相検出器として使用される固相基板は、オリゴヌクレオチドが結合可能なものであれば、任意の個体材料を含むことが可能である。これは、例えば、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、金、ポリスチレン、ポリエチレンビニールアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、ポリアクチン酸、ポリオルトエステル、機能基化シラン、ポロプロピルフメレート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、およびポリアミノ酸のような材料が挙げられる。固相基板は、有用であれば、例えば、薄層フィルム、膜、びん、皿、線維、織線維、成形ポリマー、粒子、ビーズ、微粒子、または、それらの併用を含む任意の形のものであってよい。固相基板および固相支持体は、多孔性であっても、非多孔性であってもよい。チップは、長方形、または小型正方形の材料である。固相基板の好ましい形は、薄層フィルム、ビーズ、またはチップである。固相基板の有用な形態は、微量定量皿である。ある実施態様では、多数ウェルガラススライドが使用される。
固相基板の上に不動化されたアドレスプローブによって、固相検出器において開示の増幅法の産物の捕捉が可能となる。この捕捉は、その後の検出工程を妨げかねない反応成分を洗い流すための好適な手段を提供する。固相検出器の異なる領域に異なるアドレスプローブを付着させることによって、異なる増幅産物を、固相検出器の異なる、従って診断的な位置に捕捉させる。例えば、多重化アッセイでは、多くの異なる増幅核酸に対して特異的なアドレスプローブ(それぞれ異なるRNA分子を表す)が、それぞれが別位置に、アレイ状に不動化される。捕捉および検出は、対応するRNA分子がサンプル中に存在する、増幅核酸に対応するアレイ位置でのみ行われる。
オリゴヌクレオチドを、固相基板に固定するための方法は十分確立されている。アドレスプローブと検出プローブを含めたオリゴヌクレオチドは、標準的結合法を用いて基板に結合することが可能である。例えば、適当な付着法が、Pease et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(11):5022-5026(1994)およびKhrapko et al., Mol. Biol. (Mosk) (USSR) 25:718-730(1991)に記載されている。カゼイン被覆スライドに対する3′-アミンオリゴヌクレオチドの不動化法がStimpson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6379-6383(1995)に記載されている。オリゴヌクレオチドを固相基板に付着させるための有用な方法が、Guo et al., Nucleic Acids Res. 22:5456-5465(1994)に記載されている。核酸チップおよびアレイの例が、そのようなチップおよびアレイの製造と使用を含めて、米国特許第6,287,768号、米国特許第6,288,220、6,287,776、6,297,006、および6,291,193号に記載されている。
開示の方法に有用なある固相検出器は、固相基板の上に抗体を付着させる。この抗体は、対象となる分子に対して特異的である。次に、対象となる捕捉分子を、第2の、リポーター抗体の結合によって検出し、次に増幅する。固相検出器におけるこのような抗体の使用によって、抗体が向けられる分子の検出用増幅アッセイの開発が可能となった。抗体を、固相基板の上に不動化する方法は十分に確立されている。不動化は、例えば、標準不動化化学技術を用いて、アミン化、カルボキシル化、またはヒドロキシル化表面に付着させることによって実現される。付着剤の例は、臭化シアノゲン、スクシニミド、アルデヒド、塩化トシル、アビジン-ビオチン、光硬化剤、エポキシド、およびマレイミドである。好ましい付着剤はグルタールアルデヒドである。上記、およびその他の付着剤が、付着時における使用法も含めて、「タンパク質不動化:基本と応用("Protein immobilization; fundamentals and applications")」、Richard Taylor, ed. (M. Dekker, New York, 1991), Johnstone and Thorpe、「免疫化学実技("Immunochemistry in Practice")」、Blackwell Scientific Publications, Oxford, England, 1987) pages 209-216 and 241-242、および、「不動化アフィニティーリガンド("Immobilized Affinity Ligand")」、Craig T. Hermanson et al., eds. (Academic Press, New York, 1992)に記載されている。抗体は、基板に対して、抗体上の遊離アミノ基を、固相基板内の反応性側鎖基に対して化学的に架橋結合させることによって付着させることが可能である。例えば、抗体は、遊離アミノ基またはカルボキシル基を含む基板に対して、グルタールアルデヒドまたはカルボジイミドを架橋剤として用いて化学的に架橋結合させることが可能である。この方法では、遊離抗体を含む水溶液を、グルタールアルデヒドまたはカルボジイミドの存在下に固相基板と共にインキュベートする。グルタールアルデヒドによって架橋結合するためには、反応剤は、容量で2%のグルタールアルデヒドと、バッファー、例えば、0.1Mカコジル酸ナトリウムpH7.4中でインキュベートすることが可能である。その他の標準的不動化化学技術は当業者には既知である。
N. 固相サンプル
固相サンプルとは、RNA分子、またはRNA配列が結合または接着された固相支持体である。RNA分子またはRNA配列は、RNAサンプルとして搬送されるのが好ましい。有用な形態の固相サンプルはアレイサンプルである。アレイサンプルは、複数の、異なるRNAサンプルが、アレイ、グリッド、またはその他の組織的パターン状に結合または接着される固相サンプルである。
固相サンプルに使用される固相基板は、RNA分子またはRNA配列が結合または接着されるものであれば任意の固体材料を含んでもよい。これは、例えば、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、金、ポリスチレン、ポリエチレンビニールアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、ポリアクチン酸、ポリオルトエステル、機能基化シラン、ポロプロピルフメレート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、およびポリアミノ酸のような材料が挙げられる。固相基板は、有用であれば、例えば、薄層フィルム、膜、びん、皿、線維、織線維、成形ポリマー、粒子、ビーズ、微粒子、または、それらの併用を含む任意の形のものであってよい。固相基板および固相支持体は、多孔性であっても、非多孔性であってもよい。チップは、長方形、または小型正方形の材料である。固相基板の好ましい形は、薄層フィルム、ビーズ、またはチップである。固相基板の有用な形態は、微量定量皿である。ある実施態様では、多数ウェルガラススライドが使用される。
開示の方法で生産される核酸は、適当であればどのようなやり方で固相基板に結合または接着されてもよい。例えば、ローリングサークル増幅、または、第1鎖cDNA分子の複数鎖変位増幅によって生成された核酸は下記のようにして付着させることが可能である。ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いて、反応で生成された核酸の3'末端に修正ヌクレオチドを付加し、この修正ヌクレオチドを、固相基板または支持体と反応させて、核酸を固相基板または支持体に付着させる。
有用な形の固相基板は、最大256種類の別々のRNAサンプルが小ドットのアレイとして接着されるガラススライドである。各ドットは0.1から2.5mm直径であることが好ましく、もっとも好ましくは直径約2.5mmである。このようなマイクロアレイは、例えば、Schena et al., Science 270:487-470(1995)によって記載される方法を用いて製作することが可能である。簡単に言うと、マイクロアレイは、プリントティップを備えたアレイ設置装置を用いてポリL-リシン被覆顕微鏡スライド(Sigma)の上に製作することが可能である。ティップには、例えば、96ウェル微量定量プレートから得た1μlのRNAサンプル(0.5 mg/ml)を負荷し、所望の間隔で、複数スライドの上にスライド当たり-0.005μlで滴下した。次に、このプリントスライドを、湿室で2時間再度水和させ100oC1分間で急速冷凍し、0.1%SDSで濯ぎ、50%1-メチル-2-ピロリドンおよび50%ホウ酸から成るバッファーで調製した0.05%無水コハク酸で処理した。次に、スライド上のRNAを、例えば、使用直前、蒸留水90oCで2分入れて変性させる。マイクロアレイ固相サンプルは、例えば、コンピュータ制御XYステージおよび顕微鏡対物レンズを備えたレーザー蛍光スキャナーで走査することが可能である。混合ガス複数ラインレーザーにより、複数の色素担体を継時励起することが可能である。
O. 逆転写酵素
開示の方法に有用な逆転写酵素は、逆転写活性を示す全てのポリメラーゼである。開示の方法で有用な触媒活性は、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性である。逆転写酵素は、RNAse H活性を持ってもよいが、RNAse 活性を欠如してもよい。第1鎖cDNA分子を合成するには、RNAse 活性を欠く逆転写酵素を使用するのが好ましい。次に、RNA鋳型を、RNAse Hによって、または、RNAse H活性を持つ逆転写酵素によって消化することが可能である。開示の方法は、一般に、第2鎖合成を含まないので、逆転写酵素は、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を持つ必要はない。大抵の逆転写酵素、例えば、モロニーマウス肉腫ウィルスから得られたもの(MMLV-RT)、トリ骨髄芽球症ウィルスからのもの(AMV-RT)、ウシ白血病ウィルスからのもの(BLV-RT)、ラウス肉腫ウィルス由来のもの(RSV)、および、ヒト免疫不全ウィルス由来のもの(HIV-RT)は、それぞれ独自のDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を持つ。第1鎖cDNA分子の合成に有用な逆転写酵素は、Superscript II逆転写酵素(Invitrogen)である。その他にも、開示の方法で使用が可能な、多くの逆転写酵素が知られる(例えば、Invitrogen, Clontech, Boehringer Mannheim Corp.、インディアナポリス、インディアナ州;Life Technologies, Inc.,ロックビル、メリーランド州;New England Biolabs, Inc.,ビバリー、マサチューセッツ州;Perkin Elmer Corp., ノーウォーク、コネティカット州;Pharmacia LKB Biotechnology, Inc., ピスカタウェイ、ニュージャージー州;Qiagen, Inc., バレンシア、カリフォルニア州;Stratagene、ラホヤ、カリフォルニア州から市販されている)。これらの活性の内の一つまたは二つを触媒する各種タンパク質を、cDNA合成反応に加えることが可能である。例えば、RNAse H活性は欠くが、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有するSuperscript IIは、RNAse 活性の供給源、例えば、大腸菌を含む細胞供給源から精製されたRNAse Hと一緒に加えてもよい。これらのタンパク質は、単一反応工程の際に一緒に加えてもよいし、2種以上の工程の際に継時的に加えてもよい。最後に、cDNA産物の収率を向上させる添加タンパク質を、cDNA合成反応に加えてもよい。そのようなタンパク質として各種DNAポリメラーゼ(例えば、下記の供給源由来のもの、すなわち、大腸菌、好熱細菌、古細菌、ファージ、酵母、アカパンカビ、ショウジョウバエ、霊長類、および、げっ歯類)、および、DNAリガーゼ(例えば、ファージ由来のもの、細胞供給源由来のもの、例えば、T4 DNAリガーゼ、および、大腸菌DNAリガーゼ)が挙げられる。
P. DNAポリメラーゼ
開示の方法のローリングサークル複製工程において有用なDNAポリメラーゼは、プライムされた環状鋳型のローリングサークル複製を実行しなければならない。そのようなポリメラーゼは、ローリングサークルDNAポリメラーゼと呼ばれる。ローリングサークル複製のためには、DNAポリメラーゼは、鋳型鎖に対して相補的な鎖を変位させることができ、鎖変位と呼ばれる、5′-3′エキソヌクレアーゼ活性を欠如することが好ましい。鎖変位は、環状化第1鎖cDNA分子の複数のタンデムコピーの合成を実現するのに必要である。5′-3′エキソヌクレアーゼ活性は、もしあると、合成鎖の破壊を招く可能性がある。開示の方法で使用されるDNAポリメラーゼは、要すれば、高度の加工性を持っていてもよい。開示の方法で用いられるDNAポリメラーゼの適性は、ローリングサークル複製を実行する能力を評価することによって簡単に定量することが可能である。好ましいローリングサークルDNAポリメラーゼは、バクテリオファージφ29 DNAポリメラーゼ(Blanco等に付与された米国特許第5,198,543および5,001,050号)、Bst DNAポリメラーゼ、VENTR DNAポリメラーゼ(Kong et al., J. Biol. Chem. 268:1965-1975(1933))、ThermoSequenaseTM、デルタTts DNAポリメラーゼ、Bca DNAポリメラーゼ(Journal of Biochemistry 113(3):401-10, 1993、3月)、ファージM2 DNAポリメラーゼ(Matusmoto et al., Gene 84:247(1989))、ファージφPRD1 DNAポリメラーゼ(Jung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:8287(1987))、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片(Jacobsen et al., Eur. J. Biochem. 45:623-627(1974))、T5 DNAポリメラーゼ(Chatterjee et al., Gene 97:13-19(1991))、PRD1 DNAポリメラーゼ(Zhu and Ito, Biochim. Biophys. Acta. 1219:267-276(1994))、修正T7 DNAポリメラーゼ(Tabor and Richardson, J. Biol. Chem. 262:15330-15333(1987); Tabor and Richardson, J. Biol. Chem. 264:6447-6458(1989); Sequenase (U.S. Biochemicals))、および、T4 DNAポリメラーゼホロ酵素(Kaboord and Benkovic, Curr. Biol. 5:149-157(1995))である。より好ましいのはバクテリオファージφ29 DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、VENTR DNAポリメラーゼ、ThermoSequenase、およびデルタTrs DNAポリメラーゼである。φ29 DNAポリメラーゼがもっとも好ましい。
鎖変位は、鎖変位因子、例えば、ヘリカーゼを用いることによって促進することが可能である。鎖変位因子の存在下にローリングサークル複製を実行することができるDNAポリメラーゼであれば、たとえそのような因子が不在の場合にはローリングサークル複製を実行できなくとも、どのようなものでも開示の方法において好適に使用される。開示の方法において有用な鎖変位因子としては、BMRF1ポリメラーゼ補助サブユニット(Tsurumi et al., J. Virology 67(12):7648-7653(1993))、アデノウィルスDNA結合タンパク質(Zijdeveld and van der Vliet, J. Virology 68(2):1158-1164(1994))、単純ヘルペスウィルスタンパク質ICP8(Boehmer and Lehman, J. Virology 67(2):711-715(1993); Skaliter and Lehman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(22):10665-10669(1994))、単一鎖DNA結合タンパク質(SSB、Rigler and Romano, J. Biol. Chem. 270:8910-8919(1995))、ファージT4遺伝子32タンパク質(Villemain and Giedroc, Biochemistry 35:14395-14404(1996)、およびコウシ胸腺ヘリカーゼ(Siegel et al., J. Biol. Chem. 267:13629-13635(1992))が挙げられる。
ポリメラーゼがローリングサークル複製を実施するための能力は、Fire and Xu, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 4641-4645 (1995) および米国特許第6,143,495号(実施例1)等に記載されている、ローリングサークル複製アッセイにおいてポリメラーゼを使用することにより測定することができる。
複数鎖変位増幅において有用なDNAポリメラーゼは、単独またはコンパチブル鎖変位因子と共に、複製中にハイブリダイズされた鎖を変位することが可能でなければいけない。このようなポリメラーゼは、ここで鎖変位DNAポリメラーゼと呼ばれる。鎖変位DNAポリメラーゼは、5' - 3'エキソヌクレアーゼ活性を欠如することが好ましい。鎖変位は標的配列の複数コピーの合成を実現するために必要である。5'-3'エキソヌクレアーゼ活性は、存在する場合には、合成鎖の破壊を招く可能性がある。また開示の方法で使用されるDNAポリメラーゼは、高度の加工性を持っていることが好ましい。開示の方法で使用されるDNAポリメラーゼの適性は、鎖変位複製を実行する能力を評価することによって簡単に測定することが可能である。好ましい鎖変位DNAポリメラーゼは、バクテリオファージφ29DNA(Blanco等に付与された米国特許第5,198,543および5,001,050号)、BstラージフラグメントDNAポリメラーゼ(Exo(-)Bst;Aliotta et al., Genet. Anal. (Netherlands) 12:185-195(1996))およびexo(-)Bca DNAポリメラーゼ (Walker and Linn, Clinical Chemistry 42:1604-1608 (1996))である。他の有用なポリメラーゼとしては、ファージM2 DNAポリメラーゼ(Matusmoto et al., Gene 84:247(1989))、ファージφPRD1 DNAポリメラーゼ(Jung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:8287(1987))、exo(-)VENTR DNAポリメラーゼ(Kong et al., J. Biol. Chem. 268:1965-1975(1996))、 DNAポリメラーゼIのクレノウ断片(Jacobsen et al., Eur. J. Biochem. 45:623-627(1974))、T5 DNAポリメラーゼ(Chatterjee et al., Gene 97:13-19(1991))、Sequenase (U.S. Biochemicals)、PRD1 DNAポリメラーゼ(Zhu and Ito, Biochim. Biophys. Acta. 1219:267-276(1994))、およびT4 DNAポリメラーゼホロ酵素(Kaboord and Benkovic, Curr. Biol. 5:149-157(1995))である。φ29 DNAポリメラーゼがもっとも好ましい。
鎖変位は、鎖変位因子、例えば、ヘリカーゼを用いることによって促進することが可能である。鎖変位因子の存在下にローリングサークル複製を実行することができるDNAポリメラーゼであれば、たとえそのような因子が不在の場合には鎖変位複製を実行できなくとも、どのようなものでも開示の方法において好適に使用される。開示の方法において有用な鎖変位因子としては、BMRF1ポリメラーゼ補助サブユニット(Tsurumi et al., J. Virology 67(12):7648-7653(1993))、アデノウィルスDNA結合タンパク質(Zijdeveld and van der Vliet, J. Virology 68(2):1158-1164(1994))、単純ヘルペスウィルスタンパク質ICP8(Boehmer and Lehman, J. Virology 67(2):711-715(1993); Skaliter and Lehman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(22):10665-10669(1994))、単一鎖DNA結合タンパク質(SSB、Rigler and Romano, J. Biol. Chem. 270:8910-8919(1995))、およびコウシ胸腺ヘリカーゼ(Siegel et al., J. Biol. Chem. 267:13629-13635(1992))が挙げられる。
ポリメラーゼが鎖変位複製を実行する能力は、鎖変位複製アッセイでそのポリメラーゼを用いることによって測定することが可能である。このようなアッセイは、使用される酵素の最適活性に好適な温度において実行される。例えば、φ29DNAポリメラーゼには32oC、エキソ(-)Bst DNAポリメラーゼには46から64oC、超好熱微生物由来の酵素には約60から70oCである。60から70oCのアッセイでは、プライマー長は延び、アッセイ温度に適当な融解点与える。ポリメラーゼ選択に有用なアッセイは、Kong et al., J. Biol. Chem. 268:1965-1975(1993)において記載されるプライマーブロックアッセイである。このアッセイは、M13 ssDNA鋳型を、伸長プライマーの上流にハイブリダイズされてその進行を阻止するオリゴヌクレオチドの存在下に、または、不在下に用いるプライマー伸長アッセイである。このアッセイにおいてブロックプライマーを変位させることが可能な酵素は、本開示の方法にとって有用であることが期待される。
Q. DNAリガーゼ
全てのDNAリガーゼが、本開示の増幅法に用いて好適である。好適な多くのリガーゼが既知である。例えば、T4 DNAリガーゼ(Davis et al., 「上級細菌遺伝学−遺伝子工学の手引き("Advanced Bacterial Genetics-A manual for Genetic Engineering")」、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1980))、大腸菌DNAリガーゼ(Panasnko et al., J. Biol. Chem. 253)4590-4592(1978)), AMPLIGASER (Kalin et al., Mutat. Res. 283(2):119-123(1992); Winn-Deen et al., Mol. Cell Probes (England) 7(3):179-186(1993))、Taq DNAリガーゼ(Barany, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193(1991))、Thermus thermophilus DNAリガーゼ(Abbott Laboratories), Thermus scotoductus DNAリガーゼ、および、Rhodothermus marinus DNAリガーゼ(Thorbjarnardottir et al., Gene 151:177-180(1995))。T4 DNAリガーゼが好ましい。
R. RNAポリメラーゼ
インビトロで転写を実行でき、プロモーター配列が特定されているRNAポリメラーゼであればいずれのものでも、開示の方法において、またはそれと共に使用が可能である。複雑な要求のない安定なRNAポリメラーゼが好ましい。もっとも好ましいのはT3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ(Davanloo et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:2035-2039(1984))、およびSP6 RNAポリメラーゼ(Butler and Chamberlin, J. Biol. Chem. 257:5772-5778(1982))である。これらは、特定のプロモーター配列に対して極めて特異的である(Schenborn and Meirendorf, Nucleic Acids Research 13:6223-6236(1985))。この特徴を持つその他のRNAポリメラーゼも好ましい。プロモーター配列は、一般に、特定のRNAポリメラーゼによって認識されるので、第1鎖cDNA分子および/またはTS-DNAは、使用されるRNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列を含んでいなければならない。多くのプロモーター配列が既知であり、特定されたプロモーター配列を持ち、好適であるならば、どのRNAポリメラーゼでも使用が可能である。RNAポリメラーゼ用のプロモーター配列は、確立された手段を用いて特定することが可能である。
S. オリゴヌクレオチド合成
環状化プローブ、cDNAプライマー、ローリングサークル複製プライマー、検出プローブ、アドレスプローブ、DNA鎖変位プライマー、およびどのようなオリゴヌクレオチドでも、確立したオリゴヌクレオチド合成法によって合成することが可能である。オリゴヌクレオチドを生産する、または合成するための方法はよく知られる。そのような方法としては、標準的な酵素消化後のヌクレオチド断片分離(例えば、Sambrook et al., 「分子クローニング、ラボラトリーマニュアル("Molecular Cloning: A Laboratory Manual")」、第2版、(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989), 5,6章参照)から、純粋な合成法、例えば、シアノエチルフォスフォラミダイト法によるものまで広がる。DNA断片の固相化学合成は、保護されたヌクレオシドシアノエチルフォスフォラミダイトを用いて通例として実施される(S.L. Beaucage et al. (1981) Tetrahedron Lett. 22:1859)。これにより、最初の5′保護ヌクレオシドの3′ヒロドキシル基がポリマー支持体に共有的に付着される(R.C. Pless et al. (1975) Nucleic Acid Res. 2:773(1975))。次に、オリゴヌクレオチドの合成は、付着されたヌクレオシドの5′ヒドロキシル基の脱保護から始まり、その後、進入するヌクレオシド-3′-フォスフォラミダイトの、脱保護ヒドロキシル基に対する結合が起こる(M.D. Matteucci et al. (1981) J. Am. Chem. Soc. 103:3185)。得られた亜リン酸トリエステルは最終的に酸化されてフォスフォロトリエステルとなり、ヌクレオチド-ヌクレオチド結合を完成する(R.L. Letsinger et al. (1976) J. Am. Chem. Soc. 9:3655)。あるいは、フォスフォロチオエート結合の合成は、亜リン酸トリエステルの硫化によって実行される。この反応を実行するにはいくつかの薬品を使用することが可能である。中でも、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン、1,1-ジオキシド(R.P. Iyer, W. Egan, J.B. Regan, and S.L. Beaucage, J. Am. Chem. Soc., 1990, 112, 1253-1254)が挙げられる。脱保護、結合、および酸化の工程は、所望の長さと配列のオリゴヌクレオチドが得られるまで繰り返される。他にも、オリゴヌクレオチドを生成する方法、例えば、H-フォスフォネート法(Hall et al. (1957) J. Chem. Soc. 3291-3296)、または、Ikuta et al., Ann. Rev. Biochem. 53:323-356(1984)(フォスフォトリエステルおよび亜リン酸トリエステル法)、および、Narang et al., Methods Enzymol., 65:610-620(1980)(フォスフォジエステル法)によって記載されるフォスフォトリエステル法がある。タンパク核酸分子は、既知の方法、例えば、Nielsen et al., Bioconjug. Chem. 5:3-7 (1994)によって記載される方法によって製造することが可能である。他の形態のオリゴヌクレオチド合成法が、米国特許第6,294,664と6,291,669号に記載されている。
オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、一般に、サブユニットブロックのサブユニットが、合成時に、オリゴヌクレオチド鎖に付加される順番に基づいて決定される。各付加ラウンドは、異なる、特定のヌクレオチド前駆物質、または、1種以上の異なるヌクレオチド前駆物質の混合物を含む。一般に、オリゴヌクレオチドの縮重またはランダム位置は、その位置に存在する可能性のあるヌクレオチド範囲を表すヌクレオチド前駆物質の混合物を用いることによって生み出すことが可能である。従って、AおよびTに対する前駆物質は、オリゴヌクレオチドのある特定位置について、もしもその位置がAとTに対して縮重となる筈であるなら、その位置に対する反応に含めることが可能である。完全に縮重の、すなわちランダムな位置に対しては、4種全てのヌクレオチドの前駆物質を含めることが可能である。完全にランダムなオリゴヌクレオチドは、各合成ラウンド毎に、4種全てのヌクレオチド前駆物質を含めることによって製造が可能である。縮重オリゴヌクレオチドは、別々の割合の別々のヌクレオチドを持たせることによっても製造が可能である。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、反応中に、所望の位置に様々なヌクレオチド前駆物質を用いることによって製造することが可能である。
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドの多くは、他のオリゴヌクレオチドまたは核酸のある部分に対し相補的となるように、それによって両者の間に安定なハイブリッドが形成されるように設計される。これらのハイブリッドの安定性は、既知の方法、例えば、Lesnick and Freier, Biochemistry 34:10807-10815 (1995), McGraw et al., Biotechniques 8:674-678(1990)、および、Rychlik et al., Nucleic Acids Res. 18:6409-6412(1990)に記載される方法によって計算することが可能である。
オリゴヌクレオチドは、合成カラム(Glen Research、スターリング、バージニア州)において、標準的β-シアノエチルフォスフォラミダイト結合化学を用いて、例えば、Perseptive Biosystems 8909 Expedite核酸合成システムによって合成することが可能である。新たに形成された亜リン酸塩の酸化は、例えば、硫化試薬3H-1,2-ベンゾチオール-3-オン-1,1-イドキシド(Glen Research)を用いることによって、または、第1および第2フォスフォラミダイト付加工程の後に標準的酸化試薬を用いることによって実行することが可能である。次に、このチオフォスフィチル化オリゴヌクレオチドを、例えば、30%水酸化アンモニウム水溶液(3.0ml)を55oCで16時間用いることによって脱保護し、OP 120 Savant Oligo Prep脱保護ユニットで2時間濃縮し、メーカーから支給されたプロトコールを用いてPD10セファデックスカラムで脱塩することが可能である。
ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチドは、標準β-シアノエチルフォスフォラミダイト結合化学を用い、dA+dC+dG+dT混合合成カラム(Glen Research、スターリング、バージニア州)においてPerseptive Biosystems 8909 Expedite核酸合成システムによって合成することが可能である。4種のフォスフォラミダイトは等比率で混合して、オリゴヌクレオチドの各位置における塩基をランダム化することが可能である。新たに形成された亜リン酸塩の酸化は、例えば、第1および第2フォスフォラミダイト付加工程の後に標準的酸化試薬を用いる代わりに、硫化試薬3H-1,2-ベンゾチオール-3-オン-1,1-イドキシド(Glen Research)を用いることが可能である。このチオフォスフィチル化オリゴヌクレオチドを、例えば、30%水酸化アンモニウム水溶液(3.0ml)を55oCで16時間用いることによって脱保護し、OP 120 Savant Oligo Prep脱保護ユニットで2時間濃縮し、メーカーから支給されたプロトコールを用いてPD10セファデックスカラムで脱塩することが可能である。
関係機能が維持されている限り、cDNAプライマー、環状化プローブ、ローリングサークル複製プライマー、検出プローブ、アドレスプローブ、DNA鎖変位プライマー、その他の全てのオリゴヌクレオチドは、修正ヌクレオチド(ヌクレオチド類縁体)によって構成されても、あるいは、含んでもよい。多くの修正ヌクレオチドが知られ、オリゴヌクレオチドとして用いられている。ヌクレオチド類縁体とは、塩基、糖、またはリン酸基のどれかに何らかの修飾を含むヌクレオチドである。塩基成分に対する修飾としては、A、C、G、およびT/Uの天然および合成による修飾を始め、様々のプリンまたはピリミジン塩基、例えば、ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)、および、2-アミノアデニン-9-イルを含む。修飾塩基としては、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよびその他の誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよびその他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンと2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(擬似ウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、および、その他の8置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、および、その他の5-ウラシルおよびグアニン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン、および3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。この他の塩基修飾体が、例えば、米国特許第3,687,808号、Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613, Sanghvi, Y.S., 15章、「アンチセンス研究と応用("Antisense Research and Applications")」、289-302ページ、Crooke, S.T. and Lebleu, B. ed., CRC Press, 1993に見出される。いくつかのヌクレオチド類縁体、例えば、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、および、N-2、N-6およびO-6置換プリン、例えば、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および、5-プロピニルシトシン、5-メチルシトシンは、2本鎖形成の安定度を増すことができる。その他の修正塩基は、普遍塩基として機能するものである。普遍塩基としては3-ニトロピロールと5-ニトロインドールが挙げられる。普遍塩基は正常塩基と置換するが、塩基ペアについて何ら偏向を持たない。すなわち、普遍塩基は、他のどの塩基とも塩基ペアを組むことができる。塩基修飾はよく、糖修飾、例えば、2'-O-メトキシメチルと組み合わせて起こり、2本鎖の安定度向上のような独特の性質実現することがある。ある範囲の塩基修飾を詳述し記載する米国特許は数多くある、例えば、4,845,205; 5,130,302; 5,134,066; 5,175,273; 5,367,066; 5,432,272; 5,457,187; 5,459,255; 5,484,908; 5,502,177; 5,525,711; 5,552,540; 5,587,469; 5,594,121, 5,596,091; 5,614,617、および5,681,941である。上記各特許の全体を、特に塩基修飾、その合成、用法、および、オリゴヌクレオチドおよび核酸への取り込みの記述に関して、参照することにより本明細書に含める。
ヌクレオチド類縁体はまた、糖成分の修飾を含むことが可能である。糖成分に対する修飾は、リボースおよびデオキシリボースの天然修飾を始め、合成修飾を含む。糖修飾は、2′位置における下記の修飾であるがただしそれらに限定されない、すなわち、OH; F; O-, S-, またはN-アルキル; O-, S-, またはN-アルキル; O-, S- またはN-アルキル;またはO-アルキル-O-アルキル、ここに、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または未置換のC1からC10のアルキル、C2からC10のアルケニルおよびアルキニルである。2′糖修飾はさらに下記を含むがだだしそれらに限定されない、すなわち、-O[(CH2)nO]mCH3, -O(CH2)nOCH3, -O(CH2)nNH2, -O(CH2)nCH3, -O(CH2)n-ONH2, -O(CH2)nON[(CH2)nCH3]]2 であり、ここに、nとmは1から約10である。
2′位置におけるその他の修飾としては下記が挙げられるがただしそれらに限定されない、すなわち、C1からC10の低級アルキル、置換低級アルキル、アルクアリル、アラルキル、O-アルクアリルまたはO-アラルキル、SH、SCH3、 OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3, ONO2, NO2, N3, NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルクアリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、リポーター基、介在因子、オリゴヌクレオチドの薬理動態特性を改善する基、オリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善する基、および、同様の特性を持つ他の置換基である。同様の修飾を、糖の他の位置、特に、糖の3′末端ヌクレオチドの3′位置、または、2′-5′連結オリゴヌクレオチドで、および、5′末端ヌクレオチドの5′位置において実行することが可能である。糖修飾体はさらに、架橋酸素における修飾体、例えば、CH2およびSを含むものを含む。ヌクレオチド糖類縁体はさらに、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル基を有する糖様体も含む。このような糖修飾構造の調製を教示する米国特許は数多くある。例えば、4,981,957; 5,118,800; 5,319,080; 5,359,044; 5,393,878; 5,446,137; 5,466,786; 5,514,785; 5,519,134; 5,567,811; 5,576,427; 5,591,722; 5,597,909; 5,610,300; 5,627,053; 5,639,873; 5,646,265; 5,658,873; 5,670,633; および5,700,920である。上記各特許の全体を、特に塩基修飾、その合成、用法、および、オリゴヌクレオチドおよび核酸への取り込みの記述に関して、参照することにより本明細書に含める。
ヌクレオチド類縁体はリン酸基で修飾されてもよい。リン酸基修飾体としては、二つのヌクレオチド間の連結が、フォスフォロチオエート、キラルフォスフォロチオエート、フォスフォロジチオエート、フォスフォトリエステル、アミノアルキルフォスフォトリエステル、メチルおよび他のアルキルフォスフォネートで3′-アルキレンフォスフォネートを含む、およびキラルフォスフォネート、フォスフィネート、フォスフォラミデートで3′-アミノフォスフォラミデートおよびアミノアルキルフォスフォラミデート、チオノフォスフォラミデート、チオノアルキルフォスフォネート、チオノアルキルフォスフォトリエステル、および、ボラノフォスフェートを含むように修飾されるものを含むが、ただしこれらに限定されない。二つのヌクレオチド間における、これらのリン酸、またはリン酸修飾体連結は、3′-5′連結、または、2′-5′連結を通じて実行可能であること、かつ、連結は極性逆転を含むことが可能であること、例えば、3′-5′から5′-3′へ、または、2′-5′から5′-2′への逆転あることが理解される。各種塩、混合塩、および、遊離酸形も含まれる。数多くの米国特許が、修飾型リン酸基を含むヌクレオチドの製造・使用法を教示する。例えば、3,687,808; 4,469,863; 4,476,301; 5,023,243; 5,177,196; 5,188,897; 5,264,423; 5,276,019; 5,278,302; 5,286,717; 5,321,131; 5,399,676; 5,405,939; 5,453,496; 5,455,233; 5,466,677; 5,476,925; 5,519,126; 5,536,821; 5,541,306; 5,550,111; 5,563,253; 5,571,799; 5,587,361;および5,625,050である。上記各特許の全体を、特に塩基修飾、その合成、用法、および、オリゴヌクレオチドおよび核酸への取り込みの記述に関して、参照することにより本明細書に含める。
ヌクレオチドは、単一修飾のみを含んでもよいがまた、成分の一つにおいて、異なる成分間において複数の修飾を含んでもよい。
ヌクレオチド置換基は、ヌクレオチドと類似の機能特性を有するが、リン酸基を含まない分子、例えば、ペプチド核酸(PNA)である。ヌクレオチド置換基は、相補核酸に対して、ワトソンクリック的またはフーグスティーン的に認識し、ハイブリダイズする(塩基ペアを形成する)が、リン酸基以外の基で連結される分子である。ヌクレオチド置換基は、適当な標的核酸と相互作用をする場合、2重螺旋型構造に合致することが可能である。
ヌクレオチド置換基は、リン酸基および/または糖成分を置換されたヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である。ヌクレオチド置換基は、標準的なリン原子を含まない。リン酸基の置換基としては、例えば、短い鎖のアルキルまたはシクロアルキルによるヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子、およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間連結、または、1種以上の短鎖ヘテロ原子またはヘテロ環ヌクレオシド間連結がある。これらは、モルフォリノ連結を有するもの(一部は、ヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサンバックボーン;スルフィド、スルフォキシド、およびスルフォンバックボーン;フォルムアセチルおよびチオフォルムアセチルバックボーン;メチレンフォルムアセチルおよびチオフォルムアセチルバックボーン;アルケン含有バックボーン;スルファメートバックボーン;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノバックボーン;スルフォネートおよびスルフォナミドバックボーン;アミドバックボーン;その他、混合N、O、SおよびCH2成分を有するものを含む。数多くの米国特許が、上記タイプのリン酸基置換基の製造・使用法を開示する。例えば、5,034,506; 5,166,315; 5,185,444; 5,214,134; 5,216,141; 5,235,033; 5,264,562; 5,264,564; 5,405,938; 5,434,257; 5,466,677; 5,470,967; 5,489,677; 5,541,307; 5,561,225; 5,596,086; 5,602,240; 5,610,289; 5,602,240; 5,608,046; 5,610,289; 5,618,704; 5,623,070; 5,663,312; 5,633,360; 5,677,437; および5,677,439であるが、これらに限定されない。上記各特許の全体を、特に塩基修飾、その合成、用法、および、オリゴヌクレオチドおよび核酸への取り込みの記述に関して、参照することにより本明細書に含める。
ヌクレオチドの糖とリン酸基の両方が、例えば、アミド型連結(アミノエチルグリシン)(PNA)によって置換が可能であることが理解される。米国特許第5,539,082;5,714,331;および、5,719,262は、PNA分子の製法と用法を教示する。このそれぞれを参照することにより本明細書に含める(Nielsen et al., Science 254:1497-1500(1991)をも参照)。
オリゴヌクレオチドはヌクレオチドから成り、様々なタイプのヌクレオチド、または、同じタイプのヌクレオチドから構成されることが可能である。例えば、オリゴヌクレオチドの1種以上のヌクレオチドは、リボヌクレオチド、2'-O-メチルリボヌクレオチド、または、リボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドの混合物であってもよい。ヌクレオチドの約10%から約50%はリボヌクレオチド、2′-O-メチルリボヌクレオチド、または、リボヌクレオチドおよび2'-O-メチルリボヌクレオチドの混合物であり;ヌクレオチドの約50%以上は、リボヌクレオチド、2′-O-メチルリボヌクレオチド、または、リボヌクレオチドおよび2'-O-メチルリボヌクレオチドの混合物であり;または、ヌクレオチドの全ては、リボヌクレオチド、2′-O-メチルリボヌクレオチド、または、リボヌクレオチドおよび2'-O-メチルリボヌクレオチドの混合物である。このようなオリゴヌクレオチドはキメラオリゴヌクレオチドと呼ばれる。
T. cDNAライブラリー
開示の方法は、RNAサンプルのcDNAライブラリーとなる複製鎖を生産するのに使用が可能である。このcDNAライブラリーは、任意の目的、例えば、配列の検出、プローブの生産、核酸アレイまたはチップの生産、および、他の核酸および/またはcDNAライブラリーとの比較を含めた目的のために使用が可能である。cDNAライブラリーは、1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部;1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部から生産されるタンデムDNAの全部または一部;1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部から生産されるタンデムDNAの全部または一部から生産されるタンデム反復ユニットの全部または一部;クローンcDNA分子であって、前記クローンcDNA分子は1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部から得られ、cDNA分子はベクターに挿入され、前記クローンcDNA分子は1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部から得られるクローンcDNA分子;クローンタンデム反復単位であって、前記クローンタンデム反復ユニットは1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部から得られ、タンデム反復ユニットはベクターに挿入され、前記クローンcDNA分子は1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部から得られるタンデム反復ユニットを含むことが可能である。開示のcDNAライブラリーを用いて、cDNAの転写物(例えば、タンデム配列転写物およびタンデム反復転写物)を生産することが可能である。
cDNAライブラリーを構成する、または、作製するのに使用が可能なタンデム反復ユニットは、2重鎖タンデム配列DNAから製造することが可能である。開示の方法で生産されるタンデム配列DNAは、本明細書の別箇所で記述した切断部位を含むことも可能である。この切断部位は、好ましくは各タンデム反復毎に1回だけ出現するものであるが、そのタンデム配列DNAを消化して単一タンデム反復ユニットに切断するのに使用することが可能である。単一タンデム反復ユニットは、単一RNA分子から成る事実上のcDNA分子である(すなわち、従来のcDNA分子の等価物である)。このタンデム反復ユニットは、操作し、使用し、保存し、クローニングし、従来のcDNAでできた全てのやり方でベクターに挿入することが可能である。開示の方法の重要な違いは、タンデム反復ユニットの数が、元の起源となったRNA分子の数をはるかに越えて増幅されていることである。このことは、開示の方法の高度の配列忠実度と増幅偏りの低いことと相俟って、他の技術によるものよりも、はるかに健全なcDNAライブラリーを提供する。開示の方法は、例えば、低量RNA分子についても忠実に代表するcDNAライブラリーを生産する。
他のRNAサンプルに関する同様に調製されたcDNAライブラリーによって、サンプル間の差を好適に検出することが可能となる。cDNAライブラリーは、関連RNAサンプルの検出と、RNAサンプル同士の比較の両方に使用することが可能である。例えば、特定の生物の存在または正体は、試験生物のcDNAライブラリーを生産し、得られたcDNAライブラリーを、既知の生物から調製された参照cDNAライブラリーと比較することによって検出することが可能である。遺伝子発現パターンにおける変化および差も、種々の細胞サンプル由来のmRNAからcDNAライブラリーを調製し、cDNAライブラリー同士で比較することによって検出することが可能である。複製鎖はまた、RNAサンプルの起源に対して特異的な、一組のプローブまたはプライマーを生産するのに使用することが可能である。複製鎖はまた、サンプルに存在する核酸配列のフィンガープリントして用いることもできる。cDNAライブラリーは、サンプルの関連mRNA内容全体が実質的に代表されるように、サンプルのmRNAから作り出される、または、導き出される。
cDNAライブラリーは、後の使用に備えて、保存し、文書化することが可能である。例えば、開示の方法で作製された複製鎖は、溶液として、凍結させて、アレイのような固相基板に付着・接着させて物理的に保存することが可能である。アレイでの保存は、対象となるサンプルの核酸から、文書化されたプローブセットを提供するのに有用である。別の例として、核酸フィンガープリントの、または、それから導き出された情報内容も保存することが可能である。このような情報は、例えば、コンピュータの読み取り可能な媒体の中に、または、媒体として保存することが可能である。cDNAライブラリーの情報内容の例としては、核酸配列情報(完全または部分的);配列が、あるサンプルには存在するが別のサンプルには存在しないといった核酸配列差分情報;例えば、核酸アレイ、セット、チップ、または他の複製鎖に対する、複製鎖のハイブリダイゼーションパターンがある。その他、cDNAライブラリー、および開示の方法で作製される複製鎖から得られる、または、導き出される数多くのデータも、収集し、使用し、セーブし、保存し、および/または、実行することが可能である。
cDNAライブラリーはまた、開示の方法で生成される情報から得られた他の情報を含む、または、から構成され、かつ、他の起源から得られた、または生成された情報と組み合わせることが可能である。開示の方法によって作製されたcDNAライブラリーの情報性は、既知のバイオインフォーマティクスシステムおよび方法との併用および/または分析を可能とする。
RNAサンプルのcDNAライブラリーは、他のサンプルから得られた類似のcDNAライブラリーと比較し、サンプル同士の類似点および相違点を検出する(サンプルの核酸の類似点と相違点を示す)ことが可能である。例えば、第1RNAサンプルのcDNAライブラリーを、第1RNAサンプルと同じタイプの生物から、同じタイプの組織から、同じ生物から、異なる時期の同じ起源から、異なる組織から、異なる生物株から、異なるの生物種から、異なるタイプの生物から得られたcDNAライブラリーと比較することが可能である。
同じタイプの組織とは、同じタイプの組織、例えば、肝臓組織、筋肉組織、または皮膚である(同じ、または別の生物体、別のタイプの生物体から得られたもの)。同じ生物体とは、同じ個体、動物、または細胞を指す。例えば、一人の患者から採取された二つのサンプルは、同じ生物体由来である。同じ起源は、似ているがもっと広く、例えば、同じ生物体由来のサンプル、同じ生物体由来の同じ組織、同じRNA分子、または同じcDNAライブラリーを指す。比較される、同じ起源のサンプルは、異なる時期に収集することが可能である(従って、時間の経過で生じた可能性のある変化を検出することが可能になる)。これは、処置または変化が状態に及ぼす作用を評価しなければならない場合に特に有用である。様々な処置を受けた同じ起源から得たサンプルを収集し、開示の方法を用いて比較することが可能である。異なる生物体とは、別の生物個体、例えば、別の患者、別の動物を指す。異なる生物体とは、同じタイプの別の生物体、または異なるタイプの生物体を含む。異なるタイプの生物体とは、異なるタイプの生物体同士、例えば、イヌとネコ、ヒトとマウス、または、大腸菌とサルモネラ菌を指す。異なるタイプの組織とは、異なるタイプの組織同士、例えば、肝臓と腎臓、または、皮膚と脳を指す。異なる株または種の生物体とは、その種または株表示において、その用語が従来技術で理解されているものとは異なる生物体を指す。
cDNA分子、タンデム配列DNA、およびcDNAライブラリーは、転写物を生産するのに用いることが可能である。そのような転写物としては、例えば、1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部から生産されるタンデムDNAの全部または一部から生産されるタンデム反復ユニットの全部または一部、および、1種以上のRNAサンプルから生産される第1鎖cDNA分子の全てまたは一部から生産されるタンデムDNAの全部または一部から生産されるタンデム反復ユニットの全部または一部から生産されるタンデム反復転写物の全部または一部が挙げられる。
U. キット
前述の物質を始めとして、他の物質も、適当に組み合わせて、開示の方法の効果を実行する、または支援するのに有用なキットとしてまとめてパックすることが可能である。キットの中のキット成分が表示され、開示の方法においてまとめて使用されるよう調整されているならば、それは好適である。例えば、開示されるものは、RNA配列増幅用キット、1種以上のcDNAプライマーと1種以上の環状化プローブを含むキットである。このキットはまた、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、ローリングサークル複製プライマー、DNA鎖変位プライマー、検出プローブ、ヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの組み合わせを含むことも可能である。
V. 混合物
開示されるのは、開示の方法を実行することによって、または実行を準備することによって形成される混合物である。例えば、開示されるのは、1種以上のcDNAプライマーと1種以上の環状化プローブ;タンデム配列DNA、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、1種以上のcDNAプライマー、および1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、タンデム配列DNA、1種以上のcDNAプライマー、および1種以上の環状化プローブ;2本鎖タンデム配列DNA、1種以上のcDNAプライマー、および1種以上の環状化プローブ;タンデム配列DNA、1種以上のcDNAプライマー、および1種以上の環状化プローブ;タンデム配列DNA、二次タンデム配列DNA、1種以上のcDNAプライマー、および1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、タンデム配列DNA、二次タンデム配列DNA、1種以上のcDNAプライマー、および1種以上の環状化プローブ;1種以上のRNAサンプル、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;タンデム配列DNA、1種以上のRNAサンプル、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、1種以上のRNAサンプル、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、タンデム配列DNA、1種以上のRNAサンプル、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;2本鎖タンデム配列DNA、1種以上のRNAサンプル、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;タンデム配列DNA、二次タンデム配列DNA、1種以上のRNAサンプル、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、タンデム配列DNA、二次タンデム配列DNA、1種以上のRNAサンプル、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;1種以上のタンデム反復ユニット、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;1種以上のタンデム反復ユニット、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;タンデム配列DNA、1種以上のタンデム反復ユニット、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、1種以上のタンデム反復ユニット、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、タンデム配列DNA、1種以上のタンデム反復ユニット、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;2本鎖タンデム配列DNA、1種以上のタンデム反復ユニット、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;タンデム配列DNA、二次タンデム配列DNA、1種以上のタンデム反復ユニット、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ;DNAポリメラーゼ、タンデム配列DNA、二次タンデム配列DNA、1種以上のcDNAプライマー、および、1種以上の環状化プローブ、を含む混合物である。
方法が、組成物、成分、または試薬を混合する、または接触させることを含む場合、方法の実行は、いくつかの異なる混合物を作製する。例えば、本法は、3回の混合工程を含み、各工程の後では、工程が別々に実行される場合、独特の混合物が形成される。さらに、工程がどのように実行されたかによらず、工程の全てについてその終了時には混合物が形成される。本開示は、開示の方法の働きによって得られた混合物を始め、例えば、本明細書に開示される試薬、組成物、または成分を含む混合物も考察する。
W. システム
開示されるのは、開示の方法を実行するために、または、その性能を支援するのに有用なシステムである。システムは一般に、製造品、例えば、構造体、機械、装置等、および、組成物、化合物、材料等との組み合わせを含む。このような組み合わせは開示されているし、または、開示の考察から明らかである。例えば、開示され、考察されるのは、固相支持体、および、cDNAプライマー、環状化プローブ、検出プローブ、アドレスプローブ、またはそれらの組み合わせである。
X. データ構造およびコンピュータ制御
開示されるのは、開示の方法で使用され、方法によって生成され、方法から生成されるデータ構造である。データ構造は、一般的に、任意の形式のデータ、情報、および/または、収集され、組織され、保存され、および/または、組成物または媒体に取り込まれた対象物である。電子形、例えば、RAM、または、保存用ディスクに保存されるcDNAライブラリーは、1種のデータ構造体である。
開示の方法、その任意の部分、または、その調製物は、コンピュータ制御によって制御し、管理し、またはその他のやり方で支援することが可能である。このようなコンピュータ制御は、コンピュータ制御過程または方法によって実現することが可能であり、データ構造体を使用および/または生成することが可能であり、コンピュータプログラムを使用することが可能である。このようなコンピュータ制御、コンピュータ制御過程、データ構造体、およびコンピュータプログラムは考察され、本明細書に開示されると理解しなければならない。
用法
開示の方法および組成物は、多くの領域に、例えば、細胞中に存在する核酸分析(例えば、細胞のRNA分析)、病気の検出、突然変異の検出、遺伝子の発見、遺伝子マッピング(分子ハプロタイピング)、および農業研究を含む領域に適用が可能である。特に有用なのは、遺伝子発現プロファイリングである。他の用法としては、例えば、分子ハプロタイピング;突然変異の検出;遺伝病の検出、例えば、嚢胞性線維症、筋ジストロフィー、糖尿病、血友病、鎌状赤血球貧血を含む病気の検出;ガン、例えば、前立腺ガン、乳ガン、肺ガン、結腸ガン、卵巣ガン、睾丸ガン、膵臓ガンに対する感受性素質の評価が挙げられる。
方法
開示されるのは、RNA分子の増幅法である。開示の方法は、RNA分子から得られた第1鎖cDNA分子を合成すること、第1鎖cDNA分子を環状化すること、および、ローリングサークル複製によって環状化第1鎖cDNA分子を複製することを含む。本法は、cDNA用プライマーと呼ばれるcDNA合成用の特別プライマー、および、環状化プローブと呼ばれる第1鎖cDNA分子環状化用の特別プローブの使用によって支援される。本法は、複数のRNA分子、例えば、サンプル中の全てのRNA分子、またはサンプル中の全てのRNA分子を複製し、増幅するために、あるいは、特定のRNA分子を複製し、増幅するために使用が可能である。環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製は、cDNA配列のタンデム反復を含む長いDNA鎖を生成する。ローリングサークル複製は、環状第1鎖cDNA分子の単一位置からプライミングすることが可能であるし、あるいは、複数部位からプライミングすることが可能である。プライミングがどこで起こっているかによらず、得られたタンデム配列DNAは、完全長cDNA配列のタンデム反復を含む。なぜなら、合成は、円の周囲で複数回続くからである。
ある形態の開示の方法では、第1cDNA鎖の合成をプライミングするのにcDNAプライマーが使用される。cDNAプライマーは、RNA相補部分とプローブ相補部分を含む。RNA相補部分は、RNAサンプルのRNA分子にハイブリダイズし、逆転写をプライミングする。得られた第1鎖cDNA分子は、その5′末端にcDNAプライマーを取り込む。第1鎖cDNA分子は、環状化プローブを用いて環状化される。環状化プローブは、プライマー相補部分と、cDNA相補部分とを含むことが可能である。プライマー相補部分は、cDNAプライマーのプローブ相補部分に対して相補的である。cDNA相補部分は、第1鎖cDNA分子の配列にハイブリダイズする。特に、cDNA相補部分は、第1鎖cDNA分子の3′末端配列にハイブリダイズする。このようにして、第1鎖cDNA分子の両端は接近し、ともに連結することが可能となる。
次に、環状化第1鎖cDNA分子は、ローリングサークル複製を介して増幅することが可能になる。ローリングサークル複製は、ローリングサークル複製プライマーによってプライミングすることが可能である。ローリングサークル複製は、第1鎖cDNA分子に対して相補的な相補部分を持つ。この相補部分はcDNAプライマーの配列に対して相補的であってもよく、環状化プローブの配列に一致してもよく、あるいはその両方であってもよい。この場合、ローリングサークル複製プライマーは、1本または若干本の第1鎖cDNA分子に対して特異的であってもよく、または、第1鎖cDNA分子を広く増幅するのに使用されてもよい(cDNAプライマーおよび/または環状化プローブにおけるプライマー相補/プライマー一致配列が、異なる第1鎖cDNA分子に対しては異なる(特異的)のか、または、異なる第1鎖cDNA分子に対して同じ(特異的でない)のかに応じて両者が使い分けられる)。あるいは、ローリングサークル複製プライマーは、1本または数本の第1鎖cDNA分子に対して特異的であってもよい。ランダム配列を持つローリングサークルプライマーは、環状第1鎖cDNA分子の多くの鎖に対して相補的となり、第1鎖cDNA分子を広く増幅するのに使用される。
単一鎖cDNAプライマーと単一環状化プローブを使用して、サンプルの全RNA分子を増幅することが可能である。例えば、cDNAプライマーは、ポリ(dT)、またはランダム配列、部分的ランダム配列、および/または、1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチドから成るRNA相補部分を含むことが可能である。cDNAプライマーのRNA相補体は、相補的なRNA配列、例えば、全mRNA(ポリ(dT)を使用した場合)、または、一般に全RNA分子(類型配列を用いた場合)にハイブリダイズする。このようにして、サンプルの全RNA分子を逆転写することが可能である。環状化プローブは、例えば、ポリ(dT)、またはランダム配列、部分的ランダム配列、および/または、1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチドから成るcDNA相補部分を含むことが可能である。cDNA相補部分の類型的性質により、cDNA相補部分は第1鎖cDNA分子の任意の配列、多くの配列、または、3'末端配列にハイブリダイズすることが可能になる。このようにして、環状化プローブは、RNAサンプルのRNA分子の増幅のために類型的であることも可能である。
単一ローリングサークル複製プライマーを使用して、サンプルの全RNA分子を増幅することが可能である。例えば、ローリングサークルプライマーは、第1鎖cDNA分子の多くの配列に対して相補的となるようランダム配列を持つことが可能である。あるいは、ローリングサークル複製プライマーは、cDNAプライマーの配列(すなわち、cDNAプライマーのプライマー相補部分)に対して相補的で、環状化プローブの配列(すなわち、環状化プローブのプライマー一致部分)に一致する相補部分を有することが可能である。さらに別法として、環状化プローブは、ローリングサークル複製プライマーとして使用することが可能である。このようにして、環状第1鎖cDNA分子を形成し、複数の環を複製するためには、単一cDNAプライマーと単一環状化プローブのみが必要とされる。cDNAプライマーはまた、二次DNA鎖変位プライマーとして働くことが可能であり、従って、この2種のオリゴヌクレオチドだけで指数関数型ローリングサークル増幅が可能となる。
タンデム配列DNAはまた、2本鎖として作製することが可能である。2本鎖タンデム配列DNAは、例えば、単位長cDNA配列を生産して、タンデム配列DNAを構成するのに使用が可能である。単位長cDNA配列の生産は、cDNAプライマーおよび/または環状化プローブの中に、切断部位、例えば、制限酵素に対する認識部位を含めることによって補佐することが可能である。2本鎖タンデム配列DNA、および特に単位長cDNA配列は、組み換えDNA技術および材料を用いてクローニングすることが可能である。単位長cDNA分子を含む、タンデム配列DNAとタンデム配列DNA断片は、cDNAライブラリーを構成することが可能である。各単位長のcDNA配列(すなわち、環状第1鎖cDNA分子から生産されたタンデム反復配列の内の一つ)は、一つのRNA分子のcDNA配列を表す。単位長cDNA配列(または、単一タンデム反復配列)は、タンデム反復単位と呼ばれる。
ローリングサークル複製によって生産されるタンデム配列DNAは、そこから対応RNAが複製されるDNAの陽性鎖に一致する。タンデム配列DNAの複製によってもたらされる二次タンデム配列DNAは、そこから対応RNAが複製されるDNAの陰性鎖に一致する。タンデム配列DNA鎖のその後の世代(例えば、三次タンデム配列DNAおよび四次タンデム配列DNA)も陽性か陰性のどちらかの鎖を表す。陽性鎖(例えば、タンデム配列DNA鎖)、または陰性鎖(例えば、二次タンデム配列DNA)のいずれも、開示の方法によって分離して生産することが可能である。これは、例えば、タンデム配列DNA鎖のみを合成することによって、または、2種類の鎖の内の一方を選択的に変質させることによって実現が可能である。
タンデム配列DNAはまた転写して、RNA分子の配列に相補的な、または一致的な配列を持つ転写物を生産することが可能である。タンデム配列DNAは直接転写して、タンデム配列転写物と呼ばれ、RNA配列(またはその相補体)のタンデム反復から成る長いRNA分子を生産することが可能である。単位長cDNA分子(すなわち、タンデム反復単位)も転写して、タンデム反復転写物と呼ばれ、単一RNA配列(またはその相補体)を含むRNA分子を生産することが可能である。
cDNA配列のさらに追加の増幅も、任意の適当な複製または増幅技術を用いて実現することが可能である。有用な増幅技術としては、ローリングサークル増幅技術、例えば、複数プライミングローリングサークル増幅、および指数関数型ローリングサークル増幅が挙げられる。環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製、およびローリングサークル増幅を、複数鎖変位増幅、およびその他の増幅技術と組み合わせ、特別な増幅産物を生産し、および/または、増幅収率をさらに向上させることが可能である。
開示の方法の一例を図1に示す。cDNAプライマー(配列番号3)は、mRNA分子(配列番号4)のポリ(a)領域にアニールする。cDNAプライマーの3′末端は、cDNA3′末端の2個の縮重ヌクレオチド位置(Ns)のために、転写配列の接合部およびmRNA分子のポリ(A)と揃う。cDNAプライマーはNot I切断部位を含む。逆転写によって直線的第1鎖cDNA分子が得られる。環状化プローブ(配列番号5)が加えられ、第1鎖cDNA分子が環状化される。環状化プローブは、cDNA相補部分としてランダム配列(Ns)を用いる。これによって、環状化プローブは、任意の第1鎖cDNA分子の環状化を仲介することが可能になる。環状化プローブは、Not I切断部位(プライマー相補部分に)を含む。次に、エキソヌクレアーゼ耐性ランダムヘキサマープライマーおよびφ29 DNAポリメラーゼを用いて、指数関数型ローリングサークル増幅により、環状第1鎖cDNA分子を増幅する。ヘキサマープライマーは、ローリングサークル複製プライマーとしても、二次DNA鎖変位プライマーとしても働く。ヘキサマープライマーは、第1鎖cDNA分子の複数位置にハイブリダイズするので、増幅は、1種の複数プラミングローリングサークル増幅となる。ローリングサークル増幅は2本鎖タンデム配列DNAをもたらす。タンデム配列DNAはNot Iによって切断され、単一タンデム反復単位を生産する。なぜなら、Not I部位は、各タンデム反復ユニットの間に出現するからである(cDNAプライマーのNot I部位を、第1鎖cDNA分子の中に取り込んでいるため)。こうして生産されたタンデム反復単位は、前記mRNA分子のcDNAライブラリーを表す。タンデム反復単位は、直接に、または、ベクターにクローニングして、従来のcDNAライブラリーを生産することが可能である。
開示の方法で生産されるタンデム配列DNAは、直接使用することも(例えば、配列検出のために)、さらに増幅すること、クローニングすること、または、その他の目的のために使用することが可能である。開示の方法で、RNAサンプルから生産されたタンデム配列DNA分子は、前記サンプル中に存在したRNA配列の全部または一部を表す配列を含むことが可能である。例えば、開示の方法を用いて、RNAサンプル中の全RNA分子、RNAサンプル中の全mRNA分子、または、RNAサンプル中の選択されたRNA分子に由来する環状第1鎖cDNA分子(従って、タンデム配列DNA)を生産することが可能である。
A. cDNA合成
第1鎖cDNA分子は、cDNAプライマーによってプライミングされたRNA分子の逆転写によって生産される。逆転写は、任意の既知の技術を用いて実行が可能である。逆転写は、RNA配列に対するDNA相補体の生産を含む。逆転写は、RNAを複製の鋳型として用いるDNAポリメラーゼである、逆転写酵素によって仲介される。多くの逆転写酵素は、RNA依存性DNAポリメラーゼである。逆転写反応はよく知られているが、好適であればどのような条件も、開示の方法においてRNA分子の逆転写に使用が可能である。開示の方法は一般的に、第1鎖cDNA合成のみを含む。このために、第2鎖cDNA合成に用いられる技術および操作は、一般に開示の方法に適用できない。しかしながら、第1鎖cDNA分子は、2本鎖cDNAから得て、開示の方法に使用する(すなわち、環状化し、増幅すること)ことが可能である。
cDNAプライマーのRNA相補部分は、RNAサンプル中のどのRNA分子が転写されるかを決定する。例えば、もしもcDNAプライマーのRNA相補部分がランダムな配列を持つ場合、または、1種以上のヌクレオチドと塩基ペアを形成することが可能なヌクレオチド(例えば、普遍的ヌクレオチド、またはイノシン)から構成されている場合、そのcDNAプライマーは、任意のRNA分子または配列にハイブリダイズする、または、その逆転写をプライミングすることが可能である。ランダムな配列である、1種以上のヌクレオチドと塩基ペアを形成することが可能なヌクレオチドから構成される、またはそれらの組み合わせである配列は、類型配列と呼ばれる。cDNAプライマーのRNA相補部分には、部分的にランダムな、または縮重配列を使用することも可能である。これによって、複数のRNA分子および配列の転写を促進するが、必ずしも全てのRNA分子の転写を促進するわけではないcDNAプライマーが得られる。
cDNAプライマーのRNA相補部分がポリ(dT)を含む場合、cDNAプライマーは、ポリアデニル化RNA分子、例えば、mRNAにハイブリダイズする、または、その逆転写を促進する。このようなcDNAプライマーは、ポリ(A)cDNAプライマーと呼ばれる。RNAサンプル中のポリアデニル化RNA分子のみから第1鎖cDNA分子を生産することは有用である。なぜなら、このようなRNA分子は、遺伝子発現および発現プロファイリングに関係するからである。特異的配列は、RNA相補部分のポリ(dT)を含むcDNAプライマー(すなわち、ポリ(A)cDNAプライマー)の3′末端に使用することが可能である。そうすることによって、あるポリアデニル化RNA分子に対して特異的で、RNA分子の末端から転写を促進するcDNAプライマー(RNA分子の完全長cDNA配列の入手を可能とする)が得られる。特異的配列とポリ(dT)配列の結合は、転写が、特異的RNA配列とポリ(A)尾部との接合部において促進されることを確実にする。さらに、特異的配列は、ポリ(A)接合部にその配列を持つRNA分子のみが転写促進されるように指定する。
RNA相補部位のポリ(dT)を含むcDNAプライマーの3′末端にランダム配列(または、1種以上のヌクレオチドと塩基ペアを形成することができるヌクレオチド)用いることによって、ポリアデニル化RNA分子全体の転写において同様の効果が実現される。このcDNAプライマーは、全てのRNA分子についてその末端からの転写を促進する(RNA分子の完全長cDNA配列の入手を可能とする)。類型配列とポリ(dT)配列の併用によって、転写が、特異的RNA配列とポリ(A)尾部の接合部で促進されることが確保される。類型配列は、プライマーが、任意のポリ(A)接合配列にハイブリダイズすることを可能とするので、このcDNAプライマーを用いて、ポリ(A)接合部から(従って、完全長が予想される)ポリアデニル化RNA全体の第1鎖cDNA分子を生産することが可能となる。このようなcDNAプライマーは、接合部特異的ポリ(A)cDNAプライマーと呼ばれる。
cDNAプライマーのRNA相補部位が特異的配列を持つ場合、cDNAプライマーは、特異的RNA分子および配列にハイブリダイズし、その逆転写を促進する。このようなcDNAプライマーは、特異的cDNAプライマーと呼ばれる。特異的cDNAプライマーは、特異的RNA分子から第1鎖cDNA分子を生産するのに有用である。それはまた、ある特定のセットの、対象となるRNA分子から第1鎖cDNA分子を生産するために、数セットの特定のcDNAプライマーを用いるのにも有用である。
開示の方法のある実施態様では、複数のRNA分子を逆転写することが可能である。この複数の異なるRNA分子は、対象となる供給源から得られた、または、その中に存在するセットのRNA分子を含んでもよい。そのような供給源としては、例えば、細胞、組織、または、他の任意のRNA供給源が挙げられる。開示の方法はまた、細胞、組織、または、RNAサンプルの供給源の状態または病態に関連する複数の、異なるRNA分子を含むことが可能である。開示の方法のある実施態様では、複数の異なるRNA分子は、対象となる供給源から得たRNA分子カタログを表すセットのRNA分子を含む。開示の方法はまた、1種以上の対象となる供給源から得たセットのRNA分子を含む複数の異なるRNA分子を含んでもよい。本法に使用されるRNA分子は、RNAサンプル中に存在することも可能である。
B. 環状化操作
第1鎖cDNA分子は、環状化プローブを用いて環状化される。環状化プローブは、プライマー相補部分とcDNA相補部分を含むことが可能である。プライマー相補部分は、cDNAプライマーのプローブ相補部分に対して相補的である。cDNA相補部分は、第1鎖cDNA分子の配列にハイブリダイズする。特に、cDNA相補部分は、第1鎖cDNA分子の3′末端にハイブリダイズする。このようにして、第1鎖cDNA分子の両端は、連結されるように接近させられる。両端は、結合または連結のためにどのような立体配置で接近させられてもよい。第1鎖cDNA分子の両端がそれぞれ環状化プローブにハイブリダイズし、それによって、第1鎖cDNAの5′および3′末端ヌクレオチドが環状化プローブの直近ヌクレオチドと塩基ペアを形成したならば、それは特に好都合である。
直線的第1鎖cDNA分子の両端は、複製・増幅が可能なcDNA分子を生産することができる限りどのようなやり方で接合または結合していてもよい。一般に、これは、末端のヌクレオチド間におけるフォスフォジエステル結合の形成を含む。このような結合は、好適であればどのようなやり方でも、例えば、リガーゼによる酵素によって実現されてもよい。連結反応はよく知られているが、適当でありさえすれば、どのような条件でも、開示の方法における第1鎖cDNA分子の連結に使用が可能である。両端はまた、得られたcDNA分子が複製の鋳型として働くのであれば、非リン酸基連結および結合によって接合または結合されてもよい。
環状化プローブのcDNA相補部分は、どの第1鎖cDNA分子が環状化されるかを決定する。例えば、環状化プローブのcDNA相補部分がランダム配列を持ち、または、1種以上のヌクレオチドと塩基ペアを形成することが可能なヌクレオチド(例えば、普遍ヌクレオチド、またなイノシンのような)から構成されているならば、その環状化プローブは、任意の第1鎖cDNA分子にハイブリダイズする、または、その環状化を仲介することが可能である。このような環状化プローブは、類型環状化プローブと呼ばれる。環状化プローブのcDNA相補部分には、部分的にランダムな、または縮重配列も使用が可能である。これによって、複数の第1鎖cDNA分子と配列の環状化を仲介するが、必ずしも全ての第1鎖cDNA分子の環状化を仲介するとは限らない環状化プローブが得られる。この効果を用いて、環状化プローブが環状化を仲介する第1鎖cDNA分子を制限することが可能である。
環状化プローブのcDNA相補部分が特定の配列を有する場合、その環状化プローブは、特定の第1鎖cDNA分子にハイブリダイズし、かつ、その環状化を仲介することが可能である。このような環状化プローブは、特異的環状化プローブと呼ばれる。特異的環状化プローブは、特異的第1鎖cDNA分子、または、特異的形態の第1鎖cDNA分子を環状化するには有用である。ある特定のセットの、対象となる直線的第1鎖cDNA分子から環状第1鎖cDNA分子を生産するために、数セット特定の環状プローブを用いることも有用である。これは、例えば、特定のRNA分子の完全長第1鎖cDNA分子の環状化を支援するために、または、特定の3′末端配列を持つ第1鎖cDNA分子の環状化を支援するために有用である可能性がある。
第1鎖cDNA分子の環状化は、多くの形態の開示法のひとつの到達点ではあるけれども、第1鎖cDNA分子はまた別の方法で操作することが可能である。ある形の開示法では、第1鎖cDNA分子は、共に連結されてコンカテマーを形成する。環状化プローブは、例えば、環状化プローブのプライマー相補部分が、一つの第1鎖cDNA分子のプローブ相補部分とハイブリダイズし、環状化プローブのcDNA相補部分が、別の第1鎖cDNA分子のcDNA配列とハイブリダイズすると、このコンカテマー形成を仲介することが可能である。開示の方法の環状化操作は、使用条件に応じて、4種の、第1鎖cDNA産物の内の一つ、またはその組み合わせの生産を実現する。すなわち、環状第1鎖cDNA分子、環状第1鎖cDNAコンカテマー、環状化されない第1鎖cDNA分子、および、環状化されない第1鎖cDNAコンカテマーである。
第1鎖cDNAコンカテマーは、複数鎖変位増幅(および/または適当な増幅技術)によって増幅することが可能である。環状化した第1鎖cDNAコンカテマーは、ローリングサークル増幅によって増幅することが可能である。環状第1鎖cDNA分子および/または第1鎖cDNAコンカテマーのローリングサークル複製は、未環状化第1鎖cDNA分子および/または未環状化第1鎖cDNAコンカテマーの複数鎖変位増幅によって同時に実行することが可能である。多くの形態の開示の方法では、未環状化第1鎖cDNA分子は増幅されない、または、効果的に増幅されない。
C. 増幅操作
開示の方法における増幅操作の基本形は、環状第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製である。ローリングサークル増幅は一般に、第1鎖cDNA分子のプライマー相補部分に対して相補的な1種以上のローリングサークル複製プライマー、およびローリングサークルDNAポリメラーゼの使用を必要とする。このDNAポリメラーゼは、所望の期間進行するローリングサークル重合反応においてプライマー伸長と鎖変位を触媒し、第1鎖cDNA分子に対して相補的な配列の、多数のタンデムコピーを含む大規模なDNA分子を生成する。ある形態の開示の方法は、増幅反応においてローリングサークルプライマーと、二次DNA鎖変位プライマーを用いる。
複数プライミングRCAでは、1種以上のローリングサークル複製プライマーが、第1鎖cDNA分子の様々な場所でアニールし、複数複製フォークを形成する。各鎖が成長するにつれて、DNAポリメラーゼは、隣接複製鎖に遭遇し、それを第1鎖cDNA分子からずらす。結果、同時に生産される各第1鎖cDNA分子の複数コピーが得られる。複数プライミングRCAは、単一プライマー(第1鎖cDNA分子の複数部位においてハイブリダイズする)、または、複数プライマー(それぞれが、第1鎖cDNA分子の単一部位、または、第1鎖cDNA分子の複数部位にハイブリダイズすることが可能である)。複数プライミング(MPRCAに見られるように)は、RCAによる増幅産物の収率を増す。プライマーは、環状鋳型の複数箇所にアニールし、ポリメラーゼによる伸長産物は各箇所から起動される。このようにして、複数伸長が、単一鎖cDNA分子から同時に実現される。
ローリングサークル複製を始めとして、増幅操作は、付加的核酸複製または増幅過程を含む。例えば、TS-DNAそのものも複製されて二次TS-DNAを形成する。この過程は、二次DNA鎖変位と呼ばれる。ローリングサークル複製と二次DNA鎖変位の組み合わせは、1種の直線的ローリングサークル増幅(LRCA)である。結果は、2本鎖タンデム配列DNAである。2本鎖タンデム配列DNAは、どのような目的のためにでも、例えば、配列の検出、配列決定、クローニング、および、cDNAライブラリーの形成を含めた目的のためにも使用が可能である。
二次TS-DNAそのものは複製されて、三次DNA鎖変位と呼ばれる過程において三次TS-DNAを形成することが可能である。二次および三次DNA鎖変位は、継時的にも、同時的にも実行が可能である。同時に実行される場合、結果は鎖変位カスケード増幅である。ローリングサークル複製と鎖変位カスケード増幅の組み合わせは、指数関数型ローリングサークル増幅(ERCA)と呼ばれる。二次TS-DNA、および三次TS-DNA、または、その両方は、転写によって増幅が可能である。指数関数型ローリングサークル増幅は、好ましい形の増幅操作である。
直線的第1鎖cDNAコンカテマーの増幅には、複数鎖変位増幅を用いることが可能である。複数鎖変位増幅は、プライマーの第1鎖cDNA分子に対するハイブリダイゼーション、および、ハイブリダイズされたプライマーによって促進される第1鎖cDNAの複製を含む。複製時、成長する複製鎖は、他の複製鎖を、鎖変位複製によって、第1鎖cDNA分子(または、別の複製鎖)から移動させる。本明細書で用いる複製鎖とは、第1鎖cDNA分子、または別の複製鎖にハイブリダイズしたプライマーの伸長によって得られた核酸鎖である。鎖変位複製とは、複製鎖の成長端が、別の鎖に遭遇し、別の鎖を鋳型鎖から(別の複製鎖から)変位させるDNA複製を指す。他の複製鎖による複製鎖の変位は、複数鎖変位増幅の特徴である。
開示の方法で生産されるタンデム配列DNAは、任意の目的に使用が可能である。有用な目的としては、例えば、特定のRNA分子および/または配列の検出;RNA分子および/または配列集団またはセットの検出;特定のRNA分子および/または配列の分析または配列決定;RNA分子および/または配列集団またはセットの分析または配列決定;RNA分子および/または配列集団またはセットの分類整理;タンデム配列DNAをプローブ、マーカー、ハイブリダイゼーションプローブ、プライマー、またはそれらの組み合わせとして使用すること;特定のRNA分子および/または配列のクローニング;RNA分子および/または配列集団またはセットのクローニングが挙げられる。従って、例えば、本開示の方法で生産されるタンデム配列DNAを用いて、様々の細胞、組織、および/またはサンプルで発現されるRNA分子および/または配列を特定または分析し、様々の細胞、組織、および/またはサンプルで発現されるRNA分子および/または配列を比較することが可能である。タンデム配列DNAはハイブリダイゼーションアッセイに使用される。
1. ローリングサークル増幅
開示の方法はローリングサークル増幅を含む。ローリングサークル増幅とは、核酸増幅反応であって、環状の核酸鋳型(本明細書では、環状第1鎖cDNA分子)が、環状鋳型配列のタンデム反復を含む1本の長い鎖として複製される増幅反応を指す。この、最初の、直接に生産されるタンデム反復鎖は、タンデム配列DNA(TS-DNA)と呼ばれ、その生産法はローリングサークル複製と呼ばれる。開示の方法では、このタンデム配列DNAは、元々のRNA分子の配列に一致する配列を有する。従って、タンデム配列DNAは、陽性鎖(元のRNA分子がそれから転写されたDNA鎖の陽性鎖に類似する)に一致する。ローリングサークル増幅とは、ローリングサークル複製と、ローリングサークル複製と付加形態の増幅を含む過程の両方を指す。例えば、タンデム配列DNAは複製されて、二次タンデム配列DNAと呼ばれる相補鎖を形成することが可能である。今度は、二次タンデム配列DNAが複製されて、と言う風に同じ過程が繰り返される。タンデム配列DNAはまた転写することも可能である。第1タンデム配列DNA(すなわち、ローリングサークル複製によって生産される複製鎖)のみの生産に与るローリングサークル増幅を、直線的ローリングサークル増幅と呼ぶことも可能である(「直線的」とは、増幅の、一般的な増幅動態を指す)。第1タンデム配列DNAのみの生産はまた、陽性鎖増幅と呼ぶことも可能である。なぜならば、この増幅は、陽性鎖cDNA分子(タンデム配列DNA)をもたらすからである。
ローリングサークル増幅が関与する場合、ローリングサークルプライマーと環状鋳型が会合していなければならない。これは通常、1本以上の環状第1鎖cDNA分子を、ローリングサークル複製プライマーと、ローリングサークル複製プライマーと第1鎖cDNA分子との会合を促進する条件下で混合することによって行われる。第1鎖cDNA分子の複製を行うには、通常、第1鎖cDNA分子とローリングサークルプライマーとは、第1鎖cDNA分子の複製を促進する条件下でインキュベートされ、その際、第1鎖cDNA分子の複製はタンデム配列DNAの形成をもたらす。本開示の方法で使用されるローリングサークル増幅には数多くの変法がある。ローリングサークル増幅の、いくつかの有用な変法が、例えば、米国特許第5,563,912、6,143,495、および6,316,229号に記載される。ある実施態様では、タンデム配列DNAそのものが複製され、または別のやり方で増幅される。
2. DNA鎖変位(strand displacement)
DNA鎖変位は、TS-DNAを増幅するための一つの方法である。二次DNA鎖変位は、二次DNA鎖変位プライマーをTS-DNAにハイブリダイズさせ、DNAポリメラーゼが、このプライミング部位からDNAを合成できるようにすることによって実現される(米国特許第6,143,495号の図11参照)。二次DNA鎖変位プライマーの相補体は、TS-DNAの各反復体にあるので、二次DNA鎖変位は、高レベルの増幅をもたらすことが可能である。二次DNA鎖変位は、二次タンデム配列DNAまたはTS-DNA-2と呼ばれる。二次DNA鎖変位は、RCAを実行してTS-DNAを生産し、二次DNA鎖変位プライマーをTS-DNAと混合し、タンデム配列DNAの複製を促進する条件下でインキュベートすることによって実現が可能である。
二次DNA鎖変位は、ローリングサークル複製と同時に行うことも可能である。これは、ローリングサークル複製の前に、二次DNA鎖変位プライマーと反応系とを混合することによって実現される。二次DNA鎖変位プライマーが伸長するにつれて、DNAポリメラーゼが、次にハイブリダイズされる二次DNA鎖変位分子の5′末端に進入し、その5′末端を変位させる。このようにして、伸長するDNAポリメラーゼのタンデム列がTS-DNA鋳型の上に形成される。ローリングサークル増幅が続く限り、新しい二次DNA鎖変位プライマーおよび新しいDNAポリメラーゼが、TS-DNAのローリングサークル成長端に付加される。TS-DNA-2の生成、および、鎖変位によるその溶液への放出は、米国特許第6,143,495号の図11に模式的に示される。ローリングサークル複製と二次DNA鎖変位の同時進行のためには、ローリングサークルDNAポリメラーゼが二つの複製に使用されることが好ましい。これによって、最適条件の使用が可能となり、他の、下流で合成される鎖の変位が実現される。
一般に、二次DNA鎖変位は、RCAと同時に、または、その後に、二次DNA鎖変位プライマーを反応混合液と混合し、タンデム配列DNAと二次DNA鎖変位プライマーの間のハイブリダイゼーション、および、タンデム配列DNAの複製の両方を促進する条件下でインキュベートし、タンデム配列DNAの複製が、二次タンデム配列DNAの形成をもたらすようにすることによって実行が可能である。
二次DNA鎖変位を、三次DNA鎖変位プライマー(または、等価プライマー)の存在下に実行すると、TS-DNA配列の指数関数的増幅が起こる。この特別モードのDNA鎖変位は、鎖変位カスケード増幅(SDCA)と呼ばれ、指数関数型ローリングサークル増幅(ERCA)の一つの形式である。SDCAでは、前述のように、二次DNA鎖変位プライマーは、TS-DNAの複製を促進してTS-DNA-2を形成する。次に、三次DNA鎖変位プライマーは、TS-DNA-2にハイブリダイズし、その複製を促進して、TS-DNA-3を形成する。成長する、隣接TS-DNA-3によるTS-DNA-3の鎖変位によって、TS-DNA-3が、二次DNA鎖変位プライマーによってハイブリダイズされる態勢となる。これは、さらにもう1回の複製を構成し、TS-DNA-4(TS-DNA-2と等価的)をもたらす。次に、TS-DNA-4は、三次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされるDNA複製の鋳型となる。このようにしてカスケードは、反応が停止するか、または試薬が限界に達するまで続く。この反応は、DNAをほとんど指数関数的速度で増幅する。有用モードのSDCAでは、ローリングサークル複製プライマーが三次DNA鎖変位プライマーとして働き、そのために別のプライマーを用意するという必要がなくなっている。二次配列DNAから先の、追加の形のタンデム配列DNAは、本明細書ではまとめて高次タンデム配列DNAと呼ばれる。高次タンデム配列DNAは、TS-DNA-3、TS-DNA-4、および、二次タンデム配列DNAの複製によって生産される、他の任意のタンデム配列DNA、または、そのような複製の産物を含む。
このモードでは、ローリングサークル複製プライマーは、成長するTS-DNA-2鎖に対する急速プライミングを実行するのに十分な高濃度で使用しなければならない。SDCAの効率を最適なものとするためには、十分な濃度の二次DNA鎖変位プライマーおよび三次DNA鎖変位プライマーを使用し、成長するTS-DNAの十分に速いプライミングを実行し、TS-DNAが、その相補TS-DNAに対して結合するのを競合して凌ぐほどであるのが好ましい。プライマー濃度の最適化は、米国特許第6,143,495号に記載されているが、ハイブリダイゼーション速度の分析によって補佐することが可能である(Young and Anderson, 「溶液ハイブリダイゼーションの定量分析("Quantitative analysis of solution hybridization")」、「核酸ハイブリダイゼーション:実行法("Nucleic Acid Hybridization: A Practical Approach")」における、IRL Press, 1985, pp. 47-71)。
一般に、鎖変位カスケード増幅は、RCAと同時に、または、その後に、二次DNA鎖変位プライマーと三次DNA鎖変位プライマーを反応混合液と混合し、タンデム配列DNAと二次DNA鎖変位プライマーの間のハイブリダイゼーション、および、タンデム配列DNAの複製−タンデム配列DNAの複製は、二次タンデム配列DNAの形成をもたらす;二次タンデム配列DNAと三次DNA鎖変位プライマーの間のハイブリダイゼーション、および、二次タンデム配列DNAの複製−二次タンデム配列DNAの複製は、三次タンデム配列DNA(TS-DNA-3)の形成をもたらす−を促進する条件下でインキュベートすることによって実行が可能である。
二次および三次DNA鎖変位はまた継時的に実行することも可能である。第1回の二次DNA鎖変位の後で、三次DNA鎖変位プライマーを、二次タンデム配列DNAと混合し、二次タンデム配列DNAと三次DNA鎖変位プライマーの間のハイブリダイゼーション、および、二次タンデム配列DNAの複製を促進する条件下でインキュベートしてもよい。それによって、二次タンデム配列DNAの複製が、三次タンデム配列DNA(TS-DNA-3)の形成をもたらす。この回の鎖変位複製は、三次DNA鎖変位と呼ぶことが可能である。一方、ローリングサークル複製後の鎖変位複製の全ラウンドをまとめて、DNA鎖変位、または二次DNA鎖変位と呼ぶことも可能である。
修正型の二次DNA鎖変位は、TS-DNAの増幅をもたらすが、反対鎖増幅(OSA)と呼ばれる。OSAは、TS-DNA-2に対するハイブリダイゼーションを阻止する特別形のローリングサークル複製プライマーが使用されることを除いては、二次DNA鎖変位と同じである。反対鎖増幅は、米国特許第6,143,495号に記載される。
DNA鎖変位によって生成されるDNAは、TS-DNAで使用されると前述したものと同じラベル、標識法、および検出法を用いて標識および/または検出することが可能である。開示の方法では、一般に、検出はDNA鎖変位中に行われ、好ましくは、蛍光変化プローブおよび/またはプライマーによって実行される。例えば、二次DNA鎖変位プライマーおよび/または三次DNA変位プライマーは蛍光変化プライマーとすることも可能である。別の、または、補足のやり方として、蛍光変化プローブである検出プローブも使用が可能である。
ローリングサークル複製プライマーと二次DNA鎖変位プライマーで、前者は5′リン酸基、後者は5′ヒドロキシル基となるプライマーを用いることによって、陽性であれ、陰性であれ、単一種類のcDNA鎖をDNA鎖変位によって生産することが可能である。奇数世代のタンデム配列DNA(例えば、TS-DNA-1, TS-DNA-3, TS-DNA-5)は、鋳型第1鎖cDNA分子において元のRNA分子の配列に合致する配列を持つ。これらは全て、陽性鎖cDNA分子に一致する。偶数世代タンデム配列DNA(例えば、TS-DNA-2, TS-DNA-4, TS-DNA-6)は、鋳型第1鎖cDNA分子において元のRNA分子の配列に対して相補的な配列を持つ。これらは全て、陰性鎖cDNA分子に一致する。一方の種類のタンデム配列DNAを選択的に変性させることによって、全体陽性、または全体陰性鎖増幅産物を入手することが可能である。
この選択的変性は、例えば、ローリングサークル複製プライマーと二次DNA鎖変位プライマーで、前者は5′リン酸基、後者は5′ヒドロキシル基となるプライマーを用い、次に、このタンデム配列DNAをリン酸基依存性エキソヌクレアーゼで消化することによって実現することが可能である。5′リン酸基含有プライマーによって促進されるタンデム配列DNA鎖のみが変性させられる。従って、もしも5′リン酸基を有するローリングサークル複製プライマーを5′ヒドロキシル基を有する二次DNA鎖変位プライマーと共に用いるならば、偶数世代のタンデム配列DNA鎖のみが変性され、陰性鎖cDNA(すなわち、奇数世代のタンデム配列DNA鎖)を残す。同様に、5′ヒドロキシル基を有するローリングサークル複製プライマーを5′リン酸基を有する二次DNA鎖変位プライマーと共に用いるならば、奇数世代のタンデム配列DNA鎖のみが変性され、陽性鎖cDNA(すなわち、偶数世代のタンデム配列DNA鎖)を残す。三次DNA鎖変位プライマーを用いる場合、そのプライマーは、ローリングサークル複製プライマーと同じリン酸化/非リン酸化状態を持っていなければならない。同様に、cDNAプライマーおよび/または環状化プローブを、それぞれ、二次DNA鎖変位プライマーまたはローリングサークル複製プライマーとして用いる場合は、これらのプライマーは、同じ効果を実現するためには、それぞれのプライマーと同じリン酸化/非リン酸化状態を持っていなければならない(すなわち、それぞれ、二次DNA鎖変位プライマーまたはローリングサークル複製プライマーと同じリン酸化/非リン酸化状態)。
3. 幾何級数的ローリングサークル増幅
RCA反応は、直線的、または幾何級数的速度で実行が可能である(Lizardi et al. 1998)。直線的ローリングサークル増幅は一般に直線的速度に従う。幾何級数速度を持つ二つの有用な形式のRCAは、複数プライミングローリングサークル増幅(EMPRCA)と指数関数型ローリングサークル増幅(ERCA)である。指数関数型複数プライミングRCAでは、1種以上のローリングサークル複製プライマーが、環状第1鎖cDNA分子の様々な場所にアニールし、複数の複製フォークを生成する。各鎖が成長するにつれて、DNAポリメラーゼは、隣接複製鎖に出会い、それを、第1鎖cDNA分子から変位させる。結果、各第1鎖cDNA分子の複数コピーが同時に生産されることになる。この複製鎖は、タンデム配列DNA(TS-DNA)と呼ばれる。各TS-DNA鎖は環状鋳型から変位させられるので、二次DNA鎖変位プライマーが、そのDNAにアニールし、その複製を促進することが可能となる。TS-DNAの複製は、二次タンデム配列DNAまたはTS-DNA-2と呼ばれる相補鎖を形成する。二次TS-DNA鎖が伸びるにつれて、DNAポリメラーゼは、二次TS-DNAの次に成長する鎖の5′末端に進入し、その5′末端を変位させる。このようにして、伸長するDNAポリメラーゼのタンデム列がTS-DNA鋳型の上に形成される。ローリングサークル反応が持続する限り、新しいプライマーと新しいDNAポリメラーゼがTS-DNAのローリングサークル成長端に付加される。
複数プライミングRCAを実行するために、ランダム、または縮重プライマーを使用することが可能である。このランダムまたは縮重プライマーは、第1鎖cDNA分子の複数部位(タンデム配列DNAの生産をもたらし)を始め、タンデム配列DNAの複数部位にアニール(二次タンデム配列DNAの生産をもたらす)する。次に、ランダムプライマーは、TS-DNA-2にハイブリダイズし、その複製を促進して、TS-DNA-3(これは、元のTS-DNAと等価である)を形成する。成長する、隣接TS-DNA-3によるTS-DNA-3の鎖変位によって、TS-DNA-3が、前記プライマーによってハイブリダイズされる態勢となる。これは、さらにもう1回の複製を構成し、TS-DNA-4(TS-DNA-2と等価的)をもたらす。次に、TS-DNA-4は、ランダムプライマーによってプライミングされるDNA複製の鋳型となる。このようにしてカスケードは、反応が停止するか、または試薬が限界に達するまで続く。複数プライミングRCAは、大型の環状鋳型、例えば、開示の方法で生産される第1鎖cDNA分子を増幅するには特に有用である。複数プライミングRCAは、Dean et al., 「ファイ29 DNAポリメラーゼおよび複数プライミングローリングサークル増幅によるプラスミドおよびファージDNAの高速増幅("Rapid Amplification of Plasmid and Phage DNA Using Phi29 DNA Polymerase and Multiply-Primed Rolling Circle Amplification")」Genome Research 11:1095-1099(2001))に記載されている。
指数関数型複数プライミングRCAはまた、特定のローリングサークル複製プライマー、二次DNA鎖変位プライマー、および、三次DNA鎖変位プライマーを用いて実行することも可能である。この形の開示の方法では、ローリングサークル複製は、環状第1鎖cDNA分子の、複数の、特定のプライマー相補部分によって促進される。鎖が成長するにつれて、DNAポリメラーゼは、その鎖の5′末端に出会い、これを、その第1鎖cDNA分子から変位させる。二次DNA鎖変位プライマーが、TS-DNAの複製を促進し、二次タンデム配列DNAまたはTS-DNA-2と呼ばれる相補鎖を形成する。二次DNA鎖変位プライマーが伸びるにつれて、DNAポリメラーゼは、次にハイブリダイズされる二次DNA鎖変位分子の5′末端に進入し、その5′末端を変位させる。このようにして、伸長するDNAポリメラーゼのタンデム列がTS-DNA鋳型の上に形成される。ローリングサークル反応が持続する限り、新しい二次DNA鎖変位プライマーと新しいDNAポリメラーゼがTS-DNAのローリングサークル成長端に付加される。次に、三次DNA鎖変位プライマー(TS-DNA-2鎖に対して相補的で、ローリングサークル複製プライマーとなることができる)が、TS-DNA-2とハイブリダイズし、その複製を促進し、TS-DNA-3を形成する(元のTS-DNAに対して等価である)。成長する、隣接TS-DNA-3によるTS-DNA-3の鎖変位によって、TS-DNA-3が、二次DNA鎖変位プライマーによってハイブリダイズされる態勢となる。これは、さらにもう1回の複製を構成し、TS-DNA-4(TS-DNA-2と等価的)をもたらす。次に、TS-DNA-4は、三次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされるDNA複製の鋳型となる。このようにしてカスケードは、反応が停止するか、または試薬が限界に達するまで続く。一つのモードのERCAでは、ローリングサークル複製プライマーが三次DNA鎖変位プライマーとして働き、そのために別のプライマーを用意するという必要がなくなっている。環状化プローブを、ローリングサークル複製プライマーとして(かつ、三次DNA鎖変位プライマーとして)使用することも可能である。cDNAプライマーは二次DNA鎖変位プライマーとして使用することが可能である。このようにして第1鎖cDNA生産およびERCAは、単一ペアのプライマーによって実行することが可能である。指数関数型RCAおよび、その他の有用な形式のRCAが、米国特許第5,854,033および6,143,495号に記載されている。
4. 複数鎖変位増幅
別の形の方法では、複数鎖変位増幅を用いて、第1鎖cDNA分子を増幅することが可能である。一般に、複数鎖変位増幅を用いて、第1鎖cDNAコンカテマー(直線的、および環状の両第1鎖cDNAコンカテマーを含む)を増幅することが可能である。複数鎖変位増幅は、使用されるプライマーが第1鎖cDNAコンカテマーのプライマー配列に対して相補的(または、必要に応じて、一致的)である場合、特に有用である。これは、プライマー相補体が、コンカテマーを通じて間隔を置いて分布するからである。このために、cDNAプライマーおよび/または環状化プローブを、第1鎖cDNAコンカテマーの複数鎖変位増幅のプライマーとして使用することが可能になる。第1鎖cDNAコンカテマーは、全体として第1鎖cDNA分子に一致する配列および成分を持っているために、第1鎖cDNA分子の増幅に有用なプライマーは全て、一般に、第1鎖cDNAコンカテマーの増幅、特に、第1鎖cDNAコンカテマーの複数鎖変位増幅のために使用が可能となる。
第1鎖cDNAコンカテマーは、ランダムな、または部分的にランダムなプライマーセット、または、第1鎖cDNAコンカテマーの特定ハイブリダイゼーション標的に対して相補的な特定プライマーを用いて増幅することが可能である。第1鎖cDNAコンカテマーの複数鎖変位増幅は、細胞の全てのcDNAを等しく増幅する手段となる。コンカテマー型cDNAは、最大5000倍に増幅することが可能であるから、複数鎖変位増幅によって、僅か数個の細胞に基づいてRNAプロファイリング分析を実行することが可能になる。ローリングサークル増幅で生産されたタンデム配列DNAも、複数鎖変位増幅によって増幅することが可能である。
D. 2本鎖タンデム配列DNAおよびタンデム反復ユニット
タンデム配列DNAは2本鎖として作製することも可能である。2本鎖タンデム配列DNAは、タンデム配列DNAと、二次タンデム配列DNA(または、その他の一致世代のタンデム配列DNA)とのハイブリッドから構成される。2本鎖タンデム配列DNAを用いて、例えば、タンデム配列DNAを構成する、単位長のcDNA配列を生産することが可能である。本明細書の別の場所で論じたように、タンデム配列DNAは、環状第1鎖cDNA分子の配列を表す、または、配列に一致する同じ配列の複数のタンデム反復から構成される。この反復配列の単一例は、単一タンデム反復単位と呼ばれる(さらに簡単には、タンデム反復単位)。タンデム反復単位は、プライマー配列(cDNAプライマーから得られたもの)と、cDNA配列(元のRNA分子から得られたもの)を含む。単一タンデム反復単位は、従来のcDNA分子と同じ、単一RNA分子由来のcDNA配列を持つ。従って、タンデム反復単位の生産は、従来のcDNA分子の増幅類似体を生産するための好適な方法である。
タンデム配列DNAが、環状第1鎖cDNAコンカテマーから生産される場合、タンデム配列DNAは、環状第1鎖cDNA分子の配列を表す、または、配列に一致する配列の、複数の混合タンデム反復から構成される。すなわち、タンデム配列DNAは様々な反復ユニットを含む。なぜなら、鋳型環(第1鎖cDNAコンカテマー)は、プライマー配列を途中に分散させながら、複数の、異なるcDNA配列を含んでいるからである。この反復配列の単一例は、単一タンデム反復単位と呼ばれる(さらに簡単には、タンデム反復単位)。タンデム反復単位は、プライマー配列(cDNAプライマーから得られたもの)と、cDNA配列(元のRNA分子から得られたもの)を含む。単一タンデム反復単位は、従来のcDNA分子と同じ、単一RNA分子由来のcDNA配列を持つ。従って、タンデム反復単位の生産は、従来のcDNA分子の増幅類似体を生産するための好適な方法である。
単位長cDNA分子(すなわち、タンデム反復単位)の生産は、制限酵素の認識部位のような切断部位を、cDNAプライマーおよび/または環状化プローブに含めることによって支持される。タンデム配列DNAにおけるcDNA配列は、様々な配列(最大には、RNAサンプルの全RNA配列)を含むことがあり得るので、cDNA配列は、各種の切断部位を含んでもよい。タンデム配列DNAを抑えてタンデム反復単位の生産を奨励するためには、平均して、核酸配列の内にごく稀にしか起こらない切断部位を用いるのが好適である。一般に、切断部位の認識配列が長ければ長いほど、認識配列の出現頻度は下がる。別の言い方をすると、一般に、より長い認識配列はより長い間隔で現れる。比較的長い認識配列を有する切断部位(および、認識制限エンドヌクレアーゼ)を用いることによって、その認識配列を含むcDNA配列の数を最小に留めることが可能になる。その結果、タンデム配列DNAの消化は、単一タンデム反復単位の最高収率をもたらす。
認識配列は、平均して、第1鎖cDNA分子におけるcDNA配列の平均長よりも長い間隔で出現する認識配列を用いることが特に有利である。従って、例えば、8ヌクレオチド認識配列は、平均して、各65,536ヌクレオチド毎に1回出現する。7ヌクレオチド認識配列は、平均して、各16,384ヌクレオチド毎に1回出現する。これらの間隔は、典型的な(または、長い方の)転写物長よりもはるかに長い。ある任意の認識配列(または、任意の特定配列)が出現する平均間隔は、よく知られた式D=4Nで計算することが可能である。式中、Nは配列の長さ、Dは、配列の出現間の平均距離である。距離は、部位の均一なブ分布、および、ランダムな配列を有する標的配列に基づく近似値である。8ヌクレオチド認識配列を持つ制限エンドヌクレアーゼとしては、Not I, Asc I, AsiS I, Fse I, Pac I, Pme I, Sbf I, Sfi IおよびSwa Iが挙げられる。従って、これらの制限エンドヌクレアーゼ用の切断部位の使用が好ましい。制限エンドヌクレアーゼとその使用法はよく知られる。
2本鎖タンデム配列DNA、特に、単位長のcDNA配列は、組み換えDNA技術および材料を用いてクローニングすることが可能である。切断され、消化され、またはその他のやり方で断片化された、タンデム配列DNAの断片または部分は、タンデム配列DNA断片と呼ばれる。好適なタンデム配列DNA断片は、切断部位におけるタンデム配列DNAの切断によって生産されるものである。タンデム配列DNA断片は、複数のタンデム反復単位、単一タンデム反復単位、または、部分的タンデム反復単位を含むことが可能である。後者の、部分的タンデム反復単位は好ましくない。タンデム配列DNAが消化されて、タンデム配列DNA断片を形成する場合、切断によって、例えば、下記の内のどれかがもたらされる、すなわち、タンデム配列DNA断片の内少なくとも1本は、単一タンデム反復ユニットである;複数のタンデム配列DNA断片が単一タンデム反復ユニットである;大部分のタンデムム配列DNA断片が単一タンデム反復ユニットである;または、実質的に全てのタンデム配列DNA断片が単一タンデム反復ユニットである。この背景で使用する場合、実質的に全てとは、タンデム配列DNA断片の90%を越えるものが単一タンデム反復ユニットであることを指す。
環状第1鎖cDNA分子、およびその分子から生産されるタンデム配列DNAは、直線的第1鎖cDNA分子から得られる。この直線的第1鎖cDNA分子は、プライマー配列(取り込まれたcDNAプライマー由来)およびcDNA配列(逆転写されたRNA由来)によって構成される。プライマー配列は、直線的第1鎖cDNA分子の5′末端にある。タンデム反復単位を含めたタンデム配列DNA断片を作製するためには、タンデム配列DNAを、プライマー配列および/またはcDNA配列の任意の位置で切断することが可能である。タンデム配列DNAを、プライマー配列とは別の部位で切断することによって(および、タンデム反復単位を生産する)、得られたタンデム反復単位は、元の直線的第1鎖cDNA分子のものとは別の5′末端配列を持つことになる。このようなタンデム反復単位は、直線的第1鎖cDNA分子の環状順列となる。一方、もしもタンデム配列DNAが、プライマー配列の中で切断される場合、得られるタンデム反復単位は、元の直線的第1鎖cDNA分子のものと同じ(または、ほとんど同じ)5′末端配列を持つことになる(すなわち、プライマー配列は、タンデム反復ユニットの5′末端に来る)。このようなタンデム反復単位は、直線的第1鎖cDNA分子の環状順列とは考えられない。厳密に言うならば、真の環状順列とは、元の直線的第1鎖cDNA分子とは、単一ヌクレオチドだけでも異なる5′末端を持つタンデム反復ユニットである。このような真の順列は、本明細書では真の環状順列と呼ぶ。一方、開示の方法の目的のためであって、本明細書で用いる場合には、タンデム反復単位は、cDNA配列がタンデム反復単位の5′末端に起こる限り(真の環状順列とは反対に)、第1鎖cDNA分子の環状順列と呼ばれる。環状順列ではないタンデム反復単位は好ましい。
環状第1鎖cDNA分子、およびそれから生産されるタンデム配列DNAは、直線的第1鎖cDNA分子から得られ、第1鎖cDNA分子の方はRNA分子から得られる。ある特定の直線的、または環状的第1鎖cDNA分子がRNA分子から合成される場合、その直線的、または環状的cDNA分子は、そのRNA分子に一致すると言われる。ある特定の環状第1鎖cDNA分子が、直線的第1鎖cDNA分子から生産された場合、その環状第1鎖cDNA分子は、その直線的第1鎖cDNA分子に一致すると言われる。同様に、その直線的第1鎖cDNA分子は、その環状第1鎖cDNA分子に一致すると言われる。同様の関係が、直線的第1鎖cDNA分子と、第1鎖cDNAコンカテマーの間に、直線的環状的のいずれにも、存在する。
ある特定のタンデム配列DNA分子が、第1鎖cDNA分子から合成された場合、そのタンデム配列DNA分子は、その第1鎖cDNA分子と一致すると言われる。同様に、第1鎖cDNA分子は、そのタンデム配列DNA分子に一致すると言われる。ある特定のタンデム配列DNA断片が、タンデム配列DNA分子から生産された場合、そのタンデム配列DNA断片は、そのタンデム配列DNA分子に一致すると言われる。同様に、タンデム配列DNA分子は、そのタンデム配列DNA断片に一致すると言われる。ある特定のタンデム反復単位が、タンデム配列DNA分子から生産された場合、そのタンデム反復単位は、そのタンデム配列DNA分子に一致すると言われる。同様に、タンデム配列DNA分子は、そのタンデム反復単位に一致すると言われる。
これらの関係はまた、本法の成分全体に通ずる。従って、例えば、タンデム配列DNA分子に一致するタンデム反復単位はまた、直線であれ環状であれ、タンデム配列DNA分子の一致する第1鎖cDNA分子にも一致する。同様に、タンデム反復単位はまた、直線であれ環状であれ、第1鎖cDNA分子の一致するRNA分子にも一致する。タンデム配列DNA分子に一致するタンデム配列DNA断片はまた、直線であれ環状であれ、タンデム配列DNA分子の一致する第1鎖cDNA分子にも一致する。同様に、タンデム配列DNA断片はまた、直線であれ環状であれ、第1鎖cDNA分子の一致するRNA分子にも一致する。環状第1鎖cDNA分子に一致するタンデム配列DNA分子はまた、環状第1鎖cDNA分子の一致する直線的第1鎖cDNA分子にも一致する。同様に、タンデム配列DNA分子はまた、直線であれ環状であれ、第1鎖cDNA分子の一致するRNA分子にも一致する。
タンデム配列DNA断片は任意の目的のために使用が可能である。例えば、タンデム配列DNA断片は、クローニングしたり、その他のやり方でベクターに挿入することが可能である。タンデム配列DNAは、断片、タンデム反復単位、ベクター挿入クローン、ウィルスまたは微生物を宿主とするクローニング等の形式によらず、DNAライブラリーを構成することが可能である。使用前に、タンデム配列DNA断片を、サイズまたは配列に基づいて仕分けするのは好都合である。例えば、ある最小サイズよりも大きいタンデム反復単位、ある最大サイズよりも小さいもの、またはその両方を選別するのは有用である。これは、例えば、不完全な(すなわち、完全長未満の)cDNAの数を除外する、または低減させるのに有用である可能性がある。大型のタンデム配列DNA断片を排除することによって、複数タンデム反復単位を含むタンデム配列DNA断片の数を排除または低減することが可能である。タンデム配列DNA断片の選択された一つのサイズまたは複数のサイズは、対象となるサイズと呼ばれる。タンデム配列DNA断片のサイズ選択はまた、どのようなやり方で使用することも可能であり、また、どのような目的のためでも、従来のcDNA断片に対してサイズ選択が用いられる。核酸分子のサイズ選択のための技術はよく知られており、そのような技術はどれでも本開示の方法および組成物について使用が可能である。
タンデム反復単位を含めたタンデム配列DNA断片の配列選択は、特定のRNA分子、または、特定クラスのRNA分子から得られた、特定のcDNA分子、または、特定クラスのcDNA分子を選択するのに有用である。タンデム配列DNA断片は、例えば、固相基板と関連したアドレスプローブを用いることによって、配列に基づいて分離または特定することが可能である。特に有用なのは、アドレスプローブのアレイの使用である。このアドレスプローブは、タンデム反復単位を含むタンデム配列DNA断片を、配列に基づいて仕分け、分類することが可能であり、従って、cDNAを(従って、RNAサンプル中に存在する元のRNA分子を)分類整理することが可能である。
開示の方法で生産されたタンデム配列DNA断片は任意の目的のために使用が可能である。有用な目的としては、例えば、特定のRNA分子および/または配列の検出;RNA分子および/または配列集団またはセットの検出;特定のRNA分子および/または配列の分析または配列決定;RNA分子および/または配列集団またはセットの分析または配列決定;RNA分子および/または配列集団またはセットの分類整理;タンデム配列DNA断片、タンデム反復単位、またはそれらの組み合わせをプローブ、マーカー、ハイブリダイゼーションプローブ、プライマー、またはそれらの組み合わせとして使用すること;特定のRNA分子および/または配列のクローニング;RNA分子および/または配列の集団またはセットのクローニングが挙げられる。従って、例えば、本開示の方法で生産されるタンデム配列DNA断片を用いて、様々の細胞、組織、および/またはサンプルで発現されるRNA分子および/または配列を特定または分析し、様々の細胞、組織、および/またはサンプルで発現されるRNA分子および/または配列を比較することが可能である。タンデム配列DNA断片はハイブリダイゼーションアッセイに使用される。
本明細書で用いられるクローニングとは、関連核酸(例えば、タンデム配列DNA、タンデム配列DNA分子、タンデム配列DNA断片、タンデム反復単位)の複製または二重化を含み、インビトロ複製および二重化法を含む。しかしながら、さらに具体的には、クローニングとは、ある生物体の核酸の複製およびコピー作製を含み、多くの場合、その核酸をプラスミドのようなベクターに挿入することによって実現する。核酸を挿入されたベクターは、組み換えベクターと呼ばれる。これは従来のクローニングとも呼ばれる。クローニングとクローニング法はよく知られている。
E. 転写
RCAによってTS-DNAが生成されたならば、cDNAの転写物の生産が可能である。タンデム配列DNAでは、タンデム反復から構成される長い転写物が生産される。このような転写物は、タンデム配列転写物またはタンデム配列RNAと呼ばれる。タンデム配列DNAが消化または切断されてタンデム反復単位を形成した場合、個々のRNA分子から得られた個々のcDNAの転写物が生産される。単一タンデム反復単位の転写物は、タンデム反復転写物と呼ばれる。タンデム配列転写物およびタンデム反復転写物のいずれも、1種のcRNAである。
タンデム配列転写物は、TS-DNAに埋め込まれるプロモーターからTS-DNAを転写することによって生産することが可能である。タンデム配列DNAの転写をローリングサークル増幅と組み合わせた場合、その併合過程は、転写付きローリングサークル複製(RCT)と呼ばれる。RCT、またはその他のタンデム配列転写物および/またはタンデム反復転写物は一般に、TS-DNAがそれから製造された元の第1鎖cDNA分子がプロモーター領域を有することを要求する。次に、プロモーター部分を、第1鎖cDNA分子と一緒に増幅すると、TS-DNAの各タンデム反復にプロモーターが埋め込まれるようになる。転写は、ローリングサークル増幅と同様、連続的に進行する過程(再起動を伴う)だから、複数転写物をTS-DNA中の複数プロモーターそれぞれから生産することが可能である。RCTは、第1鎖cDNA分子の増幅についてさらに追加のレベルを効果的に付け加える。RCTはさらに詳細に米国特許第6,143,495号に記載される。第1鎖cDNA分子はまた直接転写することも可能である(すなわち、ローリングサークル増幅と組み合わせないで)。増幅産物はRNAである。第1鎖cDNA分子の転写は、第1鎖cDNA分子が転写停止配列を持っていない場合、長いタンデム反復転写物を生産することが可能である。タンデム反復転写物の生産は、例えば、元のRNAのコピーである転写物を作製するには有用である。
RCTまたは直接転写で生成された転写物は、TS-DNAの使用に関して前述したものと同じラベル、標識法、および、検出法を用いて標識および/または検出が可能である。これらのラベルおよび方法の多くは、一般の核酸に使用できるように適用が可能である。RCT転写物を標識する有利な方法は、転写時における、標識ヌクレオチドの取り込みによる転写物の直接標識、もっとも好ましくはビオチニル化ヌクレオチドの取り込みによる標識である。RCT転写物はまた、例えば、蛍光変化プローブを用いることによってリアルタイムに検出することも可能である。
タンデム配列DNAから生産された転写物は、インビトロで翻訳されて、プローブとして使用される、または、その他の任意の用途に役立てられるコードされたタンパク質を生産する。タンデム反復転写物、および、タンデム配列転写物の翻訳は、任意のRNAサンプルから生産されたcDNAによってコードされたタンパク質(すなわち、cDNAライブラリーによってコードされるタンパク質)を製造するのに有用である。cDNAライブラリーの転写物によって生産されるタンパク質は、タンパク質ライブラリーを構成する。タンデム反復転写物とタンデム配列転写物によって生産されるタンパク質は、翻訳時または翻訳後、直接または間接に標識することが可能である。
開示の方法で生産される転写物は、任意の目的のために使用が可能である。有用な目的としては、例えば、特定のRNA分子および/または配列の検出;RNA分子および/または配列集団またはセットの検出;特定のRNA分子および/または配列の分析または配列決定;RNA分子および/または配列集団またはセットの分析または配列決定;RNA分子および/または配列集団またはセットの分類整理;タンデム反復転写物、タンデム配列転写物、またはそれらの組み合わせをプローブ、マーカー、ハイブリダイゼーションプローブ、プライマー、またはそれらの組み合わせとして使用すること;特定のRNA分子および/または配列のクローニング;および、RNA分子および/または配列の集団またはセットのクローニングが挙げられる。従って、例えば、本開示の方法で生産される転写物を用いて、様々の細胞、組織、および/またはサンプルで発現されるRNA分子および/または配列を特定または分析し、様々の細胞、組織、および/またはサンプルで発現されるRNA分子および/または配列を比較することが可能である。転写物はハイブリダイゼーションアッセイに使用される。
F. 増幅産物の検出
増幅操作の産物(例えば、タンデム配列DNA、複数鎖変位増幅によって生産されるDNA、タンデム配列転写物、および、タンデム反復転写物)は、任意の核酸検出技術を用いて検出することが可能である。リアルタイム検出には、増幅産物と増幅過程が、増幅操作の間に検出される。リアルタイム検出は、1種以上の蛍光変化プローブと蛍光変化プライマーを用いて、またはそれらの組み合わせを用いて、効果的に実行することが可能である。その他の検出技術も、単独で、または、リアルタイム検出、および/または、蛍光変化プローブとプライマーを含む検出と組み合わせて使用が可能である。核酸を検出するためには多くの技術が既知である。増幅配列のヌクレオチド配列は、任意の適当な技術によって決定が可能である。
1. 一次標識
一次標識は、標識成分、例えば、蛍光ヌクレオチド、ビオチニル化ヌクレオチド、ジゴキシゲニンヌクレオチド、またはブロモデオキシウリジンを、ローリングサークル複製時、転写時、および/または、複数鎖変位増幅時に取り込むことから成る。例えば、蛍光ラベルは、蛍光的に標識したプライマー、例えば、蛍光変化ローリングサークル複製プライマーを用いて複製核酸の中に取り込むことが可能である。別の実施例では、シアニン染料UTP類縁体(Yu et al. (1994))を、100ヌクレオチド毎に4個の類縁体の頻度で取り込ませることが可能である。体内で増幅される核酸を検出するための好ましい方法は、増幅時、DNAをBrdUrdで標識し、その後、取り込んだBUDRに、ビオチニル化抗BUDR抗体を結合させ(Zymed Labs, サンフランシスコ、カリフォルニア州)、その後、ストレプトアビジンペルオキシダーゼをビオチン成分に結合させることである(DuPont de Nemours & Co., 医薬品部)。
有用な形の一次標識は、増幅操作時に蛍光変化プライマーを使用することである。蛍光変化プライマーは、プライマーおよび増幅核酸の形態または立体配置における変化に応じて蛍光強度または波長の変化を示す。ステム消光プライマーとは、相補配列にハイブリダイズしない場合には、ステム構造(分子内ステム構造、または分子間ステム構造)を形成する。この構造においては、蛍光ラベルと消光成分とは、ラベルの蛍光が消光されるほどに接近させられる。プライマーが相補配列に結合すると、ステムは破壊され、消光成分はもはや蛍光ラベルの傍ではなくなり、蛍光が増加する。開示の方法では、ステム消光プライマーを、核酸合成のプライマーとして用いることが可能で、従って、合成または増幅核酸の中に取り込むことが可能である。ステム消光プライマーの例としては、ペプチド核酸消光プライマー、およびヘアピン消光プライマーが挙げられる。
ペプチド核酸消光プライマーは、ペプチド核酸消光子、または、ペプチド核酸フルオルと会合してステム構造を形成するプライマーである。このプライマーは、蛍光ラベルまたは消光成分を含み、それぞれ、ペプチド核酸消光子またはペプチド核酸フルオルと会合する。これによって、蛍光ラベルは消光成分の近傍にもたらされる。プライマーが複製されると、ペプチド核酸は変位され、そのために蛍光ラベルは蛍光信号を発することが可能となる。
ヘアピン消光プライマーは、相補配列にハイブリダイズしていない場合は、ヘアピン構造(通常は、ループ)を形成する。この構造は、蛍光ラベルと消光成分を接近させるので、ラベルからの蛍光は抑えられる。プライマーが相補配列に結合すると、ステムは破壊され、消光成分はもはや蛍光ラベルの近傍にはいなくなり、蛍光が増す。ヘアピン消光プライマーは、通常は、核酸合成のプライマーとして働き、従って、合成または増幅核酸の中に取り込まれる。ヘアピン消光プライマーの例としては、アンプリフルオルプライマーとスコルピオンプライマーが挙げられる。
切断活性化プライマーとは、プライマーの切断によって蛍光が増すプライマーである。一般に、切断活性化プライマーは複製鎖に取り込まれ、次に切断される。切断活性化プライマーは、蛍光ラベルと消光成分を、ラベルからの蛍光が抑えられるほどに相接して含む。プライマーが切断または消化されると(通常は、増幅時、ポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって)、消光成分は、蛍光ラベルの近くからいなくなり、蛍光が増す。Little et al., Clin. Chem. 45:777-784(1999)は、切断活性化プライマーの用法を記述する。
2. 二次標識
二次標識は、適当な分子プローブ、例えば、検出プローブを用いて、増幅核酸を検出することから成る。例えば、cDNAプライマーは、検出タグと呼ばれる、既知の、任意の配列のいくつかの反復体を含むように設計されう。この検出タグは、cDNAプライマーが第1鎖cDNA分子に取り込まれる際に第1鎖cDNA分子に取り込まれる。次に、検出プローブが、この検出タグにハイブダイズさせられる。検出プローブは、前述のように、例えば、酵素、蛍光成分、または放射性同位元素によって標識されてもよい。第1鎖cDNA分子当たり3種の検出タグを、および、各検出プローブ当たり4種の蛍光性分を用いることによって、TS-DNAの各第1鎖cDNA分子反復について、合計12種の蛍光信号を得ることが可能となり、RCAによって増幅される各第1鎖cDNA分子について、例えば、合計12,000種の蛍光成分を生成する。検出プローブは、正常なワトソンクリック型塩基ペア形成(または、関連する別ペア形成)によるハイブリダイゼーションまたはアニーリングによって相互作用を持つことが可能であるし、または、2本鎖標的と相互作用を持って三重ヘリックスを形成することが可能である。このような3本鎖形成検出プローブは、他の検出プローブと同様に用いること、例えば、蛍光変化プローブの形式で用いることが可能である。検出プローブも、第1鎖cDNA分子のcDNA配列(元のRNA分子から得られたもの)に向けて発射することが可能である。
有用な形式の二次標識は、増幅操作時の、またはその後の、蛍光変化プローブおよびプライマーの使用である。ヘアピン消光プローブは、相補配列にハイブリダイズしていない場合は、ヘアピン構造(通常は、ループ)を形成するプローブである。この構造は、蛍光ラベルと消光成分を接近させるので、ラベルからの蛍光は抑えられる。プローブが標的配列に結合すると、ステムは破壊され、消光成分はもはや蛍光ラベルの近傍にはいなくなり、蛍光が増す。ヘアピン消光プローブの例としては、分子ビーコン、蛍光3本鎖オリゴ、3本鎖分子ビーコン、3本鎖FRETプローブ、およびQPNAプローブが挙げられる。
切断活性化プローブは、プローブの切断によって蛍光が増すプローブである。切断活性化プライマーは、蛍光ラベルと消光成分を、ラベルからの蛍光が抑えられるほどに相接して含む。プローブが切断または消化されると(通常は、増幅時、または増幅後、ポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって)、消光成分は、蛍光ラベルの近くからいなくなり、蛍光が増す。TaqManプローブは、切断活性化プローブの一例である。
切断消光プローブは、プローブの切断によって蛍光が減少または変化するプローブである。切断消光プローブは、アクセプター蛍光ラベルとドナー成分とを、アクセプターとドナーが接近している時には、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー転移が、アクセプターの蛍光発光を起こすようなやり方で含む。従って、このプローブは、例えば、標的配列にハイブリダイズすると蛍光を発する。プローブが切断または消化されると(通常は、増幅時または増幅後、ポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって)、ドナー成分はアクセプター蛍光ラベルの近傍にはいなくなり、アクセプターからの蛍光は減ずる。ドナー成分自体が蛍光ラベルである場合、アクセプターに近接していない場合エネルギーを蛍光として発することが可能である(通常、アクセプターの蛍光とは異なる波長で)。全体効果としては、アクセプター蛍光の減少と、ドナー蛍光の増加である。切断消光プローブの場合、ドナーの蛍光は、アクセプターが消光成分でドナーが蛍光ラベルとなる切断活性化プローブによって生成される蛍光と等価である。切断可能FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)プローブは、切断消光プローブの一例である。
蛍光活性化プローブは、蛍光が、プローブが標的配列にハイブリダイズすることによって増加する、または変化するプローブ、またはプローブペアである。蛍光活性化プローブは、アクセプター蛍光ラベルとドナー成分とを、アクセプターとドナーが接近している時には(プローブが標的配列にハイブリダイズする時)、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー転移が、アクセプターの蛍光発光を起こすようなやり方で含む。蛍光活性化プローブは、典型的には、アクセプターとドナーが接近させられるように隣接配列にハイブリダイズするように設計されたプローブペアである。蛍光活性化プローブはまた、ドナーとアクセプターの両方を含む単一プローブであってもよい。この場合、プローブが標的配列にハイブリダイズしていない場合は、ドナーとアクセプターは隣接しないが、プローブが標的配列にハイブリダイズすると、ドナーとアクセプターは接近する。これは、例えば、ドナーとアクセプターをプローブの両端に設置し、標的相補配列をプローブの一端に設置し、標的相補配列を、標的配列の隣接配列に相補的にすることよって実現が可能である。蛍光活性化プローブのドナー成分自体が蛍光ラベルである場合、ドナーは、アクセプターに近接していない場合(すなわち、プローブが標的配列にハイブリダイズしていない場合)、エネルギーを蛍光として放出することが可能である(通常、アクセプターの蛍光とは異なる波長で)。プローブが標的配列にハイブリダイズした場合、全体効果としては、ドナー蛍光の減少と、アクセプター蛍光の増加であるFRETプローブは、蛍光活性化プローブの一例である。ステム消光プライマー(例えば、ペプチド核酸消光プライマーおよびヘアピン消光プライマー)は二次ラベルとして使用が可能である。
3. 複数カラー組み合わせコーディング
一つの形の多重検出は、異なる波長の蛍光を発する、すなわち、異なる色を持つラベルの組み合わせを含む。ハイブリダイゼーション検出における蛍光の利点の一つは、同じサンプルにおいていくつかの標的を同時に可視化することができるということである。組み合わせ戦略を用いると、分光的に分解可能な蛍光色素の数よりももっと多くの標的を識別することが可能である。組み合わせ標識によって、プローブを多重に標識するためのもっとも簡単なやり方が実現する。なぜなら、プローブのフルオルは、単位量として、完全に欠如する(−)か、存在する(+)かのどちらかだからである。従って、画像分析は比較的自動化しやすく、いくつかの実験アーチファクト、例えば、フルオルの差分光退色および励起光源のパワースペクトラム変化の作用が回避される。組み合わせ標識は、蛍光変化プローブおよびプライマーに使用することが可能である。
ラベルの組み合わせは、異なる検出プローブを特定するコード、延いては、それら検出プローブが会合する異なる標的分子を特定するコードを定める。この標識スキームは、複数カラー組み合わせコーディング(CMC)と呼ばれる。このようなコーディングがSpeicher et al., Nature Genetics 12:368-375(1996)に記載されている。ローリングサークル増幅と結びつけたCMCの用法が米国特許第6,143,495号に記載されている。複数カラー組み合わせコーディングのためには、組み合わせた場合に別々に識別が可能な任意の数のラベルの使用が可能である。2、3、4、5、または6種のラベルを組み合わせて用いるのが好ましい。6種のラベルを用いるのがもっとも好ましい。使用されるラベルの数は、式2N-1に従って、形成が可能な一意のラベル組み合わせの数を定める。式中、Nはラベルの数である。この式によれば、2種のラベルは3通りのラベル組を、3種のラベルは7通りのラベル組を、4種のラベルは15通りのラベル組を、5種のラベルは31通りのラベル組を、6種のラベルは63通りのラベル組を形成する。
複数カラー組み合わせコーディングでは、1群の異なる検出プローブを、1セットとして用いることが可能である。セットにおける各タイプの検出プローブは、蛍光ラベルの特定の、一意の組み合わせによって標識される。複数ラベルを割り当てられたこれらの検出プローブでは、標識は、各検出プローブ分子を、必要なラベルの全てを用いて標識することによって実現される。別法として、あるタイプの検出プローブのプールをそれぞれ、必要ラベルの内の一つで標識する。プールを組み合わせることによって、検出プローブは、そのタイプの検出プローブに必要なラベルの組み合わせをグループとして含むことになる。各検出プローブを単一ラベルで標識する場合でも、第1鎖cDNA分子を、異なる検出プローブに対して相補的な、コード化された組み合わせ検出タグと共に用いることによってラベル組み合わせを実行することが可能である。このスキームでは、第1鎖cDNA分子は、ある特定ラベルコードに必要なラベルの組み合わせを表す検出タグの組み合わせを含む。さらに別の具体例が、米国特許第6,143,495号に記載される。複数カラー組み合わせコーディングは、蛍光変化プローブおよびプライマーについて使用することが可能である。蛍光変化プローブ(またはプライマー)を使用する場合、各プローブが単一ラベルでマークされる検出プローブ(または、方法で使用される、その他のプローブおよびプライマー)のプールを用いることが好ましい。
Speicher等は、1組のフルオルと、スペクトラム間隔350-770nmに渡って分散される対応光学フィルターについて記載する。これらは、可能な全てのフルオルペアについて高度の識別性を与える。複数カラー組み合わせコーディングにとって好適な、このフルオルセットは、4'-6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、フルオレセイン(FITC)、および、シアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7から成る。この好ましいセットから任意に選ばれるサブセットも、少ない組み合わせしか必要とされない場合には使用が可能である。これらのフルオルの吸収、発光の最大値は下記の通り。DAPI(350 nm; 456 nm)FITC(490 nm; 520 nm), Cy3(554 nm; 568 nm), Cy3.5(581 nm; 588 nm), Cy5(652 nm; 672 nm), Cy5.5(682 nm; 703 nm)、およびCy7(755 nm; 778 nm)。これらのフルオルの励起、発射スペクトラム、消滅係数、および量子収率が、Ernst et al., Cytometry 10:3-10(1989); Mujumdar et al., Cytometry 10:11-19(1989); Yu, Nucleic Acids Res. 22:3226-3232(1994)、およびWaggoner, Meth. Enzymology 246:362-373(1995)に記載されている。これらのフルオルは皆75Wキセノンアークで励起することが可能である。
選択性を実現するためには、5から16 nm範囲のバンド幅を持つフィルターが好ましい。信号識別度を向上させるためには、フルオルは、そのスペクトラム最大値から遠い波長で励起、検出されることが好ましい。発光バンド幅はできるだけ広くすることが可能である。冷却CCDカメラのような低雑音検出器では、励起バンド幅を狭くすることは、実現可能な信号対雑音比に対してほとんど影響を持たない。好ましいフルオルと共に使用される好ましいフィルターのリストが、Speicher等の表1に挙げられている。アークランプから発射される赤外光が、検出器に届かないようにすることが重要である。CCDチップは、この領域では極めて敏感だからである。このために、適当なIRブロックフィルターを、画像経路の、CCDウィンドーの直前に挿入し、画像品質のロスを最小限に抑えることが可能である。次に、画像分析ソフトウェアを用いて、蛍光ドットのスペクトラム信号を数え、分析することが可能である。
G. cDNAライブラリー分析
開示の方法を用いて、核酸サンプルのcDNAライブラリーとして役立つ複製鎖を生産することが可能である。このcDNAライブラリーは、任意の目的のために、例えば、配列の検出、プローブの作製、核酸アレイまたはチップの作製、および他のcDNAライブラリーの核酸との比較を含む目的のために使用が可能である。同様に調製された、他の核酸サンプルのcDNAライブラリーは、サンプル間の差について好適な検出を可能とする。複数のcDNAライブラリーは、関連核酸サンプルの検出、および、核酸サンプル同士の比較の両方に使用が可能である。例えば、特定の生物体の存在または正体は、その試験生物体のcDNAライブラリーを作製し、得られたcDNAライブラリーを、既知の生物体から調製された参照cDNAライブラリーと比較することによって検出が可能である。遺伝子発現パターンの変化および相違も、各種細胞サンプルのmRNAからcDNAライブラリーを調製し、それらのcDNAライブラリー同士を比較することによって検出することが可能である。複製鎖および/または転写物を用いて、核酸サンプルの供給源に対して特異的なプローブまたはプライマーセットを作製することも可能である。複製鎖および/または転写物を、サンプル中に存在する核酸配列のフィンガープリントとして使用することも可能である。cDNAライブラリーは、サンプルのmRNAから、そのサンプルの関連mRNA内容全体が実質的に代表されるやり方で構成する、または、誘導することが可能である。
cDNAライブラリーは、後の使用に備えて、保存し、文書化することが可能である。例えば、開示の方法で作製された複製鎖は、溶液として、凍結させて、アレイのような固相基板に付着・接着させて物理的に保存することが可能である。アレイでの保存は、対象となるサンプルの核酸から、文書化されたプローブセットを提供するのに有用である。別の例として、核酸フィンガープリントの、または、それから導き出された情報内容も保存することが可能である。このような情報は、例えば、コンピュータの読み取り可能な媒体の中に、または、媒体として保存することが可能である。cDNAライブラリーの情報内容の例としては、核酸配列情報(完全または部分的);配列が、あるサンプルには存在するが別のサンプルには存在しないといった核酸配列差分情報;例えば、核酸アレイ、セット、チップ、または他の複製鎖に対する、複製鎖のハイブリダイゼーションパターンがある。その他、cDNAライブラリー、および開示の方法で作製される複製鎖から得られる、または、導き出される数多くのデータも、収集し、使用し、セーブし、保存し、および/または、実行することが可能である。
cDNAライブラリーはまた、開示の方法で生成される情報から得られた他の情報を含む、または、から構成され、かつ、他の起源から得られた、または生成された情報と組み合わせることが可能である。開示の方法によって作製されたcDNAライブラリーの情報性は、既知のバイオインフォーマティクスシステムおよび方法との併用および/または分析を可能とする。
核酸サンプルおよびRNAサンプルのcDNAライブラリーは、他のサンプルから得られた類似のcDNAライブラリーと比較し、サンプル同士の類似点および相違点を検出する(サンプルの核酸の類似点と相違点を示す)ことが可能である。例えば、第1RNAサンプルのcDNAライブラリーを、第1RNAサンプルと同じタイプの生物体から、同じタイプの組織から、同じ生物体から、異なる時期の同じ起源から、異なる生物体から、異なる生物株から、異なる生物種から、異なるタイプの生物体から得られたcDNAライブラリーと比較することが可能である。
同じタイプの組織とは、同じタイプの組織、例えば、肝臓組織、筋肉組織、または皮膚である(同じ、または別の生物体、別のタイプの生物体から得られたもの)。同じ生物体とは、同じ個体、動物、または細胞を指す。例えば、一人の患者から採取された二つのサンプルは、同じ生物体由来である。同じ起源は、似ているがもっと広く、例えば、同じ生物体由来のサンプル、同じ生物体由来の同じ組織、同じRNA分子、または同じDNAライブラリーを指す。比較される、同じ起源のサンプルは、異なる時期に収集することが可能である(従って、時間の経過で生じた可能性のある変化を検出することが可能になる)。これは、処置または変化が状態に及ぼす作用を評価しなければならない場合に特に有用である。様々な処置を受けた同じ供給源から得たサンプルを収集し、開示の方法を用いて比較することが可能である。異なる生物体とは、別の生物個体、例えば、別の患者、別の動物を指す。異なる生物体とは、同じタイプの別の生物体、または異なるタイプの生物体を含む。異なるタイプの生物体とは、異なるタイプの生物体同士、例えば、イヌとネコ、ヒトとマウス、または、大腸菌とサルモネラ菌を指す。異なるタイプの組織とは、異なるタイプの組織同士、例えば、肝臓と腎臓、または、皮膚と脳を指す。異なる株または種の生物体とは、その種または株表示において、その用語が従来技術で理解されているものとは異なる生物体を指す。
cDNAライブラリーのDNA、または、開示の方法で生産される任意の形のDNAまたはRNAは(例えば、タンデム配列DNA、タンデム配列DNA断片、タンデム配列DNA分子、タンデム反復単位、タンデム配列転写物、タンデム反復転写物)は、例えば、そのDNAまたはRNAの中に1種以上の標的配列を検出することによって分析することが可能である。標的配列は、対象となる任意の配列である。開示の方法によって作製される核酸における標的配列は、元のRNA分子の配列(すなわち、標的配列)から得られる。産物核酸の標的配列が得られたRNA分子のこのような標的配列は、産物核酸の標的配列と一致すると言われる。同様に、産物核酸の標的配列は、RNA分子の標的配列と一致すると言われる。産物核酸の標的配列も、産物核酸の標的配列と一致する標的配列が見出されたRNA分子に一致すると言うことも可能である。産物核酸における標的配列の検出は、RNAサンプルにおける対応RNA分子の存在を示す。複数の検出された標的配列は、RNAサンプルから得られた一まとまりの配列群を構成することが可能である。
標的配列は、任意の理由で選択することが可能である。例えば、病気または状態に関連する標的配列は検出するのに有用である。病気または状態に関連する配列は、病気または状態と結びつく変異または変化を体現する、または示す配列を含む。病気または状態と関連する多くの核酸配列が既知である。被験体が病気または状態に陥る危険にあるかどうかを示す標的配列は、検出するのに有用である。被験体が病気または状態に陥る危険にあることを示す配列は、病気または状態と結びつく、または、病気または状態に陥る危険性と結びつく変異または変化を体現する、または示す配列を含む。病気または状態に陥る危険度と結びつく多くの核酸配列が既知である。病気または状態に陥る危険度とは、現在存在していない病気または状態が将来出現するチャンスが、背景チャンスまたは平均チャンスを上回ることを指す。ある病気または状態に陥る危険性のある被験体は、その病気または状態を発症する危険性がある。
開示の方法で生産されるタンデム配列DNA、またはその他の核酸産物は、検出が可能である。検出されたタンデム配列DNA(または、他の核酸産物)は、RNAサンプルから得られた一揃いの配列を構成することができる。RNAサンプル中のRNA分子を広く増幅し、検出することは有用である。従って、一揃いの配列が、RNAサンプル中の、実質的な数の、著明な数の、無視できない数のRNA分子を含む場合、それは有用である。実質的な数のRNA分子とは、RNAサンプル中のRNA分子の90%以上を意味する。著明な数のRNA分子とは、RNAサンプル中のRNA分子の50%以上を意味する。無視できない数のRNA分子とは、RNAサンプル中のRNA分子の10%以上を意味する。
増幅産物の品質は、適当であればどのような方法で評価することも可能である。例えば、増幅量、増幅偏倚、および/または、完全長cDNA分子の相対的レベルを評価することは可能である。増幅量および増幅偏倚評価の具体的例が実施例にある。完全長cDNAの相対的量は、例えば、RNA分子の5′末端からの配列量に対する、RNA分子の3′末端からの配列量の相対量を測定することにより決定することが可能である。
H. 具体的実施態様
開示されるのは、RNA配列を増幅する方法であって、cDNAプライマーと、RNA分子を含むRNAサンプルとを、RNA分子からの第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下でインキュベートすること、環状化プローブと、第1鎖cDNA分子とを、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件下でインキュベートすること、および、環状化第1鎖cDNA分子を、環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製を促進する条件下でインキュベートしてRNA配列を増幅することを含む方法である。
ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAおよび二次タンデム配列DNAは2本鎖タンデム配列DNAを形成する。各2本鎖タンデム配列DNAは、同じ配列の複数のタンデム反復体を含み、各タンデム反復体は1種以上の対象となる切断部位を含む。方法は、2本鎖配列DNAを複数の切断部位において切断してタンデム配列DNA断片を形成する工程をさらに含み、タンデム配列DNA断片の少なくとも1本は複数のタンデム反復単位を含まない。
各タンデム反復単位は、対象となる単一切断部位を含み、cDNAプライマーは、その対象となる切断部位を含むことが可能である。切断部位は、制限エンドヌクレアーゼの切断部位であってもよく、制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも7個のヌクレオチドを含む認識配列を有する。制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも8個のヌクレオチドを含む認識配列を有することが可能である。制限エンドヌクレアーゼは、Not I, Asc I, AsiS I, Fse I, Pac I, Pme I, Sbf I, Sfi I、またはSwa Iであってもよい。切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であってもよく、制限エンドヌクレアーゼは、平均して各65,536ヌクレオチド毎に1回出現する認識配列を持つことが可能である。各タンデム反復単位は、対象となる単一切断部位を含み、環状化プローブは、その対象となる切断部位を含むことが可能である。
各タンデム反復単位は、対象となる単一切断部位を含むことが可能であり、タンデム配列DNA断片の少なくとも一つは、単一タンデム反復単位から成ることが可能である。複数のタンデム配列DNA断片が、単一タンデム反復単位から成ることも可能である。大多数のタンデム配列DNA断片が、単一タンデム反復単位から成ることが可能である。実質的に全てのタンデム配列DNA断片が、単一タンデム反復単位から成ることが可能である。方法は、単一タンデム反復単位の一つ以上をクローニングすることを含む。単一タンデム反復ユニットはクローニング前にサイズに基づいて分離される。対象となるサイズを持つ単一タンデム反復ユニットのみがクローニングされる。対象となるサイズ以上のサイズを持つ単一タンデム反復ユニットのみがクローニングされる。クローン化されたタンデム反復ユニットはcDNAライブラリーを構成する。
単一タンデム反復単位は、環状化第1鎖cDNA分子の内の一つの配列に一致し、単一タンデム反復単位の配列は、環状化第1鎖cDNA分子の内の一つの配列の環状順列である。単一タンデム反復単位の配列は、環状化第1鎖cDNA分子の内の一つの配列に一致し、単一タンデム反復単位の配列は、環状化第1鎖cDNA分子の内の一つの配列の環状順列ではない。単一タンデム反復単位はcDNAライブラリーを構成する。
ローリングサークル複製は、ローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、ローリングサークル複製は、プロモーター部分をさらに含む。プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターである。プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターである。タンデム反復転写物が生産されるタンデム反復ユニットを転写する工程をさらに含む方法であって、タンデム反復転写物は単一タンデム反復ユニットの転写物である。タンデム反復転写物は、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム反復転写物は、固相基板に関連付けられる。タンデム反復転写物は翻訳される。
cDNAプライマーはプロモーター部分をさらに含む。プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。タンデム反復転写物が生産されるタンデム反復ユニットを転写する工程をさらに含む方法であって、タンデム反復転写物は単一タンデム反復ユニットの転写物である。タンデム反復転写物は、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム反復転写物は、固相基板に関連付けられる。タンデム反復転写物は翻訳される。タンデム反復単位は、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム反復単位は、固相基板に関連付けられる。
方法は、1種以上のタンデム配列DNA断片を1種以上のベクターに挿入して1種以上の組み換えベクターを形成することをさらに含むことが可能である。タンデム配列DNA断片は、ベクターへの挿入前にサイズに基づいて分離され、対象となるサイズを持つタンデム配列DNA断片のみがベクターに挿入される。対象となるサイズ以上のサイズを持つタンデム配列DNA断片のみがクローニングされる。組み換えベクターはcDNAライブラリーを構成することが可能である。
方法は、1種以上のタンデム配列DNA断片をクローニングすることをさらに含む。タンデム配列DNA断片は、クローニングの前にサイズに基づいて分離され、対象となるサイズを持つタンデム配列DNA断片のみがクローニングされる。対象となるサイズ以上のサイズを持つタンデム配列DNA断片のみがクローニングされる。クローニングされたタンデム配列DNA断片はcDNAライブラリーを構成することが可能である。タンデム配列DNA断片はcDNAライブラリーを構成することが可能である。タンデム配列DNA断片の少なくとも一つは単一タンデム反復単位を含み、方法は、1種以上の単一タンデム反復単位をクローニングすることをさらに含む。単一タンデム反復単位はクローニング前にサイズに基づいて分離され、対象となるサイズを持つ単一タンデム反復単位のみがクローニングされる。対象となるサイズ以上のサイズを持つ単一タンデム反復単位のみがクローニングされる。クローニングされたタンデム反復体はcDNAライブラリーを構成することが可能である。タンデム配列DNA断片は、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム配列DNA断片は、固相基板に関連付けられる。
cDNAプライマーはRNA相補部分を含み、RNA相補部分は、1種以上のRNA分子にハイブリダイズし、cDNAプライマーは、第1鎖cDNA分子の合成時に、第1鎖cDNA分子に取り込まれる。RNA相補部分はポリ(dT)を含み、RNA分子はmRNA分子である。RNA相補部分は、1種以上のRNA分子の配列に対して相補的であることが可能である。RNA相補部分は、RNA分子の内の一つの配列に対して相補的であり、cDNAプライマーはRNA分子に対して特異的であることが可能である。cDNAプライマーはさらに対象となる切断部位を含むことが可能である。切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも7個のヌクレオチドを含む認識配列を有することが可能である。制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも8個のヌクレオチドを含む認識配列を有することが可能である。制限エンドヌクレアーゼは、Not I, Asc I, AsiS I, Fse I, Pac I, Pme I, Sbf I, Sfi I、またはSwa Iであることが可能である。切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、制限エンドヌクレアーゼは、平均して各65,536個以上のヌクレオチド毎に1回出現する認識配列を有することが可能である。
ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAおよび二次タンデム配列DNAは2本鎖タンデム配列DNAを形成し、各2本鎖タンデム配列DNAは、同じ配列の複数のタンデム反復体を含み、各タンデム反復体は切断部位を含む。方法は、2本鎖配列DNAを複数の切断部位において切断してタンデム配列DNA断片を形成する工程をさらに含む。cDNAプライマーはプローブ相補部分をさらに含み、プローブ相補部分は、環状化プローブの配列に対して相補的であることが可能である。cDNAプライマーはプライマー相補部分をさらに含み、プライマー相補部分は、ローリングサークル複製プライマーに対して相補的であることが可能である。
cDNAプライマーはプライマー一致部分をさらに含み、プライマー一致部分は、二次DNA鎖変位プライマーの配列に一致することが可能である。cDNAプライマーはプロモーター部分をさらに含むことが可能である。cDNAプライマーはプライマー一致部分をさらに含み、プライマー一致部分は、二次DNA鎖変位プライマーの配列に一致することが可能である。cDNAプライマーはプロモーター部分をさらに含むことが可能である。プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。cDNAプライマーはヌクレオチドを含み、ヌクレオチドの1個以上はリボヌクレオチドである。ヌクレオチドの約10%から約50%はリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの約50%以上はリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの全てがリボヌクレオチドであることが可能である。
cDNAプライマーはヌクレオチドを含み、ヌクレオチドの1個以上が2′-O-メチルリボヌクレオチドである。ヌクレオチドの約10%から約50%が2′-O-メチルリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの約50%以上は2′-O-メチルリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの全てが2′-O-メチルリボヌクレオチドであることが可能である。cDNAプライマーはヌクレオチドを含み、ヌクレオチドは、リボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドとの混合物である。cDNAプライマーはヌクレオチドを含み、ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドとの混合物である。
cDNAプライマーは、第1鎖cDNA分子の合成時に第1鎖cDNA分子に取り込まれ、環状化プローブは、cDNA相補部分およびプライマー相補部分を含み、cDNA相補部分は、1種以上の第1鎖cDNA分子にハイブリダイズし、プライマー相補部分は、第1鎖cDNA分子に取り込まれたcDNAプライマーにハイブリダイズし、cDNA相補部分の第1鎖cDNA分子に対するハイブリダイゼーション、および、プライマー相補部分のcDNAプライマーに対するハイブリダイゼーションは、第1鎖cDNA分子の末端同士を接近させ、それによって、第1鎖cDNA分子の環状化を仲介する。
cDNA相補部分は、ランダムな、または部分的にランダムな配列を含むことが可能である。cDNA相補部分はヌクレオチドを含み、1種以上のヌクレオチドが普遍的塩基を含む。普遍的塩基は5-ニトロインドールまたは3-ニトロピロールであることが可能である。cDNA相補部分はヌクレオチドを含み、1種以上のヌクレオチドは1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能である。1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能なヌクレオチドはイノシンか、または、普遍的塩基を含むヌクレオチドであることが可能である。普遍的塩基は5-ニトロインドールまたは3-ニトロピロールであることが可能である。環状化プローブはさらに切断部位を含み、プライマー相補部分は切断部位を含むことが可能である。
切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも7個のヌクレオチドを含む認識配列を有することが可能である。制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも8個のヌクレオチドを含む認識配列を有することが可能である。制限エンドヌクレアーゼは、Not I, Asc I, AsiS I, Fse I, Pac I, Pme I, Sbf I, Sfi I、またはSwa Iであることが可能である。切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、制限エンドヌクレアーゼは、平均して各65,536個以上のヌクレオチド毎に1回出現する認識配列を有することが可能である。
ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAおよび二次タンデム配列DNAは2本鎖タンデム配列DNAを形成し、各2本鎖タンデム配列DNAは、同じ配列の複数のタンデム反復体を含み、各タンデム反復体は切断部位を含む。本法は、2本鎖配列DNAを複数の切断部位において切断してタンデム配列DNA断片を形成する工程をさらに含む。
プライマー相補部分は、cDNAプライマーの配列に対して相補的であることが可能である。環状化プローブは、第2プライマー相補部分をさらに含み、第2プライマー相補部分は、二次DNA鎖変位プライマーに対して相補的であることが可能である。環状化プローブはプライマー一致部分をさらに含み、プライマー一致部分は、ローリングサークル複製プライマーの配列に一致することが可能である。環状化プローブは、さらにプロモーター部分を含むことが可能である。環状化プローブはプライマー一致部分をさらに含み、プライマー一致部分は、二次DNA鎖変位プライマーの配列に一致することが可能である。
環状化プローブは、さらにプロモーター部分を含むことが可能である。プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。環状化プローブはヌクレオチドを含み、ヌクレオチドの1個以上はリボヌクレオチドである。ヌクレオチドの約10%から約50%はリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの約50%以上はリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの全てがリボヌクレオチドであることが可能である。
環状化プローブはヌクレオチドを含み、ヌクレオチドの1個以上が2′-O-メチルリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの約10%から約50%が2′-O-メチルリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの約50%以上は2′-O-メチルリボヌクレオチドであることが可能である。ヌクレオチドの全てが2′-O-メチルリボヌクレオチドであることが可能である。環状プローブはヌクレオチドを含み、ヌクレオチドは、リボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドとの混合物であることが可能である。環状プローブはヌクレオチドを含み、ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドとの混合物であることが可能である。
ローリングサークル複製はローリングサークルプライマーによってプライミングされ、ローリングサークルプライマーはランダム配列であり、ローリングサークル複製は、環状化第1鎖cDNA分子の複数箇所においてプライミングされることが可能である。ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAの複製はローリングサークル複製プライマーによってプライミングされることが可能である。環状化第1鎖cDNA分子は、指数関数型ローリングサークル増幅によって増幅することが可能である。
ローリングサークル複製は、複数のローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、ローリングサークル複製は、環状化第1鎖cDNA分子の複数箇所においてプライミングされる。ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAの複製は、1種以上のDNA鎖変位プライマーによってプライミングされる。環状化第1鎖cDNA分子は、指数関数型ローリングサークル増幅によって増幅される。
ローリングサークル複製は、1種以上のローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されず、タンデム配列DNAは、RNA分子の配列に一致する配列を含むことが可能である。タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられる。
ローリングサークル複製は、環状化プローブによってプライミングされ、ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されず、タンデム配列DNAは、RNA分子の配列に一致する配列を含むことが可能である。タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられる。
ローリングサークル複製は、1種以上のローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる。ローリングサークル複製プライマーは5′リン酸基を有し、二次DNA鎖変位プライマーは5′ヒドロキシル基を有し、タンデム配列DNAは5′リン酸基を有し、二次タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を有し、方法は、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートして、タンデム配列DNAは変質させ、二次タンデム配列DNAは残される工程をさらに含む。
リン酸基依存性エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼであることが可能である。二次タンデム配列DNAはRNA分子の配列に相補的な配列を含み、二次タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることが可能である。二次タンデム配列DNAはRNA分子の配列に相補的な配列を含み、二次タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられることが可能である。
ローリングサークル複製は、1種以上のローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる。ローリングサークル複製プライマーは5′ヒドロキシル基を有し、二次DNA鎖変位プライマーは5′リン酸基を有し、タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を有し、二次タンデム配列DNAは5′リン酸基を有することが可能である。方法は、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートして、タンデム配列DNAは変質させ、二次タンデム配列DNAは残される工程をさらに含む。リン酸基依存性エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼであることが可能である。タンデム配列DNAはRNA分子の配列に一致する配列を含み、タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。
ローリングサークル複製は、環状化プローブによってプライミングされ、ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる。環状化プローブは5′リン酸基を有し、二次DNA鎖変位プライマーは5′ヒドロキシル基を有し、タンデム配列DNAは5′リン酸基を有し、二次タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を有することが可能である。方法は、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートして、タンデム配列DNAは変質させ、二次タンデム配列DNAは残される工程をさらに含むことを可能とする。リン酸基依存性エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼであることが可能である。タンデム配列DNAはRNA分子の配列に相補的な配列を含み、二次タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。二次タンデム配列DNAはRNA分子の配列に相補的な配列を含み、二次タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられる。
ローリングサークル複製は、環状化プローブによってプライミングされ、ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、タンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる。環状化プローブは5′ヒドロキシル基を有し、二次DNA鎖変位プライマーは5′リン酸基を有し、タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を有し、二次タンデム配列DNAは5′リン酸基を有することが可能である。方法は、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートして、二次タンデム配列DNAは変質させ、タンデム配列DNAは残される工程をさらに含む。リン酸基依存性エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼであることが可能である。タンデム配列DNAはRNA分子の配列に一致する配列を含み、タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム配列DNAはRNA分子の配列に一致する配列を含み、タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられる。
ローリングサークル複製は、ローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、ローリングサークル複製プライマーはプロモーター部分をさらに含み、ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらすことが可能である。プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。方法は、タンデム反復単位が生産されるタンデム配列DNAを転写する工程をさらに含むことが可能である。タンデム配列転写物は、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム配列転写物は、固相基板に関連付けられる。タンデム配列転写物は翻訳される。
cDNAプライマーはプロモーター部分をさらに含み、ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらすことが可能である。プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることが可能である。方法は、タンデム配列転写物が生産されるタンデム配列DNAを転写する工程をさらに含む。タンデム配列転写物は、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用される。タンデム配列転写物は、固相基板に関連付けられる。タンデム配列転写物は翻訳される。
ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、方法はタンデム配列DNA中に1種以上の標的配列を検出する工程をさらに含む。1種以上の標的配列はRNA分子の標的配列に一致し、1種以上の標的配列の検出は、RNAサンプルにおける対応RNA分子の存在を示すことが可能である。RNAサンプルは被験体から得られたものであり、1種以上の標的配列は、病気または状態に関連し、病気または状態に関連する1種以上の標的配列の検出は、RNAサンプルを提供した被験体が、関連する病気または状態の危険性がある、またはないことを示す。
複数の第1鎖cDNA分子が、複数のRNA分子から合成され、複数のタンデム配列DNAが形成され、複数のタンデム配列DNAは複数のRNA分子と一致し、複数の標的配列が検出され、検出された複数の標的配列は、RNAサンプルから得られる配列カタログを構成することが可能である。方法は、配列カタログを、異なるRNAサンプルから同様にして生産された別の配列カタログと比較する工程をさらに含むことが可能である。配列カタログにおける対象となる配列の有無は、RNAサンプルを提供した被験体が、病気または状態の危険性がある、またはないことを示すことが可能である。ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、複数の第1鎖cDNA分子が複数のRNA分子から合成され、複数のタンデム配列DNAが形成され、複数のタンデム配列DNAは複数のRNA分子と一致し、複数のタンデム配列DNAは、RNAサンプルから得られる配列カタログを構成することが可能である。配列カタログは、RNAサンプル中のRNA分子の相当数と一致するタンデム配列DNAを含むことが可能である。配列カタログは、RNAサンプル中のRNA分子の実質的に同数と一致するタンデム配列DNAを含むことが可能である。
ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、方法は、タンデム配列DNA中の1種以上の標的配列の配列決定をする工程をさらに含む。1種以上の標的配列は、RNA分子中の標的配列と一致し、1種以上の標的配列の配列は、RNAサンプル中の対応RNA分子の配列に一致することが可能である。
ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、方法は、ローリングサークル複製後に、タンデム配列DNAを、タンデム配列DNAの複製を促進する条件下にインキュベートして、タンデム配列DNAの複製時に、複製された鎖の内の少なくとも一つが、別の複製鎖の鎖変位複製によって、タンデム配列DNAから移動させられる工程をさらに含む。ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて、ローリングサークル複製時に、二次タンデム配列DNAを形成し、方法は、ローリングサークル複製後に、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAの複製を促進する条件下にインキュベートして、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAの複製時に、複製された鎖の内の少なくとも一つが、別の複製鎖の鎖変位複製によって、タンデム配列DNA、または二次タンデム配列DNAから移動させられる工程をさらに含む。
第1鎖cDNA分子の少なくとも一つは、少なくとも一つの別の第1鎖cDNA分子に連結されて、一本以上の第1鎖cDNAコンカテマーを形成することが可能である。第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも1本は環状化せず、環状化されない第1鎖cDNAコンカテマーは鎖変位複製によって複製されることが可能である。第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも1本は環状化され、環状化第1鎖cDNAコンカテマーはローリングサークル複製によって複製されることが可能である。第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも1本は環状化せず、未環状化第1鎖cDNAコンカテマーは鎖変位複製によって複製され、第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも1本は環状化され、環状化第1鎖cDNAコンカテマーはローリングサークル複製によって複製される。
第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件は、cDNA分子とRNAサンプルとを逆転写酵素の存在下にインキュベートすることを含み、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件は、環状化プローブと第1鎖cDNA分子とをリガーゼの存在下にインキュベートすることを含み、環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製を促進する条件は、環状化第1鎖cDNA分子をDNAポリメラーゼの存在下にインキュベートすることを含むことが可能である。
RNA分子はmRNA分子であり、cDNAプライマーは5'-GTGCGGCCGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT-3'(配列番号1)であり、環状化プローブは5'-AAAAGCGGCCGCACNNNNNN-3'(配列番号2)であり、逆転写酵素はSuperscript II逆転写酵素であり、リガーゼはT4 DNAリガーゼであり、DNAポリメラーゼは、φ29 DNAポリメラーゼであることが可能である。方法は、第1鎖cDNA分子の合成後で、第1鎖cDNA分子の環状化前に、第1鎖cDNA分子を、RNAse H活性の存在下にインキュベートすること、第1鎖cDNA分子をアルカリ条件下にインキュベートすること、第1鎖cDNA分子を中和すること、および、第1鎖cDNA分子を精製することをさらに含む。RNAse H活性は、RNAse H+逆転写酵素によって与えられ、アルカリ条件は、0.1M NaOHを添加することによって生成され、第1鎖cDNA分子は、0.1M HClを添加することによって中和される。
さらに開示されるのはRNA配列を増幅する方法であって、cDNAプライマーと、RNA分子を含むRNAサンプルとを、RNA分子から第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下でインキュベートする工程であって、第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件は、cDNAサンプルとRNAサンプルとを逆転写酵素の存在下にインキュベートすることを含む工程、第1鎖cDNA分子を、RNAse H活性の存在下にインキュベートする工程、第1鎖cDNA分子をアルカリ条件下にインキュベートする工程、第1鎖cDNA分子を中和する工程、第1鎖cDNA分子を精製する工程、環状化プローブと第1鎖cDNA分子を、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件下でインキュベートする工程であって、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件は、環状化プローブと第1鎖cDNA分子をリガーゼの存在下にインキュベートする工程、環状化第1鎖cDNA分子を、環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製を促進する条件下でインキュベートしてRNA配列を増幅する工程であって、環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製を促進する条件は、環状化第1鎖cDNA分子をDNAポリメラーゼの存在下にインキュベートすることを含む工程、を含む。
RNA分子はmRNA分子であり、cDNAプライマーは5'-GTGCGGCCGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT-3'(配列番号1)であり、環状化プローブは5'-AAAAGCGGCCGCACNNNNNN-3'(配列番号2)であり、逆転写酵素はSuperscript II逆転写酵素であり、RNAse H活性は、RNAse H+逆転写酵素によって与えられ、アルカリ条件は、0.1M NaOHを添加することによって生成され、第1鎖cDNA分子は、0.1M HClを添加することによって中和され、リガーゼはT4 DNAリガーゼであり、DNAポリメラーゼは、φ29 DNAポリメラーゼであることが可能である。
さらに開示されるのはRNA配列を増幅する方法であって、cDNAプライマーと、RNA分子を含むRNAサンプルとを、RNA分子から第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下でインキュベートする工程、環状化プローブと第1鎖cDNA分子を、第1鎖cDNA分子同士が相互に連結して第1鎖cDNAコンカテマーを形成するのを促進する条件下でインキュベートする工程、および、第1鎖cDNAコンカテマーを、第1鎖cDNAコンカテマーの鎖変位複製を促進する条件下でインキュベートし、RNA配列を増幅する工程、を含む。第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも一つは環状化され、環状化第1鎖cDNAコンカテマーはローリングサークル複製によって複製される。
第1鎖cDNA分子の内の少なくとも一つは環状化され、環状化第1鎖cDNA分子はローリングサークル複製によって複製される。第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも一つは環状化され、環状化第1鎖cDNAコンカテマーはローリングサークル複製によって複製され、第1鎖cDNA分子の内の少なくとも一つは環状化され、環状化第1鎖cDNA分子はローリングサークル複製によって複製される。
実施例1
A. ヒトRNAの環状化依存性増幅
ヒト腺直腸ガン由来のポリアデニル化RNAを増幅することによる、開示の方法の基本形を例示する。コントロール反応は、増幅は第1鎖cDNA分子の環状化に依存することを示す。
第1鎖cDNAは、5′-P-Not-1-(dT)20 cDNAプライマー(配列番号1)およびSuperscript II逆転写酵素を用いて、1μgのポリA+mRNA(ヒト腺直腸ガン、SV-480)から合成される。RNAse H+逆転写酵素を加えて、RNA鋳型を消化する。次に0.1M NaOHを加え、混合液を10分インキュベートする。次に、反応を0.1M HClを加えて中和した。第1鎖cDNA分子は、Qiagenカラムを用いて精製し、dNTPとプライマーを取り除いた。次に、第1鎖cDNA分子は、T4 DNAリガーゼ、および、類型環状化プローブ、5'-AAAAGCGGCCGCACNNNNNN-3'(配列番号2)を用いて環状化される。この環状化プローブのNNNセグメントは、全てのcDNAの3′末端にアニールする。一方、AAAAGCGGCCGCACNNNNNN-3'(配列番号2のヌクレオチド1-14番目)セグメントは、cDNA合成に使用されたcDNAプライマーを取り込んだcDNAの5′末端にアニールする。
環状化第1鎖cDNA分子混合液(2μlまたは10μl)は、エキソ耐性p(dN)6プライマー、ファイ-29DNAポリメラーゼ、および、dNTP(32P dCTP追跡因子として)を用いて、複数プライミングRCA用に用いられた。増幅産物の一部(5μl)を様々な時間間隔で取り出し、第1鎖cDNAの増幅を監視した。結果から、第1鎖cDNA分子の増幅は、第1鎖cDNA分子の環状化に依存することが示された。
実施例2
B. 増幅産物の分析
設計概念(図1)に従って、第1鎖cDNA分子を、腺ガン細胞(Clontech)の1 μgポリA+ mRNAから、5′リン酸化cDNAプライマーを用いて合成した。合成は、図1に示すように(3′末端にオリゴdT、5′リン酸化末端にNot Iエンドヌクレアーゼ配列を置いて)、Superscript II逆転写酵素(Invitrogen)を42oCで1時間用い、その後AMV逆転写酵素(Invitrogen)を37oCで1時間用いて行った。反応混合液から、QiagenのPCR産物精製キットを用いて第1鎖cDNAを単離した。100 ng mRNAを表す第1鎖cDNA(10分の1反応産物)を、過剰な架橋オリゴヌクレオチド(環状化プローブ)にアニールさせ、(1 μg)を20 μl x T4 DNAリガーゼバッファー(80oCに加熱、その後ゆっくりと30oCに冷却)、その後40U T4 DNAリガーゼに30oCで12時間。次に、5 ng mRNAを表す、連結されたcDNA反応混合液の1分画を、エンドヌクレアーゼ耐性p(dN)6プライマーおよびΦ29 DNAポリメラーゼによる100 μl増幅(30oCで12時間)のために用いた。ピコグリーンアッセイによる増幅産物の定量により、100 μlの増幅産物が形成されたことが示された。
この増幅反応は、増幅プロフィールを評価し、増幅産物の中のNot I部位の存在を評価するために、[α32P] dCTPの存在下に実行した。放射性標識された増幅産物をNot Iで消化し、0.8%寒天ゲル上で電気泳動し、その後オートラジオグラフィー分析に供した。この実験から、連結cDNAの増幅により、極めて高分子量産物が合成されたことが示された。Not Iエンドヌクレアーゼによる増幅産物の消化によって、長いcDNA分子と短いcDNA分子との混合物が得られ、増幅産物は、連結された第1鎖cDNA分子に由来するものであることを示した。
増幅産物中の特定の転写物の倍数増幅度を定量するために、増幅したものと、未増幅のcDNAサンプルの両方を用いて、Taqmanアッセイを行った。このために、その3′末端から約2.4 kb上流の、上皮成長因子受容体(EGFR)転写物を検出するTaqmanプローブを用いた。Ct値は、cDNA標的分子のそれぞれの量(コピー数)を反映する。計算のために、約3Ct単位の差は、量における約10倍差を反映する。40 ng mRNAを表す未増幅cDNAのCt値は、21.2サイクルであった。一方、150 pg mRNAを表す増幅cDNAのCt値は16サイクルであった。40 ng mRNAを表すcDNAと、150 pg mRNAを表す増幅cDNAとの間に見られた5Ctの差は、増幅cDNAにおいて約70倍量の標的の存在を示す。標本が異なるmRNA量を反映することを考慮すると、これは、EGFR転写物の約20,000倍増幅を表す。入力鋳型によらず、一定量の増幅産物が得られるのであるから、増幅反応により低量の連結cDNAを用いた場合、さらに高い倍率の転写物増幅が期待される。
実施例3
3. 増幅産物の増幅偏倚分析
二つの異なるRNAサンプル由来の特定転写物の増幅によって生成される偏倚を定めるために、第1鎖cDNA合成を、ヒト成人脳と胎児脳(Clontech)から得られたポリ-A+ mRNAについて行った。第1鎖cDNAを4 ng/μlの濃度で環状化プローブの存在下連結した。連結第1鎖cDNA 10 ngを、Φ29 DNAポリメラーゼとエキソヌクレアーゼ耐性p(dN)6プライマーによる30 μl反応容量において転写増幅に用いた。サンプルng当たりDNA傷害誘発性転写物(Dle3)標的の相対量を定量するために、成人脳および胎児脳mRNAを表す、増幅cDNA、および未増幅のcDNAを用いてTaqmanアッセイを実施した。これらのサンプルにおける転写物量を、様々の量のゲノムDNA(ngゲノムDNA当たり333コピー)によるTaqmanアッセイ標準曲線を利用して計算した。この手順によって増幅過程のサンプル変動性が求められた。増幅過程は、27-30%CV(二重第1鎖cDNA合成および三重増幅反応に由来する)で測定したところでは再現性があった。増幅はまた、mRNAサンプル中のDle3転写物の相対量を、増幅後は(2.2対1.7)で3工程後に約30%の増幅偏倚であり、維持していた。
開示の方法および組成物は、特定の方法、プロトコール、および試薬−その内容は記載に従っていろいろであるが−に限定されないことを理解しなければならない。本明細書で使用される用語は、特定の実施態様の記載目的のためだけであって、本発明の範囲を限定することを意図されていないことも理解しなければならない。本発明の範囲は、ただ付属の特許請求項によってのみ限定される。
本明細書で、また付属の特許請求項で、単数形"a"、"an"および"the"は、文脈から明瞭に別様と指示されない限り、複数参照を含む。従って、例えば、「(単数の)ローリングサークル複製プライマー」への言及は、複数の、そのようなローリングサークル複製プライマーを含み、「(複数の)第1鎖cDNA分子」への言及は、1種以上の第1鎖cDNA分子、および、当業者には既知の、それの等価物等に対する言及である。
「選択的な」、または「要すれば随意に」とは、その後に記述される事象、状況、または物質が、生起または存在するかもしれないし、しないかもしれないこと、その記述は、その事象、状況、または物質が生起または存在する場合と、その事象、状況、または物質が生起または存在しない場合とを含むことを意味する。
範囲は、本明細書では、「約」ある特定値から、および/または、「約」ある特定値までとして表現される。このような範囲が表現された場合、文脈から明らかに別様に指示されない限り、一方の特定の値から、および/または、他方の特定の値までの範囲が特定的に考察され、考慮される。同様に、数値が、先行詞"about"(「約」)の使用によって近似値として表されている場合、文脈から特に別様に指示されない限り、その特定の値は、開示されたものと考慮すべき、別の、特に考慮される実施態様を形成することが理解されなければならない。さらに、範囲の各終末点は、文脈から特に別様に指示されない限り、共に、他方の終末点と関連して、かつ、他方の終末点とは独立して、重要であることが理解されなければならない。最後に、はっきりと開示された範囲に含まれる個別の数値の全て、およびそれらの下位数値も、文脈から特に別様に指示されない限り、特定的に考察され、開示として考慮されたものであることが理解されなければならない。前言は、上記実施態様のあるものが、または全てが、特定の事例においてはっきりと開示されているとか、いないとかによらず、適用される。
別様に定義しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は全て、本開示の方法および組成物が所属する従来技術に精通する当業者によって当たり前に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書に記載されるものと類似の、または、等価的な方法および材料であればどのようなものでも本法および組成物の実行または試験に使用することが可能であるが、特に有用な方法、装置、および材料は、記載の通りである。本明細書で引用した刊行物、および引用材料は、参照することにより特に具体的に本明細書に含める。本明細書のいずれの点においても、本発明は、先行発明のためにその開示を先立って行うことができなかったことを許容するものと考えてはならない。
当業者であれば、通例の実験を行うだけで、本明細書に記述される方法と組成物の実施態様に対する多くの等価物を認識し、確認することが可能であろう。このような等価物は、頭書の特許請求項に含まれることが意図される。
図1は、開示の方法の一例を示す概略図である。cDNAプライマー(配列番号3)は、mRNA分子(配列番号4)(最上段)のポリ(A)領域にアニールする。逆転写酵素は直線的第1鎖cDNA分子を生成する。環状化プローブ(配列番号5)が加えられ、第1鎖cDNA分子は環状化される。次に、エキソヌクレアーゼ耐性ランダムヘキサマープライマーおよびφ29 DNAポリメラーゼを用いて、指数関数型ローリングサークル増幅により環状化第1鎖cDNA分子を増幅する。ローリングサークル増幅は、2本鎖タンデム配列DNAを生成する。タンデム配列DNAは、Not Iによって切断することが可能で、単一タンデム反復単位が得られる。なぜなら、Not I部位が、各タンデム反復単位の間に現れるからである。 図2A、2B、2C、2Dおよび2Eは、cDNAプライマーと環状化プローブ、および、それらの関係のいくつかの例を示す概略図である。cDNAプライマー(20)は、RNA相補部分(1)とプローブ相補部分(3)を持つ。要すれば随意に、cDNAプライマーは、プライマー相補部分(2)、プライマー一致部分(4)、切断部位(5)、および、プロモーター部分(12)を持つことが可能である。環状化プローブ(30)は、プライマー相補部分(6)とcDNA相補部分(7)とを持つ。要すれば随意に、環状化プローブは、プライマー一致部分(8)、第2プライマー相補部分(9)、切断部位(10)、RNA一致部分(11)、および、プロモーター部分(13)を持つことが可能である。cDNAプライマー(20)と環状化プローブ(30)の間の点々は、プライマーとプローブの間の相補性を示す。
【配列表】
Figure 2006512081
Figure 2006512081

Claims (179)

  1. RNA配列を増幅する方法であって、
    cDNAプライマーと、RNA分子を含むRNAサンプルとを、前記RNA分子からの第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下でインキュベートすること、
    環状化プローブと、第1鎖cDNA分子とを、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件下でインキュベートすること、および、
    環状化第1鎖cDNA分子を、環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製を促進する条件下でインキュベートしてRNA配列を増幅すること、
    を含む前記方法。
  2. 前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAおよび前記二次タンデム配列DNAは2本鎖タンデム配列DNAを形成することを特徴とする、請求項1の方法。
  3. 各2本鎖ダンデム配列DNAは、同じ配列の複数のタンデム反復単位を含み、各タンデム反復単位は対象となる1箇所以上の切断部位を含む方法であって、
    2本鎖タンデム配列DNAを複数の切断部位で切断して、タンデム配列DNA断片を生じる工程をさらに含み、前記タンデム配列DNA断片の内の少なくとも一つは、複数のタンデム反復単位を含まないことを特徴とする、請求項2の方法。
  4. 各タンデム反復単位は対象となる単一切断部位を含み、cDNAプライマーは、対象となる前記切断部位を含むことを特徴とする、請求項3の方法。
  5. 前記切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、前記制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも7個のヌクレオチドを含む認識配列を有することを特徴とする、請求項4の方法。
  6. 前記制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも8個のヌクレオチドを含む認識配列を有することを特徴とする、請求項5の方法。
  7. 前記制限エンドヌクレアーゼは、Not I, Asc I, AsiS I, Fse I, Pac I, Pme I, Sbf I, Sfi I、またはSwa Iであることを特徴とする、請求項6の方法。
  8. 前記切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、前記制限エンドヌクレアーゼは、平均して各65,536個以上のヌクレオチド毎に1回出現する認識配列を有することを特徴とする、請求項4の方法。
  9. 各タンデム反復単位は対象となる単一切断部位を含み、環状化プローブは、前記対象となる切断部位を含むことを特徴とする、請求項3の方法。
  10. 各タンデム反復単位は対象となる単一切断部位を含み、タンデム配列DNA断片の内の少なくとも一つは単一タンデム反復単位から成ることを特徴とする、請求項3の方法。
  11. 前記複数のタンデム配列DNA断片は、単一タンデム反復単位から成ることを特徴とする、請求項10の方法。
  12. 前記複数のタンデム配列DNA断片の大部分は、単一タンデム反復単位から成ることを特徴とする、請求項11の方法。
  13. 前記複数のタンデム配列DNA断片の実質的に全てが、単一タンデム反復単位から成ることを特徴とする、請求項12の方法。
  14. 単一タンデム反復単位の1種以上をクローニングすることをさらに含む、請求項13の方法。
  15. 前記単一タンデム反復単位はクローニング前にサイズに基づいて分離され、対象となるサイズを持つ単一タンデム反復単位のみがクローニングされることを特徴とする、請求項14の方法。
  16. 対象となるサイズ以上のサイズを持つ単一タンデム反復単位のみがクローニングされることを特徴とする、請求項15の方法。
  17. 前記クローン化されたタンデム反復単位はcDNAライブラリーを構成することを特徴とする、請求項14の方法。
  18. 単一タンデム反復単位の配列は、環状化第1鎖cDNA分子の内の一つの配列に一致し、単一タンデム反復単位の配列は、前記環状化第1鎖cDNA分子の内の一つの配列の環状順列であることを特徴とする、請求項10の方法。
  19. 単一タンデム反復単位の配列は、環状化第1鎖cDNA分子の内の一つの配列に一致し、単一タンデム反復単位の配列は、前記環状化第1鎖cDNA分子の内の一つの配列の環状順列ではないことを特徴とする、請求項10の方法。
  20. 前記単一タンデム反復単位がcDNAライブラリーを構成することを特徴とする、請求項10の方法。
  21. ローリングサークル複製は、ローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製は、プロモーター部分をさらに含むことを特徴とする、請求項10の方法。
  22. 前記プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項21の方法。
  23. 前記プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項22の方法。
  24. タンデム反復転写物が生産されるタンデム反復単位を転写する工程をさらに含む方法であって、タンデム反復転写物が単一タンデム反復単位の転写物であることを特徴とする、請求項21の方法。
  25. 前記タンデム反復転写物が、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項24の方法。
  26. 前記タンデム反復転写物は、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項24の方法。
  27. 前記タンデム反復転写物が翻訳されることを特徴とする、請求項24の方法。
  28. 前記cDNAプライマーはプロモーター部分をさらに含むことを特徴とする、請求項10の方法。
  29. 前記プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項28の方法。
  30. 前記プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項29の方法。
  31. タンデム反復転写物が生産されるタンデム反復単位を転写する工程をさらに含む方法であって、タンデム反復転写物が単一タンデム反復単位の転写物であることを特徴とする、請求項28の方法。
  32. 前記タンデム反復転写物が、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項31の方法。
  33. 前記タンデム反復転写物は、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項31の方法。
  34. 前記タンデム反復転写物が翻訳されることを特徴とする、請求項31の方法。
  35. 前記タンデム反復単位は、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項10の方法。
  36. 前記タンデム反復単位は、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項10の方法。
  37. 1種以上のタンデム配列DNA断片を1種以上のベクターに挿入して1種以上の組み換えベクターを形成することをさらに含む請求項3の方法。
  38. 前記タンデム配列DNA断片は、ベクターへの挿入前にサイズに基づいて分離され、対象となるサイズを持つタンデム配列DNA断片のみがベクターに挿入されることを特徴とする、請求項37の方法。
  39. 対象となるサイズ以上のサイズを持つタンデム配列DNA断片のみがクローニングされることを特徴とする、請求項38の方法。
  40. 前記組み換えベクターはcDNAライブラリーを構成することを特徴とする、請求項37の方法。
  41. 1種以上の前記タンデム配列DNA断片をクローニングすることをさらに含むことを特徴とする、請求項3の方法。
  42. 前記タンデム配列DNA断片は、クローニングの前にサイズに基づいて分離され、対象となるサイズを持つタンデム配列DNA断片のみがクローニングされることを特徴とする、請求項41の方法。
  43. 対象となるサイズ以上のサイズを持つタンデム配列DNA断片のみがクローニングされることを特徴とする、請求項42の方法。
  44. 前記クローニングされたタンデム配列DNA断片はcDNAライブラリーを構成することを特徴とする、請求項41の方法。
  45. 前記タンデム配列DNA断片はcDNAライブラリーを構成することを特徴とする、請求項3の方法。
  46. 前記タンデム配列DNA断片の少なくとも一つは単一タンデム反復単位を含み、前記1種以上の単一タンデム反復単位をクローニングすることをさらに含むことを特徴とする、請求項3の方法。
  47. 前記単一タンデム反復単位はクローニング前にサイズに基づいて分離され、対象となるサイズを持つ単一タンデム反復単位のみがクローニングされることを特徴とする、請求項46の方法。
  48. 対象となるサイズ以上のサイズを持つ単一タンデム反復単位のみがクローニングされることを特徴とする、請求項47の方法。
  49. 前記クローニングされたタンデム反復体はcDNAライブラリーを構成することを特徴とする、請求項46の方法。
  50. 前記タンデム配列DNA断片は、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項3の方法。
  51. 前記タンデム配列DNA断片は、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項3の方法。
  52. 前記cDNAプライマーはRNA相補部分を含み、前記RNA相補部分は、1種以上のRNA分子にハイブリダイズし、前記cDNAプライマーは、第1鎖cDNA分子の合成時に、第1鎖cDNA分子に取り込まれることを特徴とする、請求項1の方法。
  53. 前記RNA相補部分はポリ(dT)を含み、前記RNA分子はmRNA分子であることを特徴とする請求項52の方法。
  54. 前記RNA相補部分は、1種以上のRNA分子の配列に対して相補的であることを特徴とする、請求項52の方法。
  55. 前記RNA相補部分は、RNA分子の内の一つの配列に対して相補的であり、前記cDNAプライマーは前記RNA分子に対して特異的であることを特徴とする、請求項54の方法。
  56. 前記cDNAプライマーはさらに対象となる切断部位を含むことを特徴とする、請求項52の方法。
  57. 前記切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、前記制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも7個のヌクレオチドを含む認識配列を有することを特徴とする、請求項56の方法。
  58. 前記制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも8個のヌクレオチドを含む認識配列を有することを特徴とする、請求項57の方法。
  59. 前記制限エンドヌクレアーゼは、Not I, Asc I, AsiS I, Fse I, Pac I, Pme I, Sbf I, Sfi I、またはSwa Iであることを特徴とする、請求項58の方法。
  60. 前記切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、前記制限エンドヌクレアーゼは、平均して各65,536個以上のヌクレオチド毎に1回出現する認識配列を有することを特徴とする、請求項56の方法。
  61. 前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAおよび前記二次タンデム配列DNAは2本鎖タンデム配列DNAを形成し、各2本鎖タンデム配列DNAは、同じ配列の複数のタンデム反復体を含み、各タンデム反復体は切断部位を含む方法であって、
    前記2本鎖配列DNAを複数の切断部位において切断してタンデム配列DNA断片を形成する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項56の方法。
  62. 前記cDNAプライマーはプローブ相補部分をさらに含み、前記プローブ相補部分は、環状化プローブの配列に対して相補的であることを特徴とする、請求項52の方法。
  63. 前記cDNAプライマーはプライマー相補部分をさらに含み、前記プライマー相補部分は、ローリングサークル複製プライマーに対して相補的であることを特徴とする、請求項52の方法。
  64. 前記cDNAプライマーはプライマー一致部分をさらに含み、前記プライマー一致部分は、二次DNA鎖変位プライマーの配列に一致することを特徴とする、請求項63の方法。
  65. 前記cDNAプライマーはプロモーター部分をさらに含むことを特徴とする、請求項64の方法。
  66. 前記cDNAプライマーはプライマー一致部分をさらに含み、前記プライマー一致部分は、二次DNA鎖変位プライマーの配列に一致することを特徴とする、請求項52の方法。
  67. 前記cDNAプライマーはプロモーター部分をさらに含むことを特徴とする、請求項52の方法。
  68. 前記プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項68の方法。
  69. 前記プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項68の方法。
  70. 前記cDNAプライマーはヌクレオチドを含み、前記ヌクレオチドの1個以上はリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項52の方法。
  71. 前記ヌクレオチドの約10%から約50%はリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項70の方法。
  72. 前記ヌクレオチドの約50%以上はリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項70の方法。
  73. 前記ヌクレオチドの全てがリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項70の方法。
  74. 前記cDNAプライマーはヌクレオチドを含み、前記ヌクレオチドの1個以上が2′-O-メチルリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項52の方法。
  75. 前記ヌクレオチドの約10%から約50%が2′-O-メチルリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項74の方法。
  76. 前記ヌクレオチドの約50%以上は2′-O-メチルリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項74の方法。
  77. 前記ヌクレオチドの全てが2′-O-メチルリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項74の方法。
  78. 前記cDNAプライマーはヌクレオチドを含み、前記ヌクレオチドは、リボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドとの混合物であることを特徴とする、請求項52の方法。
  79. 前記cDNAプライマーはヌクレオチドを含み、前記ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドとの混合物であることを特徴とする、請求項52の方法。
  80. 前記cDNAプライマーは、第1鎖cDNA分子の合成時に第1鎖cDNA分子に取り込まれ、前記環状化プローブは、cDNA相補部分およびプライマー相補部分を含み、前記cDNA相補部分は、1種以上の第1鎖cDNA分子にハイブリダイズし、前記プライマー相補部分は、第1鎖cDNA分子に取り込まれたcDNAプライマーにハイブリダイズし、cDNA相補部分の第1鎖cDNA分子に対するハイブリダイゼーション、および、プライマー相補部分のcDNAプライマーに対するハイブリダイゼーションは、第1鎖cDNA分子の末端同士を接近させ、それによって、第1鎖cDNA分子の環状化を仲介することを特徴とする、請求項1の方法。
  81. 前記cDNA相補部分は、ランダムな、または部分的にランダムな配列を含むことを特徴とする、請求項80の方法。
  82. 前記cDNA相補部分はヌクレオチドを含み、1種以上の前記ヌクレオチドが普遍的塩基を含むことを特徴とする、請求項80の方法。
  83. 前記普遍的塩基は5-ニトロインドールまたは3-ニトロピロールであることを特徴とする、請求項82の方法。
  84. 前記cDNA相補部分はヌクレオチドを含み、1種以上の前記ヌクレオチドは1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することができることを特徴とする、請求項80の方法。
  85. 1種以上のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能な前記ヌクレオチドはイノシンか、または、普遍的塩基を含むヌクレオチドであることを特徴とする、請求項84の方法。
  86. 前記普遍的塩基は5-ニトロインドールまたは3-ニトロピロールであることを特徴とする、請求項85の方法。
  87. 前記環状化プローブはさらに切断部位を含み、前記プライマー相補部分は前記切断部位を含むことを特徴とする、請求項80の方法。
  88. 前記切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、前記制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも7個のヌクレオチドを含む認識配列を有することを特徴とする、請求項87の方法。
  89. 前記制限エンドヌクレアーゼは、少なくとも8個のヌクレオチドを含む認識配列を有することを特徴とする、請求項88の方法。
  90. 前記制限エンドヌクレアーゼは、Not I, Asc I, AsiS I, Fse I, Pac I, Pme I, Sbf I, Sfi I、またはSwa Iであることを特徴とする、請求項89の方法。
  91. 前記切断部位は制限エンドヌクレアーゼの切断部位であり、前記制限エンドヌクレアーゼは、平均して各65,536個以上のヌクレオチド毎に1回出現する認識配列を有することを特徴とする、請求項87の方法。
  92. 前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAおよび前記二次タンデム配列DNAは2本鎖タンデム配列DNAを形成し、各2本鎖タンデム配列DNAは、同じ配列の複数のタンデム反復体を含み、各タンデム反復体は切断部位を含む方法であって、
    前記2本鎖配列DNAを複数の切断部位において切断してタンデム配列DNA断片を形成する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項87の方法。
  93. 前記プライマー相補部分は、cDNAプライマーの配列に対して相補的であることを特徴とする、請求項80の方法。
  94. 前記環状化プローブは、第2プライマー相補部分をさらに含み、前記第2プライマー相補部分は、二次DNA鎖変位プライマーに対して相補的であることを特徴とする、請求項80の方法。
  95. 前記環状化プローブはプライマー一致部分をさらに含み、前記プライマー一致部分は、ローリングサークル複製プライマーの配列に一致することを特徴とする、請求項94の方法。
  96. 前記環状化プローブは、さらにプロモーター部分を含むことを特徴とする、請求項95の方法。
  97. 前記環状化プローブはプライマー一致部分をさらに含み、前記プライマー一致部分は、二次DNA鎖変位プライマーの配列に一致することを特徴とする、請求項80の方法。
  98. 前記環状化プローブは、さらにプロモーター部分を含むことを特徴とする、請求項80の方法。
  99. 前記プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項98の方法。
  100. 前記プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項99の方法。
  101. 前記環状化プローブはヌクレオチドを含み、前記ヌクレオチドの1個以上はリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項80の方法。
  102. 前記ヌクレオチドの約10%から約50%はリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項101の方法。
  103. 前記ヌクレオチドの約50%以上はリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項101の方法。
  104. 前記ヌクレオチドの全てがリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項101の方法。
  105. 前記環状化プローブはヌクレオチドを含み、前記ヌクレオチドの1個以上が2′-O-メチルリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項80の方法。
  106. 前記ヌクレオチドの約10%から約50%が2′-O-メチルリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項105の方法。
  107. 前記ヌクレオチドの約50%以上は2′-O-メチルリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項105の方法。
  108. 前記ヌクレオチドの全てが2′-O-メチルリボヌクレオチドであることを特徴とする、請求項105の方法。
  109. 前記環状プローブはヌクレオチドを含み、前記ヌクレオチドは、リボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドとの混合物であることを特徴とする、請求項80の方法。
  110. 前記環状プローブはヌクレオチドを含み、前記ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドと2′-O-メチルリボヌクレオチドとの混合物であることを特徴とする、請求項80の方法。
  111. ローリングサークル複製はローリングサークルプライマーによってプライミングされ、前記ローリングサークルプライマーはランダム配列であり、前記ローリングサークル複製は、環状化第1鎖cDNA分子の複数箇所においてプライミングされることを特徴とする、請求項1の方法。
  112. 前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAの複製はローリングサークル複製プライマーによってプライミングされることを特徴とする、請求項111の方法。
  113. 前記環状化第1鎖cDNA分子は、指数関数型ローリングサークル増幅によって増幅されることを特徴とする、請求項111の方法。
  114. ローリングサークル複製は、複数のローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製は、環状化第1鎖cDNA分子の複数箇所においてプライミングされることを特徴とする、請求項1の方法。
  115. 前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAの複製は、1種以上のDNA鎖変位プライマーによってプライミングされることを特徴とする、請求項114の方法。
  116. 前記環状化第1鎖cDNA分子は、指数関数型ローリングサークル増幅によって増幅されることを特徴とする、請求項114の方法。
  117. ローリングサークル複製は、1種以上のローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されず、前記タンデム配列DNAは、RNA分子の配列に一致する配列を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
  118. 前記タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項117の方法。
  119. 前記タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項117の方法。
  120. ローリングサークル複製は、環状化プローブによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されず、前記タンデム配列DNAは、RNA分子の配列に一致する配列を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
  121. 前記タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項120の方法。
  122. 前記タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項120の方法。
  123. ローリングサークル複製は、1種以上のローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる方法であって、
    前記ローリングサークル複製プライマーは5′リン酸基を有し、前記二次DNA鎖変位プライマーは5′ヒドロキシル基を有し、前記タンデム配列DNAは5′リン酸基を有し、前記二次タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を有し、
    前記方法は、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートして、前記タンデム配列DNAは変質させ、前記二次タンデム配列DNAは残される工程をさらに含む
    ことを特徴とする、請求項1の方法。
  124. 前記リン酸基依存性エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼであることを特徴とする、請求項123の方法。
  125. 前記二次タンデム配列DNAは前記RNA分子の配列に相補的な配列を含み、前記二次タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項123の方法。
  126. 前記二次タンデム配列DNAは前記RNA分子の配列に相補的な配列を含み、前記二次タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項123の方法。
  127. ローリングサークル複製は、1種以上のローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる方法であって、
    前記ローリングサークル複製プライマーは5′ヒドロキシル基を有し、前記二次DNA鎖変位プライマーは5′リン酸基を有し、前記タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を有し、前記二次タンデム配列DNAは5′リン酸基を有し、
    前記方法は、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートして、前記二次タンデム配列DNAは変質させ、前記タンデム配列DNAは残される工程をさらに含む
    ことを特徴とする、請求項1の方法。
  128. 前記リン酸基依存性エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼであることを特徴とする、請求項127の方法。
  129. 前記タンデム配列DNAは前記RNA分子の配列に一致する配列を含み、前記タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項127の方法。
  130. 前記タンデム配列DNAは前記RNA分子の配列に一致する配列を含み、前記タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項127の方法。
  131. ローリングサークル複製は、環状化プローブによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる方法であって、
    前記環状化プローブは5′リン酸基を有し、前記二次DNA鎖変位プライマーは5′ヒドロキシル基を有し、前記タンデム配列DNAは5′リン酸基を有し、前記二次タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を有し、
    前記方法は、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートして、前記タンデム配列DNAは変質させ、前記二次タンデム配列DNAは残される工程をさらに含む
    ことを特徴とする、請求項1の方法。
  132. 前記リン酸基依存性エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼであることを特徴とする、請求項131の方法。
  133. 前記二次タンデム配列DNAは前記RNA分子の配列に相補的な配列を含み、前記二次タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項131の方法。
  134. 前記二次タンデム配列DNAは前記RNA分子の配列に相補的な配列を含み、前記二次タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項131の方法。
  135. ローリングサークル複製は、環状化プローブによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、前記タンデム配列DNAは複製されて二次タンデム配列DNAを形成し、前記タンデム配列DNAの複製は、1種以上の二次DNA鎖変位プライマーによってプライミングされる方法であって、
    前記環状化プローブは5′ヒドロキシル基を有し、前記二次DNA鎖変位プライマーは5′リン酸基を有し、前記タンデム配列DNAは5′ヒドロキシル基を有し、前記二次タンデム配列DNAは5′リン酸基を有し、
    前記方法は、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、リン酸基依存性エキソヌクレアーゼの存在下にインキュベートして、前記二次タンデム配列DNAは変質させ、前記タンデム配列DNAは残される工程をさらに含む
    ことを特徴とする、請求項1の方法。
  136. 前記リン酸基依存性エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼであることを特徴とする、請求項135の方法。
  137. 前記タンデム配列DNAは前記RNA分子の配列に一致する配列を含み、前記タンデム配列DNAは、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項135の方法。
  138. 前記タンデム配列DNAは前記RNA分子の配列に一致する配列を含み、前記タンデム配列DNAは、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項135の方法。
  139. ローリングサークル複製は、ローリングサークル複製プライマーによってプライミングされ、前記ローリングサークル複製プライマーはプロモーター部分をさらに含み、前記ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらすことを特徴とする、請求項1の方法。
  140. 前記プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項139の方法。
  141. 前記プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項140の方法。
  142. タンデム反復転写物が生産されるタンデム配列DNAを転写する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項139の方法。
  143. 前記タンデム配列転写物が、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項142の方法。
  144. 前記タンデム配列転写物は、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項142の方法。
  145. 前記タンデム配列転写物が翻訳されることを特徴とする、請求項142の方法。
  146. 前記cDNAプライマーはプロモーター部分をさらに含み、前記ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらすことを特徴とする、請求項1の方法。
  147. 前記プロモーター部分は、ファージRNAポリメラーゼまたは細菌RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項146の方法。
  148. 前記プロモーターは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼ用のプロモーターであることを特徴とする、請求項147の方法。
  149. タンデム配列転写物が生産されるタンデム配列DNAを転写する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項146の方法。
  150. 前記タンデム配列転写物が、直接または間接に、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されることを特徴とする、請求項149の方法。
  151. 前記タンデム配列転写物は、固相基板に関連付けられることを特徴とする、請求項149の方法。
  152. 前記タンデム配列転写物が翻訳されることを特徴とする、請求項149の方法。
  153. 前記ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、前記方法は
    前記タンデム配列DNA中に1種以上の標的配列を検出する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1の方法。
  154. 前記1種以上の標的配列は前記RNA分子の標的配列に一致し、前記1種以上の標的配列の検出は、RNAサンプルにおける対応RNA分子の存在を示すことを特徴とする、請求項153の方法。
  155. 前記RNAサンプルは被験体から得られたものであり、前記1種以上の標的配列は、病気または状態に関連し、病気または状態に関連する前記1種以上の標的配列の検出は、前記RNAサンプルを提供した被験体が、前記関連する病気または状態の危険性がある、またはないことを示すことを特徴とする、請求項153の方法。
  156. 複数の第1鎖cDNA分子が、複数のRNA分子から合成され、複数のタンデム配列DNAが形成され、前記複数のタンデム配列DNAは前記複数のRNA分子と一致し、複数の標的配列が検出され、検出された前記複数の標的配列は、RNAサンプルから得られる配列カタログを構成することを特徴とする、請求項153の方法。
  157. 前記方法は、前記配列カタログを、異なるRNAサンプルから同様にして生産された別の配列カタログと比較する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項156の方法。
  158. 前記配列カタログにおける対象となる配列の有無は、RNAサンプルを提供した前記被験体が、病気または状態の危険性がある、またはないことを示すことを特徴とする、請求項153の方法。
  159. 前記ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、複数の第1鎖cDNA分子が複数のRNA分子から合成され、複数のタンデム配列DNAが形成され、前記複数のタンデム配列DNAは前記複数のRNA分子と一致し、前記複数のタンデム配列DNAは、RNAサンプルから得られる配列カタログを構成することを特徴とする、請求項1の方法。
  160. 前記配列カタログは、前記RNAサンプル中のRNA分子の相当数と一致するタンデム配列DNAを含むことを特徴とする、請求項159の方法。
  161. 前記配列カタログは、前記RNAサンプル中のRNA分子の実質的に同数と一致するタンデム配列DNAを含むことを特徴とする、請求項160の方法。
  162. 前記ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらす方法において、
    前記タンデム配列DNA中の1種以上の標的配列の配列決定をする工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1の方法。
  163. 前記1種以上の標的配列は、前記RNA分子中の標的配列と一致し、前記1種以上の標的配列の配列は、前記RNAサンプル中の対応RNA分子の配列に一致することを特徴とする、請求項162の方法。
  164. 前記ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらす方法であって、
    ローリングサークル複製後に、タンデム配列DNAを、タンデム配列DNAの複製を促進する条件下にインキュベートして、タンデム配列DNAの複製時に、複製された鎖の内の少なくとも一つが、別の複製鎖の鎖変位複製によって、前記タンデム配列DNAから移動させられる工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1の方法。
  165. 前記ローリングサークル複製はタンデム配列DNAの形成をもたらし、タンデム配列DNAは複製されて、ローリングサークル複製時に、二次タンデム配列DNAを形成し、前記方法は、ローリングサークル複製後に、
    タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAとを、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAの複製を促進する条件下にインキュベートして、タンデム配列DNAと二次タンデム配列DNAの複製時に、複製された鎖の内の少なくとも一つが、別の複製鎖の鎖変位複製によって、前記タンデム配列DNA、または二次タンデム配列DNAから移動させられる工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1の方法。
  166. 前記第1鎖cDNA分子の少なくとも一つは、少なくとも一つの別の第1鎖cDNA分子に連結されて、一本以上の第1鎖cDNAコンカテマーを形成することを特徴とする、請求項1の方法。
  167. 前記第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも1本は環状化せず、前記環状化されない第1鎖cDNAコンカテマーは鎖変位複製によって複製されることを特徴とする、請求項166の方法。
  168. 前記第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも1本は環状化され、前記環状化第1鎖cDNAコンカテマーはローリングサークル複製によって複製されることを特徴とする、請求項166の方法。
  169. 前記第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも1本は環状化せず、前記未環状化第1鎖cDNAコンカテマーは鎖変位複製によって複製され、前記第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも1本は環状化され、前記環状化第1鎖cDNAコンカテマーはローリングサークル複製によって複製されることを特徴とする、請求項166の方法。
  170. 第1鎖cDNA分子の合成を促進する前記条件は、cDNA分子とRNAサンプルとを逆転写酵素の存在下にインキュベートすることを含み、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する前記条件は、環状化プローブと第1鎖cDNA分子とをリガーゼの存在下にインキュベートすることを含み、環状化第1cDNA分子のローリングサークル複製を促進する前記条件は、環状化第1鎖cDNA分子をDNAポリメラーゼの存在下にインキュベートすることを含むことを特徴とする、請求項1の方法。
  171. 前記RNA分子はmRNA分子であり、前記cDNAプライマーは5'-GTGCGGCCGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT-3'(配列番号1)であり、前記環状化プローブは5'-AAAAGCGGCCGCACNNNNNN-3'(配列番号2)であり、前記逆転写酵素はSuperscript II逆転写酵素であり、前記リガーゼはT4 DNAリガーゼであり、前記DNAポリメラーゼは、φ29 DNAポリメラーゼであることを特徴とする、請求項170の方法。
  172. 第1鎖cDNA分子の合成後で、第1鎖cDNA分子の環状化前に、
    第1鎖cDNA分子を、RNAse H活性の存在下にインキュベートすること、
    第1鎖cDNA分子をアルカリ条件下にインキュベートすること、
    第1鎖cDNA分子を中和すること、および、
    第1鎖cDNA分子を精製すること
    をさらに含むことを特徴とする、請求項170の方法。
  173. 前記RNAse H活性は、RNAse H+逆転写酵素によって与えられ、前記アルカリ条件は、0.1M NaOHを添加することによって生成され、前記第1鎖cDNA分子は、0.1M HClを添加することによって中和されることを特徴とする、請求項172の方法。
  174. RNA配列を増幅する方法であって、
    cDNAプライマーと、RNA分子を含むRNAサンプルとを、前記RNA分子から第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下でインキュベートする工程であって、第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件は、cDNAサンプルとRNAサンプルとを逆転写酵素の存在下にインキュベートすることを含む工程、
    第1鎖cDNA分子を、RNAse H活性の存在下にインキュベートする工程、
    第1鎖cDNA分子をアルカリ条件下にインキュベートする工程、
    第1鎖cDNA分子を中和する工程、
    第1鎖cDNA分子を精製する工程、
    環状化プローブと第1鎖cDNA分子とを、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する条件下でインキュベートする工程であって、第1鎖cDNA分子の環状化を促進する前記条件は、環状化プローブと第1鎖cDNA分子をリガーゼの存在下にインキュベートする工程、
    環状化第1鎖cDNA分子を、環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製を促進する条件下でインキュベートしてRNA配列を増幅する工程であって、環状化第1鎖cDNA分子のローリングサークル複製を促進する前記条件は、環状化第1鎖cDNA分子をDNAポリメラーゼの存在下にインキュベートすることを含む工程
    を含むことを特徴とする方法。
  175. 前記RNA分子はmRNA分子であり、前記cDNAプライマーは5'-GTGCGGCCGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT-3'(配列番号1)であり、前記環状化プローブは5'-AAAAGCGGCCGCACNNNNNN-3'(配列番号2)であり、前記逆転写酵素はSuperscript II逆転写酵素であり、前記RNAse H活性は、RNAse H+逆転写酵素によって与えられ、前記アルカリ条件は、0.1M NaOHを添加することによって生成され、前記第1鎖cDNA分子は、0.1M HClを添加することによって中和され、前記リガーゼはT4 DNAリガーゼであり、前記DNAポリメラーゼは、φ29 DNAポリメラーゼであることを特徴とする、請求項174の方法。
  176. RNA配列を増幅する方法であって、
    cDNAプライマーと、RNA分子を含むRNAサンプルとを、前記RNA分子から第1鎖cDNA分子の合成を促進する条件下でインキュベートする工程、
    環状化プローブと第1鎖cDNA分子を、第1鎖cDNA分子同士が相互に連結して第1鎖cDNAコンカテマーを形成するのを促進する条件下でインキュベートする工程、および、
    第1鎖cDNAコンカテマーを、第1鎖cDNAコンカテマーの鎖変位複製を促進する条件下でインキュベートし、RNA配列を増幅する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  177. 前記第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも一つは環状化され、前記環状化第1鎖cDNAコンカテマーはローリングサークル複製によって複製されることを特徴とする、請求項176の方法。
  178. 前記第1鎖cDNA分子の内の少なくとも一つは環状化され、前記環状化第1鎖cDNA分子はローリングサークル複製によって複製されることを特徴とする、請求項176の方法。
  179. 前記第1鎖cDNAコンカテマーの内の少なくとも一つは環状化され、前記環状化第1鎖cDNAコンカテマーはローリングサークル複製によって複製され、前記第1鎖cDNA分子の内の少なくとも一つは環状化され、前記環状化第1鎖cDNA分子はローリングサークル複製によって複製されることを特徴とする、請求項176の方法。
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