JP5809385B2 - 環状ゲノムのローリングサークル増幅 - Google Patents

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    • C12Q1/6846Common amplification features

Description

開示される発明は、一般に核酸増幅の分野である。
多数の方法が、核酸の指数増幅のために開発されてきた。これらには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)自立支持配列複製(3SR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、及びQβレプリカーゼを用いる増幅が挙げられる(Birkenmeyer and Mushahwar, J. Virological Methods, 35:117-126 (1991); Landegren, Trends Genetics 9:199-202 (1993))。
大部分の遺伝子分析の基本は、適切な品質及び量のゲノムDNAの利用能である。全ゲノム増幅(WGA)の技術が開発されている。PCR増幅の変形である全ゲノムPCRは、同じPCR反応において生物体の全ゲノムを増幅するために、ランダム又は部分ランダムプライマーの使用を伴う。多重置換増幅(MDA)に対して全ゲノム増幅は、複雑性の高いゲノムの高品質な増幅を提供することができる鎖置換増幅を伴う恒温反応である。これは、米国特許第6,124,120号(Lizardi)に記載されている。増幅は、各プライマーでの複製開始により進行し、成長する鎖が隣接する複製鎖に遭遇し、それを置換するようにして続けられる。
DNAポリメラーゼにより駆動されるローリングサークル増幅(RCA)は、恒温条件下での直線的又は幾何学的動態を用いて、環状オリゴヌクレオチドプローブを複製するために使用されてきた(Lizardi et al., Nature Genet. 19: 225-232 (1998);米国特許第5,854,033号及び同第6,143,495号;PCT出願WO97/19193)。単一のプライマーが使用される場合、RCAは、数分間で、標的に共有結合している、標的の何百又は何千のタンデム結合DNAコピーの直鎖を生成する。線状増幅産物の生成は、標的の空間分解能及び正確な定量化の両方を可能にする。RCAにより生成されるDNAを、タンデムDNA配列の複数の部位でハイブリダイズする蛍光オリゴヌクレオチドタグで標識することができる。RCAを、マルチパラメトリックカラーコードのために設計された蛍光の組み合わせと共に使用することができ(PCT出願WO97/19193)、それによって、同時に分析することができる標的の数を顕著に増加することができる。RCA技術を、溶液中で、その場で及びマイクロアレイで使用することができる。固相フォーマットにおいて、検出及び定量化を、単一分子レベルで達成することができる(Lizardi et al., 1998)。連結仲介ローリングサークル増幅(LM−RCA)は、標的配列にハイブリダイズしているプローブ分子の環状化、続く環状プローブのローリングサークル増幅を伴う(米国特許第5,854,033号及び同第6,143,495号;PCT出願WO97/19193)。非常に高収量の増幅産物を、指数ローリングサークル増幅(米国特許第5,854,033号及び同第6,143,495号;PCT出願WO97/19193)、並びに多重刺激ローリングサークル増幅(Dean et al., Genome Research 11:1095-1099 (2001))によって得ることができる。
開示されているものは、組成物及び環状ゲノムの増幅方法である。この方法は、プライマーによる鎖置換複製を伴う、環状ゲノムのローリングサークル増幅に基づく。開示されている方法は、目的の環状ゲノムの差動増幅を可能にする。目的の環状ゲノムと、非標的ゲノムのような非標的核酸の両方を含有するゲノム核酸試料において、開示されている方法及び組成物は、非標的核酸に対して、目的の環状ゲノムの何倍もの差動増幅をもたらすことができる。目的の環状ゲノムと相補的なプライマーセットの選択は、存在する非標的核酸に対して目的の環状ゲノムのより大きな増幅をもたらしうることが発見された。そのような環状ゲノムの差動増幅は、混合核酸試料から目的のゲノムの有用な量を得るために非常に有用である。例えば、非標的核酸(例えば、宿主細胞ゲノム)の存在下でのミトコンドリアゲノムを、複雑で時間のかかる精製なしに、開示された方法及び組成物を使用して宿主細胞ゲノム及び他の非標的核酸に対して差動増幅することができる。
開示された方法の幾つかの形態は、プライマーセット、DNAポリメラーゼ及びゲノム核酸試料を接触させること(ここでゲノム核酸試料は環状ゲノムを含む)及びゲノム核酸試料を、ゲノム核酸試料における環状ゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすることを含むことができる。環状ゲノムの複製は、ローリングサークル複製により進行することができる。環状ゲノムの複製を促進する条件は、熱サイクルを伴う必要がない及び/又は実質的に恒温であることができる。開示されている方法において、環状ゲノムは、ゲノム核酸試料に存在する非標的核酸と比較して差動複製される。したがって、例えば、ゲノム核酸試料に存在する非標的核酸は、一般に実質的に、有意に又は顕著に複製されない。例えば、プライマーセットのプライマー及び反応条件は、一般にゲノム核酸試料に存在する非標的核酸が実質的に、有意に又は顕著に複製されないように選択することができる。
環状ゲノムの複製は、複製鎖をもたらす。そのような複製は、ローリングサークル複製により進行して、タンデム配列DNAを産生する。複製鎖は、別の複製鎖の鎖置換複製により核酸分子で置換される。そのような増幅は、各プライマーで開始し、自然に停止するまで継続する高度に前進型のポリメラーゼによる複製によって進行することができる。この方法の有用な特徴は、DNAポリメラーゼがプライマーを伸展するので、ポリメラーゼが、他のプライマーの伸展によりもたらされる複製産物(すなわち、DNA鎖)を置換することである。ポリメラーゼは、新たなプライマーを連続的に伸展し、以前のプライミング事象の複製産物を置換する。このようにして、環状ゲノムにおける全ての核酸分子及び配列の多重重複コピーを、短時間に合成することができる。開示されている方法は、恒温条件下で実施できるので、ポリメラーゼ連鎖反応よりも優れている。開示されている方法において、増幅は、周期的に起こるのではなく、連続的な恒温複製で起こる。このことは、増幅をあまり複雑にせず、産出量をより一定にする。鎖置換は、単一の連続的な恒温反応において核酸配列又は試料の多数のコピーの急速な生成を可能にする。
ゲノム核酸試料が1つ以上の非標的ゲノム(環状でありうる非標的ゲノムを含む)を含む場合、目的の環状ゲノムを、非標的ゲノムに対して差動増幅することができる。ゲノム核酸試料は、目的の環状ゲノム及び1つ以上の非標的ゲノムを含む複数のゲノムを含むことができる。したがって、例えば、ゲノム核酸試料に存在する非標的核酸は、一般に、実質的に、有意に又は顕著に複製及び/又は増幅されない。例えば、プライマーセットのプライマー及び反応条件は、一般に、ゲノム核酸試料における非標的核酸が実質的に、有意に又は顕著に複製及び/又は増幅されないように選択することができる。
環状ゲノムの差動増幅は、定量的な表現で記載することができる。例えば、環状ゲノムを、例えば、非標的核酸及び/又は非標的ゲノムと比較して、少なくとも10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、又は5000倍増幅することができる。そのような差動増幅は、一般に、環状ゲノム内、並びに1つ以上の非標的核酸及び/又は非標的ゲノム内の選択された配列の相対的な増幅を測定することによって評価できる。そのような評価は、本明細書の他の部分に記載されている。
増幅される環状ゲノムは、目的の任意の環状ゲノムであることができる。環状ゲノムには、例えば、オルガネラゲノム、ミトコンドリアゲノム、葉緑体ゲノム、色素体ゲノム、細菌プラスミドゲノム、ウイルスゲノム、細菌ゲノム、微生物ゲノム、及び/又は病原体ゲノムが挙げられる。環状ゲノムは、天然に生じるゲノム、人工的に修飾されていないゲノム、及び/又は人工的な核酸ではないゲノムであることができる。環状ゲノムは、二本鎖、一本鎖又は部分二本鎖であることができる。環状ゲノムは、多様な大きさで生じ、開示されている方法を使用して、任意の大きさの環状ゲノムを増幅することができる。例えば、小型のウイルスゲノムは、典型的には5〜40kbであるが、幾つかのウイルスゲノムはより大型である。環状微生物ゲノムは、1500kbまであることが知られている。したがって、増幅される環状ゲノムは、例えば、約3000〜約300000個のヌクレオチド、約4000〜約260000個のヌクレオチド、約5000〜約150000個のヌクレオチド、又は約5500〜約40000個のヌクレオチドの長さを有することができる。
非標的ゲノムは、ゲノム核酸試料中にあることができる任意のゲノムでありうる。例えば、非標的ゲノムは、例えば、細菌ゲノム、ウイルスゲノム、微生物ゲノム、病原体ゲノム、真核生物ゲノム、植物ゲノム、動物ゲノム、脊椎動物ゲノム、魚類ゲノム、鳥類ゲノム、哺乳類ゲノム、齧歯類ゲノム、ネズミゲノム、ヒトゲノム、宿主ゲノム及び/又は非標的環状ゲノムであることができる。環状ゲノムは、非標的ゲノムの存在下にあることができる。例えば、オルガネラゲノムは、一般的にオルガネラがある細胞の細胞ゲノムに存在している。病原体ゲノムは、一般的に宿主細胞ゲノムの存在下にある。
プライマー対のためのプライマー設計及び選択は、本明細書に記載されている環状ゲノムの差動増幅を可能にすることが発見された。プライマーは、それぞれ、特定のヌクレオチド配列を含む又は有することができる。特定のヌクレオチド配列の全て又は一部は、環状ゲノムの配列に相補的であることができる。プライマーは、環状ゲノムと相補的ではない部分及び/又は配列も含むことができる。プライマーは、環状ゲノムのヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることができる。例えば、プライマーは、環状ゲノムの複製を促進する条件下で、環状ゲノムのヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズすることができる。一般に、プライマーセットにおける各プライマーは、環状ゲノムの異なる配列及び/又は異なる位置にハイブリダイズすることができる。
プライマーは、プライマーが環状ゲノムに対して特定の間隔を置いてハイブリダイズするように、環状ゲノムのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有することができる。例えば、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離は、平均して、例えば、約200〜約20000個のヌクレオチド、約200〜約6000個のヌクレオチド、約300〜約5000個のヌクレオチド、又は約400〜約4000個のヌクレオチドであることができる。そのような平均のうちで最小間隔も特定することができる。環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離は、例えば、約200〜約20000個のヌクレオチド、約200〜約6000個のヌクレオチド、約300〜約5000個のヌクレオチド、又は約400〜約4000個のヌクレオチドであることもできる。
環状ゲノムが二本鎖又は部分的に二本鎖である場合、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの鎖の一方に相補的なヌクレオチド配列を有することができ、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの他方の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することができ、全てのプライマーは、環状ゲノムの鎖の一方に相補的なヌクレオチド配列を有することができるか、又は全てのプライマーは、環状ゲノムの他方の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することができる。一般に、増幅は、幾つかのプライマーが一方の鎖と相補的であり、他のプライマーが他方の鎖と相補的である場合により効率的である。環状ゲノムのどちらか又はそれぞれの鎖のローリングサークル複製は、その鎖に相補的なタンデム配列DNAの形成をもたらす。
環状ゲノムが一本鎖である場合、プライマーは環状ゲノムと相補的なヌクレオチド配列を有することができる。一本鎖環状ゲノムのローリングサークル複製は、環状ゲノムに相補的なタンデム配列DNAの形成をもたらす。この方法の幾つかの形態において、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの配列とマッチするヌクレオチド配列を有することもできる。この場合、環状ゲノムの配列とマッチするヌクレオチド配列を有する1つ以上のプライマーは、環状ゲノムと相補的なヌクレオチド配列を有するプライマーによる一本鎖環状ゲノムのローリングサークル複製により産生されるタンデムゲノムの鎖置換複製を刺激することができる。タンデム配列DNAの複製は、二次タンデム配列DNAの形成をもたらす。
環状ゲノムが部分二重鎖である(例えば、一方の鎖が連続的な閉環状鎖であり、他方の鎖が非連続的で非環状である)場合、プライマーは、環状ゲノムの環状鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することができる。環状鎖のローリングサークル複製は、環状鎖に相補的なタンデム配列DNAの形成をもたらす。この方法の幾つかの形態において、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの環状鎖の配列にマッチするヌクレオチド配列及び/又は環状ゲノムの非環状鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することもできる。この場合、環状ゲノムの配列にマッチするヌクレオチド配列及び/又は環状ゲノムの非環状鎖に相補的なヌクレオチド配列を有する1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの環状鎖と相補的なヌクレオチド配列を有するプライマーによる環状ゲノムの環状鎖のローリングサークル複製により産生されるタンデム配列DNAの鎖置換複製を刺激することができる。タンデム配列DNAの複製は、二次タンデム配列DNAの形成をもたらす。
プライマーを多様な方法で構成することができる。例えば、プライマーは、それぞれ別個に、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、標識ヌクレオチド、オリゴマー類似体、又は組み合わせを含むことができる。開示されている方法及び組成物の幾つかの形態において、プライマーは、それぞれ、プライマーがヌクレアーゼ抵抗性であるように少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含有することができる。
プライマーは、目的の環状ゲノムの差動増幅を可能にする任意の長さを有することができる。プライマーは、目的の環状ゲノムの差動増幅を可能にする任意の長さを有することができる相補性部分を有することができる。例えば、プライマーは、それぞれ別個に、5個のヌクレオチド、6個のヌクレオチド、7個のヌクレオチド、8個のヌクレオチド、9個のヌクレオチド、10個のヌクレオチド、11個のヌクレオチド、12個のヌクレオチド、13個のヌクレオチド、14個のヌクレオチド、15個のヌクレオチド、16個のヌクレオチド、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド、19個のヌクレオチド、20個のヌクレオチド、21個のヌクレオチド、22個のヌクレオチド、23個のヌクレオチド、24個のヌクレオチド、25個のヌクレオチド、26個のヌクレオチド、27個のヌクレオチド、28個のヌクレオチド、29個のヌクレオチド、又は30個のヌクレオチドの長さを有することができる、及び/又はその長さを有する相補性部分を有することができる。別の例として、プライマーは、それぞれ別個に、6個未満のヌクレオチド、7個未満のヌクレオチド、8個未満のヌクレオチド、9個未満のヌクレオチド、10個未満のヌクレオチド、11個未満のヌクレオチド、12個未満のヌクレオチド、13個未満のヌクレオチド、14個未満のヌクレオチド、15個未満のヌクレオチド、16個未満のヌクレオチド、17個未満のヌクレオチド、18個未満のヌクレオチド、19個未満のヌクレオチド、20個未満のヌクレオチド、21個未満のヌクレオチド、22個未満のヌクレオチド、23個未満のヌクレオチド、24個未満のヌクレオチド、25個未満のヌクレオチド、26個未満のヌクレオチド、27個未満のヌクレオチド、28個未満のヌクレオチド、29個未満のヌクレオチド、30個未満のヌクレオチド、又は31個未満のヌクレオチドの長さを有することができる、及び/又はその長さを有する相補性部分を有することができる。
プライマーセットは、目的の環状ゲノムの差動増幅を可能にする任意の数のプライマーを含むことができる。一般に、プライマーの数は、環状ゲノムの大きさに基づいて変わることができる。プライマーの数は、環状ゲノムが一本鎖又は二本鎖であるかに基づいて変わることもできる。プライマーの数は、環状ゲノムにハイブリダイズしたときのプライマー間の望ましい間隔に基づいて変わることもできる。例として、プライマーセットは、2個のプライマー、3個のプライマー、4個のプライマー、5個のプライマー、6個のプライマー、7個のプライマー、8個のプライマー、9個のプライマー、10個のプライマー、11個のプライマー、12個のプライマー、13個のプライマー、14個のプライマー、15個のプライマー、16個のプライマー、17個のプライマー、18個のプライマー、19個のプライマー、20個のプライマー、21個のプライマー、22個のプライマー、23個のプライマー、24個のプライマー、25個のプライマー、26個のプライマー、27個のプライマー、28個のプライマー、29プライマー、30プライマー、31個のプライマー、32個のプライマー、33個のプライマー、34個のプライマー、35個のプライマー、36個のプライマー、37個のプライマー、38個のプライマー、39個のプライマー、40個のプライマー、41個のプライマー、42個のプライマー、43個のプライマー、44個のプライマー、45個のプライマー、46個のプライマー、47個のプライマー、48個のプライマー、49個のプライマー、50個のプライマー、51個のプライマー、52個のプライマー、53個のプライマー、54個のプライマー、55個のプライマー、56個のプライマー、57個のプライマー、58個のプライマー、59個のプライマー、60個のプライマー、61個のプライマー、62個のプライマー、63個のプライマー、75個のプライマー、100個のプライマー、150個のプライマー、200個のプライマー、300個のプライマー、又は400個のプライマーを含むことができる。
目的の環状ゲノムを含有する又は含有すると疑われる任意の物質又は試料を、ゲノム核酸試料として使用することができる。例えば、ゲノム核酸試料は、血液試料、尿試料、精液試料、リンパ液試料、脳脊髄液試料、羊水試料、生検試料、針吸引生検試料、癌試料、腫瘍試料、組織試料、細胞試料、細胞溶解産物試料、粗細胞溶解産物試料、法医学試料、考古学試料、感染試料、院内感染試料、環境試料、又はこれらの組み合わせであることができる。
また開示されているものは、環状ゲノムの差動増幅用のプライマーセットを同定する方法である。そのような方法は、一般に、試験プライマーセットのために試験プライマーを選択すること、試験プライマーセット、DNAポリメラーゼ及びゲノム核酸試料を接触させること、ゲノム核酸試料を、ゲノム核酸試料における環状ゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすること、及び環状ゲノムと非標的核酸の相対的増幅を決定することを含むことができる。試験プライマーセットは、環状ゲノムが非標的核酸と比較して少なくとも10倍増幅される場合に同定される。一般に、各プライマーは、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離が、平均して、約200〜約20000個のヌクレオチド、約200〜約6000個のヌクレオチドであるように、目的の環状ゲノムのヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることができる。試験ゲノム核酸試料は、環状ゲノム及び非標的核酸を含む。環状ゲノムの複製は、ローリングサークル複製により進行する。一般に、環状ゲノムの複製を促進する条件は、熱サイクルを伴わない及び/又は実質的に恒温であることができる。
増幅の後、増幅配列を、増幅配列にとって既知及び確立された使用のような任意の目的で使用することができる。例えば、増幅配列を、蛍光標識の検出、酵素結合検出系、抗体仲介標識検出及び放射性標識の検出のような核酸の従来の検出系のいずれかを使用して検出することができる。標識化の好ましい形態は、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用する、複製鎖(すなわち、多重置換増幅で産生された鎖)の標識化が含まれる。複製鎖を、例えば、複製鎖の3′末端に、ビオチン化ヌクレオチド、蛍光ヌクレオチド、5メチルdCTP、BrdUTP又は5−(3−アミノアリル)−2′−デオキシウリジン5′−トリホスフェートのような修飾ヌクレオチドを付加することによって、標識することができる。RFLP系試験における法医学的物質の増幅は、開示されている方法の一つの有用な適用である。
開示されている方法は、標的核酸配列及び全ゲノム又は他の高度に複雑な核酸試料の増幅を可能にする特定の物質及び手順を使用するこれらの物質及び手順を下記に詳細に記載する。
物質
開示されているものは、開示されている方法及び組成物に使用することできる、それらと共に使用することができる、それらの調製のために使用することができる、又はそれらの生成物である。これら及び他の物質は、本明細書に開示されており、これらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されるとき、これらの化合物のそれぞれの多様な個別の及び集合的な組み合わせ及び並べ換えが明示的に開示されていなくても、それぞれは、本明細書において明確に考慮及び記載されることが理解される。例えば、ローリングサークル複製プライマーが開示され、考察され、ローリングサークル増幅プライマーを含む多数の分子に行うことができる多数の修飾が考察される場合、ローリングサークル増幅プライマー及び可能な修飾のそれぞれの及び全ての組み合わせ及び並び換えが、特に異なることが示されていない限り、特に考慮される。したがって、分子の部類A、B及びCが開示され、また、分子の部類D、E及びF、並びに組み合わせ分子の例A−Dが開示される場合、それぞれが個別に引用されていなくても、それぞれは、個別及び集合的に考慮される。したがって、この例において、A、B及びC、E及びF、並びに組み合わせ例A−Dの開示において、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E及びC−Fがそれぞれ特に考慮され、開示されていると考えるべきである。同様に、これらの任意のサブセット又は組み合わせも特に考慮され、開示されている。したがって、例えば、A、B及びC、E及びF、並びに組み合わせ例A−Dの開示において、A−E、B−F及びC−Eの亜群が特に考慮され、開示されていると考えるべきである。この考え方は、開示されている組成物の作製及び使用方法における工程が含まれるが、これらに限定はされない、本開示の全ての態様に適用される。したがって、実施することができる多様な追加の工程がある場合、これらの追加の工程のそれぞれを、開示されている方法の任意の特定の実施態様又は実施態様の組み合わせにより実施できること、及びそのような組み合わせのそれぞれが、特に考慮され、開示されていると考えるべきであることが理解される。
A.環状ゲノム
増幅される環状ゲノムは、天然に生じる環状核酸のような、目的の任意の環状ゲノムであることができる。環状ゲノムには、例えば、オルガネラゲノム、ミトコンドリアゲノム、葉緑体ゲノム、色素体ゲノム、細菌プラスミドゲノム、ウイルスゲノム、細菌ゲノム、微生物ゲノム、及び/又は病原体ゲノムが挙げられる。環状ゲノムは、二本鎖、一本鎖又は部分二本鎖であることができる。
環状ゲノムは、天然に生じるゲノム、人工的に修飾されていないゲノム、及び/又は人工的な核酸ではないゲノムであることができる。本明細書で使用されるとき、天然に生じるゲノムは、実質的に天然のプロセスに由来し、天然に生じるゲノムである。天然に生じるゲノムは、関与するゲノムが天然のプロセスに由来し、天然に生じるのであれば、不自然に導入された遺伝子修飾(例えば、組み換え又は形質転換DNA技術を介して)を含むことができる。天然に生じるゲノムの例には、オルガネラゲノム、ウイルスゲノム、細菌ゲノム、微生物ゲノム及び病原体ゲノムが挙げられる。非天然に生じるゲノムの例には、組み換えDNA及び酵母人工染色体を介して作り出されたベクター及びプラスミドが挙げられる。本明細書で使用されるとき、人工的に修飾されていないゲノムは、例えば組み換え又は形質転換DNA技術を介して、意図的に修飾されていないゲノムである。本明細書で使用されるとき、人工核酸は、組み換え又は他の人工的な非天然技術を使用して意図的に作り出された核酸である。
環状ゲノムは、多様な大きさで生じ、開示されている方法を使用して、任意の大きさの環状ゲノムを増幅することができる。例えば、小型のウイルスゲノムは、典型的には5〜40kbであるが、幾つかのウイルスゲノムはより大型である。環状微生物ゲノムは、1500kbまであることが知られている。したがって、増幅される環状ゲノムは、例えば、約3000〜約300000個のヌクレオチド、約3000〜約200000個のヌクレオチド、約3000〜約150000個のヌクレオチド、約3000〜約100000個のヌクレオチド、約3000〜約75000個のヌクレオチド、約3000〜約50000個のヌクレオチド、約3000〜約40000個のヌクレオチド、約3000〜約30000個のヌクレオチド、約3000〜約25000個のヌクレオチド、約3000〜約20000個のヌクレオチド、約3000〜約18000個のヌクレオチド、約3000〜約15000個のヌクレオチド、約3000〜約12000個のヌクレオチド、約3000〜約10000個のヌクレオチド、約3000〜約8000個のヌクレオチド、約3000〜約7000個のヌクレオチド、約3000〜約6000個のヌクレオチド、約3000〜約5000個のヌクレオチド、約3000〜約4000個のヌクレオチド、約4000〜約300000個のヌクレオチド、約5000〜約300000個のヌクレオチド、約6000〜約300000個のヌクレオチド、約7000〜約300000個のヌクレオチド、約8000〜約300000個のヌクレオチド、約10000〜約300000個のヌクレオチド、約12000〜約300000個のヌクレオチド、約15000〜約300000個のヌクレオチド、約18000〜約300000個のヌクレオチド、約20000〜約300000個のヌクレオチド、約25000〜約300000個のヌクレオチド、約30000〜約300000個のヌクレオチド、約40000〜約300000個のヌクレオチド、約50000〜約300000個のヌクレオチド、約75000〜約300000個のヌクレオチド、約100000〜約300000個のヌクレオチド、約150000〜約300000個のヌクレオチド、約200000〜約300000個のヌクレオチド、約4000〜約260000個のヌクレオチド、約4000〜約200000個のヌクレオチド、約4000〜約150000個のヌクレオチド、約4000〜約40000個のヌクレオチド、約5000〜約260000個のヌクレオチド、約5000〜約200000個のヌクレオチド、約5000〜約150000個のヌクレオチド、約5000〜約40000個のヌクレオチド、約5500〜約260000個のヌクレオチド、約5500〜約200000個のヌクレオチド、約5500〜約150000個のヌクレオチド、約5500〜約40000個のヌクレオチド、約6000〜約260000個のヌクレオチド、約6000〜約200000個のヌクレオチド、約6000〜約150000個のヌクレオチド、約6000〜約40000個のヌクレオチド、約10000〜約260000個のヌクレオチド、約10000〜約200000個のヌクレオチド、約10000〜約150000個のヌクレオチド、又は約10000〜約40000個のヌクレオチドの長さを有することができる。
環状ゲノムは、目的の任意の核酸試料中にあることができる。多くのそのような核酸試料の供給源、実体及び調製は既知である。増幅及び検出方法に使用されることが知られているか又は確認されている核酸試料を、本明細書に記載されている方法に使用することが好ましい。核酸試料は、例えば、1つ以上の細胞、組織、又は血液、尿、精液、リンパ液、脳脊髄液若しくは羊水のような体液、又は組織培養細胞、頬側拭き取り検体、口腔洗浄液、糞便、組織片及び吸引生検のような他の生物学試料からの核酸試料であることができる。ゲノム核酸試料は、真核生物、植物、動物、脊椎動物、魚類、哺乳類、ヒト、非ヒト、細菌、微生物、ウイルス、生物学的供給源、血清、血漿、血液、尿、精液、リンパ液、脳脊髄液、羊水、生検、針吸引生検、癌、腫瘍、組織、細胞、細胞溶解産物、粗細胞溶解産物、組織溶解産物、組織培養細胞、頬側拭き取り検体、口腔洗浄液、糞便、法医学的供給源、剖検、感染、院内感染、並びに/又は他の地球上若しくは地球外の物質及び供給源が挙げられるが、これらに限定はされない任意の供給源に由来することができる。
試料は、1つ以上の異なる供給源からの物質の混合物を含有することもできる。例えば、感染性細菌又はウイルスの環状ゲノムを、そのような感染細胞又は組織からの環状ゲノムが、開示されている方法を使用して増幅される場合、ヒト核酸の存在下で増幅することができる。有用な標的試料の種類には、真核生物試料、植物試料、動物試料、脊椎動物試料、魚類試料、哺乳類試料、ヒト試料、非ヒト試料、細菌試料、微生物試料、ウイルス試料、生物学的試料、血清試料、血漿試料、血液試料、尿試料、精液試料、リンパ液試料、脳脊髄液試料、羊水試料、生検試料、針吸引生検試料、癌試料、腫瘍試料、組織試料、細胞試料、細胞溶解産物試料、粗細胞溶解産物試料、組織溶解産物試料、組織培養細胞、頬側拭き取り検体試料、口腔洗浄液試料、糞便試料、法医学試料、剖検試料、感染試料、院内感染試料、並びに/又は他の地球上若しくは地球外試料が挙げられる。
B.ゲノム核酸試料
ゲノム核酸分子は、任意の供給源からの任意の核酸であることができる。一般に、開示されている方法は、増幅される環状ゲノムを含有する(又は含有すると疑われる)試料を使用して実施される。環状ゲノムを含有する又は含有すると疑われる試料は、ゲノム核酸試料と呼ぶこともできる。ゲノム核酸試料のような試料は、環状ゲノムを含むことができる。細胞及び組織試料は、ゲノム核酸試料の形態である。開示されている方法に使用される試料は、また、環状ゲノムの存在について試験される試料(すなわち、環状ゲノムを含有する場合もあり、しない場合もある試料)でありうる。ゲノム核酸試料は、核酸試料の形態及び試料の形態である。本明細書において試料への参照は、文脈が特に明示しない限り、核酸試料及びゲノム試料を包含する。本明細書において核酸試料への参照は、文脈が特に明示しない限り、ゲノム核酸試料を包含する。
試料は、環状ゲノムを含むことでき、環状ゲノムは、試料中に核酸の任意の画分を含むことができる。環状ゲノムは、例えば、試料中に核酸の少なくとも1個のコピー、少なくとも10個のコピー、少なくとも100個のコピー、少なくとも1000個のコピー、少なくとも1000個を越えるコピー、又は核酸を少なくとも0.001%、少なくとも0.01%、少なくとも0.1%、少なくとも1%以上含むことができる。
試料中の核酸は、開示されている方法で増幅されるために純粋である必要はない。開示されている方法の幾つかの形態は、粗細胞溶解産物のような不純核酸試料を増幅するのに有用である。試料中の又は安定化若しくは中和した試料中の核酸は、例えば、水を除いた重量に基づいて、純度0.01%未満、純度0.5%未満、純度0.1%未満、純度0.2%未満、純度0.4%未満、純度0.6%未満、純度0.8%未満、純度1%未満、純度2%未満、純度3%未満、純度4%未満、純度5%未満、純度6%未満、純度8%未満、純度10%未満、純度15%未満、純度20%未満、純度25%未満、純度30%未満、純度40%未満、又は純度50%未満である。
ゲノム核酸試料は、目的の任意の核酸試料であることができる。多くのそのような核酸試料の供給源、実体及び調製は既知である。増幅及び検出方法に使用されることが知られているか又確認されている核酸試料を、本明細書に記載されている方法に使用することが好ましい。核酸試料は、例えば、1つ以上の真核生物、植物、動物、脊椎動物、魚類、哺乳類、ヒト、非ヒト、細菌、微生物、ウイルス、生物学的供給源、血清、血漿、血液、尿、精液、リンパ液、脳脊髄液、羊水、生検、針吸引生検、癌、腫瘍、組織、細胞、細胞溶解産物、粗細胞溶解産物、組織溶解産物、組織培養細胞、頬側拭き取り検体、口腔洗浄液、糞便、法医学的供給源、剖検、感染、院内感染、並びに/又は他の地球上若しくは地球外の物質及び供給源を含むか、又はこれらに由来する核酸試料であることができる。有用な核酸試料の種類には、真核生物試料、植物試料、動物試料、脊椎動物試料、魚類試料、哺乳類試料、ヒト試料、非ヒト試料、細菌試料、微生物試料、ウイルス試料、生物学的試料、血清試料、血漿試料、血液試料、尿試料、精液試料、リンパ液試料、脳脊髄液試料、羊水試料、生検試料、針吸引生検試料、癌試料、腫瘍試料、組織試料、細胞試料、細胞溶解産物試料、粗細胞溶解産物試料、組織溶解産物試料、組織培養細胞、頬側拭き取り検体試料、口腔洗浄液試料、糞便試料、法医学試料、剖検試料、感染試料、院内感染試料、並びに/又は他の地球上若しくは地球外試料が挙げられる。
試料が増幅可能な環状ゲノムを含有するか否かを前もって知る必要はない。開示されている方法の幾つかの形態を用いて、環状ゲノムを含有していることが疑われる試料が、実際に環状ゲノムを含有しているか否かを試験することができる。開示されている方法を使用してそのような試料から増幅DNAを産生することが、試料が環状ゲノムを含有していた証拠である。
ゲノム核酸試料は、単細胞からのものであることができる。ゲノム核酸試料は、例えば、同一又は異なる生物体、組織、細胞若しくは組み合わせからの1つ以上の全ゲノム;同一又は異なる生物体、組織、細胞若しくは組み合わせからの1つ以上の部分ゲノム;同一又は異なる生物体、組織、細胞若しくは組み合わせからの1つ以上の全染色体;同一又は異なる生物体、組織、細胞若しくは組み合わせからの1つ以上の部分染色体;同一又は異なる生物体、組織、細胞若しくは組み合わせからの1つ以上の染色体フラグメント;1つ以上の人工染色体;1つ以上の酵母人工染色体;1つ以上の細菌人工染色体;1つ以上のコスミド;又はこれらの任意の組み合わせであることができるか、或いはそれらに由来することができる。
試料を、開示されている方法で使用し、操作することができる。例えば、試料をアルカリ性条件に暴露することができるか、又は溶解溶液若しくは変性溶液と接触させるか若しくは混合することができる。溶解は、例えば、細胞の低張破裂をもたらす低塩溶液のような温和な溶解溶液によるか、アルカリ性若しくはカオトロピック塩又は有機溶媒を含有する溶解溶液のような過酷な溶解により実施することができる。核酸試料は精製されうるか又は粗溶解産物であることができる。核酸試料は、例えば、生体分子の安定化、生体分子のより良好な利用可能性、阻害物質の中和、汚染分子の分解、生体分子の分離のような異なる目的のために物質を添加することによって更に操作することができる。核酸試料は、異なる目的、例えば、タンパク質(プロテアーゼ:プロテアーゼK、トリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼ又は当業者が適切であると認める他の酵素)を排除する、核酸(例えば、RNアーゼ、エキソヌクレアーゼ、米国特許第6,242,220号(Wahle et al.)も参照すること)、多糖類(例えば、アミラーゼ、ペクチナーゼ、グリコシラーゼ、ヒアルロニダーゼ)を排除するために酵素を加えることによって、更に操作することができる。本明細書で使用されるとき、試料という用語は、供給源試料、開示されている方法で使用される試料全体、及び開示されている方法で使用される試料の一部を共に意味する。したがって、例えば、アルカリ性条件に暴露されている供給源試料の一部は、それ自体試料であると考慮される。試料の全て又は一部を、アルカリ性条件に暴露することができるか、又は溶解溶液若しくは変性溶液と接触させるか若しくは混合することができる。同様に、アルカリ性条件に暴露されている、又は溶解溶液若しくは変性溶液と接触若しくは混合している試料の全て又は一部のpHを低減することができるか、或いはアルカリ性条件に暴露されている、又は溶解溶液若しくは変性溶液と接触している試料の全て又は一部を、安定化溶液と接触させるか又は混合することができる。得られる安定化した又は中和した試料の全て又は一部を、核酸の複製を促進する条件下でインキュベートすることができる。増幅混合物は、安定化又は中和試料の全て又は一部を含むことができる。増幅混合物は、核酸が増幅されている反応溶液である。
C.プライマー
開示されている増幅方法で使用されるプライマーは、標的配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。開示されている方法において、標的配列は、目的の環状ゲノムの配列又は目的の環状ゲノムの配列の補体であることができる。この配列は、プライマーの相補性部分と呼ばれる。プライマーの相補性部分は、反応条件下でプライマーと標的配列との間の特異的で安定したハイブリダイゼーションを支持する任意の長さであることができる。一般に、37℃での反応では、これは10〜35個のヌクレオチドの長さ、又は10〜24個のヌクレオチドの長さであることができる。一般に、30℃での反応では、これは、例えば6〜20個のヌクレオチドの長さ、又は8〜12個のヌクレオチドの長さであることができる。プライマーは、例えば、6〜60個のヌクレオチドの長さ、又は8〜60個のヌクレオチドの長さであることができ、特に、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び/又は20個のヌクレオチドの長さであることができる。プライマーは、例えば、少なくとも6個のヌクレオチドの長さ、少なくとも7個のヌクレオチドの長さ、少なくとも8個のヌクレオチドの長さ、少なくとも9個のヌクレオチドの長さ、少なくとも10個のヌクレオチドの長さ、少なくとも11個のヌクレオチドの長さ、及び/又は少なくとも12個のヌクレオチドの長さであることもできる。
プライマー対のためのプライマー設計及び選択は、本明細書に記載されている環状ゲノムの差動増幅を可能にすることが発見された。プライマーは、それぞれ、特定のヌクレオチド配列を含む又は有することができる。特定のヌクレオチド配列の全て又は一部は、環状ゲノムの配列に相補的であることができる。プライマーは、環状ゲノムと相補的ではない部分及び/又は配列も含むことができる。プライマーは、環状ゲノムのヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることができる。例えば、プライマーは、環状ゲノムの複製を促進する条件下で、環状ゲノムのヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズすることができる。一般に、プライマーセットにおける各プライマーは、環状ゲノムの異なる配列及び/又は異なる位置にハイブリダイズすることができる。
増幅反応に使用されるプライマーは、全て同じ長さである必要はないが、そうあることは好ましい。例えば、プライマーは、それぞれ別個に、5個のヌクレオチド、6個のヌクレオチド、7個のヌクレオチド、8個のヌクレオチド、9個のヌクレオチド、10個のヌクレオチド、11個のヌクレオチド、12個のヌクレオチド、13個のヌクレオチド、14個のヌクレオチド、15個のヌクレオチド、16個のヌクレオチド、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド、19個のヌクレオチド、20個のヌクレオチド、21個のヌクレオチド、22個のヌクレオチド、23個のヌクレオチド、24個のヌクレオチド、25個のヌクレオチド、26個のヌクレオチド、27個のヌクレオチド、28個のヌクレオチド、29個のヌクレオチド、又は30個のヌクレオチドの長さを有することができる、及び/又はその長さを有する相補性部分を有することができる。別の例として、プライマーは、それぞれ別個に、6個未満のヌクレオチド、7個未満のヌクレオチド、8個未満のヌクレオチド、9個未満のヌクレオチド、10個未満のヌクレオチド、11個未満のヌクレオチド、12個未満のヌクレオチド、13個未満のヌクレオチド、14個未満のヌクレオチド、15個未満のヌクレオチド、16個未満のヌクレオチド、17個未満のヌクレオチド、18個未満のヌクレオチド、19個未満のヌクレオチド、20個未満のヌクレオチド、21個未満のヌクレオチド、22個未満のヌクレオチド、23個未満のヌクレオチド、24個未満のヌクレオチド、25個未満のヌクレオチド、26個未満のヌクレオチド、27個未満のヌクレオチド、28個未満のヌクレオチド、29個未満のヌクレオチド、30個未満のヌクレオチド、又は31個未満のヌクレオチドの長さを有することができる、及び/又はその長さを有する相補性部分を有することができる。
核酸試料中の核酸分子にハイブリダイズするとき、プライマーは、効率的な増幅を可能にする間隔でハイブリダイズすることが好ましい。このことは、一般に、プライマーが所望の間隔で核酸試料の配列に集合的に相補的であるように、多数のプライマーを増幅反応において使用することによって達成することができる。したがって、例えば、各プライマーは、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離が、平均して、約200〜約20000個のヌクレオチド、約200〜約6000個のヌクレオチドであるように、目的の環状ゲノムのヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることができる。
プライマーは、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離が、平均して、10,000個以下のヌクレオチド、9,500個以下のヌクレオチド、9,000個以下のヌクレオチド、8,500個以下のヌクレオチド、8,000個以下のヌクレオチド、7,500個以下のヌクレオチド、7,000個以下のヌクレオチド、6,500個以下のヌクレオチド、6,000個以下のヌクレオチド、5,500個以下のヌクレオチド、5,000個以下のヌクレオチド、4,500個以下のヌクレオチド、4,000個以下のヌクレオチド、3,500個以下のヌクレオチド、3,000個以下のヌクレオチド、2,500個以下のヌクレオチド、2,000個以下のヌクレオチド、1,500個以下のヌクレオチド、1,000個以下のヌクレオチド、900個以下のヌクレオチド、800個以下のヌクレオチド、700個以下のヌクレオチド、600個以下のヌクレオチド、500個以下のヌクレオチド、400個以下のヌクレオチド、300個以下のヌクレオチド、200個以下のヌクレオチド、100個以下のヌクレオチド、又は50個以下のヌクレオチドであるように、目的の環状ゲノムのヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることができる。そのような平均のうちで最小間隔も特定することができる。
プライマー相補性配列間の最適な間隔又は分離距離(したがって、プライマーの最適な数)は、全てのDNAポリメラーゼにとって同じではなく、それはこのパラメーターが重合正味速度によって左右されるからである。開示されている方法で最適収量を得るため、プライマーの数及びそれらの組成物を、使用されるポリメラーゼに適合するように調整することができる。急速な重合速度を有するポリメラーゼを使用する場合は、より少ないプライマーの使用が好ましい。より遅い重合速度を有するポリメラーゼを使用する場合は、より多いプライマーの使用が好ましい。また開示されているものは、環状ゲノムの差動増幅用のプライマーセットを同定する方法である。そのような方法は、一般に、試験プライマーセットのために試験プライマーを選択すること、試験プライマーセット、DNAポリメラーゼ及びゲノム核酸試料を接触させること、ゲノム核酸試料を、ゲノム核酸試料における環状ゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすること、及び環状ゲノムと非標的核酸の相対的増幅を決定することを含むことができる。試験プライマーセットは、環状ゲノムが非標的核酸と比較して少なくとも10倍増幅される場合に同定される。
以下のアッセイを使用して、目的の任意の環状ゲノムでの最適な間隔を決定することもできる。このアッセイは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20個以上のプライマーの幾つかの組み合わせを使用する。目的の所定の環状ゲノムでは、それぞれ新たなプライマーが環状ゲノムにおける相補性配列間の平均距離を低減する。プライマーの数は、プライマーの数の範囲で系統的に変わることができる(刺激部位間の平均距離は、使用されるプライマーの数により変わる)。同じ核酸試料が、異なる数のプライマーを使用して増幅される、一連の反応を実施することができる。DNAの最高実験収量を産生するプライマーの数が、特定のDNAポリメラーゼにとって、又はDNAポリメラーゼ+使用される補助タンパク質組み合わせにとっての最適なプライマーの数である。このアッセイを使用して、任意のポリメラーゼでの最適な間隔を決定することもできる。
プライマーがハイブリダイズする核酸分子の部位で開始するDNA複製が、伸展して、隣接部位でハイブリダイズしたプライマーで複製された鎖を置換する。隣接鎖の置換は、それを、別のプライマーのハイブリダイゼーション、続く別の一連の複製の開始のために利用可能にする。このプロセスは、本明細書において、鎖置換複製と呼ばれる。
環状ゲノムが二本鎖又は部分的に二本鎖である場合、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの鎖の一方に相補的なヌクレオチド配列を有することができ、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの他方の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することができ、全てのプライマーは、環状ゲノムの鎖の一方に相補的なヌクレオチド配列を有することができるか、又は全てのプライマーは、環状ゲノムの他方の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することができる。一般に、増幅は、幾つかのプライマーが一方の鎖と相補的であり、他のプライマーが他方の鎖と相補的である場合により効率的である。環状ゲノムのどちらか又はそれぞれの鎖のローリングサークル複製は、その鎖に相補的なタンデム配列DNAの形成をもたらす。
環状ゲノムが一本鎖である場合、プライマーは環状ゲノムと相補的なヌクレオチド配列を有することができる。一本鎖環状ゲノムのローリングサークル複製は、環状ゲノムに相補的なタンデム配列DNAの形成をもたらす。この方法の幾つかの形態において、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの配列とマッチするヌクレオチド配列を有することもできる。この場合、環状ゲノムの配列とマッチするヌクレオチド配列を有する1つ以上のプライマーは、環状ゲノムと相補的なヌクレオチド配列を有するプライマーによる一本鎖環状ゲノムのローリングサークル複製により産生されるタンデム配列DNAの鎖置換複製を刺激することができる。タンデム配列DNAの複製は、二次タンデム配列DNAの形成をもたらす。
環状ゲノムが部分二重鎖である(例えば、一方の鎖が連続的な閉環状鎖であり、他方の鎖が非連続的で非環状である)場合、プライマーは、環状ゲノムの環状鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することができる。環状鎖のローリングサークル複製は、環状鎖に相補的なタンデム配列DNAの形成をもたらす。この方法の幾つかの形態において、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの環状鎖の配列にマッチするヌクレオチド配列及び/又は環状ゲノムの非環状鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することもできる。この場合、環状ゲノムの配列にマッチするヌクレオチド配列及び/又は環状ゲノムの非環状鎖に相補的なヌクレオチド配列を有する1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの環状鎖と相補的なヌクレオチド配列を有するプライマーによる環状ゲノムの環状鎖のローリングサークル複製により産生されるタンデム配列DNAの鎖置換複製を刺激することができる。タンデム配列DNAの複製は、二次タンデム配列DNAの形成をもたらす。環状ゲノムの配列とマッチするヌクレオチドを有するプライマーは、二次DNA鎖置換プライマーと呼ぶことができる。
プライマーセットは、目的の環状ゲノムの差動増幅を可能にする任意の数のプライマーを含むことができる。一般に、プライマーの数は、環状ゲノムの大きさに基づいて変わることができる。プライマーの数は、環状ゲノムが一本鎖又は二本鎖であるかに基づいて変わることもできる。プライマーの数は、環状ゲノムにハイブリダイズしたときのプライマー間の望ましい間隔に基づいて変わることもできる。例えば、プライマーセットは、2個のプライマー、3個のプライマー、4個のプライマー、5個のプライマー、6個のプライマー、7個のプライマー、8個のプライマー、9個のプライマー、10個のプライマー、11個のプライマー、12個のプライマー、13個のプライマー、14個のプライマー、15個のプライマー、16個のプライマー、17個のプライマー、18個のプライマー、19個のプライマー、20個のプライマー、21個のプライマー、22個のプライマー、23個のプライマー、24個のプライマー、25個のプライマー、26個のプライマー、27個のプライマー、28個のプライマー、29プライマー、30プライマー、31個のプライマー、32個のプライマー、33個のプライマー、34個のプライマー、35個のプライマー、36個のプライマー、37個のプライマー、38個のプライマー、39個のプライマー、40個のプライマー、41個のプライマー、42個のプライマー、43個のプライマー、44個のプライマー、45個のプライマー、46個のプライマー、47個のプライマー、48個のプライマー、49個のプライマー、50個のプライマー、51個のプライマー、52個のプライマー、53個のプライマー、54個のプライマー、55個のプライマー、56個のプライマー、57個のプライマー、58個のプライマー、59個のプライマー、60個のプライマー、61個のプライマー、62個のプライマー、63個のプライマー、75個のプライマー、100個のプライマー、150個のプライマー、200個のプライマー、300個のプライマー、又は400個のプライマーを含むことができる。使用できるプライマーの数には、基本的に上限がない。一般に、使用されるプライマーの数は、増幅される環状ゲノムの大きさ及びプライマー間の平均間隔に基づいて選択することができる。複数のプライマーが使用される場合、プライマーは、それぞれ異なる特定のヌクレオチド配列を有するべきである。
開示される方法で使用されるプライマーは、特定の望ましい特性及び機能性を有するように選択及び/又は設計することができる。プライマー選択及びプライマー設計の目標は、より良好な増幅結果を得ることでありうる。例えば、特定のプライマーは、最高の増幅収量(すなわち、核酸の量の最高の増加量)及び/又は非標的配列と比較した環状ゲノムの差動増幅をもたらすように選択することができる。このことは、目的の核酸試料を使用して、増幅反応において特定のプライマーを試験することによって決定することができる。異なるプライマーが、異なる核酸試料で最適な結果を生じることができる。しかし、本明細書で記載されているプライマーの数及びプライマー組成主成分が、一般に大部分の環状ゲノムで良好な増幅結果を生じる。
プライマーは、例えば、増幅収量を増加し、人為産物又は人為的増幅を生じることを低減することができる他の性質を有することもできる。例えば、プライマー二量体人為産物の生成は、プライマーを、プライマー間で又は同じプライマー内で相補的である3′末端配列を回避するように設計して、低減することができる。回避されるべきそのような配列は、相補間3′末端と呼ぶことができる。人為的増幅を回避するプライマーの能力の有用な測度は、プライマーが、核酸試料なしで増幅反応に使用される場合、増幅の欠如又は相対的な無意味さ(すなわち、産生された核酸)である。
プライマーを多様な方法で構成することができる。例えば、プライマーは、それぞれ別個に、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、標識ヌクレオチド、オリゴマー類似体、又は組み合わせを含むことができる。開示されている方法及び組成物の幾つかの形態において、プライマーは、それぞれ、プライマーがヌクレアーゼ抵抗性であるように少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含有することができる。
開示されているプライマーは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを有することができる。そのようなプライマーを、本明細書において修飾プライマーと呼ぶ。修飾プライマーは幾つかの利点を有する。第1に、RNA/2′−O−メチルRNAキメラプライマーのような修飾プライマーの幾つかの形態は、DNAプライマーよりも高い溶融温度(Tm)を有する。このことは、プライマーハイブリダイゼーションの安定性を増加し、プライマーによる鎖侵入を増加する。これは、より効率的なプライミングをもたらす。また、プライマーはRNAで構成されているので、エキソヌクレアーゼ抵抗性がある。5′末端に小さい溝結合剤で標識されている場合、そのようなプライマーは、鋳型dsDNAのより良好な鎖侵入も有する。
キメラプライマーを使用することもできる。キメラプライマーは、少なくとも2種類のヌクレオチド、例えば、両方ともデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチド、リボヌクレオチドと修飾ヌクレオチド、又は異なる種類の修飾ヌクレオチドを有するプライマーである。キメラプライマーの一つの形態は、ペプチド核酸/核酸プライマーである。例えば、5′−PNA−DNA−3′又は5′−PNA−RNA−3′プライマーを、より効率的な鎖侵入又は重合侵入に使用することができる。そのようなプライマーのDNA及びRNA部分は、ランダム又は変性配列を有することができる。キメラプライマーの他の形態は、例えば、5′−(2′−O−メチル)RNA−RNA−3′又は5′−(2′−O−メチル)RNA−DNA−3′である。
多くの修飾ヌクレオチド(ヌクレオチド類似体)が知られており、オリゴヌクレオチドに使用することができる。ヌクレオチド類似体は、ある種の修飾を塩基、糖又はリン酸部分に含むヌクレオチドである。塩基部分に対する修飾には、A、C、G及びT/U、並びに異なるプリン又はピリミジン塩基の天然及び合成修飾が挙げられ、例えば、ウラシル−5−イル、ヒポキサンチン−9−イル(I)及び2−アミノアデニン−9−イルである。修飾塩基には、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニン及びグアニジンの6−メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニジンの2−プロピル及び他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン及び2−チオサイトシン、5−ハロウラシル及びサイトシン、5−プロピニルウラシル及びサイトシン、6−アゾウラシル、サイトシン及びチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル及び他の8−置換のアデニン及びグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル及び他の5−置換のウラシル及びサイトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−デアザアデニン、並びに3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンが挙げられるが、これらに限定はされない。追加的な塩基修飾を、米国特許第3,687,808号(Englisch et al.)、Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613及びSanghvi, Y. S., Chapter 15, Antisense Research and Applications, pages 289302, Crooke, S. T. and Lebleu, B. ed., CRC Press, 1993で見出すことができる。特定のヌクレオチド類似体、例えば、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、並びにN−2、N−6及びO−6置換プリンには、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルサイトシンが挙げられる。5−メチルサイトシンは、二重鎖形成の安定性を増加することができる。他の修飾塩基は、ユニバーサル塩基として機能するものである。ユニバーサル塩基には、3−ニトロピロール及び5−ニトロインドールが挙げられる。ユニバーサル塩基は、通常の塩基の代わりになるが、塩基対合に対して偏りがない。すなわち、ユニバーサル塩基は、他のあらゆる塩基と塩基対合することができる。ユニバーサル塩基でヌクレオチドの全体又は一部が構成されているプライマーは、標的試料における反復配列に対する増幅の偏りを低減又は排除するのに有用である。これは、例えば増幅産物で配列の複雑性の欠如が望ましい場合に有用である。塩基修飾は、多く場合、例えば2′−O−メトキシエチルのように糖修飾と組み合わせて、二重鎖の安定性の増加のような特有の特性を得ることができる。塩基修飾の範囲を詳述し、記載する、多数の米国特許、例えば、第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号及び第5,681,941号が存在する。これらの特許はそれぞれ参照として本明細書に組み込まれる。
核酸類似体は、糖部分の修飾を含むこともできる。頭部分の修飾には、リボース及びデオキシリボースの天然修飾、並びに合成修飾が挙げられる。糖修飾には、2′位置での以下の修飾が挙げられるが、これらに限定はされない:OH;F;O−、S−又はN−アルキル;O−、S−又はN−アルケニル;O−、S−又はN−アルキニル;又はO−アルキル−O−アルキル(ここで、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換又は非置換のC1〜C10アルキル又はC2〜C10アルケニル及びアルキニルであることができる)。また2′糖修飾には、−O〔(CH2)nO〕mCH3、−O(CH2)nOCH3、−O(CH2)nNH2、−O(CH2)nCH3、−O(CH2)n−ONH2及び−O(CH2)nON〔(CH2)nCH3)〕2(ここで、n及びmは、1〜約10である)が挙げられるが、これらに限定はされない。
2′位置での他の修飾には、C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル若しくはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシルロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基、又はオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善する基、及び同様な特性を有する他の置換基が挙げられるが、これらに限定はされない。同様な修飾を、糖の他の位置、特に3′末端ヌクレオチド又は2′−5′結合オリゴヌクレオチドの糖の3′位置、及び5′末端ヌクレオチドの5′位置で行うこともできる。また修飾糖には、架橋環酸素で修飾を含むものが挙げられ、例えばCH2及びSである。ヌクレオチド糖類似体は、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分のような糖擬態を有することもできる。そのような修飾糖構造の調製を教示する多数の米国特許が存在し、例えば、第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号及び第5,700,920号であり、それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
ヌクレオチド類似体は、リン酸部分を修飾することもできる。修飾リン酸部分には、2つのヌクレオチド間の架橋が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3′−アルキレンホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、キラルホスホネート、ホスフィネート、3′−アミノホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、アミノアルキルホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及びボラノホスフェートを含有するように修飾できるものが挙げられるが、これらに限定はされない。2つのヌクレオチド間のこれらのリン酸又は修飾リン酸架橋は、3′−5′架橋又は2′−5′架橋を介することができ、架橋は、3′−5′から5′−3′又は2′−5′から5′−2′のような逆の方向性を含むことができることが理解される。多様な塩、混合塩及び遊離塩形態も含まれる。多数の米国特許が修飾リン酸を含むヌクレオチドをどのように作製し、使用するかを教示しており、第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,196号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,306号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号及び第5,625,050号が挙げられるが、これらに限定はされない(それぞれ参照として本明細書に組み込まれる)。
ヌクレオチド類似体は単一の修飾しか含む必要がないが、1つの部分の中に又は異なる部分の間に、複数の修飾を含むこともできることが理解される。
ヌクレオチド置換体は、ヌクレオチドと同様の機能性を有するが、リン酸部分を含まない分子であり、例えばペプチド核酸(PNA)である。ヌクレオチド置換体は、ワトソン・クリック又はフーグスティーン様式で相補核酸を認識し、それにハイブリダイズする分子であるが、リン酸部分以外の部分を介して一緒に結合する分子である。ヌクレオチド置換体は、適切な標的核酸と相互作用する場合、二重らせん型構造に適合することができる。
ヌクレオチド置換体は、リン酸部分及び/又は糖部分が代えられているヌクレオチド又はヌクレオチド類似体である。ヌクレオチド置換体は、標準的なリン原子を含まない。リン酸の置換体は、例えば、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間架橋、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間架橋、又は1つ以上の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環ヌクレオシド間架橋であることができる。これらには、モルホリノ架橋(ヌクレオシドの糖部分で部分的に形成されている);シロキサン主鎖;硫化物、スルホキシド及びスルホン主鎖;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファミン酸主鎖;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ主鎖;スルホン酸及びスルホンアミド主鎖;アミド主鎖を有するもの、並びに混合N、O、S及びCH2成分部分を有する他のものが挙げられる。多数の米国特許がこれらの種類のリン酸交換体をどのように作製し、使用するかを開示しており、第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、及び第5,677,439号が挙げられるが、これらに限定はされない(それぞれ参照として本明細書に組み込まれる)。
また、ヌクレオチドの糖とリン酸の両方の部分を、例えばアミド型架橋(アミノエチルグリシン)(PNA)で代えることができることが、核酸置換体において理解される。米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号及び同第5,719,262号は、PNA分子をどのように作製し、使用するかを教示しており、それぞれ参照として本明細書に組み込まれる。(Nielsen et al., Science 254:1497-1500 (1991)も参照すること)。
プライマーをヌクレオチドから構成することができ、ヌクレオチドの異なる種類又はヌクレオチドの同一の種類から構成することができる。例えば、プライマーの1つ以上のヌクレオチドが、リボヌクレオチド、2′−O−メチルリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドと2′−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であることができるか、ヌクレオチドの約10%〜約50%が、リボヌクレオチド、2′−O−メチルリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドと2′−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であることができるか、ヌクレオチドの約50%以上が、リボヌクレオチド、2′−O−メチルリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドと2′−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であることができるか、或いは全てのヌクレオチドが、リボヌクレオチド、2′−O−メチルリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドと2′−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であることができる。ヌクレオチドは、塩基(すなわち、ヌクレオチドの塩基部分)から構成されることができ、異なる種類の塩基を含むことができる(通常は、含む)。例えば、1つ以上の塩基が、3−ニトロピロール又は5−ニトロインドールのようなユニバーサル塩基であることができるか、塩基の約10%〜50%がユニバーサル塩基であることができるか、塩基の50%以上がユニバーサル塩基であることができるか、又は全ての塩基がユニバーサル塩基であることができる。
プライマーは、標的配列に相補的ではない、プライマーの5′末端に追加的な配列を含むこともできるが、その必要はない。この配列は、プライマーの非相補性部分と呼ばれる。プライマーの非相補性部分は、存在する場合、DNA複製の際に鎖置換を促進するように機能する。プライマーの非相補性部分は、RNAポリメラーゼのためのプロモーターのような機能性配列を含むこともできる。プライマーの非相補性部分は、任意の長さであることができるが、一般に1〜100個のヌクレオチドの長さ、好ましくは4〜8個のヌクレオチドの長さである。ランダム又は部分的にランダムなプライマーが全ゲノム増幅に使用される場合、非相補性部分の使用は好ましくない。
増幅される核酸分子へのプライマーの実質的な、有意な、又は顕著なミスマッチハイブリダイゼーションを可能にする又はそれと適合する条件の使用を排除できることが、特に考慮される。本明細書で使用されるとき、プライマーの実質的なミスマッチハイブリダイゼーションは、90%以上のプライマーヌクレオチドがハイブリダイゼーションパートナーのヌクレオチドと不対である、ハイブリダイゼーションを意味する。プライマーの有意なミスマッチハイブリダイゼーションは、50%以上のプライマーヌクレオチドがハイブリダイゼーションパートナーのヌクレオチドと不対である、ハイブリダイゼーションを意味する。プライマーの顕著なミスマッチハイブリダイゼーションは、10%以上のプライマーヌクレオチドがハイブリダイゼーションパートナーのヌクレオチドと不対である、ハイブリダイゼーションを意味する。プライマーの実質的な、有意な、又は顕著なミスマッチハイブリダイゼーションを回避する又はそれと適合しない条件を選択することは、開示されている方法におけるプライマーの特異的な又は実質的に特異的なハイブリダイゼーションの使用を強調する。
所定のレベルのミスマッチハイブリダイゼーションを可能にするか若しくは可能にしない条件、又はそれと適合するか若しくは適合しない条件に重要な要素は、増幅が実施される温度である。したがって、例えば、プライマーの溶融温度より有意に低い温度は、その溶融温度に近い温度よりもプライマーによる高いレベルのミスマッチハイブリダイゼーションを可能にし、それは、プライマーの幾つかのヌクレオチドにしか関与しないハイブリッドが、より低い温度で安定するからである。このように、反応温度(すなわち、核酸試料、プライマー及びDNAポリメラーゼが増幅のためにインキュベートされる温度)は、ミスマッチハイブリダイゼーションのレベル及びプライマーが核酸試料の核酸配列にハイブリダイズする間隔に影響を与える。
開示されている方法においてプライマーの特異性を使用するために、プライマーを、ミスマッチハイブリダイゼーションのレベルを低減するように設計することができる(又は、逆に、インキュベーション温度を選択することができる)。一般に、このことは、より短いプライマーにはより低いインキュベーション温度の使用、より長いプライマーにはより高いインキュベーション温度の使用を含むことができる。20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、又は80℃での使用のためにプライマーを設計することができる、及び/又はこれで増幅反応をインキュベートすることができることが、適切であり、望ましいと認められる。21℃未満、22℃未満、23℃未満、24℃未満、25℃未満、26℃未満、27℃未満、28℃未満、29℃未満、30℃未満、31℃未満、32℃未満、33℃未満、34℃未満、35℃未満、36℃未満、37℃未満、38℃未満、39℃未満、40℃未満、41℃未満、42℃未満、43℃未満、44℃未満、45℃未満、46℃未満、47℃未満、48℃未満、49℃未満、50℃未満、51℃未満、52℃未満、53℃未満、54℃未満、55℃未満、56℃未満、57℃未満、58℃未満、59℃未満、60℃未満、61℃未満、62℃未満、63℃未満、64℃未満、65℃未満、66℃未満、67℃未満、68℃未満、69℃未満、70℃未満、71℃未満、72℃未満、73℃未満、74℃未満、75℃未満、76℃未満、77℃未満、78℃未満、79℃未満、又は80℃未満での使用のためにプライマーを設計することができる、及び/又はこれで増幅反応をインキュベートすることができる。
1.検出タグ
プライマー非相補性部分は、増幅配列を更に操作又は分析するのに使用される配列を含むことができる。そのような配列の例は、検出タグであり、これはプライマーの非相補性部分に存在する特定のヌクレオチド配列である。検出タグは、検出プローブと相補的な配列を有する。検出タグは、これらの同族検出プローブを使用して検出することができる。検出タグは、増幅鎖の末端に組み込まれる。結果は、検出プローブの相補性部分に相補的な検出タグ配列を有する増幅DNAである。存在する場合、1、2、3又は3個を越える検出タグがプライマーに存在することができる。プライマーが、1、2、3又は4個の検出タグを有することが好ましい。最も好ましくは、プライマーは、1個の検出タグを有する。一般に、プライマーが10個以下の検出タグを有することが好ましい。プライマーの大きさ以外に、プライマーに存在できる検出タグの数について基本的に制限はない。複数の検出タグがある場合、これらは同じ配列を有することができるか、又はこれらは異なる配列を有することができ、それぞれ、異なる検出プローブに相補的な異なる配列である。プライマーは、全て単一の検出プローブに相補的であるように、同じ配列を有する検出タグを含むことが好ましい。幾つかの多重検出方法において、プライマーが、6個までの検出タグを含むこと、及び検出タグ部分が、検出タグ部分がそれぞれ異なる検出プローブと相補的であるように異なる配列を有することが好ましい。同様の効果を、それぞれ単一の異なる検出タグを有するプライマーセットを使用することによって、達成することができる。検出タグは、それぞれ、検出タグと検出プローブとの間の特異的で安定したハイブリダイゼーションを支持する任意の長さであることができる。このために、10〜35個のヌクレオチドの長さが好ましく、検出タグ部分の15〜20個のヌクレオチドの長さが最も好ましい。
2.アドレスタグ
プライマーの非相補性部分に含めることができる配列の別の例は、アドレスタグである。アドレスタグは、アドレスプローブと相補的な配列を有する。アドレスタグは、増幅鎖の末端に組み込まれる。結果は、アドレスプローブの相補性部分に相補的なアドレスタグ配列を有する増幅DNAである。存在する場合、1個又は1個を越えるアドレスタグがプライマーに存在することができる。プライマーが、1又は2個のアドレスタグを有することが好ましい。最も好ましくは、プライマーは、1個のアドレスタグを有する。一般に、プライマーが10個以下のアドレスタグを有することが好ましい。プライマーの大きさ以外に、プライマーに存在できるアドレスタグの数について基本的に制限はない。複数のアドレスタグがある場合、これらは同じ配列を有することができるか、又はこれらは異なる配列を有することができ、それぞれ、異なるアドレスプローブに相補的な異なる配列である。プライマーは、全て単一のアドレスプローブに相補的であるように、同じ配列を有するアドレスタグを含むことが好ましい。アドレスタグ部分は、それぞれ、アドレスタグとアドレスプローブとの間の特異的で安定したハイブリダイゼーションを支持する任意の長さであることができる。このために、長さは10〜35個のヌクレオチドの長さが好ましく、アドレスタグ部分の15〜20個のヌクレオチドの長さが最も好ましい。
D.蛍光変化プローブ及びプライマー
蛍光変化プローブ及び蛍光変化プライマーは、検出、アッセイ又は複製されるプローブ、プライマー及び核酸の形態又は構造の変化に基づいた蛍光強度又は波長の変化を伴う、全てのプローブ及びプライマーを意味する。蛍光変化プローブ及びプライマーの例には、分子ビーコン、Amplifluors、FRETプローブ、切断可能なFRETプローブ、TaqManプローブ、スコーピオンプライマー、蛍光三重オリゴ、蛍光水溶性結合ポリマー、PNAプローブ、及びQPNAプローブが挙げられる。
蛍光変化プローブ及びプライマーを、その構造及び/又は機能に従って分類することができる。蛍光変化プローブには、ヘアピン消光プローブ、切断消光プローブ、切断活性化プローブ及び蛍光活性化プローブが挙げられる。蛍光変化プライマーには、幹消光プライマー及びヘアピン消光プライマーが挙げられる。数種類の蛍光変化プローブ及びプライマーの使用が、Schweitzer and Kingsmore, Curr. Opin. Biotech. 12:21-27 (2001)において検討されている。Hall et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:8272-8277 (2000)は、侵入菌アッセイでの蛍光変化プローブの使用を記載している。
ヘアピン消光プローブは、標的配列に結合していない場合、蛍光標識と消光部分を、標識からの蛍光を消光するように近接させるヘアピン構造(典型的にはループ)を形成するプローブである。プローブが標的配列に結合する場合、幹が分裂し、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。ヘアピン消光プローブの例は、分子ビーコン、蛍光三重オリゴ及びQPNAプローブである。
切断活性化プローブは、蛍光がプローブの切断により増加するプローブである。切断活性化プローブは、蛍光標識及び消光部分を、標識からの蛍光が消光するように近接して含むことができる。プローブが、(典型的には、増幅の際にポリメラーゼの5′−3′エキソヌクレアーゼ活性により)せん断又は消化される場合、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。TaqManプローブ(Holland et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7276-7280 (1991))は、切断活性化プローブの例である。
切断消光プローブは、蛍光がプローブの切断により減少又は変化するプローブである。切断消光プローブは、アクセプター蛍光標識及びドナー部分を、アクセプターとドナーが近接している場合、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー移転がアクセプターを蛍光させるように含むことができる。したがって、プローブは、標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光する。プローブが、(典型的には、増幅の際にポリメラーゼの5′−3′エキソヌクレアーゼ活性により)せん断又は消化される場合、ドナー部分は、もはやアクセプター蛍光標識と近接しておらず、アクセプターからの蛍光が減少する。ドナー部分がそれ自体蛍光標識である場合、アクセプターに近接していない場合、蛍光として(典型的には、アクセプターの蛍光と異なる波長で)エネルギーを放出することができる。全体的な効果は、アクセプター蛍光の減少及びドナー蛍光の増加である。切断消光プローブの場合、ドナー蛍光は、切断活性化プローブにより生成された蛍光と同等であり、アクセプターが消光部分であり、ドナーが蛍光標識である。切断可能なFRET(蛍光共鳴エネルギー移転)プローブは、切断消光プローブの例である。
蛍光活性化プローブは、蛍光がプローブと標的配列とのハイブリダイゼーションにより増加又は変化するプローブ又はプローブ対である。蛍光活性化プローブは、アクセプター蛍光標識及びドナー部分を、アクセプターとドナーが近接している場合(プローブが標的配列にハイブリダイズしている場合)、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー移転がアクセプターを蛍光させるように含むことができる。蛍光活性化プローブは、典型的には、アクセプターとドナーが近接するように、隣接配列にハイブリダイズするように設計されるプローブ対である。蛍光活性化プローブは、プローブが標的配列にハイブリダイズしていないとき、ドナーとアクセプターは近接していないが、プローブが標的配列にハイブリダイズしているとき、ドナーとアクセプターは近接しているようにドナーとアクセプターの両方を含む単一プローブであることもできる。これは、例えば、ドナーとアクセプターをプローブの対向する末端に配置し、プローブのそれぞれの末端に標的相補配列を配置することによって達成することでき、ここで標的相補配列は標的配列の隣接配列に相補的である。蛍光活性化プローブのドナー部分がそれ自体蛍光標識である場合、アクセプターと近接していないとき(すなわち、プローブが標的配列にハイブリダイズしていないとき)、蛍光として(典型的にはアクセプターの蛍光と異なる波長で)エネルギーを放出することができる。プローブが標的配列にハイブリダイズする場合、全体的な効果は、ドナー蛍光の低減及びアクセプター蛍光の増加である。FRETプローブは、蛍光活性化プローブの例である。
幹消光プライマーは、相補配列にハイブリダイズしない場合、蛍光標識と消光部分を、標識からの蛍光が消光するように近接させる幹構造(分子内幹構造又は分子間幹構造のいずれか)を形成するプライマーである。プライマーが相補配列に結合する場合、幹が分裂し、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。開示されている方法において、幹消光プライマーは、核酸合成用のプライマーとして使用され、したがって、合成又は増幅核酸に組み込まれる。幹消光プライマーの例は、ペプチド核酸消光プライマー及びヘアピン消光プライマーである。
ペプチド核酸消光プライマーは、ペプチド核酸消光剤又はペプチド核酸フルオロと関連して、幹構造を形成するプライマーである。プライマーは、蛍光標識又は消光部分を含み、ペプチド核酸消光剤又はペプチド核酸フルオロのいずれかにそれぞれ関連している。このことは、蛍光標識を消光部分に近接して配置する。プライマーが複製される場合、ペプチド核酸は置換され、したがって、蛍光標識が蛍光シグナルを生じることを可能にする。
ヘアピン消光プライマーは、相補配列にハイブリダイズしていない場合、蛍光標識と消光部分を、標識からの蛍光を消光するように近接させる、ヘアピン構造(典型的にはループ)を形成するプライマーである。プライマーが相補配列に結合する場合、幹が分裂し、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。ヘアピン消光プライマーは、典型的には、核酸合成用のプライマーとして使用され、したがって、合成又は増幅核酸に組み込まれる。ヘアピン消光プライマーの例は、Amplifluorプライマー(Nazerenko et al., Nucleic Acids Res. 25:2516-2521 (1997))及びスコーピオンプライマー(Thelwell et al., Nucleic Acids Res. 28(19):3752-3761 (2000))である。
切断活性化プライマーは、複製鎖に組み込まれ、次に後で切断されるプライマーであることを除いて、切断活性化プローブと同様である。Little et al., Clin. Chem. 45:777-784 (1999)は、切断活性化プライマーの使用を記載する。
E.検出標識
開示されている方法を使用して増幅される核酸の検出及び定量化を助けるために、検出標識を、増幅核酸に直接組み込むことができるか、又は検出分子とカップリングすることができる。本明細書で使用されるとき、検出標識は、増幅核酸と直接的に又は間接的に関連していることができ、かつ測定可能で検出可能なシグナルを直接的に又は間接的にもたらす任意の分子である。核酸に組み込むため又は核酸プローブとカップリングするための多くのそのような標識は、当業者には既知である。開示されている方法での使用に適している検出標識の例は、放射性同位元素、蛍光分子、リン光性分子、酵素、抗体及びリガンドである。
適切な蛍光標識の例には、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、クマリン、塩化ダンシル、ローダミン、アミノ−メチルクマリン(AMCA)、エオシン、エリトロシン、BODIPY(登録商標)、Cascade Blue(登録商標)、Oregon Green(登録商標)、ピレン、リサミン、キサンテン、アクリジン、オキサジン、フィコエリトリン、quantum dye(商標)のようなランタニドイオンの大環状キレート、チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロ二量体のような蛍光エネルギー移転染料、並びにシアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5及びCy7が挙げられる。他の特定の蛍光標識の例には、3−ヒドロキシピレン5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、酸性フクシン、アリザリンコンプレクソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン、アミノクマリン、ステアリン酸アントロイル、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7GLL、アタブリン、オーラミン、オーロホスフィン、オーロホスフィンG、BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンズアミド、ブランコホルFFG溶液、ブランコホルSV、Bodipy F1、ブリリアントスルホフラビンFF、カルシエンブルー、カルシウムグリーン、カルコフロールRW溶液、カルコフロールホワイト、カルコホールホワイトABT溶液、カルコホールスタンダード溶液、カルボスチリル、カスケードイエロー、カテコールアミン、キナクリン、コリホスフィンO、クマリン−ファロイジン、CY3.1 8、CY5.1 8、CY7、ダンス(1−ジメチルアミノナファリン5スルホン酸)、ダンサ(ジアミノナフチルスルホン酸)、ダンシルNH−CH3、ジアミノフェニルオキサジアゾール(DAO)、ジメチルアミノ−5−スルホン酸、ジピロメテンホウ素二フッ化物、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF、ドーパミン、エリトロシンITC、オイクリシン、FIF(ホルムアルデヒド誘導蛍光)、フラゾオレンジ、フルオ3、フルオレスカミン、フラ−2、ゲンアクリルブリリアントレッドB、ゲンアクリルブリリアントイエロー10GF、ゲンアクリルピンク3G、ゲンアクリルイエロー5GF、グルシュウ酸、グラニュラーブルー、ヘマトポルフィリン、インド−1、イントラホワイトCf液、ロイコホルPAF、ロイコホルSF、ロイコホルWS、リサミンローダミンB200(RD200)、ルシフェールイエローCH、ルシフェールイエローVS、マグダラレッド、マリーナブルー、マキシロンブリリアントフラビン10GFF、マキシロンブリリアントフラビン8GFF、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、ミトラマイシン、NBDアミン、ニトロベンゾオキサジドール、ノルアドレナリン、ヌクレアファーストレッド、ヌクレアイエロー、ナイロサンブリリアントフラビンE8G、オキサジアゾール、パシフィックブルー、パラローザニリン(ホイルゲン)、ホルウィットAR溶液、ホルウィットBKL、ホルウィットRev、ホルウィットRPA、ホスフィン3R、フタロシアニン、フィコエリトリンR、ポリアザインダセンポントクロムブルーブラック、ポルフィリン、 プリムリン、プロシオンイエロー、ピロニン、ピロニンB、ピロザールブリリアントフラビン7GF、キナクリンマスタード、ローダミン123、ローダミン5GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB200、ローダミンBエキストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミンWT、セロトニン、セブロンブリリアントレッド2B、セブロンブリリアントレッド4G、セブロンブリリアントレッドB、セブロンオレンジ、セブロンイエローL、SITS(プリムリン)、SITS(スチルベンイソチオスルホン酸)、スチルベン、スナーフ1、スルホローダミンB Can C、スルホローダミンGエキストラ、テトラサイクリン、チアジンレッドR、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオフラビン5、チオライト、チオゾールオレンジ、チノポールCBS、トゥルーブルー、ウルトラライト、ウラニンB、ウビテックスSFC、キシレンオレンジ、及びXRITCが挙げられる。
好ましい蛍光標識は、フルオレセイン(5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ローダミン(5,6−テトラメチルローダミン)、並びにシアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5及びCy7である。これらの蛍光体の吸収及び発光のそれぞれの極大は、FITC(490nm;520nm)、Cy3(554nm;568nm)、Cy3.5(581nm;588nm)、Cy5(652nm:672nm)、Cy5.5(682nm;703nm)及びCy7(755nm;778nm)であり、したがって、同時検出を可能にする。フルオレセイン染料の他の例には、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2′,4′,1,4,−テトラクロロフルオレセイン(TET)、2′,4′,5′,7′,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2′,7′−ジメトキシ−4′,5′−ジクロロ−6−カルボキシローダミン(JOE)、2′−クロロ−5′−フルオロ−7′,8′−縮合フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(NED)及び2′−クロロ−7′−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)が挙げられる。蛍光標識は、Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ; Molecular Probes, Eugene, OR;及びResearch Organics, Cleveland, Ohioを含む、多様な商業供給者から得ることができる。
追加的な目的の標識には、それらが関連するプローブが標的分子に特異的に結合している場合にのみシグナルを提供するものが挙げられ、そのような標識には、Tyagi & Kramer, Nature Biotechnology (1996) 14:303及びEP0070685 B1で記載されている「分子ビーコン」が挙げられる。他の目的の標識には、米国特許第5,563,037号、WO97/17471及びWO97/17076に記載されているものが挙げられる。
標識ヌクレオチドは、これらを、合成の際に増幅産物に直接組み込むことができるので、好ましい形態の検出標識である。増幅核酸に組み込むことができる検出標識の例には、BrdUrd(5−ブロモデオキシウリジン、Hoy and Schimke, Mutation Research 290:217-230 (1993))、アミノアリルデオキシウリジン(Henegariu et al., Nature Biotechnology 18:345-348 (2000))、5−メチルシトシン(Sano et al., Biochim. Biophys. Acta 951:157-165 (1988))、ブロモウリジン(Wansick et al., J. Cell Biology 122:283-293 (1993))のような核酸類似体、及びビオチンにより(Langer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:6633 (1981))又はジゴキシゲニン(Kerkhof, Anal. Biochem. 205:359-364 (1992))のような適切なハプテンにより修飾されているヌクレオチドが挙げられる。適切な蛍光標識ヌクレオチドは、フルオレセイン−イソチオシアネートdUTP、シアニン−3−dUTP及びシアニン−5−dUTPである(Yu et al., Nucleic Acids Res., 22:3226-3232 (1994))。DNAにとって好ましいヌクレオチド類似体検出標識はBrdUrd(ブロモデオキシウリジン、BrdUrd、BrdU、BUdR、Sigma-Aldrich Co)である。検出標識のDNAへの組み込みに好ましい他のヌクレオチド類似体は、AA−dUTP(アミノアリル−デオキシウリジントリホスフェート、Sigma-Aldrich Co.)及び5−メチル−dCTP(Roche Molecular Biochemicals)である。検出標識のRNAへの組み込みに好ましいヌクレオチド類似体は、ビオチン−16−UTP(ビオチン−16−ウリジン−5′−トリホスフェート、Roche Molecular Biochemicals)である。フルオレセイン、Cy3及びCy5は、直接標識化のためにdUTPに結合することができる。Cy3.5及びCy7は、ビオチン−又はジゴキシゲニン標識プローブの二次検出用のアビジン又は抗ジゴキシゲニン複合体として利用可能である。
ビオチンのような増幅核酸に組み込まれる検出標識を、後に当該技術で周知の高感度法を使用して検出することができる。例えば、ビオチンは、ビオチンに結合しているストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ複合体(Tropix, Inc.)を使用して検出することができ、後に適切な基質(例えば、化学発光基質CSPD:3−(4−メトキシスピロ−〔1,2,−ジオキセタン−3−2′−(5′−クロロ)トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン〕−4−イル)フェニルリン酸二ナトリウム;Tropix, Inc.)の化学発光により検出することができる。標識は、例えば化学シグナル増幅により、又は光を生じる酵素(例えば、化学発光1,2−ジオキセタン基質)若しくは蛍光シグナルを生じる酵素に対する基質を使用することにより検出することができる、アルカリホスファターゼ、ダイズペルオキシダーゼ、ホールラディッシュペルオキシダーゼ及びポリメラーゼのような酵素であることもできる。
2個以上の検出標識を組み合わせる分子も検出標識と考慮される。既知の検出標識のいずれかを、開示されているプローブ、タグ及び方法と共に使用して、開示されている方法を使用して増幅した核酸を標識及び検出することができる。検出標識により生成されたシグナルを検出及び測定する方法も、当業者に既知である。例えば、放射性同位元素を、シンチレーションカウント又は直接可視化により検出することができ、蛍光分子を、蛍光分光光度計により検出することができ、リン光性分子を、分光光度計又はカメラによる直接可視化により検出することができ、酵素を、酵素により触媒された反応の産物の検出又は可視化により検出することができ、抗体を、抗体に結合した二次検出標識を検出することによって検出することができる。本明細書で使用されるとき、検出分子は、増幅核酸と相互作用する分子及び1つ以上の検出標識が結合している分子である。
F.検出プローブ
検出プローブは、増幅核酸における検出タグ又は別の配列と相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドである。検出プローブの相補性部分は、検出プローブと増幅DNAにおける相補配列との間の特異的で安定したハイブリダイゼーションを支持する任意の長さであることができる。このために、10〜35個のヌクレオチドの長さが好ましく、検出プローブの相補性部分の16〜20個のヌクレオチドの長さが最も好ましい。検出プローブは、上記で記載された検出標識のいずれかを含むことができる。好ましい標識は、ビオチン及び蛍光分子である。特に好ましい検出プローブは、分子ビーコンである。分子ビーコンは、蛍光部分で標識された検出プローブであり、蛍光部分は、検出プローブがハイブリダイズするときにのみ蛍光する(Tyagi and Kramer, Nature Biotechnol. 14:303-309 (1995))。そのようなプローブの使用は、非ハイブリダイズ検出プローブがシグナルを生じないために、標識検出の前に非ハイブリダイズプローブを除去する必要性を排除する。このことは、多重アッセイにおいて特に有用である。
G.アドレスプローブ
アドレスプローブは、プライマーにおけるアドレスタグに相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。アドレスプローブの相補性部分は、アドレスプローブとアドレスタグとの間の特異的で安定したハイブリダイゼーションを支持する任意の長さであることができる。このために、10〜35個のヌクレオチドの長さが好ましく、アドレスプローブの相補性部分の12〜18個のヌクレオチドの長さが最も好ましい。アドレスプローブは、単一の相補性部分又は複数の相補性部分を含むことができる。好ましくは、アドレスプローブは、直接的に又はスペーサー分子を介して固体支持体に結合している。アドレスプローブと固体支持体とのそのような組み合わせは、好ましい固体検出器の形態である。
H.オリゴヌクレオチド合成
プライマー、検出プローブ、アドレスプローブ及び他の任意のオリゴヌクレオチドは、確立されたオリゴヌクレオチド合成法を使用して合成することができる。オリゴヌクレオチドを産生又は合成する方法は、当該技術でよく知られている。そのようよう方法は、標準的な酵素消化、続くヌクレオチドフラグメント単離(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989) Chapters 5, 6を参照すること)から、純粋な合成方法、例えばシアノエチルホスホラミダイト法までの範囲であることができる。DNAフラグメントの固相化学合成は、保護ヌクレオシドシアノエチルホスホラミダイトを使用して、日常的に実施される(S. L. Beaucage et al. (1981) Tetrahedron Lett. 22:1859)。この手法において、最初の5′−保護ヌクレオシドの3′−ヒドロキシル基が、ポリマー支持体に最初に共有結合する(R. C. Pless et al. (1975) Nucleic Acids Res. 2:773 (1975))。次にオリゴヌクレオチドの合成は、結合ヌクレオシドの5′−ヒドロキシル基の脱保護、続いて、入ってくるヌクレオシド−3′−ホスホラミダイトと脱保護ヒドロキシル基とのカップリングにより進行する(M. D. Matteucci et a. (1981) J. Am. Chem. Soc. 103:3185)。得られたホスファイトトリエステルは、最終的に酸化されて、ホスホロトリエステルとなり、ヌクレオチド間の結合が完了する(R. L. Letsinger et al. (1976) J. Am. Chem. Soc. 9:3655)。あるいは、ホロホロチオエート架橋の合成を、ホスファイトトリエステルの硫化により実施することができる。幾つかの化学物質を使用して、この反応を実施することができ、とりわけ、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン、1,1−ジオキシドである(R.P. Iyer, W. Egan, J.B. Regan, and S.L. Beaucage, J. Am. Chem. Soc., 1990, 112, 1253-1254)。脱保護、カップリング及び酸化の工程を、所望の長さ及び配列のオリゴヌクレオチドが得られるまで反復する。H−ホノホネート法(Hall et al, (1957) J. Chem. Soc., 3291-3296)又はIkuta et al., Ann. Rev. Biochem. 53:323-356 (1984)(ホスホトリエステル及びホスファイト−トリエステル法)と、Narang et al., Methods Enzymol., 65:610-620 (1980)(ホスホトリエステル法)により記載されているホスホトリエステル法のような、オリゴヌクレオチドを生成する他の方法が存在する。タンパク質核酸分子は、Nielsen et al., Bioconjug. Chem. 5:3-7 (1994)により記載されているような既知の方法を使用して作製することができる。他の形態のオリゴヌクレオチド合成は、米国特許第6,294,664号及び米国特許第6,291,669号に記載されている。
オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、一般に、合成の際にサブユニットブロックのサブユニットがオリゴヌクレオチド鎖に付加される配列の順番により決定される。それぞれの一連の付加は、異なる特定のヌクレオチド前駆体又は1つ以上の異なるヌクレオチド前駆体の混合物を伴うことができる。特定の配列の開示されているプライマーに、特定のヌクレオチド前駆体が順番に付加される。一般に、オリゴヌクレオチドにおける縮重又はランダム位置は、その位置に存在することができるヌクレオチドの範囲を表すヌクレオチド前駆体の混合物を使用して生じることができる。したがって、その位置がA及びTのために縮重される場合、A及びTの前駆体をオリゴヌクレオチドの特定の位置での反応に含むことができる。4個全てのヌクレオチド前駆体を、完全な縮重又はランダム位置に含むことができる。完全にランダムなオリゴヌクレオチドは、一連の合成の全てにおいて、4個全てのヌクレオチド前駆体を含むことによって作製することができる。異なる割合で異なるヌクレオチドを有する縮重オリゴヌクレオチドを作製することもできる。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、反応において所望の割合で異なるヌクレオチド前駆体を使用することによって、作製することができる。
本明細書に記載されているオリゴヌクレオチドの多くは、それらの間に安定したハイブリッドを形成できるように、他のオリゴヌクレオチド又は核酸の特定の部分に相補的であるように設計される。これらのハイブリッドの安定性は、Lesnick and Freier, Biochemistry 34:10807-10815 (1995), McGraw et al., Biotechniques 8:674-678 (1990)及びRychlik et al., Nucleic Acids Res. 18:6409-6412 (1990)に記載されているような、既知の方法を使用して計算することができる。
それらの関連する機能が維持される限り、プライマー、検出プローブ、アドレスプローブ及び他の任意のオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド(ヌクレオチド類似体を含む)から構成されうるか又はそれを含むことができる。多くの修飾ヌクレオチドが知られており、オリゴヌクレオチドに使用することができる。ヌクレオチド類似体は、ある種の修飾を塩基、糖又はリン酸部分に含むヌクレオチドである。塩基部分に対する修飾には、A、C、G及びT/U、並びに異なるプリン又はピリミジン塩基の天然及び合成修飾が挙げられ、例えば、ウラシル−5−イル、ヒポキサンチン−9−イル(I)及び2−アミノアデニン−9−イルである。修飾塩基には、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニン及びグアニジンの6−メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニジンの2−プロピル及び他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン及び2−チオサイトシン、5−ハロウラシル及びサイトシン、5−プロピニルウラシル及びサイトシン、6−アゾウラシル、サイトシン及びチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル及び他の8−置換のアデニン及びグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル及び他の5−置換のウラシル及びサイトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−デアザアデニン、並びに3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンが挙げられるが、これらに限定はされない。追加的な塩基修飾を、米国特許第3,687,808号(Englisch et al.)、Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613及びSanghvi, Y. S., Chapter 15, Antisense Research and Applications, pages 289302, Crooke, S. T. and Lebleu, B. ed., CRC Press, 1993で見出すことができる。特定のヌクレオチド類似体、例えば、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、並びにN−2、N−6及びO−6置換プリンには、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルサイトシンが挙げられる。5−メチルサイトシンは、二重鎖形成の安定性を増加することができる。他の修飾塩基は、ユニバーサル塩基として機能するものである。ユニバーサル塩基には、3−ニトロピロール及び5−ニトロインドールが挙げられる。ユニバーサル塩基は、通常の塩基の代わりになるが、塩基対合に対して偏りがない。すなわち、ユニバーサル塩基は、他のあらゆる塩基と塩基対合することができる。塩基修飾は、多く場合、例えば2′−O−メトキシエチルのように糖修飾と組み合わせて、二重鎖の安定性の増加のような特有の特性を得ることができる。塩基修飾の範囲を詳述し、記載する、多数の米国特許、例えば、第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号及び第5,681,941号が存在する。これらの特許は、それぞれその全体が、特に、塩基修飾、それら合成、それらの使用、並びにそれらのオリゴヌクレオチド及び核酸への組み込みについての記載が、参照として本明細書に組み込まれる。
核酸類似体は、糖部分の修飾を含むこともできる。糖部分の修飾には、リボース及びデオキシリボースの天然修飾、並びに合成修飾が挙げられる。糖修飾には、2′位置での以下の修飾が挙げられるが、これらに限定はされない:OH;F;O−、S−又はN−アルキル;O−、S−又はN−アルケニル;O−、S−又はN−アルキニル;又はO−アルキル−O−アルキル(ここで、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換又は非置換のC1〜C10アルキル又はC2〜C10アルケニル及びアルキニルであることができる)。また2′糖修飾には、−O〔(CH2)nO〕mCH3、−O(CH2)nOCH3、−O(CH2)nNH2、−O(CH2)nCH3、−O(CH2)n−ONH2及び−O(CH2)nON〔(CH2)nCH3)〕2(ここで、n及びmは、1〜約10である)が挙げられるが、これらに限定はされない。
2′位置での他の修飾には、C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル若しくはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシルロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基、又はオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善する基、及び同様な特性を有する他の置換基が挙げられるが、これらに限定はされない。同様な修飾を、糖の他の位置、特に3′末端ヌクレオチド又は2′−5′結合オリゴヌクレオチドの糖の3′位置、及び5′末端ヌクレオチドの5′位置で行うこともできる。また修飾糖には、架橋環酸素で修飾を含むものが挙げられ、例えばCH2及びSである。ヌクレオチド糖類似体は、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分のような糖擬態を有することもできる。そのような修飾糖構造の調製を教示する多数の米国特許が存在し、例えば、第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号及び第5,700,920号であり、それぞれその全体が、特に、修飾糖構造、それら合成、それらの使用、並びにそれらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及び核酸への組み込みについての記載が、参照として本明細書に組み込まれる。
ヌクレオチド類似体は、リン酸部分が修飾されうる。修飾リン酸部分には、2つのヌクレオチド間の架橋が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3′−アルキレンホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、キラルホスホネート、ホスフィネート、3′−アミノホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、アミノアルキルホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及びボラノホスフェートを含有するように修飾できるものが挙げられるが、これらに限定はされない。2つのヌクレオチド間のこれらのリン酸又は修飾リン酸架橋は、3′−5′架橋又は2′−5′架橋を介することができ、架橋は、3′−5′から5′−3′又は2′−5′から5′−2′のような逆の方向性を含むことができることが理解される。多様な塩、混合塩及び遊離塩形態も含まれる。多数の米国特許が修飾リン酸を含むヌクレオチドをどのように作製し、使用するかを教示しており、第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,196号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,306号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号及び第5,625,050号が挙げられるが、これらに限定はされない(それぞれその全体が、特に、修飾リン酸、それら合成、それらの使用、並びにそれらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及び核酸への組み込みについての記載が、参照として本明細書に組み込まれる)。
ヌクレオチド類似体は単一の修飾しか含む必要がないが、1つの部分の中に又は異なる部分の間に、複数の修飾を含むこともできることが理解される。
ヌクレオチド置換体は、ヌクレオチドと同様の機能性を有するが、リン酸部分を含まない分子であり、例えばペプチド核酸(PNA)である。ヌクレオチド置換体は、ワトソン・クリック又はフーグスティーン様式で相補核酸を認識し、それにハイブリダイズする(塩基対合する)分子であるが、リン酸部分以外の部分を介して一緒に結合する分子である。ヌクレオチド置換体は、適切な標的核酸と相互作用する場合、二重らせん型構造に適合することができる。
ヌクレオチド置換体は、リン酸部分及び/又は糖部分が代えられているヌクレオチド又はヌクレオチド類似体である。ヌクレオチド置換体は、標準的なリン原子を含まない。リン酸の置換体は、例えば、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間架橋、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間架橋、又は1つ以上の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環ヌクレオシド間架橋であることができる。これらには、モルホリノ架橋(ヌクレオシドの糖部分で部分的に形成されている);シロキサン主鎖;硫化物、スルホキシド及びスルホン主鎖;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファミン酸主鎖;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ主鎖;スルホン酸及びスルホンアミド主鎖;アミド主鎖を有するもの、並びに混合N、O、S及びCH2成分部分を有する他のものが挙げられる。多数の米国特許がこれらの種類のリン酸交換体をどのように作製し、使用するかを開示しており、第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、及び第5,677,439号が挙げられるが、これらに限定はされない(それぞれその全体が、特に、リン酸交換体、それら合成、それらの使用、並びにそれらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及び核酸への組み込みについての記載が、参照として本明細書に組み込まれる)。
また、ヌクレオチドの糖とリン酸の両方の部分を、例えばアミド型架橋(アミノエチルグリシン)(PNA)で代えることができることが、核酸置換体において理解される。米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号及び同第5,719,262号は、PNA分子をどのように作製し、使用するかを教示しており、それぞれ参照として本明細書に組み込まれる。(Nielsen et al., Science 254:1497-1500 (1991)も参照すること)。
オリゴヌクレオチドをヌクレオチドから構成することができ、ヌクレオチドの異なる種類又はヌクレオチドの同一の種類から構成することができる。例えば、オリゴヌクレオチドにおける1つ以上のヌクレオチドが、リボヌクレオチド、2′−O−メチルリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドと2′−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であることができるか、ヌクレオチドの約10%〜約50%が、リボヌクレオチド、2′−O−メチルリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドと2′−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であることができるか、ヌクレオチドの約50%以上が、リボヌクレオチド、2′−O−メチルリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドと2′−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であることができるか、或いは全てのヌクレオチドが、リボヌクレオチド、2′−O−メチルリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドと2′−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であることができる。そのようなオリゴヌクレオチドを、キメラオリゴヌクレオチドと呼ぶことができる。
I.DNAポリメラーゼ
開示されている方法に有用なDNAポリメラーゼは、単独で、又は適合する鎖置換要素である、複製の際に遭遇するハイブリッド鎖と組み合わされて、置換する能力がなければならない。そのようなポリメラーゼは、本明細書において、鎖置換DNAポリメラーゼと呼ばれる。鎖置換DNAポリメラーゼが、5′から3′へのエキソヌクレアーゼ活性を欠いていることが好ましい。鎖置換は、標的配列の複数コピーの合成をもたらすために必要である。存在する場合、5′から3′へのエキソヌクレアーゼ活性は、合成された鎖の破壊によりもたらされる場合がある。開示されている方法で使用されるDNAポリメラーゼが、高度に前進型であることも好ましい。開示されている方法で使用されるDNAポリメラーゼの適合性は、鎖置換複製を実施するその能力を評価することによって、容易に決定することができる。特に有用な酵素は、少なくとも1000bpの長さの核酸を置換することができる。ポリメラーゼは、熱不安定性又は熱安定性であることができる。ポリメラーゼは、ホロ酵素、ホロ酵素の一部、又はウイルス、ファージ、原核生物、真核生物若しくは古細菌からのポリメラーゼの突然変異若しくは遺伝子改変形態であることができる。ポリメラーゼを、元の生物体から単離することができるか、又は遺伝子改変生物体で産生することができる。
好ましい鎖置換DNAポリメラーゼは、バクテリオファージφ29型DNAポリメラーゼ(米国特許第5,198,543号及び同第5,001,050号(Blanco et al.))、Bst大型フラグメントDNAポリメラーゼ(Exo(−)Bst;Aliotta et al., Genet. Anal. (Netherlands) 12:185-195 (1996))及びexo(−)Bca DNAポリメラーゼ(Walker and Linn, Clinical Chemistry 42:1604-1608 (1996))である。φ29型DNAポリメラーゼは、例えば、ファージφ29、Cp−1、PRD−1、Phi 15、Phi 21、PZE、PZA、Nf、M2Y、B103、SF5、GA−1、Cp−5、Cp−7、PR4、PR5、PR722及びL 17vorに由来する。他の有用なポリメラーゼには、ファージM2 DNAポリメラーゼ(Matsumoto et al., Gene 84:247 (1989))、ファージφPRD1 DNAポリメラーゼ(Jung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:8287 (1987)))、exo(-)VENT(登録商標)DNAポリメラーゼ(Kong et al., J. Biol. Chem. 268:1965-1975 (1993))、DNAポリメラーゼIのクレノーフラグメント(Jacobsen et al., Eur. J. Biochem. 45:623-627 (1974))、T5 DNAポリメラーゼ(Chatterjee et al., Gene 97:13-19 (1991))、Sequenase(U.S. Biochemicals)、PRD1 DNAポリメラーゼ(Zhu and Ito, Biochim. Biophys. Acta. 1219:267-276 (1994))及びT4 DNAポリメラーゼホロ酵素(Kaboord and Benkovic, Curr. Biol. 5:149-157 (1995))が挙げられる。φ29DNAポリメラーゼが最も好ましい。鎖置換活性を有する適切なポリメラーゼの更なる例は、ヘリカーゼ、一本鎖結合タンパク質のような補助タンパク質又は組み換えに関わるタンパク質の全て又は一部を含むことができる原核細胞、真核細胞又は古細菌のホロ酵素複合体である。他の補助分子は、鎖置換を増強することができる(例えば、リボザイム)。
本明細書で使用されるとき、熱不安定核酸ポリメラーゼは、増幅反応が添加剤、dNTP及び鋳型核酸の不在下で実施される温度で顕著に不活性化される核酸ポリメラーゼである。したがって、核酸ポリメラーゼが熱不安定性であるかは、増幅反応が実施される温度に左右される。本明細書で使用されるとき、熱不安定性は、ポリメラーゼの変性又は非可逆的不活性化を必要としないことに留意すること。ポリメラーゼが、増幅反応が添加剤の不在下で実施される温度で鋳型依存性重合を実施する能力を顕著に欠いていることが、必要である全てである。可逆的不活性化ポリメラーゼを使用することもできる。
本明細書で使用されるとき、高温は、所定の核酸ポリメラーゼが添加剤、dNTP及び鋳型核酸の不在下で顕著に不活性化されている温度又はそれを越える温度である。したがって高温を構成するものは、特定の核酸ポリメラーゼによって決まる。本明細書で使用されるとき、顕著な不活性化とは、活性の40%以上の低減を意味する。実質的な不活性化とは、活性の60%以上の低減を意味する。有意な不活性化とは、活性の80%以上の低減を意味する。
鎖置換は、ヘリカーゼ又は一本鎖結合タンパク質のような鎖置換要素の使用を介して促進することができる。鎖置換複製を鎖置換要素の存在下で実施することができる任意のDNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼがそのような要素の不在下で鎖置換複製を実施しない場合でさえも、開示されている方法における使用に適していると考えられる。鎖置換複製で有用な鎖置換要素には、BMRF1ポリメラーゼ補助サブユニット(Tsurumi et al., J. Virology 67(12):7648-7653 (1993))、アデノウイルスDNA結合タンパク質(Zijderveld and van der Vliet, J. Virology 68(2):1158-1164 (1994))、単純ヘルペスウイルスタンパク質ICP8(Boehmer and Lehman, J. Virology 67(2):711-715 (1993); Skaliter and Lehman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(22):10665-10669 (1994))、一本鎖DNA結合タンパク質(SSB; Rigler and Romano, J. Biol. Chem. 270:8910-8919 (1995))、ファージT4遺伝子32タンパク質(Villemain and Giedroc, Biochemistry 35:14395-14404 (1996)及び仔牛胸腺ヘリカーゼ(Siegel et al., J. Biol. Chem. 267:13629-13635 (1992))が挙げられる。
鎖置換複製を実施するポリメラーゼの能力は、実施例で記載されているような鎖置換複製アッセイにポリメラーゼを使用することによって、決定することができる。実施例のアッセイは、適切であれば変更することができる。そのようなアッセイは、使用される酵素の最適な活性に適した温度で実施されるべきであり、例えば、φ29DNAポリメラーゼでは25〜40℃、exo(−)Bst DNAポリメラーゼでは46℃〜64℃、又は超好温性生物体の酵素では約60℃〜70℃である。60℃〜70℃でのアッセイでは、プライマーの長さを増加して、アッセイ温度に適切な溶融温度を提供することができる。ポリメラーゼを選択するのに有用な別のアッセイは、Kong et al., J. Biol. Chem. 268:1965-1975 (1993)に記載されているプライマー阻止アッセイである。このアッセイは、伸展プライマーの進展を阻止するためにその上流でハイブリダイズされているオリゴヌクレオチドの存在下又は不在下でM13 ssDNA鋳型を使用する、プライマー伸展アッセイから構成される。このアッセイの阻止プライマーを置換することができる酵素は、開示されている方法に有用であることが予測される。
J.キット
上記に記載された物質を、開示されている方法を実施するのに有用なキットとして、任意の適切な組み合わせで一緒に包装することができる。所定のキットにおいてキットの構成成分を、開示されている方法で一緒に使用するために設計及び適合することができる。例えば、開示されているものは、環状ゲノムを増幅するキット、少なくとも反応緩衝剤及びDNAポリメラーゼを含むキットである。そのようなキットの構成成分は、本明細書の他の部分に記載されている。開示されているキットの幾つかの形態において、キットは更にプライマーセットを含むことができる。開示されているキットの幾つかの形態において、キットは更に溶解溶液を含むことができる。開示されているキットの幾つかの形態において、キットは更に安定化溶液を含むことができる。開示されているキットの幾つかの形態において、キットは更にデオキシヌクレオチドトリホスフェートを含むことができる。開示されているキットの幾つかの形態において、キットは更に1つ以上の検出プローブを含むことができる。検出プローブは、本明細書の他の部分に記載されている。キットの幾つかの形態において、検出プローブは、それぞれ相補性部分を含むことができ、相補性部分は、目的の核酸配列に相補的である。キットの幾つかの形態において、キットは更に変性溶液を含むことができる。キットの幾つかの形態において、キットは更に反応混合物を含むことができる。キットは、ヌクレオチド、緩衝剤、検出プローブ、蛍光変化プローブ、溶解溶液、安定化溶液、変性溶液、又は組み合わせを含むこともできる。
一緒に使用することができる、キットに存在することができる構成成分のいずれかを、キットの単一構成成分に組み合わせることができる。したがって、反応混合物は、例えば、緩衝剤、デオキシヌクレオチドトリホスフェート及びプライマーを含むことができる。同様に、構成成分及び溶液を、構成部分又はサブ溶液に分けることができる。キットを、あらゆる目的のために、一般に核酸増幅のために使用することができる。幾つかの形態において、キットを、ゲノム中の又は他の核酸試料中の目的の核酸配列を検出するために、設計することができる。幾つかの形態において、キットを、目的の核酸配列に基づいて、個人の疾患、状態又は素因を評価するために設計することができる。
K.混合物
開示されているものは、開示されている方法の任意の形態を実施して形成された、又はそれを実施している過程で形成された混合物である。例えば、開示されているものは、例えばゲノム核酸試料、プライマーセットのプライマー及びDNAポリメラーゼを含む混合物、ゲノム核酸試料、プライマーセットのプライマー、DNAポリメラーゼ及びタンデム配列DNAを含む混合物である。方法が、例えば組成物又は成分又は試薬を混合する又は接触させることを含む場合、方法を実施することは、多数の異なる混合物を作り出す。例えば、方法が3つの混合工程を含む場合、これらの工程のそれぞれ1つの工程の後、工程が順番に実施される場合には特有の混合物が形成される。加えて、混合物は、工程がどのように実施されるかに関わりなく、全ての工程が完了したときに形成される。本開示は、開示されている方法の実施により得られるこれらの混合物、並びに開示されている試薬、組成物又は例えば本明細書に開示されている成分のいずれかを含有する混合物を考慮する。
L.系
開示されているものは、開示されている方法を実施する又はその実施を助けるのに有用な系である。系は、一般に、構造物、機械、装置などのような製造品と、組成物、化合物、物質などとの組み合わせを含む。開示されている又は開示から明らかであるそのような組み合わせが考慮される。例えば、開示され、考慮されるものは、固体支持体及びプライマー、核酸試料、検出プローブ、蛍光変化プローブ又は組み合わせを含む系である。
M.データ構造及びコンピュータ制御
開示されているものは、開示されている方法で使用される、それにより生成される、又はそれから生成されるデータ構造である。データ構造は、一般に、構成物は媒体に収集された、組織化された、保存された及び/又は埋め込まれた、データ、情報及び/又は対象の任意の形態である。RAM又は保存ディスクのような電子形態に保存されている核酸ライブラリーが、一種のデータ構造である。
開示されている方法又はその任意の部分若しくはその調製を、コンピュータ制御により、制御、管理、そうでなければ支援することができる。そのようなコンピュータ制御は、コンピュータ制御プロセス又は方法により達成することができ、データ構造を使用及び/又は生成することができ、コンピュータプログラムを使用することができる。そのようなコンピュータ制御、コンピュータ制御プロセス、データ構造、及びコンピュータプログラムは、本明細書に開示されていると考慮され、かつ理解されるべきである。
使用
開示されている方法及び組成物は、細胞に存在する核酸の分析(例えば、細胞中のゲノムDNAの分析)、疾患の検出、突然変異の検出、遺伝子の発見、遺伝子マッピング(分子ハプロタイピング)及び農業研究が挙げられるが、これらに限定はされない多数の領域に適用可能である。
方法
開示されているものは、環状ゲノムの増幅方法である。この方法は、プライマーによる鎖置換複製を伴う、環状ゲノムのローリングサークル増幅に基づく。開示されている方法は、目的の環状ゲノムの差動増幅を可能にする。目的の環状ゲノムと、非標的ゲノムのような非標的核酸の両方を含有するゲノム核酸試料において、開示されている方法及び組成物は、非標的核酸に対して、目的の環状ゲノムの何倍もの差動増幅をもたらすことができる。目的の環状ゲノムと相補的なプライマーセットの選択は、存在する非標的核酸に対して目的の環状ゲノムのより大きな増幅をもたらしうることが発見された。そのような環状ゲノムの差動増幅は、混合核酸試料から目的のゲノムの有用な量を得るために非常に有用である。例えば、非標的核酸(例えば、宿主細胞ゲノム)の存在下でのミトコンドリアゲノムを、複雑で時間のかかる精製なしに、開示された方法及び組成物を使用して宿主細胞ゲノム及び他の非標的核酸に対して差動増幅することができる。
開示された方法の幾つかの形態は、プライマーセット、DNAポリメラーゼ及びゲノム核酸試料を接触させること(ここでゲノム核酸試料は環状ゲノムを含む)及びゲノム核酸試料を、ゲノム核酸試料における環状ゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすることを含むことができる。環状ゲノムの複製は、ローリングサークル複製により進行することができる。環状ゲノムの複製を促進する条件は、熱サイクルを伴う必要がない及び/又は実質的に恒温であることができる。開示されている方法において、環状ゲノムは、ゲノム核酸試料に存在する非標的核酸と比較して差動複製される。したがって、例えば、ゲノム核酸試料に存在する非標的核酸は、一般に実質的に、有意に又は顕著に複製されない。例えば、プライマーセットのプライマー及び反応条件は、一般にゲノム核酸試料に存在する非標的核酸が実質的に、有意に又は顕著に複製されないように選択することができる。
環状ゲノムの複製は、複製鎖をもたらす。そのような複製は、ローリングサークル複製により進行して、タンデム配列DNAを産生する。複製鎖は、別の複製鎖の鎖置換複製により核酸分子で置換される。そのような増幅は、各プライマーで開始し、自然に停止するまで継続する高度に前進型のポリメラーゼによる複製によって進行することができる。この方法の有用な特徴は、DNAポリメラーゼがプライマーを伸展するので、ポリメラーゼが、他のプライマーの伸展によりもたらされる複製産物(すなわち、DNA鎖)を置換することである。ポリメラーゼは、新たなプライマーを連続的に伸展し、以前のプライミング事象の複製産物を置換する。このようにして、環状ゲノムにおける全ての核酸分子及び配列の多重重複コピーを、短時間に合成することができる。開示されている方法は、恒温条件下で実施できるので、ポリメラーゼ連鎖反応よりも優れている。開示されている方法において、増幅は、周期的に起こるのではなく、連続的な恒温複製で起こる。このことは、増幅をあまり複雑にせず、産出量をより一定にする。鎖置換は、単一の連続的な恒温反応において核酸配列又は試料の多数のコピーの急速な生成を可能にする。
ゲノム核酸試料が1つ以上の非標的ゲノム(環状でありうる非標的ゲノムを含む)を含む場合、目的の環状ゲノムを、非標的ゲノムに対して差動増幅することができる。ゲノム核酸試料は、目的の環状ゲノム及び1つ以上の非標的ゲノムを含む複数のゲノムを含むことができる。したがって、例えば、ゲノム核酸試料に存在する非標的核酸は、一般に、実質的に、有意に又は顕著に複製及び/又は増幅されない。例えば、プライマーセットのプライマー及び反応条件は、一般に、ゲノム核酸試料における非標的核酸が実質的に、有意に又は顕著に複製及び/又は増幅されないように選択することができる。
環状ゲノムの差動増幅は、定量的な表現で記載することができる。例えば、環状ゲノムを、非標的核酸及び/又は非標的ゲノムと比較して、少なくとも5倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、75倍、100倍、150倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、10000倍、20000倍、50000倍、100000倍、200000倍、500000倍、1000000倍、若しくは2000000倍、又はそれ以上増幅することができる。そのような差動増幅は、一般に、環状ゲノム内、並びに1つ以上の非標的核酸及び/又は非標的ゲノム内の選択された配列の相対的な増幅を測定することによって評価できる。そのような評価は、本明細書の他の部分に記載されている。
非標的ゲノムは、ゲノム核酸試料中にあることができる任意のゲノムでありうる。例えば、非標的ゲノムは、例えば、細菌ゲノム、ウイルスゲノム、微生物ゲノム、病原体ゲノム、真核生物ゲノム、植物ゲノム、動物ゲノム、脊椎動物ゲノム、魚類ゲノム、鳥類ゲノム、哺乳類ゲノム、齧歯類ゲノム、ネズミゲノム、ヒトゲノム、宿主ゲノム及び/又は非標的環状ゲノムであることができる。環状ゲノムは、非標的ゲノムの存在下にあることができる。例えば、オルガネラゲノムは、一般的にオルガネラがある細胞の細胞ゲノムに存在している。病原体ゲノムは、一般的に宿主細胞ゲノムの存在下にある。
目的の環状ゲノムを含有する又は含有すると疑われる任意の物質又は試料を、ゲノム核酸試料として使用することができる。例えば、ゲノム核酸試料は、血液試料、尿試料、精液試料、リンパ液試料、脳脊髄液試料、羊水試料、生検試料、針吸引生検試料、癌試料、腫瘍試料、組織試料、細胞試料、細胞溶解産物試料、粗細胞溶解産物試料、法医学試料、考古学試料、感染試料、院内感染試料、環境試料、又はこれらの組み合わせであることができる。
また開示されているものは、環状ゲノムの差動増幅用のプライマーセットを同定する方法である。そのような方法は、一般に、試験プライマーセットのために試験プライマーを選択すること、試験プライマーセット、DNAポリメラーゼ及びゲノム核酸試料を接触させること、ゲノム核酸試料を、ゲノム核酸試料における環状ゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすること、及び環状ゲノムと非標的核酸の相対的増幅を決定することを含むことができる。試験プライマーセットは、環状ゲノムが非標的核酸と比較して少なくとも10倍増幅される場合に同定される。一般に、各プライマーは、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離が、平均して、例えば、約200〜約20000個のヌクレオチド、又は約200〜約6000個のヌクレオチドであるように、目的の環状ゲノムのヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることができる。試験ゲノム核酸試料は、環状ゲノム及び非標的核酸を含む。環状ゲノムの複製は、ローリングサークル複製により進行する。一般に、環状ゲノムの複製を促進する条件は、熱サイクルを伴わない及び/又は実質的に恒温であることができる。
増幅の後、増幅配列を、増幅配列にとって既知及び確立された使用のような任意の目的で使用することができる。例えば、増幅配列を、蛍光標識の検出、酵素結合検出系、抗体仲介標識検出及び放射性標識の検出のような核酸の従来の検出系のいずれかを使用して検出することができる。標識化の好ましい形態は、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用する、複製鎖(すなわち、多重置換増幅で産生された鎖)の標識化が含まれる。複製鎖を、例えば、複製鎖の3′末端に、ビオチン化ヌクレオチド、蛍光ヌクレオチド、5メチルdCTP、BrdUTP又は5−(3−アミノアリル)−2′−デオキシウリジン5′−トリホスフェートのような修飾ヌクレオチドを付加することによって、標識することができる。RFLP系試験における法医学的物質の増幅は、開示されている方法の一つの有用な適用である。
ゲノム核酸試料に存在する非標的核酸は、開示されている方法において、一般に、実質的に、有意に及び/又は顕著に複製及び/又は増幅されない。本明細書で使用されるとき、核酸の実質的な複製又は増幅とは、核酸の量の50倍以上の増加を意味する。本明細書で使用されるとき、核酸の顕著な複製又は増幅とは、核酸の量の10倍以上の増加を意味する。本明細書で使用されるとき、核酸の有意な複製又は増幅とは、核酸の量の5倍以上の増加を意味する。
ローリングサークル増幅の際に組み込まれるヌクレオチドは、蛍光体、ハプテンなどのような、メチル基よりも大きい分子量を有するタグにより修飾されているdNTP、NTPであることができる。複製核酸へ直接組み込むためにそのように修飾されたヌクレオチドの多くが知られており、開示されている方法で使用することができる。
開示されている増幅は、一般に緩衝剤の存在下で実施される。緩衝剤は、環状ゲノムの複製を促進する溶液条件を提供することが必要な成分を含有する溶液であることができる。緩衝剤のpHは、例えば、5〜10、6〜10、又は7〜9であることができる。緩衝剤中に解離しているイオンが、反応産物の増加を助けることができる。緩衝剤は、Mg2+イオンを、0.1mM〜30mM、好ましくは0.1mM〜25mM、より好ましくは1mM〜20mM、最も好ましくは2mM〜15mMの濃度で含有することができる。緩衝剤は、NaCl又はKClのような一価塩を、0.1mM〜200mM、好ましくは1mM〜150mM、より好ましくは5mM〜125mM、最も好ましくは10mM〜100mMの濃度で含有することができる。緩衝剤は、(NH42SO4若しくはNH4Clのようアンモニア塩、又はスペルミン、スペルミジン、アミノ酸のようなポリアミンを含有することができる。例えば、緩衝剤は、トリス、pH8.5;10mMのMgCl2、50mMのKCl、20mMの(NH42SO4を含むことができる。
開示されている増幅は、環状ゲノムの複製を可能にする任意の適切な温度で実施することができる。例えば、反応温度は、例えば、20〜80℃、22℃〜70℃、25℃〜47℃、又は25℃〜42℃であることができる。一般に、環状ゲノムの複製を促進する条件は、熱サイクルを伴わない及び/又は実質的に恒温であることができる。増幅反応の間の温度は、実質的に恒温であることができる。本明細書で使用されるとき、実質的に恒温とは、初期及び/又は終了時の加熱及び冷却を除いて(例えば、そのような加熱及び冷却は、変性、ハイブリダイゼーション及び/又は酵素不活性化若しくは活性化に使用することができる)、反応温度が核酸の増幅の際に10%を越えて変化しないことを意味する。増幅は、増幅の際に25%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を越えて変化しない反応温度で実施することができる。増幅は、初期及び/又は終了時の加熱及び冷却を除いて、熱サイクルの不在下で実施することができる。したがって、例えば、増幅は、4未満、3未満又は2未満の有意な温度変化を伴って実施することができる。有意な温度変化は、10%を越える温度変化である。増幅は、増幅の際に25%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を越える反応温度の4未満、3未満又は2未満の変化を伴って実施することができる。
増幅混合物中の核酸の濃度は、例えば、300ng/μl以下、200ng/μl以下、150ng/μl以下、100ng/μl以下、95ng/μl以下、90ng/μl以下、85ng/μl以下、80ng/μl以下、75ng/μl以下、70ng/μl以下、65ng/μl以下、60ng/μl以下、55ng/μl以下、50ng/μl以下、45ng/μl以下、40ng/μl以下、35ng/μl以下、30ng/μl以下、25ng/μl以下、20ng/μl以下、15ng/μl以下、10ng/μl以下、9ng/μl以下、8ng/μl以下、7ng/μl以下、6ng/μl以下、5ng/μl以下、4ng/μl以下、3ng/μl以下、2ng/μl以下、1ng/μl以下、0.8ng/μl以下、0.6ng/μl以下、0.5ng/μl以下、0.4ng/μl以下、0.3ng/μl以下、0.2ng/μl以下、又は0.1ng/μl以下であることができる。
開示されている方法は、ローリングサークル増幅を含む。ローリングサークル増幅とは、環状核酸鋳型が環状鋳型の配列のタンデム反復により単一長鎖において複製される核酸増幅反応を意味する。この最初に直接産生されたタンデム反復鎖は、タンデム配列DNA(TS−DNA)と呼ばれ、その産生はローリングサークル複製を呼ばれる。ローリングサークル増幅とは、ローリングサークル複製と、ローリングサークル複製及び増幅の追加の形態の両方を伴うプロセスとを共に意味する。例えば、タンデム配列DNAを複製して、二次タンデム配列DNAと呼ばれる相補鎖を形成することができる。次に二次タンデム配列DNAを複製することなどができる。タンデム配列DNAを転写することもできる。最初のタンデム配列DNAのみの産生に関わるローリングサークル増幅(すなわち、ローリングサークル複製により産生された複製鎖)は、直線的ローリングサークル増幅と呼ぶことができる(ここで「直線的」とは、増幅の一般的な増幅動力学を意味する)。
A.増幅レベル
開示されている方法は、高レベルの増幅を生じることができる。例えば、開示されている方法は、10,000倍以上の増幅を生じることができる。倍増幅とは、増幅された鋳型の生成されたコピーの数を意味する例えば、1μgのDNAが1ngの鋳型から生成される場合、増幅のレベルは1,000倍である。開示されている方法は、例えば、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約11倍、約12倍、約14倍、約16倍、約20倍、約24倍、約30倍、約35倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1,000倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍、約10,000,000倍、又は約100,000,000倍の増幅を生じることができる。
開示されている方法は、例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも14倍、少なくとも16倍、少なくとも20倍、少なくとも24倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも250倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも100,000倍、少なくとも1,000,000倍、少なくとも10,000,000倍、又は少なくとも100,000,000倍の増幅を生じることができる。
B.プライマー選択
開示されている方法で使用されるプライマー及びプライマーセットは、特定の望ましい範囲に目的の環状ゲノムを差動増幅するその能力によって選択することができる。そのようなプライマー及びプライマーセットは、開示されている方法において特に有用である。全てのプライマーが選択されたプライマーであることができるか、又はプライマーの幾つかが選択されたプライマーであることができる。任意の有用な基準をプライマー選択に使用することができる。有用な基準には、非標的核酸と比較した環状ゲノムの相対的増幅、及び環状ゲノムの増幅レベルが挙げられる。所定の幾つかの選択基準(又は1つの選択基準)を満たしたプライマー及びプライマーセットは、本明細書において(選択基準における)選択プライマー及び選択プライマーセットと呼ばれる。所定の幾つかの選択基準(又は1つの選択基準)を満たさないプライマー及びプライマーセットは、本明細書において(選択基準における)非選択プライマー及び非選択プライマーセットと呼ばれる。選択及び非選択の両方のプライマーを、開示されている方法において一緒に使用することができるが、選択プライマーの使用が好ましい。
異なる選択基準を満たした選択プライマー及びプライマーセットを、開示されている方法において一緒に使用することができる。すなわち、所定の増幅反応で使用されるプライマー及びプライマーセットは、全て、同じ能力を有する必要がないか又は同じ基準を満たす必要がない。同様に、異なる選択基準を満たさなかった非選択プライマー及び非選択プライマーセットを、開示されている方法での使用に含める又は使用から除外することができる。すなわち、使用されない(又は使用される)プライマー及びプライマーセットは、同じ能力を欠如する必要がないか又は同じ基準を満たさない必要がない。1つの選択基準、複数の選択基準又は異なる選択基準の組み合わせを満たす選択プライマー及びプライマーセットを、同じ若しくは異なる選択基準、複数の選択基準又は同じ若しくは異なる選択基準の組み合わせを満たさない非選択プライマー及び非選択プライマーセットと共に使用することができる。
したがって、開示されている方法を、1つ以上の選択プライマー又はプライマーセットにより実施することができる。開示されている方法は、また、1つ以上の選択プライマー又はプライマーセットと、1つ以上の非選択プライマー又は非選択プライマーセットにより実施することができる。プライマー又はプライマーセットが、選択プライマー若しくはプライマーセット、又は非選択プライマー若しくはプライマーセットであるかは、1つの選択基準又は複数の選択基準についてプライマー又はプライマーセットを試験することによって決定することができる。したがって、例えばプライマー又はプライマーセットを開示されている方法の形態で試験することができる。そのような方法は、関連する特性を有する核酸試料のような目的の核酸試料を使用することができる。この目的に使用される核酸試料は、本明細書において選択核酸試料と呼ばれる。特に有用な選択核酸試料は、選択プライマーを増幅に使用するのと同じ種類の核酸試料ある。したがって、ヒト核酸試料を、ヒトミトコンドリアDNAを増幅するのに使用される選択プライマーの選択試料として使用することができる。
プライマー又はプライマーセットを、選択核酸試料における非標的核酸に対して、環状ゲノムの差動増幅の特定のレベル又は範囲を生じることに基づいて選択することができる。任意の増幅レベルを使用することができる。例えば、本明細書の他の部分で記載されている増幅レベルのいずれかを選択基準として使用することができる。選択プライマー又はプライマーセットは、例えば、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約11倍、約12倍、約14倍、約16倍、約20倍、約24倍、約30倍、約35倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約150倍、約200倍、約250倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1,000倍、約10,000倍、約100,000倍、約1,000,000倍、約10,000,000倍、又は約100,000,000倍の差動増幅を生じることができる。倍増幅とは、増幅された鋳型の生成されたコピーの数を意味する例えば、1μgのDNAが1ngの鋳型から生成される場合、増幅のレベルは1,000倍である。
選択プライマー又はプライマーセットは、例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも14倍、少なくとも16倍、少なくとも20倍、少なくとも24倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも250倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも100,000倍、少なくとも1,000,000倍、少なくとも10,000,000倍、又は少なくとも100,000,000倍の差動増幅を生じることができる。
C.核酸試料調製及び処理
増幅用の核酸は、多くの場合、細胞試料から得られる。これは、一般に(核酸を利用可能にするために)細胞の破壊を必要とし、増幅の前に核酸の精製を含むことができる。核酸の及び他の生体分子の分離を含むこともできる。DNAを分解できるヌクレアーゼのようなタンパク質因子の不活性化、又はDNA株に結合して、ポリメラーゼによるDNA合成の鋳型としてのそれらの使用を妨げることができるヒストンのような因子の不活性化を含むこともできる。核酸試料を汚染する生体分子を分解する酵素の使用を含むこともできる。これらの酵素は、プロテアーゼ(例えば、プロテアーゼK、トリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼ又は当業者が適切であると認める他の酵素)を含むことができる。これらの酵素は、ヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼ、エキソヌクレアーゼ)を含むことができる。これらの酵素は、dsDNAが目的の環状ゲノムである場合、一本鎖特異的ヌクレアーゼを含むことができる。これらの酵素は、多糖分解酵素(例えば、ヒアルロニダーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、セルロース)を含むことができる。これらの酵素はリパーゼ(例えば、...)を含むことができる。超音波処理、凍結融解サイクル、細胞壁の酵素消化、加熱、及び溶解条件(例えば、有機溶媒、カオトロピック塩、低張条件)への暴露のような、細胞を破壊して開けるために使用される多様な技術が存在する。一部の溶解条件は、非生理学的pH及び/又は溶媒の使用を伴う。多くの溶解技術は、例えばゲノムDNAの破壊を含む、細胞中の核酸の損傷をもたらす可能性がある。特に、細胞を溶解するための加熱の使用は、ゲノムDNAを損傷する可能性があり、ゲノムDNAの増幅産物の量及び質を低減する可能性がある。アルカリ溶解はゲノムDNAにより少ない損傷を起こしうること、したがって、より高い質の増幅結果をもたらしうることが、発見された。アルカリ溶解は、また、ヌクレアーゼ、ヒストンのようなタンパク質因子、又は試料中のDNAの増幅を妨げうる他の因子を不活性化させる。加えて、pHを低減することは、タンパク質因子を再活性化しないが、溶液のpHが中性範囲内に戻されると、そのようなタンパク質因子が不活性のままになることは、アルカリ溶解の有用な特性である。
開示されている幾つかの形態において、ゲノム試料は、細胞をアルカリ条件に暴露し、それによって細胞を溶解し、細胞溶解産物を得ること、細胞溶解産物のpHを低減して、細胞溶解産物のpHをDNA複製と適合させること、及び細胞溶解産物を、多重置換増幅による細胞のゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすることによって調製される。アルカリ条件は、pHが9.0を越える条件である。開示されている方法に特に有用なアルカリ条件は、pHが10.0を越える条件である。アルカリ条件は、例えば、相当数の細胞を溶解させるもの、有意な数の細胞を溶解させるもの、又は十分な数の細胞を溶解させるものであることができる。溶解細胞の数は、ゲノムが、開示されている方法において十分に増幅されうる場合に十分であると考えることができる。増幅は、十分な増幅産物が産生されて、配列の検出又は他の分析のような増幅産物のある種の使用を可能にする場合、十分である。pHの低減は、一般に、pH9.0〜pH6.0の中性範囲への低減である。
細胞は、細胞を溶解溶液と混合することによってアルカリ条件に暴露することができる。細胞と混合する溶解溶液の量は、相当数の細胞を溶解させる量、又は十分な数の細胞を溶解させる量であることができる。一般に、この容量は、細胞/溶解溶液混合物のpHの関数である。したがって、細胞と混合する溶解溶液の量は、一般に、細胞の容量及び溶解緩衝剤のアルカリ濃度から決定することができる。例えば、十分なアルカリ条件を作りだすために、より弱い塩基及び/又はより低い濃度の塩基を有する溶解溶液に必要な容量よりも、少ない容量の、より強い塩基及び/又はより高い濃度の塩基を有する溶解溶液が必要となる。溶解溶液を、細胞が(所望のアルカル条件を生じるために)等容量の溶解溶液と混合されるように配合することができる。
幾つかの実施態様において、溶解溶液は、水性塩基のような塩基を含むことができる。有用な塩基には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、アンモニア、アニリン、ベンジルアミン、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジフェニルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、メチルアミン、N−メチルアニリン、モルホリン、ピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、水酸化アルミニウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、及びDBU(1,8−ジアゾビシクロ〔5,4,0〕ウンデカ−7−エン)が挙げられる。溶解溶液の有用な配合には、400mMのKOHを含む溶解溶液、400mMのKOH、100mMのジチオトレイトール及び10mMのEDTAを含む溶解溶液、並びに400mMのKOH、100mMのジチオトレイトール及び10mMのEDTAからなる溶解溶液が挙げられる。
幾つかの実施態様において、溶解溶液は、複数の塩基性剤を含むことができる。本明細書で使用されるとき、塩基性剤は、アルカリ条件をもたらす化合物、組成物又は溶液である。幾つかの実施態様において、溶解溶液は緩衝剤を含むことができる。有用な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、「グッド」緩衝剤(例えば、BES、BICINE、CAPS、EPPS、HEPES、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES及びTRICINE)、カコジル酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸トリエチルアンモニウム、重炭酸トリエチルアンモニウム、トリス、ビス−トリス、及びビス−トリスプロパンが挙げられる。溶解溶液は、複数の緩衝作用物質を含むことができる。本明細書で使用されるとき、緩衝作用物質は、緩衝剤として作用する化合物、組成物又は溶液である。アルカリ性作用物質は、アルカリ条件をもたらす緩衝作用物質である。幾つかの実施態様において、溶解溶液は、1つ以上の塩基、塩基性剤、緩衝剤及び緩衝作用物質の組み合わせを含むことができる。
細胞溶解産物のpHを低減して、安定した細胞溶解産物を形成することができる。安定した細胞溶解産物は、pHが中性範囲(pH約6.0〜pH約90)の細胞溶解産物である。有用な安定化した細胞溶解産物は、細胞溶解産物において核酸の複製を可能にするpHを有する。例えば、安定化した細胞溶解産物のpHは、通常、DNAポリメラーゼが機能することができるpHである。細胞溶解産物のpHは、細胞溶解産物を安定化溶液と混合することによって、低減することができる。安定化溶液は、本明細書の他の部分で記載されているアルカリ条件に暴露された細胞溶解産物のpHを低減できる溶液を含む。
細胞溶解産物と混合する安定化溶液の量は、pHを中性範囲(又は他の望ましいpH値)に低減させる量であることができる。一般に、この容量は、細胞溶解産物/安定化溶液混合物のpHの関数である。したがって、細胞溶解産物と混合する安定化溶液の量は、一般に、細胞溶解産物の容量、そのpH及び緩衝能力、並びに安定化緩衝剤の酸性濃度により決定することができる。例えば、pHを十分に低減するために、より弱い酸及び/又はより低い濃度の酸を有する安定化溶液に必要な容量よりも、少ない容量の、より強い酸及び/又はより高い濃度の酸を有する安定化溶液が必要となる。安定化溶液を、細胞溶解産物が(所望のpHを生じるために)等容量の安定化溶液と混合されるように配合することができる。
幾つかの実施態様において、安定化溶液は酸を含むことができる。有用な酸には、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、アセチルサリチル酸、アスコルビン酸、炭酸、クエン酸、ギ酸、硝酸、過塩素酸、HF、HBr、HI、H2S、HCN、HSCN、HClO、モノクロロ酢酸 、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、及び任意のカルボン酸(直鎖又は分岐鎖カルボン酸の両方を含むエタン酸、プロパン酸、酪酸など)が挙げられる。幾つかの実施態様において、安定化溶液は緩衝剤を含むことができる。有用な緩衝剤には、トリス−HCl、HEPES、「グッド」緩衝剤(例えば、BES、BICINE、CAPS、EPPS、HEPES、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES及びTRICINE)、カコジル酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸トリエチルアンモニウム、重炭酸トリエチルアンモニウム、トリス、ビス−トリス、及びビス−トリスプロパンが挙げられる。安定化溶液の有用な配合には、800mMのトリス−HClを含む安定化溶液、800mMのトリス−HClをpH4.1で含む安定化溶液、及び800mMのトリス−HCl、pH4.1からなる安定化溶液が挙げられる。
幾つかの実施態様において、安定化溶液は、複数の酸性剤を含むことができる。本明細書で使用されるとき、酸性剤は、溶液に酸を形成する化合物、組成物又は溶液である。幾つかの実施態様において、安定化溶液は、複数の緩衝作用物質を含むことができる。酸性緩衝作用物質は、溶液に酸を形成する緩衝作用物質である。幾つかの実施態様において、安定化溶液は、1つ以上の酸、酸性剤、緩衝剤及び緩衝作用物質の組み合わせを含むことができる。
幾つかの実施態様において、細胞は熱により溶解しない。当業者は、異なる条件下で異なる細胞が異なる温度で溶解し、したがって、細胞が熱により溶解しない温度及び時間を決定できることを理解する。一般に、細胞は、使用されるアルカリ条件の不在下で実質的な細胞溶解を引き起こす温度及び時間を越えて加熱に付されない。本明細書で使用されるとき、実質的な細胞溶解とは、アルカリ条件に暴露された細胞の90%以上の溶解を意味する。有意な細胞溶解とは、アルカリ条件に暴露された細胞の50%以上の溶解を意味する。十分な細胞溶解とは、多重鎖置換増幅による複製産物の検出可能な量の合成を可能にするアルカリ条件に暴露された十分な細胞を意味する。一般に、開示されている方法に使用されるアルカリ条件は、十分な細胞溶解を引き起こすことしか必要ではない。有意又は実質的な細胞溶解を引き起こすことができるアルカリ条件は、この方法が実施される場合、有意又は実質的な細胞溶解をもたらす必要はないことが理解されるべきである。
幾つかの実施態様において、細胞は、細胞が増殖する温度を実質的に又は有意に超えて加熱に付されない。本明細書で使用されるとき、細胞が増殖する温度とは、標準温度、又は関与する細胞の種類が培養される異なる標準温度の最高温度を意味する。動物細胞の場合では、細胞が増殖する温度とは、動物の体温を意味する。他の実施態様において、細胞は、(ゲノムが複製される)増幅反応の温度を実質的に又は有意に超えて加熱に付されない。
幾つかの実施態様において、細胞溶解産物は、増幅反応の前に精製に付されない。開示されている方法の文脈において、精製とは、一般に、細胞溶解産物中の他の物質から核酸を分離することを意味する。多重置換増幅を、非精製又は部分的に精製された試料で実施できることが発見された。一般的に、増幅反応は、非精製核酸を使用して効率的に実施できないと考えられている。特に、PCRは汚染物質に対して非常に感受性がある。
精製の形態には、遠心分離、抽出、クロマトグラフィー、沈殿、濾過及び透析が挙げられる。部分的に精製された細胞溶解産物には、遠心分離、抽出、クロマトグラフィー、沈殿、濾過及び透析に付される細胞溶解産物が挙げられる。部分的に精製された細胞溶解産物には、一般に、核酸沈殿又は透析に付される細胞溶解産物は含まれない。本明細書で使用されるとき、他の物質からの核酸の分離とは、増幅される核酸が物質と異なる容器又は容器の中にあるような物理的分離を意味する。精製は、他の全ての物質から全ての核酸を分離することを必要としない。むしろ、必要であることは、他の一部の物質からの一部の核酸の分離である。核酸が増幅される文脈において本明細書で使用されるとき、精製とは、他の物質からの核酸の分離を意味する。細胞溶解産物の文脈において、精製は、細胞溶解産物における他の物質からの核酸の分離を意味する。本明細書で使用されるとき、部分精製とは、核酸が混合している他の物質の全てではなく一部からの核酸の分離を意味する。細胞溶解産物の文脈において、部分精製は、細胞溶解産物における他の物質の全てではなく一部からの核酸の分離を意味する。
文脈が特に明示しない限り、精製の欠如、1種類以上の精製、若しくは分離操作若しくは技術の欠如、又は精製、若しくは1種以上の精製、若しくは分離操作若しくは技術の除外に対する本明細書における参照は、細胞のアルカリ条件へ暴露(又はその結果)、細胞溶解産物のpHの低減(又はその結果)を包含しない。すなわち、開示されている方法のアルカリ条件及びpHの低減が「精製」又は「分離」と考えられる効果を生じる限り、そのような効果は、これらの用語が細胞溶解産物及び安定化された細胞溶解産物の処理及び操作の文脈で使用される場合、(文脈が特に明示しない限り)精製及び分離の定義から除外される。
本明細書で使用されるとき、実質的な精製とは、核酸が混合している他の物質の少なくとも実質的な部分からの核酸の分離を意味する。細胞溶解産物の文脈において、実質的な精製は、細胞溶解産物における他の物質の少なくとも実質的な部分からの核酸の分離を意味する。実質的な部分とは、関連する他の物質の90%を意味する。精製の特定のレベルは、精製率(例えば、95%精製及び70%精製)と呼ぶことができる。精製率とは、核酸が混合している他の物質の少なくとも所定の率での核酸の分離をもたらす精製を意味する。
増幅される核酸分子の変性は、増幅技術において一般的である。このことは、ゲノムDNAを増幅する場合では特にそうである。とりわけ、PCRは多重変性サイクルを使用する。変性は、一般に、核酸鎖をプライマーが利用可能にするために使用される。例えば、核酸分子、ゲノムDNAは、効率的な多重置換増幅のために変性される必要がない。変性工程及び変性条件の排除は、増幅産物における配列偏りの低減(すなわち、増幅偏りの低減)のような追加的な利点を有する。開示されている方法の好ましい形態において、核酸試料又は鋳型核酸は変性条件に付されない、及び/又は変性工程が使用されない。
開示されている方法の幾つかの形態において、核酸試料又は鋳型核酸は熱変性条件に付されない、及び/又は熱変性工程が使用されない。開示されている方法の幾つかの形態において、核酸試料又は鋳型核酸はアルカリ変性条件に付されない、及び/又はアルカリ変性工程が使用されない。試料調製(例えば、細胞溶解及び細胞抽出物の処理)が変性と考慮されうる条件(例えば、アルカリによる処理)を伴いうる場合、開示されている方法の幾つかの形態で排除された変性条件又は工程は、核酸鎖をプライマーが利用可能にするために意図され、使用される変性工程又は条件を意味することを理解するべきである。そのような変性は、一般的に熱変性であるが、化学変性のような他の形態の変性であることもできる。開示されている方法において、核酸試料又は鋳型核酸が変性条件に付されない場合は、鋳型鎖は(増幅が起こると)プライマーにより利用可能であることを理解するべきである。しかし、鋳型鎖は、試料又は鋳型核酸の一般的な変性により利用可能にはならない。
あるいは、核酸試料又は鋳型核酸を変性条件に付すことができる、及び/又は変性工程を使用することができる。開示されている方法の幾つかの形態において、核酸試料又は鋳型核酸を熱変性条件に付すことができる、及び/又は熱変性工程を使用することができる。開示されている方法の幾つかの形態において、核酸試料又は鋳型核酸をアルカリ変性条件に付すことができる、及び/又はアルカリ変性工程を使用することができる。
D.増幅産物の検出
増幅の産物は、任意の核酸検出技術を使用して検出することができる。リアルタイム検出では、増幅産物及び増幅の進展が増幅の際に検出される。リアルタイム検出は、通常、1つ以上、又は1つ若しくは組み合わせた蛍光変化プローブ及び蛍光変化プライマーを使用して達成される。他の検出技術を、単独で又はリアルタイム検出及び/若しくは蛍光変化プローブとプライマーを伴う検出を組み合わせて使用することができる。核酸を検出する多くの技術が知られている。増幅配列のヌクレオチド配列も、任意の適切な技術を使用して決定することができる。
E.変更及び追加の操作
1.増幅産物の検出
増幅産物を、例えば、下記に記載されている一次標識化又は二次標識化により直接検出することができる。
i.一次標識化
一次標識化は、鎖置換複製の際に、蛍光ヌクレオチド、ビオチン化ヌクレオチド、ジゴキシゲニン含有ヌクレオチド又はブロモデオキシウリジンのような標識部分を組み込むことから構成される。例えば、シアニン染料デオキシウリジン類似体(Yu et al., Nucleic Acids Res., 22:3226-3232 (1994))を、ヌクレオチド100個毎に4個の類似体の頻度で組み込むことができる。その場で増幅される核酸を検出する好ましい方法は、増幅の際にDNAをBrdUrdで標識し、続いて組み込まれたBrdUをビオチン化抗BrdU抗体(Zymed Labs, San Francisco, CA)と結合し、続いてビオチン部分をストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ(Life Sciences, Inc.)と結合し、最後にフルオレセイン−チラミド(DuPont de Nemours & Co., Medical Products Dept.)により蛍光を発生させることである。その場で増幅される核酸を検出する他の方法には、増幅に際に、DNAを5メチルサイトシンで標識し、続いて組み込まれた5−メチルサイトシンを抗体と結合すること(Sano et al., Biochim. Biophys. Acta 951:157-165 (1988))、又は増幅の際に、DNAをアミノアリル−デオキシウリジンで標識し、続いて組み込まれたアミノアリル−デオキシウリジンをOregon Green(登録商標)染料(Molecular Probes, Eugene, OR)と結合すること(Henegariu et al., Nature Biotechnology 18:345-348 (2000))が挙げられる。
増幅核酸を標識する別の方法は、増幅の際に5−(3−アミノアリル)−dUTP(AAdUTP)を核酸に組み込み、続いて組み込まれたヌクレオチドを化学標識することである。組み込まれた5−(3−アミノアリル)−デオキシウリジン(AAdU)を、アミン基と反応することができる反応性基を有する標識と結合することができる。AAdUTPを、Langer et al. (1981). Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 78: 6633-37に従って調製することができる。他の修飾ヌクレオチドを類似の方法で使用することができる。すなわち、最小限の修飾を有する他の修飾ヌクレオチドを、複製の際に組み込み、組み込んだ後に標識することができる。
AAdUTPへの付加に適している標識の例は、放射性同位元素、蛍光分子、リン光性分子、酵素、抗体及びリガンドである。適切な蛍光標識の例には、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、クマリン、塩化ダンシル、ローダミン、アミノ−メチルクマリン(AMCA)、エオシン、エリトロシン、BODIPY(登録商標)、Cascade Blue(登録商標)、Oregon Green(登録商標)、ピレン、リサミン、キサンテン、アクリジン、オキサジン、フィコエリトリン、quantum dye(商標)のようなランタニドイオンの大環状キレート、チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロ二量体のような蛍光エネルギー移転染料、並びにシアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5及びCy7が挙げられる。他の特定の蛍光標識の例には、3−ヒドロキシピレン5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、酸性フクシン、アリザリンコンプレクソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン、アミノクマリン、ステアリン酸アントロイル、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7GLL、アタブリン、オーラミン、オーロホスフィン、オーロホスフィンG、BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンズアミド、ブランコホルFFG溶液、ブランコホルSV、Bodipy F1、ブリリアントスルホフラビンFF、カルシエンブルー、カルシウムグリーン、カルコフロールRW溶液、カルコフロールホワイト、カルコホールホワイトABT溶液、カルコホールスタンダード溶液、カルボスチリル、カスケードイエロー、カテコールアミン、キナクリン、コリホスフィンO、クマリン−ファロイジン、CY3.1 8、CY5.1 8、CY7、ダンス(1−ジメチルアミノナファリン5スルホン酸)、ダンサ(ジアミノナフチルスルホン酸)、ダンシルNH−CH3、ジアミノフェニルオキサジアゾール(DAO)、ジメチルアミノ−5−スルホン酸、ジピロメテンホウ素二フッ化物、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF、ドーパミン、エリトロシンITC、オイクリシン、FIF(ホルムアルデヒド誘導蛍光)、フラゾオレンジ、フルオ3、フルオレスカミン、フラ−2、ゲンアクリルブリリアントレッドB、ゲンアクリルブリリアントイエロー10GF、ゲンアクリルピンク3G、ゲンアクリルイエロー5GF、グルシュウ酸、グラニュラーブルー、ヘマトポルフィリン、インド−1、イントラホワイトCf液、ロイコホルPAF、ロイコホルSF、ロイコホルWS、リサミンローダミンB200(RD200)、ルシフェールイエローCH、ルシフェールイエローVS、マグダラレッド、マリーナブルー、マキシロンブリリアントフラビン10GFF、マキシロンブリリアントフラビン8GFF、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、ミトラマイシン、NBDアミン、ニトロベンゾオキサジドール、ノルアドレナリン、ヌクレアファーストレッド、ヌクレアイエロー、ナイロサンブリリアントフラビンE8G、オキサジアゾール、パシフィックブルー、パラローザニリン(ホイルゲン)、ホルウィットAR溶液、ホルウィットBKL、ホルウィットRev、ホルウィットRPA、ホスフィン3R、フタロシアニン、フィコエリトリンR、ポリアザインダセンポントクロムブルーブラック、ポルフィリン、プリムリン、プロシオンイエロー、ピロニン、ピロニンB、ピロザールブリリアントフラビン7GF、キナクリンマスタード、ローダミン123、ローダミン5GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB200、ローダミンBエキストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミンWT、セロトニン、セブロンブリリアントレッド2B、セブロンブリリアントレッド4G、セブロンブリリアントレッドB、セブロンオレンジ、セブロンイエローL、SITS(プリムリン)、SITS(スチルベンイソチオスルホン酸)、スチルベン、スナーフ1、スルホローダミンB Can C、スルホローダミンGエキストラ、テトラサイクリン、チアジンレッドR、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオフラビン5、チオライト、チオゾールオレンジ、チノポールCBS、トゥルーブルー、ウルトラライト、ウラニンB、ウビテックスSFC、キシレンオレンジ、及びXRITCが挙げられる。
好ましい蛍光標識は、フルオレセイン(5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ローダミン(5,6−テトラメチルローダミン)、並びにシアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5及びCy7である。これらの蛍光体の吸収及び発光のそれぞれの極大は、FITC(490nm;520nm)、Cy3(554nm;568nm)、Cy3.5(581nm;588nm)、Cy5(652nm:672nm)、Cy5.5(682nm;703nm)及びCy7(755nm;778nm)であり、したがって、同時検出を可能にする。フルオレセイン染料の他の例には、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2′,4′,1,4,−テトラクロロフルオレセイン(TET)、2′,4′,5′,7′,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2′,7′−ジメトキシ−4′,5′−ジクロロ−6−カルボキシローダミン(JOE)、2′−クロロ−5′−フルオロ−7′,8′−縮合フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(NED)及び2′−クロロ−7′−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)が挙げられる。蛍光標識は、Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ; Molecular Probes, Eugene, OR;及びResearch Organics, Cleveland, Ohioを含む、多様な商業供給者から得ることができる。
一次標識化の有用な形態は、増幅の際に蛍光変化プライマーを使用することである。蛍光変化プライマーは、プライマー及び増幅された核酸の形態又は構造の変化に基づいて蛍光強度又は波長の変化を示す。幹消光プライマーは、相補配列にハイブリダイズしない場合、蛍光標識と消光部分を、標識からの蛍光が消光するように近接させる幹構造(分子内幹構造又は分子間幹構造のいずれか)を形成するプライマーである。プライマーが相補配列に結合する場合、幹が分裂し、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。開示されている方法において、幹消光プライマーを、核酸合成用のプライマーとして使用することができ、したがって、合成又は増幅核酸に組み込むことができる。幹消光プライマーの例は、ペプチド核酸消光プライマー及びヘアピン消光プライマーである。
ペプチド核酸消光プライマーは、ペプチド核酸消光剤又はペプチド核酸フルオロと関連して、幹構造を形成するプライマーである。プライマーは、蛍光標識又は消光部分を含み、ペプチド核酸消光剤又はペプチド核酸フルオロのいずれかにそれぞれ関連している。このことは、蛍光標識を消光部分に近接して配置する。プライマーが複製される場合、ペプチド核酸は置換され、したがって、蛍光標識が蛍光シグナルを生じることを可能にする。
ヘアピン消光プライマーは、相補配列にハイブリダイズしていない場合、蛍光標識と消光部分を、標識からの蛍光を消光するように近接させる、ヘアピン構造(典型的にはループ)を形成するプライマーである。プライマーが相補配列に結合する場合、幹が分裂し、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。ヘアピン消光プライマーは、典型的には、核酸合成用のプライマーとして使用され、したがって、合成又は増幅核酸に組み込まれる。ヘアピン消光プライマーの例は、Amplifluorプライマー及びスコーピオンプライマーである。
切断活性化プライマーは、蛍光がプライマーの切断により増加するプライマーである。一般に、切断活性化プライマーは、複製鎖に組み込まれ、次に後に切断される。切断活性化プライマーは、蛍光標識及び消光部分を、標識からの蛍光が消光するように近接して含むことができる。プライマーが、(典型的には、増幅の際にポリメラーゼの5′−3′エキソヌクレアーゼ活性により)せん断又は消化される場合、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。Little et al., Clin. Chem. 45:777-784 (1999)は、切断活性化プライマーの使用を記載する。切断活性化プライマーの使用は、開示されている方法では好ましくない。
ii.検出プローブによる二次標識化
二次標識化は、増幅された核酸を検出するために、検出プローブと呼ばれる適切な分子プローブを使用することから構成される。例えば、プライマーを、その非相補性部分に、検出タグと呼ばれる既知の任意配列を含むように設計することができる。二次ハイブリダイゼーション工程を使用して、検出プローブをこれらの検出タグに結合することができる。検出プローブを、例えば酵素、蛍光部分又は放射線同位元素により、上記で記載されたように標識することができる。プライマー1個あたり3個の検出タグ、及び各検出プローブあたり4個の蛍光部分を使用することにより、複製された鎖毎に合計12個の蛍光シグナルを得ることができる。検出プローブは、通常のワトソン・クリック塩基対合(若しくは関連する代替物)を介するハイブリダイゼーション若しくはアニーリングにより相互作用することができるか、又は二本鎖標的と相互作用して三重らせん体を形成することができる。そのような三重形成検出プローブを、蛍光変化プローブの形態のような他の検出プローブと同じ方法で使用することができる。
二次標識化の有用な形態は、増幅での又は増幅後の蛍光変化プローブ及びプライマーの使用である。ヘアピン消光プローブは、標的配列に結合していない場合、蛍光標識と消光部分を、標識からの蛍光を消光するように近接させるヘアピン構造(典型的にはループ)を形成するプローブである。プローブが標的配列に結合する場合、幹が分裂し、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。ヘアピン消光プローブの例は、分子ビーコン、蛍光三重オリゴ及びQPNAプローブである。
切断活性化プローブは、蛍光がプローブの切断により増加するプローブである。切断活性化プローブは、蛍光標識及び消光部分を、標識からの蛍光が消光するように近接して含むことができる。プローブが、(典型的には、増幅の間又はその後でポリメラーゼの5′−3′エキソヌクレアーゼ活性により)せん断又は消化される場合、消光部分は、もはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。TaqManプローブは、開裂活性化プローブの例である。
切断消光プローブは、蛍光がプローブの切断により減少又は変化するプローブである。切断消光プローブは、アクセプター蛍光標識及びドナー部分を、アクセプターとドナーが近接している場合、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー移転がアクセプターを蛍光させるように含むことができる。したがって、プローブは、標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光する。プローブが、(典型的には、増幅の間又は後でポリメラーゼの5′−3′エキソヌクレアーゼ活性により)せん断又は消化される場合、ドナー部分は、もはやアクセプター蛍光標識と近接しておらず、アクセプターからの蛍光が減少する。ドナー部分がそれ自体蛍光標識である場合、アクセプターに近接していない場合、蛍光として(典型的には、アクセプターの蛍光と異なる波長で)エネルギーを放出することができる。全体的な効果は、アクセプター蛍光の減少及びドナー蛍光の増加である。切断消光プローブの場合、ドナー蛍光は、切断活性化プローブにより生成された蛍光と同等であり、アクセプターが消光部分であり、ドナーが蛍光標識である。切断可能なFRET(蛍光共鳴エネルギー移転)プローブは、切断消光プローブの例である。
蛍光活性化プローブは、蛍光がプローブと標的配列とのハイブリダイゼーションにより増加又は変化するプローブ又はプローブ対である。蛍光活性化プローブは、アクセプター蛍光標識及びドナー部分を、アクセプターとドナーが近接している場合(プローブが標的配列にハイブリダイズしている場合)、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー移転がアクセプターを蛍光させるように含むことができる。蛍光活性化プローブは、典型的には、アクセプターとドナーが近接するように、隣接配列にハイブリダイズするように設計されるプローブ対である。蛍光活性化プローブは、プローブが標的配列にハイブリダイズしていないとき、ドナーとアクセプターは近接していないが、プローブが標的配列にハイブリダイズしているとき、ドナーとアクセプターは近接しているようにドナーとアクセプターの両方を含む単一プローブであることもできる。これは、例えば、ドナーとアクセプターをプローブの対向する末端に配置し、プローブのそれぞれの末端に標的相補配列を配置することによって達成することでき、ここで標的相補配列は標的配列の隣接配列に相補的である。蛍光活性化プローブのドナー部分がそれ自体蛍光標識である場合、アクセプターと近接していないとき(すなわち、プローブが標的配列にハイブリダイズしていないとき)、蛍光として(典型的にはアクセプターの蛍光と異なる波長で)エネルギーを放出することができる。プローブが標的配列にハイブリダイズする場合、全体的な効果は、ドナー蛍光の低減及びアクセプター蛍光の増加である。FRETプローブは、蛍光活性化プローブの例である。幹消光プライマー(例えば、ペプチド核酸消光プライマー及びヘアピン消光プライマー)を二次標識として使用することができる。
iii.多重化及びハイブリダイゼーションアレイ検出
増幅された核酸の検出は、各セットが異なる標的配列を増幅するように設計されている、異なるプライマーセットを使用して多重化することができる。標的を見つけることができるこれらのプライマーのみが、増幅産物を生じる。所定の増幅された核酸を固体検出器の固定位置に捕捉する2つの代替案がある。第1は、プライマーの非相補性部分内で、特有のプライマーセットのそれぞれに特有のアドレスタグ配列を含めることである。所定のプライマーセットを使用して増幅された核酸は、特定のアドレスタグ配列に対応する配列を含む。第2の好ましい代替案は、標的配列に存在する配列をアドレスタグとして使用することである。開示されている方法は、例えば、異なる標的配列に向けられている異なる検出プローブのセットを使用して、容易に多重化することができる。異なる検出プローブを有する異なる蛍光標識の使用は、異なる標的配列の特定の検出を可能にする。
2.コンビナトリアルマルチカラーコーディング
多重検出の一つの形態は、異なる波長で蛍光発光するか又は異なって着色する標識の組み合わせの使用を含む。ハイブリダイゼーションプローブの検出用の蛍光の一つの利点は、同じ試料中で幾つかの標的を同時に可視化できることである。コンビナトリアル戦略を使用して、スペクトル分解性蛍光体の数よりも多くの標的を識別することができる。コンビナトリアル標識化は、プローブ蛍光が完全に不在(−)であるか又は単位量で存在する(+)ので、多重様式でプローブを標識する最も簡単な方法を提供し、したがって画像分析は自動化し易く、蛍光体の異なる光退色及び動力供給源の変化する励起スペクトルの作用のような、多数の実験人為産物が回避される。コンビナトリアル標識化を、蛍光変化プローブ及びプライマーと共に使用することができる。
標識の組み合わせは、異なる検出プローブを、ひいては、これらの検出プローブが関連する異なる標的分子を確認するコードを確立する。この標識化スキームは、コンビナトリアルコーディング(CMC)と呼ばれる。そのようなコーディングは、Speicher et al., Nature Genetics 12:368-375 (1996)により記載されている。CMCの使用は、米国特許第6,143,495号に記載されている。組み合わされるときに別個に検出されうる任意の数の標識を、コンビナトリアルマルチカラーコーディングに使用することができる。2、3、4、5又は6個の標識を組み合わせに使用することが好ましい。6個の標識を使用することが最も好ましい。使用される標識の数は、式:2N-1(式中、Nは標識の数である)に従って形成することができる独特の標識組み合わせの数を確立する。この式によると、2個の標識が3個の標識組み合わせを形成し、3個の標識が7の標識組み合わせを形成し、4個の標識が15個の標識組み合わせを形成し、5個の標識が31個の標識組み合わせを形成し、6個の標識が63個の標識組み合わせを形成する。
コンビナトリアルマルチカラーコーディングでは、異なる検出プローブの群がセットとして使用される。セットにおけるそれぞれの種類の検出プローブを、蛍光標識の特定かつ独特の組み合わせで標識する。多重標識に指定されたこれらの検出プローブでは、標識化は、各検出プローブ分子を必要な標識の全てにより標識化することによって達成することができる。あるいは、所定の種類の検出プローブのプールを、それぞれ、必要な標識の1つにより標識化することができる。プールを合わせることによって、検出プローブは、一群として、その種類の検出プローブに必要な標識の組み合わせを含む。各検出プローブが単一の標識で標識化される場合、標識組み合わせは、異なる検出タグと相補的な検出プローブのコード化組み合わせを有するプライマーを使用することによって、生成することもできる。このスキームにおいて、プライマーは、特定の標識コードに必要な標識の組み合わせを表す検出タグの組み合わせを含む。更なる例示が、米国特許第6,143,495号に記載されている。蛍光変化プローブが使用される場合、それぞれのプローブが単一標識を有する検出プローブのプールの使用が好ましい。
Speicherらは、蛍光体と、全ての可能な蛍光体対の間に高度の識別を与える空間間隔350〜700nmで空間を空ける対応する光学フィルタとのセットを記載する。コンビナトリアルマルチカラーコーディングに好ましいこの蛍光体セットは、4′−6−ジアミノ−2−フェニルインドール(DAP)、フルオレセイン(FITC)、並びにシアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5及びCy7から構成される。より少ない組み合わせを必要とする、この好ましいセットの任意のサブセットを使用することもできる。これらの蛍光体の吸収及び発光のそれぞれの極大は、DAPI(350nm;456nm)、FITC(490nm;520nm)、Cy3(554nm;568nm)、Cy3.5(581nm;588nm)、Cy5(652nm:672nm)、Cy5.5(682nm;703nm)及びCy7(755nm;778nm)である。こられの蛍光体の励起及び発光スペクトル、吸光係数、並びに量子収量は、Ernst et al., Cytometry 10:3-10 (1989), Mujumdar et al., Cytometry 10:11-19 (1989), Yu, Nucleic Acids Res. 22:3226-3232 (1994)及びWaggoner, Meth. Enzymology 246:362-373 (1995)に記載されている。これらの蛍光体は、全て75Wキセノンアークで励起することができる。
選択性を得るために、5〜16nmの範囲の帯域幅を有するフィルタが好ましい。シグナル識別を増加するため、蛍光体を、それらのスペクトル極大を遙かに超える波長で励起することも検出することもできる。発光帯域幅を可能な限り広くすることができる。冷却CCDカメラのような低雑音検出器では、励起帯域幅の制限は、得られる信号対雑音比にほとんど影響を与えない。好ましい蛍光体セットに使用される好ましいフィルタのリストは、Speicherらの表1に提示されている。アークランプにより発光された赤外線が検出器に到達するのを防ぐことが重要であり、CCDチップはこの領域において極めて感受性が高い。この目的において、適切なIR阻止フィルタを、CCD窓の直前の画像経路に挿入して、画像品質の損失を最小限にすることができる。次に画像分析ソフトウエアを使用して、蛍光ドッドの分光的特徴をカウントし、分析することができる。
i.酵素結合検出
標識化ヌクレオチドの組み込みにより標識された増幅核酸を、確立された酵素結合検出系により検出することができる。例えば、ビオチン−16−UTP(Roche Molecular Biochemicals)を使用してビオチンを組み込むことにより標識された増幅核酸を、以下のように検出することができる。核酸を、増幅核酸に存在する標的配列(又はその補体)に相補的な相補性DNAオリゴヌクレオチド(アドレスプローブ)とのハイブリダイゼーションにより、固体ガラス表面に固定化する。ハイブリダイゼーションの後、ガラススライドを洗浄し、アルカリホスファターゼ−ストレプトアビジン複合体(Tropix, Inc., Bedford, MA)と接触させる。この酵素−ストレプトアビジン複合体は、増幅された核酸のビオチン部分に結合する。このスライドを再び洗浄して、過剰酵素複合体を除去し、化学発光基質CSPD(Tropix, Inc.)を加え、ガラスカバースリップで覆う。次にスライドをBiorad Fluorimagerで画像化することができる。
3.環状ゲノム増幅産物の使用
開示されている方法を使用して産生される核酸を任意の目的に使用することができる。例えば、増幅された核酸を(配列決定により、例えばプローブ又はプライマーのハイブリダイゼーションを使用する任意の技術により)分析して、増幅された配列の特性又は特定の配列の存在若しくは不在を決定することができる。増幅された核酸を、アッセイ又は他の方法の試薬として使用することもできる。例えば、開示されている方法で産生された核酸を、固体基質に結合又は付着することができる。得られた固定核酸を、試料中の配列のプローブ又はインデックスとして使用することができる。開示されている方法で産生された核酸を、任意の適切な方法により固体基質に結合又は付着することができる。例えば、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用する鎖置換複製により産生された核酸の3′末端に修飾ヌクレオチドを付加し、修飾ヌクレオチドを固体基質又は支持体と反応させ、それによって核酸を固体基質又は支持体に付着することによって、多重鎖置換により生成された核酸を付着することができる。
開示されている方法で産生された核酸を、プローブ又はハイブリダイゼーションパートナーとして使用することもできる。例えば、目的の配列を開示されている方法で増幅して、プローブの準備済み供給源を提供することができる。複製鎖(開示されている方法で産生された)をハイブリダイゼーションプローブとして使用する前に切断することができる。例えば、複製鎖をDNAse Iで切断することができる。ハイブリダイゼーションプローブを、開示されている方法で産生された核酸の標識化に関して本明細書の他の部分で記載されているように標識することができる。
開示されている方法で産生された核酸を、1対又は1セットの試料の一方のみに存在する配列を同定するサブストラクティブハイブリダイゼーションに使用することもできる。例えば、異なる試料からの増幅cDNAをアニールすることができ、得られた二本鎖物質を一本鎖物質から分離することができる。非ハイブリダイズ配列は、一方の試料に発現しているが、他方には発現していない配列を示している。
特定の実施態様
開示されているものは、環状ゲノムを増幅する方法であって、プライマーセット、DNAポリメラーゼ及びゲノム核酸試料を接触させることであり、ゲノム核酸試料が環状ゲノムを含むことと、ゲノム核酸試料を、ゲノム核酸試料における環状ゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすることを含み、環状ゲノムの複製が、ローリングサークル複製により進行し、環状ゲノムの複製を促進する条件が、熱サイクルを伴わず、ゲノム核酸試料が、非標的核酸を更に含み、環状ゲノムが、非標的核酸と比較して少なくとも10倍増幅される方法である。
非標的核酸は、1つ以上の非標的核酸を含むことができ、環状ゲノムは、非標的核酸と比較して少なくとも10倍増幅される。環状ゲノムを、非標的核酸と比較して少なくとも50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍又は5000倍増幅することができる。非標的核酸は、細菌ゲノム、ウイルスゲノム、微生物ゲノム、病原体ゲノム、真核生物ゲノム、植物ゲノム、動物ゲノム、脊椎動物ゲノム、魚類ゲノム、鳥類ゲノム、哺乳類ゲノム、齧歯類ゲノム、ネズミゲノム、ヒトゲノム、宿主ゲノム、非標的環状ゲノム、又は組み合わせであることができる。環状ゲノムは、オルガネラゲノム、ミトコンドリアゲノム、葉緑体ゲノム、色素体ゲノム、細菌プラスミドゲノム、ウイルスゲノム、細菌ゲノム、微生物ゲノム、病原体ゲノム、又は組み合わせであることができる。環状ゲノムは、天然に生じるゲノムであることができる。環状ゲノムを、人工的に修飾することはできない。環状ゲノムは、人工的な核酸であることができない。環状ゲノムは、二本鎖又は一本鎖であることができる。環状ゲノムは、約3000〜約300000個のヌクレオチド、約4000〜約260000個のヌクレオチド、約5000〜約150000個のヌクレオチド、又は約5500〜約40000個のヌクレオチドの長さを有することができる。
プライマーは、それぞれ、特定のヌクレオチド配列を含むことができる。プライマーは、それぞれ、特定のヌクレオチド配列を有することができる。プライマーは、環状ゲノムの複製を促進する条件下で、環状ゲノムのヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズすることができる。プライマーは、それぞれ別個に、5個のヌクレオチド、6個のヌクレオチド、7個のヌクレオチド、8個のヌクレオチド、9個のヌクレオチド、10個のヌクレオチド、11個のヌクレオチド、12個のヌクレオチド、13個のヌクレオチド、14個のヌクレオチド、15個のヌクレオチド、16個のヌクレオチド、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド、19個のヌクレオチド、20個のヌクレオチド、21個のヌクレオチド、22個のヌクレオチド、23個のヌクレオチド、24個のヌクレオチド、25個のヌクレオチド、26個のヌクレオチド、27個のヌクレオチド、28個のヌクレオチド、29個のヌクレオチド、又は30個のヌクレオチドの長さを有することができる。
プライマーは、それぞれ別個に、6個未満のヌクレオチド、7個未満のヌクレオチド、8個未満のヌクレオチド、9個未満のヌクレオチド、10個未満のヌクレオチド、11個未満のヌクレオチド、12個未満のヌクレオチド、13個未満のヌクレオチド、14個未満のヌクレオチド、15個未満のヌクレオチド、16個未満のヌクレオチド、17個未満のヌクレオチド、18個未満のヌクレオチド、19個未満のヌクレオチド、20個未満のヌクレオチド、21個未満のヌクレオチド、22個未満のヌクレオチド、23個未満のヌクレオチド、24個未満のヌクレオチド、25個未満のヌクレオチド、26個未満のヌクレオチド、27個未満のヌクレオチド、28個未満のヌクレオチド、29個未満のヌクレオチド、30個未満のヌクレオチド、又は31個未満のヌクレオチドの長さを有することができる。
プライマーセットは、2個のプライマー、3個のプライマー、4個のプライマー、5個のプライマー、6個のプライマー、7個のプライマー、8個のプライマー、9個のプライマー、10個のプライマー、11個のプライマー、12個のプライマー、13個のプライマー、14個のプライマー、15個のプライマー、16個のプライマー、17個のプライマー、18個のプライマー、19個のプライマー、20個のプライマー、21個のプライマー、22個のプライマー、23個のプライマー、24個のプライマー、25個のプライマー、26個のプライマー、27個のプライマー、28個のプライマー、29プライマー、30プライマー、31個のプライマー、32個のプライマー、33個のプライマー、34個のプライマー、35個のプライマー、36個のプライマー、37個のプライマー、38個のプライマー、39個のプライマー、40個のプライマー、41個のプライマー、42個のプライマー、43個のプライマー、44個のプライマー、45個のプライマー、46個のプライマー、47個のプライマー、48個のプライマー、49個のプライマー、50個のプライマー、51個のプライマー、52個のプライマー、53個のプライマー、54個のプライマー、55個のプライマー、56個のプライマー、57個のプライマー、58個のプライマー、59個のプライマー、60個のプライマー、61個のプライマー、62個のプライマー、63個のプライマー、75個のプライマー、100個のプライマー、150個のプライマー、200個のプライマー、300個のプライマー、又は400個のプライマーを含むことができ、セットにおけるそれぞれのプライマーは、異なる特定のヌクレオチド配列を有する。
プライマーは、それぞれ、環状ゲノムのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有することができ、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離は、平均して、約200〜約20000個のヌクレオチド、約200〜約6000個のヌクレオチド、約300〜約5000個のヌクレオチド、又は約400〜約4000個のヌクレオチドである。プライマーは、それぞれ、環状ゲノムのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有することができ、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離は、約200〜約20000個のヌクレオチド、約200〜約6000個のヌクレオチド、約300〜約5000個のヌクレオチド、又は約400〜約4000個のヌクレオチドである。環状ゲノムは二本鎖であり、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの鎖の一方に相補的なヌクレオチド配列を有することができ、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの他方の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することができ、全てのプライマーは、環状ゲノムの鎖の一方に相補的なヌクレオチド配列を有することができるか、又は全てのプライマーは、環状ゲノムの他方の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有することができる。
環状ゲノムは一本鎖であり、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムと相補的なヌクレオチド配列を有し、1つ以上のプライマーは、環状ゲノムの配列とマッチするヌクレオチド配列を有し、ローリングサークル複製は、タンデム配列DNAの形成をもたらし、環状ゲノムの配列とマッチする配列を有する1つ以上のプライマーは、タンデム配列DNAの鎖置換複製を刺激し、タンデム配列DNAの複製は、二次タンデム配列DNAの形成をもたらす。
プライマーは、それぞれ別個に、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、標識ヌクレオチド、オリゴマー類似体、又は組み合わせを含むことができる。
ゲノム核酸試料は、血液試料、尿試料、精液試料、リンパ液試料、脳脊髄液試料、羊水試料、生検試料、針吸引生検試料、癌試料、腫瘍試料、組織試料、細胞試料、細胞溶解産物試料、粗細胞溶解産物試料、法医学試料、考古学試料、感染試料、院内感染試料、環境試料、又はこれらの組み合わせであることができる。
環状ゲノムの複製を促進する条件は、実質的に恒温であることができる。
また開示されているものは、環状ゲノムの差動増幅のためのプライマーセットを同定する方法であって、試験プライマーセットのために試験プライマーを選択することであり、各プライマーが、環状ゲノムのヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズすることができ、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離が、平均して、約200〜約20000個のヌクレオチド、約200〜約6000個のヌクレオチドであることと、試験プライマーセット、DNAポリメラーゼ及びゲノム核酸試料を接触させることであり、試験ゲノム核酸試料が、環状ゲノム及び非標的核酸を含むことと、ゲノム核酸試料を、ゲノム核酸試料における環状ゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすることであり、環状ゲノムの複製が、ローリングサークル複製により進行し、環状ゲノムの複製を促進する条件が、熱サイクルを伴わないことと、環状ゲノムと非標的核酸の相対的増幅を決定することであり、試験プライマーセットが、環状ゲノムが非標的核酸と比較して少なくとも10倍増幅される場合に同定されることを含む方法である。
実施例
A.ミトコンドリアゲノムの差動増幅
この実施例は、開示されている方法に従ったミトコンドリアDNAの増幅を記載する。核酸調製物を、適度な量のミトコンドリアDNAと多量の核酸DNAの両方を含有するヒト血液からQIAamp法(QIAGEN)により単離した。ミトコンドリアDNAに特異的に結合するプライマーを、本明細書に開示されている原則に従って選択した。10個のヌクレオチドの長さのプライマーを使用した増幅を、14個のヌクレオチドの長さのプライマーを使用した増幅と比較した。プライマー配列を表1に示す。ミトコンドリアDNAの各鎖における連続プライマー間の距離は、約4000個のヌクレオチドである。
Figure 0005809385
星印は、エキソヌクレアーゼ抵抗性ホスホロチオエート修飾を示す。
10ngのDNA(核及びミトコンドリアDNAを含む)を、プライマーを有する又は有さないREPLI-g緩衝剤(QIAGEN)に加えた。プライマーとの反応では、10個のヌクレオチドのプライマー8個又は14個のヌクレオチドのプライマー8個のいずれかを加えた。混合物を70℃で5分間加熱した。加熱した後、反応を氷で冷却し、Phi29 DNAポリメラーゼを加えた。増幅を、30℃で8時間実施した。得られた核酸を、PicoGreen Assay(Invitrogen)により定量化した。結果を図1に示す。10個のヌクレオチドのプライマーは、14個のヌクレオチドのプライマーよりも有意に大きな収量をもたらした。このことは予測されておらず、環状ゲノムのローリングサークル増幅において、より短いプライマーがより長いプライマーよりも熱力学的利点を有しうることを示す。より短いプライマーは、より高い特異性(より低いCT値により示されており、下記を参照すること)ばかりでなく、予想外にもより良好な増幅速度(図1)ももたらした。
核DNAに対するミトコンドリアDNAの差動増幅を、増幅反応からの10ngの増幅DNAを使用する又は10ngの非増幅供給源核酸を使用するリアルタイムPCRにより決定した。ミトコンドリアDNA及び核DNAの単一配列をこの評価に使用した。
Figure 0005809385
Figure 0005809385
結果を図2に示す。核及びミトコンドリア特異性マーカー間のCt値は、核DNAとミトコンドリアDNAの両方を含有するgDNA(=核酸試料)を使用する場合、非常に類似している。ミトコンドリアマーカーのCt値は、長さがヌクレオチド10個のミトコンドリアDNA特異性プライマーを使用したミトコンドリア特異的RCAを実施した後、約4サイクル減少する。対照的に、核マーカーのCt値は、ミトコンドリア特異的RCAの後、約4サイクル増加する。対照的に、長さがヌクレオチド14個のプライマーにより得られた結果は、ミトコンドリアDNAの高度に特異的な増幅をもたらさなかった。両方とも、核及びミトコンドリア特異性マーカーのCt値は増加した。このことは、非特異性DNAの増幅が生じたことを示した。非特異性DNAを、分子間プライマー凝集から出発して大型の人工DNA分子を形成することにより、プライマーの存在下で生成できることが、当該技術で記載されている。加えて、長さがヌクレオチド10個のプライマーと比較して長さがヌクレオチド14個のプライマーでより低い収量が観察された(図1を参照すること)。このことは、DNAポリメラーゼが、より長いプライマーではなくむしろより短いプライマーで伸展複合体を構築するのを好むことを示している。
開示されている発明は記載されている特定の方法論、プロトコール及び試薬に限定されず、これらは変わることができることが理解される。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施態様を記載する目的のみであり、添付の請求項によってのみ制限される本発明の範囲を制限することを意図しないことが理解されるべきである。
本明細書及び添付の請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈から明白に示されない限り、複数の参照を含むことに注意しなければならない。したがって、「宿主細胞」への参照は、複数個のそのような宿主細胞を含み、「抗体」への参照は、1つ以上の抗体及び当業者に知られているその同等物などへの参照である。
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、開示されている発明が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものに類似又は同等のあらゆる方法及び物質を、本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法、装置及び物質は記載されているとおりである。本明細書に引用される出版物及びそれらが引用されている資料は、特に参照として組み込まれる。本明細書において、先願発明によるそのような開示に先行して権利がないことを容認していると考慮されるものは何もない。
当業者は、日常的なものを越えない実験を使用して、本明細書に記載されている発明の特定の実施態様に対する多くの同等物を認める、又は確かめることができる。そのような同等物は、請求項に包含されることが意図される。
それぞれ10個のヌクレオチドの長さのプライマーセット又はそれぞれ14個のヌクレオチドの長さのプライマーセットのいずれかを使用するミトコンドリアDNAの増幅の収量のグラフである。 それぞれ10個のヌクレオチドの長さのプライマーセットを使用する開示されている方法に従って増幅したDNAの、それぞれ14個のヌクレオチドの長さのプライマーセットを使用する開示されている方法に従って増幅したDNAの、及び非増幅供給源DNAのリアルタイムPCRで得られたミトコンドリアDNA座位と核座位のCtのグラフである。

Claims (20)

  1. 環状ゲノムを増幅する方法であって、
    プライマーセット、DNAポリメラーゼ及びゲノム核酸試料を接触させることであり、ゲノム核酸試料が環状ゲノムを含むことと、ゲノム核酸試料を、ゲノム核酸試料における環状ゲノムの複製を促進する条件下でインキュベートすることであり、環状ゲノムの複製が、ローリングサークル複製により進行し、環状ゲノムの複製を促進する条件が、熱サイクルを伴わないことを含み、
    ゲノム核酸試料が、非標的核酸を更に含み、環状ゲノムが、非標的核酸と比較して少なくとも10倍増幅され、環状ゲノムの複製を促進する条件が、pH8.5から9のトリスバッファーの使用を含み、かつ実質的に恒温であり、プライマーが、環状ゲノム中のヌクレオチドに特異的であり、非標的核酸中のものとは特異的でない方法。
  2. 非標的核酸が、1つ以上の非標的核酸を含み、環状ゲノムが、非標的核酸と比較して少なくとも10倍増幅される、請求項1記載の方法。
  3. 環状ゲノムが、非標的核酸と比較して少なくとも50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍又は5000倍増幅される、請求項2記載の方法。
  4. 非標的核酸が、細菌ゲノム、ウイルスゲノム、微生物ゲノム、病原体ゲノム、真核生物ゲノム、植物ゲノム、動物ゲノム、脊椎動物ゲノム、魚類ゲノム、鳥類ゲノム、哺乳類ゲノム、齧歯類ゲノム、ネズミゲノム、ヒトゲノム、宿主ゲノム、非標的環状ゲノム、又は組み合わせである、請求項2又は3記載の方法。
  5. 環状ゲノムが、オルガネラゲノム、ミトコンドリアゲノム、葉緑体ゲノム、色素体ゲノム、細菌プラスミドゲノム、ウイルスゲノム、細菌ゲノム、微生物ゲノム、病原体ゲノム、又は組み合わせである、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 環状ゲノムが天然に生じるゲノムである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 環状ゲノムが人工的に修飾されていない、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 環状ゲノムが人工的な核酸ではない、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 環状ゲノムが二本鎖又は一本鎖である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 環状ゲノムが、3000〜300000個のヌクレオチド、4000〜260000個のヌクレオチド、5000〜150000個のヌクレオチド、又は5500〜40000個のヌクレオチドの長さを有する、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. プライマーが、環状ゲノムの複製を促進する条件下で、環状ゲノムのヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズすることができる、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. プライマーが、それぞれ別個に、10個のヌクレオチド、11個のヌクレオチド、12個のヌクレオチド、13個のヌクレオチド、14個のヌクレオチド、15個のヌクレオチド、16個のヌクレオチド、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド、19個のヌクレオチド、20個のヌクレオチド、21個のヌクレオチド、22個のヌクレオチド、23個のヌクレオチド、24個のヌクレオチド、25個のヌクレオチド、26個のヌクレオチド、27個のヌクレオチド、28個のヌクレオチド、29個のヌクレオチド、又は30個のヌクレオチドの長さを有する、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. プライマーセットが、2個のプライマー、3個のプライマー、4個のプライマー、5個のプライマー、6個のプライマー、7個のプライマー、8個のプライマー、9個のプライマー、10個のプライマー、11個のプライマー、12個のプライマー、13個のプライマー、14個のプライマー、15個のプライマー、16個のプライマー、17個のプライマー、18個のプライマー、19個のプライマー、20個のプライマー、21個のプライマー、22個のプライマー、23個のプライマー、24個のプライマー、25個のプライマー、26個のプライマー、27個のプライマー、28個のプライマー、29プライマー、30プライマー、31個のプライマー、32個のプライマー、33個のプライマー、34個のプライマー、35個のプライマー、36個のプライマー、37個のプライマー、38個のプライマー、39個のプライマー、40個のプライマー、41個のプライマー、42個のプライマー、43個のプライマー、44個のプライマー、45個のプライマー、46個のプライマー、47個のプライマー、48個のプライマー、49個のプライマー、50個のプライマー、51個のプライマー、52個のプライマー、53個のプライマー、54個のプライマー、55個のプライマー、56個のプライマー、57個のプライマー、58個のプライマー、59個のプライマー、60個のプライマー、61個のプライマー、62個のプライマー、63個のプライマー、75個のプライマー、100個のプライマー、150個のプライマー、200個のプライマー、300個のプライマー、400個のプライマーを含み、セットにおけるそれぞれのプライマーが、異なる特定のヌクレオチド配列を有する、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. プライマーが、それぞれ、環状ゲノムのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有し、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離が、平均して、200〜20000個のヌクレオチド、200〜6000個のヌクレオチド、300〜5000個のヌクレオチド、又は400〜4000個のヌクレオチドである、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. プライマーが、それぞれ、環状ゲノムのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有し、環状ゲノムの同じ鎖にハイブリダイズしている連続プライマー間の距離が、200〜20000個のヌクレオチド、200〜6000個のヌクレオチド、300〜5000個のヌクレオチド、又は400〜4000個のヌクレオチドである、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 環状ゲノムが二本鎖であり、1つ以上のプライマーが、環状ゲノムの鎖の一方に相補的なヌクレオチド配列を有し、及び1つ以上のプライマーが、環状ゲノムの他方の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有し、全てのプライマーが、環状ゲノムの鎖の一方に相補的なヌクレオチド配列を有するか、又は全てのプライマーが、環状ゲノムの他方の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有する、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 環状ゲノムが一本鎖であり、1つ以上のプライマーが、環状ゲノムと相補的なヌクレオチド配列を有し、1つ以上のプライマーが、環状ゲノムの配列とマッチするヌクレオチド配列を有し、ローリングサークル複製が、タンデム配列DNAの形成をもたらし、環状ゲノムの配列とマッチするヌクレオチド配列を有する1つ以上のプライマーが、タンデム配列DNAの鎖置換複製を刺激し、タンデム配列DNAの複製が、二次タンデム配列DNAの形成をもたらす、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
  18. プライマーが、それぞれ別個に、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、標識ヌクレオチド、オリゴマー類似体、又は組み合わせを含む、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. ゲノム核酸試料が、血液試料、尿試料、精液試料、リンパ液試料、脳脊髄液試料、羊水試料、生検試料、針吸引生検試料、癌試料、腫瘍試料、組織試料、細胞試料、細胞溶解産物試料、粗細胞溶解産物試料、法医学試料、考古学試料、感染試料、院内感染試料、環境試料、又はこれらの組み合わせである、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. DNAポリメラーゼが、ファイ29DNAポリメラーゼである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
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