JP2006508924A - 細菌毒素を結合する因子 - Google Patents
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Abstract
志賀毒素およびコレラ毒素のような細菌毒素を中和するための方法が開示される。特定の態様において、ホップ(Humulus lupulus)から得られた治療的有効量のホップ苞葉タンニンを投与することによって、Stx産生生物によって引き起こされる感染に罹災している被験体を処置するための方法が提供される。Stx分子を結合するポリフェノール化合物を単離するための方法、および生物学的試料中のStx分子の存在を検出するための方法も提供される。開示された態様において、志賀毒素産生大腸菌株で感染した被験体は、ホップ苞葉抽出物の高分子量画分を被験体に腸内投与することによって処置される。
Description
優先権主張
本発明は、2002年9月10日に出願された米国仮出願第60/409,742号の利益を要求し、その全体が参照として組み入れられる。
本発明は、2002年9月10日に出願された米国仮出願第60/409,742号の利益を要求し、その全体が参照として組み入れられる。
技術分野
本発明は、細菌感染およびそれらの症状の診断および処置に関する。より詳細には、本発明は、志賀毒素のような細菌毒素を中和するためのホップ苞葉に由来する組成物の使用に関する。
本発明は、細菌感染およびそれらの症状の診断および処置に関する。より詳細には、本発明は、志賀毒素のような細菌毒素を中和するためのホップ苞葉に由来する組成物の使用に関する。
背景
細菌感染によって引き起こされる多数の腸疾患において、生物によって産生された毒素が臨床的な提示の原因であるように思われる。従って、生物の毒素産物に対するワクチン接種は、疾患の予防のために十分であり得る。例えば、破傷風、ジフテリア、および百日咳については、免疫化は感染の明白な徴候を予防する。しかし、コレラや特定の大腸菌感染のような腸疾患については、症状は多くは腸の細胞に対する毒素の効果からの生じるので、免疫化は効果的ではない。
細菌感染によって引き起こされる多数の腸疾患において、生物によって産生された毒素が臨床的な提示の原因であるように思われる。従って、生物の毒素産物に対するワクチン接種は、疾患の予防のために十分であり得る。例えば、破傷風、ジフテリア、および百日咳については、免疫化は感染の明白な徴候を予防する。しかし、コレラや特定の大腸菌感染のような腸疾患については、症状は多くは腸の細胞に対する毒素の効果からの生じるので、免疫化は効果的ではない。
強力な疫学的証拠が、志賀毒素-1(Stx1)産生大腸菌株(STEC)の、出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群(HUS)、および脳障害の発生との関連を支持する。Stx1は、STECによって引き起こされる疾患における優勢な毒性因子である。一般的に、抗生物質がSTEC感染のために使用される。しかし、抗生物質投与後、大腸菌 O157:H7のようなSTECは、しばしば、莫大な量のStx1を産生し、臨床的状態の悪化に導く。さらに、抗生物質は多くの患者の生命を救ってきたが、それらの投与は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびバンコマイシン耐性腸内細菌(VRE)のような新規な薬物耐性細菌を生じてきており、いくつかの状態は治療不可能なままである。
Stx1の生物学的活性は十分に特徴付けされている。これは、Vero細胞およびHeLa細胞の特定の株について細胞毒性であり、マウスおよび他の小さな齧歯類に対して致死的であり、かつ腸毒性であり、ウサギ回腸ループアッセイにおいて液体の蓄積を生じる。Stx1は2種のサブユニット、1つのAサブユニットおよび5つのBサブユニットからなる。Aサブユニット(StxA)は、そのRNA N-グリコシダーゼ活性を通して真核生物細胞におけるタンパク質合成をブロックする33kDa酵素である。StxAは28SリボソームRNA[ウサギ網状赤血球における60Sリボソームサブユニット]の5'末端から4,324位のアデノシンのNグリコシド結合を切断する。Stx1 Bサブユニット(Stx2)は細胞表面上のGb3グロボトリアオシルセラミド(globotriaosylceramide)に結合し、細胞質ゾルへのStxA転位を容易にする。最近の報告は、Gb3へのStxBの結合を阻害する物質を記載しているが、StxA酵素活性の効果的な阻害因子は以前に同定されていなかった。
概要
エンテロトキシン、例えば、志賀毒素およびコレラ毒素のような毒素への曝露によって引き起こされる状態に罹患している被験体を処置するための方法が記載される。開示される方法は、病原性細菌毒素を中和するためにホップ(Humulus luplus(ホップ))の苞葉の抽出物のポリフェノール成分、またはその抽出物の画分を腸内投与する工程、例えば、腔内投与する工程を含む。抗生物質と組み合わせたホップ成分の投与は、腸出血性疾患の抗生物質的処置に付随する毒素産生の増加の効果を減少させる。細菌毒素を結合するフェノール性化合物を単離するための方法および装置、ならびに生物学的試料中の細菌毒素の存在を検出するための方法および装置も開示される。開示された方法および装置のいずれかにおいて使用され得るホップ苞葉タンニン(hop bract tannin)の画分、サブ画分、および成分も開示される。
エンテロトキシン、例えば、志賀毒素およびコレラ毒素のような毒素への曝露によって引き起こされる状態に罹患している被験体を処置するための方法が記載される。開示される方法は、病原性細菌毒素を中和するためにホップ(Humulus luplus(ホップ))の苞葉の抽出物のポリフェノール成分、またはその抽出物の画分を腸内投与する工程、例えば、腔内投与する工程を含む。抗生物質と組み合わせたホップ成分の投与は、腸出血性疾患の抗生物質的処置に付随する毒素産生の増加の効果を減少させる。細菌毒素を結合するフェノール性化合物を単離するための方法および装置、ならびに生物学的試料中の細菌毒素の存在を検出するための方法および装置も開示される。開示された方法および装置のいずれかにおいて使用され得るホップ苞葉タンニン(hop bract tannin)の画分、サブ画分、および成分も開示される。
前述のおよび他の特徴および利点は、付随する図面の参照を続ける、いくつかの態様の以下の詳細な説明からより明らかとなる。
詳細な説明
I. 略語
HBT(HBE-HMW)-ホップ苞葉タンニン[ホップ苞葉抽出物、高分子量画分(MW>5kDa)またはポリフェノール成分もしくはそのサブ画分]。
Stx-志賀毒素、ベロ毒素、または志賀毒素様毒素としても知られる。
Stx1-志賀毒素1。
Stx2-志賀毒素2。
StxA-志賀毒素の触媒Aサブユニット。
StxB-志賀毒素の膜結合Bサブユニット。
HBE-ポリフェノール化合物を含むホップ苞葉の抽出物。
HBE-LMW-ホップ苞葉抽出物、低分子量画分。
STEC-志賀毒素産生大腸菌。
I. 略語
HBT(HBE-HMW)-ホップ苞葉タンニン[ホップ苞葉抽出物、高分子量画分(MW>5kDa)またはポリフェノール成分もしくはそのサブ画分]。
Stx-志賀毒素、ベロ毒素、または志賀毒素様毒素としても知られる。
Stx1-志賀毒素1。
Stx2-志賀毒素2。
StxA-志賀毒素の触媒Aサブユニット。
StxB-志賀毒素の膜結合Bサブユニット。
HBE-ポリフェノール化合物を含むホップ苞葉の抽出物。
HBE-LMW-ホップ苞葉抽出物、低分子量画分。
STEC-志賀毒素産生大腸菌。
II. 用語
他に説明しない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学における一般的な用語の定義は、
において見い出され得る。
他に説明しない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学における一般的な用語の定義は、
において見い出され得る。
本発明の種々の態様の概観を容易にするために、以下の特定の用語の説明が提供される。
「腸内」および「腸内に」という用語は、胃腸管を指すのに対して、「腔内」および「腔内に」という用語は、腸(小腸および/または大腸)を特異的に指す。「腸内投与」という用語は、胃腸管の少なくとも一部への薬剤の送達を指す。例えば、腸内投与には、非限定的に、腸管を通しての投与(例えば、胃腸管を通して導入された内視鏡またはプラスチックチューブを通して)、または経口処方物(例えば、錠剤または液体)におけるものが含まれる。「治療診断的(theranostic)」という用語は、診断的成分と治療的成分の両方を有する処置を指す。治療診断的とは、例えば薬剤を用いる治療を指してもよく、ここでこの薬剤は、どの特定の薬剤が最も有効な処置を提供することが予想されるかを示すように設計された、診断試験の結果に基づいて選択される。「外毒素」という用語は、微生物によって産生される毒素を指し、「エンテロトキシン」という用語は、腸細胞に対して毒性を示す毒素を指す。
単数形の用語(「a」、「an」、および「the」)は、文脈が明確に他を示さない限りは、複数形の言及を含む。同様に、「または(もしくは、あるいは)」という語句は、文脈が明確に他を示さない限りは、「および(ならびに)」を含むことが意図される。すべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量(molecular weightまたはmolecular mass)の値は、核酸またはポリペプチドのために概算で与えられ、および記載のために提供されることがさらに理解される。本明細書中に記載されるものと同様のまたは等価な方法および物質が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および物質が以下に記載される。「含む(comprise)」という用語は「含有する(include)」を意味する。
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照として組み入れられる。コンフリクトの場合には、用語の説明を含む本明細書が管理する。さらに、物質、方法、および実施例は例示のみであり、限定することを意図しない。種々の態様が以下の非限定的な実施例によって例証される。
III. 実施例
ホップ苞葉タンニン(HBT)は、コレラ毒素、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン、およびStxのような毒素分子を特異的に結合し、毒素産生細菌によって引き起こされる感染に罹患している被験体を処置するための方法を可能にする。これらの方法には、治療的有効量のホップ苞葉タンニンを被験体に投与する工程が含まれる。HBTの投与には、毒素産生生物の少なくとも一部を殺傷することができる治療的有効量の抗生物質の投与が伴っても良い。HBTは、毒素の作用をブロックするために、腸内投与(例えば、腔内投与)され得る。腸内投与には、腸管を通しての投与(例えば、胃腸管を通して導入された内視鏡またはプラスチックチューブを通して)、または経口処方物(例えば、錠剤または液体)におけるものが含まれるがこれらに限定されない。経口処方物は、腸で溶解するように設計され得る。特定の例において、経口処方物は、胃腸管の標的領域(例えば腸、例えば小腸または大腸)において溶解するように腸溶コーティングされる。処置される感染は、それ自体重篤な下痢、出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、およびこれらの組み合わせとして臨床的に提示され得る。
ホップ苞葉タンニン(HBT)は、コレラ毒素、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン、およびStxのような毒素分子を特異的に結合し、毒素産生細菌によって引き起こされる感染に罹患している被験体を処置するための方法を可能にする。これらの方法には、治療的有効量のホップ苞葉タンニンを被験体に投与する工程が含まれる。HBTの投与には、毒素産生生物の少なくとも一部を殺傷することができる治療的有効量の抗生物質の投与が伴っても良い。HBTは、毒素の作用をブロックするために、腸内投与(例えば、腔内投与)され得る。腸内投与には、腸管を通しての投与(例えば、胃腸管を通して導入された内視鏡またはプラスチックチューブを通して)、または経口処方物(例えば、錠剤または液体)におけるものが含まれるがこれらに限定されない。経口処方物は、腸で溶解するように設計され得る。特定の例において、経口処方物は、胃腸管の標的領域(例えば腸、例えば小腸または大腸)において溶解するように腸溶コーティングされる。処置される感染は、それ自体重篤な下痢、出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、およびこれらの組み合わせとして臨床的に提示され得る。
HBTは、ホップ苞葉抽出物の高分子量画分(≧5kDa)、その特定の成分、またはそのサブ画分(例えば、ホップ苞葉抽出物の高分子量画分から得られ、かつ5kDaから30kDaの間の重量平均分子量によって記載される画分)であり得る。1つの態様において、HBTは、カテキンポリマー、または1つまたは複数のこのようなポリマーの混合物、例えば、10merから30merまでの群より選択されるポリカテキン、およびその混合物を含む。特定の態様において、ポリカテキンは下記式
を有してもよく、ここで、n=8から28までである。他の特定の態様において、ポリカテキンは下記式
を有してもよく、ここで、n=8から28までである。
を有してもよく、ここで、n=8から28までである。他の特定の態様において、ポリカテキンは下記式
を有してもよく、ここで、n=8から28までである。
なお他の特定の態様において、ポリカテキンはカテキンポリマーであってもよく、ここで、個々のカテキン分子間の連結は上記の2つの構造中に示される連結の任意の組み合わせである。例えば、ポリカテキンが30merである場合、1つの型の1から28連結までのいずれか、および他の型の28から1連結までのいずれかに存在し得る。
他の態様において、HBTは、5kDaから30kDaの間の重量平均分子量を有する画分のような、ホップ苞葉抽出物(HBE)から単離された高分子量画分を含む。
感染を引き起こすStx産生生物は、Stx1またはStx2産生生物であってもよい。特定の態様において、Stx産生生物は志賀毒素産生大腸菌(STEC)である。
Stx産生生物によって引き起こされた感染を有する被験体を処置する治療診断的方法も開示される。これらの方法において、Stx-産生生物によって産生される特定のStxに対するアフィニティーを有するHBTが選択され、次いで、感染の臨床的提示を緩和するための有効量で、被験体の腸内(例えば、腔内)に投与される。望ましくは、選択は、感染する生物によって産生される特定のStxに対して最も有効であるHBT画分またはHBTポリフェノールを同定するために使用される。
適切なHBTの選択は、感染生物によって産生される特定のStx(またはStxの組み合わせ)と誘導体化されたクロマトグラフィーマトリックスを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって達成され得る。あるいは、HBTを選択することは、単にホップ苞葉抽出物の高分子量画分を入手することによって、例えば5kDa以上の重量平均分子量を有する画分を選択することによって、達成される。Stxを最も効果的に結合するHBT画分は、例えば、大部分のStxを沈殿させる画分を決定すること(目視で、または電気泳動的に検出される)によってより正確に決定され得る。
Stxに対するアフィニティーを有する特定のホップ苞葉ポリフェノール化合物または画分は、バイオセンサーを使用したStxについてのそれらのアフィニティーを測定することによっても選択することができ、ここで、HBTポリフェノールまたはHBT画分は、バイオセンサーのバイオレセプター部分として働く。バイオレセプターとして働き得るポリフェノールには、ポリカテキン(例えば、10merと30merの間のポリカテキン)が含まれる。HBT画分は、5kDaから30kDaの間の重量平均分子量を有する画分であってもよい。望ましくは、バイオセンサーのバイオレセプターとして使用される場合に最大のシグナルを提供する画分または化合物が、被験体への投与のために選択される。
HBT/Stx相互作用の特異性も、生物学的試料をホップ苞葉タンニンと接触させること、およびStxとホップ苞葉タンニンとの間の高分子複合体を検出することによって、生物学的試料中のStxの存在を検出するための方法を可能にする。高分子複合体は、生物学的試料がHBTと接触される場合に、沈殿の形成を観察することによって検出され得る。複合体形成は、電気泳動によって、例えば試料中の高分子複合体の存在に付随する電気泳動パターンを観察することで検出できる。あるいは、HBTは、バイオセンサーのバイオレセプターとして働いてもよく、およびそのバイオセンサーは、試料中のStxの存在を検出するために使用されてもよい。バイオレセプターとしてのHBTおよびトランスデューサーを含むバイオセンサーも、提供される。
Stx結合ポリフェノールを単離および精製するための方法も提供される。例えば、ホップ(Humulus lupulus)から単離されたStx結合ポリフェノールを含む混合物を、化合物とStxとの間の高分子複合体を形成するためにStxと接触させてもよい。この高分子複合体は単離されてもよく、次いで、ポリフェノール化合物がこの高分子複合体から遊離され、Stxを結合するフェノール性化合物の精製された試料が入手できる。特定の態様において、Stxは活性化されたクロマトグラフィー用マトリックスまたはバイオセンサーに結合される。
Stxの吸入によって引き起こされる状態の予防的または曝露後処置のための方法も提供される。例えば、治療的有効量のHBTは、Stxの鼻吸入から被験体を保護するために被験体に鼻腔内投与されてもよい。
細菌の病原性を中和する開示された方法は、従来の治療的アプローチとは有意に異なる。例えば、O157:H7に対するワクチンは、O26およびO111のような他のSTEC血清型に対して有効ではない。しかし、Stx中和剤としてHBT(またはその成分)を利用する方法は、すべてのSTEC血清型によって引き起こされる疾患に対して有効である。HBTは、身体からのStxの腔内中和および除去による中毒を妨害するように働き得る。対照的に、現在利用可能なインヒビターは、身体における毒素を遊離するGb3へのStx結合をブロックするように働き、それゆえに、阻害因子の濃度が低下する際に損害を与えるために利用可能である。
HBTは、削減したコストで豊富な天然資源から得られてもよい。HBTはまた、吸収および循環系への進入の減少を示す。従ってHBTは、HBTの効果が消化器系に限定されているため、患者によって許容される可能性が高い。さらにHBTは、細菌増殖に効果を有しないので、これは、抗生物質または輸血のような他の治療的様式と組み合わせてもよい。HBTの存在下での生物の連続的増殖は、延長された感染からの免疫をもたらし得るが、中毒の臨床的徴候はHBTによって妨害される。
実施例1-ホップ苞葉タンニン(HBT)
ホップ(Humulus luplus L.)球果はビール中の周知の成分であるのに対して、ホップ苞葉は代表的には廃棄される。ホップ苞葉は、高度に縮合されたカテキン(ポリフェノール画分中約50%)が豊富である。ビール醸造の副産物として、これは豊富に利用可能である。高分子量画分中のホップ苞葉タンニン(HBT)化合物は、高度に縮合された(約10merから約30mer)カテキンを含む。ホップ苞葉タンニン(HBT)とは、ホップ苞葉抽出物の高分子量(≧5kDa)画分、そのポリフェノール成分、およびこのようなポリフェノール成分の混合物、例えば、1つまたは複数のこのような成分を含むホップ苞葉抽出物の高分子画分のサブ画分を指す。
ホップ(Humulus luplus L.)球果はビール中の周知の成分であるのに対して、ホップ苞葉は代表的には廃棄される。ホップ苞葉は、高度に縮合されたカテキン(ポリフェノール画分中約50%)が豊富である。ビール醸造の副産物として、これは豊富に利用可能である。高分子量画分中のホップ苞葉タンニン(HBT)化合物は、高度に縮合された(約10merから約30mer)カテキンを含む。ホップ苞葉タンニン(HBT)とは、ホップ苞葉抽出物の高分子量(≧5kDa)画分、そのポリフェノール成分、およびこのようなポリフェノール成分の混合物、例えば、1つまたは複数のこのような成分を含むホップ苞葉抽出物の高分子画分のサブ画分を指す。
以下の実施例において記載される実験のために使用されるホップ苞葉試料は、Tagashiraら(Tagashiraら、「Inhibition by hop bract polyphenols on cellular adherence and water-insoluble glucan synthesis of mutans streptococci」、Biosci. Biotech. Biochem. 61: 332-335, 1997)の方法によって調製された。手短に述べると、EtOH/H2O溶媒を、ホップ苞葉からポリフェノール成分を抽出するために使用した。ホップ苞葉からポリフェノール化合物を抽出する他の溶媒系(例えば、他のアルコール(例えば、メタノールまたはイソプロピルアルコール)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)、ケトン(例えば、メチルエチルケトン)、アセトニトリル、およびこれらの混合物を含む溶媒系)が、HBEを提供するために利用され得る。EtOH/H2O抽出物の13C-NMRスペクトルは、合成カテキンポリマーのそれと良好に一致した(Yonedaら、「Synthesis of high molecular mass condensed tannin by cationic polymerization of flavan 3,4-carbonate」、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1: 1025-1030, 1997を参照されたい)。
HBEの低分子量画分(HBE-LMW)および高分子量画分(HBT)を、5,000 MWカットオフフィルター(Amicon Ultra, Millipore, Bedford MA)を使用して限外ろ過によって分離した。高分子量画分のより低い分子量の限度は、フィルターカットオフの選択によって決定されてもよく、かつ約5kDaから30kDaの間の任意のところにあってもよい。高分子量画分のより高い分子量の限度は、代表的にはHBEそれ自体の成分の分子量の限度によって決定されるが、第2の、より高い分子量カットオフフィルターを用いての画分の限外ろ過によって低めることができ、得られるろ過物を高分子量画分として保持する。
分光分析によって、アルコール溶媒中のHBTの酸分解がシアニジンのみを産生し、没食子酸またはデルフィニジンは検出されなかった。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)実験は、HBTが6280の重量平均分子量(Mw)、2260の数平均分子量(Mn)、およびMw/Mn=2.8を有することを示した。TOF-MSスペクトルは、M/z=288(天然HBT)またはM/z=498(アセチル化HBT)で規則的な間隔のピークを示した。
画分に加えて、個々のHBTポリフェノール化合物またはその混合物がHBEから単離され得、および開示された方法においてHBTとして使用され得る。例えば、エンドトキシン誘導体化クロマトグラフィーマトリックス(実施例9を参照されたい)を使用するアフィニティークロマトグラフィーが利用されて、HBEの個々の成分を単離し得る。あるいは、HBTの個々の成分が、サイズ排除HPLC(例えば、Zorbax GF-250またはGF-450カラム、Mac-Mod Corp., Chadds Ford, PA)を使用して分離および精製され得る。
HBTポリフェノール化合物は、以下の化学式1または2によって記載することができ、ここで、n=8から28までである。さらに、化学式1および2に示される結合の任意の組み合わせを有するポリフェノール化合物が単離され得る(すなわち、式1のような4→8結合および式2のような4→6結合の混合物を有するポリフェノール化合物)。さらに、これらの構造における1つまたは複数のOH基が、エステル基および/またはエーテル基を形成するために誘導体化され得る。エステルには、カルボン酸エステル(例えば、酢酸エステルおよびプロピオン酸エステル)、リン酸エステル、および硫酸エステルが含まれるがこれらに限定されない。エーテル基には、アルコキシ基(例えば、メトキシ基およびエトキシ基)が含まれる。
あるいは、特定の分子量の範囲に含まれる化合物の画分を、ホップ苞葉抽出物から単離することができ(例えば、限外ろ過またはサイズ排除クロマトグラフィーによって)、および開示された方法において使用され得る。限外ろ過のために、分子量の範囲は、使用される膜の分子量カットオフに依存する。例えば、5kDa〜30kDa、5kDa〜10kDa、5kDa〜8kDa、8kDa〜30kDa、8kDa〜10kDa、および10kDa〜30kDaのような範囲の重量平均分子量を有する化合物を含む画分を、市販の限外ろ過膜(例えば、Millipore, Bedford MAおよびVivascience, Acton MA)を使用してHBEから単離することができる。サイズ排除クロマトグラフィーのために、それらがカラムから溶出するときに適切な画分を収集することは、いずれかの任意の分子量を有する画分を単離するために使用され得る。
実施例2-外毒素
本明細書中に開示されるHBT画分およびHBTポリフェノールは、志賀毒素およびコレラ毒素のようなエンテロトキシンを含む種々の外毒素を効果的に中和し得る。コレラ毒素は、例えばBurrows、「Cholera toxins」, Annu. Rev. Microbiol. 22: 245-268, 1968に記載され、およびコレラ毒素AおよびBを含む。
本明細書中に開示されるHBT画分およびHBTポリフェノールは、志賀毒素およびコレラ毒素のようなエンテロトキシンを含む種々の外毒素を効果的に中和し得る。コレラ毒素は、例えばBurrows、「Cholera toxins」, Annu. Rev. Microbiol. 22: 245-268, 1968に記載され、およびコレラ毒素AおよびBを含む。
本明細書中で使用される「志賀毒素」および「Stx」という用語は、HBTの投与によって中和され得る志賀毒素ファミリーにおける毒素を指す。志賀毒素ファミリーは、Stx1(ベロ毒素1:VT1または志賀毒素様毒素1:SLT1)およびStx2(VT2、SLT2)と呼ばれる2つの型の毒素を含み、これらの両方がバクテリオファージによってコードされている。Stx1は、I型志賀赤痢菌によって産生される志賀毒素に似ている。Stx2は異種である。これらの毒素は真核生物細胞中でのタンパク質合成を阻害し、そして出血性大腸炎および溶血性尿毒症症候群において役割を果たす。これらはまた、腎臓および脳の両方において内皮細胞を損傷することが見い出されており、腎不全および神経学的な合併症を引き起こす(例えば、Rileyら、New Engl. J. Med., 308: 681-685, 1983およびAshkenazi、Annu. Rev. Med. 44: 11-18, 1993を参照されたい)。
多くの変異型が存在するが、全てのStxがA-B構造を有し、ここで、AサブユニットはNグリコシダーゼ活性を有し、かつBサブユニットは、膜結合糖脂質グロボトリアオシルセラミドに結合する。AポリペプチドN-グリコシダーゼ活性は、60S細胞質リボソームの28S rRNAからアデニンを切断する。この活性は、28S rRNAが、伸長因子EF-1およびEF-2と相互作用することをできなくし、従ってタンパク質合成を阻害する。Bポリペプチドは、真核生物細胞レセプターグロボトリアオシルセラミド(Gb3)に結合するペンタマーを形成する。志賀毒素は、レセプター媒介エンドサイトーシスによって細胞に侵入する。Stx1とStx2の両方が、いくつかの異なる細胞型においてアポトーシスを誘導することが示されてきた。
Stxは、細胞レベルで多くの興味深い効果を有する。一旦これらの毒素がエンドサイトーシスされたならば、これらはゴルジ体を通して、これらがリボソームを効果的に標的化する場所である粗面小胞体まで、逆行性の様式で輸送される。タンパク質合成を阻害することに加えて、志賀毒素は、インターロイキン-1、インターロイキン-6、およびインターロイキン-8のようなサイトカインの産生を誘導する。これらはまた、腫瘍壊死因子(TNF)の発現を誘導すること、F-アクチンの脱重合を誘導すること、およびsrcファミリーキナーゼを活性化することが示されてきた。
Stx1は、O157:H7、89020097、およびO157:NM(非運動性)のようなStx産生大腸菌(STEC)によって引き起こされる腸出血性下痢における主要な毒性因子である。抗生物質の投与後、大腸菌 O157:H7は、しばしば、大量のStx1を放出し、症状のさらなる悪化を生じる。他のSTECには、血清型O26、O103、O111、O113、およびO157にある大腸菌が含まれる。Stx2も、STEC中に見い出される。例えば、Stx(2f)と命名された変異型は、大腸菌 O128において見い出される(Schmidtら、Appl. Environ. Microbiol., 66: 1205-08,2000を参照されたい)。
StxのHBT中和を実証するために使用されるStx1は、大腸菌 MC1061から、Miyakeら(Miyakeら、「Binding of avian ovomucoid to Shiga-like toxin type 1 and its utilization for receptor analog affinity chromatography」、Anal. Biochem. 281: 202-208, 2000)によって記載された方法に従って、ハト卵オボムコイドアフィニティーカラムクロマトグラフィーを使用して精製された。精製されたStxAは、Brigottiら(Brigottiら、「The RNA-N-glycosidase activity of Shiga-like toxin 1: Kinetic parameters of the native and activated toxin」、Toxicon 35: 1431-1437, 1997)の方法によって得られた。
実施例3-ホップ苞葉タンニンによるStx1のRNA N-グリコシダーゼ活性の阻害
本実施例は、ホップ苞葉タンニン(HBT)がStx1のRNA N-グリコシダーゼ活性を阻害することを実証する。RNA N-グリコシダーゼ活性は、MiyakeらおよびSargiacomoら(
を参照されたい)によって記載された方法に従って、無細胞ウサギ網状赤血球系中でアッセイされた。ウサギ網状赤血球溶解物は、雌ウサギ(New Zealand White, 3 kg, Japan SLC, Japan)から調製された。
本実施例は、ホップ苞葉タンニン(HBT)がStx1のRNA N-グリコシダーゼ活性を阻害することを実証する。RNA N-グリコシダーゼ活性は、MiyakeらおよびSargiacomoら(
を参照されたい)によって記載された方法に従って、無細胞ウサギ網状赤血球系中でアッセイされた。ウサギ網状赤血球溶解物は、雌ウサギ(New Zealand White, 3 kg, Japan SLC, Japan)から調製された。
PBS中に溶解されたウサギ網状赤血球溶解物および試料(Stx1/HBT)を4℃で混合した(合計50μl)。20μlの反応混合物の付加(以下に記載される)、および30℃で、示されるように0〜15分間のインキュベーションの後、1mlの10% TCAを加え、そして試料を、95℃のウォーターバス中で10分間煮沸した。沈殿をフィルター上で収集し、3mlの10% TCAで洗浄し、その後[14C]のラジオアッセイを行った。反応混合物を、36.6mlのウサギ網状赤血球溶解物から調製し、これは15mM HEPES(pH 7.5)、1mM ATP、0.2mM GTP、15mM ホスホクレアチン、150ug/ml クレアチンキナーゼ、2mM 酢酸マグネシウム、66mM KCl、6mM ジチオスレイトール、240ug/ml ヘミン、0.1mM 各19アミノ酸(ロイシンなし)、および6.8uCi/ml [14C] ロイシン(DuPont NEN Research Products, Boston, MA)を含んだ。
図1は、いくつかの異なるホップ苞葉試料が、どのように加えられたStx1またはStxAによって引き起こされたタンパク質合成の減少に影響を与えるを示す。カラムは、37℃のインキュベーションなし(斜行平行線、ネガティブ対照)、37℃、Stxなし(ドット、ポジティブ対照);およびStx1またはStxAのいずれかの存在下(垂直線)でのウサギ網状赤血球におけるタンパク質合成を示す。カラムの高さは、タンパク質合成による試料によって取り込まれた平均±SD[14C]放射活性(n=3)を示す。
ウサギ網状赤血球溶解物系において、天然供給源のホップ苞葉抽出物(HBE)は、用量依存的にStx1のRNA N-グリコシダーゼ活性を阻害した。HBEの付加は、Stx1の効果を相殺することによってタンパク質合成を増加させ、200μg/mlの濃度においては、Stx1なしで見られたのと同様のレベルまで、タンパク質合成を回復させた(図1a)。HBEの高分子量画分(HBT)単独も、Stx1活性の強力な阻害因子であり(図1b)、用量依存的にタンパク質合成を回復した。それとは反対に、低分子量画分(HBE-LMW)は、Stx1活性に対してほとんど阻害効果を有しなかった(図1c)。HBTは、Stx(図1b)および精製されたStxA(図1d)の両方を阻害し、このことは、HBTがStx1のA-サブユニットに直接結合することを示唆する。EDTAが全体的なタンパク質合成を阻害した場合に、HBTはフィルター上の放射能を増加しなかった(図1e)。このことは、HBTの存在下での増加(図1b、d)が、HBTによる[14C]ロイシンの非特異的捕捉によって引き起こされるのではないことを示す。
実施例4-HBTによるVero細胞に向けてのStx1の細胞毒性の阻害
本実施例は、HBTが腎細胞上のStx1の毒性効果を減少させるために有効であることを実証する。Vero細胞を、96ウェルマイクロタイタープレート中に播種し(ウェル当たり100μl中に2×104細胞)、10%胎仔ウシ血清(FBS, JRH Biosciences, Lenexa, KS)を含む最小必須培地(MEM, Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)中で、37℃で、5% CO2雰囲気中で増殖させた。コンフルエントな細胞単層をアッセイのために使用した。Vero細胞を、24ウェルマイクロタイタープレートの各ウェル中に約2×105細胞(1ml中)播種し、48時間培養した。プレートを氷上で10分間冷却し、次いで、培地を、0.9uCi/mlの[14C]ロイシンを含む0.5mlのMEM-10%FBSで置き換えた。Stx1および/またはHBTの付加(50μl中)後、プレートを37℃で40分間、ウォーターバス上でインキュベートした、タンパク質合成を、0.25mlの30% TCAの付加によって停止させた。細胞を1mlの10% TCAで3回洗浄し、0.25mlの0.5N KOH中で、37℃、10分間溶解した。この溶解物を0.25mlの0.5N酢酸で中和し、タンパク質合成を[14C]のラジオアッセイによって定量した。
本実施例は、HBTが腎細胞上のStx1の毒性効果を減少させるために有効であることを実証する。Vero細胞を、96ウェルマイクロタイタープレート中に播種し(ウェル当たり100μl中に2×104細胞)、10%胎仔ウシ血清(FBS, JRH Biosciences, Lenexa, KS)を含む最小必須培地(MEM, Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)中で、37℃で、5% CO2雰囲気中で増殖させた。コンフルエントな細胞単層をアッセイのために使用した。Vero細胞を、24ウェルマイクロタイタープレートの各ウェル中に約2×105細胞(1ml中)播種し、48時間培養した。プレートを氷上で10分間冷却し、次いで、培地を、0.9uCi/mlの[14C]ロイシンを含む0.5mlのMEM-10%FBSで置き換えた。Stx1および/またはHBTの付加(50μl中)後、プレートを37℃で40分間、ウォーターバス上でインキュベートした、タンパク質合成を、0.25mlの30% TCAの付加によって停止させた。細胞を1mlの10% TCAで3回洗浄し、0.25mlの0.5N KOH中で、37℃、10分間溶解した。この溶解物を0.25mlの0.5N酢酸で中和し、タンパク質合成を[14C]のラジオアッセイによって定量した。
いくつかの濃度のHBTおよびStx1をPBS溶液中に希釈し、別の96ウェルマイクロタイタープレート中で混合した(ウェル当たり最終80μl)。プレートを37℃で1時間インキュベートし、その後各ウェルからの10μlを、Vero細胞を含むウェルに付加した。このVero細胞プレートを、さらに48時間、37℃で5% CO2環境でインキュベートした。Vero細胞の生存度を、MTT-アッセイ法(Roche Diagnostics Corporation, Indianapolis, IN)に従って、Cell Counting Kit(Dojindo Laboratories, Kumamoto, Japan)によって測定した。MTT法は、ミトコンドリア呼吸鎖酵素によるテトラゾリウム塩の切断の分光光度的な検出に基づいており、代謝活性および細胞生存度の尺度である。
Stx1はリボソームRNAを不可逆的に修飾し、それによってタンパク質合成を阻害し、かつ細胞死を引き起こす。HBTは、用量依存的に、45分間のStx1への曝露の間、タンパク質合成の阻害からVero細胞を保護した(図2a)。図2aにおけるカラムは、種々の量のHBTの存在下で、37℃のインキュベーションなし(斜行平行線、ネガティブ対照)、Stx1なし(ドット、ポジティブ対照)、およびStx1(0.7mg/ml)の存在下(垂直線)での、Vero細胞によって取り込まれる[14C]放射活性の平均±SD(n=3)を示す。これらの結果は、ウサギ網状赤血球溶解物アッセイについて実施例3において示された結果と一致する。
Vero細胞の生存度に対するHBTおよび他のポリフェノール試料の効果も調べられた。図2bは、HBT(ひし形)、HBE-LMW(四角形)、緑茶ポリフェノール(GTP、三角形)、およびウーロン茶ポリフェノール(OTP、丸)の存在下で、37℃、2日間、Stx1(62pg/ml)とともにインキュベートさせたVero細胞についてのMTTアッセイデータ(n=8)の平均±SDを示す。図2bは、HBE-LMW、GTP、およびOTPの画分がStx1の存在下でVero細胞に対して保護的効果を有しなかったのに対して、HBTは同様の実験条件下で細胞死を妨げた。
種々の濃度でのStx1毒性に対するHBTによって与えられた保護も調べられた。図2cを参照すると、細胞は、3つの異なる濃度[0.64ng/ml(ひし形)、107ng/ml(四角形)、227ng/ml(三角形)]のStx1で処理された。この研究のために、Vero細胞を、4℃で(氷上)30分間、Stx1およびHBTに曝露させ、PBSで2回洗浄し、MEM-10%FBS中で37℃、2日間インキュベートした。結果は、HBTの保護効果(細胞生存度の増加)は、Stx1濃度およびVero細胞のStx1への曝露の時間に依存することを示す(図2)。HBTは、より短い曝露時間の間、Stx1活性を中和する際により効果的であった。より長いインキュベーション時間については、残渣の遊離のStx1がVero細胞に結合し得る。
図2dは、図2cにおいて示されたものと同様のデータを提示し、さらにHBTの保護効果を実証する。詳細には、図2dは、図2dを生じるために使用された実験条件下で、2つの濃度のStx1の存在下で細胞生存度に対するHBTの効果を示す。図2dを参照すると、Stx1単独の存在下で(斜行平行線)、ならびに3.1μg/mL(ドット)または25μg/mLのStx1およびHBTの両方の存在下での相対的細胞生存度が示される。
実施例5-HBTによるウサギ回腸ループ中のStx1誘導性の液体の蓄積の阻害
本実施例は、HBTが、哺乳動物の腸における細胞に対するStx1作用をいかにして中和するかを例証し、およびStx1誘導性の下痢を妨げるためのHBTの有用性を実証する。Stx1によって誘導されるウサギ回腸ループ中の液体の蓄積は、St. Hilaireら(St. Hilaireら、「Interaction of Shiga-like toxin type 1 B-subunit with its carbohydrate receptor」、Biochemistry, 33: 14452-14463, 1994)によって記載された方法を使用して評価された。雄ウサギ(Japanese white, 2kg、Japan SLCより購入)を、手術前48時間飢餓状態にしたが、水は適宜利用可能であった。ウサギをチオペンタールナトリウムで麻酔し、腸を正中切開を通して体外に出した。各ウサギにおいて、6〜10のセグメント(約6〜8cm長)を単離し、100ngのStx1および/またはHBT試料(総量1ml)を同時に各ループに注射した。ウサギを24時間後に屠殺し、ループを切除した。ループの長さ当たりのループ中に蓄積した液体の容量の比(ml/cm)はStx1毒性活性の尺度である。
本実施例は、HBTが、哺乳動物の腸における細胞に対するStx1作用をいかにして中和するかを例証し、およびStx1誘導性の下痢を妨げるためのHBTの有用性を実証する。Stx1によって誘導されるウサギ回腸ループ中の液体の蓄積は、St. Hilaireら(St. Hilaireら、「Interaction of Shiga-like toxin type 1 B-subunit with its carbohydrate receptor」、Biochemistry, 33: 14452-14463, 1994)によって記載された方法を使用して評価された。雄ウサギ(Japanese white, 2kg、Japan SLCより購入)を、手術前48時間飢餓状態にしたが、水は適宜利用可能であった。ウサギをチオペンタールナトリウムで麻酔し、腸を正中切開を通して体外に出した。各ウサギにおいて、6〜10のセグメント(約6〜8cm長)を単離し、100ngのStx1および/またはHBT試料(総量1ml)を同時に各ループに注射した。ウサギを24時間後に屠殺し、ループを切除した。ループの長さ当たりのループ中に蓄積した液体の容量の比(ml/cm)はStx1毒性活性の尺度である。
HBTは、Stx1によって誘導される液体の蓄積の、強力な用量依存性阻害を示した(図3aおよび3b)。図3aにおいて明確に見られ得るように、腸の重篤な膨張がStx1によって誘導される。HBTおよびStx1の同時投与は、膨張の量の減少をもたらし、100μgのHBTを受容した腸セグメントの外見は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)のみを受容した対照セグメントと同様である。これらの結果は図3bにおいて定量され、低用量のHBT(例えば0.8μg/ループ)でさえもStx1誘導性膨張の測定可能な減少を提供することは明らかである。これらのデータは、HBTが、STECおよび他の外毒素産生生物によって引き起こされる腸出血性下痢に対して有効な治療剤として使用され得ることを実証する。
実施例6-HBTによるStx1のrRNAへの結合の妨害
HBTの毒素中和作用のメカニズムを説明するために、Stx1活性に対するHBTの効果の反応速度論的分析を、ウサギ網状赤血球溶解物系中でのタンパク質分解の速度を測定することによって実行した。
HBTの毒素中和作用のメカニズムを説明するために、Stx1活性に対するHBTの効果の反応速度論的分析を、ウサギ網状赤血球溶解物系中でのタンパク質分解の速度を測定することによって実行した。
低濃度のStx1(例えば、0.7μg/ml)において、HBT(3.5μg/ml)はタンパク質合成のStx1阻害の大きさを減少させた。図3aは、HBTまたはStx1なし(ひし形)、HBTあり(3.5μg/ml)、およびStx1(0.7μg/ml)(四角形);およびStx1単独(0.7μg/ml)でのウサギ網状赤血球溶解物についてのタンパク質合成に起因する[14C]放射活性の増加の時間経過プロットを示す。反応速度論的データのLineweaver-Burk分析(図4b)は、阻害が競合的であることを示した(すなわち、Stx1-触媒反応の最大速度(Vm)がHBTによって変化しないのに対して、Kmは有意に増加した)。特定の理論に束縛されることはないが、これらの結果は、HBTがStxAに最初に結合し、かつHBT-Stx1複合体形成が、StxAのリボソームRNAへの結合を妨害することを示すようである。これらの知見とは対照的に、いくつかの核酸アナログが、Stx1を含むリボソーム不活性化タンパク質(RIP)を非競合的に阻害することが報告されてきた(例えば、
を参照されたい。
を参照されたい。
実施例7-HBTとStx1との結合による高分子複合体の形成
一般的に、ポリフェノールは非選択的にタンパク質に結合する(例えば、Haslam、「Natural polyphenols (vegetable tannins) as drugs: possible modes of action」、J. Nat. Prod., 59: 205-215, 1996を参照されたい)。しかし、驚くべきことに、HBTは他のタンパク質よりも強くStx1に結合する。いくつかのタンパク質(Stx1、ウシ血清アルブミン、オボアルブミン)に対するHBT結合が比較された。HBTとタンパク質との間の結合は、Biacore-2000システム(Biacore, Co., Stockholm, Sweden)を使用して定量した。HBTを、50μg/ml(20μl/分、180秒間)でのHBTの反復的な流れによって、CA5またはSAセンサーチップ上に非共有結合的に固定化した。固定化していないHBTを、0.1N NaOH(20μl/分、60秒間)を用いてセンサーから洗い、センサーチップを、実験のために使用される18時間前に、ランニング緩衝剤を用いて洗浄した。4.2nMの濃度のタンパク質をセンサーチップと混合し、反応単位(RU)の変化を測定した。
一般的に、ポリフェノールは非選択的にタンパク質に結合する(例えば、Haslam、「Natural polyphenols (vegetable tannins) as drugs: possible modes of action」、J. Nat. Prod., 59: 205-215, 1996を参照されたい)。しかし、驚くべきことに、HBTは他のタンパク質よりも強くStx1に結合する。いくつかのタンパク質(Stx1、ウシ血清アルブミン、オボアルブミン)に対するHBT結合が比較された。HBTとタンパク質との間の結合は、Biacore-2000システム(Biacore, Co., Stockholm, Sweden)を使用して定量した。HBTを、50μg/ml(20μl/分、180秒間)でのHBTの反復的な流れによって、CA5またはSAセンサーチップ上に非共有結合的に固定化した。固定化していないHBTを、0.1N NaOH(20μl/分、60秒間)を用いてセンサーから洗い、センサーチップを、実験のために使用される18時間前に、ランニング緩衝剤を用いて洗浄した。4.2nMの濃度のタンパク質をセンサーチップと混合し、反応単位(RU)の変化を測定した。
驚くべきことに、HBTは、他のタンパク質よりもより強固にStx1を結合した(図5a)。さらに、PBS中での37℃、1時間のインキュベーション後、HBTは選択的にStx1と大きな凝集体を形成した。これらの凝集体は、遠心分離によって沈殿され得た。HBT-Stx1複合体の沈殿をSDS-PAGEによってモニターした。HBTおよび4.2nMの各タンパク質(すなわち、Stx1、BSA、オボアルブミン)を混合し(総容量60μl)、37℃で60分間インキュベートした。遠心分離(60分間、10,500g)後、上清を収集し、チューブをPBS(60μl)で2回穏やかに洗浄した。上清および沈殿中のタンパク質を、SDS-PAGE後に、銀染色によって可視化した(図5b)。可能な説明は、HBTが、その長くかさ高い構造(図5cに示す)を伴って、StxAに結合し、(図5d)に示される大きなHBT-Stx1複合体の形成に導くことである。
実施例8-細胞へのStx1の付着の阻害
本実施例は、HBTがStxと複合体を形成することを実証するのみならず、これがVero細胞表面へのStxの結合を阻害することも実証する。Stx1は、FluoroLink-Ab Cy-3 labeling kit PA 33000 (Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden) を用いて与えられるプロトコールに従って蛍光標識された。Vero細胞を、小さな培養ディッシュ中のカバーグラス(18×18mm、Iwaki glass Co., Japan)上にコートされたポリ-L-リジン上で増殖された。Cy-3標識されたStx1の溶液を、Vero細胞単層に、4℃で30分間加えた(例えば、Hitotsubashiら、「Some properties of purified Escherichia coli heat-stable enterotoxin II」、Infect. Immun., 60: 4468-4474, 1994を参照されたい)。37℃での一定の時間(0〜1時間)のインキュベーション後、カバーグラス上の細胞をPBSで2回洗浄し、3%ホルムアルデヒド中で、室温で20分間固定した。細胞を、蛍光顕微鏡システム(Nikon Co., Tokyo, Japan)を使用して調べた。HBTあり、およびなしでの、Stxへの短い(0時間)曝露および長い(1時間)曝露の後でのカバーグラス上のVero細胞の目に見える顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真を図6に示す。
本実施例は、HBTがStxと複合体を形成することを実証するのみならず、これがVero細胞表面へのStxの結合を阻害することも実証する。Stx1は、FluoroLink-Ab Cy-3 labeling kit PA 33000 (Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden) を用いて与えられるプロトコールに従って蛍光標識された。Vero細胞を、小さな培養ディッシュ中のカバーグラス(18×18mm、Iwaki glass Co., Japan)上にコートされたポリ-L-リジン上で増殖された。Cy-3標識されたStx1の溶液を、Vero細胞単層に、4℃で30分間加えた(例えば、Hitotsubashiら、「Some properties of purified Escherichia coli heat-stable enterotoxin II」、Infect. Immun., 60: 4468-4474, 1994を参照されたい)。37℃での一定の時間(0〜1時間)のインキュベーション後、カバーグラス上の細胞をPBSで2回洗浄し、3%ホルムアルデヒド中で、室温で20分間固定した。細胞を、蛍光顕微鏡システム(Nikon Co., Tokyo, Japan)を使用して調べた。HBTあり、およびなしでの、Stxへの短い(0時間)曝露および長い(1時間)曝露の後でのカバーグラス上のVero細胞の目に見える顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真を図6に示す。
このデータは、HBTがVero細胞表面へのStx1の結合を阻害し(4℃でのStx1への30分間の曝露後)、それによって、細胞質ゾルへのStx1の移行を妨害すること(37℃で60分後)を明確に実証する。このデータはまた、HBTがStx1との複合体を形成し、おそらくAサブユニットとのその相互作用を通して、細胞上のその毒性効果を妨害するという結論を支持する。図6の上段の写真は、位相差顕微鏡によって可視化されたVero細胞を示す。図6の下段の写真は、同じ視野から蛍光色素(Cy-3)標識されたStx1を用いて可視化されたVero細胞を示す。0hと記したバーの下の写真は、Cy-3標識したStx1を用いて30分間の処理後(4℃で)の細胞を示し、1hと記したバーの下の写真は、4℃、30分間の曝露後、37℃での1.0時間のインキュベーション後の細胞を示す。両方の時間について、Stx1単独で処理した細胞のみが、Vero細胞の表面に蛍光標識されたStx分子の存在を示す。対照的に、HBTの付加は、暗い蛍光画像によって証明されるように、Vero細胞に対する蛍光標識Stx1分子の付着を妨げた。
実施例9-HBTのO157:H7に対する抗生物質活性の不在、抗生物質作用の無妨害
本実施例は、HBTが、細菌それ自体よりも、腸管出血性細菌によって産生される毒素に作用することを実証する。1999年に日本の千葉県において男性患者から単離され(Dr. F. Nomura, Chiba University, Graduate School of Medicine)、Muller-Hinton Broth培地(Gibco BRL, Grand Island, NY, 100μl)中で培養された大腸菌 O157:H7を、HBTおよび/またはストレプトマイシン(Meiji Seika, Co. Ltd., Tokyo, Japan)と合わせ、PBS中に溶解した(総容量10μl)。試料を96ウェルプレートに加え、37℃で一晩(16〜20時間)インキュベートした。O157:H7の増殖を、600nmの吸光度によって測定した。
本実施例は、HBTが、細菌それ自体よりも、腸管出血性細菌によって産生される毒素に作用することを実証する。1999年に日本の千葉県において男性患者から単離され(Dr. F. Nomura, Chiba University, Graduate School of Medicine)、Muller-Hinton Broth培地(Gibco BRL, Grand Island, NY, 100μl)中で培養された大腸菌 O157:H7を、HBTおよび/またはストレプトマイシン(Meiji Seika, Co. Ltd., Tokyo, Japan)と合わせ、PBS中に溶解した(総容量10μl)。試料を96ウェルプレートに加え、37℃で一晩(16〜20時間)インキュベートした。O157:H7の増殖を、600nmの吸光度によって測定した。
HBTの付加(200μg/mlまで)はO157:H7の増殖に対して影響を及ぼさなかった。また、ストレプトマイシンの抗生物質効果を妨害しなかった(データ示さず)。これらの結果は、HBTが、生物それら自体およびそれらが産生する毒素の両方に対して指向される処置を提供するために、抗生物質と組み合わせて投与できることを実証する。
実施例10-Stx1に対して有効であるHBT成分の単離
上記の実施例7において実証されたHBT成分とStx1タンパク質との間の特異的相互作用は、粗ホップ苞葉抽出物からのポリフェノール成分および他の植物材料からのポリフェノール成分を単離するために利用され得る。例えば、特異的HBT/Stx相互作用に基づくポリフェノール化合物を単離するためのアフィニティークロマトグラフィー法が、ポリフェノール化合物の選択的沈殿と同様に、可能である。
上記の実施例7において実証されたHBT成分とStx1タンパク質との間の特異的相互作用は、粗ホップ苞葉抽出物からのポリフェノール成分および他の植物材料からのポリフェノール成分を単離するために利用され得る。例えば、特異的HBT/Stx相互作用に基づくポリフェノール化合物を単離するためのアフィニティークロマトグラフィー法が、ポリフェノール化合物の選択的沈殿と同様に、可能である。
アフィニティークロマトグラフィー固定相は、活性化されたクロマトグラフィーマトリックスとStx1分子とを反応させることによって産生される。いくつかの型の活性化されたマトリックスが、Sigma, St Louis, MOから利用可能である。アフィニティークロマトグラフィーマトリックスの調製は、Boyer、「Modern Experimental Biochemistry」、第2版、Benjamin/Cummings Publishing Co, Redwood City, CA, 1993に記載されている。例えば、臭化シアン活性化マトリックスは、Stx誘導体化アフィニティーマトリックスを提供するためにとりわけ有用である。なぜなら、一級アミノ基を含むすべてのリガンド(例えば、タンパク質)は、穏やかな条件下で臭化シアンに容易に結合されるからである。
一旦調製されると、アフィニティーマトリックスは、当技術分野において周知の方法に従ってカラム中に配置され、試料(おそらく、Stx1と特異的に相互作用することができるポリフェノール化合物を含む)が、カラムを通過する。次いで、カラムを、弱く結合した試料の成分を除去するために洗浄する。次いで、強く結合した成分は、例えば、Stx1特異的抗体を含む溶液、または尿素もしくはグアニジンのようなカオトロピック剤を含む溶液を使用して、カラムから溶出される。
1つの態様において、粗HBEがStx1官能基化マトリックスを含むアフィニティーカラムを通過し、このマトリックスに特異的に結合するHBEの成分が溶出されて、Stx1を凝集させるために被験体に腔内投与され得るHBTの精製された試料を提供する。
実施例11-腸出血性感染の検出
HBTの成分の毒素特異的結合特性は、生物学的試料(例えば、血液、尿、糞便、または組織)中の毒素の存在を検出するためのバイオセンサーおよび方法を可能にする。例えば、HBT、またはそこから単離されたポリフェノール化合物は、トランスデューサー(例えば、電極表面)に固定化されて、細菌毒素特異的センサーを提供する。次いで、生物学的試料(おそらく毒素を含む)は、センサーと接触され得、トランスデューサーの特性の変化が検出され得る(例えば、電極を通過する電位または電流の変化)。センサーの応答は、毒素の標準溶液に対して較正され得、生物学的試料中の毒素の量を定量するために使用され得る。
HBTの成分の毒素特異的結合特性は、生物学的試料(例えば、血液、尿、糞便、または組織)中の毒素の存在を検出するためのバイオセンサーおよび方法を可能にする。例えば、HBT、またはそこから単離されたポリフェノール化合物は、トランスデューサー(例えば、電極表面)に固定化されて、細菌毒素特異的センサーを提供する。次いで、生物学的試料(おそらく毒素を含む)は、センサーと接触され得、トランスデューサーの特性の変化が検出され得る(例えば、電極を通過する電位または電流の変化)。センサーの応答は、毒素の標準溶液に対して較正され得、生物学的試料中の毒素の量を定量するために使用され得る。
バイオセンサーは、生物学的認識系(バイオレセプター)およびトランスデューサーを含む。分析物のバイオレセプターとの相互作用は、例えば、電気的シグナルに転換され得る、トランスデューサーによって測定される効果を産生する。トランスデューサーの型には、光学的トランスデューサー(例えば、発光、吸収、表面プラズモン共鳴)、電気化学的トランスデューサー、および質量感受性トランスデューサー(例えば、表面音波、微量天秤)が含まれる。光学的トランスデューサーは、異なる型のスペクトル分析法(例えば、吸収、蛍光、燐光、ラマン、SERS、屈折、または散乱)および異なる分光化学的特性がモニターされ得る(例えば、振幅、エネルギー、偏光、減衰時間、および/または位相)。電気化学的トランスデューサーには、導電性ポリマー(例えば、ポリN-メチルピロール、ポリアニリン、およびポリo-フェニレンジアミン)、炭素、および金属(例えば、金および白金)が含まれる。質量感受性トランスデューサーには、圧電性結晶が含まれる。バイオレセプターは、共有結合的または非共有結合的のいずれかでトランスデューサーに結合され得る。バイオセンサー技術のさらなる詳細は、Vo-DinhおよびCullum(Vo-DinhおよびCullum、「Biosensors and biochips: advances in biological and medical diagnostics」、Frsenius J. Anal. Chem. 366:540-551, 2000)に記載されている。
特定の態様において、バイオセンサーのマイクロアレイが提供される。これらの「バイオチップ」には、ディテクターのアレイを形成するために個々のトランスデューサー要素に沈着された、特定のポリフェノールHBT化合物または画分(例えば、10merから30merのポリカテキン、または特定の質量または平均質量を有する画分)が含まれ得る。このようなバイオチップは、特定の毒素媒介感染のために最も有効な処置を決定するために有用である(すなわち、治療診断的決定)。例えば、微生物によって産生された毒素の試料は、バイオレセプターとしてポリフェノール化合物を有するバイオチップに接触させることができ、最も有効に毒素を結合するポリフェノール化合物は、バイオチップ上のバイオレセプターとして働く他のポリフェニール性化合物に対して、それが産生する伝達されるシグナルによって同定される。一旦同定されると、最も強力な結合ポリフェノール化合物を被験体に投与することができる。例えば、被験体は、腸細胞に対する毒素の効果を同時に弱めながら、毒素を腔内沈殿およびその除去を増加させるために化合物を摂取し得る。
上記実施例7において使用されたBiacoreシステムは、バイオレセプターとして固定化されたHBT化合物を取り込むバイオセンサーの例である。Biacoreセンサーチップトランスデューサーは、表面プラズモン共鳴によって動作する。十分な量のタンパク質がこのようなチップの表面から回収され得る場合、質量分析法を使用してリガンドを同定することが可能である。例えば、タンパク質を、センサー表面から直接的に、マトリックス支援レーザー脱離(laser desorption)を使用して気化することができ、またはセンサー表面から溶出されたタンパク質を、エレクトロスプレーイオン化後に測定することができる。
別の態様において、生物学的試料は、HBTを含む溶液と接触され、そしてHBT-毒素高分子複合体の形成に起因して形成された任意の沈殿は、例えば、遠心分離によって、得られる溶液から分離される。1つの態様において、試料中のStx1の存在は、沈殿の存在によって示される。より特定の態様において、生物学的試料中のStx1の量は、沈殿の量を測定することによって(例えば、重量分析によって)定量される。較正基準(calibration standard)が利用され得る。
実施例11-微生物毒素エアロゾルの検出
上記の実施例10に記載されるセンサーはまた、環境中の微生物毒素の存在を検出するために使用され得る。例えば、バイオレセプターとしてHBT成分を有するバイオセンサーは、空気中または表面上の微生物毒素の存在を検出するために使用され得る。微生物毒素の存在は、センサーを、例えば、濾過した空気試料から調製した溶液、または表面のスワブ試料から調製した溶液と接触させることによって検出され得る。このようなセンサーは、微生物毒素の攻撃の早期警戒検出器としての有用性を見い出し得る。
上記の実施例10に記載されるセンサーはまた、環境中の微生物毒素の存在を検出するために使用され得る。例えば、バイオレセプターとしてHBT成分を有するバイオセンサーは、空気中または表面上の微生物毒素の存在を検出するために使用され得る。微生物毒素の存在は、センサーを、例えば、濾過した空気試料から調製した溶液、または表面のスワブ試料から調製した溶液と接触させることによって検出され得る。このようなセンサーは、微生物毒素の攻撃の早期警戒検出器としての有用性を見い出し得る。
実施例12-微生物毒素エアロゾルからの保護
効率的に複合体を形成し、微生物毒素、とりわけ、志賀毒素を選択的に沈殿するので、HBTは、予防的または曝露後のいずれかで、中毒(例えば、エアロゾル中、飲み水中、または食品中)の症状の発生を予防するために投与してもよい。特定の態様において、HBT、またはその1つもしくは複数の成分が鼻腔内投与され、被験体によって吸入されたか、または吸入され得る志賀毒素を沈殿および中和する。
効率的に複合体を形成し、微生物毒素、とりわけ、志賀毒素を選択的に沈殿するので、HBTは、予防的または曝露後のいずれかで、中毒(例えば、エアロゾル中、飲み水中、または食品中)の症状の発生を予防するために投与してもよい。特定の態様において、HBT、またはその1つもしくは複数の成分が鼻腔内投与され、被験体によって吸入されたか、または吸入され得る志賀毒素を沈殿および中和する。
実施例13-薬学的組成物
本発明に従う薬学的処方物には、1つまたは複数の非毒性の薬学的に許容される賦形剤とともに一定量(例えば、単位投薬量)の毒素中和剤を含む処方物が含まれ、これには、担体、希釈剤、および/またはアジュバント、ならびに任意の他の生物学的に活性な成分(例えば、その量が病原体集団の少なくとも一部を殺傷し得る治療的有効量の抗生物質)が含まれる。標準的な薬学的処方技術が使用され、これは例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA (第19版) に開示されるものである。
本発明に従う薬学的処方物には、1つまたは複数の非毒性の薬学的に許容される賦形剤とともに一定量(例えば、単位投薬量)の毒素中和剤を含む処方物が含まれ、これには、担体、希釈剤、および/またはアジュバント、ならびに任意の他の生物学的に活性な成分(例えば、その量が病原体集団の少なくとも一部を殺傷し得る治療的有効量の抗生物質)が含まれる。標準的な薬学的処方技術が使用され、これは例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA (第19版) に開示されるものである。
本発明に従う薬学的処方物は、HBT画分および/または1つもしくは複数の精製されたHBTポリフェノールを含み、および例えば、1つまたは複数の他の生物学的に活性な成分(例えば、セフィキシム、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、コトリモキサゾール、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ホスホマイシン、およびカナマイシン、ならびにこれらの組み合わせ)も含み得る。
組み合わせられた生物学的に活性な薬剤の投薬量は、微生物毒素からのインビボ保護を達成することが示されているものと同様の作用部位で濃度を達成するのに十分である。薬学的処方物は、例えば、被験体が約0.0001g/kgから100g/kgの間の投薬量を受けるような、毒素中和薬剤の量を含んでもよい。
組成物は、錠剤、カプセル、散剤、顆粒剤、ロゼンジ、液体もしくはゲル調製物(例えば、経口的、局所的、または溶液もしくは懸濁物(例えば、点眼液もしくは点耳液、喉もしくは鼻用スプレーなど))の形態および当技術分野において公知の他の形態であり得る。
このような薬学的処方物は、所定の症状の処置に適切な任意の様式で、全身的または局所的に投与されてもよく、これには、経口的、直腸的、鼻腔的、口腔的、吸入スプレー、または移植リザーバーを介した投与を含む。
薬学的に許容される担体には以下が含まれるがこれらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝剤(例えば、リン酸)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく基材、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂。
経口投与のための錠剤およびカプセルは、単位用量提示のために適切な形態であってもよく、従来の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。これらの例には、結合剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、およびポリビニルピロリドン);充填剤(例えば、ラクトース、糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビトール、またはグリシン);錠剤の滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン);ならびに分散剤または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)が含まれる。経口液体調製物は、例えば、水性もしくは油性懸濁物、溶液、エマルジョン、シロップ、もしくはエリキシルの形態であってもよく、または、水もしくは他の適切なビヒクルを用いる、使用前の再構成のための乾燥製品として提供され得る。
薬学的組成物はまた、滅菌水溶液または油性媒体中で腸内投与されてもよい。この組成物は、非毒性の、腸内で許容される希釈剤または溶媒中に、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、溶解または懸濁され得る。一般的に使用されるビヒクルおよび溶媒には、水、生理食塩水、ハンクス溶液、リンガー溶液、および滅菌した不揮発性油(合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む)などが含まれる。付加物にはまた、例えば、緩衝剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウムまたはエデエート(edeate)二ナトリウム);保存剤(例えば、フェニル水銀酢酸または硝酸、塩化ベンザルコニウムまたはクロルヘキシジンを含む殺菌剤および防かび剤);および増粘剤(例えば、ヒプロメロース)を含んでもよい。
関与する投薬量単位は、例えば、処置される状態、処方物の性質、状態の性質、要求される薬学的組成物の態様、投与の様式、ならびに患者の状態および体重に依存する。投薬量レベルは、代表的には、インビトロで微生物毒素を中和することが示されてきた濃度と少なくとも同じである、作用部位における組織濃度を達成するのに十分である。例えば、約0.0001g/kgから100g/kgの活性成分の投薬量が、毒素媒介状態の処置において有用であり得る。単位投薬量はまた、HBTおよび抗感染剤(例えば、抗生物質)のような別の治療剤の両方を含むように処方され得る。
化合物は、好ましくは、無機または有機のおよび塩基に由来する塩の形態で使用されてもよく、以下が含まれるがこれらに限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルファート(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサノアート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチネート、シュウ酸塩、パモエート、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、およびウンデカン酸塩。塩基の塩には以下が含まれるがこれらに限定されない:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基を有する塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩)、N-メチル-D-グルカミン、およびアミノ酸を有する塩(例えば、アルギニン、リジンなど)。塩基性窒素含有基は、例えば、以下のような薬剤を用いて四級化され得る:C1-8アルキルハライド(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ジアルキルサルフェート(例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチル、ジアミルサルフェート)、長鎖ハライド(例えば、デシル、ラウリル、ミリストイル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、アラルキルハライド(例えば、ベンジルおよびフェネチルの臭化物)など。水溶性もしくは油溶性または分散可能な産物がそれによって産生される。
薬学的組成物は、意図される使用のための指示書、例えば、米国における食品医薬品局のような薬学的な監督官庁によって必要とされる指示書が、付随するキット中に含められ得る。
記載された方法または組成物の正確な詳細が、記載された本発明の精神から逸脱することなく、変更または修飾され得る。本発明者らは、上記の特許請求の範囲の範囲および精神の中に含まれるすべてのこのような修飾およびバリエーションを請求する。
Claims (63)
- 治療的有効量のホップ苞葉タンニン(hop bract tannin)を被験体に投与することによって、Stx産生生物によって引き起こされる感染を有する被験体を処置するための方法。
- 治療的有効量の、Stx産生生物による感染を処置するのに有効である抗生物質を被験体に投与する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
- 抗生物質が、セフィキシム、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、コトリモキサゾール、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ホスホマイシン、およびカナマイシン、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンがカテキンポリマーを含む、請求項1記載の方法。
- カテキンポリマーが10merから30merの間のポリカテキンを含む、請求項4記載の方法。
- 感染が腸感染(enteric infection)である、請求項1記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンが腸内投与される、請求項6記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンがホップ苞葉抽出物から単離された画分を含む、請求項1記載の方法。
- 画分が、5kDaから30kDaの間の重量平均分子量を有する、請求項10記載の方法。
- Str産生生物がStx1産生生物を含む、請求項1記載の方法。
- Stx産生生物が志賀毒素産生大腸菌である、請求項1記載の方法。
- 感染が腸感染であり、かつホップ苞葉タンニンが、腸内投与される10merから30merの間のポリカテキンを含む、請求項1記載の方法。
- 感染が、重篤な下痢、出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群、および血栓性血小板減少性紫斑病として臨床的に現れる、請求項14記載の方法。
- Stx産生生物の感染を有する被験体を処置する方法であって、
Stx産生生物によって産生されたStxに対するアフィニティーを有するホップ苞葉タンニンを選択する工程;および
ホップ苞葉タンニンを、感染の臨床的提示を緩和するために有効な量で被験体に腸内投与する工程、
を含む方法。 - 選択する工程が、Stxによって誘導体化されたクロマトグラフィーマトリックスを用いるアフィニティークロマトグラフィーによってホップ苞葉抽出物からホ
ップ苞葉タンニンを単離することを含む、請求項17記載の方法。 - 選択する工程が、ホップ苞葉抽出物の高分子量画分を入手することを含む、請求項17記載の方法。
- 高分子量画分が5kDa以上の重量平均分子量を有する、請求項19記載の方法。
- 選択する工程が、Stxに対するアフィニティーを有するホップ苞葉タンニン成分を検出することを含む、請求項17記載の方法。
- Stxに対するアフィニティーを有する成分を検出することが、バイオセンサーによって生成されるシグナルを検出することを含み、バイオセンサーが、バイオセンサーのバイオレセプター部分としてホップ苞葉タンニンを有する、請求項21記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンがポリカテキンである、請求項22記載の方法。
- ポリカテキンが10merから30merの間のポリカテキンである、請求項23記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンが、5kDaより大きい重量平均分子量を有する画分である、請求項22記載の方法。
- 感染の臨床的提示が、重篤な下痢、出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群、および血栓性血小板減少性紫斑病のうちの1つまたは複数である、請求項17記載の方法。
- 生物学的試料中のStxの存在を検出するための方法であって、
生物学的試料をホップ苞葉タンニンと接触させる工程;および
Stxとホップ苞葉タンニンとの間の高分子複合体を検出する工程、
を含む方法。 - 検出する工程が複合体を含む沈殿物を検出することを含む、請求項29記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンとStxとの間の高分子複合体を検出する工程が、試料中の高分子複合体の存在と関連する電気泳動的パターンを検出することを含む、請求項29記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンがバイオセンサーのバイオレセプターとして働き、かつ検出する工程が、バイオセンサーのトランスデューサーの特性の変化を測定することを含む、請求項29記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンが10merから30merの間のポリカテキンである、請求項29記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンがホップ苞葉抽出物から単離された画分を含む、請求項29記載の方法。
- 画分が、5kDaから30kDaの間の重量平均分子量を有する、請求項35記載の方法。
- Stx結合ポリフェノールを単離および精製するための方法であって、
ホップ(Humulus lupulus)から単離されたStx結合ポリフェノール化合物を含む混合物をStxと接触させて、化合物とStxとの間で高分子複合体を形成する工程;
高分子複合体を単離する工程;および
高分子複合体からポリフェノール化合物を分離して、Stxを結合するポリフェノール化合物の精製された試料を入手する工程、
を含む方法。 - Stxが活性化されたクロマトグラフィー用マトリックスに結合されている、請求項37記載の方法。
- Stxがバイオセンサーのバイオレセプターを含む、請求項37記載の方法。
- StxがStx1である、請求項38記載の方法。
- 治療的有効量のホップ苞葉タンニンを被験体に鼻腔内投与する工程を含む、吸入されたStxの予防的または曝露後処置のための方法。
- バイオレセプターとしてのホップ苞葉タンニン、およびトランスデューサーを含むバイオセンサー。
- ホップ苞葉タンニンが、10merから30merの間のポリカテキンである、請求項42記載のバイオセンサー。
- ホップ苞葉タンニンが、ホップ苞葉抽出物から単離された画分を含む、請求項42記載の方法。
- 画分が、5kDaから30kDaの間の重量平均分子量を有する、請求項45記載の方法。
- 治療的有効量のホップ苞葉タンニンを被験体に腸内投与することによって、Stx1産生生物によって引き起こされる腸感染を有する被験体を処置するための方法。
- 治療的有効量の、Stx産生生物による感染を処置するのに有効である抗生物質を被験体に投与する工程をさらに含む、請求項47記載の方法。
- 抗生物質が、セフィキシム、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、コトリモキサゾール、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ホスホマイシン、カナマイシン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項48記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンがカテキンポリマーを含む、請求項47記載の方法。
- カテキンポリマーが、10merから30merの間のポリカテキンを含む、請求項50記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンがホップ苞葉抽出物から単離された画分を含む、請求項47記載の方法。
- 画分が、5kDaから30kDaの間の重量平均分子量を有する、請求項54記載の方法。
- 腸感染が腔内感染である、請求項47記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンが腔内投与される、請求項56記載の方法。
- 細菌毒素を中和するための方法であって、
ホップ苞葉タンニンを提供する工程;および
毒素を中和するために、細菌毒素とホップ苞葉タンニンとを接触させる工程、
を含む方法。 - 細菌毒素が志賀毒素およびコレラ毒素からなる群より選択される、請求項58記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンが、5kDaから30kDaの間の重量平均分子量を有するサブ画分を含む、請求項58記載の方法。
- ホップ苞葉タンニンが、10merから30merまでの群、およびその混合物から選択されるポリカテキンを含む、請求項58記載の方法。
- 高分子量画分が5kDaより大きい重量平均分子量を有する、ホップ苞葉抽出物の高分子量画分の単離されたポリフェノール成分。
- 高分子量画分が5kDaより大きい重量平均分子量を有する、ホップ苞葉抽出物の高分子量画分のサブ画分。
- サブ画分が5kDa〜30kDa、5kDa〜10kDa、5kDa〜8kDa、8kDa〜30kDa、8kDa〜10kDa、および10kDa〜30kDaからなる群より選択される重量平均分子量範囲を有する、請求項63に記載のサブ画分。
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