移動遠隔通信網プロバイダが、例えば、アクティブに通信中のセルラー電話機などのMT(移動端末装置)のおおよその地理的位置を特定することができることが望ましく、一部の地域では、法律により義務付けられている。
様々なMT位置特定技術が提案されている。それらの位置特定技術には、アップリンク信号位置ベースのアプローチ、ダウンリンク信号位置ベースのアプローチ、GPS(Global Positioning System(グローバル・ポジショニング・システム))ベースのアプローチ、およびデジタル・テレビ信号に基づくアプローチが含まれる。「アップリンク信号」位置特定技術の場合、移動遠隔通信網は、通常、1つまたは複数のアップリンク信号に関連する測距値に基づいてMTがどこに位置しているかを特定するように構成される。それらのアップリンク信号は、MTによって送信され、例えば、セルラー電話BS(基地局)などの、既知の位置を有する必要な数の受信機によって受信される。「ダウンリンク信号」位置特定技術の場合、移動遠隔通信網は、通常、既知の位置を有する必要な数の送信機からのダウンリンク信号のMTによる受信に関連する測距値に基づいてMTがどこに位置しているかを特定するように構成される。
図1は、アップリンク信号およびダウンリンク信号を含め、様々な周知の無線通信標準のいずれか1つを実施することができる慣用の地上移動(無線)遠隔通信網20を示す。無線網は、基地局26およびMTSO(移動電話中継局)28によるサービスを受ける複数のセル24と通信する1つまたは複数の無線移動局22を含むことが可能である。3つのセル24だけを図1に示すが、通常のセルラー無線電話網は、数百のセルを含むことが可能であり、複数のMTSO28を含むことが可能であり、数千の無線移動局22にサービスを提供することができる。
セル24は、一般に、ネットワーク20内のノードの役割をして、それらのノードから、セル24にサービスを提供する基地局26を介して、無線移動局(端末装置)22とMTSO28の間でリンクが確立される。各セル24には、1つまたは複数の専用制御チャネル、および1つまたは複数のトラフィックチャネルが割り当てられる。制御チャネルは、セル識別およびページング情報のダウンリンク伝送(ネットワークから移動局へ)用に使用することができる専用チャネルである。トラフィックチャネルは、音声情報およびデータ情報を伝送する。ネットワーク20を介して、2重(ダウンリンクおよびアップリンク)無線通信リンク30が、PSTN(公衆交換電話網)34を介して、2つの無線移動局22間で、または無線移動局22と陸線電話ユーザ32の間で行われることが可能である。基地局26の機能は、一般に、セル24と無線移動局22の間の無線通信を扱うことである。その役割で、基地局26は、主にデータ信号および音声信号に関する中継局として機能する。基地局が、地上基地局ではなく、関連するサービスエリアを有する衛星である移動遠隔通信網を提供することも知られている。
その他の位置特定アプローチは、一般に、移動遠隔通信網において使用されるアップリンク信号にも、ダウンリンク信号にも関連しない位置特定サービスを使用する。通常のGPSアプリケーションでは、GPS受信機が、既知の位置を有するGPS衛星によって伝送された信号からの測距値を収集し、分析する。最近には、デジタル・テレビ信号をMTの位置特定用に使用できることが提案されている。Rabinowitz,M.およびSpilker,J.、「Positioning Using the ATSC Digital Television Signal」、Rosum Corporation Whitepaper、www.rosum.com(2001年頃)において説明されるとおり、デジタル・テレビは、米国内で実施されており、2003年5月までには広いサービスエリアを有するものと見込まれる。このため、デジタル・テレビ信号は、少なくとも米国内で、明確な位置を有する地上デジタル・テレビ送信機に関して利用可能であるはずである。Rosum Corporation Whitepaperは、デジタル・テレビ信号の同期フィールドを使用して、デジタル・テレビ送信機までの距離情報を特定するための技術を提案している。
図3に示すとおり、ATSC標準で規定されたデジタル・テレビ・データ・フレーム60は、832個のシンボルの長さをそれぞれが有する複数のブロックを含む。データ・フレーム60は、第1の同期ブロック62および第2の同期ブロック62を含み、これらの同期ブロック62間に312個のデータ・ブロック64が存在し、さらなる312個のデータ・ブロック64が、第2の同期ブロック62の後に続く。さらに、ブロック62、64のそれぞれは、同期の目的で使用される4つのシンボルを含むものと規定される。ATSC信号に関する提案される変調スキームは、8−ary VSB(8−ary Vestigial Sideband Modulation(残留側帯波変調))を使用する。
図2に示すとおり、GPSは、衛星42およびGPS制御コンピュータ48を使用して地球上のあらゆる場所の位置を測定する、宇宙空間ベースの三角測量システムである。GPSは、当初、ナビゲーション・システムとして米国国防総省によって開発された。地上ベースのシステムに優るこのナビゲーション・システムの利点は、このシステムのサービスエリアが限られていないこと、このシステムが、気象条件に関わらず極めて正確であることが可能な24時間の継続的なカバレッジを提供することである。最高の精度レベルを提供するGPS技術は、軍事用に政府によって保留されているが、それほど精度の高くないサービスは、民間用に利用可能にされている。動作の際、地球の周りを軌道を描いて回る一群の24個の衛星42が、GPS無線信号44を継続的に発信する。GPS受信機46、例えば、GPSプロセッサを有するハンドヘルド無線受信機が、最も近い衛星からの無線信号を受信し、その無線信号がGPS衛星からGPS受信機アンテナまで伝わるのにかかる時間を測定する。伝搬時間に光速を掛けることにより、GPS受信機は、視野内の各衛星に関する距離を計算することができる。衛星無線信号の中で提供される暦表情報が、通常、衛星の軌道および速度を記述し、GPSプロセッサが、三角測定のプロセスを介してGPS受信機46の位置を計算することを一般に可能にする。GPS受信機46を移動局22の中に含めて、位置特定機能を移動局22に与えることが知られている。
GPS受信機の始動は、通常、4つ以上のGPS衛星のナビゲーション・データ信号から一組のナビゲーション・パラメータを獲得することを要する。GPS受信機を初期設定するこのプロセスには、しばしば、数分かかる。GPS位置特定プロセスの時間は、GPS受信機が最初にどれだけの情報を有するかに直接に依存する。ほとんどのGPS受信機には、最長で1年先までの予期される衛星位置を大まかに記述する暦データがプログラミングされている。しかし、GPS受信機が自らのおおよその位置のいくらかの知識を有さない場合、GPS受信機は、可視の衛星からの信号を十分に迅速に見つけること、または獲得することができず、したがって、自らの位置を迅速に計算することができない。さらに、始動時にC/Aコードおよびナビゲーション・データを捕捉するのに、既に獲得済みの信号を継続的に監視するのに必要とされるよりも高い信号強度が通常、必要とされることに留意されたい。また、GPS信号を監視するプロセスは、環境要因によって相当に影響される可能性があることにも留意されたい。このため、野外で容易に獲得されることが可能なGPS信号は、受信機が樹木の葉に覆われている場合、車内にある場合、または最悪なこととして、建物の中にある場合、通常、獲得するのがより難しくなる。
これらの様々な周知の位置特定技術には、とりわけ、例えば、TOA(着信時刻)、TDOA(着信時間差)、OTD(観察された時間差)などの測距値を収集することが含まれることが可能である。これらの測距値は、通常、送信信号内/受信信号内で1つまたは複数の特徴を検出することによって収集される。様々な位置特定技術のそれぞれは、その精度に一定の限界がある。例として、既存のBSを利用する様々なTOA位置特定技術、TDOA位置特定技術、およびOTD位置特定技術は、位置特定プロセスを実行するのに、通常、少なくとも3つ以上のBSが、MTからの伝送されたアップリンク信号を受信すること、または反対に、MTが、少なくとも3つのBSからの伝送されたダウンリンク信号を受信することを要する。同様に、GPSアプローチに関して、GPS受信機は、一般に、完全な位置特定プロセスを実行するのに、少なくとも4つのGPS衛星からの伝送された信号を受信することを必要とする(ただし、一部の情報は、3つのGPS衛星から受信された、伝送された信号に基づいて生成されることが可能である)。
残念ながら、MTと要求される数の既知の位置の送信機/受信機の間に、開けたLOS(直視界)が常に存在するわけではない。例えば、都市環境では、LOSは、しばしば、建物および/または他の構造物によって遮られ、他方、他の一部の環境では、自然に存在する地形および/または他の特徴(例えば、山脈、峡谷、森林、気象など)が、LOSを小さくすること、伝送された信号を減衰させること、または受信機においてマルチパス信号をもたらすことが可能である。多くのより高い周波数の信号、またはより弱い信号に関して、LOSが失われること、またはそのような障害物が導入されることにより、位置特定技術は相当に不正確になるか、または完全に利用できなくなる可能性がある。
Rabinowitz,M.およびSpilker,J.、「Positioning Using the ATSC Digital Television Signal」、Rosum Corporation Whitepaper、www.rosum.com(2001年頃)
米国特許第6252543号
米国特許第6070078号
米国特許第6295023号
本発明を、本発明の例示的な実施形態が示された添付の図面を参照して、以下により完全に説明する。ただし、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載する諸実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、それらの実施形態は、本開示が、徹底的で、完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供している。
当業者には理解されるとおり、本発明は、方法、回路、または移動端末装置として実施することができる。したがって、本発明は、完全にハードウェア実施形態の形態をとることも、完全にソフトウェア実施形態の形態をとることも、あるいはソフトウェアの態様とハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることも可能であり、これらすべてを本明細書では、「回路」と呼ぶ。
本発明の諸動作を実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Java(登録商標)、Smalltalk、またはC++などのオブジェクト指向プログラミング言語、「C」プログラミング言語などの慣用の手続きプログラミング言語、またはアセンブリ言語および/またはマイクロコードなどの低水準コードで書くことができる。プログラム・コードは、スタンドアロンのソフトウェア・パッケージとして、または別のソフトウェア・パッケージの一部として、単一のプロセッサ上で完全に、かつ/または複数のプロセッサにわたって実行することができる。
本発明を、本発明の諸実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート、および/またはブロック図、および/または流れ図を参照して以下に説明する。フローチャートおよび/またはブロック図の各ブロック、およびフローチャートおよび/またはブロック図におけるブロックの組合せは、コンピュータ・プログラム命令で実施できることが理解されよう。それらのコンピュータ・プログラム命令が、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置に与えられて、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートのブロックまたはブロック群、および/またはブロック図のブロックまたはブロック群、および/または流れ図のブロックまたはブロック群において規定された諸機能を実施するための手段を作成するようなマシンをもたらすことが可能である。
それらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・プロセッサが特定の形で機能するように指示して、コンピュータ可読メモリの中に格納された命令が、フローチャートのブロックまたはブロック群、および/またはブロック図のブロックまたはブロック群において規定された機能を実施する命令手段を含む製造品をもたらすような特定の形で、コンピュータ可読メモリの中に格納することもできる。
コンピュータ・プログラム命令をコンピュータまたは他のプログラマブル・データ・プロセッサに読み込んで、一連の動作ステップがコンピュータ上または他のプログラマブル・プロセッサ上で実行されて、コンピュータによって実施されるプロセスがもたらされるようにして、コンピュータ上または他のプログラマブル・プロセッサ上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックまたはブロック群において規定される諸機能または諸動作を実施するためのステップを提供するようにすることができる。
本発明の一部の実施形態によれば、例えば、アクティブに通信中のセルラー電話機などのMT(移動端末装置)が、デジタル・テレビ信号位置特定技術を、移動遠隔通信網および/またはGPS(グローバル・ポジショニング・システム)に関連する1つまたは複数の技術などの代替の位置特定技術と組み合わせることにより、位置特定される。
背景として、それらの個々のシステムのそれぞれは、いくつかの特徴を共通で有する位置特定技術を使用する。例えば、それらのシステムのそれぞれは、送信機または受信機が既知の、または特定可能な地点(すなわち、位置)を有する、送信機と受信機の間で送られる信号からの、要求される数の測距値の収集を使用する。さらに、収集された測距値のそれぞれは、一般に、例えば、光速、またはその信号に関連する伝搬の予期される速度を掛けることにより、時間間隔測定値から、対応する距離測定値に換算することができる。時間から距離への換算が達せられると、従来の三角測量、または他の類似の数学的技術を使用して、既知の位置、および計算された距離に基づき、MTの位置座標を算出することができる。
例えば、TOA(着信時刻)位置特定技術のケースでは、BS(基地局)の位置は、一般に、既知であり、時間とともに変化しない。測距は、1)MTからアップリンク信号の中で繰り返しブロードキャストされる同期された語(同期語)のTOAを各BSに測定させること、2)端末装置との通信に要求されるタイミング・アドバンスを各BSに測定させること、3)BSのそれぞれからの伝送されたダウンリンク信号の中の同期語に基づくTOAをMTに別々に測定させることを含め、様々な形で行われることが可能である。MTが比較的平面の環境内に位置しているものと想定すると、地上のxとyの位置座標、および同期語(アップリンク伝送、またはダウンリンク伝送された)のブロードキャストの未知の時間について解くのに、一般に、3つのBSからの距離情報を要する。
前述したGPS位置特定技術のケースでは、GPS衛星の位置は、時間に対して変化する。このため、GPS受信機は、一般に、測距の時刻におけるGPS衛星の位置を知るために、GPS衛星(または地上の正確なGPS関連ソース)からの正確な時刻測定値を受け取る必要がある。GPS受信機と4つのGPS衛星のそれぞれとの間における測距は、1)各GPS衛星によって伝送された信号内で、1023チップ長のGoldコード・シーケンスの開始点を求めること、2)ビット・エッジの開始時刻を求めること、および3)データ・メッセージの開始時刻を求めることによって行われる。次に、各GPS衛星から受信された信号に関する結果の「飛行時間」が、距離に換算される。結果の4つの測距値により、GPS受信機の位置をx、y、およびzの座標で解くこと、およびGPS時刻とGPS受信機の独立したクロックの間における未知の時間差を算出することが可能になる。
同様に、デジタル・テレビ・システムに関して、デジタル・テレビ信号が、明確な位置を有するデジタル・テレビ送信機から伝送される。伝送された信号は、図3に例示したようなフレーミング構造、およびそれぞれの送信機における、関連する伝送時間基準を有する。受信されたデジタル・テレビ信号に対して同期するために時間オフセットを算出することができ、この時間オフセットは、例えば、それぞれの送信機からの飛行時間値を算出する際に使用することができる。同期信号、またはデータ・シンボルなどの既知の情報を、時間オフセットを算出する際に使用することができる。本発明の諸実施形態において使用するのに適したデジタル・テレビ信号を使用する、そのような距離推定のアプローチは、あたかもその全体が記載しているかのように参照により本明細書に組み込まれている、Rostum Corporation White Paperにおいてさらに説明されている。
このように、以上の実施例では、デジタル・テレビ信号に関する基礎にある位置特定プロセス、および移動遠隔通信網および/またはGPSが、基本的に、いくつかの既知の位置から受信された信号を使用し、十分な数の信号からの測距値を収集して、MTの位置について解く。これらの共通の特徴、およびその他の特徴を、以下により詳細に説明して、本発明が、デジタル・テレビ信号の使用を他のアプローチと組み合わせることにより、位置特定技術および/または位置特定プロセスをどのように有利に組み合わせることができるかを示す。本発明の複合信号タイプ動作で使用するのに適した数学的問題解決法のさらなる説明は、あたかもその全体を記載しているかのように参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6252543号において提供されている。
本発明の一部の実施形態によれば、信号ソースには、地上ベースの送信機と、時間に関して静的位置および/または動的位置を有する宇宙空間ベースの送信機の任意の実施可能な組合せが含まれることが可能である。したがって、本発明による方法およびデバイスは、デジタル・テレビ信号ベースのアプローチを、様々な異なるタイプの移動端末装置、他のシステムの送信機、および/または専用送信機と組み合わせるのに使用するように適合させることができることが、当業者には認識されよう。ただし、便宜上、本明細書で説明する典型的な諸実施形態は、デジタル・テレビ信号アプローチを、米国特許第6252543号において説明するような、慣用の移動遠隔通信網(例えば、セルラー網)および/または既存のGPSのいくつかの態様と組み合わせることに向けられる。
本発明の諸実施形態を、図4の移動端末装置100の概略ブロック図を参照して以下にさらに説明する。図4は、移動無線端末装置100、デジタル・テレビ送信機からのデジタル・テレビ信号170、GPS信号175、および基地局ダウンリンク/アップリンク信号180を示す。移動端末装置100は、キーボード/キーパッド105と、ディスプレイ110と、スピーカ115と、マイク120と、ネットワーク・トランシーバ125と、プロセッサ140と通信するメモリ130とを含むことが可能である。ネットワーク・トランシーバ125は、通常、送信機回路150と受信機回路145とを含み、回路150は、発信無線周波数信号を基地局26に送信し、回路145は、着信無線周波数信号を基地局26から受信することをそれぞれ、アンテナ165を介して行う。単一のアンテナ165を図4に示すが、受信される信号のタイプに基づき、複数のアンテナ、および/または異なるタイプのアンテナを利用することもできることを理解されたい。移動端末装置100と基地局26の間で伝送される無線周波数信号は、別の相手、または別の宛先と通信を確立し、維持するのに使用され、アップリンク通信および/またはダウンリンク通信を提供することができる、トラフィック信号と制御信号(例えば、ページング信号/着信コールに関するメッセージ)の両方を含むことが可能である。ただし、本発明は、そのような双方向通信システムに限定されない。
移動端末装置100の以上のコンポーネントは、多くの慣用の移動端末装置内部に含まれることが可能であり、以上のコンポーネントの機能は、一般に、当業者には周知である。本明細書で使用する、「移動端末装置」という用語には、マルチライン・ディスプレイを有する、または有さないセルラー無線電話機、セルラー無線電話をデータ処理機能、ファクシミリ機能、およびデータ通信機能を組み合わせることが可能なPCS(パーソナル・コミュニケーションズ・システム)、無線電話、ポケットベル、インターネット/イントラネット・アクセス、Webブラウザ、オーガナイザ、カレンダ、および/またはGPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信機を含むことが可能なPDA(パーソナル・データ・アシスタント)、および無線電話トランシーバを含む慣用のラップトップ受信機および/またはパームトップ受信機または他の機器が含まれることが可能であることを理解されたい。
図4の移動端末装置100内部には、DTV(デジタル・テレビ)受信機155およびGPS受信機160も示されている。DTV受信機155は、プロセッサ140と協働して、デジタル・テレビ送信機から受信されたデジタル・テレビ信号を処理するように構成されたテレビ信号処理回路を提供する。DTV受信機は、受信されたDVT信号を鑑賞のためにモニタに供給するチューナをさらに含む、またはそのようなチューナに関連することも可能である。GPS受信機160は、プロセッサ140と協働して、GPS衛星42から受信された測距信号を処理するように構成された処理回路を提供する。このため、プロセッサ140は、トランシーバ125またはGPS受信機160と組み合わさって、デジタル・テレビ送信機とは異なる代替タイプの送信機から受信された測距信号を処理する、代替タイプの信号処理回路を提供する。ネットワーク・トランシーバ125は、図4に示すとおり、送信機150を含み、ネットワーク・トランシーバ125が、移動端末装置100から、アップリンク・ベースの測距値計算を実行するように構成された(または、そのような計算を行うことができる位置算出回路に関連する)基地局26に、測距信号を伝送するための信号処理をサポートすることを可能にしていることをさらに理解されたい。
図4に示すとおり、移動端末装置100は、1つまたは複数のデジタル・テレビ送信機までの距離測定に基づいて移動端末装置100の位置を推定する位置計算回路135をさらに含み、その推定値は、受信されたデジタル・テレビ信号から導出される。また、距離推定値は、基地局26またはGPS衛星42などの、代替タイプの少なくとも1つの送信機からの信号にも基づいて導出される。位置計算回路135は、結果の距離推定値を遠隔位置算出サーバ(回路)に供給し、遠隔位置算出サーバから移動端末装置100の位置の推定を受け取るようにさらに構成されることが可能である。例えば、遠隔位置算出サーバは、基地局26内、MTSO28内、または移動遠隔通信網20の他のコンポーネント内に実装することができる。他の諸実施形態では、位置計算回路135は、移動端末装置100において、移動端末装置100の位置を推定する計算を実行する。さらに、位置計算回路135とプロセッサ140は、図4の例示では別々のブロックとして示されているが、それらのブロックの機能は、結合して単一のプロセッサにすることも、本明細書で説明する形で動作するように構成された複数の異なるプロセッサおよび/またはハードウェアにわたって分散されることも可能であることを理解されたい。
本発明は、移動端末装置100などの通信デバイスまたは通信システムとして実施することができるが、本発明は、そのようなデバイスおよび/またはシステムに限定されない。代わりに、本発明は、デジタル・テレビ信号を含む、少なくとも2つの異なるタイプのシステムからの測距に適した信号を受信する(または送信する)ように構成された、任意の方法、送信機、通信デバイス、通信システム、またはコンピュータ・プログラム製品として実施してもよい。
図5および図8は、本発明の諸実施形態による、移動端末装置100によって実行されることが可能な諸動作のフローチャートである。本発明の諸実施形態による、移動端末装置の位置を算出することに関連する諸動作を、図5のフローチャートを参照して以下に説明する。図5に示すとおり、デジタル・テレビ信号が、移動端末装置100において1つまたは複数のデジタル・テレビ送信機から受信される(ブロック200)。さらに、デジタル・テレビ信号とは異なる第2の代替タイプの信号が、移動端末装置100において少なくとも1つの他のタイプの送信機から受信される(ブロック205)。
前述したGPS位置特定技術、遠隔通信網ベースの位置特定技術、およびデジタル・テレビ信号ベースの位置特定技術の説明から理解されるとおり、明確な位置ソースによって生成された複数の信号が、いくつかの異なる送信機タイプ・システムのそれぞれから受信されることが可能である。しかし、前述したとおり、移動端末装置の位置の計算は、一般に、距離測定のために使用するのに5つ未満の受信信号を要するが、より多くの受信信号の使用により、向上したパフォーマンスが提供されることが可能である。例えば、GPSシステムでは、測定は、通常、4つのGPS衛星からの測距信号に基づく。このため、本発明の様々な実施形態では、動作には、受信信号の信号品質を評価すること(ブロック210)、および距離推定値を生成する際に使用する受信信号のなかの信号を選択すること(ブロック215)が含まれることが可能である。さらに、ブロック205における諸動作には、デジタル・テレビ信号とは異なる2つ以上の別々のタイプの信号を受信することが含まれることが可能である。例えば、ブロック205において、GPS信号および遠隔通信網ダウンリンク信号が受信されることが可能であり、移動端末装置100に関する位置推定は、2つ、3つ、またはそれより多くの異なるタイプの送信機システムからの距離推定の組合せに基づくことが可能である。
ブロック210における信号品質評価動作は、移動端末装置100において受信された、デジタル・テレビ送信機、GPS衛星、または移動遠隔通信網の基地局から受信された測距信号に適用されることが可能である。さらに、別個の信号品質基準が、各タイプの信号に適用されることも、受信された信号の伝送ソースに関わらず、共通の信号品質基準が適用されることも可能である。本発明の様々な実施形態では、信号品質測定値、および対応する基準は、許容できる最小信号強度と比較された受信信号強度測定値であることが可能である。
本発明の代替の実施形態は、ソースから導出された測距情報を適切に組み合わせることにより位置推定を導出する際に、必要最小限の数より多くの受信信号を利用することができる。例えば、各受信信号ソースからの距離値に、受信信号の信号品質に基づいて重みを付けることができる。一部の実施形態では、各ソースからの距離推定値は、受信信号のS/N(信号対雑音比)によってスケール変更されて(例えば、増倍されて)、位置推定を導出する際に、高品質の信号に基づいて推定された距離により大きい重みを与える。
受信された測距信号の総数が、移動端末装置100の位置を推定する際に使用される距離推定値の数より多い場合、ブロック215で、距離推定値を生成する際に使用される受信信号が選択される。選択は、ブロック210で実行された信号品質評価に基づくことが可能である。このため、1つまたは複数のデジタル・テレビ信号が、ブロック215において、第1の信号品質基準に基づいて選択されることが可能であり、他のタイプの送信機からの1つまたは複数の他の受信信号が、ブロック215において、第2の信号品質基準に基づいて選択されることが可能である。さらなる諸実施形態では、少なくとも1つのデジタル・テレビ信号を含む、受信信号のなかで最良の信号品質を有する複数の受信信号が、ブロック215において識別され、距離推定値は、識別された複数の受信信号だけに関して生成される。例えば、最良の信号品質は、測距において使用するために最も容易/迅速に獲得され、最も信頼できる/再現性のある測定値をもたらすような信号強度、誤り率などを有する信号であることが可能である。
すると、距離値は、選択された信号から生成されることが可能であり、移動端末装置100の位置は、生成された距離値推定を使用して推定されることが可能である(ブロック220)。位置推定は、移動端末装置100において生成されることが可能であり、あるいは、推定を生成する際に使用される情報が、移動端末装置100によって遠隔の場所に伝送され、次に、位置推定が、必要に応じて移動端末装置100に戻されてもよい。本発明のさらなる諸実施形態では、着信時刻などの中間測定値が、遠隔位置算出回路に伝送され、距離値推定などのさらに処理された値が、移動端末装置100において移動端末装置の位置を推定する際に使用するために、移動端末装置100に戻されることが可能である。当業者には一般的に理解されるとおり、信号ソースの位置、および信号ソースの相対的タイミングは、計算がどこで実行されるかに関わらず、移動端末装置100の最終的な位置を計算する際に、一般に、既知でなければならない。測距情報に基づいて最終的な位置を計算するためのそのような方法は、一般に知られているので、本明細書でさらに説明することはしない。
本発明の諸実施形態による諸動作を、図6のフローチャートを参照して以下にさらに説明する。図6に示した諸実施形態の場合、デジタル・テレビ信号、少なくとも1つの他のタイプの送信機からの代替の信号が、実質的に、図5を参照してブロック200および205に関して説明したとおりに、ブロック300および305で受信される。図6のブロック310、315、および320を参照して説明する諸動作は、全体的に、図5のブロック220に関して説明した諸動作と一致し、図6に示した諸実施形態は、図5の諸実施形態を参照して説明した信号品質評価動作および信号選択動作も含むことが可能であるものと理解される。
図6に示すとおり、デジタル・テレビ信号の受信された信号に関する飛行時間、および代替タイプの信号の受信された信号に関する飛行時間が測定される(ブロック310)。飛行時間測定値は、距離値または距離推定値に換算される(ブロック315)。次に、移動端末装置の位置が、距離値を使用して推定されて、デジタル・テレビ信号と1つまたは複数の代替タイプの信号の両方に基づく位置推定が提供される。一般に、3つ以上の距離値が、ブロック315において生成される。
本発明の特定の実施形態では、ブロック310で、単一の時間測定ユニットを使用して、デジタル・テレビ信号と1つまたは複数の代替タイプの信号のそれぞれの飛行時間が測定される。単一の時間測定ユニットは、例えば、位置計算回路135(図4)内部に配置された、そのような単一の時間測定ユニットを生成するための手段によって提供されることが可能である。さらに、特定の実施形態では、移動端末装置100内部で単一の時間測定ユニットを生成し、使用するための手段は、周波数変換器および相関器回路を含むことが可能である。
移動遠隔通信網送信機からのアップリンク信号に基づいて移動端末装置の位置を算出することに関連する諸動作を、図7のフローチャートを参照して以下に説明する。ブロック400、410、415、および420に関連する諸動作は、全体的に、図5のブロック200、210、215、および220に関連して前述したとおりに行われる。ただし、図6に示した諸実施形態の場合、移動端末装置の位置は、移動端末装置において受信されたデジタル・テレビ信号から導出された距離推定値、およびそのような測距動作をサポートするように構成された、移動遠隔通信網20の1つまたは複数の基地局26に、移動端末装置100によって伝送された信号から導出された距離推定値に基づいて推定される。したがって、図7のブロック405における諸動作には、移動端末装置100から1つまたは複数の基地局26に、測距に適したアップリンク・タイプの信号を伝送することが含まれる。
以上のアップリンク・タイプの位置特定システムの説明に鑑みて当業者には理解されるとおり、受信側基地局、または関連する位置算出回路は、アップリンク伝送された測距信号に基づいて、タイミング測定、または他の距離測定を実行することができ、移動端末装置100において位置を推定する際に使用するために、そのような信号を移動端末装置100に戻すことができる。代替として、例えば、受信されたデジタル・テレビ信号から、移動端末装置100において生成された測距値推定が、基地局26、または他の遠隔位置算出回路に送信されて、アップリンク測距信号測定値と組み合わされ、端末装置100の位置の推定が生成されることも可能であり、その推定が、必要に応じて移動端末装置100に戻されることが可能である。さらに、信号品質測定値が、基地局26において受信されたアップリンク測距信号に適用されることが可能であり、図5および図6を参照して前述したとおり、移動端末装置の位置を推定する際にいずれの距離値推定を使用するかを選択する際に、品質基準が、そのような測定値に適用されることが可能である。
次に図8を参照して、アップリンク測距信号を使用する本発明のさらなる諸実施形態を以下に説明する。図8に示した諸実施形態に関して、ブロック500および505の諸動作は、図7のブロック400および405に関連して前述したとおりの形で行われ、さらに説明する必要はない。さらに、ブロック510、515、および520で説明した諸動作は、全体的に、図6のブロック310、315、および320に関連して説明したとおりに行われる。ただし、アップリンク測距信号に関するブロック510における飛行時間測定値は、移動端末装置100から受信側基地局26までの飛行時間を表し、この飛行時間測定は、例えば、基地局26から移動端末装置100に伝送された受信時刻情報、および移動端末装置100と基地局26を同期させるタイミング・オフセットを使用して、基地局26において実行されることも、移動端末装置100において実行されることも可能であることが理解されよう。このため、より一般的には、移動端末装置100から明確な位置の受信機に伝送された信号、または任意のタイプの明確な位置の送信機から、移動端末装置100において受信された信号に基づくすべての測距タイプの測定は、一般に、遠隔の明確な位置に関連するクロックと移動端末装置100のクロックを同期させることに基づくことが可能である。さらに、移動端末装置100の位置を推定する際に使用される、異なる送信機のクロックを、次に、互いに同期させることができる。そのようなクロック同期は、それぞれの位置におけるクロックを調整すること(較正すること)によって、あるいは、位置算出動作において使用するための同期されたクロック値をもたらすようにそれぞれのオフセットを算出することによってもたらされた「仮想」クロックの使用によって提供されることが可能である。
タイミング同期のさらなる利点を適用して、例えば、GPS衛星またはデジタル・テレビ送信機からの受信信号に同期するための探索空間を小さくすることができる。GPS衛星からの信号に関する探索空間を小さくすることに関して、本発明において使用するのに適した典型的な諸動作が、米国特許第6070078号および米国特許第6295023号で説明されており、両特許は、あたかもその全体を記載しているかのように、参照により本明細書に組み込まれている。
本発明の特定の実施形態では、移動端末装置100の位置を特定する際に測距値推定を生成するために受信デジタル・テレビ信号を使用することができるように、そのような信号をより迅速に獲得するため、受信デジタル・テレビ信号の同期シンボルをより効果的に探索することを可能にすることができる、タイミング情報の通信が提供される。このタイミング情報を提供することにより、デジタル・テレビ受信機155が、信号を復調し、その信号が許容できる鑑賞のためのある信号品質基準を満たすことを確実にする、完全には機能しない受信機であることが許されることが可能である。より具体的には、デジタル・テレビ受信機155は、同期バーストの時刻を特定するだけでよく、この特定の機能に関する処理利得は、一般に、相関利得に起因して極めて大きい。この相関利得は、おおよそどこで同期バーストの時刻を探し出すべきかを知ることにより、さらに増加させることができ、これにより、干渉をさらに低減することができる。したがって、デジタル・テレビ受信機155は、普通の動作モードで通常に許されるよりも大きい干渉を容認することができるようにされることが可能である。この干渉は、例えば、隣接するチャネル、およびより強力な近くの送信機から来ることが可能である。非常に狭い時間ウインドウにわたるより長い積分を介して相関利得を増加させることができることにより、テレビ・イメージを観賞するために通常、有するよりも低いチャネル選択性およびフロントエンド直線性を有するデジタル・テレビ受信機155を使用することができるようになることが可能である。これにより、移動端末装置100において使用するためのデジタル・テレビ受信機155のより単純で、より安価なインプリメンテーションがもたらされることが可能である。
例えば、より弱いデジタル・テレビ信号を、長い相関時間にわたってより容易に相関させ、平均することが可能であり、探索される必要があるタイムシフトの数を減らすことにより、可能なタイムシフトの範囲全体にわたる探索に要する時間が短縮される。したがって、非常にわずかな追加の事前選択フィルタリングしか伴わずに、特に、セルラー受信機(WCMDAセルラー受信機などの)を含む移動端末装置100との組合せで、関連するハードウェアの費用の大幅な削減を実現することができる。
そのような利点は、移動端末装置100に可視であるデジタル・テレビ送信機に関連する同期バースト情報の相対的なタイミングおよび/または位相を提供することにより、本発明に従って提供されることが可能である。タイミング情報、およびその情報に関する複数の時間基準を送信するのに、様々なアプローチをうまく利用することができる。例えば、タイムシフト情報は、セルラー通信チャネルを介して送信されることが可能であり、時間基準は、TDMAシステムおよびCDMAシステムにおいて見られる、マルチフレーム・バーストの始まりなどの、セルラー・チャネルの何らかの固有なタイミング特徴に相対的になるようにすることができる。タイムシフト情報は、代替として、そのようなセルラー・チャネルを介して送信された後、強力なデジタル・テレビ信号のタイミング、または信号同期バースト時間位置に相対して使用されることも可能である。さらなる諸実施形態では、タイムシフト情報は、デジタル・テレビ信号自体を介して伝送されることも可能であり、そのデジタル・テレビ信号に関する同期バースト時刻に相対的なタイミング情報であってもよい。さらなる諸実施形態では、タイムシフト情報は、デジタル・テレビ信号を使用して伝送されることが可能であるが、1つまたは複数の基地局マルチフレーム開始点に相対的になるようにされ、それらの局は、関連する基地局識別番号で識別されることが可能である。そのようなタイミング支援は、例えば、米国特許第6070078号においてGPSシステムに関して説明する形で実施することができる。
本発明の特定の諸実施形態では、デジタル・テレビ信号は、他の近くのデジタル・テレビ送信機のチャネルのIDと他のデジタル・テレビ送信機の相対的タイミング情報をともに含むことが可能である。他のデジタル・テレビ送信機群に加えて、またはそれらの代わりに、デジタル・テレビ送信機の近辺の、無線通信網に関連する測距信号ソースなどの他の測距ソースも同様に識別されることが可能であり、そのようなソースに関する相対的タイミング情報も提供されることが可能である。そのような実例では、デジタル・テレビ送信機によるこのID情報およびタイミング情報のブロードキャストにより、受信機が、無線通信システムの加入者である、または無線通信システムに登録していることなしに、そのようなソースからの測距信号を利用することができるようになることが可能である。
図4ないし図8のフローチャート、流れ図、およびブロック図は、本発明の諸実施形態に従って移動端末装置の位置を推定するためのシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能なインプリメンテーションのアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の中の各ブロックは、指定された論理的動作を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、コードのモジュール、セグメント、または部分を表すことが可能である。また、一部の代替のインプリメンテーションでは、ブロックの中に示した動作は、図に示した順序から外れて行われることも可能であることにも留意されたい。例えば、連続して示した2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはブロックは、ときとして、関与する機能に依存して、逆の順序で実行されてもよい。
図面および本明細書では、本発明の通常の例示的な諸実施形態を開示しており、特定の用語を使用しているが、それらの用語は、限定する目的においてではなく、単に一般的な、記述的な意味で使用しており、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載している。