JP2006501249A - ワクチン - Google Patents
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Abstract
この発明は、IL−13の中和により治療可能な疾患、例えばCOPD、喘息および、花粉症、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアトピー性疾患、の治療におけるIL−13ワクチンおよびそれらの使用に関する。この発明のワクチンは、IL−13免疫原と、サポニンおよびLPSの非毒性誘導体の組合せであるアジュバント組成物とを含む。この発明はさらに、そのような免疫原を含む医薬組成物、医療へのそれらの使用、およびそれらを製造する方法に関する。
Description
本発明は、IL−13の中和により治療可能な疾患、例えばCOPD、喘息および、花粉症、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアトピー性疾患の治療における、IL−13ワクチンおよびそれらの使用に関する。本発明のワクチンは、IL−13免疫原、およびサポニンとLPSの非毒性誘導体の組合せであるアジュバント組成物を含む。本発明はさらに、前記免疫源を含む医薬組成物、医療へのそれらの使用、およびそれらの製造方法に関する。
COPDは呼吸器管疾患を指す包括的な用語であり、喘息に類似した症状を示し、同一薬により治療される。COPDは慢性、進行性、かつ大部分は回復不能な気流閉塞により特徴付けられる。該疾患の経過に対する個体の寄与は知られていないが、この症例の原因の90%は喫煙であると考えられている。症状には、咳、慢性気管支炎、息切れ、および呼吸器充血が含まれる。最終的にこの疾患は重篤な身体障害および死を招く。
喘息は慢性的肺疾患であり、下気道の炎症を原因とし、再発性の呼吸障害により特徴付けられる。患者の気道は症状がない時でさえ、常にある程度鋭敏でありかつ腫れているかまたは炎症を起こしている。炎症は気道を狭め、肺の内外の空気の流れを減少させ、呼吸困難にし、喘鳴、胸苦しさおよび咳に導く。喘息はアレルゲン(例えばチリダニ、花粉、カビ)、刺激原(例えば煙、蒸気、強力な臭気)、呼吸器感染、運動および乾燥した天候に対する高感受性が誘因となる。そのような誘因は気道を刺激し、気道の内層はなおさら炎症することで腫れあがり、そして粘液が気道を塞ぎ、呼吸が困難かつ圧迫状態になるまで気道の周りの筋肉が締め付けられ、喘息の症状が現れる。
アトピー性疾患は、遺伝性でありかつしばしば同時に起こる疾患群を指し、喘息および花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギーを含む。アトピー性皮膚炎は、皮膚に影響する慢性疾患である。アトピー性皮膚炎において、皮膚は極端に痒みを生じ、炎症し、発赤し、腫れあがり、ひび割れ、滲出し、痂皮化し、そして皮がむける。アトピー性皮膚炎はほとんどの場合乳児および幼い子供に影響するが、青年期まで続くかまたは後年になって初めて現れる可能性がある。ほとんどの場合、病状の再燃または発赤と呼ばれる疾患が悪化する期間と、それに続く寛解と呼ばれる皮膚が完全に改善または治癒する期間が存在する。アトピー性皮膚炎を有する多くの子供は、彼らが年をとる際に疾患の永久的な寛解を経験するが、彼らの皮膚は多くの場合、乾燥し、かつ刺激を受け易いままである。環境的要因は、アトピー性疾患の形質を遺伝した個体の生活において、常にアトピー性皮膚炎の症状をもたらし得る。アトピー性皮膚炎はしばしば「湿疹」と称され、多くのタイプの皮膚炎に対する一般的用語である。アトピー性皮膚炎は、多くのタイプの湿疹の最も共通するものである。いくつかは非常に似通った症状を有する。
皮膚がアトピー性皮膚炎に冒される仕方は、ひっ掻きの種類と、それによる皮膚感染症によって変化し得る。この疾患を有する一部の人は、赤く皮がむけた皮膚を発症し、皮膚における免疫系が非常に活性化されている。他の者は頻繁に掻きそして擦る結果として、厚く堅い皮膚を発症する。この状態を苔癬化と呼ぶ。さらに他の者は皮膚上に丘疹、または小さく隆起したこぶを発症する。丘疹は掻かれると、口が開き(擦傷)そして痂皮化し、感染し得る。
多くの要因または条件がアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる可能性があり、すでに皮膚で過剰活性な免疫系をさらに誘発し、掻痒周期を悪化させ、皮膚へのダメージが増加する。これらの悪化要因は2つの主要なカテゴリー:刺激原(羊毛または合成繊維、目が粗い若しくは肌に合わない衣類、石鹸および洗剤、一部の香水および化粧品、塩素、鉱油、一部の溶媒、埃または砂など)とアレルゲン(花粉、犬または猫のふけ、およびチリダニアレルゲンなど)に分類することができる。情動的要因および一部の感染もアトピー性皮膚炎に影響し得る。
アトピー性皮膚炎による発赤が生じた場合、いくつかの手段を症状の治療に用いることができる。局所的なクリームとしてコルチコステロイドが最も頻繁に使用される治療剤であるが、全身投与も一部の重い症例の場合に使用されている。時には市販の製剤が用いられるが、多くの場合、医師はより強力なコルチコステロイドのクリームまたは軟膏を薦めるであろう。共通して推薦されるコルチコステイドの一例はプレドニソンである。局所的なコルチコイドの繰返しまたは長期にわたる使用の副作用には、皮膚の薄化、感染、(子供における)成長抑制、および皮膚上の張り線(stretch marks)が含まれ得る。皮膚感染を治療する抗生物質は、軟膏中で直接皮膚に塗布し得るが、通常は口から摂取する場合がより効果的である。紫外線AまたはB光波、あるいは両方を同時に用いる光線療法(光による治療)は、ある程度の年のいった子供(12歳以上)および成人における皮膚炎を穏やかに和らげるための治療に効果的であり得る。成人において、シクロスポリンなどの免疫抑制剤も、他のあらゆる療法形態による対応に失敗している重症のアトピー皮膚炎の治療に用いられている。シクロスポリンの副作用は高血圧、吐気、嘔吐、腎機能障害、頭痛、刺痛もしくはしびれ、および癌や感染の可能な危険性の増加を含み得る。
したがって不満足な医療に対するニーズと治療に存在する副作用のために、一般にアトピー性疾患の代替的な治療のニーズ、および特に喘息およびアトピー性皮膚炎の治療のためのニーズがある。
IL−13はIL−4と密接に関連するTh2型サイトカインである。近年の多くの論文で、推進的な病理学において、アレルゲン性喘息のオボアルブミンモデルにおけるIL−13の役割が規定されている(Wills-Karpら, 1998, Science 282:2258-2261; Grunigら, 1998, Science 282:2261-2263)。この研究の中で、オボアルブミンに予め感作されたマウスに、IL−13と結合し、かつ中和する可溶性IL−13レセプターを注射した。処置群において、アセチルコリンチャレンジに対する気道過敏症を減少させた。組織分析は、処置されたマウスがコントロール中に見られる杯状細胞の化生(metaplasia)を回復したことを示した。補完的な実験においては、肺のIL−13レベルは、トランスジェニックマウス中で過剰発現させることによって、または野生型マウスの気管にタンパク質を注入することによって高められた。いずれの設定においても、気道過敏症、好酸球の浸潤および粘液産生の増加が見られた(Zhuら, 1999, J.Clin.Invest. 103:779-788)。
成熟型ヒトIL−13の配列を配列番号1に記載し、また図1に示す。
成熟型マウスIL−13の配列を配列番号2に記載し、また図2に示す。
数種の哺乳動物種およびヒト以外の霊長類由来のIL−13の配列を図3および図4(配列番号3〜9)に示す。
モノクローナル抗体の産生、投与および寛容に関連する種々の問題の結果から、ワクチン接種により、患者自身の免疫系に、適切な特異性を有する内因性の抗体を作るように指示する方法に注目が増している。しかし、哺乳動物は、血清中に存在する自己タンパク質に対する高力価の抗体を一般的に有しておらず、これはその免疫系がそれらの形成を妨げる恒常性機構を含むからである。抗体の「寛容」メカニズムの重要性は、骨格筋のニコチン性アセチルコリンレセプターに対する自己抗体が脱力感および疲労を引き起こす重症筋無力症などの疾患によって説明される(Drachman, 1994, N Engl J Med 330:1797-1810)。
多くの技術が自己抗原に対する「寛容」を破壊する目的で構築されている。1つの技術は、自己タンパク質(またはそれに由来するペプチド)をキーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin)などの高免疫原性キャリアータンパク質に化学的に交差結合することを含む(「Antibodies: A laboratory manual」 Harlow, E and Lane D. 1988. Cold Spring Harbor Press)。
キャリアータンパク質技術の変形は、キャリアータンパク質(例えばB型肝炎コアタンパク質)と自己タンパク質(「免疫原性ペプチドのキャリアーとしてのB型肝炎ウイルスのコア抗原(The core antigen of hepatitis B virus as a carrier for immunogenic peptide)」,Biological Chemistry. 380(3):277-83, 1999)の両方を含む融合タンパク質をコードする遺伝子の構築を含む。融合遺伝子は核酸ワクチンの一部として直接的に投与されてもよい。あるいは、該遺伝子は、適当な宿主細胞中でin vitroで発現されてもよく、遺伝子産物は精製され、その後、アジュバントとともにまたはアジュバントなしで、慣用のワクチンとして送達される。
別の手法がDalumと共同研究者により記載されており、ここでは単一のMHCクラスIIによって制限されたエピトープを標的分子に挿入する。彼らはユビキチン(Dalumら, 1996, J Immunol 157:4796-4804; Dalumら, 1997, Mol Immunol 34:1113-1120)およびサイトカインTNF(Dalumら, 1999, Nature Biotech 17:666-669)に対する抗体を誘導するためのこの方法の使用を実証した。その結果、全てのT細胞ヘルプは、この単一エピトープまたは接合部配列のいずれかから生じるはずである。そのような手法はEP 0 752 886 B1, WO 95/05849、およびWO 00/65058でも記載されている。
一部にワクチン接種を包含する、数種のサイトカインの中和のための治療法が公知である。WO 00/65058は、サイトカインIL−5の機能をダウンレギュレートする方法、および喘息の治療におけるその使用を記載する。この研究において、IL−5配列が、いくつかの技術によりそれを免疫原性にさせるよう改変され、その中に、IL−5のB細胞エピトープを維持しつつ、外来のT細胞エピトープが補充されたIL−5免疫原の記載がある。WO 01/62287は、潜在的抗原の長いリスト中に、アレルギーまたは喘息ワクチンの使用のためのIL−13を開示している。WO 00/06937はワクチン抗原として使用するために機能的に不活性化されたサイトカイン誘導体を開示している。キメラIL−13免疫原は、同時係属の特許出願WO 02/070711に開示されている。
慢性の喘息およびCOPDの現在の治療法は、治療薬の頻繁かつ規則的な投与を要求し、短時間作用の治療の場合、β2作動剤は一日当り数回要求され得る。そのような頻回投与を要求しない改良された治療法、および中和する抗IL−13免疫応答を高める改良されたワクチンに対するニーズがある。
発明の概要
本発明は喘息またはCOPDの治療のための新規なワクチン製剤を提供し、該製剤は、ワクチン接種を受けた個体において、自己のIL−13に対する免疫応答を生じさせることが可能な免疫原と、サポニンおよびLPSの非毒性誘導体の組合せを含むアジュバント組成物とを含む。
本発明は喘息またはCOPDの治療のための新規なワクチン製剤を提供し、該製剤は、ワクチン接種を受けた個体において、自己のIL−13に対する免疫応答を生じさせることが可能な免疫原と、サポニンおよびLPSの非毒性誘導体の組合せを含むアジュバント組成物とを含む。
好ましくは、ワクチン製剤は改変された「自己」のIL−13免疫原であって、該IL−13免疫原が外来のT細胞ヘルパーエピトープを含むよう改変されている上記免疫原を含む。ワクチンは好ましくはヒトの治療において使用され、そしてこの組成物中のIL−13配列は、ヒト配列、またはヒトIL−13を認識する免疫応答を生じさせることが可能な他の配列であり、T細胞ヘルパーエピトープはヒト自己タンパク質について「外来」である。好ましくはTヘルパーエピトープも別の種由来の別のIL−13配列について外来である。しかし、動物用の医薬品を除外せず、例えばイヌまたは他の獣医学種の医薬品は、ヒトワクチンについて上述したものと類似した様式で作製され得る。
医療への前記ワクチンの使用は本発明により提供される。本発明のワクチン、あるいは本明細書中に記載される免疫原およびアジュバンドの組合せは、喘息またはCOPDの治療のための医薬の製造において使用され、かつ喘息またはCOPDの新規治療方法において使用される。本発明により、本発明のワクチンを製造する方法も提供される。
本発明の全ての態様において、ワクチン接種を受けた個体において、自己IL−13に対する免疫応答を生じさせることが可能な免疫原が存在する。ヒト喘息ワクチンの場合、該免疫原は、本発明のワクチン中に製剤化される際に、抗ヒトIL−13免疫応答を生じさせることが可能な全ての免疫原である。好ましくは、免疫応答は抗体応答であり、最も好ましくは、喘息疾患におけるIL−13の生物学的作用を中和するIL−13中和抗体応答である。
本発明の組成物はIL−13免疫原を含み、T細胞ヘルプを提供するための付加的要素、およびサポニンとLPSの非毒性誘導体を含むアジュバントの組合せを含んでもよい。
免疫原
本発明のワクチンは、IL−13に対して免疫応答を引き起こす免疫原を含み、そしてIL−13に対応するポリペプチド配列(IL−13要素)を含んでもよく、T細胞ヘルプを提供する付加的要素をさらに含んでもよい。
本発明のワクチンは、IL−13に対して免疫応答を引き起こす免疫原を含み、そしてIL−13に対応するポリペプチド配列(IL−13要素)を含んでもよく、T細胞ヘルプを提供する付加的要素をさらに含んでもよい。
IL-13要素
最も広い形態のIL−13要素とは、IL−13の生物学的作用を認識し、かつ中和する免疫応答を推進することが可能な全ての配列である。好ましくは、該IL−13はヒトIL−13である。
最も広い形態のIL−13要素とは、IL−13の生物学的作用を認識し、かつ中和する免疫応答を推進することが可能な全ての配列である。好ましくは、該IL−13はヒトIL−13である。
本発明のこの関連において、IL−13の完全な配列、またはその機能的に同等のフラグメントを用いてもよい。したがって、本文中でのIL−13の参照は、完全配列、その断片または末端切断型を含み得る。
IL−13要素は、天然のIL−13配列またはその突然変異型を含むことができる。したがって、IL−13配列は、例えば天然ヒトIL−13またはその断片であり得る。
本発明のワクチンは、自己タンパク質に対する免疫応答を引き起こすためのものであるので、本発明の免疫原は、好ましくはヒトIL−13、またはその免疫原性断片を含み、「自己」環境(すなわち、免疫原としてヒトタンパク質配列を用いたヒトのワクチン接種における使用)において免疫原性となっている。
本発明のそのような一実施形態において、免疫原はキメラIL−13配列を含み、該キメラIL−13配列には、1以上のヒト配列アミノ酸を、別の哺乳動物種由来のIL−13配列内の同じ位置で見られる同等のアミノ酸に取り替えるための置換突然変異が含まれる。ヒトワクチンの免疫原に関し、キメラ配列の目的は、免疫原とヒト天然IL−13との間でアミノ酸配列の多様性を最大にすることであるが、2種の組成間で最大限の形状およびコンホーメーションの相同性は維持される。キメラ免疫原は、表面に露出しないと予想される領域でみられるアミノ酸の置換によってこれを達成する。最も好ましくは、このアミノ酸は、他の哺乳動物種由来のIL−13配列内での同等の位置でみられるアミノ酸配列で置換される。この方法において、配列の多様性は、免疫原の全体的な形状/立体構造への最小の変化により達成される。
本発明の一態様において、ヒトIL−13免疫原は、αへリックス領域に関連する領域中の置換突然変異を含み、該置換はヒトアミノ酸を、異なる哺乳動物種のIL−13配列内の同一位置に現れるアミノ酸配列で置換することを含む。
最も好ましくは、IL−13配列内の複数の部位で置換突然変異が存在し、ここで少なくとも2以上の突然変異部位が、ヒト以外の異なる哺乳動物種からのアミノ酸を含む置換、より好ましくは、ヒト以外の異なる3以上の哺乳動物種からのアミノ酸を含む置換、および最も好ましくは、ヒト以外の異なる4以上の哺乳動物種からのアミノ酸を含む置換を含む。
好ましくは、ヒトIL−13の配列における置換は、異種間の高保存領域:3PVP, 12ELIEEL, 19NITQ, 28LCN, 32SMVWS, 50SL, 60AI, 64TQ, 87DTKIEVA, 99LL, 106LF、の少なくとも6ヶ所では生じない。
本発明のワクチンの好適なIL−13要素は、天然ヒトIL−13と類似するコンホーメーション形を有するヒトキメラIL−13配列であり、ヒトに投与された際にその免疫原性を高めるために十分なアミノ酸配列の多様性を有しており、該キメラIL−13免疫原が、
(a) 以下のαへリックス領域:
PSTALRELIEELVNIT (配列番号40)、 MYCAALESLI (配列番号41)、KTQRMLSGF (配列番号 42) またはAQFVKDLLLHLKKLFRE (配列番号43)、の少なくとも2ヶ所に置換突然変異を含む、
(b) 以下の異種間の高保存領域、3PVP, 12ELIEEL, 19NITQ, 28LCN, 32SMVWS, 50SL, 60AI, 64TQ, 87DTKIEVA, 99LL, 106LF、の少なくとも6ヶ所を非突然変異形態で含む、および
(c) 場合により、残りのアミノ酸のいずれかに突然変異を含む、
(ここで、工程a、bまたはcで行われた全ての置換が構造保存置換である)ヒトIL−13の配列を有することを特徴とする。
(a) 以下のαへリックス領域:
PSTALRELIEELVNIT (配列番号40)、 MYCAALESLI (配列番号41)、KTQRMLSGF (配列番号 42) またはAQFVKDLLLHLKKLFRE (配列番号43)、の少なくとも2ヶ所に置換突然変異を含む、
(b) 以下の異種間の高保存領域、3PVP, 12ELIEEL, 19NITQ, 28LCN, 32SMVWS, 50SL, 60AI, 64TQ, 87DTKIEVA, 99LL, 106LF、の少なくとも6ヶ所を非突然変異形態で含む、および
(c) 場合により、残りのアミノ酸のいずれかに突然変異を含む、
(ここで、工程a、bまたはcで行われた全ての置換が構造保存置換である)ヒトIL−13の配列を有することを特徴とする。
列挙されたアミノ酸に対する数字の接頭辞は、成熟型ヒトIL−13アミノ酸配列の位置番号を指し、第1の残基「G」に番号2を割り付ける。
上述のキメラIL−13要素の工程(a)に関し、好ましくは少なくとも2ヶ所、より好ましくは少なくとも3ヶ所、そして最も好ましくは4ヵ所全てのαへリックス領域が、少なくとも1の置換突然変異を含む。工程(b)に関し、前記領域の好ましくは少なくとも7ヶ所、より好ましくは少なくとも8ヶ所、より好ましくは少なくとも9ヶ所、より好ましくは少なくとも10ヶ所、そして最も好ましくは11ヵ所全ての領域が突然変異されていない。
好ましくは、上述のキメラIL−13要素におけるそれらの置換または突然変異の50%以上が、ヒト以外のIL−13配列内の同等位置からのアミノ酸を含む。より好ましくは、置換の60、70または80%以上が、ヒト以外の哺乳動物のIL−13配列内の同等位置からのアミノ酸を含む。最も好ましくは、置換または突然変異の各々が、ヒト以外の哺乳動物のIL−13配列内の同等位置からのアミノ酸を含む。
さらにキメラヒトIL−13要素に関し、好ましくはそれらの置換または突然変異の50%以上が、立体構造中のαへリックスであると予想されるヒトIL−13の領域内で生じる。より好ましくは、該置換または突然変異の60、70または80%以上が、立体構造中のαへリックスであると予想されるヒトIL−13の領域内で生じる。最も好ましくは、置換または突然変異の各々が、立体構造中のαへリックスであると予想されるヒトIL−13の領域内で生じる。
さらにキメラヒトIL−13要素に関し、好ましくは該ヒトIL−13配列が合計で2〜20個の置換、より好ましくは6〜15個の置換、そして最も好ましくは13個の置換を含む。
ヒトIL−13ワクチンの場合、IL−13免疫原はオーソロガスなIL−13配列(マウスのIL−13配列など)を基礎とすることができ、該マウスのB細胞エピトープ(表面に露出した領域)は、同等のヒト配列に置換される。この実施形態において、マウスの「主鎖(backbone)」は、外来のT細胞エピトープ、さらにキメラ配列の末端または配列内のいずれかに付加される補足的で雑多な(promiscuous)T細胞エピトープ(P2またはP30など)を提供する。
本発明のワクチンに使用するための好適なキメラヒトIL−13免疫原は、ヒトIL−13の配列を含み、そのアミノ酸配列は、ヒト以外の種のIL−13配列内の同等位置、すなわち8T, 11R, 18V, 49E, 62K, 66M, 69G, 84H, 97K, 101L, 105K, 109E, 111Rの13ヶ所の少なくとも6ヶ所、に存在するアミノ酸の特性を示す置換または保存的置換を含む。最も好ましくは、そのようなキメラヒトIL−13免疫原は以下の置換の少なくとも6個、好ましくは全てを含む。
これらの列挙された置換のそれぞれを含むキメラIL−13は、好適なIL−13免疫原(免疫原1、配列番号10)であり、図5に示されている。別の非常に好ましいIL−13免疫原は免疫原11(配列番号20、図15参照)、免疫原12(配列番号21、図16参照)および免疫原13(配列番号22、図17参照)である。
IL−13要素は、場合により、免疫原の生物学的活性を破壊する突然変異をさらに含んでいてもよい。以下の置換はヒトIL−13の生物活性を不活性化するのに用いることができる:E 12からI, SまたはY; E12からK; R 65からD;S 68からD; R 108からD。
本発明の特定の態様において、天然IL−13配列の免疫原性フラグメントは、B型肝炎コア粒子における免疫原性ペプチドの提示、または上述のキメラ免疫原との関連において使用されうる。これらの関連において、ヒトIL−13配列の免疫原フラグメントは、好ましくはヒトIL−13配列中にB細胞エピトープを、好ましくは下記の短い配列:
GPVPPSTA (配列番号44)
ITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGM (配列番号45)
INVSGCS (配列番号 46)
FCPHKVSAGQFSSLHVRDT (配列番号47)
LHLKKLFREGRFN (配列番号48)
の1以上を含む。
GPVPPSTA (配列番号44)
ITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGM (配列番号45)
INVSGCS (配列番号 46)
FCPHKVSAGQFSSLHVRDT (配列番号47)
LHLKKLFREGRFN (配列番号48)
の1以上を含む。
本発明のポリペプチドは、例えばアミノ酸の置換、挿入または欠失などの突然変異により、所望の性質(精製を容易にするまたは免疫原性を増加するシーケンスタグの付加など)を付加するために、あるいは所望でない性質(受容体における望ましくない作動活性など)もしくは膜貫通ドメインを除去するために、さらに改変されてもよい。特に本発明はポリヒスチジンタグなど精製を容易にする融合パートナーまたは発現を高めるGST発現パートナーを具体的に意図している。好適なタグまたは発現パートナーは、IL−13分子のC末端と融合されるヒトIgG1の免疫グロブリンFCである。
生物種間の高い保存性レベルのために突然変異されないままの領域を除き、他の突然変異はIL−13配列中で生じてもよい。好ましくはそのような突然変異は保存的置換である。「保存的置換(conservative substitution)」は、アミノ酸が、ペプチド化学の分野の当業者が実質的に未変化のポリペプチドの二次構造およびヒドロパシー特性(hydropathic nature)を予想し得るような、類似の性質を有する他のアミノ酸に置換されるものをいう。
例えば、特定のアミノ酸は、タンパク質構造中で、例えば抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位などの構造との相互作用的な結合能の認知され得る欠失を伴わない他のアミノ酸によって置換されてもよい。そのタンパク質の生物学的な機能活性を規定するのはタンパク質の相互作用能および性質であるため、特定のアミノ酸配列の置換は、タンパク質配列中、およびもちろんその根底にあるDNAコード配列中で作ることができ、それでもなお類似の性質を有するタンパク質を獲得させる。したがって、多様な変化を、開示される組成物のペプチド配列、またはそれらの生物学的有用性または活性の認知され得る欠失を伴わない該ペプチドをコードする対応するDNA配列中に作製し得ることが意図される。
そのような変化を作製する場合、アミノ酸のヒドロパシー指数(hydropathic index)が考慮されてもよい。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を与える場合、アミノ酸のヒドロパシー指数の重要性は当業界で一般によく理解されている(KyteおよびDoolittle、1982、参照により本明細書中に組み入れる)。アミノ酸の相対的なヒドロパシー特性が、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、次にその二次構造によって、別の分子、例えば酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原などと該タンパク質との相互作用を規定することが受け入れられている。各アミノ酸は、その疎水度および電荷特性に基づくヒドロパシー指数が割り付けられている(Kyte およびDoolittle, 1982)。それらの値は:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
特定のアミノ酸が、類似するヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換され、その結果類似する生物学的活性を有するタンパク質が生じる、すなわち、生物学的に同等機能のタンパク質が依然として得られることは当業界で公知である。そのような変化を作る場合、そのヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸の置換が特に好ましく、そして±0.5以内のアミノ酸の置換がなお一層特に好ましい。同類のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的にされ得ることも当業界で理解されている。米国特許4,554,101(特にその全体を参照により本明細書中に組み入れる)は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の局所的な最大平均親水性は、そのタンパク質の生物学的性質と相関することを述べている。
米国特許4,554,101で詳述されているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に対して割り付けられている:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+3.0);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸を類似する親水値を有する他のアミノ酸に置換することができ、そしてなおも生物学的同等物、特に、免疫原的に同等なタンパク質を得ることは理解されている。そのような変化において、その親水性値が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸の置換が特に好ましく、±0.5以内のアミノ酸の置換がなお一層特に好ましい。
上で概説したように、アミノ酸置換はそれゆえ、アミノ酸側鎖の置換基の相対的類似性、例えばそれらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づくのが一般的である。前述の様々な特性を考慮に入れた例示的な置換は当業者によく知られており、これには、アルギニンとリシン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セリンとトレオニン;グルタミンとアスパラギン;ならびにバリンとロイシンとイソロイシンが含まれる。これらは好適な保存的置換である。
アミノ酸置換はさらに、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性質の類似性に基づいて行われてもよい。例えば負電荷のアミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ、正電荷のアミノ酸にはリシンおよびアルギニンが含まれ、そして類似する親水性値を有する非電荷の極性頭部基(polar head group)を有するアミノ酸にはロイシンとイソロイシンとバリン;グリシンとアラニン;アスパラギンとグルタミン;およびセリンとトレオニンとフェニルアラニンとチロシンが含まれる。保存的変化を示し得る他のアミノ酸グループには、(1)ala, pro, gly, glu, asp, gln, asn, ser, thr;(2)cys, ser, tyr, thr;(3) val, ile, leu, met, ala, phe;(4)lys, arg, his;および(5)phe, tyr, trp, hisが含まれる。
T細胞ヘルプを付与する要素
本発明の一態様において、IL−13免疫原はT細胞ヘルプを付与するための付加要素をさらに含んでもよい。
本発明の一態様において、IL−13免疫原はT細胞ヘルプを付与するための付加要素をさらに含んでもよい。
したがって、本発明のワクチンへの使用のための免疫原は、改変されたヒトIL−13免疫原を含むことができ、ここで該ヒトIL−13配列は外来のT細胞ヘルパーエピトープを含むよう改変されている。このT細胞ヘルパーエピトープは好ましくはヒトタンパク質について「外来」であり、また好ましくは、ヒト以外の哺乳動物由来の全てのIL−13配列について外来である。
好ましくは、T細胞ヘルパーエピトープは小さいものであり、かつ合成、組換えもしくは分子生物学的手段による、IL−13配列の内部または末端での付加または置換事象によってIL−13配列に付加される。代替的に、T細胞ヘルパーエピトープは、IL−13ポリペプチドと、T細胞ヘルパーエピトープを含むキャリアータンパク質との化学的結合によって付加されてもよい。IL−13配列、またはその機能的に同等なフラグメントは、融合タンパク質内でT細胞ヘルパーエピトープと結合していてもよく、ここでその2つは、例えばIL−13配列を取り込むB型肝炎コアタンパク質のように、ともに組換え的に製造される。
小さなT細胞ヘルパーエピトープが使用される本発明の態様において、「外来のT細胞ヘルパーエピトープ」または「T細胞エピトープ」は、MHC II分子と結合し、動物種内でT細胞を刺激することができるペプチドである。好適な外来T細胞エピトープは雑多な(promiscuous)エピトープ、すなわち動物種または集団中で複数の異なるMHCクラスII分子と結合するエピトープである(Panina-Bordignonら, Eur.J.Immunol. 1989, 19:2237-2242;Reeceら, J.Immunol. 1993, 151:6175-6184; WO 95/07707)。
本発明の免疫原が複雑な非近交系のヒト集団において臨床的に効果的であるために、数種の外来T細胞エピトープを含ませることが有利であり得る。雑多なエピトープはこれと同様の効果を達成する別の方法であってもよく、これには破傷風トキソイド(例えばP2とP30エピトープ)、ジフテリアトキソイド、インフルエンザウイルスのヘムアグルチニン(HA)およびP.falciparumのCS抗原由来のものなどの天然のヒトT細胞エピトープが含まれる。本発明に用いるための最も好適なT細胞エピトープは、破傷風トキソイド由来のP2とP30である。
多くの雑多なT細胞エピトープは文献に記載されており、これにはWO 98/23635; Southwoodら, 1998 J. Immunol., 160: 3363-3373; Sinigagliaら, 1988, Nature, 336: 778-780; Rammenseeら, 1995, Immunogenetics, 41: 4, 178-228; Chiczら, 1993, J. Exp. Med., 178:27-47; Hammerら, 1993, Cell 74:197-203;および Falkら, 1994, Immunogenetics, 39: 230-242が含まれる。雑多なT細胞エピトープは、「PADRE」(WO 95/07707)などの人工配列でもあり得る。
異種T細胞エピトープ(heterologous T-cell epitope)は、好ましくは、ヒト体内で多くの個体が発現しているMHC II分子の1以上と結合するエピトープ群から選択される。例えば、特に意図されているエピトープは破傷風トキソイド由来のP2またはP30エピトープである(Panina - Bordignon Eur. J. Immunol 19 (12), 2237 (1989))。好適な実施形態において、異種T細胞エピトープは破傷風トキシン由来のP2またはP30エピトープである。
P2エピトープは、QYIKANSKFIGITE配列(配列番号49)を有し、破傷風トキシンのアミノ酸830〜843に対応する。
P30エピトープ(破傷風トキシンの残基947〜967)はFNNFTVSFWLRVPKVSASHLE 配列(配列番号50)を有する。FNNFTV配列は場合によっては欠失されてもよい。普遍的な別のTエピトープはPlasmodium falciparumに由来するスポロゾイト周囲蛋白、特にDIEKKIAKMEKASSVFNVVNS配列(配列番号51)を有する378〜398領域、に由来し得る(Alexander J, (1994) Immunity 1 (9), p 751-761)。
別のエピトープは、残基288〜302でLSEIKGVIVHRLEGV配列(配列番号52)を有する麻疹ウイルスの融合タンパクに由来する(Partidos CD, 1990, J. Gen. Virol 71(9) 2099-2105)。
さらに別のエピトープはB型肝炎ウイルスの表面抗原、特にFFLLTRILTIPQSLD配列(配列番号53)を有するアミノ酸に由来する。
別のエピトープの組はジフテリア毒素に由来する。それらのペプチドの4ヵ所(アミノ酸271〜290、321〜340、331〜350、351〜370)は、該毒素のB断片のTドメイン内に位置し、そして残る2つはRドメイン内に位置する。
PVFAGANYAAWAVNVAQVI (配列番号54)
VHHNTEEIVAQSIALSSLMV (配列番号55)
QSIALSSLMVAQAIPLVGEL (配列番号56)
VDIGFAAYNFVESII NLFQV (配列番号57)
QGESGHDIKITAENTPLPIA (配列番号58)
GVLLPTIPGKLDVNKSKTHI (配列番号59)
(Raju R., Navaneetham D., Okita D., Diethelm-Okita B., McCormick D., Conti-Fine B. M. (1995) Eur. J. Immunol. 25: 3207-14)
T細胞ヘルプを与えるために特に好適な要素は、PCT/EP03/06096で開示される「CPC」(clyta-P2-clyta)と称される融合パートナーである。
VHHNTEEIVAQSIALSSLMV (配列番号55)
QSIALSSLMVAQAIPLVGEL (配列番号56)
VDIGFAAYNFVESII NLFQV (配列番号57)
QGESGHDIKITAENTPLPIA (配列番号58)
GVLLPTIPGKLDVNKSKTHI (配列番号59)
(Raju R., Navaneetham D., Okita D., Diethelm-Okita B., McCormick D., Conti-Fine B. M. (1995) Eur. J. Immunol. 25: 3207-14)
T細胞ヘルプを与えるために特に好適な要素は、PCT/EP03/06096で開示される「CPC」(clyta-P2-clyta)と称される融合パートナーである。
最も好適な外来T細胞ヘルパーエピトープは、宿主免疫系により耐性でない点、およびそれらが別種(ワクチン接種を受けたものでない)由来のあらゆるIL−13配列に由来するまたはそれから選択される配列ではない点で「外来」である。
天然の自己IL−13が免疫原性キャリアーを有するTヘルパーエピトープと結合される本発明の態様において、その結合は当業界で周知の方法で実施され得る。したがって、例えば直接的な共有結合については、カルボジイミド、グルタルアルデヒドまたはN−[γ−マレイミドブチリルオキシ]サクシンイミドエステルを利用すること、CDAPおよびSPDPなどの市販の共通のヘテロ二官能性リンカー(heterobifunctional linker)(製造業者の説明書を用いる)を利用することが可能である。結合反応後、免疫原は透析法、ゲル濾過法、分画法などの手段によって容易に単離および精製される。
本発明の免疫原中で使用されるキャリアーのタイプは、当業者に容易に分かるであろう。本発明中で使用され得る限定的でないキャリアーのリストは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)などの血清アルブミン、破傷風もしくはジフテリア毒素(TTおよびDT)などの細菌性の不活性化毒素、またはその組換え断片(例えば、TTのC断片のドメイン1、DTのトランスロケーションドメイン)、あるいはツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)を含む。代替的にIL−13はリポソーム担体(liposome carriers)と直接コンジュゲートされてもよく、T細胞ヘルプを付与することが可能な免疫原をさらに含んでもよい。IL13対キャリアー分子の好適な比は1:1〜20:1(IL−13:キャリアー)程度であり、そして各キャリアーは3〜15個のIL−13分子を保持することが好ましい。
本発明の一実施形態において、好適なキャリアーはHaemophilus influenzae(EP 0 594 610 B1)由来のタンパク質Dである。タンパク質DはHaemophilus influenzae由来のIgD−結合性タンパク質でありForsgrenがその特許を受けている(WO91/18926、認可EP 0 594 610 B1)。いくつかの状況において、例えば、組換え免疫原発現系においては、タンパク質Dの断片、例えばタンパク質Dの3分の1(タンパク質DのN末端の100〜110アミノ酸を含む(GB 9717953.5))を用いるのが望ましいかもしれない。
IL−13またはその免疫原フラグメントを提供する別の好適な方法は、組換え融合分子に関係する。例えばEP 0 421 635 Bは、ウイルス様粒子中で外来ペプチド配列を提供するためのキメラヘパドナウイルスのコア抗原粒子の使用を記載する。したがって、本発明の免疫原は、B型肝炎コア抗原からなるキメラ粒子中に提供されるIL−13を含んでもよい。さらに、組換え融合タンパク質はIL−13、およびインフルエンザウイルスのNS1などのキャリアータンパク質を含んでもよい。本発明の一部を形成する組換え的に発現される全てのタンパク質において、前記免疫原をコードする核酸も本発明の一態様を形成する。
本発明のワクチンに使用するための好適な免疫原
上述の節において、好適なIL−13要素の定義、および存在する場合にはT細胞ヘルプを付与する要素が説明されている。本発明のワクチン内に組み込まれることが意図される特定の好適な組成物について、本明細書はT細胞ヘルプを付与する要素の節からの個々の好適な各要素とIL−13要素の節からの個々の好適な各要素との組合せを開示することを意図する。特に好適な組合せは、免疫原1,11,12または13と、キャリアータンパク質もしくは雑多なT細胞ヘルパーエピトープとの組合せである。好適なキャリアータンパク質または雑多なT細胞ヘルパーエピトープはタンパク質D、CPC、P2またはP30を含む。
上述の節において、好適なIL−13要素の定義、および存在する場合にはT細胞ヘルプを付与する要素が説明されている。本発明のワクチン内に組み込まれることが意図される特定の好適な組成物について、本明細書はT細胞ヘルプを付与する要素の節からの個々の好適な各要素とIL−13要素の節からの個々の好適な各要素との組合せを開示することを意図する。特に好適な組合せは、免疫原1,11,12または13と、キャリアータンパク質もしくは雑多なT細胞ヘルパーエピトープとの組合せである。好適なキャリアータンパク質または雑多なT細胞ヘルパーエピトープはタンパク質D、CPC、P2またはP30を含む。
好適な免疫原を形成するための開示する要素の特に好適な組合せを下記に列挙する。
IL−13要素が天然ヒトIL−13であり、そしてT細胞ヘルプを付与する要素が雑多なT細胞エピトープである場合、好適な例は免疫原2(図6、配列番号11参照)を含む。この免疫原2にはタンパク質内に挿入されたP30(下線)を有するヒトIL−13が含まれる(ヒトIL−13のαへリックスCとDの間がループ領域に置換される)。
免疫原3(図7、配列番号12)はN末端でP30を有するヒトIL−13免疫原である。
免疫原4(図8、配列番号13)は、タンパク質内に挿入されたp30を有するマウスIL−13であり(マウスIL−13のαへリックスCとDの間のループ領域に置換される)、これはIL−13自己ワクチンのマウス版の一例である。p30領域は下線部である。
免疫原5(図9、配列番号14)はN末端にp30を有するマウスIL−13である。これはIL−13自己ワクチンのマウス版の一例である。p30領域は下線部であり、また成熟マウスのIL−13タンパク質配列のN末端に位置する。
IL−13要素がキメラIL−13免疫原として提供される特定の例は、免疫原6(図10、配列番号15)を含む。これはワクチンのキメラ形態のマウス版の一例であり、N末端に付加されたP30を有し、マウスB細胞の表面に露出したエピトープに移植された「ヒト主鎖」配列が存在する。
別の好適な免疫原は、ヒトキメラ免疫原IL−13「免疫原1」(配列番号10)を基礎とする。例えば、免疫原1は好適には、N末端にキャリアー「CPC」が融合され、免疫原7(配列番号16、図11参照)を形成する、または免疫原8(配列番号17、図12参照)について、N末端にタンパク質Dが融合される(タンパク質D融合領域はH.influenzaeタンパク質Dを含むアミノ酸S20〜T127に対応する(注、タンパク質DをコードするこのDNA配列は最適化されたコドンである));またはN末端にP30が融合され、免疫原9(配列番号18、図13参照)を生じる。免疫原9は好適には、あらゆるIL−13の生物学的活性を妨げるためのE121突然変異をさらに含み、免疫原10(配列番号19、図14参照)を与える。
免疫原1〜10について示されるタンパク質およびDNAの配列は、細胞からの産生物の分泌を行うために要求されるシグナル配列のアミノ酸またはDNA配列を除いて示されている。したがって、好適には、前記配列はさらに、シグナル配列をさらに伴って提供される。DNAワクチンにおいて、シグナル配列はT細胞エピトープを含む非ヒト由来の配列であって、T細胞ヘルプをさらに付与するものであるのが特に好ましい。開示された好適な配列のいずれも、産生または精製を容易にする、例えば免疫グロブリンFc、6Hisなどの他の分子と融合した免疫原を発現するために有用であり得るため、終止コドンを有さない。
本明細書中で用いられる付番方式は、「GPVPP」におけるGが残基2を指し、そして残りのアミノ酸はそれに応じて番号が付される点で、IL−13の分野における通常の慣習に準拠している。
本発明の一態様において、ヒトキメラIL−13ワクチンの製造方法が提供され、該方法は以下の工程:
(a) ヒトIL−13の配列を取得すること、および以下のαへリックス領域:PSTALRELIEELVNIT, MYCAALESLI, KTQRMLSGFまたはAQFVKDLLLHLKKLFRE、
の少なくとも2ヶ所で、少なくとも1の置換突然変異を行うこと、
(b) 以下の異種間の高保存領域3PVP, 12ELIEEL, 19NITQ, 28LCN, 32SMVWS, 50SL, 60AI, 64TQ, 87DTKIEVA, 99LL, 106LFの少なくとも6ヶ所を維持すること、
(c) 場合により、残りのいずれかのアミノ酸を突然変異すること、
(d) あらゆるヒト自己エピトープについて外来であるT細胞エピトープ源と、あらゆる哺乳動物IL−13配列について外来であるT細胞エピトープ源とを結合し、IL−13免疫原を形成すること、および
(e) IL−13免疫原と、サポニンおよびLPSの非毒性誘導体を含むアジュバント組成物とを結合すること、
を含み、工程a、bまたはcで行われた全ての置換が構造的保存置換であることを特徴とする。
(a) ヒトIL−13の配列を取得すること、および以下のαへリックス領域:PSTALRELIEELVNIT, MYCAALESLI, KTQRMLSGFまたはAQFVKDLLLHLKKLFRE、
の少なくとも2ヶ所で、少なくとも1の置換突然変異を行うこと、
(b) 以下の異種間の高保存領域3PVP, 12ELIEEL, 19NITQ, 28LCN, 32SMVWS, 50SL, 60AI, 64TQ, 87DTKIEVA, 99LL, 106LFの少なくとも6ヶ所を維持すること、
(c) 場合により、残りのいずれかのアミノ酸を突然変異すること、
(d) あらゆるヒト自己エピトープについて外来であるT細胞エピトープ源と、あらゆる哺乳動物IL−13配列について外来であるT細胞エピトープ源とを結合し、IL−13免疫原を形成すること、および
(e) IL−13免疫原と、サポニンおよびLPSの非毒性誘導体を含むアジュバント組成物とを結合すること、
を含み、工程a、bまたはcで行われた全ての置換が構造的保存置換であることを特徴とする。
工程(a)について、好ましくは少なくとも2ヶ所、より好ましくは少なくとも3ヶ所および最も好ましくは4ヵ所全てのαへリックス領域が少なくとも1の置換突然変異を含む。工程(b)について、好ましくは少なくとも7ヶ所、より好ましくは少なくとも8ヶ所、より好ましくは少なくとも9ヶ所、より好ましくは少なくとも10ヵ所、そして最も好ましくは11ヶ所の領域全てが突然変異されていない。
この方法のすべてにおいて、好ましくはそれらの置換または突然変異の50%以上が、ヒト以外のIL−13配列内の同等位置からのアミノ酸を含む。より好ましくは、置換の60、70または80%以上が、ヒト以外の哺乳動物のIL−13配列内の同等位置からのアミノ酸配列を含む。最も好ましくは、置換または突然変異の各々が、ヒト以外の哺乳動物のIL−13配列内の同等位置からのアミノ酸を有する。
さらにヒトキメラIL−13ワクチンの製造方法について、これらの置換または突然変異の50%以上が、立体構造中αへリックスであると予想されるヒトIL−13領域で生じる。より好ましくは置換または突然変異の60、70または80%以上が、立体構造中αへリックスであると予想されるヒトIL−13の領域で生じる。最も好ましくは、置換または突然変異の各々が、立体構造中αへリックスであると予想されるヒトIL−13の領域内で生じる。
さらにヒトキメラIL−13ワクチンの製造方法について、好ましくは、免疫原は2〜20個の置換を含み、より好ましくは6〜15個の置換、そして最も好ましくは13個の置換を含む。
最も好ましくは、上述したそれらの方法のすべてにおいて、IL−13配列内の複数の位置で置換突然変異が存在し、少なくとも2以上の突然変異部位が、ヒト以外の異なる哺乳動物種から選択されるアミノ酸を含む置換、より好ましくはヒト以外の異なる3以上の哺乳動物種から選択されるアミノ酸を含む置換、そして最も好ましくはヒト以外の異なる4以上の哺乳動物種から選択されるアミノ酸を含む置換を含む。
本発明によるポリペプチドの好結果の設計は、例えば適当なワクチン接種計画において、本文中で得られたポリペプチドを投与すること、およびタンパク質に結合することが可能な抗体が誘導されることを観察することによって確認することができる。この結合は、組換えタンパク質または精製された天然タンパク質を用いたELISA法の使用、または感受性細胞または組織に及ぼすタンパク質の効果を試験するバイオアッセイにより評価されてもよい。特に好都合な評価法は、無傷の宿主中でタンパク質の活性と因果的に関連する現象を観察し、そして本発明の方法によって誘導された抗体の存在がその現象をモジュレートするか否かを決定することである。したがって本発明のタンパク質は、天然タンパク質の起源となった種において、天然抗原に対する抗体を生じさせることが可能である。
最も好結果の設計は本明細書の実施例2に記載されるような実験で使用することができ、ワクチン接種を受けた個体の少なくとも50%で、ED100を超える抗IL−13中和免疫応答を誘導する。
ワクチンの製剤化
上述の免疫原は、それらがアジュバントまたはサポニンとLPSの非毒性誘導体との組合せを含むまたは複数のアジュバントと共に製剤化される場合、本発明のワクチンを形成する。
上述の免疫原は、それらがアジュバントまたはサポニンとLPSの非毒性誘導体との組合せを含むまたは複数のアジュバントと共に製剤化される場合、本発明のワクチンを形成する。
サポニンはLacaille-Dubois,MとWanger H. (1996. 「サポニンの生物学的および薬理学的活性の概要」 Phytomedicine 2巻 pp 363-386)に教示されている。サポニンは、植物および海洋動物界に広く分布するステロイドまたはトリテルペングリコシドである。サポニンは、水中で振とうにより泡立つコロイド溶液を形成すること、およびコレステロールを沈殿することについて注目されている。サポニンが細胞膜に近づくと、膜を破壊する原因となる孔状の構造を膜内につくる。赤血球の溶血がこの現象の一例であり、全てではないが、サポニンの確かな一性質である。
サポニンは全身投与のためのワクチンにおけるアジュバントとして公知である。アジュバントと各サポニンの溶血活性は当業界で広く研究されている(Lacaille-DuboisおよびWagner, supra)。例えばクイルA(Quil A)(南米の樹木キラヤサポナリアモリナ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮に由来する)、およびその画分が米国5,057,540と「ワクチンアジュバントとしてのサポニン」(Kensil, C. R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2):1-55;および EP 0 362 279 B1)に記載されている。クイルAまたはその画分を含む免疫刺激性複合体(ISCOMS)と呼ばれる粒状構造が、ワクチンの製造に使用されている(Morein, B., EP 0 109 942 B1; WO 96/11711; WO 96/33739)。サポニンのQS21とQS17(クイルAのHPLC精製画分)は有力な全身アジュバントとして記載されており、そしてそれらの産生方法は米国特許番号5,057,540とEP 0 362 279 B1に開示されている。全身性のワクチン接種研究で使用されている別のサポニンは、カスミソウ(Gypsophila)およびサポナリア(Saponaria)など別の植物種に由来するものが含まれる(Bomfordら, Vaccine, 10(9):572-577, 1992)。
腸内細菌のリポ多糖(LPS)は免疫系の有力な刺激因子として古くから公知であるが、アジュバントにおけるその使用はその毒性作用のために削減されている。炭水化物のコアグループとグルコサミンの還元末端からのホスフェートの除去によって生成されるLPSの非毒性誘導体のモノホスホリルリピドA(MPL)は、Ribiら(1986,細菌内毒素の免疫学と免疫薬理学、Plenum Publ. Corp., NY, p407-419)により記載されており、以下の構造を有する:
さらにMPLの解毒型は、二糖類骨格の3位からのアシル鎖の除去により生じ、そしてこれを3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)と称する。これはGB 2122204Bに教示される方法によって精製および調製することができ、それを参照すると、ジホスホリルリピドAとその3−O−脱アシル化変異体の調製法も開示されている。3D−MPLの好適な形態は、直径0.2μm以下のサイズの小さな粒子を含むエマルジョンの形態であり、その製造方法はWO94/21292に開示されている。モノホスホリルリピドAと界面活性剤とを含む水性製剤がWO9843670A2に記載されている。別の精製されたおよび合成のLPS非毒性誘導体が開示されている(US 6,005,099およびEP0 729 473 B1;Hilgersら, 1986, Int.Arch.Allergy.Immunol., 79(4):392-6;Hilgersら, 1987, Immunology, 60(1):141-6;ならびにEP 0 549 074 B1)。
本発明のアジュバントの組合せにおいて製剤化されるLPSの非毒性誘導体、または細菌性リポ多糖は、細菌源から精製および処理されてもよく、あるいは、合成されてもよい。例えば精製されたモノホスホリルリピドAはRibiら 1986(上記)に記載されており、そしてサルモネラ エス・ピー(Salmonella sp.)由来の3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドAまたはジホスホリルリピドAはGB 2220211およびUS 4912094に記載されている。別の精製されたおよび合成のリポ多糖が記載されている(US 6,005,099およびEP0 729 473 B1;Hilgersら,1986,Int. Arch. Allergy. Immunol.,79(4):392-6;Hilgersら,1987,Immunology, 60(1):141-6;およびEP 0 549 074 B1)。特に好適な細菌性リポ多糖アジュバントは、US 6,005,099 および EP 0 729 473 B1に記載される3D−MPLとβ(1−6)グルコサミン二糖である。
したがって、本発明で使用され得るLPS誘導体は、LPS、MPLまたは3D−MPLの構造と構造的に類似しているそれらの免疫賦活剤である。本発明の別の態様において、LPS誘導体はアシル化された単糖であってもよく、これは上述のMPLの構造の一部分である。
好適な二糖アジュバントは下記の式の精製または合成リピドAである。
ここで、R2はHまたはPO3H2であってもよい;R3はアシル鎖、またはβ−ヒドロキシミリストリル基または下記の式を有する3−アシルオキシアシル基であってもよい。
LPSとほとんど構造的相同性を共有せず、かつ純粋な合成物である更なるLPSの非毒性誘導体は、WO00/00462に記載されているものであり、その内容は参照により本明細書中に完全に組み入れる。
本発明のワクチンのためIL−13免疫原と組み合わされ得る特定のアジュバント製剤は、好ましくはサポニンQS21と、3D−MPLであるLPSの非毒性誘導体とを含む。
QS21と3D−MPLはIL−13免疫原と単純に混合することができるが(EP 0671 948 B、その全体の内容は参照により本明細書中に完全に組み入れる)、好ましくは該アジュバントはキャリアー系をさらに含む。QS21は好ましくはリポソームを含むコレステロールなどのステロールと会合される。一方、3D−MPLはリポソーム膜の内側または外側のいずれかと会合され得る(EP 0 822 831 Bに記載され、その全体の内容は参照により本明細書中に完全に組み入れる)。
QS21と3D−MPLは、ステロールの存在下または不在下で(WO 99/12565、その全体の内容は参照により本明細書中に完全に組み入れる)、好ましくは油対QS21の低い比で(WO 00/11241)、代謝可能油を含む水中油型乳剤と会合させることが可能であり(WO 95/17210)、ここで代謝可能油(および好ましくはスクワレン)対QS21の重量/重量比は50:1〜200:1の範囲である。WO 95/17210、WO 99/12565およびWO 00/11241の全体の内容は参照により本明細書中に完全に組み入れる。
サポニンとLPSの非毒性誘導体との組合せは、場合により、少なくとも1つの非メチル化CGモチーフを含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドをさらに含んでもよい。
最も好適なアジュバントは、コレステロール:QS21比が少なくとも1:1(w/w)でコレステロールとQS21を、および好ましくは過剰のコレステロールとともに含む小さい単ラメラのジオレオイルホスファチジルコリンリポソーム;および水中懸濁液中の3D−MPL;場合により、水中懸濁液中の、またはリポソームと会合された免疫賦活性オリゴヌクレオチドをさらに含んでなる、混合物を含む。
別の好適なアジュバントは、水相と油相を含んでなる水中油型乳化液を含む。該油相はスクアレンとαトコフェロールの油滴および安定化する界面活性剤を含み、場合によりコレステロールをさらに含む。そして水相はQS21と3D−MPLを含み、そして場合により免疫賦活性オリゴヌクレオチドをさらに含む。
本発明には医薬組成物またはワクチン組成物も含まれ、これは本発明のワクチンの治療有効量を含み、場合により薬学的に許容し得る担体と組み合わされ、好ましくは、リン酸緩衝食塩水(PBS)、生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、リポソームまたはこれらの組合せなどの薬学的に許容し得る賦形剤と組合わされる。
アジュバントの組合せは、WO96102555に開示されるような、非メチル化CGジヌクレオチドを含んでなる免疫賦活性オリゴヌクレオチドをさらに含んでもよい。典型的な免疫賦活性オリゴヌクレオチドは長さが8〜100塩基であり、そして一般式X1CpGX2を含み、ここでX1とX2はヌクレオチド塩基であり、CとGは非メチル化されている。
本発明のワクチンの利用のための好適なオリゴヌクレオチドは、好ましくは2以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含み、該モチーフは好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも6以上のヌクレオチドで分離されている。本発明のオリゴヌクレオチドは典型的にはデオキシヌクレオチドである。好適な実施形態において、オリゴヌクレオチド中のインターヌクレオチド(internucleotide)はホスホロジチオエートであり、さらに好ましくはホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステル結合および他のインターヌクレオチド結合は本発明の範囲内であり、これには混在するインターヌクレオチド結合、例えばホスホロチオエート/ホスホジエステルの混在を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。オリゴヌクレオチドを安定させる別のインターヌクレオチド結合が用いられてもよい。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートを産生する方法は、US5,666,153, US5,278,302およびWO95/26204に記載されている。
好適なオリゴヌクレオチドの例は以下の配列を有する。該配列は好適には、ホスホロチオエート改変型のインターヌクレオチド結合を含む。
オリゴ1: TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826) (配列番号60)
オリゴ2: TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758) (配列番号61)
オリゴ3: ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG (配列番号62)
オリゴ4: TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006) (配列番号63)
オリゴ5: TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668) (配列番号64)
代替的CpGオリゴヌクレオチドは、重要でない欠失または重要でない付加を有する上述の好適配列を含んでもよい。
オリゴ2: TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758) (配列番号61)
オリゴ3: ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG (配列番号62)
オリゴ4: TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006) (配列番号63)
オリゴ5: TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668) (配列番号64)
代替的CpGオリゴヌクレオチドは、重要でない欠失または重要でない付加を有する上述の好適配列を含んでもよい。
本発明に使用されるCpGオリゴヌクレオチドは、当業界で既知のいかなる方法(例えばEP 468520)により合成されてもよい。そのようなオリゴヌクレオチドは自動合成機を用いて都合よく合成されてもよい。
治療方法
本発明はアトピー性疾患の新規治療法を提供し、これにはワクチン接種を受けた個体において、IL−13に対する免疫応答を生じさせることが可能なワクチンが含まれる。特に注目すべきは、本発明は、COPD、喘息またはアトピー性皮膚炎に罹患しているあるいはかかり易い個体を治療する方法を提供し、該治療法は、本発明によるワクチンを該個体に投与すること、およびそれによって該個体の血清中で中和する抗IL−13免疫応答を引き起こすこと、およびそれによりCOPD、喘息またはアトピー性皮膚炎の症状を改善または排除することを含む。
本発明はアトピー性疾患の新規治療法を提供し、これにはワクチン接種を受けた個体において、IL−13に対する免疫応答を生じさせることが可能なワクチンが含まれる。特に注目すべきは、本発明は、COPD、喘息またはアトピー性皮膚炎に罹患しているあるいはかかり易い個体を治療する方法を提供し、該治療法は、本発明によるワクチンを該個体に投与すること、およびそれによって該個体の血清中で中和する抗IL−13免疫応答を引き起こすこと、およびそれによりCOPD、喘息またはアトピー性皮膚炎の症状を改善または排除することを含む。
さらに本発明は、喘息治療のための医薬の製造における本発明のワクチンの使用を提供する。さらに、治療を必要とする個体に、本明細書に記載される医薬組成物またはワクチンを投与することを含む喘息の治療方法を提供する。
好ましくは、医薬組成物はIL−13に対して免疫応答を引き起こすワクチンである。引き起こされる免疫応答は、好ましくは抗体応答であり、最も好ましくはIL−13中和抗体応答である。
本発明の治療方法は喘息の治療方法を提供し、該治療方法は以下の1以上の臨床的効果を含む:
1.気道過敏性(AHR)の減少
2.粘液高分泌および杯状細胞化生の減少
3.気道の上皮下繊維症の減少
4.好酸球レベルの減少
5.吸入コルチコステロイド(ICS)の使用の必要性の減少もIL−13自己ワクチンの使用による治療成功の特徴である。
1.気道過敏性(AHR)の減少
2.粘液高分泌および杯状細胞化生の減少
3.気道の上皮下繊維症の減少
4.好酸球レベルの減少
5.吸入コルチコステロイド(ICS)の使用の必要性の減少もIL−13自己ワクチンの使用による治療成功の特徴である。
本発明の組成物は、予防および治療の両方に使用され得る。本発明は、医療への使用のための、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを提供する。本発明はさらに、アレルギー、喘息およびCOPDなどの呼吸器疾患、寄生虫感染関連疾患、繊維症または肝硬変の治療のための医薬の製造における、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの使用を提供する。
本発明はまた、本発明のワクチン組成物の有効量を患者に投与すること、およびワクチン組成物に対する免疫応答を引き起こすことを含むワクチン接種方法を提供する。
本発明はまた、アレルギー、呼吸器疾患、寄生虫感染関連疾患、繊維症および肝硬変などの、IL−13が仲介する疾患に対する哺乳動物のワクチン接種における使用のための、本明細書中に記載のワクチン組成物を提供する。したがってIL−13に対する中和応答を指令することが可能なワクチン組成物は、ヒトにおける喘息、特にアレルギー性喘息の治療に有用な療法を構成し得る。また、特定の寄生虫感染関連疾患(Brombacher,2000 Bioessays 22:646-656)ならびに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および肝硬変などの繊維症におけるIL−13産生と関連する疾患(Chiaramonteら,1999,J Clin Inv 104:777-785)の治療も応用例として含まれる。
本発明の治療法は、アトピー性皮膚炎の治療方法を提供し、該治療方法は以下の1以上の臨床的効果を含む:
1.皮膚刺激の減少
2.痒みおよびひっ掻きの減少
3.従来の治療の必要性の減少
4.適用可能であれば、局所的なコルチコステイドの使用の必要性の減少。理想的なIL−13自己ワクチンは、潜在的にICSステロイド治療を不必要にさせることができるが、有益な結果として、ICSの「使用頻度」または「必要服用量」の減少も予想される。
1.皮膚刺激の減少
2.痒みおよびひっ掻きの減少
3.従来の治療の必要性の減少
4.適用可能であれば、局所的なコルチコステイドの使用の必要性の減少。理想的なIL−13自己ワクチンは、潜在的にICSステロイド治療を不必要にさせることができるが、有益な結果として、ICSの「使用頻度」または「必要服用量」の減少も予想される。
本発明のワクチンの投与は、例えば「初回−追加免疫」(prime-boost)治療ワクチン計画において1以上の個別用量の形態を採ることができる。特定の場合において、「初回(prime)」ワクチン接種は、本発明のポリヌクレオチド、好ましくはプラスミド誘導性ベクター内に組み込まれたポリヌクレオチドの粒子仲介DNA送達を介して行ってもよく、また「追加免疫」は、同一のポリヌクレオチド配列を含む組換えウイルスベクターの投与によるか、またはアジュバント中のタンパク質を用いた追加免疫であってもよい。逆に、初回免疫はウイルスベクター、またはアジュバント中で一般的に製剤化されるタンパク質製剤を用い、追加免疫は本発明のDNAワクチンを用いてもよい。
本発明は、宿主内で、本発明のワクチンの投与によって、抗自己IL−13抗体応答を生じさせる方法を提供する。
本発明のワクチン組成物は、多様な方法、例えば口や鼻などの粘膜;肺、筋肉内、皮下または皮内経路を介して投与されてもよい。抗原がタンパク質を主成分とするワクチンとして投与されるべき場合、ワクチンは一般的にはアジュバントとともに製剤化され、また凍結乾燥され、そして使用前に注射用に水中に再懸濁される。そのような組成物は、好ましくは等張性で、注射可能な組成物、例えば滅菌した水性分散液として個体に投与されて得る。そのような組成物は一般的に筋肉内に投与されるが、別の投与経路も可能である。
皮内投与のための一技術には粒子衝撃(これは「遺伝子銃(gene gun)」技術としても知られ、米国特許番号5371015に記載されている)を含む。タンパク質は糖とともに製剤化され、小粒子を形成し、それらが患者の表面(例えば皮膚)に浸透することを可能とすべく、例えば高圧下で投射装置による発射方法により十分なスピードに加速される。
送達されるワクチン組成物の量は、免疫される哺乳類の種および体重、治療され/防御される病気の状態の性質、採用されるワクチン接種プロトコル(すなわち、単回投与対反復投与)、投与経路、ならびに選択されるアジュバント化合物の効能および用量に応じて有意に変化する。それらの可変性に基づいて、医師または獣医師は適切な投与量を容易に決定することができるが、投与量が0.5〜5μg/kgの核酸構築物またはそれらを含む組成物であるのは、例えばワクチンが核酸である場合である。特に、投与量は投与経路に応じて変化し得る。例えば、金ビーズによる皮内投与を用いる場合、合計投与量は好ましくは1μg〜10ngであり、特に好ましくは合計投与量は10μg〜1ngである。核酸構築物が直接投与される場合、合計投与量は一般的に高くなり、例えば50μg〜1mg以上である。上述の投与量は平均的な場合の例示である。
タンパク質ワクチンにおいて、各ワクチン投与におけるタンパク質の量は、一般的なワクチンにおいて、かなり有害な副作用伴わずに免疫保護応答を誘導する量として選択される。そのような量は、どの特異的免疫原が採用されるか、およびそれがどのように提供されるかに応じて変化し得る。一般的に、各投与に1〜1000μg、好ましくは1〜500μg、好ましくは1〜100μg、最も好ましくは1〜50μgのタンパク質が含まれることが予想される。特定のワクチンの最適な量は、ワクチン接種を受けた被験者における適当な免疫応答の観察を含む標準調査によって確認することが可能である。最初のワクチン接種に続いて、被験者は、十分な間隔で、1または複数の追加免疫(booster immunization)を受けてもよい。そのようなワクチン製剤は初回免疫または追加免疫ワクチン接種計画のいずれかであってもよく、例えば、経皮的、皮下的または筋肉内経路を介した全身性の投与、あるいは、例えば鼻腔内または経口経路などを介した粘膜表面に塗布されてもよい。
より高いまたはより低い投与量の範囲が正当である個別的な例ももちろんあり得るし、そのような例も本発明の範囲内である。
ワクチン組成物は1回きりの方式でまたは繰返し投与されることも可能であり、例えば1〜7回、好ましくは1〜4回、約1日〜約18ヶ月の間隔で、好ましくは1ヶ月の間隔で投与され得る。これは場合により、患者の寿命に至る期間まで、1〜12ヶ月の通常の間隔で定期的に投与され続けてもよい。一実施形態において、患者は初回―追加免疫計画において異なる形態の抗原を受け取る。したがって、例えば抗原がDNAを主成分とするワクチンとして最初に投与され、その後続いてタンパク質アジュバントを主成分とする製剤として投与され得る。しかしながら、またしてもこの治療計画は、関係する動物の大きさおよび種、投与される核酸ワクチンおよび/またはタンパク質組成物の量、投与経路、使用される全てのアジュバント化合物の効能および用量、および熟練した獣医師または医療従事者に明らかであろう他の要素に応じて有意に変化し得る。
本明細書中の用語「含む」および「含有する」、または「含むこと」、「含んでなる」、「含有すること」、「含有してなる」などのその変形は、全てを包含するように、すなわちそれらの用語の使用が特に詳述されていない整数または要素を含むことができることを意味するように、また「からなる」と読むことができる排他的意味としても解釈されるべきである。
本明細書中に記載の通り、本発明は単離されたポリペプチドおよび単離されたポリヌクレオチドに関する。本発明に関わる「単離された」という用語は、少なくなくともある程度まで精製された、または例えば組換え法もしくは機械的合成により合成的に産生された限りにおいて、天然状態でないポリペプチドまたはポリヌクレオチドを意味することを意図する。したがって、「単離された」という用語は、細胞、細胞懸濁液もしくは細胞断片、タンパク質、ペプチド、発現ベクター、有機もしくは無機溶媒、または適切な場合には別の物質などの、別の生物学的または非生物学的物質と組み合わされたポリペプチドまたはポリヌクレオチドの可能性を含むが、ポリヌクレオチドが天然に見出される状態である場合を除外する。
本発明は、限定的でない以下の実施例で例証される。
実施例1 マウスIL−13に対するワクチンの設計
IL13は4−ヘリカルサイトカインフォールドファミリー(fold family)と規定されるSCOP(Murzinら, 1995, J Mol Biol 247:536-540)に属する。このフォールドスーパーファミリーの個々の構成メンバーは構造的に関連するが、配列レベルで整列させることは困難である。IL−13の3次元構造は依然決定されていないが、他のいくつかの4−ヘリカルサイトカインについては構造が決定されている。複数のタンパク質配列のアラインメントを、オーソロガスなIL−13について、および少なくとも1の構成メンバーの構造が決定された、このフォールドを示す他のいくつかのサイトカイン(IL−4、GM−CSF、IL−5およびIL−2)についても作製した。複数のIL−13タンパク質配列のアライメントについて、二次構造予測を、DSC(KingおよびSternberg, 1996, Prot Sci 5:2298-2310)、SIMPA96(Levin, 1997, Prot Eng 7:771-776)およびPred2ary(ChandoniaおよびKarplus, 1995, Prot Sci 4:275-285)を用いて行った。個々のサイトカインタンパク質の多重配列アライメントを、配列情報および(公知の結晶構造および二次構造予測からの)構造情報の両方を用いることにより互いに整列させた。
IL13は4−ヘリカルサイトカインフォールドファミリー(fold family)と規定されるSCOP(Murzinら, 1995, J Mol Biol 247:536-540)に属する。このフォールドスーパーファミリーの個々の構成メンバーは構造的に関連するが、配列レベルで整列させることは困難である。IL−13の3次元構造は依然決定されていないが、他のいくつかの4−ヘリカルサイトカインについては構造が決定されている。複数のタンパク質配列のアラインメントを、オーソロガスなIL−13について、および少なくとも1の構成メンバーの構造が決定された、このフォールドを示す他のいくつかのサイトカイン(IL−4、GM−CSF、IL−5およびIL−2)についても作製した。複数のIL−13タンパク質配列のアライメントについて、二次構造予測を、DSC(KingおよびSternberg, 1996, Prot Sci 5:2298-2310)、SIMPA96(Levin, 1997, Prot Eng 7:771-776)およびPred2ary(ChandoniaおよびKarplus, 1995, Prot Sci 4:275-285)を用いて行った。個々のサイトカインタンパク質の多重配列アライメントを、配列情報および(公知の結晶構造および二次構造予測からの)構造情報の両方を用いることにより互いに整列させた。
マウスIL−13についての抗原部位、特にB細胞エピトープをCameleon software(Oxford Molecular)を用いて予測し、それらをタンパク質の多重配列アライメントを用いてIL−4構造(Brookhavenデータベースにおける受託番号1RCB)上に地図化し、それらがIL−13上で構造的にどこに位置し得るかについてアイデアを得た。この分析から、潜在的に抗原性でありかつレセプター結合に関連する露出領域を選択した。
このモデルから、抗原ループであると予想される配列をマウスIL−13から選択し、かつ構造(主にへリックス)領域であると予想される配列をヒトIL−13から選択し、キメラIL−13配列を構築した。この設計の目的は、マウスIL−13に由来する標的エピトープを同定し、そのIL−13に対する中和抗体を生じさせること、ならびに、天然タンパク質と構造的に類似するが、依然として1以上のCD4Tヘルパーエピトープが存在することを保証するのに十分な天然(マウス)タンパク質に対する配列変化を含んでいないフレームワーク上に、前記エピトープを提示することであった。このキメラIL−13ワクチンの具体例のために選択された核酸およびタンパク質配列は、図38(配列番号30)に示されている。下線部の配列はヒト種(orthologue)において見出される配列に相当する。図38の配列を得るために、12個のアミノ酸を置換した。遺伝子コードの縮重により、同一のタンパク質をコードする可能な多くの核酸配列があることは理解されるべきである。さらに、本発明の範囲内に、非露出領域に別のオーソロガスな突然変異を有する、可能な別のキメラIL−13ワクチンの設計物が存在することは理解されるであろう。
1.2 キメラIL−13の調製
キメラIL−13(cIL−13)のDNA配列を、表1に示される配列cIL−13−1からcIL−13−6を用いて、一連の部分的に重複するDNAオリゴヌクレオチドから合成した。これらのオリゴはアニールされ、そしてcIL−13DNAを、94℃で1分、それに続く94℃で30秒、55℃で1分および72℃で2分の25サイクルからなるサイクル明細を用いたPCRにより生成した。続いて72℃で7分、そして終了時に4℃まで冷却した。反応生成物は予測されたサイズである361塩基対のバンドを含み、これをT/AクローニングベクターpCR2.1(Invitrogen Groningen, Netherlands)内にサブクローニングし、pCR2.1−cIL−13を生成した。pCR2.1−cIL−13に由来するBamH1とXho1のcIL−13制限断片は、その後pGEX4T3(Amersham Pharmacia, Amersham, Bucks, UK)中のBamH1とXho1部位にサブクローニングし、pGEX4T3−cIL−13/1を生成した。pGEX4T3−cIL−13/1構築物の配列決定により、本発明者らはGSTとcIL−13の配列間に余分な39塩基対のDNA配列(pCR2.1ベクター由来)を発見した。これを補正するため、本発明者らは、pGEX4T3−cIL−13/1、cIL−13FnewプライマーおよびcIL−13Rを用いてcIL−13についてのPCRを反復した。得られたPCR産物はその後、BamH1とXho1制限部位を用いてpGEX4T3内にクローニングして戻し、pGEX4T3−cIL−13/1発現ベクターを生成した。この構築物の配列は、ジデオキシターミネーター配列決定法により確認した。このベクターは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとcIL−13(GST−cIL−13)からなる融合タンパク質をコードする。このタンパク質の2つの部分は、トロンビンの認識部位を含む、短いスペーサーによって連結されている。融合タンパク質は、グルタチオンセファロースアフィニティークロマトグラフィーにより容易に精製され、それを、その後直接使用するか、あるいは遊離cIL−13の調製物をトロンビンを用いた開裂により生成してもよい。
pGEX4T3−cIL−13/1発現ベクターは、E.coliのBLR株(Novagen, Cambridge Bioscience, Cambridge, UKより提供された)に形質転換した。GST−cIL−13の発現を、対数増殖期において、培地に0.5mMのIPTGを添加することにより、37℃で4時間誘導した。細菌をその後、遠心分離により回収し、GST−cIL−13を、類似するGST−ヒトIL−13融合タンパク質の精製のための前述の方法(McKenzieら, 1993, Proc Natn Acad Sci 90:3735-3739)によって、細菌から単離した。
キメラIL−13(cIL−13)のDNA配列を、表1に示される配列cIL−13−1からcIL−13−6を用いて、一連の部分的に重複するDNAオリゴヌクレオチドから合成した。これらのオリゴはアニールされ、そしてcIL−13DNAを、94℃で1分、それに続く94℃で30秒、55℃で1分および72℃で2分の25サイクルからなるサイクル明細を用いたPCRにより生成した。続いて72℃で7分、そして終了時に4℃まで冷却した。反応生成物は予測されたサイズである361塩基対のバンドを含み、これをT/AクローニングベクターpCR2.1(Invitrogen Groningen, Netherlands)内にサブクローニングし、pCR2.1−cIL−13を生成した。pCR2.1−cIL−13に由来するBamH1とXho1のcIL−13制限断片は、その後pGEX4T3(Amersham Pharmacia, Amersham, Bucks, UK)中のBamH1とXho1部位にサブクローニングし、pGEX4T3−cIL−13/1を生成した。pGEX4T3−cIL−13/1構築物の配列決定により、本発明者らはGSTとcIL−13の配列間に余分な39塩基対のDNA配列(pCR2.1ベクター由来)を発見した。これを補正するため、本発明者らは、pGEX4T3−cIL−13/1、cIL−13FnewプライマーおよびcIL−13Rを用いてcIL−13についてのPCRを反復した。得られたPCR産物はその後、BamH1とXho1制限部位を用いてpGEX4T3内にクローニングして戻し、pGEX4T3−cIL−13/1発現ベクターを生成した。この構築物の配列は、ジデオキシターミネーター配列決定法により確認した。このベクターは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとcIL−13(GST−cIL−13)からなる融合タンパク質をコードする。このタンパク質の2つの部分は、トロンビンの認識部位を含む、短いスペーサーによって連結されている。融合タンパク質は、グルタチオンセファロースアフィニティークロマトグラフィーにより容易に精製され、それを、その後直接使用するか、あるいは遊離cIL−13の調製物をトロンビンを用いた開裂により生成してもよい。
in vitroでのマウスIL−13中和バイオアッセイ:
ワクチンによって生じたIL−13抗血清の組換えマウスIL−13の生物活性を中和する能力を(社内で得た)ヒトTF−細胞上で測定するため、5ng/mlの組換えマウスIL−13を、96ウェルの組織培養プレート(インビトロゲン)中、様々な血清濃度で37℃1時間インキュベートした。このプレインキュベーション期間後に、TF−1細胞を加えた。様々な血清希釈液、組み換えマウスIL−13およびTF−1細胞を含有するアッセイ混合物を、加湿したCO2インキュベータ中で37℃で70時間インキュベートした。MTT基質(Cat. No. G4000, Promega)をインキュベーションの最後の4時間の間に添加し、その後酸性溶液を用いて反応を止め、代謝された青色ホルマザン生成物を可溶化した。各ウェル中の溶液の吸光度を、570nmの波長で、96ウェルプレート読取装置中で読み取った。
ワクチンによって生じたIL−13抗血清の組換えマウスIL−13の生物活性を中和する能力を(社内で得た)ヒトTF−細胞上で測定するため、5ng/mlの組換えマウスIL−13を、96ウェルの組織培養プレート(インビトロゲン)中、様々な血清濃度で37℃1時間インキュベートした。このプレインキュベーション期間後に、TF−1細胞を加えた。様々な血清希釈液、組み換えマウスIL−13およびTF−1細胞を含有するアッセイ混合物を、加湿したCO2インキュベータ中で37℃で70時間インキュベートした。MTT基質(Cat. No. G4000, Promega)をインキュベーションの最後の4時間の間に添加し、その後酸性溶液を用いて反応を止め、代謝された青色ホルマザン生成物を可溶化した。各ウェル中の溶液の吸光度を、570nmの波長で、96ウェルプレート読取装置中で読み取った。
このアッセイは、1/100と同等かまたはそれ以上の血清希釈液中のマウスIL−13中和能のみを測定することができることに注意すべきである。1/100未満の血清希釈液は、TF−1細胞中で非特異的増殖作用を誘導する。マウスIL−13の生物活性を中和する血清の能力は、規定されるマウスIL−13量の生物活性を50%まで中和するのに必要な血清の希釈度(=ND50)として表わされた。血清サンプルの希釈度が大きいほど、中和能がより強力になる。
「オボアルブミンチャレンジ」マウス喘息モデルにおいて効能のために必要なマウスIL−13中和レベルの決定
喘息治療のために必要なIL−13自己ワクチンの効力の基準を得るために、「オボアルブミンチャレンジ」マウス喘息モデルにおいて、オボアルブミンチャレンジの間、マウスを様々な投与量のウサギの抗マウスIL−13ポリクローナル抗体で治療した(すなわち、腹膜内注射により受動投与した)。気道過敏性(AHR)、杯状細胞化生(GCM)および肺炎症細胞含量などのモデルパラメータをこの実験の最後に測定した。このモデルにおける効能は、マウス血清中で得られたマウスIL−13の中和レベルに相関した。マウスIL−13中和バイオアッセイを、血清サンプルにおけるマウスIL−13中和レベルの決定に用いた。
喘息治療のために必要なIL−13自己ワクチンの効力の基準を得るために、「オボアルブミンチャレンジ」マウス喘息モデルにおいて、オボアルブミンチャレンジの間、マウスを様々な投与量のウサギの抗マウスIL−13ポリクローナル抗体で治療した(すなわち、腹膜内注射により受動投与した)。気道過敏性(AHR)、杯状細胞化生(GCM)および肺炎症細胞含量などのモデルパラメータをこの実験の最後に測定した。このモデルにおける効能は、マウス血清中で得られたマウスIL−13の中和レベルに相関した。マウスIL−13中和バイオアッセイを、血清サンプルにおけるマウスIL−13中和レベルの決定に用いた。
3つの抗体最高投与量を与えた治療群は全て同様に実施した。これら3群の全てはこのモデルにおいて使用される最良の標準治療(デキサメサゾン、3x1.5mg/kgで腹膜内経路により投与)と同等(AHRについて)またはより大きい(GCMについて)効能を示した。投与された抗体の「最小投与量」は、ほぼデキサメサゾンの効能と「未治療」のポジティブコントロールの間の効能を示した。
したがって「中間投与量」の治療群において得られたIL−13中和レベルは、この動物モデルにおけるIL−13自己ワクチンに必要な効力の閾値を示している。効力の閾値は、喘息モデルにおける100%の効能(=ED100)を示すために必要なマウス血清中の最小のIL−13中和レベルとして定義される。したがって1xED100は、1/476のND50と同等である。
実施例2 方法
下記の方法について、以下の命名を適用:
1.タンパク質へ挿入された(マウスIL−13のαへリックスCとDの間のループ領域中に置換されている)破傷風毒素のp30エピトープを有するマウスIL−13(mIL−13)と呼ばれる構築物は、mIL13p30CDと称する。
下記の方法について、以下の命名を適用:
1.タンパク質へ挿入された(マウスIL−13のαへリックスCとDの間のループ領域中に置換されている)破傷風毒素のp30エピトープを有するマウスIL−13(mIL−13)と呼ばれる構築物は、mIL13p30CDと称する。
2.N末端にp30を有するマウスIL−13と呼ばれる構築物は、mIL13p30と称する。
3.N末端にp30を有するよう設計される新規なキメラ化IL−13と呼ばれる構築物は、cIL13newと称する。
IL−13サブクローニング/改変:
CDループ内に挿入された破傷風毒素由来のp30エピトープを含むIL−13をコードする遺伝子(mIL13CD)を合成により調製した。合成遺伝子は5'KpnI制限部位と3'BamHI制限部位を含む。この断片をその後、DHFRをコードするpCDNのKpnIとBamHI制限部位の間にサブクローニングした(Aiyerら、1994)。得られた中間体をその後、FC融合体の挿入により改変した。部位特異的突然変異誘発を、IL−13の終止コドンの前の3'末端コード配列中にフレームを一致させてヒトIgG1FCを正確に挿入するのに用いた(Geisserら、1994)。これは2つの工程で行った。1.IgG1FCは、以下のプライマーセット(正方向:5'..CAACTGTTTCGCCACGGCCCC TTCCTGGAGGTCCTGTTCGGTGGACCAGGATCCGAGCCCAAATCGGCCGAC...3' (配列番号65) および逆方向: 5' ...CTAGGTAGTTGGTAACCGTTAACGG...3'(配列番号66)を用い、KOD校正ポリメラーゼ(Novagen)により触媒されるPCR反応において、cDNA鋳型であるpCDN−FCから増幅した。2.得られたPCR産物をゲル精製し、その250ngを、QuickChangeキット(Stratagene)、50ngのmIL−13 CD−p CDNおよび2.5UのPfuTurboを用いる、部位特異的突然変異誘発反応における標的断片として用いた。突然変異誘発プロトコルは95℃で30秒、55℃で30秒、そして68℃で16分の18サイクルからなる。突然変異誘発プロトコルの終了後に、反応液は10UのDpnIにより消化され、天然のメチル化された野生型の鋳型DNAを除去した。最終消化反応液の1μlを、100μlのエピキュリアン化学的コンピテントE.coli細胞(Epicurian chemically competent E.coli cells)(Stratagene)を形質転換するのに用いた。組換えクローンを制限消化により選別し、そしてポジティブクローン配列をIL−13正方向プライマーおよびpCDN逆方向プライマーを用いて、FC領域にわたり完全に確認した。最終のプラスミド、pCDNmIL13CDFCは、FC除去のためのPreScissionプロテアーゼ開裂部位により分けられるC末端FC融合体をコードする。転写はCMVプロモーターの制御下でなされる。インサートの完全な配列を図18に示す(配列番号23)。
CDループ内に挿入された破傷風毒素由来のp30エピトープを含むIL−13をコードする遺伝子(mIL13CD)を合成により調製した。合成遺伝子は5'KpnI制限部位と3'BamHI制限部位を含む。この断片をその後、DHFRをコードするpCDNのKpnIとBamHI制限部位の間にサブクローニングした(Aiyerら、1994)。得られた中間体をその後、FC融合体の挿入により改変した。部位特異的突然変異誘発を、IL−13の終止コドンの前の3'末端コード配列中にフレームを一致させてヒトIgG1FCを正確に挿入するのに用いた(Geisserら、1994)。これは2つの工程で行った。1.IgG1FCは、以下のプライマーセット(正方向:5'..CAACTGTTTCGCCACGGCCCC TTCCTGGAGGTCCTGTTCGGTGGACCAGGATCCGAGCCCAAATCGGCCGAC...3' (配列番号65) および逆方向: 5' ...CTAGGTAGTTGGTAACCGTTAACGG...3'(配列番号66)を用い、KOD校正ポリメラーゼ(Novagen)により触媒されるPCR反応において、cDNA鋳型であるpCDN−FCから増幅した。2.得られたPCR産物をゲル精製し、その250ngを、QuickChangeキット(Stratagene)、50ngのmIL−13 CD−p CDNおよび2.5UのPfuTurboを用いる、部位特異的突然変異誘発反応における標的断片として用いた。突然変異誘発プロトコルは95℃で30秒、55℃で30秒、そして68℃で16分の18サイクルからなる。突然変異誘発プロトコルの終了後に、反応液は10UのDpnIにより消化され、天然のメチル化された野生型の鋳型DNAを除去した。最終消化反応液の1μlを、100μlのエピキュリアン化学的コンピテントE.coli細胞(Epicurian chemically competent E.coli cells)(Stratagene)を形質転換するのに用いた。組換えクローンを制限消化により選別し、そしてポジティブクローン配列をIL−13正方向プライマーおよびpCDN逆方向プライマーを用いて、FC領域にわたり完全に確認した。最終のプラスミド、pCDNmIL13CDFCは、FC除去のためのPreScissionプロテアーゼ開裂部位により分けられるC末端FC融合体をコードする。転写はCMVプロモーターの制御下でなされる。インサートの完全な配列を図18に示す(配列番号23)。
pCDNmIL13p30FCを、pCDNmIL13CDFCについて上述したのと全く同じ方法で構築し、これはmIL13CD合成遺伝子を、p30エピトープがCDループ内に存在する代わりに成熟タンパク質のN末端に存在するものと置換する。同一の正方向および逆方向プライマーを使用し、FC領域をpCDNmIL13p30内に部位特異的に挿入するための標的断片を生成した。インサートの完全な配列を図19に示す(配列番号24)。
pCDNcIL13newFCは、cIL13new分子をコードする合成遺伝子および以下の正方向プライマー
(5'..AACCTGTTTCGCCGCGGCCCCTTCCTGGAGGTCCTGTTCGGTGGACCAGGATCCGAGCCCAAATCGGCCGAC...3', (配列番号25))および上述と同じ逆方向プライマーを用いて構築し、FC領域をpCDNcIL13newに部位特異的に挿入するための標的断片を生成した。インサートの完全な配列を図20に示す(配列番号26)。
(5'..AACCTGTTTCGCCGCGGCCCCTTCCTGGAGGTCCTGTTCGGTGGACCAGGATCCGAGCCCAAATCGGCCGAC...3', (配列番号25))および上述と同じ逆方向プライマーを用いて構築し、FC領域をpCDNcIL13newに部位特異的に挿入するための標的断片を生成した。インサートの完全な配列を図20に示す(配列番号26)。
pCDNIL13oldFCは、マウスキメラIL−13による、pCDNmIL13CDFC内のmIL13CDの部位特異的置換により構築した(WO 02/070711参照)。部位特異的置換は部位特異的挿入のために記載される通りに実施した。cIL13は、以下のプライマー(正方向: 5' 5'...GTGTCTCTCC CTCTGACCCTTAGG...3' (配列番号27) および逆方向: 5'...CAGTTGCTTTGTGTAGCTGAG CAG...3' (配列番号28)を用いて、6His−cIL13からPCR増幅し、pCDNmIL13内に置換するためのターゲティング断片を生成した。これにより、5'末端にコードされるIL−13シグナル配列および3'末端にコードされるPreScission−FC領域の正確な融合体を生じる。インサートの完全な配列を図21に示す(配列番号29)。
図18〜21の全てにおいて、二重下線部のアミノ酸残基は、分泌シグナル配列(宿主細胞からの発現および分泌中に除去される)を示し、一重下線部の残基はPrecissionプロテアーゼ部位を、およびイタリックの残基はFc融合パートナーを示している。
安定なCHO E1Aクローンの生成:
プラスミドはDHFRネガティブな、E1A発現系(CHO E1A, ACC317)中で安定に発現する。細胞を低温のリン酸緩衝スクロース中で1x107細胞/mlで再懸濁し、Gene Pulser Cuvetteに移し、そしてGenePulser(Biorad)中で、400ボルトおよび25μFdで、15μgのNotI線状化プラスミドを用いてエレクトロポレートした。エレクトロポレートされた細胞は、ウェルあたり2.5x103の生細胞を、1Xヌクレオシドを含む完全培地中、96ウェルプレート中で平板培養した。48時間後、培地をヌクレオシドを欠く新鮮な培地に交換した。細胞をその後ヌクレオシド欠如下で3〜4週間にわたり選別した。ポジティブクローンを、Origen analyzer(IGEN)上でFC−電気化学発光検出のプロトコル(Yangら、1994)を用いて、ならし培地からのFC発現を監視することにより96ウェルプレートから選別した。ポジティブ細胞系をヌクレオシドが除かれた完全培地で数リットルの量にした。発酵は34℃で10〜11日実施した。FC精製のため、ならし培地を回収し、調製物中0.2μMを滅菌濾過した。
プラスミドはDHFRネガティブな、E1A発現系(CHO E1A, ACC317)中で安定に発現する。細胞を低温のリン酸緩衝スクロース中で1x107細胞/mlで再懸濁し、Gene Pulser Cuvetteに移し、そしてGenePulser(Biorad)中で、400ボルトおよび25μFdで、15μgのNotI線状化プラスミドを用いてエレクトロポレートした。エレクトロポレートされた細胞は、ウェルあたり2.5x103の生細胞を、1Xヌクレオシドを含む完全培地中、96ウェルプレート中で平板培養した。48時間後、培地をヌクレオシドを欠く新鮮な培地に交換した。細胞をその後ヌクレオシド欠如下で3〜4週間にわたり選別した。ポジティブクローンを、Origen analyzer(IGEN)上でFC−電気化学発光検出のプロトコル(Yangら、1994)を用いて、ならし培地からのFC発現を監視することにより96ウェルプレートから選別した。ポジティブ細胞系をヌクレオシドが除かれた完全培地で数リットルの量にした。発酵は34℃で10〜11日実施した。FC精製のため、ならし培地を回収し、調製物中0.2μMを滅菌濾過した。
精製:
マウスIL13CD/Fcは、ProSep−A高性能樹脂(Bioprocessing Limited)上で、CHO培地から捕獲した。マウスIL13CD/Fcを、ProSep−A樹脂から0.1MグリシンpH=3.0を用いて溶出し、1M HEPES pH=7.6を用いて中和し、そして25mMリン酸ナトリウム、0.15M 塩化ナトリウムpH=7(Spectra/Por(登録商標)7メンブレン,MWCO:8000)に対して透析した。全収量は3.8リットルCHO培地から644mgのマウスIL13CD/Fcであった。別のIL13/Fc融合タンパク質を同様に調製した。
マウスIL13CD/Fcは、ProSep−A高性能樹脂(Bioprocessing Limited)上で、CHO培地から捕獲した。マウスIL13CD/Fcを、ProSep−A樹脂から0.1MグリシンpH=3.0を用いて溶出し、1M HEPES pH=7.6を用いて中和し、そして25mMリン酸ナトリウム、0.15M 塩化ナトリウムpH=7(Spectra/Por(登録商標)7メンブレン,MWCO:8000)に対して透析した。全収量は3.8リットルCHO培地から644mgのマウスIL13CD/Fcであった。別のIL13/Fc融合タンパク質を同様に調製した。
ワクチン接種調査に使用する前に、これらの分子のFc部分をPrecissionプロテアーゼを用いて切り離し、除去した。得られたワクチン調製物はプレーンテキスト(すなわち下線もイタリックもない)による図18〜21中に示されるアミノ酸残基を本質的に含む。
参考文献:
Aiyer, N, Baker, E, Wu, H-L, Nambi, P, Edwards, RM, Trill, JJ, Ellis, C, Bergsma, DJ. (1994): Human AT1 receptor is a single copy gene: characterization in a stable cell line. Molecular and Cellular Biochemistry 131:75-86.
Geiser, M, Cebe, R, Drewello, D, および Schmitz, R (2001): Integration of PCR Fragments at Any Specific Site within Cloning Vectors without the Use of Restriction Enzymes and DNA Ligase. Biotechniques 31: 88-92.
Yang, H, Leland, JK, Yost, D, Massey, RJ (1994): Electrochemiluminescence: A new diagnostic and research tool. Biotechnology, 12:193-194.
実施例3 マウス喘息モデルにおける抗IL−13ワクチンの効能
マウス喘息モデル
オボアルブミンチャレンジマウス喘息モデルは、in vivoで喘息の治療の効能を評価するのに日常的に用いられている。マウスは7日ごとに与えられる2回のオボアルブミンの腹腔内投与により免疫感作され、オボアルブミンに対してマウスを免疫感作する。喘息の表現型は、その後、3回のオボアルブミンの鼻腔内投与により生成可能である。このプロトコルの対象となるマウスは、スパスモゲン5HTに対する高レベルの気道過敏性、肺の炎症(その多くは、肺組織および気管支肺胞洗浄液の著しい好酸球増加を示す)、ならびに大量の肺気道上皮の杯状細胞化生(および粘液高分泌に関連する)を示す。この表現型はヒトの喘息患者においてみられる表現型を模倣する(類似したマウス喘息モデルはScience 1998 vol 282, pp:2258−2261および2261−2263に記載されている)。このモデルは実施例1、およびWO 02/070711にも記載されている。
Aiyer, N, Baker, E, Wu, H-L, Nambi, P, Edwards, RM, Trill, JJ, Ellis, C, Bergsma, DJ. (1994): Human AT1 receptor is a single copy gene: characterization in a stable cell line. Molecular and Cellular Biochemistry 131:75-86.
Geiser, M, Cebe, R, Drewello, D, および Schmitz, R (2001): Integration of PCR Fragments at Any Specific Site within Cloning Vectors without the Use of Restriction Enzymes and DNA Ligase. Biotechniques 31: 88-92.
Yang, H, Leland, JK, Yost, D, Massey, RJ (1994): Electrochemiluminescence: A new diagnostic and research tool. Biotechnology, 12:193-194.
実施例3 マウス喘息モデルにおける抗IL−13ワクチンの効能
マウス喘息モデル
オボアルブミンチャレンジマウス喘息モデルは、in vivoで喘息の治療の効能を評価するのに日常的に用いられている。マウスは7日ごとに与えられる2回のオボアルブミンの腹腔内投与により免疫感作され、オボアルブミンに対してマウスを免疫感作する。喘息の表現型は、その後、3回のオボアルブミンの鼻腔内投与により生成可能である。このプロトコルの対象となるマウスは、スパスモゲン5HTに対する高レベルの気道過敏性、肺の炎症(その多くは、肺組織および気管支肺胞洗浄液の著しい好酸球増加を示す)、ならびに大量の肺気道上皮の杯状細胞化生(および粘液高分泌に関連する)を示す。この表現型はヒトの喘息患者においてみられる表現型を模倣する(類似したマウス喘息モデルはScience 1998 vol 282, pp:2258−2261および2261−2263に記載されている)。このモデルは実施例1、およびWO 02/070711にも記載されている。
抗IL−13ワクチン治療
2種類の抗IL−13ワクチン治療の効能について、オボアルブミンチャレンジマウス喘息モデル、すなわちオボアルブミンに対して予め免疫感作されたマウス(Sigma UK Ltd, Poole, Dorset)において評価した。どちらもWO 02/070711に開示されるマウスキメラIL−13分子を主要成分とし、GSTとの融合タンパク質として発現されおよび精製される。該融合タンパク質は本明細書中でgst−cIL13を指す。
2種類の抗IL−13ワクチン治療の効能について、オボアルブミンチャレンジマウス喘息モデル、すなわちオボアルブミンに対して予め免疫感作されたマウス(Sigma UK Ltd, Poole, Dorset)において評価した。どちらもWO 02/070711に開示されるマウスキメラIL−13分子を主要成分とし、GSTとの融合タンパク質として発現されおよび精製される。該融合タンパク質は本明細書中でgst−cIL13を指す。
1.ワクチン1 = gst −cIL13 + 「ImmunEasy」アジュバント(Qiagen,Cat.No.303101)。
2.ワクチン2=gst−cIL13 + 10μgの3−脱O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)と10μgのQS21サポニンとを組合せてコレステロールを含むリポソーム(EP0822831B1, SmithKline Beecham Biologicals S.A.参照)。
ネガティブコントロールワクチン治療群も含まれる。
3.ワクチン1のネガティブコントロール=gst + ImmunEasyアジュバント。
4.ワクチン2のネガティブコントロール=gst + 10μgの3−脱O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)と10μgのQS21サポニンとを組合せてコレステロールを含むリポソーム(EP0822831B1, SmithKline Beecham Biologicals S.A.参照)。
オボアルブミンを用いた感作後に、マウスを4種のワクチン投与で免疫し、これは12週間にわたり、4週間毎に各ワクチン投与を与えることにより達成した。マウスをその後、オボアルブミンを用いてチャレンジし、喘息表現型を評価した。
効能調査における他のコントロール治療群
A.デキサメサゾン(Sigma UK Ltd, Poole, Dorset)は、このマウス喘息モデルにおいて、日常的に使用される最良のステロイド治療剤である。オボアルブミンチャレンジの間、腹腔内経路を介してマウスに1.5mg/kgのデキサメサゾンを3回投与した。
A.デキサメサゾン(Sigma UK Ltd, Poole, Dorset)は、このマウス喘息モデルにおいて、日常的に使用される最良のステロイド治療剤である。オボアルブミンチャレンジの間、腹腔内経路を介してマウスに1.5mg/kgのデキサメサゾンを3回投与した。
B.抗マウスIL13ポリクローナル抗体(社内でかつてウサギで作られたプロテインAで精製した試薬)を、このマウス喘息モデルにポジティブコントロール治療剤として受動投与した。このマウス喘息モデルにおいて、完全な抗IL13誘導効果を生じさせるために予め示される抗体投与量を、オボアルブミンチャレンジの間に投与した(=2x105の終点力価を有するストック0.5mlの3回投与、更なる詳細についてはWO02/070711 A1参照)。
C.このモデルが生成する最大表現型は、ネガティブコントロール治療群において生理食塩水を用いることにより樹立された(Fresenius Kabi, Warrington, UK)。マウスに、オボアルブミンチャレンジの間、鼻腔内経路により生理食塩水を3回与えた。生理食塩水治療はこのモデルにおいて効力を示さず、したがって最もひどい喘息の表現型を生じた。
D.喘息モデルの表現型と「喘息が誘導されない表現型」との比較のための基準線として、1つの処理群をオボアルブミンで免疫感作したのみで、オボアルブミンチャレンジ投与を与えなかった。これらのマウスは通常の肺の生理機能を示した。
抗IL−13ワクチン、または抗IL−13ポリクローナル抗体の受動投与、を用いて免疫されたマウスにおいて生じる血清IL13中和能
マウス喘息モデルの最後にワクチンまたは抗IL13ポリクローナル抗体の受動投与により治療されたマウスは、WO02/070711に記載されるマウスIL13誘導TF−1細胞増殖アッセイを用いてIL13中和能について分析される血清サンプルを有していた。この分析により、ND50と称する中和測定値が得られ、これはTF−1細胞増殖アッセイにおいて、5ng/mlのマウスIL13の生物活性を50%まで減少することが可能なマウス血清の最大希釈度を表している。
マウス喘息モデルの最後にワクチンまたは抗IL13ポリクローナル抗体の受動投与により治療されたマウスは、WO02/070711に記載されるマウスIL13誘導TF−1細胞増殖アッセイを用いてIL13中和能について分析される血清サンプルを有していた。この分析により、ND50と称する中和測定値が得られ、これはTF−1細胞増殖アッセイにおいて、5ng/mlのマウスIL13の生物活性を50%まで減少することが可能なマウス血清の最大希釈度を表している。
本発明者らの先のデータは、抗IL13中和抗体の受動投与を用いたこのマウス喘息モデルにおける最大効能は、ほぼ1/476の血清ND50値と相関することも証明した。本発明者らがED100と称する中和の臨界レベル(100%の効能を与えるのに必要な有効中和投与量)は、一般的にこのレベルに対する血清中和能を発現する。例えば、1/952のND50を有する血清サンプルは2.0xED100の中和能を有するということである。1/238のND50を有するサンプルは0.5xED100の中和能を有し得る。
この実験による血清IL13中和能のデータは図22に示されており、ED100の倍数としてプロットされている。
キメラIL13ワクチンにより治療された、または抗IL13ポリクローナル抗体を受動的に投与された、全てのマウスは、1xED100を超える血清中和を引き起こした。したがって、これらの治療群中のマウスは、喘息モデルにおいて、抗IL13により推進される利益の全てを受け得ることが予測された。
気道過敏性(AHR)データ
吸入されるスパスモゲンに対する用量反応曲線は、気管支収縮性刺激に対する気道の応答を決定するのに用いられる。これらの曲線は2つの主要な成分からなる。
吸入されるスパスモゲンに対する用量反応曲線は、気管支収縮性刺激に対する気道の応答を決定するのに用いられる。これらの曲線は2つの主要な成分からなる。
1.高感受性−用量反応曲線(DRC)における左方シフト
2.高反応性−プラトー反応におけるDRC勾配の増加および/または損失
これらの成分はともに一般用語である「気管支または気道過敏性」(BHRまたはAHR)を引き起こし、これらは典型的に「気管収縮性刺激に応じた気管の狭小化の容易さおよび度合いの増加」として定義される。
2.高反応性−プラトー反応におけるDRC勾配の増加および/または損失
これらの成分はともに一般用語である「気管支または気道過敏性」(BHRまたはAHR)を引き起こし、これらは典型的に「気管収縮性刺激に応じた気管の狭小化の容易さおよび度合いの増加」として定義される。
AHRは5HTスパスモゲンの投与による意識のあるマウスのチャレンジ、そしてその後呼吸の流れと容量パラメータに対する影響を、全身プレチスモグラフィー装置(Buxco, Sharon, CT)を用いて測定した。この分析からの好適な読み出しパラメータは、高められたポーズ(enhanced pause:PENH)の測定である。図23は、3mg/mlの5THスパスモゲン濃度について、PENHの曲線下面積をプロットすることにより得られたこの実験からのAHRデータを示す。データポイントは示された治療群についての平均および標準誤差である。
ワクチン治療および抗IL13ポリクローナル抗体の受動投与のいずれも、AHRのレベルを低下している点でデキサメサゾンと同じくらい効果的であった。ネガティブコントロールのワクチン治療はAHRを減少しなかった。
肺の炎症データ
肺の炎症細胞含量を気管支肺胞洗浄(BAL)液において評価した。好酸球、マクロファージ、リンパ球、好中球の平均数は、受けた治療に対してプロットした(図24)。
肺の炎症細胞含量を気管支肺胞洗浄(BAL)液において評価した。好酸球、マクロファージ、リンパ球、好中球の平均数は、受けた治療に対してプロットした(図24)。
ワクチン治療および抗IL13ポリクローナル抗体の受動投与のいずれも、BAL液中の好酸球のレベルを低下している点でデキサメサゾンと同じくらい効果的であった。面白いことに、ネガティブコントロール治療gst+「ImmunEasy」もBALの好酸球のレベルを効果的に減少するように思われた。これはおそらくpro-Th1活性を有する免疫調節化合物であることが知られている「ImmunEasy」アジュバント中のCpG成分の活性に起因するだろう。
杯状細胞化生および粘液高分泌データ
粘液を含む杯状細胞は、通常マウスの気道上皮中に有意な頻度で存在しない。この喘息モデルにおいて、オボアルブミンによる感作およびチャレンジの後、気道上皮は、上皮層の化生のために粘液を含む杯状細胞で密に充填されるようになる。
粘液を含む杯状細胞は、通常マウスの気道上皮中に有意な頻度で存在しない。この喘息モデルにおいて、オボアルブミンによる感作およびチャレンジの後、気道上皮は、上皮層の化生のために粘液を含む杯状細胞で密に充填されるようになる。
固定の後、各動物由来の肺の代表サンプルをパラフィン組織学のため処理した。切片を5μに切断し、気道杯状細胞の組織病理学評価のために、αアミラーゼ(Sigma UK Ltd, Poole, Dorset)による前消化とともにABPAS(Alcian blue periodic acid Schiff’s reagent, BDH-Merck)で染色した(Propath UK Ltdによる準備組織学, Hereford, UK)。
ABPASにより染色された肺切片を、下記に示す6ポイント半定量的評点システム(6-point semi-quantitative scoring system)を用いて、杯状細胞数について評点付けした。結果を図25に示す。
杯状細胞の評点システム
スコア 観測
0 杯状細胞なし
1 非常に少数の杯状細胞
2 低い数の杯状細胞
3 中位の数の杯状細胞
4 多数の杯状細胞
5 非常に多量の杯状細胞
評点システムは線形ではないこと、そして2または3のスコア間の差は上皮中に存在する杯状細胞数に関連して非常に大きいことに注目すべきである。
治療群の何匹かについての代表的な切片を、図26A,(gst−cIL13+「ImmunEasy」);図26B(gst−「ImmunEasy」);図27A(gst−cIL13+10μgの3−脱O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)と10μgのQS21サポニンを組合わせてコレステロールを含むリポソーム(EP0822831B1, SmithKline Beecham Biologicals S.A.参照));図28(デキサメサゾン);図29(最大喘息表現型)に示す。
ワクチン治療および抗IL13ポリクローナル抗体による受動投与のいずれも気道上皮における粘液含有杯状細胞の数を劇的に減少させた。全ての抗IL13治療についての杯状細胞の減少は、生理食塩水(最大表現型)治療群に対して非常に大きい(p<0.01)。ネガティブコントロールのワクチンは効果を有さなかった。デキサメサゾン治療は、本調査において杯状細胞化成(GCM)に対しほとんど有効でなかった。
まとめ
抗IL13ワクチン治療は、マウス喘息モデルにおいて、喘息表現型の阻止に非常に効果的であった。抗IL13ワクチンは、AHRおよび好酸球増加症の治療についてデキサメサゾンと同じくらい効果的であり、杯状細胞化生および粘液高分泌の治療についてはデキサメサゾンより優れていた。
抗IL13ワクチン治療は、マウス喘息モデルにおいて、喘息表現型の阻止に非常に効果的であった。抗IL13ワクチンは、AHRおよび好酸球増加症の治療についてデキサメサゾンと同じくらい効果的であり、杯状細胞化生および粘液高分泌の治療についてはデキサメサゾンより優れていた。
実施例4 杯状細胞化成と血清IL13中和能のレベルとの相関
抗IL13ワクチンにより免疫した数匹の動物は、1.0xED100より小さなレベルで血清IL13の中和を達成した。これらの動物が何らかの識別可能な利益(ED100は最大利益であると定義されていることを心に留めておく)を得ているか否かを決定するため、それらの動物もオボアルブミンでチャレンジし、GCMの度合いを決定した。以下のデータは、杯状細胞化生スコアと、ワクチンにより誘導される血清中のIL13中和能のレベルとの間の関係を示している。
抗IL13ワクチンにより免疫した数匹の動物は、1.0xED100より小さなレベルで血清IL13の中和を達成した。これらの動物が何らかの識別可能な利益(ED100は最大利益であると定義されていることを心に留めておく)を得ているか否かを決定するため、それらの動物もオボアルブミンでチャレンジし、GCMの度合いを決定した。以下のデータは、杯状細胞化生スコアと、ワクチンにより誘導される血清中のIL13中和能のレベルとの間の関係を示している。
杯状細胞についての評点システム
スコア 観測
0 杯状細胞なし
1 非常に少数の杯状細胞
2 低い数の杯状細胞
3 中位の数の杯状細胞
4 多数の杯状細胞
5 非常に多量の杯状細胞
杯状細胞データを下記の表1および図30に示す。
1xED100より小さい血清IL13中和能を生じさせたマウスのみをこの分析に含めた。その理由は、定義により、1xED100と同等またはこれより過剰な血清IL13能を有する動物は、杯状細胞化生を抑制する点で最大効能を得るからである。
データは、血清IL13中和能のレベルと杯状細胞化生の重傷度との間に相関があることを示す(R2=0.52)。IL13の中和レベルが高いほど、杯状細胞化生の重傷度は低い。
実施例3のデータとともにこれらのデータは、喘息の表現型に対する抗IL13治療の効能の強力な予測因子としてのED100測定値の使用を有効付ける。
いずれのワクチン、抗体、可溶性レセプターまたは他のIL13中和治療も以下のように評価することができる。
1.IL13中和治療を患者に所望の投与量および頻度で与える。
2.血清サンプルを得る。
3.TF1増殖アッセイなどのIL13バイオアッセイにおいて、血清サンプル、およびその希釈物を分析することにより、血清サンプルのIL13のND50を決定する。バイオアッセイは、5ng/mlのマウスIL13の特定の効果の50%を阻害させる最大の血清希釈度を決定することが可能であるように選択される。ヒトIL13を対象とする治療のため、TF1バイオアッセイは依然として使用されるが、刺激性サイトカインは、3〜6ng/mlの範囲の濃度で使用されるヒトIL13であろう。
4.得られたND50値を1/476で割り、ED100倍数を得る。
5.この倍数が1以上の場合、IL13中和治療は喘息表現型において最大効能を有することが期待される。
6.倍数が1.0よりかなり小さい場合、例えば0.2以下の場合、有意な効能は期待されない。
7.倍数がこれらの範囲の間にある場合、いくらかの効能を見出しうるが、最適ではなく、治療の改善が望まれることを示す。
上記の工程は、最大効能についての投与量の選択を導くために使用されてもよい。薬剤の最初の投与回数後、血清IL13の中和能が少なくとも1.0xED100と同等レベルに達していない場合、更なる投与を与え、このレベルに至る中和能を生じさせる。
実施例5 種々のアジュバントと組合せた抗IL13タンパク質ワクチンの免疫原性
追加の雑多なT細胞エピトープP30を含むあるいは含まない、数種の異なるアジュバントと組合せたgst−cIL13免疫原の免疫原性を研究するための調査を行った。
追加の雑多なT細胞エピトープP30を含むあるいは含まない、数種の異なるアジュバントと組合せたgst−cIL13免疫原の免疫原性を研究するための調査を行った。
gst−cIL13タンパク質の免疫原性調査
BalbCマウスを、初回免疫としてアジュバント中の100μgのgst−cIL13を免疫し、これに続き追加免疫としてアジュバント中の50μgのgst−cIL13を免疫した。
BalbCマウスを、初回免疫としてアジュバント中の100μgのgst−cIL13を免疫し、これに続き追加免疫としてアジュバント中の50μgのgst−cIL13を免疫した。
免疫は4週間に1回を基準として行い、各免疫の2週間後、(血清サンプルにおいて、これらの抗体により生じたIL13中和能のレベルをモニターするため)マウスから血清サンプルを得た。gst−cIL13免疫原は異なる4種のアジュバントと組み合わせた。
グループA 水酸化アルミニウムに吸着させたCpG−2006
グループB CpG−1826
グループC CFA 初回/IFA 追加免疫
グループD 水酸化アルミニウム
CpG−2006とCpG−1826は非メチル化CGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであり、免疫賦活活性を有するとして文献公知である。CFA/IFAはそれぞれ完全なおよび不完全なフロイントアジュバントを示す。
グループB CpG−1826
グループC CFA 初回/IFA 追加免疫
グループD 水酸化アルミニウム
CpG−2006とCpG−1826は非メチル化CGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであり、免疫賦活活性を有するとして文献公知である。CFA/IFAはそれぞれ完全なおよび不完全なフロイントアジュバントを示す。
血清サンプル中でこれらの抗体により生じるIL13中和能は、マウスILバイオアッセイ(TF−1細胞増殖アッセイ)において測定した。下記の表は99日目の4種の免疫後の結果(ED100の倍数として表示)を示す。このデータを図31にもグラフで示す。この図、およびそれに続く同様の図において、各ドットは、1匹の動物について1つの血清IL13中和測定値を示す。その血清中和能がアッセイの感度閾値より小さい(<0.2xED100)動物はプロットされていない。
gst−cIL13タンパク質と組み合わせたアジュバントA(水酸化アルミニウム上に吸着させたCpG(2006))は、抗IL13中和抗体応答を引き起こす点で最も効果的であった。抗IL13中和抗体応答は、アルムまたはCFA/IFAアジュバントのいずれかと組合せたgst−cIL13により治療されたマウスについては検出されなかった。
P30−cIL13タンパク質
調査1
この調査のため、IL13ワクチンの異なる形態を使用した。これはN末端に破傷風毒素由来のp30エピトープを含む別のキメラIL13分子である。これはプラスミドpCDNcIL13newFC(図20)によりコードされ、ワクチン調査のため実施例1に記載されるように調製した。完全に加工された分子は以下の記載中p30−cIL13と称する。
調査1
この調査のため、IL13ワクチンの異なる形態を使用した。これはN末端に破傷風毒素由来のp30エピトープを含む別のキメラIL13分子である。これはプラスミドpCDNcIL13newFC(図20)によりコードされ、ワクチン調査のため実施例1に記載されるように調製した。完全に加工された分子は以下の記載中p30−cIL13と称する。
5匹のCD−1マウスを、初回免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13で免疫し、これに続き追加免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13で免疫した。免疫は4週間に1回を基準として行い、各免疫の2週間後(存在する抗マウスIL13抗体のレベル、および血清サンプル中でこれらの抗体により生じたIL13中和能をモニターするため)マウスから血清サンプルを得た。ネガティブコントロールとして、3匹の免疫されていないCD−1マウス由来の血清サンプルも分析した。
グループ アジュバント
A ImmuneasyTM(Qiagen Corp.から購入)
B 10μgの3−脱O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)および10μgのQS21サポニンを組合わせてコレステロールを含むリポソーム(EP0822831B1, SmithKline Beecham Biologicals S.A.参照)
C 免疫なし
抗マウスIL13抗体レベル(血清サンプルの1/100希釈中)はELISAにより測定した。下記の表は63日目の3種の免疫の結果(490nmでの吸光度として表示)を示す。このデータは図32にもグラフで示されており、各棒は単一マウスについてのデータを示す。
A ImmuneasyTM(Qiagen Corp.から購入)
B 10μgの3−脱O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)および10μgのQS21サポニンを組合わせてコレステロールを含むリポソーム(EP0822831B1, SmithKline Beecham Biologicals S.A.参照)
C 免疫なし
抗マウスIL13抗体レベル(血清サンプルの1/100希釈中)はELISAにより測定した。下記の表は63日目の3種の免疫の結果(490nmでの吸光度として表示)を示す。このデータは図32にもグラフで示されており、各棒は単一マウスについてのデータを示す。
血清サンプル中でこれらの抗体により生じたIL13中和能を、マウスIL13バイオアッセイ(TF−1細胞増殖アッセイ)において測定した。下記の表は63日目の3種の免疫の結果(ED100の倍数として表示)を示す。このデータは図33にもグラフで示されている。
p30−cIL13タンパク質と組合されるアジュバントBは、抗IL13中和抗体応答を生じる点で最も効果的であり、5匹のうち4匹のマウスが1xED100を超す強力な抗IL13中和抗体応答を生じさせた。比較において、ImmunEasyアジュバント(アジュバントA)と組合せたp30−cIL13タンパク質により治療したとき、1匹のマウスのみが抗IL13中和抗体応答を引き起こした。
調査2
3D−MPLとQS21を含む油乳剤アジュバントを有するp30−cIL13タンパク質
5匹のマウスを、初回免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13で免疫し、続いて追加免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13で免疫した。免疫は4週間に1回を基準として行い、各免疫の2週間後(存在する抗マウスIL13抗体のレベル、および血清サンプル中でこれらの抗体により生じたIL13中和能をモニターするため)マウスから血清サンプルを得た。ネガティブコントロールとして、3匹の免疫されていないCD−1マウス由来の血清サンプルも分析した。
3D−MPLとQS21を含む油乳剤アジュバントを有するp30−cIL13タンパク質
5匹のマウスを、初回免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13で免疫し、続いて追加免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13で免疫した。免疫は4週間に1回を基準として行い、各免疫の2週間後(存在する抗マウスIL13抗体のレベル、および血清サンプル中でこれらの抗体により生じたIL13中和能をモニターするため)マウスから血清サンプルを得た。ネガティブコントロールとして、3匹の免疫されていないCD−1マウス由来の血清サンプルも分析した。
グループ アジュバント
A ImmunEasyTM
B 水中油型乳剤((油相;1:1v/v スクアレン:アルファトコフェロール混合物、コレステロール+TWEENTM界面活性剤)+10μg 3D−MPLと10μg QS21)(さらなる詳細についてはWO 99/11241(SB62c'として記載)参照)
C 免疫なし
抗マウスIL中和能レベル(血清サンプルの1/100希釈液中)をELISAにより測定した。下記の表は63日目の3種の免疫後についての結果(490nmでの吸光度として表示)を示す。このデータを図34にもグラフで示す。
A ImmunEasyTM
B 水中油型乳剤((油相;1:1v/v スクアレン:アルファトコフェロール混合物、コレステロール+TWEENTM界面活性剤)+10μg 3D−MPLと10μg QS21)(さらなる詳細についてはWO 99/11241(SB62c'として記載)参照)
C 免疫なし
抗マウスIL中和能レベル(血清サンプルの1/100希釈液中)をELISAにより測定した。下記の表は63日目の3種の免疫後についての結果(490nmでの吸光度として表示)を示す。このデータを図34にもグラフで示す。
血清サンプル中でこれらの抗体により生じたIL13中和能を、マウスIL13バイオアッセイ(TF細胞増殖アッセイ)において測定した。下記の表は63日目の3種の免疫後の結果(ED100の倍数として表示)を示す。このデータを図35にもグラフで示す。
p30−cIL13タンパク質と組合されるアジュバントBは、抗IL13中和抗体応答を生じさせる点で最も効果的であり、5匹のうち4匹のマウスが1xED100を超す強力な抗IL13中和抗体応答を生じさせた。比較において、ImmunEasyアジュバント(グループA)と組合せたp30−cIL13により治療したとき、1匹のマウスのみが抗IL13中和抗体応答を引き起こした。
調査3
油乳剤アジュバント(免疫賦活性剤を含まない)を有するp30−cIL13タンパク質
5匹のマウスを、初回免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13により免疫し、続いて追加免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13により免疫した。免疫は4週間に1回を基準として行い、各免疫の2週間後(存在する抗マウスIL13抗体のレベル、および血清サンプル中でこれらの抗体により生じたIL13中和能をモニターするため)マウスから血清サンプルを得た。ネガティブコントロールとして、3種の免疫されていないCD−1マウス由来の血清サンプルも分析した。
油乳剤アジュバント(免疫賦活性剤を含まない)を有するp30−cIL13タンパク質
5匹のマウスを、初回免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13により免疫し、続いて追加免疫としてアジュバント中の40μgのp30−cIL13により免疫した。免疫は4週間に1回を基準として行い、各免疫の2週間後(存在する抗マウスIL13抗体のレベル、および血清サンプル中でこれらの抗体により生じたIL13中和能をモニターするため)マウスから血清サンプルを得た。ネガティブコントロールとして、3種の免疫されていないCD−1マウス由来の血清サンプルも分析した。
グループ アジュバント
A ImmunEasyTM
B 水中油型乳剤(油相;1:1 v/v スクアレン:アルファトコフェロール混合物、コレステロール+TWEEN80TM界面活性剤)(詳細についてはWO9517210参照)
C 免疫なし
抗マウスIL13抗体レベル(血清サンプルの1/100希釈液中)をELISAにより測定した。下記の表は63日目の3種の免疫後の結果(490nmでの吸光度として表示)を示している。このデータは図36にもグラフで示されており、各棒グラフは単一マウスについてのデータを示す。
A ImmunEasyTM
B 水中油型乳剤(油相;1:1 v/v スクアレン:アルファトコフェロール混合物、コレステロール+TWEEN80TM界面活性剤)(詳細についてはWO9517210参照)
C 免疫なし
抗マウスIL13抗体レベル(血清サンプルの1/100希釈液中)をELISAにより測定した。下記の表は63日目の3種の免疫後の結果(490nmでの吸光度として表示)を示している。このデータは図36にもグラフで示されており、各棒グラフは単一マウスについてのデータを示す。
血清サンプル中でこれらの抗体により生じたIL13中和能は、マウスIL13バイオアッセイ(TF−1細胞増殖アッセイ)において測定した。下記の表は63日目の3種の免疫後についての結果(ED100の倍数として表示)を示す。このデータを図37にもグラフで示す。
Claims (19)
- 喘息またはCOPDの治療のためのワクチン組成物であって、ワクチン接種を受けた個体において自己IL−13に対して免疫応答を生じさせることが可能な免疫原と、サポニンおよびLPSの非毒性誘導体の組合せを含むアジュバント組成物とを含んでなる上記ワクチン組成物。
- 前記免疫原がヒトIL−13に対する免疫応答を生じさせる、請求項1に記載のワクチン。
- 前記免疫原が外来のTヘルパーエピトープを補充したヒトIL−13を含む、請求項2に記載のワクチン。
- ワクチン接種を受けた個体において自己IL−13に対して免疫応答を生じさせることが可能な前記免疫原が、キメラヒトIL−13免疫原である、請求項2に記載のワクチン。
- 前記免疫原が、ヒトIL−13 B細胞エピトープで置換された非ヒトIL−13主鎖を含む、請求項4に記載のワクチン。
- 前記キメラヒトIL−13の配列が、天然のヒトIL−13と類似するコンホメーション形を有し、その配列中にヒトに投与した際に、その免疫原性を高めるために十分なアミノ酸配列の多様性を有しており、該キメラIL−13免疫原が、
(a) 以下のαへリックス領域:
PSTALRELIEELVNIT、MYCAALESLI、KTQRMLSGFまたはAQFVKDLLLHLKKLFREの少なくとも2ヶ所での置換突然変異を含む、
(b) 以下の異種間高保存領域、3PVP, 12ELIEEL, 19NITQ, 28LCN, 32SMVWS, 50SL, 60AI, 64TQ, 87DTKIEVA, 99LL, 106LF、の少なくとも6ヶ所を非突然変異形態で含む、および
(c) 場合により、残りのアミノ酸のいずれかに突然変異を含む、
(ここで、工程a、bまたはcで行われた全ての置換が構造的保存置換である)ヒトIL−13の配列を有することを特徴とする、請求項4に記載のワクチン。 - 前記ヒトIL−13のアミノ酸配列が、ヒト以外の種のIL−13配列内の同等位置、すなわち8T, 11R, 18V, 49E, 62K, 66M, 69G, 84H, 97K, 101L, 105K, 109E, 111Rの13ヶ所の少なくとも6ヶ所、に存在するアミノ酸の特性を示す置換または保存的置換を含む、請求項6に記載のワクチン。
- 前記IL−13の構成要素が以下の群:免疫原1、免疫原11、免疫原12および免疫原13から選択される、請求項4に記載のワクチン。
- 以下の群:免疫原2、免疫原3、免疫原7、免疫原8、免疫原9および免疫原10から選択される、請求項4に記載のワクチン。
- 前記サポニンがQS21である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のワクチン。
- 前記LPSの非毒性誘導体が、3D−MPLである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のワクチン。
- 前記アジュバントが、QS21と3D−MPLとの組合せである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のワクチン。
- さらに免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のワクチン。
- 前記免疫賦活性オリゴヌクレオチドがTCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (オリゴ 4)配列を有する、請求項14に記載のワクチン。
- 前記ワクチンが、オーソロガスなIL−13配列を含むヒトIL−13免疫原を含み、オーソロガスなB細胞エピトープの少なくとも1つが同等のヒト配列に置換されている、請求項1に記載のワクチン。
- IL−13に対して免疫応答を生じさせることが可能な免疫源と、サポニンおよびIL−13の非毒性誘導体とを混合することを含む、ワクチンの製造方法。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載のワクチンの、医療への使用。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載のワクチンを個体に投与することを含む、喘息にかかり易いまたは喘息に罹患している個体の治療方法。
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