二元毒素
クロストリジウム・ディフィシル二元毒素は、2つの異なるタンパク質であるCDTa及びCDTbを含む。感染中、CDTbは、プロドメインを欠損しているCDTbタンパク質(CDTb''とも呼ばれる)を生成するために、キモトリプシン様プロテアーゼによるタンパク質分解的切断によって活性化される。CDTb''はCDTbシグナル配列も欠損し、シグナル配列を欠損しているが、プロドメインを欠損していないCDTbはCDTb'と呼ばれることに留意されたい。タンパク質分解的活性化後、CDTbは、オリゴマー化し、CDTaに結合し、完全な「二元毒素」を形成する。細胞受容体への二元毒素の結合は、受容体媒介性エンドサイトーシスをもたらす。エンドソームは、CDTbオリゴマーが細孔を形成し得る立体構造変化を受けるCDTb結合ドメインを酸性にするため、細孔形成は、標的細胞へのADP-リボシルトランスフェラーゼドメイン(CDTa)の移行を誘発する。
CDTb
本発明は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。本発明はまた、唯一のC.ディフィシル抗原として、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。本明細書で使用するとき、用語「唯一のC.ディフィシル抗原として」とは、唯一のC.ディフィシル抗原として、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含む免疫原性組成物が、C.ディフィシル由来の別の抗原を含まない、例えば、免疫原性組成物がまた毒素A、毒素B及びCDTaタンパク質を含まないことを意味する。
本発明は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含む免疫原性組成物であって、配列番号1、配列番号31又は配列番号32に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%の類似性を有する単離されたタンパク質をさらに含まない免疫原性組成物を提供する。本発明によれば、本明細書で記載されるように、用語「CDTbタンパク質」は、配列番号3又は配列番号3の断片若しくは改変体を包含する。
本発明のこの第1の態様の一実施形態において、組成物は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含まない。
この態様の一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、
(i)配列番号3又は
(ii)配列番号3に対して、少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体又は
(iii)配列番号3の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250若しくは300個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片
である又はそれらを含む。
1つのこのような態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号3に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体である免疫原性組成物を提供する。
別の態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号3の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800又は850個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片である免疫原性組成物を提供する。
上記の「二元毒素」と題するセクションにおいて説明されているように、CDTbは複数のドメインを含み、特にCDTbは、シグナルペプチド及びプロドメインを含み、これらは両方とも切断される。
一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、シグナルペプチドが除かれている切断型CDTbタンパク質である。用語「シグナルペプチドが除かれている切断型CDTbタンパク質」とは、シグナルペプチドの実質的に全部が除かれている(したがって、シグナルペプチドの実質的に全部に対応するアミノ酸を含まない)配列番号3の断片又は改変体を指し、シグナルペプチドの2〜3個のアミノ酸が残っていてもよく、例えば、シグナルペプチドの2、5、10、15又は20個のアミノ酸が残っていてもよい。シグナルペプチドは、C.ディフィシルの異なる菌株から単離された二元毒素タンパク質における配列番号3のアミノ酸1〜48(アミノ酸1〜42を包含する)又はそれらの同等物に対応し、例えば、菌株CD196(Perelle, M. et al Infect. Immun., 65 (1997), pp. 1402-1407)由来のCDTbのアミノ酸配列のアミノ酸1〜42に対応する。
適切には、この実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、
(i)配列番号7若しくは配列番号16又は
(ii)配列番号7若しくは配列番号16に対して、少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体又は
(iii)配列番号7若しくは配列番号16の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750若しくは800個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片
である又はそれらを含む。一実施形態において、シグナルペプチドが除かれている切断型CDTbタンパク質は、配列番号7又は配列番号16に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体である又はそれを含む。さらなる実施形態において、シグナルペプチドが除かれている単離された切断型CDTbタンパク質は、配列番号7又は配列番号16の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750又は800個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片である又はそれを含む。
一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、プロドメインが除かれている切断型CDTbタンパク質である。用語「プロドメインが除かれている切断型CDTbタンパク質」とは、プロドメインの実質的に全部が除かれている(したがって、プロドメインの実質的に全部に対応するアミノ酸を含まない)配列番号3の断片又は改変体を指し、プロドメインの2〜3個のアミノ酸が残っていてもよく、例えば、プロドメインの2、5、10、15又は20個のアミノ酸が残っていてもよい。プロドメインは、C.ディフィシルの異なる菌株から単離された二元毒素タンパク質における配列番号3のアミノ酸48〜211(アミノ酸48〜166を包含する)又はそれらの同等物に対応する。場合により、プロドメインが除かれている切断型CDTbタンパク質はまた、CDTbのシグナル配列を欠損し、CDTbシグナル配列は、異なる菌株における配列番号3のアミノ酸1〜48(アミノ酸1〜42を包含する)又はそれらの同等物に対応する。用語「プロドメインが除かれている切断型CDTbタンパク質」とはまた、オリゴマー化し、CDTaに結合することができる配列番号3の断片又は改変体を指してもよい。本発明のこの実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、適切には、
(i)配列番号9若しくは配列番号51又は
(ii)配列番号9若しくは配列番号51に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体又は
(iii)配列番号9若しくは配列番号51の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600若しくは650個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片
である又はそれらを含む。
一実施形態において、プロドメインが除かれている切断型CDTbタンパク質は、配列番号9に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体である又はそれを含む。さらなる実施形態において、プロドメインが除かれている単離された切断型CDTbタンパク質は、配列番号9の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750又は800個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片である又はそれを含む。
また、CDTbは、受容体結合ドメインを含む。一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、受容体結合ドメインを含む切断型CDTbタンパク質である。用語「受容体結合ドメインを含む切断型CDTbタンパク質」とは、受容体結合ドメインの他は実質的に全部が除かれている(したがって、受容体結合ドメイン以外のタンパク質の実質的に全部に対応するアミノ酸を含まない)配列番号3の断片又は改変体を指し、受容体結合ドメインに加えて2〜3個のアミノ酸、例えば、受容体結合ドメインを除いて/受容体結合ドメインに加えて、2、5、10、15又は20個のアミノ酸が残っていてもよい。一バージョンにおいて、受容体結合ドメインは、C.ディフィシルの異なる菌株から単離された二元毒素タンパク質における配列番号3のアミノ酸620〜876又はそれらの同等物に対応する。別のバージョンにおいて、受容体結合ドメインは、C.ディフィシルの異なる菌株から単離された二元毒素タンパク質における配列番号3のアミノ酸636〜876又はそれらの同等物に対応する。
この実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、適切には、
(i)配列番号34若しくは配列番号36又は
(i)配列番号34若しくは配列番号36に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体又は
(iii)配列番号34若しくは配列番号36の少なくとも30、50、80、100、120、150若しくは200個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片
である又はそれらを含む。
本発明のこの態様の別の実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、CDTaに結合することができない変異型CDTbタンパク質である。
この実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、適切には、
(i)配列番号50又は
(i)配列番号50に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体又は
(iii)配列番号50の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250若しくは300個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片
である又はそれらを含む。
CDTbタンパク質は、異なる菌株間でアミノ酸配列が変化し、この理由のため、アミノ酸の番号付けは菌株間で異なっていてもよい。この理由のため、用語「異なる菌株における同等物」とは、参照菌株(例えば、配列番号1及び配列番号3が由来するC.ディフィシルR20291)のアミノ酸に対応するが、異なる菌株由来の毒素において見出され、したがって、異なった番号付けがされてもよいアミノ酸を指す。「同等物」アミノ酸の領域は、異なる菌株由来の毒素の配列を整列させることによって決定されてもよい。C.ディフィシルの例示的な二元毒素産生菌株は、CD196、CCUG20309、R8637、IS81、IS93、IS51、IS58、R6786、R7605、R10456及びR5989を含む。全体を通して提供されるアミノ酸の番号は、参照菌株R20291のアミノ酸の番号を指す。
一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、CDTbのモノマーである。さらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、CDTbのマルチマーである。さらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、CDTbのヘプタマーである。
第2の態様において、本発明は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、受容体結合ドメインを含む切断型CDTbタンパク質である、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。この態様の一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、適切には、
(i)配列番号34若しくは配列番号36又は
(i)配列番号34若しくは配列番号36に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体又は
(iii)配列番号34若しくは配列番号36の少なくとも30、50、80、100、120、150若しくは200個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片
である又はそれらを含む。
第3の態様において、本発明は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、CDTaに結合することができない変異型CDTbタンパク質である、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。この態様の一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、適切には、
(i)配列番号50又は
(i)配列番号50に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbの改変体又は
(iii)配列番号50の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250若しくは300個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片
である又はそれらを含む。
本発明の第2及び第3の態様の一実施形態において、免疫原性組成物は、
(i)配列番号1又は
(ii)配列番号1に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaの改変体又は
(iii)配列番号1の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350若しくは400個の連続したアミノ酸を有するCDTaの断片
を含む単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含む/さらに含む。
CDTa
本発明はまた、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。本発明はまた、唯一のC.ディフィシル抗原として、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。本明細書で使用するとき、用語「唯一のC.ディフィシル抗原として」とは、唯一のC.ディフィシル抗原として、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含む免疫原性組成物が、C.ディフィシル由来の別の抗原を含まない、例えば、免疫原性組成物がまた毒素A、毒素B及びCDTbタンパク質を含まないことを意味する。本発明によれば、本明細書で記載されるように、用語「CDTaタンパク質」は、配列番号1又は配列番号1の断片若しくは改変体を包含する。一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、配列番号1に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaの改変体を含む。さらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、配列番号1の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350又は400個の連続したアミノ酸を有するCDTaの断片を含む。
CDTaは、2つのドメインを含み、C末端ドメインは、ADPリボシルトランスフェラーゼ活性に関与し、一方、N末端ドメインは、CDTbとの相互作用に関与する。
本発明の第1〜第3の態様の一実施形態において、免疫原性組成物は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含む/さらに含む。適切には、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、切断型CDTaタンパク質である。「切断型CDTaタンパク質」とは、本明細書で使用するとき、その全長又はその適切な形態に達しない、したがって、配列番号1の全長CDTaに存在するアミノ酸残基のいくつかを欠損し、その構造がそうすることができないために意図された機能、例えば、ADPリボシルトランスフェラーゼ活性及び/又はCDTbとの相互作用を行うことができないCDTaタンパク質を意味する。
適切には、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、C末端ドメインを含まない切断型CDTaタンパク質である。用語「C末端ドメインを含まない切断型CDTaタンパク質」とは、C末端ドメインの実質的な部分を含まない配列番号1の断片又は改変体を指し、C末端ドメインの2〜3個のアミノ酸が残っていてもよく、例えば、C末端ドメインの2、5、10、15、20、25、30、35又は50個のアミノ酸が残っていてもよい。C末端ドメインは、C.ディフィシルの異なる菌株から単離されたCDTaタンパク質において、配列番号1のアミノ酸267〜463又はそれらの同等物に対応する。この実施形態において、切断型クロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、適切には、
(i)配列番号14若しくは配列番号15
(i)配列番号14若しくは配列番号15に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaの改変体又は
(iii)配列番号14若しくは配列番号15の少なくとも30、50、80、100、120、150若しくは190個の連続したアミノ酸を有するCDTaの断片
である又はそれらを含む。
一実施形態において、C末端ドメインを含まない切断型CDTaタンパク質は、配列番号13に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaの改変体である。さらなる実施形態において、C末端ドメインを含まない切断型CDTaタンパク質は、配列番号13の少なくとも30、50、80、100、120、150又は190個の連続したアミノ酸を有するCDTaの改変体である。
第4の態様において、本発明は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質が、C末端ドメインを含まない切断型CDTaタンパク質である、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。この態様の一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、適切には、
(i)配列番号14若しくは配列番号15又は
(ii)配列番号14若しくは配列番号15に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaの改変体又は
(iii)配列番号14若しくは配列番号15の少なくとも30、50、80、100、120、150若しくは190個の連続したアミノ酸を有するCDTaの断片
である又はそれらを含む。
本発明の態様のいずれかのさらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、適切には、そのADP-リボシルトランスフェラーゼ活性を減少させる変異を含む。例えば、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、428位でグルタミン酸から別のアミノ酸への変異を有する。用語「428位で変異を有する」とは、この正確な位置での変異を有するCDTaタンパク質を指すが、異なる菌株から単離され、同等の位置で変異を有するCDTaタンパク質も指す。CDTaタンパク質は、異なる菌株間でアミノ酸配列が変化し、この理由のため、アミノ酸の番号付けは菌株間で異なっていてもよく、したがって、異なる菌株由来のCDTaタンパク質は、配列中の番号428でない対応するグルタミン酸を有してもよい。一実施形態では、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、428位でグルタミン酸からグルタミンへの変異を有する。
本発明の態様のいずれかのさらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、適切には、430位でグルタミン酸から異なるアミノ酸への変異を有し、用語「430位で変異を有する」とは、この正確な位置を有するタンパク質を指すが、異なる菌株から単離され、同等の位置で変異を有するCDTaタンパク質も指す。一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、430位でグルタミン酸からグルタミンへの変異を有する。
本発明の態様のいずれかのさらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、適切には、
(i)配列番号46、配列番号48、配列番号52若しくは配列番号54又は
(ii)配列番号46、配列番号48、配列番号52若しくは配列番号54に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaの改変体又は
(iii)配列番号46、配列番号48、配列番号52若しくは配列番号54の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350若しくは400個の連続したアミノ酸を有するCDTaの断片
である又はそれらを含む。
本発明の態様のいずれかのさらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、適切には、
(i)配列番号48又は
(ii)配列番号48に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaの改変体又は
(iii)配列番号48の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350若しくは400個の連続したアミノ酸を有するCDTaの断片
である又はそれらを含む。
CDTa及び/又はCDTbを含む免疫原性組成物
さらなる実施形態において、CDTbタンパク質を含むが、CDTaタンパク質を含まない免疫原性組成物が提供され、例えば、免疫原性組成物は、配列番号1に対して少なくとも95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するCDTaの改変体、及び配列番号1の少なくとも250、400又は450個の連続したアミノ酸を有するCDTaの断片を含まない。
さらなる実施形態において、CDTaタンパク質を含むが、CDTbタンパク質を含まない免疫原性組成物が提供され、例えば、免疫原性組成物は、配列番号3に対して少なくとも95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するCDTbの改変体、及びCDTbの少なくとも700、750又は800個の連続したアミノ酸を有するCDTbの断片を含まない。
さらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質又は単離されたCDTaタンパク質のいずれかを含むが、単離されたCDTbタンパク質と単離されたCDTaタンパク質の両方を含まない免疫原性組成物を提供する。
さらなる実施形態において、CDTaタンパク質及びCDTbタンパク質を含む融合タンパク質が提供される。別の実施形態において、CDTaタンパク質及びCDTbタンパク質を含む融合タンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。
CDTaタンパク質及びCDTbタンパク質を含む融合タンパク質
第5の態様において、本発明は、CDTaタンパク質及びCDTbタンパク質を含む融合タンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。この態様の一実施形態において、CDTaタンパク質は、適切には、切断されている。例えば、CDTaタンパク質は、適切には、C末端ドメインを含まない。この態様において、CDTbタンパク質は、適切には、切断されている。この実施形態において、CDTbタンパク質は、適切には、受容体結合ドメインを含む。
本発明のこの態様の一実施形態において、融合タンパク質は、適切には、
(i)配列番号40、配列番号41、配列番号42若しくは配列番号43又は
(ii)配列番号40、配列番号41、配列番号42若しくは配列番号43に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有する改変体又は
(iii)配列番号40、配列番号41、配列番号42若しくは配列番号43の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350若しくは400個の連続したアミノ酸を有する断片
である又はそれらを含む。
「融合ポリペプチド」又は「融合タンパク質」とは、直接又はアミノ酸リンカーを介して共有結合的に連結された少なくとも2つの異種ポリペプチド(例えば、少なくとも2つのマイコバクテリウム(Mycobacterium)属種ポリペプチド)を有するタンパク質を指す。また、それは、非共有結合的に連結された少なくとも2つの異種ポリペプチドを有するタンパク質を指す場合もある。融合タンパク質を形成するポリペプチドは、典型的には、C末端がN末端に連結されるが、それらは、C末端がC末端に、N末端がN末端に、又はN末端がC末端に連結されてもよい。融合タンパク質のポリペプチドは、任意の順序であり得る。この用語はまた、融合タンパク質を構成する抗原の、保存的に修飾された改変体、多型改変体、対立遺伝子、変異体、免疫原性断片及び種間ホモログも指す。
用語「融合された」とは、結合、例えば、融合タンパク質における2つのポリペプチド間の共有結合を指す。ポリペプチドは、典型的には、互いに直接又はアミノ酸リンカーを介して、ペプチド結合によって連結される。場合により、ペプチドは、当業者に公知の非ペプチド共有結合を介して連結され得る。
ペプチドリンカー配列は、それぞれのポリペプチドがその二次構造及び三次構造に折り畳まれることを確実するのに十分な距離まで、第1及び第2のポリペプチド成分を分けるために使用され得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該技術分野で周知の標準的な技術を用いて、融合タンパク質に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子:(1)フレキシブルな伸長された立体構造を取るそれらの能力、(2)第1及び第2のポリペプチド上の機能的エピトープと相互作用することができる二次構造を取れないそれらの能力及び(3)ポリペプチド機能的エピトープと反応する可能性のある疎水性残基又は荷電残基の欠如、に基づいて選択されてもよい。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、Asn及びSer残基を含む。他の中性付近のアミノ酸、例えば、Thr及びAlaもまた、リンカー配列において使用されてもよい。リンカーとして有用に使用され得るアミノ酸配列としては、Maratea et al., Gene 40:39-46 (1985)、Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258-8262 (1986)、米国特許第4,935,233号及び米国特許第4,751,180号に開示されているアミノ酸配列が挙げられる。リンカー配列は、一般に、長さにして1〜約50個のアミノ酸、例えば、長さにして1、5、10、15、20、25、30、35又は40個のアミノ酸であってもよい。第1及び第2のポリペプチドが、機能的ドメインを分け、立体的干渉を妨げるために使用することができる非必須のN末端アミノ酸領域を有する場合、リンカー配列は必要とされない。
本発明の態様のいずれかの一実施形態において、免疫原性組成物は、CDTa若しくはCDTb又はその両方を中和する抗体を誘発する。さらなる実施形態において、組成物は、二元毒素を中和する抗体を誘発する。組成物が毒素に対する抗体を誘発するかどうかは、免疫原性組成物を用いてマウスを免疫し、血清を採取し、ELISAを用いて血清の抗毒素力価を分析することによって測定することができる。血清は、免疫されていないマウスから得られた参照サンプルと比較される必要がある。ポリペプチドに対する血清が、10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%又は100%超参照サンプルよりも高いELISA読み出しを与える場合、本発明の組成物は、CDTaを中和する抗体を誘発する。
さらなる実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、C.ディフィシルの菌株に対する哺乳動物宿主における防御免疫応答を誘発する。一実施形態において、哺乳動物宿主は、マウス、ウサギ、モルモット、非ヒト霊長類、サル及びヒトからなる群から選択される。一実施形態において、哺乳動物宿主はマウスである。さらなる実施形態において、哺乳動物宿主はヒトである。
免疫原性組成物が、C.ディフィシルの菌株に対する哺乳動物宿主における防御免疫応答を誘発するかどうかは、抗原投与アッセイを用いて決定することができる。このようなアッセイにおいて、哺乳動物宿主は、免疫原性組成物でワクチン接種され、C.ディフィシルに対する曝露によって抗原投与され、哺乳動物が抗原投与後に生存している時間が、免疫原性組成物を用いて免疫されていない参照哺乳動物が生存している時間と比較される。免疫原性組成物を用いて免疫された哺乳動物が、C.ディフィシルによる抗原投与後に免疫されていない参照哺乳動物よりも少なくとも10%、20%、30%、50%、80%、80%、90%又は100%長く生存している場合、免疫原性組成物は、防御免疫応答を誘発する。
毒素A及び毒素B
本発明の態様のいずれかの一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Aタンパク質及び/又は単離されたC.ディフィシル毒素Bタンパク質をさらに含む。
用語「単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Aタンパク質」とは、配列番号31の断片又は改変体を指す。一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Aタンパク質は、配列番号31の50、100、150、200、250、300、500、750、1000、1250、1500、1750、2000又は2500個の連続したアミノ酸を含む断片である。一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Aタンパク質は、配列番号31に対して80%、85%、90%、92%、95%、98%、99%又は100%の同一性を含む改変体である。
用語「単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Bタンパク質」とは、配列番号32の断片又は改変体を指す。一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Bタンパク質は、配列番号32の50、100、150、200、250、300、500、750、1000、1250、1500、1750又は2000個を含む断片である。一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Bタンパク質は、配列番号32に対して80%、85%、90%、92%、95%、98%、99%又は100%の同一性を含む改変体である。
一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Aタンパク質は、反復ドメイン断片を含む。用語「毒素A反復ドメイン」とは、反復配列を含む、C.ディフィシル由来の毒素Aタンパク質のC末端ドメインを指す。毒素A反復ドメインとは、菌株VPI10463(ATCC43255)由来の毒素Aのアミノ酸1832〜2710及び異なる菌株におけるそれらの同等物を指し、菌株VPI10463(ATCC43255)由来のアミノ酸1832〜2710の配列は、配列番号31のアミノ酸1832〜2710に対応する。さらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Aタンパク質は、毒素A N末端ドメインの断片を含む。毒素A N末端ドメインは、菌株VBI10463(ATCC43255)由来の毒素Aのアミノ酸1〜1831及び異なる菌株におけるそれらの同等物、配列番号31のアミノ酸1〜1831の配列を指す。
一実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Bタンパク質は、毒素B反復ドメイン断片を含む。用語「毒素B反復ドメイン」とは、C.ディフィシル由来の毒素Bタンパク質のC末端ドメインを指す。このドメインは、菌株VPI10463(ATCC43255)由来のアミノ酸1834〜2366及び異なる菌株におけるそれらの同等物を指し、菌株VPI10463(ATCC43255)由来のアミノ酸1834〜2366の配列は、配列番号32のアミノ酸1834〜2366に対応する。さらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Bタンパク質は、毒素B N末端ドメインの断片を含む。毒素B N末端ドメインは、菌株VBI10463(ATCC43255)由来の毒素Bのアミノ酸1〜1833及び異なる菌株におけるそれらの同等物、配列番号32のアミノ酸1〜1833の配列を指す。
C.ディフィシル毒素A及びBは、保存されたタンパク質であるが、しかしながら、配列は菌株間で少し異なり、さらに、異なる菌株における毒素A及びBについてのアミノ酸配列は、アミノ酸の数において相違することがある。
これらの理由のため、毒素A反復ドメイン及び/又は毒素B反復ドメインなる用語とは、配列番号31のアミノ酸1832〜2710に対して90%、95%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有する改変体、又は配列番号32のアミノ酸1834〜2366に対して90%、95%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有する改変体である配列を指す。同様に、毒素A N末端ドメイン及び/又は毒素B N末端ドメインなる用語とは、配列番号31のアミノ酸1〜1831に対して90%、95%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有する改変体、又は配列番号32のアミノ酸1〜1833に対して90%、95%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有する改変体である配列を指す。
さらに、アミノ酸の番号付けは、1つの菌株由来の毒素A(又は毒素B)のC末端ドメインと別の菌株由来の毒素A(又は毒素B)の間で異なっていてもよい。この理由のため、用語「異なる菌株における同等物」とは、参照菌株(例えば、C.ディフィシルVPI10463)のアミノ酸に対応するが、異なる菌株由来の毒素において見出され、したがって、異なった番号付けがされてもよいアミノ酸を指す。「同等物」アミノ酸の領域は、異なる菌株由来の毒素の配列を整列させることによって決定されてもよい。全体を通して提供されるアミノ酸の番号は、菌株VPI10463のアミノ酸の番号を指す。
本発明の態様のいずれかのさらなる実施形態において、単離されたC.ディフィシル毒素Aタンパク質及び単離されたC.ディフィシル毒素Bタンパク質は、融合タンパク質を形成する。一実施形態において、融合タンパク質は、配列番号18、19、20、21、22、24、26、28及び30からなる群から選択される配列に対して、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%同一である。さらなる実施形態において、融合タンパク質は、配列番号18、19、20、21、22、24、26、28及び30からなる群から選択される配列の少なくとも800、850、900又は950個の連続したアミノ酸の断片である。
本発明の態様のいずれかのさらなる実施形態において、免疫原性組成物は、CDTbタンパク質若しくは切断型CDTbタンパク質に融合した、単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Aタンパク質及び/又は単離されたクロストリジウム・ディフィシル毒素Bタンパク質の間に融合タンパク質を含む/さらに含む。一実施形態において、毒素Aの断片、毒素Bの断片及びCDTbタンパク質を含む融合タンパク質が提供され、例えば、融合タンパク質は、CDTbタンパク質に融合した、配列番号18、19、20、21、22、24、26、28若しくは30の断片又は改変体を含んでもよい。例えば、融合タンパク質は、切断型CDTbタンパク質に融合した配列番号18、19、20、21、22、24、26、28若しくは30の断片又は改変体を含んでもよい。
一実施形態において、融合タンパク質は、適切には、
(i)配列番号44若しくは配列番号45又は
(ii)配列番号44若しくは配列番号45に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有する改変体又は
(iii)配列番号44若しくは配列番号45からなる群から選択される配列の少なくとも800、850、900若しくは950個の連続したアミノ酸の断片
である又はそれらを含む。
断片
本明細書で定義される「断片」なる用語とは、T細胞エピトープを含む断片を指す場合がある。T細胞エピトープは、T細胞(例えば、CD4+又はCD8+ T細胞)によって認識されるアミノ酸の短い連続ストレッチである。T細胞エピトープの同定は、当業者に周知であるエピトープマッピング実験を通して達成されてもよい(例えば、Paul, Fundamental Immunology, 3rd ed., 243-247 (1993)、Beissbarth et al Bioinformatics 2005 21(Suppl. 1):i29-i37を参照されたい)。
適切には、本発明の断片は、免疫原性断片である。本発明による「免疫原性断片」は、典型的には、全長ポリペプチド配列からの少なくとも9個の連続したアミノ酸(例えば、少なくとも10個)、例えば、少なくとも12個の連続したアミノ酸(例えば、少なくとも15個又は少なくとも20個の連続したアミノ酸)、特に少なくとも50個の連続したアミノ酸、例えば、少なくとも100個の連続したアミノ酸(例えば、少なくとも200個の連続したアミノ酸)を含む。適切には、免疫原性断片は、全長ポリペプチド配列の長さの少なくとも20%、例えば、少なくとも50%、少なくとも70%又は少なくとも80%である。
ヒトなど多様な非近交系集団において、異なるHLA型は、特定のエピトープが集団の全てのメンバーに認識されない場合があることを意味することが理解される。したがって、ポリペプチドに対する免疫応答の認識のレベル及び規模を最大限にするために、免疫原性断片が、全長配列からの複数のエピトープ(適切には全てのエピトープ)を含有することが、一般的に望ましい。
改変体
「改変体」又は「保存的に修飾された改変体」は、アミノ酸配列と核酸配列の両方に適用する。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された改変体とは、同一又は本質的に同一のアミノ酸配列をコードするそれらの核酸を指し、又は核酸が、アミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列を指す。
タンパク質配列の改変体に関して、当業者は、単一のアミノ酸又は少ない割合のアミノ酸を変更、付加又は欠失する、ポリペプチドへの個々の置換、欠失又は付加が、「保存的に修飾された改変体」であり、この場合、変更(単数又は複数)は、機能的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらし、又は改変体の生物学的機能に実質的に影響を及ぼさない残基の置換/欠失/付加をもたらすことを認識する。
機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換の表は当該技術分野で周知である。このような保存的に修飾された改変体は、本発明の多型改変体、種間ホモログ及び対立遺伝子に追加され、それらを排除するものではない。
本発明のポリペプチド(例えば、CDTaタンパク質又はCDTbタンパク質)は、参照配列と比較した場合、いくつかの保存的置換(例えば、1〜50個、例えば1〜25個、特に1〜10個、とりわけ1個のアミノ酸残基が変更されてもよい)を含んでもよい。一般に、このような保存的置換は、以下に特定されたアミノ酸群の1つに含まれるが、状況によっては、他の置換が、抗原の免疫原特性に実質的に影響を及ぼすことなく可能である場合がある。以下の8つの群は、それぞれ、典型的に互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:
1)アラニン(A)、グリシン(G)、
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)、リシン(K)、
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、
7)セリン(S)、トレオニン(T)及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton、Proteins、1984を参照されたい)。
適切には、このような置換は、エピトープの領域において起こらず、したがって、抗原の免疫原特性に著しい影響を与えない。
ポリペプチド改変体はまた、追加のアミノ酸が、参照配列と比較して挿入されたものを含んでもよく、例えば、このような挿入は、1〜10個の位置(例えば、1〜5個の位置、適切には1又は2個の位置、特に1個の位置)で発生してもよく、例えば、それぞれの位置で50個以下(例えば、20個以下、特に10個以下、とりわけ5個以下)のアミノ酸の付加を伴ってもよい。適切には、このような挿入は、エピトープの領域において発生せず、したがって、抗原の免疫原特性に著しい影響を与えない。挿入の一例は、対象とする抗原の発現及び/又は精製を助けるためのヒスチジン残基(例えば、2〜6個の残基)の短いストレッチを含む。
ポリペプチド改変体は、アミノ酸が、参照配列と比較して欠失されたものを含み、例えば、このような欠失は、1〜10個の位置(例えば、1〜5個の位置、適切には1又は2個の位置、特に1個の位置)で発生してもよく、例えば、それぞれの位置で50個以下(例えば、20個以下、特に10個以下、とりわけ5個以下)のアミノ酸の欠失を伴ってもよい。適切には、このような欠失は、エピトープの領域において発生せず、したがって、抗原の免疫原特性に著しい影響を与えない。
特定のポリペプチド改変体は、置換、欠失及び付加(又は、それらの任意の組合せ)を含み得ることを、当業者は認識する。
改変体は、関連する参照配列に対して、好ましくは、少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同一性(例えば少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%)を示す。
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列との関連で、用語「同一の」又は「同一性」パーセントとは、例えば、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して又は手作業によるアライメント及び目視検査によって測定されるように、比較ウィンドウ又は指定された領域上で最大限一致のために比較及び整列させたとき、同じである又は同じアミノ酸残基若しくはヌクレオチドが特定のパーセントを有する(すなわち、特定された領域上で70%同一性、場合によっては75%、80%、85%、90%、95%、98%若しくは99%同一性)2つ以上の配列若しくは部分配列を指す。次に、このような配列は、「実質的に同一である」と言われる。この定義は、試験配列の相補体も意味する。場合により、同一性は、長さにして少なくとも約25〜約50個のアミノ酸若しくはヌクレオチドである領域全体に、又は場合により、長さにして75〜100個のアミノ酸若しくはヌクレオチドである領域全体に存在する。適切には、この比較は、参照配列の全長に対応するウィンドウ全体で行われる。
配列比較について、典型的には、1つの配列が参照配列として作用し、これに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験及び参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムのプログラムパラメータが指定される。初期設定プログラムパラメータを使用することができ、又は代わりのパラメータを指定することができる。次に、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列について配列同一性パーセントを計算する。
「比較ウィンドウ」は、本明細書で使用するとき、セグメントを指し、そのセグメントにおいて、2つの配列を最適に整列させた後に、配列は、同数の連続する位置にある参照配列と比較され得る。比較するために配列をアライメントさせる方法は、当該技術分野において周知である。比較するための配列の最適なアライメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムをコンピュータ化して実行することによって(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)、又は手作業によるアライメント及び目視検査によって(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al. eds.、1995捕足)を参照されたい)実行できる。
有用なアルゴリズムの一例は、PILEUPである。PILEUPは、漸進性ペアワイズアライメントを使用して、関連配列の群から多重配列のアライメントを作成し、関係性及び配列同一性パーセントを示す。また、アライメントを作成するために使用されたクラスタリング関係を示す樹形図又は系統図(dendogram)も表示する。PILEUPは、Feng & Doolittle, J. Mol. Evol. 35:351-360 (1987)の漸進性アライメント方法を簡略化したものを使用している。使用されている方法は、Higgins & Sharp, CABIOS 5:151-153(1989)によって記載されている方法に類似している。このプログラムは、最大長5,000ヌクレオチド又はアミノ酸のそれぞれを300配列まで整列させることができる。多重アライメントの手法は、2つの最も類似している配列のペアワイズアライメントから始まり、2つの配列が整列したクラスターを作製する。次に、このクラスターが、次に最も関連する配列又は整列した配列のクラスターと整列される。2つの配列クラスターは、2つの個々の配列のペアワイズアライメントを単純に拡張することによって整列される。最終的なアライメントは、一連の漸進性ペアワイズアライメントによって達成される。プログラムは、配列を比較する領域に対する特定の配列及びそのアミノ酸又はヌクレオチド座標を指定することによって、並びにプログラムパラメータを指定することによって実行される。PILEUPを用いて、以下のパラメータ:初期設定ギャップ加重(3.00)、初期設定ギャップ長さ加重(0.10)及び加重末端ギャップを使用して、参照配列を他の試験配列と比較し、配列同一性パーセント関係を決定する。PILEUPは、GCG配列分析ソフトウェアパッケージ、例えば、バージョン7.0(Devereaux et al., Nuc. Acids Res.12:387-395(1984))から入手できる。
配列同一性パーセント及び配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの別の例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、それぞれ、Altschul et al., Nuc. Acids Res.25:3389-3402(1977)及びAltschul et al., J. Mol. Biol.215:403-410(1990)に記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、米国立バイオテクノロジー情報センターによって一般公開されている(ウェブサイトwww.ncbi.nlm.nih.gov/)。このアルゴリズムは、データベース配列中にある同じ長さのワードと整列したときに一致する又はいくつかの正の値の閾値スコアTを満たす、クエリー配列内にある長さWの短いワードを同定することによって高スコア配列対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、近傍ワードスコア閾値(Altschul et al.、上記)と呼ばれている。これらの最初の近傍ワードヒットは、それを含有するより長いHSPを見出す検索を開始するためのシードの働きをする。ワードヒットは、累積アライメントスコアが増加できる限り、各配列に沿って両方向に広げられる。ヌクレオチド配列の場合、累積スコアは、パラメータM(一対の一致している残基に対する報酬スコア(reward score)、常に>0)及びN(ミスマッチ残基に対するペナルティスコア、常に<0)を使用して算出される。アミノ酸配列の場合、スコアマトリックスを使用して累積スコアを算出する。各方向へのワードヒットの拡張は、次の場合に停止する:累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下する場合、1以上の負のスコアになる残基のアライメントが蓄積することにより、累積スコアが0以下になる場合、又は、いずれかの配列の末端に達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、初期設定としてワード長(W)11、期待値(E)又は10、M=5、N=-4及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、初期設定としてワード長3及び期待値(E)10、及びBLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915(1989)を参照されたい)アライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4及び両鎖の比較を使用する。
また、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析を実施する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787(1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提示される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率の指標を与える。例えば、参照核酸と試験核酸との比較において、最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は参照配列に類似しているとみなされる。
ポリヌクレオチドの同定及び特徴付け
本発明のクロストリジウム・ディフィシルCDTa、CDTb、毒素A及び毒素Bタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、種々の十分に確立されている技術のいずれかを用いて、同定、調製及び/又は操作されてよい。例えば、ポリヌクレオチドは、以下にさらに詳細に記載されるように、cDNAのマイクロアレイをスクリーニングすることによって同定されてよい。このようなスクリーニングは、例えば、Synteniマイクロアレイ(Palo Alto、CA)を製造元の指示書に従って使用して(並びに本質的にSchena et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614-10619(1996)及びHeller et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150-2155(1997)によって記載されるように)行われてもよい。あるいは、本明細書中に記載されているタンパク質を発現する細胞、例えば、結核菌(M. tuberculosis)細胞から調製されたcDNAからポリヌクレオチドを増幅してよい。このようなポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅されてよい。このアプローチに関して、本明細書中で提供される配列に基づいて、配列特異的プライマーを設計してよく、購入又は合成してよい。
ポリヌクレオチドの増幅された部分を用いて、周知の技術を使用して適切なライブラリー(例えば、結核菌cDNAライブラリー)から全長の遺伝子を単離してもよい。このような技術では、増幅に適した1つ以上のポリヌクレオチドプローブ又はプライマーを用いてライブラリー(cDNA又はゲノム)をスクリーニングする。好ましくは、ライブラリーをサイズで選択し、より大きい分子を含ませる。ランダムプライムドライブラリー(Random primed libraries)も、遺伝子の5'及び上流領域を同定するために好ましい場合がある。ゲノムライブラリーは、イントロンを取得し、5'配列を伸長させるために好ましい。
ハイブリダイゼーション技術に関して、部分配列は、周知の技術を用いて(例えば、ニックトランスレーション又は32Pによる末端標識によって)標識されてよい。次に、細菌又はバクテリオファージライブラリーは、一般に、変性細菌コロニーを含有するフィルター(又はファージプラークを含有するローン(lawns))を標識されたプローブでハイブリダイズさせることによってスクリーニングされる(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2000)を参照されたい)。ハイブリダイズするコロニー又はプラークを選択し、増殖させ、さらなる分析のためにDNAを単離する。cDNAクローンを、例えば、部分配列に由来するプライマー及びベクターに由来するプライマーを使用するPCRによって分析し、追加の配列の量を決定してよい。制限酵素マップ及び部分配列を作成し、1つ以上の重複クローンを同定してよい。次に、標準技術を使用して完全配列を決定してよく、その技術は一連の欠失クローンを作成することを含んでよい。次いで、得られた重複配列を単一の連続配列に組み立てることができる。全長cDNA分子は、周知の技術を用いて、適した断片を連結することによって生成することができる。
あるいは、部分cDNA配列から全長のコード配列を取得するための多数の増幅技術が存在する。このような技術では、増幅は、概して、PCRによって行われる。様々な市販のキットのいずれかを用いて、増幅ステップを行ってもよい。プライマーは、例えば、当該技術分野において周知のソフトウェアを用いて設計されてよい。プライマーは、好ましくは、長さにして22〜30ヌクレオチドであり、少なくとも50%のGC含量を有し、約68℃〜72℃の温度で標的配列にアニーリングする。増幅された領域は、上記のように配列決定されてよく、重複配列を連続配列に組み立ててもよい。
このような増幅技術の1つは、逆PCRであり(Triglia et al., Nucl. Acids Res. 16:8186 (1988)を参照されたい)、これは制限酵素を使用して、遺伝子の既知領域の断片を生成させる。次に、断片は、分子内連結によって環化され、既知の領域に由来する種々のプライマーを用いるPCRの鋳型として使用される。代替のアプローチでは、部分配列に隣接する配列は、リンカー配列に対するプライマー及び既知の領域に特異的なプライマーを用いる増幅によって回収されてよい。増幅された配列は、典型的には、同じリンカープライマー及び既知の領域に特異的な第2のプライマーを用いる第2ラウンドの増幅に供される。既知の配列からの反対方向の伸長を開始させる2つのプライマーを使用するこの手法のバリエーションについては、WO96/38591に記載されている。別のこのような技術は、「cDNA末端の高速増幅」又はRACEとして知られている。この技術は、内部プライマーと外部プライマーの使用を含み、外部プライマーはポリA領域又はベクター配列にハイブリダイズし、既知の配列の5'及び3'である配列を同定する。追加の技術には、捕捉PCR(Lagerstrom et al., PCR Methods Applic. 1 :111-19 (1991))及びウォーキングPCR(walking PCR)(Parker et al., Nucl. Acids. Res. 19:3055-60 (1991))が含まれる。増幅を使用する他の方法も用いて、全長cDNA配列を取得してよい。
特定の場合において、発現配列タグ(EST)データベースにおいて提供される、例えばGenBankから入手可能な配列の分析によって、全長cDNA配列を取得することが可能である。重複ESTの検索は、一般に、周知のプログラム(例えば、NCBI BLAST検索)を用いて行ってもよく、このようなESTを用いて、連続した全長配列を作成してもよい。全長DNA配列は、ゲノム断片の分析によって取得されてもよい。
宿主細胞におけるポリヌクレオチド発現
クロストリジウム・ディフィシルCDTa、CDTb、毒素A及び毒素Bタンパク質又はそれらの融合タンパク質若しくは機能的同等物をコードするポリヌクレオチド配列又はそれらの断片は、組換えDNA分子に使用して、適切な宿主細胞におけるポリペプチドの発現を導いてよい。遺伝暗号に特有の縮重に起因して、実質的に同じ又は機能的に同等なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を生成させてよく、これらの配列を用いて、所与のポリペプチドをクローニングし、発現させてよい。
当業者に理解されるように、いくつかの場合において、非天然に存在するコドンを有する、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を生成することが有益であり得る。例えば、特定の原核生物又は真核生物の宿主によって好まれるコドンを選択して、タンパク質発現の割合を増加させ、又は所望の特性、例えば、天然に存在する配列から生じた転写産物の半減期より長い半減期を有する組換えRNA転写産物を生成することができる。
さらに、ポリヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコードする配列を種々の理由で変化させるために、当該技術分野において一般に知られている方法を用いて操作することができ、それには、限定されないが、クローニング、プロセッシング及び/又は遺伝子産物の発現を修飾する変化が含まれる。例えば、ランダムな断片化によるDNAシャッフリング及び遺伝子断片のPCRによる再組み立て及び合成オリゴヌクレオチドを使用して、ヌクレオチド配列を操作してよい。さらに、部位特異的突然変異誘発を用いて、新たに制限部位を挿入し、グリコシル化パターンを変化させ、コドン優先度を変更し、スプライシング改変体を生成し、又は変異を導入することなどを行ってもよい。
天然の、修飾された又は組換え核酸配列を異種配列に連結して、融合タンパク質をコードするようにしてもよい。例えば、ポリペプチド活性の阻害剤に関してペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体によって認識され得るキメラタンパク質をコードすることが有用である場合がある。また、融合タンパク質を操作して、ポリペプチドをコードする配列と異種タンパク質配列の間に位置した切断部位を含有させてもよく、それにより、ポリペプチドを切断し、異種部分を取り除いて純化してもよい。
所望のポリペプチドをコードする配列は、完全に又は部分的に、当該技術分野において周知の化学的方法を用いて合成されてもよい(Caruthers, M. H. et al., Nucl. Acids Res. Symp. Ser. pp. 215-223 (1980)、Horn et al., Nucl. Acids Res. Symp. Ser. pp. 225-232 (1980)を参照されたい)。あるいは、タンパク質自体は、ポリペプチドのアミノ酸配列又はその部分を合成する化学的方法を使用して生成されてもよい。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を用いて行うことができ(Roberge et al., Science 269:202-204 (1995))、例えば、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer、Palo Alto、CA)を使用して自動合成を達成してよい。
新たに合成されたペプチドは、調製用高性能液体クロマトグラフィー(例えば、Creighton, Proteins, Structures and Molecular Principles (1983))又は当該技術分野において利用可能な他の同等の技術によって実質的に精製され得る。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析又は配列決定(例えば、エドマン分解手法)によって確認してよい。さらに、ポリペプチド又はその任意の部分のアミノ酸配列は、直接合成中に変更され、並びに/又は化学的方法を用いて他のタンパク質若しくはその任意の部分に由来する配列と組み合わせて、改変体ポリペプチドを生成させてよい。
所望のポリペプチドを発現させるために、ポリペプチド又は機能的同等物をコードするヌクレオチド配列を適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必要なエレメントを含有するベクターに挿入してよい。当業者に周知である方法を用いて、対象とするポリペプチドをコードする配列並びに適切な転写及び翻訳制御エレメントを含有する発現ベクターを構築してよい。これらの方法には、インビトロ組換えDNA技術、合成技術及びインビボ遺伝子組換えが含まれる。このような技術は、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2000)及びAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology(毎年更新される)に記載されている。
種々の発現ベクター/宿主系を利用して、ポリヌクレオチド配列を含有及び発現させてよい。これらには、限定されないが、組換えバクテリオファージ、プラスミド又はコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌などの微生物、酵母発現ベクターを用いて形質転換された酵母、ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系、ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)又は細菌発現ベクター(例えば、Ti若しくはpBR322プラスミド)を用いて形質転換された植物細胞系、又は動物細胞系が含まれる。
発現ベクターに存在する「制御エレメント」又は「調節配列」は、宿主細胞のタンパク質と相互作用して、転写及び翻訳を実施するベクターの非翻訳領域--エンハンサー、プロモーター、5'及び3'非翻訳領域--である。このようなエレメントは、それらの強度及び特異性において変化する場合がある。利用されるベクター系及び宿主に応じて、任意の数の適した転写及び翻訳エレメント、例えば、構成的及び誘導性プロモーターを使用してよい。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター、例えば、PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene、La Jolla、Calif.)又はPSPORT1プラスミド(Gibco BRL、Gaithersburg、MD)のハイブリッドlacZプロモーターなどを使用してよい。哺乳動物の細胞系において、哺乳動物遺伝子に由来する又は哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターが、概して、好ましい。ポリペプチドをコードする複数コピーの配列を含有する細胞株を作製することが必要である場合、SV40又はEBVに基づくベクターを適切な選択マーカーとともに好都合に使用してよい。
細菌系において、いくつかの発現ベクターは、発現されるポリペプチドに関して意図された用途に応じて選択されてもよい。例として、例えば、抗体を誘導するために大規模な量が必要である場合、容易に精製される融合タンパク質の大量発現を導くベクターを使用してよい。このようなベクターには、限定されないが、多機能性の大腸菌(E. coli)クローニング及び発現ベクター、例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)、この場合、対象とするポリペプチドをコードする配列をアミノ末端のMet及びそれに続くβ-ガラクトシダーゼの7残基の配列とインフレームで該ベクターに連結させて、ハイブリッドタンパク質が生成されるようにしてよい;pINベクター(Van Heeke & Schuster, J. Biol. Chem. 264:5503-5509 (1989))などが含まれる。また、pGEXベクター(Promega、Madison、Wis.、GE Healthcare)を使用して、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させてもよい。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン-アガロースビーズへの吸着、続く、遊離グルタチオンの存在下での溶出によって溶解細胞から容易に精製することができる。このような系で作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン又は第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されて、対象とするクローニングされたポリペプチドをGST部分から自由自在に遊離できるようにしてよい。
酵母、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はピキア属(Pichia)、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)において、構成的又は誘導性プロモーター、例えば、アルファ因子、アルコールオキシダーゼ及びPGHを含有するいくつかのベクターを使用してよい。構成的又は誘導性プロモーターを含有する他のベクターとしては、GAP、PGK、GAL及びADHが挙げられる。総説としては、Ausubel et al. (上記)及びGrant et al., Methods Enzymol. 153:516-544 (1987)及びRomas et al. Yeast 8 423-88 (1992)を参照されたい。
植物の発現ベクターが使用される場合、ポリペプチドをコードする配列の発現は、いくつかのプロモーターのいずれかによって駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター、例えば、CaMVの35S及び19Sプロモーターは、単独で又はTMVに由来するオメガリーダー配列と組み合わせて用いてもよい(Takamatsu, EMBO J. 6:307-311 (1987))。あるいは、植物プロモーター、例えば、RUBISCOの小サブユニット又は熱ショックプロモーターを使用してよい(Coruzzi et al., EMBO J. 3:1671-1680 (1984)、Broglie et al., Science 224:838-843 (1984)、及びWinter et al., Results Probl. Cell Differ. 17:85-105 (1991))。これらの構築物は、直接DNA形質転換又は病原体媒介性トランスフェクションによって植物細胞に導入することができる。このような技術は、いくつかの一般に入手可能な総説に記載されている(例えば、Hobbs in McGraw Hill Yearbook of Science and Technology pp. 191-196 (1992)を参照されたい)。
また、昆虫系を使用して、対象とするポリペプチドを発現させてもよい。例えば、このような系の1つにおいて、アウトグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多核体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞又はトリコプルシア・ラルバエ(Trichoplusia larvae)において外来遺伝子を発現させる。ポリペプチドをコードする配列をウイルスの非必須領域、例えば、ポリヘドリン遺伝子内にクローニングし、ポリヘドリンプロモーターの制御下に配置してよい。ポリペプチドをコードする配列が首尾良く挿入されると、ポリヘドリン遺伝子が不活性になり、コートタンパク質を欠損している組換えウイルスが生成される。次に、組換えウイルスを用いて、例えば、S.フルギペルダ細胞又はトリコプルシア・ラルバエを感染させてよく、この場合、対象とするポリペプチドを発現させてよい(Engelhard et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:3224-3227 (1994))。
哺乳動物の宿主細胞において、いくつかのウイルスベースの発現系が一般に利用可能である。例えば、アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、対象とするポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーター及び3成分(tripartite)リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体内に連結されてもよい。ウイルスゲノムの非必須E1又はE3領域への挿入を使用して、感染宿主細胞においてポリペプチドを発現することができる生存可能なウイルスを取得してよい(Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:3655-3659 (1984))。さらに、転写エンハンサー、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーを使用して、哺乳動物の宿主細胞における発現を増加させてよい。アデノウイルスベクターを用いる作業に関する方法及びプロトコールは、Wold, Adenovirus Methods and Protocols, 1998で概説されている。アデノウイルスベクターの使用に関する追加の参考文献は、Adenovirus: A Medical Dictionary, Bibliography, and Annotated Research Guide to Internet References, 2004に見出すことができる。
特定の開始シグナルも使用して、対象とするポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成してもよい。このようなシグナルとしては、ATG開始コドン及び隣接配列が含まれる。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドン、及び上流配列が適切な発現ベクターに挿入される場合、追加の転写又は翻訳制御シグナルが必要とされない場合がある。しかしながら、コード配列又はその一部分しか挿入されない場合、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されるべきである。さらに、インサート全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは正しいリーディングフレームにあるべきである。外因性翻訳エレメント及び開始コドンは、種々の起源であってもよく、天然と合成の両者であってもよい。使用される具体的な細胞系に適切なエンハンサー、例えば、文献に記載されているエンハンサー(Scharf. et al., Results Probl. Cell Differ. 20:125-162 (1994))を含ませることによって発現効率を高めてよい。
さらに、宿主細胞株は、所望の様式で、挿入配列の発現を調節する又は発現タンパク質をプロセシングするその能力に関して選択されてもよい。このようなポリペプチドの修飾としては、限定されないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化及びアシル化が含まれる。「プレプロ(prepro)」形態のタンパク質を切断する翻訳後プロセシングも使用して、正しい挿入、折り畳み及び/又は機能を促進してもよい。このような翻訳後の作業に特有の細胞機構及び特徴的なメカニズムを有する、異なる宿主細胞、例えば、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、及びWI38を選択して、外来タンパク質の正しい修飾及びプロセシングを確実にしてもよい。
組換えタンパク質の長期の、高収量の生成のためには、概して、安定発現が好ましい。例えば、ウイルスの複製起点及び/又は内因性発現エレメント、並びに同じ又は別のベクター上の選択マーカー遺伝子を含有してよい発現ベクターを用いて、対象とするポリヌクレオチドを安定に発現する細胞株を形質転換してよい。ベクターの導入後、細胞を強化培地中で1〜2日間成長させてもよく、その後、それらを選択培地に切り換える。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を付与することであり、その存在により、導入配列を首尾良く発現する細胞の成長及び回収が可能になる。細胞タイプに適切な組織培養技術を使用して、安定に形質転換された細胞の耐性クローンを増殖させてよい。
任意の数の選択系を使用して、形質転換細胞株を回収してよい。これらには、限定されないが、それぞれtk-細胞又はaprt-細胞において使用し得る、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11 :223-32 (1977))及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., Cell 22:817-23 (1990))遺伝子が含まれる。また、代謝拮抗剤、抗生物質又は除草剤耐性を選択の基礎として使用することができる;例えば、メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 77:3567-70 (1980))、アミノグリコシド、ネオマイシン及びG-418に対する耐性を付与するnpt(Colbere-Garapin et al., J. Mol. Biol. 150:1-14 (1981))並びに、それぞれクロルスルフロン(chlorsulfuron)及びホスフィノトリシン(phosphinotricin)アセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与するals又はpat(Murry、上記)である。追加の選択可能遺伝子が記載され、例えば、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB、又は細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用することを可能にするhisD(Hartman & Mulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:8047-51 (1988))である。最近、可視マーカーの使用が人気を獲得し、アントシアニン、β-グルクロニダーゼ及びその基質GUS、並びにルシフェラーゼ及びその基質ルシフェリン等のマーカーが、特定のベクター系に起因する、形質転換体を特定するためだけでなく、一時的又は安定なタンパク質発現の量を定量するためにも広く使用されている(Rhodes et al., Methods Mol. Biol. 55:121-131 (1995))。
マーカー遺伝子発現の存在/不存在は、対象とする遺伝子もまた存在することを示唆するが、その存在及び発現を確認する必要があり得る。例えば、ポリペプチドをコードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入される場合、配列を含有する組換え細胞は、マーカー遺伝子機能の不存在によって特定することができる。あるいは、マーカー遺伝子は、単一のプロモーターの制御下でポリペプチドをコードする配列と直列に配置することができる。誘導又は選択に応答したマーカー遺伝子の発現は、通常、同様に直列型遺伝子の発現を示す。
あるいは、所望のポリヌクレオチド配列を含有及び発現する宿主細胞は、当業者に公知の種々の手法によって同定されてもよい。これらの手法としては、限定されないが、DNA-DNA若しくはDNA-RNAハイブリダイゼーション及びタンパク質バイオアッセイ又は免疫アッセイ技術、例えば、核酸若しくはタンパク質を検出及び/又は定量するためのメンブレン、溶液、あるいはチップベースの技術が挙げられる。
ポリヌクレオチドによってコードされる生成物の発現を検出及び測定するための種々のプロトコールであって、該生成物に特異的なポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれかを使用するプロトコールは、当該技術分野において公知である。例として、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び蛍光標示式細胞分取(FACS)が挙げられる。いくつかの適用に関して、所与のポリペプチド上の2種の非干渉エピトープと反応性のモノクローナル抗体を利用する2部位のモノクローナルベースの免疫アッセイが好ましい場合があるが、競合的結合アッセイを使用してもよい。これらのアッセイ及び他のアッセイは、特にHampton et al., Serological Methods, a Laboratory Manual (1990)及びMaddox et al., J. Exp. Med. 158:1211-1216 (1983)に記載されている。
多種多様な標識及びコンジュゲーション技術は当業者に公知であり、種々の核酸及びアミノ酸アッセイにおいて使用してもよい。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーション又はPCRプローブの生成手段としては、オリゴラベリング、ニックトランスレーション、末端標識化又は標識ヌクレオチドを使用するPCR増幅が含まれる。あるいは、配列又はその任意の部分は、mRNAプローブを生成するためのベクターにクローニングされてもよい。このようなベクターは当該技術分野において公知であり、市販され、適切なRNAポリメラーゼ、例えば、T7、T3又はSP6及び標識ヌクレオチドを添加することによって、インビトロでRNAプローブを合成するために使用されてもよい。種々の市販のキットを用いてこれらの手法を行ってもよい。使用することができる適したレポーター分子又は標識としては、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光又は発色物質、並びに基質、補助因子、阻害剤、磁気粒子などが含まれる。
対象とするポリヌクレオチド配列を用いて形質転換された宿主細胞は、細胞培養からタンパク質を発現及び回収するために適した条件下で培養されてもよい。組換え細胞によって生成されたタンパク質は、使用される配列及び/又はベクターに依存して、分泌させ又は細胞内に含有させてよい。当業者に理解されるように、ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターは、コードされたポリペプチドの原核細胞の膜又は真核細胞の膜を通した分泌を導くシグナル配列を含有するように設計されてもよい。他の組換え構築物を用いて、対象とするポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に連結してもよい。そのような精製を容易にするドメインとしては、限定されないが、金属キレートペプチド、例えば、固定金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュール、固定免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、及びFLAGS伸長/親和性精製系(Immunex Corp.、Seattle、Wash.)で利用されるドメインが含まれる。切断可能なリンカー配列、例えば、第XA因子又はエンテロキナーゼ(Invitrogen.、San Diego、Calif.)に特異的な配列を精製ドメインとコードされたポリペプチドの間に含ませることによって精製を容易にしてよい。このような発現ベクターの1つは、対象とするポリペプチドを含有する融合タンパク質、及びチオレドキシン又はエンテロキナーゼ切断部位に先行する6個のヒスチジン残基をコードする核酸の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath et al., Prot. Exp. Purif. 3:263-281 (1992)に記載されているようにIMIAC(固定金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を容易にし、一方、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質に由来する所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含有するベクターについての考察は、Kroll et al., DNA Cell Biol. 12:441-453 (1993)に提供されている。
ポリペプチド組成物
一般に、本発明において使用するポリペプチド(例えば、クロストリジウム・ディフィシルCDTa、CDTb、毒素A及び毒素Bタンパク質)は、単離されたポリペプチド(すなわち、通常、それが天然に見出され得るこれらの成分から分離される)である。
例えば、天然に存在するタンパク質は、自然系におけるいくつか又は全ての共存物質から分離されている場合に単離されている。好ましくは、このようなポリペプチドは、少なくとも約90%の純度を有し、より好ましくは少なくとも約95%の純度、最も好ましくは少なくとも約99%の純度を有する。ポリヌクレオチドは、例えば、天然環境の一部分ではないベクターにクローニングされている場合に単離されていると見なされる。
ポリペプチドは、種々の周知の技術のいずれかを用いて調製されてもよい。上述されるDNA配列によってコードされた組換えポリペプチドは、当業者に公知の種々の発現ベクターのいずれかを使用して、DNA配列から容易に調製されてもよい。発現は、組換えポリペプチドをコードするDNA分子を含有する発現ベクターを用いて形質転換又はトランスフェクトされている任意の適切な宿主細胞において達成され得る。適した宿主細胞には、原核生物、酵母、及び高等真核細胞、例えば、哺乳動物細胞及び植物細胞が含まれる。好ましくは、使用される宿主細胞は、大腸菌、酵母又は哺乳動物細胞株、例えば、COS又はCHOである。組換えタンパク質又はポリペプチドを培養培地に分泌する適切な宿主/ベクター系から得られた上清を最初に市販のフィルターを用いて濃縮してもよい。濃縮後、濃縮物を適した精製マトリックス、例えば、親和性マトリックス又はイオン交換樹脂に適用してよい。最後に、1以上の逆相HPLCステップを使用して、組換えポリペプチドをさらに精製することができる。
また、約100未満のアミノ酸、概して約50未満のアミノ酸を有する本発明において使用するためのポリペプチド、その免疫原性断片、及び他の改変体は、当業者に周知の技術を使用する合成手段によって作製されてもよい。例えば、このようなポリペプチドは、市販の固相技術のいずれか、例えば、メリフィールド固相合成法を使用して合成してよく、この場合、成長中のアミノ酸鎖にアミノ酸が順次付加される。Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2146 (1963)を参照されたい。ポリペプチドの自動合成のための装置は、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division(Foster City、CA)などの供給元から市販され、製造元の指示書に従って操作されてもよい。
特定の具体的な実施形態では、ポリペプチドは、本明細書中に記載される複数のポリペプチドを含む、又は本明細書に記載される少なくとも1つのポリペプチド及び無関係の配列を含む融合タンパク質であってもよく、このようなタンパク質の例としては、破傷風タンパク質、結核タンパク質及び肝炎タンパク質が挙げられる(例えば、Stoute et al., New Engl. J. Med. 336:86-91 (1997)を参照されたい)。融合パートナーは、例えば、Tヘルパーエピトープ(免疫学的融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープの提供を支援してよく、又はネイティブの組換えタンパク質より高い収率でのタンパク質(発現エンハンサー)の発現を支援してよい。特定の好ましい融合パートナーは、免疫学的であり及び発現増強的でもある融合パートナーである。他の融合パートナーは、タンパク質の溶解度を増加させ又はタンパク質を所望の細胞内コンパートメントに標的化させることが可能であるように選択されてもよい。なおさらに融合パートナーには、タンパク質の精製を容易にする親和性タグが含まれる。
融合タンパク質は、概して、標準的技術、例えば、化学的コンジュゲーションを用いて調製されてもよい。好ましくは、発現系において、融合タンパク質を組換えタンパク質として発現させ、非融合タンパク質と比べて高レベルの生成を可能にする。簡潔には、ポリペプチド成分をコードするDNA配列を別々に組み立て、適切な発現ベクターに連結してよい。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3'末端は、ペプチドリンカーを用いて又は用いないで、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5'末端に連結し、配列のリーディングフレームを一致させるようにする。これにより、両成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一の融合タンパク質への翻訳が可能になる
ペプチドリンカー配列は、それぞれのポリペプチドがその二次構造及び三次構造に折り畳まれることを確実にするのに十分な距離まで、第1及び第2のポリペプチド成分を分離するために使用され得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該技術分野で周知の標準的な技術を用いて、融合タンパク質に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子:(1)フレキシブルな伸長された立体構造を取るそれらの能力、(2)第1及び第2のポリペプチド上の機能的エピトープと相互作用することができる二次構造を取れないそれらの能力、及び(3)ポリペプチド機能的エピトープと反応する可能性のある疎水性残基又は荷電残基の欠如、に基づいて選択されてもよい。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、Asn及びSer残基を含む。他の中性付近のアミノ酸、例えば、Thr及びAlaもまた、リンカー配列において使用されてもよい。リンカーとして有用に使用され得るアミノ酸配列としては、Maratea et al., Gene 40:39-46 (1985)、Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258-8262 (1986)、米国特許第4,935,233号及び米国特許第4,751,180号に開示されているアミノ酸配列が挙げられる。リンカー配列は、一般に、長さにして1〜約50個のアミノ酸であってもよい。第1及び第2のポリペプチドが、機能的ドメインを分け、立体的干渉を妨げるために使用することができる非必須のN末端アミノ酸領域を有する場合、リンカー配列は必要とされない。
アジュバント
本発明の態様のいずれかのさらなる実施形態において、免疫原性組成物はアジュバントをさらに含む。一実施形態において、アジュバントは、水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムを含む。あるいは、本発明の免疫原性組成物は、アルミニウム不含アジュバントを含むことができ、免疫原性組成物は、アルミニウム及びアルミニウム塩を含まないアジュバント、すなわち、アルミニウム不含アジュバント又はアジュバント系を用いて製剤化される。
特定の実施形態において、免疫原性組成物は、リポソームの形態で提供される免疫学的に活性なサポニン画分を含むアジュバントを用いて製剤化される。アジュバントはリポ多糖をさらに含んでもよい。アジュバントはQS21を含んでもよい。例えば、一実施形態において、アジュバントは、リポソーム製剤にQS21を含む。一実施形態において、アジュバント系は、3D-MPL及びQS21を含む。例えば、一実施形態において、アジュバントは、リポソーム製剤に3D-MPL及びQS21を含む。場合により、アジュバント系はまた、コレステロールを含む。1つの具体的な実施形態において、アジュバントは、QS21及びコレステロールを含む。場合により、アジュバント系は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)を含む。例えば、1つの特定のアジュバント系において、コレステロール、DOPC、3D-MPL及びQS21が含まれる。
1つの具体例において、免疫原性組成物は、約0.1から約0.5mgのコレステロール、約0.25から約2mgのDOPC、約10μgから約100μgの3D-MPL、及び約10μgから約100μgのQS21を含む投薬量において製剤化されたアジュバントを含む。別の具体例において、免疫原性組成物は、約0.1から約0.5mgのコレステロール、約0.25から約2mgのDOPC、約10μgから約70μgの3D-MPL、及び約10μgから約70μgのQS21を含む投薬量において製剤化されたアジュバントを含む。1つの具体的な製剤において、アジュバントは、約0.25mgのコレステロール、約1.0mgのDOPC、約50μgの3D-MPL、及び約50μgのQS21を含む単回投薬量において製剤化される。他の実施形態において、免疫原性組成物は、分数投薬量(すなわち、先行する単回投薬量製剤の画分である投薬量、例えば、成分(コレステロール、DOPC、3D-MPL及びQS21)の先行する量の2分の1、成分の先行する量の1/4、又は成分の先行する量の別の分数投薬量(例えば、1/3、1/6など))を用いて製剤化される。
一実施形態において、本発明による免疫原性組成物は、例えば、EP0671948において、従前に開示されたリポ多糖及びキラヤ(Quillaja)サポニンの組み合わせを含むアジュバントを含む。この特許は、リポ多糖(3D-MPL)をキラヤサポニン(QS21)と組み合わせたときに、強力な相乗効果を実証した。
アジュバントは、免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpG)又は担体をさらに含んでもよい。
本発明において使用するための特に適したサポニンは、Quil A及びその誘導体である。Quil Aは、南アメリカの木であるキラジャ・サポナリアモリナ(Quillaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、最初に、Dalsgaard et al.によって1974年にアジュバント活性を有することが記載された("Saponin adjuvants", Archiv. fur die gesamte Virusforschung, Vol.44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)。Quil A、例えば、QS7及びQS21(QA7及びQA21としても公知である)と関連のある毒性を有していないアジュバント活性を保持しているQuil Aの精製断片をHPLCで単離した(EP0362278)。QS21は、キラジャ・サポナリアモリナの樹皮から誘導される天然サポニンであり、それは、CD8+細胞障害性T細胞(CTL)、Th1細胞、及び優勢なIgG2a抗体応答を誘導し、本発明の文脈では、好ましいサポニンである。
アジュバントがリポソームの形態で提供される免疫学的に活性なサポニン画分を含む場合、アジュバントはステロールをさらに含んでもよい。適切には、ステロールは、1:1から1:100w/w、例えば、1:1から1:10w/w、又は1:1から1:5w/wのサポニン:ステロールの比率で提供される。
具体的な実施形態において、QS21は、外因性ステロール、例えば、コレステロールを用いてクエンチされる、より反応原性が低いその組成物として提供される。QS21が外因性コレステロールを用いてクエンチされる反応原性が低い組成物のいくつかの特定の形態が存在する。具体的な実施形態において、サポニン/ステロールは、リポソーム構造の形態である(WO96/33739、実施例1)。この実施形態において、リポソームは、適切には、室温で非晶質である中性脂質、例えば、ホスファチジルコリン、例えば、卵黄ホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)又はジラウリルホスファチジルコリンを適切に含む。また、リポソームは、飽和脂質から構成されるリポソームのためにリポソーム-QS21構造の安定性を増加させる荷電脂質も含み得る。これらの場合、荷電脂質の量は、適切には1〜20%w/wであり、好ましくは5〜10%である。リン脂質に対するステロールの比率は、1〜50%(モル/モル)、適切には20〜25%である。
適したステロールとしては、β-シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、エルゴカルシフェロール及びコレステロールが挙げられる。1つの特定の実施形態において、アジュバント組成物は、ステロールとしてコレステロールを含む。これらのステロールは、当該技術分野において周知であり、例えば、コレステロールは、動物脂肪中に見出される天然に存在するステロールとして、Merck Index, 11th Edn., page 341に開示されている
活性サポニン画分がQS21である場合、QS21:ステロールの比率は、典型的には、1:100〜1:1(w/w)、適切には1:10〜1:1(w/w)、好ましくは1:5〜1:1(w/w)程度である。適切には、過剰なステロールが存在し、QS21:ステロールの比率は、少なくとも1:2(w/w)である。一実施形態において、QS21:ステロールの比率は、1:5(w/w)である。ステロールは、適切にはコレステロールである。
一実施形態において、本発明は、免疫学的に活性なサポニン、好ましくはQS21を約1〜約70μg/投薬量のレベル、例えば、約50μgの量で含む免疫原性組成物の投薬量を提供する。
一実施形態において、本発明は、免疫学的に活性なサポニン、好ましくはQS21を60μg以下、例えば、1〜60μgのレベルで含む免疫原性組成物の投薬量を提供する。一実施形態において、免疫原性組成物の投薬量は、QS21を、およそ約50μg、例えば、45〜55μg、適切には46〜54μg又は47〜53μg又は48〜52μg又は49〜51μg、又は50μgのレベルで含む。
別の実施形態において、免疫原性組成物の投薬量は、QS21を、約25μg、例えば、20〜30μg、適切に21〜29μg又は22〜28μg又は23〜27μg又は24〜26μg、又は25μgのレベルで含む。
別の実施形態において、免疫原性組成物の投薬量は、QS21を、約10μg、例えば、5〜15μg、適切には6〜14μg、例えば7〜13μg又は8〜12μg又は9〜11μg、又は10μgのレベルで含む。
具体的には、0.5mlのワクチン投薬量の体積は、投薬量あたり25μg又は50μgのQS21を含有する。具体的には、0.5mlのワクチン投薬量の体積は、投薬量あたり50μgのQS21を含有する。
リポ多糖を含む組成物において、リポ多糖は、約1〜約70μg/投薬量で、例えば、約50μgの量で存在してもよい。
リポ多糖は、リピドAの非毒性誘導体、具体的にはモノホスホリルリピドA又はより具体的には3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)であってもよい。
3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals N.A.によりMPLの名称で販売され、本明細書を通してMPL又は3D-MPLと称する。例えば、米国特許第4,436,727号、同第4,877,611号、同第4,866,034号及び同第4,912,094号を参照されたい。3D-MPLは、主にIFN-γ(Th1)表現型を有するCD4+T細胞応答を促進する。3D-MPLは、GB2220211Aに開示された方法に従って製造され得る。化学的には、それは3、4、5又は6つのアシル化鎖を有する3-脱アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。好ましくは、本発明の組成物において、小粒子3D-MPLが使用される。小粒子3D-MPLは、0.22μmフィルターによって濾過滅菌し得るような粒径を有する。このような調製物は、WO94/21292に記載されている。
したがって、本発明は、リポ多糖、好ましくは3D-MPLを75μg以下、例えば、1〜60μgのレベルで含む免疫原性組成物の投薬量を提供する。
一実施形態において、免疫原性組成物の投薬量は、3D-MPLを約50μg、例えば、45〜55μg、適切には46〜54μg又は47〜53μg又は48〜52μg又は49〜51μg、又は50μgのレベルで含む。
一実施形態において、免疫原性組成物の投薬量は、3D-MPLを約25μg、例えば、20〜30μg、適切には21〜29μg又は22〜28μg又は23〜27μg又は24〜26μg、又は25μgのレベルで含む。
別の実施形態において、免疫原性組成物の投薬量は、3D-MPLを約10μg、例えば、5〜15μg、適切には6〜14μg、例えば7〜13μg又は8〜12μg又は19〜11μg、又は10μgのレベルで含む。
一実施形態において、投薬量の体積は0.5mlである。さらなる実施形態において、免疫原性組成物は、体積が、0.5mlより高い、例えば0.6、0.7、0.8、0.9又は1mlである投薬量に適した体積中にある。さらなる実施形態において、ヒト投薬量は1ml〜1.5mlの間である。
具体的には、0.5mlのワクチン投薬量の体積は、投薬量あたり25μg又は50μgの3D-MPLを含有する。具体的には、0.5mlのワクチン投薬量の体積は、投薬量あたり50μgの3D-MPLを含有する。
本発明のいずれかの態様による免疫原性組成物の投薬量は、適切にはヒト投薬量を指す。用語「ヒト投薬量」とは、ヒトへの使用に適した体積である投薬量を意味する。一般に、これは0.3〜1.5mlの間である。一実施形態において、ヒト投薬量は0.5mlである。さらなる実施形態において、ヒト投薬量は、0.5mlより高い、例えば、0.6、0.7、0.8、0.9又は1mlである。さらなる実施形態において、ヒト投薬量は、1ml〜1.5mlの間である。
本発明の適切な組成物は、リポソームが、最初にMPLなしで調製され(WO96/33789に記載されている)、次に、MPLが、適切には、100nmを下回る粒子又は0.22μmメンブレンを通過して濾過滅菌し易い粒子の小粒子として添加される組成物である。したがって、MPLは、小胞膜内に含まれない(MPLアウトとして知られている)。MPLが小胞膜内に含まれる(MPLインとして知られている)組成物はまた、本発明の態様を形成する。C.ディフィシル毒素A断片及び/又はC.ディフィシル毒素B断片を含むポリペプチドは、小胞膜内に含まれ得る又は小胞膜の外側に含まれ得る。
具体的な実施形態において、QS21及び3D-MPLは、免疫原性組成物の投薬量あたり同じ最終濃度で存在し、すなわち、QS21:3D-MPLの比率は1:1である。この実施形態の一態様において、免疫原性組成物の投薬量は、25μgの3D-MPL及び25μgのQS21又は50μgの3D-MPL及び50μgのQS21の最終レベルを含む。
一実施形態において、アジュバントは、水中油型エマルジョンを含む。一実施形態において、アジュバントは、水中油型エマルジョンを含み、ここで、水中油型エマルジョンは、代謝可能な油、トコール及び乳化剤を含む。例えば、水中油型エマルジョンは、代謝可能な油、及び追加の油相成分、例えば、トコールを取り込む油相を含むことができる。水中油型エマルジョンはまた、緩衝生理食塩水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)などの水性成分を含んでもよい。さらに、水中油型エマルジョンは、典型的には、乳化剤を含む。一実施形態において、代謝可能な油はスクアレンである。一実施形態において、トコールはアルファ-トコフェロールである。一実施形態において、乳化剤は、非イオン性界面活性乳化剤(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyethethylene sorbitan)、Polysorbate(登録商標)80、TWEEN80(商標))である。例示的な実施形態において、水中油型エマルジョンは、1(w/w)以下である比率でスクアレン及びアルファ-トコフェロールを含有する。
水中油型エマルジョン中の代謝可能な油は、0.5〜10mgの量で存在してもよい。水中油型エマルジョン中のトコールは、0.5〜11mgの量で存在してもよい。乳化剤は、0.4〜4mgの量で存在してもよい。
水組成物中の任意の油をヒト投与に適するようにするために、エマルジョン系の油相は代謝可能な油を含む必要がある。代謝可能な油なる用語の意味は、当該技術分野で周知である。代謝可能は、「代謝によって変換され得ること」(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, W.B. Sanders Company, 25th edition (1974))と定義することができる。油は、レシピエントにとって毒性がなく、代謝によって変換され得る任意の植物油、魚油、動物油又は合成油であってもよい。ナッツ、種子、及び穀類は、植物油の一般的な供給源である。また、合成油は、本発明の一部であり、NEOBEE(登録商標)(植物油の供給源からのグリセロール及びココナッツ又はパーム核油からの中鎖脂肪酸(MCT)を用いて作製されるカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)及び他のものなどの市販の油を含むことができる。特に適切な代謝可能な油はスクアレンである。スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は、サメ肝油において大量に見出され、オリーブ油、小麦胚芽油、米ぬか油及び酵母において少量に見出される不飽和油であり、本発明における使用に特に好ましい油である。スクアレンは、コレステロールの生合成の中間体であるという事実によって代謝可能な油である(Merck index, 10th Edition, entry no.8619)。
適切には、代謝可能な油は、投薬量あたり0.5〜10mg、好ましくは1〜10、2〜10、3〜9、4〜8、5〜7、又は5〜6mg(例えば、2〜3、5〜6、又は9〜10mg)、具体的には約5.35mg又は約2.14mgの量でアジュバント組成物に存在する。
トコールは、当該技術分野において周知であり、EP0382271に記載されている。適切には、トコールは、アルファ-トコフェロール又はコハク酸アルファ-トコフェロール(コハク酸ビタミンEとしても知られる)などのその誘導体である。前記トコールは、適切には、0.5〜11mg、好ましくは1〜11、2〜10、3〜9、4〜8、5〜7、5〜6mg(例えば、10〜11、5〜6、2.5〜3.5又は1〜3mg)の量で存在する。具体的な実施形態においては、トコールは、投薬量あたり約5.94mg又は約2.38mgの量で存在する。
水中油型エマルジョンは乳化剤をさらに含む。乳化剤は、適切には、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであってよい。特定の実施形態においては、乳化剤は、Polysorbate(登録商標)80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)又はTween(登録商標)80であってもよい。
前記乳化剤は、適切には、0.1〜5、0.2〜5、0.3〜4、0.4〜3又は2〜3mg(例えば、0.4〜1.2、2〜3又は4〜5mg)の乳化剤の量でアジュバント組成物に存在する。具体的な実施形態において、乳化剤は、約0.97mg又は約2.425mgの量で存在する。
一実施形態において、組成物に存在する具体的な成分の量は、0.5mlヒト投薬量に存在する量である。さらなる実施形態においては、免疫原性組成物は、体積が、0.5mlより高く、例えば、0.6、0.7、0.8、0.9又は1mlであるヒト投薬量に適切な体積である。さらなる実施形態においては、ヒト投薬量は1ml〜1.5mlの間である。
アジュバントが液体形態であり、ポリペプチド組成物の液体形態と組み合わせられる場合、ヒト投薬量におけるアジュバント組成物は、例えば、ヒト投薬量の意図された最終体積のおよそ半分、例えば、0.7mlの意図されたヒト投薬量については350μl体積、又は0.5mlの意図されたヒト投薬量については250μl体積の、ヒト投薬量の意図された最終体積の画分である。ポリペプチド抗原組成物と組み合わせて最終ヒト投薬量のワクチンを提供する場合、アジュバント組成物を希釈する。このような投薬量の最終体積は、当然に、アジュバント組成物の最初の体積及びアジュバント組成物に添加されるポリペプチド抗原組成物の体積に依存して変化する。代替的な実施形態において、液体アジュバントを用いて、凍結乾燥されたポリペプチド組成物を再構成する。この実施形態において、アジュバント組成物のヒト投薬量は、ヒト投薬量の最終体積とほぼ等しい。液体アジュバント組成物は、凍結乾燥されたポリペプチド組成物を含有するバイアルに添加される。最終ヒト投薬量は、0.5〜1.5mlの間で変化してもよい。
水中油型エマルジョンを生成する方法は当業者に周知である。通常、この方法は、トコールを含有する油相をPBS/モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン溶液などの界面活性剤と混合し、続いて、ホモジナイザーを用いて均質化することを含む。混合物を2回、シリンジ針を通過させることを含む方法が、小体積の液体を均質化するのに適していることは当業者には明らかである。同様に、当業者は、マイクロ流体化装置による乳化プロセス(M110S Microfluidics機器、最大50回通過、2分間、最大入口圧力6bar(出口圧力約850bar))を適合させて、小体積又は大体積のエマルジョンを生成することができる。この適合は、必要とする直径の油滴を有する調製物ができるまで、得られるエマルジョンの測定を含む慣用的な実験により達成することができる。
水中油型エマルジョンにおいて、油及び乳化剤は、水性担体中になければならない。水性担体は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水であってもよい。
好ましくは、本発明の水中油型エマルジョン系は、サブミクロン範囲の小油滴サイズを有する。適切には、油滴サイズは、直径にして120〜750nmの範囲、より好ましくは120〜600nmのサイズである。最も好ましくは、水中油型エマルジョンは、少なくとも強度70%の油滴が直径500nm未満であり、より好ましくは少なくとも強度80%が直径300nm未満であり、より好ましくは少なくとも強度90%が直径120〜200nmの範囲にある油滴を含有する。
一実施形態において、免疫原性組成物は、0.5mlの投薬量あたり0.125mLのSB62エマルジョンを有する水中油型エマルジョン(全体積)、5.35mgのスクアレン、5.94mgのDL-α-トコフェロール及び2.425mgのポリソルベート80を含むアジュバントと組み合わせた3μg及び10μgの配列番号1〜7のいずれでもない。一実施形態において、免疫原性組成物は、0.5mlの投薬量あたり水中油型エマルジョン、5.35mgのスクアレン、5.94mgのDL-α-トコフェロール及び2.425mgのポリソルベート80を含むアジュバントと組み合わせた3μg及び10μgの配列番号1〜7のいずれでもない。一実施形態において、免疫原性組成物は、スクアレンを有する水中油型エマルジョン、DL-α-トコフェロール及びポリソルベート80を含むアジュバントを含有しない。
本発明の免疫原性組成物及びワクチン
一実施形態において、免疫原性組成物は、0.5〜1.5mlの体積を有する。
一実施形態において、免疫原性組成物は、追加の抗原をさらに含む。一実施形態において、追加の抗原は、肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae)、インフルエンザ菌(H.influenzae)、髄膜炎菌(N.meningitidis)、大腸菌、モラクセラ・カタラーリス(M.catarrhalis)、破傷風菌(Clostridium tetani)(破傷風)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)(ジフテリア)、百日咳菌(Bordetella pertussis)(百日咳)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、腸球菌、黄色ブドウ球菌(S.aureus)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からなる群から選択される細菌に由来する抗原である。さらなる実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、C.ディフィシル由来のさらなる抗原、例えば、S層タンパク質(WO01/73030)を含んでもよい。場合により、免疫原性組成物は、C.ディフィシル由来の糖をさらに含む。
本発明の免疫原性組成物及び医薬として許容される賦形剤を含むワクチンがさらに提供される。
本発明の免疫原性組成物を含有するワクチン調製物を用いて、前記ワクチンを全身経路又は粘膜経路で投与することによって、C.ディフィシル感染症を起こしやすい哺乳動物を保護し、又はC.ディフィシル感染症にかかった哺乳動物を治療することができる。これらの投与としては、筋肉内、腹腔内、皮内若しくは皮下経路を介した注射、又は経口/消化管、気道、尿生殖路への粘膜投与を介した注射を含んでもよい。本発明のワクチンを単回投与として投与してもよいが、その成分を同時に又は異なった時に併用投与してもよい(例えば、肺炎球菌糖コンジュゲートは、相互の免疫応答を調整するために、別々に、同時に、又はワクチンのいずれかの細菌タンパク質成分を投与した1〜2週間後に投与することができる)。単一の投与経路に加えて、2つの異なる投与経路を使用してもよい。例えば、糖類又は糖コンジュゲートは、筋肉内(IM)又は皮内(ID)投与することができ、細菌タンパク質は、鼻腔内(IN)又は皮内(ID)投与することができる。さらに、本発明のワクチンは、初回(priming)投与についてはIM投与し、追加免疫投与についてはIN投与されてもよい。
ワクチン中の毒素の含量は、典型的には、1〜250μgの範囲、好ましくは5〜50μg、最も典型的には5〜25μgの範囲内である。初回ワクチン接種後、対象は、適切な間隔をおいて1回又は数回の追加免疫接種を受けることができる。ワクチン調製物は、一般的に、Vaccine Design("The subunit and adjuvant approach" (eds Powell M.F. & Newman M.J.) (1995) Plenum Press New York)に記載されている。リポソーム内へのカプセル化は、Fullerton、米国特許4,235,877によって記載されている。
本発明の一態様において、ワクチンキットが提供され、これは、場合により、凍結乾燥された形態にある、本発明の免疫原性組成物を含有したバイアルを含み、本明細書に記載されているアジュバントを含有したバイアルをさらに含む。本発明のこの態様において、アジュバントは、凍結乾燥された免疫原性組成物を再構成するために使用されると考えられる。
本発明のさらなる態様は、免疫防御投薬量の本発明の免疫原性組成物若しくはワクチン又はキットを宿主に投与することを含む、C.ディフィシル感染症を予防又は治療する方法である。一実施形態において、免疫防御投薬量の本発明の免疫原性組成物若しくはワクチン又はキットを宿主に投与することを含む、C.ディフィシル感染症の初回及び/又は再発事象を予防又は治療する方法が提供される。
本発明の一実施形態において、C.ディフィシル疾患の治療又は予防に使用するための本発明の免疫原性組成物又はワクチンが提供される。本発明のさらなる実施形態において、078、019、023、027、033、034、036、045、058、059、063、066、075、078、080、111、112、203、250及び571からなる群から選択されるC.ディフィシルの菌株によって引き起こされる疾患の治療又は予防に使用するための本発明の免疫原性組成物又はワクチンが提供される。好ましくは、菌株は、菌株078である。
本発明のさらなる態様において、C.ディフィシル疾患を予防又は治療するための医薬の調製における、本発明の免疫原性組成物又はワクチンの使用が提供される。さらなる実施形態において、疾患は、078、019、023、027、033、034、036、045、058、059、063、066、075、078、080、111、112、203、250及び571からなる群から選択されるC.ディフィシルの菌株によって引き起こされる疾患である。好ましくは、菌株は、菌株078である。
本発明のさらなる態様において、ヒト対象などの哺乳動物対象に本発明の免疫原性組成物又は本発明のワクチンを投与することを含む、C.ディフィシル疾患を予防又は治療する方法が提供される。さらなる実施形態において、疾患は、078、019、023、027、033、034、036、045、058、059、063、066、075、078、080、111、112、203、250及び571からなる群から選択されるC.ディフィシルの菌株によって引き起こされる疾患である。好ましくは、菌株は、菌株078である。
一般
「約(around)」又は「およそ(approximately)」は、本発明の目的で、所与の数字の上下10%の範囲内と定義される。
用語「含んでいる(comprising)」、「含む(comprise)」、及び「含む(comprises)」は、本明細書において、いずれの場合も、場合により、それぞれ、用語「からなっている(consisting of)」、「からなる(consisting of)」、及び「からなる(consists of)」で置換可能なものと本発明者らは意図している。用語「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。したがって、文脈により他の意味を要しない限り、単語「含む(comprises)」並びに語形変化、例えば「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」は、言明された化合物若しくは組成物(例えば、核酸、ポリペプチド、抗原)若しくはステップ、又は化合物若しくはステップの群の包含を意味するが、他のいずれかの化合物、組成物、ステップ又はそれらの群の除外を意味するものではないことが理解される。略語「e.g.」(例えば)は、ラテン語の「exempli gratia」(例えば)に由来し、本明細書において、限定されない例を示すために使用される。したがって、略語「e.g.」は、用語「for example」(例えば)と同義である。
本明細書で使用されるアミノ酸番号付けは、CDTa、CDTb、毒素A及び毒素Bについての配列に由来し、配列番号1、配列番号3、配列番号31及び配列番号32として本明細書に示されており、これらのタンパク質についての参照配列と考えられるものである。
また、本発明の「ワクチン組成物」に関する本明細書における実施形態は、本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態に適用可能であり、逆もまた同様である。
他に説明がなければ、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本開示の属する技術分野の当業者によって、通常、理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学の一般用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9)、Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9)、及びRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見出すことができる。
単数の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかに別の指示がなければ、複数の指示対象を含む。同様に、単語「又は」は、文脈上明らかに別の指示がなければ、「及び」を包含するものとする。「複数」という用語は、2つ以上を指す。核酸又はポリペプチドに関して与えられる、全ての塩基サイズ又はアミノ酸サイズ、及び全ての分子量又は分子質量値は概数であり、説明のために与えられることがさらに理解されるべきである。加えて、抗原などの物質の濃度又はレベルに関して与えられる数値限定は、概数であってもよい。
この特許明細書において引用された参考文献又は特許出願は全て、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明がよりよく理解され得るように、以下の実施例を示す。これらの実施例は、説明だけを目的とし、いかなる形でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
言及されているAS01Bアジュバントは、0.5ml投薬量あたり、リポソームの形態で提供される50μgのQS21、50μgの3D-MPL、0.25mgのコレステロール及び1.0mgのDOPCを有するアジュバントである。マウスを免疫するのに適した50μlの投薬量は、5μgのQS21、5μgの3D-MPL、0.025mgのコレステロール及び0.1mgのDOPCを含有する。
[実施例1]
二元毒素抗原の設計
二元毒素(別名:ADP-リボシルトランスフェラーゼ毒素は)は、2成分:CDTaと命名された酵素成分並びにCDTbと命名された輸送及び結合成分で構成されている。
文献データ及びCDTaの公知の3D構造(J. Biol. Chem. 2009, vol. 284: 28713-28719)に基づくと、このタンパク質は2つのドメインに分割することができた。N末端ドメインはCDTbに結合し、C末端ドメインは酵素活性を含む。両方のドメインはフレキシブルなペプチドによって連結されている。
文献データ及び他の細菌二元毒素の他のB成分に関して入手可能な情報に基づくと、CDTbは5つのドメインに分割することができた。第1のドメインはプロドメインであり、キモトリプシン活性を有する酵素によるその切断は、成熟タンパク質のヘプタマー化を可能にする。第2のドメインはCDTaへの結合を可能にする。第3及び第4のドメインはオリゴマー化及び膜挿入に関与する。最後に、最後のドメインは宿主細胞受容体結合ドメインである。
実施例1a:CDTa抗原の設計
CDTa及びCDTbをともに用いて作用させるために、CDTaを不活性化する必要がある。不活性化の2つの可能性を評価した。第1のものは、酵素活性を無効にするCDTa変異体の設計であり、第2のものは、CDTa単独のN末端ドメインの使用である。この後者のドメインは、CDTbへの結合を可能にし、酵素活性に関与する残基を含まない。
第1セットの変異体を文献情報(Infection & Immunity, 2001, vol. 69 : 6004-6011)に基づいて設計した。著者らは、CDTa変異タンパク質のE428Q、E430Q、S388A及びR345Kでは活性が有意に減少していることを実証した。刊行物に示されたデータに基づくと、2つの変異が4つのうちで好ましかった:CDTa変異体E428Q及びE430Q。刊行物において、これらの変異体は、CDTa酵素活性を完全に無効にする。これらの変異体をランク付けするために、いくつかの構造解析をこれらの残基について行った:残基グルタミン酸428(E428)及びグルタミン酸430(E430)の表面接近性、周囲3D構造におけるそれらの変異の効果。これらの分析に基づくと、CDTa変異体E428Qが好ましい変異として選択され、CDTa変異体E430Qは第2の選択肢として選択された。二重変異体E428Q、E430Qはまた、酵素活性が無効にされたことを確認するために生じさせた。
第1セットの変異体を用いて得られた第1の細胞毒性結果が納得のいくものではなかったため、第2セットの変異体を設計した。
この第2セットにおいて、7つの変異(すでに記載した2つの変異を含む)を含有するCDTa変異体を設計した。これら全ての変異を文献情報(CDTa又はそのクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)ホモログIaに関して利用可能である)及び3D構造解析に基づいて設計した。全ての変異した残基は、CDTaの触媒部位の周囲に位置する。これらの残基は、リガンド又は水分子の結合を避けるために修飾されている。このCDTa「超変異体」は、変異R345A、Q350A、N385A、R402A、S388F、E428Q及びE430Qを含む。この「超変異させた」CDTaに基づくと、他の2つのCDTa変異させた改変体は、E428Q及びE430Q変異を排除するために評価された(構築物C108はE430Q変異を含むが、変異E428Qを含まず、構築物C107は両方の変異を含まない)。
CDTa N末端ドメイン単独
CDTa1-240が、Ib(クロストリジウム・パーフリンジェンスの二元毒素のB成分)への結合をなおも可能にする最小CDTa断片であることは、文献(Infection & Immunity, 2001, vol. 69 : 6004-6011)に記載されている。この断片は、実験室で試験されるが、公知の3D構造に基づいて、このドメインは、おそらく、CDTaのこのドメインの正しい折り畳みの観点から最適ではないことが示唆された。
抗原設計は、単離されたCDTa N末端ドメインの発現及び折り畳みを改善するために、公知の3D構造(タンパク質データバンク受託番号:2WN4、J. Biol. Chem., 2009, vol. 284: 28713-28719)に基づいて行われた。3D構造では、8つのアミノ酸のリンカーペプチドが、CDTaのN末端ドメインとC末端ドメインの間の分離を可能にする。2つの単離されたCDTa N末端ドメインを設計した。第1のドメインはこのフレキシブルなペプチドを含み、第2のドメインは含まない。
CDTa:配列の概要
全てのCDTa配列の概要を表1に示す。
実施例1b:CDTb抗原の設計
CDTb成熟
CDTbプロセスにおけるキモトリプシン活性化ステップを回避するために、成熟CDTbタンパク質だけ(そのシグナルペプチド及びプロドメインを含まない)を発現することを試みた。
文献(Protein Expression and Purification, 2010, vol. 74: 42-48)において、成熟CDTbは、ロイシン210で始まるものとして記載された。この成熟CDTbをCDTb''と命名した。
社内実験データ後、活性化されたCDTbは、セリン212で始まるようである。この結果は、CDTbの3Dモデル化構造の分析によって支持された。このモデルは、SwissModel(Bioinformatics, 2006, vol. 22: 195-201)を用いて構築された。ホモロジーモデリングに使用される鋳型は、防御抗原又はPA(タンパク質データバンク受託番号:3TEW)と命名された炭疽菌(Bacillus anthracis)のB成分であった。
CDTb受容体結合ドメイン単独
毒素A及びBの受容体結合ドメインのみを含有する融合体が中和抗体を誘導するのに十分であるという事実を考慮して、CDTb受容体結合ドメイン単独を生成し、評価することを決定した。
CDTbに関して得られた3D構造モデルは、CDTbの4つの第1のドメインについて正確であるが、受容体結合ドメインについては正確ではない(CDTb及びPAのこれらのドメインは非常に異なっている)。このドメイン単独を発現する構築物を設計するために、3D構造モデルで第4のドメインのC末端部分を分析し、最後のドメインが始まる場所を決定した。CDTb-受容体結合ドメインの2つのバージョンを設計した。第1のドメインにおいて、このドメインは、第4のドメインのモデル化された3D構造の直後から始まる。このバージョンにおいて、CDTb-受容体結合ドメインは、おそらく、そのN末端部分に長いフレキシブルなペプチドを有する。第2のバージョンは、CDTbのC末端部分について行われた2D予測構造(Psipred programを用いて行われた予測、Bioinformatics, 2000, vol. 16: 404-405)が予測された二次構造の欠損後に、よりコンパクトになる場所で始まる。これは、新しい構造ドメインの開始を示している可能性があった。この第2のバージョンにおいて、単離されたCDTb受容体結合ドメインのN末端部分にフレキシブルなペプチドは存在しない。
CDTb Ca2+結合モチーフ変異
文献情報のように、クロストリジウム・パーフリンジェンスのイオタ毒素のB成分(Ib)のCa2+結合ドメインにおける変異は、この二元毒素(Ia)のA成分との結合を無効にする。これらの変異は、成熟CDTbタンパク質及び野生型CDTaタンパク質の混合物を含有するワクチン組成物の場合において非常に興味深いものであり得た。複数のタンパク質配列アライメントを用いて、これらの変異は、CDTb配列に位置し、変異された。それは、残基Asp220、Asp222及びAsp224に関する。それらはAla残基に変異された。
CDTbプロドメイン
ゲル中のC55を用いて観察された分解問題を低減させることを試みるために、いくつかの共発現試験を評価した。そうすることの作業仮説は、成熟CDTbの折り畳みを改善することである。
プロドメインの2つの制限が提案された。第1のプロドメインは、CDTbの残基43(シグナルペプチド切断後)で始まり、残基Met211で終わる(実験的に決定された、成熟CDTbの最初の残基がSer212であることを考慮した)。第2のプロドメインは、CDTbの予測された3D構造に基づいて設計された。成熟CDTbタンパク質のプロドメインと第1の構造ドメインの間に存在するリンカーは、この構築物において除去される。
CDTb:配列の概要
全てのCDTb配列の概要を表2に示す。
実施例1c:CDTa-CDTb融合体の設計
背景情報
これらの構築物の目的は、1つのプロセスに二元毒素の両成分を得ることである。
多くの異なる種類の融合体が設計され得るが、概念の証明として、評価される第1の融合体は、CDTa N末端ドメイン(CDTaNADlink及びCDTaNADと命名される)とCDTb受容体結合ドメイン(CDTbCsh及びCDTbClgと命名される)の組み合わせである。
融合体CDTaN末端-CDTb受容体結合ドメイン単独
融合体のそれぞれのパートナーに関する追加実験データなしに、全ての可能な組み合わせが開始されたが、常に、融合体の第1のパートナーとしてCDTaドメインを有した。
これらの融合体において、CDTaNADlink及びCDTaNADドメインは、それぞれ、設計され、単離されたドメインと比較して2残基及び1残基少ない。これらCDTaの追加アミノ酸は、発現プロセス中に潜在的な問題を回避するために、単離された設計で維持された。
全てのCDTa-CDTb融合体配列の概要を表3に示す。
実施例1d:ToxA-ToxB-CDTb受容体結合ドメイン融合体の設計
この融合体の目的は、1つの構築物へのクロストリジウム・ディフィシルの3つの主要毒素の受容体結合ドメインの組み合わせである。
F2及びCDTb受容体結合ドメインが、同じ折り畳み構造を取ることを想定していないという事実を考慮して、リンカー/スペーサーは、それらの正しい独立した折り畳みを可能にするために、融合体の2つのパートナー間で使用される必要がある。2つの融合体を設計した。
第1の融合体(F2_CDTbClgと命名される)において、受容体結合ドメインの長い設計バージョンは、F2のC末端部分で融合される。このバージョンにおいて、CDTb受容体結合ドメインの長いフレキシブルなN末端ペプチドはスペーサーとして機能する。
第2の融合体(F2_GG_NVCDTbCshと命名される)において、受容体結合ドメインの短い設計バージョンは、F2のC末端部分で融合される。2つのパートナーの正しい折り畳みを可能にするために、この融合体において作製されるリンカーの長さを増加させなければならない。それを行うために、CDTb-受容体結合ドメインを2つの天然の残基を用いて伸長し、さらに、2つの外因性グリシンをF2と、CDTbCshのより長いバージョンの間に加えた。
全てのF2-CDTb融合配列の概要を表4に示す。
[実施例2]
CdtAタンパク質のクローニング、発現及び精製
発現プラスミド及び組換え菌株:CdtA全長
変異を含む又は含まないCdtAのシグナルペプチド(以下の表を参照)を含まない全長のタンパク質及びC末端にあるHisタグをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたNdeI/XhoI制限部位を使用し、pET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングされた。最終構築物は、CaCl2処理された細胞を用いた標準的な方法(Hanahan D.<<Plasmid transformation by Simanis.>>In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)に従って、別々に、それぞれの組換え発現ベクターを用いて、大腸菌株HMS174(DE3)又はBLR(DE3)pLysS(C34)の形質転換によって生成された。
宿主菌株:
HMS174(DE3)。HMS174菌株は、K-12バックグラウンドにおいてrecA変異を与える。記号表示(DE3)を有する菌株は、IPTG誘導性T7 RNAポリメラーゼを含むλプロファージに対して溶原性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。
遺伝子型:F- recA1 hsdR(rK12 -mK12 +)(RifR)
BLR(DE3) pLysS。BLRはBL21のrecA誘導体である。記号表示(DE3)を有する菌株は、IPTG誘導性T7 RNAポリメラーゼを含むλプロファージに対して溶原性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。この菌株はまた、lon及びompTプロテアーゼを欠損し、pLysS菌株は、誘導前に、T7 RNAポリメラーゼの基本的発現をさらに抑制するT7リゾチームを発現する。
遺伝子型:大腸菌BLR::DE3菌株、F- ompT hsdSB(rB - mB -) gal dcm (DE3) Δ(srl-recA)306::Tn10 pLysS(CamR、TetR)。
組換えタンパク質の発現:
大腸菌形質転換体を寒天プレートから剥がし、200mlのLBTブロス±1%(w/v)グルコース+カナマイシン(50μg/ml)を接種するために使用し、0.1〜0.2のO.D.600nmを得た。培養物を一晩、37℃、250RPMでインキュベートした。
それぞれの一晩培養物は、カナマイシン(50μg/ml)を含有する500mlのLBT培地中で1:20に希釈され、O.D.620が0.5/0.6に達するまで、37℃にて250rpmの回転速度で増殖させた。
O.D.600nmが約0.6のとき、培養物は、1mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、EMD Chemicals Inc.、カタログ番号:5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導する前に冷却され、23℃、250RPMで一晩インキュベートされた。
一晩の誘導(約16時間)後、誘導後にO.D.600nmを評価し、培養物を14000RPMで15分間遠心分離し、ペレットを別々に-20℃で凍結した。
発現プラスミド及び組換え菌株:CdtA-N末端
CdtAのシグナルペプチド(以下の表を参照)を含まないN末端のタンパク質及びC末端にあるHisタグをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたNdeI/XhoI制限部位を使用し、pET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングされた。最終構築物は、CaCl2処理された細胞を用いた標準的な方法(Hanahan D.≪Plasmid transformation by Simanis.≫In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)に従って、別々に、それぞれの組換え発現ベクターを用いて、大腸菌株HMS174(DE3)の形質転換によって生成された。
宿主菌株:
HMS174(DE3)。HMS174菌株は、K-12バックグラウンドにおいてrecA変異を与える。記号表示(DE3)を有する菌株は、IPTG誘導性T7 RNAポリメラーゼを含むλプロファージに対して溶原性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。
遺伝子型:F- recA1 hsdR(rK12 -mK12 +)(RifR)
組換えタンパク質の発現:
大腸菌形質転換体を寒天プレートから剥がし、200mlのLBTブロス±1%(w/v)グルコース+カナマイシン(50μg/ml)を接種するために使用し、0.1〜0.2のO.D.600nmを得た。培養物を一晩、37℃、250RPMでインキュベートした。
この一晩培養物は、カナマイシン(50μg/ml)を含有する500mlのLBT培地中で1:20に希釈され、O.D.620が0.5/0.6に達するまで、37℃にて250rpmの回転速度で増殖させた。
O.D.600nmが約0.6のとき、培養物は、1mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、EMD Chemicals Inc.、カタログ番号:5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導する前に冷却され、23℃、250RPMで一晩インキュベートされた。
一晩の誘導(約16時間)後、誘導後にO.D.600nmを評価し、培養物を14000RPMで15分間遠心分離し、ペレットを別々に-20℃で凍結した。
精製
以下の手法を用いて、構築物C34、C44、C49、C50、C54、C67、C69、C107及びC110を精製した。
500mMのNaCl、0mM又は5mMのTCEP(Thermo Scientific Pierce、(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)及びプロテアーゼ阻害剤の混合物(Complete、Roche、EDTA不含)を含有する20mM又は50mMビシン緩衝液(pH7.5又はpH8.0)に細菌ペレットを再懸濁した。French Pressシステム3X20000PSIを用いて細菌を溶解した。可溶性(上清)及び不溶性(ペレット)成分を4℃にて30分間、20000gの遠心分離によって分離した。
6-Hisタグ化されたタンパク質をIMAC上で自然条件下で精製した。細菌再懸濁に使用したものと同じ緩衝液を用いて予め平衡化した5mlのGE Histrapカラム(GE)上に可溶性成分を充填した。カラム上に充填した後、500mMのNaCl、10mMのイミダゾール、5mMのTCEPを含有する20mM又は50mMのビシン緩衝液(pH7.5又はpH8.0)でカラムを洗浄した。溶出は、50mMのビシン緩衝液pH7.6、500mMのNaCl、1mMのTCEP及びイミダゾール(250mM又は500mM)を用いて行われた。
脱塩(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)及び濃縮(Amicon Ultra 10kDa)ステップ後、さらなる精製ステップのために、20mM又は50mMのビシン緩衝液(pH7.5又はpH8.0)、150mMのNaCl、1mMのTCEP中でSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標)75又は200)上に生成物を充填した。
Cdta抗原を含む画分をSDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。BioRadのLowry RC/DCタンパク質アッセイを用いてタンパク質濃度を決定した。精製されたバルクを0.22μm上で濾過滅菌し、-80℃で保存した。
[実施例4]
C.ディフィシルCdtBタンパク質のクローニング、発現及び精製
発現プラスミド及び組換え菌株:CdtB全長。
シグナルペプチドを含まないCdtBの切断型タンパク質(Pro-CdtB')及びC末端にあるHisタグをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたBamHI/XhoI制限部位を使用して、pGEX-6p1発現ベクター(GE Healthcare)にクローニングされた。このベクターは、いずれかのCdtB'のN末端における融合パートナーとしてGST(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)を含んだ(GST-Pro-Cdtb')。最終構築物は、CaCl2処理された細胞を用いた標準的な方法(Hanahan D.<<Plasmid transformation by Simanis.>>In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)に従って、組換え発現ベクターを用いて、大腸菌株BL21(DE3)の形質転換によって生成された。
シグナルペプチドを含まないCdtB(Pro-CdtB':C38)並びにシグナルペプチド及びプロドメインを含まないCdtB(CdtB'':C40又はC55)の切断型タンパク質、及びC末端にあるHisタグをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたNdeI/XhoI制限部位を使用して、pET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングされた。最終構築物は、CaCl2処理された細胞を用いた標準的な方法(Hanahan D.<<Plasmid transformation by Simanis.>>In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)に従って、適切な組換え発現ベクターを用いて、C55については大腸菌B834(DE3)修飾菌株並びにC38及びC40についてはBL21(DE3)の形質転換によって生成された。
宿主菌株
BL21(DE3)。BL21(DE3)は、B834の非メチオニン栄養要求誘導株である。記号表示(DE3)を有する菌株は、IPTG誘導性T7 RNAポリメラーゼを含むλプロファージに対して溶原性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。この菌株はまた、lon及びompTプロテアーゼを欠損している。
遺伝子型:大腸菌BL21::DE3菌株、F- ompT hsdSB(rB - mB -) gal dcm (DE3)。
B834は、BL21の親株である。これらのプロテアーゼ欠損宿主は、メチオニン栄養要求株である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。この菌株はまた、lon及びompTプロテアーゼを欠損している。
修飾:ビオチン遺伝子座におけるホスホグルコノイル化を避けるためにPGL遺伝子を含む(菌株はビオチン栄養要求株である)。
遺伝子型:B834::DE3菌株、F- ompT hsdSB(rB - mB-) gal dcm met (DE3)
修飾:Δ(bioA-bioD)::PGL
組換えタンパク質の発現:
大腸菌形質転換体を寒天プレートから剥がし、200mlのLBTブロス±1%(w/v)グルコース±カナマイシン(50μg/ml)又はアンピシリン(100μg/ml)を接種するために使用し、0.1〜0.2のO.D.600nmを得た。培養物を一晩、37℃、250RPMでインキュベートした。
一晩培養物は、±カナマイシン(50μg/ml)又はアンピシリン(100μg/ml)を含有する500mlのLBT培地中で1:20に希釈され、O.D.620が0.5/0.6に達するまで、37℃にて250rpmの回転速度で増殖させた。
600nmでのO.D.が約0.6のとき、培養物は、1mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、EMD Chemicals Inc.、カタログ番号:5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導する前に冷却し、23℃、250RPMで一晩インキュベートされた。
一晩の誘導(約16時間)後、誘導後に600nmでのO.D.を評価し、培養物を14000RPMで15分間遠心分離し、ペレットを別々に-20℃で凍結した。
発現プラスミド及び組換え菌株。
プロドメインCdtBが成熟していない、Ca++結合部位がノックアウト(CdtBへのCdtAの結合を阻害する)されたCdtBの切断型タンパク質及びC末端にあるHisタグをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたNdeI/XhoI制限部位を使用して、pET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングされた。最終構築物は、CaCl2処理された細胞を用いた標準的な方法(Hanahan D.<<Plasmid transformation by Simanis.>>In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)に従って、組換え発現ベクターを用いて、大腸菌B834(DE3)修飾菌株の形質転換によって生成された。
宿主菌株
B834は、BL21の親株である。これらのプロテアーゼ欠損宿主は、メチオニン栄養要求株である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。この菌株はまた、lon及びompTプロテアーゼを欠損している。
修飾:ビオチン遺伝子座におけるホスホグルコノイル化を避けるためにPGL遺伝子を含む(菌株はビオチン栄養要求株である)。
遺伝子型:B834::DE3菌株、F- ompT hsdSB(rB - mB-) gal dcm met (DE3)
修飾:Δ(bioA-bioD)::PGL
組換えタンパク質の発現:
大腸菌形質転換体を寒天プレートから剥がし、200mlのLBTブロス±1%(w/v)グルコース+カナマイシン(50μg/ml)を接種するために使用し、0.1〜0.2のO.D.600nmを得た。培養物を一晩、37℃、250RPMでインキュベートした。
この一晩培養物は、カナマイシン(50μg/ml)を含有する500mlのLBT培地中で1:20に希釈され、O.D.620が0.5/0.6に達するまで、37℃にて250rpmの回転速度で増殖させた。
600nmでのO.D.が約0.6のとき、培養物は、1mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、EMD Chemicals Inc.、カタログ番号:5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導する前に冷却し、23℃、250RPMで一晩インキュベートされた。
一晩の誘導(約16時間)後、誘導後に600nmでのO.D.を評価し、培養物を14000RPMで15分間遠心分離し、ペレットを別々に-20℃で凍結した。
精製
C37
500mMのNaCl、5mMのTCEP(Thermo Scientific Pierce、(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)及びプロテアーゼ阻害剤の混合物(Complete、Roche)を含有する50mMビシン緩衝液(pH8.0)に細菌ペレットを再懸濁した。French Pressシステム3X20000PSIを用いて細菌を溶解した。可溶性(上清)及び不溶性(ペレット)成分を4℃にて30分間、20000gの遠心分離によって分離した。
6-Hisタグ化されたタンパク質をIMAC上で自然条件下で精製した。細菌再懸濁に使用したものと同じ緩衝液を用いて予め平衡化した5mlのGE Histrapカラム(GE)上に可溶性成分を充填した。カラム上に充填した後、150mMのNaCl、25mMのイミダゾール、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0でカラムを洗浄した。溶出は、150mMのNaCl、250mMのイミダゾール、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0を用いて行われた。
150mMのNaCl及び1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0中で脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)後、GSTタグを切断するために、生成物をPreScissionプロテアーゼ(GE-Healthcare)で処理した(4℃にて一晩)。一晩処理した後、0.2%のTween 20を消化混合物に添加した。
次に、タンパク質は、切断されたタグ、切断されていない融合タンパク質及びPreScissionプロテアーゼを除くために、150mMのNaCl、1mMのTCEP、0.2%のtween 20及び20mMの還元型グルテーション(glutation)を含有する緩衝液の50mMビシン緩衝液pH8.0を用いて予め平衡化したGSTアフィニティーカラム(GE GSTrap FF)を通過させた。
GST-遊離タンパク質をフロースルーで回収し、再度、150mMのNaCl、1mMのTCEP、0.2%のtween 20を含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0を用いて予め平衡化した5ml GE Histrapカラム(GE)上に充填した。カラム上に充填した後、150mMのNaCl、0.2%のtween 20、1mMのTCEP及び10mMのイミダゾールを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0でカラムを洗浄した。溶出は、150mMのNaCl、0.2%のtween 20、1mMのTCEP及び500mMのイミダゾールを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0を用いて行われた。
150mMのNaCl、1mMのTCEP及び0.2%のtween 20を含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0中で脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)後、生成物をα-キモトリプシン(ウシ膵臓由来-Sigma)で処理し、続いて、トリプシン阻害剤処理(卵白由来-Sigma)を行った。キモトリプシンによるCdtbの完全な活性化をSDS-PAGEでモニターした。
300mMのNaCl、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0中のSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標)75)に、完全に活性化された生成物を充填した。CdtB抗原を含む画分をSDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。タンパク質濃度は、BioRadのLowry RC/DCタンパク質アッセイを用いて決定された。精製されたバルクを0.22μm上で濾過滅菌し、-80℃で保存した。
C38
150mMのNaCl、5mMのTCEP(Thermo Scientific Pierce、(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、0.4%エンピゲン及びプロテアーゼ阻害剤の混合物(Complete、Roche)を含有する50mMビシン緩衝液(pH8.0)に細菌ペレットを再懸濁した。French Pressシステム3X20000PSIを用いて細菌を溶解した。可溶性(上清)及び不溶性(ペレット)成分を4℃にて30分間、20000gの遠心分離によって分離した。
6-Hisタグ化されたタンパク質をIMAC上で自然条件下で精製した。150mMのNaCl、1mMのTCEP(Thermo Scientific Pierce、(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)及び0.15%エンピゲンを含有する50mMのビシン緩衝液(pH8.0)を用いて予め平衡化した5mlのGE Histrapカラム(GE)上に可溶性成分を充填した。カラム上に充填した後、150mMのNaCl、20mMのイミダゾール、1mMのTCEP及び0.2%のtween 20を含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0でカラムを洗浄した。溶出は、150mMのNaCl、500mMのイミダゾール、1mMのTCEP及び0.2%のtween 20を含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0を用いて行われた。
150mMのNaCl、1mMのTCEP及び0.2%のtween 20を含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0中で脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)後、生成物をα-キモトリプシン(ウシ膵臓由来-Sigma)で処理し、続いて、トリプシン阻害剤処理(卵白由来-Sigma)を行った。キモトリプシンによるCdbの完全な活性化をSDS-PAGEでモニターした。
50mMのビシン緩衝液pH8.0、300mMのNaCl、1mMのTCEP中のSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標)75)に、完全に活性化された生成物を充填した。Cdtbタンパク質を含む画分をSDS-PAGEによる純度に基づいて選択し、300mMのNaCl、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液(pH8.0)を用いて予め平衡化した5ml GE Histrapカラム(GE)上に再度充填した。カラム上に充填した後、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0でカラムを洗浄した。溶出は、300mMのNaCl、500mMのイミダゾール、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0を用いて行われた。
300mMのNaCl、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0中で脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)後、BioRadのLowry RC/DCタンパク質アッセイを用いてタンパク質濃度を決定した。精製されたバルクを0.22μm上で濾過滅菌し、-80℃で保存した。
C40
500mMのNaCl、5mMのCaCl2及びプロテアーゼ阻害剤の混合物(Complete、Roche)を含有する20mMビシン緩衝液(pH8.0)に細菌ペレットを再懸濁した。French Pressシステム3X20000PSIを用いて細菌を溶解した。可溶性(上清)及び不溶性(ペレット)成分を4℃にて30分間、20000gの遠心分離によって分離した。
6-Hisタグ化されたタンパク質をIMAC上で自然条件下で精製した。500mMのNaCl、5mMのCaCl2を含有する20mMのビシン緩衝液(pH8.0)を用いて予め平衡化した1mlのGE Histrapカラム(GE)上に可溶性成分を充填した。カラム上に充填した後、500mMのNaCl、5mMのCaCl2及び5mMのイミダゾールを含有する20mMのビシン緩衝液pH8.0でカラムを洗浄した。溶出は、150mMのNaCl、5mMのCaCl2及び250mMのイミダゾールを含有する20mMのビシン緩衝液pH8.0を用いて行われた。
150mMのNaCl、1mMのTCEPを含有する20mMのビシン緩衝液pH8.0中で脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)後、同じ緩衝液中のSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標)75)上に生成物を充填した。Cdtb抗原を含む画分をSDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。タンパク質濃度は、BioRadのLowry RC/DCタンパク質アッセイを用いて決定された。精製されたバルクを0.22μm上で濾過滅菌し、-80℃で保存した。
C55
150mMのNaCl、5mMのTCEP(Thermo Scientific Pierce、(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、0.4%エンピゲン及びプロテアーゼ阻害剤の混合物(Complete、Roche)を含有する50mMビシン緩衝液(pH8.0)に細菌ペレットを再懸濁した。French Pressシステム3X20000PSIを用いて細菌を溶解した。可溶性(上清)及び不溶性(ペレット)成分を4℃にて30分間、20000gの遠心分離によって分離した。
6-Hisタグ化されたタンパク質をIMAC上で自然条件下で精製した。150mMのNaCl、0.15%エンピゲン、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液(pH8.0)を用いて予め平衡化した5mlのGE Histrapカラム(GE)上に可溶性成分を充填した。カラム上に充填した後、150mMのNaCl、0.2%のtween 20、20mMのイミダゾール及び1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0でカラムを洗浄した。溶出は、150mMのNaCl、0.2%のtween 20、500mMのイミダゾール及び1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0を用いて行われた。
300mMのNaCl、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0中で脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)後、同じ緩衝液中のSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標)75)上に生成物を充填した。Cdtb抗原を含む画分をSDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。タンパク質濃度は、BioRadのLowry RC/DCタンパク質アッセイを用いて決定された。精製されたバルクを0.22μm上で濾過滅菌し、-80℃で保存した。
組換えタンパク質の発現:CdtB受容体結合ドメイン:
発現プラスミド及び組換え菌株。
受容体結合ドメイン(C52-C53)のみのCdtBの切断型タンパク質及びC末端にあるHisタグをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたNdeI/XhoI制限部位を使用して、pET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングされた。最終構築物は、CaCl2処理された細胞を用いた標準的な方法(Hanahan D.<<Plasmid transformation by Simanis.>>In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)に従って、組換え発現ベクターを用いて、大腸菌B834(DE3)修飾菌株の形質転換によって生成された。
宿主菌株
B834は、BL21の親株である。これらのプロテアーゼ欠損宿主は、メチオニン栄養要求株である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。この菌株はまた、lon及びompTプロテアーゼを欠損している。
修飾:ビオチン遺伝子座におけるホスホグルコノイル化を避けるためにPGL遺伝子を含む(菌株はビオチン栄養要求株である)。
遺伝子型:B834::DE3菌株、F- ompT hsdSB(rB - mB-) gal dcm met (DE3)
修飾:Δ(bioA-bioD)::PGL
組換えタンパク質の発現:
大腸菌形質転換体を寒天プレートから剥がし、200mlのLBTブロス±1%(w/v)グルコース+カナマイシン(50μg/ml)を接種するために使用し、0.1〜0.2のO.D.600nmを得た。培養物を一晩、37℃、250RPMでインキュベートした。
これらの一晩培養物は、カナマイシン(50μg/ml)を含有する500mlのLBT培地中で1:20に希釈され、O.D.620が0.5/0.6に達するまで、37℃にて250rpmの回転速度で増殖させた。
600nmでのO.D.が約0.6のとき、培養物は、1mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、EMD Chemicals Inc.、カタログ番号:5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導する前に冷却し、23℃、250RPMで一晩インキュベートされた。
一晩の誘導(約16時間)後、誘導後に600nmでのO.D.を評価し、培養物を14000RPMで15分間遠心分離し、ペレットを別々に-20℃で凍結した。
精製
C52及びC53
500mMのNaCl及びプロテアーゼ阻害剤の混合物(Complete、Roche、EDTA不含)を含有する50mMビシン緩衝液pH8.0に細菌ペレットを再懸濁した。French Pressシステム3X20000PSIを用いて細菌を溶解した。可溶性(上清)及び不溶性(ペレット)成分を4℃にて30分間、20000gの遠心分離によって分離した。
6-Hisタグ化されたタンパク質をIMAC上で自然条件下で精製した。細菌再懸濁に使用したものと同じ緩衝液を用いて予め平衡化した5mlのGE Histrapカラム(GE)上に可溶性成分を充填した。カラム上に充填した後、500mMのNaCl、25mMのイミダゾールを含有する20mMのビシン緩衝液pH7.5でカラムを洗浄した。溶出は、50mMのビシン緩衝液pH7.5、500mMのNaCl、及び250mMのイミダゾールを用いて行われた。
脱塩(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)及び濃縮(Amicon Ultra 10kDa)ステップ後、20mMの緩衝液pH7.5、150mMのNaCl中でSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標)75)上に生成物を充填した。
Cdtb抗原を含む画分をSDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。BioRadのLowry RC/DCタンパク質アッセイを用いてタンパク質濃度を決定した。精製されたバルクを0.22μm上で濾過滅菌し、-80℃で保存した。
[実施例6]
C.ディフィシルCdtA N末端及びCdtB受容体結合ドメイン融合タンパク質のクローニング、発現及び精製
発現プラスミド及び組換え菌株。
CdtA N末端(C49又はC50)のCdtB受容体結合ドメインタンパク質長鎖又は短鎖バージョンとの融合タンパク質(C61又はC62)及びC末端にあるHisタグをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたNdeI/XhoI制限部位を使用して、pET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングされた。最終構築物は、CaCl2処理された細胞を用いた標準的な方法(Hanahan D.<<Plasmid transformation by Simanis.>>In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)に従って、適切な組換え発現ベクターを用いて、大腸菌B834(DE3)修飾菌株の形質転換によって生成された。
宿主菌株
遺伝子型:大腸菌BL21::DE3菌株、F- ompT hsdSB(rB - mB -) gal dcm (DE3)。
B834は、BL21の親株である。これらのプロテアーゼ欠損宿主は、メチオニン栄養要求株である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。この菌株はまた、lon及びompTプロテアーゼを欠損している。
修飾:ビオチン遺伝子座におけるホスホグルコノイル化を避けるためにPGL遺伝子を含む(菌株はビオチン栄養要求株である)。
[016] 遺伝子型:B834::DE3菌株、F- ompT hsdSB(rB - mB-) gal dcm met (DE3)
修飾:Δ(bioA-bioD)::PGL
組換えタンパク質の発現:
大腸菌形質転換体をそれぞれの寒天プレートから剥がし、200mlのLBTブロス±1%(w/v)グルコース+カナマイシン(50μg/ml)を接種するために使用し、0.1〜0.2のO.D.600nmを得た。培養物を一晩、37℃、250RPMでインキュベートした。
これらの一晩培養物は、カナマイシン(50μg/ml)を含有する500mlのLBT培地中で1:20に希釈され、O.D.620が0.5/0.6に達するまで、37℃にて250rpmの回転速度で増殖させた。
600nmでのO.D.が約0.6のとき、培養物は、1mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、EMD Chemicals Inc.、カタログ番号:5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導する前に冷却し、23℃、250RPMで一晩インキュベートされた。
一晩の誘導(約16時間)後、誘導後に600nmでのO.D.を評価し、培養物を14000RPMで15分間遠心分離し、ペレットを別々に-20℃で凍結した。
精製
C61
300mMのNaCl、5mMのTCEP(Thermo Scientific Pierce、(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、0.4%エンピゲン及びプロテアーゼ阻害剤の混合物(Complete、Roche)を含有する50mMビシン緩衝液(pH8.0)に細菌ペレットを再懸濁した。French Pressシステム3X20000PSIを用いて細菌を溶解した。可溶性(上清)及び不溶性(ペレット)成分を4℃にて30分間、20000gの遠心分離によって分離した。
6-Hisタグ化されたタンパク質をIMAC上で自然条件下で精製した。300mMのNaCl、0.15%エンピゲン、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液(pH8.0)を用いて予め平衡化した5mlのGE Histrapカラム(GE)上に可溶性成分を充填した。カラム上に充填した後、300mMのNaCl、0.2%のtween 20、25mMのイミダゾール及び1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0でカラムを洗浄した。溶出は、150mMのNaCl、0.2%のtween 20、500mMのイミダゾール及び1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0を用いて行われた。
300mMのNaCl、1mMのTCEPを含有する50mMのビシン緩衝液pH8.0中で脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6脱塩)後、同じ緩衝液中のSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標)200)上に生成物を充填した。組換え抗原を含む画分をSDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。タンパク質濃度は、BioRadのLowry RC/DCタンパク質アッセイを用いて決定された。精製されたバルクを0.22μm上で濾過滅菌し、-80℃で保存した。
[実施例7]
CdtB C58のプロドメインと同時発現させたC.ディフィシルCdtB成熟(C55)のクローニング及び発現
発現プラスミド及び組換え菌株。
Hisタグを含まないCdtBのタンパク質プロドメインをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたNdeI/XhoI制限部位を使用して、pET21b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングされた。最終構築物は、CaCl2処理された細胞を用いた標準的な方法(Hanahan D.<<Plasmid transformation by Simanis.>>In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135)に従って、プロドメインCdtB及び実施例3参照のC55のクローニングについてのCdtB成熟タンパク質C55情報の組換え発現ベクターを用いて、大腸菌B834(DE3)修飾菌株の形質転換によって生成された。
宿主菌株
B834は、BL21の親株である。これらのプロテアーゼ欠損宿主は、メチオニン栄養要求株である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現用に設計されている。この菌株はまた、lon及びompTプロテアーゼを欠損している。
修飾:ビオチン遺伝子座におけるホスホグルコノイル化を避けるためにPGL遺伝子を含む(菌株はビオチン栄養要求株である)。
[016]遺伝子型:B834::DE3菌株、F- ompT hsdSB(rB - mB-) gal dcm met (DE3)
修飾:Δ(bioA-bioD)::PGL
組換えタンパク質の発現:
大腸菌形質転換体を寒天プレートから剥がし、200mlのLBTブロス±1%(w/v)グルコース+カナマイシン(50μg/ml)及びアンピシリン(100μg/ml)を接種するために使用し、0.1〜0.2のO.D.600nmを得た。培養物を一晩、37℃、250RPMでインキュベートした。
この一晩培養物は、カナマイシン(50μg/ml)及びアンピシリン(100μg/ml)を含有する500mlのLBT培地中で1:20に希釈され、O.D.620が0.5/0.6に達するまで、37℃にて250rpmの回転速度で増殖させた。
600nmでのO.D.が約0.6のとき、培養物は、1mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、EMD Chemicals Inc.、カタログ番号:5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導する前に冷却し、23℃、250RPMで一晩インキュベートされた。
一晩の誘導(約16時間)後、誘導後に600nmでのO.D.を評価し、培養物を14000RPMで15分間遠心分離し、ペレットを別々に-20℃で凍結した。
精製
単独で生成されたC55と同じ
[実施例8]
CdtA、CdtB及びCdtA-CdtB融合構築物の分子量評価
分析用超遠心分離を用いて、分子が遠心力に応じて移動する速度を測定することによって、タンパク質サンプル内の異なる種の溶液中の均質性及びサイズ分布を決定した。これは、それらの分子形状及び質量に依存する、沈降速度実験によって得られる異なる種の沈降係数の計算に基づいている。
1. AN-60Tiローターを15℃に平衡化した後、標的タンパク質サイズに依存して、タンパク質サンプルを8000RPM、25000RPM又は420000RPMでBeckman-Coulter ProteomeLab XL-1分析用超遠心分離機でスピンした。
2. データ収集のために、スキャンを5分ごとに280nmで記録した。
3. データ分析は、C(S)分布を決定するためのプログラムSEDFITを用いて行われた。タンパク質の部分的な比体積の決定は、それらのアミノ酸配列からSEDNTERPソフトウェアを用いて行われた。Sednterpはまた、緩衝液の粘度及び密度を決定するために使用された。
4. 異なる種の分子量の決定は、C(S)分布プロット(濃度対沈降係数)から決定され、それは、混合物のサイズ分布を特徴付けるために、C(M)分布(濃度対分子量)よりも生データの良好な表現であると考えられた。
図1a〜1hは、沈降速度分析超遠心分離によって決定されるように、異なるCdtA、CdtB及びCdtA-CdtB融合構築物のサイズ分布を記載する。
全長CdtAタンパク質を変異させたC67及びC69についての主な種の計算された分子量は、モノマーと対応し得て、一方、CdtA N末端構築物を切断したC50は、モノマーとダイマーの混合物として溶液中に存在する(図1a、1b及び1c)。
CdtA-CdtBのC61及びC62融合体の両方は、主にダイマーであり、少ない比率でモノマーを含む(図1d及び1e)。
CdtB受容体結合ドメインC52及びC52の構築物は、主にダイマーであり、少量のモノマーの存在を伴う(図1f及び1g)。
プロドメインC55を含まない全長CdtBは、精製後に高度に凝集し、AUCによって異種サイズ分布を示す(図1h)。
[実施例9]
精製後のCdtA、CdtB及びCdtA-CdtB融合構築物のSDS PAGEプロファイル
それぞれの構築物からの精製タンパク質は、配列の完全性を評価するために、変性及び還元SDS PAGE上で分離された。
図2aは、CdtA-CdtB融合構築物C61及びC62が、多数において、予期された分子量で存在することを示す。同じ観察が、図2bのCdtA構築物に対してなされる。
C37 CdtB(aa.43〜876)構築物のキモトリプシン活性化が、C55(aa.212〜876)によるレーン3で示される成熟CdtBに匹敵する分子量のタンパク質(レーン2)の獲得のためにプロドメインの切断をもたらすことが図2cに示される。C55のSDS-PAGEプロファイルは、図2hのAUCによって観測された高度に凝集したプロファイルと一貫している完全なタンパク質から分離することができなかった多量の二次生成物を含有する。
プロドメインC38(aa.43〜876)とともに発現されるCdtBは、大多数で、多量の二次生成物を含有する、二重の予期された分子量を構成する異種調製物として精製された。
[実施例9]
AS01B製剤にC.ディフィシルCdtA及びCdtBサブユニットタンパク質を用いたマウスの免疫化
マウス免疫化
25匹の雌性Balb/Cマウス群は、0、14及び28日目に、5μgの全長CdtA及びCdtB二元毒素の精製されたサブニットでIMにより免疫された。これらの抗原は、AS01B製剤において注射された。
抗CdtA及び抗CdtB ELISA力価は、42日目(ポストIII 14)に回収された個々の血清において決定された。結果を図3〜4に示す。
二元毒素の細胞毒性阻害アッセイはまた、プールされたポストIII血清(42日目)で行われた。結果を図5〜6に示す。
抗CdtA及び抗CdtB ELISA応答:プロトコール
全長CdtA(C34)又は全長CdtB(C37)サブユニットは、4℃にて一晩、高結合マイクロタイタープレート(Nunc MAXISORP(商標))上、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で1μg/ml(CdtAについて)又は2μg/ml(CdtBについて)で被覆された。プレートは、撹拌しながら、30分間RTにて、PBS-BSA 1%を用いてブロッキングされた。マウス抗血清をPBS-BSA 0.2%-TWEEN(商標)0.05%中で1/500に予め希釈し、次に、さらに2倍希釈物をマイクロプレート中で作製し、RTで30分間インキュベートした。洗浄後、結合したマウス抗体は、PBS-BSA0.2%-tween 0.05%中で1:5000に希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc.のペルオキシダーゼをコンジュゲートした抗マウス(ref:110-035-003)を用いて検出された。検出抗体は、撹拌しながら、30分間室温(RT)にてインキュベートされた。15分間暗所中、室温にて、10mlのpH4.5 0.1Mクエン酸緩衝液あたり4mgのO-フェニレンジアミン(OPD)+5μlのH2O2を用いて発色させた。反応を50μlのHClで停止させ、光学密度(OD)は、620nmを参照した490nmで読み取った。
抗CdtA又は抗CdtB抗体のレベルは、中間点力価で表される。GMTは、それぞれの処置群において25サンプルについて計算された。
二元毒素細胞毒性阻害アッセイ
ヒト結腸上皮(eptithelial)細胞(HT29又はHCT-116細胞)は、37℃、5%CO2でDMEM+10%ウシ胎児血清+1%グルタミン+1%抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシン)において培養され、96ウェル黒色組織培養プレート(Greiner Bio-one、Ref:655090)に、HT29について4.104細胞/ウェル及びHCT116について1.104細胞/ウェルの密度で播種された。24時間後、細胞培地をウェルから除いた。
マウス抗血清を細胞培地中で1:50に予め希釈し、次に、さらに3倍希釈物をマイクロプレート(NUNC、Ref:163320)において作製した。マウスのプールされた抗血清の50μlの連続希釈液を黒色プレートに添加した。次に、50μlのCdtA(25ng/ml)とキモトリプシン活性化CdtB(75ng/ml)の混合物を添加し、黒色プレートを6日間、5%CO2で37℃にてインキュベートした。
6日後、抗血清と毒素の混合物をウェルから除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に1:500に希釈した100μlのHoescht染色(BD Pharmingen、Ref:561908)を各ウェルに2時間、暗所にて室温で添加した。
着色後、Hoescht染色をウェルから除き、蛍光細胞をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
蛍光染色によって覆われた表面を各ウェル中で決定し、細胞毒性阻害力価は、蛍光シグナルの50%阻害を誘導する逆希釈として定義された。
[実施例10]
AS01Bにおいて製剤化された、F2と混合した又は混合していない、キモトリプシン活性化された又は活性化されていないC.ディフィシルCdtBを用いたマウスの免疫化
マウス免疫化
25匹の雌性Balb/Cマウス群は、0、14及び28日目に、キモトリプシン活性化された又は活性化されていない、5μgのF2と混合された又は混合されていない、5μgのCdtB二元毒素の精製されたサブユニットでIMにより免疫された。これらの抗原は、AS01B製剤において注射された。
抗CdtB、抗ToxA及び抗ToxB ELISA力価は、42日目(ポストIII 14)に回収された個々の血清において決定された。結果を図7〜9に示す。
また、二元毒素ToxA及びToxB細胞毒性阻害アッセイは、プールされたポストIII血清(42日目)で行われた。結果を図10〜12に示す。
抗CdtB、抗ToxA及び抗ToxB ELISA応答:プロトコール
全長CdtB(C37)サブユニット、F2 Cter ToxA及びF2 Cter ToxBは、4℃にて一晩、高結合マイクロタイタープレート(Nunc MAXISORP(商標))上、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で0.5μg/ml(CdtBについて)、2μg/ml(ToxA F2 Cterについて)及び1μg/ml(ToxB F2 Cterについて)で被覆された。プレートは、撹拌しながら、30分間RTにて、PBS-BSA 1%を用いてブロッキングされた。マウス抗血清をPBS-BSA 0.2%-TWEEN(商標)0.05%中で1/500に予め希釈し、次に、さらに2倍希釈物をマイクロプレート中で作製し、RTで30分間インキュベートした。洗浄後、結合したマウス抗体は、PBS-BSA0.2%-tween 0.05%中で1:5000に希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc.のペルオキシダーゼをコンジュゲートした抗マウス(ref:110-035-003)を用いて検出された。検出抗体は、撹拌しながら、30分間室温(RT)にてインキュベートされた。15分間暗所中、室温にて、10mlのpH4.5 0.1Mクエン酸緩衝液あたり4mgのO-フェニレンジアミン(OPD)+5μlのH2O2を用いて発色させた。反応を50μlのHClで停止させ、光学密度(OD)は、620nmを参照した490nmで読み取った。
抗CdtB抗体のレベルは、中間点力価で表される。
それぞれの個々の血清に存在する抗F2Cter ToxA及びF2Cter ToxB抗体のレベルは、それぞれのプレートに添加された参照血清と比較することによって決定され、μg/mlで表される。
GMTは、それぞれの処置群において25サンプルについて計算された。
二元毒素、ToxA及びToxB細胞毒性阻害アッセイ
ヒト結腸上皮細胞(HT29又はHCT-116細胞)は、37℃、5%CO2でDMEM+10%ウシ胎児血清+1%グルタミン+1%抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシン)において培養され、96ウェル黒色組織培養プレート(Greiner Bio-one、Ref:655090)に、HT29について4.104細胞/ウェル及びHCT116について1.104細胞/ウェルの密度で播種された。24時間後、細胞培地をウェルから除いた。
マウス抗血清は、ToxA阻害細胞毒性アッセイ用に細胞培地においてg1(CdtB非活性化)及びg2(CdtB活性化)に対して1:5、並びにg3(CdtB比活性化+F2)及びg4(CdtB活性化+F2)に対して1:20に予め希釈され、ToxB阻害細胞毒性アッセイ用に1:10、及び二元毒素阻害アッセイ用に1:50に予め希釈された。次に、さらに3倍希釈物をマイクロプレート(NUNC、Ref:163320)中に作製した。マウスのプールされた抗血清の50μlの連続希釈液を黒色プレートに添加した。次に、HT29において50μlのToxA(0.01μg/ml)、HCT116においてToxB(0.022μg/ml)並びにHT29及びHCT116においてCdtA(25ng/ml)とキモトリプシン活性化されたCdtB(75ng/ml)の混合物を黒色プレート中で添加し、6日間、5%CO2で37℃にてインキュベートした。
6日後、抗血清と毒素の混合物をウェルから除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に1:500に希釈した100μlのHoescht染色(BD Pharmingen、Ref:561908)を各ウェルに2時間、暗所にて室温で添加した。
着色後、Hoescht染色をウェルから除き、蛍光細胞をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
蛍光染色によって覆われた表面を各ウェル中で決定し、細胞毒性阻害力価は、蛍光シグナルの50%阻害を誘導する逆希釈として定義された。
[実施例11]
AS01B製剤において6μg/投薬量のF2と組み合わせた異なる二元毒素ワクチン候補(CdtA/CdtB)を用いたマウスの免疫化
マウス免疫化
20匹の雌性Balb/Cマウス群は、0、14及び28日目に、6μgのF2と混合された又は混合されていない、6μgのCdtA-CdtB融合体(C61及びC62)、又は3μgのCdtA(C34、C50若しくはC67)並びに/又は3μgのCdtB(C37、C52、C55又はC55/C58)でIMにより免疫された。これらの抗原は、AS01B製剤において注射された。
抗CdtA、抗CdtB、抗ToxA及び抗ToxB ELISA力価は、42日目(ポストIII 14)に回収された個々の血清において決定された。結果を図13〜16に示す。
また、二元毒素ToxA及びToxB細胞毒性阻害アッセイは、プールされたポストIII血清(42日目)で行われた。結果を図17〜20に示す。
抗CdtA、抗CdtB、抗ToxA F2Cter及び抗ToxB F2 Cter ELISA応答:プロトコール
CdtA mut E428Q(C44)、全長CdtB(C37)サブユニット、F2 Cter ToxA及びF2 Cter ToxBは、4℃にて一晩、高結合マイクロタイタープレート(Nunc MAXISORP(商標))上、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で1μg/ml(CdtAについて)、0.5μg/ml(CdtBについて)、2μg/ml(ToxA F2 Cterについて)及び1μg/ml(ToxB F2 Cterについて)で被覆された。プレートは、撹拌しながら、30分間RTにて、PBS-BSA 1%を用いてブロッキングされた。マウス抗血清をPBS-BSA0.2%-TWEEN(商標)0.05%中でポストIIに関して1:100(CdtA、CdtB、ToxBについて)又は1:200(ToxAについて)に、並びにポストIIIに関して1:500(CdtA及びToxAについて)、1:500又は1:2000(CdtBについて)及び1:250(ToxBについて)に予め希釈した。次に、さらに2倍希釈物をマイクロプレート中で作製し、RTで30分間インキュベートした。洗浄後、結合したマウス抗体は、PBS-BSA0.2%-tween 0.05%中で1:5000に希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc.のペルオキシダーゼをコンジュゲートした抗マウス(ref:110-035-003)を用いて検出された。検出抗体は、撹拌しながら、30分間室温(RT)にてインキュベートされた。15分間暗所中、室温にて、10mlのpH4.5 0.1Mクエン酸緩衝液あたり4mgのO-フェニレンジアミン(OPD)+5μlのH2O2を用いて発色させた。反応を50μlのHClで停止させ、光学密度(OD)は、620nmを参照した490nmで読み取った。
それぞれの個々の血清に存在する抗CdtA、抗CdtB、抗F2Cter ToxA及びF2Cter ToxB抗体のレベルは、それぞれのプレートに添加された参照血清と比較することによって決定され、μg/mlで表される。GMTは、それぞれの処置群において20サンプルについて計算された。
二元毒素、ToxA及びToxB細胞毒性阻害アッセイ
ヒト結腸上皮細胞(HT29又はHCT-116細胞)は、37℃、5%CO2でDMEM+10%ウシ胎児血清+1%グルタミン+1%抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシン)において培養され、96ウェル黒色組織培養プレート(Greiner Bio-one、Ref:655090)に、HT29について4.104細胞/ウェル及びHCT116について1.104細胞/ウェルの密度で播種された。24時間後、細胞培地をウェルから除いた。
マウス抗血清は、細胞培地において、ToxA阻害細胞毒性アッセイ用に1:50、ToxB阻害細胞毒性アッセイ用に1:10、HT29に関する二元毒素阻害アッセイ用に1:50並びにHCT116に関する二元毒素阻害アッセイ用に1:30(ポストIIについて)及び1:30又は1:100(ポストIIIについて)に予め希釈された。次に、さらに3倍希釈物をマイクロプレート(NUNC、Ref:163320)中に作製した。マウスのプールされた抗血清の50μlの連続希釈液を黒色プレートに添加した。次に、HT29において50μlのToxA(0.025μg/ml)、HCT116においてToxB(0.6μg/ml)並びにHT29及びHCT116においてCdtA(25ng/ml)とキモトリプシン活性化されたCdtB(75ng/ml)の混合物を黒色プレート中で添加し、6日間、5%CO2で37℃にてインキュベートした。
6日後、抗血清と毒素の混合物をウェルから除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に1:500に希釈した100μlのHoescht染色(BD Pharmingen、Ref:561908)を各ウェルに2時間、暗所にて室温で添加した。
着色後、Hoescht染色をウェルから除き、蛍光細胞をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
蛍光染色によって覆われた表面を各ウェル中で決定し、細胞毒性阻害力価は、蛍光シグナルの50%阻害を誘導する逆希釈として定義された。
[実施例12]
AS01B製剤において2μg/投薬量のF2と組み合わせた異なる二元毒素ワクチン候補(CdtA/CdtB)を用いたマウスの免疫化
マウス免疫化
20匹の雌性Balb/Cマウス群は、0、14及び28日目に、2μgのF2と混合された又は混合されていない、2μgのCdtA-CdtB融合体(C61及びC62)、又は1μgのCdtA(C34、C50若しくはC67)並びに/又は1μgのCdtB(C37、C52、C55又はC55/C58)でIMにより免疫された。これらの抗原は、AS01B製剤において注射された。
抗CdtA、抗CdtB、抗ToxA及び抗ToxB ELISA力価は、42日目(ポストIII 14)に回収された個々の血清において決定された。結果を図21〜24に示す。
また、二元毒素ToxA及びToxB細胞毒性阻害アッセイは、プールされたポストIII血清(42日目)で行われた。結果を図25〜28に示す。
抗CdtA、抗CdtB、抗ToxA及び抗ToxB ELISA応答:プロトコール
CdtA mut E428Q(C44)、全長CdtB(C37)サブユニット、F2 Cter ToxA及びF2 Cter ToxBは、4℃にて一晩、高結合マイクロタイタープレート(Nunc MAXISORP(商標))上、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で1μg/ml(CdtAについて)、0.5μg/ml(CdtBについて)、2μg/ml(ToxA F2 Cterについて)及び1μg/ml(ToxB F2 Cterについて)で被覆された。プレートは、撹拌しながら、30分間RTにて、PBS-BSA 1%を用いてブロッキングされた。マウス抗血清をPBS-BSA0.2%-TWEEN(商標)0.05%中でポストIIに関して1:100(CdtB、ToxA、ToxBについて)及び1:100又は1:250(CdtAについて)に、並びにポストIIIに関して1:500に予め希釈した。次に、さらに2倍希釈物をマイクロプレート中で作製し、RTで30分間インキュベートした。洗浄後、結合したマウス抗体は、PBS-BSA0.2%-tween 0.05%中で1:5000に希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc.のペルオキシダーゼをコンジュゲートした抗マウス(ref:110-035-003)を用いて検出された。検出抗体は、撹拌しながら、30分間室温(RT)にてインキュベートされた。発色させた。
[実施例13]
非アジュバント化製剤において10μg/投薬量のF2と組み合わせた異なる二元毒素ワクチン候補(CdtA/CdtB)を用いたマウスの免疫化
マウス免疫化
20匹の雌性Balb/Cマウス群は、0、14及び28日目に、10μgのF2と混合された又は混合されていない、10μgのCdtA-CdtB融合体(C61及びC62)、又は5μgのCdtA(C34、C50若しくはC67)並びに/又は5μgのCdtB(C37、C52、C55又はC55/C58)でIMにより免疫された。これらの抗原は、非アジュバント化製剤において注射された。
抗CdtA、抗CdtB、抗ToxA及び抗ToxB ELISA力価は、42日目(ポストIII 14)に回収された個々の血清において決定された。結果を図29〜32に示す。
また、二元毒素ToxA及びToxB細胞毒性阻害アッセイは、プールされたポストIII血清(42日目)で行われた。結果を図33〜36に示す。
抗CdtA、抗CdtB、抗ToxA及び抗ToxB ELISA応答:プロトコール
CdtA mut E428Q(C44)、全長CdtB(C37)サブユニット、F2 Cter ToxA及びF2 Cter ToxBは、4℃にて一晩、高結合マイクロタイタープレート(Nunc MAXISORP(商標))上、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で1μg/ml(CdtAについて)、0.5μg/ml(CdtBについて)、2μg/ml(F2 Cter ToxAについて)及び1μg/ml(F2 Cter ToxBについて)で被覆された。プレートは、撹拌しながら、30分間RTにて、PBS-BSA 1%を用いてブロッキングされた。マウス抗血清をPBS-BSA0.2%-TWEEN(商標)0.05%中でポストIIに関して1:100(CdtA、CdtB、ToxA、ToxBについて)、並びにポストIIIに関して1:100(CdtA、ToxA、ToxBについて)、1:100又は1:200(CdtBについて)に予め希釈した。次に、さらに2倍希釈物をマイクロプレート中で作製し、RTで30分間インキュベートした。洗浄後、結合したマウス抗体は、PBS-BSA0.2%-tween 0.05%中で1:5000に希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc.のペルオキシダーゼをコンジュゲートした抗マウス(ref:110-035-003)を用いて検出された。検出抗体は、撹拌しながら、30分間室温(RT)にてインキュベートされた。15分間暗所中、室温にて、10mlのpH4.5 0.1Mクエン酸緩衝液あたり4mgのO-フェニレンジアミン(OPD)+5μlのH2O2を用いて発色させた。反応を50μlのHClで停止させ、光学密度(OD)は、620nmを参照した490nmで読み取った。
GMTは、それぞれの処置群において20サンプルについて計算された。
二元毒素、ToxA及びToxB細胞毒性阻害アッセイ:プロトコール
ヒト結腸上皮細胞(HT29又はHCT-116細胞)は、37℃、5%CO2でDMEM+10%ウシ胎児血清+1%グルタミン+1%抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシン)において培養され、96ウェル黒色組織培養プレート(Greiner Bio-one、Ref:655090)に、HT29について4.104細胞/ウェル及びHCT116について1.104細胞/ウェルの密度で播種された。24時間後、細胞培地をウェルから除いた。
マウス抗血清は、細胞培地において、ToxA阻害細胞毒性アッセイ用に1:50、ToxB阻害細胞毒性アッセイ用に1:10、HT29に関する二元毒素阻害アッセイ用に1:50並びにHCT116に関する二元毒素阻害アッセイ用に1:30(ポストIIについて)及び1:30又は1:100(ポストIIIについて)に予め希釈された。次に、さらに3倍希釈物をマイクロプレート(NUNC、Ref:163320)中に作製した。マウスのプールされた抗血清の50μlの連続希釈液を黒色プレートに添加した。次に、HT29において50μlのToxA(0.025μg/ml)、HCT116においてToxB(0.6μg/ml)並びにHT29及びHCT116においてCdtA(25ng/ml)とキモトリプシン活性化されたCdtB(75ng/ml)の混合物を黒色プレート中で添加し、6日間、5%CO2で37℃にてインキュベートした。
6日後、抗血清と毒素の混合物をウェルから除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に1:500に希釈した100μlのHoescht染色(BD Pharmingen、Ref:561908)を各ウェルに2時間、暗所にて室温で添加した。
着色後、Hoescht染色をウェルから除き、蛍光細胞をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
蛍光染色によって覆われた表面を各ウェル中で決定し、細胞毒性阻害力価は、蛍光シグナルの50%阻害を誘導する逆希釈として定義された。
[実施例14]
C.・ディフィシルF2及びCdtB受容体結合ドメイン融合タンパク質のクローニング及び発現
発現プラスミド及び組換え菌株。
F2タンパク質のCdtB受容体結合ドメインタンパク質長鎖又は短鎖バージョンとの融合タンパク質(C64及びC65)及びC末端にあるHisタグをコードする遺伝子は、標準的な手法を用いたNdeI/XhoI制限部位を使用して、pET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングされた。
配列概要(表A)