JP2006351448A - 不飽和結合含有有機ケイ素化合物及びリン酸基含有不飽和単量体を付加共重合してなる固体高分子電解質膜並びにその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a) 分子内に少なくとも一個のエチレン性不飽和結合を有する不飽和結合含有有機ケイ素化合物と、(b) 分子内にリン酸基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するリン酸基含有不飽和単量体とを付加共重合してなり、かつ実質的にシロキサン架橋していない固体高分子電解質膜。
【選択図】 なし
Description
(ただしR13は水素基又はアルキル基であり、R14は置換又は無置換のアルキレン基であり、xは1〜6の整数である。)により表される化合物が好ましい。R13は−H基又は−CH3基であるのが好ましく、R14は−(CH2)2−基、−CH2CH2(CH3)−基、−CH2CH2(CH2Cl)−基又は−(CH2)4−基であるのが好ましい。
(ただしR29'〜R31'はそれぞれ独立に水素基又はメチル基であり、R33'はアルキレン基である。)により表される3官能性ウレタン(メタ)アクリレート、及び下記一般式(11):
本発明の固体高分子電解質膜は、少なくとも(a) 分子内に少なくとも一個のエチレン性不飽和結合を有する不飽和結合含有有機ケイ素化合物と、(b) 分子内にリン酸基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するリン酸基含有不飽和単量体とが付加共重合してなり、かつ実質的にシロキサン架橋していない。以下不飽和結合含有有機ケイ素化合物、リン酸基含有不飽和単量体、これらの配合割合、及び共重合し得る他の不飽和化合物について説明する。
不飽和結合含有有機ケイ素化合物(以下特段の断りがない限り、単に「有機ケイ素化合物」と呼ぶ)は、下記一般式(1):
リン酸基含有不飽和単量体は下記一般式(5):
有機ケイ素化合物及びリン酸基含有不飽和単量体の配合割合は、溶媒中での付加共重合反応中にゲル化しない限り特に制限されないが、モル比で(有機ケイ素化合物)/(リン酸基含有不飽和単量体)=90/10〜10/90であるのが好ましく、この比が90/10〜50/50であるのがより好ましい。この比を10/90未満とすると、共重合体の耐熱性等の向上効果が不十分となる恐れがあり、一方90/10超とすると、リン酸基が不足してプロトン伝導性が不十分となる恐れがある。
固体高分子電解質膜は、有機ケイ素化合物及びリン酸基含有不飽和単量体以外の他の不飽和化合物を共重合成分として含んでもよい。他の不飽和化合物は以下の2群(a) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基を有しない不飽和化合物、及び(b) 分子内にエチレン性不飽和結合と酸性基とを各々1個以上有する不飽和化合物に大別できる。
固体高分子電解質膜は、造膜性、耐水性、耐薬品性等の向上を目的として、酸性基を含有しない不飽和化合物(酸性基非含有不飽和化合物)を共重合成分として含んでもよい。酸性基非含有不飽和化合物としては、常温で気体でない、分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する不飽和化合物がすべて対象になるが、中でも(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル、共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、ビニル化芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、置換又は無置換のスチレン、ハロゲン化ビニル(例えば塩化ビニル等)、脂肪酸置換ビニルエステル(例えば酢酸ビニル等)、及びフッ素基含有不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとして、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ヘキサメチレンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
共役ジエン系液状オリゴマーとしては、分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するブタジエンオリゴマー、イソプレンオリゴマー及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。共役ジエン系液状オリゴマーとしては、下記一般式(17):
ビニル化芳香族−共役ジエン系共重合体は、少なくともビニル化芳香族単位及び共役ジエン単位を有する共重合体からなる。ビニル化芳香族成分としてはスチレンが好ましい。共役ジエン成分としてはイソプレンが好ましい。ビニル化芳香族−共役ジエン系共重合体中のビニル化芳香族成分及び共役ジエン成分の割合は特に制限されず、固体高分子電解質膜に要求される靭性、可撓性、機械的強度等の物性に応じて適宜設定すればよい。ビニル化芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの分子量に特に制限はないが、例えば質量平均分子量が1,000〜100,000であればよい。
フッ素基含有不飽和単量体としては、例えば特開2005-11789号に記載のものが挙げられる。具体的には、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のハイドロフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;α-(トリフルオロメチル)アクリル酸等のハイドロフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸;パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル基含有ビニル;ハイドロフルオロアルキル基含有ビニル等が好ましい。フッ素基含有不飽和単量体を共重合成分として含むことにより、固体高分子電解質膜の耐熱性及び耐水性が一層向上する。
固体高分子電解質膜の耐溶剤性を向上させるために、酸性基を有さない不飽和化合物として、複数個のエチレン性不飽和結合を含有するものを使用し、固体高分子電解質膜を硬化するのが好ましい。そのような硬化剤として、各々上記の式(9)〜式(11)により表される2〜4官能型ウレタン(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1, 6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、1, 4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ヘキサメチレンジオールジアクリレート、共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、及びビニル化芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体が挙げられる。その他にジビニルベンゼン等も挙げられる。
酸性基は特に制限されないが、例えばスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硼酸基等が挙げられる。中でもスルホン酸基、カルボン酸基及びホスホン酸基からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する骨格としては、(メタ)アクリレート骨格、(メタ)アリルエステル骨格、置換又は無置換の不飽和脂肪族炭化水素骨格、不飽和基により置換された芳香族炭化水素骨格等を挙げることができる。
スルホン酸基を含有する不飽和単量体としては、例えば特開2004-179154号に記載のものが挙げられる。具体的には、ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸ブチル-4-スルホン酸、(メタ)アクリロオキシベンゼンスルホン酸等が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
カルボン酸基を含有する不飽和単量体の例示化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
上記のアルコール性水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステルは、その水酸基をリン酸エステル化してもよい。特にエチレン性不飽和基を分子中に2個以上有するアルコール性水酸基含有不飽和単量体のリン酸エステル化物は、硬化能が良い。そのようなリン酸エステル化物の中でもグリセロールジ(メタ)アクリレートをリン酸エステル化した化合物、すなわち下記式(19):
上記式(17)及び(18)により表される(水素化)共役ジエン系液状オリゴマーは、式(17)及び(18)中のR36及びR37に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等が導入された誘導体であってもよい。
ホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミド誘導体は、(メタ)アクリルアミド系単量体と、リン酸源化合物とを反応させ、得られた反応生成物を加水分解してなるものである。具体例として、アクリルアミドホスホン酸、アクリルアミドジホスホン酸及びホスホン酸基含有ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。
上記ビニル化芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等が導入された誘導体であってもよい。
固体高分子電解質膜の耐溶剤性(例えば耐メタノール性等)を向上させるために、酸性基を含有する不飽和化合物として、複数個のエチレン性不飽和結合を含有する硬化剤を使用し、固体高分子電解質膜を硬化してもよい。そのような硬化剤として、上記の式(6)〜(8)により表されるリン酸基含有不飽和単量体、並びに上記の式(19)及び(20)により表されるグリセロールジ(メタ)アクリレートのリン酸エステル化物が好ましい。
他の不飽和化合物の添加量は、有機ケイ素化合物及びリン酸基含有不飽和単量体と溶媒中で共重合した時にゲル化しない限り特に制限されない。他の不飽和化合物の添加量は、有機ケイ素化合物、リン酸基含有不飽和単量体及び他の不飽和化合物の合計を100質量%として、一般的に50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。限定する趣旨ではないが、上記硬化剤の添加量は10質量%以下が好ましい。
固体高分子電解質膜を製造する際の造膜性や、得られる固体高分子電解質膜の強度、疎水性、耐溶剤性等を一層向上させるために、固体高分子電解質膜を形成する共重合体と相溶し得るその他の(共)重合体を混合することができる。その他の(共)重合体としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メラミン、セルロース及びその変性物等を挙げることができる。本発明の固体高分子電解質膜は、その他の(共)重合体からなる膜を支持膜として用いた構成とすることもできる。
本発明の固体高分子電解質膜は、少なくとも上記有機ケイ素化合物及び上記リン酸基含有不飽和単量体を溶媒中で共重合させた溶液を調製し、得られた固体高分子電解質溶液をキャスト法により製膜することにより製造できる。
まず(a) 有機ケイ素化合物を含む溶液又は分散液に、リン酸基含有不飽和単量体を含む溶液又は分散液を滴下するか、(b) リン酸基含有不飽和単量体を含む溶液又は分散液に、有機ケイ素化合物を含む溶液又は分散液を滴下するか、(c) 有機ケイ素化合物を含む溶液又は分散液と、リン酸基含有不飽和単量体を含む溶液又は分散液とを一括混合し、重合開始剤の存在下付加共重合させる。
付加共重合により調製した共重合体溶液を用い、キャスト法により製膜する。上記他の(共)重合体を混合する場合、これを固体電解質の溶液又は分散液に予め添加し、溶解又は分散させる。キャスト法は、固体電解質の溶液又は分散液を水平な支持体(例えばガラス板、トレイ等)上に流延し、重合反応に用いた溶媒を蒸発させるものである。溶媒は、キャストした溶液又は分散液を減圧及び/又は加熱することにより蒸発させる。具体的には90〜150℃の温度で1〜180分程度加熱乾燥処理するのが好ましい。加熱乾燥処理時の圧力は常圧〜10 mmHg(絶対圧)とするのが好ましい。
以上のような製造方法により得られる本発明の固体高分子電解質膜は、上記有機ケイ素化合物とリン酸基含有不飽和単量体とが付加共重合してなり、かつ実質的にシロキサン架橋していない。ここで「実質的にシロキサン架橋していない」とは、有機ケイ素化合物に由来するポリシロキサン主骨格(主鎖)同士がシロキサン結合した構造(シロキサン架橋構造)を有しないことを意味する。上記のように有機ケイ素化合物は、側鎖及び末端が有機基により形成されているが、有機基はケイ素−炭素結合により直鎖状ポリシロキサン主骨格の各ケイ素原子に結合している。有機基の一部は水素基に置換されていてもよいが、その場合、水素基はケイ素−水素結合によりポリシロキサン主骨格のケイ素原子に結合している。そのため有機ケイ素化合物は、アルコキシ基及びシラノール基を含まない。よって上記のような方法により固体高分子電解質膜を製造しても、一般的にアルコキシ基間又はシラノール基とアルコキシ基間の縮合反応(ゾルゲル反応)により生じるシロキサン結合が生成しないので、シロキサン架橋構造は形成されない。固体高分子電解質膜の共重合構造に特に制限はなく、例えばブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれでもよい。
燃料電池の構造は公知のものでよい。通常燃料電池は複数個の単位燃料電池(膜−電極接合体)を、セパレータを介して積層することにより形成することができる。単位燃料電池は、固体高分子電解質膜と、その両側に接合されたアノード電極及びカソード電極とから構成される。電極は、ガス拡散層(多孔性の炭素系材料等)と触媒層(白金粒子等)とからなる。触媒層はガス拡散層上に触媒粒子が塗布されることにより形成される。
表3に示す組成のリン酸基含有不飽和単量体(Phosmer)含有液、及び有機ケイ素化合物(両末端メタクリル変性シリコーン、商品名「X-22-164AS」、Mw:973、信越化学工業株式会社製)含有液(溶媒:n-ブタノール、濃度:10質量%)を各々調製し、表4に示す配合割合に従い、共重合体を調製した。還流冷却管、滴下漏斗、温度計及び窒素ガス導入管を接続した反応装置に、両末端メタクリル変性シリコーンオイル(X-22-164AS)含有液を入れ、気相部に窒素ガスを導入しながら攪拌し、重合温度80℃まで昇温した。内温が80℃に到達したことを確認後、滴下漏斗に入れたリン酸基含有不飽和単量体含有液を滴下した。その後3時間共重合させて、共重合体を含む溶液を得た。冷却した後、溶液をテフロン(登録商標)シート上に流延し、減圧加熱して溶媒を除去した後、表4に示す条件で加熱することにより固体高分子電解質膜を作製した。
(2) アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(分子量:342)。
(3) アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート(分子量:456)。
(4) アシッド・ホスホオキシエチルメタクリレート(分子量:210)。
(5) 商品名「NK オリゴ U-4HA」(Mw:516、新中村化学工業株式会社製)。
(2) アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート(分子量:456)。
(3) アシッド・ホスホオキシエチルメタクリレート(分子量:210)。
(4) 両末端メタクリル変性シリコーン、商品名「X-22-164AS」、Mw:973、信越化学工業株式会社製。
(5) 商品名「NK オリゴ U-4HA」(Mw:516、新中村化学工業株式会社製)。
(6) リン酸基含有不飽和単量体含有液を有機ケイ素化合物含有液に滴下。
(7) 反応溶液中の原料[リン酸基含有不飽和単量体+有機ケイ素化合物(+その他の不飽和化合物)]の初期濃度。
(8) 2, 2 ’ -アゾビスイソブチロニトリル。
(9) ビスメトロン粘度計により測定。
(10) 膜を大過剰のメタノールに室温で24時間浸漬し、105℃で10分間乾燥した後の質量減少を測定。
実施例1〜18の固体高分子電解質膜を、大過剰のメタノールに室温で24時間浸漬し、105℃で10分間乾燥した後の質量減少を測定した。表4から、いずれの膜でも15質量%以下の優れたメタノール抽出率を示した。
プロトン伝導性は複素インピーダンス法を用いて測定した。実施例1〜18の膜から切り出した3cm×1cmの矩形状サンプルを、開放系インピーダンスセルに設置した。このセルを恒温恒湿器内に設置し、インピーダンス測定を行った(相対湿度:90%、測定温度:35、50、65、80℃)。得られたデータを平面複素インピーダンス解析し、その結果をcole-cole プロット図形処理をして得られたサンプルの抵抗値から導電率を求めた(以下同じ)。結果を図1〜6に示す。
Claims (20)
- (a) 分子内に少なくとも一個のエチレン性不飽和結合を有する不飽和結合含有有機ケイ素化合物と、(b) 分子内にリン酸基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するリン酸基含有不飽和単量体とが付加共重合してなり、かつ実質的にシロキサン架橋していないことを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項1に記載の固体高分子電解質膜において、前記有機ケイ素化合物はポリシロキサンからなる主骨格を有し、前記ポリシロキサン主骨格の各ケイ素原子には有機基が結合して側鎖及び末端を形成しており、前記ケイ素原子と前記有機基はケイ素−炭素結合を形成しており、前記有機基のうち少なくとも一個はエチレン性不飽和結合を有することを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項1又は2に記載の固体高分子電解質膜において、前記有機ケイ素化合物は、下記一般式(1):
- 請求項5に記載の固体高分子電解質膜において、R13は−H基又は−CH3基であり、R14は−(CH2)2−基、−CH2CH2(CH3)−基、−CH2CH2(CH2Cl)−基又は−(CH2)4−基であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項7に記載の固体高分子電解質膜において、R15及びR17はそれぞれ独立に−H基又は−CH3基であり、R16及びR18はそれぞれ独立に−(CH2)2−基、−CH2CH2(CH3)−基、−CH2CH2(CH2Cl)−基又は−(CH2)4−基であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記リン酸基含有不飽和単量体は下記一般式(7):
- 請求項9に記載の固体高分子電解質膜において、前記ピロリン酸基含有不飽和単量体のR19及びR21はそれぞれ独立に−H基又は−CH3基であり、R20及びR22はそれぞれ独立に−(CH2)2−基、−CH2CH2(CH3)−基、−CH2CH2(CH2Cl)−基又は−(CH2)4−基であり、前記リン酸基含有トリエステル系不飽和単量体のR23、R25及びR27はそれぞれ独立に−H基又は−CH3基であり、R24、R26及びR28はそれぞれ独立に−(CH2)2−基、−CH2CH2(CH3)−基、−CH2CH2(CH2Cl)−基又は−(CH2)4−基であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記有機ケイ素化合物及び前記リン酸基含有不飽和単量体以外の他の不飽和化合物も共重合してなることを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項11に記載の固体高分子電解質膜において、前記他の不飽和化合物は、(c) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基を有しない不飽和化合物、及び/又は(d) 分子内にエチレン性不飽和結合と酸性基とを各々1個以上有する不飽和化合物であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項12に記載の固体高分子電解質膜において、前記(c) 酸性基を有しない不飽和化合物は(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル、共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、ビニル化芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体、置換又は無置換のスチレン、ハロゲン化ビニル、脂肪酸置換ビニルエステル及びフッ素基含有不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、前記(d) 酸性基を有する不飽和化合物はスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基及び硼酸基からなる群から選ばれた少なくとも一種を有することを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項11〜13のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記他の不飽和化合物は分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上含む硬化剤であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項14に記載の固体高分子電解質膜において、前記硬化剤は、下記一般式(9):
- 請求項1〜15のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、95%以下の相対湿度及び室温〜60℃の温度でのプロトン導電率が1×10-3 S/cm以上であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
- 請求項1〜16のいずれかに記載の固体高分子電解質膜の製造方法であって、溶媒中で、少なくとも前記有機ケイ素化合物と前記リン酸基含有不飽和単量体とを付加共重合させ、得られた固体高分子電解質を含む溶液又は分散液を水平な支持体上に流延し、前記溶媒を除去することを特徴とする方法。
- 請求項17に記載の固体高分子電解質膜の製造方法において、(a) 前記有機ケイ素化合物を含む溶液又は分散液に、前記リン酸基含有不飽和単量体を含む溶液又は分散液を滴下するか、(b) 前記リン酸基含有不飽和単量体を含む溶液又は分散液に、前記有機ケイ素化合物を含む溶液又は分散液を滴下するか、(c) 前記有機ケイ素化合物を含む溶液又は分散液と、前記リン酸基含有不飽和単量体を含む溶液又は分散液とを一括混合し、重合開始剤の存在下付加共重合させることを特徴とする方法。
- 請求項17又は18に記載の固体高分子電解質膜の製造方法において、(a) 炭素数1〜6の脂肪族アルコール溶媒中か、(b) ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれた少なくとも一種と、炭素数1〜6の脂肪族アルコールとの混合溶媒中で、前記有機ケイ素化合物と前記リン酸基含有不飽和単量体とを付加共重合させることを特徴とする方法。
- 請求項1〜16のいずれかに記載の固体高分子電解質膜を用いたことを特徴とする燃料電池。
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