JP2006349822A - 光デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
光デバイスおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006349822A JP2006349822A JP2005173688A JP2005173688A JP2006349822A JP 2006349822 A JP2006349822 A JP 2006349822A JP 2005173688 A JP2005173688 A JP 2005173688A JP 2005173688 A JP2005173688 A JP 2005173688A JP 2006349822 A JP2006349822 A JP 2006349822A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- optical
- piezoelectric
- substrate
- optical waveguide
- comb
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
Abstract
【課題】 電気機械結合係数を向上させた光デバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 この光デバイス1は、基板2上に設けられた複数の台座3によって圧電性光導波路4を空中に保持したものであり、圧電性光導波路4の表裏面に設けたIDT5A,5Cによって表面弾性波を発生させ、光入力グレーティングカプラ6Aからレーザ光を圧電性光導波路4に導入すると、レーザ光は表面弾性波によって偏向され、光出力グレーティングカプラ6Bから出射される。
【選択図】 図1
【解決手段】 この光デバイス1は、基板2上に設けられた複数の台座3によって圧電性光導波路4を空中に保持したものであり、圧電性光導波路4の表裏面に設けたIDT5A,5Cによって表面弾性波を発生させ、光入力グレーティングカプラ6Aからレーザ光を圧電性光導波路4に導入すると、レーザ光は表面弾性波によって偏向され、光出力グレーティングカプラ6Bから出射される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光偏向器、光波長フィルタ、光分波器、光合波器、光変換器、光スイッチ等の光デバイスおよびその製造方法に関し、特に、圧電性光導波路を伝搬する光を表面弾性波によって制御する光デバイスおよびその製造方法に関する。
従来より、光導波路を伝搬する光と表面弾性波との相互作用を利用した光デバイスが多く提案されている(例えば、特許文献1、2参照)
特許文献1に記載された光デバイスは、光偏向デバイスであり、抵抗率が20Ωcm以下のSi基板と、Si基板上に形成された4000オングストローム以上のSiO2からなるバッファ層と、バッファ層上に形成された圧電性薄膜導波層としてのZnO膜と、ZnO膜上にリフトオフ法によって形成されたIDT(Inter Digital Tranducer:櫛型電極)と、ZnO膜上に設けられた光入力用プリズムおよび光出力用プリズムとを備える。IDTにより発生する表面弾性波と光入力用プリズムから入力するレーザ光(導波光)の伝搬方向が交差するようにIDTおよび光入力用プリズムが設けられている。
上記のように構成された光偏向デバイスにおいて、IDTによりZnO膜に表面弾性波を発生させ、光入力用プリズムにレーザ光(導波光)を入力すると、導波光と表面弾性波がブラッグ条件を満たす角度で交差するとき、導波光がブラッグ回折して偏向し、光出力用プリズムから出力される。Si基板として抵抗率が20Ωcm以下のものを用いることにより、表面弾性波の伝搬損失を小さくすることができる。バッファ層として4000オングストローム以上のSiO2膜を用いることにより、導波光の伝搬損失を小さくすることができる。
特許文献2に記載された光デバイスは、光波長フィルタであり、基板上に形成されたZnO圧電膜と、ZnO圧電膜上に設けられたIDTと、ZnO圧電膜の下にIDTにより発生する表面弾性波の伝搬方向と一致するように形成されたレーザ光が伝搬する第1の光導波路と、この光導波路に平行に形成され、帯域通過フィルタを構成する第2の光導波路とを備える。
上記のように構成された光波長フィルタにおいて、IDTにより表面弾性波を発生させると、光の伝搬方向に屈折率が周期的に変化する屈折率格子が形成される。表面弾性波の周波数を制御することにより、帯域通過フィルタを通過波長を1530〜1560nmの範囲で変化させることができる。
しかし、従来の光偏向デバイスでは、ZnO膜を最適化された膜厚のバッファ層を介して基板上に設けているが、ZnO膜を伝搬する表面弾性波が基板に伝搬するのを十分に防ぐことができないため、電気機械結合係数の大きな改善が望めない。また、製造方法において、バッファ層が金属エッチング溶液に可溶なため、IDTをリフトオフにより形成する必要があるが、電極形状が不均一となり、弾性表面波特性を悪化させている。
従来の波長フィルタでは、光導波路が基板上に積層して設けられているため、表面弾性波から与えられる空間的(屈折率変化)な周期構造は光導波路の厚さ方向に対して屈折率分布が不均一になり、フィルタとしての性能を低下させている。
従って、本発明の目的は、電気機械結合係数を向上させた光デバイスおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、基板と、前記基板上に設けられた保持部材と、前記保持部材によって空中に保持された圧電性光導波路とを備えたことを特徴とする光デバイスを提供する。
上記光デバイスによれば、圧電性光導波路が基板との表面弾性波相互作用の影響を受けないようになり、電気機械結合係数が向上する。
圧電性光導波路の材料として、ZnO、LiNbO3、LiTaO3、PZT、PLZT等を用いることができる。
圧電性光導波路は、その表面に電気信号を変換して表面弾性波を発生させるトランスデューサを備えた構成としてもよい。圧電性光導波路の表面に表面弾性波を発生させることにより、屈折率が周期的に変化する周期構造が形成される。
トランスデューサは、圧電性光導波路の基板に対向する面に設けられた櫛型電極でも、圧電性光導波路の基板と反対側の面に設けられた櫛型電極でもよい。さらに、圧電性光導波路の基板に対向する面、および基板と反対側の面にそれぞれ設けられた櫛型電極でもよい。櫛型電極の櫛歯の形状やピッチは、発生させる表面弾性波に応じて任意に選択することができる。櫛歯のピッチは、表面弾性波の半波長に一致させるのが効率的に表面弾性波を発生させる点で好ましい。
圧電性光導波路の基板に対向する面に設けられた櫛型電極は、保持部材を兼ねる構成としてもよい。この構成により、部品点数を減らすことができる。
圧電性光導波路は、光を入力する光入力カプラと、光入力カプラから入力して圧電性光導波路を伝搬する光を出力する光出力カプラとを備えたものでもよい。
トランスデューサは、光入力カプラから入力した光を表面弾性波によって偏向して光出力カプラから出力させる光偏向機能を有するものでもよい。このような光偏向器において、光の偏向角度は表面弾性波の周波数にほぼ比例する。
光入力カプラおよび光出力カプラとして、グレーティングカプラ、プリズムカプラ等を用いることができる。グレーティングカプラやプリズムカプラは、端面研磨が不要となるという利点がある。また、グレーティングカプラは、圧電性光導波路に接合する場合に好適である。
本発明は、上記目的を達成するため、第1のドナー基板上に薄膜からなる保持部材、および薄膜からなる櫛型電極を形成する第1の工程と、第2のドナー基板上に薄膜からなる圧電性光導波路を形成する第2の工程と、ターゲット基板と前記第1および第2のドナー基板とを接離させることにより、前記保持部材、前記櫛型電極および前記圧電性光導波路を前記ターゲット基板に転写し、前記ターゲット基板上に前記保持部材を介して前記圧電性光導波路を接合し、前記圧電性光導波路の表面あるいは裏面に前記櫛型電極を接合する第3の工程とを含むことを特徴とする光デバイスの製造方法を提供する。
上記光デバイスの製造方法によれば、圧電性光導波路が保持部材によって空中に保持された光デバイスを製造することができる。従って、圧電性光導波路が基板との表面弾性波相互作用の影響を受けないようになり、電気機械結合係数が向上する。また、櫛型電極は、例えば、ドナー基板上に形成した薄膜をパターニングして形成され、その薄膜からなる櫛型電極をターゲット基板上に転写することにより圧電性光導波路に接合することができるので、形状精度の高い櫛型電極が得られる。
上記第1の工程が形成する櫛型電極は、圧電性光導波路の表面に接合される第1の櫛型電極と、圧電性光導波路の裏面に接合される第2の櫛型電極であり、上記第3の工程で、第1の櫛型電極は、圧電性光導波路の表面に接合され、第2の櫛型電極は、圧電性光導波路の裏面に接合される構成としてもよい。
上記第1の工程は、第1のドナー基板上に、薄膜からなる光入力グレーティングカプラ、および薄膜からなる光出力グレーティングカプラを形成する工程を含み、上記第3の工程は、圧電性光導波路の表面に、光入力グレーティングカプラおよび光出力グレーティングカプラとを接合する工程を含む構成としてもよい。カプラにグレーディングカプラを用いることにより、接合が容易となり、薄型化が図れる。
保持部材および櫛型電極、さらに光入力グレーティングカプラおよび光出力グレーティングカプラは、同一の薄膜材料から形成するのが好ましい。これにより、同一の第1のドナー基板上にこれらの部材を形成することができ、生産性が高くなる。
第3の工程は、常温接合によって行うのが好ましい。「常温接合」とは、室温で原子同士を直接接合することをいう。常温接合によれば、常温接合される薄膜の形状や厚みの変化が少なく、高精度な光デバイスが得られる。薄膜を接合する前に、その表面に中性原子ビーム、イオンビーム等を照射して表面を清浄化するのが好ましい。清浄化により表面が活性化して強固な接合が得られる。
本発明によれば、圧電性光導波路が空中に保持されるので、電気機械結合係数を向上させることができる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光デバイスを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。この光デバイス1は、光偏向器に適用したものであり、基板2と、基板2上に設けられた複数の台座3と、複数の台座3によって空中に保持されたZnOからなる圧電性光導波路4と、圧電性光導波路4の表面に設けられた表面側入力IDT(Inter Digital Tranducer:櫛型電極)5Aおよび表面側出力IDT5Bと、圧電性光導波路4の裏面に設けられた裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dと、圧電性光導波路4の表面に設けられた光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bとを備える。また、光デバイ1は、圧電性光導波路4、IDT5A〜5D、およびカプラ6A,6Bは、基板2上に常温接合によって積層されている。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光デバイスを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。この光デバイス1は、光偏向器に適用したものであり、基板2と、基板2上に設けられた複数の台座3と、複数の台座3によって空中に保持されたZnOからなる圧電性光導波路4と、圧電性光導波路4の表面に設けられた表面側入力IDT(Inter Digital Tranducer:櫛型電極)5Aおよび表面側出力IDT5Bと、圧電性光導波路4の裏面に設けられた裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dと、圧電性光導波路4の表面に設けられた光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bとを備える。また、光デバイ1は、圧電性光導波路4、IDT5A〜5D、およびカプラ6A,6Bは、基板2上に常温接合によって積層されている。
また、この光デバイス1は、表面側入力IDT5Aおよび表面側出力IDT5Bに高周波の交流電圧を印加する表面用電源7Aおよび裏面用電源7Bと、裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dからの出力信号を入力して表面用電源7Aおよび裏面用電源7Bを制御する制御回路8とを備えている。
IDT5A〜5Dは、それぞれ相互に噛み合った一対の櫛型電極部50a,50bからなる。また、IDT5A〜5Dは、発生する表面弾性波と光入力グレーティングカプラ6Aから入力され、圧電性光導波路4を伝搬する光が交差するよう配置されている。さらに、表面側入力IDT5Aおよび裏面側入力IDT5Cは、表面側入力IDT5Aの内側の電極歯と裏面側入力IDT5Cの外側の電極歯が一致するように配置されている。
(第1の実施の形態の製造方法)
次に、第1の実施の形態の製造方法を図2〜図4を参照して説明する。図2は、第1のドナー基板の製造工程を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のC部拡大図、(c)は(b)のE−E線断面図、(d)は(a)のD部拡大図、(e)は(d)のF−F断面図である。図3は、第2のドナー基板の製造工程を示し、(a)は平面図、(b)は一つのセルの拡大図、(c)は(b)の断面図である。図4(a)〜(i)は、光デバイスの製造工程図である。
次に、第1の実施の形態の製造方法を図2〜図4を参照して説明する。図2は、第1のドナー基板の製造工程を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のC部拡大図、(c)は(b)のE−E線断面図、(d)は(a)のD部拡大図、(e)は(d)のF−F断面図である。図3は、第2のドナー基板の製造工程を示し、(a)は平面図、(b)は一つのセルの拡大図、(c)は(b)の断面図である。図4(a)〜(i)は、光デバイスの製造工程図である。
(1)第1のドナー基板の作製
第1のドナー基板100Aの作製について図2(a)〜(e)を参照して説明する。まず、Siウェハからなる基板101Aを準備し、この基板101A上にポリイミドからなる離型層102Aをスピンコーティング法により着膜し、この離型層102Aの表面に、4つの台座3、裏面側入力IDT5C、裏面側出力IDT5D、表面側入力IDT5A、表面側出力IDT5B、光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bの構成材料となるAl薄膜をスパッタ法により着膜する。
第1のドナー基板100Aの作製について図2(a)〜(e)を参照して説明する。まず、Siウェハからなる基板101Aを準備し、この基板101A上にポリイミドからなる離型層102Aをスピンコーティング法により着膜し、この離型層102Aの表面に、4つの台座3、裏面側入力IDT5C、裏面側出力IDT5D、表面側入力IDT5A、表面側出力IDT5B、光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bの構成材料となるAl薄膜をスパッタ法により着膜する。
上記離型層102Aは、Al薄膜と基板101Aとの密着力を適正に保つ役割を有しており、そのような役割を果たすための材料として、上記ポリイミドの他に、フッ化ポリイミド、酸化シリコン等の公知の材料を用いることができ、また、基板101Aの熱酸化処理を行って形成される熱酸化膜を用いてもよい。離型層102Aの着膜は、スピンコーティング法の他に、スパッタ法、分子線ビームエピタキシャル法、化学気相堆積法、真空蒸着法等を用いることができる。
上記Al薄膜の着膜は、上記スパッタ法の他に、スピンコーティング法、分子線ビームエピタキシャル法、化学気相堆積法、真空蒸着法等を用いることができる。
次に、Al薄膜からフォトリソグラフィー法によりパターニングして、図2(a)のCで示す複数の第1のセル110aに、それぞれ台座3、裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dを形成し、図2(a)のDで示す複数の第2のセル110bに、それぞれ薄膜パターンとしての表面側入力IDT5A、表面側出力IDT5B、光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bを形成する。このようにして第1のドナー基板100Aを作製する。
(2)第2のドナー基板の作製
第2のドナー基板100Bの作製について図3(a)〜(c)を参照して説明する。まず、Siウェハからなる基板101Aを準備し、この基板101A上にフッ素化酸化シリコン(SiOF)からなる離型層102BをプラズマCVD法により着膜し、この離型層102Bの表面に、圧電性光導波路4の構成材料となるZnO薄膜をスパッタ法により着膜する。次に、ZnO薄膜の表面にCMP研磨(パッド:Surfine000、スラリー:nalco2350)を施す。
第2のドナー基板100Bの作製について図3(a)〜(c)を参照して説明する。まず、Siウェハからなる基板101Aを準備し、この基板101A上にフッ素化酸化シリコン(SiOF)からなる離型層102BをプラズマCVD法により着膜し、この離型層102Bの表面に、圧電性光導波路4の構成材料となるZnO薄膜をスパッタ法により着膜する。次に、ZnO薄膜の表面にCMP研磨(パッド:Surfine000、スラリー:nalco2350)を施す。
次に、Al薄膜からフォトリソグラフィー法によりパターニングして、複数の第3のセル110cにそれぞれ薄膜パターンとしての矩形状の圧電性光導波路4を形成する。このとき、水酸化カリウム水溶液(10mM)中に浸漬(1min)してエッチングを行う。このようにして第2のドナー基板100Bを作製する。
(3)薄膜パターンの積層
図2に示す第1のドナー基板100A、および図3に示す第2のドナー基板100B上にそれぞれ形成された薄膜パターンの積層について、図4(a)〜(i)を参照して説明する。まず、図4(a)に示すように、第1のドナー基板100Aを真空槽内の図示しない下部ステージ上に配置し、ターゲット基板としての基板2を真空層内の図示しない上部ステージ上に配置する。このとき、第2のドナー基板100Bも真空槽内の図示しない下部ステージ上に配置する。続いて、真空槽内を排気して高真空状態あるいは超高真空状態にする。下部ステージおよび上部ステージを相対的に移動させて基板2を第1のドナー基板100Aの第1のセル110A上に位置させる。次に、基板2の表面、および第1のセル110aの表面にアルゴン原子ビームを照射して清浄化する。
図2に示す第1のドナー基板100A、および図3に示す第2のドナー基板100B上にそれぞれ形成された薄膜パターンの積層について、図4(a)〜(i)を参照して説明する。まず、図4(a)に示すように、第1のドナー基板100Aを真空槽内の図示しない下部ステージ上に配置し、ターゲット基板としての基板2を真空層内の図示しない上部ステージ上に配置する。このとき、第2のドナー基板100Bも真空槽内の図示しない下部ステージ上に配置する。続いて、真空槽内を排気して高真空状態あるいは超高真空状態にする。下部ステージおよび上部ステージを相対的に移動させて基板2を第1のドナー基板100Aの第1のセル110A上に位置させる。次に、基板2の表面、および第1のセル110aの表面にアルゴン原子ビームを照射して清浄化する。
次に、図4(b)に示すように、上部ステージを下降させ、所定の荷重力(例えば、10kgf/cm2)で基板2と第1のドナー基板100Aとを所定の時間(例えば、5分間)押圧し、基板2と、台座3、裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dとを常温接合する。
次に、図4(c)に示すように、上部ステージを上昇させると、台座3、裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dが離型層102Aから剥離し、基板2側に転写される。これは、台座3、裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dと基板2との密着力が台座3、裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dと離型層102Aとの密着力よりも大きいからである。
次に、図4(d)に示すように、下部ステージおよび上部ステージを相対的に移動させ、基板2を第2のドナー基板100B上の圧電性光導波路4上に位置させる。基板2側に転写された台座3、裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dの表面(離型層102Aに接触していた面)、および圧電性光導波路4の表面を前述したように清浄化する。
次に、図4(e)に示すように、上部ステージを下降させ、台座3、裏面側入力IDT5Cおよび裏面側出力IDT5Dと圧電性光導波路4とを接合させ、図4(f)に示すように、上部ステージを上昇させると、圧電性光導波路4が離型層102Bから剥離し、基板2側に転写される。
次に、下部ステージおよび上部ステージを相対的に移動させ、基板2を第2のセル110b上に位置させる。基板2側に転写された圧電性光導波路4の表面(離型層102Bに接触していた面)、および第2のセル110bの表面を前述したように清浄化する。
次に、図4(h)に示すように、上部ステージを下降させ、表面側入力IDT5A、表面側出力IDT5B、光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bと圧電性光導波路4とを接合させ、図4(i)に示すように、上部ステージを上昇させると、表面側入力IDT5A、表面側出力IDT5B、光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bが離型層102Aから剥離し、基板2側に転写される。
表面側入力IDT5A、表面側出力IDT5B、光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bが転写された基板2を上部ステージから取り外すと、図1に示した光デバイス1が得られる。
(第1の実施の形態の動作)
以上のように構成された光デバイス1において、表面用電極7Aおよび裏面用電極7Bから表面側入力IDT5Aおよび裏面用入力IDT5Cに所定の周波数の交流電圧を印加すると、表面側入力IDT5Aおよび裏面用入力IDT5Cは、圧電性光導波路4の表面および裏面に表面弾性波(SAW)10A,10Bを発生させる。SAW10A,10Bは、表面側出力IDT5Bおよび裏面用出力IDT5Dに向かって伝搬する。SAW10A,10Bにより圧電性光導波路4の表面および裏面には屈折率が周期的に変化する周期構造が形成される。
以上のように構成された光デバイス1において、表面用電極7Aおよび裏面用電極7Bから表面側入力IDT5Aおよび裏面用入力IDT5Cに所定の周波数の交流電圧を印加すると、表面側入力IDT5Aおよび裏面用入力IDT5Cは、圧電性光導波路4の表面および裏面に表面弾性波(SAW)10A,10Bを発生させる。SAW10A,10Bは、表面側出力IDT5Bおよび裏面用出力IDT5Dに向かって伝搬する。SAW10A,10Bにより圧電性光導波路4の表面および裏面には屈折率が周期的に変化する周期構造が形成される。
SAW10A,10Bが圧電性光導波路4の表面および裏面を伝搬している状態で、光入力グレーティングカプラ6Aからレーザ光からなる入射光9Aを入力すると、その入射9Aは、光入力グレーティングカプラ6Aで回折して圧電性光導波路4を光出力グレーティングカプラ6Bに向かって伝搬するが、SAW10A,10Bによって形成された周期構造によって伝搬光は偏向し、光出力グレーティングカプラ6Bから出射光9Bが出力される。
(第1の実施の形態の効果)
この第1の実施の形態によれば、圧電性光導波路4が空中に保持されているので、基板2からの表面弾性波相互作用の影響を受けないので、電気機械結合係数を向上させ、そのことで回折効率を飛躍的に高めることができる。また、圧電性光導波路4の表面および裏面にIDT5A〜5Dを配置したので、電気機械結合係数を改善でき、表面弾性波による急峻な空間的周期構造を形成することができる。
この第1の実施の形態によれば、圧電性光導波路4が空中に保持されているので、基板2からの表面弾性波相互作用の影響を受けないので、電気機械結合係数を向上させ、そのことで回折効率を飛躍的に高めることができる。また、圧電性光導波路4の表面および裏面にIDT5A〜5Dを配置したので、電気機械結合係数を改善でき、表面弾性波による急峻な空間的周期構造を形成することができる。
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る光デバイスを示す。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態において、IDT5A〜5Dを光入力グレーティングカプラ6A側と光出力グレーティングカプラ6B側の2組設けたものであり、他は第1の実施の形態と同様に構成されている。この第2の実施の形態によれば、回折効率をより向上させることができる。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る光デバイスを示す。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態において、IDT5A〜5Dを光入力グレーティングカプラ6A側と光出力グレーティングカプラ6B側の2組設けたものであり、他は第1の実施の形態と同様に構成されている。この第2の実施の形態によれば、回折効率をより向上させることができる。
次に、本発明の実施例1に係る光デバイスを説明する。
この実施例1の圧電性光導波路4は、ZnO膜からなり、厚さ1.75μm、1.2×3mm角を用いた。IDT5A〜5Dは、Al膜からなり、厚さ0.5μm、電極歯間隔1.25μm、電極歯幅900μmのサイズを有し、20対の電極歯を備える。光入力グレーティングカプラ6Aおよび光出力グレーティングカプラ6Bは、Al膜からなる厚さ0.5μmを用いる。
このように構成された実施例1の光入力グレーディングカプラ6Aに波長633nmの光(光源:He−Neレーザー)を入射すると、光出力グレーディングカプラ6Bから出射光が観測された。このときの減衰は2dBであった。さらに、光を入射した状態で裏面側入力IDT5Cの一対の櫛型電極部50a,50b間に裏面用電源7Bから周波数130MHzの交流電圧(電気信号)を印加したとき、無印加時の出射光に対して偏向角3.5°で回折した光が光出力グレーディングカプラ6Bから出射された。このときの回折効率は、55%であった。
さらに、図6で示すように、表面側入力IDT5Aに表面用電源7Aから周波数130MHzの電気信号を印加するとともに、裏面側入力IDT5Cに表面側入力IDT5Aに印加した電気信号に対して180°位相のずれた周波数130MHzの交流電圧を印加した。無印加時の出射光に対して偏向角3.5°で回折した光が光出力グレーディングカプラ6Bから出射された。回折効率は99%と向上した。
なお、本発明は、上記各実施の形態および上記実施例に限定されず、その発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々な変形が可能である。例えば、上記各実施の形態および上記実施例では、光偏向器について説明したが、本発明は、光波長フィルタ、光分波器、光合波器、光変換器、光スイッチ等の他の光デバイスにも同様に適用可能である。
1 光デバイス
2 基板
3 台座
4 圧電性光導波路
5A 表面側入力IDT
5B 表面側出力IDT
5C 裏面側入力IDT
5D 裏面側出力IDT
6A 光入力グレーティングカプラ
6B 光出力グレーティングカプラ
7A 表面用電源
7B 裏面用電源
8 制御回路
9A 入射光
9B 出射光
10A,10B SAW
50a,50b 櫛型電極部
100A,100B ドナー基板
101A 基板
102A,102B 離型層
110a〜110c セル
2 基板
3 台座
4 圧電性光導波路
5A 表面側入力IDT
5B 表面側出力IDT
5C 裏面側入力IDT
5D 裏面側出力IDT
6A 光入力グレーティングカプラ
6B 光出力グレーティングカプラ
7A 表面用電源
7B 裏面用電源
8 制御回路
9A 入射光
9B 出射光
10A,10B SAW
50a,50b 櫛型電極部
100A,100B ドナー基板
101A 基板
102A,102B 離型層
110a〜110c セル
Claims (15)
- 基板と、
前記基板上に設けられた保持部材と、
前記保持部材によって空中に保持された圧電性光導波路とを備えたことを特徴とする光デバイス。 - 前記圧電性光導波路は、その表面に電気信号を変換して表面弾性波を発生させるトランスデューサを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
- 前記トランスデューサは、前記圧電性光導波路の前記基板に対向する面に設けられた櫛型電極であることを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
- 前記トランスデューサは、前記圧電性光導波路の前記基板と反対側の面に設けられた櫛型電極であることを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
- 前記トランスデューサは、前記圧電性光導波路の前記基板に対向する面、および前記基板と反対側の面にそれぞれ設けられた櫛型電極であることを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
- 前記圧電性光導波路の前記基板に対向する面に設けられた前記櫛型電極は、前記保持部材を兼ねることを特徴とする請求項3又は5に記載の光デバイス。
- 前記圧電性光導波路は、光を入力する光入力カプラと、前記光入力カプラから入力して前記圧電性光導波路を伝搬する光を出力する光出力カプラとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
- 前記トランスデューサは、前記光入力カプラから入力した光を前記表面弾性波によって偏向して前記光出力カプラから出力させる光偏向機能を有することを特徴とする請求項7に記載の光デバイス。
- 前記光入力カプラおよび前記光出力カプラは、グレーティングカプラであることを特徴とする請求項7に記載の光デバイス。
- 第1のドナー基板上に薄膜からなる保持部材、および薄膜からなる櫛型電極を形成する第1の工程と、
第2のドナー基板上に薄膜からなる圧電性光導波路を形成する第2の工程と、
ターゲット基板と前記第1および第2のドナー基板とを接離させることにより、前記保持部材、前記櫛型電極および前記圧電性光導波路を前記ターゲット基板に転写し、前記ターゲット基板上に前記保持部材を介して前記圧電性光導波路を接合し、前記圧電性光導波路の表面あるいは裏面に前記櫛型電極を接合する第3の工程とを含むことを特徴とする光デバイスの製造方法。 - 前記第1の工程が形成する前記櫛型電極は、前記圧電性光導波路の表面に接合される第1の櫛型電極と、前記圧電性光導波路の裏面に接合される第2の櫛型電極であり、
前記第3の工程で、前記第1の櫛型電極は、前記圧電性光導波路の表面に接合され、前記第2の櫛型電極は、前記圧電性光導波路の裏面に接合されることを特徴とする請求項10に記載の光デバイスの製造方法。 - 前記第1の工程は、前記第1のドナー基板上に、薄膜からなる光入力グレーティングカプラ、および薄膜からなる光出力グレーティングカプラを形成する工程を含み、
前記第3の工程は、前記圧電性光導波路の表面に、前記光入力グレーティングカプラおよび前記光出力グレーティングカプラとを接合する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の光デバイスの製造方法。 - 前記保持部材および前記櫛型電極は、同一の薄膜材料から形成されたことを特徴とする請求項10に記載の光デバイスの製造方法。
- 前記保持部材、前記櫛型電極、前記光入力グレーティングカプラおよび前記光出力グレーティングカプラは、同一の薄膜材料から形成されたことを特徴とする請求項12に記載の光デバイスの製造方法。
- 前記第3の工程は、常温接合によって行うことを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の光デバイスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005173688A JP2006349822A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 光デバイスおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005173688A JP2006349822A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 光デバイスおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006349822A true JP2006349822A (ja) | 2006-12-28 |
Family
ID=37645783
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005173688A Pending JP2006349822A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 光デバイスおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006349822A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114963122A (zh) * | 2022-06-13 | 2022-08-30 | 大茂伟瑞柯车灯有限公司 | 一种耐磨抗冲击车灯外灯罩及其制备的车灯 |
-
2005
- 2005-06-14 JP JP2005173688A patent/JP2006349822A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114963122A (zh) * | 2022-06-13 | 2022-08-30 | 大茂伟瑞柯车灯有限公司 | 一种耐磨抗冲击车灯外灯罩及其制备的车灯 |
CN114963122B (zh) * | 2022-06-13 | 2023-09-08 | 大茂伟瑞柯车灯有限公司 | 一种耐磨抗冲击车灯外灯罩及其制备的车灯 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6427712B2 (ja) | 接合方法 | |
JP6427713B2 (ja) | 接合方法 | |
JP6642499B2 (ja) | 弾性波装置 | |
KR101913933B1 (ko) | 탄성파 디바이스 | |
KR20200131188A (ko) | 탄성파 장치, 고주파 프론트 엔드 회로 및 통신 장치 | |
KR102218934B1 (ko) | 접합체 | |
JP2010268429A (ja) | 弾性境界波装置 | |
JP6644208B1 (ja) | 接合体および弾性波素子 | |
JP2006349822A (ja) | 光デバイスおよびその製造方法 | |
JPWO2021014669A1 (ja) | 接合体および弾性波素子 | |
JP7331208B2 (ja) | 電気光学素子のための複合基板とその製造方法 | |
KR102670208B1 (ko) | 접합체 및 탄성파 소자 | |
CN220342293U (zh) | 一种声表面波滤波器结构 | |
JP7361746B2 (ja) | フォトニック結晶素子用複合基板 | |
TWI733368B (zh) | 接合體及彈性波元件 | |
JP2000049559A (ja) | 弾性表面波装置 | |
JPS6344209B2 (ja) | ||
JPWO2018203430A1 (ja) | 弾性波素子およびその製造方法 | |
JP2016212139A (ja) | 光増幅装置 | |
KR20020084332A (ko) | 다이아몬드 박막을 이용한 표면 탄성파 필터의 제조 방법 | |
JP2011176544A (ja) | 弾性境界波フィルタ装置 | |
JPH059775B2 (ja) |