JP2006349751A - 電気化学型表示素子および表示装置 - Google Patents

電気化学型表示素子および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 加工性、製造性、コスト面で優れ、電解液組成に透明電極側の消発色反応と対となる対向電極での反応を考慮する必要がなく、駆動電圧が低く、繰り返し駆動特性に優れ、且つメモリー性を有する電気化学型表示素子の提供。
【解決手段】 負電極が電解液中の金属イオンに電子を付与することにより、金属イオンが還元されて金属が透明電極表面に析出することにより金属による色を発色し、電極の極性が反転して、負電極が正電極となり、電極上に析出した金属から電子を奪うことにより、金属が金属イオンに酸化されて電解液に溶解することにより金属による色が消色する電気化学型表示素子であって、(1)該表示素子中の電解液が消発色金属イオンとしてビスマスイオンを有し、(2)該表示素子の視面と反対側の電極である対向電極が銅である、ことを特徴とする電気化学型表示素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学型表示素子および表示装置に関する。
反射光を利用する視認性が高い表示素子として、電圧印加により、固体や液体に生じる可逆的な色相の変化を利用する電気化学型表示素子が知られている。本素子では表示方式によっては発色表示の際の色相がクリアで視野角依存性もない優れた表示を行うことが可能である。電気化学型表示素子の中でも、金属イオンを透明電極上で還元析出させることにより発色を行い、析出した金属を金属イオンに酸化溶解させることで消色を行うエレクトロクロミック型の表示素子は、他の消発色材料では困難とされている色相が良好な黒を発色することができるため、広く研究が行われている。
これらの表示素子では電気化学反応により消発色を行っているため、視面側の透明電極での消発色反応を円滑に行うためには、該反応と対となる反応が生じる場である対向電極の選定も重要である。対向電極として用いられる材料としては、電気伝導性が高く電気化学反応に対して安定で耐久性が高いパラジウム等の貴金属類(例えば特許文献1)や、電気伝導性が比較的高いわりには安価な炭素材料(例えば非特許文献1)や、液晶を用いた素子と同様に透明電極が挙げられる。これらの構成の表示素子では、対向電極自体は電気化学的に不活性であるため、透明電極側の消発色反応と対となる対向電極での反応を設計することが不可欠となる。このとき、対向電極での反応の速度や、消発色用金属イオンの酸化還元電位との関係によっては表示の消発色応答速度が遅くなったり駆動電圧が高くなったりする恐れがある。
これらの他に、消発色剤として用いる金属イオンと同種の金属を対向電極として用いる技術が知られている。例えば、特許文献2中の実施例2では銀イオンを消発色剤として用いた場合には銀メッキを対向電極に、同特許文献中の実施例1ではビスマスイオンを消発色剤として用いた場合にはビスマスメッキを対向電極に用いている。また、特許文献3中の実施例でも、同様な例が示されている。これらの技術では、透明電極側の発色(金属イオンの析出)反応の対となる対向電極での反応に、対向電極を構成している金属の溶解反応を用いていることが特徴である。同一系内の同一金属の溶解、析出は同じ酸化還元電位で生じるので、これらの反応を生じさせるためには過電圧のみが必要であるため駆動電圧と消費電力を低くできる利点を有している。また、対向電極で生じさせる反応を新たに考慮する必要もないことも特徴である。
また、上記特徴に加えて、消発色金属イオンが透明電極側に析出した状態(つまり黒発色状態)では、透明電極側に析出した金属と、同一金属とからなる対向電極との間に電位差が無い状態となる。そのため、析出金属の自発的な溶解がほとんど生じなくなり、これにより表示のメモリー性(電気エネルギー無しに表示が保持される特性)が発現することも利点の一つである。
一般にエレクトロデポジション型の表示素子での消発色金属種としては、黒発色が良好であるという観点から、銀とビスマスが主として研究されている。中でもビスマスは黒発色を銀に比べて濃くできる上、化合物の価格が銀に比べて安価である特徴を持つ有望な消発色剤である。しかし、該表示素子の対向電極にビスマスを用いようとした場合、ビスマスは周期律表の位置からも明確な通り半金属的な性質が強いため一般の金属と比べて、1.展性がない上に脆く、2.比抵抗が非常に高い、特徴を持っていることにより、表示素子の対向電極として用いるためには下記のような問題がある。
第一にビスマスは薄板や箔の形状にすることができない。そのため、ビスマス薄板等を直接対向極として用いることができない。これを解決するためには対向電極としてビスマスメッキを必然的に用いることとなる。該メッキ層は表示面の透明電極上の析出反応に対応して溶解するため、安定した駆動を保つためには均一且つミクロンオーダー以上の厚さの層が必要である。しかし、ビスマスは比抵抗が一般金属よりも非常に高いため、均一な厚さのメッキ層を厚く設置することがビスマス層自身の高い電気抵抗に起因して技術的に困難な点が多い。加えて、純粋なビスマスのメッキは商業的にはほとんど行われていないため量産技術が確立されておらず高コスト要因となる。
第二にビスマスは前述の通り比抵抗が一般の金属に比して高いため、単純に電極としての特性に劣ることが挙げられる。例えば常温下での銅の比抵抗は1.67×10−6Ω・cmであるのに対し、ビスマスでは107×10−6Ω・cmと二桁高い。このことはビスマスを対向電極として用いた素子の内部抵抗が高くなってしまうことを意味し、電気化学型表示媒体としては消費電力の観点から不利となることを示している。特にパッシブマトリクス駆動の素子で想定されるように電極ラインが細く長い場合には比抵抗が大きい材質を用いると電圧降下による悪影響が大きくなる問題が生じる。
特開2002-258327号公報 特開2003-149687号公報 特開2005-031649号公報 Solar Energy Materials & Solar Cells 56(1999)477-493
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、電気化学型表示素子の内、特に黒発色に優れるビスマスを使用した表示素子において、対向電極として加工性、製造性、コスト面に問題がありかつ電気抵抗が高いビスマスを用いることなく、ビスマスを用いた際の利点である、電解液組成に透明電極側の消発色反応と対となる対向電極での反応を考慮する必要がなく、駆動電圧が低い等の駆動特性に優れ且つ、表示のメモリー性を有する表示素子及び、該表示素子から構成された表示装置を提供することを目的とする。
発明者らは、エレクトロクロミック型の電気化学型表示素子であって、該表示素子中の電解液が消発色金属イオンとしてビスマスイオンを有し、該表示素子の視面の反対側の電極である対向電極が銅である表示素子が、銅とビスマスとの標準電極電位(E0)の値が極めて近いために電気化学的な性質が近いことにより、ビスマスを対向電極として用いた際の利点を維持しつつ、素子の電気抵抗を低くすることで各種駆動特性に優れる上に、製造性かつコスト面でも優れた表示素子を提供できることを見出した。
すなわち本発明は、負電極が電解液中の金属イオンに電子を付与することにより、金属イオンが還元されて金属が透明電極表面に析出することにより金属による色を発色し、電極の極性が反転して、負電極が正電極となり、電極上に析出した金属から電子を奪うことにより、金属が金属イオンに酸化されて電解液に溶解することにより金属による色が消色する電気化学型表示素子であって、
(1)該表示素子中の電解液が消発色金属イオンとしてビスマスイオンを有し、
(2)該表示素子の視面と反対側の電極(対向電極)が銅である、
電気化学型表示素子を提供する。また、本発明は、前記の電気化学型表示素子から構成される電気化学型表示装置を提供する。
本発明の表示素子は、加工性が高いために薄膜化が容易である。更に銅は比抵抗が低いため、ビスマスイオンを消発色金属として用いる表示素子の対向電極として銅を用いることで、各種駆動特性(低駆動電圧、高応答速度、繰り返し安定性)やメモリー性に優れ、製造性かつコスト面でも優れた表示素子を提供できる。
以下、本発明の電気化学型表示素子及び、表示装置について詳細に説明する
本発明の表示素子は、少なくともビスマスイオンを有する電解液、透明電極、対向電極としての銅電極、電解液の漏洩を防止するための封止剤とから構成される。また電解液を保持し、素子に白色等の色を与えるための媒体(以下、表示媒体と称する場合あり)を有していても良い。本発明の電気化学型表示素子の一実施形態を示す概略断面図を図1に示した。図1では電気化学型表示素子は、透明基板1と、その上に設けられた透明電極3と、透明電極3の上に設けられた表示媒体5と、対向基板2と、その上に設けられた対向電極4と、封止材7とから概略構成されている。
(対向電極)
本発明は対向電極として銅電極を用いていることを特徴としている。銅は前述の通り、薄膜状に加工しやすい上、比抵抗も小さい(つまり電気伝導度が高い)ため、そもそも電極として優れている。加えて銅の(式1)に示された反応での標準電極電位(E0)は0.337Vとビスマスの(式2)に示された反応での標準電極電位(E0)0.317Vと極めて近いため、電気化学的には類似の性質を有している。
Figure 2006349751
そのため、ビスマスイオンが析出溶解する電気化学型表示素子では、対向電極がビスマス電極である場合とほぼ同一の電気化学反応を示す。従って、ビスマスを対向電極として利用した際の駆動特性に対する各種利点に加え、銅が有している加工性、高電気伝導性も利用できる利点もある。加えて、黒発色状態では透明電極側に析出したビスマスと、対向電極である銅電極との間の電位差は対向極にビスマスを用いた場合と同様ほとんど無い状態となり、ビスマスの自発的な溶解生じにくくなる。そのため表示のメモリー性も発現する。
例えばビスマスを消発色金属として用いた場合、鉄、アルミニウム、亜鉛、すず、ニッケル等のビスマスや銅よりも電気化学的に卑である金属を対向電極として用いると、表示素子内で自発的にビスマスが析出し、代わりに前述の卑金属が溶解してする反応が生じ易く電気的に制御できなくなる恐れがある。特に酸性の水系電解液を用いた場合では、電極反応として卑金属電極が溶解して水素が発生する危険な副反応が生じてしまう恐れもある。一方、銀、白金、パラジウム、金等の電気化学的に貴である金属電極を用いた場合には電極が溶解する反応が生じ得ないため、電解液中に対向電極で可逆的に反応する化学種が必要となる上、素子が高価となる。
また、銀を消発色金属として用いた場合に銅を対向電極として用いると、ビスマスを消発色金属に用いた際の卑金属電極と同様な現象が生じ駆動の制御が困難となる。更に銀に近い酸化還元電位を有する金属は毒性があり常温で液体である水銀以外には無いため、低電圧駆動を目的とする場合には対向電極として銀自身を用いるしかない。しかしながら、銀は電気抵抗は低いものの高価であるため素子価格が高くなる問題も生じる。
本発明で対向電極として用いることができる電極としては、電解液に接する部分が銅を主成分としている電極であれば特に制限は無く、タフピッチ銅、無酸素銅、無酸素りん銅等が例示される。形状としては板状の銅を電極としてそのまま用いることができる他、網状、線状、箔状の電極が図1に示した対向基板2上に設置されているものでもよい。このときの銅電極の厚さは、銅自体が溶解することが前提となっているので薄すぎると電極反応に伴い完全に溶解し断線することにより、電極としての意味を成さなくなる恐れがある。そのため好ましい厚さとしては1μm以上で、更に好ましくは10μm以上である。
本発明の表示素子では、対向電極の銅の一部が溶解反応を生じることが前提となっている。そのため、駆動に伴い銅イオンが表示素子中の電解液に溶出することとなる。銅イオンは後述の通りビスマスイオンを消発色剤とする表示素子では、発色時にビスマスと共析出することにより繰り返し特性を向上させる等のプラスの作用を持つことが明らかとなっている。このように、対向電極に駆動特性の向上に効果がある物質の供給源としての作用を持たせているのも本発明の特徴である。
本発明に用いることができる対向基板は、銅電極を貼り付けられるものであれば特に制限が無く、様々の材料が用いられる。特に好適に用いられるのは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド等のプラスチックシートやフイルムに加え、ガラス板やセラミクス板等の無機材料を挙げることができる。対向電極は視面の反対側に用いるため、光透過率が高い必要はない。これらの材料に加え、本発明では回路基板に広く用いられており極めて安価であるガラスエポキシ銅基板や、紙フェノール樹脂銅基板、コンポジット銅基板等やこれらにエッチングによりパターン化したものも好適に用いられる。また、表示素子の形態によっては、対向電極と対向基板を兼ねた形で銅板そのものを用いることも差し支えない。
(透明電極、透明基板)
本実施形態に用いられる電極としては、視面側に位置する電極3は透明である必要がある。このような電極3としては、現在最も広く用いられているITO(インジウム・スズ酸化物)の他にATO(アンチモン・スズ酸化物)、TO(酸化スズ)、ZO(酸化亜鉛)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、FTO(フッ素・スズ酸化物)等を例示することができる。また、透明電極を保持する透明基板1としては前述の対向基板中で例示したものの内、可視光の透過性が高い、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネートに加え、ガラス板等を例示することができる。
(封止材)
封止材7は、透明電極3と対向電極4間のギャップを保持すると共に、電解液を有する表示媒体5に空気中の水分、酸素や二酸化炭素が混入することを防止する役割を有する。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂といった熱や紫外線による圧着硬化が可能で、ガスバリア性を有する樹脂等が挙げられる。
(表示媒体)
本発明で用いられる表示媒体は、電解液と該電解液を保持する媒体とから構成される。本発明で提供される諸効果には、必ずしも電解液保持用の媒体を必要とせず、透明電極と銅電極との間に直接電解液を封入することによっても発現する。しかしながら、表示素子の実用面から考えると素子破損の際の電解液の漏洩防止の観点から、電解液を保持可能な材料に電解液を保持させてシート化したもの(つまり、表示媒体)を用いることが好ましい。
(電解液)
本発明の電解液は、消発色剤であるビスマスイオンと、とこれを溶解させる溶媒と支持電解質とから構成されている。
(消発色剤:ビスマス化合物)
本発明の電解液が含有する消発色剤はビスマスイオンである。そのため、ビスマスイオンを供給するために用いられる金属化合物としては、ビスマスのハロゲン化物、硫化物、硝酸塩、過ハロゲン酸塩等のビスマス化合物を用いる必要がある。ビスマスは、標準電極電位が本発明で対向電極として用いる銅に極めて近く、且つ、消発色特性が良好である特徴を有する。ビスマス化合物を溶解させた電解液を用いた場合には、電極に駆動電圧を印加すると、Bi3+ + 3e → Biの還元反応が陰極側で生じて、このBi析出物により陰極電極が黒色に変化する。本用途に用いられるビスマス化合物としては、塩化ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス等のハロゲン化ビスマスの他、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、炭酸ビスマス、水酸化ビスマス、酸化ビスマス、オキシ過塩素酸ビスマス、オキシ硫酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、オキシ酢酸ビスマス等が例示できる。これらは2種以上を併用してもよい。
(電解液中の銅化合物)
本発明では、電解液中にビスマスと銅の両方の金属イオンを併用し、共析出させても良い。2価の銅イオンの還元反応はCu2+ + 2e → Cu で表されるがビスマスと2価の銅の標準電極電位は極めて近いため、還元される際には互いに局在化することなく均一な合金を形成して析出する。ビスマスイオン単独の析出物は電気抵抗が高いため、発色が遅いことや、消色しにくくなることによる繰り返し特性が低下する可能性があるが、電気抵抗の低い銅を共析出させることでこのような問題を回避できる。電解液中のビスマスイオンに対する銅イオンの比率には特に制限は無いが、ビスマスイオン1モルに対して、2〜0.05モルであることが好ましく、特に好ましくは0.8〜0.2モルである。この範囲を超えて銅イオンが多すぎると、発色の黒色が青みががる問題があり、少なすぎると添加の効果が不十分となる問題がある。本用途に用いられる銅化合物としては塩化銅(II)、臭化銅(II)等のハロゲン化銅の他、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、酸化銅(II)、過塩素酸銅(II)等の2価の銅化合物が例示できる。これらは2種以上を併用してもよい。
(溶媒)
本発明では、電解液を構成する溶媒としては通常電気化学で溶媒として用いられる材料の内、消発色金属イオンの供給源であるビスマス化合物を溶解しうるものであれば特に制限はない。例として水の他、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、2−エトキシエタノール、2−メトキシメタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、プロピレングリコール等を例示することができる。これらは単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
(支持電解質)
また、電解液を構成する支持電解質としては通常支持電解質として用いられている材料の内、ビスマス化合物と同時に溶解させることができるものであれば特に限定されない。例示すると、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、ホウフッ化リチウム等のリチウム塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム等のナトリウム塩、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等のカリウム塩、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム塩等や硫酸、ホウフッ化水素酸、過塩素酸、塩酸等の酸類を例示することができる。
(その他の添加剤)
この他、消発色の可逆性を良くすること等を目的として、めっき用薬剤として用いられる、光沢剤、錯化剤、緩衝剤、pH調整剤等を添加してもよい。
(表示媒体用の電解液保持剤)
本発明の電解液を保持して表示媒体として用いるための材料としては、本発明の電解液中の各物質と反応せず、且つ電解液を極力イオン伝導度を低下させない状態で保持させることができるものであれば特に限定されない。水系電解液をゲル状に保持することができる材料としては、ポリビニルアルコールの他にメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体やそのアルカリ金属塩やポリアリルアミン等の水溶性樹脂を例示することができる。一方、有機系の電解液をゲル状に保持させることができる材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等を例示することができる。また、表示素子として白色度が重要である場合はこれらに酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化鉛等の白色顔料を混合させて用いることもできる。本材料を用いて表示素子を作成する場合は、例えば電解液中に前述の固体樹脂を一定量添加し、攪拌溶解する等の方法や、予め固体樹脂を電解液と同一の溶媒に溶解させた樹脂溶液を作製したのち、電解液を添加する方法等により作製した塗工液を、例えばアプリケーターやバーコーター、テーブルコーター等の枚様型塗工装置や、スピンコート、ディップコート等の手法を用いて一方の電極上に塗工したのち、もう一方の電極を設置することで作製することができる。
特に、電解液保持用の媒体として、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物の微粒子を含有する、ポリアミド、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ポリマーのパルプ状微粒子(以下、有機無機複合体と言う場合有り。)を用いた場合には、該有機ポリマーが高い白色度と紙的な質感を有している上、抄紙により媒体のシートを作製することが容易であり、更に電解液に用いられる極性溶媒を漏洩することなく多量に保持することで高いイオン伝導度を維持することができるため、特に好ましく用いられる。本材料を用いて表示媒体を作成する方法としては、あらかじめ調製した電解液中にパルプ状複合体を投入し、十分に分散させた後に濾過することで余剰な電解液を除くことや、電解液を複合体に流通させることで電解液を含浸させる方法、複合体を電解液中で分散させた後、元から含有している極性溶媒を留去する方法等が挙げられるがこれらに限定されない。
(電気化学型表示装置)
図1で示された表示素子に電源部、回路部や必要に応じてシール層、筐体等を設けることにより、表示装置とすることができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。特に断らない限り、「部」は「質量部」を表す。
(電解液の調製)
(調製例1)
溶媒として超純水17部に、消発色剤としてオキシ過塩素酸ビスマス・一水和物を0.33部と過塩素酸銅(II)・六水和物0.18部、支持電解質として過塩素酸の60質量%溶液を0.34部、過塩素酸ナトリウム・一水和物0.29部、消色促進化合物としてヒドロキノン0.21部を、室温で攪拌して溶解させ、均質透明な電解液を調製した。
(表示媒体の作製)
調整例1で作製した電解液に大日本インキ化学工業(株)製、有機無機複合体パルプ「セリルS−50」(固形分8.6質量%、有機成分ポリアミド、無機成分シリカ、シリカ含有率50質量%)を2.89部入れ、室温下で30分間攪拌することにより、複合体パルプが均一に分散したスラリーを得た。該スラリーを60mmφの桐山ロートで0.02MPaで20秒間減圧濾過することにより厚さ約700μm、固形分率約11質量%の電解液を多量に保持したウエットケーキシート状の表示媒体を得た。
(実施例1 無酸素銅板を対向電極に有する表示素子の作製)
上記方法で得られた表示媒体を1cm角の正方形に切断した。これを3cm角に切断した700μm厚のITO透明電極(株式会社イーエッチシー製、表面抵抗10Ω/□)上に設置し密着させた。引き続き該表示媒体上に対向電極に相当する3cm角の0.5mm厚の無酸素銅板を設置した後、加圧硬化装置LP−320(株式会社イーエッチシー製)を用いて、2枚の電極間を加圧することにより密着させた。次いで、ウエットケーキの周囲をエポキシ樹脂で封止後、それぞれの電極にリード線を接続することで、厚さ1.9mmの電気化学型表示素子1を作製した。得られた素子は、電解液保持用に用いた「セリルS−50」のために、極めて高い白色度及び紙的な質感を有していた。
(実施例2 紙フェノール基板付きタフピッチ銅を対向電極に有する表示素子の作製)
対向電極として厚さ1mmの紙フェノール基板に、厚さ50μmのタフピッチ銅箔が設置された材料を用いた以外は実施例1と同様な方法で、厚さ2.4mmの電気化学型表示素子2を作製した。
(比較例1 ビスマス板を対向電極に有する表示素子の作製)
対向電極として厚さ3mmのビスマス板(フルウチ化学株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様な方法で厚さ4.4mmの電気化学型表示素子3を作製した。尚、ビスマス板は非常に脆く壊れ易いため、3mm以下の厚さのものは市販されておらず入手することはできなかった。
(比較例2 ITO電極を対向電極に有する表示素子の作製)
対向電極として、視面側の基板と同一のITO電極を用いた以外は実施例1と同様な方法で厚さ2.1mmの電気化学型表示素子4を作製した。
(比較例3 銀板を対向電極に有する表示素子の作製)
対向電極として、厚さ0.5mmの銀板を用いた以外は実施例1と同様な方法で厚さ1.9mmの電気化学型表示素子5を作製した。
各実施例及び、比較例で作製した表示素子1〜5について、以下の方法に従って評価を行った。
(表示素子の評価−1、駆動電圧測定試験)
表示素子のリード線をファンクションジェネレーター付ポテンシオスタットに接続し、装置の作用極を表示素子の透明電極側に、装置の対向極と参照極を素子の対向電極側に接続した。この状態で印加速度1000mV/sで印加電圧範囲−0.5V〜+0.6Vの範囲でスイープする試験を行った。この電圧範囲で消発色が不十分な場合には、マイナス側、プラス側とも絶対値で0.05V刻みで電圧を上げていく測定を行い、マイナス側で黒が十分に発色し且つプラス側で黒が完全に消色するのに必要な電圧を測定した。
判定方法は、黒発色側は表示素子の光学濃度値(OD値)を反射濃度計マクベスRD−918により測定し、該測定値より下記式に基づいて反射率を算出し、この反射率が10%以下まで到達した点を発色電圧とした。
また、消色側は黒反射率が10%以下の状態を経由したのちプラス電圧を印加し、素子の反射率が電圧を印加する前の初期状態の値まで完全に戻った電圧を消色電圧とした。
Figure 2006349751
(表示素子の評価−2、連続駆動試験)
表示素子のリード線をファンクションジェネレーターに接続し、上記の試験により導いた発色側電圧と消色側電圧の周期1秒(還元側、酸化側各500ms.)の矩形波を印加することで、連続駆動試験を行った。その際、金属が消色しない、いわゆる黒ブツ欠陥が発生するまでの連続駆動回数を測定した。連続駆動回数の評価方法は、素子の外周末端部より1mm以上内側の部分(これを素子表示部分とする)に、目視可能な黒ブツ(大きさ約50μm)が1点でも発生した時点で劣化したと判定した。
(表示素子の評価−3、表示メモリー試験)
表示素子に−1.5V、1秒の着色電圧を印加したのち電圧印加を止め、直ちに光学濃度値(OD値)を反射濃度計マクベスRD−918により測定した。測定値より前述の方法で各表示素子の反射率を算出した。−1.5Vの着色電圧を1秒印加することにより、いずれの表示素子も反射率7%以下の十分な黒色を示した。この状態で電圧印加をせずに回路を開放し1週間放置したのち、再度同様な方法で反射率を測定し、反射率が10%以下を保っていた場合には表示メモリー性有り、反射率が10%以上であれば表示メモリー性無しと判定した。
以上の項目の評価結果について、表1に示した。
Figure 2006349751
以上、表1に示した通り、実施例1及び実施例2の対向電極として銅を用いた表示素子は消色電圧、発色電圧共に、他の対向電極を用いた表示素子中で最も低く、連続駆動回数にも優れた。また、表示メモリー性も有していた。一方、比較例1で示されたビスマス板を対向電極に有する表示素子はメモリー性を有していたものの、連続駆動回数は銅電極の素子の半分以下であった。また駆動電圧もやや高い結果となった。加えて、ビスマスを用いた対向電極板が他材料と比べて極端に厚いためコンパクトな素子とすることができなかった、また、比較例2、3に示したITOや銀を対向電極に用いた表示素子は、対向電極が溶出することにより発色を促進する機能を有していないために駆動電圧が高く、連続駆動回数も劣った。加えて1時間程度で発色が完全に消えメモリー性も全く有していなかった。
以上のように、本発明の表示素子は駆動電圧が低く、繰り返し駆動特性に優れ、且つメモリー性を有していることが明らかとなった。加えて、汎用の金属である銅を用いているため素子を安価に作製できる効果も期待できた。一方、他の材料を対向電極に用いた素子では、これらの全てを満たす表示素子を作製することができなかった。
本発明における電気化学型表示素子の模式図である。
1 透明基板
2 対向基板
3 透明電極
4 対向電極(視面と反対側の電極)
5 表示媒体
7 封止材



Claims (4)

  1. 負電極が電解液中の金属イオンに電子を付与することにより、金属イオンが還元されて金属が透明電極表面に析出することにより金属による色を発色し、電極の極性が反転して、負電極が正電極となり、電極上に析出した金属から電子を奪うことにより、金属が金属イオンに酸化されて電解液に溶解することにより金属による色が消色する電気化学型表示素子であって、
    (1)該表示素子中の電解液が消発色金属イオンとしてビスマスイオンを有し、
    (2)該表示素子の視面と反対側の電極である対向電極が銅である、
    ことを特徴とする電気化学型表示素子。
  2. 該表示素子中の電解液がビスマスイオンに加え銅イオンを有していることを特徴とする請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  3. シリカ、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物の微粒子を含有する、ポリアミド、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ポリマーの微粒子を電気化学型表示素子中の表示媒体中に有する請求項1に記載の電気化学型表示素子。
  4. 請求項1に記載の表示素子を用いた電気化学型表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010175877A (ja) * 2009-01-30 2010-08-12 Hitachi Chem Co Ltd 表示素子、それを用いた光学シャッター及び表示素子装置
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