JP2006349161A - ディスクブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】低い印加液圧で高い駐車ブレーキ制動力を維持できる、液圧補助式電動駐車ブレーキ付きのディスクブレーキを提供する。
【解決手段】駐車ブレーキの制動力は電動駐車ブレーキ機構の動作前に、シリンダ部2aへ導入した液圧による弾性変形量を大きくして、大きな変位量をロック機構で保持することにより、液圧除去後やパッド4,4の熱収縮後も制動力が維持される。キャリパ2の一部を大径にすることにより、低い液圧で高い駐車ブレーキ制動力を得ることができる。さらに、予め所定量弾性変形させておくことにより通常ブレーキ使用時の液量増加を低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の制動に用いられる駐車ブレーキ付きディスクブレーキに関する。
ディスクブレーキは、一般にディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンを、前記シリンダ内への液圧導入により推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパとを備えた構成となっている。駐車ブレーキ機構を設けるにはピストンが1個で、キャリパのシリンダ底部にピストンを押す機構を1個設けるだけで済むフローティングキャリパ構造のディスクブレーキが適しており、駐車ブレーキ付きのものが多数生産されている。
上述した駐車ブレーキ機構を付加したディスクブレーキの一例として、特許文献1に示されるディスクブレーキがある。
特許文献1の駐車ブレーキは、駐車ブレーキ時に液圧ポンプによりキャリパに液圧を導入してピストンを推進させパッドをロータに押し付けた後に、電動モータによりピストンの保持機構(ロック機構)を駆動してピストンを制動状態に維持させるようにして、モータ所要動力を低減した液圧補助式駐車ブレーキ機構が付加されたものである。
特開平8−244596号
上述した従来技術による構造の動作と問題点を図9及び図10により説明する。
図9(A)は駐車ブレーキをかけるために、従来技術による液圧補助式駐車ブレーキにおけるキャリパ101のシリンダ102内に液圧を印加した状態の模式図である。このとき、液圧によりピストン103が図中左方へ、また、キャリパ101のシリンダ底部104が図中右方へ、液圧にピストン受圧面積を乗じた推力と等しい推力で付勢され、キャリパ101のツメ部105とピストン103間に挟まれた一対のパッド106とロータ107との間の摩擦力により制動力を発生する。この状態では、シリンダ底部104に基端を固定されたロック機構108の先端は、ピストン103から所定のギャップを持って離れている。図9(B)はロック機構108を動作させて先端をピストン103に当接した後にシリンダ102内の液圧を解除した状態である。このとき、液圧に代わってロック機構108がピストン103を図中左方へ、シリンダ底部104を図中右方へ付勢して駐車時の制動力を得ている。ここで、キャリパ101、パッド106,106、ロータ107、ピストン103、およびロック機構108はそれぞれ弾性係数に応じた剛性を持っており、駐車時のピストン推力(ピストン103の推力)つまり制動力は各部品の剛性により決まるようになっている。
図9(C)、(D)は、それぞれ図9(A)、(B)を簡略化したモデルであり、キャリパ101、パッド106,106、ロータ107、およびピストン103の剛性をバネ定数KCのキャリパバネ110に置き換えてキャリパ101およびピストン103を剛体とみなし、ロック機構108の剛性をバネ定数KLのロック機構バネ111に置き換えて示したものである。図9(C)の液圧印加状態では力FC(液圧にピストン受圧面積を乗じた力)の推力により、キャリパバネ110は変形量δだけ圧縮され、ピストン103は液圧を加えない位置から変位量δだけ図中左方へ変位する。ロック機構108の先端はピストン103から離れており変位量δには無関係である。図9(D)のロック機構108を動作させて先端をピストン103に当接させた後に液圧を解除した状態では、ピストン103が変位量δ’(δ’<δ)の位置に移動、すなわち、キャリパバネ110の圧縮変形量がδ’に減少し、ロック機構バネ111が(δ−δ’)だけ圧縮されてピストン103を挟んで駐車ブレーキ推力FPKBでバランスするようになっている。
このバランス状態について、キャリパバネ110及びロック機構バネ111とも線形を仮定して計算すると、液圧によるキャリパバネ110の変形量δは、
δ=FC/KC
となり、また、駐車ブレーキ推力FPKBでバランスするので、
PKB=δ’×KC=(δ−δ’)×KL
となり、前記両式から
PKB=FC/(1+KC/KL
である。
実際にはキャリパバネ110、ロック機構バネ111とも非線形の特性を有するため、推力と変位との関係は図10のような曲線になる。曲線KCはキャリパバネ110のピストン推力による変形量、曲線KLはロック機構バネ111のロック機構推力(ロック機構108の推力)による変形量である。キャリパ底部104およびピストン103の変形量は、液圧の等分布荷重による変形とロック機構108の推力の略集中荷重による変形とでは若干異なるが、この差は微少であるので無視することができる。
図10により上述した動作との関係を説明すると、ピストン103の推力と変位との関係は、液圧印加時には推力FCかつキャリパバネ変形量(キャリパバネ110の変形量)δのa(○印)の位置にある。その後、ロック機構108をピストン103に接触させて液圧を解除すると、キャリパバネ110の変形量δの一部がロック機構バネ111に分担され、曲線KLを推力0かつ変形量δを通るように横軸に平行に移動した曲線と曲線KCとの交点b(●印)の位置に移り、キャリパバネ110の変形量はδ’に減少し、駐車ブレーキ推力はFPKBのレベルに下がってしまう。
さらに、駐車ブレーキにはパッド熱収縮の問題がある。長い降坂直後にはパッド106,106とロータ107は非常な高温になっており、キャリパ101とピストン103も温度上昇している。この高温状態のまま駐車して長時間放置した場合、主にパッド106,106の熱収縮により、液圧によるキャリパバネ110の変形量δが図10に示すΔXだけ減少したのと同等の影響を受ける。前述の線形バネを仮定した計算式に熱収縮量ΔXを考慮すると、
δ=FC/KC−ΔX
になり、熱収縮後のキャリパバネ変形量をδ”とすると、熱収縮後の駐車ブレーキ推力FPKB’は
PKB’=δ”×KC=(δ−δ”)×KL
となり、前記両式から
PKB’=(FC−ΔX×KC)/(1+KC/KL
である。
図10ではピストンの推力(ピストン103の推力)と変位との位置は、曲線KLを推力0かつ変形量δ-ΔXを通るように平行移動した曲線と曲線KCとの交点c(□印)の位置に移り、駐車ブレーキ推力はFPKB’のレベルまで下がってしまう。図10の例ではFPKBはFCの75%であるが、FPKB’はFCの60%以下となってしまう。
次に駐車ブレーキ推力の維持に必要な液圧について説明する。ブレーキキャリパの通常ブレーキにおける制動力は、前後輪の重量配分にほぼ比例して設定されるが、乗用車では後輪ブレーキは前輪ブレーキの1/2程度しか負担しないのが一般的である。また、通常ブレーキのピストン面積は100気圧程度の液圧で、タイヤと路面間の摩擦係数に起因する最大減速度1Gが出せるように設定することも一般的であり、後輪ブレーキは100気圧で全制動力の33%を負担する。このため、駐車ブレーキは通常後輪のブレーキにのみ設けられているので、後輪の駐車ブレーキのみで減速度0.3G相当の制動力を得るには、100×0.3/0.33≒90気圧の液圧を印加したのと同等の駐車ブレーキ推力が必要である。前述のように液圧推力FCの60%の駐車ブレーキ推力FPKB’しか得られないため、駐車ブレーキのロック機構108を動作させる際の印加液圧は90/0.6=150気圧、減速度1.5G相当という高圧が必要になってしまう。
このように従来技術による液圧補助式駐車ブレーキでは、ブレーキシステムの通常ブレーキにおける最大液圧の1.5倍もの液圧を印加することが必要になるため、後輪キャリパの耐久性向上だけでなく、液圧発生ポンプ、ESC・ABSユニットなど全液圧系統の高圧化、耐久性向上が必要になってしまう。駐車ブレーキの電動化を目的としてこのような大変更を行うことは現実には不可能であり、通常ブレーキにおける最大液圧の範囲内で十分な駐車ブレーキ推力を得ることが必要である。
ところで従来技術でも、上述の計算式と図9から、液圧解除後の駐車ブレーキ推力FPKBを維持するには、KC/KLを小さく、つまりキャリパ101、パッド106,106、ロータ107、およびピストン103の剛性を下げて、ロック機構108の剛性を上げ、熱収縮後の駐車ブレーキ推力FPKB’を維持するためにもKCを小さくすれば改善を図ることが可能である。しかし、ロータ107およびピストン103の剛性は他の剛性に比べて大きく、また下げることが困難である。一方、パッド106,106は摩擦特性を優先するため剛性を下げることができず、パッド106,106の裏面にシム等を追加して組み合わせ剛性を若干下げることしかできない。したがって、対策できるのはキャリパ101の剛性とロック機構108の剛性のみである。しかしながら、堅牢さが要求されるキャリパ101の剛性を下げるには限界があり、ツメ部105の剛性を下げるとブレーキ鳴きの原因になりやすい。また、ロック機構108は剛性の高い送りネジが使用されるようになっており、さらに、剛性を上げるには断面積を増す必要があるが、ピストン受圧面積と液圧に耐えられるピストン肉厚が決まっており、直動部材(めねじ)とおねじの断面積をほぼ等しくして組み合わせ剛性を高くすることしかできない。
以上のような理由により従来構造では大幅な必要液圧の低減は困難であった。
請求項1記載の発明は、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンを、前記シリンダ内への液圧導入により推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、前記シリンダの外に設けられた電動モータにより作動し、前記シリンダ内への液圧供給により推進した前記ピストンを前記シリンダ内の液圧解除後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構とを備えたディスククブレーキにおいて、前記駐車ブレーキ機構は、前記ピストン内に該ピストンと相対移動可能に配設された直動部材と、前記シリンダの軸心上に回動可能に配設され、一端側に前記直動部材のねじ部に螺合するねじ部を有し他端側が前記電動モータに接続される回転部材とを有しており、前記シリンダの底部側に、シリンダヘの液圧導入により前記ピストンの推進方向と反対側に弾性変形するとともに、前記回転部材を支持するシリンダ底部を前記ピストンの推進方向と反対方向に移動させる弾性変形部を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のディスクブレーキにおいて、前記弾性変形部およびシリンダ底部の液圧を受ける面積は、前記ピストンの液圧を受ける面積よりも大きいことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のディスクブレーキにおいて、前記弾性変形部およびシリンダ底部は、前記キャリパにおける前記シリンダの底部側部分であり、一体成形されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のディスクブレーキにおいて、前記シリンダ底部の移動は、前記シリンダ内が所定の液圧になったときに開始するように、前記弾性変形部を予め変形させておくことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4に記載のディスクブレーキにおいて、前記シリンダ底部の変位量を、キャリパの組み立て時に予め調整可能であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4または5に記載のディスクブレーキにおいて、前記シリンダ底部の変位量が、所定量未満となるようにストッパ機構を設け、その所定量がキャリパの組み立て時に調整可能であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、シリンダ内に摺動可能に配設したピストンを、前記シリンダ内への液圧導入により推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、前記シリンダの外に設けられた電動モータにより作動し、前記シリンダ内への液圧供給により推進した前記ピストンを前記シリンダ内の液圧解除後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構とを備えたディスククブレーキにおいて、前記シリンダは、前記ピストンを摺動可能に配設するシリンダ筒部及び該シリンダ筒部から延設された延長筒部からなるシリンダ本体と、該シリンダ本体と共に液圧を密封するように前記延長筒部内に配置される弾性材料からなるウォール部材と、を備え、前記駐車ブレーキ機構は、前記ピストン内に前記ピストンと相対移動可能に配設された直動部材と、前記シリンダの軸心上に回動可能に配設され、一端側に前記直動部材のねじ部に螺合するねじ部を有し他端側が前記ウォール部材を挿通して前記電動モータに接続される回転部材とを有しており、前記ウォール部材は、内周側部分で前記回転部材を支持し、外周側部分がシリンダ本体に支持され、前記シリンダヘの液圧導入により、前記ウォール部材が、前記ピストンの推進方向と反対方向に弾性変形し、前記内周側部分が、前記ピストンの推進方向と反対方向に移動することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項7記載のディスクブレーキにおいて、前記ウォール部材は、縦弾性係数が、前記シリンダ本体の縦弾性係数より小さい材料で構成されたことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、キャリパのシリンダ底部を、ピストン移動方向と反対の方向に意図的に剛性を下げた弾性変形部のシリンダヘの液圧導入による変形で移動させるため、シリンダからの液圧解除後にその変形分だけピストンへ加圧するので、駐車ブレーキの推力維持を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、大径部を設けて、低い液圧で高い駐車ブレーキの推力を維持することができる。
請求項3記載の発明によれば、弾性変形部およびシリンダ底部をキャリパと一体成形するので、部品数の増加および原価の上昇を抑えることが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、弾性変形部を予変形させておくことにより、通常ブレーキ時の液量増加の低減を図ることができる。
請求項5記載の発明によれば、上記予変形量をキャリパ組み立て時に調整することで、部品バラツキの影響を吸収することが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、弾性変形部の過大な変形を防止することにより、印加液圧の変動による影響を低減することができるとともに、過大な液圧印加による弾性変形部の特性変化を防ぐことができる。
請求項7記載の発明によれば、ウォール部材をシリンダヘの液圧導入により変形させ、ウォール部材の内周側部分が、ピストンの推進方向と反対方向に移動させることで、シリンダからの液圧解除後にその変形分だけピストンを加圧するので、駐車ブレーキの推力維持を図ることができる。
請求項8記載の発明によれば、ウォール部材は、縦弾性係数が、前記シリンダ本体の縦弾性係数より小さい材料で構成されているので、ウォール部材中間部分の変形量は大きく、一層の駐車能力の向上が期待できる。
第1の実施形態について図1乃至図3に示して説明する。図1は、液圧補助式駐車ブレーキ1の構造図であり、キャリパ2はシリンダ部2a、キャリパツメ部2b、シリンダ底部2c、および弾性変形部2dで構成され、キャリパツメ部2bとピストン5の間にロータ3、および2枚のパッド4を挟んで、ロータ3の摺動面に対し垂直の方向に移動可能に取り付けられている。本実施の形態では弾性変形部2dは、その最大内径がピストン5の外径の1.33倍、断面積がピストン5の断面積の1.77倍である。シリンダ部2aとピストン5の間はシールリング6により、ブレーキ液をシールしている。シリンダ部2a内の液圧によって図1左方へ付勢され、大径のシリンダ底部2cは右方へ付勢される。液圧補助式駐車ブレーキ1に備えられる駐車ブレーキ機構61はモータ/減速機8、送りネジ9、ナット10、回り止め11、およびスラスト軸受け12により構成され、モータ/減速機8はシリンダ底部2cの外側に固定され、また、モータ/減速機8には、送りネジ9の一端側がシリンダ底部2cを貫通して接続されており、さらに、送りネジ9は、モータ/減速機8により図中右方に軽く引張られ、かつ回転可能に保持されている。シリンダ底部2cと送りネジ9の一端側との間には回転シール13が設けられて、シリンダ部2aをシールしている。
送りネジ9の軸方向中央部には、フランジ部9aが形成されており、このフランジ部9aとシリンダ底部2cとの間に、スラスト軸受け12が設けられるようになっており、これにより送りネジ9は、スラスト軸受け12を介してシリンダ底部2cに支持されるようになっている。また、送りネジ9の他端側にはおねじ部9bが形成されており、このおねじ部9bにナット10が螺合している。
ナット10には、その内側にめねじ部10aが形成され、上述のように送りねじ9のおねじ部9bに螺合するようになっており、外側には軸方向溝10bが形成され、この軸方向溝10bに回り止め11が当接してナット10が回転不能となっている。また、ナット10のロータ3側には、送りネジ9の回転によりナット10がロータ3方向へ移動したときにピストン5に当接するピストン当接部10cが設けられている。
本実施の形態では、ナット10が直動部材を構成し、送りネジ9が回転部材を構成している。また、送りねじ9及びナット10によりピストン5を制動状態に維持するためのロック機構14が構成され、後述の駐車ブレーキ時にシリンダ底部2cとピストン5との間隔を一定に保持するようになっている。
駐車ブレーキをかけるときは、まずシリンダ部2a内に液圧を印加し、ピストン5を図1中左方へ、同時に大径のシリンダ底部2cを図中右方へ付勢して弾性変形部2dを変形させてシリンダ底部2cをロータ3から離間する方向へ移動する。所定液圧の印加後、モータ/減速機8を動作させて送りネジ9を回転させると、ナット10は回り止め11によって回転を止められているのでロータ3方向(図中左方)へ前進し、ナット10の先端、すなわちピストン当接部10cがピストン5に当接する。この当接をモータ電流により検知してモータ/減速機8を停止する。この後、液圧を解除すると、ピストン5とシリンダ底部2cとの間隔は、ナット10、送りネジ9、およびスラスト軸受け12により保持されて一定間隔となり、上記弾性変形部2dの復元力分だけピストン5がキャリパ2により押圧されることになる。このとき、送りネジ9のリードは十分に小さいので、ナット10と送りネジ9との間の摩擦力でロックするため、ピストン5とシリンダ底部2cとの間隔は一定間隔となるようになっている。
駐車ブレーキを解除するときは、まず、シリンダ部2a内に液圧を印加し、ピストン5を図1中左方へ、また大径のシリンダ底部2cを図中右方へ付勢してピストン5のピストン当接部10cによる押圧を解除する。その後、モータ/減速機8を逆回転させて、ナット10をピストン5から引き離し、離れた後も余分に逆回転を続けて、ナット10とピストン5間に所定のギャップを設けた後にモータ/減速機8を停止し、液圧を解除する。
上記構成部品を図2(A)〜(D)に対比して説明すると、キャリパバネ51に含まれる部品はキャリパ2のシリンダ部2a、キャリパツメ部2b、ロータ3、パッド4、およびピストン5、ロック機構バネ52に含まれる部品はナット10、送りネジ9、およびスラスト軸受け12、支持バネ53に含まれる部品はキャリパ2の弾性変形部2d、およびシリンダ底部2cである。
ピストン5のナット10と当接する部分、およびシリンダ底部2cのスラスト軸受け12と接する部分の剛性はロック機構バネ52に含まれるが、この2箇所の変形は無視できる程度に小さい。またシリンダ底部2cは円輪形状のため、液圧による等分布荷重とスラスト軸受け12から受ける集中荷重とでは、変形の様子が異なり集中荷重を受ける場合の方が剛性が低く、ロック時の液圧解除により保持推力が低下するが、シリンダ底部2cを厚くすることにより低下量を無視できる程度に小さくしている。
まず、キャリパ剛性を下げるには、図9(A)のキャリパ101のシリンダ部102より前部ではなく、後部すなわちロック機構108を支持するシリンダ底部104の剛性を下げる方が、ブレーキ鳴きへの影響がなく、ホイールなどの他部品との干渉を避けることも容易である。次に図10のように駐車ブレーキ推力FPKBは、印加液圧によるピストン推力FCから下がるため、高い推力を得るにはピストン受圧面積を大きくすれば良く、直径を20%増すだけで1.44倍の推力が得られるが、通常ブレーキ時の制動力および消費液量も1.44倍になり、前後輪の制動力バランスが崩れてしまうし、ペダルストロークも約15%増えてしまう。しかし、本実施形態のように、シリンダ後部(シリンダ部102の後部)と底部(シリンダ底部104)の間を大面積にするとピストン5の断面積は同じなので、制動力バランスを変えずに、推力を増大することができる。さらにシリンダ部102から底部(シリンダ底部104)中央のロック機構108を支持する部分までの剛性が低ければ、増大した推力により大きな変位を得ることができる。径を大きくすれば剛性が下がるので、ピストン5の断面積よりも大きな面積を有する大径部を設けると2重の効果が得られる。
本実施形態の動作と効果を図2(A)〜(D)並びに図3(それぞれ図9(A)〜(D)並びに図10に対応する)で説明する。
図2(A)はキャリパのシリンダ部2aとシリンダ底部2c間に弾性変形部2dを設けた構造の模式図であり、駐車ブレーキ用の液圧を印加した状態を示す。ピストン5を左方に付勢する液圧による推力は図9(A)と同じであるが、シリンダ底部2cを右方に付勢する推力は大径部の面積に比例して大きくなり、弾性変形部2dの変形により底部は右方に移動する。この状態ではロック機構左端とピストン5間に所定のギャップがあり、送りネジ9及びナット10からなるロック機構14がピストン5の推力に無関係であるのは図9(A)と同じである。図2(B)はロック機構14を動作して左端をピストンに当接させた後に液圧を解除した状態で、図9(B)と同様、液圧に変わってロック機構14がピストンを左方へ、シリンダ底部2cを右方へ付勢して駐車時の制動力を得ている。
図2(C),(D)はそれぞれ図2(A)、(B)を簡略化したモデルを示し、キャリパ2のシリンダ部2aから左の部分、パッド4,4、ロータ3、およびピストン5の剛性をバネ定数KCのキャリパバネ51に置き換え、さらにキャリパ2の弾性変形部2dおよびシリンダ底部2cの剛性をバネ定数KSの支持バネ53に置き換えてキャリパ2およびピストン5を剛体とみなし、ロック機構14の剛性をバネ定数KLのバネ(ロック機構バネ52)に置き換えたものである。図2(C)の液圧印加状態では、図9(C)と同じFC=液圧×ピストン受圧面積の推力により、キャリパバネ51は変形量δだけ圧縮され、ピストン5は液圧を加えない位置からδ左方へ変位する。また、FS=液圧×大径部面積の推力により、支持バネ53はδS延伸され、シリンダ底部2cは液圧を加えない位置からδS右方へ移動する。またロック機構14の左端(ロック機構バネ52の左端)はピストン5から離れており、δおよびδSには無関係である。
図2(D)のロック機構14の左端(ロック機構バネ52の左端)をピストン5に当接した後に液圧を解除した状態では、ピストン5がδ’の位置に移動してキャリパバネ変形量(キャリパバネ51の変形量)がδ’に減少し、支持バネ変形量(支持バネ53の変形量)はδS’に減少し、またロック機構バネ52が(δ−δ’)+(δS−δS’)圧縮されて、駐車ブレーキ推力FPKBでバランスする。図9(C)ではキャリパバネ変形量δをキャリパバネ110とロック機構バネ111で分担したのに対し、図2(C)ではキャリパバネ51と支持バネ53の合計変形量(δ+δS)をキャリパバネ51、支持バネ53およびロック機構バネ52の3つのバネで分担するため、キャリパバネ変形量δ’は図9(D)〔キャリパバネ変形量δ〕とは異なる。3つのバネを線形として計算すると、液圧によるキャリパバネ変形量 δ=FC/KC 、支持バネ変形量 δS=FS/KS 、駐車ブレーキ推力FPKBで3つのバネが平衡するので
PKB=δ’×KC=δS’×KS=(δ−δ’+δS−δS’)×KL
となり、両式から
PKB=(FC/KC+FS/KS)/(1/KL+1/KC+1/KS
となる。
また、熱収縮がΔXのとき、
PKB’=δ’×KC=δS’×KS=(δ−δ’+δS−δS’−ΔX)×KL
PKB’=(FC/KC+FS/KS−ΔX)/(1/KL+1/KC+1/KS
となる。
図10と同様に、キャリパバネ51、支持バネ53、およびロック機構バネ52を非線形の特性を有するものとして、推力/変形量の関係を図示すると図3のようになる。
曲線KCはキャリパバネ51のピストン推力(ピストン5の推力)による変形量、また曲線KLはロック機構バネ52のロック機構推力による変形量で、どちらも図10と同じ曲線である。
曲線KSは支持バネ53の大径部推力による変形量で、図3では大径部の直径はピストン直径の1.2倍、面積は1.44倍とした。FS=1.44×FCである。
キャリパ5の弾性変形部2dおよび底部の変形量は、剛性を下げたため液圧の等分布荷重による変形とロック機構推力の略集中荷重による変形とで、かなり異なる変形状態になるが、ここでは、この違いを無視して説明する。また図3には支持バネ53とロック機構バネ52の変形量を加算した曲線KL//KSを描いている。
液圧印加時のピストンの推力/変位は○印の位置にあり、シリンダ底部2cの推力/変位は推力FSかつ支持バネ53変形量δSの◇印の位置にあるが、ピストン当接部10c、すなわちロック機構14の左端(ロック機構バネ52の左端)をピストン5に当接した後液圧を解除すると、キャリパバネ51変形量δ+支持バネ53変形量δSの一部がロック機構バネ52に分担され、ピストン5の推力/変位は曲線KL//KSを推力0かつ変形量δ+δSを通るように横軸に平行に移動した曲線と曲線KCとの交点●印の位置、またキャリパ底部の推力/変位は◆印の位置に移り、駐車ブレーキ推力はFPKBのレベルになる。図10と同じ熱収縮量ΔXを考えるとピストンの推力/変位は□印の位置に移り、駐車ブレーキ推力はFPKB’のに下がる。FPKBはFCの93%、FPKB’は79%で従来例に比べて大幅な改善が得られた。
また図3では大径部をピストン径の1.2倍としたが、同じ支持バネ53で1.4倍に拡大するとδSが1.36倍になり、駐車ブレーキ推力FPKBを液圧印加時のピストン推力FC以上にでき、FPKB’がほぼFCに等しくできることも判る。
以上の構造で常用ブレーキの液圧範囲内で十分な駐車ブレーキ推力が得られ、通常ブレーキの前後輪制動力バランスも守れる。
しかしながら、上記第1の実施形態では、シリンダ底部2cが後退する分、常用ブレーキでの消費液量が増加してペダルストロークが増えてしまう問題が残っている。
この常用ブレーキでの消費液量増加を低減する手段として、支持バネ53を予変形させることが第2の実施形態である。
次に第2の実施形態について図4乃至図7により説明する。
第2の実施形態では予変形量を設定するために、弾性変形部15cの剛性を大幅に下げる必要がある。しかしキャリパは堅牢であることが重要であるため容易ではなく、例えば400気圧の耐圧強度を持ちながら、100気圧で0.5mm以上変形するように設計する。このためキャリパ材質として使うダクタイル鋳鉄または高強度アルミ鋳物での一体成形は不可能で、弾性変形部15cとシリンダ底部2cとはバネ鋼で別体に構成した。図4では図1と同一機能の部品は同じに付番して、第1の実施形態に対応付けており、差異を中心に説明して同一部分の説明は省略する。
キャリパ後部15はキャリパ2のシリンダ部2aに、ネジ部15aで締結され、弾性変形部15cおよびシリンダ底部15bにより構成され、キャリパ2との間はOリング17、また送りネジ9との間は回転シール13によりブレーキ液をシールする。弾性変形部15cは低い応力で変形量が大きくできるベローズ形状とし、エア抜きの都合から1山とした。弾性変形部15cの最大内径はピストン5の直径の1.75倍、断面積は3.06倍と大幅に拡大している。また、予変形を加えるためネジ部15aの内側にさらにネジを設け、与圧ナット16によりシリンダ底部15bを押すようにした。本実施の形態では液圧による変形とロック機構14の推力による変形の状態がかなり異なり、ロック機構14の左端であるナット10のピストン当接部10c(ロック機構バネ52の左端)をピストン5に当接させた後の液圧解除で推力が下がるが、大径にしたことにより変形量が大幅に増えているので多少の低下は許容できる。
モータ/減速機8はシリンダ底部15bの外側に取り付けられ、駐車ブレーキをかける操作、および解除する操作は第1の実施形態と同様である。
実用上重要な予変形量の設定方法は、ネジ部15aの右側の平坦部15dを支持して、シリンダ底部15bのスラスト軸受け支持面(スラスト軸受け12)を所定の荷重で図4中右方に付勢し、その状態で与圧ナット16を回転してシリンダ底部15bに当接させた後、液圧印加時に必要な変形量δsに相当する回転角度だけ戻して緩み止め(図示せず)を施すようにすることである。このように組み立てることにより、弾性変形部15cの加工誤差、あるいは材質バラツキによる剛性の変動を吸収して、均一な変形量を得ることができる。
さらに印加液圧の変動によるδsのバラツキを抑えるには、図5に示すような与圧ナット16とシリンダ底部15bとの間隔をδsに制限するストッパナット18を追加すると、キャリパ後部15の耐圧強度も向上できることになる。ただし、印加液圧の調節により、駐車ブレーキ制動力FPKBを路面勾配に合わせて変更する、というような制御自由度は失われてしまう。予変形により図3の曲線KSの低推力域の初期変形部分の液量が低減できるが、さらに予変形量の設定により底部変位の開始液圧を緊急制動の下限減速度0.7G程度に相当する液圧に設定して、それ以下の強いブレーキの範囲までの常用ブレーキの液量増加を解消することができる。
将来液圧ユニットの高圧化が進み、耐久性も確保された時には、変位開始液圧を常用ブレーキの最大液圧に設定して、緊急制動時まで液量増加を解消でき、運転者の操作する常用ブレーキへの影響を皆無にできる。
この第2の実施形態の動作および効果を図6(A)〜(D)及び図7に示し、図2(B),(D)及び図3に対応させて説明する。
図6(A)は無加圧または変形開始設定圧以下の液圧時の状態で、図2には対応する図がない。予変形量設定機構70はシリンダ部2aに固定され、予め弾性変形部15cを延伸して、シリンダ底部15bを予変形量分、シリンダ部2aから離間している。図6(B)は駐車ブレーキ用の液圧を印加した状態で、予変形量設定機構70の右端がシリンダ底部15bから離れており、シリンダ底部15bには影響を及ぼさず、図2(A)と等価である。ピストン5とピストン当接部10cとを当接させて液圧を解除した状態は図2(B)と同じなので省略した。
図6(C)は第2実施形態の簡略モデルであるが、キャリパバネ51(バネ定数KC)、ロック機構バネ52(バネ定数KL)、および支持バネ53(バネ定数KS)の定義は図2(C)、(D)と同じである。図6(C)で予変形量がΔのとき、予変形量設定機構70がシリンダ底部15bに与える右方への推力FAは、FA=Δ×KS であり、設定液圧=FA/大径部面積より大きな液圧が加わるまで、シリンダ底部15bは移動せず、ピストン5のみ液圧に応じて左方へ移動する。
図6(D)は駐車ブレーキ用の液圧を印加した状態の簡略モデルで、図2(C)と等価で、液圧による推力FC、FS、およびピストン変位δ、δSも図2(C)と同じである。ロックして液圧を解除した状態は図2(D)と同じなので省略した。
図7は第2の実施形態の推力/変位の関係を表した図で、図3と対比するため、ピストン面積、大径部面積、駐車ブレーキ用印加液圧、曲線KC、曲線KLおよび熱収縮量ΔXなどの条件を図3と合わせたので、FC、FSおよびδも同じである。
大幅に変えたのは支持バネ53の特性であり、第2の実施形態の支持バネ53は、図7の太い曲線KSのように変形開始液圧を駐車ブレーキ用液圧の70%とし、駐車ブレーキ用液圧印加時の支持バネ変形量δSについては図3に示す特性と同等になるようにした。図3の曲線KSにあった低液圧時の初期変形が無く、直線部のバネ定数は約1/2である。曲線KSをこの様に変更したことにより、駐車ブレーキ用液圧印加時のピストン5の推力/変位○印、およびシリンダ底部15bの推力/変位◇印の位置は図3と同じであるのに、ロック機構14を作動させた後に液圧を解除したときのピストン5の推力/変位は●印の位置になり、駐車ブレーキ推力FPKBは液圧印加時のピストン推力FCよりも大きく、熱収縮後□印の推力FPKB’の下がりも小さくなり、ほぼ目的通りに駐車ブレーキ推力が維持できるものとなる。
以上の構造で常用ブレーキの液圧範囲内で十分な駐車ブレーキ推力が得られ、通常ブレーキの前後輪制動力バランスも守れるとともに、常用ブレーキではシリンダ底部15bが移動しないので、常用ブレーキ時の消費液量増加を低減することが可能となる。
次に第3の実施形態について図8により説明する。
図8では図1と同一機能の部品は同じに付番して、第1の実施形態に対応付けており、差異を中心に説明して同一部分の説明は省略する。
図8において、液圧補助式駐車ブレーキ(ディスクブレーキ)1のキャリパ2は、シリンダ2Fと、シリンダ2Fに連接されるキャリパツメ部2bとで大略構成され、キャリパツメ部2bとピストン5の間にロータ3、および2枚のパッド4を挟んで、ロータ3の摺動面に対し垂直の方向に移動可能に取り付けられている。
シリンダ2Fは、ピストン5を摺動可能に配設するシリンダ筒部2G及びシリンダ筒部2Gから延設され、内径寸法がシリンダ筒部2Gの内径寸法に比して大径の延長筒部2Hからなるシリンダ本体2Jと、A6082−T6等のアルミ合金(弾性材料)からなるウォール部材50と、から構成されている。
ウォール部材50は、内周側部分51で後述するように送りネジ9を支持し、外周側部分52が後述するように延長筒部2H(シリンダ本体2J)に支持されている。ウォール部材50における内周側部分51及び外周側部分52の間のウォール部材中間部分53は、両者に比して薄肉とされている。そして、ウォール部材50は、シリンダ2Fヘの液圧導入により、外周側部分52が延長筒部2Hに支持されて、ウォール部材中間部分53が、ピストン5の推進方向と反対方向(図8右方向)に弾性変形し、内周側部分51が、ピストン5の推進方向と反対方向に移動するようになっている。キャリパ2のうち、キャリパツメ部2b、シリンダ2Fのシリンダ筒部2G及び延長筒部2H〔キャリパ本体(符号省略)〕は、ダクタイル鋳鉄(FCD450)製で一体に形成されている。
ウォール部材50と延長筒部2Hとの間にはシール部材56が介在されており、シリンダ2Fの内外を密封するようにしている。延長筒部2Hの内部には、キャリパ2にボルト57により結合されたモータ/減速機8の一部8aが挿入されている。モータ/減速機8の一部8aと延長筒部2Hとの間にはシール部材58が介在されており、内部への水等の浸入を防止するようにしている。
シリンダ筒部2G及び延長筒部2Hの内側の段差部60とウォール部材50との間にはウェーブワッシャ61が介在されている。ウォール部材50は、外周側部分52が、ウェーブワッシャ61と共に、段差部60とモータ/減速機8の一部8aとに挟まれることにより、延長筒部2Hに支持されている。
ウォール部材50は、シリンダ2F内ヘの液圧導入により、ウォール部材中間部分53がピストン5の推進方向と反対方向(図8右方向)に弾性変形可能とされている。また、ウォール部材50は、シリンダ2F内ヘの液圧導入によるウォール部材中間部分53の前記弾性変形に伴い、内周側部分51が、ピストン5の推進方向と反対方向に移動するようになっている。
駐車ブレーキ機構61は、モータ/減速機8、送りネジ9、ナット10、回り止め11A、およびスラスト軸受け12により構成されている。
モータ/減速機8は、延長筒部2Hの外側に固定され、また、モータ/減速機8には、送りネジ9の一端側がウォール部材50を貫通して接続されている。送りネジ9は、モータ/減速機8により図8中、右方に軽く引張られ、かつ回転可能に保持されている。ウォール部材50と送りネジ9の一端側との間には回転シール13が設けられて、シリンダ2F内をシールしている。
送りネジ9の軸方向中央部には、フランジ部9aが形成されており、このフランジ部9aとウォール部材50との間に、スラスト軸受け12が設けられるようになっており、これにより送りネジ9は、スラスト軸受け12を介してウォール部材50の内周側部分51に支持されるようになっている。また、送りネジ9の他端側にはおねじ部9bが形成されており、このおねじ部9bにナット10が螺合している。
ナット10には、その内側にめねじ部10aが形成され、上述のように送りねじ9のおねじ部9bに螺合するようになっている。ピストン5の内周側には軸方向溝5aが形成され、軸方向溝5aに、ナット10の外周側に形成された回り止め11Aが当接してナット10が回転不能となっている。また、ナット10のロータ3側には、送りネジ9の回転によりナット10がロータ3方向へ移動したときにピストン5に当接するピストン当接部10cが設けられている。図8中、61は、ブーツを示す。
上述したように構成した第3実施の形態の作用を説明する。
送りネジ9は、モータ/減速機8の図示しないモータが通電されて回転すると、この回転力をモータ/減速機8の図示しない減速機を介して受けて、回転する。
ナット10は、ピストン5に対して回転できないように構成され、送りネジ9とねじ結合している。従って、送りネジ9の回転に応じてナット10は前後進する。シリンダ2Fのパッド4と反対側も開口しており、ここにウォール部材50が密封、嵌装されている。ウォール部材50は液圧を受けたとき、その外周側部分52が延長筒部2Hに受けられて、ウォール部材中間部分53が撓むようになる。
液圧補助式駐車ブレーキ1は、液圧を加え、モータを駆動してピストン5が前進し、ナット10がピストン5に当接したとき、モータの駆動が停止され、これにより、送りネジ9がピストン5の移動した状態を保つ(即ち、駐車ブレーキ機能を発揮する)ようにしている。そして、ナット10ひいてはピストン5に対する送りネジ9の相対変位量は、シリンダ本体2Jの弾性変形、パッド4の圧縮量にウォール部材50の弾性変形量を加えた合計値となる。即ち、液圧を解除したときにピストン5に対する送りネジ9による駐車ブレーキ力を発揮させる力(以下、軸力という。)がウォール部材50の弾性変形だけ増加し、この分、駐車能力を増加することになる。
本実施の形態では、ウォール部材50は、縦弾性係数が、シリンダ本体2Jのそれより小さい材料で構成されている。このため、ウォール部材50の弾性変形が大きくなり、一層の駐車能力の向上が期待できる。
また、液圧補助式駐車ブレーキでは、一般に、駐車後、パッド4温度が下がりパッドが収縮した際にも適切な駐車ブレーキ力を発揮することが必要とされる。これに対して、本実施の形態で説明した上述したシリンダ本体2Jの弾性変形、パッド4の圧縮量にウォール部材50の弾性変形量を加えた合計値(トータルの変形量)を大きくする方策が、上記対策として有効な手段となる。
なお、ウォール部材50が変形すると、ディスクブレーキ1のキャリパ2の所要液量が増え、ペダルストロークが増える傾向になるが、ウォール部材50は、円錐状に変形するので、ウォール部材50の中心部の変形量に比べて増加する所要液量は少なく、ペダルスロットへの影響は少ない。
なお、上記第3実施の形態(図8)において、延長筒部2Hに代えてハウジング部材を設け、該ハウジング部材内にウォール部材50を配置するように構成してもよい。
本発明の第1の実施形態によるディスクブレーキを示す断面図である。 第1の実施形態の動作を示す模式図および簡略モデル図である。 第1の実施形態のディスクブレーキにおける推力と変位の関係を示す特性図である。 第2の実施形態によるディスクブレーキを示す断面図である。 第2の実施形態によるディスクブレーキの変形例の要部を示す断面図である。 第2の実施形態の動作を示す模式図および簡略モデル図である。 第2の実施形態のディスクブレーキにおける推力と変位の関係を示す特性図である。 第3の実施形態によるディスクブレーキを示す断面図である。 従来技術のディスクブレーキの動作を示す模式図および簡略モデル図である。 従来技術のディスクブレーキにおける推力と変位の関係を示す特性図である。
符号の説明
2…キャリパ、 2b…キャリパツメ部、 2c…シリンダ底部、 2d…弾性変形部、 5…ピストン、 8…モータ/減速機、 9…送りネジ(回転部材)、 10…ナット(直動部材)、 12…スラスト軸受け、 14…ロック機構、 15…キャリパ後部、 15b…シリンダ底部、 15c…弾性変形部、 16…与圧ナット、 18…ストッパナット、 50…ウォール部材。

Claims (8)

  1. ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、
    有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンを、前記シリンダ内への液圧導入により推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、
    前記シリンダの外に設けられた電動モータにより作動し、前記シリンダ内への液圧供給により推進した前記ピストンを前記シリンダ内の液圧解除後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構とを備えたディスククブレーキにおいて、
    前記駐車ブレーキ機構は、前記ピストン内に該ピストンと相対移動可能に配設された直動部材と、前記シリンダの軸心上に回動可能に配設され、一端側に前記直動部材のねじ部に螺合するねじ部を有し他端側が前記電動モータに接続される回転部材とを有しており、前記シリンダの底部側に、シリンダヘの液圧導入により前記ピストンの推進方向と反対側に弾性変形するとともに、前記回転部材を支持するシリンダ底部を前記ピストンの推進方向と反対方向に移動させる弾性変形部を設けたことを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 前記弾性変形部およびシリンダ底部の液圧を受ける面積は、前記ピストンの液圧を受ける面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ。
  3. 前記弾性変形部およびシリンダ底部は、前記キャリパにおける前記シリンダの底部側部分であり、一体成形されていることを特徴とする請求項1または2に記載のディスクブレーキ。
  4. 前記シリンダ底部の移動は、前記シリンダ内が所定の液圧になったときに開始するように、前記弾性変形部を予め変形させておくことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスクブレーキ。
  5. 前記シリンダ底部の変位量を、キャリパの組み立て時に予め調整可能であることを特徴とする請求項4に記載のディスクブレーキ。
  6. 前記シリンダ底部の変位量が、所定量未満となるようにストッパ機構を設け、その所定量がキャリパの組み立て時に調整可能であることを特徴とする請求項4または5に記載のディスクブレーキ。
  7. ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、シリンダ内に摺動可能に配設したピストンを、前記シリンダ内への液圧導入により推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、前記シリンダの外に設けられた電動モータにより作動し、前記シリンダ内への液圧供給により推進した前記ピストンを前記シリンダ内の液圧解除後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構とを備えたディスククブレーキにおいて、
    前記シリンダは、前記ピストンを摺動可能に配設するシリンダ筒部及び該シリンダ筒部から延設された延長筒部からなるシリンダ本体と、該シリンダ本体と共に液圧を密封するように前記延長筒部内に配置される弾性材料からなるウォール部材と、を備え、
    前記駐車ブレーキ機構は、前記ピストン内に前記ピストンと相対移動可能に配設された直動部材と、前記シリンダの軸心上に回動可能に配設され、一端側に前記直動部材のねじ部に螺合するねじ部を有し他端側が前記ウォール部材を挿通して前記電動モータに接続される回転部材とを有しており、
    前記ウォール部材は、内周側部分で前記回転部材を支持し、外周側部分がシリンダ本体に支持され、前記シリンダヘの液圧導入により、前記ウォール部材が、前記ピストンの推進方向と反対方向に弾性変形し、前記内周側部分が、前記ピストンの推進方向と反対方向に移動することを特徴とするディスクブレーキ。
  8. 前記ウォール部材は、縦弾性係数が、前記シリンダ本体の縦弾性係数より小さい材料で構成されたことを特徴とする請求項7記載のディスクブレーキ。

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