JP2006348481A - 軟弱地盤の表層処理方法並びにそれに用いる表層処理材及び袋体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流動性固化材が導入される基端側袋体12a、13aと、この基端側袋体12a、13aに対して直角方向に2列以上に並んで配置されるとともに、基端側袋体12a、13aに連通して基端側袋体12a、13aから流動性固化材が導入されるようにした分岐側袋体12b、13bとで櫛状に構成されてなる表層処理用袋体12、13を含む表層処理用補強材1を、軟弱地盤上に平面状に敷設し、表層処理用袋体12、13に流動性固化材を充填して剛性補強体を形成する。
【選択図】図1
Description
このような現象を防ぐため、表層処理方法として、1966年に繊維製織布を敷設材料に使用したシート工法が発明され、その後、敷設材料として合成樹脂製ネットを用いる敷網工法が開発され(特許文献1参照)、さらに、シートの補強を目的としたロープシート工法、あるいは竹枠とシートやネットを組み合わせた工法など、いくつかの関連工法が開発されてきた。
また、セメント等の固化材を軟弱土に添加・混合することによって表層部分の安定処理を図ろうとする固化処理技術も発展してきている。さらに、陸上又は水中下の軟弱地盤表層改良技術として、強靱で引張強度がある素材で製作された広い面積の透水性を有するジオテキスタイル等の袋を軟弱地盤の表層に展開し、この袋内に貧配合のセメント系等の固化材を充填し、硬化した固化材が引張強度のある袋で一体的に包被された平板状固化層を形成する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、新たに、軟弱地盤上にシートやネット等の可撓性の面状補強材を敷設するとともに、この面状補強材の上面と下面の少なくとも一方の面に脱水性を有し引張強度の高いホース等からなる可撓性の線状中空体を配設しあるいは予め取り付けておき、この線状中空体内にモルタル類を充填して格子状等の剛性補強体を形成し、敷設が容易で剛性の高い枠構造の剛性補強体により、面状補強材を介して載荷される土砂荷重を分散させ、軟弱地盤の破壊や変形を抑制して安定した覆士や盛土の土砂作業を行う工法が開発されている(特許文献3参照)。
さらに、本件出願人等の提案による、軟弱地盤上に可撓性の面状補強材を敷設するとともに、この面状補強材の上面と下面の少なくとも一方の面に筒状織物からなる格子状袋体を配設して、この格子状袋体内にモルタル等の固化材を充填して剛性補強体を形成する軟弱地盤の表層処理方法も開発されている(特願2003−401053号)。
そのため、ジェットコンベアによる撒き出しや浚渫ポンプを使用した水搬撒き出しなどの工夫もされているが、一旦不均一な沈下による凹みが生じると、局所沈下の集中を助長することとなり、砂厚の管理・調整が困難になってくる。
このようなトラブルは、シートやネット等の可撓性の面状補強材の引張強さが少々大きければ防げるというものではなく、敷設する材料に剛性を与え、荷重分散効果を発揮させなければ、基本的に防止することはできない。
上記の長さ数mの竹を1m間隔の格子に組んで、その上にシートを敷設するという工法の原理は、まさに荷重分散効果を発揮させるものであるが、竹の調達や竹枠の形成、軟弱地盤上への設置等に係る施工性の問題がある。
一方、セメント等で軟弱地盤表層を格子状に直接固化処理して竹枠的な効果を期待する試みもあるが、別工程が増え、コスト的に高価となる。
また、表層部分を全面固化処理する工法や大きな袋内にセメント系等の固化材を充填する方法も、シートやネット等の可撓性の面状補強材を敷設する工法に比較して高価となる。
先の特許文献3記載の方法は、荷重分散により効果的に局部的沈下を抑制できるが、線状中空体毎にモルタル類を充填する必要があり、線状中空体が複数本ある場合は、1本ずつ線状中空体とモルタルポンプに接続されたホースの接続、モルタル充填、中空体端部の閉塞処理、接続の切り離しを行わねばならず、特に線状中空体の本数が多い場合は煩雑である上、施工時間も長くなりコストも上がるという問題がある。
また、この問題を解決するために開発された、前述の特願2003−401053号による表層処理方法は、1箇所からのモルタル充填作業で格子状袋体全体にモルタルを行き渡らせることができる点で、施工性に優れたものであった。
しかしながら、敷設面積が著しく大きくなると、1箇所からの注入では、格子状袋体の交点部分でのモルタルの流動に対する抵抗が次第に積み重なり充填に要する注入圧力が次第に高くなり、袋体の交点部分の破損や、袋体からのモルタルの脱水による流動不良が生じたりする問題があった。
また、表層処理用補強材全体がフレキシブルで部分的にかさばる部分がないため、表層処理用補強材をロール状に巻いたり、折り畳んでコンパクトな状態にして搬送することができる。
また、逆に、軟弱地盤の周囲の地盤が隆起する場合も、その隆起の力を面状補強材を介して流動性固化材が充填され剛性を有する分岐側袋体により支持することにより荷重分散が図られ、不均一な隆起の発生を防止することができる。
この軟弱地盤の表層処理方法は、表層処理用補強材1として、織布や合成樹脂製のシート材等からなる面状補強材11と、モルタル類等の流動性固化材が充填される袋体で構成された表層処理用袋体12、13とを用いるようにし、この表層処理用補強材1を、軟弱地盤G上に平面状に敷設し、表層処理用袋体12、13内に流動性固化材を充填して剛性補強体を形成するようにしたものである。
そして、このうち、流動性固化材が充填される表層処理用袋体12、13は、流動性固化材が導入される基端側袋体12a、13aと、この基端側袋体12a、13aに対して直角方向に2列以上に並んで配置されるとともに、基端側袋体12a、13aにそれぞれ連通して基端側袋体12a、13aから流動性固化材が導入されるようにした分岐側袋体12b、13bとで各々櫛状に構成するようにしている。
これにより、面状補強材11上に撒き出された土の荷重が、充填された流動性固化材が固化することによって剛性を有する袋体12、13、具体的には、分岐側袋体12b、13bで支持されることにより荷重分散が図られ、不均一な沈下の発生を防止することができる。
また、逆に、軟弱地盤Gの周囲の地盤が隆起する場合も、その隆起の力を面状補強材11を介して流動性固化材が充填され剛性を有する分岐側袋体12b、13bで支持することにより荷重分散が図られ、不均一な隆起の発生を防止することができる。
なお、上記結合に用いる結合部材としては、例えば、引張強度:200kgf、直径:3mm、長さ:500〜1000mmのコードを用い、面状補強材11に形成された2個の穴を通して分岐側袋体12b、13bを結び付ける。ネット状の面状補強材11の場合には、コードを通すための穴を形成する必要はない。分岐側袋体12b、13bは、流動性固化材が充填されることにより膨らむのでその分余裕を持って結び付けるようにする。分岐側袋体12b、13bの格子点は、長めのコードを交点に斜めにかけて結び付ける。その他の箇所は短めのコードで結び付ける。
このほか、結合部材としては、例えば、引張強度:400kgf、幅:7mm、長さ:500〜1000mmのベルトを用いることもでき、ベルトの中央部分を予め面状補強材11の所定の位置に縫製しておくようにする。ネット状の面状補強材11の場合も同様に縫製しておいてもよい。
後者のベルト状二重織部分11bを形成する結合方法は、面状補強材11に穴やスリットを形成しないことから、結合部において面状補強材11の強度を低下させない利点がある。
なお、これらの結合方法に、ベルトやコード等の結合部材を用いる結合方法を併用することもできる。
この場合、基端側袋体12a、13aの大径部において分岐側袋体と接合するようにすることにより、接合部分の縫製加工や接着加工が行い易くなり、接合部分の強度が高く、また、接合部分における流動性固化材の流通を円滑にすることができる。
すなわち、流動性固化材が導入される基端側袋体12aと、この基端側袋体12aに対して直角方向に2列以上(本実施例においては、5列。間隔は、約2mに設定するようにしている。)に並んで配置されるとともに、基端側袋体12aに連通して基端側袋体12aから流動性固化材が導入されるようにした分岐側袋体12bとで、一方の櫛状の袋体12を構成するようにし、これにより、分岐側袋体12bへの流動性固化材の導入を効率よく行うことができるようにしている。
また、基端側袋体12aには、必要に応じて、バルブ25を介して、流動性固化材が導入されるもう一方の基端側袋体13aを接続し、この基端側袋体13aと、基端側袋体13aに対して直角方向(基端側袋体12aと平行)に2列以上(本実施例においては、6列。間隔は、約2mに設定するようにしている。)に並んで配置されるとともに、基端側袋体13aに連通して基端側袋体13aから流動性固化材が導入されるようにした分岐側袋体13bとで、他方の櫛状の袋体13を構成するようにし、これにより、分岐側袋体13bへの流動性固化材の導入を効率よく行うことができるようにしている。
なお、本実施例においては、分岐側袋体12bの先端部を、この先端部に配設した分岐側袋体13b’に連通して、分岐側袋体12bの先端部から分岐側袋体13b’に流動性固化材が導入されるようにしているが、分岐側袋体12bの先端部と分岐側袋体13b’とを遮断することもできる。
そして、袋体12、13の流動性固化材の注入口14の対角位置にロードセル27を配設し(この場合、必要に応じて、他の位置や複数位置にロードセルを配設することもできる。)、このロードセル27により検出した流動性固化材の圧力と、流動性固化材の供給側に配設したロードセル28により検出した流動性固化材の圧力とを、データ処理、制御装置26により処理し、流動性固化材供給手段2による流動性固化材の供給状態を把握したり、制御することができる。
ここで、流動性固化材供給手段2による流動性固化材の供給は、両袋体12、13に同時に行うこともできるが、基端側袋体12aのみに先に流動性固化材を導入することによって順次膨張させることにより、表層処理用補強材1を軟弱地盤G上に平面状に展開、敷設する場合には、次の順序で行うようにすることが好ましい。
表層処理用補強材1の展開時には、流動性固化材の注入を0°方向のみ(袋体12のみ)とし、表層処理用補強材1が展開後、バルブ25を切り替えて、90°方向(袋体13)にも注入を行う。そして、流動性固化材が両袋体12、13全体に行き渡った後、バルブ25の切り替えを4〜5回程度繰り返し、流動性固化材の供給(ケーキ層の形成)を行う。
流動性固化材供給手段2による流動性固化材の供給圧力及び流量は、流動性固化材の性状等によっても変化するが、例えば、供給圧力:0.5MPa、流量:50リットル/分程度に設定するようにする。
ちなみに、図1に示す表層処理用補強材1は、流動性固化材供給手段2による基端側袋体12aへの流動性固化材の供給開始後、3分程度で分岐側袋体12bの展開が開始し、以降、2.5〜3m/分の速度で展開が進み、分岐側袋体12bの先端部から分岐側袋体13b’に流動性固化材が導入されて、表層処理用補強材1を完全に展開することができた。
また、表層処理用補強材1全体がフレキシブルで部分的にかさばる部分がないため、表層処理用補強材1をロール状に巻いたり、折り畳んでコンパクトな状態にして搬送することができる。
11 面状補強材
12 表層処理用袋体
12a 基端側袋体
12b 分岐側袋体
13 表層処理用袋体
13a 基端側袋体
13b 分岐側袋体
13b’分岐側袋体
14 流動性固化材の注入口
2 流動性固化材供給手段
21 ミキサー
22 ホッパー
23 ポンプ
24 流量計
25 バルブ
26 データ処理、制御装置
27 ロードセル
28 ロードセル
G 軟弱地盤
Claims (8)
- 流動性固化材が導入される基端側袋体と、該基端側袋体に対して直角方向に2列以上に並んで配置されるとともに、基端側袋体に連通して基端側袋体から流動性固化材が導入されるようにした分岐側袋体とで櫛状に構成されてなる表層処理用袋体を含む表層処理用補強材を、軟弱地盤上に平面状に敷設し、前記表層処理用袋体内に流動性固化材を充填して剛性補強体を形成することを特徴とする軟弱地盤の表層処理方法。
- 表層処理用袋体が、前記表層処理用袋体の長さ方向と幅方向とに配設され、かつそれぞれの一端が連通した2本の前記基端側袋体と、該2本の基端側袋体にそれぞれ連通した複数の分岐側袋体とで格子状に構成されたことを特徴とする請求項1記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 前記分岐側袋体が、表層処理用補強材を構成する面状補強材の全面に亘って部分的に結合されていることを特徴とする請求項1又は2記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 流動性固化材が導入される基端側袋体と、該基端側袋体に対して直角方向に2列以上に並んで配置されるとともに、基端側袋体に連通して基端側袋体から流動性固化材が導入されるようにした分岐側袋体とで櫛状に構成されてなる表層処理用袋体と、表層処理用袋体の上面又は下面に配列された面状補強材と、前記表層処理用袋体内に充填、固化された流動性固化材とを備えてなることを特徴とする軟弱地盤の表層処理材。
- 前記面状補強材の長さ方向と幅方向とに配設され、かつそれぞれの一端が連通した2本の前記基端側袋体と、該2本の基端側袋体にそれぞれ連通した複数の分岐側袋体とで格子状に構成された表層処理用袋体を含むことを特徴とする請求項4記載の軟弱地盤の表層処理材。
- 前記分岐側袋体が、前記面状補強材の全面に亘って部分的に結合されていることを特徴とする請求項4又は5記載の軟弱地盤の表層処理材。
- 流動性固化材が導入される基端側袋体と、該基端側袋体に対して直角方向に2列以上に並んで配置されるとともに、基端側袋体に連通して基端側袋体から流動性固化材が導入されるようにした分岐側袋体とで櫛状に構成されたことを特徴とする軟弱地盤の表層処理用袋体。
- 前記基端側袋体に大径部を形成し、該大径部において分岐側袋体と接合することを特徴とする請求項7記載の軟弱地盤の表層処理用袋体。
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