JP2006348239A - ボールペン用インク - Google Patents

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Abstract

【課題】 クリアドレイン性を向上させる油性ボールペンインクを提供する。
さらに、外観視認性向上のための顔料分散体が配合されている油性ボールペンにおいて、クリアドレイン性を向上させる油性ボールペンインクを提供する。
【解決手段】 25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルと、染料、顔料、又は染料及び顔料の混合物から選ばれる着色剤と、溶剤とを少なくとも含む油性ボールペンインク。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インク収容管に直接収容するボールペンインクに使用するボールペンインク及び当該ボールペンインクを使用したボールペンに関する。
透明又は半透明樹脂製のインク収容部を有するボールペンでは、外観からインク消費量が容易に確認できるという利点を有している。しかし、これらの透明又は半透明樹脂製インク収容部を持つボールペンには、インク収容部にインクが付着して汚染されることにより消費状態が視認できなくなるといった問題がある。
ボールペン製造の技術分野では、透明又は半透明樹脂製のインク収容管において、インク残量が確認可能な性能を、一般的に「クリアドレイン性」と呼んでいる。クリアドレイン性を良好なものにする一つの方法として、インク収容管のインク後端部に追従体を用いる方法がある。しかし、顔料がインク収容管に吸着された場合は、この追従体を使ってもクリアドレイン性が良好にならない場合がある。
特開昭54−127731号公報には、クリアドレイン性を良好にするために、インク収容管にシリコーンオイルを塗布することが記載されている。しかし、インクの物性上、インク後端部に追従体が必須となる場合は、インク収容管にシリコーンオイルを塗布すると、このシリコーンオイルの作用が追従体物質にも作用して、追従体とインクとがインク収容管内で逆転してしまうという不具合が発生する場合がある。
特開2004−83881号公報には、インクに添加物としてジグリセリンに酸化プロピレンを付加重合して得られるエーテル・ポリオールの一種を加えることによりインク組成物側からクリアドレイン性を良好にする方法が記載されている。
一方、筆記具用インク、特にボールペンインクにおいては着色剤が多く配合されているが、着色剤として染料を用いる場合、インク外観色が殆ど黒色に近い暗色となってしまう。例えば赤、青、緑インクでは、インク外観色が描線色とは大きく異なり、殆ど黒色に近い暗色となってしまう。また、ピンク色、空色のような鮮やかな色彩の色であっても、着色剤が染料単独である場合は、インク外観色は描線色とは大きく異なって見える。インク外観色と描線色とを比較的近い色とするために(即ち、「外観視認性」を付与するため)、この場合、所定の色を有する顔料分散体をインク中に添加することが行われている。
着色剤として顔料を用いる場合でも、暖色系の色はともかく、寒色である青系の色については、やはりインクの外観色が暗い色となってしまう。
また、外観視認性を付与するために、白色顔料分散体をインク中に添加することも行われている。これは、分散された白色顔料が着色剤の背景としての役割を果たすからである。さらに、インク外観視認性を付与する目的でなくても、ポールペンインクで筆記したときの筆記描線に耐光性、耐薬品性を持たせるため、着色顔料分散体を使用する場合もある。
しかし、このような目的で顔料分散体をインク中に添加した場合に、これらの顔料分散体粒子がボールペンインクを装填するインク収容管のチューブ壁面に吸着される傾向がある。特に、顔料分散体が、インク収容管の中でボールペンインクに配合される染料等のインク原材料と共存する場合、顔料分散体粒子と染料との相互作用のために、よりチューブ壁面に吸着されやすくなる。その結果、ボールペンリフィールの状態で放置した場合、経時変化により顔料分散体粒子が透明又は半透明樹脂製のチューブ壁面に付着すると、前述したクリアドレイン性が低下するという問題が発生する。また、壁面に付着した粒子は、チューブ壁面の汚れとして認識され外観上見栄えが悪くなる。
視認性を高めるために用いた顔料分散体に起因するクリアドレイン性の低下に関しては、上述した従来用いられている手法はあまり効果が無いことがわかった。
特開昭54−127731号公報 特開2004−83881号公報
かかる現状から、本発明の目的は、クリアドレイン性を向上させる油性ボールペンインクを提供することである。
さらに、本発明の目的は、外観視認性向上のための顔料分散体が配合されている油性ボールペンにおいて、クリアドレイン性を向上させる油性ボールペンインクを提供することにある。
また、本発明の目的は、クリアドレイン性を向上させた油性ボールペンを提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、下記に示す発明により課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルと、染料、顔料、又は染料及び顔料の混合物から選ばれる着色剤と、溶剤とを少なくとも含む油性ボールペンインク。
(2)脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類がインク中の溶剤全量に対して50〜100質量%を占める(1)に記載の油性ボールペンインク。
(3)下記に示す分子構造(1):
Figure 2006348239
からなる溶剤がインク中の溶剤全量に対して50〜100質量%を占める(1)に記載の油性ボールペンインク。
(4)比表面積20m2/g以上である無機窒化物粒子、ブチラール樹脂分散剤、並びに脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類を含む溶剤を少なくとも含有した分散体を含む(1)〜(3)のいずれか一つに記載の油性ボールペンインク。
(5)前記分散体に使用する前記溶剤が下記に示す分子構造(1):
Figure 2006348239
で表される(4)記載の油性ボールペンインク。
(6)(1)〜(5)のいずれか一つに記載のインクを用いるボールペン。
本発明の、25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルを含有するボールペンインクは良好なクリアドレイン性を提供する。
また、視認性確保のための顔料分散体を含むボールペンインクにおいて、経時的にもクリアドレイン性が良好なボールペンインクを提供する。
更に、外観視認性が付与され、かつ、経時的にもクリアドレイン性が良好なボールペンを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明で使用するポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルは、25℃での粘度が600mPa・s以上である。より好ましくは、25℃での粘度が800mPa・s以上、更に好ましくは25℃での粘度が1000mPa・s以上である。25℃での粘度が600mPa・s未満である場合は、経時的なクリアドレイン性を良好とする効果が弱い。
本発明で使用する25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルのインク中への添加量は、インクの全量に対して0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは2〜10質量%である。添加量が0.5質量%より少ない場合は、クリアドレイン性を良好とする効果が少ない。添加量が20質量%を超える場合は、染料等のインク原材料の溶剤に対する溶解性を損ない、また顔料の分散系に悪影響を与え、インクが経時的に不安定となってしまう。
本発明は、25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルをインク中に配合させる点に特徴がある。
当該成分の効果は定かではないが以下のように推測される。
すなわち、25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルは、ボールペンインク溶剤として用いる脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類溶剤と比較し、非極性の物質である。一方、ボールペンリフィールに使用されるインク収容管は、経時的に安定であり且つインク原材料により著しく膨潤しないポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂が一般的に使用されている。このポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂は、非極性の物性を示す。このためインク原材料中では比較的非極性の成分であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルと親和性が良好であると考えられる。
また、一般的に分子量が大きくなると、溶解度パラメーターの極性項の値が小さくなるためより非極性の物質となる。ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルにおいては、粘度が高くなるにつれ分子量が大きくなると考えられる。従って、当該物質が所定の粘度以上となった場合は、ポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂と適度な親和性を示し着色剤又は顔料分散体とインク収容管との間に介在し経時的なクリアドレイン性が良好となると考えられる。
なお、脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類からなるインク溶剤と比較すると非極性を示す物質は多種存在するが、インク溶剤に相溶しない場合がある。また、仮にインク溶剤に相溶した場合においても、分子量が小さい物質は、追従体や、インク収容管を透過して揮発して、インクの分散系に悪影響をおよぼすため使用に適さないと考えられる。
本発明の油性ボールペンインクに使用可能な、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノオクチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノラウリルエーテル、及びそれらの混合物がある。
なお、インク溶剤との極性のバランスを考慮すると、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、及びそれらの混合物がクリアドレイン性に特に効果がある。
25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、日本油脂社製のユニルーブMB−370、ユニルーブMB−700等がある。日本油脂社製のユニルーブMB−370は、25℃での粘度が約800mPa・sであり、平均分子量が約2300の物質である。日本油脂社製のユニルーブMB−700は、25℃での粘度が約1300mPa・sであり、平均分子量が約3000の物質である。
本発明の油性ボールペンインクに用いることができる着色剤は、従来ボールペン用インクに用いられている顔料、染料、又は顔料及び染料の混合物となることができる。
着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、縮合アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロール系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、無機顔料等がある。顔料の配合量はインク組成物全量に対し、0.5〜25質量%、好ましくは、0.5〜20質量%であり、この範囲で必要に応じて配合することができる。
使用できる顔料は、単独又は2種以上の混合物として使用することができる。着色剤が顔料であるインク組成物を製造するには、従来から公知の種々の方法を用いることができる。例えば、各成分を配合し、ディゾルバー等の攪拌機により混合攪拌することにより、また、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、サンドミル、ピンミル等によって混合粉砕した後、遠心分離や濾過によって顔料の粗大粒子、未溶解物、及び混入固形物を取り除くことによって容易に製造することができる。
本発明のボールペンインクに使用する染料としては、一般的な油性ボールペン用インクに使用されているいずれの染料も使用することができる。それらの染料の例としては、通常の染料インク組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料、造塩染料、樹脂に染料を染着した染料等の中から任意のものを使用することができる。
一般的な油性ボールペン用インクに使用されている造塩染料としては、パリファーストカラー(登録商標、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロン染料、アイゼンSOT染料(登録商標名、保土谷化学工業(株)製)がある。
樹脂に染料を染着した染料としては、keiko−Colot MPI−500シリーズ、keiko−Colot MPI−500Cシリーズ、keiko−Colot NKS−1000シリーズがある。
本発明の油性ボールペンインクの一つの態様として、外観視認性を付与するために、インク中にさらに白色顔料分散体を添加した油性ボールペンインクがある。ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル添加物は、このような油性ボールペンインクにおいても良好なクリアドレイン性を提供する。
本発明に用いる外観視認性を付与する白色顔料は無機窒化物微粒子である。無機窒化物微粒子には、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等を挙げることができる。これらの中で、窒化ホウ素が特に好ましい。窒化ホウ素はもっとも白色度が高く、インクの外観視認性を高めるために好適である。また、窒化ホウ素は比較的比重が小さく、本来的に沈降しにくい傾向を有する。本発明に用いることができる無機窒化物微粒子の具体的な例としては、市販品として水島合金鉄社製のBN粉末FS−1(窒化ホウ素微粒子)がある。
ここで使用する無機窒化物微粒子は比表面積20m2/g以上である。より好ましくは、比表面積20〜100m2/g、更に好ましくは、比表面積30〜70m2/gである。比表面積は微粒子の一次粒子径を予測する指標となり、一般的に、比表面積が小さい場合は一次粒子径が大きくなり、比表面積が大きい場合は一次粒子径が小さくなる。本発明において、比表面積が20m2/gより小さいものは無機窒化物微粒子の一次粒子径が大きくなり分散しにくく、また分散しても、沈降等の問題が発生するため好ましくない。
比表面積が大きすぎると無機窒化物微粒子の一次粒子径が小さくなりすぎ、無機窒化物微粒子分散体を安定化させるために多量の分散剤が必要となる。また、経時的に凝集が起こりやすくなり分散体の安定性を損なう場合がある。比表面積が100m2/gを超えると、このような傾向が強くなる。比表面積の測定はBET法を用いて行う。BET法は、比表面積の測定においては一般的に用いられる方法であるので、その具体的な内容は本明細書では省略する。
油性ボールペンインクが外観視認性を有するためには、分散後の分散体中の無機窒化物微粒子の平均粒径は130〜300nmであり、より好ましくは、平均粒径は150〜250nm、更に好ましくは170〜220nmである。ここでいう無機窒化物微粒子の平均粒径は、一次粒子及び二次粒子を含めた平均粒径である。分散後の分散体中の無機窒化物微粒子の平均粒径が大きすぎると粒子沈降の問題が発生し、小さすぎると安定な分散体を得るため多量の分散剤が必要となる場合がある。また、経時的に凝集が起きる場合があり、凝集すると、分散体の透明性が増すことになり、外観視認性を付与する効果が少なくなる等の問題が発生する。平均粒径の測定は、光散乱式粒径測定法で行うことができる。光散乱式粒径測定法、粒径及び粒径分布の測定においては一般的に用いられる方法であるので、その具体的な内容は本明細書では省略する。
外観視認性を付与する分散体中の無機窒化物微粒子の量は、当該分散体の全量に対して1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。無機窒化物微粒子の添加率が少ない場合、当該分散体をボールペンインクに添加する際の比率が高くなり、油性ボールペンインク設計におけるインク成分の配合に自由度がなくなる。無機窒化物微粒子の添加率が高い場合、当該分散体自体の粘度が上昇して分散効率が悪くなり、さらに、経時的に当該分散体がゲル化する等の不具合が発生する。
外観視認性を付与する分散体に用いる分散剤としてブチラール樹脂を用いる。
ここで用いるブチラール樹脂は、計算によって得られる分子量が5000〜200000であり、より好ましくは10000〜100000、更に好ましくは15000〜60000が好ましい。計算分子量が5000より小さい場合、分散剤としての効果が弱く経時的に安定な分散体が得られにくい。計算分子量が200000を超えると、分散剤自体が分子間で相互作用をするため分散体が初期からゲル化する傾向となる。また、経時的にも安定な分散体が得られにくい。
本発明に用いるブチラール樹脂としては、市販されているものを用いることができ、例えば、積水化学社製のエスレックBシリーズのBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−A、BH−S、BX−1、BX−3、及びBX−5、並びにエスレックKSシリーズのKS−10、KS−1、KS−3、及びKS−5等がある。
外観視認性を付与する分散体の調製に用いる溶剤は、脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類である。
従来の油性ボールペンインクに使用されている溶剤を用いることができるが、一般的なベンジルアルコールやエチレングリコールモノフェニルエーテル等の芳香族アルコールや芳香族グリコールモノエーテルを溶剤として使用すると、ブチラール樹脂で分散した無機窒化物微粒子分散体の経時的な安定性が悪く、経時的に粘度変化や無機窒化物微粒子が沈降する等の問題が発生する。この原因は定かではないが、芳香族系溶剤中においてはブチラール樹脂が顔料表面に吸着しにくいことや顔料表面に吸着したブチラール樹脂が拡がり難いためと考えられる。
外観視認性を付与する分散体は、ビーズミル、ロール等の一般的な分散機で分散させることが可能である。しかし、本発明で使用する無機窒化物微粒子を、所定の粒子径まで分散するため、また、粗大粒子を極力減らすためには、他の有機顔料以上に強い分散エネルギーが必要となる。従って、分散には比較的強い分散エネルギーを発揮する分散機により分散することが好ましい。
本発明で使用する無機窒化物微粒子を分散するにおいて、他の微粒子、例えば、有機顔料を分散するのに必要な分散エネルギーを超える分散エネルギーを必要とするのは、無機窒化物微粒子の製造方法に起因すると考えられる。
一次粒子径の小さい無機窒化物微粒子を得るために製造時に結晶成長させる際、反応を比較的早く終了させ結晶が大きくならないようにコントロールする必要がある。そのため、製造時に未反応物質であるホウ酸等が残存し易く、当該未反応物がバインダーの役割をして無機窒化物微粒子をほぐれにくくしているためと考えられる。
本発明のボールペンインクに用いるインク溶剤は、脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類である。脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類は、インク中の溶剤全量に対して50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは、90〜100質量%含まれているのが好ましい。
脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類がインク中の溶剤全量の50%より少ない場合は、外観視認性を付与するための無機窒化物微粒子分散体をインクに添加した際に、分散体の安定性が損なわれ、インク中で無機窒化物微粒子が沈降する不具合が発生する。
本発明のインク組成物に用いる溶剤は、20℃での蒸気圧が0.01〜50mmHg、より好ましくは0.05〜30mmHg、更に好ましくは0.2〜10mmHgが好ましい。
蒸気圧が低すぎるとボールペンインクとして紙面に筆記した際に描線乾燥性、裏抜け等の問題が発生する。蒸気圧が高すぎるとボールペンとした際にペン先から溶剤が揮発し、初筆性が悪くなり、筆記不能の原因となる。また、ペン後端部にインク追従体を置き直接揮発を抑制したとしても経時的に溶剤がインク追従性を透過しインクの物性が変化する不具合が発生する。
なお、本発明のボールペンにおいては、適切な脂肪族系の溶剤を使用したとしてもペン後端部からインク溶剤の揮発を抑制し、またインク溶剤の吸湿を抑制するためにインク追従体をインク後端部に充填することが好ましい。
本発明の油性ボールペンインクに使用可能な溶剤は、具体的にアルコール類としては、炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノールやその他多種の高級アルコール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3ブンタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、1,3ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールターシャリ−ブチルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
特に好ましい溶剤は次の化学式1で示される溶剤である。
Figure 2006348239
化学式1を有する溶剤として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3ブタンジオール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等が挙げられる。
これらの溶剤は、外観視認性を付与するための白色顔料の分散性、溶剤の蒸気圧に起因するボールペンインクの性能面、安全性及び経口毒性等の点から好ましい。
本発明のボールペンインクは、外観視認性を付与する白色顔料分散体、染料以外にボールペンの筆記性能を向上するための色剤、樹脂、界面活性剤、補助溶剤等を添加することが可能である。さらにはインクに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防徽剤、潤滑剤及び湿潤剤等を配合することができる。
補助溶剤としては、脂肪族系の溶剤だけでなく、芳香族系の溶剤も使用可能である。特に、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテルは染料の溶解助剤として有効であるため、補助溶剤として使用すると好ましい場合がある。
本発明のボールペンは、ボール、チップホルダーからなるペン先、インク収容管、チップと該収容管をつなぐ継ぎ手、ペン軸等から構成され、前記インク収容管に本発明のボールペン用インク組成物を充填したものである。
本発明のインク組成物をボールペンに用いる場合には、インク追従体をボールペン後端部に付与することが好ましい。使用する溶剤は揮発性があるので、揮発防止、吸湿性防止、インク漏れ防止としてインク追従体を添加するものである。
以下に実施例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって、何等限定されるものではない。
着色剤として顔料を用いる場合と、着色剤として染料を用いる場合について実験した。
着色剤として顔料を用いる場合は、着色顔料の分散体を以下のように調製した。
<着色顔料の分散体>
CROMOPHTAL Blue A3R 20.0質量%
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)(青色顔料)
エスレックB BL−10(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂)10.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 70.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
このようにして得られた着色顔料の分散体を以下の例において「着色顔料分散体」と呼ぶ。
着色剤として染料を用いる場合は、外観視認性を付与するために、白色顔料分散体を以下のように調製した。
<白色顔料の分散体>
BN粉末FS−1(水島合金鉄社製)(白色微粒子:窒化ホウ素) 10.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂) 5.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 85.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
このようにして得られた白色顔料の分散体を以下の例において「視認性付与分散体」と呼ぶ。
実施例1(本発明のボールペンインクの調製)
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ユニルーブMB−370(日本油脂社製) 6.0質量%
(ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル)
ソルフィット(クラレ社製) 36.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。なお、ユニルーブMB−370は25℃での粘度が700mPa・sである。
実施例2(本発明のボールペンインクの調製)
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ユニルーブMB−700(日本油脂社製) 6.0質量%
(ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル)
ソルフィット(クラレ社製) 36.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。なお、ユニルーブMB−700は25℃での粘度が1300mPa・sである。
実施例3(本発明のボールペンインクの調製)
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ユニルーブMB−700(日本油脂社製) 4.0質量%
(ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル)
ソルフィット(クラレ社製) 39.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。
実施例4(本発明のボールペンインクの調製)
着色顔料分散体 40.0質量%
Aizen spilon Blue C-RH(保土谷化学社製)(染料) 8.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 10.0質量%
ユニルーブMB−700(日本油脂社製) 6.0質量%
(ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル)
ソルフィット(クラレ社製) 36.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、青色のボールペンインクを得た。
実施例5(本発明のボールペンインクの調製)
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル 6.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 36.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。なお、ここで使用したポリプロピレングリコールモノメチルエーテルは25℃での粘度が1300mPa・sである。
実施例6(本発明のボールペンインクの調製)
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル 6.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 36.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。なお、ここで使用したポリプロピレングリコールモノエチルエーテルは25℃での粘度が1300mPa・sである。
比較例1
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 10.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 39.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。
比較例2
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 10.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 40.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。
比較例3
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 12.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 58.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。
比較例4
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 8.0質量%
ユニルーブMB−38(日本油脂社製) 6.0質量%
(ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル)
ソルフィット(クラレ社製) 36.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。なお、ここで使用したユニルーブMB−38は25℃での粘度が490mPa・sである。
比較例5
着色顔料分散体 40.0質量%
Aizen spilon Blue C-RH(保土谷化学社製)(染料) 8.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 12.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 40.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、青色のボールペンインクを得た。
比較例6
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ポリエチレングリコールモノブチルエーテル 6.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 36.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。なお、ここで使用したポリエチレングリコールモノブチルエーテルは25℃での粘度が1500mPa・sである。
比較例7
視認性付与分散体 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ポリブチレングリコールモノブチルエーテル 6.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 36.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。なお、ここで使用したポリブチレングリコールモノブチルエーテルは25℃での粘度が1500mPa・sである。
以上の実施例及び比較例で得られた分散体、ボールペンインクを以下の評価テストにより評価を行った。
<評価テスト>
ボールペンインクを内層がポリプロピレンのチューブに搭載し、先端にボールペン用チップ、後端部に鉱油からなるフォロワーを充填した三菱鉛筆社製SXR−10のボールペンリフィール形態とした。このリフィールを温度50℃、湿度80%の条件下に1週間放置した。放置後のリフィールを適当な軸に入れ、筆記速度4.5m/、荷重1960mN(200gf)、100mの条件で筆記を行った。
筆記終了後のリフィールを回収し、筆記直後及び室温で1日放置後の状態を観察し、下記評価基準にてクリアドレイン性の評価を行った。
<評価基準>
○:クリアドレイン性が良好であり、インク追従体がほとんどインク中に潜り込まない。
△:クリアドレイン性がやや劣り、インク追従体がインク中に少し潜り込む。
×:クリアドレイン性が非常に悪く、初期からのインク位置からほとんどインクはじきがない。
上記評価テストを行った結果を表1に示す。
Figure 2006348239
実施例1は、筆記直後、インク追従体がインク中に少し潜り込む結果が得られた。ただし、1日放置すると、徐々にインクがはじかれ、クリアドレインが良好な状態となっていた。実施例1に使用したユニルーブMB370は、実施例2及び3に使用したユニルーブMB700より粘度が低く、分子量が小さいと考えられるので、クリアドレイン性に及ぼす効果が少し弱いと考えられる。
実施例2、3及び4は、筆記直後及び1週間放置後のいずれにおいても良好な効果が得られた。
実施例5及び6は、筆記直後、インク追従体がインク中に少し潜り込む結果が得られた。ただし、1日放置すると、徐々にインクがはじかれ、クリアドレインが良好な状態となっていた。実施例2よりは、少し劣る結果となっているものの、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテルの添加によってもクリアドレイン性に効果的であることがわかる。
比較例1及び2はいずれも、筆記直後及び1週間放置後の両方においてクリアドレイン性が非常に悪いという結果が得られた。
比較例3は、筆記直後及び1週間放置後の両方においてクリアドレイン性が良好な結果が得られた。ただし、視認性付与分散体を添加していないため染料インクの外観視認性がなく、インク色は紫であるのに対し、リフィールの外観は黒色であった。
比較例4は、25℃での粘度が600mPa・s未満であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルを添加したインクである。この例では、筆記直後及び1週間放置後の両方においてクリアドレイン性が非常に悪い結果が得られた。
比較例5は、筆記直後においてはクリアドレイン性が非常に悪い結果が得られた。しかし、1週間放置すると、徐々にインクがはじかれ、インクが少し潜り込んだ状態となった。
比較例6は、筆記直後及び1週間放置後の両方においてクリアドレイン性が非常に悪い結果が得られた。これは、ポリエチレングリコールモノブチルエーテルの極性が高く、インク収容管の材質であるポリプロピレンとの親和性が弱いことに起因し、経時的なクリアドレイン性の向上効果が無いためと考えられる。
比較例7は、インク調製の際にポリブチレングリコールモノブチルエーテルがインク溶剤と相溶しない結果が得られた。ポリブチレングリコールモノブチルエーテルの極性が低いことに起因すると考えられる。
以上の例により、本発明の、25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルを添加するとクリアドレイン性において良好な効果が得られる結果となった。
着色顔料を用いるインクにおいても、本発明の、25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルを添加すると(実施例4)、添加しない場合(比較例5)と比較して、クリアドレイン性が改善される効果が得られる結果となった。
また、白色顔料分散体を添加していない染料インク(比較例3)においては、クリアドレイン性は良好であるが、外観視認性を付与させるために白色顔料分散体を添加すると、クリアドレイン性に問題が発生することも認められた(比較例1及び2)。
また、極性の高いポリエチレングリコールモノブチルエーテルを使用したインクでは、25℃での粘度が600mPa・s以上であっても効果がなく(比較例6)、極性の低いポリブチレングリコールモノブチルエーテルを使用したインクでは、これがインク溶剤と相溶しないため、使用できないことが認められた(比較例7)。

Claims (6)

  1. 25℃での粘度が600mPa・s以上であるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルと、染料、顔料、又は染料及び顔料の混合物から選ばれる着色剤と、溶剤とを少なくとも含む油性ボールペンインク。
  2. 脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類がインク中の溶剤全量に対して50〜100質量%を占める請求項1に記載の油性ボールペンインク。
  3. 下記に示す分子構造(1):
    Figure 2006348239
    からなる溶剤がインク中の溶剤全量に対して50〜100質量%を占める請求項1に記載の油性ボールペンインク。
  4. 比表面積20m2/g以上である無機窒化物粒子、ブチラール樹脂分散剤、並びに脂肪族アルコール類及び/又は脂肪族グリコールモノエーテル類を含む溶剤を少なくとも含有した分散体を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の油性ボールペンインク。
  5. 前記分散体に使用する前記溶剤が下記に示す分子構造(1):
    Figure 2006348239
    で表される請求項4に記載の油性ボールペンインク。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクを用いるボールペン。
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