JP2006347784A - ソイルセメント流動化剤及び固結体の構築方法 - Google Patents

ソイルセメント流動化剤及び固結体の構築方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 施工時の廃泥量を大幅に削減できるとともに、ソイルセメントをより均質なものとすることができ、構築した固結体の強度や止水性を著しく向上することが可能なソイルセメント流動化剤、及び、該ソイルセメント流動化剤を用いたソイルセメント固結体の構築方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される構成単位(a)及び下記一般式(2)で表される構成単位(b)を有する共重合体を含んでなるソイルセメント流動化剤である。
【化1】
Figure 2006347784

【化2】
Figure 2006347784

【選択図】 なし

Description

本発明は、ソイルセメント流動化剤及び固結体の構築方法に関する。より詳しくは、例えば、地盤改良工法、山留め工法、基礎杭工法、埋め戻し工法等の種々の工法に使用されるソイルセメント流動化剤、及び、該ソイルセメント流動化剤を用いた固結体の構築方法に関する。
ソイルセメントとは、施工現場の土にセメント又はこれに水を加えて混合した材料であり、このようなソイルセメントを用いた固結体(ソイルセメント固結体)の構築方法としては、例えば、地盤改良工法、山留め工法、基礎杭工法、埋め戻し工法等の種々の工法が一般に知られている。これらの工法では、通常、施工現場の土壌を掘削しながら、セメントと水とを予め混合したセメントミルクを当該土壌に添加してソイルセメントを造成し、掘削孔にソイルセメント固結体等の地中構造物を形成する等して地盤の強化を図ることになるが、ソイルセメントを造成する場所により、(1)地中(原地盤)でソイルセメントを造成する工法、及び、(2)地上でソイルセメントを造成する工法に大きく分類される。
上記(1)の工法としては、深層混合処理工法や浅層混合処理工法等の地盤改良工法;ソイルセメント柱列壁工法(ソイルセメント地中壁工法)等の山留め工法;鋼管ソイルセメント杭工法や、鋼管の代わりにPHC杭等の既製杭を使用する合成杭工法等の基礎杭工法等が挙げられる。これらの工法では、原理的に、地盤に注入したセメントミルクの体積に等しい廃泥(産業廃棄物としての汚泥)が発生することになるが、この処理には、多額の処理費用を必要とするばかりでなく、環境に悪影響を与えるという問題点があり、また最近では、廃棄場所そのものの確保も困難となっていることから、必要な流動性及び硬化後の強度等の性能が得られる範囲内で、セメントミルクの注入率(対象土に対するセメントミルクの体積比)を低くすることが望まれている。
中でも、ソイルセメント柱列壁工法や鋼管ソイルセメント杭工法等は、地中でソイルセメントを造成した後、このソイルセメント中にH型鋼や鋼管等の応力材を建て込む工法であるが、造成時の撹拌トルクの低減や、応力材建て込み時のソイルセメントへの挿入の容易化のために、硬化前のソイルセメントには適度な流動性が必要となる。そのため、従来では、セメントに対する水の質量比(W/C(質量比))の高いセメントミルクを大量に注入することにより流動性を確保していたが、この場合には廃泥が大量発生し、セメントの浪費を招いていたことから、これらの点で改善すべき課題を有していた。
上記(2)の工法としては、ソイルセメント埋め戻し工法が挙げられる。この工法は、建設工事で発生する掘削土や浚渫土等にセメントミルクを地上で添加・混合し、埋め戻し材料や構造体材料等に利用することにより、これらの土を有効活用しようというものである。また最近では、構造物周辺等の狭隘な場所にバイブレーター等の補助工法を行わないでソイルセメントを充填することができるソイルセメント流動化処理工法が開発され、普及しつつある。このような工法においては、ソイルセメントに極めて高い流動性が要求されるため、大量の混練水、ひいては大量のセメントミルクが必要となり、その結果、得られるソイルセメント中に占める土の割合は低く、建設発生土の充分な有効活用が図れていないのが実情である。また、流動性確保のためにW/Cの大きいセメントミルクを大量に添加しているため、充分な強度が得られない等という現象も招いており、W/Cの小さいセメントミルクを少量注入する場合でも流動性や強度等の物性を充分に発揮できるようにするための工夫の余地があった。
そこで、ソイルセメントの造成時に各種添加剤を加えてソイルセメントを流動化する手法が種々検討されており、添加剤としてスルホン酸基を有するポリマーを用いている技術として、例えば、アクリル酸等により生成された単一重合体、共重合体又はそれらの塩であり、特定の重量平均分子量を示すものを含有するセメント添加粘性土用減水剤が開示され(例えば、特許文献1参照。)、実施例では、アクリル酸ソーダとスチレンスルホン酸ソーダ又はアクリルアミドプロパンスルホン酸ソーダとの共重合体が用いられている。また、粉末状ベントナイトと、(a)無機酸、有機酸及びこれらの塩、並びに、(b)カルボン酸基、スルホン酸基及びリン酸基から選ばれる官能基を有するポリマー及びこれらの塩からなる群から選ばれる粉末状分散剤とを含有する粉末状ソイルセメント添加剤組成物が開示されており(例えば、特許文献2参照。)、実施例において、ポリスチレンスルホン酸ソーダが用いられている。しかしながら、これらの添加剤においては、ソイルセメントにより高度の流動性を付与できるようにすることにより、施工時に発生する廃泥量を更に充分に低減するとともに、構築した固結体が高強度かつ優れた止水性を有することができるようにするための工夫の余地があった。
更に50〜100モル%の(メタ)アクリル酸と、0〜50モル%の水溶性エチレン性不飽和単量体との重合体であって、末端にスルホン酸基を有する重合体を含有する土の分散剤を用いた高圧地盤注入工法用減水剤が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この減水剤は、ソイルセメントの流動性向上や流動性保持による掘削性や作業性の向上、発生する廃泥の削減を実現することができるため、地盤改良剤として非常に有用なものである。しかしながら、このような減水剤においては、ソイルセメントに更に優れた流動性を付与できるようにし、種々の固結体の構築方法においてより好適に適用できるようにするための工夫の余地があった。
特開平7−257951号公報(第2、6頁) 特開平10−95976号公報(第2、5頁) 特開平11−279544号公報(第2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、施工時の廃泥量を大幅に削減できるとともに、ソイルセメントをより均質なものとすることができ、構築した固結体の強度や止水性を著しく向上することが可能なソイルセメント流動化剤、及び、該ソイルセメント流動化剤を用いた固結体の構築方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、ソイルセメントの流動化について種々検討したところ、カルボキシル基やスルホン酸基を含む共重合体をセメントミルクに添加することにより、ソイルセメントを流動化することができることにまず着目し、カルボキシル基を含む特定の構造単位と、スルホン酸基を含む特定の構造単位とを有する共重合体を含有するソイルセメント流動化剤とすると、ソイルセメントの流動性を格段に高めることができることに起因して、セメントミルクの土壌への注入量(添加量)を低減することができるため、施工時の廃泥量を大幅に削減でき、しかも施工時の掘削性や作業性を向上することが可能となることを見いだした。また、このようなソイルセメント流動化剤を用いることにより、粘性土壌の分散性が向上されるため、ソイルセメントがより均質になり、地下等に構築した固結体の強度や止水性も向上されることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。そして、スルホン酸基を含む特定の構造単位を、更に水酸基をも有するものとすると、ソイルセメント流動化剤の親水性がより高まるため、耐ゲル性が向上し、例えば、カルシウムイオン等の硬度成分が多い土壌に対しても好適に使用できるものとなることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される構成単位(a)及び下記一般式(2)で表される構成単位(b)を有する共重合体を含んでなるソイルセメント流動化剤である。
Figure 2006347784
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、メチル基又は−COOXを表し、かつ、R及びRは、同時に−COOXを表さない。Rは、水素原子、メチル基又は−CHCOOXを表す。なお、Rが−CHCOOXを表す場合には、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)
Figure 2006347784
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Y及びZは、同一若しくは異なって、水酸基又はスルホン酸(塩)基を表し、かつ、Y及びZの少なくとも一方は、スルホン酸(塩)基を表す。)
以下に本発明を詳述する。
本発明のソイルセメント流動化剤は、上記一般式(1)で表される構成単位(a)及び上記一般式(2)で表される構成単位(b)を有する共重合体を含んでなるが、このような共重合体は、ソイルセメント流動化剤100質量%中、70質量%以上含有されることが好適である。より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。なお、上記ソイルセメント流動化剤は、本発明の作用効果を損なわない範囲内で、上記共重合体以外の後述する他の成分を含有することができる。
上記共重合体において、構成単位(a)及び(b)は、それぞれ1種又は2種以上有することができ、また、更にその他の構成単位(c)を1種又は2種以上有していてもよい。
上記一般式(1)で表される構成単位(a)において、X、X及びXは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表すが、金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の一価金属原子であることが好ましく、また、有機アミン基(プロトン化された有機アミン)としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であることが好適である。
上記一般式(1)で表される構成単位(a)としては、例えば、下記一般式(3);
Figure 2006347784
(式中の記号は、上記一般式(1)における記号と同様である。)で表される単量体(A)に由来する構成単位であることが好ましい。また、重合反応等の過程で生じるものであってもよい。なお、単量体(A)が複数のカルボキシル基を有する場合は、そのカルボキシル基が、分子内で酸無水物を形成している構造も含む。
上記一般式(3)で表される単量体(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタクリル酸)、クロトン酸、チグリン酸、3−メチルクロトン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物等;これらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の1種又は2種以上を使用することができる。中でも、アクリル酸、マレイン酸及びこれらのナトリウム塩が好適である。
上記一般式(2)で表される構成単位(b)において、Y及びZは、同一若しくは異なって、水酸基又はスルホン酸(塩)基を表すが、スルホン酸(塩)基とは、スルホン酸基又はスルホン酸塩基を意味し、スルホン酸塩基としては、例えば、アンモニウム塩、金属塩又は有機アミン等とスルホン酸とからなる基であることが好ましい。金属塩を構成する金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の一価金属原子であることが好適である。有機アミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であることが好適である。
上記一般式(2)で表される構成単位(b)としては、Y及びZのうち一方がスルホン酸(塩)基、他方が水酸基を表す形態のものであることが好適である。これにより、ソイルセメント流動化剤の親水性がより高められることに起因して、耐ゲル性(耐ゲル化能)が向上され、例えば、カルシウムイオン等の硬度成分が多い土壌に対しても好適に適用することが可能となる。このように、上記一般式(2)におけるY及びZが、これらの一方がスルホン酸(塩)基を表し、他方が水酸基を表す形態は、本発明の好適な形態の1つである。
上記一般式(2)で表される構成単位(b)としてはまた、例えば、下記一般式(4);
Figure 2006347784
(式中の記号は、上記一般式(2)における記号と同様である。)で表される単量体(B)に由来する構成単位であることが好ましい。また、重合反応等の過程で生じるものであってもよい。
上記一般式(4)で表される単量体(B)としては、例えば、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸及びその塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等)、3−(メタ)アリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−プロパンスルホン酸及びその塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等)等の1種又は2種以上を使用することができる。中でも、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムが好適である。
上記共重合体において、構成単位(a)と構成単位(b)との相互割合としては、例えば、構成単位(a)50〜95モル%、構成単位(b)5〜50モル%であることが好適である。このような範囲に設定することにより、ソイルセメントの分散性や流動性を充分に向上させることが可能となる。また、耐ゲル性が向上されることに起因して、例えば、カルシウムイオン等の硬度成分が多い土壌に対して用いた場合にも、共重合体のゲル化が充分に抑制され、ソイルセメントの流動性向上という本発明の作用効果が充分に発揮されることとなる。ここで、構成単位(a)が上記範囲よりも多く、構成単位(b)が上記範囲未満であると、耐ゲル性を向上させることができないおそれがあり、逆に構成単位(a)が上記範囲未満であり、構成単位(b)が上記範囲よりも多いと、キレート能や分散性能をより充分に発揮できないおそれがある。より好ましくは、構成単位(a)60〜95モル%、構成単位(b)5〜40モル%である。
なお、上記共重合体における構成単位(a)と構成単位(b)との合計の比率(モル%)としては、共重合体全体の構成単位を100モル%とすると、50〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは、70〜100モル%である。
上記共重合体としてはまた、上述したように、構成単位(a)及び構成単位(b)の他に、その他の共重合可能な単量体(C)由来の構成単位(c)を有していてもよいが、構成単位(c)としては、共重合体全体を100モル%とすると、50モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、30モル%以下である。
このような構成単位(c)を与える単量体(C)としては、単量体(A)及び/又は単量体(B)と共重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸といった共役ジエンスルホン酸等のスルホン酸系単量体及びそれらの塩;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンにエチレンオキサイドを1〜200モル付加させた化合物(3−アリルオキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン等)、(メタ)アリルアルコール、(メタ)アリルアルコールにエチレンオキサイドを1〜100モル付加させた化合物等のポリオキシエチレン基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;イソプレノール、イソプレノールにエチレンオキサイドを1〜100モル付加させた化合物等のイソプレン系単量体;スチレン等の芳香族不飽和単量体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記共重合体としては、下記式(1);
A=1/(Abs−Abs0) (式1)
で定義されるA値(耐ゲル化能A値)が100以上であることが好適である。100未満であると、カルシウムイオン等による上記共重合体のゲル化が起こりやすくなり、ゲル化した上記共重合体は水溶性を失って沈殿となり、分散性や流動性等の特性が充分とはならないおそれがある。その結果、例えば、カルシウムイオン等の硬度成分が多い土壌に対して好適に使用することができないおそれがある。より好ましくは200以上であり、更に好ましくは300以上である。なお、この耐ゲル化能A値の大きい共重合体ほどカルシウムイオンとの結合によるゲル化を起こしにくい(耐ゲル性が高い)ことを示す。
上記式(1)において、「Abs」とは、UV(紫外線)波長380nmにおける上記(メタ)アクリル酸系重合体のUV吸光度値であり、「Abs0」とは、UV波長380nmにおけるブランクの吸光度値である。なお、これらのUV吸光度値は、例えば、下記のようにして求めることができる。
[UV吸光度値の測定]
500mlのトールビーカーに脱塩水、ホウ酸−ホウ酸ナトリウムpH緩衝液、(共)重合体水溶液及び塩化カルシウム水溶液をこの順に加え、pH8.6、(共)重合体濃度を固形分換算で100mg/L、カルシウム硬度を500mgCaCO/Lに調整する。この試験液を90℃の恒温槽に1時間静置した後、撹拌してから、5cm石英セルに入れ、UV波長380nmでの吸光度Absを測定する。ブランクとして、上記の試験液から塩化カルシウムを除いた試験液を用意し、同様の操作を行って吸光度Abs0を測定する。
上記共重合体の重量平均分子量としては、下限が1000、上限が50000であることが好適であり、これにより、キレート能と分散性能との双方の特性を充分に発揮できることとなり、ソイルセメントの流動性がより向上され、より均質なものとなる。ここで、重量平均分子量が1000未満であると、キレート能が充分とはならず、50000を超えると、分散性を向上することができないおそれがあるため、いずれの場合も、本発明の作用効果をより充分に発揮できないおそれがある。より好ましくは、下限が2000、上限が30000であり、更に好ましくは、下限が3000、上限が20000である。
なお、重量平均分子量としては、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工社製、商品名「Shodex−GPC SYSTEM−21」を用い、下記の条件で測定することができる。
(重量平均分子量の測定条件)
カラム:昭和電工社製「Asahipak GF−710 HQ」及び「Asahipak GF−310 HQ」をこの順で接続したもの
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=7/3(vol比)
流速:0.5ml/分
温度:40℃
検量線:ポリアクリル酸ナトリウム標準サンプル(アメリカンポリマースタンダード社品)を用いて作成。
上記共重合体を製造する方法としては、例えば、構成単位(a)を与える単量体(A)と、構成単位(b)を与える単量体(B)とを必須成分として含む単量体成分を共重合することにより得る方法が好適である。また、単量体成分を共重合する際には、必要に応じ、上記その他の共重合可能な単量体(C)を更に共重合させてもよい。
このような製造方法においては、重合開始剤を用いて単量体成分を共重合すればよい。なお、上記共重合体を構成する構成単位が上述したようになるように、単量体成分に含まれる単量体の種類や使用量を適宜設定することになる。
上記共重合方法としては、例えば、溶液重合やバルク重合、懸濁重合、乳化重合等の通常用いられる方法で行うことができ、特に限定されるものではない。共重合反応の際の溶媒としては、特に限定されず、例えば、水や、イソプロピルアルコール等の炭素原子数1〜4の低級アルコールを用いることが好ましく、これらは単独溶媒であっても混合溶媒であってもよい。中でも、脱溶剤工程を省略できる点で、水を溶媒に用いることがより好適である。
上記共重合反応において、重合開始剤としては特に限定されず、例えば、2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)塩酸塩、2,2−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等のアゾ化合物;過酸化水素、tert−ブチルヒドロキシパーオキシド等の過酸化物;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等の1種又は2種以上を使用することができる。中でも、重合率向上、残存単量体量低減の点から、過硫酸塩を用いることが好ましく、さらに過酸化水素を併用することが好ましい。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、例えば、全単量体成分100重量部に対し、下限が0.001重量部、上限が10重量部とすることが好適である。
上記共重合反応においてはまた、亜硫酸塩を用いることが好適である。これにより、得られる共重合体の主鎖末端に定量的にスルホン酸基を導入することができることとなり、耐ゲル性を更に充分に向上することが可能となる。なお、スルホン酸基を定量的に導入できるということは、亜硫酸塩が連鎖移動剤等として非常に良好に機能していることを示しており、これにより、重合反応系に過剰な連鎖移動剤等を添加する必要がなくなり、共重合体の製造コストの上昇を低減するとともに、製造効率が向上され、しかも不純物を充分に低減することが可能となる。また、重合反応系に亜硫酸塩を加えることによって、得られる共重合体が必要以上に高分子量化することが抑制されることにもなる。
上記亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、亜硫酸水素ナトリウムが特に好適である。なお、通常用いられるその他の連鎖移動剤と併用することもできる。上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;チオジエタノール、テトラエチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類;四塩化炭素等のハロゲン化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、メルカプタン類が好適である。
上記亜硫酸塩の使用量は、例えば、全単量体成分100モルに対し、下限が2モル、上限が15モルとすることが好ましい。2モル未満であると、重合体の主鎖末端に定量的にスルホン酸基を導入できないおそれがあり、15モルを超えると、余剰の亜硫酸塩が反応系中で分解され、亜硫酸ガスが発生するおそれがあり、しかも経済的にも不利となるおそれがある。より好ましくは、下限を3モルとすることであり、また、上限を10モル未満とすることがより好ましい。
上記共重合に際しては、上記連鎖移動剤及び重合開始剤とともに、重合助剤を併用してもよい。重合助剤としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モール塩(硫酸第1鉄アンモニウム6水和物)等の遷移金属化合物、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のメルカプト化合物;アスコルビン酸塩等を用いることができる。この重合助剤は、あらかじめ反応系内に仕込んでおけばよく、添加量は、通常、全単量体成分に対して、遷移金属化合物では0.1ppm〜50ppm、メルカプト化合物やアスコルビン酸塩等では、0.1質量%〜5質量%であることが好ましい。
上記共重合反応はまた、酸性条件下で行うことが好適である。具体的には、pH5未満の条件下で行うことが好ましく、また、中和度が40モル%未満で行うことが好適である。このように酸性条件下で重合反応を行うことにより、重合反応系の水溶液の粘度が上昇することがなく、低分子量の重合体を良好に製造することが可能となる。しかも、後述するように従来よりも高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるため、製造効率を大幅に上昇させることができることとなる。また、高濃度かつ一段で重合を行うことが可能となるため、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することができ、上記共重合体の生産性が充分に向上され、製造コストの上昇も抑制することができることとなる。より好ましくは、pH5未満かつ中和度40モル%未満の条件下で重合反応を行うことである。中和度としては、30モル%未満であることが更に好ましく、20モル%未満であることが特に好ましい。
上記共重合反応において、共重合の際の反応温度としては特に限定はされないが、例えば、50〜150℃とすることが好適である。50℃未満であると、共重合反応性が充分とはならず、未反応の単量体を充分に低減することができないおそれがあり、150℃を超えると、副反応を充分に抑制することができず、反応制御を簡便にすることができないおそれがある。より好ましくは、70〜120℃であり、最も好ましくは、80〜110℃である。なお、上記共重合反応は、沸点還流下で行ってもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、大気下で行ってもよい。
上記共重合反応において、各単量体成分、亜硫酸塩及び重合開始剤は、それぞれ所定の滴下時間をかけて別々に連続滴下又は分割投入することが好適である。滴下時間は、適宜設定すればよいが、例えば、30〜480分とすることが好ましい。滴下時間が長すぎると、生産性が充分とはならないおそれがあり、滴下時間が短すぎると、例えば、重合体末端へのスルホン酸基の導入が効果的に行えなくなるおそれがある。より好ましくは、45〜240分である。また、滴下速度は特に限定されるものではなく、例えば、滴下開始から終了まで一定速度であってもよいし、必要に応じて時間の経過に伴い滴下速度を変化させてもよい。各単量体成分、亜硫酸塩及び重合開始剤の滴下開始及び滴下終了のタイミングは特に限定されるものではなく、例えば、亜硫酸塩の滴下開始を各単量体成分や重合開始剤の滴下開始よりも早く行ってもよいし、全ての滴下を同時に開始してもよい。
上記各単量体成分の反応容器への投入方法としては特に限定されず、例えば、全量を反応容器に初期に一括投入する方法;全量を反応容器に分割若しくは連続投入する方法;一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割若しくは連続投入する方法等のいずれでもよい。好適な投入方法として、具体的には、下記の(1)〜(3)の方法等が挙げられる。中でも、単量体(B)の一部又は全部を初期一括仕込みとする形態が最も好ましい。
(1)単量体(A)及び単量体(B)の全部を反応容器に連続投入する方法。
(2)単量体(A)の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(A)の残り及び単量体(B)の全部を反応容器に連続投入する方法。
(3)単量体(A)の一部及び単量体(B)の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(A)の残り及び単量体(B)の残りをそれぞれ反応容器に交互に数回に分けて分割投入する方法。
上記共重合反応においては、重合反応が終了した時点で、水溶液中の固形分濃度、すなわち重合反応系における固形成分の濃度(例えば、単量体の重合固形分濃度)は特に制限はないが、40質量%以上となっていることが好ましく、これにより、共重合体の製造効率を大幅に上昇させることが可能となる。より好ましくは45質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。
ここで、重合反応が終了した時点とは、例えば、上述した各成分の滴下終了後であってもよいし、また、上述した各成分の滴下終了後、更に一定時間(例えば、30分間)、反応溶液を一定温度(例えば、共重合反応を行った温度)に保持(熟成)した後であってもよい。
なお、本発明においては、上述したように重合反応を酸性条件下で行うことが好ましいが、これにより、重合反応が進行しても反応溶液の粘度上昇を充分に抑制できるため、重合反応を高濃度の条件下で行っても低分子量の共重合体を得ることが可能となる。
このようにして得られる上記共重合体は、そのままでもソイルセメント流動化剤として好適に用いることができるが、必要に応じ、更にアルカリ性物質で中和して用いることもできる。このようなアルカリ性物質としては、例えば、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン等の1種又は2種以上を使用することができる。上記アルカリ性物質としては、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、中でも水酸化ナトリウムが好適である。
なお、本発明のソイルセメント流動化剤は、必須成分である上記共重合体の他に、対象地盤の土質(砂、シルト、粘土等)や、その物性(土の液性限界、含水比、粒度等)等に応じ、オキシカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩等の通常使用されるコンクリート用混和剤、セメント用遅延剤、減水剤、AE減水剤、流動化剤等の1種又は2種以上を含むことができる。その含有量は特に限定されないが、ソイルセメント流動化剤100質量%中、30質量%以下とすることが好適である。より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。
本発明のソイルセメント流動化剤は、上述した特定の共重合体を有することにより、ソイルセメントを充分に流動化することができ、ソイルセメントがより均質なものとなることから、ソイルセメントを用いた固結体(ソイルセメント固結体)の構築方法に好適に使用することが可能となる。この場合、掘削作業や施工作業等における作業性が格段に向上され、しかも構築した固結体が強度や止水性に優れたものとなり得る。このように、上記ソイルセメント流動化剤を用いる固結体の構築方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記構築方法としては、上述した本発明のソイルセメント流動化剤を用いることとなる限り、具体的な形態については特に限定されるものではないが、上記ソイルセメント流動化剤をセメントとともに地盤に添加する工程を含む形態であることが好適である。すなわち、上記ソイルセメント流動化剤を用いる固結体の構築方法であって、該構築方法は、上記ソイルセメント流動化剤をセメントとともに地盤に添加する工程を含む固結体の構築方法もまた、本発明の1つである。
以下に、上記構築方法について、更に説明する。
上記構築方法が適応される工法としては、通常のソイルセメントを造成する工法であれば特に限定されるものではなく、例えば、地盤改良工法、山留め工法、基礎杭工法、埋め戻し工法等が挙げられる。
上記構築方法の好ましい形態としては、例えば、(I)セメントミルクに上記ソイルセメント流動化剤及び必要により添加剤を添加する工程(以下、「添加工程」ともいう。)と、当該混合物を施工現場の土壌に添加し、混合撹拌する工程(以下、「混合工程」ともいう。)とを含む形態や、(II)セメントミルクを作成せずに上記ソイルセメント流動化剤及びセメントを粉体のまま地盤に噴射・混合する工程を含む形態等が挙げられ、中でも、本発明のソイルセメント流動化剤による作用効果をより充分に発揮できることから、(I)の形態であることが特に好適である。なお、これらの形態におけるその他の工程については特に限定されるものではない。また、セメントミルクとは、セメントと水とを混合したものである。
上記(I)の形態について、まず説明する。
上記添加工程において、セメントミルクに上記ソイルセメント流動化剤を添加する方法としては、上記ソイルセメント流動化剤を、セメント及び/又は水に予め添加していてもよく、セメントと水との混合中又は混合後に添加してもよいが、セメントを添加する前の水に上記ソイルセメント流動化剤を添加して溶解しておくことが好適である。
上記ソイルセメント流動化剤の添加量としては、対象土の含水率や粒子系等の性質、セメントミルクのW/C、固結体の使用目的等によって適宜設定することが好ましいが、例えば、セメントミルクに含まれるセメント100重量部に対し、上記ソイルセメント流動化剤の必須成分である上記共重合体の下限が0.1重量部、上限が15重量部となるように設定することが好ましい。0.1重量部未満であると、本発明の作用効果を充分に発揮することができないおそれがあり、15重量部を超えても上記共重合体の奏する効果は頭打ちとなり、経済的に好適なものとすることができないおそれがある。より好ましくは、下限が0.5重量部、上限が10重量部であり、更に好ましくは、下限が1重量部、上限が5重量部である。
上記セメントミルクにおいて、セメントとしては、通常使用されているものの1種又は2種以上を使用すればよく、例えば、ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、早強セメント、超早強セメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、膨張セメント、微粒子セメント、超微粒子セメント等が挙げられる。
上記添加工程においてはまた、必要に応じてベントナイト等の市販粘土、補強用繊維、起泡剤、硬化促進剤等の添加剤を添加してもよい。例えば、ベントナイトは、対象土が砂礫地盤である場合に、ソイルセメントのブリージング(分離水)発生防止、セメントミルク、水分の地盤への逸散防止等のために好適に使用され、補強用繊維は、ソイルセメントの強度やじん性向上等のために好適に使用される。起泡剤としては、アルキルエーテル系化合物等の起泡剤や発泡スチロール等の軽量骨材により、ソイルセメントの軽量化のために使用することが好適である。また、硬化促進剤としては、例えば、塩化カルシウム、トリエタノールアミン、チオシアン酸カルシウム等の通常用いられるものが使用される。
上記添加剤の使用量としては、本発明の作用効果を損なわない範囲内とすることが好適である。
上記セメントミルクのW/C(質量比)としては、対象地盤の土質(砂、シルト、粘土等)やその物性(土の液性限界、含水比、粒度等)等によっても異なるが、下限が50質量%、上限が500質量%の範囲内であることが好適である。50質量%未満であると、より充分な流動性を発揮できないおそれがあり、500質量%を超えると、構築される固結体の強度や止水性をより向上することができないおそれがある。より好ましくは、下限が100質量%、上限が300質量%である。本発明では、上記ソイルセメント流動化剤を用いることにより、このようなW/Cの低いセメントミルクを用いる場合でも、優れた流動性を発揮することができ、また好適な粘性とすることが可能となる。その結果、構築方法における土壌の掘削作業等での作業性が向上されるとともに、固結体の強度や止水性がより一層向上されることとなる。
上記混合工程としては、上述したようにしてセメント固化材若しくは水又はセメントミルクに上記ソイルセメント流動化剤を添加して混合物を均質化した後に、これに土を加えるか又は土に当該均質化物を加えて均質化する形態であることが好適である。均質化(均一化)は、アースオーガ機やソイルミキサー等の通常用いられる機器等を用いて行うことが好ましい。
本発明においては、上記ソイルセメント流動化剤を用いることにより、ソイルセメントの流動性を向上させることができるので、セメントミルクの注入率(対象土に対するセメントミルクの体積比)を大幅に低減することができる。
注入率により発生する廃泥量が決まってくるので、上記セメントミルクの注入率としては、廃泥量を少なくするためには低い方が好ましいが、作業性やソイルセメント構築体の必要強度、セメントミルクのW/C、対象地盤の土質(砂、シルト、粘土等)、その物性(土の液性限界、含水比、粒度等)等により適宜調製すればよい。
次に、上記(II)の形態について説明する。
上記ソイルセメント流動化剤の地盤への添加量としては、対象土の含水率や粒子系等の性質、固結体の使用目的等によって適宜設定することが好ましいが、例えば、ともに噴射されるセメント100重量部に対し、上記ソイルセメント流動化剤の必須成分である上記共重合体の下限が0.1重量部、上限が15重量部となるように設定することが好ましい。0.1重量部未満であると、本発明の作用効果を充分に発揮することができないおそれがあり、15重量部を超えても上記共重合体の奏する効果は頭打ちとなり、経済的に好適なものとすることができないおそれがある。より好ましくは、下限が0.5重量部、上限が10重量部であり、更に好ましくは、下限が1重量部、上限が5重量部である。
なお、上記セメントの地盤への添加量としては、固結体の使用目的等によって適宜設定することが好ましく、特に限定されるものではない。
上記(II)の形態において、セメントとしては、上記(I)の形態において上述したもの等を用いることができ、また、上述した添加剤を併用してもよい。
また上記ソイルセメント流動化剤とセメントとの噴射方法としては、通常用いられる手法にて行えばよく、特に限定されるものではない。
本発明のソイルセメント流動化剤は、上述のような構成であり、施工時の廃泥量を大幅に削減できるとともに、ソイルセメントをより均質なものとすることができ、構築した固結体の強度や止水性を著しく向上することが可能であることから、例えば、地盤改良工法、山留め工法、基礎杭工法、埋め戻し工法等の種々の固結体の構築方法において好適に用いることが可能である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
製造例1
攪拌機、還流冷却器、滴下装置を備えた、容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水282gを仕込み、攪拌しながら沸点で還流状態(以下、この状態を沸点還流状態と記載)となるように昇温して重合反応系とした。次いで、攪拌下、沸点還流状態の上記重合反応系中に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと記載)26.6gと37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液(以下、37%SAと記載)685gとの混合水溶液、25質量%の3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、25%HAPSと記載)453g、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと記載)67.8g、35質量%過酸化水素水溶液(以下、35%HPと記載)9.9gをそれぞれ別個のノズルから滴下した。なお、上記の各水溶液の滴下時間は、80%AAと37%SAとの混合水溶液を120分間、25%HAPSを90分間、15%NaPSを140分間、35%HPを120分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、さらに60分間、上記反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合反応を完結させ、共重合体(1)の水溶液を得た。
製造例2
製造例1と同様のセパラブルフラスコに、脱イオン水267.5g、モール塩0.0013g、40質量%3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、40%HAPSと記載)を仕込み、攪拌しながら沸点還流状態となるように昇温して重合反応系とした。次いで、攪拌下、沸点還流状態の上記重合反応系中に、35質量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと記載)56.2gを滴下し、35%SBS滴下開始5分後に、80%AA 464.9g、40%HAPS 518.3g、15%NaPS 165.5gをそれぞれ別個のノズルから滴下した。なお、上記の各水溶液の滴下時間は、80%AAを180分間、40%HAPSを130分間、15%NaPSを200分間(0〜130分間は滴下速度0.6g/分、130〜200分間は滴下速度1.25g/分)、35%SBSを180分間とした。
上記15%NaPSの滴下終了後、さらに30分間、上記反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合反応を完結させ、井重合体(2)の水溶液を得た。
製造例3
製造例1と同様のセパラブルフラスコに、脱イオン水218.2g、モール塩0.0013g、40%HAPS 81.8gを仕込み、攪拌しながら沸点還流状態となるように昇温して重合反応系とした。次いで、攪拌下、沸点還流状態の上記重合反応系中に、80%AA 360g、40%HAPS 408.8gに無水マレイン酸9.8gを溶解させた水溶液(以下、40%HAPS/マレイン酸水溶液と記載。この、40%HAPS/マレイン酸水溶液中では、無水マレイン酸は加水分解してマレイン酸となっている)、15%NaPS 133.3g、35%SBS 42.9gをそれぞれ別個のノズルから滴下した。なお、上記の各水溶液の滴下時間は、80%AAを180分間、40%HAPS/マレイン酸水溶液を140分間、15%NaPSを200分間、35%SBSを180分間とした。
上記15%NaPSの滴下終了後、さらに60分間、上記反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合反応を完結させ、共重合体(3)の水溶液を得た。
比較製造例1
製造例1と同様のセパラブルフラスコに、脱イオン水297gを仕込み、攪拌しながら沸点還流状態となるように昇温して重合反応系とした。次いで、攪拌下、沸点還流状態の上記重合反応系中に、80%AA 18gと37%SA 457.3gとの混合水溶液、40質量%イソプレンスルホン酸水溶液(以下、40%IPSと記載)150g、15%NaPS 62.8gをそれぞれ別個のノズルから滴下した。滴下開始10分後に、35%HP 26.9gを別のノズルから滴下した。なお、上記の各水溶液の滴下時間は、80%AAと37%SAとの混合水溶液を120分間、40%IPSを110分間、15%NaPSを140分間、35%HPを90分間とした。
上記15%NaPSの滴下終了後、さらに60分間、上記反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合反応を完結させ、比較共重合体(1)の水溶液を得た。
実施例1〜3、比較例1〜3
共重合体(1)〜(3)、及び、比較例として、比較共重合体(1)、重量平均分子量(以下、Mwと記載)6000のポリアクリル酸ナトリウムをソイルセメント流動化剤として用いて、以下のソイルセメント分散試験を行った。その結果を表1に示す。
表1中のモノマー組成における略号は、以下の通りであり、流動化剤添加量(部)は、固形分換算での添加量を示す。
AA:アクリル酸
SA:アクリル酸ナトリウム
MA:マレイン酸
HAPS:3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム
IPS:イソプレンスルホン酸
[流動性試験]
(1)モルタルミキサーに、模擬土800g(SCP−A(稲垣工業製):230g、シル卜#250(丸中白土製):170g、スミクレー(住友大阪セメント製):390g、豊浦砂(豊浦硅石工業製):10g)を入れる。
(2)PPカップに、高炉セメントB(太平洋セメント製)93.75g、ベントナイト(浅間印)6.45gを入れ、所定量の流動化剤を添加した水を少量ずつ加えてセメントミルクを調整する(セメントミルクを調整する際の水の量は、土の含水率を31.6%(模擬土800g+水252.6g)と仮定して、W/Cが230質量%となる量)。
(3)モルタルミキサーで攪拌しながら、(2)で調整したセメントミルクを少しずつ加える。
(4)セメントミルクを全量投入した後、5分間攪拌してソイルセメントを作製する。
(5)作製したソイルセメントを、水平なテーブル面に置かれた直径55mm、高さ50mmの中空円筒型の容器に隙間なく詰め、次いで、この容器を垂直に50mmを超える高さに持ち上げて、テーブル面に広がったソイルセメントの最大径を縦横2方向について測定し、その平均値をフロー値(単位:mm)とした。フロー値が大きいほどソイルセメントの流動性が高いことを示している。
Figure 2006347784

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される構成単位(a)及び下記一般式(2)で表される構成単位(b)を有する共重合体を含んでなることを特徴とするソイルセメント流動化剤。
    Figure 2006347784
    (式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、メチル基又は−COOXを表し、かつ、R及びRは、同時に−COOXを表さない。Rは、水素原子、メチル基又は−CHCOOXを表す。なお、Rが−CHCOOXを表す場合には、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)
    Figure 2006347784
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Y及びZは、同一若しくは異なって、水酸基又はスルホン酸(塩)基を表し、かつ、Y及びZの少なくとも一方は、スルホン酸(塩)基を表す。)
  2. 前記一般式(2)におけるY及びZは、これらの一方がスルホン酸(塩)基を表し、他方が水酸基を表すことを特徴とする請求項1に記載のソイルセメント流動化剤。
  3. 請求項1又は2に記載のソイルセメント流動化剤を用いる固結体の構築方法であって、
    該構築方法は、該ソイルセメント流動化剤をセメントとともに地盤に添加する工程を含むことを特徴とする固結体の構築方法。
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