JP2006340842A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の吸収性物品1は、血液を血球と血漿とに分離可能な血液分離体41が複数枚積層されてなる積層分離体40を含む。血液分離体41としては、ASTM F316−86により測定した細孔径分布において、細孔径6μm以下の細孔の割合が20〜90%であるものを好ましく用いることができる。血液分離体4としては、繊維集合体にカレンダー処理を施して得られる不織布等を好ましく用いることができる。
【選択図】 図1
Description
べたつきを低減する方法としては、肌当接面を形成する表面シートに凹凸を設けて、肌との接触面積を低減したり、表面シートに嵩高な不織布を用いたりすることが行われているが、吸収性物品に要求される性能は、年々高まっており、表面シートの工夫のみでは、近年や近い将来における要求に充分に応えられない恐れがある。
本発明の一実施形態としての生理用ナプキン1は、図1に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に配された吸収性コア4を具備し、該吸収性コア4が、血液を血球と血漿とに分離可能な血液分離体41が複数枚(図示例では3枚)積層されてなる積層分離体40から構成されている。
赤血球は、中央部が窪んだ円盤状をなしており、直径が6μm、厚みが2μm程度である。細孔径6μm以下の細孔の割合がある程度以上であることにより、斯かる形態の赤血球が細孔中に効率良く捕捉され、良好な血液分離能が発現される。また、細孔径6μm以下の細孔の割合が100%でないこと、即ち、細孔径6μm超の細孔が存在することが、血液分離体の表面のみならず、内部においても良好な血液分離能が発揮されるので好ましい。
細孔径6μm以下の細孔の割合は20〜90%であることがより好ましく、更に好ましくは30〜80%である。
図2に示すように、湿潤状態のサンプルSを、直径3.3mmの円孔を中心に有する2枚のアクリル樹脂製の円盤11,12に挟んで、ホルダー10内にセットした。蓋13の螺合により、円筒状の部材14が円盤11を押圧してサンプルSが安定に固定される。図2中の黒丸はゴムパッキンであり、ゴムパッキンが配された隙間を気体が流通することを妨げる。
圧力と気体の流量との関係線が直線状となった時点で、サンプルの細孔内の液体が総て吹き飛ばされ、サンプルが乾燥状態となったと見なし、今度は、サンプルSに加える圧力を一定の速度で減少させる。圧力の減少過程においても、サンプルSに加わる圧力とホルダー10から流出する気体の流量の変化を記録する。
サンプルの特定された圧力範囲(PL−PH間)内に相当する流量割合Qは、乾燥状態のサンプルの流量グラフ(線分df)と、湿潤状態のサンプルの流量グラフ(曲線abc)から、次式で計算される。
Q(%)=〔(WH/DH)−(WL/DL)〕 × 100(%)
ここで、(WH/DH)は、(圧力PHに相当する孔径より大きい孔を通過する空気の流量/圧力PHにおいて全孔を通過する空気の流量)であるので、その流量割合から、圧力PHに相当する孔径より大きい孔の総数が全孔数に対して占める割合が算出される。一方(WL/DL)は、(圧力PLに相当する孔径より大きい孔を通過する空気の流量/圧力PLにおいて全孔を通過する空気の流量)であるので、その流量割合から、圧力PLに相当する孔径より大きい孔の総数が全孔数に対して占める割合が算出される。そして、両者の差である(WH/DH)−(WL/DL)から、圧力PL〜PH間に相当する孔径の数が全孔数に対して占める割合が算出される。
後述する実施例においては、最大細孔径を示す圧力(図3中のb点の圧力)と最小細孔径を示す圧力(図3中のe点の圧力)との間を、細孔径2μm分の刻みで分割し、かつ、ヒストグラムの階級値をわかりやすくするために分割の境界を細孔径が整数となるように設定した(つまり、2μm、4、6、8・・・)。点bより低い圧力範囲や点eより高い圧力範囲が階級値に入るが、Qの値が変わることはない。
また、表面張力既知の液体としてPorous Materials社のGalwick(16mN/m)を用い、気体は、冷却圧縮(明治機械製作所製DPKH−37を使用)によって乾燥された空気とした。
図4(b)は、図4(a)のような細孔径分布を示すグラフに基づき作成された、横軸を細孔径(μm)、縦軸を当該細孔径以下の細孔の割合とするグラフである。図4(b)に示す例においては、細孔径6μmに対応する縦軸の数値が約40%であり、細孔径6μm以下の細孔の割合が約40%であることが判る。
細孔径6μm以下の細孔の割合が20%以上である繊維集合体は、例えば、メルトブローン法により製造した繊維集合体や分割型複合繊維を用いて製造した繊維集合体に、カレンダー処理を施す方法により得ることができる。本明細書における繊維集合体は、不織布も含む概念である。メルトブローン法による紡糸、分割型複合繊維の構成成分同士の分割により繊維径が非常に小さい繊維が得られる上に、更にそのような繊維からなる繊維集合体にカレンダー処理を施すことで、本発明の血液分離体として好適に用いられる繊維集合体が得られる。また、他の方法により製造した極細繊維(平均繊維径が1〜10μmの繊維)からなる繊維集合体にカレンダー処理を施すことにより、血液分離体を得ることもできる。
カレンダー処理における温度は、構成繊維の軟化点以下が好ましい。軟化点以上でカレンダー処理をすると繊維どうしの接着が起こり、血液の拡散経路が閉ざされる。カレンダー処理における圧力はASTM F316−86により測定した細孔径分布において、繊維集合体の細孔径6μm以下の細孔の割合が20〜90%になるようにすれば特に限定されない。
平均繊維径は、以下のようにして測定される。
繊維集合体を液体窒素で凍結させ、鋭利な刃物で切断する。その切断面を走査型電子顕微鏡で倍率800倍〜2000倍に拡大して撮影し、繊維断面の任意の10個所を、撮影写真に示される縮尺ゲージと照らし合わせて繊維径を測定し、平均を取る。
親水性繊維は、親水化処理剤により親水化された合成繊維の他、親水化処理で処理しなくても元々親水性である再生繊維等も含まれる。繊維集合体中の親水性繊維の含有量は50%超〜100質量%、特に70〜100質量%であることが好ましい。親水性繊維は、2種以上が混合されていても良い。
また、積層分離体40の厚みT(図1参照)は、吸収性コアに要求される吸収容量等との関係で適宜に決定でき、特に制限はないが、吸収性物品の装着時における違和感の点から、0.6〜10mmが好ましく、0.8〜5mmがより好ましい。
血液(経血)が、血液分離体41中において血球と血漿とに分離されることにより、吸収された血液が、生理用ナプキンの肌当接面(表面シートの表面)に逆戻りすること、即ち液戻りが大幅に低減される。
これにより、分離積層体の厚み方向の内部においても、平面方向の広い範囲が有効に活用されて、濾過効率が向上し、液戻り量が一層低減される。また、血液分離体41同士間の隙間にも血液が保持され、素材が持つ飽和吸収量以上の血液が保持される。
以下の説明においては、主として、上述した生理用ナプキンと異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、上述した生理用ナプキンに関して上述した説明が適宜適用される。
繊維集合体からなる血液分離体は、緻密な構造を有するため、表面シート2上に供給された血液を速やかに吸収するという点では、パルプ繊維の積繊物等からなる従来の一般的な吸収性コアに比べて吸収速度が劣る傾向があるが、中間シート6を配することで、吸収速度を向上させることができる。
中間シート6として用いる不織布は、スパンボンド法、メルトブローン法、エアースルー法等により製造することができるが、エアースルー法により製造したものが好ましい。尚、中間シート6は、ASTM F316−86により測定した細孔径分布において、細孔径6μm以下の細孔の割合が5%以下である。
繊維集合体からなる血液分離体41は、緻密な構造を有するため、表面シート2上に供給された血液を速やかに吸収するという点では、従来汎用されているパルプ繊維の積繊物等よりも劣る傾向にあるが、貫通孔42を設けることにより、吸収速度を向上させることができる。
血液分離体41に形成する貫通孔42は、吸収速度の向上及び血液分離能低下による液戻り量増加の観点から、貫通孔42の開孔径は0.5〜5mm、特に1〜3mmであることが好ましく、貫通孔42間の間隔は0.5〜8mm、特に1〜5mmであることが好ましい。
図8(b)及び(c)は、貫通孔42を形成した血液分離体41を肌当接面側の面の一部を示すもので、貫通孔42は、図8(b)に示すように千鳥状に形成したり、図8(c)に示すように、縦横両方向に等間隔に形成したりでき、更に多様なパターンで形成することができる。
例えば、積層分離体を構成する血液分離体の積層枚数は、上述した図示例においては3枚であったが、2枚又は4枚以上とすることもできる。好ましくは3〜8枚程度である。
また、血液分離体に貫通孔を形成する場合、積層分離体を構成する血液分離体の任意の一枚あるいは二枚以上に形成することもでき、例えば、図9(a)又は図9(b)に示すように、肌当接面側の1枚又は2枚のみに貫通孔を形成することもできる。
また、積層分離体40は、従来のパルプ繊維の積繊物等とを組み合わせて吸収性コアとして用いることもできる。例えば、図9(c)に示す生理用ナプキンにおいては、2枚の血液分離体41からなる積層分離体40と、従来汎用されている構成の吸収性コア4Aとを積層して、吸収性コア4として用いている。吸収性コア4Aとしては、従来この種の物品に用いられている各種の吸収性コアを用いることができ、例えば、パルプ繊維を主体とする繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを保持させたもの等を挙げることができる。
このような条件を満たす樹脂フィルムは、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂に炭酸カルシウム等の充填材を混合したものを溶融してシート状(フィルム状)に押出し、これを延伸して微細な細孔を開け、さらにカレンダー処理を施す方法で製造することができる。この場合、混合する炭酸カルシウムの量は40〜80質量%が好ましい。40質量%未満では延伸しても微細な細孔が開かず、80質量%を超えるとフィルムの物性が低下する。より好ましくは50〜70質量%である。また、炭酸カルシウムの平均粒子径は0.1〜10μmが好ましい。0.1μm未満では炭酸カルシウム粒子どうしが二次凝集を起こして熱可塑性樹脂と均一に混合できにくくなり、10μm以上ではフィルム延伸時に大きな細孔が開くために、細孔径6μm以下の細孔の割合が20%以上の微細構造を作ることが難しくなる。好ましくは0.5〜5μmである。延伸倍率は1.5〜5倍が好ましい。1.5倍未満ではフィルムに細孔が開かず、5倍を超えると延伸時にフィルムが破壊する。より好ましくは1.7〜3倍である。延伸は、一軸でも2軸でも良いが、フィルムの強度の点から2軸延伸が好ましい。
また、吸収性物品は、液透過性の表面シートと液透過性の裏面シートとの間に、繊維集合体からなる血液分離体が配されているものであっても良い。
尚、本発明における吸収性物品は、生理用ナプキンの他、包帯、傷手当用品、外科用ドレープ等であっても良い。
ポリプロピレン(PP)樹脂を原料として、メルトブローン法にて、平均繊維径10μm、坪量60g/m2の不織布を得た。これに、温度40℃、線圧250kgf/cmの条件でカレンダー処理を施した後、0.05%界面活性剤(花王株式会社製マイドール10)の水溶液に浸し、自然乾燥して試料不織布を得た。
得られた試料不織布の細孔径分布を、上述した細孔径分布測定方法により測定したところ、細孔径が6μm以下の細孔の割合は63%であった。この試料不織布を、長さ15cm幅7cmの寸法に切断し、これを4枚重ねたものを積層分離体として、市販の生理用ナプキン(花王株式会社製,ロリエさらさらクッション昼用)から取り出した表面シートと裏面シートの間に挟み、生理用ナプキンを製造した。
4dtexのポリプロピレン/ポリプロピレンエチレン共重合体の芯鞘型複合繊維を、エアスルー法によって、厚み0.8mm、坪量40g/m2の不織布とし、これを長さ15cm幅7cmの寸法に切断して中間シートを得た。この中間シート及び実施例1と同一構成の積層分離体を、表面シートと裏面シートとの間に、表面シート側に中間シートが位置し、裏面シート側に積層分離体が位置するように挟んだ以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを製造した。
実施例1における積層分離体を、開孔径1.5mm、孔間距離2mmとなるように貫通孔を形成して用いた以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを製造した。
実施例において、メルトブローン法に製造する不織布の坪量を変えて、これをカレンダー処理して、坪量240g/m2、細孔径6μm以下の細孔の割合63%の試料不織布を得、この一枚の試料不織布を、表面シートと裏面シートの間に挟む以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを製造した。
ポリプロピレン繊維からなるスパンボンド不織布(繊維径15μm、細孔径6μm以下の細孔の割合15%で血液分離能なし,坪量30g/m2)を製造し、これを、長さ15cm幅7cmの寸法に切断したものを8枚重ねた。これを、実施例1における積層分離体に代えて用いる以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを製造した。
上記生理用ナプキンを水平に置き、直径1cmの注入口のついたアクリル板と重りを載せて、生理用ナプキンに3.6g/cm2の荷重がかかるようにした。次いで、注入口から脱繊維馬血6gを約1秒で注入し、脱繊維馬血が全て吸収される時間を測定した。吸収後、1分間その状態を保持した後、アクリル板と重りを外し、生理用ナプキンの肌当接面上に、7cm×10cmで坪量30g/m2の吸収紙(市販のティッシュペーパー)を10枚重ねたものを載せ、圧力が6.6×103Paになるように重りをのせ、2分間加圧した。加圧後、吸収紙10枚を取り出し、荷重前後の吸収紙の重さを測定して、吸収紙に吸収された血液量を求め、これを、生理用ナプキンの表面から戻った血液の液戻り量とした。これらの結果を、表1に示した。
│ │実施例1 実施例2 │実施例3 比較例1 │比較例2 │
├────────┼─────┼────┼─────┼────┼─────┤
6μm以下の細孔の│ 63 │ 63 │ 63 │ 63 │ 15 │
割合(%) │ │ │ │ │ │
├────────┼─────┼────┼─────┼────┼─────┤
積層枚数(枚) │ 4 │ 4 │ 4 │ 1 │ 8 │
├────────┼─────┼────┼─────┼────┼─────┤
吸収時間(秒) │ 32 │ 13 │ 15 │ 40 │ 30 │
├────────┼─────┼────┼─────┼────┼─────┤
液戻り量(g) │ 0.1 │0.1 │ 0.1 │2.0 │ 0.7 │
└────────┴─────┴────┴─────┴────┴─────┘
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収性コア
40 積層分離体
41 血液分離体
42 貫通孔
6 中間シート
7 経血(血液)
Claims (6)
- 血液を血球と血漿とに分離可能な血液分離体が複数枚積層されてなる積層分離体を含む吸収性物品。
- 前記血液分離体は、ASTM F316−86により測定した細孔径分布において、細孔径6μm以下の細孔の割合が20〜90%である請求項1記載の吸収性物品。
- 複数枚の前記血液分離体の少なくとも一枚に、厚み方向に貫通する貫通細孔が形成されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記積層分離体は、液透過性の表面シートの非肌当接面側に形成されており、該表面シートと該積層分離体との間に、中間シートが配されている請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品。
- 前記血液分離体は、メルトブローン法により製造した繊維集合体にカレンダー処理を施して得られる不織布、又は分割型複合繊維を用いて製造した繊維集合体にカレンダー処理を施して得られる不織布から構成されている請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品。
- 複数枚の前記血液分離体の少なくとも一枚は、親水性繊維を主体として構成される繊維集合体からなる請求項1〜5の何れか記載の吸収性物品。
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