JP2001079067A - 血液成分誘引装置および血液成分誘引方法 - Google Patents

血液成分誘引装置および血液成分誘引方法

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JP2001079067A
JP2001079067A JP26109799A JP26109799A JP2001079067A JP 2001079067 A JP2001079067 A JP 2001079067A JP 26109799 A JP26109799 A JP 26109799A JP 26109799 A JP26109799 A JP 26109799A JP 2001079067 A JP2001079067 A JP 2001079067A
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blood
blood sample
metal body
oxidation
reduction potential
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JP26109799A
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Toshiichi Tomioka
冨岡  敏一
Tomoyoshi Ono
友愛 小野
Hiroaki Yoshida
博昭 吉田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定量性が良く、血液試料中に含まれる微生物
の増殖時間に比べて短時間に、簡単な作業で安価に血液
試料中に含まれる微生物を除菌し、かつ血液試料中に含
まれる血球成分を分離する技術を提供する。 【解決手段】 間隙を挟んで互いに対向して配置された
酸化還元電位の異なる2種以上の金属体、および前記金
属体同士を短絡させる短絡部を具備する血液成分誘引セ
ルからなり、前記間隙に血液試料を保持し、前記金属体
を短絡させて酸化還元電位の高い金属体から酸化還元電
位の低い金属体に向けて血液試料中に含まれる血球成分
および/または微生物を移動させることにより、前記血
液試料中に含まれる血球成分の分離、または微生物を除
菌する血液成分誘引装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液または血液を
含む液体などの血液試料からの細菌の除去、および前記
血液試料からの血球成分の分離に用いる血液成分誘引装
置、ならびに血液成分誘引方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、血液試料に含まれる微生物の
除去(除菌)に関して多くの改良がなされており、一般
的に、この除菌には薬剤を用いる殺菌という方法が採ら
れてきた。しかし、血液自体が栄養分を多く含む液であ
り、微生物の培地として働き、殺菌する方法には種々の
問題がある。例えば、殺菌速度には限界があり、薬剤を
使用することから薬害が発生し得る。特に薬害について
は、各種細菌が殺菌剤に対して耐性を獲得すると、血液
を介して院内感染などを誘発することがあり、さらに新
しい殺菌剤の開発が必要となる。つまり、殺菌剤の開発
が、細菌の耐殺菌剤性の獲得との競争を繰り返さざるを
得なくなり、今日の社会問題に発展しているのである。
そこで、化学的に細菌を除去する殺菌剤を日常的に用い
ることを控え、殺菌剤はあくまでも最後の手段として用
いるべく、簡便な物理的除菌方法が望まれている。さら
に、除菌の際に使用した材料などについても、安価でか
つ容易に廃棄処理することができ、廃棄時に環境を汚染
しにくいものが望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、簡素な構成を有し、血液試料からの血液成分の
分離および/または血液試料からの微生物の除去を物理
的に行うことのできる血液成分誘引装置、ならびに血液
成分誘引方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の血液成分誘引装
置は、間隙を挟んで互いに対向して配置された酸化還元
電位の異なる2種以上の金属体、および前記金属体同士
を短絡させる短絡部を具備する血液成分誘引セルからな
り、前記間隙に血液試料を保持し、前記金属体同士を短
絡させて酸化還元電位の高い金属体から酸化還元電位の
低い金属体に向けて血液試料に含まれる血球成分および
/または微生物を移動させることにより、前記血液試料
から血球成分および/または微生物を分離、除去するこ
とのできるものである。前記血液成分誘引装置において
は、前記セルが、酸化還元電位の高い金属体付近の一端
に前記血液試料の導入部、他端に前記血液試料の排出部
または保持部を有し、さらに酸化還元電位の低い金属体
付近に血液試料に含まれる微生物の排出部、血液試料に
含まれる微生物の吸着部、および/または血液試料に含
まれる血球成分の吸着部を有するのが好ましい。前記血
液成分誘引装置においては、前記間隙に前記血液試料が
移動することのできる電気絶縁性構造体を有するのが好
ましい。
【0005】前記金属体の形状としては、例えばメッシ
ュ状、網状、膜状、線状、ブラシ状または多孔体状があ
げられる。また、酸化還元電位の最も低い金属体以外の
金属体は、前記間隙に前記血液試料を流入させることの
できる形状を有するのが有効である。このような形状と
しては、例えば多孔体状、メッシュ状およびブラシ状な
どがあげられる。一方、酸化還元電位の最も低い金属体
以外の金属体は、血液試料に含まれる血球成分または微
生物を透過し得る膜状であり、前記血液試料が移動する
ことのできる電気絶縁性構造体の表面に積層されている
のが好ましい。また、前記血液成分誘引装置は、前記血
液成分誘引セルを複数個有するのが有効である。さらに
本発明は、(a)間隙を挟んで酸化還元電位の異なる2
種以上の金属体を互いに対向させて配置する工程、
(b)前記間隙に血液試料を導入する工程、(c)前記
金属体同士を短絡させることにより、酸化還元電位の高
い金属体から酸化還元電位の低い金属体の方に血液試料
に含まれる血球成分または微生物を移動させる工程、な
らびに(d)工程(c)により血球成分が分離した血液
試料または微生物が除去された血液試料を回収する工程
を含む血液成分誘引方法をも提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明者らのうちの一人は、特願
平11−163518号において、微生物懸濁液(検体
菌液ともいう。)に接する電極間に強制的に電圧を印加
することにより、負極から正極に向けて前記懸濁液中に
含まれる微生物を泳動させ、前記懸濁液の微生物濃度を
濃縮することができることを見出した。すなわち、例え
ば大腸菌および黄色ブドウ球菌などの微生物懸濁液中に
含まれる微生物は、その表面に電荷を有し、電場に応じ
て移動するのである。ところが、本発明者らが、さらに
種々の金属からなる電極を用いて鋭意実験を行ったとこ
ろ、それぞれ異なる材料の電極を2つ用いれば、電極間
に強制的に電圧を印加しなくても、単に両電極を短絡さ
せるだけで血液試料中に含まれる微生物を移動させるこ
とができた。また、微生物だけでなく、血液試料中の血
球成分をも移動させることができた。
【0007】そして、本発明者らは、前記の種類の異な
る金属体が異なる酸化還元電位(イオン化傾向)を有す
る点に起因して、血液試料中に含まれる微生物を一方の
金属体から他方の金属体の方向に移動することをつきと
めた。さらに、上記酸化還元電位の違いに起因して、血
液試料中に含まれる血液中の血球成分が一方の金属体か
ら他方の金属体の方向に移動することをつきとめた。具
体的には、酸化還元電位の高い(イオン化傾向の小さ
い)金属体から酸化還元電位の低い(イオン化傾向の大
きい)金属体に向かって、血液試料中に含まれる微生物
および血球成分が移動する。すなわち、本発明に係る血
液成分誘引装置は、このような検討の結果として得られ
た酸化還元電位に関する新たな知見に基づいて完成した
ものである。
【0008】本発明は、間隙を挟んで互いに対向して配
置された酸化還元電位の異なる2種以上の金属体、およ
び前記金属体同士を短絡させる短絡部を具備する血液成
分誘引セルからなり、前記間隙に血液試料を保持し、前
記金属体同士を短絡させて酸化還元電位の高い金属体か
ら酸化還元電位の低い金属体に向けて血液試料に含まれ
る血球成分および/または微生物を移動させることによ
り、前記血液試料から血球成分および/または微生物を
分離、除去する血液成分誘引装置である。なお、本発明
における「血液試料」とは、血液そのものだけではな
く、例えば生理食塩水で希釈した血液、成分血液、純
水、浸透圧調整液、さらに生活環境中の水、雑菌を含む
汚水または体液成分を含む液などの液体と血液または成
分血液とを混合した液体をも含む概念である。さらに、
ある程度の粘性を有してもいいという観点から、広く流
体をも含む概念である。また、本発明の血液成分誘引装
置によれば、血液試料中の血球成分だけでなく、微生物
が含まれていればその微生物も分離、除去できる。した
がって、血球成分または微生物のみを分離、除去するだ
けでなく、両者を同時に分離、除去することもできる。
以下、理解の容易のため、前記セルが2種の金属体を含
む場合に代表させて、本発明について説明する。
【0009】本発明において用いる前記金属体は、いわ
ゆる電極としての役割を果たす。2種の金属体の組み合
わせとしては、酸化還元電位の異なるものの組み合わせ
であればよいが、特に血液試料中に含まれる血球成分お
よび微生物の移動を確実にするという点から、酸化還元
電位差が1.0V程度であるのが好ましい。ここで、表
1に、本発明において用いることのできる金属体および
その酸化還元電位(水溶液中における標準電極電位E°
(25℃))をいくつか例示する。
【0010】
【表1】
【0011】表1に示す金属のなかでも、酸化還元電位
差が大きいという点から、Au(+1.69V)とFe
(−0.440V)の組み合わせを用いるのが好まし
い。また、安価で入手が容易であるという点から、Cu
(+0.337V)とZn(−0.763V)の組み合
わせを用いるのが好ましい。あるいは、人体に対する安
全性などからAuとTiの組み合わせを用いることもで
きる。このような金属体の構造および形状としては、特
に制限はなく、例えば血液試料中に含まれる血球成分ま
たは微生物を透過し得るメッシュ状、膜状、線状、ブラ
シ状、板状、棒状、多孔体状などがあげられる。また、
金属焼結体であってもよく、メッキ、蒸着、CVDまた
はスパッタリングで作製したものでもよい。さらに、繊
維状の金属を用いる場合は、天然繊維や合成繊維と金属
繊維とを混紡してメッシュ状または不織布状の電極とし
てもよい。
【0012】ただし、本発明においては、酸化還元電位
の高い金属体から酸化還元電位の低い金属体の方に血液
試料中に含まれる血球成分または微生物を移動(泳動)
させることから、酸化還元電位の高い金属体の付近に血
液試料の導入部および排出部を設け、さらに、酸化還元
電位の低い金属体付近に血液試料中に含まれる血球成分
もしくは微生物の排出部または吸着部を有するのが好ま
しい。かかる観点から、酸化還元電位の最も低い金属体
以外の金属体が、前記間隙に前記血液試料を流入させる
ことのできる形状であるのが好ましい。例えば多孔体
状、メッシュ状およびブラシ状があげられる。例えば、
金属製細線や、表面を金属処理した繊維からなる織物、
メッシュまたはブラシとすればよい。前述のように、天
然繊維や合成繊維と混紡してもよい。もちろん、酸化還
元電位の低い金属体もこれらのような構造および形状を
有していても構わない。
【0013】また、前記間隙には、前記血液試料中の血
液成分などが移動することのできる電気絶縁性構造体を
配するのが好ましい。これは、血液試料を前記間隙に捕
捉しやすくすることによって、血液試料中に含まれる血
球成分または微生物除菌や、血液成分の分離を効率よく
行わせること、および血液試料が外部に散乱することを
できる限り防ぐことができるからである。このような電
気絶縁性構造体としては、例えば不織布、織布、連続発
泡体、紙などがあげられる。また、この構造体を構成す
る材料としては、綿あるいは、ポリエチレンテレフタレ
ートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどの熱可塑
性樹脂があげられる。このような電気絶縁性構造体は、
使用後には血液試料中に含まれる血球成分または微生物
を捕捉しているため、新しいものと取り替えられるよう
にしておくことができる。特に、前述のように、酸化還
元電位の最も低い金属体以外の金属体を、血液試料中に
含まれる血球成分または微生物透過可能な膜状とした場
合には、前記血液試料が移動することのできる電気絶縁
性構造体の表面に積層するのが好ましい。
【0014】つぎに、本発明の血液成分誘引装置を構成
する前記セルは、2種の金属体を電気的に短絡させる短
絡部を有する。前記2種の金属体を短絡させることによ
り、酸化還元電位の異なる金属体間に電場が生じ、血液
試料中に含まれる血球成分および/または微生物を移動
させることができる。このような短絡部は、血液試料を
導入する前にあらかじめ短絡していてもよく、また血液
試料を導入してから短絡させることができるようにして
もよい。前記短絡部は、短絡部と前記金属体との間にお
いて電位差により血液試料中に含まれる血球成分および
/または微生物の移動が起きないように、血液試料と接
触しないように構成するのが好ましい。例えば、前記各
金属体からそれぞれの金属で構成されるリード線を導き
だして接続すればよい。
【0015】また、前記セルにおいては、酸化還元電位
の高いほうの金属体付近に存在する血液試料中の血球成
分および/または微生物濃度が下がるため、その金属体
近傍の一端に血液試料を導入(流入)させる導入部を設
け、同金属体近傍の他端に血球成分および/または微生
物濃度の低減された血液試料の排出部を設けるのが好ま
しい。一方、酸化還元電位の低い金属体付近には、電場
により血液試料中に含まれる血球成分および/または微
生物が移動して濃縮された血液試料の排出部を設けるの
が好ましい。さらに、酸化還元電位の低い金属体付近に
は、血液試料中に含まれる血球成分および/または微生
物の吸着部を設けるのが好ましい。この吸着部は、酸化
還元電位の低い金属体に、例えばシリカゲル、高分子吸
収体などを層状に吸着させて形成することができる。さ
らに血液試料を吸収する吸水層を設けてもよい。
【0016】以上のように、ここでは、2種の金属体を
用いる場合について説明したが、3種以上の金属体を用
いる場合についても、同様の方法で血液試料中に含まれ
る血液成分誘引セルを作製することができる。例えば、
酸化還元電位の最も高い金属体、電気絶縁性構造体、2
番目に酸化還元電位の高い金属体、電気絶縁性構造体、
・・・・・・電気絶縁性構造体、酸化還元電位の最も低
い金属体の順に積層させた構造をとることができる。さ
らに、金属体の配置を適宜変更し、複数の金属体付近か
ら血液試料を導入し、別の複数の金属体付近から除菌あ
るいは血球成分分離後の血液試料を取り出すように設計
することも可能である。
【0017】上述のように、本発明の血液成分誘引装置
は、基本的には、前述のような血液成分誘引セルからな
る。したがって、本発明の血液成分誘引装置は、前記血
液成分誘引セルを複数個有していてもよい。この場合、
複数のセルを互いに機械的に連結し、各セルの短絡部を
単一のスイッチで開閉できるようにしてもよい。また、
各セルの血液導入部を連結して単一の導入部を構成して
もよい。血球成分または微生物濃度の低減された血液試
料の排出部、および血球成分または微生物濃度が誘引さ
れた血液試料の排出部についても同様である。
【0018】本発明は、前述した血液成分誘引装置の原
理を用いた血液成分誘引方法にも関する。具体的には、
(a)間隙を挟んで酸化還元電位の異なる2種以上の金
属体を互いに対向させて配置する工程、(b)前記間隙
に血液試料を導入する工程、(c)前記金属体を短絡さ
せる工程、ならびに(d)前記工程(b)および(c)
により酸化還元電位の高い金属体から酸化還元電位の低
い金属体の方に血液試料中に含まれる血球成分および/
または微生物が移動することによって除菌した血液試料
を回収する工程を含む血液成分誘引方法に関する。これ
らの工程は、前述した本発明の血液成分誘引装置の説明
にしたがって行えばよいが、工程(a)、工程(b)お
よび工程(c)の順番については、特に制限はない。例
えば、間隙を挟みつつあらかじめ短絡させた2種の金属
体を血液試料中に浸漬してもよく、間隙を挟んで配置さ
れた2種の金属体を血液試料に浸漬した後に短絡させて
もよい。
【0019】上述のような構成を有する本発明の血液成
分誘引装置は、例えば救急絆創膏、生理用ナプキン、医
療用絆創膏、滅菌ガーゼ、滅菌シーツ、さらに具体的に
は、創傷保護用ドレッシング、カテーテル固定用パッ
ド、止血用絆創膏、滅菌スキンクロージャー、滅菌ラミ
シーツ、ディスポーザブル手術着などの物品に応用する
ことができる。特に、救急絆創膏に応用する場合には、
傷口付近を除菌し、酸化還元電位の低い金属体の近傍に
微生物を誘引するため、殺菌剤を酸化還元電位の低い金
属体表面に塗布して殺菌層を設けるのが有効である。ま
た、生理用ナプキンに応用する場合には、湿分を吸収す
るために、吸水性樹脂からなる吸水層を設けるのが有効
である。また、本発明の血液成分誘引装置の形状および
寸法などは、特に限定されるものではなく、適用される
物品の形状および寸法に合わせて、適宜調整すればよ
い。以下に、実施例を用いて本発明をより具体的に説明
するが、本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。
【0020】
【実施例】《実施例1》図面を参照しながら、本発明の
血液成分誘引装置を救急絆創膏に応用した例を説明す
る。図1は、本発明の血液成分誘引装置の一実施例に係
る救急絆創膏の構成図である。図1に示すように、本発
明に係る救急絆創膏においては、径が10μmの金線と
組織と粘着しにくい合成繊維とを混紡したメッシュ状電
極1(酸化還元電位の高い金属体)と、組織と粘着しに
くくかつ親水性の繊維をメッシュ状に加工したスペーサ
2(2枚)とを積層した。スペーサ2は、電気絶縁性の
高いものとした。また、スペーサ2の下には、チタンの
細線をメッシュ状に加工した誘引電極3(酸化還元電位
の低い金属体)を配し、スペーサ2と同じ材質および構
造の保護層4を最上面に配した。スペーサ2の誘引電極
3側には、殺菌剤を塗布し、殺菌層を形成した。このよ
うな構造で、血液成分誘引セルを構成した。このセルの
誘引電極3の外側に片面に粘着剤を設けた塩化ビニル製
のテープ6を設け、メッシュ状電極1と誘引電極3を血
液が接しない部分で短絡した救急絆創膏を作製した。
【0021】このような救急絆創膏における、血液試料
中の血液成分および/または微生物の分離、除去の原理
は以下のとおりである。すなわち、傷口付近の血液中に
は、傷口周囲あるいは周辺皮膚からの雑菌で汚染されて
いる。この汚染された血液および傷口が、保護層4を透
過してメッシュ状電極1に浸透する。上記で説明したよ
うに、短絡された異種金属を間隙を介して対向させると
酸化還元電位の高い金属から酸化還元電位の低い金属に
向かって、血液中の血球成分および/または雑菌が移動
する。ここで酸化還元電位の高い電極としてメッシュ状
電極1を用い、酸化還元電位の低い電極として誘引電極
3を、金属間に設けられた間隙としてスペーサ2を利用
することで、血液中に含まれる雑菌は誘引電極3の近傍
に誘引される。これにより、傷口付近が除菌される。こ
こで用いるセルの大きさは、使用する傷口の部位および
大きさで異なるが、少なくとも10mm×20mmの大
きさであるのが好ましい。誘引電極3の近傍のスペーサ
2に塗布した殺菌層5により、除菌効果がさらに確実性
を増す。なお、異種金属の組み合わせとして、金−チタ
ンについて説明したが、酸化還元電位の差が0.7V程
度であり実用上問題はなかった。上記以外の組み合わせ
として、金−ステンレス、銅−亜鉛の組み合わせも使用
できる。
【0022】[評価]微生物を含む血液試料として、大
腸菌を約1000cfu/ミリリットル含む血液(0.
5ミリリットル)を上記セルの保護層4に滴下した。そ
の後、血液の流れと大腸菌の動きを観察した。その結
果、スペーサ2の間隙に前記血液が流入し、血液中に含
まれる大腸菌が約2μm/secの速さで誘引電極3の
方向に移動したことが確認された。
【0023】《実施例2》図面を参照しながら、本発明
の血液成分誘引装置を生理用ナプキンに応用した例を説
明する。図2は、本発明の血液成分誘引装置の一実施例
に係る生理用ナプキンの構成図である。図2に示すよう
に、本発明に係る生理用ナプキンにおいては、径が10
μmの金線と、組織と粘着しにくい合成繊維とを混紡し
たメッシュ状電極7と、組織と粘着しにくくかつ親水性
の繊維をメッシュ状に加工したスペーサ8(2枚)とを
積層した。スペーサ8は、電気絶縁性の高いものとし
た。また、スペーサ8の下には、チタンの細線をメッシ
ュ状に加工した誘引電極9を配し、最上面にはメッシュ
構造を有し、かつ撥水性材料からなる保護層10を設け
た。さらに、スペーサ8の誘引電極9側には、吸水性樹
脂からなる吸水層11を設けた。このような構造で、血
液成分誘引セルを構成した。このセルの誘引電極9の外
側に水不透過性シート12を設けて、生理用ナプキンを
作製した。
【0024】このような生理用ナプキンにおける、血液
試料中の血液成分および/または微生物の分離、除去の
原理は以下のとおりである。すなわち、汚染された血液
が、保護層10を透過し、メッシュ状電極7に浸透す
る。上記で説明したように、短絡された異種金属を間隙
を介して対向させると酸化還元電位の高い金属から酸化
還元電位の低い金属に向かって、血液中の血球成分およ
び/または雑菌が移動する。ここで酸化還元電位の高い
電極としてメッシュ状電極7を用い、酸化還元電位の低
い電極として誘引電極9を、金属間に設けられた間隙と
してスペーサ8を利用することで、血液中に含まれる雑
菌および/または血球成分は誘引電極3の近傍に誘引さ
れる。その結果、赤い色の赤血球を含む血球成分の分離
とともに、血液中の雑菌が除去される。ここで用いるセ
ルの大きさは、使用する傷口の部位及び大きさで異なる
が少なくとも20mm×50mmの大きさである。な
お、異種金属の組み合わせとして、金−チタンについて
説明したが、酸化還元電位の差が0.7V程度であり、
実用上問題ない。上記以外の組み合わせとして、金−ス
テンレス、銅−亜鉛の組み合わせも使用できる。また電
極の材料として金属メッシュを例に説明したが金属線、
多孔質金属、金属泊加工体、蒸着などの手段で表面を金
属の層あるいは膜に加工した表面処理加工物であっても
同様の効果を得ることができる。さらに、前記金属体が
多孔体状、メッシュ状またはブラシ状であっても同様の
効果が得られる。
【0025】
【発明の効果】本発明の血液成分誘引装置によれば、血
液試料中に含まれる微生物の殺菌を行っていた従来法に
較べ、簡単な構造および少ない工程数で、簡易かつ短時
間に安定して血液試料中の微生物の除去または血球成分
の分離を行うことができる。また、除菌装置として利用
すれば、外部電源などの装置を用いることなく、簡潔に
血液試料中に含まれる微生物の除去ができるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1において作製した救急絆創膏
の構成図である。
【図2】本発明の実施例2において作製した生理用ナプ
キンの構成図である。
【符号の説明】
1 メッシュ状電極 2 スペーサ 3 誘引電極 4 保護層 5 殺菌層 6 粘着剤付きテープ 7 メッシュ状電極 8 スペーサ 9 誘引電極 10 保護層 11 吸水層 12 水不透過性シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 43/00 B03C 5/00 Z 57/02 C02F 1/48 B B03C 5/00 A61F 13/18 381 C02F 1/48 Fターム(参考) 4C003 HA02 4C058 AA30 BB02 CC04 EE26 4C077 AA13 BB03 DD30 KK09 MM09 4D054 FA10 FB02 FB15 FB20 4D061 DA10 DB01 EA10 EB08 EB26 EB28 EB30 FA10 FA20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 間隙を挟んで互いに対向して配置された
    酸化還元電位の異なる2種以上の金属体、および前記金
    属体同士を短絡させる短絡部を具備する血液成分誘引セ
    ルからなり、前記間隙に血液試料を保持し、血液試料に
    含まれる血球成分および/または微生物を、前記金属体
    同士を短絡させて酸化還元電位の高い金属体から酸化還
    元電位の低い金属体に向けて移動させることにより、前
    記血液試料から血球成分および/または微生物を分離、
    除去する血液成分誘引装置。
  2. 【請求項2】 前記セルが、酸化還元電位の高い金属体
    付近の一端に前記血液試料の導入部、他端に前記血液試
    料の排出部または保持部を有し、さらに酸化還元電位の
    低い金属体付近に、血液試料に含まれる微生物の排出
    部、血液試料に含まれる微生物の吸着部、および/また
    は血液試料に含まれる血球成分の吸着部を有する請求項
    1記載の血液成分誘引装置。
  3. 【請求項3】 前記間隙に、前記血液試料中の血液成分
    が移動することのできる電気絶縁性構造体を有する請求
    項1または2記載の血液成分誘引装置。
  4. 【請求項4】 前記金属体が、メッシュ状、網状、膜
    状、線状、ブラシ状または多孔体状である請求項1〜3
    のいずれかに記載の血液成分誘引装置。
  5. 【請求項5】 酸化還元電位の最も低い金属体以外の金
    属体が、前記間隙に前記血液試料を流入させることので
    きる形状を有する請求項1〜4のいずれかに記載の血液
    成分誘引装置。
  6. 【請求項6】 前記形状が、多孔体状、メッシュ状また
    はブラシ状である請求項5記載の血液成分誘引装置。
  7. 【請求項7】 酸化還元電位の最も低い金属体以外の金
    属体が、血液試料に含まれる血球成分および/または微
    生物を透過し得る膜状であり、前記血液試料が移動する
    ことのできる電気絶縁性構造体の表面に積層されている
    請求項3記載の血液成分誘引装置。
  8. 【請求項8】 前記血液成分誘引セルを複数個有する請
    求項1〜7のいずれかに記載の血液成分誘引装置。
  9. 【請求項9】 (a)間隙を挟んで酸化還元電位の異な
    る2種以上の金属体を互いに対向させて配置する工程、
    (b)前記間隙に血液試料を導入する工程、(c)前記
    金属体同士を短絡させることにより、酸化還元電位の高
    い金属体から酸化還元電位の低い金属体の方に血液試料
    に含まれる血球成分または微生物を移動させる工程、な
    らびに(d)工程(c)により血球成分が分離した血液
    試料または微生物が除去された血液試料を回収する工程
    を含む血液成分誘引方法。
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