しかしながら、特許文献1に開示されている画像形成装置は、予め登録してあるIDタグの識別情報を読み取った(読み取っていない)場合に画像形成のための操作情報を受け付け(受け付けず)、操作可能(操作不可能)であることを表示するという単純な動作しか行なわない。
また、特許文献2に開示されているファクシミリ装置は、ユーザが在室しているか否かを、予めユーザがファクシミリ装置に設定しておく必要があるため、不便であった。また、在/不在の設定を切り換え忘れた場合、ユーザの在室中(又は不在時)に、画像データが内蔵の記憶部に記憶(又はプリントアウト)されるという問題があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、読取機が識別情報を読み取ったか否かに応じて、若しくは読み取った識別情報に応じて、操作情報受付又は操作情報拒否を行ない、操作情報受付又は操作情報拒否に応じた表示内容を表示する構成とすることにより、画像形成に係る操作に限定されることなく、複数の機能に係る操作に対し、操作が許可されたユーザは操作でき、許可されていないユーザは操作できず、しかも各ユーザが操作の可否を容易に把握することができる通信装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、識別情報に関連付けて、受け付けた操作情報を記憶する構成とすることにより、ユーザ毎の操作履歴を管理することができる通信装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、最も近い位置に存在する記憶媒体に記憶してある識別情報に応じて、操作情報受付又は操作情報拒否を行なう構成とすることにより、最も近い位置に存在するユーザの操作の可否を判定することができる通信装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、読取機が識別情報を読み取った記憶媒体、即ち在室中のユーザに付与されている記憶媒体の識別情報に関連付けられている種類のデータを出力する構成とすることにより、予めユーザの在/不在を設定することなく、在室しているユーザに対して適切なデータを出力することができる通信装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、読取機が識別情報を読み取った場合に、受信したデータ又は生成したデータをプリントアウトする構成とすることにより、プリントアウトされたデータを、在室しているユーザに対して確実に受け渡すことができる通信装置を提供することにある。
第1発明に係る通信装置は、識別情報を記憶する記憶媒体に記憶された識別情報を、非接触で読み取る読取機を備え、複数の機能に係る操作情報を受け付け、受け付けた操作情報に従って作動する通信装置において、記憶媒体に記憶される識別情報、及び、受付可能な操作情報を関連付けて記憶する操作記憶手段と、前記読取機が、前記操作記憶手段に記憶してある識別情報を読み取った場合、読み取った識別情報に関連付けて前記操作記憶手段に記憶してある操作情報を受け付けるようにする操作受付手段と、前記読取機が、前記操作記憶手段に記憶してある識別情報を読み取っていない場合、操作情報を受け付けない操作拒否手段と、前記操作受付手段が受け付ける操作情報に応じた表示内容、又は、前記操作拒否手段が操作情報を受け付けないことに応じた表示内容を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る通信装置は、前記読み取った識別情報、及び、前記操作受付手段が受け付けた操作情報を関連付けて記憶する操作履歴記憶手段を備えることを特徴とする。
第3発明に係る通信装置は、周辺に複数の記憶媒体が存在する場合、最も距離が近い記憶媒体の識別情報を、前記読み取った識別情報となすようにしてあることを特徴とする。
第4発明に係る通信装置は、識別情報を記憶する記憶媒体に記憶された識別情報を、非接触で読み取る読取機を備える通信装置において、記憶媒体に記憶される識別情報、及び、出力可能なデータの種類を関連付けて記憶する出力記憶手段と、前記読取機が、前記出力記憶手段に記憶してある識別情報を読み取った場合、読み取った識別情報に関連付けて前記出力記憶手段に記憶してある種類のデータを出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
第5発明に係る通信装置は、データを受信又は生成するデータ処理手段を備え、前記出力手段は、前記データ処理手段が受信又は生成したデータをプリントアウトするようにしてあることを特徴とする。
第1発明にあっては、操作記憶手段に記憶してある識別情報を、タグリーダのような読取機がICタグのような記憶媒体から読み取ったか否かに応じて、複数の機能に係る操作情報の全部を受け付けるか一部を受け付けるか否かを判定する。このために、識別情報が記憶してある記憶媒体をユーザに付与しておく。ここで、操作情報は、例えば通信装置の操作部をユーザが操作することによって、通信装置に入力される情報である。
読取機が読み取った識別情報が、操作記憶手段に記憶してある識別情報である場合、読み取った識別情報に対応するユーザは、通信装置に対する所定の操作(画像の読み取り、ファクシミリ通信等のための操作)が許可されているユーザである。このため、操作受付手段は、読み取った識別情報に関連付けて操作記憶手段に記憶してある操作情報を受け付けるようにする。このとき、表示手段は、操作受付手段が受け付ける操作情報に応じた表示内容を表示する。この表示内容は、例えば、許可されている操作の種類をユーザに報知する表示内容である。ユーザは表示手段を視認して、自らに許可されている操作の種類を把握し、この操作の中から選択した操作を行なう。
一方、読取機が読み取った識別情報が、操作記憶手段に記憶されていない識別情報である場合、読み取った識別情報に対応するユーザは記憶媒体を付与されているが、通信装置の操作が許可されていない。また、読取機が識別情報を読み取っていない場合、ユーザには記憶媒体が付与されておらず、このユーザは通信装置の操作が許可されていない。このため、操作拒否手段は操作情報を受け付けず、表示手段は、操作拒否手段が操作情報を受け付けないことに応じた表示内容を表示する。この表示内容は、例えば、操作が許可されていないことをユーザに報知する表示内容である。ユーザは表示手段を視認して、通信装置が操作できないことを認識する。
第2発明にあっては、ユーザが通信装置の操作を行なった場合、読取機が読み取った記憶媒体の識別情報と、ユーザの操作に対応する操作情報とを関連付けて操作履歴記憶手段に記憶させる。具体的には、操作履歴記憶手段には、例えば操作情報に対応する操作内容が記憶される。
第3発明にあっては、通信装置の周辺に複数の記憶媒体が存在しており、通信装置から最も距離が近い記憶媒体の識別情報が、操作記憶手段に記憶してある識別情報である場合、操作受付手段は、前記最も距離が近い記憶媒体の識別情報に関連付けて操作記憶手段に記憶してある操作情報を受け付けるようにする。この場合、例えば、前記記憶媒体よりも距離が遠い記憶媒体の識別情報が操作記憶手段に記憶されていない識別情報であっても、操作受付手段は前記操作情報を受け付けるようにする。
一方、前記最も距離が近い記憶媒体の識別情報が、操作記憶手段に記憶されていない識別情報である場合、前記記憶媒体よりも距離が遠い記憶媒体の識別情報が操作記憶手段に記憶してあっても、操作拒否手段は操作情報を受け付けないようにする。
通信装置から最も近い記憶媒体の識別情報を読み取るために、例えば、通信装置から記憶媒体までの距離を検知するセンサを用いるか、又は、読取機が識別情報を読み取る範囲を、通信装置の近傍から読取機の識別情報読取可能な最大範囲まで徐々に拡大することを繰り返し、最も狭い範囲で読み取った識別情報を、通信装置から最も近い記憶媒体の識別情報であると判定する。
第4発明にあっては、記憶媒体に記憶された識別情報に関連付けて出力記憶手段に記憶してある種類のデータを出力する。このために、識別情報が記憶してある記憶媒体をユーザに付与しておく。
読取機が識別情報を読み取った場合は、記憶媒体を付与されたユーザが、読取機の識別情報読取範囲内(例えば、通信装置が設置されている室内)に存在しているため、読取機に読み取られた識別情報に関連付けられた種類のデータ(例えば、通信装置の通信履歴を報知する文書)が出力(プリントアウト、通信装置の表示部で表示等)される。出力されたデータは、識別情報読取範囲内に存在しているユーザ、更に詳細には、出力されたデータを受け取るべきユーザが受け取る。
ただし、読取機が識別情報を読み取った場合でも、読取機に読み取られた識別情報に関連付けられた種類のデータ以外のデータ(例えば、受信したファクシミリ通信用の画像データ)は、このデータを受け取るべきユーザが読取機の識別情報読取範囲内に存在していないため、出力されない。
また、読取機が識別情報を読み取っていない場合、記憶媒体を付与されたユーザが読取機の識別情報読取範囲内に存在していない(例えば室内が無人である)ため、データは出力されない。
第5発明にあっては、データ処理手段が、通信回線を介してファクシミリ通信用の画像データ、インターネットファクシミリ通信用の電子メール等を受信するか、又は、通信装置の通信履歴を報知する文書のようなデータを生成する。また、出力手段は、受信又は生成されたデータをプリントアウトする。
第1発明の通信装置によれば、読取機が識別情報を読み取ったか否かに応じて、若しくは読み取った識別情報に応じて、操作情報受付又は操作情報拒否を行なうため、通信装置が有する複数の機能に係る操作の内、全部又は一部の操作が許可されたユーザは、該ユーザに許可されている範囲内で、通信装置を操作することができる。また、操作が許可されていないユーザは、通信装置を操作することができない。このため、ユーザ自身は許可されている操作/許可されていない操作を把握する必要がなく、ユーザの権限に応じて通信装置を使用することができる。また、例えば部外者が通信装置を勝手に使用することを防止することができる。
更に、操作情報受付又は操作情報拒否に応じて、表示手段の表示内容を変更するため、表示手段を視認したユーザが操作の可否、又は可能な操作を容易に把握することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
第2発明の通信装置によれば、記憶媒体の識別情報に関連付けて、受け付けた操作情報を記憶させることによって、各ユーザが実行した操作内容、操作回数等の操作履歴をユーザ毎に容易に管理することができ、例えば、操作履歴の内容に応じてユーザに許可すべき操作又は不許可にすべき操作を変更することができる。
第3発明の通信装置によれば、通信装置の周辺に複数のユーザが存在しており、通信装置から最も距離が近い記憶媒体を付与されているユーザは、通信装置に最も近い位置に存在するユーザである。つまり、通信装置の周辺に存在する複数のユーザの内、通信装置に最も近い位置に存在するユーザの操作の可否を判定することができる。この判定は、前記ユーザよりも通信装置から遠い位置に存在する他のユーザの操作の可否に左右されない。つまり、前記他のユーザが存在するせいで、通信装置に最も近い位置に存在するユーザが、許可されている操作を実行できないこと、又は許可されていない操作が実行可能になることを防止することができる。
第4発明の通信装置によれば、識別情報が記憶してある記憶媒体をユーザに付与しておくことによって、読取機が識別情報を読み取った場合は、読取機の識別情報読取範囲内(例えば通信装置を設置してある室内)に、データを受け取るべきユーザが在室しており、読み取っていない場合は在室していないと判定することができ、在室しているユーザに対し、このユーザが受け取るべきデータを出力することができる。このため、通信装置にユーザの在/不在を予め設定することなく、データを適切に出力することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。更に、在/不在の設定を切り換え忘れることによって、データが不適切に出力される(出力されない)ことを防止することができる。
また、通信装置を複数のユーザで共有する場合は、例えば、出力すべきデータをユーザ毎に設定することができる。
第5発明の通信装置によれば、受信されたデータ又は生成されたデータを受け取るべきユーザが、在室中に、プリントアウトされたデータを受け取ることができる。
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信装置としてのMFP1を備える通信システムの構成を示す説明図であり、図2は、MFP1の構成を示すブロック図である。MFP1は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、インターネットファクシミリ(I−FAX)機能等、複数の機能を有するデジタル複合機であり、これら複数の機能に係るユーザの操作に対応する操作情報を受け付け、受け付けた操作情報に従って作動する。以下では、MFP1のコピー機能、FAX機能等について主に説明する。
MFP1は、一の会社の室内Rに設置してある。この会社に所属する社員M1,M2,…夫々には、名札として用いられるカード型のICタグT1,T2,…が付与されている。ICタグT1,T2,…は、図示しない内蔵のICに夫々異なる識別情報(以下、タグIDという)を記憶する。また、ICタグT1,T2,…はパッシブ型のICタグであり、タグリーダ231が発信した電波による起電力で前記ICを駆動し、また、受信した電波を用いて(反射して)前記ICに記憶してあるタグIDを返信する。なお、ICタグT1,T2,…は、パッシブ型に限らず、内蔵電池でICを駆動し、受信した電波を反射するセミパッシブ型、又は内蔵電池で自ら電波を発信するアクティブ型でもよい。
タグリーダ231はMFP1に備えられており、所定の周波数の電波を発信し、ICタグT1,T2,…が反射した電波を受信して、ICタグに記憶してあるタグIDを読み取る。タグリーダ231のタグID読取範囲は室内RにおけるMFP1の周辺領域Aであり、タグリーダ231は、周辺領域Aの外部に存在するICタグT1,T2,…のタグIDを読み取ることはできない。この周辺領域Aに存在する社員M1,M2,…は、MFP1が備える操作パネル14の表示部141を容易に視認して操作部142に手を触れることができる。
周辺領域Aに複数の社員M1,M2,…が存在する場合、タグリーダ231は、MFP1からの離隔距離が最も小さい社員のタグIDを読み取る。このために、周辺領域AをMFP1からの距離に応じて複数の領域に分割し、分割された領域毎に、異なる周波数の電波をタグリーダ231が発信し、最もMFP1に近い領域へ発信した電波に対応してタグリーダ231が読み取ったタグIDを、CPU10が、MFP1からの離隔距離が最も小さい社員のタグIDであると判定する。
具体的には、タグリーダ231は、周辺領域Aより狭いMFP1近傍の近傍領域Bに第1周波数(135KHz)の電波を発信し、近傍領域Bも含む周辺領域A全体に第2周波数(13.56MHz)の電波を発信する。また、ICタグT1,T2,…は、135KHzの電波を受信した場合と13.56MHzの電波を受信した場合とで、異なる周波数の電波を用いてタグIDを返信する。タグリーダ231は、受信した電波の周波数に基づいて、読み取ったタグIDを記憶しているICタグT1,T2,…が周辺領域Aに位置しているか、近傍領域Bに位置しているかを判定する。
近傍領域B内に位置しているICタグの識別情報を読み取った場合、CPU10は、近傍領域Bよりも外側の周辺領域A内に位置しているICタグの有無にかかわらず、読み取ったタグIDを、MFP1からの離隔距離が最も小さい社員のタグIDであると判定する。また、近傍領域B内に位置しているICタグの識別情報を読み取らず、周辺領域A内に位置しているICタグの識別情報を読み取った場合、CPU10は、読み取ったタグIDを、MFP1からの離隔距離が最も小さい社員のタグIDであると判定する。
なお、周辺領域Aを3分割以上に分割してもよい。また、図示しない距離センサを併用して、MFP1からの離隔距離が最も小さい社員のタグIDを読み取る構成でもよい。更に、タグリーダ231のタグID読取範囲を切り換えて、各タグID読取範囲(周辺領域A及び近傍領域B夫々)に同一の周波数の電波を発信する構成でもよい。このような構成においては、近傍領域Bに電波を発信している場合に読み取ったタグIDをMFP1からの離隔距離が最も小さい社員のタグIDとなす。更に、近傍領域Bに電波を発信している場合にタグIDを読み取らず、次いで周辺領域Aに電波を発信してタグIDを読み取ったとき、読み取ったタグIDをMFP1からの離隔距離が最も小さい社員のタグIDとなす。
MFP1は、I/F(インタフェース)15を介してLAN4に接続され、また、NCU(ネットワーク・コントロール・ユニット)16を介して電話回線Pに接続されており、更に、LAN4を介してインターネットNに接続されている。
MFP1、及び電話回線Pに接続された外部のFAX装置(図示せず)には、夫々固有のFAX番号が付与されており、MFP1及び外部のFAX装置は、ITU−T勧告T.30の標準通信規格の手順に従って作動し、所定のプロトコルに従ってFAX通信用の画像データ(以下、FAX画像データという)を送受信するよう夫々構成されている。
また、MFP1、及びインターネットNに接続された外部のI−FAX装置(図示せず)には、夫々固有のメールアドレスが付与されており、MFP1及び外部のI−FAX装置は、所定のプロトコル(例えばSMTP)に従ってI−FAX通信用の電子メールを送受信するよう夫々構成されている。これらのFAX装置及びI−FAX装置は、他の会社の室内に設置してある。
I−FAX通信用の電子メールは、I−FAX通信用の画像データ(以下、I−FAX画像データという)と、送信元であるI−FAX装置のメールアドレス、I−FAX画像データの符号化方式等の情報を有するヘッダとを含む。ヘッダ及びI−FAX画像データは、夫々テキストデータを用いてなる。
MFP1は、CPU10、ROM11、RAM12及びEEPROM13を備え、CPU10は、RAM12を作業領域として用い、ROM11に記憶された制御プログラム及びデータとEEPROM13に記憶されたデータとに従って装置各部を制御し、各種処理を実行する。EEPROM13の記憶領域の一部は、ICタグT1,T2,…に記憶されるタグIDと、社員M1,M2,…夫々に許可された操作とを関連付けて記憶する操作記憶部131、及び、ICタグT1,T2,…に記憶されるタグIDと、社員M1,M2,…夫々がMFP1を操作した操作内容及び操作回数とを関連付けて記憶する操作履歴記憶部132である。また、CPU10は、FAX通信の通信履歴、MFP1に生じたエラーの履歴等をEEPROM13の記憶領域の他の一部に記憶させる。
CPU10は、I/F15を介して受信した電子メール、又は送信すべき電子メールをRAM12に記憶させる。また、CPU10は、受信した電子メールからI−FAX画像データとヘッダとを分離し、又は、I−FAX画像データとヘッダとを含ませた送信すべき電子メールを生成する。更に、CPU10は、符号化されていない画像データ(以下、通常画像データという)又はI−FAX画像データを電子メール変換部22に入力して、所定の符号化方式(例えばMIMEのbase64)で通常画像データとI−FAX画像データとを相互に変換させる。
MFP1の操作パネル14は、液晶パネルを用いてなる表示部141、及び表示部141に重ねて配置してあり、タッチパネルを用いてなる操作部142を備える。CPU10は、表示部141を見ながらユーザがMFP1を操作するための各種ファンクションキーを操作部142に設ける。表示部141は、CPU10に制御されて、例えばMFP1の動作状態、ユーザに対する入力指示、操作部142に設けられたファンクションキーの位置を示す画像等を表示する。なお、操作パネル14は、操作部142の他に、ハードキーを備える構成でもよい。
CPU10は、操作部142にファンクションキーを設ける場合、ファンクションキーと、ユーザの操作に対応する操作情報とを関連付けてRAM12に記憶させる。操作部142に設けられたファンクションキーをユーザが操作した場合、操作部142は、操作されたファンクションキーに対応する操作信号をCPU10へ出力する。CPU10は、入力された操作信号、即ち操作されたファンクションキーに関連付けてRAM12に記憶してある操作情報を読み出すことによって、ユーザが実行した操作に対応する操作情報を受け付ける。CPU10が、受け付けた操作情報に従って各部を制御することによって、MFP1はユーザの操作に従って作動する。
MFP1の読取部18は、MFP1にセットされた原稿を光学的に読み取って通常画像データを生成する。更にMFP1は、DRAMを用いてなり、通常画像データ及び/又はFAX画像データを記憶する画像メモリ20を備える。更にまた、MFP1は、所定の符号化方式で通常画像データの符号化とFAX画像データの復号とを行なうCODEC(符号化・復号器)19、電話回線Pの回線制御を行なうNCU16、及び、電話回線Pを介して、図示しないFAX装置との間でFAX画像データを送受信するモデム17を備える。MFP1の記録部21は、電子写真方式のプリンタ装置及びプリンタ装置へ用紙を供給する給紙装置で構成されており、画像メモリ20に記憶された通常画像データに基づいて記録用紙に画像を形成する。
図3は、操作記憶部131に記憶してあるデータの一例を示す模式図である。操作記憶部131には、ICタグT1,T2,…夫々に記憶してあるタグID(図中“タグID”)と、社員M1,M2,…夫々に許可された操作に対応する操作情報及び許可されていない操作に対応する操作情報(図中“操作可否”)とを関連付けて記憶してある。
以下では、MFP1の複数の機能に係る操作として、FAX通信のための操作(図中“FAX通信”)、及び、原稿のコピーのための操作(図中“コピー”)を例示する。更に、MFP1の設定変更のための操作(図中“設定変更”)、及び、MFP1が行なったFAX通信の通信履歴のリスト、又はMFP1に生じたエラーの履歴のリストの記録用紙へのプリントアウトのための操作(図中“リスト出力”)を例示する。
更に詳細には、操作記憶部131には、ICタグT1,T2,…夫々のタグIDに関連付けて、各操作に対応する操作情報が受付可能であることを示す情報(図中“○”)、又は受付不可能であることを示す情報(図中“×”)が記憶してある。例えば、タグID“0001”の社員M1(タグID“0001”を記憶しているICタグT1が付与された社員M1)に対しては、FAX通信のための操作、原稿のコピーのための操作の全ての操作が許可されている。一方、タグID“0002”の社員M2に対しては、FAX通信のための操作及び原稿のコピーのための操作が許可されており、タグID“0003”の社員M3に対しては、原稿のコピーのための操作のみが許可されている。
以上のようなデータは、例えばMFP1の管理者である社員M1が操作パネル14を用いてMFP1に入力する。
CPU10は、タグIDに基づいて操作記憶部131を検索し、検索結果として、操作情報が受付可能であることを示す情報を読み取った場合、この操作情報を受け付けるようにし、例えば後述する図5(a)に示すように、受け付ける操作情報に対応するファンクションキーを操作部142に設け、後述する操作受付画面を表示部141に表示させる。
逆に、操作情報が受付不可能であることを示す情報を読み取った場合、この操作情報を受け付けないようにし、受け付けない操作情報に対応するファンクションキーを操作部142に設けない。操作部142にファンクションキーを全く設けない場合、CPU10は、後述する操作拒否画面を表示部141に表示させる。
図4は、操作履歴記憶部132に記憶してあるデータの一例を示す模式図である。操作履歴記憶部132には、ICタグT1,T2,…に記憶されるタグIDと、各操作内容に関して、社員M1,M2,…夫々がMFP1を操作した操作回数とが関連付けて記憶される。例えば、タグID“0001”の社員M1が、FAX通信を3回、原稿のコピーを6回行なった場合、CPU10は、タグID“0001”に関連付けて、“FAX通信”が“3回”、“コピー”が“6回”という情報を操作履歴記憶部132に記憶させる。つまり、操作履歴記憶部132には、社員M1,M2,…夫々が行なった操作、即ちCPU10が受け付けた操作情報が、操作回数として記憶される。
なお、操作履歴記憶部132に記憶されるデータは操作回数に限らず、例えば操作時刻でもよく、また、操作時刻の順に、タグID及び操作内容が記憶されてもよい。
図5は、表示部141に表示される画面及び操作部142に設けられるキーの一例を示す模式図である。FAX通信のための操作、原稿のコピーのための操作等の全ての操作が許可されているタグID“0001”の社員M1が周辺領域A内に進入した場合、操作パネル14の表示部141には図5(a)に示すような画面(以下、操作受付画面という)が表示され、また、操作部142にはFAX通信キー14a、コピーキー14b、設定変更キー14c、及びリスト出力キー14dが設けられる。操作受付画面には、操作部142に設けられたファンクションキーの位置、及びこのファンクションキーに対応する操作内容を示す画像(例えば“FAX通信”、“コピー”等の文字)が含まれている。即ち、操作受付画面には、許可されている操作の種類をユーザに報知する表示内容が含まれている。
また、FAX通信のための操作と原稿のコピーのための操作とが許可されているタグID“0002”の社員M2が周辺領域A内に進入した場合、図示はしないが、操作部142にはFAX通信キー14a及びコピーキー14bが設けられ、設定変更キー14c及びリスト出力キー14dは設けられない。また、操作部142に設けられたFAX通信キー14a及びコピーキー14bに応じた操作受付画面が表示部141に表示される。
一方、ICタグを付与されていない社員が周辺領域A内に進入した場合、操作パネル14の表示部141には図5(b)に示すような画面(以下、操作拒否画面という)が表示され、また、操作部142にはファンクションキーが設けられない。操作拒否画面には、操作が許可されていないことをユーザに報知する表示内容(図中“操作は許可されていません”)が含まれている。
FAX通信キー14aが操作された場合、表示部141には操作受付画面に替えてFAX通信に関する入力指示画面が表示され、また、操作部142にはFAX通信に関するファンクションキーが設けられて、宛先のFAX番号、解像度等の受け付けが行なわれる。FAX通信を行なう場合、CPU10は、MFP1にセットされた原稿を読取部18で読み取ってなる通常画像データをCODEC19へ入力することによって、所定の符号化方式で符号化されたFAX画像データに変換し、変換したFAX画像データを画像メモリ20に記憶させる。次いでCPU10は、画像メモリ20に記憶させたFAX画像データを読み出して、操作部142で受け付けた宛先のFAX番号を有するFAX装置へ電話回線Pを介して送信する。
また、コピーキー14bが操作された場合、FAX通信キー14aが操作された場合と同様に、操作パネル14には原稿のコピーに関する入力指示画面の表示がなされ、ファンクションキーが設けられて、濃度、拡大/縮小倍率等の受け付けが行なわれる。コピーを行なう場合、CPU10は、MFP1にセットされた原稿を読取部18で読み取ってなる通常画像データを画像メモリ20に記憶させ、画像メモリ20に記憶させた通常画像データを読み出して記録部21へ入力することによってプリントアウトする。
更に、設定変更キー14cが操作された場合、操作パネル14にはMFP1の設定変更に関する入力指示画面の表示がなされ、ファンクションキーが設けられて、例えばデフォルトの濃度、解像度等の変更、操作記憶部131に対するデータの追加、修正、削除等の受付が行なわれる。CPU10は、受け付けた設定変更のデータに基づいてRAM12又はEEPROM13に記憶されたデータを変更する。
更にまた、リスト出力キー14dが操作された場合、操作パネル14には各種リストのプリントアウトに関する入力指示画面の表示がなされ、ファンクションキーが設けられて、通信履歴のリスト、エラー履歴のリスト等の選択を受け付ける。CPU10は、EEPROM13に記憶された通信履歴、エラー履歴等のデータに基づいて、選択を受け付けたリストのテキストデータを生成し、生成したテキストデータを記録部21でプリントアウトする。
なお、原稿のコピーのための操作のみが許可されているタグID“0003”の社員M3が周辺領域A内に進入した場合、操作部142にコピーキー14bを設けずに、コピーキー14bが操作された場合に設けられるファンクションキーを設けてもよい。この場合、表示部141には操作受付画面の代わりに原稿のコピーに関する入力指示画面の表示がなされる。
図6は、CPU10が実行する操作可否判定処理の手順を示すフローチャートである。CPU10は、まず、図5(b)に示すような操作拒否画面を表示部141に表示させる(S11)。この場合、CPU10は操作部142にファンクションキーを設けない。
次に、CPU10は、タグリーダ231が第1周波数の電波を発信することによってタグIDを読み取ったか否か(近傍領域Bに位置するICタグのタグIDを読み取ったか否か)を判定する(S12)。タグリーダ231が第1周波数に関してタグIDを読み取った場合(S12でYES)、CPU10は、タグリーダ231が読み取ったタグIDに基づいて操作記憶部131を検索し(S13)、タグリーダ231が読み取ったタグIDに関連付けて、操作情報が受付可能であることを示す情報が1個以上、操作記憶部131に記憶してあるか否かを判定する(S14)。
タグリーダ231が第1周波数に関してタグIDを読み取っていない場合(S12でNO)、CPU10は、タグリーダ231が第2周波数の電波を発信することによってタグIDを読み取ったか否か(周辺領域Aに位置するICタグのタグIDを読み取ったか否か)を判定する(S15)。タグリーダ231が第2周波数に関してタグIDを読み取った場合(S15でYES)、CPU10は、処理をS13へ移して、タグリーダ231が読み取ったタグIDに基づいて操作記憶部131を検索し、次いで、S14にて、タグリーダ231が読み取ったタグIDに関連付けて、操作情報が受付可能であることを示す情報が1個以上、操作記憶部131に記憶してあるか否かを判定する。
タグリーダ231が第1周波数及び第2周波数両方に関してタグIDを読み取っていない場合(S15でNO)、CPU10は処理をS12へ戻して、タグリーダ231がタグIDを読み取るまで待機する。また、S12又はS15でタグリーダ231が読み取ったタグIDに関連付けて、操作情報が受付可能であることを示す情報が操作記憶部131に全く記憶されていない場合(S14でNO)、CPU10は処理をS12へ戻して、タグリーダ231がタグIDを新たに読み取るまで待機する。
S12又はS15でタグリーダ231が読み取ったタグIDに関連付けて、操作情報が受付可能であることを示す情報が1個以上、操作記憶部131に記憶してある場合(S14でYES)、CPU10は、受付可能である操作情報に対応する操作受付画面(例えば図5(a)に示すような操作受付画面)を表示部141に表示させ(S16)、更に、受付可能である操作情報に対応するファンクションキー(FAX通信キー14a、コピーキー14b等)を操作部142に設ける(S17)。
そしてCPU10は、操作部142に設けたファンクションキーが操作されたか否かを判定し(S18)、操作された場合(S18でYES)、操作されたファンクションキーに基づいて作動し(S19)、FAX通信、コピー、設定変更、又はリスト出力を行なう。更にCPU10は、操作履歴記憶部132において、S19で実行された操作の実行回数をインクリメントする(S20)。S20の処理の完了後、CPU10は処理をS11へ戻す。
操作部142に設けたファンクションキーが操作されていない場合(S18でNO)、CPU10は、S12又はS15で読み取ったタグIDをタグリーダ231が読み取ったか否かを判定する(S21)。タグIDを読み取った場合(S21でYES)、S12又はS15で読み取ったタグIDに係る社員がまだ周辺領域Aに存在するため、CPU10は処理をS18へ戻す。また、タグIDを読み取っていない場合(S21でNO)、S12又はS15で読み取ったタグIDに係る社員が周辺領域Aから離脱したため、CPU10は処理をS11へ戻す。
以上のような操作可否判定処理におけるタグリーダ231は、識別情報(タグID)を記憶する記憶媒体(ICタグT1,T2,…)に記憶された識別情報を、非接触で読み取る読取機として機能し、操作記憶部131は、記憶媒体に記憶される識別情報、及び、受付可能な操作情報を関連付けて記憶する操作記憶手段として機能する。
また、S17におけるCPU10及び操作部142は、読取機が、操作記憶手段に記憶してある識別情報を読み取った場合、読み取った識別情報に関連付けて操作記憶手段に記憶してある操作情報を受け付けるようにする操作受付手段として機能する。更に、S15でNOの場合、及びS14でNOの場合におけるCPU10は、読取機が、操作記憶手段に記憶してある識別情報を読み取っていない場合、操作情報を受け付けない操作拒否手段として機能する。更にまた、S11及びS16におけるCPU10と表示部141とは、操作受付手段が受け付ける操作情報に応じた表示内容、又は、操作拒否手段が操作情報を受け付けないことに応じた表示内容を表示する表示手段として機能する。
また、S20におけるCPU10と操作履歴記憶部132とは、読取機が読み取った識別情報、及び、操作受付手段が受け付けた操作情報を関連付けて記憶する操作履歴記憶手段として機能する。
以上のようなMFP1を用いることによって、社員M1,M2,…は、MFP1に接近するだけで、更に詳細には周辺領域Aへ進入するだけで、パスワードの入力、キーカウンタの挿入及び抜き取り、MFP1にICタグT1,T2,…のタグIDを読み取らせるための操作等を行なうことなく、各自に許可された操作を行なうことができる。つまり、社員M1,M2,…の利便性が向上されている。また、操作履歴記憶部132に記憶されたデータに基づいて、社員M1,M2,…夫々が実行した操作の操作回数を管理し、例えば、操作回数の上限を設け、操作回数が上限に達した操作が操作不能になるよう設定することができる。
なお、操作部142をハードキーで構成し、表示部141を、操作部142のハードキーに一対一対応のLEDで構成してもよい。この場合、例えばCPU10は、ユーザが操作可能なハードキーに対応するLEDを点灯し、操作不可能なハードキーに対応するLEDを消灯することによって、操作の許可/不許可を報知する。ユーザは、LEDの点灯/消灯を視認して、操作の可否を把握する。
また、操作受付画面において、FAX通信キー14a、コピーキー14b、設定変更キー14c、及びリスト出力キー14dの一部が設けられ、残部が設けられない場合、又は、操作拒否画面において、ファンクションキーが設けられない位置に、操作内容を示す情報(例えば“FAX通信”、“コピー”等)を、ファンクションキーが設けられている場合と異なる濃度、色等で表示してもよい。更に、操作受付画面に、S12又はS15でタグリーダ231が読み取ったタグID、又は該タグIDに係る社員の名前等を含む構成でもよい。
更にまた、タグリーダ231が、操作記憶部131に記憶してあるタグIDを読み取っていない場合でも、例えば、リスト出力キー14dを設ける構成でもよい。この場合、FAX送信、コピー等、他の操作が許可されていない社員、部外者等であっても、各種リストのプリントアウトは実行することができる。
実施の形態 2.
図7は、本発明の実施の形態2に係る通信装置としてのMFP1の構成を示すブロック図である。本実施の形態のMFP1にはタグリーダ232が備えられている。タグリーダ232のタグID読取範囲は室内Rであり、タグリーダ232は、室内Rの外部に存在するICタグT1,T2,…のタグIDを読み取ることはできない。なお、タグリーダ232は内蔵型に限らず、通信ケーブルを介してMFP1に外付けされてもよい。この場合、タグID読取範囲を広げることができ、また、室内RにおけるMFP1の設置場所が限定されない。
EEPROM13の記憶領域の一部は、ICタグT1,T2,…に記憶されるタグIDと、プリントアウト可能なテキストデータの種類とを関連付けて記憶する出力記憶部133である。
電話回線Pを介してFAX画像データを受信した場合、CPU10は、受信したFAX画像データをCODEC19に入力して復号させ、CODEC19から出力された通常画像データを画像メモリ20に記憶させる。また、電源投入直後から図示しないタイマで経過時間の計時を開始し、例えば所定の経過時間が経過する度に又は所定の時刻に(即ち所定のタイミングで)、EEPROM13に記憶された通信履歴及びエラー履歴に基づいて、プリントアウトすべき通信履歴のテキストデータ及びエラー履歴のテキストデータを夫々生成する。
図8は、出力記憶部133に記憶してあるデータの一例を示す模式図である。出力記憶部133には、プリントアウト可能なデータの種類に関連付けて、1又は複数のタグIDが記憶してある。
以下では、プリントアウト可能なデータの種類(図中“出力内容”)として、MFP1に生じたエラー履歴のテキストデータ(図中“エラー履歴”)、FAX通信の通信履歴のテキストデータ(図中“通信履歴”)、及び受信したFAX画像データ(図中“受信FAX”)を例示する。
また、社員M4は、プリントアウトされたエラー履歴のテキストデータを受け取る権限を有する。同様に、社員M5はエラー履歴のテキストデータ及び通信履歴のテキストデータを受け取る権限を有し、社員M6はエラー履歴のテキストデータ、通信履歴のテキストデータ及び受信したFAX画像データを受け取る権限を有する。
このため、出力記憶部133には、“エラー履歴”にはタグID“0004”,“0005”,“0006”が関連付けられ、“通信履歴”にはタグID“0005”,“0006”が関連付けられ、“受信FAX”にはタグID“0005”が関連付けられている。
少なくともタグID“0005”の社員M5が室内Rに存在するとき、MFP1は、通信履歴のテキストデータ、エラー履歴のテキストデータ、及び受信したFAX画像データの全てをプリントアウトする。また、社員M5が室内Rに存在せず、少なくともタグID“0006”の社員M6が室内Rに存在する場合、MFP1は、通信履歴のテキストデータ及びエラー履歴のテキストデータをプリントアウトする。更に、社員M5,M6が室内Rに存在せず、少なくともタグID“0004”の社員M4が室内Rに存在する場合、MFP1は、エラー履歴のテキストデータをプリントアウトする。
一方、室内Rが無人である場合、又は、出力記憶部133にタグIDが記憶されているICタグを付与されていない社員、若しくはICタグを付与されていない部外者のみが室内Rに存在する場合、MFP1は、通信履歴のテキストデータ、エラー履歴のテキストデータ、及び受信したFAX画像データを何れもプリントアウトしない。
以上のようなデータは、例えばMFP1の管理者である社員M5が操作パネル14を用いてMFP1に入力する。
図9は、CPU10が実行する出力可否判定処理の手順を示すフローチャートである。CPU10は、まず、NCU16が電話回線Pを介してFAX画像データを受信したか否かを判定し(S31)、FAX画像データを受信した場合(S31でYES)、受信したFAX画像データをCODEC19に復号させてなる通常画像データを画像メモリ20に記憶させ(S32)、処理をS35へ移す。
一方、FAX画像データを受信していない場合(S31でNO)、エラー履歴のテキストデータ及び/又は通信履歴のテキストデータを生成すべき所定のタイミングであるか否かを判定し(S33)、このタイミングである場合(S33でYES)、プリントアウトすべきエラー履歴のテキストデータ及び/又は通信履歴のテキストデータを生成してRAM12に記憶させ(S34)、処理をS35へ移す。
S32の処理完了後、CPU10は、FAX画像データが画像メモリ20に記憶してあることを示す情報“受信FAX”を、出力内容としてRAM12に記憶させる(S35)。同様に、S34の処理完了後、S35において、CPU10は、エラー履歴のテキストデータ及び/又は通信履歴のテキストデータがRAM12に記憶してあることを示す情報“エラー履歴”及び/又は“通信履歴”を、出力内容としてRAM12に記憶させる。
S35の処理完了後であるか、又は、エラー履歴のテキストデータ及び/又は通信履歴のテキストデータを生成すべきタイミングではない場合(S33でNO)、CPU10は、タグリーダ232が読み取ったタグIDを取得し(S36)、取得したタグIDに基づいて出力記憶部133を検索する(S37)。
CPU10は、S36で取得したタグIDに関連付けられた“出力内容”に対応する出力内容がRAM12に記憶してあるか否かを判定し(S38)、記憶してある場合(S38でYES)、画像メモリ20に記憶してある通常画像データ、又は、RAM12に記憶してあるエラー履歴のテキストデータ及び/又は通信履歴のテキストデータを読み出して記録部21へ入力し、プリントアウトさせる(S39)。S39の処理完了後、CPU10は、RAM12に記憶してある出力内容を削除し(S40)、また、S32で画像データ20に記憶させた通常画像データ又はS34でRAM12に記憶させたテキストデータを削除して、処理をS31へ戻す。
S36で取得したタグIDに関連付けられた“出力内容”に対応する出力内容がRAM12に記憶されていない場合(S38でNO)、CPU10は、処理をS31へ戻す。
その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
以上のような出力可否判定処理におけるタグリーダ232は、識別情報(タグID)を記憶する記憶媒体(ICタグT1,T2,…)に記憶された識別情報を、非接触で読み取る読取機として機能し、出力記憶部133は、記憶媒体に記憶される識別情報、及び、出力可能なデータの種類を関連付けて記憶する出力記憶手段として機能する。
また、S39におけるCPU10及び記録部21は、読取機が、出力記憶手段に記憶してある識別情報を読み取った場合、読み取った識別情報に関連付けて出力記憶手段に記憶してある種類のデータを出力する出力手段として機能する。更に、S31におけるCPU10とモデム17とは、データを受信するデータ処理手段として機能し、S34におけるCPU10は、データを生成するデータ処理手段として機能する。更にまた、出力手段は、データ処理手段が受信又は生成したデータをプリントアウトする。
以上のようなMFP1を用いることによって、社員M4,M5,…が室内Rに存在している場合に、在室している社員M4,M5,…が受け取るべきデータをプリントアウトすることができる。このため、社員M4,M5,…が不在である場合にデータがプリントアウトされることを防止することができ、プリントアウトされたデータの紛失、悪意ある第三者による持ち去り等を防止することができる。
また、CPU10は、タグリーダ232を用いて社員M4,M5,…夫々の在/不在を常時監視する。このため、社員M4,M5,…夫々の在/不在をMFP1に設定する必要がなく、在/不在の設定の切り換え忘れが生じない。
なお、MFP1は、タグリーダ231,232を両方備えるか、タグリーダ231,232両方の機能を有するタグリーダを備え、EEPROM13に、操作記憶部131、操作履歴記憶部132及び出力記憶部133を記憶しておくことによって、周辺領域Aに存在する社員に許可された操作に対応する操作情報を受け付け、しかも、周辺領域Aを含む室内Rに存在する社員に受け渡すべきデータを自動的にプリントアウトすることができる。この場合、各社員が周辺領域Aに存在するか、周辺領域Aを除く室内Rに存在するかを判定するために、例えば、室内R全域と周辺領域A内とで、異なる周波数の電波をタグリーダが発信し、発信した電波に対応してタグIDを読み取ることによって、読み取ったタグIDを記憶してあるICタグの現在位置を判定する。
更にまた、ICタグT1,T2,…夫々が異なる識別情報を記憶している構成のみならず、一部の複数のICタグが同一の識別情報を記憶している構成でもよい。