本発明は、ユーザ認証によって許可する動作を切り替え可能な画像形成装置に関する。
例えば特許文献1には、ユーザ認証を実行し、認証されたユーザに割り当てられた権限の範囲で利用を許可する複合機が開示されている。上記構成によれば、例えば共用スペースに設置された複合機を、認証情報を付与されたユーザ(以下、「認証ユーザ」と表記する。)に、当該認証情報に対応付けられた権限の範囲で利用させることができる。換言すれば、権限を有しないユーザ(以下、「ゲストユーザ」と表記する。)が許可を得ずに当該複合機を利用することを制限できる。
認証ユーザは、当該認証ユーザに随伴するゲストユーザに、複合機の利用を許可したい場合がある。しかしながら、上記構成の複合機をゲストユーザに利用させようとすると、認証ユーザは、自らの認証情報でユーザ認証を受ける必要がある。その結果、ユーザ認証を受ける作業を認証ユーザに要求することになると共に、ゲストユーザに許可したくない形成動作までもが利用可能になる可能性がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、認証ユーザに煩雑な作業を要求することなく、且つ適切な範囲での利用をゲストユーザに許可することができる画像形成装置を提供することにある。
(1) 本明細書に記載の画像形成装置は、画像を形成する複数の形成動作を実行可能な画像形成部と、ユーザ操作を受け付ける受付部と、第1無線通信プロトコルに準拠した無線信号を送受信可能な通信部と、制御部とを備える。前記制御部は、前記受付部を通じて前記ユーザ操作を受け付ける受付処理と、前記受付処理で指示操作を受け付けたことに応じて、当該指示操作に対応する前記形成動作を前記画像形成部に実行させる動作制御処理とを実行する。前記指示操作は、対応する前記形成動作の実行を指示する前記ユーザ操作である。前記制御部は、前記受付処理でログイン操作を受け付けたことに応じて、該画像形成装置をログイン状態に遷移させる第1遷移処理を実行する。前記ログイン操作は、アカウント情報を入力する前記ユーザ操作である。前記ログイン状態は、入力された前記アカウント情報に対応付けられた前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記制御部は、前記通信部を通じて携帯端末から存在報知信号を受信する受信処理を実行する。前記存在報知信号は、予め定められた電波強度で前記携帯端末が送出した前記無線信号である。前記制御部は、該画像形成装置が前記ログイン状態と異なる状態のときに前記受信処理で前記存在報知信号を受信したことに応じて、該画像形成装置をゲスト状態に遷移させる第2遷移処理を実行する。前記ゲスト状態は、受信した前記存在報知信号に対応付けられた前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記制御部は、前記ゲスト状態のときに前記受信処理で前記存在報知信号を受信しない期間が閾値期間に達したことに応じて、該画像形成装置を非ログイン状態に遷移させる第3遷移処理を実行する。前記非ログイン状態は、前記ログイン状態及び前記ゲスト状態より少ない前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。
上記構成によれば、画像形成装置の状態に応じて受け付け可能な指示操作を切り替えるので、各ユーザに対して適切な範囲で画像形成装置を利用させることができる。また、画像形成装置が存在報知信号を受信可能な範囲に携帯端末を近づけるだけで、当該画像形成装置をゲスト状態に遷移させることができるので、ゲストユーザに指示操作を許可する際に認証ユーザに煩雑な作業を要求する必要がない。
(2) 好ましくは、前記制御部は、前記受信処理で受信した前記存在報知信号に基づいて、該画像形成装置と前記携帯端末との離間距離の程度を判断する第1判断処理と、前記離間距離が第1距離未満であると前記第1判断処理で判断した場合の前記第2遷移処理において、該画像形成装置を第1ゲスト状態に遷移させ、前記離間距離が前記第1距離以上で且つ前記第1距離より長い第2距離未満であると前記第1判断処理で判断した場合の前記第2遷移処理において、前記第1ゲスト状態より少ない前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な能な第2ゲスト状態に該画像形成装置を遷移させ、前記離間距離が前記第2距離以上であると前記第1判断処理で判断したことに応じて、前記第3遷移処理を実行する。
上記構成によれば、携帯端末を所持した認証ユーザが画像形成装置に近づくほど、ゲストユーザに許可される指示操作が増加する。その結果、例えば画像形成装置が備える高度な指示動作を、認証ユーザによる監視の許でゲストユーザに利用させることができる。
(3) 一例として、前記制御部は、前記第1判断処理において、前記受信処理で受信した前記存在報知信号の電波強度が強いほど、前記離間距離が短いと判断する。
(4) 他の例として、前記制御部は、予め定められた電波強度の前記無線信号であるビーコン信号を前記通信部を通じて送出する送出処理を実行し、前記受信処理において、距離情報を含む前記存在報知信号を受信し、前記距離情報は、前記ビーコン信号を受信した前記携帯端末が判断した前記離間距離を示し、前記第1判断処理において、前記距離情報に基づいて前記離間距離の程度を判断する。
(5) 例えば、前記画像形成部は、画像データで示される画像をシートに記録する記録部と、原稿に記録された画像を読み取って画像データを生成する読取部とを含む。前記第1ゲスト状態は、前記記録部に実行させる前記形成動作及び前記読取部に実行させる前記形成動作それぞれに対応する前記指示操作を受け付け可能な状態である。前記第2ゲスト状態は、前記記録部及び前記読取部のうちの前記記録部に実行させる前記形成動作に対応する前記指示操作のみを受け付け可能な状態である。
(6) 好ましくは、該画像形成装置は、記憶装置と接続されている。前記記憶装置は、前記携帯端末を識別する識別情報と、前記識別情報に対応付けられたゲスト許可情報とを複数セット記憶している。前記ゲスト許可情報は、前記ゲスト状態のときの前記受付処理で受け付け可能な前記指示操作を示す情報である。前記制御部は、前記受信処理において、対象識別情報を含む前記存在報知信号を受信し、前記対象識別情報は、当該存在報知信号の送出元の前記携帯端末を識別する前記識別情報であり、前記第2遷移処理において、前記対象識別情報に対応付けられた前記ゲスト許可情報で示される前記指示操作のみを受け付け可能な状態にする。
上記構成によれば、ゲストユーザに許可することができる指示操作を、携帯端末毎、すなわち、当該携帯端末を所持する認証ユーザ毎に異ならせることができる。
(7) 好ましくは、前記記憶装置は、前記識別情報に対応付けられたアカウント情報と、前記アカウント情報に対応付けられたログイン許可情報とを複数セット記憶している。前記アカウント情報は、対応する前記識別情報で識別される前記携帯端末のユーザに割り当てられたものである。前記ログイン許可情報は、前記ログイン状態のときの前記受付処理で受け付け可能な前記指示操作を示す情報である。前記ログイン許可情報は、当該ログイン許可情報に対応する前記識別情報と同一の前記識別情報に対応付けられた前記ゲスト許可情報で示される前記指示操作を少なくとも示す。前記制御部は、前記受付処理において、対象アカウント情報を入力する前記ログイン操作を受け付け、前記対象アカウント情報は、前記ログイン操作をするユーザに割り当てられた前記アカウント情報であり、前記対象アカウント情報が前記記憶装置に記憶されているか否かを判断する第2判断処理を実行し、前記対象アカウント情報が記憶されていると前記第2判断処理で判断した場合の前記第1遷移処理において、当該対象アカウント情報に対応付けられた前記ログイン許可情報で示される前記指示操作のみを受け付け可能な状態にする。
上記構成によれば、認証ユーザに許可された指示操作の範囲内において、ゲストユーザに指示操作を許可することができる。
(8) 好ましくは、前記制御部は、前記受付処理で前記指示操作を受け付けたことに応じて、該画像形成装置が前記ゲスト状態であるか否かを判断する第3判断処理と、前記ゲスト状態であると前記第3判断処理で判断したことに応じて、前記受付処理で受け付けた前記指示操作である対象指示操作を前記ゲスト許可情報が示しているか否かを判断する第4判断処理と、前記ゲスト許可情報が示していないと前記第4判断処理で判断したことに応じて、前記識別情報を介して当該ゲスト許可情報と対応付けられた前記ログイン許可情報が前記対象指示操作を示しているか否かを判断する第5判断処理と、前記ログイン許可情報が示していると前記第5判断処理で判断したことに応じて、当該ログイン許可情報に対応付けられた前記アカウント情報を用いた前記ログイン操作を促す報知処理とを実行する。
上記構成によれば、画像形成装置の近くにある携帯端末、すなわち、画像形成装置をゲスト状態に遷移させた携帯端末を所持する認証ユーザにログイン操作をさせることによって、指示操作に対応する形成動作が実行可能になることを認識させることができる。
(9) 好ましくは、前記制御部は、前記受付処理で前記指示操作を受け付けたことに応じて、該画像形成装置が前記ゲスト状態であるか否かを判断する第3判断処理と、前記ゲスト状態であると前記第3判断処理で判断したことに応じて、前記存在報知信号の送信元である前記携帯端末に前記通信部を通じて問合せ信号を送信する問合せ処理とを実行する。前記問合せ信号は、当該指示操作に対応付けられた前記形成動作の実行を許可するか否かを問い合わせる前記無線信号である。前記制御部は、前記形成動作の実行を許可することを示す許可信号を、前記通信部を通じて前記携帯端末から受信する回答受信処理と、前記回答受信処理で前記許可信号を受信したことに応じて、前記動作制御処理とを実行する。
(10) さらに好ましくは、前記制御部は、前記回答受信処理で前記許可信号を受信しなかったことに応じて、前記動作制御処理を実行しない。
上記構成によれば、ゲストユーザが行う指示操作に対応する形成動作が、認証ユーザの明示の許可によって実行される。その結果、認証ユーザの許可を得ていないゲストユーザが画像形成装置を利用することを抑制できる。
(11) 一例として、前記制御部は、予め定められた電波強度の前記無線信号であるビーコン信号を前記通信部を通じて送出する送出処理を実行し、前記受信処理において、前記通信部を通じて前記携帯端末から応答信号を受信する。前記応答信号は、前記ビーコン信号を受信した前記携帯端末によって送信される前記存在報知信号である。
(12) 例えば、前記制御部は、該画像形成装置が前記ログイン状態と異なる状態のときに前記受付処理で前記指示操作を受け付けたことに応じて、前記送出処理を開始する。
(13) 他の例として、前記携帯端末は、予め定められた電波強度の前記存在報知信号であるビーコン信号を繰り返し送出している。前記制御部は、前記受信処理において、前記携帯端末によって送出された前記ビーコン信号を受信する。
(14) 例えば、前記受付部は、第2無線通信プロトコルに準拠した無線信号を送受信可能である。前記第2無線通信プロトコルは、前記第1無線通信プロトコルより前記無線信号の到達距離が短い近接無線通信プロトコルである。前記制御部は、前記受付処理において、前記ユーザ操作を示す操作情報を含む前記無線信号を前記受付部を通じて受信する。
(15) 本明細書に記載のプログラムは、ユーザ操作を受け付ける操作部と、第1無線通信プロトコルに準拠した無線信号を画像形成装置との間で送受信可能な通信部とを備える携帯端末によって読み取り可能である。前記画像形成装置は、画像を形成する複数の形成動作のうちの実行可能な前記形成動作を、前記携帯端末との距離に応じて増減させることができる。該プログラムは、前記通信部を通じて前記画像形成装置に存在報知信号を送信する第1送信処理を前記携帯端末に実行させる。前記存在報知信号は、予め定められた電波強度の前記無線信号である。該プログラムは、前記存在報知信号を受信した前記画像形成装置から前記通信部を通じて問合せ信号を受信する受信処理を前記携帯端末に実行させる。前記問合せ信号は、ユーザによって実行が指示された前記形成動作の実行を許可するか否かを問い合わせる前記無線信号である。該プログラムは、前記問合せ信号で示される前記形成動作の実行を許可するか否かを示すユーザ操作を、前記操作部を通じて受け付ける受付処理と、前記通信部を通じて前記画像形成装置に回答信号を送信する第2送信処理とを前記携帯端末に実行させる。前記回答信号は、前記受付処理で受け付けた前記ユーザ操作を示す前記無線信号である。
(16) 本明細書に記載の画像形成システムは、画像形成装置と、携帯端末とを備える。前記画像形成装置は、画像を形成する複数の形成動作を実行可能な画像形成部と、ユーザ操作を受け付ける受付部と、無線通信プロトコルに準拠した無線信号を送受信可能な第1通信部と、第1制御部とを備える。前記第1制御部は、前記受付部を通じて前記ユーザ操作を受け付ける受付処理と、前記受付処理で指示操作を受け付けたことに応じて、当該指示操作に対応する前記形成動作を前記画像形成部に実行させる動作制御処理とを実行する。前記指示操作は、対応する前記形成動作の実行を指示する前記ユーザ操作である。前記第1制御部は、前記受付処理でログイン操作を受け付けたことに応じて、前記画像形成装置をログイン状態に遷移させる第1遷移処理を実行する。前記ログイン操作は、アカウント情報を入力する前記ユーザ操作である。前記ログイン状態は、入力された前記アカウント情報に対応付けられた前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記第1制御部は、前記第1通信部を通じて前記携帯端末から存在報知信号を受信する受信処理を実行する。前記存在報知信号は、予め定められた電波強度で前記携帯端末が送出した前記無線信号である。前記第1制御部は、前記画像形成装置が前記ログイン状態と異なる状態のときに前記受信処理で前記存在報知信号を受信したことに応じて、前記画像形成装置をゲスト状態に遷移させる第2遷移処理を実行する。前記ゲスト状態は、受信した前記存在報知信号に対応付けられた前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記第1制御部は、前記ゲスト状態のときに前記受信処理で前記存在報知信号を受信しない期間が閾値期間に達したことに応じて、前記画像形成装置を非ログイン状態に遷移させる第3遷移処理を実行する。前記非ログイン状態は、前記ログイン状態及び前記ゲスト状態より少ない前記指示操作のみを受け付け可能な状態である。前記携帯端末は、前記無線信号を送受信可能な第2通信部と、第2制御部とを備える。前記第2制御部は、前記第2通信部を通じて前記画像形成装置に前記存在報知信号を送信する。
本発明によれば、画像形成装置の状態に応じて受け付け可能な指示操作を切り替えるので、各ユーザに対して適切な範囲での利用を許可することができる。また、画像形成装置が存在報知信号を受信可能な範囲に携帯端末を近づけるだけで、当該画像形成装置をゲスト状態に遷移させることができるので、ゲストユーザに指示操作を許可する際に認証ユーザに煩雑な作業を要求する必要がない。
図1は、本実施形態に係る画像形成システム100の概略図である。
図2は、(A)が複合機10の機能ブロック図であり、(B)が携帯端末50の機能ブロック図である。
図3は、データ記憶領域32Bに記憶されたゲスト許可リストの一例である。
図4は、データ記憶領域32Bに記憶されたログイン許可リストの一例である。
図5は、画像形成処理のフローチャートである。
図6は、ログイン処理のフローチャートである。
図7は、状態遷移処理のフローチャートである。
図8は、形成処理2のフローチャートである。
図9は、表示部23の表示例であって、(A)はメニュー画面を、(B)はログイン画面を示す。
図10は、(A)が表示部23に表示されるメニュー画面の一例を、(B)は表示部53に表示される問合せ画面の一例である。
図11は、表示部23の表示例であって、(A)はエラー画面を、(B)はログイン報知画面を示す。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本実施形態における画像形成システム100の概略図である。図1に示される画像形成システム100は、複合機10と、携帯端末50A、50B、50C(以下、これらを総称して、「携帯端末50」と表記することがある。)とで構成される。画像形成システム100は、後述する不図示のサーバ等をさらに含んでもよい。本実施形態において、携帯端末50Aは端末ID“term−A”で識別され、携帯端末50Bは端末ID“term−B”で識別され、携帯端末50Cは端末ID“Term−C”で識別される。端末IDは、携帯端末50A〜50Cそれぞれを識別する識別情報の一例である。
[複合機10]
複合機10は、図2(A)に示されるように、プリンタ部11と、スキャナ部12と、FAX部13と、表示部23と、操作部24と、Wi−Fi(Wi−Fi Allianceの登録商標)通信部25と、BT通信部26と、装着部27と、CPU31と、記憶部32と、通信バス33とを主に備える。複合機10を構成する各構成要素は、通信バス33を通じて相互に接続されている。複合機10は、画像形成装置の一例である。
[プリンタ部11、スキャナ部12、FAX部13]
プリンタ部11は、画像データで示される画像を記録用紙に記録するプリント動作を実行する。記録用紙は、シート或いは記録媒体の一例である。プリンタ部11の記録方式として、インクジェット方式や電子写真方式などの公知の方式を採用することができる。また、本実施形態に係るプリント動作は、黒色のインク或いはトナーのみを用いてモノクロの画像を記録用紙に記録する「モノクロプリント」と、複数色(例えば、黒、シアン、マゼンタ、イエロー)のインク或いはトナーを用いてカラーの画像を記録用紙に記録する「カラープリント」とを含む。
スキャナ部12は、原稿に記録されている画像を読み取って画像データを生成するスキャン動作を実行する。FAX部13は、FAXプロトコルに準拠した方式でFAX画像データを送受信するFAX送信動作及びFAX受信動作を実行する。また、複合機10は、スキャナ部12に生成させた画像データで示される画像を、記録用紙に対してプリンタ部11に記録させるコピー動作を実行する。
プリント動作、スキャン動作、FAX送信動作、FAX受信動作、及びコピー動作は、画像を形成する形成動作の一例である。プリンタ部11、スキャナ部12、及びFAX部13は、形成動作を実行する画像形成部の一例である。また、プリンタ部11は記録部の一例であり、スキャナ部12は読取部の一例である。そして、複合機10は、形成動作の実行を指示するユーザ操作(以下、「指示操作」と表記する。)を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、当該形成動作を対応する画像形成部に実行させる。
[表示部23]
表示部23は、各種情報を表示する表示画面を備える。表示部23としては、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Displayの略)、有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence Displayの略)等を採用することができる。
[操作部24]
操作部24は、表示部23の表示画面に表示されたオブジェクトを選択するユーザの操作を受け付ける。具体的には、操作部24はボタンを有しており、押下されたボタンに対応づけられた各種の操作信号をCPU31へ出力する。さらに、操作部24は、表示部23の表示画面に重畳された膜状のタッチセンサを有していてもよい。すなわち、表示部23がタッチパネルディスプレイとして構成されてもよい。操作部24は、受付部の一例である。
なお、「オブジェクト」とは、ユーザが操作部24を操作することによって選択可能な画像を指す。一例として、オブジェクトは表示部23に表示された文字列であって、操作部24の方向キーを押下することによってオブジェクトの1つがハイライト表示され、操作部24の決定ボタンを押下することによってハイライト表示されたオブジェクトが選択されてもよい。他の例として、操作部24がタッチパネルである場合のオブジェクトは表示部23に表示されたアイコン、ボタン、リンク等であって、タッチ位置に表示されたオブジェクトが選択されてもよい。
タッチパネルとして実現される操作部24は、表示部23の表示画面をタッチするユーザ操作を受け付ける。また、操作部24は、ユーザがタッチした表示画面上の位置を示す位置情報を出力する。位置情報は、例えば、表示画面の左上端を原点とし、右向きをx軸の正の向き、下向きをy軸の正の向きとしたx−y平面上の座標(x,y)として表現できる。タッチセンサには、静電容量方式、抵抗膜方式等の周知の方式を採用することができる。
なお、本明細書中における「タッチ」とは、入力媒体を表示画面に接触させる操作全般を含む。すなわち、タッチした入力媒体を所定時間内に表示画面から離間させるタップ操作、タッチした入力媒体を表示画面上で静止させるロングタッチ操作、タッチした入力媒体を表示画面上でスライドさせるスライド操作、表示画面上をスライドする入力媒体の加速度が閾値以上であるフリック操作、表示画面上の異なる位置にタッチした2つの入力媒体を互いに近づける向きにスライドさせるピンチイン操作、表示画面上の異なる位置にタッチした2つの入力媒体を互いに離れる向きにスライドさせるピンチアウト操作等は、タッチの一例である。
また、入力媒体が表示画面に触れていなくても、表示画面との間の距離がごく僅かな位置まで入力媒体を近接させることを、前述の「タッチ」の概念に含めてもよい。さらに入力媒体とは、ユーザの指であってもよいし、タッチペン等であってもよい。
[Wi−Fi通信部25]
Wi−Fi通信部25は、Wi−Fiに準拠した方式で外部装置と通信を行うためのインタフェースである。複合機10は、例えば、携帯端末50或いは不図示のサーバ等との間でWi−Fi通信部25を通じて各種情報或いは各種データを送受信することができる。但し、Wi−Fi通信部25は、省略することが可能である。
[BT通信部26]
BT通信部26は、Bluetooth(Bluetooth SIG, Inc.の登録商標) LE(Low Energyの略)に準拠した方式で外部装置と通信を行うためのインタフェースである。複合機10は、例えば、携帯端末50等との間でBT通信部26を通じて各種情報或いは各種データを送受信することができる。BT通信部26は、第1無線通信プロトコルに準拠した無線信号を送受信可能な通信部の一例である。但し、第1無線通信プロトコルの具体例はBluetooth LEに限定されず、例えば、Bluetooth、Bluetooth Smart、iBeacon(Apple Inc.の登録商標)等であってもよい。第1無線信号は、無線信号の一例である。
[装着部27]
装着部27は、可搬記憶媒体が着脱されるインタフェースである。CPU31は、装着部27に装着された可搬記憶媒体からデータ又は情報を読み出し、或いは装着部27に装着された可搬記憶媒体にデータ又は情報を書き込むことができる。可搬記憶媒体の具体例は特に限定されないが、例えば、USBメモリ、SDカード、CD−ROM、DVD−ROM等であってもよい。
[CPU31]
CPU(Central Processing Unitの略)31は、複合機10の全体動作を制御するものである。CPU31は、後述する各種プログラムを記憶部32から取得して実行する。CPU31は、各種プログラムの実行によって、操作部24から出力される各種情報、及びWi−Fi通信部25を通じて外部装置から取得した各種情報等に基づいた各種の処理を実行する。CPU31及び記憶部32は、制御部の一例を構成する。
[記憶部32]
記憶部32は、プログラム記憶領域32Aと、データ記憶領域32Bとを有する。プログラム記憶領域32Aには、OS(Operating Systemの略)34と、制御プログラム35とが格納される。OS34及び制御プログラム35は、バイナリ形式にビルドされたプログラムである。なお、制御プログラム35は、単一のプログラムであってもよいし、複数のプログラムの集合体であってもよい。データ記憶領域32Bには、制御プログラム35の実行に必要なデータ或いは情報(以下、「データ等」と表記することがある。)が記憶される。記憶部32は、記憶装置の一例である。
なお、本明細書中の「データ」と「情報」とは、コンピュータによって取り扱い可能なビット或いはビット列である点において共通する。「データ」とは、各ビットが示す意味内容をコンピュータが考慮することなく取り扱えるものを指す。これに対して、「情報」とは、各ビットが示す意味内容によってコンピュータの動作が分岐するものを指す。さらに、「指示」は、送信先の装置に対して次の動作を促すための制御信号であって、情報を含んでいることもあるし、それ自体が情報としての性質を有していることもある。
また、「データ」及び「情報」は、形式(例えば、テキスト形式、バイナリ形式、フラグ形式等)がコンピュータ毎に変更されたとしても、同一の意味内容と認識される限り、同一のデータ及び情報として取り扱われる。例えば、「2つ」であることを示す情報が、あるコンピュータではASCIIコードで”0x32“というテキスト形式の情報として保持され、別のコンピュータでは二進数表記で”10“というバイナリ形式の情報として保持されてもよい。
但し、上記の「データ」及び「情報」の区別は厳密なものではなく、例外的な取り扱いも許容される。例えば、データが一時的に情報として扱われてもよいし、情報が一時的にデータとして扱われてもよい。また、ある装置ではデータとして扱われるものが、他の装置では情報として扱われてもよい。さらには、データの中から情報が取り出されてもよいし、情報の中からデータが取り出されてもよい。
記憶部32は、例えば、RAM(Random Access Memoryの略)、ROM(Read Only Memoryの略)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memoryの略)、HDD(Hard Disk Driveの略)、CPU31が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成される。
なお、記憶部32は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non−transitoryな媒体である。non−transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体も含まれる。また、non−transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non−transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
プログラム記憶領域32Aに記憶されているプログラムは、CPU31によって実行される。しかしながら、本明細書では、CPU31を省略して各プログラムの動作を説明することがある。すなわち、以下の説明において、「プログラムAが処理Aを実行する」という趣旨の記述は、「CPU31がプログラムAに記述された処理Aを実行する」ことを指してもよい。
また、プログラム記憶領域32Aに記憶されているプログラムは、事象を判断し、判断結果に応じて動作する。しかしながら、本明細書では、判断することを省略して各プログラムの動作を説明することがある。すなわち、以下の説明において、「プログラムが条件Aに応じて、処理Aを実行する」という趣旨の記述は、「プログラムは条件Aであるか否かを判断する。プログラムは、肯定判断であることに応じて、処理Aを実行する」ことを指してもよい。
また、プログラム記憶領域32Aに記憶されているプログラムは、データ等を特定し、取得し、抽出し、或いは選択する。プログラムがデータ等を特定するとは、例えば、複数のデータ等のうちから条件に合致するデータを特定し、当該データ等そのもの或いは当該データ等を識別する情報を、予め定められた記憶領域に記憶させる処理を指す。データ等を識別する情報とは、例えば、当該データ等を識別する識別情報、当該データ等が記憶された配列のインデックス、当該データ等が記憶された記憶領域のポインタ等である。プログラムがデータ等を取得し、抽出し、或いは選択する処理も同様である。
OS34は、複合機10を構成するハードウェアであるプリンタ部11、スキャナ部12、FAX部13、表示部23、操作部24、Wi−Fi通信部25、BT通信部26、及び装着部27等を制御するためのAPI(Application Programming Interfaceの略)を提供する基本プログラムである。すなわち、上記の各プログラムは、OS34が提供するAPIを呼び出すことによって、各ハードウェアを制御する。しかしながら、本明細書では、OS34を省略して各プログラムの動作を説明することがある。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記述は、「プログラムBがOS34のAPIを通じてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。
データ記憶領域32Bは、図3に示されるように、端末IDと、端末IDに対応付けられたゲスト許可情報とを記憶している。以下、図3に示される情報を総称して「ゲスト許可リスト」と表記することがあり、図3に示される各レコードを「ゲスト許可レコード」と表記することがある。すなわち、図3に示されるゲスト許可リストには、複数のゲスト許可レコードが含まれている。
ゲスト許可情報は、複合機10が後述するゲスト状態のときに、操作部24を通じて受け付け可能な指示操作を示す情報である。ゲスト許可情報は、端末IDで識別される携帯端末50と複合機10との距離(以下、「離間距離」と表記する。)が第1距離未満のときに受け付け可能な指示操作と、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満のときに受け付け可能な指示操作と、離間距離が第2距離以上のときに受け付け可能な指示操作とを含む。第1距離及び第2距離は、例えば図1に示されるように、複合機10を中心とする同心円の半径として表すことができる。また、第1距離は、第2距離よりも短いものとする。例えば、第1距離は5mであり、第2距離は10mであってもよい。
図3の例において、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報は、離間距離が第1距離未満のときに、形成動作“カラープリント”、“コピー”、“スキャン”の実行を指示する指示操作が受け付け可能であることを示す。また、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報は、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満のときに、形成動作“カラープリント”、“コピー”の実行を指示する指示操作が受け付け可能であることを示す。すなわち、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報は、離間距離が第1距離未満のときにプリント動作及びスキャン動作の両方を許可し、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満のときにプリント動作及びスキャン動作のうちのプリント動作のみを許可する。
さらに、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報は、離間距離が第2距離以上のときに、全ての指示操作が受け付け不能であることを示す。本実施形態に係る複合機10は、後述する図7に示されるように、離間距離が第2距離以上のときに、非ログイン状態に遷移する。すなわち、離間距離が第2距離以上のときに受け付け可能な指示操作は、非ログイン状態において受け付け可能な指示操作と一致する。なお、離間距離が第2距離以上のときに受け付け可能な指示操作は、ゲスト許可情報に定義されていなくてもよい。この場合は、後述するステップS40において、ゲスト許可情報で許可された指示操作を示す情報を読み出す処理は省略される。また、離間距離が第2距離以上のときに受け付け可能な指示操作と、非ログイン状態において受け付け可能な指示操作とが異なっていてもよい。例えば、複合機10は、離間距離が第2距離以上のときに、1枚の記録用紙に対するモノクロプリントを指示する指示操作のみを許容してもよい。
形成動作“カラープリント”はカラープリント及びモノクロプリントの両方を指し、形成動作“モノクロプリント”はモノクロプリントを指し、形成動作“コピー”はコピー動作を指し、形成動作“スキャン”はスキャン動作を指す。図4に示されるログイン許可情報についても同様である。また、図4に示されるログイン許可情報に含まれる形成動作“FAX送信”はFAX送信動作を指す。さらに、形成動作を表す文字列の後に付加された括弧は、当該形成動作を実行する画像形成部の機能を制限する制限情報を示す。
一例として、形成動作“モノクロプリント(20枚未満)”は、プリンタ部11にモノクロプリントのみの実行を許可し、且つ1回のプリント動作におけるプリント枚数を20枚未満に制限することを示す。他の例として、形成動作“カラープリント(50枚未満)”は、プリンタ部11にモノクロプリント及びカラープリントの実行を許可し、且つ1回のプリント動作におけるプリント枚数を50枚未満に制限することを示す。さらに他の例として、図示は省略するが、“FAX送信(電話帳利用不可)”は、FAX部13にFAX送信動作を許可するが、認証ユーザが事前に複合機10に登録したFAX番号の利用は許可しないことを示す。一方、制限情報が付加されていない形成動作は、当該形成動作を実行する画像形成部の全ての機能が制限なく利用可能であることを示す。
端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報によれば、離間距離が長くなるほど、複合機10に実行させることができる形成動作の数が減少する。また、端末ID“term−B”に対応付けられたゲスト許可情報によれば、離間距離が第2距離未満のときに複合機10に実行させることができる形成動作の数は変化しないが、離間距離が長くなるほど制限情報で示される機能制限が厳しくなる。さらに、端末ID“term−C”に対応付けられたゲスト許可情報によれば、離間距離が長くなるほど、複合機10に実行させることができる形成動作の数が減少し且つ制限情報で示される機能制限が厳しくなる。実行可能な形成動作の数が減少すること及び機能制限が厳しくなることは、いずれも受け付け可能な指示操作の数が減少することの一例である。
また、データ記憶領域32Bは、図4に示されるように、端末IDと、端末IDに対応付けられたアカウント情報及びログイン許可情報とを記憶している。以下、図4に示される情報を総称して「ログイン許可リスト」と表記し、図4に示される各レコードを「ログイン許可レコード」と表記することがある。すなわち、図4に示されるログイン許可リストには、複数のログイン許可レコードが含まれている。
アカウント情報は、複合機10を後述するログイン状態に遷移させるために、操作部24を通じて入力されるユーザID及びパスワードの組み合わせ(以下、「登録アカウント情報」と表記することがある。)である。アカウント情報は、例えば、対応する端末IDで識別される携帯端末50のユーザに割り当てられるものである。ログイン許可情報は、複合機10が後述するログイン状態のときに、操作部24を通じて受け付けることが可能な指示操作を示す情報である。
図3に示されるゲスト許可情報と、図4に示されるログイン許可情報とは、共通の端末IDによって互いに対応付けられている。ゲスト許可情報及びログイン許可情報それぞれで許可される指示操作は、例えば、画像形成システム100の管理者によって任意に設定される。但し、同一の端末IDに対応付けられたゲスト許可情報及びログイン許可情報は、例えば以下のような関係を有していてもよい。
一例として、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報及びログイン許可情報を比較すると、第1距離未満のゲスト許可情報で許可される指示操作と、ログイン許可情報で許可される指示操作とが同一になっている。他の例として、端末ID“term−B”に対応付けられたゲスト許可情報及びログイン許可情報を比較すると、ログイン許可情報で許可される指示操作は、対応するゲスト許可情報で許可される全ての指示操作と、ゲスト許可情報で許可されていない形成動作“スキャン”の指示操作とを含む。換言すれば、ゲスト許可情報で許可される指示操作は、対応するログイン許可情報で許可される指示操作の一部である。さらに他の例として、端末ID“term−C”に対応付けられたゲスト許可情報及びログイン許可情報を比較すると、ゲスト許可情報で許可される指示操作と、ログイン許可情報で許可される指示操作とは重複していない。
[携帯端末50]
携帯端末50は、図2(B)に示されるように、表示部53と、操作部54と、Wi−Fi通信部55と、BT通信部56と、CPU61と、記憶部62と、通信バス63とを主に備える。携帯端末50に含まれる表示部53、操作部54、Wi−Fi通信部55、BT通信部56、CPU61、記憶部62、及び通信バス63は、複合機10に含まれる表示部23、操作部24、Wi−Fi通信部25、BT通信部26、CPU31、記憶部32、及び通信バス33と共通するので、再度の説明は省略する。
[画像形成システム100の動作]
図5〜図11を参照して、本実施形態に係る画像形成処理を説明する。画像形成処理は、操作部24を通じて受け付けた指示操作に基づいて画像形成部に形成動作を実行させる処理である。図5に示される画像形成処理は、例えば複合機10の電源が投入されている間、繰り返し実行される。
なお、本実施形態に係る複合機10は、ログイン状態と、ゲスト状態と、非ログイン状態とに状態変化が可能である。複合機10は、後述するログイン操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、ログイン状態に遷移する。また、複合機10は、ログイン状態でないときに後述する存在報知信号を受信したことに応じて、ゲスト状態に遷移する。さらに、複合機10は、後述するログアウト操作を操作部24を通じて受けて受けたこと、或いはゲスト状態のときに存在報知信号を受信しない期間が閾値期間に達したことに応じて、非ログイン状態に遷移する。閾値期間は、例えば、10秒から10分程度の期間であってもよい。
ログイン状態は、認証ユーザに許可された指示操作のみを操作部24を通じて受け付け可能な状態である。認証ユーザとは、前述のアカウント情報が割り当てられたユーザを指す。換言すれば、ログイン状態は、図4に示されるログイン許可情報で示される指示操作のみを操作部24を通じて受け付け可能な状態である。ゲスト状態は、ゲストユーザに許可された指示操作のみを操作部24を通じて受け付け可能な状態である。ゲストユーザとは、前述のアカウント情報が割り当てられていないユーザを指す。換言すれば、ゲスト状態は、図3に示されるゲスト許可情報で示される指示操作のみを操作部24を通じて受け付け可能な状態である。非ログイン状態とは、全てのユーザに許可された指示操作のみを操作部24を通じて受付可能な状態である。非ログイン状態において受け付け可能な指示操作は、ログイン状態及びゲスト状態のときより少ない。本実施形態に係る複合機10は、非ログイン状態において全ての指示操作を受け付けないものとする。
複合機10の制御プログラム35は、例えば複合機10の電源が投入されたことに応じて、メニュー画面を表示部23に表示させる(S11)。また、電源が投入された時点における複合機10の状態は、非ログイン状態である。具体的には、制御プログラム35は、データ記憶領域32Bに予め用意された状態フラグに、非ログイン状態であることを示す値を設定する。また、制御プログラム35は、許可操作リストを記憶させるためにデータ記憶領域32Bに予め用意された領域を初期化する。すなわち、複合機10が非ログイン状態のときに、データ記憶領域32Bには許可操作リストが記憶されていない。後述するように、許可操作リストは、複合機10の現在の状態で受け付け可能な指示操作を示す情報を含む。
図9(A)は、非ログイン状態におけるメニュー画面の一例である。図9(A)に示されるメニュー画面は、[カラープリント]アイコン、[モノクロプリント]アイコン、[COPY]アイコン、[SCAN]アイコン、[FAX]アイコン、及び[ログイン]アイコンを含む。そして、制御プログラム35は、メニュー画面に含まれる各種アイコンの位置をタップするユーザ操作を、操作部24を通じて受け付ける(S12)。ステップS12の処理は、受付処理の一例である。
[カラープリント]アイコンは、カラープリントの実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[モノクロプリント]アイコンは、モノクロプリントの実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[COPY]アイコンは、コピー動作の実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[SCAN]アイコンは、スキャン動作の実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[FAX]アイコンは、FAX送信動作の実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[ログイン]アイコンは、ログイン処理の実行を指示するユーザ操作を受け付けるためのアイコンである。
制御プログラム35は、複合機10が非ログイン状態のときに、[ログイン]アイコン以外のアイコンを通じて指示操作を受け付けることができないように、制御している。例えば、制御プログラム35は、複合機10が非ログイン状態のときに[モノクロプリント]アイコンがの位置がタッチされた場合、エラー画面を表示部23に表示させる。図11(A)は、エラー画面の一例である。図11(A)に示されるエラー画面は、「形成動作を実行する権限がありません。」とのメッセージと、[OK]アイコンとを含む。[モノクロプリント]アイコンの位置がタッチされたことに応じて表示部23にエラー画面が表示されることは、形成動作“モノクロプリント”に対応する指示操作が受け付け不能であることの一例である。
そして、制御プログラム35は、[ログイン]アイコンの位置をタップするログイン操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて(S12:[ログイン]アイコン)、ログイン処理を実行する(S13)。ログイン処理は、複合機10をログイン状態に遷移させるための処理である。図6を参照して、ログイン処理の詳細を説明する。なお、ログイン処理は、複合機10が非ログイン状態のときのみならず、複合機10がゲスト状態のときにも実行可能である。
まず、制御プログラム35は、ログイン画面を表示部23に表示させる(S21)。図9(B)は、ログイン画面の一例である。図9(B)に示されるログイン画面は、「ユーザID&パスワードを入力してください。」とのメッセージと、操作部24を通じて入力されたユーザIDを表示するテキストボックスと、操作部24を通じて入力されたパスワードを表示するテキストボックスと、[ログイン]アイコンとを含む。そして、制御プログラム35は、ユーザID及びパスワードを入力するユーザ操作と、[ログイン]アイコンの位置をタップするユーザ操作とを、操作部24を通じて受け付ける(S22)。
次に、制御プログラム35は、[ログイン]アイコンの位置がタップされたことに応じて(S22:Yes)、操作部24を通じてユーザから受け付けた、すなわち、テキストボックスに表示されたユーザID及びパスワード(以下、「対象アカウント情報」と表記することがある。)を取得する。制御プログラム35は、対象アカウント情報と同一の登録アカウント情報がログイン許可リストに登録されているか否かを判断する(S23)。ステップS23の処理は、第2判断処理の一例である。対象アカウント情報を入力する操作及び[ログイン]アイコンを選択する操作は、ログイン操作の一例である。
そして、制御プログラム35は、対象アカウント情報と同一の登録アカウント情報がログイン許可リストに登録されていると判断したことに応じて(S23:Yes)、複合機10をログイン状態に遷移させる(S24)。すなわち、制御プログラム35は、ログイン状態であることを示す値を状態フラグに設定する。また、制御プログラム35は、対象アカウント情報に対応付けられたログイン許可情報を、ログイン許可リストから読み出す。そして、制御プログラム35は、読み出したログイン許可情報で許可された指示操作を示す情報を、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させる。ステップS24の処理は、第1遷移処理の一例である。
例えば、ログイン画面を通じてユーザID“abc”及びパスワード“001”が入力された場合の許可操作リストは、形成動作“カラープリント”、“コピー”、“スキャン”の実行を指示する指示操作を示す情報を含む。この場合の複合機10は、カラープリント、コピー動作、スキャン動作の実行を指示する指示操作を受け付け可能で、FAX送信動作の実行を指示する指示操作を受け付け不能な状態になる。このように、ログイン状態の複合機10は、対象アカウント情報に対応付けられたログイン許可情報で許可された指示操作のみを受け付け可能となる。
図5に戻って、制御プログラム35は、図10(A)に示されるメニュー画面を表示部23に表示させる(S11)。図10(A)に示されるメニュー画面は、[ログイン]アイコンに代えて[ログアウト]アイコンが含まれている点において図9(A)に示されるメニュー画面と相違し、その他の点は図9(A)に示されるメニュー画面と共通する。[ログアウト]アイコンは、ログアウト操作を受け付けるためのアイコンである。制御プログラム35は、[ログアウト]アイコンの位置をタップするログアウト操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて(S12:ログアウト操作)、複合機10をログアウト状態に遷移させる(S18)。すなわち、制御プログラム35は、状態フラグにログアウト状態であることを示す値を状態フラグに設定する。また、制御プログラム35は、許可操作リストを初期化する。ステップS18の処理は、第3遷移処理の一例である。
一方、制御プログラム35は、対象アカウント情報と同一の登録アカウント情報がログイン許可リストに登録されていないと判断したことに応じて(S23:No)、ログイン処理の失敗を報知する。報知の具体的な方法は特に限定されないが、例えば、ログイン処理の失敗を報知する画面を表示部23に表示させてもよいし、不図示のスピーカに報知音を出力させてもよい。そして、制御プログラム35は、複合機10の状態を変更することなく、図9(A)に示されるメニュー画面を再び表示部23に表示させる(S11)。
さらに、制御プログラム35は、[カラープリント]アイコン、[モノクロプリント]アイコン、[COPY]アイコン、[SCAN]アイコン、或いは[FAX]アイコンの位置をタップする指示操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて(S12:指示操作)、状態遷移処理を実行する(S14)。以下、アイコンの位置をタップする指示操作を操作部24を通じて受け付けたことを、「アイコンが選択された」と表記することがある。本実施形態では、[モノクロプリント]アイコンが選択されたものとして、以下の処理を説明する。以下、ステップS12で受け付けた指示操作を「対象指示操作」と表記する。状態遷移処理は、複合機10の周辺に存在する携帯端末50との離間距離の程度に応じて、複合機10の状態を遷移させる処理である。図7を参照して、状態遷移処理の詳細を説明する。
まず、制御プログラム35は、複合機10がログイン状態であるか否かを判断する(S31)。すなわち、制御プログラム35は、ログイン状態であることを示す値が状態フラグに設定されているか否かを判断する。そして、制御プログラム35は、複合機10がログイン状態であると判断したことに応じて(S31:Yes)、複合機10の状態を変更することなく、状態遷移処理を終了する。
一方、制御プログラム35は、複合機10がログイン状態でないと判断したことに応じて(S31:No)、装置ビーコン信号の送出をBT通信部26に開始させる(S32)。これにより、BT通信部26は、所定の出力の装置ビーコン信号を所定の時間間隔で繰り返し送出する。複合機10から送出された装置ビーコン信号は、徐々に減衰しながら空気中を伝搬する。すなわち、装置ビーコン信号の電波強度は、複合機10との間の距離が短い位置ほど強くなり、複合機10との距離が長い位置ほど弱くなる傾向がある。ステップS32の処理は、送出処理の一例である。装置ビーコン信号は、第1無線通信プロトコルに準拠した第1無線信号の一例である。
携帯端末50の制御プログラム65は、BT通信部56を通じて装置ビーコン信号を受信することができる。次に、制御プログラム65は、受信した装置ビーコン信号の受信強度に基づいて、複合機10と携帯端末50との離間距離の程度を判断する。そして、制御プログラム65は、予め定められた電波強度の応答信号をBT通信部56を通じて複合機10に送信する。応答信号は、当該携帯端末50の端末IDと、判断した離間距離を示す距離情報とを含む。応答信号は、存在報知信号の一例である。応答信号を送信する処理は、第1送信処理の一例である。
なお、制御プログラム65は、受信した装置ビーコン信号の受信強度が第1強度以上であることに応じて、離間距離が第1距離未満であると判断して、距離情報“NEAR”を応答信号に含める。また、制御プログラム65は、受信した装置ビーコン信号の受信強度が第1強度未満で且つ第2強度以上であることに応じて、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満であると判断して、距離情報“MIDDLE”を応答信号に含める。さらに、制御プログラム65は、受信した装置ビーコン信号の受信強度が第2強度未満であることに応じて、離間距離が第2距離以上であると判断して、距離情報“FAR”を応答信号に含める。
すなわち、図1の例において、携帯端末50Aは、複合機10が送出した装置ビーコン信号を受信したことに応じて、端末ID“term−A”と、距離情報“NEAR”とを含む応答信号を送信する。また、携帯端末50Bは、複合機10が送出した装置ビーコン信号を受信したことに応じて、端末ID“term−B”と、距離情報“MIDDLE”とを含む応答信号を送信する。さらに、携帯端末50Cは、複合機10が送出した装置ビーコン信号を受信したことに応じて、端末ID“term−C”と、距離情報“FAR”とを含む応答信号を送信する。
また、複合機10の制御プログラム35は、BT通信部26を通じて応答信号を受信するか(S33)、或いは応答信号を受信できない時間が第1閾値時間に達するまで待機する(S34)。第1閾値時間は、例えば、30msec〜100msec程度であってもよい。そして、制御プログラム35は、装置ビーコン信号の送出を開始してから第1閾値時間を経過するまでに応答信号を受信できないことに応じて(S33:No&S34:Yes)、複合機10を非ログイン状態に遷移させる(S35)。すなわち、制御プログラム35は、非ログイン状態であることを示す値を状態フラグに設定する。また、制御プログラム35は、許可操作リストを初期化する。ステップS35の処理は、第3遷移処理の一例である。なお、ステップS33で応答信号が受信できないとは、応答信号の電波強度が小さ過ぎて、BT通信部26或いは制御プログラム35が当該信号を有効と認めない場合も含むものとする。
一方、制御プログラム35は、第1閾値時間が経過する前にBT通信部26を通じて応答信号を受信したことに応じて(S33:Yes)、応答信号の送信元である携帯端末50と複合機10との離間距離の程度を判断する(S36&S38)。具体的には、制御プログラム35は、受信した応答信号に含まれる距離情報に基づいて、離間距離の程度を判断すればよい。ステップS33の処理は受信処理の一例であり、ステップS36、S38の処理は第1判断処理の一例である。
なお、第1閾値時間が経過する前にBT通信部26を通じて複数の応答信号を受信した場合に、制御プログラム35は、当該複数の応答信号のうちの1つを所定の優先順位に従って選択し、選択した応答信号の送信元である携帯端末50と複合機10との離間距離の程度を判断してもよい。応答信号の電波強度が強い順は、所定の優先順位の一例である。各端末IDに対応付けられた優先度情報の高い順は、所定の優先順位の一例である。なお、ゲスト許可情報は、端末IDに対応付けられた優先度情報をさらに含んでもよい。
一例として、携帯端末50Aとの離間距離の程度を判断する場合の制御プログラム35は、応答信号が距離情報“NEAR”を含んでいるので、離間距離が第1距離未満であると判断する(S36:Yes)。そして、制御プログラム35は、複合機10を第1ゲスト状態に遷移させる(S37)。すなわち、制御プログラム35は、第1ゲスト状態であることを示す値を状態フラグに設定する。ステップS37の処理は第2遷移処理の一例であり、第1ゲスト状態はゲスト状態の一例である。
また、制御プログラム35は、応答信号に含まれる端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報をゲスト許可リストから読み出す。そして、制御プログラム35は、読み出したゲスト許可情報で許可された指示操作を示す情報を、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させる。すなわち、この場合の許可操作リストは、形成動作“カラープリント”、“コピー”、“スキャン”の実行を指示する指示操作を示す情報を含む。この場合の複合機10は、プリント動作、コピー動作、スキャン動作の実行を指示する指示操作を受け付け可能で、FAX送信動作の実行を指示する指示操作を受け付け不能な状態になる。このように、第1ゲスト状態の複合機10は、応答信号の送信元である携帯端末50を識別する端末IDに対応付けられたゲスト許可情報のうち、離間距離が第1距離未満のときに許可された指示操作のみを受け付け可能となる。
他の例として、携帯端末50Bとの離間距離の程度を判断する場合の制御プログラム35は、応答信号が距離情報“MIDDLE”を含んでいるので、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満であると判断する(S36:No:S38:Yes)。そして、制御プログラム35は、複合機10を第2ゲスト状態に遷移させる(S39)。すなわち、制御プログラム35は、第2ゲスト状態であることを示す値を状態フラグに設定する。ステップS39の処理は第2遷移処理の一例であり、第2ゲスト状態はゲスト状態の一例である。
また、制御プログラム35は、応答信号に含まれる端末ID“term−B”に対応付けられたゲスト許可情報をゲスト許可リストから読み出す。そして、制御プログラム35は、読み出したゲスト許可情報で許可された指示操作を示す情報を、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させる。すなわち、この場合の許可操作リストは、形成動作“モノクロプリント(20枚未満)”の実行を指示する指示操作を示す情報を含む。この場合の複合機10は、モノクロプリントの実行を指示する指示操作を受け付け可能で、カラープリント、コピー動作、スキャン動作、及びFAX送信動作の実行を指示する指示操作を受け付け不能な状態になる。このように、第2ゲスト状態の複合機10は、応答信号の送信元である携帯端末50を識別する端末IDに対応付けられたゲスト許可情報のうち、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満のときに許可された指示操作のみを受け付け可能となる。
さらに他の例として、携帯端末50Cとの距離の程度を判断する場合の制御プログラム35は、応答信号が距離情報“FAR”を含んでいるので、離間距離が第2距離以上であると判断する(S36:No:S38:No)。そして、制御プログラム35は、複合機10を非ログイン状態に遷移させる(S40)。すなわち、制御プログラム35は、非ログイン状態であることを示す値を状態フラグに設定する。さらに、制御プログラム35は、応答信号に含まれる端末ID“term−C”に対応付けられたゲスト許可情報をゲスト許可リストから読み出す。そして、制御プログラム35は、読み出したゲスト許可情報で許可された指示操作を示す情報を、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させる。すなわち、この場合の許可操作リストは、指示操作を示す情報を含まない。ステップS40の処理は、第3遷移処理の一例である。
図5に戻って、制御プログラム35は、複合機10がゲスト状態であるか否かを判断する(S15)。すなわち、制御プログラム35は、第1ゲスト状態或いは第2ゲスト状態であることを示す値が状態フラグに設定されているか否かを判断する。ステップS15の処理は、第3判断処理の一例である。そして、制御プログラム35は、複合機10がゲスト状態でないと判断したことに応じて(S15:No)、形成処理1を実行する(S16)。一方、制御プログラム35は、複合機10がゲスト状態であると判断したことに応じて(S15:Yes)、形成処理2を実行する(S17)。形成処理1は、複合機10が非ログイン状態或いはログイン状態であるときに、対象指示操作に対応する形成動作を画像形成部に実行させる処理である。形成処理2は、複合機10がゲスト状態であるときに、対象指示操作に対応する形成動作を画像形成部に実行させる処理である。図8を参照して、形成処理2の詳細を説明する。
まず、制御プログラム35は、対象指示操作が複合機10の現在の状態で許可されているか否かを判断する(S51)。すなわち、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれているか否かを判断すればよい。一例として、[モノクロプリント]アイコンが選択され、且つ複合機10を中心とする第2距離範囲内に携帯端末50A或いは携帯端末50Bが存在する場合、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれると判断する。他の例として、[モノクロプリント]アイコンが選択され、複合機10を中心とする第2距離範囲内に携帯端末50Cが存在し、且つ携帯端末50A、50Bが存在していない場合、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれないと判断する。さらに他の例として、[モノクロプリント]アイコンが選択され、且つ複合機10が非ログイン状態である場合、制御プログラム35は、対象指示操作が許可操作リストに含まれないと判断する。ステップS51の処理は、第4判断処理の一例である。
次に、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれていることに応じて(S51:Yes)、応答信号の送信元の携帯端末50にBT通信部26を通じて問合せ信号を送信する(S52)。問合せ信号は、対象指示操作に対応する形成動作の実行を許可するか否かを問い合わせる無線信号の一例である。すなわち、問合せ信号は、対象指示操作を識別する操作IDを含む。すなわち、[モノクロプリント]アイコンが選択された場合の問合せ信号は、形成動作“モノクロプリント”に対応する対象操作信号を識別する操作IDを含む。ステップS52の処理は、問合せ処理の一例である。
一方図示は省略するが、携帯端末50の制御プログラム65は、BT通信部56を通じて複合機10から問合せ信号を受信する。問合せ信号を受信する処理は、受信処理の一例である。そして、制御プログラム65は、問合せ画面を表示部53に表示させる。図10(B)は、問合せ画面の一例である。図10(B)に示される問合せ画面は、「ゲストユーザにモノクロプリントの実行を許可しますか?」とのメッセージと、[はい]アイコンと、[いいえ]アイコンとを含む。なお、図10(B)に示される「モノクロプリント」の部分は、受信した問合せ信号に含まれる操作IDに応じて適宜変更される。そして、制御プログラム65は、問合せ画面に対するユーザ操作を操作部54を通じて受け付ける。問合せ画面に対するユーザ操作を受け付ける処理は、受付処理の一例である。
制御プログラム65は、[はい]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部54を通じて受け付けたことに応じて、BT通信部56を通じて複合機10に許可信号を送信する。許可信号は、対象指示操作に対応する形成動作“モノクロプリント”の実行を許可することを示す信号である。一方、制御プログラム65は、[いいえ]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部54を通じて受け付けたことに応じて、BT通信部56を通じて複合機10に拒否信号を送信する。拒否信号は、対象指示操作に対応する形成動作“モノクロプリント”の実行を許可しないことを示す信号である。以下、許可信号及び拒否信号を総称して、「回答信号」と表記することがある。回答信号を送信する処理は、第2送信処理の一例である。
また、複合機10の制御プログラム35は、応答信号の送信元の携帯端末50からBT通信部26を通じて許可信号を受信するか(S53)、許可信号を受信できない時間が第2閾値時間に達するまで待機する(S55)。第2閾値時間は、例えば、30sec〜5min程度であってもよい。そして、制御プログラム35は、BT通信部26を通じて携帯端末50から許可信号を受信したことに応じて(S53:Yes)、対象指示操作に対応する形成動作“モノクロプリント”を画像形成部に実行させる(S54)。[モノクロプリント]が選択された場合にプリンタ部11によって形成動作“モノクロプリント”が実行されることは、形成動作“モノクロプリント”に対応する指示操作が受け付け可能であることの一例である。ステップS53の処理は回答受信処理の一例であり、ステップS54の処理は動作制御処理の一例である。
例えば、図1に示される携帯端末50Aから許可信号を受信した場合、プリンタ部11は、ユーザによって指定された画像データを装着部27に装着された可搬記憶媒体から読み出し、当該画像データで示される画像を黒色のインク或いはトナーを用いて記録用紙に記録する。図1に示される携帯端末50Bから許可信号を受信した場合も同様である。但し、ユーザによって指定された画像データに20枚以上の画像が含まれている場合、プリンタ部11は、プリント処理を実行することなく、指定された画像データが20枚以上の画像を含むことをユーザに報知してもよいし、19枚の画像を記録用紙に記録した後に、これ以上のプリント処理が実行できないことをユーザに報知してもよい。
一方、制御プログラム35は、BT通信部26を通じて携帯端末50から拒否信号を受信した、或いは問合せ信号を送信してから第2閾値時間を経過するまでに許可信号を受信できなかったことに応じて(S53:No&S55:Yes)、図11(A)に示されるエラー画面を表示部23に表示させる(S56)。そして、制御プログラム35は、[OK]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、動作制御処理を実行することなく、再び表示部23にメニュー画面を表示させる(S11)。
また、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれていないことに応じて(S51:No)、対応するログイン許可情報で対象指示操作が許可されているか否かを判断する(S57)。対応するログイン許可情報とは、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させたゲスト許可情報と端末IDを介して対応付けられたログイン許可情報を指す。換言すれば、対応するログイン許可情報とは、応答信号の送信元の携帯端末50の端末IDに対応付けられたログイン許可情報を指す。ステップS57の処理は、第5判断処理の一例である。次に、制御プログラム35は、対応するログイン許可情報で対象指示操作が許可されていると判断したことに応じて(S57:Yes)、ログイン報知画面を表示部23に表示させる(S58)。
例えば、[モノクロプリント]アイコンが選択された場合に、携帯端末50Cから応答信号を受信し、携帯端末50A及び携帯端末50Bから応答信号を受信していない状態を想定する。この場合の制御プログラム35は、形成動作“モノクロプリント”に対応する対象指示操作が、端末ID“term−C”に対応するゲスト許可情報で許可されていないと判断する(S51:No)。また、制御プログラム35は、形成動作“モノクロプリント”に対応する対象指示操作が、端末ID“term−C”に対応するログイン許可情報で許可されていると判断する(S57:Yes)。すなわち、前述の例によれば、ログイン報知画面が表示部23に表示される(S58)。
図11(B)は、ログイン報知画面の一例である。図11(B)に示されるログイン報知画面は、「選択した動作を実行するためには、ログインして下さい。」とのメッセージと、[ログイン]アイコンと、[キャンセル]アイコンとを含む。ステップS58の処理は、対応するログイン許可情報に対応付けられたアカウント情報を用いたログイン操作を促す報知処理の一例である。そして、制御プログラム35は、ログイン報知画面に対するユーザ操作を操作部24を通じて受け付ける。
制御プログラム35は、[ログイン]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、図6に示されるログイン処理を実行する。ログイン処理の詳細は既に説明したので、再度の説明は省略する。そして図示は省略するが、制御プログラム35は、ユーザID“ghi”及びパスワード“789”を用いたログイン操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、対象指示操作に対応付けられた形成動作“モノクロプリント”をプリンタ部11に実行させる。
一方、制御プログラム35は、対応するログイン許可情報で対象指示操作が許可されていないと判断したこと(S57:No)、或いはログイン報知画面の[キャンセル]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、図11(A)に示されるエラー画面を表示部23に表示させる(S59)。
なお、形成処理1は、形成処理2のステップS51、S54、S59の処理で構成される。すなわち、制御プログラム35は、対象指示操作が複合機10の現在の状態で許可されているか否かを判断する(S51)。図4に示されるどのアカウント情報で複合機10がログイン状態になっていても、形成動作“モノクロプリント”に対応する指示操作を示す情報は、許可操作リストに含まれることになる。一方、複合機10が非ログイン状態の場合、形成動作“モノクロプリント”に対応する指示操作を示す情報は、許可操作リストに含まれない。
そして、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれると判断したことに応じて(S51:Yes)、対象指示操作に対応する形成動作を画像形成部に実行させる(S54)。すなわち、[モノクロプリント]アイコンが選択された場合、制御プログラム35は、形成動作“モノクロプリント”をプリンタ部11に実行させる。一方、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれていないと判断したことに応じて(S51:No)、図11(A)に示されるエラー画面を表示部23に表示させる(S59)。
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、複合機10の状態に応じて受け付け可能な指示操作を切り替えるので、各ユーザに対して適切な範囲で複合機10を利用させることができる。また、複合機10が応答信号を受信可能な範囲に携帯端末50を近づけるだけで、当該複合機10をゲスト状態に遷移させることができるので、ゲストユーザに指示操作を許可する際に認証ユーザに煩雑な作業を要求する必要がない。
すなわち、アカウント情報が割り当てられたユーザは、複合機10に対してログイン操作を行うことによって、ログイン許可情報で示された指示操作を複合機10に入力することができるようになる。また、ゲストユーザは、携帯端末50を所持するユーザと共に複合機10に近づくことによって、ゲスト許可情報で示された指示操作を複合機10に入力することができるようになる。さらに、ゲストユーザは、単独で複合機10に近づいたとしても複合機10を利用することができない。
また、上記の実施形態によれば、携帯端末50を所持した認証ユーザが複合機10に近づくほど、ゲストユーザに許可される指示操作が増加する。その結果、例えば複合機10が備える高度な指示動作を、認証ユーザによる監視の許でゲストユーザに利用させることができる。これにより、セキュリティを確保しつつゲストユーザの利便性を向上させることができる。
また、上記の実施形態によれば、端末IDと対応付けてゲスト許可情報をデータ記憶領域32Bに記憶させるので、ゲストユーザに許可することができる指示操作を、携帯端末50毎、すなわち、当該携帯端末50を所持する認証ユーザ毎に異ならせることができる。さらに、端末IDと対応付けてログイン許可情報をデータ記憶領域32Bに記憶させ、且つログイン報知画面を表示部23に表示させるので、ゲスト許可情報で許可されず且つ対応するログイン許可情報で許可された指示操作を、認証ユーザの判断でゲストユーザに許可することができる。
さらに、上記の実施形態によれば、応答信号の送信元の携帯端末50に問合せ画面を表示させるので、ゲストユーザが行う指示操作に対応する形成動作が、認証ユーザの明示の許可によって実行される。その結果、認証ユーザの許可を得ていないゲストユーザが複合機10を利用することを抑制できる。
なお、上記の実施形態では、複合機10に装置ビーコン信号を送出させたが、携帯端末50が端末ビーコン信号を送出してもよい。すなわち、携帯端末50に送出処理を実行させてもよい。当該端末ビーコン信号は、送出元の携帯端末50の端末IDを含む。そして、複合機10は、BT通信部26を通じて端末ビーコン信号を受信したことに応じて、当該端末ビーコン信号に含まれる端末IDと、当該端末ビーコン信号の電波強度とに応じて、複合機10の状態を遷移させてもよい。また、上記の実施形態では、指示操作を受け付けたことに応じて状態遷移処理を実行したが、複合機10がログイン状態でないときに携帯端末50から送出される端末ビーコン信号を常に監視していてもよい。端末ビーコン信号は、第1無線通信プロトコルに準拠した第1無線信号の一例である。
また、上記の実施形態では、ゲスト許可リスト及びログイン許可リストを複合機10のデータ記憶領域32Bに記憶させたが、通信ネットワークを通じて複合機10に接続されたサーバに記憶されていてもよい。そして、複合機10は、必要なゲスト許可レコード及びログイン許可レコードを、Wi−Fi通信部25を通じて当該サーバから受信してもよい。これにより、画像形成システム100に複数の複合機10が接続されている場合に、ゲスト許可リスト及びログイン許可リストを各複合機10に登録する必要がない。また、ゲスト許可レコードは、対応する端末IDで識別される携帯端末50のデータ記憶領域62Bに記憶されていてもよい。そして、携帯端末50は、ゲスト許可レコードをさらに含む存在報知信号をBT通信部56を通じて複合機10に送信してもよい。
また、上記の実施形態では、許可されていない指示操作に対してエラー画面を表示させたが、指示操作を受け付け不能にする具体的な方法はこれに限定されない。一例として、許可されていない指示操作を受け付けるためのアイコンをグレーアウトしてもよいし、許可されていない指示操作を受け付けるためのアイコンを非表示にしてもよい。すなわち、メニュー画面に含まれるアイコンのうち、複合機10の現在の状態で許可された指示操作を受け付けるためのアイコンを選択可能とし、複合機10の現在の状態で許可されていない指示操作を受け付けるためのアイコンを選択不能としてもよい。
さらに、上記の実施形態では、ログイン処理において操作部24を通じてアカウント情報を入力させたが、NFC(Near field radio communicationの略)を用いたログイン操作を受け付けてもよい。すなわち、複合機10は、NFCに準拠した第2無線信号を送受信可能なNFC通信部をさらに備えてもよい。また、認証ユーザは、アカウント情報が記憶された記憶部と、NFCに準拠した第2無線信号を送信可能なNFC通信部とを備える携帯端末50或いは不図示のカードを所持していてもよい。そして、複合機10は、ステップS22において、携帯端末50或いは不図示のカードからNFC通信部を通じてアカウント情報を受信してもよい。NFCは、Bluetooth LEより無線信号の到達距離が短い近接無線通信プロトコル及び第2無線通信プロトコルの一例である。第2無線信号は、無線信号の一例である。
また、実施形態の複合機10及び携帯端末50において、記憶部32、62のプログラム記憶領域32A、62Aに記憶された各種プログラムがCPU31、61によって実行されることによって、本発明の制御部が実行する各処理が実現される例を説明した。しかしながら、制御部の構成はこれに限定されず、その一部又は全部を集積回路(IC(Integrated Circuitの略)とも言う。)等のハードウェアで実現してもよい。
さらに、本発明は、複合機10及び携帯端末50として実現できるだけでなく、複合機10及び携帯端末50に処理を実行させるプログラムとして実現してもよい。そして、当該プログラムは、non−transitoryな記録媒体に記録されて提供されてもよい。non−transitoryな記録媒体は、CD−ROM、DVD−ROM等の他、通信ネットワークを通じて複合機10及び携帯端末50に接続可能なサーバに搭載された記憶部を含んでもよい。そして、サーバの記憶部に記憶されたプログラムは、当該プログラムを示す情報或いは信号として、インターネット等の通信ネットワークを通じて配信されてもよい。
10・・・複合機
11・・・プリンタ部
12・・・スキャナ部
13・・・FAX部
23,53・・・表示部
24,54・・・操作部
26,56・・・BT通信部
31,61・・・CPU
32,62・・・記憶部
50・・・携帯端末
100・・・画像形成システム
本発明は、ユーザ認証によって許可する動作を切り替え可能な画像形成装置に関する。
例えば特許文献1には、ユーザ認証を実行し、認証されたユーザに割り当てられた権限の範囲で利用を許可する複合機が開示されている。上記構成によれば、例えば共用スペースに設置された複合機を、認証情報を付与されたユーザ(以下、「認証ユーザ」と表記する。)に、当該認証情報に対応付けられた権限の範囲で利用させることができる。換言すれば、権限を有しないユーザ(以下、「ゲストユーザ」と表記する。)が許可を得ずに当該複合機を利用することを制限できる。
認証ユーザは、当該認証ユーザに随伴するゲストユーザに、複合機の利用を許可したい場合がある。しかしながら、上記構成の複合機をゲストユーザに利用させようとすると、認証ユーザは、自らの認証情報でユーザ認証を受ける必要がある。その結果、ユーザ認証を受ける作業を認証ユーザに要求することになると共に、ゲストユーザに許可したくない形成動作までもが利用可能になる可能性がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、認証ユーザに煩雑な作業を要求することなく、且つ適切な範囲での利用をゲストユーザに許可することができる画像形成装置を提供することにある。
(1) 本明細書に記載の画像形成装置は、画像を形成する複数の形成動作を実行可能な画像形成部と、ユーザ操作を受け付ける受付部と、第1無線通信プロトコルに準拠した第1無線信号を送受信可能な通信部と、制御部とを備える。前記制御部は、前記受付部を通じて前記ユーザ操作を受け付ける受付処理と、前記受付処理で指示操作を受け付けたことに応じて、当該指示操作に対応する前記形成動作を前記画像形成部に実行させる動作制御処理とを実行する。前記指示操作は、対応する前記形成動作の実行を指示する前記ユーザ操作である。前記制御部は、前記通信部を通じて携帯端末から前記第1無線信号を受信する受信処理を実行する。前記第1無線信号は、予め定められた電波強度で前記携帯端末が送出した前記第1無線信号である。前記制御部は、前記受信処理で前記第1無線信号を受信したことに応じて、該画像形成装置を許可状態に遷移させる第1遷移処理を実行する。前記許可状態は、受信した前記第1無線信号に対応付けられた前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記制御部は、前記許可状態のときに前記受信処理で前記第1無線信号を受信しない期間が閾値期間に達したことに応じて、該画像形成装置を前記許可状態でない特定状態に遷移させる第2遷移処理を実行する。前記特定状態は、前記許可状態より少ない前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記制御部は、前記受信処理で受信した前記第1無線信号に基づいて、該画像形成装置と前記携帯端末との離間距離の程度を判断する第1判断処理と、前記離間距離が第1距離未満であると前記第1判断処理で判断した場合の前記第1遷移処理において、該画像形成装置を第1許可状態に遷移させ、前記離間距離が前記第1距離以上で且つ第2距離未満であると前記第1判断処理で判断した場合の前記第1遷移処理において、前記第1許可状態より少ない前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な第2許可状態に該画像形成装置を遷移させ、前記離間距離が前記第2距離以上であると前記第1判断処理で判断したことに応じて、前記第2遷移処理を実行する。前記第1許可状態及び前記第2許可状態は、複数の前記形成動作のうちの少なくとも1つの形成動作が許可される状態である。
上記構成によれば、画像形成装置の状態に応じて受け付け可能な指示操作を切り替えるので、各ユーザに対して適切な範囲で画像形成装置を利用させることができる。また、画像形成装置が第1無線信号を受信可能な範囲に携帯端末を近づけるだけで、当該画像形成装置を許可状態に遷移させることができるので、ゲストユーザに指示操作を許可する際に認証ユーザに煩雑な作業を要求する必要がない。
削除
上記構成によれば、携帯端末を所持した認証ユーザが画像形成装置に近づくほど、ゲストユーザに許可される指示操作が増加する。その結果、例えば画像形成装置が備える高度な指示動作を、認証ユーザによる監視の許でゲストユーザに利用させることができる。
(2) 一例として、前記制御部は、前記第1判断処理において、前記受信処理で受信した前記存在報知信号の電波強度が強いほど、前記離間距離が短いと判断する。
(3) 他の例として、前記制御部は、予め定められた電波強度の前記第1無線信号である装置ビーコン信号を前記通信部を通じて送出する送出処理を実行し、前記受信処理において、距離情報を含む前記第1無線信号を受信し、前記距離情報は、前記装置ビーコン信号を受信した前記携帯端末が判断した前記離間距離を示し、前記第1判断処理において、前記距離情報に基づいて前記離間距離の程度を判断する。
(4) さらに他の例として、前記制御部は、予め定められた電波強度の前記第1無線信号である装置ビーコン信号を前記通信部を通じて送出する送出処理を実行し、前記受信処理において、距離情報を含む応答信号を受信し、前記応答信号は、前記装置ビーコン信号を受信した前記携帯端末によって送信される前記第1無線信号であり、前記距離情報は、前記装置ビーコン信号を受信した前記携帯端末が判断した前記離間距離を示し、前記第1判断処理において、前記距離情報に基づいて前記離間距離の程度を判断する。
(5) 一例として、前記制御部は、予め定められた電波強度の前記第1無線信号である装置ビーコン信号を前記通信部を通じて送出する送出処理を実行し、前記受信処理において、前記通信部を通じて前記携帯端末から応答信号を受信する。前記応答信号は、前記装置ビーコン信号を受信した前記携帯端末によって送信される前記第1無線信号である。
(6) 例えば、前記制御部は、該画像形成装置が前記特定状態のときに前記受付処理で前記指示操作を受け付けたことに応じて、前記送出処理を開始する。
(7) 例えば、前記画像形成部は、画像データで示される画像をシートに記録する記録部と、原稿に記録された画像を読み取って画像データを生成する読取部とを含む。前記第1許可状態は、前記記録部に実行させる前記形成動作及び前記読取部に実行させる前記形成動作それぞれに対応する前記指示操作を受け付け可能な状態である。前記第2許可状態は、前記記録部及び前記読取部のうちの前記記録部に実行させる前記形成動作に対応する前記指示操作のみを受け付け可能な状態である。
(8) 好ましくは、該画像形成装置は、記憶装置と接続されている。前記記憶装置は、前記携帯端末を識別する識別情報と、前記識別情報に対応付けられた許可情報とを複数セット記憶している。前記許可情報は、前記許可状態のときの前記受付処理で受け付け可能な前記指示操作を示す情報である。前記制御部は、前記受信処理において、対象識別情報を含む前記第1無線信号を受信し、前記対象識別情報は、当該第1無線信号の送出元の前記携帯端末を識別する前記識別情報であり、前記第1遷移処理において、前記対象識別情報に対応付けられた前記許可情報で示される前記指示操作のみを受け付け可能な状態にする。
上記構成によれば、ゲストユーザに許可することができる指示操作を、携帯端末毎、すなわち、当該携帯端末を所持する認証ユーザ毎に異ならせることができる。
(9) 好ましくは、前記制御部は、前記受付処理でログイン操作を受け付けたことに応じて、該画像形成装置をログイン状態に遷移させる第3遷移処理を実行する。前記ログイン操作は、アカウント情報を入力する前記ユーザ操作であり、前記ログイン状態は、入力された前記アカウント情報に対応付けられた前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記記憶装置は、前記識別情報に対応付けられたアカウント情報と、前記アカウント情報に対応付けられたログイン許可情報とを複数セット記憶している。前記アカウント情報は、対応する前記識別情報で識別される前記携帯端末のユーザに割り当てられたものである。前記ログイン許可情報は、前記ログイン状態のときの前記受付処理で受け付け可能な前記指示操作を示す情報である。前記ログイン許可情報は、当該ログイン許可情報に対応する前記識別情報と同一の前記識別情報に対応付けられた前記許可情報で示される前記指示操作を少なくとも示す。前記制御部は、前記受付処理において、対象アカウント情報を入力する前記ログイン操作を受け付け、前記対象アカウント情報は、前記ログイン操作をするユーザに割り当てられた前記アカウント情報であり、前記対象アカウント情報が前記記憶装置に記憶されているか否かを判断する第2判断処理を実行し、前記対象アカウント情報が記憶されていると前記第2判断処理で判断した場合の前記第3遷移処理において、当該対象アカウント情報に対応付けられた前記ログイン許可情報で示される前記指示操作のみを受け付け可能な状態にする。
上記構成によれば、認証ユーザに許可された指示操作の範囲内において、ゲストユーザに指示操作を許可することができる。
(10) 好ましくは、前記制御部は、前記受付処理で前記指示操作を受け付けたことに応じて、該画像形成装置が前記許可状態であるか否かを判断する第3判断処理と、前記許可状態であると前記第3判断処理で判断したことに応じて、前記受付処理で受け付けた前記指示操作である対象指示操作を前記許可情報が示しているか否かを判断する第4判断処理と、前記許可情報が示していないと前記第4判断処理で判断したことに応じて、前記識別情報を介して当該許可情報と対応付けられた前記ログイン許可情報が前記対象指示操作を示しているか否かを判断する第5判断処理と、前記ログイン許可情報が示していると前記第5判断処理で判断したことに応じて、当該ログイン許可情報に対応付けられた前記アカウント情報を用いた前記ログイン操作を促す報知処理とを実行する。
上記構成によれば、画像形成装置の近くにある携帯端末、すなわち、画像形成装置をゲスト状態に遷移させた携帯端末を所持する認証ユーザにログイン操作をさせることによって、指示操作に対応する形成動作が実行可能になることを認識させることができる。
(11) 好ましくは、前記制御部は、前記受付処理で前記指示操作を受け付けたことに応じて、該画像形成装置が前記許可状態であるか否かを判断する第3判断処理と、前記許可状態であると前記第3判断処理で判断したことに応じて、前記受付処理で受け付けた前記指示操作である対象指示操作を前記許可情報が示しているか否かを判断する第4判断処理と、前記許可情報が示していると前記第4判断処理で判断したことに応じて、前記第1無線信号の送信元である前記携帯端末に前記通信部を通じて問合せ信号を送信する問合せ処理とを実行する。前記問合せ信号は、当該指示操作に対応付けられた前記形成動作の実行を許可するか否かを問い合わせる前記第1無線信号である。前記制御部は、前記形成動作の実行を許可することを示す許可信号を、前記通信部を通じて前記携帯端末から受信する回答受信処理と、前記回答受信処理で前記許可信号を受信したことに応じて、前記動作制御処理とを実行する。
(12) さらに好ましくは、前記制御部は、前記回答受信処理で前記許可信号を受信しなかったことに応じて、前記動作制御処理を実行しない。
上記構成によれば、ゲストユーザが行う指示操作に対応する形成動作が、認証ユーザの明示の許可によって実行される。その結果、認証ユーザの許可を得ていないゲストユーザが画像形成装置を利用することを抑制できる。
(13) 他の例として、前記携帯端末は、予め定められた電波強度の前記第1無線信号である端末ビーコン信号を繰り返し送出している。前記制御部は、前記受信処理において、前記携帯端末によって送出された前記端末ビーコン信号を受信する。
(14) 例えば、前記受付部は、第2無線通信プロトコルに準拠した第2無線信号を送受信可能であり、前記第2無線通信プロトコルは、前記第1無線通信プロトコルより無線信号の到達距離が短い近接無線通信プロトコルである。前記制御部は、前記受付処理でログイン操作を受け付けたことに応じて、該画像形成装置をログイン状態に遷移させる第3遷移処理を実行する。前記ログイン操作は、アカウント情報を入力する前記ユーザ操作であり、前記ログイン状態は、入力された前記アカウント情報に対応付けられた前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記制御部は、前記受付処理において、前記アカウント情報を含む前記第2無線信号を前記受付部を通じて受信する。
(15) 本明細書に記載の画像形成システムは、画像形成装置と、携帯端末とを備える。前記画像形成装置は、画像を形成する複数の形成動作を実行可能な画像形成部と、ユーザ操作を受け付ける受付部と、無線通信プロトコルに準拠した無線信号を送受信可能な第1通信部と、第1制御部とを備える。前記第1制御部は、前記受付部を通じて前記ユーザ操作を受け付ける受付処理と、前記受付処理で指示操作を受け付けたことに応じて、当該指示操作に対応する前記形成動作を前記画像形成部に実行させる動作制御処理とを実行する。前記指示操作は、対応する前記形成動作の実行を指示する前記ユーザ操作である。前記第1制御部は、前記第1通信部を通じて携帯端末から前記無線信号を受信する受信処理を実行する。前記無線信号は、予め定められた電波強度で前記携帯端末が送出した前記無線信号である。前記第1制御部は、前記受信処理で前記無線信号を受信したことに応じて、該画像形成装置を許可状態に遷移させる第1遷移処理を実行する。前記許可状態は、受信した前記無線信号に対応付けられた前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記第1制御部は、前記許可状態のときに前記受信処理で前記無線信号を受信しない期間が閾値期間に達したことに応じて、該画像形成装置を前記許可状態でない特定状態に遷移させる第2遷移処理を実行する。前記特定状態は、前記許可状態より少ない前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な状態である。前記第1制御部は、前記受信処理で受信した前記無線信号に基づいて、該画像形成装置と前記携帯端末との離間距離の程度を判断する第1判断処理と、前記離間距離が第1距離未満であると前記第1判断処理で判断した場合の前記第1遷移処理において、該画像形成装置を第1許可状態に遷移させ、前記離間距離が前記第1距離以上で且つ第2距離未満であると前記第1判断処理で判断した場合の前記第1遷移処理において、前記第1許可状態より少ない前記指示操作のみを前記受付処理で受け付け可能な第2許可状態に該画像形成装置を遷移させ、前記離間距離が前記第2距離以上であると前記第1判断処理で判断したことに応じて、前記第2遷移処理を実行する。前記第1許可状態及び前記第2許可状態は、複数の前記形成動作のうちの少なくとも1つの形成動作が許可される状態である。前記携帯端末は、前記無線信号を送受信可能な第2通信部と、第2制御部とを備える。前記第2制御部は、前記第2通信部を通じて前記画像形成装置に前記無線信号を送信する送信処理を実行する。
本発明によれば、画像形成装置の状態に応じて受け付け可能な指示操作を切り替えるので、各ユーザに対して適切な範囲での利用を許可することができる。また、画像形成装置が存在報知信号を受信可能な範囲に携帯端末を近づけるだけで、当該画像形成装置をゲスト状態に遷移させることができるので、ゲストユーザに指示操作を許可する際に認証ユーザに煩雑な作業を要求する必要がない。
図1は、本実施形態に係る画像形成システム100の概略図である。
図2は、(A)が複合機10の機能ブロック図であり、(B)が携帯端末50の機能ブロック図である。
図3は、データ記憶領域32Bに記憶されたゲスト許可リストの一例である。
図4は、データ記憶領域32Bに記憶されたログイン許可リストの一例である。
図5は、画像形成処理のフローチャートである。
図6は、ログイン処理のフローチャートである。
図7は、状態遷移処理のフローチャートである。
図8は、形成処理2のフローチャートである。
図9は、表示部23の表示例であって、(A)はメニュー画面を、(B)はログイン画面を示す。
図10は、(A)が表示部23に表示されるメニュー画面の一例を、(B)は表示部53に表示される問合せ画面の一例である。
図11は、表示部23の表示例であって、(A)はエラー画面を、(B)はログイン報知画面を示す。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本実施形態における画像形成システム100の概略図である。図1に示される画像形成システム100は、複合機10と、携帯端末50A、50B、50C(以下、これらを総称して、「携帯端末50」と表記することがある。)とで構成される。画像形成システム100は、後述する不図示のサーバ等をさらに含んでもよい。本実施形態において、携帯端末50Aは端末ID“term−A”で識別され、携帯端末50Bは端末ID“term−B”で識別され、携帯端末50Cは端末ID“Term−C”で識別される。端末IDは、携帯端末50A〜50Cそれぞれを識別する識別情報の一例である。
[複合機10]
複合機10は、図2(A)に示されるように、プリンタ部11と、スキャナ部12と、FAX部13と、表示部23と、操作部24と、Wi−Fi(Wi−Fi Allianceの登録商標)通信部25と、BT通信部26と、装着部27と、CPU31と、記憶部32と、通信バス33とを主に備える。複合機10を構成する各構成要素は、通信バス33を通じて相互に接続されている。複合機10は、画像形成装置の一例である。
[プリンタ部11、スキャナ部12、FAX部13]
プリンタ部11は、画像データで示される画像を記録用紙に記録するプリント動作を実行する。記録用紙は、シート或いは記録媒体の一例である。プリンタ部11の記録方式として、インクジェット方式や電子写真方式などの公知の方式を採用することができる。また、本実施形態に係るプリント動作は、黒色のインク或いはトナーのみを用いてモノクロの画像を記録用紙に記録する「モノクロプリント」と、複数色(例えば、黒、シアン、マゼンタ、イエロー)のインク或いはトナーを用いてカラーの画像を記録用紙に記録する「カラープリント」とを含む。
スキャナ部12は、原稿に記録されている画像を読み取って画像データを生成するスキャン動作を実行する。FAX部13は、FAXプロトコルに準拠した方式でFAX画像データを送受信するFAX送信動作及びFAX受信動作を実行する。また、複合機10は、スキャナ部12に生成させた画像データで示される画像を、記録用紙に対してプリンタ部11に記録させるコピー動作を実行する。
プリント動作、スキャン動作、FAX送信動作、FAX受信動作、及びコピー動作は、画像を形成する形成動作の一例である。プリンタ部11、スキャナ部12、及びFAX部13は、形成動作を実行する画像形成部の一例である。また、プリンタ部11は記録部の一例であり、スキャナ部12は読取部の一例である。そして、複合機10は、形成動作の実行を指示するユーザ操作(以下、「指示操作」と表記する。)を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、当該形成動作を対応する画像形成部に実行させる。
[表示部23]
表示部23は、各種情報を表示する表示画面を備える。表示部23としては、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Displayの略)、有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence Displayの略)等を採用することができる。
[操作部24]
操作部24は、表示部23の表示画面に表示されたオブジェクトを選択するユーザの操作を受け付ける。具体的には、操作部24はボタンを有しており、押下されたボタンに対応づけられた各種の操作信号をCPU31へ出力する。さらに、操作部24は、表示部23の表示画面に重畳された膜状のタッチセンサを有していてもよい。すなわち、表示部23がタッチパネルディスプレイとして構成されてもよい。操作部24は、受付部の一例である。
なお、「オブジェクト」とは、ユーザが操作部24を操作することによって選択可能な画像を指す。一例として、オブジェクトは表示部23に表示された文字列であって、操作部24の方向キーを押下することによってオブジェクトの1つがハイライト表示され、操作部24の決定ボタンを押下することによってハイライト表示されたオブジェクトが選択されてもよい。他の例として、操作部24がタッチパネルである場合のオブジェクトは表示部23に表示されたアイコン、ボタン、リンク等であって、タッチ位置に表示されたオブジェクトが選択されてもよい。
タッチパネルとして実現される操作部24は、表示部23の表示画面をタッチするユーザ操作を受け付ける。また、操作部24は、ユーザがタッチした表示画面上の位置を示す位置情報を出力する。位置情報は、例えば、表示画面の左上端を原点とし、右向きをx軸の正の向き、下向きをy軸の正の向きとしたx−y平面上の座標(x,y)として表現できる。タッチセンサには、静電容量方式、抵抗膜方式等の周知の方式を採用することができる。
なお、本明細書中における「タッチ」とは、入力媒体を表示画面に接触させる操作全般を含む。すなわち、タッチした入力媒体を所定時間内に表示画面から離間させるタップ操作、タッチした入力媒体を表示画面上で静止させるロングタッチ操作、タッチした入力媒体を表示画面上でスライドさせるスライド操作、表示画面上をスライドする入力媒体の加速度が閾値以上であるフリック操作、表示画面上の異なる位置にタッチした2つの入力媒体を互いに近づける向きにスライドさせるピンチイン操作、表示画面上の異なる位置にタッチした2つの入力媒体を互いに離れる向きにスライドさせるピンチアウト操作等は、タッチの一例である。
また、入力媒体が表示画面に触れていなくても、表示画面との間の距離がごく僅かな位置まで入力媒体を近接させることを、前述の「タッチ」の概念に含めてもよい。さらに入力媒体とは、ユーザの指であってもよいし、タッチペン等であってもよい。
[Wi−Fi通信部25]
Wi−Fi通信部25は、Wi−Fiに準拠した方式で外部装置と通信を行うためのインタフェースである。複合機10は、例えば、携帯端末50或いは不図示のサーバ等との間でWi−Fi通信部25を通じて各種情報或いは各種データを送受信することができる。但し、Wi−Fi通信部25は、省略することが可能である。
[BT通信部26]
BT通信部26は、Bluetooth(Bluetooth SIG, Inc.の登録商標) LE(Low Energyの略)に準拠した方式で外部装置と通信を行うためのインタフェースである。複合機10は、例えば、携帯端末50等との間でBT通信部26を通じて各種情報或いは各種データを送受信することができる。BT通信部26は、第1無線通信プロトコルに準拠した無線信号を送受信可能な通信部の一例である。但し、第1無線通信プロトコルの具体例はBluetooth LEに限定されず、例えば、Bluetooth、Bluetooth Smart、iBeacon(Apple Inc.の登録商標)等であってもよい。第1無線信号は、無線信号の一例である。
[装着部27]
装着部27は、可搬記憶媒体が着脱されるインタフェースである。CPU31は、装着部27に装着された可搬記憶媒体からデータ又は情報を読み出し、或いは装着部27に装着された可搬記憶媒体にデータ又は情報を書き込むことができる。可搬記憶媒体の具体例は特に限定されないが、例えば、USBメモリ、SDカード、CD−ROM、DVD−ROM等であってもよい。
[CPU31]
CPU(Central Processing Unitの略)31は、複合機10の全体動作を制御するものである。CPU31は、後述する各種プログラムを記憶部32から取得して実行する。CPU31は、各種プログラムの実行によって、操作部24から出力される各種情報、及びWi−Fi通信部25を通じて外部装置から取得した各種情報等に基づいた各種の処理を実行する。CPU31及び記憶部32は、制御部の一例を構成する。
[記憶部32]
記憶部32は、プログラム記憶領域32Aと、データ記憶領域32Bとを有する。プログラム記憶領域32Aには、OS(Operating Systemの略)34と、制御プログラム35とが格納される。OS34及び制御プログラム35は、バイナリ形式にビルドされたプログラムである。なお、制御プログラム35は、単一のプログラムであってもよいし、複数のプログラムの集合体であってもよい。データ記憶領域32Bには、制御プログラム35の実行に必要なデータ或いは情報(以下、「データ等」と表記することがある。)が記憶される。記憶部32は、記憶装置の一例である。
なお、本明細書中の「データ」と「情報」とは、コンピュータによって取り扱い可能なビット或いはビット列である点において共通する。「データ」とは、各ビットが示す意味内容をコンピュータが考慮することなく取り扱えるものを指す。これに対して、「情報」とは、各ビットが示す意味内容によってコンピュータの動作が分岐するものを指す。さらに、「指示」は、送信先の装置に対して次の動作を促すための制御信号であって、情報を含んでいることもあるし、それ自体が情報としての性質を有していることもある。
また、「データ」及び「情報」は、形式(例えば、テキスト形式、バイナリ形式、フラグ形式等)がコンピュータ毎に変更されたとしても、同一の意味内容と認識される限り、同一のデータ及び情報として取り扱われる。例えば、「2つ」であることを示す情報が、あるコンピュータではASCIIコードで”0x32“というテキスト形式の情報として保持され、別のコンピュータでは二進数表記で”10“というバイナリ形式の情報として保持されてもよい。
但し、上記の「データ」及び「情報」の区別は厳密なものではなく、例外的な取り扱いも許容される。例えば、データが一時的に情報として扱われてもよいし、情報が一時的にデータとして扱われてもよい。また、ある装置ではデータとして扱われるものが、他の装置では情報として扱われてもよい。さらには、データの中から情報が取り出されてもよいし、情報の中からデータが取り出されてもよい。
記憶部32は、例えば、RAM(Random Access Memoryの略)、ROM(Read Only Memoryの略)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memoryの略)、HDD(Hard Disk Driveの略)、CPU31が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成される。
なお、記憶部32は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non−transitoryな媒体である。non−transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体も含まれる。また、non−transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non−transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
プログラム記憶領域32Aに記憶されているプログラムは、CPU31によって実行される。しかしながら、本明細書では、CPU31を省略して各プログラムの動作を説明することがある。すなわち、以下の説明において、「プログラムAが処理Aを実行する」という趣旨の記述は、「CPU31がプログラムAに記述された処理Aを実行する」ことを指してもよい。
また、プログラム記憶領域32Aに記憶されているプログラムは、事象を判断し、判断結果に応じて動作する。しかしながら、本明細書では、判断することを省略して各プログラムの動作を説明することがある。すなわち、以下の説明において、「プログラムが条件Aに応じて、処理Aを実行する」という趣旨の記述は、「プログラムは条件Aであるか否かを判断する。プログラムは、肯定判断であることに応じて、処理Aを実行する」ことを指してもよい。
また、プログラム記憶領域32Aに記憶されているプログラムは、データ等を特定し、取得し、抽出し、或いは選択する。プログラムがデータ等を特定するとは、例えば、複数のデータ等のうちから条件に合致するデータを特定し、当該データ等そのもの或いは当該データ等を識別する情報を、予め定められた記憶領域に記憶させる処理を指す。データ等を識別する情報とは、例えば、当該データ等を識別する識別情報、当該データ等が記憶された配列のインデックス、当該データ等が記憶された記憶領域のポインタ等である。プログラムがデータ等を取得し、抽出し、或いは選択する処理も同様である。
OS34は、複合機10を構成するハードウェアであるプリンタ部11、スキャナ部12、FAX部13、表示部23、操作部24、Wi−Fi通信部25、BT通信部26、及び装着部27等を制御するためのAPI(Application Programming Interfaceの略)を提供する基本プログラムである。すなわち、上記の各プログラムは、OS34が提供するAPIを呼び出すことによって、各ハードウェアを制御する。しかしながら、本明細書では、OS34を省略して各プログラムの動作を説明することがある。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記述は、「プログラムBがOS34のAPIを通じてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。
データ記憶領域32Bは、図3に示されるように、端末IDと、端末IDに対応付けられたゲスト許可情報とを記憶している。以下、図3に示される情報を総称して「ゲスト許可リスト」と表記することがあり、図3に示される各レコードを「ゲスト許可レコード」と表記することがある。すなわち、図3に示されるゲスト許可リストには、複数のゲスト許可レコードが含まれている。
ゲスト許可情報は、複合機10が後述するゲスト状態のときに、操作部24を通じて受け付け可能な指示操作を示す情報である。ゲスト許可情報は、端末IDで識別される携帯端末50と複合機10との距離(以下、「離間距離」と表記する。)が第1距離未満のときに受け付け可能な指示操作と、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満のときに受け付け可能な指示操作と、離間距離が第2距離以上のときに受け付け可能な指示操作とを含む。第1距離及び第2距離は、例えば図1に示されるように、複合機10を中心とする同心円の半径として表すことができる。また、第1距離は、第2距離よりも短いものとする。例えば、第1距離は5mであり、第2距離は10mであってもよい。
図3の例において、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報は、離間距離が第1距離未満のときに、形成動作“カラープリント”、“コピー”、“スキャン”の実行を指示する指示操作が受け付け可能であることを示す。また、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報は、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満のときに、形成動作“カラープリント”、“コピー”の実行を指示する指示操作が受け付け可能であることを示す。すなわち、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報は、離間距離が第1距離未満のときにプリント動作及びスキャン動作の両方を許可し、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満のときにプリント動作及びスキャン動作のうちのプリント動作のみを許可する。
さらに、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報は、離間距離が第2距離以上のときに、全ての指示操作が受け付け不能であることを示す。本実施形態に係る複合機10は、後述する図7に示されるように、離間距離が第2距離以上のときに、非ログイン状態に遷移する。すなわち、離間距離が第2距離以上のときに受け付け可能な指示操作は、非ログイン状態において受け付け可能な指示操作と一致する。なお、離間距離が第2距離以上のときに受け付け可能な指示操作は、ゲスト許可情報に定義されていなくてもよい。この場合は、後述するステップS40において、ゲスト許可情報で許可された指示操作を示す情報を読み出す処理は省略される。また、離間距離が第2距離以上のときに受け付け可能な指示操作と、非ログイン状態において受け付け可能な指示操作とが異なっていてもよい。例えば、複合機10は、離間距離が第2距離以上のときに、1枚の記録用紙に対するモノクロプリントを指示する指示操作のみを許容してもよい。非ログイン状態は、特定状態の一例である。
形成動作“カラープリント”はカラープリント及びモノクロプリントの両方を指し、形成動作“モノクロプリント”はモノクロプリントを指し、形成動作“コピー”はコピー動作を指し、形成動作“スキャン”はスキャン動作を指す。図4に示されるログイン許可情報についても同様である。また、図4に示されるログイン許可情報に含まれる形成動作“FAX送信”はFAX送信動作を指す。さらに、形成動作を表す文字列の後に付加された括弧は、当該形成動作を実行する画像形成部の機能を制限する制限情報を示す。
一例として、形成動作“モノクロプリント(20枚未満)”は、プリンタ部11にモノクロプリントのみの実行を許可し、且つ1回のプリント動作におけるプリント枚数を20枚未満に制限することを示す。他の例として、形成動作“カラープリント(50枚未満)”は、プリンタ部11にモノクロプリント及びカラープリントの実行を許可し、且つ1回のプリント動作におけるプリント枚数を50枚未満に制限することを示す。さらに他の例として、図示は省略するが、“FAX送信(電話帳利用不可)”は、FAX部13にFAX送信動作を許可するが、認証ユーザが事前に複合機10に登録したFAX番号の利用は許可しないことを示す。一方、制限情報が付加されていない形成動作は、当該形成動作を実行する画像形成部の全ての機能が制限なく利用可能であることを示す。
端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報によれば、離間距離が長くなるほど、複合機10に実行させることができる形成動作の数が減少する。また、端末ID“term−B”に対応付けられたゲスト許可情報によれば、離間距離が第2距離未満のときに複合機10に実行させることができる形成動作の数は変化しないが、離間距離が長くなるほど制限情報で示される機能制限が厳しくなる。さらに、端末ID“term−C”に対応付けられたゲスト許可情報によれば、離間距離が長くなるほど、複合機10に実行させることができる形成動作の数が減少し且つ制限情報で示される機能制限が厳しくなる。実行可能な形成動作の数が減少すること及び機能制限が厳しくなることは、いずれも受け付け可能な指示操作の数が減少することの一例である。
また、データ記憶領域32Bは、図4に示されるように、端末IDと、端末IDに対応付けられたアカウント情報及びログイン許可情報とを記憶している。以下、図4に示される情報を総称して「ログイン許可リスト」と表記し、図4に示される各レコードを「ログイン許可レコード」と表記することがある。すなわち、図4に示されるログイン許可リストには、複数のログイン許可レコードが含まれている。
アカウント情報は、複合機10を後述するログイン状態に遷移させるために、操作部24を通じて入力されるユーザID及びパスワードの組み合わせ(以下、「登録アカウント情報」と表記することがある。)である。アカウント情報は、例えば、対応する端末IDで識別される携帯端末50のユーザに割り当てられるものである。ログイン許可情報は、複合機10が後述するログイン状態のときに、操作部24を通じて受け付けることが可能な指示操作を示す情報である。
図3に示されるゲスト許可情報と、図4に示されるログイン許可情報とは、共通の端末IDによって互いに対応付けられている。ゲスト許可情報及びログイン許可情報それぞれで許可される指示操作は、例えば、画像形成システム100の管理者によって任意に設定される。但し、同一の端末IDに対応付けられたゲスト許可情報及びログイン許可情報は、例えば以下のような関係を有していてもよい。
一例として、端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報及びログイン許可情報を比較すると、第1距離未満のゲスト許可情報で許可される指示操作と、ログイン許可情報で許可される指示操作とが同一になっている。他の例として、端末ID“term−B”に対応付けられたゲスト許可情報及びログイン許可情報を比較すると、ログイン許可情報で許可される指示操作は、対応するゲスト許可情報で許可される全ての指示操作と、ゲスト許可情報で許可されていない形成動作“スキャン”の指示操作とを含む。換言すれば、ゲスト許可情報で許可される指示操作は、対応するログイン許可情報で許可される指示操作の一部である。さらに他の例として、端末ID“term−C”に対応付けられたゲスト許可情報及びログイン許可情報を比較すると、ゲスト許可情報で許可される指示操作と、ログイン許可情報で許可される指示操作とは重複していない。
[携帯端末50]
携帯端末50は、図2(B)に示されるように、表示部53と、操作部54と、Wi−Fi通信部55と、BT通信部56と、CPU61と、記憶部62と、通信バス63とを主に備える。携帯端末50に含まれる表示部53、操作部54、Wi−Fi通信部55、BT通信部56、CPU61、記憶部62、及び通信バス63は、複合機10に含まれる表示部23、操作部24、Wi−Fi通信部25、BT通信部26、CPU31、記憶部32、及び通信バス33と共通するので、再度の説明は省略する。
[画像形成システム100の動作]
図5〜図11を参照して、本実施形態に係る画像形成処理を説明する。画像形成処理は、操作部24を通じて受け付けた指示操作に基づいて画像形成部に形成動作を実行させる処理である。図5に示される画像形成処理は、例えば複合機10の電源が投入されている間、繰り返し実行される。
なお、本実施形態に係る複合機10は、ログイン状態と、ゲスト状態と、非ログイン状態とに状態変化が可能である。複合機10は、後述するログイン操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、ログイン状態に遷移する。また、複合機10は、ログイン状態でないときに後述する存在報知信号を受信したことに応じて、ゲスト状態に遷移する。さらに、複合機10は、後述するログアウト操作を操作部24を通じて受けて受けたこと、或いはゲスト状態のときに存在報知信号を受信しない期間が閾値期間に達したことに応じて、非ログイン状態に遷移する。閾値期間は、例えば、10秒から10分程度の期間であってもよい。
ログイン状態は、認証ユーザに許可された指示操作のみを操作部24を通じて受け付け可能な状態である。認証ユーザとは、前述のアカウント情報が割り当てられたユーザを指す。換言すれば、ログイン状態は、図4に示されるログイン許可情報で示される指示操作のみを操作部24を通じて受け付け可能な状態である。ゲスト状態は、ゲストユーザに許可された指示操作のみを操作部24を通じて受け付け可能な状態である。ゲストユーザとは、前述のアカウント情報が割り当てられていないユーザを指す。換言すれば、ゲスト状態は、図3に示されるゲスト許可情報で示される指示操作のみを操作部24を通じて受け付け可能な状態である。非ログイン状態とは、全てのユーザに許可された指示操作のみを操作部24を通じて受付可能な状態である。非ログイン状態において受け付け可能な指示操作は、ログイン状態及びゲスト状態のときより少ない。本実施形態に係る複合機10は、非ログイン状態において全ての指示操作を受け付けないものとする。
複合機10の制御プログラム35は、例えば複合機10の電源が投入されたことに応じて、メニュー画面を表示部23に表示させる(S11)。また、電源が投入された時点における複合機10の状態は、非ログイン状態である。具体的には、制御プログラム35は、データ記憶領域32Bに予め用意された状態フラグに、非ログイン状態であることを示す値を設定する。また、制御プログラム35は、許可操作リストを記憶させるためにデータ記憶領域32Bに予め用意された領域を初期化する。すなわち、複合機10が非ログイン状態のときに、データ記憶領域32Bには許可操作リストが記憶されていない。後述するように、許可操作リストは、複合機10の現在の状態で受け付け可能な指示操作を示す情報を含む。
図9(A)は、非ログイン状態におけるメニュー画面の一例である。図9(A)に示されるメニュー画面は、[カラープリント]アイコン、[モノクロプリント]アイコン、[COPY]アイコン、[SCAN]アイコン、[FAX]アイコン、及び[ログイン]アイコンを含む。そして、制御プログラム35は、メニュー画面に含まれる各種アイコンの位置をタップするユーザ操作を、操作部24を通じて受け付ける(S12)。ステップS12の処理は、受付処理の一例である。
[カラープリント]アイコンは、カラープリントの実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[モノクロプリント]アイコンは、モノクロプリントの実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[COPY]アイコンは、コピー動作の実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[SCAN]アイコンは、スキャン動作の実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[FAX]アイコンは、FAX送信動作の実行を指示する指示操作を受け付けるためのアイコンである。[ログイン]アイコンは、ログイン処理の実行を指示するユーザ操作を受け付けるためのアイコンである。
制御プログラム35は、複合機10が非ログイン状態のときに、[ログイン]アイコン以外のアイコンを通じて指示操作を受け付けることができないように、制御している。例えば、制御プログラム35は、複合機10が非ログイン状態のときに[モノクロプリント]アイコンがの位置がタッチされた場合、エラー画面を表示部23に表示させる。図11(A)は、エラー画面の一例である。図11(A)に示されるエラー画面は、「形成動作を実行する権限がありません。」とのメッセージと、[OK]アイコンとを含む。[モノクロプリント]アイコンの位置がタッチされたことに応じて表示部23にエラー画面が表示されることは、形成動作“モノクロプリント”に対応する指示操作が受け付け不能であることの一例である。
そして、制御プログラム35は、[ログイン]アイコンの位置をタップするログイン操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて(S12:[ログイン]アイコン)、ログイン処理を実行する(S13)。ログイン処理は、複合機10をログイン状態に遷移させるための処理である。図6を参照して、ログイン処理の詳細を説明する。なお、ログイン処理は、複合機10が非ログイン状態のときのみならず、複合機10がゲスト状態のときにも実行可能である。
まず、制御プログラム35は、ログイン画面を表示部23に表示させる(S21)。図9(B)は、ログイン画面の一例である。図9(B)に示されるログイン画面は、「ユーザID&パスワードを入力してください。」とのメッセージと、操作部24を通じて入力されたユーザIDを表示するテキストボックスと、操作部24を通じて入力されたパスワードを表示するテキストボックスと、[ログイン]アイコンとを含む。そして、制御プログラム35は、ユーザID及びパスワードを入力するユーザ操作と、[ログイン]アイコンの位置をタップするユーザ操作とを、操作部24を通じて受け付ける(S22)。
次に、制御プログラム35は、[ログイン]アイコンの位置がタップされたことに応じて(S22:Yes)、操作部24を通じてユーザから受け付けた、すなわち、テキストボックスに表示されたユーザID及びパスワード(以下、「対象アカウント情報」と表記することがある。)を取得する。制御プログラム35は、対象アカウント情報と同一の登録アカウント情報がログイン許可リストに登録されているか否かを判断する(S23)。ステップS23の処理は、第2判断処理の一例である。対象アカウント情報を入力する操作及び[ログイン]アイコンを選択する操作は、ログイン操作の一例である。
そして、制御プログラム35は、対象アカウント情報と同一の登録アカウント情報がログイン許可リストに登録されていると判断したことに応じて(S23:Yes)、複合機10をログイン状態に遷移させる(S24)。すなわち、制御プログラム35は、ログイン状態であることを示す値を状態フラグに設定する。また、制御プログラム35は、対象アカウント情報に対応付けられたログイン許可情報を、ログイン許可リストから読み出す。そして、制御プログラム35は、読み出したログイン許可情報で許可された指示操作を示す情報を、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させる。ステップS24の処理は、第3遷移処理の一例である。
例えば、ログイン画面を通じてユーザID“abc”及びパスワード“001”が入力された場合の許可操作リストは、形成動作“カラープリント”、“コピー”、“スキャン”の実行を指示する指示操作を示す情報を含む。この場合の複合機10は、カラープリント、コピー動作、スキャン動作の実行を指示する指示操作を受け付け可能で、FAX送信動作の実行を指示する指示操作を受け付け不能な状態になる。このように、ログイン状態の複合機10は、対象アカウント情報に対応付けられたログイン許可情報で許可された指示操作のみを受け付け可能となる。
図5に戻って、制御プログラム35は、図10(A)に示されるメニュー画面を表示部23に表示させる(S11)。図10(A)に示されるメニュー画面は、[ログイン]アイコンに代えて[ログアウト]アイコンが含まれている点において図9(A)に示されるメニュー画面と相違し、その他の点は図9(A)に示されるメニュー画面と共通する。[ログアウト]アイコンは、ログアウト操作を受け付けるためのアイコンである。制御プログラム35は、[ログアウト]アイコンの位置をタップするログアウト操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて(S12:ログアウト操作)、複合機10をログアウト状態に遷移させる(S18)。すなわち、制御プログラム35は、状態フラグにログアウト状態であることを示す値を状態フラグに設定する。また、制御プログラム35は、許可操作リストを初期化する。ステップS18の処理は、第2遷移処理の一例である。
一方、制御プログラム35は、対象アカウント情報と同一の登録アカウント情報がログイン許可リストに登録されていないと判断したことに応じて(S23:No)、ログイン処理の失敗を報知する。報知の具体的な方法は特に限定されないが、例えば、ログイン処理の失敗を報知する画面を表示部23に表示させてもよいし、不図示のスピーカに報知音を出力させてもよい。そして、制御プログラム35は、複合機10の状態を変更することなく、図9(A)に示されるメニュー画面を再び表示部23に表示させる(S11)。
さらに、制御プログラム35は、[カラープリント]アイコン、[モノクロプリント]アイコン、[COPY]アイコン、[SCAN]アイコン、或いは[FAX]アイコンの位置をタップする指示操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて(S12:指示操作)、状態遷移処理を実行する(S14)。以下、アイコンの位置をタップする指示操作を操作部24を通じて受け付けたことを、「アイコンが選択された」と表記することがある。本実施形態では、[モノクロプリント]アイコンが選択されたものとして、以下の処理を説明する。以下、ステップS12で受け付けた指示操作を「対象指示操作」と表記する。状態遷移処理は、複合機10の周辺に存在する携帯端末50との離間距離の程度に応じて、複合機10の状態を遷移させる処理である。図7を参照して、状態遷移処理の詳細を説明する。
まず、制御プログラム35は、複合機10がログイン状態であるか否かを判断する(S31)。すなわち、制御プログラム35は、ログイン状態であることを示す値が状態フラグに設定されているか否かを判断する。そして、制御プログラム35は、複合機10がログイン状態であると判断したことに応じて(S31:Yes)、複合機10の状態を変更することなく、状態遷移処理を終了する。
一方、制御プログラム35は、複合機10がログイン状態でないと判断したことに応じて(S31:No)、装置ビーコン信号の送出をBT通信部26に開始させる(S32)。これにより、BT通信部26は、所定の出力の装置ビーコン信号を所定の時間間隔で繰り返し送出する。複合機10から送出された装置ビーコン信号は、徐々に減衰しながら空気中を伝搬する。すなわち、装置ビーコン信号の電波強度は、複合機10との間の距離が短い位置ほど強くなり、複合機10との距離が長い位置ほど弱くなる傾向がある。ステップS32の処理は、送出処理の一例である。装置ビーコン信号は、第1無線通信プロトコルに準拠した第1無線信号の一例である。
携帯端末50の制御プログラム65は、BT通信部56を通じて装置ビーコン信号を受信することができる。次に、制御プログラム65は、受信した装置ビーコン信号の受信強度に基づいて、複合機10と携帯端末50との離間距離の程度を判断する。そして、制御プログラム65は、予め定められた電波強度の応答信号をBT通信部56を通じて複合機10に送信する。応答信号は、当該携帯端末50の端末IDと、判断した離間距離を示す距離情報とを含む。応答信号は、第1無線信号の一例である。応答信号を送信する処理は、第1送信処理の一例である。
なお、制御プログラム65は、受信した装置ビーコン信号の受信強度が第1強度以上であることに応じて、離間距離が第1距離未満であると判断して、距離情報“NEAR”を応答信号に含める。また、制御プログラム65は、受信した装置ビーコン信号の受信強度が第1強度未満で且つ第2強度以上であることに応じて、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満であると判断して、距離情報“MIDDLE”を応答信号に含める。さらに、制御プログラム65は、受信した装置ビーコン信号の受信強度が第2強度未満であることに応じて、離間距離が第2距離以上であると判断して、距離情報“FAR”を応答信号に含める。
すなわち、図1の例において、携帯端末50Aは、複合機10が送出した装置ビーコン信号を受信したことに応じて、端末ID“term−A”と、距離情報“NEAR”とを含む応答信号を送信する。また、携帯端末50Bは、複合機10が送出した装置ビーコン信号を受信したことに応じて、端末ID“term−B”と、距離情報“MIDDLE”とを含む応答信号を送信する。さらに、携帯端末50Cは、複合機10が送出した装置ビーコン信号を受信したことに応じて、端末ID“term−C”と、距離情報“FAR”とを含む応答信号を送信する。
また、複合機10の制御プログラム35は、BT通信部26を通じて応答信号を受信するか(S33)、或いは応答信号を受信できない時間が第1閾値時間に達するまで待機する(S34)。第1閾値時間は、例えば、30msec〜100msec程度であってもよい。そして、制御プログラム35は、装置ビーコン信号の送出を開始してから第1閾値時間を経過するまでに応答信号を受信できないことに応じて(S33:No&S34:Yes)、複合機10を非ログイン状態に遷移させる(S35)。すなわち、制御プログラム35は、非ログイン状態であることを示す値を状態フラグに設定する。また、制御プログラム35は、許可操作リストを初期化する。ステップS35の処理は、第1遷移処理の一例である。なお、ステップS33で応答信号が受信できないとは、応答信号の電波強度が小さ過ぎて、BT通信部26或いは制御プログラム35が当該信号を有効と認めない場合も含むものとする。
一方、制御プログラム35は、第1閾値時間が経過する前にBT通信部26を通じて応答信号を受信したことに応じて(S33:Yes)、応答信号の送信元である携帯端末50と複合機10との離間距離の程度を判断する(S36&S38)。具体的には、制御プログラム35は、受信した応答信号に含まれる距離情報に基づいて、離間距離の程度を判断すればよい。ステップS33の処理は受信処理の一例であり、ステップS36、S38の処理は第1判断処理の一例である。
なお、第1閾値時間が経過する前にBT通信部26を通じて複数の応答信号を受信した場合に、制御プログラム35は、当該複数の応答信号のうちの1つを所定の優先順位に従って選択し、選択した応答信号の送信元である携帯端末50と複合機10との離間距離の程度を判断してもよい。応答信号の電波強度が強い順は、所定の優先順位の一例である。各端末IDに対応付けられた優先度情報の高い順は、所定の優先順位の一例である。なお、ゲスト許可情報は、端末IDに対応付けられた優先度情報をさらに含んでもよい。
一例として、携帯端末50Aとの離間距離の程度を判断する場合の制御プログラム35は、応答信号が距離情報“NEAR”を含んでいるので、離間距離が第1距離未満であると判断する(S36:Yes)。そして、制御プログラム35は、複合機10を第1ゲスト状態に遷移させる(S37)。すなわち、制御プログラム35は、第1ゲスト状態であることを示す値を状態フラグに設定する。ステップS37の処理は第1遷移処理の一例であり、第1ゲスト状態は第1許可状態及び許可状態の一例である。
また、制御プログラム35は、応答信号に含まれる端末ID“term−A”に対応付けられたゲスト許可情報をゲスト許可リストから読み出す。そして、制御プログラム35は、読み出したゲスト許可情報で許可された指示操作を示す情報を、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させる。すなわち、この場合の許可操作リストは、形成動作“カラープリント”、“コピー”、“スキャン”の実行を指示する指示操作を示す情報を含む。この場合の複合機10は、プリント動作、コピー動作、スキャン動作の実行を指示する指示操作を受け付け可能で、FAX送信動作の実行を指示する指示操作を受け付け不能な状態になる。このように、第1ゲスト状態の複合機10は、応答信号の送信元である携帯端末50を識別する端末IDに対応付けられたゲスト許可情報のうち、離間距離が第1距離未満のときに許可された指示操作のみを受け付け可能となる。
他の例として、携帯端末50Bとの離間距離の程度を判断する場合の制御プログラム35は、応答信号が距離情報“MIDDLE”を含んでいるので、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満であると判断する(S36:No:S38:Yes)。そして、制御プログラム35は、複合機10を第2ゲスト状態に遷移させる(S39)。すなわち、制御プログラム35は、第2ゲスト状態であることを示す値を状態フラグに設定する。ステップS39の処理は第1遷移処理の一例であり、第2ゲスト状態は第2許可状態及び許可状態の一例である。
また、制御プログラム35は、応答信号に含まれる端末ID“term−B”に対応付けられたゲスト許可情報をゲスト許可リストから読み出す。そして、制御プログラム35は、読み出したゲスト許可情報で許可された指示操作を示す情報を、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させる。すなわち、この場合の許可操作リストは、形成動作“モノクロプリント(20枚未満)”の実行を指示する指示操作を示す情報を含む。この場合の複合機10は、モノクロプリントの実行を指示する指示操作を受け付け可能で、カラープリント、コピー動作、スキャン動作、及びFAX送信動作の実行を指示する指示操作を受け付け不能な状態になる。このように、第2ゲスト状態の複合機10は、応答信号の送信元である携帯端末50を識別する端末IDに対応付けられたゲスト許可情報のうち、離間距離が第1距離以上で且つ第2距離未満のときに許可された指示操作のみを受け付け可能となる。
さらに他の例として、携帯端末50Cとの距離の程度を判断する場合の制御プログラム35は、応答信号が距離情報“FAR”を含んでいるので、離間距離が第2距離以上であると判断する(S36:No:S38:No)。そして、制御プログラム35は、複合機10を非ログイン状態に遷移させる(S40)。すなわち、制御プログラム35は、非ログイン状態であることを示す値を状態フラグに設定する。さらに、制御プログラム35は、応答信号に含まれる端末ID“term−C”に対応付けられたゲスト許可情報をゲスト許可リストから読み出す。そして、制御プログラム35は、読み出したゲスト許可情報で許可された指示操作を示す情報を、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させる。すなわち、この場合の許可操作リストは、指示操作を示す情報を含まない。ステップS40の処理は、第2遷移処理の一例である。
図5に戻って、制御プログラム35は、複合機10がゲスト状態であるか否かを判断する(S15)。すなわち、制御プログラム35は、第1ゲスト状態或いは第2ゲスト状態であることを示す値が状態フラグに設定されているか否かを判断する。ステップS15の処理は、第3判断処理の一例である。そして、制御プログラム35は、複合機10がゲスト状態でないと判断したことに応じて(S15:No)、形成処理1を実行する(S16)。一方、制御プログラム35は、複合機10がゲスト状態であると判断したことに応じて(S15:Yes)、形成処理2を実行する(S17)。形成処理1は、複合機10が非ログイン状態或いはログイン状態であるときに、対象指示操作に対応する形成動作を画像形成部に実行させる処理である。形成処理2は、複合機10がゲスト状態であるときに、対象指示操作に対応する形成動作を画像形成部に実行させる処理である。図8を参照して、形成処理2の詳細を説明する。
まず、制御プログラム35は、対象指示操作が複合機10の現在の状態で許可されているか否かを判断する(S51)。すなわち、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれているか否かを判断すればよい。一例として、[モノクロプリント]アイコンが選択され、且つ複合機10を中心とする第2距離範囲内に携帯端末50A或いは携帯端末50Bが存在する場合、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれると判断する。他の例として、[モノクロプリント]アイコンが選択され、複合機10を中心とする第2距離範囲内に携帯端末50Cが存在し、且つ携帯端末50A、50Bが存在していない場合、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれないと判断する。さらに他の例として、[モノクロプリント]アイコンが選択され、且つ複合機10が非ログイン状態である場合、制御プログラム35は、対象指示操作が許可操作リストに含まれないと判断する。ステップS51の処理は、第4判断処理の一例である。
次に、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれていることに応じて(S51:Yes)、応答信号の送信元の携帯端末50にBT通信部26を通じて問合せ信号を送信する(S52)。問合せ信号は、対象指示操作に対応する形成動作の実行を許可するか否かを問い合わせる無線信号の一例である。すなわち、問合せ信号は、対象指示操作を識別する操作IDを含む。すなわち、[モノクロプリント]アイコンが選択された場合の問合せ信号は、形成動作“モノクロプリント”に対応する対象操作信号を識別する操作IDを含む。ステップS52の処理は、問合せ処理の一例である。
一方図示は省略するが、携帯端末50の制御プログラム65は、BT通信部56を通じて複合機10から問合せ信号を受信する。問合せ信号を受信する処理は、受信処理の一例である。そして、制御プログラム65は、問合せ画面を表示部53に表示させる。図10(B)は、問合せ画面の一例である。図10(B)に示される問合せ画面は、「ゲストユーザにモノクロプリントの実行を許可しますか?」とのメッセージと、[はい]アイコンと、[いいえ]アイコンとを含む。なお、図10(B)に示される「モノクロプリント」の部分は、受信した問合せ信号に含まれる操作IDに応じて適宜変更される。そして、制御プログラム65は、問合せ画面に対するユーザ操作を操作部54を通じて受け付ける。問合せ画面に対するユーザ操作を受け付ける処理は、受付処理の一例である。
制御プログラム65は、[はい]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部54を通じて受け付けたことに応じて、BT通信部56を通じて複合機10に許可信号を送信する。許可信号は、対象指示操作に対応する形成動作“モノクロプリント”の実行を許可することを示す信号である。一方、制御プログラム65は、[いいえ]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部54を通じて受け付けたことに応じて、BT通信部56を通じて複合機10に拒否信号を送信する。拒否信号は、対象指示操作に対応する形成動作“モノクロプリント”の実行を許可しないことを示す信号である。以下、許可信号及び拒否信号を総称して、「回答信号」と表記することがある。回答信号を送信する処理は、第2送信処理の一例である。
また、複合機10の制御プログラム35は、応答信号の送信元の携帯端末50からBT通信部26を通じて許可信号を受信するか(S53)、許可信号を受信できない時間が第2閾値時間に達するまで待機する(S55)。第2閾値時間は、例えば、30sec〜5min程度であってもよい。そして、制御プログラム35は、BT通信部26を通じて携帯端末50から許可信号を受信したことに応じて(S53:Yes)、対象指示操作に対応する形成動作“モノクロプリント”を画像形成部に実行させる(S54)。[モノクロプリント]が選択された場合にプリンタ部11によって形成動作“モノクロプリント”が実行されることは、形成動作“モノクロプリント”に対応する指示操作が受け付け可能であることの一例である。ステップS53の処理は回答受信処理の一例であり、ステップS54の処理は動作制御処理の一例である。
例えば、図1に示される携帯端末50Aから許可信号を受信した場合、プリンタ部11は、ユーザによって指定された画像データを装着部27に装着された可搬記憶媒体から読み出し、当該画像データで示される画像を黒色のインク或いはトナーを用いて記録用紙に記録する。図1に示される携帯端末50Bから許可信号を受信した場合も同様である。但し、ユーザによって指定された画像データに20枚以上の画像が含まれている場合、プリンタ部11は、プリント処理を実行することなく、指定された画像データが20枚以上の画像を含むことをユーザに報知してもよいし、19枚の画像を記録用紙に記録した後に、これ以上のプリント処理が実行できないことをユーザに報知してもよい。
一方、制御プログラム35は、BT通信部26を通じて携帯端末50から拒否信号を受信した、或いは問合せ信号を送信してから第2閾値時間を経過するまでに許可信号を受信できなかったことに応じて(S53:No&S55:Yes)、図11(A)に示されるエラー画面を表示部23に表示させる(S56)。そして、制御プログラム35は、[OK]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、動作制御処理を実行することなく、再び表示部23にメニュー画面を表示させる(S11)。
また、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれていないことに応じて(S51:No)、対応するログイン許可情報で対象指示操作が許可されているか否かを判断する(S57)。対応するログイン許可情報とは、許可操作リストとしてデータ記憶領域32Bに記憶させたゲスト許可情報と端末IDを介して対応付けられたログイン許可情報を指す。換言すれば、対応するログイン許可情報とは、応答信号の送信元の携帯端末50の端末IDに対応付けられたログイン許可情報を指す。ステップS57の処理は、第5判断処理の一例である。次に、制御プログラム35は、対応するログイン許可情報で対象指示操作が許可されていると判断したことに応じて(S57:Yes)、ログイン報知画面を表示部23に表示させる(S58)。
例えば、[モノクロプリント]アイコンが選択された場合に、携帯端末50Cから応答信号を受信し、携帯端末50A及び携帯端末50Bから応答信号を受信していない状態を想定する。この場合の制御プログラム35は、形成動作“モノクロプリント”に対応する対象指示操作が、端末ID“term−C”に対応するゲスト許可情報で許可されていないと判断する(S51:No)。また、制御プログラム35は、形成動作“モノクロプリント”に対応する対象指示操作が、端末ID“term−C”に対応するログイン許可情報で許可されていると判断する(S57:Yes)。すなわち、前述の例によれば、ログイン報知画面が表示部23に表示される(S58)。
図11(B)は、ログイン報知画面の一例である。図11(B)に示されるログイン報知画面は、「選択した動作を実行するためには、ログインして下さい。」とのメッセージと、[ログイン]アイコンと、[キャンセル]アイコンとを含む。ステップS58の処理は、対応するログイン許可情報に対応付けられたアカウント情報を用いたログイン操作を促す報知処理の一例である。そして、制御プログラム35は、ログイン報知画面に対するユーザ操作を操作部24を通じて受け付ける。
制御プログラム35は、[ログイン]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、図6に示されるログイン処理を実行する。ログイン処理の詳細は既に説明したので、再度の説明は省略する。そして図示は省略するが、制御プログラム35は、ユーザID“ghi”及びパスワード“789”を用いたログイン操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、対象指示操作に対応付けられた形成動作“モノクロプリント”をプリンタ部11に実行させる。
一方、制御プログラム35は、対応するログイン許可情報で対象指示操作が許可されていないと判断したこと(S57:No)、或いはログイン報知画面の[キャンセル]アイコンの位置をタップするユーザ操作を操作部24を通じて受け付けたことに応じて、図11(A)に示されるエラー画面を表示部23に表示させる(S59)。
なお、形成処理1は、形成処理2のステップS51、S54、S59の処理で構成される。すなわち、制御プログラム35は、対象指示操作が複合機10の現在の状態で許可されているか否かを判断する(S51)。図4に示されるどのアカウント情報で複合機10がログイン状態になっていても、形成動作“モノクロプリント”に対応する指示操作を示す情報は、許可操作リストに含まれることになる。一方、複合機10が非ログイン状態の場合、形成動作“モノクロプリント”に対応する指示操作を示す情報は、許可操作リストに含まれない。
そして、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれると判断したことに応じて(S51:Yes)、対象指示操作に対応する形成動作を画像形成部に実行させる(S54)。すなわち、[モノクロプリント]アイコンが選択された場合、制御プログラム35は、形成動作“モノクロプリント”をプリンタ部11に実行させる。一方、制御プログラム35は、対象指示操作を示す情報が許可操作リストに含まれていないと判断したことに応じて(S51:No)、図11(A)に示されるエラー画面を表示部23に表示させる(S59)。
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、複合機10の状態に応じて受け付け可能な指示操作を切り替えるので、各ユーザに対して適切な範囲で複合機10を利用させることができる。また、複合機10が応答信号を受信可能な範囲に携帯端末50を近づけるだけで、当該複合機10をゲスト状態に遷移させることができるので、ゲストユーザに指示操作を許可する際に認証ユーザに煩雑な作業を要求する必要がない。
すなわち、アカウント情報が割り当てられたユーザは、複合機10に対してログイン操作を行うことによって、ログイン許可情報で示された指示操作を複合機10に入力することができるようになる。また、ゲストユーザは、携帯端末50を所持するユーザと共に複合機10に近づくことによって、ゲスト許可情報で示された指示操作を複合機10に入力することができるようになる。さらに、ゲストユーザは、単独で複合機10に近づいたとしても複合機10を利用することができない。
また、上記の実施形態によれば、携帯端末50を所持した認証ユーザが複合機10に近づくほど、ゲストユーザに許可される指示操作が増加する。その結果、例えば複合機10が備える高度な指示動作を、認証ユーザによる監視の許でゲストユーザに利用させることができる。これにより、セキュリティを確保しつつゲストユーザの利便性を向上させることができる。
また、上記の実施形態によれば、端末IDと対応付けてゲスト許可情報をデータ記憶領域32Bに記憶させるので、ゲストユーザに許可することができる指示操作を、携帯端末50毎、すなわち、当該携帯端末50を所持する認証ユーザ毎に異ならせることができる。さらに、端末IDと対応付けてログイン許可情報をデータ記憶領域32Bに記憶させ、且つログイン報知画面を表示部23に表示させるので、ゲスト許可情報で許可されず且つ対応するログイン許可情報で許可された指示操作を、認証ユーザの判断でゲストユーザに許可することができる。
さらに、上記の実施形態によれば、応答信号の送信元の携帯端末50に問合せ画面を表示させるので、ゲストユーザが行う指示操作に対応する形成動作が、認証ユーザの明示の許可によって実行される。その結果、認証ユーザの許可を得ていないゲストユーザが複合機10を利用することを抑制できる。
なお、上記の実施形態では、複合機10に装置ビーコン信号を送出させたが、携帯端末50が端末ビーコン信号を送出してもよい。すなわち、携帯端末50に送出処理を実行させてもよい。当該端末ビーコン信号は、送出元の携帯端末50の端末IDを含む。そして、複合機10は、BT通信部26を通じて端末ビーコン信号を受信したことに応じて、当該端末ビーコン信号に含まれる端末IDと、当該端末ビーコン信号の電波強度とに応じて、複合機10の状態を遷移させてもよい。また、上記の実施形態では、指示操作を受け付けたことに応じて状態遷移処理を実行したが、複合機10がログイン状態でないときに携帯端末50から送出される端末ビーコン信号を常に監視していてもよい。端末ビーコン信号は、第1無線通信プロトコルに準拠した第1無線信号の一例である。
また、上記の実施形態では、ゲスト許可リスト及びログイン許可リストを複合機10のデータ記憶領域32Bに記憶させたが、通信ネットワークを通じて複合機10に接続されたサーバに記憶されていてもよい。そして、複合機10は、必要なゲスト許可レコード及びログイン許可レコードを、Wi−Fi通信部25を通じて当該サーバから受信してもよい。これにより、画像形成システム100に複数の複合機10が接続されている場合に、ゲスト許可リスト及びログイン許可リストを各複合機10に登録する必要がない。また、ゲスト許可レコードは、対応する端末IDで識別される携帯端末50のデータ記憶領域62Bに記憶されていてもよい。そして、携帯端末50は、ゲスト許可レコードをさらに含む存在報知信号をBT通信部56を通じて複合機10に送信してもよい。
また、上記の実施形態では、許可されていない指示操作に対してエラー画面を表示させたが、指示操作を受け付け不能にする具体的な方法はこれに限定されない。一例として、許可されていない指示操作を受け付けるためのアイコンをグレーアウトしてもよいし、許可されていない指示操作を受け付けるためのアイコンを非表示にしてもよい。すなわち、メニュー画面に含まれるアイコンのうち、複合機10の現在の状態で許可された指示操作を受け付けるためのアイコンを選択可能とし、複合機10の現在の状態で許可されていない指示操作を受け付けるためのアイコンを選択不能としてもよい。
さらに、上記の実施形態では、ログイン処理において操作部24を通じてアカウント情報を入力させたが、NFC(Near field radio communicationの略)を用いたログイン操作を受け付けてもよい。すなわち、複合機10は、NFCに準拠した第2無線信号を送受信可能なNFC通信部をさらに備えてもよい。また、認証ユーザは、アカウント情報が記憶された記憶部と、NFCに準拠した第2無線信号を送信可能なNFC通信部とを備える携帯端末50或いは不図示のカードを所持していてもよい。そして、複合機10は、ステップS22において、携帯端末50或いは不図示のカードからNFC通信部を通じてアカウント情報を受信してもよい。NFCは、Bluetooth LEより無線信号の到達距離が短い近接無線通信プロトコル及び第2無線通信プロトコルの一例である。第2無線信号は、無線信号の一例である。
また、実施形態の複合機10及び携帯端末50において、記憶部32、62のプログラム記憶領域32A、62Aに記憶された各種プログラムがCPU31、61によって実行されることによって、本発明の制御部が実行する各処理が実現される例を説明した。しかしながら、制御部の構成はこれに限定されず、その一部又は全部を集積回路(IC(Integrated Circuitの略)とも言う。)等のハードウェアで実現してもよい。
さらに、本発明は、複合機10及び携帯端末50として実現できるだけでなく、複合機10及び携帯端末50に処理を実行させるプログラムとして実現してもよい。そして、当該プログラムは、non−transitoryな記録媒体に記録されて提供されてもよい。non−transitoryな記録媒体は、CD−ROM、DVD−ROM等の他、通信ネットワークを通じて複合機10及び携帯端末50に接続可能なサーバに搭載された記憶部を含んでもよい。そして、サーバの記憶部に記憶されたプログラムは、当該プログラムを示す情報或いは信号として、インターネット等の通信ネットワークを通じて配信されてもよい。
10・・・複合機
11・・・プリンタ部
12・・・スキャナ部
13・・・FAX部
23,53・・・表示部
24,54・・・操作部
26,56・・・BT通信部
31,61・・・CPU
32,62・・・記憶部
50・・・携帯端末
100・・・画像形成システム