JP2006332730A - 薄膜バルク音響波共振子およびフィルタならびに通信装置 - Google Patents

薄膜バルク音響波共振子およびフィルタならびに通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 信頼性が高く、簡単なプロセスで作成でき、低コストな薄膜バルク音響波共振子を提供する。
【解決手段】 基板11と、基板11上に配置され、圧電体薄膜14および圧電体薄膜14に上下から電圧を印加するための上部電極15および下部電極13からなる共振部とを具備する薄膜バルク音響波共振子において、上部電極15は、その外形が平面視で下部電極13の外形の内側に位置しているものである。上部電極の外形が平面視で下部電極の外形の内側に位置していることから、下部電極,圧電体薄膜,上部電極のそれぞれを形成する度にパターニングしなくても、下部電極から上部電極までを一気に形成してからパターニングすることで薄膜バルク音響波共振子を作製することができるので、製造にかかる時間が大幅に短縮されると同時に、パターニングの工程中に生じる破損やごみの付着などのトラブルを克服することができるので生産性が高いものとなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は圧電共振子の一種である薄膜バルク音響波共振子およびそれを用いたフィルタならびに通信装置に関し、特に、基板と、この基板の表面に薄膜プロセスにより形成された共振部とを具備する薄膜バルク音響波共振子およびそれを用いたフィルタならびに通信装置に関するものである。
無線通信や電気回路に用いられる周波数の高周波化に伴い、これらの電気信号に対して用いられるフィルタも高周波数に対応したものが開発されている。特に、無線通信においては2GHz近傍のマイクロ波が主流になりつつあり、また既に数GHz以上の規格策定の動きもあることから、それらの周波数に対応した、安価で高性能なフィルタが求められている。そのようなフィルタの中で最近注目されているのは、固体の表面を伝わる音響波を利用する共振子である弾性表面波共振子(SAWR:Surface Acoustic Wave Resonator)を用いたSAWフィルタである。このSAWフィルタは、固体表面上に形成した櫛型電極間に印加される高周波電界と弾性表面波との共振を利用しており、周波数の選択性が高く、優れたバンドパスフィルタとして広く用いられている。
また、近年、圧電性を示す薄膜の厚み縦振動モードを用いた共振子が提案されている。これは、入力される高周波電気信号に対して、圧電体薄膜が厚み縦振動を起こし、その振動が、薄膜の厚さ方向において共振を起こすことを用いた共振子であり、薄膜バルク音響波共振子(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)と呼ばれている。FBARは、基板上に薄膜プロセスにより下部電極,圧電体薄膜,上部電極を順次積層した共振部を形成した構造をしており、この共振部を基板から音響的にアイソレートする方法によって次の3方式に分類される。
1)異方性エッチング等で基板の裏面側から貫通孔を開け、共振部を基板から空間的に離す。
2)基板と共振部との間に犠牲層を設け、その犠牲層をエッチングして除去することによって共振部を基板から空間的に離す。
3)基板と共振部との間に多層膜からなる音響反射器を設け、共振部を基板から音響的にアイソレートする。
上記1)の薄膜バルク音響波共振子は、図7(a)に示す断面図のように、基板11の上に下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15が形成されており、共振部の下面の基板11がエッチングなどの方法により除去されている。これにより、共振部での音響波振動が基板11に漏れ出すことを防いでいる。また、上記3)の方式のFBARはSolidly Mounted Resonator(SMR)とも呼ばれ、一般的に、厚さλ/4(λは音響波の波長)の高い音響インピーダンスを持つ層(例えば、W,Mo等の金属層、またはZnO,AlN等の誘電体層)と厚さλ/4の低い音響インピーダンスを持つ層(例えばAl等の金属層、またはSiO等の誘電体層)とを交互に積層した多層膜が音響反射器として使用されている。例えば、図7(b)に示す断面図のように、基板11の上にλ/4の厚さを持つ2層(12a,12b)を交互に積層した音響反射器12が形成され、その上に下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15からなる共振部が形成された構造である。ここでλはそれぞれの材料中の縦波音響波の波長である。音響反射器12は、共振部から見た基板11方向の音響インピーダンスが概略0であるように基板11の音響インピーダンスを変換する役目を果たしており、実質的に共振部が基板11から空間的に離れているのと同等の効果を持っている。
薄膜バルク音響波共振子の基板11材料としては、SiやGaAsが一般的に用いられる。また、圧電体薄膜14の材料としてはAlN,ZnOなどが一般的に用いられる。1),2)の方式の薄膜バルク音響波共振子は、空間により共振部を基板11から完全にアイソレートするので、音響波の損失が少ないため一般にQ値が高いものとなり、3)のSMR型薄膜バルク音響波共振子は共振部が基板11に物理的に固着しているため、他の方式に比べ機械的な強度が高く、信頼性が高いものとなっている。
米国特許5,373,268号明細書 米国特許6,150,703号明細書 米国特許6,215,375号明細書 ダブリュー・イー・ニューウェル(W.E.Newell),"フェース・マウンテッド・ピエゾエレクトリック・レゾネーター(Face−Mounted Piezoelectric Resonators)"、プロシーディング・オブ・ザ・アイイーイーイー(Proceeding of the IEEE),1965年6月、p.575−581
しかしながら、従来の1)〜3)のいずれの方式の薄膜バルク音響波共振子も、弾性表面波共振子に比べて製造プロセスが複雑であるという問題点があった。弾性表面波共振子では、1.基板に電極を成膜する、2.フォトリソグラフィ技術により電極をパターニングする、という2つの工程で基本的な共振子が作製できる。これに対し、例えば上記1)の薄膜バルク音響波共振子の場合には、1.基板11に下部電極13を成膜する、2.フォトリソグラフィ技術により下部電極13をパターニングする、3.圧電体薄膜14を成膜する、4.フォトリソグラフィ技術により圧電体薄膜14をパターニングする、5.上部電極15を成膜する、6.フォトリソグラフィ技術により上部電極15をパターニングする、7.異方性エッチングにより、基板11の裏面から共振部が露出するように貫通穴21を開ける、という7つの工程が必要となる。このような複雑な工程を要するため、薄膜バルク音響波共振子は製造に時間がかかり生産性が低い上に、多数の製造装置が必要であるなどの理由で高コストとなっていた。また、各工程毎に生じるパターンずれや装置のトラブル,ごみの付着などの問題で歩留まり向上が困難であるなどの問題が生じていた。このため、薄膜バルク音響波共振子は、弾性表面波共振子よりも一般的に生産性が低く、高コストであるという問題点があった。
また、共振子を外部回路や他の共振子と共振部外で接続するために、上部電極15を共振部外に延ばして形成するときには、図7(a),(b)に示すように、下部電極13形成部を超えて圧電体薄膜14および上部電極15を形成する部位において生じる下部電極13の厚み分の段差(図7(a),(b)においてDで示す部位)で、圧電体薄膜14,上部電極15を途切れることなく形成する必要がある。ここで、下部電極13は共振部の一部として機能するために、音響波の共振特性を良好にし、かつ電気的ロスを極力少なくするために、その厚みは、一般に圧電体薄膜14の厚みの5%から30%程度必要となる。
このため、その上部に圧電体薄膜14を成膜する際、下部電極13端部の段差部Dで良好なステップカバレッジを得難いという問題が生じる。ステップカバレッジが不十分な場合には、段差部Dにおいて圧電体薄膜14の非形成部が発生し、上部電極15と下部電極13とがショートしてデバイスが不良となり歩留まりが低下するため生産性が低くなるという問題点があった。また、段差部Dにおいて、圧電体薄膜14の厚みが薄くなったり、圧電体薄膜14に微小なクラックが発生したりすると、圧電体薄膜14のブレイクダウン電圧が低下して静電気に対する耐性が劣化したり、水分が浸入して湿度の高い環境での信頼性が得られないなどの問題が生じる。
同様に、上部電極15を成膜する際には、段差部Dおよび圧電体薄膜14端部において生じる段差部Eで良好なステップカバレッジを得難いため、段差部D,Eにおいて、上部電極15が断線したり、上部電極15の厚みが薄くなり電気抵抗が大きくなり電圧を印加しても所望の共振特性を得ることができなくなったりして、デバイスが不良となり歩留まりが低下するため生産性が低くなるという問題点があった。
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、信頼性が高く、簡単なプロセスで作製できることより生産性が高く、低コストな薄膜バルク音響波共振子を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、信頼性の高いフィルタおよび通信装置を提供することにある。
本発明の薄膜バルク音響波共振子は、基板と、この基板上に配置され、圧電体薄膜およびこの圧電体薄膜に上下から電圧を印加するための上部電極および下部電極からなる共振部とを具備する薄膜バルク音響波共振子において、前記上部電極は、その外形が平面視で前記下部電極の外形の内側に位置していることを特徴とするものである。
また、本発明の薄膜バルク音響波共振子は、上記構成において、前記共振部の外側に設けられた外部回路との接続パッドと、前記上部電極と前記接続パッドとを電気的に接続する接続電極と、前記接続電極と前記下部電極との短絡を防止するために前記接続電極と前記下部電極との間に介在させた絶縁層とをさらに具備することを特徴とするものである。
また、本発明の薄膜バルク音響波共振子は、上記構成において、前記上部電極と前記接続電極との間に、中間電極をさらに介在させたことを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタは、上記各構成のいずれかの本発明の薄膜バルク音響波共振子をフィルタを構成する共振子として用いたことを特徴とするものである。
また、本発明の通信装置は、上記構成の本発明のフィルタを有する、受信回路および送信回路の少なくとも一方を備えたことを特徴とするものである。
本発明の薄膜バルク音響波共振子によれば、基板と、この基板上に配置され、圧電体薄膜およびこの圧電体薄膜に上下から電圧を印加するための上部電極および下部電極からなる共振部とを具備する薄膜バルク音響波共振子において、上部電極は、その外形が平面視で下部電極の外形の内側に位置していることから、下部電極,圧電体薄膜,上部電極のそれぞれを形成する度にパターニングしなくても、下部電極から上部電極までを一気に形成してからパターニングすることで薄膜バルク音響波共振子を作製することができる。このため、下部電極,圧電体薄膜,上部電極を形成する度に必要であった基板の装置への出し入れが不要になり、タクト時間を大幅に短縮できると同時に、パターニングの工程中に生じる破損や異物の付着などに起因する様々な問題点、例えば、その上に形成する膜の膜質が低下して所望の共振特性を得ることができなかったり、異物により上部電極と下部電極とがショートしたり、膜剥がれが発生したりして信頼性が低くなるなどの問題点を解決することができるので、コストが低く、信頼性が高く、かつ生産性が高いものとなる。また、上部電極は、その外形が平面視で下部電極の外形の内側に位置していることから、従来の下部電極形成部を超えて圧電体薄膜や上部電極を形成する部位における段差部に起因する問題点、例えば、段差部のステップカバレッジの程度により、上部電極の一部が途切れて電気抵抗が増えたり、圧電体薄膜の非形成部ができてしまい上部電極と下部電極とが接触してショートしたりするなどの問題点を解決することができ、信頼性の高いものとすることができる。
また、本発明の薄膜バルク音響波共振子によれば、上記構成において、共振部の外側に設けられた外部回路との接続パッドと、上部電極と接続パッドとを電気的に接続する接続電極と、接続電極と下部電極との短絡を防止するために接続電極と下部電極との間に介在させた絶縁層とをさらに具備するときには、接続電極により電極の有効な厚みを増す効果があるので、上部電極の実質的な電気抵抗を低減することができ、低損失なものとすることができる。また、接続電極と下部電極との間に絶縁層が介在していることから、絶縁層により下部電極と接続電極との接触を確実に防ぐことができるので信頼性の高い薄膜バルク音響波共振子とすることができる。さらに、絶縁層により接続電極と上部電極および下部電極との間に発生する寄生容量を減少させることができるので、ノイズが少なく周波数差の大きい薄膜バルク音響波共振子を提供できるようになる。
また、本発明の薄膜バルク音響波共振子によれば、上記構成において、上部電極と接続電極との間に中間電極を介在させたときには、中間電極により電極の有効な厚みを増す効果があるので、上部電極の実質的な電気抵抗を低減することができ、低損失なものとすることができる。また、中間電極を取り出し電極とすることで、確実に上部電極と接続電極とを電気的に接続することができるので、信頼性の高いものとなる。
また、本発明のフィルタによれば、上記各構成のいずれかの本発明の薄膜バルク音響波共振子をフィルタを構成する共振子として用いたことから、信頼性が高く、生産性の高い共振子を用いてフィルタを構成することができるので、従来のFBARを使用したフィルタに比べて、より信頼性が高く、生産性の高い、しかも低コストで製造可能なフィルタを提供することができる。
また、本発明の通信装置によれば、上記構成の本発明のフィルタを有する、受信回路および送信回路の少なくとも一方を備えたことから、信頼性の高いフィルタを用いて回路を構成することができるので、より信頼性の高い通信装置を生産性高く、安価で提供することができる。
以下、本発明の薄膜バルク音響波共振子の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の薄膜バルク音響波共振子は、基板と、この基板上に配置され、圧電体薄膜およびこの圧電体薄膜に上下から電圧を印加するための上部電極および下部電極からなる共振部とを具備する薄膜バルク音響波共振子において、上部電極は、その外形が平面視で下部電極の外形の内側に位置しているものである。このような本発明の実施の形態の一例につて、図1(a)に模式的な平面図を、図1(b)に図1(a)のA−A’線断面図を示す。なお、以下の図面でも同様であるが、図面においては、薄膜バルク音響波共振子の構造が分かり易いように各部の寸法は適宜拡大している。また、以下の図面でも同様であるが、層構成が見易いように、模式的な平面図では上側に位置する層の一部を省略して示している。例えば、図1(a)では絶縁層16を省略している。さらに、以下の図面において、図1と同様の箇所には同じ符合を付し、重複する説明を省略する。
図1(a),(b)において、11は基板,13は下部電極,14は圧電体薄膜,15は上部電極である。圧電体薄膜14に上下から電圧を印加するための上部電極15および下部電極13が形成されて共振部が構成されており、この共振部が基板11上に配置されている。20は外部回路と接続するための接続パッド,17は上部電極15と接続パッド20とを電気的に接続する接続電極,16は接続電極17と下部電極13との短絡を防ぐための絶縁層である。なお、図1(a)中の破線は、絶縁層16の開口部24を示している(以下の図面でも同様である)。21は共振部を基板11から音響的にアイソレートするために設けられた貫通孔であり、これにより、音響波が基板11に漏洩することを防ぎ、挿入損失が少なく、Q値の高い共振子を構成することができる。貫通孔21は、通常は、基板11の裏側からDeep−RIE(Reactive Ion Etching)もしくは異方性エッチングによって基板11をエッチングし、共振部の下面に空隙が位置するように形成される。図1に示したものはDeep−RIEにて形成した貫通孔21であり、異方性エッチングにより形成した貫通孔21は基板11の結晶面を選べば基板11の下側主面との角度が概略45°となる下広がりのものを形成することができる。なお、この例では、共振部と基板11とを音響的にアイソレートするために貫通孔21を用いた例について説明したが、基板11上に音響反射器を形成しその上に共振部を形成することで、基板11と共振部とを音響的にアイソレートしてもよい。
基板11は、薄膜バルク音響波共振子を支持する機能を有し、通常は厚みが0.05〜1mm、直径が75〜200mm程度の鏡面研磨されたSiウエハが用いられる。Siウエハは扱いやすく、また対応する薄膜プロセス装置も多いため、製造が容易となることから、特に好適に用いられる。基板11は、Siウエハの他にも、薄膜プロセスと相性の良い、Al,SiO,ガラス等のウエハまたは平板を使用することができる。
下部電極13は、圧電体薄膜14に高周波電圧を印加する機能を有する部材であり、W,Mo,Au,Al,Cu等の金属材料で形成される。下部電極13はスパッタリング法やCVD法等の薄膜プロセスで基板11上に所定の厚さで形成され、フォトリソグラフィ技術等により所定の形状に加工される。また、下部電極13は、電極としての機能と同時に、共振部を構成する機能も有するため、薄膜バルク音響波共振子が必要な共振特性を発揮するために、その厚みは、材料の固有音響インピーダンスや密度,音速,波長等を考慮して、精密に設計する必要がある。最適な電極厚みは、使用周波数,共振子の設計,圧電体薄膜14の材料,電極材料等によって異なるが、共振周波数が2GHzの場合、0.01〜0.5μm程度である。また、平面形状は、図1に示す例では矩形状になっているが、不要振動(スプリアス)を防ぐため、円形状や不定形状,台形状とされる場合もある。
上部電極15は、下部電極13とともに、圧電体薄膜14に高周波電圧を印加する機能を有する部材であり、W,Mo,Au,Al,Cu等の金属材料で形成される。上部電極15はスパッタリング法やCVD法等の薄膜プロセスで圧電体薄膜14上に所定の厚さで形成され、フォトリソグラフィ技術等により所定の形状に加工される。また、上部電極15は、電極としての機能と同時に、共振部を構成する機能も有するため、薄膜バルク音響波共振子が必要な共振特性を発揮するために、その厚みは、材料の固有音響インピーダンスや密度,音速,波長等を考慮して、精密に設計する必要がある。最適な電極厚みは、使用周波数,共振子の設計,圧電体薄膜14の材料,電極材料等によって異なるが、共振周波数が2GHzの場合、0.01〜0.5μm程度である。また、平面形状は、図1に示す例では矩形状になっているが、不要振動(スプリアス)を防ぐため、円形状や不定形状,台形状とされる場合もある。
圧電体薄膜14は、例えばZnOやAlN,PZT等の圧電体材料からなり、下部電極13および上部電極15によって印加された高周波電圧に応じて伸縮し、電気的な信号を機械的な振動に変換する機能を持つ。圧電体薄膜14はスパッタリング法やCVD法等の薄膜プロセスで下部電極13上に所定の厚さで形成され、フォトリソグラフィ技術等により所定の形状に加工される。薄膜バルク音響波共振子が必要な共振特性を発揮するために、圧電体薄膜14の厚みは、材料の固有音響インピーダンスや密度,音速,波長等を考慮して、精密に設計する必要がある。最適な厚みは、使用周波数,共振子の設計,圧電体薄膜14の材料,下部電極13および上部電極15の材料等によって異なるが、共振周波数が2GHzの場合、0.3〜1.5μm程度である。また、平面形状は、図1に示す例では矩形状になっているが、不要振動(スプリアス)を防ぐため、円形状や不定形状,台形状とされる場合もある。
また、圧電体薄膜14が上下から下部電極13および上部電極15により挟まれて構成される共振部は、前述のように、その内部で音響波が厚み縦振動による共振を起こすものであり、使用周波数,共振子の設計,圧電体薄膜14の材料,下部電極13および上部電極15の材料等を考慮して精密に設計する必要がある。共振部は、下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15が重なった部分であり、下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15のそれぞれは、共振部よりも広く形成されていてもよい。通常、全体の厚みが、おおむねλ/2(λは使用周波数での音響波の波長)となるように設計される。また、平面形状は、図1に示す例では矩形状になっているが、不要振動(スプリアス)を防ぐため、円形状や不定形状,台形状とされる場合もある。さらに、その面積は、共振子のインピーダンスを決定する要素となるため、厚みと同様に精密に設計する必要がある。50Ωインピーダンス系で使用する場合は、通常、下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15で構成される電気的なキャパシタンスが、使用周波数でおおむね50Ωのリアクタンスを持つように設計される。共振部の面積は、例えば2GHzの振動子の場合であれば、200×200μm程度となる。
ここで、本発明の薄膜バルク音響波共振子では、上部電極15は、その外形が下部電極13の外形の内側に位置しているので、従来のように、図7(a),(b)のD,E部に示すような段差部を覆うようにして圧電体薄膜14および上部電極15を形成する必要がない。このため、従来のような段差部に起因する様々な問題点、例えば、段差部におけるステップカバレッジが悪いため段差部において上部電極15の一部が途切れたり、厚みが薄くなったりして電気抵抗が高くなったり、段差部において圧電体薄膜14の厚みが薄くなったり、非形成部ができたりして、上部電極15と下部電極13とが接触してショートしたりするなどの問題点を解決することができる。従って、本発明の薄膜バルク音響波共振子を信頼性の高いものとすることができる。特に、図1(a)に示すように、圧電体薄膜14の外形が下部電極13の外形の内側に位置しているとともに、上部電極15の外形が圧電体薄膜14の外形の内側に位置しているときには、圧電体薄膜14の側面を介して上部電極15と下部電極13との間にリーク電流が発生することを防ぐことができるので、さらに信頼性の高い薄膜バルク音響波共振子とすることができる。
ここで、平面視で、下部電極13の端から圧電体薄膜14配置位置までの幅および圧電体薄膜14の端から上部電極15配置位置までの幅は、共振子の小型化および寄生容量の抑制という観点から、小さいほど望ましい。しかしながら、フォトリソグラフィ技術によるパターニング精度や圧電体薄膜14の側面を介したリーク電流による短絡の防止を考慮すると、数μmから数10μmが適当である。
このような薄膜バルク音響波共振子を集積してデバイスとして使用する場合には、共振部を外部や、他の共振子とを接続するための配線や信号線の取り回しが必要となる。下部電極13に信号を印加するためには、下部電極13を共振部外にも延ばして形成することで、下部電極13に外部からの信号を印加するための端子としての機能を持たせることができる。この場合には、下部電極13の端から圧電体薄膜14配置位置までの幅は大きくてもよい。一方、上部電極15に信号を印加するためには、上部電極15と基板11上もしくは基板11を収容するパッケージ等に形成された端子電極とをワイヤーボンディングなどの方法で外部と接続することができる。
ここで、共振部の外側に外部回路との接続パッド20を設け、接続電極17を、接続電極17と下部電極13との短絡を防止するために接続電極17と下部電極13との間に絶縁層16を介在させて、上部電極15と接続パッド20とを電気的に接続するように形成して、上部電極13に外部回路からの信号を印加してもよい。具体的には、図1(b)に示すように、下部電極13と接続電極17との間の絶縁性を確保するために、平面視で、上部電極15と接続パッド20との間にある、少なくとも共振部外に延びる下部電極13の露出部分を覆うように絶縁層16を設け、上部電極13上から絶縁層16上を経て接続パッド20に電気的に接続する接続電極17を形成することにより上部電極15を外部回路と接続してもよい。このような構成とすることで、接続電極17により自由に外部回路と共振部とを接続したり、複数の共振子を接続したりすることができる。また、接続電極17は各電極15,17との接続部を除き絶縁層16上に形成されていることから、下部電極13との間の不要なカップリング(寄生容量)の発生を抑制することができるので、寄生容量による薄膜バルク音響波共振子の周波数差(共振周波数と反共振周波数の差)の減少を抑えることができ、広い帯域幅を持ったフィルタを構成することができる共振子となる。
また、薄膜バルク音響波共振子の音響的な共振特性は共振部を構成する材料,膜厚によって決定されるため、上部電極15の材料,膜厚は音響的な共振特性を最適化するよう精密に設計しなければならない。このため、電極としての抵抗を減少させるために、上部電極15の厚みを大きくすることは困難である。これに対して、接続電極17により上部電極15の実効厚みを増すことができるので電極としての抵抗を減少させることができ、Q値の高い共振子を得ることができる。接続電極17の材料,膜厚は、上部電極15,接続パッド20との電気的接続の観点から自由に設定できる。例えば、Auなどの高導電率の金属材料を使用することにより、接続電極17の電気抵抗による損失を低減し、Q値の高い共振子を実現することができるようになる。
しかしながら、接続電極17と上部電極15との接続部は、共振子を外部回路に電気的な抵抗の少ない状態で接続させる一方で、その面積が大きくなりすぎると、共振部として機能する部位が減少するので所望のインピーダンスを得るために大きな共振子の面積を必要として共振子が大型化してしまったり、共振子の周波数差を小さくしたりするという欠点を有する恐れがある。これを防ぐため、接続電極17と上部電極15との接続部は、良好な電気的接続を保つ範囲でその面積を極小化することが望ましい。具体的には、接続部の面積は、特性を最適化するため、共振部の面積の10%以下とすることが望ましい。
ここで、接続パッド20は、導電性の材料を用いて形成することができるが、下部電極13と同一材料,同一工程にて形成すれば生産性が高くなり好ましい。
また、絶縁層16は、接続電極17と下部電極13との絶縁を確保するものであれば特にその材料は限定されないが、絶縁層16の上下に位置する各層との密着性が高く、接続電極17と下部電極13との間に生じる寄生容量が少ないものとするために、絶縁層16の上下に位置する層(図1に示す例では下部電極13,圧電体薄膜14,接続電極17,接続パッド20)や基板11と熱膨張係数の近い材料で低誘電率の材料が望ましい。そのような材料としては、例えばSiOなどの無機材料や、BCB(Benzocyclobutene)やポリイミドなどの層間絶縁膜として一般に用いられる各種樹脂材料が使用できる。特に絶縁層16としてBCBやポリイミドをスピンコートした後加熱により硬化処理して形成すれば、低誘電率でステップカバレッジが良好であり、かつ表面が平坦となる絶縁層16を数μmの厚みに容易に形成することができるので好ましい。また、絶縁層16の厚みは、特に限定されないが、接続電極17と、接続電極17が上部電極15と接続パッド20とを電気的に接続する経路の下に位置する電極(例えば下部電極13)との間の寄生容量を抑制するという観点から、1μm以上とすればよい。
絶縁層16は、前述の通り、平面視で、上部電極15と接続パッド20との間に位置する、少なくとも下部電極13の露出部分を覆うように形成することが好ましいが、圧電体薄膜14の露出部分が少ない場合には、フォトリソグラフィ技術の精度の限界もあるため、一部共振部を形成する上部電極15上に形成されていてもよい。この場合には、共振子の共振特性に影響を及ぼさないためにも、共振部の面積の1%程度を覆う程度とする。また、図1に示すように、外部回路からの電気的な接続が可能となるように、端子電極としての下部電極13の一部,接続パッド20の一部および上部電極15の少なくとも一部に開口部24を有する絶縁層16を、基板11上の全面に設けてもよい。このような構成とすることにより、薄膜バルク音響波共振子を異物の付着や水分の吸着等による電極成分の劣化を防ぐことができるので好ましい。
さらに、絶縁層16の材料として、音響インピーダンスが非常に小さい材料、例えば、多孔質樹脂や発泡性樹脂などを使用した場合には、共振部上に絶縁層16を設けても音響波の漏れは無視できるため、共振子の共振特性に影響はないので望ましい。この場合には、図2に示すように、接続電極17と上部電極15とを電気的に接続するための開口部24を残し、それ以外の共振部上を覆うように絶縁層16を設けることが好ましい。このような構成とすることにより、共振子を外部からの衝撃から機械的に保護するとともに、共振部上に異物が付着したり水分等が吸着したりすることによる共振周波数の変化を防止することができるので、信頼性が高く、共振特性の優れた共振子となるからである。
接続電極17は、薄膜プロセスで形成できる金属材料を用いればよいが、特にAu,Al,Cuなどの高導電率の材料が好ましい。
また、接続電極17は、電気抵抗を小さくするという観点から、平面視で、電流が流れる方向に垂直な方向の幅を大きくすることが望ましい。すなわち、図1や図2に示すように、共振部の幅とほぼ同じ程度とすることが望ましい。また、接続電極17の断面積が大きいほど電気抵抗が小さくなるため、膜厚は大きいほど望ましいが、薄膜プロセスとの整合性、内部応力の抑制などの観点から、10μm以下とすることが現実的である。
このような接続電極17は、蒸着法やスパッタリング法,CVD法などの薄膜プロセスで形成することができるが、その他にも、メッキ法などによっても形成することができる。メッキ法は、膜厚の大きな薄膜を、低応力で高速に成膜できるため、本発明の薄膜バルク音響波共振子には特に望ましい。
また、図3(a)〜(c)に示すように、上部電極15と接続電極17との間に、中間電極18を介在させてもよい。図3(a)〜(c)は、それぞれ本発明の薄膜バルク音響波共振子の実施の形態の他の例を示す模式的な平面図,C−C’線断面図およびその変形例を示す模式的な平面図である。上述の接続電極17と同様に、上部電極15の上部に中間電極18が形成された部位は、設計した共振特性とは異なる共振特性となる。
中間電極18は、各種金属材料を用いることができるが、特に導電率の高いAu,Cu,Alなどの金属材料が好適である。
また、中間電極18の厚さはプロセス上可能な限りの厚みとすることができる。このような中間電極18は上部電極15の有効な厚みを増す効果があるので、上部電極15の実質的な電気抵抗を低減することができ、共振子の音響的な特性を劣化させること無く、共振子のQ値を向上させることができ、低損失なものとすることができる。
また、中間電極18は、電気抵抗を小さくするという観点から、平面視で、電流が流れる方向に垂直な方向の幅を大きくすることが望ましい。すなわち、図3(a)に示すように、上部電極15の幅とほぼ同じ程度とすることが望ましい。また、中間電極18の断面積が大きいほど電気抵抗が小さくなるため、膜厚は大きいほど望ましいが、薄膜プロセスとの整合性、応力などの観点から、10μm以下が現実的である。
しかしながら、中間電極18と上部電極15との接続部は、共振子を外部回路に電気的な抵抗の少ない状態で接続させる一方で、その面積が大ききなりすぎると、共振部として機能する部位が減少するので所望のインピーダンスを得るために大きな共振子の面積を必要としてまし共振子が大型化してしまったり、共振子の周波数差を小さくしたりするという欠点を有する恐れがある。これを防ぐために、中間電極18と上部電極15との接続部は、良好な電気的接続を保つ範囲でその面積を極小化することが望ましい。具体的には、中間電極18と上部電極15との接続部の面積は、共振子としての特性を最適化するため、共振部の面積の10%以下が望ましい。
さらに、中間電極18は上部電極15と接続電極17とを確実に電気的に接続させる機能も有する。例えば、図2(b)に示すように上部電極15上に形成された絶縁層16の開口部24において接続電極17と上部電極15とを電気的に接続するときには、絶縁層16の厚さ,開口部24の幅および接続電極17の成膜条件等によっては、接続電極17が開口部24における絶縁層16の厚み分の段差を良好に埋めて形成することができずに上部電極15と接続できなかったり、極端に接続面積が少なくなったりする。このような不具合を防止するために、中間電極18により開口部24における段差を緩和するとともに、導電性の高い材料からなる中間電極18を取り出し電極として用いることより、電気抵抗が低い状態で確実に上部電極と接続電極とを電気的に接続することができるので、信頼性の高いものとなる。さらに、このような中間電極18を設けることで、上部電極15上における接続電極17の形成面積を少なくすることができる。
また、接続電極17や中間電極18の外形を形成する少なくとも1つの辺が、上部電極15の外形を形成する各辺と非平行であるときには、共振部の厚み方向以外の方向に伝播する音響波が接続電極17や中間電極18の端部で反射され、共振部の端面間で定在波を形成して発生する不要振動(スプリアス)を防ぐことができるので、よりノイズの少ない高性能の共振子を提供することができる。このような特性を得るためには、例えば、図3(c)に示すように、矩形状の中間電極18を矩形状の上部電極15の対角線上に配置したり、中間電極18を平面視で多角形状もしくは曲線状としてもよい。
次に本発明の薄膜バルク音響波共振子の作製方法について、図1に示す薄膜バルク音響波共振子を例に取り説明する。図4(a)〜(e)は、それぞれ図1に示す薄膜バルク音響波共振子の製造方法の一例を示す各工程を示す断面図である。
まず、図4(a)に示すように、基板11上に下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15を積層する。下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15は、例えば、スパッタリング法により形成する。
次に、図4(b)に示すように、上部電極15,圧電体薄膜14,下部電極13の順にパターニングを行なう。具体的には、上部電極15上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってフォトレジストパターンを形成しエッチングすることにより上部電極15を所望の形状にパターニングし、フォトレジストを剥離し、洗浄する。次に、この上に同様にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターンを形成した後、エッチングにより圧電体薄膜14のパターンを形成する。次に、この上に同様にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターンを形成した後、エッチングを行って下部電極13のパターンを形成すればよい。
ここで、本発明の薄膜バルク音響波共振子は、上部電極15の外形が下部電極13の外形の内側に配置されていることから、下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15を連続的に積層した後に各層をパターニングするという方法で作製することができる。このため、下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15をそれぞれ形成する都度パターニングする場合に比べて、CVD装置やスパッタリング装置等における下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15のそれぞれを形成するための装置の真空引き,加熱,試料のロード,冷却,取り出しなどに要していた工程を2回分削減して1回にすることができるので、タクト時間を大幅に短縮することができる。さらに、下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15を真空装置内で連続的に積層するため、各層間に異物が付着したり、キズ等の欠陥が発生することがなくなり、信頼性の高い共振子を提供することができる。特に、ショート不良の原因となる圧電体膜14中の異物,欠陥を大幅に減らすことができるため、歩留まりが高く信頼性の高い共振子を提供することができる。
なお、この例では、上部電極15の外部回路へ接続するための接続パッド20を下部電極13と同じ材料で同じ工程で形成し、下部電極13のパターニングを行なうときに同時に形成している。
次に、図4(c)に示すように、上部電極15,接続パッド20,共振部から延びて形成された下部電極13それぞれの少なくとも一部に開口部24を設けるように絶縁層16を形成する。絶縁層16は、例えば、感光性のBCB樹脂をスピンコートで塗布し、パターニング後、240℃で加熱して形成すればよい。
次に、図4(d)に示すように、接続電極17を、上部電極15,接続パッド20上の絶縁層16の開口部24でそれぞれと電気的に接続するとともに、この開口部24間をつなぐように絶縁層16上に形成する。
最後に、図4(e)に示すように、基板11の共振部と接する部分において、共振部が形成されている面と反対側の面に通じる貫通孔21を形成して、本発明の薄膜バルク音響波共振子を得ることができる。
また、本発明のフィルタは、フィルタを構成する共振子として、以上のような本発明の薄膜バルク音響波共振子を用いたものである。
図5(a)に、本発明のフィルタの実施の形態の一例を示す平面図を、図5(b)に、その回路図をそれぞれ示す。図5(a)に示すフィルタは、図5(b)に示す通り、2段ラダー型フィルタであり、2つの直列共振子と2つの並列共振子が接続された構成となっており、各共振子を互いに接続電極17により、または下部電極13を共有することにより接続している(図では、簡単のために絶縁層16を図示していない)。このような構成とすることで、各共振子は共振部を構成する各電極13,15を平坦な面に形成しても、接続電極17によりまたは下部電極13を共有することにより外部回路との間や共振子間を接続することができるので信頼性の高いものとなる。従って、本発明のフィルタは、信頼性が高く、かつ小型、高性能のフィルタとなる。
このように、本発明の薄膜バルク音響波共振子によれば、従来品よりも低損失で信頼性が高く、しかも安価な共振子を提供することができるため、これを用いてフィルタを構成することにより、従来よりも挿入損失等の特性がよく、信頼性が高く、しかも安価なフィルタを提供することができるようになる。本発明の薄膜バルク音響波共振子を用いて本発明のフィルタを構成したものとしては、図5で示した共振子を電気的に結合させたラダー型フィルタやラティス型フィルタの他に、共振子を音響的に結合させたスタックト・クリスタル(Stacked Crystal)型フィルタやカップルド・レゾネータ(Coupled Resonator)フィルタ等が挙げられる。
これらのフィルタは、基板上に複数の薄膜バルク音響波共振子を配置、接続して構成されるため、薄膜バルク音響波共振子の大きさや、配置の稠密さにより、全体のサイズが決定される。本発明の薄膜バルク音響波共振子は、接続電極17により、複数の薄膜バルク音響波共振子同士を自由に接続することができると同時に、接続電極17の形状および共振部に対する配置を適宜設定することにより不要振動を抑制することができるので、従来必要であった不要振動を抑制するための構造、例えば、共振部の外形を非平行多角形としたり、共振部端部に振動吸収部を設けたりする必要がなくなるため、従来に比べより稠密に配置することができる。従って、本発明によれば、従来よりも小型のフィルタを提供することができる。
さらに、本発明の通信装置は、本発明のフィルタを有する受信回路および本発明のフィルタを有する送信回路の少なくとも一方を備えたものである。
図6に本発明の通信装置の実施の形態の一例を示すブロック図を示す。図6は携帯電話の高周波回路のブロック回路図を示すものである。送信される高周波信号は、フィルタ210によりその不要信号が除去され、パワーアンプ220で増幅された後、アイソレータ230と弾性表面波分波器150を通り、アンテナ140から放射される。また、アンテナ140で受信された高周波信号は、弾性表面波分波器150を通りローノイズアンプ160で増幅されフィルタ170でその不要信号を除去された後、アンプ180で再増幅されミキサ190で低周波信号に変換される。
このように、信頼性が高く、高性能で小型な本発明のフィルタをフィルタ手段として用いることより、回路中での損失が小さくなり、不要波の除去性能が高くなり、より感度が良く、信頼性が高い通信装置を低価格で提供することができる。
なお、本発明の薄膜バルク音響波共振子における共振部,基板11,その他材料や構造,プロセス等については以上の例に特に限定されるものではなく、さらに、共振部と外部接続のための端子部とを接続する配線および電極の取り回しや、複数の共振部を接続してフィルタとする構成や構造についても特に限定されるものではない。
例えば、フィルタの例としてフィルタを構成する全ての共振子を薄膜バルク音響波共振子とした例を示したが、フィルタを構成する共振子の少なくとも1つを本発明の薄膜バルク音響波共振子としたものでもよい。
(実施例1)
図1に示す本発明の薄膜バルク音響波共振子を、図4に示す工程に従って作製した。ここでは2GHzで共振する薄膜バルク音響波共振子を作製した。
まず、図4(a)に示すように、Siからなる基板11上に、下部電極13としてMoを200nmの厚さで、圧電体薄膜14としてZnOを900nmの厚さで、上部電極15としてMoを200nmの厚さで、それぞれスパッタリング法により順次積層して成膜した。次に、図4(b)に示すように、上部電極15,圧電体薄膜14,下部電極13の順に、フォトリソグラフィ技術とウエットエッチング法とによりパターニングを行なった。具体的には、上部電極15上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィによってフォトレジストパターンを形成した後、フッ硝酸によるウエットエッチングを行って上部電極15のパターンを形成した。次に、この上に同様にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターンを形成した後、希塩酸によるウエットエッチングにより圧電体薄膜14のパターンを形成した。次に、この上に同様にフォトレジストを塗布し、フォトレジストパターンを形成した後、フッ硝酸によるウエットエッチングを行って下部電極13のパターンを形成した。上部電極15の平面形状の面積は200×200μm,圧電体薄膜14の平面形状の面積は250×250μm,下部電極13の平面形状の面積は300×300μmとして、下部電極13の外形の内側に圧電体薄膜14を配置し、圧電体薄膜14の外形の内側に上部電極15を配置した。また、下部電極13と同一材料,同一工程にて下部電極13と分離した接続パッド20を形成した。
次に、図4(c)に示すように、絶縁層16としてSiOをCVD法にて2μm成膜し、フォトレジストを塗布・加工後に、フッ硝酸によりによりパターニングを行った。
次に、図4(d)に示すように、接続電極17としてAuをスパッタリング法により300nmの厚さで成膜し、フォトレジストを塗布・加工後に、ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液によりパターニングを行った。最後に、図4(e)に示すように、基板11の裏面から異方性エッチングによりSi基板11をエッチングし、共振部と基板11とを音響的にアイソレートする貫通孔21を形成して、本発明の共振子を作製した。
このようにして作製した図1に示す本発明の薄膜バルク音響波共振子について、その共振特性をインピーダンスアナライザにて測定したところ、共振周波数が2GHzであり、Q値が1200の良好な特性を得た。
(実施例2)
図3(b),(c)に示す、2GHzで共振する本発明の薄膜バルク音響波共振子を作製した例について説明する。
実施例1と同様にSi基板11上に下部電極13,圧電体薄膜14,上部電極15を形成した後、Alから成る中間電極18を100nmの厚さで、スパッタリング法により形成した。次に、フォトレジストを塗布・加工後に、フッ硝酸により中間層18をパターニングした後、実施例1と同様に上部電極15,圧電体薄膜14,下部電極13のパターニングを行った。なお、中間電極18は、図3(c)に示すように、上部電極15の対角線上に平面形状の面積が30×150μmとなるような長方形状とした。
次に実施例1と同様に絶縁層16,接続電極17,貫通孔21を順次形成して、図3(b),(c)に示す本発明の薄膜バルク音響波共振子を作製した。
このようにして作製した図3(b),(c)に示す本発明の薄膜バルク音響波共振子について、その共振特性をインピーダンスアナライザにて測定したところ、共振周波数が2GHzであり、Q値が1200の良好な特性を得た。また、実施例1の薄膜バルク音響波共振子で発生していた小さなスプリアスのピークが無くなり、ノイズの少ないものとなった。これは、これは、実施例2における中間電極18が、共振部の厚み方向以外の方向に伝播する音響波を反射したためと推察される。
(a),(b)はそれぞれ本発明の薄膜バルク音響波共振子の実施の形態の一例を示す平面図およびA−A’線断面図である。 (a),(b)はそれぞれ図1に示す本発明の薄膜バルク音響波共振子の変形例を示す平面図およびB−B’線断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の薄膜バルク音響波共振子の実施の形態の他の例を示す平面図およびC−C’線断面図およびその変形例を示す模式的な平面図である。 (a)〜(e)はそれぞれ、図1に示す薄膜バルク音響波共振子の製造方法の各工程を示す断面図である。 (a),(b)はそれぞれ本発明のフィルタの実施の形態の一例を示す平面図および回路図である。 本発明の通信装置の実施の形態の一例を示すブロック回路図である。 従来の薄膜バルク音響波共振子の一例を示す断面図である。
符号の説明
11・・・基板
13・・・下部電極
14・・・圧電体薄膜
15・・・上部電極
16・・・絶縁層
17・・・接続電極
18・・・中間電極

Claims (5)

  1. 基板と、該基板上に配置され、圧電体薄膜および該圧電体薄膜に上下から電圧を印加するための上部電極および下部電極からなる共振部とを具備する薄膜バルク音響波共振子において、前記上部電極は、その外形が平面視で前記下部電極の外形の内側に位置していることを特徴とする薄膜バルク音響波共振子。
  2. 前記共振部の外側に設けられた外部回路との接続パッドと、前記上部電極と前記接続パッドとを電気的に接続する接続電極と、前記接続電極と前記下部電極との短絡を防止するために前記接続電極と前記下部電極との間に介在させた絶縁層とをさらに具備することを特徴とする請求項1記載の薄膜バルク音響波共振子。
  3. 前記上部電極と前記接続電極との間に、中間電極をさらに介在させたことを特徴とする請求項2記載の薄膜バルク音響波共振子。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の薄膜バルク音響波共振子をフィルタを構成する共振子として用いたことを特徴とするフィルタ。
  5. 請求項4記載のフィルタを有する、受信回路および送信回路の少なくとも一方を備えたことを特徴とする通信装置。
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