JP2006332195A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】放熱性を向上させることの可能な半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】第1基板21上に形成されると共に第1発光点23−1から光を出射する第1の発光素子20と、第1基板21に対向配置された第2基板31の対向面側に形成されると共に第2発光点33−1から光を出射する第2の発光素子30とを備える。この第1の発光素子と20第2の発光素子30との間には、AlN、BN、SiCまたはGaNを含んで構成された第1絶縁層41と、AlNOx、BNOx、SiO2またはGaNOxを含んで構成されると共に膜厚が0nmより大きく10nmより小さな第2絶縁層42とが形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、2波長レーザ,3波長レーザなどの複数の発光素子を備えた半導体レーザ素子に関する。
近年、半導体レーザ素子(LD;laser diode )の分野では、同一基板(または基体)上に発光波長が異なる複数の発光部を有する多波長レーザ素子の開発が活発に行われている。この多波長レーザ素子は、例えば光ディスク装置の光源として用いられる。
このような光ディスク装置では、700nm帯のレーザ光がCD(Compact Disk)の再生に用いられると共に、CD−R(CD Recordable ),CD−RW(CD Rewritable )あるいはMD(Mini Disk )などの記録可能な光ディスクの記録・再生に用いられる。また、600nm帯のレーザ光がDVD(Digital Versatile Disk)の記録・再生に用いられている。多波長レーザ素子を光ディスク装置に搭載することにより、既存の複数種類の光ディスクのいずれに関しても、記録または再生が可能となる。更に、GaN,AlGaN混晶およびGaInN混晶に代表される窒化物系III−V族化合物半導体(以下、GaN系の半導体ともいう。)を用いた短波長(400nm帯)のレーザ素子も実現され、より高密度の光ディスクの光源として実用化が図られている。この短波長レーザ素子も含めて多波長化することにより,より用途を拡げることができる。
このようなGaN系のレーザ発振部を有する3波長レーザ素子として、従来、GaN(窒化ガリウム)からなる基板の上にGaN系半導体を成長させて400nm帯(例えば、405nm)の波長の第1の発光素子を作製する一方、GaAs(ガリウムヒ素)からなる同一基板上に、AlGaIP系半導体の成長による600nm帯(例えば、650nm)の素子、およびAlGaAs系半導体の成長による700帯(例えば、780nm)の素子を並設して第2の発光素子を作製し、これら第1発光素子および第2の発光素子を支持基体(ヒートシンク)上にこの順に重ねて配設した構造のものが提案されている(特許文献1)。
特許3486900号公報
ところで、上記のような2波長あるいは3波長などの多波長レーザ素子を高温・高出力動作させるには、一般的な単波長レーザ素子よりも放熱効率を向上させることが必要となる。多波長レーザ素子は、発生したジュール熱をレーザ素子内に蓄積させ易い構造を有しているからである。
具体的には、多波長レーザ素子は、一般に、支持基体(ヒートシンク)上に重ねて配設された第1発光素子と第2の発光素子との間に絶縁層を備える。この絶縁層は、これら第1発光素子および第2の発光素子を電気的に絶縁分離するためのものであり、少なくともSiO2やTiO2などの、絶縁性に優れた酸化物により構成された層を含んでいる。
しかしながら、酸化物は放熱性が悪いため、上記したように絶縁分離用の絶縁層が第1発光素子と第2の発光素子との間に形成されていると、第2の発光素子で発生した熱を絶縁分離用の絶縁層および第1発光素子を介してヒートシンク側から放散することが困難となる。また、第1の発光素子で発生した熱を絶縁分離用の絶縁層および第2発光素子を介して外部へ放散することも困難となる。このように、放熱性の考慮されていない絶縁分離用の絶縁層を用いた場合には、半導体レーザ素子内の熱を充分に放散することが困難となり、これにより熱抵抗が上昇し、放熱性が悪くなるので、半導体レーザ素子の特性および信頼性を著しく悪化させる虞があるという問題がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、放熱性を向上させることの可能な半導体レーザ素子を提供することにある。
本発明の半導体レーザ素子は、第1基板上に形成されると共に第1発光点から光を出射する第1の発光素子と、第1基板に対向配置された第2基板の対向面側に形成されると共に第2発光点から光を出射する第2の発光素子とを備える。この第1の発光素子および第2の発光素子はそれぞれ、1または2以上の波長の光を出射することの可能な発光素子である。この第1の発光素子と第2の発光素子との間には、AlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNを含んで構成された第1絶縁層と、AlNOx、BNOx、SiO2、GaNOxまたはAlGaInNOxを含んで構成されると共に膜厚が0nmより大きく10nmより小さな第2絶縁層とが形成されている。
本発明の半導体レーザ素子では、第1絶縁層および第2絶縁層は第1の発光素子と第2の発光素子との間に形成されていることから発光素子同士を絶縁分離する機能を有する。第1絶縁層はAlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNを含んで構成されているので、従来から絶縁分離用として用いられているSiO2やZrOxなどと比べて高い熱伝導率を有する。一方、第2絶縁層はAlNOx、BNOx、SiO2、GaNOxまたはAlGaInNOxにより構成されると共に膜厚が0nmより大きく10nmより小さいので、高い絶縁性と高い放熱性とを有する。特に、表面酸化を利用した場合には、ピンホールなどの欠陥を生じさせることなく非常に薄い酸化膜を形成することが可能となるので、この表面酸化を利用して第2絶縁層を形成した場合には、第2絶縁層はより高い絶縁性とより高い放熱性を有することとなる。
本発明の半導体レーザ素子によれば、絶縁分離用の絶縁層が、高い熱伝導率を有する第1絶縁層と、高い絶縁性および高い放熱性を有する第2絶縁層とにより構成されるようにしたので、第2の発光素子内で発生した熱を第1絶縁層、第2絶縁層を介して第1の発光素子側から放散することが可能となる。このように、放熱性の考慮された絶縁分離用の絶縁層を用いることにより、放熱性を向上させることができる。
特に、表面酸化を利用して第2絶縁層を形成した場合には、第2絶縁層はより高い絶縁性とより高い放熱性を有することとなるので、放熱性をより向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子をヒートシンク11上に実装した態様を表すものである。なお、図1は模式的に表したものであり、実際の寸法,形状とは異なっている。
この半導体レーザ素子は、支持基体11上にチップ状の第1の発光素子20および第2の発光素子30をこの順に備えた2波長レーザ素子である。第2の発光素子30は、その第2発光点33−1が第1の発光素子20の第1発光点23−1と極力近づくように、逆さにして(基板側を上にして)第1の発光素子20に重ね合わされている。これは、第1の発光素子20および第2の発光素子30から発光する光が同一光路を通過し共通のレンズ系(図示せず)を適用できるようにするためである。
支持基体11は例えば銅(Cu)などの金属により構成され、第1の発光素子20において発生した熱を放散するヒートシンクの役割を有する。この支持基体11は、また、外部電源(図示せず)に対して電気的に接続されており、第1の発光素子20の電極を外部電源に対して電気的に接続する役割も有する。
(第1の発光素子20)
第1の発光素子20は、400nm前後の波長(例えば405nm)の光を出射可能な半導体レーザ素子であり、窒化物系III−V族化合物半導体により構成される。ここでいう窒化物系III−V族化合物半導体とは、短周期型周期率表における3B族元素群のうちの少なくとも1種と、短周期型周期率表における5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含むものを指す。
この第1の発光素子20は、第1基板21上に半導体層22を成長させたものである。この半導体層22内には、n型クラッド層,活性層22,電子障壁層,p型クラッド層およびp側コンタクト層が含まれる。なお、活性層22以外の層は特に図示していない。ここで、n型クラッド層が本発明の第1導電型層に対応し、電子障壁層,p型クラッド層およびp側コンタクト層が本発明の第2導電型層に対応する。
具体的には、第1基板21は、例えばn型GaNにより構成され、その積層方向における厚さ(以下、単に厚さという。)は例えば80〜100μmである。なお、GaNは約2W/(cm・K)と高い熱伝導率を有する熱伝導性に優れた材料であり、第1基板21としてn型GaNを用いた場合には、この特性を利用することにより、半導体レーザ素子内で発生した熱を放散するヒートシンクとしても機能するようになっている。第1基板21は、接着層12を介して支持基体11と電気的に接続されている。接着層12は、例えば、金(Au)と錫(Sn)との合金あるいは錫を含んで構成される。
n型クラッド層は、例えば厚さが1μmのn型AlGaNにより構成される。活性層23は、例えば厚さが30nmの、互いに組成の異なるGax In1-x N(但し、x≧0)によりそれぞれ形成された井戸層とバリア層との多重量子井戸構造を有する。電子障壁層は、例えば厚さが20nmのp型AlGaNにより構成される。p型クラッド層は、例えば厚さが0.7μmのp型AlGaNにより構成される。p側コンタクト層は、例えば厚さが0.1μmのp型GaNにより構成される。
p型クラッド層の一部およびp側コンタクト層は、図1に示したように、紙面に対し垂直方向(共振器方向)に延在してなる帯状のリッジ部22−1となっており、電流狭窄を行うようになっている。なお、活性層23のうちリッジ部22−1に対応する領域が第1発光点23−1(第1発光点)となっている。
リッジ部22−1の側面からp型クラッド層の表面までの連続した表面(以下、表面Aとする。)上には、第3絶縁層24と第4絶縁層25とがこの順に積層して設けられている。なお、表面Aと第3絶縁層24との間に何らかの層、例えば表面Aと第3絶縁層24との密着性を高めるための層などが配置されていてもよい。
これら第3絶縁層24および第4絶縁層25は、共通の母材により構成される。具体的には、第3絶縁層24は、例えば300nm程度の膜厚の、AlN(窒化アルミニウム)、BN(窒化ホウ素)、SiC(シリコンカーバイト)、GaNまたはAlGaInN(アルミガリウムインジウムチッソ)などの主材料として酸素を含有していない絶縁材料を含んで構成され、従来からリッジ部22−1の側面やp型クラッド層の表面などを覆う材料として用いられているSiO2やZrOxなどと比べて高い熱伝導率を有する。
第4絶縁層25は、その第3絶縁層24の表面を例えば水蒸気などで酸化することにより形成されており、第3絶縁層24がAlNの場合はAlNOx、第3絶縁層24がBNの場合はBNOx、第3絶縁層24がSiCの場合はSiO2、第3絶縁層24がGaNの場合はGaNOx、第3絶縁層24がAlGaInNの場合はAlGaInNOxによりそれぞれ構成される。また、第4絶縁層25は、表面酸化を利用することにより形成されていることから、蒸着法やスパッタ法などにより形成された場合よりも薄くて、しかもピンホールなどの欠陥の無い薄膜により構成される。したがって、第4絶縁層25は、薄くても高い絶縁性を有する。
なお、第4絶縁層25は、高い絶縁性を維持できる最低限度の厚さを有していればよく、例えば0nmより厚く100nmより薄い膜厚を有することが好ましく、0nmより厚く10nmより薄い膜厚を有することがより好ましい。上記したように、第4絶縁層25は酸化物により構成されているので、膜厚を薄くするにつれて放熱性を向上させることが可能となるからである。ただし、膜厚をあまりにも薄くすると、膜厚の制御が困難となるので、1nm程度の膜厚とするのが最も好ましい。
このように、第4絶縁層25の厚さを、高い絶縁性を維持できる最低限度の厚さとすることにより、絶縁性と放熱性とを両立させることが可能となる。したがって、第4絶縁層25は、高い絶縁性と高い放熱性とを兼ね備えている。
なお、第3絶縁層24および第4絶縁層25が、表面A上にこの順に積層されているのは、一般に酸化物は金属との接触性が良いことから、後述するように金属からなるp側電極26の形成される表面上に、絶縁物からなる第4絶縁層25を形成した方が、絶縁物を含まない第3絶縁層24を形成した場合と比べて、半導体層とp側電極26との接触性を向上させることができるからである。また、このような順に積層した方が、相対的に放熱性の低い第4絶縁層25を介することなく、相対的に放熱性の高い第3絶縁層24から、活性層23で発生した熱を放散させることができ、放熱効率が良いからである。
また、第3絶縁層24および第4絶縁層25は、上記したような構成を有しており、かつ、表面A上に設けられていることから、電流は第3絶縁層24および第4絶縁層25の設けられていない領域、すなわちリッジ部22−1の上面からしか活性層23へ流れ込めないようになっている。したがって、第3絶縁層24および第4絶縁層25は、電流狭窄機能を有する。
リッジ部22−1の上面、すなわち、p側コンタクト層の表面から第4絶縁層25の表面までの連続した表面上にはp側電極26が設けられており、p側コンタクト層と電気的に接続されている。一方、第1基板21の裏面にはn側電極28が設けられており、第1基板21と電気的に接続されている。
p側電極26上に配線層27が設けられており、p側電極26上と電気的に接続されている。p側電極26は、この配線層27と電気的に接続された配線(図示せず)を介して正側電源(図示せず)に接続されている。n側電極28は、配線(図示せず)と電気的に接続されており、その配線を介して負側電源(図示せず)に接続されている。ここで、p側電極26、n側電極27は、例えば厚さ15nmのTi(チタン)/厚さ50nmのPt(白金)/厚さ300nmのAu(金)をこの順に積層してなる多層構造(合計膜厚365nm)を有する。配線層27は、例えば厚さ3μmのAuにより構成される。
なお、p側電極26および配線層27において、第4絶縁層25の表面と接する層は、上記したTiの他に、Ni(ニッケル)またはPd(パラジウム)により構成されていてもよい。また、p側電極26および配線層27はそれぞれ、上述のように金属で構成されているので、p側電極26および配線層27の合計膜厚が、第4絶縁層25から放散されてきた熱を充分に放散できる程度の厚さを有することが好ましく、例えば厚さが1μm以上、3.365μm以下であることが好ましい。
また、リッジ部22−1の延在方向(軸方向)に対して垂直な面には、一対の反射鏡膜(図示せず)が形成されている。一対の反射鏡膜の一方(主出射側)は、例えば酸化アルミニウム(Al2 3 )により構成され、低反射率となるように調整されている。これに対して他方の反射鏡膜は、例えば酸化アルミニウム層と酸化チタン(TiO2 )層とを交互に積層して構成され、高反射率となるように調整されている。これにより、活性層23の発光領域において発生した光は一対の反射鏡膜の間を往復して増幅され、低反射率側の反射鏡膜からビームとして射出されるようになっている。
(第2の発光素子30)
次に、第2の発光素子30は、600nm帯(例えば、650nm)の光を出射可能な半導体レーザ素子であり、アルミニウム・ガリウム・インジウム・リン(AlGaInP)系III−V族化合物半導体により構成される。ここでいうアルミニウム・ガリウム・インジウム・リン系III−V族化合物半導体とは、短周期型周期表における3B族元素のうちの少なくともアルミニウム(Al),ガリウム(Ga)およびインジウム(In)と、短周期型周期表における5B族元素のうちの少なくともリン(P)とを含むものを指す。
この第2の発光素子30は、第2基板31上に半導体層32を成長させたものである。この半導体層32内には、n型クラッド層,活性層33,p型クラッド層およびp側コンタクト層が含まれる。なお、活性層32以外の層は特に図示していない。ここで、n型クラッド層が本発明の第1導電型層に対応し、p型クラッド層およびp側コンタクト層が本発明の第2導電型層に対応する。
具体的には、第2基板31は、例えばn型GaPにより構成され、厚さは例えば100μm程度である。
n型クラッド層は、例えば厚さが1.5μmのn型AlGaInPにより構成される。活性層33は、例えば厚さが40nmの、互いに組成の異なるAlx Gay In1-x-y P(但し、x≧0かつy≧0)によりそれぞれ形成された井戸層とバリア層との多重量子井戸構造を有する。p型クラッド層は、例えば厚さが1.5μmのp型AlGaInPにより構成される。p側コンタクト層は、例えば厚さが0.5μmのp型GaPにより構成される。p型クラッド層の一部およびp側コンタクト層は、共振器方向に延在するストライプ状のリッジ部32−1を有しており、これにより電流狭窄がなされるようになっている。なお、活性層33のうちリッジ部32−1に対応する領域が第2発光点33−1(第2発光点)となっている。
リッジ部32−1の側面からp型クラッド層の表面までの連続した表面(以下、表面Bとする。)上には、第3絶縁層34と第4絶縁層35とがこの順に積層して設けられている。なお、表面Bと第3絶縁層34との間に何らかの層、例えば表面Bと第3絶縁層34との密着性を高めるための層などが配置されていてもよい。
これら第3絶縁層34および第4絶縁層35は、上記第3絶縁層24および第4絶縁層25と同様、共通の母材により構成される。具体的には、第3絶縁層34は、例えば300nm程度の膜厚の、AlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNなどの主材料として酸素を含有していない絶縁材料を含んで構成され、従来からリッジ部32−1の側面やp型クラッド層の表面などを覆う材料として用いられているSiO2やZrOxなどと比べて高い熱伝導率を有する。
第4絶縁層35は、その第3絶縁層34の表面を例えば水蒸気などで酸化することにより形成されており、第3絶縁層34がAlNの場合はAlNOx、第3絶縁層34がBNの場合はBNOx、第3絶縁層34がSiCの場合はSiO2、第3絶縁層34がGaNの場合はGaNOx、第3絶縁層34がAlGaInNの場合はAlGaInNOxによりそれぞれ構成される。また、第4絶縁層35は、表面酸化を利用することにより形成されていることから、蒸着法やスパッタ法などにより形成された場合よりも薄くて、しかもピンホールなどの欠陥の無い薄膜により構成される。したがって、第4絶縁層35は、薄くても高い絶縁性を有する。
なお、第4絶縁層35は、高い絶縁性を維持できる最低限度の厚さを有していればよく、例えば0nmより厚く100nmより薄い膜厚を有することが好ましく、0nmより厚く10nmより薄い膜厚を有することがより好ましい。上記したように、第4絶縁層35は酸化物により構成されているので、膜厚を薄くするにつれて放熱性を向上させることが可能となるからである。ただし、膜厚をあまりにも薄くすると、膜厚の制御が困難となるので、1nm程度の膜厚とするのが最も好ましい。
このように、第4絶縁層35の厚さを、高い絶縁性を維持できる最低限度の厚さとすることにより、絶縁性と放熱性とを両立させることが可能となる。したがって、第4絶縁層35は、高い絶縁性と高い放熱性とを兼ね備えている。
なお、第3絶縁層34および第4絶縁層35が、表面A上にこの順に積層されているのは、一般に酸化物は金属との接触性が良いことから、後述するように金属からなるp側電極36の形成される表面上に、絶縁物からなる第4絶縁層35を形成した方が、絶縁物を含まない第3絶縁層34を形成した場合と比べて、半導体層とp側電極36との接触性を向上させることができるからである。また、このような順に積層した方が、相対的に放熱性の低い第4絶縁層35を介することなく、相対的に放熱性の高い第3絶縁層34から、活性層33で発生した熱を放散させることができ、放熱効率が良いからである。
また、第3絶縁層34および第4絶縁層35は、上記したような構成を有しており、かつ、表面B上に設けられていることから、電流は第3絶縁層34および第4絶縁層35の設けられていない領域、すなわちリッジ部32−1の上面からしか活性層33へ流れ込めないようになっている。したがって、第3絶縁層34および第4絶縁層35は、電流狭窄機能を有する。
リッジ部32−1の上面、すなわち、p側コンタクト層の表面から第4絶縁層35の表面までの連続した表面上にはp側電極36が設けられており、p側コンタクト層と電気的に接続されている。一方、第2基板31の裏面にはn側電極38が設けられており、第2基板31と電気的に接続されている。
p側電極36上に配線層37が設けられており、p側電極36上と電気的に接続されている。p側電極36は、この配線層37と電気的に接続された配線(図示せず)を介して正側電源(図示せず)に接続されている。n側電極38は、配線(図示せず)と電気的に接続されており、その配線を介して負側電源(図示せず)に接続されている。ここで、p側電極36、n側電極37は、例えば厚さ15nmのTi/厚さ50nmのPt/厚さ300nmのAuをこの順に積層してなる多層構造(合計膜厚365nm)を有する。配線層37は、例えば厚さ8.7μmのAuにより構成される。
なお、p側電極36および配線層37において、第4絶縁層35の表面と接する層は、上記したTiの他に、NiまたはPdにより構成されていてもよい。また、p側電極36および配線層37はそれぞれ、上述のように金属で構成されているので、p側電極36および配線層37の合計膜厚が、第4絶縁層35から放散されてきた熱を充分に放散できる程度の厚さを有することが好ましく、例えば厚さが1μm以上、9.065μm以下であることが好ましい。
また、リッジ部32−1の延在方向(軸方向)に対して垂直な面には、一対の反射鏡膜(図示せず)が形成されている。一対の反射鏡膜の一方(主出射側)は、例えば酸化アルミニウム(Al2 3 )により構成され、低反射率となるように調整されている。これに対して他方の反射鏡膜は、例えば酸化アルミニウム層と非晶質珪素(アモルファスシリコン)層とを交互に積層して構成され、高反射率となるように調整されている。これにより、活性層33の発光領域において発生した光は一対の反射鏡膜の間を往復して増幅され、低反射率側の反射鏡膜からビームとして射出されるようになっている。
(絶縁分離用の絶縁層)
第2の発光素子30の表面上には、第1絶縁層41と第2絶縁層42とがこの順に積層して設けられており、これにより、第1の発光素子20と第2の発光素子30とが互いに絶縁分離されている。したがって、第1絶縁層41および第2絶縁層42は、絶縁分離機能を有する。
なお、第2の発光素子30の表面と第1絶縁層41との間に何らかの層、例えば第2の発光素子30の表面の一部である配線層37の表面と、第1絶縁層41との密着性を高めるための層(例えばTi、NiまたはPdなどを含んで構成された層)などが配置されていてもよい。
これら第1絶縁層41および第2絶縁層42は、上記第3絶縁層24および第4絶縁層25と同様、共通の母材により構成される。具体的には、第1絶縁層41は、例えば300nm程度の膜厚の、AlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNなどの主材料として酸素を含有していない絶縁材料を含んで構成され、SiO2やZrOxなどと比べて高い熱伝導率を有する。
第2絶縁層42は、その第1絶縁層41の表面を例えば水蒸気などで酸化することにより形成されており、第1絶縁層41がAlNの場合はAlNOx、第1絶縁層41がBNの場合はBNOx、第1絶縁層41がSiCの場合はSiO2、第1絶縁層41がGaNの場合はGaNOx、第1絶縁層41がAlGaInNの場合はAlGaInNOxによりそれぞれ構成される。また、第2絶縁層42は、表面酸化を利用することにより形成されていることから、蒸着法やスパッタ法などにより形成された場合よりも薄くて、しかもピンホールなどの欠陥の無い薄膜により構成される。したがって、第2絶縁層42は、薄くても高い絶縁性を有する。
なお、第1絶縁層41および第2絶縁層42は、放熱性を確保することができる程度の厚さを有していればよく、500nm以下の膜厚を有することが好ましく、300nm以下の膜厚を有することがより好ましい。第2絶縁層42は、高い絶縁性を維持できる最低限度の厚さを有していればよく、例えば0nmより厚く100nmより薄い膜厚を有することが好ましく、0nmより厚く10nmより薄い膜厚を有することがより好ましい。上記したように、第2絶縁層42は酸化物により構成されているので、膜厚を薄くするにつれて放熱性を向上させることが可能となるからである。ただし、膜厚をあまりにも薄くすると、膜厚の制御が困難となるので、1nm程度の膜厚とするのが最も好ましい。
このように、第2絶縁層42の厚さを、高い絶縁性を維持できる最低限度の厚さとすることにより、絶縁性と放熱性とを両立させることが可能となる。したがって、第2絶縁層42は、高い絶縁性と高い放熱性とを兼ね備えている。
なお、第1絶縁層41および第2絶縁層42が、第2の発光素子30の表面上にこの順に積層されているのは、一般に酸化物は金属との接触性が良いことから、後述するように金属からなる接着層43と接触することとなる表面上に、絶縁物からなる第2絶縁層42を形成した方が、絶縁物を含まない第1絶縁層41を形成した場合と比べて、第2の発光素子30と接着層43との接触性を向上させることができるからである。また、このような順に積層した方が、相対的に放熱性の低い第2絶縁層42を介することなく、相対的に放熱性の高い第1絶縁層41から、第2の発光素子30で発生した熱を放散させることができ、放熱効率が良いからである。
ただし、第2の発光素子30の表面上に第1絶縁層41および第2絶縁層42をこの順に積層したとしても、第2絶縁層42の厚さが非常に薄いことから、第2の発光素子30で発生した熱を第1絶縁層41および第2絶縁層42を介して第1の発光素子20側へ容易に放散することができ、逆に、第1の発光素子20で発生した熱を第1絶縁層41および第2絶縁層42を介して第2の発光素子30側へ容易に放散することもできる。
第2の発光素子30は、第1の発光素子20の表面に設けられた接着層43上に、逆さにして(基板側を上にして)固着されている。
ここで、接着層43は、例えば、金(Au)と錫(Sn)との合金あるいは錫を含んで構成される。なお、第2絶縁層42と接着層43との間や、配線層27と接着層43との間に何らかの層、例えば双方の層の密着性を高めるための層(例えばTi、NiまたはPdなどを含んで構成された層)などがそれぞれ配置されていてもよい。ここで、第2絶縁層42と接着層43との間に設けられた層は、本発明の「金属層」に相当する。
ところで、第1の発光素子20の第1発光点23−1と、第2の発光素子30の第2発光点33−1との距離Hには、半導体レーザ素子に用いられる光学系に応じた上限がある。例えば1つの対物レンズを用いて現実的なレーザ光利用効率が得られるようにするには、その上限をおよそ15μmとすることが必要となる。このとき、第1発光点23−1からリッジ部22−1の上面までの最低距離は0.5μm、接着層27の最低層厚は0.3μm、第1絶縁膜41および第2絶縁膜42を合わせた膜の合計最低膜厚は0.2μm、第2発光点33−1からリッジ部32−1の上面までの最低距離は1μmであることから、p側電極26、配線層27、p側電極36および配線層37を合わせた層の合計最低膜厚は11.7μmとなる。なお、第2の発光素子30は、600nm帯の光を出射可能な半導体レーザ素子であり、400nm前後の波長の光を出射可能な第1の発光素子20よりも放熱性が悪いことから、p側電極36および配線層37を合わせた層(第2の発光素子側の電極層)の合計最低膜厚が、p側電極26および配線層27を合わせた層(第1の発光素子側の電極層)の合計最低膜厚よりも厚い方が好ましく、例えばp側電極26および配線層27を合わせた層の合計最低膜厚が3μm、p側電極36および配線層37を合わせた層の合計最低膜厚が8.7μmであることが好ましい。
このような構成を有する半導体レーザ素子は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、半導体レーザ素子の構成要素の1つである第1の発光素子20を製造するためには、第1基板21上の半導体層を、例えば、MOCVD法により形成する。この際、窒化物半導体の原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMIn)、アンモニア (NH3)を用いる。
具体的には、まず、第1基板21上に、n側コンタクト層,n型クラッド層,活性層23,p型クラッド層およびp型コンタクト層をこの順に積層して半導体層22を形成する。
次に、p側コンタクト層およびp型クラッド層を例えばドライエッチング法により細い帯状の凸部となるようにパターンニングし、リッジ部22−1を形成する。
次に、図2(A)に示したように、リッジ部22−1の上面、および表面A上に、AlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNなどの主材料として酸素を含有していない絶縁材料24A、例えばAlNを蒸着またはスパッタリングにより形成したのち、図2(B)に示したように、その表面を例えば水蒸気などに曝すことにより酸化させる。これにより、絶縁材料24Aの表面に酸化物24B、例えばAlNOxが形成される。その後、図2(C)に示したように、絶縁材料24Aおよび酸化物24Bのうちリッジ部22−1の上面に対応する領域をエッチングにより除去する。これにより、表面A上に、絶縁材料24Aからなる第3絶縁層24と、酸化物24Bからなる第4絶縁層25がこの順に積層して形成される。なお、図2(A)〜(C)は、リッジ部22−1およびその周辺領域の断面構成を表すものである。
次に、p側コンタクト層の表面から第4絶縁層25の表面までの連続した表面上にp側電極26および配線層27をこの順に積層して形成する。また、第1基板21の裏面にn側電極28を形成する。このようにして、第1の発光素子20が製造される。
なお、半導体レーザ素子の構成要素の1つである第2の発光素子30は、上記第1の発光素子20と同様の手法により製造されることから、第2の発光素子30の製造方法の記載を省略する。
次に、図3(A)に示したように、第2の発光素子30の表面上に、AlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNなどの主材料として酸素を含有していない絶縁材料41A、例えばAlNを蒸着またはスパッタリングにより形成したのち、図3(B)に示したように、その表面を例えば水蒸気などに曝すことにより酸化させ、酸化物41Bの皮膜を形成する。これにより、第2の発光素子30の表面上に、絶縁材料41Aからなる第1絶縁層41と、酸化物41Bからなる第2絶縁層42がこの順に積層して形成される。なお、図3(A)〜(B)は、第2の発光素子30の断面構成を表すものである。
このようにして得られた、表面に第1絶縁層41および第2絶縁層42を有する第2の発光素子30を接着層43によって第1の発光素子20上に固着させる。このようにして、本実施の形態の半導体レーザ素子が製造される。
その後、半導体レーザ素子接着層12によってヒートシンク11上に固着させる。
このようにしてヒートシンク11上に実装された半導体レーザ素子では、p側電極26とn側電極28との間に所定の電圧が印加されると、活性層23に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、第1の発光素子20の第1発光点23−1から400nm前後の波長(例えば405nm)のレーザ光が出射される。また、p側電極36とn側電極38との間に所定の電圧が印加されると、活性層33に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、第2の発光素子30の第2発光点33−1から600nm帯(例えば、650nm)のレーザ光が出射される。このように、第1の発光素子20と第2の発光素子30とは互いに異なる波長のレーザ光を独立に出射することができる。
このとき、半導体レーザ素子内では、高電流密度によるジュール熱が発生している。第1の発光素子20内で発生した熱は、ヒートシンク11側へ放散されると共に、リッジ部22−1、第1絶縁層41および第2絶縁層42を介して第2の発光素子30側へ放散される。一方、第2の発光素子30内で発生した熱は、第2基板31側へ放散されると共に、リッジ部32−1、第1絶縁層41および第2絶縁層42を介して第1の発光素子20側へ放散される。また、本実施の形態では、熱電導性の良い配線層27や配線層37の厚さが厚く、放熱面積が大きいので、これら配線層27,37からもジュール熱が放散される。
このように、本実施の形態の半導体レーザ素子によれば、放熱性の考慮された絶縁分離用の絶縁層(第1絶縁層41および第2絶縁層42)を備えるようにしたので、半導体レーザ素子内の熱を充分に放散することができ、これにより熱抵抗が低下し、放熱性が良くなり、その結果、放熱性を向上させることができる。したがって、半導体レーザ素子の特性および信頼性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、上記したように、放熱性を高めた配線層27および配線層37を放熱性の考慮された絶縁分離用の絶縁層と合わせて利用するようにしたので、放熱性をより向上させることができる。これにより、半導体レーザ素子の特性および信頼性をより向上させることができる。
また、本実施の形態では、第1の発光素子20の表面A上に放熱性の考慮された第3の絶縁層24および第4の絶縁層25を、第2の発光素子30の表面B上に放熱性の考慮された第3の絶縁層34および第4の絶縁層35をそれぞれ備えるようにしたので、第2の発光素子30で発生した熱は、第1絶縁層41、第2絶縁層42、第3の絶縁層24および第4の絶縁層25を介して第1基板21や指示基体11から外部へ放散される。一方、第1の発光素子20で発生した熱は、第1絶縁層41、第2絶縁層42、第3の絶縁層34および第4の絶縁層35を介して外部へ放散される。
このように、本実施の形態の半導体レーザ素子によれば、放熱性の考慮された電流狭窄用の絶縁層(第3の絶縁層34、第4の絶縁層35、第1絶縁層41および第2絶縁層42)をさらに備えるようにしたので、半導体レーザ素子内の熱をより充分に放散することができ、これにより熱抵抗がより低下し、放熱性がより良くなり、その結果、放熱性をより向上させることができる。したがって、半導体レーザ素子の特性および信頼性をより向上させることができる。
〔第2の実施の形態〕
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザ素子2をヒートシンク11上に実装した態様を表すものである。なお、図4は模式的に表したものであり、実際の寸法,形状とは異なっている。
この半導体レーザ素子は、上記第1の実施の形態と同様に、第1の発光素子20と第2の発光素子30とを備えている。ただし、ここでの第2の発光素子30は、CD用の700nm帯のレーザ光を出射することの可能な第1素子30Aと、DVD用の600nm帯(例えば、650nm)のレーザ光を出射することの可能な第2素子30Bとにより構成される。したがって、この半導体レーザ素子は3波長レーザ素子としての機能を有する点で、上記第1の実施の形態と相違する。そこで、以下、上記第1の実施の形態との相違点を主に説明し、上記第1の実施の形態と同様の構成・作用・効果については適宜省略する。なお、第2素子30Bは、上記実施の形態における第2素子30と同様の構成を有することから、以下では、第1素子30Aについて詳述する。
第1素子30Aは、700帯(例えば、780nm)の光を出射可能な半導体レーザ素子であり、ガリウム・ヒ素(GaAs)系III−V族化合物半導体により構成される。ここでいうガリウム・ヒ素系III−V族化合物半導体とは、短周期型周期表における3B族元素のうちの少なくともガリウム(Ga)と、短周期型周期表における5B族元素のうちの少なくともヒ素(As)とを含むものを指す。
この第2の発光素子30は、第2素子30Bと同様、第2基板31上に半導体層32Aを成長させたものである。この半導体層32内には、n型クラッド層,活性層33A,p型クラッド層およびp側コンタクト層が含まれる。なお、活性層32A以外の層は特に図示していない。ここで、n型クラッド層が本発明の第1導電型層に対応し、p型クラッド層およびp側コンタクト層が本発明の第2導電型層に対応する。
具体的には、n型クラッド層は、例えば厚さが1.5μmのn型AlGaAsにより構成される。活性層33Aは、例えば厚さが35nmの、互いに組成の異なるAlx Ga1-x As(但し、x≧0)によりそれぞれ形成された井戸層とバリア層との多重量子井戸構造を有する。p型クラッド層は、例えば厚さが1.0μmのp型AlGaAsにより構成される。p側コンタクト層は、例えば厚さが0.5μmのp型GaAsにより構成される。p型クラッド層の一部およびp側コンタクト層は、共振器方向に延在するストライプ状のリッジ部32A−1を有しており、これにより電流狭窄がなされるようになっている。なお、活性層33Aのうちリッジ部32A−1に対応する領域が第2発光点33A−1(第2発光点)となっている。
リッジ部32A−1の側面からp型クラッド層の表面までの連続した表面(以下、表面Cとする。)上には、第3絶縁層34Aと第4絶縁層35Aとがこの順に積層して設けられている。なお、表面Cと第3絶縁層34Aとの間に何らかの層、例えば表面Cと第3絶縁層34Aとの密着性を高めるための層などが配置されていてもよい。
これら第3絶縁層34Aおよび第4絶縁層35Aは、上記第3絶縁層24および第4絶縁層25と同様、共通の母材により構成される。具体的には、第3絶縁層34Aは、例えば300nm程度の膜厚の、AlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNなどの主材料として酸素を含有していない絶縁材料を含んで構成され、従来からリッジ部32A−1の側面やp型クラッド層の表面などを覆う材料として用いられているSiO2やZrOxなどと比べて高い熱伝導率を有する。
第4絶縁層35Aは、その第3絶縁層34Aの表面を例えば水蒸気などで酸化することにより形成されており、第3絶縁層34AがAlNの場合はAlNOx、第3絶縁層34AがBNの場合はBNOx、第3絶縁層34AがSiCの場合はSiO2、第3絶縁層34AがGaNの場合はGaNOx、第3絶縁層34AがAlGaInNの場合はAlGaInNOxによりそれぞれ構成される。また、第4絶縁層35Aは、表面酸化を利用することにより形成されていることから、蒸着法やスパッタ法などにより形成された場合よりも薄くて、しかもピンホールなどの欠陥の無い薄膜により構成される。したがって、第4絶縁層35Aは、薄くても高い絶縁性を有する。
なお、第4絶縁層35Aは、高い絶縁性を維持できる最低限度の厚さを有していればよく、例えば0nmより厚く100nmより薄い膜厚を有することが好ましく、0nmより厚く10nmより薄い膜厚を有することがより好ましい。上記したように、第4絶縁層35Aは酸化物により構成されているので、膜厚を薄くするにつれて放熱性を向上させることが可能となるからである。ただし、膜厚をあまりにも薄くすると、膜厚の制御が困難となるので、1nm程度の膜厚とするのが最も好ましい。
このように、第4絶縁層35Aの厚さを、高い絶縁性を維持できる最低限度の厚さとすることにより、絶縁性と放熱性とを両立させることが可能となる。したがって、第4絶縁層35は、高い絶縁性と高い放熱性とを兼ね備えている。
なお、第3絶縁層34Aおよび第4絶縁層35Aが、表面C上にこの順に積層されているのは、一般に酸化物は金属との接触性が良いことから、後述するように金属からなるp側電極36Aの形成される表面上に、絶縁物からなる第4絶縁層35Aを形成した方が、絶縁物を含まない第3絶縁層34Aを形成した場合と比べて、半導体層とp側電極36との接触性を向上させることができるからである。また、このような順に積層した方が、相対的に放熱性の低い第4絶縁層35Aを介することなく、相対的に放熱性の高い第3絶縁層34Aから、活性層33Aで発生した熱を放散させることができ、放熱効率が良いからである。
また、第3絶縁層34Aおよび第4絶縁層35Aは、上記したような構成を有しており、かつ、表面C上に設けられていることから、電流は第3絶縁層34Aおよび第4絶縁層35Aの設けられていない領域、すなわちリッジ部32A−1の上面からしか活性層33Aへ流れ込めないようになっている。したがって、第3絶縁層34Aおよび第4絶縁層35Aは、電流狭窄機能を有する。
リッジ部32A−1の上面、すなわち、p側コンタクト層の表面から第4絶縁層35Aの表面までの連続した表面上にはp側電極36Aが設けられており、p側コンタクト層と電気的に接続されている。一方、第2基板31の裏面にはn側電極38が設けられており、第2基板31Aと電気的に接続されている。
p側電極36A上に配線層37Aが設けられており、p側電極36A上と電気的に接続されている。p側電極36Aは、この配線層37Aと電気的に接続された配線(図示せず)を介して正側電源(図示せず)に接続されている。n側電極38Aは、配線(図示せず)と電気的に接続されており、その配線を介して負側電源(図示せず)に接続されている。ここで、p側電極36A、n側電極37Aは、例えば厚さ15nmのTi/厚さ50nmのPt/厚さ300nmのAuをこの順に積層して構成される。配線層37Aは、例えば厚さ4.5μmのAuにより構成される。
また、p側電極36Aおよび配線層37Aにおいて、第4絶縁層35Aの表面と接する層は、上記したTiの他に、NiまたはPdにより構成されていてもよい。また、p側電極36Aおよび配線層37Aはそれぞれ、上述のように金属で構成されているので、p側電極36Aおよび配線層37Aの合計膜厚が、第4絶縁層35Aから放散されてきた熱を充分に放散できる程度の厚さを有することが好ましい。特に、第2素子30Bはインジウム・リン(InP)系III−V族化合物半導体により構成されており、高温・高出力動作時にレーザ素子の特性および信頼性が著しく悪化する虞があるので、窒化物系III−V族化合物半導体により構成された第1の発光素子20のp側電極26および配線層27の合計膜厚よりも厚いことが好ましい。
なお、第1素子30Aの配線層37Aの表面と、第2素子30Bの配線層37Bの表面とが同一平面上にない場合には、接着層43の厚さを適宜調節するものとする。
このように、第2の実施の形態の半導体レーザ素子では、上記第1の実施の形態と同様、第2素子30Bの表面上に、第1絶縁層41および第2絶縁層42がこの順に積層して構成されていることから、上記第1の実施の形態と同様の効果を有する。
また、第2素子30Bのp側電極36Aおよび配線層37Aの合計膜厚が、第1の発光素子20のp側電極26および配線層27の合計膜厚よりも厚くなるようにしたので、第2素子30B内で発生した熱をp側電極36Aおよび配線層37Aからも充分に放散することができる。これにより、インジウム・リン系III−V族化合物半導体レーザの特性および信頼性をより一層向上させることができ、その結果、インジウム・リン系III−V族化合物半導体レーザを含む多波長レーザ素子の集積化、高出力化を同時に実現することができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく種々変形可能である。
例えば、上記実施の形態では、第1の発光素子20として窒化物系III−V族化合物半導体レーザ素子を、第2の発光素子30としてガリウム・ヒ素(GaAs)系III−V族化合物半導体レーザ素子、またはインジウム・リン(InP)系III−V族化合物半導体レーザ素子をそれぞれ挙げ、それらの組成および構成について具体的に例示して説明したが、本発明は、他の組成や構造を有する半導体レーザ素子についても同様に適用することができるものである。
また、上記実施の形態では、第2の発光素子30の表面上に、第1絶縁層41および第2絶縁層42がこの順に積層して構成されるようにしていたが、第1の発光素子20の表面上に、第1絶縁層41および第2絶縁層42がこの順に積層して構成されるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、電流狭窄用の絶縁層を、高い熱伝導率を有する第3絶縁層24と、高い絶縁性および高い放熱性を有する第4絶縁層25とにより構成するようにしていたが、図5に示したように、第3絶縁層24と、第4絶縁層25と、第4絶縁層25のうちリッジ部22−1と対応する領域以外の領域上に設けられた第3絶縁層51と、第3絶縁層28上に設けられた第4絶縁層52とにより構成するようにしてもよい。
ここで、これら第3絶縁層28および第4絶縁層29は、第3絶縁層24および第4絶縁層25と同様、共通の母材により構成される。具体的には、第3絶縁層28は、第3絶縁層24と同様、酸素を含有していない絶縁材料を含んで構成され、SiO2やZrOxなどと比べて高い熱伝導率を有する。一方、第4絶縁層29は、第4絶縁層25と同様、第3絶縁層28の表面を例えば水蒸気などで酸化することにより形成されている。これにより、第4絶縁層29は、第4絶縁層25と同様、膜厚が薄いにも拘わらず、高い絶縁性および高い放熱性を有する。
このような構成とすることにより、半導体レーザ素子1の容量を小さくすることができる。これにより、放熱性を向上させると共に、変調特性を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子の概略構成を表す断面図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の一部を説明するための断面図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の他の部分を説明するための断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザ素子の概略構成を表す断面図である。 図1の半導体レーザ素子の変形例の概略構成を表す断面図である。
符号の説明
11…支持基体、12,43…接着層、20…第1の発光素子、21…第1基板、22,32…半導体層、22−1,32−1,32A−1,32B−1…リッジ部、23,33,33A,33B…活性層、23−1…第1発光点、24,34,34A,34B…第3絶縁層、25,35,35A,35B…第4絶縁層、26,36,36A,36B…p側電極、27,37,37A,37B…配線層、28,38…n側電極、30A…第1素子、30B…第2素子、31…第2基板、33−1,33A−1,33B−1…第2発光点、41,51…第1絶縁層、42,52…第2絶縁層、A,B,C…表面、H…第1発光点と第2発光点との距離。

Claims (6)

  1. 第1基板上に形成されると共に第1発光点から光を出射する第1の発光素子と、
    前記第1基板に対向配置された第2基板の対向面側に形成されると共に第2発光点から光を出射する第2の発光素子と、
    AlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNを含み、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に設けられた第1絶縁層と、
    AlNOx、BNOx、SiO2、GaNOxまたはAlGaInNOxを含み、膜厚が0nmより大きく10nmより小さく、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との間に設けられた第2絶縁層と、
    を備えたことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層の表面を酸化することにより形成される
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記第2絶縁層の表面上にTi、NiまたはPdを含む金属層を備える
    ことを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記第1の発光素子および前記第2の発光素子の少なくとも一方は、
    第1導電型層,活性層および第2導電型層をこの順に積層して構成された半導体層を備えると共に、前記第2導電型層の上部にストライプ状のリッジ部を有し、
    前記リッジ部の側面から前記第2導電型層の表面までの連続した表面上に形成され、AlN、BN、SiC、GaNまたはAlGaInNを含んで構成された第3絶縁層と、前記第1絶縁層の表面を酸化することにより形成された第4絶縁層とを備える
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記第1の発光素子は、前記第1発光点と前記第2発光点との間に設けられた第1電極層を備え、
    前記第2の発光素子は、前記第1発光点と前記第2発光点との間に設けられた第2電極層を備え、
    前記第2の発光素子が前記第1の発光素子よりも長波長の光を出射可能な半導体材料により構成されると共に、前記第2電極層の層厚が前記第1電極層の層厚よりも厚い
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の合計膜厚が500nm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。
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