JP2006330604A - 積層構造体、位相差フィルム及び光学素子 - Google Patents

積層構造体、位相差フィルム及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】表面平滑性と外観が良好であり、層間剥離強度が大きく、層間剥離を起こすことなく共延伸などの後加工が可能で、且つ膜厚の調整が容易な積層構造体、該積層構造体を延伸してなる位相差フィルム、及び均質で、光学的性質に優れ、且つ耐熱性に優れた光学素子を提供する。
【解決手段】脂環式構造含有重合体からなる層(A層)とビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる層(B層)との層間に、温度220℃、荷重98Nで測定したメルトフローレートが3〜50g/10分であるABS樹脂からなる層(C層)を有することを特徴とする積層構造体、該積層構造体を延伸してなる位相差フィルム、並びに位相差フィルムを含む光学素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、積層構造体、位相差フィルム及び光学素子に関する。さらに詳しくは、本発明は、表面平滑性と外観が良好であり、層間剥離強度が大きく、層間剥離を起こすことなく共延伸などの後加工が可能で、且つ膜厚の調整が容易な積層構造体、該積層構造体を延伸してなる位相差フィルム、及び均質で、光学的性質に優れ、且つ耐熱性に優れた光学素子に関する。
液晶表示装置(LCD)の表示性能を向上させる部材として、位相差フィルムが重要な役割を果たしている。位相差フィルムには、液晶を配向させたフィルムなど様々なものが知られているが、中でも製造効率に優れることから、樹脂フィルムを延伸により配向させて得られる延伸フィルムが広く用いられてきた。
該延伸フィルムからなる位相差フィルムには、ポリカーボネート系樹脂フィルムを始めとして種々のものが利用されてきたが、その中でも、透明性に優れ、超ねじれネマティック(STN)液晶を用いたSTNモード等のLCDに対する視野角補償に効果が大きいポリスチレン系樹脂フィルムが注目されている(特許文献1)。
ところが、ポリスチレン系樹脂フィルムは機械的強度に劣るために、延伸処理を施すと容易に破断してしまい、製造効率に劣るといった欠点が指摘されていた。
この問題を解消するため、ポリスチレン系樹脂等の固有複屈折値が負の材料からなる層と、ポリノルボルネン系樹脂等の固有複屈折値が正の材料からなる層とを積層した積層フィルムを共延伸することにより位相差フィルムを得る手法が提案されている(特許文献2、3)。
ノルボルネン系樹脂とポリスチレンの積層構造体を一軸延伸すると、光学的な特性の良好な位相差フィルムが得られることが知られている。しかし、ノルボルネン系樹脂とポリスチレンは、層間剥離強度が小さく、積層構造体を一軸延伸すると、簡単に層間剥離を起こしてしまう。また、ノルボルネン系樹脂層とポリスチレン層の間に接着層を設けて層間剥離強度を高めると、得られる積層構造体の表面に細かい皺が発生して、表面平滑性が損なわれてしまう。このために、表面平滑性と外観が良好であり、層間剥離を起こすことなく延伸することが可能な積層構造体が求められていた。
積層構造体を共押出法などの方法により連続的に製造する場合、各層の膜厚を制御するため、製造された積層構造体中の各層の厚さを製造ラインにおいて測定することが必要になる。その際、簡便に測定できる赤外吸収の値により各層の厚さを即時に計測できれば、製造が容易となる等の有利な効果をもたらしうる。
積層構造体を延伸する等して得られた位相差フィルムは、通常、偏光板と共に用いられる。偏光板としては、ポリビニルアルコール(PVA)等から主になるフィルムを延伸したものが広く用いられている。偏光板と位相差フィルムは通常隣接した状態で用いられるので、偏光板と位相差フィルムとを貼り合せて光学素子を形成することが行われている。しかしながら、PVAフィルムは、LCDの使用環境下における熱により収縮しやすいため、PVAフィルム自体を位相差フィルムに直接貼付するのではなく、PVAフィルムの両面にトリアセチルセルロース(TAC)等の収縮しにくい保護フィルムを貼付した三層構造の偏光板とし、これをさらに位相差フィルムに貼付してTAC−PVA−TAC−位相差フィルムの積層構造(必要に応じて、各層間にさらに接着剤層等が介在する)を有する光学素子を構成するのが一般的である。
光学的特性を向上させるという観点からは、光学的機能を有さないTACフィルムの層は、より少ない方が好ましいため、TAC−PVAの二層構造の偏光板を位相差フィルムに貼付し、TAC−PVA−位相差フィルムの積層構造を有する光学素子を構成することが望ましい。しかしながら、従来の位相差フィルムの収縮に対する耐久性は、TACフィルムのような保護フィルムほど高くはないので、そのような構成の光学素子においては、PVAフィルムが熱により収縮すると位相差フィルムがつられて収縮してしまい、結果として光学素子の寸法が変化してしまう。そのため、TAC−PVA−位相差フィルムの積層構造を有する実用的な光学素子は得られていないのが現状である。
特開平2−256023号公報 特開2002−040258号公報 特開2004−133313号公報
本発明の目的は、表面平滑性と外観が良好であり、層間剥離強度が大きく、層間剥離を起こすことなく共延伸などの後加工が可能で、且つ膜厚の調整が容易な積層構造体及び該積層構造体を延伸してなる位相差フィルムを提供することにある。
本発明の別の目的は、均質で、光学的性質に優れ、且つ耐熱性に優れた光学素子を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ノルボルネン系樹脂などの脂環式構造含有重合体からなる層(A層)とポリスチレンなどの熱可塑性樹脂からなる層(B層)との層間に、特定の範囲のメルトフローレートを有するABS樹脂層(C層)を設けることにより、表面平滑性の良好な積層構造体が得られ、かつこの積層構造体は層間剥離強度が大きく、層間剥離を起こすことなく延伸でき、膜厚の調整が容易で、且つ保護フィルムを介さずに偏光板と直接貼合した際にも収縮や層間剥離が発生しないことを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば:
[1] 脂環式構造含有重合体からなる層(A層)とビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる層(B層)との層間に、温度220℃、荷重98Nで測定したメルトフローレートが3〜50g/10分であるABS樹脂からなる層(C層)を有することを特徴とする積層構造体;
[2] 前記B層が、ビニル芳香族系重合体及びアクリル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる層である上記[1]記載の積層構造体;
[3] 温度250℃、剪断速度180sec-1で測定したとき:前記脂環式構造含有重合体の溶融粘度(1)が、200〜4,000Pa・sであり;前記ビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる熱可塑性樹脂の溶融粘度(2)が、200〜4,000Pa・sであり;前記ABS樹脂の溶融粘度(3)が、200〜4,000Pa・sであり;かつ前記溶融粘度(1)〜(3)のうちのいずれの2つの差も500Pa・s未満である上記[1]又は[2]記載の積層構造体;
[4] A層−C層−B層の3層構造又はA層−C層−B層−C層−A層の5層構造を有する上記[1]〜[3]のいずれか1項記載の積層構造体;
[5] 共押出法により製膜されてなる上記[1]〜[4]のいずれか1項記載の積層構造体;
[6] A層とC層の間、及びC層とB層の間の層間剥離強度が、いずれも6N/25mm以上である上記[1]〜[5]のいずれか1項記載の積層構造体;
[7] 上記[1]〜[6]のいずれか1項記載の積層構造体を延伸してなることを特徴とする位相差フィルム;
[8] 上記[7]記載の位相差フィルム、及びその上に設けられた偏光フィルムを含む光学素子;及び
[9] 前記偏光フィルムが、前記位相差フィルム上に接着剤層を介して設けられたポリビニルアルコールを含む層及びその上に設けられたトリアセチルセルロースフィルムを含む、上記[8]記載の光学素子;
が提供される。
本発明の積層構造体は、表面平滑性と外観が良好であり、層間剥離強度が大きく、層間剥離を起こすことなく共延伸などの後加工が可能で、且つ膜厚の調整が容易である。本発明の位相差フィルムは、多層構造を有するが層間剥離を起こすことがなく、良好な光学特性を有している。また、本発明の光学素子は、均質で、光学的性質に優れ、且つ良好な光学特性を有している。
本発明の積層構造体は、脂環式構造含有重合体からなる層(A層)とビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる層(B層)との層間に、温度220℃、荷重98Nで測定したメルトフローレートが3〜50g/10分であるABS樹脂からなる層(C層)を有する。
本発明の積層構造体のA層に用いる脂環式構造含有重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体及び側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれをも用いることができる。脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などを挙げることができる。これらの中で、シクロアルカン構造を有する重合体は、熱安定性が良好であり、好適に用いることができる。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、4〜30個であることが好ましく、5〜20個であることがより好ましく、6〜15個であることがさらに好ましい。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合に特に制限はないが、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が50重量%未満であると、積層構造体の耐熱性が低下するおそれがある。
本発明に用いる脂環式構造含有重合体に特に制限はなく、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、これらの重合体の水素化物などを挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体及びこれらの重合体の水素化物は、耐熱性、機械的強度が良好なので、好適に用いることができる。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な単量体との開環共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な単量体との付加共重合体、これらの重合体の水素化物などを挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物は、耐熱性、機械的強度が良好であり、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン系単量体はノルボルネン環を有する化合物であり、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(別名ノルボルネン)、トリシクロ[5.2.1.02,7]デカ−3,8−ジエン(別名ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[7.4.110,13.01,9.02,7]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(別名メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン(別名テトラシクロドデセン)、これらの環に置換基を有する誘導体などを挙げることができる。置換基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基などを挙げることができ、これらの置換基は、1個又は2個以上を有することができる。このような誘導体としては、例えば、具体的には、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エンなどが挙げられる。これらのノルボルネン系単量体は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒などを挙げることができる。ノルボルネン系単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンなどを挙げることができる。ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物は、開環重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体の付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウムなどの金属の化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒などを挙げることができる。ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、これらの誘導体、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、これらの誘導体、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエンなどを挙げることができる。これらの中で、α−オレフィンを好適に用いることができ、エチレンを特に好適に用いることができる。
上記のノルボルネン系単量体と共重合可能な他の単量体は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との共重合体は、共重合体中のノルボルネン系単量体構造の割合が30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。
本発明に用いる単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの付加重合体を挙げることができる。
本発明に用いる環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−付加重合又は1,4−共役付加重合した重合体及びその水素化物を挙げることができる。
本発明に用いるノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体又は環状共役ジエン系重合体の分子量に特に制限はないが、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量が、5,000〜500,000であることが好ましく、8,000〜200,000であることがより好ましく、10,000〜100,000であることがさらに好ましい。
ビニル脂環式炭化水素重合体はビニル基と脂環構造を有する化合物の重合体であり、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族単量体の重合体の水素化物、上記の単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体、傾斜ブロック共重合体の水素化物などを挙げることができる。本発明に用いるビニル脂環式炭化水素重合体の分子量に特に制限はないが、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量が、10,000〜300,000であることが好ましく、15,000〜250,000であることがより好ましく、20,000〜200,000であることがさらに好ましい。
本発明に用いる脂環式構造含有重合体は、ガラス転移温度が80℃以上であることが好ましく、100〜250℃であることがより好ましく、120〜200℃であることがさらに好ましい。
本発明においては、温度250℃、剪断速度180sec-1で測定した脂環式構造含有重合体の溶融粘度が、200〜4,000Pa・sであることが好ましく、300〜2,000Pa・sであることがより好ましい。脂環式構造含有重合体の溶融粘度が上記範囲から外れると、共押出による積層構造体の製膜が不安定になるおそれがある。
本発明の積層構造体のB層には、ビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂が用いられる。ビニル芳香族系重合体はビニル基を有する芳香族化合物の重合体であり、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルナフタレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などを挙げることができる。アクリル系重合体はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステルの単独又は共重合体であり、例えば、メタクリル酸アルキル重合体、アクリル酸アルキル重合体、及びこれらの共重合体などを挙げることができる。本発明に用いるポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ホリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどを挙げることができる。本発明に用いるポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを挙げることができる。本発明に用いるポリカーボネートとしては、例えば、ビスフェノールAポリカーボネート、分岐ビスフェノールAポリカーボネート、o,o,o’,o’−テトラメチルビスフェノールAポリカーボネートなどを挙げることができる。
本発明においてB層を構成する熱可塑性樹脂は、ビニル芳香族系重合体及びアクリル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂であることが、LCD(特に、下述のIPSモードやSTNモードのLCD)に採用した場合の視野角補償効果が大きいため好ましい。
本発明においては、温度250℃、剪断速度180sec-1で測定したビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる熱可塑性樹脂の溶融粘度が、200〜4,000Pa・sであることが好ましく、300〜2,000Pa・sであることがより好ましい。熱可塑性樹脂の溶融粘度が上記範囲から外れると、共押出による積層構造体の製膜が不安定になるおそれがある。
本発明の積層構造体のC層には、温度220℃、荷重98Nで測定したメルトフローレート(MFR)が3〜50g/10分、好ましくは5〜30g/10分であるABS樹脂が用いられる。
本発明において、ABS樹脂とは、シアン化ビニル系単量体、共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体の三者に基づく構成単位を含む共重合体をいい、典型的にはアクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンに基づく構成単位からなる重合体である。
本発明において、ABS樹脂の温度220℃、荷重98Nで測定したメルトフローレートが上記範囲を超えると、C層が積層体の一部において薄くなったり欠落したりする不良を起こす。一方、当該メルトフローレートが上記範囲未満である場合も、C層が積層体の一部に偏る(例えば共押出法による成形を行うと、C層が端部に偏る)不良を起こす。温度220℃、荷重98Nでのメルトフローレートは、JIS K−7210に従って測定することができる。
メルトフローレートが上記範囲内であるABS樹脂は、構成単位の比率を適宜調節することにより得ることができる。各構成単位の比率は、具体的には、シアン化ビニル系単量体、共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体に基づく構成単位をそれぞれA、B、SとするとA:B:S=10〜30重量%:10〜30重量%:50〜70重量%であることが好ましい。
本発明においては、温度250℃、剪断速度180sec-1で測定したABS樹脂の溶融粘度が、200〜4,000Pa・sであることが好ましく、300〜2,000Pa・sであることがより好ましい。ABS樹脂の溶融粘度が上記範囲から外れると、共押出による積層構造体の製膜が不安定になるおそれがあるため好ましくない。
本発明に用いるABS樹脂を得る方法としては、特に限定されず、上記の構成単位を与える単量体を公知の方法で重合することにより調製できる。具体的には、ポリマーブレンド法、及びグラフト共重合法が挙げられるが、グラフト共重合法が、透明な樹脂を得ることができるため好ましい。
グラフト共重合は、具体的には乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の重合方法にて行うことができる。より具体的には例えば、乳化重合は、ポリブタジエンのラテックスにスチロール、アクリロニトリル、乳化剤、K2S2O7persulfateを加え約50℃で撹拌することにより行うことができる。反応終了後、大量の食塩水中に反応溶液を投入し析出させ、綺麗な水で洗浄し、脱水後、二軸押出機(シリンダー温度270℃)でペレット化することにより、本発明に用いる樹脂を得ることができる。
脂環式構造含有重合体の溶融粘度と、ビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる熱可塑性樹脂の溶融粘度と、ABS樹脂の溶融粘度との差がいずれも500Pa・s未満であることが好ましい。上記範囲を超えると、共押出による積層構造体の製膜が不安定になるおそれがあるため好ましくない。
本発明において、脂環式構造含有重合体;ビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートから選ばれる熱可塑性樹脂;及びABS樹脂の溶融粘度は、キャピラリーレオメーター[(株)東洋精機製作所、キャピログラフ]を用いて測定することができる。
本発明の積層構造体においては、脂環式構造含有重合体からなる層(A層)とビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる層(B層)との層間に、温度220℃、荷重98Nで測定したメルトフローレートが3〜50g/10分であるABS樹脂からなる層(C層)が、A層−C層−B層の3層構造又はA層−C層−B層−C層−A層の5層構造を形成されていることが好ましい。A層−C層−B層の3層構造又はA層−C層−B層−C層−A層の5層構造を有する積層構造体を一軸延伸又は二軸延伸することにより、STN液晶やIPS液晶の複屈折による位相差を補償し、楕円偏光を直線偏光に戻すことができる光学特性を有する位相差フィルムを得ることができる。
本発明の積層構造体の製造方法に特に制限はなく、例えば、A層とB層を別々に製膜し、C層をドライラミネーションにより積層し、積層構造体を得ることができ、あるいは、共押出により製膜して積層構造体を得ることもできる。これらの方法の中で、共押出による製膜は、層間剥離強度が大きい積層構造体が得られ、経済的に積層構造体を製造することができるので、好適に実施することができる。共押出においては、複数の押出機を用いて、A層、B層及びC層を多層ダイから押し出すことにより製膜することができる。
本発明の積層構造体は、A層とC層の間、及びC層とB層の間の層間剥離強度が6N/25mm以上であることが好ましく、10N/25mm以上であることがより好ましい。A層とC層の間、及びC層とB層の間の層間剥離強度が上記範囲未満であると、積層構造体の延伸の際に層間剥離を生ずるおそれがあるため好ましくない。
本発明の積層構造体の厚さは、得られる積層構造体の使用目的などに応じて適宜決定することができる。積層構造体の厚みは、安定した延伸処理による均質な延伸フィルムが得られる観点から、好ましくは10〜500μm、より好ましくは30〜400μmである。
本発明の積層構造体中の各層の厚さは、特に限定されないが、C層の厚みは、好ましくは3〜30μm、より好ましくは3〜10μmとすることができる。また、A層とB層の厚みの比率は、例えばA:B:Aの積層構造を有する積層体の場合、好ましくはA:B:A=1:0.5:1〜1:6:1、より好ましくはA:B:A=1:0.8:1〜1:4:1とすることができる。また、A:Bの積層構造を有する積層体の場合、A:B=1:0.25〜1:3、好ましくはA:B=1:0.4〜1:2とすることができる。A層とB層の厚みの比率が上記範囲から外れてA層の厚みの比率が小さくなると、A層によるB層の保護力が足りず、フィルムの成形時にフィルムが割れたり(成形自体ができなくなる)、積層構造体の延伸の際に、内層(B層)に亀裂が生じたり、フィルムが破断したりするおそれがあるため好ましくない。一方A層とB層の厚みの比率が上記範囲から外れてA層の厚みの比率が大きくなると、本発明の位相差フィルムの、LCDに対する視野角補償効果が小さくなるおそれがあるため好ましくない。
本発明の積層構造体においては、C層がシアン化ビニル系単量体由来の重合単位を含むので、ニトリル基に由来する波長4.40μm近傍の特徴的な赤外吸収を測定することにより、連続的に製造される積層構造体中のC層の厚さを簡便に計測することができる。またA層及びB層の厚さおよび積層構造体の総厚も、適宜波長を選択することにより、赤外吸収の測定により同時に計測することができ、簡便に膜厚の制御を行うことができる。なお積層構造体中にA〜C層のいずれかが2層以上あるとき、赤外吸収の測定による厚さの計測は、当該2層以上の層の合計を反映する。例えば、積層構造体中にC層が2層ある場合、波長4.40μmにおいて測定された赤外吸収の値は、当該2層のC層の合計の厚さを反映する。
本発明の位相差フィルムは、本発明の積層構造体を延伸して得られる位相差フィルムである。本発明の積層構造体は、層間剥離強度が大きく、表面性が良好なので、延伸しても層間剥離を起こすことがなく、表面平滑性に優れた位相差フィルムを得ることができる。延伸の態様は特に限定されず、一軸延伸、二軸延伸などとすることができる。積層構造体を一軸延伸する方法に特に制限はなく、例えば、ロール間の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸することができ、あるいは、テンターを用いて横方向に一軸延伸することもできる。一軸延伸の延伸倍率に特に制限はないが、1.1〜3倍であることが好ましく、1.2〜2.2倍であることがより好ましい。また、積層構造体を二軸延伸する方法も特に制限はなく、逐次二軸延伸、同時二軸延伸等により行うことができる。二軸延伸の延伸倍率は特に制限はないが縦横それぞれ1.1〜3倍であることが好ましく、1.2〜2.2倍であることがより好ましい。
本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置などに広く応用が可能である。液晶表示装置としては、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなどを挙げることができる。
特に、本発明の位相差フィルムを用いることにより、IPSモードやSTNモードの液晶ディスプレイにおける液晶セルの複屈折に起因する着色現象をなくし、視野角と高コントラスト域の広い液晶ディスプレイを得ることができる。
本発明の光学素子は、前記本発明の位相差フィルム、及びその上に設けられた偏光フィルムを含む。ここで位相差フィルムの上に偏光フィルムを設けるとは、位相差フィルムの上に直接、又は接着剤層等の他の層を介して偏光フィルムを設けることをいう。偏光フィルムとしては、特に限定されず公知の各種の偏光フィルムを用いることができる。また、位相差フィルムの上に設けられた偏光フィルムのさらにその上に、保護フィルム等の他の層を有していてもよい。また、本発明の光学素子は、任意にガラス基板などの基板を含むことができる。
本発明の光学素子の好適な例としては、位相差フィルムと、当該位相差フィルムの一面に接着剤層を介して設けられた、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素を含浸させた後に延伸してなる偏光フィルムと、さらにその上に保護フィルムとして設けられたトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを含み、さらに必要に応じて位相差フィルムのもう一方の面に貼付して設けられた基板を含むものを挙げることができる。これにより、保護フィルムであるTACフィルムは一層のみであるが、PVAフィルムの収縮につられての収縮を起こしにくい本発明の位相差フィルムとTACフィルムとでPVAフィルムが挟まれ、使用環境下の熱によるTACフィルムの収縮が抑制された光学素子とすることができる。本発明の光学素子の製造方法は、特に限定されないが、PVAフィルムにヨウ素を含浸させ、延伸して偏光フィルムを調製し、これをTACフィルムに貼付し、さらにこれを、偏光フィルムと位相差フィルムとが接着層を介して接するよう位相差フィルムに貼付することにより製造することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、A層〜C層の材料として下記の重合体及び樹脂を用いた。ただし、メルトフローレート(以下、「MFR」と記す)は、温度220℃、荷重98NでJIS K−7210に従い測定した値である。溶融粘度は、特にことわりのない限り、温度250℃、剪断速度180sec-1で測定した値である。
A層:
A−1:脂環式構造含有重合体(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア1020R」、溶融粘度640Pa・s)
A−2:脂環式構造含有重合体(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオネックス330R」、溶融粘度430Pa・s)
B層:
B−1:ポリスチレン(ノヴァ・ケミカル社製、商品名「Daylark D332」、溶融粘度440Pa・s)
B−2:ポリスチレン(大日本インキ社製、商品名「リューレックスA-14」、溶融粘度300Pa・s)
C層:
C−1:ABS樹脂(ダイセルポリマー株式会社製、商品名「セビアン−V T150」、溶融粘度300Pa・s、MFR27g/10分)
C−2:変性したエチレン−酢酸ビニル共重合体、三菱化学社製、商品名「モディックAP A543」、MFR1.5g/10分、溶融粘度は800Pa・s
C−3:ABS樹脂(日本エイアンドエル社製、商品名「クララスチックST600」、溶融粘度600Pa・s、MFR7g/10分)
また、実施例及び比較例において、積層構造体及び光学素子の評価は下記の方法により行った。
(1)積層構造体の層間剥離強度
JIS K−6854−2に準じて、引張速度100mm/minで180度剥離試験を行った。
(2)積層構造体の表面性
積層構造体の表面の状態を目視で観察し、「表面に皺や白化がなく、良好である。」「部分的に細かい皺又は白化が認められる。」「全面に大小の皺又は凹凸がある。」の3段階で評価した。
(3)赤外線吸収による積層構造体の厚さ測定
製造ラインにおいて、インライン赤外線膜厚計(クラボウ製、商品名RX-200)を用いて測定した。ラインスピードは5m/分とした。波長3.75、2.47及び4.40μmにおける吸収を、それぞれA〜C層に対応する吸収として記録した。併せて、積層構造体の総厚を反映する波長として、波長2.37μmにおける吸収も併せて記録した。別途、A〜C層それぞれについて、厚さ30〜200μmの標準品5点を作成し各波長での吸収を測定し検量線を求め、これに基づいてA〜C層の膜厚を計算した。さらに総厚の検量線作成のため、総厚30〜200μmの標準品5点(それぞれにおけるA〜C層の厚さの比率は、A:C:B:C:A=(1)8:1:12:1:8、(2)21:2:34:2:21、(3)32:3:50:3:32、(4)45:5:70:5:45及び(5)53:6:82:6:53とした。)を作成し波長2.37μmにおける吸収を測定し検量線を求め、これに基づいて総厚を計算した。
(4)顕微鏡での断面観察による積層構造体の厚さ測定
下記(i)〜(iii)の手順で行った:
(i) 幅方向に10mm間隔でサンプルを採取(10mm× 100mmに切断)。
(ii) 積層構造体をエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム[大和光機工業(株)、RUB-2100]を用いて0.05μm厚にスライスする。
(iii) 透過型電子顕微鏡を用いて断面を観察し、測定する。
(製造例1:偏光フィルムの調製)
厚さ75μmの長尺ポリビニルアルコールフィルム(商品名「クラレビニロン♯7500」、(株)クラレ製品)をガイドロールを介して連続搬送しつつヨウ素を0.003重量%とヨウ化カリウムを0.2重量%を配合した水溶液の染色浴(30℃)に5分間浸漬し、染色処理するとともに、3倍の延伸処理をした。その後、ホウ酸を5重量%とヨウ化カリウムを2重量%を添加した水溶液の酸性浴(60℃)中でトータル6倍となる延伸をすると同時に、架橋処理し、50℃で7分間乾燥させて偏光フィルムを得た。偏光フィルムの厚さは25μmであった。
(製造例2:偏光フィルムとTACフィルムとの積層フィルムの調製)
厚みが80μmのトリアセチルセルロースからなるフィルム(透湿度270g/cm2・24h)の一面を10%苛性ソーダ水溶液でケン化処理し、その表面に、ポリビニルアルコール重合体(クラレ社製:PVA203、けん化度86.5〜89.5%、平均重合度300)の10%水溶液を滴下した。次いで、この水溶液塗布面に、製造例1で得た偏光フィルムを貼り合せた。この上記2層の積層フィルムを、ロールラミネータに設置し、PVA水溶液が乾燥しないうちに圧着した。次いで、積層フィルムを40℃で72時間放置して各層を完全に接着させた。接着層の厚さは1μmであった。
(実施例1−1:積層構造体の調製及び評価)
A層として脂環式構造含有重合体(A−1)、B層としてポリスチレン(B−1)、及びC層としてABS樹脂(C−1)を有する、A層(50μm)−C層(10μm)−B層(50μm)−C層(10μm)−A層(50μm)の3種5層構造の積層構造体を共押出成形により製造した。各層の押出機各部における押出し温度の条件は、表1に示す通りとし、またダイス及びフィードブロック温度は250℃、キャストロール温度は110℃とした。
Figure 2006330604
共押出成形により製造された積層構造体について、赤外線吸収による積層構造体の厚さ測定を、製造ライン中において行った。A〜C層及び総厚にそれぞれ対応する波長3.75、2.47、4.40及び2.37μmにおける吸収の測定結果を、それぞれ図1〜4に示す。得られた積層構造体の表面性は、皺や白化がなく良好であると評価された。層間剥離強度は、19N/25mmであった。また、顕微鏡による断面観察でも総厚及び各層の膜厚を測定したところ、赤外線吸収による測定と同等の結果が得られたので、赤外線吸収による膜厚の測定結果が実際の膜厚を正確に反映していることが分かった。
(実施例1−2:位相差フィルム及び光学素子の調製及び評価)
実施例1−1で得られた積層構造体を、2.0倍に横延伸し、位相差フィルムとした。この位相差フィルムを、接着剤(ノガワケミカル社製、商品名UVZ−108E)を介して平坦なソーダガラス基板上に貼付した。次に位相差フィルムの面上に、空気中にて、表面に放電量100W/m2・分のコロナ放電処理を行った後、その表面に、上記と同一のポリビニルアルコール重合体の10%水溶液を滴下し、製造例2で得た積層体を、PVAフィルムと位相差フィルムが向かい合うよう貼り合せた。これをロールラミネータに設置し、PVA水溶液が乾燥しないうちに圧着した。次いで、積層フィルムを40℃で72時間放置して各層を完全に接着させ、TACフィルム−PVA偏光フィルム−位相差フィルム−ガラス基板(各層間にさらに接着層あり)の積層構造を有する光学素子を得た。接着層の厚さは1μmであった。また、偏光フィルムの寸法は長辺280mm、短辺210mmの矩形とした。
得られた光学素子をオーブン中85℃で24時間加熱し、加熱後の偏光フィルムの長辺及び短辺の長さを測定したところ、長辺280mm、短辺210mmであり変化がなかった。また、層間の剥離は全く観察されず、接着層が介在する全ての層間において剥離が生じなかったことが確認された。
(実施例2−1)
A層〜C層として(A−1)、(B−1)及び(C−1)に代えて(A−2)、(B−2)及び(C−3)を用いた他は実施例1−1と同様にして、積層構造体を製造し評価した。得られた積層構造体の層間剥離強度は15Nであり、表面性は、皺や白化がなく良好であると評価された。また、顕微鏡での断面観察による総厚及び各層の膜厚測定と、赤外線吸収による総厚及び各層の膜厚測定とで同等の結果が得られたので、赤外線吸収による膜厚の測定結果が実際の膜厚を正確に反映していることが分かった。
(実施例2−2)
実施例1−1で得られた積層構造体に代えて実施例2−1で得られた積層構造体を用いた他は実施例1−2と同様にして、光学素子を作成し評価した。加熱後の偏光フィルムの長辺及び短辺の長さを測定したところ、長辺280mm、短辺210mmであり変化がなかった。また、層間の剥離は全く観察されず、接着層が介在する全ての層間において剥離が生じなかったことが確認された。
(比較例1−1)
C層に変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(C−2)を用いた他は、実施例1−1と同様にして、積層構造体を製造し、表面性及び層間剥離強度の評価を行った。得られた積層構造体の表面性は、皺や白化がなく良好であると評価された。層間剥離強度は、0.5N/25mmであった。
(比較例1−2)
積層構造体として比較例1−1で得られたものを用いた他は実施例1−1と同様に操作し、長編280mm、短辺210mmの矩形の偏光フィルム寸法を有する光学素子を得た。得られた光学素子をオーブン中85℃で24時間加熱し、加熱後の偏光フィルムの長辺及び短辺の長さを測定したところ、長辺279mm、短辺207mmとなり、偏光フィルムが高熱環境下で収縮したことが観察された。さらに、位相差フィルムのB層とC層との間で全面的な剥離が見られた。
図1は、実施例1−1における積層構造体のA層の膜厚を赤外吸収に基づき測定した結果を示すグラフである。 図2は、実施例1−1における積層構造体のB層の膜厚を赤外吸収に基づき測定した結果を示すグラフである。 図3は、実施例1−1における積層構造体のC層の膜厚を赤外吸収に基づき測定した結果を示すグラフである。 図4は、実施例1−1における積層構造体の総厚を赤外吸収に基づき測定した結果を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 脂環式構造含有重合体からなる層(A層)とビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる層(B層)との層間に、温度220℃、荷重98Nで測定したメルトフローレートが3〜50g/10分であるABS樹脂からなる層(C層)を有することを特徴とする積層構造体。
  2. 前記B層が、ビニル芳香族系重合体及びアクリル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる層である請求項1記載の積層構造体。
  3. 温度250℃、剪断速度180sec-1で測定したとき:
    前記脂環式構造含有重合体の溶融粘度(1)が、200〜4,000Pa・sであり;
    前記ビニル芳香族系重合体、アクリル系重合体、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリカーボネートからなる群から選ばれる熱可塑性樹脂の溶融粘度(2)が、200〜4,000Pa・sであり;
    前記ABS樹脂の溶融粘度(3)が、200〜4,000Pa・sであり;かつ
    前記溶融粘度(1)〜(3)のうちのいずれの2つの差も500Pa・s未満である
    請求項1又は2記載の積層構造体。
  4. A層−C層−B層の3層構造又はA層−C層−B層−C層−A層の5層構造を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の積層構造体。
  5. 共押出法により製膜されてなる請求項1〜4のいずれか1項記載の積層構造体。
  6. A層とC層の間、及びC層とB層の間の層間剥離強度が、いずれも6N/25mm以上である請求項1〜5のいずれか1項記載の積層構造体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の積層構造体を延伸してなることを特徴とする位相差フィルム。
  8. 請求項7記載の位相差フィルム、及びその上に設けられた偏光フィルムを含む光学素子。
  9. 前記偏光フィルムが、前記位相差フィルム上に接着剤層を介して設けられたポリビニルアルコールを含む層及びその上に設けられたトリアセチルセルロースフィルムを含む、請求項8記載の光学素子。
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