JP2006328951A - 床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造 - Google Patents

床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造 Download PDF

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Abstract

【課題】遮音性能が飛躍的に向上し、天井高さを高くして快適な生活空間を提供でき、水場の自由度が高く、設備配管の更新性を実現できる、変断面コンクリート床スラブ構造。
【解決手段】梁1と繋がるスラブの端部2は構造性能上必要とされる最小の厚さとされ、当該スラブを床支持スパン方向に見ると水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せでスラブ厚さと形状が異なる変断面に構成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、主として中・低層から超高層の集合住宅の床に幅広く適用できるコンクリート床スラブ構造であって、遮音性能が飛躍的に向上し、天井高さを高くして快適な生活空間を提供でき、水場の自由度が高く、設備配管の更新性を実現できる、変断面コンクリート床スラブ構造の技術分野に属する。
従来、集合住宅のコンクリート床スラブ構造については、床の遮音性能を向上するためにスラブ厚を大きくしたり、小梁を入れるなどして床全体の重量や剛性を高めることで対応してきた。
しかし、特に超高層集合住宅になると、床スラブの重量アップの影響は非常に大きく、柱・梁断面の拡大や基礎及び支持杭の増強などを余儀なくされ、建設費が嵩む結果となっている。また、同じ階高だと天井高さを下げることになり、天井高さを高くしようとすれば、建物全体の高さを高くするか、或いは階層を減らす等の制約を受けることになる。
次に、集合住宅に関し、次世代の新しい住まい方や将来にわたって快適な生活空間を提供していくために、住戸スパンや住空間の自由度の拡大、設備配管の更新性を実現する手法の開発、或いは水場の自由度が住戸内全域に可能なスケルトンインフィル(SI)への対応等の要求が高まっている。単なる大スパン床スラブやフラットスラブ構造では、スラブが厚くなり重量が大きくなって構造体や基礎・杭工事に悪影響を及ぼし、工期の短縮化も出来ない。
一方、国内では床重量衝撃音対策として、一番の問題とされてきた60〜100Hzの低周波数領域の遮音性能の向上が種々検討されてきたが、未だに満足できる解決策は無く、手図まり状況である。
例えば下記の特許文献1には、集合住宅の居住性の向上を目的として、各住戸を、水場を集中配置する設備ゾーンと、居室を配置する居住ゾーンとに区分し、設備ゾーンは柱・梁のラーメン構造とし、居住ゾーンは無梁のフラットプレートから成るチューブ構造に構成した集合住宅が開示されている。但し、水場の水勾配や遮音性能に関する配慮、工夫は特段認められない。
特許文献2には、居住性を犠牲にすることなく階高を小さくする目的で、床を無梁のフラットプレートで構成し、外周フレームの梁を逆梁として設けた建物が開示されている。
特許文献3には、自由な水場の配置を可能とし、良質な居住空間を得る天井高さを確保しつつ、基準階高を最小限度に抑制する目的で、床面にトレンチスペースを凹設し、トレンチスペースの適所に排水枝管を配設して、トレンチスペースの任意の位置に水場を設置可能とした集合住宅の建築構造が開示されている。
特許文献4には、開放的な居住性と、プランニングの自由度、将来の更新性に優れ、天井高さを出来るだけ大きくすることを目的として、採光面側の床スラブの天端レベルよりも、水場床スラブの天端レベルを、段差を設けて低く形成した床スラブ構造が開示されている。前記段差は、採光面側の床スラブと水場床スラブとの境界部位にPC鋼材によるプレストレスを導入した梁の如く造成した連結部によって形成され、この連結部に吊り上げ力を生じさせて大スパンスラブを形成している。しかし、水勾配の傾斜面については一切考慮されておらず、前記段差を利用して排水管を横引きすることで機能上必要な排水勾配を確保するとの説明が段落番号[0044]〜[0045]に認められるにすぎない。
特許文献5には、床スラブ全体を自然排水勾配より以上に傾斜させて、給排気機器設置用の天井懐を確保した床スラブ構造が開示されている。
特開平8−13820号公報 特開2000−120281号公報 特開2002−54314号公報 特開2002−138618号公報 特開2003−129602号公報
上記の各特許文献1〜5から明らかなように、従来技術は、集合住宅のコンクリート床スラブ構造について、快適な生活空間を提供するために、或いは住戸スパンや住空間の自由度の拡大、設備配管の更新性を実現するために、更には水場の自由度が住戸内全域に可能なスケルトンインフィル(SI)への対応等を目的として種々な改良、工夫が重ねられている。しかし、そうした改良、工夫は、数多くある課題の一つ一つについて、いわば個別的な解決が図られているにすぎず、トータルな解決を目指した技術は皆無に等しい。例えば床の遮音性能を向上する改良、工夫は、通例スラブ上に敷設される床マット等の工夫に任されてるのが実状で、スラブ躯体の改良、工夫で遮音効果を画期的に向上するような先行技術は見聞されない。
本発明の目的は、床スラブの厚さ、床重量を最小にしつつ、床の遮音性能の飛躍的な向上、特には床重量衝撃音のうち遮音性能向上が最も難しいとされている60〜100Hz周波数領域の遮音性能の向上を実現でき、併せて同じ階高でも天井高さを拡大して快適な生活空間を提供でき、建物高さの低減若しくは同じ建物高さであれば数層の積み増しが可能であり、水場プランの自由度、設備配管の更新性を実現でき、SIへの対応も可能であり、また、躯体重量を軽減することによってその分だけ基礎・杭工事の軽減化と建設費用の削減ならびに工期の短縮化も図れるなど、数多くの課題のトータルな解決が図れる、床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造を提供することである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造は、
住戸をバルコニー側から奥行き方向に見たスラブの断面として、スラブ下端面3は奥行き方向に直線的に下る傾斜面に形成され、梁1と繋がるスラブの端部2は構造性能上必要とされる最小の厚さとされ、当該スラブを前記奥行き方向に見ると水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せでスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成とされていることを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係る床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造は、
住戸をバルコニー側から奥行き方向に見たスラブの断面として、スラブ下端面3は奥行き方向に直線的に下る傾斜面に形成され、梁1と繋がるスラブの端部2は構造性能上必要とされる最小の厚さとされ、当該スラブを床支持スパン方向に見ると水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せでスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成とされ、更に口径が大小に異なるボイド20又は形状が様々に異なるボイド21の組合せによりスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成とされていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造において、
住戸をバルコニー側から奥行き方向に見たスラブの断面として、スラブ下端面3は奥行き方向に直線的に下る傾斜面に形成され、バルコニー5側のリビング部分のスラブ上端面6aは水平面として形成され、奥側の水場部分は段差7により一段下げてから水勾配に対応する傾斜面6bに形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造において、
水場部分は、設備配管8の水勾配と長さに応じて段差と水平面を繰り返す多段の傾斜に形成されていることを特徴とする。
請求項に記載した発明は、請求項1〜のいずれか一に記載した床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造において、
コンクリート床スラブは、孔明きプレキャストコンクリート合成床版、半プレキャストコンクリート合成床版、プレストレスを導入したプレキャストコンクリート板、現場打ちコンクリート床板、又はプレストレスを導入した現場打ちコンクリート床板などで構成されていることを特徴とする。
本発明の変断面コンクリート床スラブ構造は、住戸をバルコニー側から奥行き方向に見たスラブの断面として、スラブ下端面3が奥行き方向に直線的に下る傾斜面に形成されているので、リビング5側(水上側)の床スラブ下端面3が高い位置になる(図2参照)ため、同じ階高でもリビング5側の天井10の高さを可及的に高くでき、ハイサッシを適用するなどして快適な生活空間を提供できる。逆に言えば、同じ天井高、軒高の設計ならば、階高を低減でき、その分建物高さの実質低減化が可能となる。或いは20層〜60層の高層住宅ならば、1層ないし5層程度の積み増しが可能となり、住戸数、住戸専有面積が増加する利益を得られる。一方、水場部分のスラブ上端面を水勾配(設備配管勾配)に対応する傾斜面6bとして形成しやすいから、水場プランの自由度が高い。
その上、水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せでスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成とするので、床の遮音性能として従来重量衝撃音レベルの中で最も低減化が困難とされてきた60〜100Hzの低周波数領域を飛躍的に削減できる(例えば図3〜図7、および図10〜図12参照)。床重量、床剛性を規則的に調整することで、床の遮音性能の向上を図ることが可能である。こうして床の遮音性能がランクアップされる結果、床スラブをはじめ、柱、梁等の主要構造(構造躯体)の断面を数10%縮小化することが可能であり、躯体工事費用を数10%削減することが可能である。また、スラブ端部の厚さや床剛性を小さくすることによる床重量の低減化と、柱、梁等の主要構造躯体の断面縮小化に伴い、建物を支持する基礎工事、杭工事の費用も数10%削減することが可能である。こうして建築の嵩が小さくなる分だけ工期の短縮化も期待できるのである。
請求項2に記載した発明のように、中空ボイド構造の床スラブにすると、床重量の軽減化は一層進み、上述の効果が倍増する。
請求項3に係る発明の変断面コンクリート床スラブ構造は、水場部分のスラブ上端面が水勾配(設備配管勾配)に対応する傾斜面6bとして形成される。更に請求項4に係る発明の場合はスラブ上端面が水勾配に対応する多段の傾斜に形成される(図14)ので、水場プランの自由度、および将来の設備配管の更新性及びスケルトンインフィル(SI)への住宅対応が容易に可能である。
請求項5に係る発明の変断面コンクリート床スラブ構造は、施工法の検討として、5m〜15mクラスの床スラブスパンならば、プレキャストコンクリート合成床版(ハーフPC床版、孔明きPC床版、オムニア版など)を採用して施工することが出来、工場生産化を拡大して生産性の向上を図ることが出来る。さらに大きな床スラブスパンならば、プレストレスを導入した現場打ち又はプレキャストコンクリート製のスラブ、或いは中空ボイドをランダム配置した軽量化スラブを適用して施工することができる。
住戸をバルコニー側から奥行き方向に見たスラブの断面として、スラブ下端面3は奥行き方向に直線的に下る傾斜面に形成し、梁1と繋がる床の端部2は構造性能上必要とされる最小の厚さとし、当該スラブを前記奥行き方向に見ると、水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せでスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成とする。或いは当該スラブを支持スパンの方向に見ると、水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せに加え、口径が大小に異なるボイド20又は形状が様々に異なるボイド21のランダムな組合せによりスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成として実施する。
バルコニー5側のリビング部分のスラブ上端面6aは水平面として形成し、奥側の水場部分は段差7により一段下げてから水勾配に対応する傾斜面6bに形成する。
図1と図2は、本発明に係る床の遮音性に優れた変断面コンクリート床スラブ構造の実施例を、建物の一部の断面図、及びその中の一層分の拡大断面図として示す。
図2が分かりやすいように、本発明の変断面コンクリート床スラブ構造は、梁1と繋がるスラブの端部2は構造性能上必要とされる最小の厚さ(例えば180mm)とされ、その他の部分は以下に説明するように厚く形成されている。
図1、2に示した実施例の場合、紙面の左右方向である住戸のバルコニー5側から奥行き方向に見たスラブの断面において、スラブ下端面3は奥行き方向(右方向)へ水勾配に等しく直線的に下る傾斜面に形成されている。例えば水平な床仕上げ面4を基準に見ると、スラブ左端の下端面は310mm下がった位置であるが、スラブ右端の下端面は480mmも下がった位置になっている。
一方、スラブ上端面に関しては、バルコニー5側のリビング部分のスラブ上端面6aは水平面に形成され、奥側の水場部分のスラブ上端面6bは段差7により一段下げてから水勾配に対応する傾斜面、具体的にはスラブ下端面3と平行な傾斜面に形成されている。その結果、バルコニー5側のリビング部分のスラブ上端面6aは、水平な床仕上げ面4から見て130mm下がった位置であるが、水場部分のスラブ上端面6bの右端に至っては、水平な床仕上げ面4から300mmも下がった位置に形成されている。
したがって、水場部分のスラブ上端面6bへ排水管8を直置きしても、そのままで必要な排水勾配を確保できる。よって、水場プランの自由度が高いし、設備配管の更新性を確保できる。図2中に点線6a’で示したようにリビング部分の水平なスラブ上端面及び段差7’の位置は自由に設計でき、ひいては水場の設計自由度を住戸内全域に可能ならしめスケルトンインフィル(SI)への対応要求にも容易に応じられるのである。
上記したように、スラブ下端面3は、奥行き方向へ水勾配に等しく直線的に下る傾斜面に形成されているので、その下側に造られる天井については、バルコニー5側のリビング部分の天井10を、図2に示したように、可能な限りスラブ下端面3へ接近させて高く形成することができる。従って、リビング側は天井の高い快適な生活空間とすることができる。逆に、水場の天井11は、スラブ下端面3が下がっている関係上、それなりに低く形成するほかない。なお、給排気管9が貫通した梁1の近傍では、空調機器を設備する天井ふところ12を確保することになる。
図1、図2において、符号13は間仕切り壁を指す。
次に、上記変断面コンクリート床スラブ構造の遮音性能について説明する。
図3は、試験体としての変断面スラブ(ハンチタイプ=6.4m×8.0m)の断面形状のモデル(スラブ端部厚さ150mm、中央部厚さ250mm)を示す。中央部の水平面6aからその両側部分は対称的にスラブの端部2の最小厚さに向かう傾斜面6bとして形成されている。
図4は、図3の試験体における重量衝撃音レベル=アクセランス(床の揺れ易さ)の検出ポイント1、4の位置を示している。図3の試験体と比較するべき従来例モデルは、厚さ200mmの均一断面のRCスラブである。
図5は、ポイント1、4における各床スラブの遮音性能(揺れ易さ)の比較図を示す。図中の実線Xが本発明の試験体に関する振動特性図で、点線Yが従来例モデルの振動特性を示している。図5から明白な事実は、本発明の試験体の振動特性Xは、いずれのポイントにおいても60〜100Hzの低周波数領域における遮音性能レベルが従来例モデルのそれの約半分と言えるほど大きく減少しており、床の遮音性能に換算すると1ランク以上の床衝撃音レベルが低下するということである。これは正に、図3のようにスラブ端部2の厚さを小さくし、中央部の水平面6aとその両側部分を対称的に端部2の最小厚さに向かう傾斜面6bとして形成した変断面スラブは、遮音効果が非常に大きいことを示している。
上記のように変断面床スラブの遮音性能レベルが、均等断面の従来例モデルに比してワンランク向上するということは、逆に変断面床スラブの厚さ、重量、剛性をワンランク小さくして、床スラブの軽量化を図ることが可能な訳で、ひいては柱、梁等の主要構造(構造躯体)の断面を数割縮小化することが可能である。その結果、躯体工事費用を数10%削減することが可能である。また、スラブ端部2の厚さや床剛性を小さくすることによる床重量の低減化と、柱、梁等の主要構造躯体の断面縮小化に伴い、建物を支持する基礎工事、杭工事の費用も数10%削減することが可能となる。かくして建築の嵩が小さくなる分だけ工期の短縮化も期待できるという大きな波及効果を得ることができる。
図6は、異なる試験体モデルとして、スラブ下端面3が水平で、スラブ上端面の中央部に段差7を介して一段と厚い部分6cが水平に形成され、その両側部分6dは最小厚さのスラブ端部2と均等断面に形成された変断面床スラブ(スラブ端部厚さ150mm)の例を示す。これと比較する従来例モデルは、やはり厚さ200mmの均一断面のRCスラブである。
図7は、上記図4の例と同じ検出ポイント1、4における各床スラブの遮音性能(揺れ易さ)の比較図を示している。図中の実線Xが図3の試験体に関する振動特性図で、点線Yが従来例モデルの振動特性を示している。図7から明白な事実は、やはり本発明の試験体の振動特性Xは、いずれのポイントにおいても、60〜100Hzの低周波領域における床の振動性能レベルが従来例モデルのそれの約半分に近く大きく減少しており、床の遮音性能に換算すると1ランク以上の床衝撃音レベルが低下するということである。
以上に説明した遮音性能(揺れ易さ)の比較図(図5、図7)から類推して言えることは、本発明のように、水平面6a又は6cと傾斜面6b及び段差7の組合せでスラブ厚さと形状が前記奥行き方向に見て種々異なる変断面の構成にすると、遮音性能(衝撃音レベル)が飛躍的に向上する。その結果、床スラブの厚さと重量、および剛性をワンランク小さくして、床スラブの軽量化を図ることが可能である。
上記の結果に基づいて、水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せによる、遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造の種々な実施可能モデルを具体的に例示すると、例えば図8(a)〜(e)に示す変断面形状の床スラブを実施可能である。
次に、請求項2の発明に係る中空ボイドスラブに関する実施例を説明する。
発明者らの実験結果によれば、図(a)、(b)に例示したように、梁1と繋がるスラブの端部2は構造性能上必要とされる最小の厚さとされ、その他の部分は、水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せにより、床支持スパン方向に見ると種々異なる変断面の構成であり、更に口径が大小に異なるボイド20のランダムな配置と組合せによりスラブ厚さと形状が種々に異なる変断面の構成とした実施例も、やはり床の遮音性能が飛躍的に向上する。
すなわち、上記したようなボイドによる変断面コンクリート床スラブ構造の遮音性能を確認するため図10に示す試験体を用意した。この試験体はスラブの端部2の厚さが150mmと構造性能上必要とされる最小の厚さで、その他の部分の厚さも等しい均等断面であるが、口径が大小に異なるボイド20をランダムに配置して、床支持スパン方向に見ると実質変断面形状に構成されている。一方、これと比較する従来例モデルは、やはり厚さ200mmの均一断面のRCスラブとした。
図11は各モデルの検出ポイント1、4の位置を示している。
図12は、上記図11の検出ポイント1、4における各床スラブの遮音性能(揺れ易さ)の比較図を示している。図中の実線Xが図10の試験体に関する振動特性図で、点線Yが従来例モデルの振動特性を示している。図12から明白な事実は、やはり図10に示す試験体の振動特性Xは、いずれの検出ポイントにおいても、60〜100Hzの低周波数領域における遮音性能レベルが従来例モデルのそれよりも大きく減少しており、床の重量衝撃音に対する遮音性能レベルはワンランク下がることである。
要するに、図10に示すように、厚さがスパン方向に等しい均等断面のスラブに、口径が大小に異なるボイド20をランダムに配置した構成により、床支持スパン方向に見ると実質変断面形状に形成された変断面床スラブであっても、上記のように振動特性に優れ、60〜100Hzの低周波数領域における遮音性能に優れたコンクリート床スラブとして確認できたである。
したがって、図(a)、(b)に例示したように、スラブ端部2の厚さが構造性能上必要とされる最小の厚さとされ、その他の部分は厚く形成されているが、水平面6aと傾斜面6b及び段差7の組合せにより、床支持スパン方向に見るとスラブ厚さと形状が種々に異なる変断面の構成とされ、更に口径が大小に異なるボイド20のランダムな配置と組合せによりスラブ厚さと形状が種々に異なる変断面の構成とした実施例も、一層優れた遮音特性を発揮することは、容易に類推できるのである。
次に、図13は、上記図1及び図2のように水場部分のスラブ上端面6bを、水勾配に対応する傾斜面に形成する手段に代えて、ユニットバスその他の水回り機器23、24と各々に付属する設備配管8に必要とされる水勾配と長さに応じて段差7と水平面6eを繰り返す多段の傾斜に形成した実施例を示している。
最後に、本発明に係る床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造を上記の各実施例のように実施する場合に、その変断面コンクリート床スラブは、孔明きプレキャストコンクリート合成床版、半プレキャストコンクリート合成床版、プレストレス導入のプレキャストコンクリート板、又は現場打ちコンクリート床板、プレストレス導入の現場打ちコンクリート床板などにより既往技術と変わりなく構成し、実施することが出来ることを付言する(請求項に記載した発明)。
施工法としては、5m〜15mクラスの床スラブスパンならば、プレキャストコンクリート合成床版(ハーフPC床版、孔明きPC床版、オムニア版など)を採用して施工することが出来る。かくすれば、工場生産化を拡大して生産性の向上を図ることが出来る。
さらに大きな床スラブスパンならば、プレストレスを導入した現場打ち又はプレキャストコンクリート製のスラブ、若しくはボイドをランダムに配置した軽量化スラブを適用して施工することができる。
本発明に係る遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造を実施した建物の一部を示した断面図である。 上記建物の一層分を拡大して示す断面図である。 本発明に係る変断面コンクリート床スラブ構造の振動実験モデルを示した断面図である。 上記床スラブにおける検出ポイントの位置を示す平面図である。 本発明のモデルと従来例モデルの上記検出ポイントにおける遮音性能(揺れやすさ)比較図である。 本発明に係る変断面コンクリート床スラブ構造の更に異なる振動実験モデルを示した断面図である。 上記した本発明のモデルと従来例モデルの遮音性能(揺れやすさ)比較図である。 a〜eは本発明に係る変断面コンクリート床スラブ構造の種々な実施例を示す断面図である。 a、bは本発明に係るボイドによる変断面コンクリート床スラブ構造の種々な実施例を示す断面図である。 イドによる変断面コンクリート床スラブ構造の振動実験モデルを示した断面図である。 記ボイド床スラブにおける検出ポイントの位置を示す平面図である。 図10のモデルと従来例モデルの上記検出ポイントにおける遮音性能(揺れやすさ)比較図である。 本発明に係る変断面コンクリート床スラブ構造の異なる実施例を示した断面図である。
符号の説明
1 梁
2 スラブの端部
3 スラブ下端面
6a 水平面
6b 傾斜面
7 段差
20 ボイド
21 異形ボイド
5 バルコニー

Claims (5)

  1. 梁と繋がるスラブの端部は構造性能上必要とされる最小の厚さとされ、当該スラブを床支持スパン方向に見ると水平面と傾斜面及び段差の組合せでスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成とされていることを特徴とする、床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造。
  2. 梁と繋がるスラブの端部は構造性能上必要とされる最小の厚さとされ、当該スラブを床支持スパン方向に見ると水平面と傾斜面及び段差の組合せでスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成とされ、更に口径が大小に異なるボイド又は形状が様々に異なるボイドの組み合わせによりスラブ厚さと形状が異なる変断面の構成とされていることを特徴とする、床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造。
  3. 住戸をバルコニー側から奥行き方向に見たスラブの断面として、スラブ下端面は奥行き方向に直線的に下る傾斜面に形成され、バルコニー側のリビング部分のスラブ上端面は水平面として形成され、奥側の水場部分は段差により一段下げてから水勾配に対応する傾斜面に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造。
  4. 水場部分は、設備配管の勾配と長さに応じて段差と水平面を繰り返す多段の傾斜に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載した床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造。
  5. コンクリート床スラブは、孔明きプレキャストコンクリート合成床版、半プレキャストコンクリート合成床版、プレストレスを導入したプレキャストコンクリート板、現場打ちコンクリート床板、又はプレストレスを導入した現場打ちコンクリート床板などで構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した床の遮音性能に優れた変断面コンクリート床スラブ構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112780018A (zh) * 2019-11-01 2021-05-11 陕西建工第六建设集团有限公司 一种缩口型楼承板-混凝土组合楼板的施工方法

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